説明

ワーク搬送装置

【課題】ワーク収納凹部内に残ったワークを外方へ確実に排出することができるワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】ワーク搬送装置はベース2と、ベース2上に回転自在に配置され、外周にワークWを収納する多数のワーク収納凹部1aが形成された搬送テーブル1と、搬送テーブル1のワーク排出位置において、ワーク収納凹部1aの一側に配置された噴出口2bと、ワーク収納凹部1aの他側に配置されたワーク排出パイプとを備えている。ワーク排出位置Pに、ワーク収納凹部1b内のワークWの有無を検出する検出センサが設けられている。搬送テーブル1と噴出口2bは制御部20により制御され、制御部20は検出センサ5からの信号に基づいてワークWがワーク収納凹部1bから排出されない場合に、搬送テーブル1を所定距離だけ移動させて、ワーク噴出口2bからエアを噴出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークを搬送して排出するワーク搬送装置に係り、とりわけワークを確実に排出することができるワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワークを搬送して排出するワーク搬送装置として、ベースと、ベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する多数のワーク収納凹部が形成された搬送テーブルとを備えたものが知られている。搬送テーブルは複数のワーク排出位置をとることができ、ワーク収納凹部内のワークはこのワーク排出位置から外方へ排出される。
【0003】
また搬送テーブルの各ワーク排出位置近傍には、ワーク収納凹部の一側にエアによりワークを噴出するワーク噴出手段が設けられ、ワーク収納凹部の他側にワーク噴出手段により噴出されたワークを受けるワーク排出パイプが設けられている。
【0004】
このようなワーク排出装置において、ワークは搬送テーブルのワーク収納凹部内に収納されて搬送され、この搬送中にワークに対して電気的測定が行なわれる。
【0005】
ワーク収納凹部内のワークは、電気的測定結果に応じて搬送テーブルが所望のワーク排出位置に来たとき、ワーク噴出手段により噴出され、ワーク排出パイプを介して排出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで所望のワーク排出位置において、ワーク噴出手段により噴出してもワークが確実に噴出されずにワーク収納凹部内に残留してしまうことがある。
【0007】
この場合はワーク噴出手段によるエアの噴出を繰り返すことが行なわれているが、それでもワーク収納凹部内にワークが残留すると、この残留ワークがワーク排出パイプと接触して破損することもある。
【0008】
これを避けるため、ワーク収納凹部内にワークが残留すると都度機械を停止して処理しなければならず、連続運転に支障をきたすと共に所定の排出位置で排出されないことから誤排出要因ともなる。
【0009】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ワーク収納凹部からワークを確実に外方へ排出することができるワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ベースと、ベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する多数のワーク収納凹部が形成され、ワーク排出位置にあるワーク収納凹部からワークが排出される搬送テーブルと、ワーク排出位置にあるワーク収納凹部の一側に設けられ、ワーク収納凹部内のワークを噴出するワーク噴出手段と、ワーク排出位置にあるワーク収納凹部の他側に設けられ、ワーク噴出手段により噴出されたワークを受けるワーク排出パイプと、ワーク排出位置にあるワーク収納凹部内のワークの有無を検出する検出センサとを備え、搬送テーブルとワーク噴出手段は制御部により駆動制御され、制御部は検出センサからの信号に基づいてワーク噴出手段を駆動してもワークがワーク収納凹部から排出されない場合に、搬送テーブルを所定距離だけ移動させることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0011】
本発明は、制御部は搬送テーブルを所定距離だけ往復移動させることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0012】
本発明は、制御部は搬送テーブルを所定距離だけ任意の回数、往復移動させることを特徴とするワーク搬送装置である。
【0013】
本発明は、制御部は搬送テーブルを所定距離だけ所定時間で往復移動させることを特徴とするワーク搬送装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、ワーク噴出手段を駆動してもワーク収納凹部からワークが排出されない場合に、搬送テーブルを所定距離だけ移動させた後にワーク噴出手段を再度駆動させることにより、ワーク収納凹部内のワークをワーク排出パイプ内へ確実に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図6は、本発明によるワーク搬送装置の一実施の形態を示す図である。
【0016】
図1乃至図6に示すように、ワーク搬送装置10は垂直方向に配置されたベース2と、ベース2上に回転自在に配置され、外周にワークWを収納する多数のワーク収納凹部1aが形成された搬送テーブル1とを備えている。このうち搬送テーブル1は複数のワーク排出位置Pををとることができ、ワーク収納凹部1a内のワークWは後述のように電気的測定の結果に対応して、各ワーク排出位置Pから排出される。
【0017】
またベース2には、各ワーク排出位置Pに、ワーク収納凹部1aの一側に位置してワーク収納凹部1a内のワークWをエアで噴出する噴出口(ワーク噴出手段)2bが設けられている。また各ワーク排出位置Pのワーク収納凹部1aの他側に、噴出口2bにより噴出されたワークWを受けるワーク排出パイプ4が設けられている。
【0018】
さらに搬送テーブル1周縁外方には、各ワーク排出位置Pにあるワーク収納凹部1a内のワークWの有無を検出する検出センサ5が設けられている。
【0019】
また、搬送テーブル1の周縁外方には、搬送テーブル1を案内するガイド3が設けられ、検出センサ5はこのガイド3内に配置されている。
【0020】
また搬送テーブル1の裏面には、各ワーク収納凹部1aに連通するバキューム溝1bが形成され、ベース2には、搬送テーブル1のバキューム溝1bに連通するバキューム溝2aが形成され、これらバキューム溝1b、2aは図示しない真空源に連通し、ワーク収納凹部1a内にワークWを吸着して保持するようになっている。
【0021】
また噴出口2bから噴出されるエアはエア加圧機構(図示せず)により生成され、制御部20がエア加圧機構を駆動制御して噴出口2bからエアを噴出するようになっている。
【0022】
また搬送テーブル1も、制御部20により駆動制御される。
【0023】
また制御部20は検出センサ5からの信号に基づいて、ワークWがワーク収納凹部1aから確実に排出されないで残留している場合、搬送テーブル1を所定距離B(図3(b)参照)だけ移動させた後に、エア加圧機構を駆動して噴出口2bからエアを再度噴出するようになっており、必要に応じて元の位置と所定距離Bだけ移動させることを繰返しても良い。
【0024】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0025】
まずワーク搬送装置10において、ワーク供給部11からワークWが搬送テーブル1のワーク収納凹部1a内に送られる。搬送テーブル1はその後間欠的に回転し、この間、ワーク収納凹部1a内のワークWに対して図示しないワーク測定手段により電気的測定が行なわれる。
【0026】
ワークWは搬送テーブル1のワーク収納凹部1aに1個宛装填され、搬送テーブル1はベース2と接しながら矢印L方向(図3(a)参照)へ回転しつつ、搬送テーブル1の裏面に設けられたバキューム溝1bがベース2に設けられたバキューム溝2aと常に連通し、ワークWはワーク収納凹部1a内に吸着保持される。
【0027】
次にワークWはワーク測定手段による電気的測定の結果に対応するワーク排出位置Pから排出される。すなわち、ワークWが排出されるべきワーク排出位置Pに達すると、搬送テーブル1が停止する。次にベース2に設けられた噴出口2bからのエアブローにより、ワークWはワーク収納凹部1aから飛び出し、排出パイプ4を通り図示しない収納箱等へと排出される。このとき、噴出口2bから所定の時間だけエアブローが行なわれ、その後エアブローは停止する。
【0028】
図2はワーク収納凹部1a内でのワークWの状態を示している。一般的にワーク収納凹部1aの幅はワークWに対し任意の間隙Aを持っており、ワーク排出位置PにおいてワークWはワーク収納凹部1aにおける左右いずれかの側壁に密接した状態にある(図3(a))。
【0029】
上述のように噴出口2bから所定の時間エアブローを行なっても、この通常動作でワークWが排出できなかった場合、搬送テーブル1の周縁外方に設置したガイド板3内部に設けられた光センサ5によってワークWの残留が検知される。
【0030】
光センサ5による検知信号を受け、制御部20は再び噴出口2bからのエアブローを開始する。同時に制御部20は、搬送テーブル1を矢印L方向と逆方向の矢印L方向(図3(b)参照)へ戻すよう距離Bだけ移動させる。このとき、必然的にワークWもバキューム溝1b、2bにより吸引されたまま移動するので、ワークWに対する噴出口2bの位置が変化する。このことによりエアブローのワークWへの作用点が変化する。
【0031】
またワークWは、上述のようにバキューム溝1b、2aによるバキューム吸引力によってベース2に対し常に接触した状態にある。このため図4(a)(b)に示すように、搬送テーブル1を移動させたときにワークWとベース2間の摩擦力によりワーク収納凹部1a内でワークWの姿勢が変化することがある。このことによってもワークWに対するエアブローの力の加わり方を変化させることができる。
【0032】
図6(a)(b)はワーク収納凹部1a内でのワークWの姿勢の詳細を示す図である。このうち図6(a)はワークWがワーク収納凹部1a内の側壁に密接した状態を示し、図6(b)はワークWがワーク収納凹部1内で傾いた状態を示している。
【0033】
このように制御部20により搬送テーブル1を矢印L方向へ戻すとともに、噴出口2bからエアを再度噴出させることにより、通常の排出動作ではできなかったワークWを高い確率でワーク収納凹部1aから排出させることができる。この場合、搬送テーブル1を矢印L方向へ戻した後、再度矢印L方向へ回転させて搬送テーブル1を往復動させることにより、ワーク収納凹部1aからワークWをより確実に排出することができる。
【0034】
なお、本実施の形態において、搬送テーブル1の駆動はサーボモータにより行なわれ、実際の搬送テーブル1の移動距離Bは、上述した間隙Aとほぼ同等の距離で行なっている。
【0035】
また制御部20は搬送テーブル1を距離Bだけ往復移動することができるが、この距離Bは所望に応じて変更可能となっている。また制御部20は、搬送テーブル1を往復移動する回数および時間も変更することができる。
【0036】
さらに、制御部20は光センサ5からの信号に基づいて、ワーク収納凹部1a内からワークWが排出されていないと判断した場合、噴出口2bからエアを予備的に噴出し、その後になおワークWが排出されていない場合に、搬送テーブル1を矢印L方向へ戻して噴出口2bから再度エアを噴出してもよい。
【0037】
なお、噴出口2bからエアを噴出する場合、搬送テーブル1の往復移動中連続して噴出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるワーク搬送装置の一実施の形態を示す部分拡大正面図。
【図2】本発明によるワーク搬送装置の一実施の形態を示す側断面図。
【図3】本発明によるワーク搬送装置の作用を示す部分拡大正面図。
【図4】本発明によるワーク搬送装置の作用を示す側断面図。
【図5】本発明によるワーク搬送装置を示す全体図。
【図6】ワーク搬送装置の搬送テーブルのワーク収納凹部内に配置されたワークを示す図。
【符号の説明】
【0039】
1 搬送テーブル
1a ワーク収納凹部
1b バキューム溝
2 ベース
2a バキューム溝
2b 噴出口
3 ガイド
4 ワーク排出パイプ
5 光センサ
10 ワーク搬送装置
20 制御部
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
ベース上に回転自在に配置され、外周にワークを収納する多数のワーク収納凹部が形成され、ワーク排出位置にあるワーク収納凹部からワークが排出される搬送テーブルと、
ワーク排出位置にあるワーク収納凹部の一側に設けられ、ワーク収納凹部内のワークを噴出するワーク噴出手段と、
ワーク排出位置にあるワーク収納凹部の他側に設けられ、ワーク噴出手段により噴出されたワークを受けるワーク排出パイプと、
ワーク排出位置にあるワーク収納凹部内のワークの有無を検出する検出センサとを備え、
搬送テーブルとワーク噴出手段は制御部により駆動制御され、制御部は検出センサからの信号に基づいてワーク噴出手段を駆動してもワークがワーク収納凹部から排出されない場合に、搬送テーブルを所定距離だけ移動させることを特徴とするワーク搬送装置。
【請求項2】
制御部は搬送テーブルを所定距離だけ往復移動させることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
制御部は搬送テーブルを所定距離だけ任意の回数、往復移動させることを特徴とする請求項2記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
制御部は搬送テーブルを所定距離だけ所定時間で往復移動させることを特徴とする請求項2記載のワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−161464(P2007−161464A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363238(P2005−363238)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】