説明

ワーク格納システム

【課題】 ワーク供給ステーションにおいてどのようなパレットがあるのかを画面で確認することができるワーク格納システムを提供する。
【解決手段】 ワークWを載置可能なパレットPを格納する格納棚5と、ワーク加工機の上流に位置するワーク供給ステーション6と、パレットPを格納棚5からワーク供給ステーション6に搬送する搬送装置7とを備える。このワーク格納システムにおいて、少なくとも、ワーク供給ステーション6におけるパレットPの有無およびパレット付属品12の有無からなるパレット情報表示GPを画面表示装置29の画面30に表示するパレット情報表示手段22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パンチプレス等の板材加工機等に供給するための板材ワーク等を格納するワーク格納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワーク格納システムとして、板材ワークを積層したパレットを格納する格納棚を多段に有する板材ストッカと、その任意の棚にパレットを入れ替えるエレベータとを備えたものがある。一部の棚は、外部にローダ等に対してパレットの出し入れを行うワーク供給ステーションとされる。
上記パレットには、載置するワークの種類等によって各種のパレット付属品を設けることがある。例えば、板材ワークの傷が厳禁の場合や、板状ワークが密着して剥がれ難い場合、板状ワークが1枚分離のときに流れる場合などは、パレットに磁気フロータを取付けたり、流れ防止用の位置決めピンを取付けている。
【0003】
このようなパレット付属品を設けたパレットと、付属品のないパレットの判断は、パレットをワーク供給ステーションにエレベータで搬送するときなどに、センサで付属品を検知して行うか、あるいはスケジュールで宣言している。
【0004】
なお、従来、マシニングセンタの運転制御装置として、パレットの搬送先に応じた情報であるパレット状態を、ランプの色等で表示するものが提案されている。
【特許文献1】特開平6−35526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のセンサや宣言スケジュールによる場合、センサの誤動作やスケジュールの入力ミス等があったときに、ローダの動きが異なると、ローダがパレット付属品と干渉してローダを壊す可能性がある。例えば、ローダは、パレットに板材流れ防止用のピンがない場合は、パレット上の板材位置が定まっていないために、ローダ付属のセンサで板材端の位置を認識するための下降動作を行うことがあるが、流れ防止用のピンがあると、この下降動作時にピンに干渉してローダを損傷する可能性がある。
なお、特許文献1に示されるものは、パレットの行き先に応じたパレット状態表示であり、パレット付属品の有無を示すものではない。
【0006】
この発明の目的は、ワーク供給ステーションにおいてどのようなパレットがあるのかを画面で確認することができるワーク格納システムを提供することである。
この発明の他の目的は、ワーク格納システムの全体において、どのようなパレットがあるのかを画面で確認することができるものとすることである。
この発明のさらに他の目的は、パレット付属品の有無を二重チェックできるものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のワーク格納システム(2)は、ワーク(W)を載置可能なパレット(P)を格納する格納手段(5)と、ワーク加工機の上流に位置するワーク供給ステーション(6)と、パレット(P)を前記格納手段(5)からワーク供給ステーション(6)に搬送する搬送装置(7)とよりなるワーク格納システム(2)において、少なくとも、ワーク供給ステーション(6)におけるパレット(P)の有無およびパレット付属品(12)の有無からなるパレット情報(GP)を画面表示装置(29)の画面(30)に表示するパレット情報表示手段(22)を設けたものである。
この構成によると、ワーク供給ステーション(6)におけるパレット(P)の有無およびパレット付属品(12)の有無からなるパレット情報(GP)が、パレット情報表示手段(22)によって画面表示装置(29)の画面(30)に表示される。そのため、ワーク供給ステーション(6)においてどのようなパレット(P)があるのかを画面(30)で確認することができる。
【0008】
前記パレット情報表示手段(22)は、前記格納手段(5)および搬送装置(7)上のパレット(P)についてのパレット情報(GP)を表示する機能を有するものであっても良い。この構成の場合、ワーク格納システム(2)の全体において、どのようなパレット(P)があるのかを画面(30)で確認することができる。
【0009】
前記パレット付属品(12)の有無を前記搬送装置(7)上で検出する検出手段(13)を設け、この検出手段(13)により検出されたパレット付属品(12)の有無を、パレット情報記憶手段(23)に記憶されたパレット情報と比較してパレット情報の正誤を判定する判定手段(27)を設けても良い。
この構成の場合、実際に搬送装置(7)上にあるパレット(P)のパレット付属品(12)の有無が検出手段(13)によって検出される。この検出結果が、パレット情報記憶手段(23)に記憶されたパレット情報と比較して正誤判定される。そのため、パレット情報表示手段(22)の表示による画面(30)上の確認と、判定手段(27)による判定結果とで、パレット(P)のパレット付属品(12)の有無等を二重にチェックすることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明のワーク格納システムは、ワークを載置可能なパレットを格納する格納手段と、ワーク加工機の上流に位置するワーク供給ステーションと、パレットを前記格納手段からワーク供給ステーションに搬送する搬送装置とよりなるワーク格納システムにおいて、少なくとも、ワーク供給ステーションにおけるパレットの有無およびパレット付属品の有無からなるパレット情報を表示装置の画面に表示するパレット情報表示手段を設けたものであるため、ワーク供給ステーションにおいてどのようなパレットがあるのかを画面で確認することができる。
前記パレット情報表示手段が、前記格納手段および搬送装置上のパレットについてのパレット情報を表示する機能を有するものである場合は、ワーク格納システムの全体において、どのようなパレットがあるのかを画面で確認することができる。
前記パレット付属品の有無を前記搬送装置上で検出する検出手段を設け、この検出手段により検出されたパレット付属品の有無を、パレット情報記憶手段に記憶されたパレット情報と比較してパレット情報の正誤を判定する判定手段を設けた場合は、パレット付属品の有無を二重チェックすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の一実施形態を図1ないし図6と共に説明する。図3は、このワーク格納システムを備えた加工システムの平面図である。この加工システムは、ワーク加工機1と、その上流に位置するワーク格納システム2と、ローダ3とで構成される。
【0012】
図5および図6に示すように、ワーク格納システム2は、ストッカ4に、板材ワークWを載置可能なパレットPを格納する格納手段である複数段の格納棚5を設け、一つの棚をワーク供給ステーション6とし、パレットPを格納棚5とワーク供給ステーション6との間で搬送するエレベータ式の搬送装置7を設けたものである。搬送装置7は、昇降棚7aおよびこの昇降棚7aと各段の格納棚5との間でパレットPを出し入れするパレット出し入れ機構7bを有する。
【0013】
ワーク供給ステーション6は、その上段の格納棚2に載置されたパレットPとの間に、ローダ3が進入可能な高さの空間を有している。
ローダ3は、架設レール8に沿って走行する走行体9に、昇降機構を介して昇降枠10を設け、昇降枠10に負圧吸着式の複数の吸着パッド11を設けたものである。
【0014】
パレットPは、図4(A)に示すように、上面にワーク流れ防止用の位置決めピンからなるパレット付属品12を有するものと、同図(B)に示すようにパレット付属品12を有しないものとの2種類がある。
【0015】
このパレット付属品12の有無を検出する検出手段13が、図6のように搬送装置7に設けられている。検出手段13は、例えば投光器13aと受光器13bとからなる光電センサとされる。
また、パレット付属品12を有しないパレットPの場合は、図4(B)のように載置した板材ワークWの端部位置Qが、実線および鎖線で例示するように変わるため、このワーク端部位置Qを検出するセンサ14が、図5のようにローダ3に設けられている。
【0016】
図1において、ストッカ4を制御する制御盤21にはパレット情報表示手段22が設けられている。パレット情報表示手段22は、ワーク供給ステーション6、格納手段である各格納棚5、およびエレベータ式の搬送装置7におけるパレットPの有無およびパレット付属品12の有無からなるパレット情報を、画面表示装置29の画面30に表示するものである。制御盤21は、コンピュータ式のものである。画面表示装置29は、制御盤21の操作盤部等に設けられた液晶表示装置等からなる。
【0017】
パレット情報表示手段22は、上記画面30に、ストッカ4の各格納手段である格納棚5の画像表示G5と、ワーク供給ステーション6の画像表示G6と、エレベータ式の搬送装置7の画像表示G7とを模式的な表示で行い、これら各画像表示G5〜G7の上に、対応するパレットPのパレット情報表示GPを行うものとしてある。パレット情報表示GPは、パレットPの模式図による表示とし、パレット付属部品12があるパレットPについては、その付属部品表示部GP12を付加した表示としている。
また、パレット情報表示手段22は、ストッカ4の操作を行うソフトウェアキー31等の表示された画面30上に、上記パレット情報表示GPを併せて行うものとしている。画面30は、タッチパネルで構成されたものであっても良い。
【0018】
パレット情報表示手段22は、制御盤21に設けられたパレット情報記憶手段23の記憶内容に従って行う。パレット情報記憶手段23は、例えば図2に示すように、ストッカ4の各格納棚であるストッカ棚の棚番毎に、適宜ストッカパラメータを設定し、各ストッカパラメータに、パレット情報として、パレット付属品の有無を区別する情報を記憶させるものとしてある。図示の例では、パレット付属品である位置決めピンの無い素材用のパレットの場合は符号「1」を、ピンの有る素材用のパレットの場合は符号「5」を記憶させるものとしている。この他に、パレットのない場合は、他の適宜の符号を記憶させるものとしている。
【0019】
パレット情報記憶手段23へのパレット情報の入力は、図1の入力手段24によって行う。入力手段24は、キーボード等の作業者により入力する手段であっても、また制御盤21の上位制御手段(図示せず)等から与えられるスケジュール情報からパレット情報を選択して行うものであっても良い。
パレット情報記憶手段23の記憶内容は、パレット情報更新手段25によって更新される。パレット情報更新手段25は、ストッカ4の搬送装置7を作業者の入力により操作する格納・搬送操作手段26の操作内容から、ストッカ4上のパレットPの移動を認識してパレット情報記憶手段23の記憶内容を更新するものであっても、またストッカ4から実際の動作の情報を得て、その情報からパレットPの移動を認識してパレット情報記憶手段23の記憶内容を更新するものであっても良い。
【0020】
制御盤21には、この他に、判定手段27と、ランプまたはブザー等のアラーム手段28とが設けてある。前述のように、搬送装置7には、パレット付属品12の有無を搬送装置7上で検出する検出手段13が設けられている。判定手段27は、この検出手段13により検出されたパレット付属品12の有無を、パレット情報記憶手段23に記憶されたパレット情報と比較し、パレット情報の正誤を判定する。例えば、パレット情報記憶手段23ではワーク供給ステーション6にあるパレットPがパレット付属品12を有するものとなっているが、ワーク供給ステーション6への搬送過程で検出手段13ではパレット付属品12が検出されなかったときは、パレット情報に誤りがあると判定する。
判定手段27は、誤りの判定を行った場合は、画面表示装置29の画面に誤りの旨を示すメッセージまたはマークの表示を行い、アラーム手段28にランプの点滅やアラーム音等で報知を行わせる。
【0021】
この構成のワーク格納システム2によると、ワーク供給ステーション6や、格納棚5および搬送装置7上におけるパレット6の有無およびパレット付属品12の情報からなるパレット情報が、パレット情報表示手段22によって画面表示装置29の画面30に表示される。そのため、ワーク供給ステーション6においてどのようなパレットPがあるのかを画面30で確認することができる。
また、搬送装置7上で検出手段13によりパレット付属品12が検出され、その検出結果の正誤判定が判定手段27で行われる。
【0022】
そのため、画面30でパレット情報が正しいか否かがわかり、また判定手段27による判定結果においても正誤判定が行われる。そのため二重チェックが行える。これにより、パレットPに付くべきパレット付属品12がついていない場合や、ついてはいけないパレットPにパレット付属品12がついていると言った判断が確実に行え、検出手段13等に誤動作等があっても、正しい判断が行えて、パレット付属品12の認識間違いによるローダ3の誤動作等による機械破損等を未然に防ぐことができる。
また、画面30に表示されたパレット情報表示GPは、機械動作においても確実な判断材料となり、ローダ3の動作を変更したりすることもできる。
【0023】
なお、パレット情報表示手段22によって画面30に表示させるパレット情報表示30は、パレットPの有無と、パレット付属品12のうちのピンの有無の他にも、何種類も表示させるようにすることが可能であり、色々な動作の変更、移動処理に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態に係るワーク格納システムの概念構成を示すブロック図である。
【図2】同ワーク格納システムにおけるパレット情報記憶手段の記憶例を示す説明図である。
【図3】同ワーク格納システムを装備した加工システムの平面図である。
【図4】各種のパレットを示す側面図である。
【図5】同ワーク格納システムにおけるストッカの一部切欠正面図である。
【図6】同ストッカの側面図である。
【符号の説明】
【0025】
1…ワーク加工機
2…ワーク格納システム
3…ローダ
4…ストッカ
5…格納棚(格納手段)
6…ワーク供給ステーション
7…搬送装置
12…パレット付属品
13…検出手段
22…パレット情報表示手段
23…パレット情報記憶手段
24…入力手段
25…パレット情報更新手段
27…判定手段
28…アラーム手段
29…画面表示装置
30…画面
G5〜G7…画像表示
G6…画像表示
GP…パレット情報表示
GP12…付属部品表示部
P…パレット
W…板材ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置可能なパレットを格納する格納手段と、ワーク加工機の上流に位置するワーク供給ステーションと、パレットを前記格納手段からワーク供給ステーションに搬送する搬送装置とよりなるワーク格納システムにおいて、少なくとも、ワーク供給ステーションにおけるパレットの有無およびパレット付属品の有無からなるパレット情報を画面表示装置の画面に表示するパレット情報表示手段を設けたワーク格納システム。
【請求項2】
前記パレット情報表示手段は、前記格納手段および搬送装置上のパレットについてのパレット情報を表示する機能を有するものである請求項1記載のワーク格納システム。
【請求項3】
前記パレット付属品の有無を前記搬送装置上で検出する検出手段を設け、この検出手段により検出されたパレット付属品の有無を、パレット情報記憶手段に記憶されたパレット情報と比較してパレット情報の正誤を判定する判定手段を設けた請求項1または請求項2記載のワーク格納システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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