ワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法
【課題】安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供する。
【解決手段】段差によりワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させるワーク加振搬送装置50とした。また、搬送されるワークの左右の二隅のコーナ部または四隅のコーナー部の欠損を同時に検出する欠損ワーク判別装置60とした。そしてこれらとともに欠損ワークを回収するワーク仕分け装置70を備える積層ワーク切り出しシステム、および、このシステムを用いる積層ワーク切り出し方法とした。
【解決手段】段差によりワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させるワーク加振搬送装置50とした。また、搬送されるワークの左右の二隅のコーナ部または四隅のコーナー部の欠損を同時に検出する欠損ワーク判別装置60とした。そしてこれらとともに欠損ワークを回収するワーク仕分け装置70を備える積層ワーク切り出しシステム、および、このシステムを用いる積層ワーク切り出し方法とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割れ・欠損が生じたワークの検出・排除に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用ウェーハや半導体用ウェーハなどの製造では、インゴットから薄板状のワークへ切断して多数のワークを生成し、そしてこれら多数のワークをそのまま積み重ねた積層ワークとして次工程まで搬送することが多い。そして次の工程では、これらの積層ワークからワークを一枚づつ分離して取り出す(以下、切り出すという)処理を行い、切り出したワークを搬送し、収納ストッカに収納することとなる。ワークの搬送に際しては、ワークに衝撃を与えないようにしていた。
【0003】
このようなワークの搬送に関する従来技術としては、例えば、特許文献1(特開2009−200440号公報、発明の名称「基板搬送補助装置および基板搬送補助方法」)に記載の発明が知られている。
【0004】
特許文献1には、特に段差の発生を極力回避して衝撃を与えないように搬送することで、搬送される基板との接触部分における摩耗による不具合(例えば位置決め精度の低下や基板の欠け等の不具合)を解消する基板搬送補助装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−200440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1でも解決課題となっていたが太陽電池用パネルなどの矩形ワークでは、特に四隅のコーナー部に割れや欠損(欠け)が発生することが多い。四隅のコーナー部に割れや欠損(欠け)が発生しないことがもちろん好ましいが、このような割れや欠損の発生を完全になくすことは現状容易ではない。そこで現実的対処法として、四隅のコーナー部に割れや欠損(欠け)が発生したワークを排除するようにしている。ワークを搬送途中で検査し欠損ワークを確実に排出することができれば後工程での処理プロセスにおけるトラブル(停止→回収など)を回避することができ、生産性を損ねることがない。
【0007】
仮にTVカメラで画像を取り込み、欠損判別処理(画像処理)する方法もあるが非常に高価であることがネックとなっていた。特に問題なのは、ワークに発生した割れ・クラック・ひび(欠損に至らないもの)が内在している場合は、ワーク自身は欠損品として排出する必要があるにもかかわらず、見た目は矩形を保持しており、外部からの非接触検査では検出が難しい場合が多い。ウェットな表面で“割れ”を確実に検出することは上記の画像処理によっても困難と言われている。
【0008】
このように現状では、検出装置が高価であるという問題があった。
さらに高価な検出装置を用いても割れ・クラック・ひび(欠損に至らないもの)を内在するワークの検出が容易ではなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、
下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、
を備え、
下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させることを特徴とするワーク加振搬送装置とした。
【0011】
矩形ワークでは、特に四隅のコーナー部にひびや割れが発生しやすいため、段差により加振することでワークの割れ入ったコーナー部を確実に欠損させるようにした。このようなワーク加振搬送装置は簡易かつ安価な構成とすることが可能である。また、欠損によりワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る発明は、
搬送されるワークの四隅の直上に位置し、ワーク通過時にワークの四隅のコーナー部の有無を同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである4個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号を、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号を出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置とした。
【0013】
このような欠損ワーク判別装置は4個のワーク検出センサという簡易かつ安価な構成であるにも拘わらず、搬送しながら瞬時に欠損ワークであるか否かを確実に判別するという高い機能を実現した。また、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る発明は、
搬送されるワークの左右の二隅の直上に位置し、ワーク通過時に夫々ワークを検出している時間の長さを同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである2個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置とした。
【0015】
このような欠損ワーク判別装置はさらに少ない2個のワーク検出センサという簡易かつ安価な構成であるにも拘わらず、搬送しながら瞬時に欠損ワークであるか否かを確実に判別するという高い機能を実現した。また、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る発明は、
複数ワークが積層された積層ワークから一枚づつワークを分離するという切り出し処理を行う積層ワーク切り出しシステムであって、
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、を備え、下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させるワーク加振搬送装置と、
搬送されるワークの四隅のコーナー部の欠損を検出するワーク検出センサを備え、コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別装置と、
を備え、
ワーク加振搬送装置が、搬送路の任意の位置に設けられた段差により、ワークに衝撃を付与してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させ、
欠損ワーク判別装置が、割れを検出することを特徴とする積層ワーク切り出しシステムとした。
【0017】
加振することでワークの割れ入ったコーナー部を欠損させ、その後に欠損ワークであるか否かを確実に判別するようにした。したがって、ひび・割れが入った欠損ワークを排除するため、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0018】
本発明の請求項5に係る発明は、
欠損ワーク判別装置で判別された欠損ワークを回収するワーク仕分け装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の積層ワーク切り出しシステムとした。
【0019】
後工程へ欠損ワークを流さないようにして、生産性を向上させる。
【0020】
本発明の請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の積層ワーク切り出しシステムによる積層ワーク切り出し方法であって、
ワーク加振搬送装置によりワークに対して加振しつつ搬送してワークのひびの入ったコーナー部を欠損させるコーナー部欠損工程と、
欠損ワーク判別装置により搬送されるワークのコーナー部の欠損を検出して欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別工程と、
ワーク仕分け装置により欠損ワーク判別工程で判別された欠損ワークを回収し、良品のワークを下流へ流すワーク仕分け工程と、
を有することを特徴とする積層ワーク切り出し方法とした。
【0021】
加振することでワークの割れ入ったコーナー部を欠損させてから欠損ワークであるか否かを判別し、欠損ワークは回収して後工程へ欠損ワークを流さないようにしたため、生産性を向上させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施するための形態の積層ワーク切り出しシステムのブロック図である。
【図2】気泡水供給装置および分離水槽の説明図である。
【図3】切り出し装置、複数枚ワーク送り防止装置、ワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、ワーク仕分け装置、ワーク収納装置の側面図である。
【図4】切り出し装置、複数枚ワーク送り防止装置、ワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、ワーク仕分け装置、ワーク収納装置の平面図である。
【図5】切り出しコンベアおよび複数枚ワーク送り防止装置の詳細説明図である。
【図6】搬送コンベアの説明である。
【図7】切り出しコンベアの動作説明図である。
【図8】複数枚ワーク送り防止装置の動作説明図である。
【図9】複数枚ワーク送り防止装置の動作説明図である。
【図10】ワーク加振搬送装置の説明図である。
【図11】欠損ワーク判別装置の説明図である。
【図12】ワーク仕分け装置の説明図である。
【図13】ワーク加振搬送装置の他の形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。まず、積層ワーク切り出しシステム1の全体構造について図1,図2,図3,図4を参照しつつ説明する。積層ワーク切り出しシステム1は、図1で示すように、気泡水供給装置10、分離水槽20、切り出し装置30、複数枚ワーク送り防止装置40、ワーク加振搬送装置50、欠損ワーク判別装置60、ワーク仕分け装置70、ワーク収納装置80、制御駆動装置90を備える。そして、搬送路の側方には、図4で示すようにワーク側方ガイド100が設けられる。この積層ワーク切り出しシステム1は、多数のワークが積層された積層ワーク3から一枚のワーク4を切り出して搬送する、というものである。なお、本明細書では図4で示すように搬送方向の下流側(ワーク収納装置80側)を前方とし、搬送方向の上流側(切り出し装置30側)を後方として以下に説明する。
【0025】
気泡水供給装置10は、図2に示すように、気泡水生成装置11、気泡水供給路12、電磁弁13を備えている。
気泡水生成装置11は、水に微細な気泡を混入させた気泡水を生成して供給する。気泡水生成装置11は、図2で示すように気泡水供給路12を介して分離水槽20に気泡水を供給する。また、気泡水生成装置11は、図2,図4で示すように気泡水供給路12と電磁弁13を介して切り出し装置30に気泡水を供給する。この電磁弁13は、制御駆動装置90に接続されており、制御駆動装置90が電磁弁13を所定タイミング(後述)で開閉して気泡水供給を行う。
【0026】
分離水槽20は、図2に示すように、分離水槽本体21、載置部22、気泡水噴射装置23を備える。
分離水槽本体21内は浸漬水24で満たされている。この浸漬水24は、例えば、ワークに影響を与えるような不純物を含まない水(例えば純水)であるが、これ以外にもワークに影響を与えない液体を採用することができる。
【0027】
積層ワーク収納カセット2は分離水槽20に配置するように作成されたものであり、積層ワーク収納カセット2には積層ワーク3が収納された状態であり、浸漬水24内の載置部22にこの積層ワーク収納カセット2が載せられている。積層ワーク収納カセット2では積層ワーク3のワーク面が横向きになってワークが立てられた状態の縦置きとして収納される。そしてそれぞれ積層ワーク3が搭載された状態の複数(図では4個)の積層ワーク収納カセット2が浸漬水24内に浸漬された状態でストックされている。この際、積層ワーク3は全てが浸漬水24中に沈んでおり、積層ワーク3の最高部は水面24aよりも下側にある。
【0028】
載置部22の下側には、図2のカセット下面図でも示すように、気泡水噴射装置23が配置されている。気泡水噴射装置23は、気泡水供給路12に接続されており、気泡水噴射孔23aから気泡水23bを、積層ワーク3の積層面に向けて噴射する。後述するが気泡水23bが隣り合うワークの間に入りこみ、この浸入水と気泡が両ワーク面の間に滞留する。この浸入水と気泡が隣り合うワークを滑りやすくする。気泡水噴射装置23は、これら積層ワーク3に対してワークの分離を促進する第一分離促進手段に相当する。
【0029】
切り出し装置30は、図3,図4で示すように、切り出し水槽31、積層ワーク昇降装置32、本体フレーム33、切り出しコンベア昇降装置34、荷重計35、切り出しコンベア36、気泡水噴射装置37を備える。
【0030】
切り出し水槽31は、出口部311(図5参照)、オーバーフロー受け312、ストック水槽313(図4参照)を備える。切り出し水槽31内に配置され、切り出しコンベアの下側に配置された積層ワーク3が切り出し対象となる。切り出し水槽31の側面に出口部311が形成されており、この出口部311を通じてワーク4が搬送される。また、切り出し水槽31内に浸漬水38を入れると出口部311の下辺から水がでるため、出口部311の下辺が水面38aの高さと一致する(図5参照)。この出口部311を上回る水はオーバーフローとして出口部311から流れるが、オーバーフロー受け312により回収される。ストック水槽313では切り出し前の積層ワーク3がストックされる。
【0031】
積層ワーク昇降装置32は、図3で示すように、さらに積層ワーク昇降用モータ321、積層ワーク昇降機構322、積層ワーク昇降台323を備える。積層ワーク昇降台323上には積層ワーク3が水平置きで載置される。この積層ワーク昇降台323を昇降する積層ワーク昇降機構322が設けられており、この積層ワーク昇降機構322を積層ワーク昇降用モータ321が駆動し、積層ワーク昇降台323とともに積層ワーク3を昇降する。
【0032】
本体フレーム33はL板状の構造体であり、切り出し水槽31の上側にオーバハングして設けられる。
【0033】
切り出しコンベア昇降装置34は、さらにエアシリンダ341、昇降ロッド342を備える。エアシリンダ341は本体フレーム33に固定されている。エアシリンダ341ではピストンロッドが昇降し、このピストンロッドに連結される昇降ロッド342も昇降する。
【0034】
荷重計35は昇降ロッド342に一端が取り付けられる。そして他端に後述する切り出しコンベア36が取り付けられる。荷重計35は切り出しコンベア36が積層ワーク3の最上のワーク面を押すときに、押圧力に相当する荷重データを出力する。荷重データは制御駆動装置90へ送られて荷重調整制御に用いられる。
【0035】
切り出しコンベア36は、図5で示すように、駆動プーリ361、従動プーリ362、ガイドローラ363、エンドレスベルト364、切り出しコンベア駆動モータ365を備える。駆動プーリ361は図示しない駆動機構を介して切り出しコンベア駆動モータ365により回転駆動される。駆動プーリ361と従動プーリ362とにはエンドレスベルト364が掛け渡されており、駆動プーリ361の回転駆動とともにエンドレスベルト364が移動して従動プーリ362も回転する。ガイドローラ363は特にワーク面に接触するエンドレスベルト364の下側が略水平に移動するようにしている。これら駆動プーリ361、従動プーリ362、ガイドローラ363は回転体である。なお、上記のような構成に限定する趣旨ではなく、少なくともガイドローラ363を配置してエンドレスベルト364の下側が略水平に移動するようにすれば、本形態の搬送コンベアを構成する。
【0036】
エンドレスベルト364は弾性体により形成されており、エンドレスベルト364の表面には、略等間隔で帯状の複数の突部364aが全周にわたり設けられる。また、突部364aは、幅方向には全体的に設けられる。このような突部364aはエンドレスベルト364の全面に設けられる。仮に突部364aがないとエンドレスベルト364の広い面での接触となって均一な接触状態を確保することが難しく、加えて切り出しコンベア36が傾いたときには接触が強い箇所や弱い箇所等が発生して面接触状態を均一に保持できずにすべりを生じるおそれがあるが、このような突部364aを設けることで突部364aが変形してワーク面に密着するので接触状態を得やすくなり、エンドレスベルト364によるワークへの押圧力が均一になるようにしている。この突部364aの形状は各種可能であり、例えば、帯状・波形状・山形状等が有効である。そしてこのようなエンドレスベルト364は図4では2本備える。
【0037】
切り出しコンベア36による切り出しではこのエンドレスベルト364の突部364aをワーク面に所定の押圧力で押し当てて、ワーク面との間に摩擦力を発生させて一枚のワーク4(図4参照)を水平方向へ搬送する。
なお、エンドレスベルト364については2本に限定するものではなく、1本から数本の構成とすることが可能であるが、実際は1本の幅広のエンドレスベルト364では均一な当て方が難しく、2本以上が好ましい。本形態では最低数の2本のエンドレスベルト364を備える構成としている。
【0038】
気泡水噴射装置37は、気泡水供給路12に接続されており、気泡水噴射孔から気泡水37aを、積層ワーク3の積層面に向けて噴射する。後述するが気泡水37aが隣り合う上下のワークの間に入りこみ、気泡が両ワーク面の間に滞留する。このワーク間への浸入水と気泡が隣り合うワークを滑りやすくする。気泡水噴射装置37は、これら積層ワーク3に対してワークの分離を促進する第二分離促進手段に相当する。
【0039】
このような切り出し装置30では、積層ワーク3における各ワークの厚み変動やワーク間介在物(水膜や微小な異物など)などの影響で切り出しコンベア36によるベルト押圧力が変動する懸念がある。ベルト押圧力が適正に設定されず、ベルト押圧力が大きくなるとワークへの負荷が増大してワーク欠損の原因になり、また、ベルト押圧力が小さくなると、コンベアとワーク間の摩擦力が低下して、切り出し動作ができなくなるなどの問題が生じる。ワーク厚さ(例えば0.1mm〜1mm)は一定と言われているが、稀に厚みの異なるワークもあること、また、積層ワーク3のワーク枚数が多い場合には厚み誤差や積層ワーク昇降台323の位置決め誤差などが累積する可能性もあり、実際に、積層ワーク3のワーク枚数が数百枚になると上記のような現象が出るおそれが増大する。
【0040】
そこで、切り出しコンベア36のベルト押圧力を荷重計35で検出して荷重データとして制御駆動装置90へ出力し、制御駆動装置90が図示しないエア回路を制御してエアシリンダ341に流入するエアの量を制御して押圧力を常に一定の状態に設定するようにしている。これにより、上記したような変動によらずに一定荷重にて切り出しを行えるようにしている。切り出し装置30はこのようなものである。
【0041】
複数枚ワーク送り防止装置40は、上側搬送ローラ41、下側搬送ローラ42、滞留ワーク検出センサ43、ワーク通過検出センサ44、ローラ駆動モータ45(図4参照)を備える。
上側搬送ローラ41は、比較的硬質な弾性体による円柱体である。
下側搬送ローラ42は、比較的硬質な弾性体による円柱体である。
上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との間には隙間46(図5参照)が形成される。上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42は上記のように比較的硬質な弾性体であるため、隙間46はほぼ一定の幅に保たれる。この隙間46は一枚のワーク4の厚みと同程度であり、2枚以上のワーク4は同時に通過できないようになされている。また、上側搬送ローラ41は隙間46がある箇所では外周面が搬送方向へ移動するような回転としている。下側搬送ローラ42は隙間46がある箇所では外周面が搬送方向とは反対方向へ移動するような回転としている。
【0042】
滞留ワーク検出センサ43は、例えば非接触センサであり、隙間46を通過できないで滞留しているワーク4があるか否かを検出する。この滞留ワーク検出センサ43は、図3,図4で示すように搬送路の上側であって切り出し装置30と上側搬送ローラ41との間に配置される。なお、搬送路の下に配置されて上側の滞留ワークを検出するようにしてもよい。
【0043】
ワーク通過検出センサ44は、例えば非接触センサであり、通過するワークがあるか否かを検出する。このワーク通過検出センサ44は、上側搬送ローラ41・下側搬送ローラ42から完全に排出されたワークの前側先頭を検出するような位置に配置される。図3,図4で示すように搬送路の上側に配置されて下側のワークを検出するように設けられている。このような複数枚ワーク送り防止装置40の詳細については切り出し方法の説明にて詳述する。
【0044】
ワーク加振搬送装置50は、複数の搬送コンベアの間で搬送経路途中で段差を付けたというものであり、本形態では二個の搬送コンベアを採用し、下段搬送コンベア51と、上段搬送コンベア52とを備える。これら下段搬送コンベア51と、上段搬送コンベア52とは、何れも同じ型の搬送コンベアである。下段搬送コンベア51について説明すると、図6で示すように、駆動プーリ511、従動プーリ512、ガイドローラ513、エンドレスベルト514、搬送コンベア駆動モータ(図示せず)を備える。
【0045】
駆動プーリ511は図示しない駆動機構を介して搬送コンベア駆動モータにより回転駆動される。駆動プーリ511と従動プーリ512とにはエンドレスベルト514が掛け渡されており、駆動プーリ511の回転駆動とともにエンドレスベルト514が移動して従動プーリ512も回転する。ガイドローラ513は特にワーク面の下側に接触するエンドレスベルト514の上側が略水平に移動するようにしている。このエンドレスベルト514は切り出しコンベアによる切り出し時のような強い摩擦力は不要であり、突起はなく平面状に形成される。また、上段搬送コンベア52も同じ構造であり同じ構成を有するものとして重複する説明を省略する。
【0046】
下段搬送コンベア51は複数枚ワーク送り防止装置40の隙間46を通って搬送されるワーク4がほぼ同じ高さで搬送されるようになされている。そして上段搬送コンベア52はこの搬送高さよりも上側で搬送されるようになされている。このように下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52とで段差を付けて搬送される理由については後述する。
【0047】
また、ワーク加振搬送装置50の矩形状のワーク4の搬送路では、ワーク4より若干幅が大きくなるようにしたワーク側方ガイド100を左右に設けてワークが回動しないようにして、姿勢を保持する。ワーク側方ガイド100のすぐ横にエンドレスベルト514が位置しており、エンドレスベルト514の上にワーク4の四隅が載った状態で搬送される。このワーク側方ガイド100は欠損ワーク判別装置60、ワーク仕分け装置70の側方にも形成されており、ワーク4をワーク収納装置80の収納ストッカ81へ収納するときにもワーク側方ガイド100が形成されており、ワーク4の位置決めを確実に行うことができる。
【0048】
欠損ワーク判別装置60は、前方右側ワーク検出センサ61、前方左側ワーク検出センサ62、後方右側ワーク検出センサ63、後方左側ワーク検出センサ64、搬送コンベア65を備える。
【0049】
前方右側ワーク検出センサ61は、下側にあるワーク4の前方右側角の有無をピンポイントで検出する。
前方左側ワーク検出センサ62は、下側にあるワーク4の前方左側角の有無をピンポイントで検出する。
後方右側ワーク検出センサ63は、下側にあるワーク4の後方右側角の有無をピンポイントで検出する。
後方左側ワーク検出センサ64は、下側にあるワーク4の後方左側角の有無をピンポイントで検出する。
搬送コンベア65は、図6を用いて説明した送り防止装置側搬送コンベア51と同じ構造であり、各構成については同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0050】
これらセンサ61,62,63,64は、図11で示すように、搬送コンベア65のある検出ポイントにワーク4が位置するとき、それぞれがそのワークの四隅の上方に位置している。実際は搬送コンベア65でワークを搬送した状態で検出が行われていく。なお、ワーク側方ガイド100と、搬送コンベア65のエンドレスベルト514と、の間には隙間101が設けられており、エンドレスベルト514の上のワーク4の四隅の下は隙間101が空けられてコーナー部の有無によりこれらセンサ61,62,63,64が検知することができるようになっている。これらセンサ61,62,63,64は制御駆動装置90に接続されている。検出および検出結果に基づく制御駆動装置90が行う処理については後述する。
【0051】
ワーク仕分け装置70は、図3,図4で示すように、欠損ワーク排出コンベア71、欠損ワーク回収箱72、搬送コンベア73を備える。欠損ワーク搬出コンベア71は、図6を用いて説明した下段搬送コンベア51と同じ構造ではあるが、欠損ワーク搬出コンベア71はさらに傾斜駆動機構が設けられている。図3,図6を参照すると、従動プーリ512側(上流側)を回転軸として、図示しない傾斜駆動機構が制御駆動装置90からの指令を受けて駆動プーリ511側(下流側)が下方向に傾斜するようになされている。欠損ワークが搬送されてきたとき、欠損ワーク排出コンベア71を傾斜させて(図12(a)参照)、欠損ワーク回収箱72へ欠損ワークを落下させて排出する。排出後に欠損ワーク排出コンベア71を元の位置に戻す(図12(b)参照)。
欠損がない良品のワークである場合は、傾斜せずに欠損ワーク排出コンベア71からそのまま搬送コンベア73へ搬送される。なお、この搬送コンベア73も図6を用いて説明した下段搬送コンベア51と同じ構造ではある。
【0052】
ワーク収納装置80は、図3,図4で示すように、収納ストッカ81、収納ストッカ昇降装置82、支持台83を備える。
収納ストッカ81は、ワークを一枚ずつ離した状態で収納するようになされたストッカである。
収納ストッカ昇降装置82は、収納ストッカ81を昇降させる装置であり、さらに昇降用モータ821、置き台昇降機構822、収納ストッカ置き台823を備える。
支持台83は、収納ストッカ昇降装置82を支持する。
【0053】
収納ストッカ置き台823上には収納ストッカ81が水平置きで載置される。この収納ストッカ置き台823は置き台昇降機構822による昇降されるようになされており、この置き台昇降機構822を昇降用モータ821が駆動し、収納ストッカ置き台823を昇降する。搬送コンベア73から搬送されたワーク4が所定高さにある収納ストッカ81へ直接搬入される。
制御駆動装置90は、特に複数枚ワーク送り防止装置40のローラ駆動モータ45、積層ワーク昇降装置32の積層ワーク昇降用モータ321を駆動するようになされており、これらは本発明の制御駆動手段に相当する。制御駆動装置90は、滞留ワーク検出センサ43、ワーク通過検出センサ44も接続されており、これら検出信号に基づいて各種の制御を行う。
積層ワーク切り出しシステム1の全構成はこのようなものである。
【0054】
続いて、本発明の積層ワーク切り出し方法について説明する。インゴットをスライスして生成した複数枚のワークがそのまま積み重ねられて積層ワークとなっている。そして、積層ワーク切り出しシステム1は、このように複数ワークが積層された積層ワークから一枚づつワークを分離して取り出すという切り出し処理を行うというものであり、特に、ワークの搬送路としてワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、ワーク仕分け装置を採用する点に特徴がある。このような積層ワーク切り出しシステム1を用いる切り出しは、以下の積層ワーク切り出し方法により行われる。
【0055】
この積層ワーク切り出し方法では、前記した積層ワーク切り出し装置を用いて、(1)一次分離工程、(2)ストック工程、(3)ワーク切り出し工程、(4)複数枚ワーク分離工程、(5)コーナー部欠損工程、(6)欠損ワーク判別工程、(7)ワーク仕分け工程、(8)ワーク収納工程により行われる。以下各工程について説明する。
【0056】
(1)一次分離工程
インゴットからスライスした直後という初期の積層ワーク3ではワーク間で貼り付きが強固な積層状態となっており、直ちに切り出しすることは困難である。そこで予めワーク間で貼り付きを弱くする分離促進を行う。まず、ワーク間での貼り付き力について考察する。
【0057】
面粗度の良い2つのワーク面が重なり合った場合の貼り付きについてはレオロジーの問題として考えられる。断面でみて幅Dの2枚のワークの間に厚さHの水の層があるとする。ワーク面に対して鉛直方向となるように、一方のワークから他方のワークを離すように移動させると、水は体積一定の条件で内側(中央側)へ流れ込み、細くなっていく。水平方向(内側へ向かう)水の速度をVとすれば、(ある断面をみれば)次式のように表される。
【0058】
[数1]
V≒H’(D/H)
【0059】
これにより(ワーク面の界面では水の水平方向の速度はゼロと考えると)、内向きの流れの速度勾配は次式のようになる。
【0060】
[数2]
γ’≒V/H
【0061】
また、ηを水の粘度とすると、ワーク面に対して次式で表されるようなずり応力を与える。
【0062】
[数3]
σ=ηγ’
【0063】
一方このようなずり流れは、ワーク面に挟まれた水の内側と外側との圧力差によると考えることができる。大気圧P0、水の中心部の圧Pとすれば、ある断面で見ると、次式が成立する。
【0064】
[数4]
H(P−P0)=−Dσ
【0065】
これらを纏めると以下のようになる。
【0066】
[数5]
P−P0=−{(D/H)2}η(H’/H)
【0067】
このワーク面を引き剥がす力をFとすれば、Fは(P0−P)D2と見積もれるので、(ここではD2のワーク面)Fは次式のようになる。
【0068】
[数6]
F={(D/H)3}ηH’D
【0069】
このように力Fは離して行く速度H’と、粘度ηと、(D/H)3とDに依存する式となっている。
因みにワーク板を平行に速度Vで滑らせるときの粘性抵抗力Gはσ×D2であって、先の数式に代入すると次式のようになる。
【0070】
[数7]
G=(D/H)ηVD
【0071】
このように力Gは先に説明した力Fよりかなり小さい。そこで、ワーク面と可能な限り平行方向に切り出すようにして、切り出し易いようにしている。しかしながら、依然Gの存在により切り出しに力を要するものとなっている。そこで、切り出し動作が容易となるように、予め隣り合うワーク間での貼り付き状態を緩和(ワーク間の液層厚さHを大きくする、接触面積〜Dを小さくする、浸漬水の粘度ηを小さくするなど)する一次分離を行う。
【0072】
具体的には、図2で示すように、積層ワーク収納カセット2に収納された積層ワーク3のワーク面が横向きになるようにして(縦置きして)分離水槽本体21内の浸漬液24中に浸漬する。そして、分離水槽本体21の下部に配置された気泡水噴射装置23から気泡水23bを噴射して積層ワーク3の積層面へ下側から連続して当てる。この気泡水23bに含まれる気泡は例えばマイクロバブルやナノバブルの混合状態と推定される。このように気泡水23bに当てる分離促進処理を数分から数十分行いワーク間に小さな気泡を含んだ液体を浸入させる。ワーク間に液体および微細な気泡が入り込むとワーク間の貼り付き力を小さくする。気泡は圧縮性があるので、ワーク間に再び負荷がかかった場合は水は流れ出ても気泡はワーク間に滞留しやすいため、貼り付き力の低下が維持されると推定される。また、実験的に貼り付き力の低下を確認している。このような分離促進処理を数分から数十分行った後に気泡水の噴射を停止して一次分離工程を終了する。
このような一次分離工程を施すことで浸入した気泡はワーク間に取り込まれており、後にワークを起こして切り出しを行うときにワーク間に加圧力が多少加えられても気泡は外側へ逃げずに滞留し、円滑にワークを移動させる効果があると推察される。
【0073】
(2)ストック工程
一次分離工程終了後、積層ワーク3が収納される積層ワーク収納カセット2を分離水槽20から取り出し、積層ワーク収納カセット2から取り外された積層ワーク3を切り出し水槽31のうちのストック水槽313内へ搬送して図4で示すようにストックする。これらの一次分離の終わった積層ワーク3は複数本がストック水槽313内にストックされる。この際、積層ワーク3のワーク面が上下側に面するような横置きでストックされる。
このようなストックは本形態では周知のロボットハンド(図示せず)により切り出し位置へセットされるが、人手によりストックすることも可能である。このストック水槽313内に積層ワーク3をストックするようにしたため、切り出しコンベア36へ連続して積層ワーク3を供給できるようになる。
【0074】
(3)ワーク切り出し工程
切り出し装置30におけるワークの切り出し工程は、さらに、(a)ワークの搬入、(b)ワーク初期位置動作、(c)切り出し位置動作、(d)コンベア下降・押圧力設定、(e)各機器の運転開始、(f)切り出し、(g)ワーク通過検出、(h)滞留ワーク排出処理、(i)ワーク初期位置動作、(j)次ワーク切り出し位置調節、(k)コンベア押圧力検出、(l)次ワーク切り出しにより行われる。以下、詳細を説明する。
【0075】
(a)ワークの搬入
ワーク切り出し装置30には、昇降機能を有する積層ワーク昇降台323が切り出し水槽31内に配置されており、周知の自動ローダ装置(図示せず)は、ストック水槽313内にある切り出し対象の積層ワーク3を取出し、この積層ワーク3を積層ワーク昇降台323上にセットする。この搬入の際、必要により、切り出しコンベア36を上昇させるとともに積層ワーク昇降台323を下降させておき、積層ワーク3の搬入のための十分に広い空間を確保しておく。切り出し水槽31内にあって予め下方へ退避していた積層ワーク昇降台323上に積層ワーク3が自動ローディングされる。
【0076】
(b)ワーク初期位置動作
積層ワーク3を浸漬液34中で横置き状態にすると、切り出し時の押圧力やワークの自重が作用するため、下層のワークほどワーク間の液体や気泡が外部に抜けやすくなる。しかしながら、積層ワーク3の上側は浮力などにより浸入しやすい状態となっており、再度気泡水を噴射することで貼り付き力を低下させ、切り出しをし易いようにしている。これは、特に一次分離工程でのワーク間分離を補足する意味があり、ワーク間への気泡水の浸入を補って水平置き時の自重などによる液体および気泡の散逸による一次剥離効果の低下を防ぐ役割を果たす。
【0077】
まず、制御駆動装置90が積層ワーク昇降装置32を制御して制御積層ワーク昇降台323の位置を調節し、図7(a)で示すように、積層ワーク3の最上部が水面34aよりも下側にあるように位置させる(図7(a)の拡大図参照)。この時も、積層ワーク3はワーク面が水平となるようにセットされる。この積層ワーク3の最上部付近であって切り出し水槽31内では、ワークの搬送方向前側の最上部付近に気泡水を噴射する気泡水噴射装置37が配置されている。この気泡水噴射装置37は、図4にも示すように、ワークの幅方向全体に噴射するようになされている。このような気泡水噴射装置37から気泡水を最上部ワークと2枚目ワークの間を中心に噴射する。このようなワーク初期位置(水没位置)でのみ気泡水を噴射する。
【0078】
(c)切り出し位置動作
続いて、気泡水の噴射を止めて、図7(b)で示すように、積層ワーク3を切り出し位置まで上昇させるように制御駆動装置90が積層ワーク昇降装置32を制御する。図7(b)の拡大図で示すように、切り出し水槽31内は浸漬水38で満たされているが、積層ワーク3の最上部の二枚のワークおよび三枚目のワークの半分が水面38a上に出ているような状態としている。これは仮にワークを2枚切り出しても2枚のワークは切り出し水槽31の出口部311の枠に衝突しないようにするためである。また、万が一3枚切り出しても3枚目は出口部311により停止させるためである。このような出口部311により3枚目以降の同時送りの発生するおそれを低減している。
【0079】
なお、積層ワーク昇降台323の位置は予め決定されている。例えば、20枚の積層ワークなら一枚目を切り出すときの位置、2枚目を切り出すときの位置、・・・、20枚目を切り出すときの位置は、制御駆動装置90の図示しない記憶部に登録されており、それぞれの位置が決定されている。なお、通常はワーク厚さはほぼ一定なので、切り出し位置も一定としている。ここでは、まず、最初の一枚目を切り出すときの位置に設定される。
【0080】
(d)コンベア下降・押圧力設定
その後、制御駆動装置90は、エアシリンダ341に接続されるエア回路(図示せず)を制御して上部へ退避していた切り出しコンベア36を所定量下降させて切り出しコンベア36を積層ワーク3の上面に接触させ、さらに荷重計35からの荷重データに基づいて所定の押圧力になるように微調整して昇降位置を決定する。エアシリンダ341に微量のエアを流入させて押し付けて行き押圧力を調整する。この時、エンドレスベルト364上の弾性体の突部364aがあるため、この突部364aの押付け変形量を微調整していることになり目標値への設定を比較的容易に行うことができる。
【0081】
所定押圧力になったときに、制御駆動装置90はエア回路(図示せず)を制御してエアの供給を停止させてエアシリンダ341を停止させる。
【0082】
(e)各機器の運転開始
制御駆動装置90は、切り出しコンベア36、上側搬送ローラ41、下側搬送ローラ42、下段搬送コンベア51、上段搬送コンベア52、搬送コンベア65、欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73を駆動状態となるように制御する。特に下段搬送コンベア51、上段搬送コンベア52、搬送コンベア65、欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73はいずれもワーク4を搬送方向へ送るようにエンドレスベルト514を等速度で回転させる。
複数枚ワーク送り防止装置40は、上側搬送ローラ41、下側搬送ローラ42を回転させる。上側搬送ローラ41は常に搬送方向へ回転する。下側搬送ローラ42は搬送方向とは逆方向へ回転する。
これ以降は複数枚ワーク送り防止装置40、切り出し装置36、下段搬送コンベア51、上段搬送コンベア52、搬送コンベア65、欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73は原則として継続運転状態とする。
【0083】
(f)切り出し
ワークの切り出し動作を開始する。
制御駆動装置90は、図5で示すように、切り出しコンベア36の切り出し装置駆動モータ365を制御駆動し、切り出しコンベア36では駆動プーリ361が回動してベルト364が搬送方向へ移動開始する。ベルト364の突起364aがワークに当接しており、図7(c)で示すようにワーク4を搬送方向へ移動させる。先の分離促進処理により貼り付き力が弱くなっているため、低い押圧力でも切り出すことができるようになっている。押圧力が低いため、薄いワークでも負荷を掛けることなく切り出しができる。この際、通常ならばワークを一枚切り出せば問題ないが、ワークを二枚以上切り出す場合がある。そこで複数枚ワーク送り防止装置40により二枚以上のワークが同時に送られるような事態を防止する。この点も考慮しつつ説明する。
【0084】
一枚切り出し時の複数枚ワーク送り防止装置40の処理
図8(a)で示すように、上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との間の隙間46はほぼワーク一枚分の厚みと同じなので、一枚のワーク4が通過するときは下側搬送ローラ42が逆回転しているが、下側搬送ローラ42によりワーク4へ作用する摩擦力は、切り出しコンベア43による搬送力と比較して小さいため搬送への影響はほとんどなく、上側搬送ローラ41に当接して搬送される。
【0085】
二枚切り出し時の複数枚ワーク送り防止装置40の処理(複数枚ワーク分離工程)
ワーク2枚が重なって上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との間に入った場合は、図8(b)で示すように、上側の本来の搬送対象のワーク4は上側搬送ローラ41から搬送方向へ排出力が作用するので、そのまま搬送されることになる。一方で下側の搬送対象ではないワークは下側搬送ローラ42と接し、下側搬送ローラ42から搬送方向とは逆方向の押し戻し力が作用するので、下側搬送ローラ42の上流側で止まり、図8(c)で示すように滞留することになる。
【0086】
(g)ワーク通過検出
一枚目のワーク4は上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との通過直後に、図9で示すように、下段搬送コンベア51上にあるワーク通過検出センサ44が、ワーク4の前端がワーク通過検出センサ44に到達したことを検出して検出信号を出力すると、制御駆動装置90がワーク4が検出されたと判断する。
【0087】
そして滞留ワーク検出センサ43からの検出信号により制御駆動装置90が滞留ワークがないことを検出したならば切り出し動作は正常に行われたと判断する。この場合は、後述する(i)ワーク初期位置動作を行って次の切り出しタイミングが来るまで待機し、切り出しタイミングが来たときに次の(j)次ワーク切り出しを行うこととなる。
しかしながら滞留ワーク検出センサ43からの検出信号により制御駆動装置90が滞留ワークがあることを検出したならば、制御駆動装置90が複数枚切り出しがあったと判断し、滞留ワークを排出する復旧動作を行う。
【0088】
(h)滞留ワーク排出処理
次のワーク切り出しタイミングにて、滞留ワークを排出する動作を行う。滞留ワークがあるときは、積層ワーク昇降台323を次ワークの切り出し位置へ上昇させる。この際、切り出しコンベア35を前回停止した位置に保持しておく。これは切り出しコンベア35とワークの接触面積が変化しているため荷重制御できないためである。この時、制御駆動装置90は、ローラ駆動モータ45を制御駆動し、図8(d)で示すように、下側搬送ローラ42を搬送方向と逆方向へ回転させつつ上側搬送ローラ41を搬送方向へ回転させた状態を維持する。積層ワーク昇降台323がワーク一枚分上昇すると、切り出しコンベア35にワークが接触してワーク隙間46を通じて排出される。
そしてワークが排出されてから滞留ワーク検出センサ43からの検出信号により、制御駆動装置90が、滞留ワークがないことを検出したならば滞留ワークの排出が正常に行われたと判断する。この後に、(i)ワーク初期位置動作を行って次の切り出しタイミングが来るまで待機し、切り出しタイミングが来たときに次の(j)次ワーク切り出しを行うこととなる。
【0089】
なお、この切り出しタイミングとは、先に切出したワークに欠損などがあってワーク仕分け装置70で回収されても、次に搬送されるワークが誤って回収されることなく正常に搬送されることを保証するタイムラグを指す。具体的には後方右側ワーク検出センサ63や後方左側ワーク検出センサ64を先のワークの後端が通過した時が次のワークの切り出しタイミングと想定される。
以上のように、切り出し時に“2枚送り”が発生しても装置を停止することなく連続搬送動作を行うことができるので、生産性を維持することができ、省力化を容易に実現することができる。
【0090】
(i)ワーク初期位置動作
図7(c)で示すようにワークが切り出され、その終了後に、制御駆動装置90は、図7(a)で示すように、積層ワーク昇降装置32を制御して積層ワーク昇降台323を下降させて積層ワーク3の最上面を水面下に位置するようにし、気泡水を最上部ワークと2枚目ワークの間を中心に噴射し、気泡水を最上部のワークと2枚目ワークの間に浸入させる。ワーク初期位置(水没位置)でのみ気泡水を噴射する。
【0091】
(j)次ワーク切り出し位置調節
次のワーク切り出しタイミングが来たものとする。
制御駆動装置90は、図7(b)で示すように、ワークを切り出す位置へ積層ワーク昇降台323を上昇させる。積層ワークの最上ワークを切り出す位置に設定する。
【0092】
(k)コンベア押圧力検出
この際、制御駆動装置90は、次ワーク切り出し位置調節途中において、荷重計35からの荷重データを検出しており、荷重が所定値よりも大きくなれば切り出しコンベア36の搬送や積層ワーク昇降台323の上昇を停止するが、許容範囲であればそのまま切り出しコンベア36の搬送を続ける。
【0093】
(l)次ワーク切り出し
この際も、上側搬送ローラ41は常に搬送方向へ回転する。下側搬送ローラ42は逆方向へ回転している。
制御駆動装置90は、切り出し装置36の切り出しコンベア駆動モータ365を駆動制御して駆動プーリ361を回動させてエンドレスベルト364を搬送方向へ移動開始させた状態としており、エンドレスベルト364の突部364aがワークに当接して、図7(c)で示すように、ワーク4を搬送方向へ移動させる。以下、(i)に戻り同様の動作を繰り返して順次連続して切り出していく。
【0094】
なお、複数枚ワーク送り防止装置40は仮に3枚以上が搬送された時でも最上部の一枚のワーク以外は滞留させる機能を有している。本形態では出口部311の高さが3枚目は通過させないようにしているため、そのような事態は可能な限り生じないようにしている。しかしながら、3枚以上の複数枚送りがなされるおそれもあり、そのような事態が生じた場合にも対処するようにしてある。
ワークの切り出し工程はこのようになる。
【0095】
(5)コーナー部欠損工程
複数枚ワーク送り防止装置40を通過したワーク4はワーク加振搬送装置50へ送られる。このワーク加振搬送装置50ではワーク4のコーナー部を中心に負荷および振動を加えて、すでに割れが入っている箇所でこの割れを進展させて欠損・分離させる機能を有している。
【0096】
具体的には、図10(a)で示すように、下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52との搬送路の継ぎ目に段差部を設け、ワークを積極的に上下動させるような衝撃を付与する。なお、図4にも示すように下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52のエンドレスベルト514が四隅のコーナー部に接しており、四隅には確実に力が加わるようになっている。
【0097】
下段搬送コンベア51を搬送されるワーク4は、段差部の存在により、上段搬送コンベア52と衝突して前方コーナー部に負荷が作用し、図10(b)で示すようにワーク4の前方が上段搬送コンベア52に乗り上げる。そして、搬送が進むと、図10(c)で示すように後方のコーナー部で支える形となって後方コーナー部に負荷が作用し、図10(d)で示すように、前方から浮き上がって下へ落ちるときに前方コーナ部に負荷が作用する。これらのように加振されてコーナー部に衝撃や負荷が作用するようになっている。そして、下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52の2本のエンドレスベルト514でこのような加振が行われる。このようにして特に四隅に割れ・クラック・ひびがある場合には割れを進展させて欠損させるようにしたため、割れ・クラック・ひびも検出できるようになった。
【0098】
(6)欠損ワーク判別工程
図11で示すように、ワークのちょうど四隅を検出する位置に4個の前方右側ワーク検出センサ61、前方左側ワーク検出センサ62、後方右側ワーク検出センサ63、後方左側ワーク検出センサ64を設置しておく。制御駆動装置90は、4個のセンサがONするタイミングがあるか否かを検出する。この場合、ワークのコーナー部の何れかの箇所に欠損があれば何れかの箇所の検出タイミングがずれるため欠損ワークであると判定でき、ワークのコーナー部の何れの箇所にも欠損がないならば検出タイミングが一致するため良品のワークであると判定できる。このようにワークの良否が瞬時に判断できるという利点がある。
【0099】
このような検出方式を採用することにより、センサによりコーナー部の欠損の有無を確実に検出し、4個同時にONにてワーク正常と判断できる。ワークの四隅のうち、どのコーナー部に欠損があっても、少なくともこの4個のセンサ情報で判別することができるので、TVカメラ画像を処理するような高価な検出装置を使う必要がない。
【0100】
そして、原理的には2個のセンサでも検出が可能である。搬送路上に、左右一対の非接触センサ(ワークの有り無し検出機能のみ)を設け、ワークの通過時にワークの両側面エッジ部を検出できるようにする。
【0101】
前方片側エッジ欠損ならば、2個のセンサONタイミングの時間ずれを検出して判別することができる。
また、後方片側エッジ欠損も、2個のセンサOFFタイミングの時間ずれを検出して判別することができる。
また、前方両側エッジ欠損は、センサON時間の長さが通常よりも短くなるため判別ができる。通常の時間長さは予め設定しておく。
また、後方両側エッジ欠損も、センサON時間の長さが通常よりも短くなるため判別ができる。通常の時間長さは予め設定しておく。
【0102】
なお、次のワーク切り出し動作は、後方右側ワーク検出センサ63、後方左側ワーク検出センサ64をワーク4の後端が通過したときであり、欠損がなければこのタイミングで切り出しされる。そして、欠損が検出された場合は、欠損ワーク排出後、搬送コンベアが正規の位置に復帰した時点で次のワークを切り出す動作を開始する。
【0103】
(7)ワーク仕分け工程
欠損品が検出されたとき、図12(a)で示すように、欠損ワーク判別装置60の搬送コンベア65の直後にある欠損ワーク排出コンベア71の前側を傾斜下降するようにし、欠損ワーク回収箱72へ欠損ワークを落下させて回収するようにしている。その後、欠損ワーク排出コンベア71を元の位置に復帰させて搬送可能状態とする。このように、安価な装置構成でワークの割れ・欠けを判別してから排出するまでを自動的に処理することができる。良品のワーク4は図12(b)で示すようにそのまま欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73により搬送される。
【0104】
(8)ワーク収納工程
搬送されてきた良品のワークを収納ストッカ昇降装置82上の収納ストッカ81内へ順次収納する。
収納ストッカ81への収納法は様々(コンベア方式、アームにより押出しあるいは引き込み方式、ロボット搬送方式)あり、適宜選定すればよい。本形態では搬送コンベアの直後に配置されるワーク収納装置80が収納ストッカ81を昇降させて収納位置を調整し、良品のワークを搬送して収納する方式とした。本工程も自動化工程であり、ワークを収納した収納ストッカ81は次工程へ搬出される。
積層ワーク切り出し方法はこのようなものである。
本形態の積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法によれば第一,第二分離促進手段によりワーク間の貼り付き力を低減し、確実な切り出しを可能とする。さらにワーク加振搬送装置50、欠損ワーク判別装置60、ワーク仕分け装置70により欠損ワークの検出・排除を行うようにした。これら効果が相乗的に相俟って生産性の向上に寄与する。
【0105】
続いて変形形態について説明する。図13はワーク加振搬送装置の他の形態の説明図である。先に説明したワーク加振搬送装置50では、図10(a)で示すように下段搬送コンベア51が上流側に、また、上段搬送コンベア52が下流側に配置されたものであった。しかしながら、このような構成に限定する趣旨ではなく、下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52とが入れ替わって、図13(a)で示すように、上段搬送コンベア52が上流側に、また、下段搬送コンベア51が下流側に配置されたものとしても良い。このような場合でもワークに対して振動を加える。
【0106】
また、図13(b)で示すように、下段搬送コンベア51が上流側に、上段搬送コンベア52が中流側に、また、下段搬送コンベア51が下流側に配置されたものとしても良い。同様に図13(c)で示すように、上段搬送コンベア52が上流側に、下段搬送コンベア51が中流側に、また、上段搬送コンベア52が下流側に配置されたものとしても良い。これらのような場合では、段差部の数が増えるためワークに対してより確実に振動を加える。
または、図10(a)で示す2個のコンベアや図13(a)で示す2個のコンベアを一ユニットとし、複数ユニットからなるワーク加振搬送装置としても良い。これらのような構成を採用してもよい。
【0107】
また、下段搬送コンベア51の搬送速度に対して上段搬送コンベア52の搬送速度を僅かに速くして、ワーク4の隅部にエンドレスベルトの摩擦力を付与して割れ・クラック・ひびを伸展させるようにしても良い。これら効果が相俟ってより確実に割れ・クラック・ひびを発生させる。
【0108】
以上、本発明のワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法について説明した。
本発明は、特に安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のような本発明に係るワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法は、薄型のワークの切り出しに適している。
【符号の説明】
【0110】
1:積層ワーク切り出しシステム
2:積層ワーク収納カセット
3:積層ワーク
10:気泡水供給装置
11:気泡水生成装置
12:気泡水供給路
13:電磁弁
20:分離水槽
21:分離水槽本体
22:載置部
23:気泡水噴射装置
23a:気泡水噴射孔
23b:気泡水
24:浸漬水
24a:水面
30:切り出し装置
31:切り出し水槽
311:出口部
312:オーバーフロー受け
313:ストック水槽
32:積層ワーク昇降装置
321:積層ワーク昇降用モータ
322:積層ワーク昇降機構
323:積層ワーク昇降台
33:本体フレーム
34:切り出しコンベア昇降装置
341:エアシリンダ
342:昇降ロッド
35:荷重計
36:切り出しコンベア
361:駆動プーリ
362:従動プーリ
363:ガイドローラ
364:エンドレスベルト
364a:突部
365:切り出しコンベア駆動モータ
37:気泡水噴射装置
37a:気泡水
38:浸漬水
38a:水面
40:複数枚ワーク送り防止装置
41:上側搬送ローラ
42:下側搬送ローラ
43:滞留ワーク検出センサ
44:ワーク通過検出センサ
45:ローラ駆動モータ
46:隙間
50:ワーク加振搬送装置
51:下段搬送コンベア
511:駆動プーリ
512:従動プーリ
513:ガイドローラ
514:エンドレスベルト
52:上段搬送コンベア
60:欠損ワーク判別装置
61:前方右側ワーク検出センサ
62:前方左側ワーク検出センサ
63:後方右側ワーク検出センサ
64:後方左側ワーク検出センサ
70:ワーク仕分け装置
71:欠損ワーク排出コンベア
72:欠損ワーク回収箱
73:搬送コンベア
80:ワーク収納装置
81:収納ストッカ
82:収納ストッカ昇降装置
821:昇降用モータ
822:置き台昇降機構
823:収納ストッカ置き台
83:支持台
90:制御駆動装置
100:ワーク側方ガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、割れ・欠損が生じたワークの検出・排除に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用ウェーハや半導体用ウェーハなどの製造では、インゴットから薄板状のワークへ切断して多数のワークを生成し、そしてこれら多数のワークをそのまま積み重ねた積層ワークとして次工程まで搬送することが多い。そして次の工程では、これらの積層ワークからワークを一枚づつ分離して取り出す(以下、切り出すという)処理を行い、切り出したワークを搬送し、収納ストッカに収納することとなる。ワークの搬送に際しては、ワークに衝撃を与えないようにしていた。
【0003】
このようなワークの搬送に関する従来技術としては、例えば、特許文献1(特開2009−200440号公報、発明の名称「基板搬送補助装置および基板搬送補助方法」)に記載の発明が知られている。
【0004】
特許文献1には、特に段差の発生を極力回避して衝撃を与えないように搬送することで、搬送される基板との接触部分における摩耗による不具合(例えば位置決め精度の低下や基板の欠け等の不具合)を解消する基板搬送補助装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−200440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1でも解決課題となっていたが太陽電池用パネルなどの矩形ワークでは、特に四隅のコーナー部に割れや欠損(欠け)が発生することが多い。四隅のコーナー部に割れや欠損(欠け)が発生しないことがもちろん好ましいが、このような割れや欠損の発生を完全になくすことは現状容易ではない。そこで現実的対処法として、四隅のコーナー部に割れや欠損(欠け)が発生したワークを排除するようにしている。ワークを搬送途中で検査し欠損ワークを確実に排出することができれば後工程での処理プロセスにおけるトラブル(停止→回収など)を回避することができ、生産性を損ねることがない。
【0007】
仮にTVカメラで画像を取り込み、欠損判別処理(画像処理)する方法もあるが非常に高価であることがネックとなっていた。特に問題なのは、ワークに発生した割れ・クラック・ひび(欠損に至らないもの)が内在している場合は、ワーク自身は欠損品として排出する必要があるにもかかわらず、見た目は矩形を保持しており、外部からの非接触検査では検出が難しい場合が多い。ウェットな表面で“割れ”を確実に検出することは上記の画像処理によっても困難と言われている。
【0008】
このように現状では、検出装置が高価であるという問題があった。
さらに高価な検出装置を用いても割れ・クラック・ひび(欠損に至らないもの)を内在するワークの検出が容易ではなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、
下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、
を備え、
下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させることを特徴とするワーク加振搬送装置とした。
【0011】
矩形ワークでは、特に四隅のコーナー部にひびや割れが発生しやすいため、段差により加振することでワークの割れ入ったコーナー部を確実に欠損させるようにした。このようなワーク加振搬送装置は簡易かつ安価な構成とすることが可能である。また、欠損によりワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る発明は、
搬送されるワークの四隅の直上に位置し、ワーク通過時にワークの四隅のコーナー部の有無を同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである4個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号を、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号を出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置とした。
【0013】
このような欠損ワーク判別装置は4個のワーク検出センサという簡易かつ安価な構成であるにも拘わらず、搬送しながら瞬時に欠損ワークであるか否かを確実に判別するという高い機能を実現した。また、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る発明は、
搬送されるワークの左右の二隅の直上に位置し、ワーク通過時に夫々ワークを検出している時間の長さを同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである2個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置とした。
【0015】
このような欠損ワーク判別装置はさらに少ない2個のワーク検出センサという簡易かつ安価な構成であるにも拘わらず、搬送しながら瞬時に欠損ワークであるか否かを確実に判別するという高い機能を実現した。また、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る発明は、
複数ワークが積層された積層ワークから一枚づつワークを分離するという切り出し処理を行う積層ワーク切り出しシステムであって、
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、を備え、下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させるワーク加振搬送装置と、
搬送されるワークの四隅のコーナー部の欠損を検出するワーク検出センサを備え、コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別装置と、
を備え、
ワーク加振搬送装置が、搬送路の任意の位置に設けられた段差により、ワークに衝撃を付与してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させ、
欠損ワーク判別装置が、割れを検出することを特徴とする積層ワーク切り出しシステムとした。
【0017】
加振することでワークの割れ入ったコーナー部を欠損させ、その後に欠損ワークであるか否かを確実に判別するようにした。したがって、ひび・割れが入った欠損ワークを排除するため、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与する。
【0018】
本発明の請求項5に係る発明は、
欠損ワーク判別装置で判別された欠損ワークを回収するワーク仕分け装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の積層ワーク切り出しシステムとした。
【0019】
後工程へ欠損ワークを流さないようにして、生産性を向上させる。
【0020】
本発明の請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の積層ワーク切り出しシステムによる積層ワーク切り出し方法であって、
ワーク加振搬送装置によりワークに対して加振しつつ搬送してワークのひびの入ったコーナー部を欠損させるコーナー部欠損工程と、
欠損ワーク判別装置により搬送されるワークのコーナー部の欠損を検出して欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別工程と、
ワーク仕分け装置により欠損ワーク判別工程で判別された欠損ワークを回収し、良品のワークを下流へ流すワーク仕分け工程と、
を有することを特徴とする積層ワーク切り出し方法とした。
【0021】
加振することでワークの割れ入ったコーナー部を欠損させてから欠損ワークであるか否かを判別し、欠損ワークは回収して後工程へ欠損ワークを流さないようにしたため、生産性を向上させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を実施するための形態の積層ワーク切り出しシステムのブロック図である。
【図2】気泡水供給装置および分離水槽の説明図である。
【図3】切り出し装置、複数枚ワーク送り防止装置、ワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、ワーク仕分け装置、ワーク収納装置の側面図である。
【図4】切り出し装置、複数枚ワーク送り防止装置、ワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、ワーク仕分け装置、ワーク収納装置の平面図である。
【図5】切り出しコンベアおよび複数枚ワーク送り防止装置の詳細説明図である。
【図6】搬送コンベアの説明である。
【図7】切り出しコンベアの動作説明図である。
【図8】複数枚ワーク送り防止装置の動作説明図である。
【図9】複数枚ワーク送り防止装置の動作説明図である。
【図10】ワーク加振搬送装置の説明図である。
【図11】欠損ワーク判別装置の説明図である。
【図12】ワーク仕分け装置の説明図である。
【図13】ワーク加振搬送装置の他の形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
続いて、本発明を実施するための形態について図を参照しつつ以下に説明する。まず、積層ワーク切り出しシステム1の全体構造について図1,図2,図3,図4を参照しつつ説明する。積層ワーク切り出しシステム1は、図1で示すように、気泡水供給装置10、分離水槽20、切り出し装置30、複数枚ワーク送り防止装置40、ワーク加振搬送装置50、欠損ワーク判別装置60、ワーク仕分け装置70、ワーク収納装置80、制御駆動装置90を備える。そして、搬送路の側方には、図4で示すようにワーク側方ガイド100が設けられる。この積層ワーク切り出しシステム1は、多数のワークが積層された積層ワーク3から一枚のワーク4を切り出して搬送する、というものである。なお、本明細書では図4で示すように搬送方向の下流側(ワーク収納装置80側)を前方とし、搬送方向の上流側(切り出し装置30側)を後方として以下に説明する。
【0025】
気泡水供給装置10は、図2に示すように、気泡水生成装置11、気泡水供給路12、電磁弁13を備えている。
気泡水生成装置11は、水に微細な気泡を混入させた気泡水を生成して供給する。気泡水生成装置11は、図2で示すように気泡水供給路12を介して分離水槽20に気泡水を供給する。また、気泡水生成装置11は、図2,図4で示すように気泡水供給路12と電磁弁13を介して切り出し装置30に気泡水を供給する。この電磁弁13は、制御駆動装置90に接続されており、制御駆動装置90が電磁弁13を所定タイミング(後述)で開閉して気泡水供給を行う。
【0026】
分離水槽20は、図2に示すように、分離水槽本体21、載置部22、気泡水噴射装置23を備える。
分離水槽本体21内は浸漬水24で満たされている。この浸漬水24は、例えば、ワークに影響を与えるような不純物を含まない水(例えば純水)であるが、これ以外にもワークに影響を与えない液体を採用することができる。
【0027】
積層ワーク収納カセット2は分離水槽20に配置するように作成されたものであり、積層ワーク収納カセット2には積層ワーク3が収納された状態であり、浸漬水24内の載置部22にこの積層ワーク収納カセット2が載せられている。積層ワーク収納カセット2では積層ワーク3のワーク面が横向きになってワークが立てられた状態の縦置きとして収納される。そしてそれぞれ積層ワーク3が搭載された状態の複数(図では4個)の積層ワーク収納カセット2が浸漬水24内に浸漬された状態でストックされている。この際、積層ワーク3は全てが浸漬水24中に沈んでおり、積層ワーク3の最高部は水面24aよりも下側にある。
【0028】
載置部22の下側には、図2のカセット下面図でも示すように、気泡水噴射装置23が配置されている。気泡水噴射装置23は、気泡水供給路12に接続されており、気泡水噴射孔23aから気泡水23bを、積層ワーク3の積層面に向けて噴射する。後述するが気泡水23bが隣り合うワークの間に入りこみ、この浸入水と気泡が両ワーク面の間に滞留する。この浸入水と気泡が隣り合うワークを滑りやすくする。気泡水噴射装置23は、これら積層ワーク3に対してワークの分離を促進する第一分離促進手段に相当する。
【0029】
切り出し装置30は、図3,図4で示すように、切り出し水槽31、積層ワーク昇降装置32、本体フレーム33、切り出しコンベア昇降装置34、荷重計35、切り出しコンベア36、気泡水噴射装置37を備える。
【0030】
切り出し水槽31は、出口部311(図5参照)、オーバーフロー受け312、ストック水槽313(図4参照)を備える。切り出し水槽31内に配置され、切り出しコンベアの下側に配置された積層ワーク3が切り出し対象となる。切り出し水槽31の側面に出口部311が形成されており、この出口部311を通じてワーク4が搬送される。また、切り出し水槽31内に浸漬水38を入れると出口部311の下辺から水がでるため、出口部311の下辺が水面38aの高さと一致する(図5参照)。この出口部311を上回る水はオーバーフローとして出口部311から流れるが、オーバーフロー受け312により回収される。ストック水槽313では切り出し前の積層ワーク3がストックされる。
【0031】
積層ワーク昇降装置32は、図3で示すように、さらに積層ワーク昇降用モータ321、積層ワーク昇降機構322、積層ワーク昇降台323を備える。積層ワーク昇降台323上には積層ワーク3が水平置きで載置される。この積層ワーク昇降台323を昇降する積層ワーク昇降機構322が設けられており、この積層ワーク昇降機構322を積層ワーク昇降用モータ321が駆動し、積層ワーク昇降台323とともに積層ワーク3を昇降する。
【0032】
本体フレーム33はL板状の構造体であり、切り出し水槽31の上側にオーバハングして設けられる。
【0033】
切り出しコンベア昇降装置34は、さらにエアシリンダ341、昇降ロッド342を備える。エアシリンダ341は本体フレーム33に固定されている。エアシリンダ341ではピストンロッドが昇降し、このピストンロッドに連結される昇降ロッド342も昇降する。
【0034】
荷重計35は昇降ロッド342に一端が取り付けられる。そして他端に後述する切り出しコンベア36が取り付けられる。荷重計35は切り出しコンベア36が積層ワーク3の最上のワーク面を押すときに、押圧力に相当する荷重データを出力する。荷重データは制御駆動装置90へ送られて荷重調整制御に用いられる。
【0035】
切り出しコンベア36は、図5で示すように、駆動プーリ361、従動プーリ362、ガイドローラ363、エンドレスベルト364、切り出しコンベア駆動モータ365を備える。駆動プーリ361は図示しない駆動機構を介して切り出しコンベア駆動モータ365により回転駆動される。駆動プーリ361と従動プーリ362とにはエンドレスベルト364が掛け渡されており、駆動プーリ361の回転駆動とともにエンドレスベルト364が移動して従動プーリ362も回転する。ガイドローラ363は特にワーク面に接触するエンドレスベルト364の下側が略水平に移動するようにしている。これら駆動プーリ361、従動プーリ362、ガイドローラ363は回転体である。なお、上記のような構成に限定する趣旨ではなく、少なくともガイドローラ363を配置してエンドレスベルト364の下側が略水平に移動するようにすれば、本形態の搬送コンベアを構成する。
【0036】
エンドレスベルト364は弾性体により形成されており、エンドレスベルト364の表面には、略等間隔で帯状の複数の突部364aが全周にわたり設けられる。また、突部364aは、幅方向には全体的に設けられる。このような突部364aはエンドレスベルト364の全面に設けられる。仮に突部364aがないとエンドレスベルト364の広い面での接触となって均一な接触状態を確保することが難しく、加えて切り出しコンベア36が傾いたときには接触が強い箇所や弱い箇所等が発生して面接触状態を均一に保持できずにすべりを生じるおそれがあるが、このような突部364aを設けることで突部364aが変形してワーク面に密着するので接触状態を得やすくなり、エンドレスベルト364によるワークへの押圧力が均一になるようにしている。この突部364aの形状は各種可能であり、例えば、帯状・波形状・山形状等が有効である。そしてこのようなエンドレスベルト364は図4では2本備える。
【0037】
切り出しコンベア36による切り出しではこのエンドレスベルト364の突部364aをワーク面に所定の押圧力で押し当てて、ワーク面との間に摩擦力を発生させて一枚のワーク4(図4参照)を水平方向へ搬送する。
なお、エンドレスベルト364については2本に限定するものではなく、1本から数本の構成とすることが可能であるが、実際は1本の幅広のエンドレスベルト364では均一な当て方が難しく、2本以上が好ましい。本形態では最低数の2本のエンドレスベルト364を備える構成としている。
【0038】
気泡水噴射装置37は、気泡水供給路12に接続されており、気泡水噴射孔から気泡水37aを、積層ワーク3の積層面に向けて噴射する。後述するが気泡水37aが隣り合う上下のワークの間に入りこみ、気泡が両ワーク面の間に滞留する。このワーク間への浸入水と気泡が隣り合うワークを滑りやすくする。気泡水噴射装置37は、これら積層ワーク3に対してワークの分離を促進する第二分離促進手段に相当する。
【0039】
このような切り出し装置30では、積層ワーク3における各ワークの厚み変動やワーク間介在物(水膜や微小な異物など)などの影響で切り出しコンベア36によるベルト押圧力が変動する懸念がある。ベルト押圧力が適正に設定されず、ベルト押圧力が大きくなるとワークへの負荷が増大してワーク欠損の原因になり、また、ベルト押圧力が小さくなると、コンベアとワーク間の摩擦力が低下して、切り出し動作ができなくなるなどの問題が生じる。ワーク厚さ(例えば0.1mm〜1mm)は一定と言われているが、稀に厚みの異なるワークもあること、また、積層ワーク3のワーク枚数が多い場合には厚み誤差や積層ワーク昇降台323の位置決め誤差などが累積する可能性もあり、実際に、積層ワーク3のワーク枚数が数百枚になると上記のような現象が出るおそれが増大する。
【0040】
そこで、切り出しコンベア36のベルト押圧力を荷重計35で検出して荷重データとして制御駆動装置90へ出力し、制御駆動装置90が図示しないエア回路を制御してエアシリンダ341に流入するエアの量を制御して押圧力を常に一定の状態に設定するようにしている。これにより、上記したような変動によらずに一定荷重にて切り出しを行えるようにしている。切り出し装置30はこのようなものである。
【0041】
複数枚ワーク送り防止装置40は、上側搬送ローラ41、下側搬送ローラ42、滞留ワーク検出センサ43、ワーク通過検出センサ44、ローラ駆動モータ45(図4参照)を備える。
上側搬送ローラ41は、比較的硬質な弾性体による円柱体である。
下側搬送ローラ42は、比較的硬質な弾性体による円柱体である。
上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との間には隙間46(図5参照)が形成される。上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42は上記のように比較的硬質な弾性体であるため、隙間46はほぼ一定の幅に保たれる。この隙間46は一枚のワーク4の厚みと同程度であり、2枚以上のワーク4は同時に通過できないようになされている。また、上側搬送ローラ41は隙間46がある箇所では外周面が搬送方向へ移動するような回転としている。下側搬送ローラ42は隙間46がある箇所では外周面が搬送方向とは反対方向へ移動するような回転としている。
【0042】
滞留ワーク検出センサ43は、例えば非接触センサであり、隙間46を通過できないで滞留しているワーク4があるか否かを検出する。この滞留ワーク検出センサ43は、図3,図4で示すように搬送路の上側であって切り出し装置30と上側搬送ローラ41との間に配置される。なお、搬送路の下に配置されて上側の滞留ワークを検出するようにしてもよい。
【0043】
ワーク通過検出センサ44は、例えば非接触センサであり、通過するワークがあるか否かを検出する。このワーク通過検出センサ44は、上側搬送ローラ41・下側搬送ローラ42から完全に排出されたワークの前側先頭を検出するような位置に配置される。図3,図4で示すように搬送路の上側に配置されて下側のワークを検出するように設けられている。このような複数枚ワーク送り防止装置40の詳細については切り出し方法の説明にて詳述する。
【0044】
ワーク加振搬送装置50は、複数の搬送コンベアの間で搬送経路途中で段差を付けたというものであり、本形態では二個の搬送コンベアを採用し、下段搬送コンベア51と、上段搬送コンベア52とを備える。これら下段搬送コンベア51と、上段搬送コンベア52とは、何れも同じ型の搬送コンベアである。下段搬送コンベア51について説明すると、図6で示すように、駆動プーリ511、従動プーリ512、ガイドローラ513、エンドレスベルト514、搬送コンベア駆動モータ(図示せず)を備える。
【0045】
駆動プーリ511は図示しない駆動機構を介して搬送コンベア駆動モータにより回転駆動される。駆動プーリ511と従動プーリ512とにはエンドレスベルト514が掛け渡されており、駆動プーリ511の回転駆動とともにエンドレスベルト514が移動して従動プーリ512も回転する。ガイドローラ513は特にワーク面の下側に接触するエンドレスベルト514の上側が略水平に移動するようにしている。このエンドレスベルト514は切り出しコンベアによる切り出し時のような強い摩擦力は不要であり、突起はなく平面状に形成される。また、上段搬送コンベア52も同じ構造であり同じ構成を有するものとして重複する説明を省略する。
【0046】
下段搬送コンベア51は複数枚ワーク送り防止装置40の隙間46を通って搬送されるワーク4がほぼ同じ高さで搬送されるようになされている。そして上段搬送コンベア52はこの搬送高さよりも上側で搬送されるようになされている。このように下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52とで段差を付けて搬送される理由については後述する。
【0047】
また、ワーク加振搬送装置50の矩形状のワーク4の搬送路では、ワーク4より若干幅が大きくなるようにしたワーク側方ガイド100を左右に設けてワークが回動しないようにして、姿勢を保持する。ワーク側方ガイド100のすぐ横にエンドレスベルト514が位置しており、エンドレスベルト514の上にワーク4の四隅が載った状態で搬送される。このワーク側方ガイド100は欠損ワーク判別装置60、ワーク仕分け装置70の側方にも形成されており、ワーク4をワーク収納装置80の収納ストッカ81へ収納するときにもワーク側方ガイド100が形成されており、ワーク4の位置決めを確実に行うことができる。
【0048】
欠損ワーク判別装置60は、前方右側ワーク検出センサ61、前方左側ワーク検出センサ62、後方右側ワーク検出センサ63、後方左側ワーク検出センサ64、搬送コンベア65を備える。
【0049】
前方右側ワーク検出センサ61は、下側にあるワーク4の前方右側角の有無をピンポイントで検出する。
前方左側ワーク検出センサ62は、下側にあるワーク4の前方左側角の有無をピンポイントで検出する。
後方右側ワーク検出センサ63は、下側にあるワーク4の後方右側角の有無をピンポイントで検出する。
後方左側ワーク検出センサ64は、下側にあるワーク4の後方左側角の有無をピンポイントで検出する。
搬送コンベア65は、図6を用いて説明した送り防止装置側搬送コンベア51と同じ構造であり、各構成については同じ符号を付すとともに重複する説明を省略する。
【0050】
これらセンサ61,62,63,64は、図11で示すように、搬送コンベア65のある検出ポイントにワーク4が位置するとき、それぞれがそのワークの四隅の上方に位置している。実際は搬送コンベア65でワークを搬送した状態で検出が行われていく。なお、ワーク側方ガイド100と、搬送コンベア65のエンドレスベルト514と、の間には隙間101が設けられており、エンドレスベルト514の上のワーク4の四隅の下は隙間101が空けられてコーナー部の有無によりこれらセンサ61,62,63,64が検知することができるようになっている。これらセンサ61,62,63,64は制御駆動装置90に接続されている。検出および検出結果に基づく制御駆動装置90が行う処理については後述する。
【0051】
ワーク仕分け装置70は、図3,図4で示すように、欠損ワーク排出コンベア71、欠損ワーク回収箱72、搬送コンベア73を備える。欠損ワーク搬出コンベア71は、図6を用いて説明した下段搬送コンベア51と同じ構造ではあるが、欠損ワーク搬出コンベア71はさらに傾斜駆動機構が設けられている。図3,図6を参照すると、従動プーリ512側(上流側)を回転軸として、図示しない傾斜駆動機構が制御駆動装置90からの指令を受けて駆動プーリ511側(下流側)が下方向に傾斜するようになされている。欠損ワークが搬送されてきたとき、欠損ワーク排出コンベア71を傾斜させて(図12(a)参照)、欠損ワーク回収箱72へ欠損ワークを落下させて排出する。排出後に欠損ワーク排出コンベア71を元の位置に戻す(図12(b)参照)。
欠損がない良品のワークである場合は、傾斜せずに欠損ワーク排出コンベア71からそのまま搬送コンベア73へ搬送される。なお、この搬送コンベア73も図6を用いて説明した下段搬送コンベア51と同じ構造ではある。
【0052】
ワーク収納装置80は、図3,図4で示すように、収納ストッカ81、収納ストッカ昇降装置82、支持台83を備える。
収納ストッカ81は、ワークを一枚ずつ離した状態で収納するようになされたストッカである。
収納ストッカ昇降装置82は、収納ストッカ81を昇降させる装置であり、さらに昇降用モータ821、置き台昇降機構822、収納ストッカ置き台823を備える。
支持台83は、収納ストッカ昇降装置82を支持する。
【0053】
収納ストッカ置き台823上には収納ストッカ81が水平置きで載置される。この収納ストッカ置き台823は置き台昇降機構822による昇降されるようになされており、この置き台昇降機構822を昇降用モータ821が駆動し、収納ストッカ置き台823を昇降する。搬送コンベア73から搬送されたワーク4が所定高さにある収納ストッカ81へ直接搬入される。
制御駆動装置90は、特に複数枚ワーク送り防止装置40のローラ駆動モータ45、積層ワーク昇降装置32の積層ワーク昇降用モータ321を駆動するようになされており、これらは本発明の制御駆動手段に相当する。制御駆動装置90は、滞留ワーク検出センサ43、ワーク通過検出センサ44も接続されており、これら検出信号に基づいて各種の制御を行う。
積層ワーク切り出しシステム1の全構成はこのようなものである。
【0054】
続いて、本発明の積層ワーク切り出し方法について説明する。インゴットをスライスして生成した複数枚のワークがそのまま積み重ねられて積層ワークとなっている。そして、積層ワーク切り出しシステム1は、このように複数ワークが積層された積層ワークから一枚づつワークを分離して取り出すという切り出し処理を行うというものであり、特に、ワークの搬送路としてワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、ワーク仕分け装置を採用する点に特徴がある。このような積層ワーク切り出しシステム1を用いる切り出しは、以下の積層ワーク切り出し方法により行われる。
【0055】
この積層ワーク切り出し方法では、前記した積層ワーク切り出し装置を用いて、(1)一次分離工程、(2)ストック工程、(3)ワーク切り出し工程、(4)複数枚ワーク分離工程、(5)コーナー部欠損工程、(6)欠損ワーク判別工程、(7)ワーク仕分け工程、(8)ワーク収納工程により行われる。以下各工程について説明する。
【0056】
(1)一次分離工程
インゴットからスライスした直後という初期の積層ワーク3ではワーク間で貼り付きが強固な積層状態となっており、直ちに切り出しすることは困難である。そこで予めワーク間で貼り付きを弱くする分離促進を行う。まず、ワーク間での貼り付き力について考察する。
【0057】
面粗度の良い2つのワーク面が重なり合った場合の貼り付きについてはレオロジーの問題として考えられる。断面でみて幅Dの2枚のワークの間に厚さHの水の層があるとする。ワーク面に対して鉛直方向となるように、一方のワークから他方のワークを離すように移動させると、水は体積一定の条件で内側(中央側)へ流れ込み、細くなっていく。水平方向(内側へ向かう)水の速度をVとすれば、(ある断面をみれば)次式のように表される。
【0058】
[数1]
V≒H’(D/H)
【0059】
これにより(ワーク面の界面では水の水平方向の速度はゼロと考えると)、内向きの流れの速度勾配は次式のようになる。
【0060】
[数2]
γ’≒V/H
【0061】
また、ηを水の粘度とすると、ワーク面に対して次式で表されるようなずり応力を与える。
【0062】
[数3]
σ=ηγ’
【0063】
一方このようなずり流れは、ワーク面に挟まれた水の内側と外側との圧力差によると考えることができる。大気圧P0、水の中心部の圧Pとすれば、ある断面で見ると、次式が成立する。
【0064】
[数4]
H(P−P0)=−Dσ
【0065】
これらを纏めると以下のようになる。
【0066】
[数5]
P−P0=−{(D/H)2}η(H’/H)
【0067】
このワーク面を引き剥がす力をFとすれば、Fは(P0−P)D2と見積もれるので、(ここではD2のワーク面)Fは次式のようになる。
【0068】
[数6]
F={(D/H)3}ηH’D
【0069】
このように力Fは離して行く速度H’と、粘度ηと、(D/H)3とDに依存する式となっている。
因みにワーク板を平行に速度Vで滑らせるときの粘性抵抗力Gはσ×D2であって、先の数式に代入すると次式のようになる。
【0070】
[数7]
G=(D/H)ηVD
【0071】
このように力Gは先に説明した力Fよりかなり小さい。そこで、ワーク面と可能な限り平行方向に切り出すようにして、切り出し易いようにしている。しかしながら、依然Gの存在により切り出しに力を要するものとなっている。そこで、切り出し動作が容易となるように、予め隣り合うワーク間での貼り付き状態を緩和(ワーク間の液層厚さHを大きくする、接触面積〜Dを小さくする、浸漬水の粘度ηを小さくするなど)する一次分離を行う。
【0072】
具体的には、図2で示すように、積層ワーク収納カセット2に収納された積層ワーク3のワーク面が横向きになるようにして(縦置きして)分離水槽本体21内の浸漬液24中に浸漬する。そして、分離水槽本体21の下部に配置された気泡水噴射装置23から気泡水23bを噴射して積層ワーク3の積層面へ下側から連続して当てる。この気泡水23bに含まれる気泡は例えばマイクロバブルやナノバブルの混合状態と推定される。このように気泡水23bに当てる分離促進処理を数分から数十分行いワーク間に小さな気泡を含んだ液体を浸入させる。ワーク間に液体および微細な気泡が入り込むとワーク間の貼り付き力を小さくする。気泡は圧縮性があるので、ワーク間に再び負荷がかかった場合は水は流れ出ても気泡はワーク間に滞留しやすいため、貼り付き力の低下が維持されると推定される。また、実験的に貼り付き力の低下を確認している。このような分離促進処理を数分から数十分行った後に気泡水の噴射を停止して一次分離工程を終了する。
このような一次分離工程を施すことで浸入した気泡はワーク間に取り込まれており、後にワークを起こして切り出しを行うときにワーク間に加圧力が多少加えられても気泡は外側へ逃げずに滞留し、円滑にワークを移動させる効果があると推察される。
【0073】
(2)ストック工程
一次分離工程終了後、積層ワーク3が収納される積層ワーク収納カセット2を分離水槽20から取り出し、積層ワーク収納カセット2から取り外された積層ワーク3を切り出し水槽31のうちのストック水槽313内へ搬送して図4で示すようにストックする。これらの一次分離の終わった積層ワーク3は複数本がストック水槽313内にストックされる。この際、積層ワーク3のワーク面が上下側に面するような横置きでストックされる。
このようなストックは本形態では周知のロボットハンド(図示せず)により切り出し位置へセットされるが、人手によりストックすることも可能である。このストック水槽313内に積層ワーク3をストックするようにしたため、切り出しコンベア36へ連続して積層ワーク3を供給できるようになる。
【0074】
(3)ワーク切り出し工程
切り出し装置30におけるワークの切り出し工程は、さらに、(a)ワークの搬入、(b)ワーク初期位置動作、(c)切り出し位置動作、(d)コンベア下降・押圧力設定、(e)各機器の運転開始、(f)切り出し、(g)ワーク通過検出、(h)滞留ワーク排出処理、(i)ワーク初期位置動作、(j)次ワーク切り出し位置調節、(k)コンベア押圧力検出、(l)次ワーク切り出しにより行われる。以下、詳細を説明する。
【0075】
(a)ワークの搬入
ワーク切り出し装置30には、昇降機能を有する積層ワーク昇降台323が切り出し水槽31内に配置されており、周知の自動ローダ装置(図示せず)は、ストック水槽313内にある切り出し対象の積層ワーク3を取出し、この積層ワーク3を積層ワーク昇降台323上にセットする。この搬入の際、必要により、切り出しコンベア36を上昇させるとともに積層ワーク昇降台323を下降させておき、積層ワーク3の搬入のための十分に広い空間を確保しておく。切り出し水槽31内にあって予め下方へ退避していた積層ワーク昇降台323上に積層ワーク3が自動ローディングされる。
【0076】
(b)ワーク初期位置動作
積層ワーク3を浸漬液34中で横置き状態にすると、切り出し時の押圧力やワークの自重が作用するため、下層のワークほどワーク間の液体や気泡が外部に抜けやすくなる。しかしながら、積層ワーク3の上側は浮力などにより浸入しやすい状態となっており、再度気泡水を噴射することで貼り付き力を低下させ、切り出しをし易いようにしている。これは、特に一次分離工程でのワーク間分離を補足する意味があり、ワーク間への気泡水の浸入を補って水平置き時の自重などによる液体および気泡の散逸による一次剥離効果の低下を防ぐ役割を果たす。
【0077】
まず、制御駆動装置90が積層ワーク昇降装置32を制御して制御積層ワーク昇降台323の位置を調節し、図7(a)で示すように、積層ワーク3の最上部が水面34aよりも下側にあるように位置させる(図7(a)の拡大図参照)。この時も、積層ワーク3はワーク面が水平となるようにセットされる。この積層ワーク3の最上部付近であって切り出し水槽31内では、ワークの搬送方向前側の最上部付近に気泡水を噴射する気泡水噴射装置37が配置されている。この気泡水噴射装置37は、図4にも示すように、ワークの幅方向全体に噴射するようになされている。このような気泡水噴射装置37から気泡水を最上部ワークと2枚目ワークの間を中心に噴射する。このようなワーク初期位置(水没位置)でのみ気泡水を噴射する。
【0078】
(c)切り出し位置動作
続いて、気泡水の噴射を止めて、図7(b)で示すように、積層ワーク3を切り出し位置まで上昇させるように制御駆動装置90が積層ワーク昇降装置32を制御する。図7(b)の拡大図で示すように、切り出し水槽31内は浸漬水38で満たされているが、積層ワーク3の最上部の二枚のワークおよび三枚目のワークの半分が水面38a上に出ているような状態としている。これは仮にワークを2枚切り出しても2枚のワークは切り出し水槽31の出口部311の枠に衝突しないようにするためである。また、万が一3枚切り出しても3枚目は出口部311により停止させるためである。このような出口部311により3枚目以降の同時送りの発生するおそれを低減している。
【0079】
なお、積層ワーク昇降台323の位置は予め決定されている。例えば、20枚の積層ワークなら一枚目を切り出すときの位置、2枚目を切り出すときの位置、・・・、20枚目を切り出すときの位置は、制御駆動装置90の図示しない記憶部に登録されており、それぞれの位置が決定されている。なお、通常はワーク厚さはほぼ一定なので、切り出し位置も一定としている。ここでは、まず、最初の一枚目を切り出すときの位置に設定される。
【0080】
(d)コンベア下降・押圧力設定
その後、制御駆動装置90は、エアシリンダ341に接続されるエア回路(図示せず)を制御して上部へ退避していた切り出しコンベア36を所定量下降させて切り出しコンベア36を積層ワーク3の上面に接触させ、さらに荷重計35からの荷重データに基づいて所定の押圧力になるように微調整して昇降位置を決定する。エアシリンダ341に微量のエアを流入させて押し付けて行き押圧力を調整する。この時、エンドレスベルト364上の弾性体の突部364aがあるため、この突部364aの押付け変形量を微調整していることになり目標値への設定を比較的容易に行うことができる。
【0081】
所定押圧力になったときに、制御駆動装置90はエア回路(図示せず)を制御してエアの供給を停止させてエアシリンダ341を停止させる。
【0082】
(e)各機器の運転開始
制御駆動装置90は、切り出しコンベア36、上側搬送ローラ41、下側搬送ローラ42、下段搬送コンベア51、上段搬送コンベア52、搬送コンベア65、欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73を駆動状態となるように制御する。特に下段搬送コンベア51、上段搬送コンベア52、搬送コンベア65、欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73はいずれもワーク4を搬送方向へ送るようにエンドレスベルト514を等速度で回転させる。
複数枚ワーク送り防止装置40は、上側搬送ローラ41、下側搬送ローラ42を回転させる。上側搬送ローラ41は常に搬送方向へ回転する。下側搬送ローラ42は搬送方向とは逆方向へ回転する。
これ以降は複数枚ワーク送り防止装置40、切り出し装置36、下段搬送コンベア51、上段搬送コンベア52、搬送コンベア65、欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73は原則として継続運転状態とする。
【0083】
(f)切り出し
ワークの切り出し動作を開始する。
制御駆動装置90は、図5で示すように、切り出しコンベア36の切り出し装置駆動モータ365を制御駆動し、切り出しコンベア36では駆動プーリ361が回動してベルト364が搬送方向へ移動開始する。ベルト364の突起364aがワークに当接しており、図7(c)で示すようにワーク4を搬送方向へ移動させる。先の分離促進処理により貼り付き力が弱くなっているため、低い押圧力でも切り出すことができるようになっている。押圧力が低いため、薄いワークでも負荷を掛けることなく切り出しができる。この際、通常ならばワークを一枚切り出せば問題ないが、ワークを二枚以上切り出す場合がある。そこで複数枚ワーク送り防止装置40により二枚以上のワークが同時に送られるような事態を防止する。この点も考慮しつつ説明する。
【0084】
一枚切り出し時の複数枚ワーク送り防止装置40の処理
図8(a)で示すように、上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との間の隙間46はほぼワーク一枚分の厚みと同じなので、一枚のワーク4が通過するときは下側搬送ローラ42が逆回転しているが、下側搬送ローラ42によりワーク4へ作用する摩擦力は、切り出しコンベア43による搬送力と比較して小さいため搬送への影響はほとんどなく、上側搬送ローラ41に当接して搬送される。
【0085】
二枚切り出し時の複数枚ワーク送り防止装置40の処理(複数枚ワーク分離工程)
ワーク2枚が重なって上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との間に入った場合は、図8(b)で示すように、上側の本来の搬送対象のワーク4は上側搬送ローラ41から搬送方向へ排出力が作用するので、そのまま搬送されることになる。一方で下側の搬送対象ではないワークは下側搬送ローラ42と接し、下側搬送ローラ42から搬送方向とは逆方向の押し戻し力が作用するので、下側搬送ローラ42の上流側で止まり、図8(c)で示すように滞留することになる。
【0086】
(g)ワーク通過検出
一枚目のワーク4は上側搬送ローラ41と下側搬送ローラ42との通過直後に、図9で示すように、下段搬送コンベア51上にあるワーク通過検出センサ44が、ワーク4の前端がワーク通過検出センサ44に到達したことを検出して検出信号を出力すると、制御駆動装置90がワーク4が検出されたと判断する。
【0087】
そして滞留ワーク検出センサ43からの検出信号により制御駆動装置90が滞留ワークがないことを検出したならば切り出し動作は正常に行われたと判断する。この場合は、後述する(i)ワーク初期位置動作を行って次の切り出しタイミングが来るまで待機し、切り出しタイミングが来たときに次の(j)次ワーク切り出しを行うこととなる。
しかしながら滞留ワーク検出センサ43からの検出信号により制御駆動装置90が滞留ワークがあることを検出したならば、制御駆動装置90が複数枚切り出しがあったと判断し、滞留ワークを排出する復旧動作を行う。
【0088】
(h)滞留ワーク排出処理
次のワーク切り出しタイミングにて、滞留ワークを排出する動作を行う。滞留ワークがあるときは、積層ワーク昇降台323を次ワークの切り出し位置へ上昇させる。この際、切り出しコンベア35を前回停止した位置に保持しておく。これは切り出しコンベア35とワークの接触面積が変化しているため荷重制御できないためである。この時、制御駆動装置90は、ローラ駆動モータ45を制御駆動し、図8(d)で示すように、下側搬送ローラ42を搬送方向と逆方向へ回転させつつ上側搬送ローラ41を搬送方向へ回転させた状態を維持する。積層ワーク昇降台323がワーク一枚分上昇すると、切り出しコンベア35にワークが接触してワーク隙間46を通じて排出される。
そしてワークが排出されてから滞留ワーク検出センサ43からの検出信号により、制御駆動装置90が、滞留ワークがないことを検出したならば滞留ワークの排出が正常に行われたと判断する。この後に、(i)ワーク初期位置動作を行って次の切り出しタイミングが来るまで待機し、切り出しタイミングが来たときに次の(j)次ワーク切り出しを行うこととなる。
【0089】
なお、この切り出しタイミングとは、先に切出したワークに欠損などがあってワーク仕分け装置70で回収されても、次に搬送されるワークが誤って回収されることなく正常に搬送されることを保証するタイムラグを指す。具体的には後方右側ワーク検出センサ63や後方左側ワーク検出センサ64を先のワークの後端が通過した時が次のワークの切り出しタイミングと想定される。
以上のように、切り出し時に“2枚送り”が発生しても装置を停止することなく連続搬送動作を行うことができるので、生産性を維持することができ、省力化を容易に実現することができる。
【0090】
(i)ワーク初期位置動作
図7(c)で示すようにワークが切り出され、その終了後に、制御駆動装置90は、図7(a)で示すように、積層ワーク昇降装置32を制御して積層ワーク昇降台323を下降させて積層ワーク3の最上面を水面下に位置するようにし、気泡水を最上部ワークと2枚目ワークの間を中心に噴射し、気泡水を最上部のワークと2枚目ワークの間に浸入させる。ワーク初期位置(水没位置)でのみ気泡水を噴射する。
【0091】
(j)次ワーク切り出し位置調節
次のワーク切り出しタイミングが来たものとする。
制御駆動装置90は、図7(b)で示すように、ワークを切り出す位置へ積層ワーク昇降台323を上昇させる。積層ワークの最上ワークを切り出す位置に設定する。
【0092】
(k)コンベア押圧力検出
この際、制御駆動装置90は、次ワーク切り出し位置調節途中において、荷重計35からの荷重データを検出しており、荷重が所定値よりも大きくなれば切り出しコンベア36の搬送や積層ワーク昇降台323の上昇を停止するが、許容範囲であればそのまま切り出しコンベア36の搬送を続ける。
【0093】
(l)次ワーク切り出し
この際も、上側搬送ローラ41は常に搬送方向へ回転する。下側搬送ローラ42は逆方向へ回転している。
制御駆動装置90は、切り出し装置36の切り出しコンベア駆動モータ365を駆動制御して駆動プーリ361を回動させてエンドレスベルト364を搬送方向へ移動開始させた状態としており、エンドレスベルト364の突部364aがワークに当接して、図7(c)で示すように、ワーク4を搬送方向へ移動させる。以下、(i)に戻り同様の動作を繰り返して順次連続して切り出していく。
【0094】
なお、複数枚ワーク送り防止装置40は仮に3枚以上が搬送された時でも最上部の一枚のワーク以外は滞留させる機能を有している。本形態では出口部311の高さが3枚目は通過させないようにしているため、そのような事態は可能な限り生じないようにしている。しかしながら、3枚以上の複数枚送りがなされるおそれもあり、そのような事態が生じた場合にも対処するようにしてある。
ワークの切り出し工程はこのようになる。
【0095】
(5)コーナー部欠損工程
複数枚ワーク送り防止装置40を通過したワーク4はワーク加振搬送装置50へ送られる。このワーク加振搬送装置50ではワーク4のコーナー部を中心に負荷および振動を加えて、すでに割れが入っている箇所でこの割れを進展させて欠損・分離させる機能を有している。
【0096】
具体的には、図10(a)で示すように、下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52との搬送路の継ぎ目に段差部を設け、ワークを積極的に上下動させるような衝撃を付与する。なお、図4にも示すように下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52のエンドレスベルト514が四隅のコーナー部に接しており、四隅には確実に力が加わるようになっている。
【0097】
下段搬送コンベア51を搬送されるワーク4は、段差部の存在により、上段搬送コンベア52と衝突して前方コーナー部に負荷が作用し、図10(b)で示すようにワーク4の前方が上段搬送コンベア52に乗り上げる。そして、搬送が進むと、図10(c)で示すように後方のコーナー部で支える形となって後方コーナー部に負荷が作用し、図10(d)で示すように、前方から浮き上がって下へ落ちるときに前方コーナ部に負荷が作用する。これらのように加振されてコーナー部に衝撃や負荷が作用するようになっている。そして、下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52の2本のエンドレスベルト514でこのような加振が行われる。このようにして特に四隅に割れ・クラック・ひびがある場合には割れを進展させて欠損させるようにしたため、割れ・クラック・ひびも検出できるようになった。
【0098】
(6)欠損ワーク判別工程
図11で示すように、ワークのちょうど四隅を検出する位置に4個の前方右側ワーク検出センサ61、前方左側ワーク検出センサ62、後方右側ワーク検出センサ63、後方左側ワーク検出センサ64を設置しておく。制御駆動装置90は、4個のセンサがONするタイミングがあるか否かを検出する。この場合、ワークのコーナー部の何れかの箇所に欠損があれば何れかの箇所の検出タイミングがずれるため欠損ワークであると判定でき、ワークのコーナー部の何れの箇所にも欠損がないならば検出タイミングが一致するため良品のワークであると判定できる。このようにワークの良否が瞬時に判断できるという利点がある。
【0099】
このような検出方式を採用することにより、センサによりコーナー部の欠損の有無を確実に検出し、4個同時にONにてワーク正常と判断できる。ワークの四隅のうち、どのコーナー部に欠損があっても、少なくともこの4個のセンサ情報で判別することができるので、TVカメラ画像を処理するような高価な検出装置を使う必要がない。
【0100】
そして、原理的には2個のセンサでも検出が可能である。搬送路上に、左右一対の非接触センサ(ワークの有り無し検出機能のみ)を設け、ワークの通過時にワークの両側面エッジ部を検出できるようにする。
【0101】
前方片側エッジ欠損ならば、2個のセンサONタイミングの時間ずれを検出して判別することができる。
また、後方片側エッジ欠損も、2個のセンサOFFタイミングの時間ずれを検出して判別することができる。
また、前方両側エッジ欠損は、センサON時間の長さが通常よりも短くなるため判別ができる。通常の時間長さは予め設定しておく。
また、後方両側エッジ欠損も、センサON時間の長さが通常よりも短くなるため判別ができる。通常の時間長さは予め設定しておく。
【0102】
なお、次のワーク切り出し動作は、後方右側ワーク検出センサ63、後方左側ワーク検出センサ64をワーク4の後端が通過したときであり、欠損がなければこのタイミングで切り出しされる。そして、欠損が検出された場合は、欠損ワーク排出後、搬送コンベアが正規の位置に復帰した時点で次のワークを切り出す動作を開始する。
【0103】
(7)ワーク仕分け工程
欠損品が検出されたとき、図12(a)で示すように、欠損ワーク判別装置60の搬送コンベア65の直後にある欠損ワーク排出コンベア71の前側を傾斜下降するようにし、欠損ワーク回収箱72へ欠損ワークを落下させて回収するようにしている。その後、欠損ワーク排出コンベア71を元の位置に復帰させて搬送可能状態とする。このように、安価な装置構成でワークの割れ・欠けを判別してから排出するまでを自動的に処理することができる。良品のワーク4は図12(b)で示すようにそのまま欠損ワーク排出コンベア71、搬送コンベア73により搬送される。
【0104】
(8)ワーク収納工程
搬送されてきた良品のワークを収納ストッカ昇降装置82上の収納ストッカ81内へ順次収納する。
収納ストッカ81への収納法は様々(コンベア方式、アームにより押出しあるいは引き込み方式、ロボット搬送方式)あり、適宜選定すればよい。本形態では搬送コンベアの直後に配置されるワーク収納装置80が収納ストッカ81を昇降させて収納位置を調整し、良品のワークを搬送して収納する方式とした。本工程も自動化工程であり、ワークを収納した収納ストッカ81は次工程へ搬出される。
積層ワーク切り出し方法はこのようなものである。
本形態の積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法によれば第一,第二分離促進手段によりワーク間の貼り付き力を低減し、確実な切り出しを可能とする。さらにワーク加振搬送装置50、欠損ワーク判別装置60、ワーク仕分け装置70により欠損ワークの検出・排除を行うようにした。これら効果が相乗的に相俟って生産性の向上に寄与する。
【0105】
続いて変形形態について説明する。図13はワーク加振搬送装置の他の形態の説明図である。先に説明したワーク加振搬送装置50では、図10(a)で示すように下段搬送コンベア51が上流側に、また、上段搬送コンベア52が下流側に配置されたものであった。しかしながら、このような構成に限定する趣旨ではなく、下段搬送コンベア51と上段搬送コンベア52とが入れ替わって、図13(a)で示すように、上段搬送コンベア52が上流側に、また、下段搬送コンベア51が下流側に配置されたものとしても良い。このような場合でもワークに対して振動を加える。
【0106】
また、図13(b)で示すように、下段搬送コンベア51が上流側に、上段搬送コンベア52が中流側に、また、下段搬送コンベア51が下流側に配置されたものとしても良い。同様に図13(c)で示すように、上段搬送コンベア52が上流側に、下段搬送コンベア51が中流側に、また、上段搬送コンベア52が下流側に配置されたものとしても良い。これらのような場合では、段差部の数が増えるためワークに対してより確実に振動を加える。
または、図10(a)で示す2個のコンベアや図13(a)で示す2個のコンベアを一ユニットとし、複数ユニットからなるワーク加振搬送装置としても良い。これらのような構成を採用してもよい。
【0107】
また、下段搬送コンベア51の搬送速度に対して上段搬送コンベア52の搬送速度を僅かに速くして、ワーク4の隅部にエンドレスベルトの摩擦力を付与して割れ・クラック・ひびを伸展させるようにしても良い。これら効果が相俟ってより確実に割れ・クラック・ひびを発生させる。
【0108】
以上、本発明のワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法について説明した。
本発明は、特に安価かつ簡素な構成であるにも拘わらず、ワークの割れが確実に検出されるようにして、生産性の向上に寄与するワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上のような本発明に係るワーク加振搬送装置、欠損ワーク判別装置、積層ワーク切り出しシステムおよび積層ワーク切り出し方法は、薄型のワークの切り出しに適している。
【符号の説明】
【0110】
1:積層ワーク切り出しシステム
2:積層ワーク収納カセット
3:積層ワーク
10:気泡水供給装置
11:気泡水生成装置
12:気泡水供給路
13:電磁弁
20:分離水槽
21:分離水槽本体
22:載置部
23:気泡水噴射装置
23a:気泡水噴射孔
23b:気泡水
24:浸漬水
24a:水面
30:切り出し装置
31:切り出し水槽
311:出口部
312:オーバーフロー受け
313:ストック水槽
32:積層ワーク昇降装置
321:積層ワーク昇降用モータ
322:積層ワーク昇降機構
323:積層ワーク昇降台
33:本体フレーム
34:切り出しコンベア昇降装置
341:エアシリンダ
342:昇降ロッド
35:荷重計
36:切り出しコンベア
361:駆動プーリ
362:従動プーリ
363:ガイドローラ
364:エンドレスベルト
364a:突部
365:切り出しコンベア駆動モータ
37:気泡水噴射装置
37a:気泡水
38:浸漬水
38a:水面
40:複数枚ワーク送り防止装置
41:上側搬送ローラ
42:下側搬送ローラ
43:滞留ワーク検出センサ
44:ワーク通過検出センサ
45:ローラ駆動モータ
46:隙間
50:ワーク加振搬送装置
51:下段搬送コンベア
511:駆動プーリ
512:従動プーリ
513:ガイドローラ
514:エンドレスベルト
52:上段搬送コンベア
60:欠損ワーク判別装置
61:前方右側ワーク検出センサ
62:前方左側ワーク検出センサ
63:後方右側ワーク検出センサ
64:後方左側ワーク検出センサ
70:ワーク仕分け装置
71:欠損ワーク排出コンベア
72:欠損ワーク回収箱
73:搬送コンベア
80:ワーク収納装置
81:収納ストッカ
82:収納ストッカ昇降装置
821:昇降用モータ
822:置き台昇降機構
823:収納ストッカ置き台
83:支持台
90:制御駆動装置
100:ワーク側方ガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、
下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、
を備え、
下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させることを特徴とするワーク加振搬送装置。
【請求項2】
搬送されるワークの四隅の直上に位置し、ワーク通過時にワークの四隅のコーナー部の有無を同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである4個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号を、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号を出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置。
【請求項3】
搬送されるワークの左右の二隅の直上に位置し、ワーク通過時に夫々ワークを検出している時間の長さを同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである2個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置。
【請求項4】
複数ワークが積層された積層ワークから一枚づつワークを分離するという切り出し処理を行う積層ワーク切り出しシステムであって、
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、を備え、下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させるワーク加振搬送装置と、
搬送されるワークの四隅のコーナー部の欠損を検出するワーク検出センサを備え、コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別装置と、
を備え、
ワーク加振搬送装置が、搬送路の任意の位置に設けられた段差により、ワークに衝撃を付与してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させ、
欠損ワーク判別装置が、割れを検出することを特徴とする積層ワーク切り出しシステム。
【請求項5】
欠損ワーク判別装置で判別された欠損ワークを回収するワーク仕分け装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の積層ワーク切り出しシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の積層ワーク切り出しシステムによる積層ワーク切り出し方法であって、
ワーク加振搬送装置によりワークに対して加振しつつ搬送してワークのひびの入ったコーナー部を欠損させるコーナー部欠損工程と、
欠損ワーク判別装置により搬送されるワークのコーナー部の欠損を検出して欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別工程と、
ワーク仕分け装置により欠損ワーク判別工程で判別された欠損ワークを回収し、良品のワークを下流へ流すワーク仕分け工程と、
を有することを特徴とする積層ワーク切り出し方法。
【請求項1】
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、
下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、
を備え、
下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させることを特徴とするワーク加振搬送装置。
【請求項2】
搬送されるワークの四隅の直上に位置し、ワーク通過時にワークの四隅のコーナー部の有無を同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである4個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号を、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号を出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置。
【請求項3】
搬送されるワークの左右の二隅の直上に位置し、ワーク通過時に夫々ワークを検出している時間の長さを同時に検出するようにした、それぞれ非接触センサである2個のワーク検出センサを備え、
コーナー部の欠損がないときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには夫々ワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別するようにしたことを特徴とする欠損ワーク判別装置。
【請求項4】
複数ワークが積層された積層ワークから一枚づつワークを分離するという切り出し処理を行う積層ワーク切り出しシステムであって、
搬送路中に配置される下段搬送コンベアと、下段搬送コンベアよりも高い位置に配置される上段搬送コンベアと、を備え、下段搬送コンベアと上段搬送コンベアとで形成される段差により、ワークに対して加振しつつ搬送してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させるワーク加振搬送装置と、
搬送されるワークの四隅のコーナー部の欠損を検出するワーク検出センサを備え、コーナー部の欠損がないときには同時に変化する検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値であることを、また、コーナー部の欠損があるときには変化が異なるような検出信号あるいはワークを検出している時間の長さが適正値以下であることを出力し、欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別装置と、
を備え、
ワーク加振搬送装置が、搬送路の任意の位置に設けられた段差により、ワークに衝撃を付与してワークの割れの入ったコーナー部を欠損させ、
欠損ワーク判別装置が、割れを検出することを特徴とする積層ワーク切り出しシステム。
【請求項5】
欠損ワーク判別装置で判別された欠損ワークを回収するワーク仕分け装置を備えることを特徴とする請求項4に記載の積層ワーク切り出しシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の積層ワーク切り出しシステムによる積層ワーク切り出し方法であって、
ワーク加振搬送装置によりワークに対して加振しつつ搬送してワークのひびの入ったコーナー部を欠損させるコーナー部欠損工程と、
欠損ワーク判別装置により搬送されるワークのコーナー部の欠損を検出して欠損ワークであるか否かを判別する欠損ワーク判別工程と、
ワーク仕分け装置により欠損ワーク判別工程で判別された欠損ワークを回収し、良品のワークを下流へ流すワーク仕分け工程と、
を有することを特徴とする積層ワーク切り出し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−12120(P2012−12120A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147251(P2010−147251)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000236366)浜井産業株式会社 (30)
【出願人】(510158820)株式会社斎藤精機 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000236366)浜井産業株式会社 (30)
【出願人】(510158820)株式会社斎藤精機 (4)
【Fターム(参考)】
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