説明

ワーク搬入出装置及びワーク貯留システム

【課題】ワークの搬入出を迅速に行うことができ、ワークの傷つきが防止されたワーク搬入出装置を提供すること。
【解決手段】ワーク搬送路90と、ワーク貯留部30と、ワーク搬送路90とワーク貯留部30との間に設けられた搬入出コンベア20とを備え、ワーク搬送路90からのワークWを搬入出コンベア20でワーク貯留部30に搬入して貯留し、ワーク貯留部30に貯留されていたワークWを搬入出コンベア20でワーク搬送路90に搬出するワーク搬入出装置1Aであって、ワーク貯留部30は、ワークWが収納されるマガジン40と、マガジン40を昇降させる昇降部とを備え、搬入出コンベア20は、ワークWを水平方向に搬送するものであり、ワーク搬送路90のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設けられているワーク搬入出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置によって搬送されているワークの搬入出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板、液晶パネルあるいは太陽電池パネル等のパネル製造ラインでは、一般に、加工対象である基板等のワークやワークが収容されたマガジンをコンベアなどの搬送装置によって連続的に搬送されている。このようなパネル製造ラインでは、製造ライン上の装置のトラブル等に起因して、製造ラインの一部が停止することがある。製造ラインが一部停止すると、停止部分の上流側でワークやマガジンが滞留し、製造ライン上の作業に混乱が生ずるおそれがある。このようなことから、ワークやマガジンを一時的にストックして滞留を防止する、いわゆるストッカなる装置を製造ライン上に設置する提案がなされている。
【0003】
例えば、プリント基板が複数枚収容されたマガジンを搬送するコンベアに隣接して設置されたストッカがある(引用文献1参照)。
このストッカにマガジンをストックする場合は、まず、コンベア上の分岐移載位置に位置するマガジンを、コンベアの搬送方向と直交する方向に移動させて、ストッカ装置側の移載位置に移動させる。次に、移載位置のマガジンをエレベータで昇降させて、マガジンと収納先の棚の高さとを一致させる。その後、マガジンを収納先の棚上に移動させると、マガジンがストッカに格納される。そして、格納されたマガジンは、これらの動作が逆の順番で行われることで、コンベア上に搬出される。
【0004】
また、基板を搬送するコンベアに隣接して設置されたストッカ装置がある(特許文献2、図5参照)。
このストッカ装置では、ワークの処理装置もしくは検査装置を経て、コンベヤによって搬送されてきたワークを、コンベヤ端末に設けられた押し込み手段により、1つずつマガジンの溝内に送り込む。マガジンは、このような動作によってマガジンに収容される。
【0005】
さらに、検査により不良と判定されたワークを優先搬送する手段を備えたストッカがある(引用文献2、図1等参照)。
このストッカ装置は、昇降可能に設置されたマガジンを備えるものであり、当該マガジンの最上部に、ワークを通過搬送する手段としてコンベヤ機構が備えられている。このストッカ装置では、良品のワークが搬送されてくると、コンベヤの押し込装置によってワークをマガジンの溝に挿入し、ワークをマガジンに収容する。他方、不良と判定されたワークが搬送されてきた場合は、マガジンが最下限位置に下降させ、同時にコンベヤ機構の動作を開始させる。このように動作させると、ワークは、マガジンに収容されることなく、マガジンの下流側に搬送される。このように、不良のワークは、マガジンに収容された良品のワークを追い越して、優先的に下流側に搬送される。つまり、マガジン上部のコンベヤ機構は、追い越し用の基板搬送路として機能する。また、この場合、ワーク挿入動作が不要であるので、コンベヤの押し込装置は作動されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−309407号公報
【0007】
【特許文献2】特開平7−285611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、最初に説明したストッカでは、コンベア上のマガジンをストッカに格納するためには、まず、マガジンをコンベア上の分岐移載位置からテーブル上に移載し、テーブル上のマガジンをエレベータで収納先の棚の高さ位置に昇降させ、昇降されたマガジンを収納先の棚に移載する必要がある。つまり、マガジンを収納するまでに多くのステップ及び時間を要する。また、マガジンを格納位置からコンベア上に搬出する場合にも、このようなステップを逆順で行う必要があり、やはり時間がかかる。
【0009】
そして、次に説明したストッカ装置及び最後に説明したストッカ装置では、コンベヤ上のワークを、押し込み手段や押し込装置を用いてマガジンの溝や棚に押し込むようにして収容する。ところが、ワークを押し込むようにしてマガジンに収容すると、ワークを傷つけるおそれが高くなる。
【0010】
また、最後に説明したストッカ装置では、上述したように、ワークの追い越し搬送が可能になっており、良品のワークを追い越すようにして不良のワークを優先的に搬送することができるようになっている。ところが、ワークの追い越し搬送を行うためには、その度ごとに、マガジンを最下限位置まで下降移動させる必要がある。そして、良品をマガジンに収容する動作を再開するためには、追い越し搬送終了後、マガジンを元の高さ位置まで上昇させる必要がある。このように、ワークの追い越し搬送動作を行うには、その前後にマガジンを昇降させる手間がかかる。そして、マガジンの昇降動作中、ワークのマガジンへの収容動作は中断する。
【0011】
本願発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ワークの搬入出を迅速に行うことができ、取り扱い対象であるワークの傷つきが防止されたワーク搬入出装置およびワーク貯留システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願に係る発明は、ワーク搬送路からのワークが貯留されるワーク貯留部と、前記ワーク搬送路と前記ワーク貯留部との間に設けられ、ワーク貯留部に対してワーク搬入出を行う搬入出コンベアとを備えており、前記ワーク搬送路から搬送されてきたワークを前記搬入出コンベアにてワーク貯留部に搬入して貯留し、当該ワーク貯留部に貯留されていたワークを搬入出コンベアにてワーク搬送路に搬出するワーク搬入出装置であって、前記ワーク貯留部は、ワークが収納されるマガジンと、当該マガジンを昇降させる昇降部とを備え、前記搬入出コンベアは、ワークを水平方向に搬送するものであり、前記ワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設けられているワーク搬入出装置である。
【0013】
このように、ワーク搬送路からのワークを搬入出コンベアによってワーク貯留部に搬入出するので、ワークを一時停止させることなく迅速に搬入出することができる。そして、搬入出コンベアは、昇降するものではなく、ワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設置されているので、搬入出コンベアの高さ位置合わせに時間を要するようなことがなく、この点でも迅速にワークの搬入出を行うことができる。また、搬入出コンベアでワークを搬入出するので、ワークの傷つきを防止することができる。そして、搬入出コンベアの高さ位置が固定されているので、ワーク搬送路との間で段差が生ずることがなく、この点でも、ワークの傷つきを確実に防止することができる。また、搬入出コンベアが固定されていれば、搬入出コンベアの昇降制御などが不要であるので、ワーク搬入出装置全体の制御が簡単であり、構造が簡素化される。制御が簡単であり、構造が簡素であれば、その分、低コストであり故障しにくい。
【0014】
前記ワーク貯留部の昇降部は、ワーク搬入出装置のベース部に対して昇降自在に設置されており、当該昇降部上に前記マガジンが設けられているものでもよい。
昇降部上にマガジンを設置する構造であれば、マガジンを昇降部に固定する構造や、昇降部上に着脱自在に設置する構造や、搬入出自在に載置する構造など、様々な構造を選択することができる。
【0015】
前記搬入出コンベアは、ワーク長手方向をワーク搬送方向に向けた状態でワークを搬送するものであり、前記マガジンは、ワーク幅方向の両端部にあるワーク幅方向端部をそれぞれ支持する一対のワーク支持部と、両ワーク支持部を相互に連結する連結部とを備え、前記ワーク幅方向は、前記搬入出コンベアのワーク搬送方向と直交する方向であるものでもよい。
マガジンの両ワーク支持部は連結部によって相互に連結されているので、両ワーク支持部の高さ位置のズレが生じることが防止される。これにより、ワーク搬送路とマガジンとの間でワークを搬入出する際、ワークをスムーズに移動させることができ、ワークの傷つきを防止することができる。
【0016】
前記マガジンのワーク支持部は、複数枚のワークを垂直方向に収納する棚構造になっているものでもよい。
マガジンが棚構造になっていれば、マガジンにワークを収納した後、次のワークを収納する際、マガジンを棚一つ分だけ高さ方向に昇降させるだけで、次のワークの収納場所を確保することができるので、ワークをマガジンに迅速に収納することができる。
【0017】
前記マガジンの連結部は、前記両ワーク支持部の中途位置同士を連結するものであるものでもよい。
両ワーク支持部の中途位置同士を連結部によって連結すれば、両ワーク支持部の高さ位置のズレを最小限にすることができるので、ワーク搬送路とマガジンとの間でワークを搬入出する際、ワークをよりスムーズに移動させることができ、ワークの傷つきをより確実に防止することができる。
【0018】
前記搬入出コンベアは、ワーク搬入出装置のベース部上に、前記両ワーク支持部の間に位置するように少なくとも1つ設けられているものでもよい。
搬入出コンベアの位置が両ワーク支持部の間であれば、搬入出コンベアによってワークを搬送する際、搬入出コンベアによってワークの中央部分を支持することができ、ワークを安定した状態で搬送することができる。これにより、ワークの傷つきを防止することができ、しかもワークを迅速に搬送することができる。
また、搬入出コンベアは、ワーク搬送路とマガジンとの間でワークを搬入出するものであるが、この搬入出コンベアの設置位置が両ワーク支持部の間ということは、搬入出コンベアの幅はワーク幅より狭いことになる。つまり、ワーク搬送路とマガジンとの間でのワークの搬入出を従来の押し込み手段を用いて行う従来のワーク搬入出装置に比べて、構造がコンパクトであり、少ないスペースに設置することができるものである。また、搬入出コンベアがワークの幅からはみ出すことがなければ、ワーク搬入出装置設置時、搬入出コンベアが周辺設備に干渉するようなことが生じない。従って、本願発明に係るワーク搬入出装置は、既存設備の更新用の装置としても好適である。
【0019】
前記搬入出コンベアは、前記両ワーク支持部と前記連結部とで囲まれる空間に位置するように設けられているものでもよい。
搬入出コンベアが両ワーク支持部と連結部とで囲まれる空間に位置していれば、搬入出コンベアによってワークを搬送する際、搬入出コンベアによってワークの中央部分をより確実に支持することができ、ワークをより安定した状態で搬送することができる。これにより、ワークの傷つきをより確実に防止することができ、ワークのより迅速な搬送が可能になる。
【0020】
前記マガジンは、前記ワーク貯留部の前記昇降部に着脱自在に載置されるマガジンカセットであり、前記搬入出コンベアは、前記マガジンの連結部を挟んで、ワーク搬送方向に並べて配置される第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備え、前記第1ワーク搬送体は、ワーク搬送路に隣接して設けられ、前記第2ワーク搬送体に隣接して、前記マガジンカセットを搬送するカセット搬送路が設けられ、前記昇降部は、前記マガジンカセットの載置部に、マガジンカセットをワーク搬送方向に搬入出するマガジン搬入出機構を備えているものでもよい。
搬入出コンベアが第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備えるものであれば、搬送時にワークを2箇所で支持することができ、より安定した状態でワークを搬送することができる。そして、その2つのワーク搬送体がマガジンの連結部を挟んだ位置に配置されていれば、より安定した状態でワークを搬送することができる。
また、マガジンが昇降部に対して着脱自在なマガジンカセットであれば、複数のワークが収納されたマガジンカットごとワークを搬送することができ、効率よくワークを搬送し、管理することができる。そして、昇降部のマガジンカセットの載置部に、マガジン搬入出機構が備えられており、第2ワーク搬送体に隣接してカセット搬送路が設けられていれば、ワークが収納されたマガジンカセットを迅速に搬送することができる。マガジンカセットに収納された状態でワークを搬送すれば、ワークの傷つきが防止される。
【0021】
前記ワーク貯留部の昇降部は、上待避位置と下待避位置とに昇降可能に設置され、前記カセット搬送路は、前記昇降部の上待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬出路と、前記昇降部の下待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬入路とを備えているものでもよい。
カセット搬送路としてカセット搬出路とカセット搬入路とがあれば、マガジンカセットの搬入出をより迅速に行うことができる。
【0022】
前記カセット搬出路と前記カセット搬入路との間に、前記第2ワーク搬送体に隣接して、前記ワーク搬送路と同じ高さの第2ワーク搬送路がさらに設けられているものでもよい。
第2ワーク搬送路があれば、所定のワークを優先処理することができる。例えば、後から送られてきたワークを、第2ワーク搬送路を用いて搬送方向下流側に優先的に搬送し搬送順を先の順番にする、いわゆる追い越し搬送を行うことができる。これにより、ワーク全体の搬送の迅速化を図ることができる。
また、前記ワーク搬送路と第2ワーク搬送路の高さが同じであれば、ワークを迅速に搬送することができ、ワークの傷つきが防止される。
【0023】
前記棚構造を構成する各棚は、前記マガジンに取り付けられたワーク受け部材によって構成されており、前記ワーク受け部材は、ワークが載置される本体部と、当該ワーク受け部材に載置されたワークのワーク搬送方向の位置ズレを防止すべく、前記本体部におけるワーク搬送方向の上流側に設けられる突出部とを備えているものでもよい。
このような突出部をワーク受け部材に設けておけば、棚に載置された状態で収納されたワークのマガジンからの飛び出しがより確実に防止される。
【0024】
前記ワーク貯留部の前記昇降部は、前記ワーク貯留部に対するワークの搬入出時に、ワーク搬入出先である棚の高さが前記搬入出コンベアの高さになるように、前記マガジンを昇降させるものであり、前記ワーク貯留部へのワーク搬入時、前記昇降部は、ワーク貯留部へのワークの搬入動作中にはワーク収納先の棚を構成する前記ワーク受け部材の突出部の上端高さを前記搬入出コンベアのワーク搬送面の高さよりも低い低位置に位置させ、前記ワーク搬入動作終了後、前記マガジンを上昇させて、ワークが収納された棚を構成する前記ワーク受け部材のワーク載置面の高さを前記搬入出コンベアのワーク搬送面の高さよりも高い高位置に上昇させ、収納されたワークを貯留状態にするものであり、前記貯留部からのワーク搬出時、前記昇降部は、前記マガジンを前記高位置から前記低位置に下降移動させた後にワーク搬出動作を開始させるように、前記マガジンを昇降させるものでもよい。
ワーク受け部材に突出部を設けると、マガジンに対するワークの搬入出時にワークが突出部に当接し、ワークを搬入出できなくなったり、搬入出中のワークと突出部とが当接して、ワークに傷を付けたりする虞がある。この点、マガジンについて、上記のような昇降制御を行えば、棚のワーク受け部材に突出部がある場合でも、突出部を乗り越えさせつつワークの搬入出をスムーズに行うことができ、ワーク搬入出時のワークの傷付きを確実に防止することができる。
【0025】
本願に係る別の発明は、上記ワーク搬入出装置を複数備えるワーク貯留システムであって、当該複数のワーク搬入出装置は、各ワーク搬入出装置の搬入出コンベアが直列に並ぶように配置され、一端に配置された第1ワーク搬入出装置の前記搬入出コンベアに隣接して、前記ワーク搬送路が設けられ、前記ワーク搬送路からのワークを、任意のワーク搬入出装置のワーク貯留部に搬入して貯留し、各ワーク搬入出装置のワーク貯留部に貯留されていたワークを任意の順番で排出して搬出し、前記ワーク搬送路に供給するワーク貯留システムである。
【0026】
各ワーク搬入出装置の搬入出コンベアは、いずれも、ワークを水平方向に搬送するものであり、しかもワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設けられている。このような構造であるので、ワークの迅速搬送及び傷つき防止を確保しつつ、ワーク搬入出装置が複数直列配置されるワーク貯留システムを容易に構成することができる。ワーク搬入出装置を複数直列配置できる構成でれば、ワーク搬入出装置の設置数を調整することによってワークの貯留容量を容易に増量することができる。例えば、高さ制限などによってマガジンの高さが制限されるような場合でも、容易にワーク貯留容量を増やすことができる。
【0027】
上記ワーク貯留システムは、前記ワーク搬送路から最も遠い他端側に配置された第2ワーク搬入出装置に隣接して、前記ワーク搬送路とは別のワーク搬送路が設けられているものでもよい。
このワーク貯留システムは、例えば、ワークが上流側から下流側に一方向に搬送されるワーク搬送路の途中にワーク搬入出装置が設置されたシステムである。このように、本願発明のワーク貯留システムは、ワークが上流側から下流側に一方向に搬送されるワーク搬送路の途中に設置することができるものである。
【0028】
本願に係るさらに別の発明は、上記ワーク搬入出装置を少なくとも2つ備えるワーク貯留システムであって、2つのワーク搬入出装置の前記ワーク貯留部の昇降部は、上待避位置と下待避位置とに昇降可能に設置され、当該昇降部は、前記マガジンカセットの載置部に、マガジンカセットをワーク搬送方向に搬入出するマガジン搬入出機構を備え、2つのワーク搬入出装置の前記搬入出コンベアは、前記連結部を挟んで、ワーク搬送方向に並べて配置される第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備え、当該2つのワーク搬入出装置は、搬入出コンベアが直列であり、かつ前記第2ワーク搬送体同士が向き合う状態で、間隔を空けて設置され、2つのうちの一方である第1ワーク搬入出装置の前記第1ワーク搬送体に隣接してワーク搬送路が設けられ、向き合う状態で配置されている2つの前記第2ワーク搬送体の間に、前記マガジンカセットを搬送するカセット搬送路が設けられ、前記カセット搬送路は、前記昇降部の上待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬出路と、前記昇降部の下待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬入路とを備えているワーク貯留システムである。
【0029】
このような構成であれば、カセット搬送路上を搬送されるカセットにワークを収納することができ、ワークをカセットに収納された状態で搬送することができる。従って、カセット搬送路上のカセットの数を増減することによってワークの貯留容量を調整することができる。また、カセット搬送路を長くすると、カセット搬送路上に載置可能なカセット数が増える。例えば、高さ制限などによってマガジンの高さが制限されるような場合でも、容易にワーク貯留容量を増やすことができる。また、カセットを用いればワークの保持状態が安定するので、迅速搬送が可能であり、搬送時のワークの傷つきが防止される。
【0030】
上記さらに別の発明に係るワーク貯留システムは、2つのうちの他方である第2ワーク搬入出装置に隣接して、前記ワーク搬送路とは別のワーク搬送路がさらに設けられているものでもよい。
このワーク貯留システムは、例えば、ワークが上流側から下流側に一方向に搬送されるワーク搬送路の途中にワーク搬入出装置が設置されたシステムである。このように、本願発明のワーク貯留システムは、ワークが上流側から下流側に一方向に搬送されるワーク搬送路の途中に設置することができるものである。
【発明の効果】
【0031】
本願発明のワーク搬入出装置によれば、ワーク搬送路からのワークを搬入出コンベアによってワーク貯留部に搬入出するので、ワークを迅速に搬入出することができる。そして、搬入出コンベアは、昇降するものではなく、ワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設置されているので、搬入出コンベアの高さ位置合わせに時間を要するようなことがなく、この点でも迅速にワークの搬入出を行うことができる。また、搬入出コンベアでワークを搬入出するので、ワークの傷つきを防止することができる。そして、搬入出コンベアの高さ位置が固定されているので、ワーク搬送路との間で段差が生ずることがなく、この点でも、ワークの傷つきを確実に防止することができる。また、搬入出コンベアが固定されていれば、搬入出コンベアの昇降制御などが不要であるので、ワーク搬入出装置全体の制御が簡単であり、構造が簡素化される。制御が簡単であり、構造が簡素であれば、その分、低コストであり故障しにくい。
【0032】
また、本願に係る別の発明であるワーク貯留システムでは、各ワーク搬入出装置の搬入出コンベアは、いずれも、ワークを水平方向に搬送するものであり、しかもワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設けられている。このような構造であるので、ワークの迅速搬送及び傷つき防止を確保しつつ、ワーク搬入出装置が複数直列配置されるワーク貯留システムを容易に構成することができる。ワーク搬入出装置を複数直列配置できる構成であれば、ワーク搬入出装置の設置数を調整することによってワークの貯留容量を容易に増量することができる。例えば、高さ制限などによってマガジンの高さが制限されるような場合でも、容易にワーク貯留容量を増やすことができる。
【0033】
また、本願に係るさらに別の発明であるワーク貯留システムによれば、カセット搬送路上を搬送されるカセットにワークを収納することができ、ワークをカセットに収納された状態で搬送することができる。従って、カセット搬送路上のカセットの数を増減することによってワークの貯留容量を調整することができる。また、カセット搬送路を長くすると、カセット搬送路上に載置可能なカセット数が増える。例えば、高さ制限などによってマガジンの高さが制限されるような場合でも、容易にワーク貯留容量を増やすことができる。また、カセットを用いればワークの保持状態が安定するので、迅速搬送が可能であり、搬送時のワークの傷つきが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施例のワーク搬入出装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示されるワーク搬入出装置の動作説明のための斜視図である。
【図3】図1に示されるワーク搬入出装置の動作説明のための斜視図である。
【図4】図1に示されるワーク搬入出装置の動作説明のための斜視図である。
【図5】図1に示されるワーク搬入出装置を示す側面図である。
【図6】棚の高さが搬入出コンベアの高さになった状態を正面側から示す模式図であり、(A)は棚を構成するワーク受け部材が低い位置の状態を、(B)はワーク受け部材が搬送面に一致する状態を、(C)はワーク受け部材が高い位置の状態を、それぞれ示すものである。
【図7】図1に示されるワーク搬入出装置で用いられているマガジンを示す斜視図である。
【図8】(A1)から(B3)は、図1に示されるワーク搬入出装置のマガジンの棚の改変例を2例示す模式図であって、図1のA−A断面の一部を示すものであり、(A1)から(A3)は、一方の改変例の棚の昇降動作を示すものであり、(B1)から(B3)は、他方の改変例の棚の昇降動作を示すものである。
【図9】第2実施例のワーク搬入出装置を示す斜視図である。
【図10】図9に示されるワーク搬入出装置のワーク滞留動作の説明のための斜視図である。
【図11】図9に示されるワーク搬入出装置のワーク搬出動作の説明のための斜視図である。
【図12】図9に示されるワーク搬入出装置のワーク搬出動作の説明のための斜視図である。
【図13】図9に示されるワーク搬入出装置のワーク搬出動作の説明のための斜視図である。
【図14】図9に示されるワーク搬入出装置のマガジンカセットの搬入出動作の説明のための斜視図である。
【図15】図9に示されるワーク搬入出装置のマガジンカセットの搬入出動作の説明のための斜視図である。
【図16】図9に示されるワーク搬入出装置の改変例を示す斜視図である。
【図17】(A)は、図9に示されるワーク搬入出装置を改変したワーク貯留システムを示す側面図であり、(B)及び(C)は、(A)に示されるワーク貯留システムの動作説明のための側面図である。
【図18】第3実施例のワーク貯留システムを示す斜視図である。
【図19】第3実施例のワーク貯留システムのワーク搬送動作の説明のための斜視図である。
【図20】第3実施例のワーク貯留システムのワーク搬送動作の説明のための斜視図である。
【図21】第3実施例のワーク貯留システムのワーク搬送動作の説明のための斜視図である。
【図22】第3実施例のワーク貯留システムのワーク搬送動作の説明のための斜視図である。
【図23】第3実施例のワーク貯留システムのワーク搬送動作の説明のための斜視図である。
【図24】第3実施例のワーク貯留システムのワーク搬送動作の説明のための斜視図である。
【図25】第3実施例のワーク貯留システムのワーク供給動作の説明のための斜視図である。
【図26】第3実施例のワーク貯留システムのワーク供給動作の説明のための斜視図である。
【図27】第3実施例のワーク貯留システムのワーク供給動作の説明のための斜視図である。
【図28】第3実施例のワーク貯留システムの構図を示すブロック図である。
【図29】第3実施例のワーク貯留システムについて、(A)は、ワーク搬送動作を示すフローチャート図であり、(B)は、ワーク供給動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0035】
10…ベース部、20…搬入出コンベア、21…第1ワーク搬送体、21a,22a…ワーク搬送面、22…第2ワーク搬送体、30…ワーク貯留部、31…昇降部、31a…第1昇降部材、31b…第2昇降部材、32a,32b…支柱、33…マガジンカセット搬入出機構、33a…第1マガジンカセット搬入出機構、33b…第2マガジンカセット搬入出機構、
40…マガジン、40C…マガジンカセット(マガジン)、41a,41b…ワーク支持部、42…連結部、43…棚構造、44…棚、44a,44b…ワーク受け部材、
50…カセット搬送機構(カセット搬送路)、51…カセット搬入路、52…カセット搬出路、61…制御部、62…センサ(ワーク種別判別手段)、
81a…ワーク受け部材、82…突出部、90…第1ワーク搬送路(ワーク搬送路)、90a…ワーク搬送面、91…第2ワーク搬送路、91a-b,91a-t…ワーク受け部材、92-t,92-b…突出部、
1A…ワーク搬入出装置、1A-x…第1ワーク搬入出ユニット、1A-y…第2ワーク搬入出ユニット、1a…ワーク搬入出装置1Aに相当する部分(ワーク搬入出ユニット)、
1B…ワーク搬入出装置、1b-x…第1ワーク搬入出ユニット、1b-y…第2ワーク搬入出ユニット、1B’…ワーク搬入出装置、1C…ワーク貯留システム、1D…ワーク貯留システム、
D1…ワーク搬送方向、Din…搬入する向き、Dout…搬出する向き、
DL…ワークの長手方向、DS…ワークの幅方向、
H1…低い位置(低位置)、H2…搬送面21a,22aの高さ位置、H3…高い位置(高位置)、
P1…下待避位置、P2…下降位置(最下限位置)、P3…上昇位置(最上限位置)、P4…上待避位置、P5…カセット搬出路52上の位置、P6…第2ワーク搬入出ユニット1b-yの上待避位置、P7…第2ワーク搬入出ユニット1b-yの下待避位置、P8…カセット搬入路51の位置、Pe…ワーク搬入出位置、
S1〜S16…ステップ1〜ステップ16、
W…太陽電池基板(ワーク)、Wx…第1ワーク、Wy…第2ワーク、
【発明を実施するための形態】
【0036】
ワーク搬送路からのワークが貯留されるワーク貯留部と、ワーク搬送路とワーク貯留部との間に設けられ、ワーク貯留部に対してワーク搬入出を行う搬入出コンベアとを備えており、ワーク搬送路から搬送されてきたワークを搬入出コンベアにてワーク貯留部に搬入して貯留し、当該ワーク貯留部に貯留されていたワークを搬入出コンベアにてワーク搬送路に搬出するワーク搬入出装置であって、ワーク貯留部は、ワークが収納されるマガジンと、当該マガジンを昇降させる昇降部とを備え、搬入出コンベアは、ワークを水平方向に搬送するものであり、ワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設けられているものとする。
【0037】
また、ワーク貯留部の昇降部は、ワーク搬入出装置のベース部に対して昇降自在に設置されており、当該昇降部上にマガジンが設けられているものとする。
【0038】
また、搬入出コンベアは、ワーク長手方向をワーク搬送方向に向けた状態でワークを搬送するものであり、マガジンは、ワーク幅方向の両端部にあるワーク幅方向端部をそれぞれ支持する一対のワーク支持部と、両ワーク支持部を相互に連結する連結部とを備え、ワーク幅方向は、搬入出コンベアのワーク搬送方向と直交する方向であるものとする。
【0039】
また、マガジンのワーク支持部は、複数枚のワークを垂直方向に収納する棚構造になっているものとする。マガジンの連結部は、両ワーク支持部の中途位置同士を連結するものであるものとする。搬入出コンベアは、ワーク搬入出装置のベース部上に、両ワーク支持部の間に位置するように少なくとも1つ設けられているものとする。搬入出コンベアは、両ワーク支持部と連結部とで囲まれる空間に位置するように設けられているものとする。
【0040】
また、マガジンは、ワーク貯留部の昇降部に着脱自在に載置されるマガジンカセットであり、搬入出コンベアは、マガジンの連結部を挟んで、ワーク搬送方向に並べて配置される第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備え、第1ワーク搬送体は、ワーク搬送路に隣接して設けられ、第2ワーク搬送体に隣接して、マガジンカセットを搬送するカセット搬送路が設けられ、昇降部は、マガジンカセットの載置部に、マガジンカセットをワーク搬送方向に搬入出するマガジン搬入出機構を備えているものとする。
【0041】
また、ワーク貯留部の昇降部は、上待避位置と下待避位置とに昇降可能に設置され、カセット搬送路は、昇降部の上待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬出路と、昇降部の下待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬入路とを備えているものとする。
【0042】
また、カセット搬出路とカセット搬入路との間に、第2ワーク搬送体に隣接して、ワーク搬送路と同じ高さの第2ワーク搬送路がさらに設けられているものとする。
【0043】
また、棚構造を構成する各棚は、マガジンに取り付けられたワーク受け部材によって構成されており、ワーク受け部材は、ワークが載置される本体部と、当該ワーク受け部材に載置されたワークのワーク搬送方向の位置ズレを防止すべく、本体部におけるワーク搬送方向の上流側に設けられる突出部とを備えているものとする。
【0044】
また、ワーク貯留部の前記昇降部は、ワーク貯留部に対するワークの搬入出時に、ワーク搬入出先である棚の高さが搬入出コンベアの高さになるように、マガジンを昇降させるものであり、ワーク貯留部へのワーク搬入時、昇降部は、ワーク貯留部へのワークの搬入動作中にはワーク収納先の棚を構成するワーク受け部材の突出部の上端高さを搬入出コンベアのワーク搬送面の高さよりも低い低位置に位置させ、ワーク搬入動作終了後、マガジンを上昇させて、ワークが収納された棚を構成するワーク受け部材のワーク載置面の高さを搬入出コンベアのワーク搬送面の高さよりも高い高位置に上昇させ、収納されたワークを貯留状態にするものであり、貯留部からのワーク搬出時、昇降部は、マガジンを高位置から低位置に下降移動させた後にワーク搬出動作を開始させるように、マガジンを昇降させるものでもよい。
【0045】
上記ワーク搬入出装置を複数備えるワーク貯留システムであって、当該複数のワーク搬入出装置は、各ワーク搬入出装置の搬入出コンベアが直列に並ぶように配置され、一端に配置された第1ワーク搬入出装置の搬入出コンベアに隣接して、ワーク搬送路が設けられ、ワーク搬送路からのワークを、任意のワーク搬入出装置のワーク貯留部に搬入して貯留し、各ワーク搬入出装置のワーク貯留部に貯留されていたワークを任意の順番で排出して搬出し、ワーク搬送路に供給するものである。
【0046】
また、ワーク搬送路から最も遠い他端側に配置された第2ワーク搬入出装置に隣接して、ワーク搬送路とは別のワーク搬送路が設けられているものとする。
【0047】
上記ワーク搬入出装置を少なくとも2つ備えるワーク貯留システムであって、2つのワーク搬入出装置のワーク貯留部の昇降部は、上待避位置と下待避位置とに昇降可能に設置され、当該昇降部は、マガジンカセットの載置部に、マガジンカセットをワーク搬送方向に搬入出するマガジン搬入出機構を備え、2つのワーク搬入出装置の搬入出コンベアは、連結部を挟んで、ワーク搬送方向に並べて配置される第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備え、当該2つのワーク搬入出装置は、搬入出コンベアが直列であり、かつ第2ワーク搬送体同士が向き合う状態で、間隔を空けて設置され、2つのうちの一方である第1ワーク搬入出装置の第1ワーク搬送体に隣接してワーク搬送路が設けられ、向き合う状態で配置されている2つの第2ワーク搬送体の間に、マガジンカセットを搬送するカセット搬送路が設けられ、カセット搬送路は、昇降部の上待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬出路と、昇降部の下待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬入路とを備えているものである。
【0048】
また、2つのうちの他方である第2ワーク搬入出装置に隣接して、ワーク搬送路とは別のワーク搬送路がさらに設けられているものとする。
【実施例】
【0049】
以下、本発明に係るワーク搬入出装置及びワーク貯留システムの実施例について、図面を参照しつつ説明する。
本実施例のワーク搬入出装置及びワーク貯留システムは、太陽電池基板(以下、ワークW)を搬送し、あるいは貯留するものである。なお、図1に示されるように、ワークWは、板状の長方形の部材であり、その長手方向DLが搬送方向に向けられた状態で搬送される(図1参照)。以下の説明では、長手方向DLに対して直交する幅狭の方向をワークの幅方向DSと称する。
【0050】
(第1実施例)
図1に示されるように、ワーク搬入出装置1Aは、そのベース部10の上に設置された搬入出コンベア20及びワーク貯留部30を備えている。
搬入出コンベア20は、ワーク搬送路90からのワークWをワーク貯留部10に搬入出するものである。ワーク貯留部30は、ワーク搬送路90からのワークWが貯留されるものである。なお、本実施例のワーク搬送路90は、水平に延在する周知のベルトコンベアであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0051】
搬入出コンベア20は、ワーク搬送路90とワーク貯留部30との間におけるワークWの搬送を行うものであり、ワーク搬送路90とワーク貯留部30との間に設置されている。
この搬入出コンベア20は、ワーク搬入出装置1Aのベース部10の上に設置されたものであり、ワーク搬送方向D1に並ぶ状態で配置された第1ワーク搬送体21と、第2ワーク搬送体22とを備えている。これらのうち、第1ワーク搬送体21がワーク搬送路90に近接する位置に設置されている。搬入出コンベア20すなわち両ワーク搬送体21,22は、水平に延在しており(図5参照)、ワーク搬送路90と同じ高さ位置に設置されている。より具体的には、両ワーク搬送体21,22の上面であるワーク搬送面21a,22a(図5参照)が水平に延在しており、両ワーク搬送体21,22のワーク搬送面21a,22aの高さは、ワーク搬送路90の上面であるワーク搬送面90aの高さと同じである。したがって、搬入出コンベア20によれば、ワーク搬送路90からのワークWを同一の高さ位置で水平方向に搬送することができる。同じ高さ位置で水平搬送できれば、ワークWを迅速に搬送でき、傷つきを防止することができる。
【0052】
搬入出コンベア20の両ワーク搬送体21,22は、後述するマガジン40(図7参照)の両ワーク支持部41a,41bの間に位置するように設置されている(図1参照)。より具体的には、各ワーク搬送体21,22は、平面視したときにマガジン40の両ワーク支持部41a,41b及び連結部42によって3方を囲まれる位置(又は空間)に設置されている。また、両ワーク搬送体21,22は、マガジン40の連結部42を挟む位置関係で配置されている。このような構成にすると、搬入出コンベア20によってワークWの幅方向DSの中央部分を支持することができ、ワークWをより安定した状態で搬送することができる。そして、搬入出コンベア20を複数のワーク搬送体で構成すると、ワークWをより安定した状態で支持し、搬送することができる。また、各ワーク搬送体21,22をマガジンの両ワーク支持部41a,41b及び連結部42によって3方が囲まれる配置の場合、各ワーク搬送体21,22は、4方を取り囲まれていないので、残る一方向に向けて長さを長くするなど長さ調整を行うことができ、残る一方向に向けて移動させるなど位置調整をすることができる。ここで、当該「残る一方向」とは、ワーク搬送方向D1である。例えば、各ワーク搬送体21,22を、搬送方向D1の端部がマガジンの搬送方向D1の端部からはみ出る状態で設置してもよい。
【0053】
搬入出コンベア20は、種々の向きのワークWを搬送可能であるが、本実施例では、ワーク長手方向DLがワーク搬送方向D1に向く状態のワークW(図1参照)を搬送する。この向きのワークWは、ワーク幅方向DSがワーク搬送方向D1向く状態に比べて、ワーク搬送路90から搬入出コンベア20に受け渡される際、ワーク搬送路90及び搬入出コンベア20の両方に跨る状態がより長時間維持される。従って、ワーク搬送路90から搬入出コンベア20へワークWの受け渡しがよりスムーズであり、ワークWの傷つきがより防止され、ワークWをより迅速に搬送することができる。
【0054】
ワーク貯留部30は、ワークWが収納されるマガジン40と、当該マガジン40を昇降させる昇降部31とを備えている。
【0055】
図7に示されるように、ワーク貯留部30のマガジン40は、昇降部31の上に設置されており、ワークの幅方向DSの各端部をそれぞれ支持する一対のワーク支持部41a,41bと、両ワーク支持部41a,41bを相互に連結する連結部42とを備えている。
ワーク支持部41a,41bは、複数枚のワークWを垂直方向に収納する棚構造43になっている。より具体的に説明すると、各ワーク支持部41a,41bは、それぞれ、上下に配置された複数のワーク受け部材44a,44bを備えている。そして、各ワーク支持部41a,41bのワーク受け部材44a,44bは、同じ高さに位置するもの同士が対になってワークWを保持する棚44を構成しており、上下に並ぶ複数の棚44によって棚構造43が構成されている。また、連結部42は、両ワーク支持部41a,41bの中途位置同士(より具体的には中間位置同士)を連結している。なお、マガジン40は昇降部31に固定されているが、交換できるように、着脱自在に載置されていてもよい。
【0056】
図1及び図2に示されるように、ワーク貯留部30の昇降部31は、ワーク搬入出装置1Aのベース部10に立てられた一対の支柱32a,32bに設置されたものであり、支柱32a,32bに沿って昇降自在になっている。より具体的には、昇降部31は、一方のワーク支持部41aが載置される第1昇降部材31a(図2参照)と、他方のワーク支持部41bが載置される第2昇降部材31bとを備えている。そして、第1昇降部材31aは第1支柱32aに設置されており、第2昇降部材31bが第2支柱32bに設置されている。
【0057】
次に、このようなワーク搬入出装置1Aについて、ワーク貯留動作、ワーク貯留状態及びワーク搬出動作を説明する。なお、図6はワーク受け部材44a,44bの高さ位置を説明するための模式図であり、図6における部材の大きさや配置は適宜的に定められたものである。
【0058】
(ワーク貯留動作)
ワーク搬入出装置1Aのマガジン40は、ワークWが全く貯留されていない状態では、下降位置P2(最下限位置、図1の位置参照)に位置する。このとき、マガジン40の最上段の棚44の高さ位置が搬入出コンベア20の高さになる。つまり、この状態は、マガジン40の最上段の棚44にワークWを搬入することができる状態である。なお、このとき、最上段の棚44を構成するワーク受け部材44a,44bの上面であるワーク載置面の高さ位置は、より詳細には、搬入出コンベア20の搬送面21a,22aの高さ位置H2よりも、少しだけであるが、低い位置H1(低位置、図6(A)参照)になっている。この状態であると、マガジンの最上段の棚44に、ワークWを搬入出コンベア20に接触させることなくスムーズに搬入することが可能であり、傷発生を防止できる状態である。
【0059】
この状態で、まず、ワーク搬送路90及び搬入出コンベア20が作動される。このとき、ワーク搬送路90及び搬入出コンベア20は、いずれも、ワークWをワーク貯留部に向けて搬入する向きDin(図1参照)に搬送する。
ワーク搬送路90からワーク搬入出装置1AにワークWが搬送されると、まず、ワークWの長手方向DLの先頭側が搬入出コンベア20の第1ワーク搬送体21に受け渡される。そして、ワークWの搬送が進むと、ワークWの先頭側が、第2ワーク搬送体22へと受け渡され、ワークWの全体が搬入出コンベア20のみによって支持される状態になる。つまり、第1ワーク搬送体21及び第2ワーク搬送体22によって支持される状態になる。
ワーク搬送路90、第1ワーク搬送体21及び第2ワーク搬送体22は、いずれもワーク搬送面の高さが同じであるので、ワークWはスムーズに受け渡される。これにより、ワークWの傷発生を防止することができる。
【0060】
その後、さらにワーク搬送が進むと、ワークWはマガジン40へのワーク搬入出位置Pe(図2の位置参照)に搬送される。ワーク搬入出位置Peでは、ワークWの全体がマガジン40の両ワーク支持部41a,41bの間に位置する状態になる。つまり、ワークWがマガジン40のワーク支持部41a,41bの両端位置から搬送方向D1外側にはみ出さない状態になる。この状態になると、搬入出コンベア20が停止し、ワークWがワーク貯留部30に搬入されたことになる。
【0061】
ワークWがワーク搬入出位置Peに搬入されると、次に、ワーク貯留部30の昇降部31が上昇を開始する。昇降部31の上昇とともにマガジン40が上昇し、マガジン40の最上段の棚44を構成するワーク受け部材44a,44bのワーク載置面の高さ位置が搬入出コンベア20の搬送面21a,22aの高さ位置H2(図6(B)参照)と一致すると、ワーク受け部材44a,44bがワークWの下面に接する状態になり、ワーク受け部材44a,44bによってワークWを支持する状態になる。そして、さらに昇降部31が上昇すると、ワーク受け部材44a,44bのワーク載置面の高さ位置が搬入出コンベア20の搬送面21a,22aの高さ位置H2より高い高さ位置H3(高位置、図6(C)参照)になり、ワークWが搬入出コンベア20から離間する。これにより、ワークWは、マガジン40に収納された状態になる。
【0062】
その後、昇降部31は、さらに上昇する。そして、最上段の一段下の棚44の高さ位置が搬入出コンベア20の高さになり、当該棚44にワークWを搬入できる状態になる。この状態になると、昇降部31の上昇が停止する。
【0063】
そして、搬入出コンベア20の作動が再開される。これにより、最初のワークWと同様、ワーク搬送路90から次のワークWが搬入出コンベア20に搬送され、最上段の棚44の一段下の棚44に収納される。なお、搬入出コンベア20に搬入されたワークWがマガジン40に収納される動作の流れは、先に説明した流れと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。このようなワークWの搬入及び収納動作が繰り返され、最終的には、マガジン40の最下段の棚44にワークWが収納される。この状態は、マガジン40の全ての棚44にワークWが収納された状態である。なお、マガジン40の最下段の棚44にワークWが収納された状態とは、マガジン40が上昇位置P3(最上限位置)に位置する状態である(図3の位置参照)。
【0064】
(ワーク貯留状態)
ここで、ワーク貯留部30のマガジン40にワークWが収納された状態について説明する。
マガジン40にワークWが満載されているとき、マガジン40は、上昇位置P3に位置している(図3参照)。このとき、マガジン40の最下段の棚44の高さ位置は搬入出コンベア20の高さである。なお、最下段の棚44を構成するワーク受け部材44a,44bのワーク載置面の高さ位置は、より詳細には、搬入出コンベア20の搬送面21a,22aの高さ位置H2よりも、少しだけであるが、高い位置H3(図6(C)参照)であることが好ましい。つまり、最下段の棚44のワークWは、搬入出コンベア20の搬送面21a,22aから離間した状態であることが好ましい。ワークWが搬入出コンベア20から離間していれば、ワーク収納時に搬入出コンベア20を誤って動作させても、ワークWの傷つきがより確実に防止される。
【0065】
(ワーク搬出動作)
次に、前述の状態からワークWをマガジン40からワーク搬送路90に搬出する動作について説明する。この場合の動作は、基本的には、上記収納時の動作が逆順で行われるような動作である。
【0066】
ワークWがマガジン40の全ての棚に収納された状態で、まず、昇降部31が下降を開始する。昇降部31が下降するとマガジン40が下降し、マガジン40の最下段の棚44を構成するワーク受け部材44a,44bの載置面の高さ位置が搬入出コンベア20の搬送面21a,22aの高さ位置H2(図6(B)参照)と一致し、ワークWが搬入出コンベア20の搬送面21a,22aに接する状態になる。つまり、ワークWが搬入出コンベア20に支持された状態になる。そして、昇降部31がさらに下降し、ワークWはマガジン40のワーク受け部材44a,44bから離間する。これにより、ワークWは、搬入出コンベア20上に載置された状態になる。
【0067】
ワークWが搬入出コンベア20に載置されると、昇降部31の下降が停止する。そして、ワーク搬送路90及び搬入出コンベア20が作動する状態になる。このとき、ワーク搬送路90及び搬入出コンベア20は、いずれも、ワークWをワーク貯留部30からワーク搬送路90に向けて搬出する向きDout(図3参照)に搬送する。搬入出コンベア20が作動すると、搬入出コンベア20上のワークWがワーク搬入出装置1Aから搬出され、ワーク搬送路90に受け渡される(図4参照)。ワークWがワーク搬送路90に受け渡されると、搬入出コンベア20の動作が停止する。これにより、ワーク搬送路90へのワークWの搬出が完了する。
【0068】
ワークWがマガジン40から搬出されると、昇降部31の下降が再開され、最下段の棚44の一段上の棚44に収納されていたワークWが搬入出コンベア20上に載置された状態になる。そして、搬入出コンベア20上のワークWがワーク搬送路90へと搬出される。なお、搬入出コンベア20上に載置されたワークWがワーク搬送路90に搬出される動作の流れは、先に説明した流れと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。このようなワークWの搬出動作が繰り返され、最終的には、マガジン40の最上段の棚44に収納されていたワークWがワーク搬送路90へと搬出される(図1参照)。この状態は、マガジン40に収納されていた全てのワークWがワーク搬送路90へと搬出された状態である。
【0069】
なお、上記動作説明では、マガジン40の全ての棚44にワークが収納されたときに収納動作が終了しているが、ワーク収納動作は、全ての棚44にワークWが収納されていない状態で終了してもよい。また、マガジン40に収納されたワークWを搬出する動作は、一部の棚44にのみワークWが収納された状態から開始してもよい。
【0070】
(マガジンの棚の構造について)
ところで、上記実施例におけるマガジン40の棚44を構成するワーク受け部材44a,44bは、図1、図6及び図7等に示されるように、水平に配置された板状の部材であるが、図8に示されるように、棚を構成するワーク受け部材81a,91a-b,91a-tは、棚に載置されたワークWの飛び出しを防止する突出部82(図8(A1)等参照)や突出部92-t,92-b(図8(B1)等参照)を備えているものでも良い。なお、図8の(A1)から(B3)は、図1のA−A断面の一部を示す模式図である。これらの突出部82,92-t,92-bは、垂直上方に突出した板状の部材であり、ワーク搬入方向D1に対して直交する状態で配置されている。なお、図8はワーク受け部材44a,44bの高さ位置を説明するための模式図であり、図8における部材の大きさや配置は適宜的に定められたものである。
【0071】
図8の(A1)から(A3)に示されるワーク受け部材81aの突出部82は、より詳細には、全て同じ高さである。このような突出部82を備えるワーク受け部材81aの場合、上記「ワーク貯留動作」におけるワーク受け部材44a,44bのワーク載置面の低い位置H1(図6(A)参照)に対応する位置は、図8(A1)に示される位置H1であり、ワーク載置面のみならず突出部82の先端が搬送面21a,22aの高さ位置H2より低い位置になっている。そして、高い位置H3図6(C)参照)に対応する位置は、図8(A3)に示される位置である。
【0072】
また、図8の(B1)から(B3)に示されるワーク受け部材91aの突出部92の高さを比較すると、ワーク搬入方向D1の先端側のワーク受け部材91a-tの第1突出部92-tの方が、ワーク搬入方向D1の後端側のワーク受け部材91a-bの第2突出部92-bよりも高さが高くなっている。このような突出部92-t,92-bを備えるワーク受け部材91aの場合、上記「ワーク貯留動作」におけるワーク受け部材44a,44bのワーク載置面の低い位置H1に対応する位置は、図8(B1)に示される位置であり、ワーク載置面及び第2突出部92-bの先端が搬送面21a,22aの高さ位置H2より低く、第1突出部92-tの先端が搬送面21a,22aの高さ位置H2より高い位置になっている。そして、高い位置H3に対応する位置は、図8(B3)に示される位置である。
【0073】
なお、ワーク受け部材の構成が異なれば、ワーク受け部材の低い位置H1及び高い位置H3も異なるが、ワーク搬入出装置1Aの「ワーク貯留動作」や「ワーク搬出動作」は、上述した動作と同様である。したがって、ここではワーク搬入出装置1Aの動作説明を省略する。
【0074】
図8に示される構成のワーク受け部材81a,91aで棚44を構成すれば、ワーク受け部材81a,91aの載置面の高さ位置が搬入出コンベア20の搬送面21a,22aの高さ位置H2(図8(A2)、(B2)参照)や高い位置H3(図8(A3)、(B3)参照)のとき、棚上のワークWはマガジン40のワーク支持部41a,41bと棚44の突出部82,92-t,92-bとによって取り囲まれた状態になる。つまり、ワーク受け部材81a,91aが突出部82,92-t,92-bを備えるものであれば、棚上のワークWの棚からの飛び出しが確実に防止され、飛び出しに起因するワークWの傷付きがより確実に防止される。
【0075】
また、図8(B1)等に示される構成のワーク受け部材91aで棚を構成すれば、ワーク搬送路90からワーク搬入出装置1Aへのワーク搬入時、ワークWのマガジン40からのはみ出しがより確実に防止される。図8(B1)等に示されるような第1突出部92-tがない場合、ワーク搬入時のワーク搬送が過剰であればワーク先端部がマガジン40からはみ出した状態でワークWが停止し、反対にワーク搬送が不足すればワーク後端部がマガジン40からはみ出した状態でワークWが停止する虞がある。この点、図8(B1)等に示される構成のワーク受け部材91aで棚44を構成すれば、第1突出部92-tによって、ワーク先端部のマガジン40からの飛び出しや、はみ出しを確実に防止することができ、しかも、ワークWの搬送距離が不足しないように搬送制御をすることで、ワーク後端部がマガジン40からはみ出した状態で停止することを確実に防止することができる。つまり、図8(B1)等に示される構成のワーク受け部材91aで棚を構成すれば、ワーク搬入時、ワークWをより確実にワーク搬入出位置Pe(図2の位置参照)に停止させることができる。なお、ワークスルー工程を考慮する必要がある場合(後述の図29(A)のS4参照)は、第1突出部92-tの上端位置が高さ位置H2よりも低い位置になるように、棚44(ワーク受け部材91a-t,91a-b)の位置を図8(B1)に示される高さ位置より低い位置に位置させる。これにより、ワークWをスルーさせることができる。
【0076】
(第2実施例)
次に、本発明に係る別実施例のワーク搬入出装置1Bについて、図面を参照しつつ説明する。なお、ここでは、上記実施例と共通の構成については、同一の符号を付す。また、同一の符号を付した構成については、その説明を省略することがある。
【0077】
第1実施例のワーク搬入出装置1Aは、ワーク貯留部30のマガジン40が昇降部31に固定されたものであったが、本実施例のワーク搬入出装置1Bでは、図9に示されるように、ワーク搬入出装置1Aとは異なり、昇降部31に対して着脱自在に設置されるマガジンカセット(マガジン)40Cが用いられている。別言すれば、マガジンカセット40Cは、昇降部31の上に搬入出自在に載置される。そして、本実施例のワーク搬入出装置1Bは、マガジンカセット40Cを昇降部31に搬入出するためのカセット搬送機構(以下、カセット搬送路)50を備えている。
【0078】
また、第1実施例のワーク搬入出装置1Aは、ワーク搬送路90の一端部に隣接して設置されたものであったが、本実施例のワーク搬入出装置1Aに相当する部分(以下、ワーク搬入出ユニット1a)は、第1実施例とは異なり、連続して設置されたワーク搬送路90,91によって構成されるワーク搬送経路の途中に設置されたものである。つまり、ワーク搬入出ユニット1aは、ワーク搬送路90と第2ワーク搬送路91との間に設置されている。したがって、ワークWをワーク搬送路90からワーク搬入出ユニット1aの搬入出コンベア20を経て、第2ワーク搬送路91へと搬送することができる。また、先に搬出された(下流側に位置する)ワークWを、後から搬出された(上流側に位置する)ワークWが追い越すような搬送など、ワークWの搬送順を変更することも可能である。なお、以下の説明では、上記ワーク搬送路90を、便宜上、第1搬送路90と称する。
【0079】
ワーク貯留部30の昇降部31は、上昇位置P3(図12の位置参照)よりも上方の上待避位置P4(図11の位置参照)と、下降位置P2(図10の位置)よりも下方の下待避位置P1(図15の位置参照)に昇降可能である。
そして、昇降部31を構成する第1昇降部31a材及び第2昇降部材31bは、マガジンカセット40Cが載置される上面側の載置部に、マガジンカセット搬入出機構33を備えている。このマガジンカセット搬入出機構33は、マガジンカセット40Cをワーク搬送方向D1に搬入出するためのものであり、第1支柱32a側の第1マガジンカセット搬入出機構33aと、第2支柱32b側の第2マガジンカセット搬入出機構33bとで構成されている。なお、具体的には、マガジンカセット搬入出機構33は、ワーク搬送方向D1に延在するベルトコンベアである。
【0080】
カセット搬送路50は、ワーク貯留部30の昇降部31に搬入する空のマガジンカセット40Cを搬送するためのカセット搬入路51と、ワーク貯留部30の昇降部31から搬出されたワーク収納状態のマガジンカセット40Cを搬送するためのカセット搬出路52とを備えている。
これらのうち、カセット搬入路51は、昇降部31の下待避位置P1と同じ高さに設けられており、カセット搬出路52は、昇降部31の上待避位置P4と同じ高さに設けられている。したがって、本実施例のワーク搬入出装置1Bでは、昇降部31が下待避位置P1のとき、当該昇降部31にマガジンカセット40Cを搬入することができ、昇降部31が上待避位置P4のとき、当該昇降部31からマガジンカセット40Cを搬出することができる。また、カセット搬入路51及びカセット搬出路52は、いずれも、ワーク搬送方向D1に延在している。したがって、マガジンカセット40Cは、カセット搬入路51及びカセット搬出路52上では、ワーク搬送方向D1と同じ方向に搬送される。
【0081】
第2ワーク搬送路91は、ワーク搬入出ユニット1aを挟んで、第1ワーク搬送路90とは反対側に設置されている。つまり、第2ワーク搬送路91は、第2ワーク搬送体22に隣接して設置されており、第2ワーク搬送路91の延在方向は、第1ワーク搬送路D1と同じ方向である。つまり、第2ワーク搬送路91は、ワーク搬送方向(搬入方向)D1にワークWを搬送するものである。また、第2ワーク搬送路91は、カセット搬入路51とカセット搬出路52との間の高さ位置、別言すれば、第1ワーク搬送路90と同じ高さ位置に設置されている。したがって、本実施例では、第1ワーク搬送路90からワーク搬入出ユニット1aを経て第2ワーク搬送路91にワークWを搬送することができる。また、各ワーク搬送路90,91及び各ワーク搬送体21,22のワーク搬送方向を逆向きにすることにより、逆向きにもワークWを搬送することができる。
【0082】
このようなワーク搬入出装置1Bの動作等について、ワーク滞留動作、ワーク搬出動作及びマガジンカセットの搬入出動作を説明する。なお、ここでは、第1実施例と同様の動作についての説明を省略する。
【0083】
(ワーク滞留動作)
ここでは、ワークWは、第1ワーク搬送路90から、ワーク搬入出ユニット1aを経て第2ワーク搬送路91側に向けて矢印Din方向に搬送されるものとする(図9参照)。
このような状況の下、第2ワーク搬送路91よりもワーク搬送方向下流側の装置が何らかの原因で停止し、一方で、第1ワーク搬送路90よりもワーク搬送方向上流側の装置の動作を続行することがある。この場合は、ワークWを一時的にマガジンカセット40Cに収納してワークWを滞留させる。
【0084】
ワークWを滞留させる場合は、まず、昇降部31を昇降させてマガジンカセット40Cを下降位置P2に位置させる(図10参照)。すると、第1ワーク搬送路90からワーク搬入出ユニット1aに搬入されたワークWをマガジンカセット40Cに収納できる状態になる。なお、この収納動作は、基本的には、第1実施例の「ワーク貯留動作」のところで説明した動作と同様である。したがって、ここでは、その説明を省略する。
【0085】
(ワーク搬出動作)
次に、マガジンカセット40Cに収納したワークWを第2ワーク搬送路91に搬出する動作について説明する。なお、ここでは、マガジンカセット40CにワークWが満載された状態からワークWを搬出する動作を説明する。
【0086】
ワークWが満載された状態のマガジンカセット40Cは、上待避位置P4(図11の位置参照)又は上昇位置P3(図12参照)に位置している。なお、マガジンカセット40Cが上待避位置P4に位置している場合は、まず、マガジンカセット40Cを上昇位置P3に移動させる。マガジンカセット40Cが上昇位置P3であるとき、マガジンカセット40Cの最下段の棚44の高さが搬入出コンベア20の高さ位置に一致している(図12参照)。このとき、マガジンカセット40Cの最下段の棚44のワークWは、搬入出コンベア20から離間した状態である。なお、このとき第1搬送路は作動していてもよいが、停止していることが好ましい。
【0087】
この状態から、昇降部31を矢印a方向(図12参照)に下降させる。すると、マガジンカセット40Cが下降して、マガジンカセット40Cの最下段の棚44に載置されていたワークWが搬入出コンベア20上に載置された状態になる。
ワークWが搬入出コンベア20に載置されると、昇降部31の下降が停止する。そして、搬入出コンベア20及び第2ワーク搬送路91が作動する状態になる。
搬入出コンベア20が作動すると、搬入出コンベア20上のワークWが矢印b方向(図13参照)に移動してマガジンカセット40Cから搬出され、第2ワーク搬送路91に受け渡される(図13参照)。
ワークWが第2ワーク搬送路91に受け渡されると、搬入出コンベア20の動作が停止する。これにより、第2ワーク搬送路91へのワークWの搬出が完了する。
【0088】
ワークWがマガジンカセット40Cから搬出されると、昇降部31の下降が再開され、最下段の棚44の一段上の棚44に収納されていたワークWが搬入出コンベア20上に載置された状態になる。そして、搬入出コンベア20上のワークWが第2ワーク搬送路91へと搬出される。なお、搬入出コンベア20上のワークWを第2ワーク搬送路91に搬出する動作は、ワークWを搬出する向きが異なるだけで、先に説明した流れと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
このようなワークWの搬出動作が繰り返されて、マガジンカセット40Cの最上段の棚44のワークWが第2ワーク搬送路91へと搬出されると、搬出作業が終了する。
【0089】
(マガジンカセットの搬入出動作)
上記ワーク滞留動作によって、ワークWをマガジンカセット40Cに滞留させたときに、マガジンカセット40Cがワーク満載状態(図11,12参照)になると、次のマガジンカセット40Cが必要である。この場合、ワークWが満載されたマガジンカセット40Cが昇降部31から搬出され、空のマガジンカセット40Cが昇降部31に搬入される。その動作について説明する。
【0090】
マガジンカセット40Cの最下段の棚44にワークWが収納されて、マガジンカセット40CがワークWで満載状態になったとき、マガジンカセット40Cは上昇位置P3に位置している(図12参照)。
このマガジンカセット40Cを搬出する場合は、まず、昇降部31を上待避位置P4に上昇させる(図11参照)。すると、昇降部31の高さ位置がカセット搬出路52の高さ位置に達する。この状態で、昇降部31のマガジンカセット搬入出機構33及びカセット搬出路52を動作状態にする。すると、マガジンカセット40Cが昇降部31からカセット搬出路52に搬出される(図14参照)。なお、図示しないが、ワーク貯留部30からカセット搬出路52へマガジン40Cを排出した時にマガジンが完全にカセット搬出路52へ搬出されたとき(図9のカセット搬出路52上のマガジン40Cの位置)、マガジン40Cの搬送方向前端位置にマガジンの在荷(到着)センサが設けてあり、該センサが反応しない限り、昇降部31は下降を開始しないように設定してある。
【0091】
マガジンカセット40Cのカセット搬出路52への搬出が完了すると、昇降部31を下待避位置P1まで下降させる(図15参照)。下降動作中、マガジンカセット搬入出機構33の動作は停止させる。下待避位置P1の昇降部31の高さ位置は、カセット搬入路51の高さ位置になる。この状態で、昇降部31のマガジンカセット搬入出機構33及びカセット搬入路51を動作状態にする。すると、カセット搬入路51上の空のマガジンカセット40Cが昇降部31に搬入される(図9参照)。同様に、図示しないが、カセット搬入路51と反対側のマガジンカセット搬入出機構33の端部にはマガジンが進入してきたことを検出する在荷(到着)センサが設けてあり、該センサが反応しない限り昇降部31はマガジンを上昇させないように設定してある。マガジンカセット40Cの昇降部31への搬入が完了すると、マガジンカセット搬入出機構33の動作が停止する。そして、昇降部31が下待避位置P1から下降位置P2に上昇される(図10参照)。これにより、マガジンカセット40Cの最上段の棚44の位置が搬入出コンベア20の高さ位置に一致し、ワークWをマガジンカセット40Cに収納できる状態になる。つまり、上述のワーク滞留動作を再開することができる状態になる。
【0092】
(第2実施例の改変例)
なお、上記第2実施例のワーク搬入出装置1Bは、上記実施例のような設置状態の他、ワーク搬送経路の終端位置に設置することも可能である。例えば、上記第2実施例では設置されている第2ワーク搬送路91が設置されていないような場合である。この場合、ワーク搬入出装置1B’は、図16に示されるように、第1ワーク搬送路90の終端位置に設置されることなる。そして、ワークWは、第1実施例の場合と同様、第1ワーク搬送路90からワーク搬入出装置1B’に搬入され、ワーク搬入出装置1B’から第1ワーク搬送路90へと搬出される。
なお、ワークの搬入出動作は、第1実施例で説明した動作と同様であり、マガジンカセットの搬入出動作は、第2実施例のところで既に説明した動作と同様であるので、ここでは、ワーク搬入出装置1B’の動作説明を省略する。
【0093】
また、さらに異なるものが考えられる。例えば、図16に示されるように、ワーク搬入出ユニットを1つ備えるワーク搬入出装置1B’に、さらにもう一つワーク搬入出ユニットを加えたワーク貯留システム1Cである。
図17(A)に示されるワーク貯留システム1Cは、図16のワーク搬入出装置1Bが備えているワーク搬入出ユニットと同様の第1ワーク搬入出ユニット1b-xと、それとは別の第2ワーク搬入出ユニット1b-yと、両ワーク搬入出ユニット1b-x,1b-yの間に配置されたカセット搬送路50とを備えた構成になっている。
このワーク貯留システム1Cは、ワーク搬送経路の終端部に設置して用いることが可能であるが、ワーク搬送経路の途中に設置して用いることが好ましい。図17(A)では、ワーク貯留システム1Cは、第1ワーク搬送路90と第2ワーク搬送路91との間に設置されて用いられる。そして、この場合、ワークWは、第1ワーク搬送路90からワーク搬入出装置1Cを経て、第2ワーク搬送路91へと搬送される。
【0094】
ここで、ワーク貯留システム1Cの動作を、図17(B)及び(C)を用いて簡単に説明する。
なお、第1ワーク搬入出ユニット1b-xへのワークWの搬入動作及び第2ワーク搬入出ユニット1b-yからのワークWの搬出動作は、第1実施例で説明した動作と同様であり、各ワーク搬入出ユニット1b-x,1b-yとカセット搬送路50との間におけるマガジンカセット40Cの搬入出動作は、第2実施例のところで既に説明した動作と同様である。したがって、ここでは、ワーク貯留システム1Cの動作については、その概要を説明し詳細については省略する。また、図17(B)及び(C)は、動作中のマガジンカセット40Cの位置を説明するための模式図である。
【0095】
ワークWは、第1ワーク搬送路90から第1ワーク搬入出ユニット1b-xに搬入されて、マガジンカセット40Cに貯留される(図17(A)参照)。この第1ワーク搬入出ユニット1b-xにワークWが次々と搬入され、マガジンカセット40Cがワーク満載状態になると、マガジンカセット40Cは、第1ワーク搬入出ユニット1b-xの上待避位置P4(図17(B)参照)に上昇され、カセット搬送路50のカセット搬出路52上の位置P5に搬出される。カセット搬出路52上に搬出されたマガジンカセット40Cは、第2ワーク搬入出ユニット1b-yの上待避位置P6に搬入される。なお、カセット搬出路52上に複数のマガジンカセット40Cがある場合、マガジンカセット40Cは第2ワーク搬入出ユニット1b-yに近いものから順次搬入される。
そして、第2ワーク搬入出ユニット1b-y内のマガジンカセット40CからワークWが次々と第2ワーク搬送路91に搬出され、マガジンカセット40Cが空になると、空になったマガジンカセット40Cは、第2ワーク搬入出ユニット1b-yの下待避位置P7(図17(C)参照)に下降され、カセット搬入路51の位置P8に搬出される。カセット搬入路51上に搬出されたマガジンカセット40Cは、第1ワーク搬入出ユニット1b-xの下待避位置P1に搬入される。なお、カセット搬入路51上に複数のマガジンカセット40Cがある場合、空のマガジンカセット40Cは第1ワーク搬入出ユニット1b-xに近いものから順次搬入される。
そして、第1ワーク搬入出ユニット1b-xに搬入されたマガジンカセット40Cに、第1ワーク搬送路90からのワークWが搬入され、貯留される(図17(A)参照)。このように、当該ワーク貯留システム1Cでは、マガジンカセット40Cは、ワークWを搬送するための容器として循環使用される。
【0096】
なお、複数(3つ以上、好ましくは4つ以上)のマガジンカセット40Cを用いると、第1ワーク搬入出ユニット1b-xからワーク満載状態のマガジンカセット40Cが搬出された後、直ぐに第1ワーク搬入出ユニット1b-xに空のマガジンカセット40Cを搬入することができ、第2ワーク搬入出ユニット1b-yから空のマガジンカセット40Cが搬出された後、直ぐに第2ワーク搬入出ユニット1b-yにワーク満載状態のマガジンカセット40Cを搬入することができるので、搬送効率に優れたものにすることができる。
【0097】
また、このようなワーク貯留システム1Cにおいて、第2ワーク搬送路91よりもワーク搬送方向下流側の装置が何らかの原因で停止し、その一方で第1ワーク搬送路90よりもワーク搬送方向上流側の装置の動作を続行することがある。このような場合、本ワーク貯留システム1Cでは、ワーク満載状態のマガジンカセット40Cをカセット搬出路51上に滞留させることで、簡単にワークWの第2ワーク搬送路91への搬出を停止させることができる。つまり、本ワーク貯留システム1Cによれば、容易にワークWをワーク搬送経路上に滞留させることができる。
【0098】
また、上記ワーク貯留システム1Cは、ワーク搬入出ユニットを2つ備えているものであるが、ワーク搬入出ユニットは3つ以上であってもよい。この場合、複数のワーク搬入出ユニットが隣接設置された配置が含まれる構成と、ワーク搬入出装置相互間に必ずマガジン搬送路50が配置される構成とが考えられる。後者の構成の場合、マガジン搬送路50を複数用いることになる。
【0099】
(第3実施例)
次に、本発明に係る別のワーク貯留システム1Dについて、図面を参照しつつ説明する。なお、ここでは、ワーク貯留システム1Dの一部を構成するワーク搬入出ユニット1Aは、第1実施例のワーク搬入出装置1Aと共通の構成であるので、共通の構成には同一の符号を付す。そして、同一の符号を付した構成については、その説明を省略することがある。
【0100】
図18から図27に示されるように、当該ワーク貯留システム1Dは、ワーク搬入出ユニット1Aを複数備えるものである。なお、本実施例のワーク貯留システム1Dは、ワーク搬入出ユニットを2つ備えているものであるが、ワーク搬入出ユニットは3つ以上であってもよい。また、第1実施例のワーク搬入出装置1Aは、ワーク搬送路90の一端部に隣接して設置されたものであったが、本実施例のワーク貯留システム1Dは、第1実施例のワーク搬入出装置1Aとは異なり、ワークWを第1ワーク搬送路90からワーク貯留システム1Dを経て第2ワーク搬送路91へと搬送する搬送経路の途中に設置されている。この点で、本実施例のワーク貯留システム1Dは、第2実施例のワーク搬入出装置1Bと共通しており、ワークWを搬送するための第2ワーク搬送路91が設置されている。
【0101】
図18に示されるように、複数のワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yは、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-y の搬入出コンベア20が直列に並ぶように配置されている。そして、複数のワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yのうち、一端に配置された第1ワーク搬入出ユニット1A-xの搬入出コンベア20に隣接して、第1ワーク搬送路90が配置されている。また、第1ワーク搬送路90から最も遠い他端側に配置された第2ワーク搬入出ユニット1A-yに隣接して、第1ワーク搬送路90とは別の第2ワーク搬送路91が配置されている。つまり、第1ワーク搬送路90と、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yの搬入出コンベア20と、第2ワーク搬送路91は、一直線上に並んでいる。したがって、ワークWを第1ワーク搬送路90から各搬入出コンベア20を経て、第2ワーク搬送路91へと搬送することができる。また、先に搬出された(下流側に位置する)ワークWを、後から搬出された(上流側に位置する)ワークWが追い越すような搬送など、ワークWの搬送順を変更することが可能である。
【0102】
そして、図28に示されるように、ワーク貯留システム1Dは、システム全体を制御する制御部61と、ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yの上流に設置されたワーク種別判別用のセンサ(ワーク種別判別手段)62とを備えている。センサ62としては、ワークWの形状、大きさ、色、表面の模様、あるいは重量などに基づいてワークWの種類を判別する周知のセンサを用いることができる。本実施例では、センサ62として、ワークWの表面の模様(パターン)を認識する周知のパターン認識センサが用いられている。なお、センサの詳細な説明をここでは省略する。センサ62の設置位置は、センサによるワーク種別検出後、次の動作までの時間を確保するためには、ワーク搬入出ユニット1A-xの上流側が好ましい。
そして、制御部61は、センサ62からの情報に基づいてワークWの種類を判別し、当該ワークWを、その種類に応じた搬送先に搬送するようにシステムを制御するものである。また、制御部61は、下流側に設置された処理装置からの要求に応じたワークWを下流側に供給できるように、システムを制御するものである。
【0103】
このようなワーク貯留システム1Dについて、フローチャート(図29参照)を参照しつつ、ワーク滞留動作を含むワーク搬送動作及びワーク供給動作を説明する。なお、第1実施例のところで既に説明したワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yの動作については、詳細説明を省略することがある。
【0104】
(ワーク搬送動作)
まず、第1ワーク搬送路90から搬送されてくるワークWを、各マガジン40に種類別に収納する場合について説明する(図29(A)参照)。
本実施例のワーク貯留システム1Dは、2つのワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yを備えるものであるので、ここでは、貯留せずにワークWを搬送する場合(スルーさせる場合)を含め、3種類のワーク種別を判別する場合について説明する。そして、ここでは、第1ワーク搬入出ユニット1A-xに第1ワークWxを貯留し、第2ワーク搬入出ユニット1A-yに第2ワークWyを貯留する場合を説明する。
【0105】
また、第1ワーク搬送路90から第2ワーク搬送路91側にワークWを搬送するとき、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yのマガジン40は、いずれかの棚44の高さ位置が搬入出コンベア20の高さ位置に一致する状態になっている(図18参照)。このような状態であれば、搬入出コンベア20によって、第1ワーク搬送路90からのワークWを第2ワーク搬送路91側に搬送することができる。なお、図18では、いずれのマガジン40とも、最上段の棚44が搬入出コンベア20の高さ位置に一致する状態である。
【0106】
このような状態のとき、第1ワーク搬送路90によってワークWが搬送されてくると、センサ62は、ワークWを検知し、検知情報を制御部61に送信する(ワーク検知工程、ステップ1(=S1、図29(A)参照))。センサ62からの送信情報には、検知したワークWの形状等の外観を認識して得たパターン情報が含まれている。
【0107】
制御部61は、センサ62からのパターン情報に基づいて、ワークWの種別を判定し(ワーク種別判定工程S2)、判定結果に基づいて、ワークWの搬送先を認定する(搬送先認定工程S3)。搬送先認定工程S3は、より具体的には、検知したワークWを第1ワーク搬入出ユニット1A-xに搬入するか、第2ワーク搬入出ユニット1A-yに搬入するか、いずれにも貯留させることなく下流側に搬送するかを認定する工程である。
この認定は、基本的には、ワークWの種別に基づいて行われるが、必要に応じて、下流側の装置からの要求を考慮して行なってもよい。例えば、センサ62で検知したワークWが第1ワークWxであると判定したときに、下流側の装置から第1ワークWの供給要請が来ているような場合が考えられる。このような場合に、検知したワークWの搬送先を第1ワーク搬入出ユニット1A-xと認定するのではなく、下流の装置と認定し、当該第1ワークWxを第2ワーク搬送路91側に搬送して下流側の装置の要求に応じるようにしてもよい。このような特急処理に対応するようにしてもよい。
【0108】
制御部61は、搬送先認定工程S3における認定結果に基づいてシステムを作動させて、ワークWを認定先に搬送し、必要に応じて貯留する(ワーク搬送工程S4)。例えば、検知したワークWが第1ワークWxであるという判定結果であった場合、第1ワークWxは第1ワーク搬入出ユニット1A-xに搬入され(図19参照)、マガジン40が矢印c(図19参照)の方向に移動して上昇されて第1ワークWxが貯留される(図20参照、ワーク搬送貯留工程S4)。他方、検知したワークWが第2ワークWyであるという判定結果であった場合、第2ワークWyは、第2ワーク搬入出ユニット1A-yに搬入され(図21参照)、マガジン40が矢印c(図21参照)の方向に移動して上昇されて第2ワークWyが貯留される(図22参照、ワーク搬送貯留工程S4)。また、検知したワークWが第1ワークWx又は第2ワークWyでないという判定結果であった場合や下流側の装置から要求されたワークWである場合、そのワークWは、両ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yを通過して下流側に搬送される(図23の矢印d参照、ワークスルー工程S4)。
【0109】
そして、制御部61は、ワーク貯留後(又はワークスルー後)、マガジン40が上限位置P3(図24参照)に達しているか否かを検知し(マガジン位置検知工程S5)、マガジン40が上限に達していなければ貯留動作を続けるために、ワーク検知工程S1に戻る。他方、マガジン40が上限位置P3である場合、そのマガジン40はワークWが満載の状態であると判断し、ワーク貯留動作を終了する(S6)。なお、マガジン40がワーク満載状態になったワーク搬入出ユニットについてのみワーク貯留動作を終了し、その他のワーク貯留余地があるワーク搬入出ユニットについてはワーク貯留動作を続行するようにしてもよい。また、ワークスルー動作だけを続行するようにしてもよい。
【0110】
(ワーク供給動作)
次に、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yに貯留されたワークWを下流側の第2ワーク搬送路91に搬出し、下流側の装置に供給するワーク供給動作について説明する(図29(B)参照)。
ここでは、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yの各マガジン40がいずれも上昇位置P3に位置しており、各マガジン40に多数のワークWが収納されている状態(図24参照)を基点として、ワーク供給動作を説明する。
【0111】
ワーク供給動作では、ワーク貯留システム1Dの制御部61に、ワーク貯留システム1Dの下流側の装置において必要とされるワークWの種別情報が順次入力される(ワーク要求工程S11、図29(B)参照)。
制御部61は、入力された情報に基づいて、供給すべきワークWの種別を判定し(ワーク種別判定工程S12)。判定結果に基づいて、供給すべきワークWが貯留されているワーク搬入出ユニットを認定する(搬出元認定工程S13)。搬出元認定工程S13は、より具体的には、供給すべきワークWが第1ワーク搬入出ユニット1A-xに貯留されているか、第2ワーク搬入出ユニット1A-yに貯留されているかを認定する工程である。
この認定は、基本的には、対応するワーク搬入出ユニット1Aを特定する工程であるが、必要に応じて、センサ62からの情報を考慮して行なってもよい。例えば、下流側の装置が要求するワークWが第1ワークWxであると判定したときに、センサ62がワークを検知し、検知したワークWが第1ワークWxであった場合が考えられる。このような場合に、供給すべきワークWの搬送元を第1ワーク搬入出ユニット1A-xと認定するのではなく、センサ62で検知した第1ワーク搬送路90上の第1ワークWxであると認定し、当該第1ワークWxを第2ワーク搬送路91側に搬送してもよい。このような特急処理に対応するようにしてもよい。
【0112】
制御部61は、搬出元認定工程S13における認定結果に基づいてワーク貯留システム1Dを作動させて、ワークWを下流側の装置に供給する(ワーク供給工程S14)。
ワーク供給工程S14は、より具体的には、ワークの搬出順やワーク同士の接触防止を管理する調整工程S14-1と、実際にワークを搬出する搬出工程S14-2とから構成されている。
【0113】
例えば、供給すべきワークWが第1ワークWxであるという判定結果であった場合、搬出元が第1ワーク搬入出ユニット1A-xであると認定される。搬出元が認定されると、続くワーク供給工程S14において、まず調整工程S14-1が行われる。
調整工程S14-1では、直前に搬出したワークWの位置が搬出元(ここでは第1ワーク搬入出ユニット1A-x)より下流側であることを確認する。また、調整工程S14-1では、搬出元(ここでは第1ワーク搬入出ユニット1A-x)のワーク搬入出位置Pe(図2の位置参照)に搬出したワークWと接触するワークWが存在しないことを確認する。なお、直前に搬出したワークWの位置や、接触の虞があるワークの有無については、各搬入出ユニットに在席センサを設置し、当該センサからの情報に基づいて検出することができる。このような構成にすれば、より迅速かつ確実に装置を動作させることができる。そして、直前に搬出したワークWの位置が搬出元(ここでは第1ワーク搬入出ユニット1A-x)より上流側に位置している場合は、当該ワークWが下流側に搬送されたことを確認した後、搬出工程S14-2を実行する(図25,26参照)。また、接触の虞があるワークWが存在する場合は、当該ワークWが接触の虞のない位置まで搬送されたことを確認した後、搬出工程S14-2を実行する。ここで、搬出工程S14-2とは、マガジン40の下降動作(図24の矢印e参照)と、ワークWxの搬出動作(図25、26の矢印f参照)とが含まれる。なお、図27は、下流側の装置から第2ワークWyが要求され、第2ワーク搬入出ユニット1A-yから第2ワークWyを供給した状態を示すものである。より具体的には、第2ワーク搬入出ユニット1A-yのマガジン40が搬出工程S14-2のうちのマガジン下降動作(図27の矢印g参照)を行った状態である。また、在席センサとしては、例えば赤外線を用いた周知の在席センサなど、種々の周知在席センサを用いることが可能であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0114】
そして、制御部61は、ワーク供給後(又はワークスルー後)、マガジン40が下限位置P2(図18参照)に達しているか否かを検知し(マガジン位置検知工程S15)、マガジン40が下限に達していなければ供給動作を続けるために、ワーク要求工程S11に戻る。他方、マガジン40が下限位置P2である場合、そのマガジン40は空の状態であると判断し、ワーク供給動作を終了する(S16)。なお、マガジン40が空になったワーク搬入出ユニットについてのみワーク供給動作を終了し、その他のワーク供給能力があるワーク搬入出ユニットについてはワーク供給動作を続行するようにしてもよい。また、ワークスルー動作だけを続行するようにしてもよい。
【0115】
ワーク貯留システム1Dは、このような動作を行うことによって、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yのワーク貯留部30に貯留されていたワークWを、要求される任意の順番で排出し、搬出して第2ワーク搬送路91に供給することができる。なお、ワーク搬入出ユニットが3つ以上の場合であっても、制御する内容は基本的には同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0116】
また、上記各動作において、ワークWを対応するワーク搬入出ユニット1Aに搬送してマガジン40に貯留するワーク搬送貯留工程S4や、ワーク搬入出ユニット1AからワークWを搬出するワーク搬出工程S14-2は、第1実施例における動作と同様であるので、ここでは省略する。そして、ワークスルー工程は、各ワーク搬入出ユニット1Aの搬入出コンベア20を利用して、ワークWを第1ワーク搬送路90から第2ワーク搬送路91に搬送する工程であるので、ここではその説明を省略する。
【0117】
また、上記調整工程S14-1において、認識したワーク搬入出ユニットから搬出するワークWと他のワークWとの衝突防止方法としては、種々の方法が考えられる。本実施例のワーク貯留システム1Dでは、各ワーク搬入出ユニット1A-x,1A-yに設置された在席センサ(不図示)を用いている。つまり、これらのセンサによって、各ワーク搬入出ユニット1Aのワーク搬入出コンベア20上にワークが存在するか否かを検知することができ、その検知情報に基づいて、各ワーク搬入出ユニットにおけるワーク搬出動作を一時中断したり、ワーク同士の接触を防止したりすることができる。
【0118】
また、本発明に係るワーク貯留システム1Dは、前後にワーク搬送路90,91を備えているものであるが、ワーク搬送路91を省いたワーク貯留システムも可能である。この場合、当該ワーク貯留システムは、第1ワーク搬送路90からのワークWを、任意のワーク搬入出ユニット1Aのワーク貯留部30に搬入して貯留し、必要に応じて搬出するシステムとして用いられる。つまり、この場合のワーク貯留システムは、いわば、第1実施例や第2実施例のワーク搬入出装置と同様、ワークWを一時的にマガジンカセット40Cに滞留させる、いわゆるバッファシステムとして用いられる。
【0119】
なお、本願の発明は、以上の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、用途変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク搬送路からのワークが貯留されるワーク貯留部と、前記ワーク搬送路と前記ワーク貯留部との間に設けられ、ワーク貯留部に対してワーク搬入出を行う搬入出コンベアとを備えており、前記ワーク搬送路から搬送されてきたワークを前記搬入出コンベアにてワーク貯留部に搬入して貯留し、当該ワーク貯留部に貯留されていたワークを搬入出コンベアにてワーク搬送路に搬出するワーク搬入出装置であって、
前記ワーク貯留部は、ワークが収納されるマガジンと、当該マガジンを昇降させる昇降部とを備え、
前記搬入出コンベアは、ワークを水平方向に搬送するものであり、前記ワーク搬送路のワーク搬送高さと同じ高さ位置に設けられている
ワーク搬入出装置。
【請求項2】
前記ワーク貯留部の昇降部は、ワーク搬入出装置のベース部に対して昇降自在に設置されており、当該昇降部上に前記マガジンが設けられている請求項1に記載のワーク搬入出装置。
【請求項3】
前記搬入出コンベアは、ワーク長手方向をワーク搬送方向に向けた状態でワークを前記マガジンに搬出入するものであり、
前記マガジンは、ワーク幅方向の両端部にあるワーク幅方向端部をそれぞれ支持する一対のワーク支持部と、両ワーク支持部を相互に連結する連結部とを備え、
前記ワーク幅方向は、前記搬入出コンベアのワーク搬送方向と直交する方向である請求項1又は請求項2に記載のワーク搬入出装置。
【請求項4】
前記マガジンのワーク支持部は、複数枚のワークを垂直方向に収納する棚構造になっている請求項3に記載のワーク搬入出装置。
【請求項5】
前記マガジンの連結部は、前記両ワーク支持部の中途位置同士を連結するものである請求項4に記載のワーク搬入出装置。
【請求項6】
前記搬入出コンベアは、ワーク搬入出装置のベース部上に、前記両ワーク支持部の間に位置するように少なくとも1つ設けられている請求項4又は請求項5のいずれか一項に記載のワーク搬入出装置。
【請求項7】
前記搬入出コンベアは、前記両ワーク支持部と前記連結部とで囲まれる空間に位置するように設けられている請求項6に記載のワーク搬入出装置。
【請求項8】
前記マガジンは、前記ワーク貯留部の前記昇降部に着脱自在に載置されるマガジンカセットであり、
前記搬入出コンベアは、前記マガジンカセットの連結部を挟んで、ワーク搬送方向に並べて配置される第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備え、
前記第1ワーク搬送体は、ワーク搬送路に隣接して設けられ、
前記第2ワーク搬送体に隣接して、前記マガジンカセットを搬送するカセット搬送路が設けられ、
前記昇降部は、前記マガジンカセットの載置部に、マガジンカセットをワーク搬送方向に搬入出するカセット搬入出機構を備えている請求項4から請求項7のいずれか一項に記載のワーク搬入出装置。
【請求項9】
前記ワーク貯留部の昇降部は、上待避位置と下待避位置とに昇降可能に設置され、
前記カセット搬送路は、前記昇降部の上待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬出路と、前記昇降部の下待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬入路とを備えている請求項8に記載のワーク搬入出装置。
【請求項10】
前記カセット搬出路と前記カセット搬入路との間に、前記第2ワーク搬送体に隣接して、前記ワーク搬送路と同じ高さの第2ワーク搬送路がさらに設けられている請求項9に記載のワーク搬入出装置。
【請求項11】
前記棚構造を構成する各棚は、前記マガジンに取り付けられたワーク受け部材によって構成されており、
前記ワーク受け部材は、ワークが載置される本体部と、当該ワーク受け部材に載置されたワークのワーク搬送方向の位置ズレを防止すべく、前記本体部におけるワーク搬送方向の上流側に設けられる突出部とを備えている請求項4から請求項10のいずれか一項に記載のワーク搬入出装置。
【請求項12】
前記ワーク貯留部の前記昇降部は、前記ワーク貯留部に対するワークの搬入出時に、ワーク搬入出先である棚の高さが前記搬入出コンベアの高さになるように、前記マガジンを昇降させるものであり、
前記ワーク貯留部へのワーク搬入時、前記昇降部は、ワーク貯留部へのワークの搬入動作中にはワーク収納先の棚を構成する前記ワーク受け部材の突出部の上端高さを前記搬入出コンベアのワーク搬送面の高さよりも低い低位置に位置させ、前記ワーク搬入動作終了後、前記マガジンを上昇させて、ワークが収納された棚を構成する前記ワーク受け部材のワーク載置面の高さを前記搬入出コンベアのワーク搬送面の高さよりも高い高位置に上昇させ、収納されたワークを貯留状態にするものであり、
前記貯留部からのワーク搬出時、前記昇降部は、前記マガジンを前記高位置から前記低位置に下降移動させた後にワーク搬出動作を開始させるように、前記マガジンを昇降させるものである請求項11に記載のワーク搬入出装置。
【請求項13】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のワーク搬入出装置を複数備えるワーク貯留システムであって、
当該複数のワーク搬入出装置は、各ワーク搬入出装置の搬入出コンベアが直列に並ぶように配置され、
一端に配置された第1ワーク搬入出装置の前記搬入出コンベアに隣接して、前記ワーク搬送路が設けられ、
前記ワーク搬送路からのワークを、任意のワーク搬入出装置のワーク貯留部に搬入して貯留し、各ワーク搬入出装置のワーク貯留部に貯留されていたワークを任意の順番で排出して搬出し、前記ワーク搬送路に供給するワーク貯留システム。
【請求項14】
前記ワーク搬送路から最も遠い他端側に配置された第2ワーク搬入出装置に隣接して、前記ワーク搬送路とは別のワーク搬送路が設けられている請求項13に記載のワーク貯留システム。
【請求項15】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のワーク搬入出装置を少なくとも2つ備えるワーク貯留システムであって、
2つのワーク搬入出装置の前記ワーク貯留部の昇降部は、上待避位置と下待避位置とに昇降可能に設置され、
当該昇降部は、前記マガジンカセットの載置部に、マガジンカセットをワーク搬送方向に搬入出するカセット搬入出機構を備え、
2つのワーク搬入出装置の前記搬入出コンベアは、前記連結部を挟んで、ワーク搬送方向に並べて配置される第1ワーク搬送体および第2ワーク搬送体を備え、
当該2つのワーク搬入出装置は、搬入出コンベアが直列であり、かつ前記第2ワーク搬送体同士が向き合う状態で、間隔を空けて設置され、
2つのうちの一方である第1ワーク搬入出装置の前記第1ワーク搬送体に隣接してワーク搬送路が設けられ、
向き合う状態で配置されている2つの前記第2ワーク搬送体の間に、前記マガジンカセットを搬送するカセット搬送路が設けられ、
前記カセット搬送路は、前記昇降部の上待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬出路と、前記昇降部の下待避位置と同じ高さに設けられるカセット搬入路とを備えているワーク貯留システム。
【請求項16】
2つのうちの他方である第2ワーク搬入出装置に隣接して、前記ワーク搬送路とは別のワーク搬送路がさらに設けられている請求項15に記載のワーク貯留システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−82022(P2012−82022A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14827(P2009−14827)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(391032358)平田機工株式会社 (107)
【Fターム(参考)】