説明

一体化された圧力逃がし弁を有する充填材料

【課題】 食品分野で使用される、低圧で開口できる一方向圧力逃がし弁を有する充填材料を提供する。
【解決手段】 両フィルム間に形成されるスペーサ手段17,29、37,40を有する内部フィルム10と外部フィルム11を含み、両フィルム間に形成されるスペーサ手段17,29、37,40を有する、ガス放出性製品のパッケージの圧力逃がし弁18を有する充填材料であって、前記外部フィルムが、可撓性又は弾性を有する軟質フィルムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に食品であるガス放出性製品のパッケージの少なくとも一部を形成し、かつ通常は閉止し、予備設定された過剰圧で開口する圧力逃がし弁が一体化されている充填材料であって、
前記圧力逃がし弁は、好ましくはポリマーフィルムであるパッケージの内部フィルムであって、それを通る少なくとも1個の入口孔を有する第1内部フィルムと、好ましくはポリマーフィルムであるパッケージの外部フィルムであって、前記第1内部フィルムの入口孔を被覆し、かつ前記第1内部フィルムに結合されて、前記第1内部及び第2内部フィルム間にチャンネル又はポケット部を形成する第2外部フィルムを含み、
前記チャンネル又はポケット部は、前記入口孔から離間した、少なくとも1個の出口孔を通して、パッケージの周囲と連通し、
前記第1内部フィルムは、第1面及び第2面を有し、かつ前記第2外部フィルムは、第1面及び第2面を有し、
前記第1内部フィルムの第2面は、前記第2外部フィルムの第2面に面し、
前記圧力逃がし弁は更に、前記チャンネル又はポケット部中に液体を、かつ前記入口孔の近傍の前記チャンネル又はポケット部中に固体のスペーサ手段を有し、
前記スペーサ手段は、前記第1内部フィルムの第2面と前記第2外部フィルムの第2面間に間隙を形成するようになっている充填材料に関する。
【0002】
用語「フィルム」は、最も広い意味で理解されるべきで、単一層フィルム、多層の共押出体やラミネートを含む。
【0003】
用語「孔」は、最も広い意味で理解されるべきで、ナイフで形成されたスリット、針で形成された穿孔や通孔、及び種々の形状の打抜孔、又はレーザで形成された切込孔を含む。
【背景技術】
【0004】
圧力逃がし弁を有するパッケージ及び/又は充填材料は、特許文献1〜特許文献10により公知である。特許文献1〜3、特許文献9及び10は、全て、第1内部フィルムと第2外部フィルム間のチャンネル部に、液体フィルムとスペーサ手段を有する充填材料を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許公報第0144011B2号
【特許文献2】欧州特許公報第0559598B1号
【特許文献3】国際特許公開公報第88/07479号
【特許文献4】ドイツ特許公開公報第2537317A1号
【特許文献5】欧州特許公報第0023403B1号
【特許文献6】欧州特許公開公報第0738227A1号
【特許文献7】ドイツ特許公開公報第4435492A1号
【特許文献8】欧州特許公報第0760790B1号
【特許文献9】国際特許公開公報第2004/048225A1号
【特許文献10】国際特許公開公報第2006/012282A1号
【特許文献11】国際特許公開公報第2004/048335A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献11に示唆されているように、一般に、可撓性充填材料は、OPP(配向性ポリプロピレン)、OPA(配向性ポリアミド)又はPET(ポリエチレンテレフタレート)のような外部配向性フィルムを有し、プリントを有する外部フィルムを提供することに注目すべきである。しかし、一体弁を有する充填材料で、外部フィルムのようなフィルムを使用する際には、これらのフィルムの剛性のため、すなわち比較的弾性が低いため、弁の開口圧が比較的高くなる。
【0007】
本発明の目的は、低開口圧の一体化した一方向圧力逃がし弁を有する充填材料を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、信頼でき、かつ再現可能な開口圧を有する一体化した一方向圧力逃がし弁を有する充填材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の充填材料の特徴は、第2外部フィルムが、幅15mmの試験片を、正確に100mm離間した2セットの顎部で把持し、かつ100mm/分の速度で5%つまり5mm延伸するように引張って、そのときの力を記録する、ISO 527/ASTM D638に従って実施する張力試験において、幅15mmの試験片が5%延伸するために必要な力が5N未満である、可撓性又は弾性を有する軟質フィルムであることである。
【0010】
充填材料が過剰な内圧を受けず、すなわち低圧を受けている場合、圧力逃がし弁は、その通常の閉止位置を維持し、チャンネル又はポケット部内の液体は、内部フィルム及び外部フィルム間に接着性を付与して、入口孔及び出口孔間が連通され開放することを防止する。弁が閉止位置にあると、周囲の空気は、出口孔から入口孔へ、従ってその少なくとも一部が充填材料で形成されたパッケージの内部に進入できない。収容された製品から放出されるガスのために、パッケージ内の圧力が増加して予備設定された過剰圧に達すると、外部フィルムは内部フィルムから離れて、液体フィルムの接着性が減少して入口孔と出口孔間が連通される。その結果、過剰圧が軽減して閉止圧に達すると、外部フィルムが元に復帰して弁が閉止位置に戻り、これにより周囲の空気が、出口孔、チャンネル部及び入口孔を通ってパッケージ内部に進入することが防止される。
【0011】
特に、外部フィルムが弾性を有すると、低過剰圧で弁を開口し、かつ予備設定した過剰圧より低い圧力では弁を確実に閉止することが可能になる。試験により、4ミリバール未満の開口圧とすること、及び弁を通して生成ガスを放出して過剰圧を低減させると、確実に弁が閉止することが可能であることが示された。張力試験は、インストロン(Instron)5564について実行した。
【0012】
更に、工場での包装時に乱暴な取り扱いを受け、その後、小売店で包装を解かれた可撓性バッグのような充填材料で全体が形成されている可撓性パッケージは、その柔軟性及び可撓性のため、外部フィルムが、乱暴な取り扱い時にも、内部フィルムに追従し、そして充填材料の弁の機能を維持することに注目すべきである。
【0013】
本発明によると、第2フィルムである試験片を5%延伸させるために必要な力は、4N未満で、その代わりに3N未満でも良く、2N未満でも良く、1.5N未満でも良く、さらに所望により1N未満とすることもできる。試験片を5%延伸させるために必要な力が減少すると、弁の開口圧を減少させることができ、弁を非常に低い圧力で開口できることになる。
【0014】
更に本発明では、前記充填材料は、チャンネル部のスペーサ手段に隣接し、かつ少なくとも1個の入口孔に近接する小さい空気ポケットを備えていても良い。
【0015】
この空気ポケットは、前記弁を開口させるために必要な過剰圧を減少させる。理論に束縛されるものではないが、これらの空気ポケットは、液体の接着性を減少させて、弁が低圧で開口することが可能にする。
【0016】
前記空気ポケットは、充填材料に、弁の領域内で、特にスペーサ手段の領域内で圧力を加えて、外部フィルムを可撓変形させ、続いて圧力を解除すると、外部フィルムが、その弾性のため、少なくとも部分的に内部フィルムから離れることにより、スペーサ手段に隣接して形成される。更に、前記外部フィルムは、スペーサ手段に押し付けられると、そのエリア内で、僅かに塑性変形する。
【0017】
実際には、空気ポケット製造用の充填材料のウェブをロール状に巻き、引き続き長手方向切断によりそれをほどき、再度巻いて、使用する充填材料用パッケージ用として意図された幅を有する充填材料のロールを形成して、前記空気ポケットは形成される。
【0018】
更に本発明では、スペーサ手段は、第2外部フィルムの第2面と、第1内部フィルムの第2面との間に、10から100μm、特に20から60μmの間隙を形成する。
【0019】
本発明の一態様では、前記スペーサ手段は、チャンネル又はポケット部に配置された固体の小粒子である。
【0020】
本発明の他の態様では、スペーサ手段は、第1内部フィルムの第2面から突出する1又は2以上の小突起である。該突起、つまりスペーサ手段は内部フィルムと一体化しているので、正確な位置と数を有する突起を、前記チャンネル又はポケット部に選定することが可能である。粒子は、その量及び位置を正確に制御することはできないので、使用できない。更に、突起の位置と形状は、所望の開口圧を得られるように選定できる。少なくとも1個の突起が、点状又は直線状であることが好ましい。
【0021】
本発明では、少なくとも1個の小突起は、第1内部フィルムの第2面に析出した真空蒸着したアルミニウムのような蒸着した突起、又は第1内部フィルムの第2面に印刷した印刷インクのような印刷された突起とすることができる。
【0022】
更に本発明では、少なくとも1個の小突起は、第1内部フィルムの第2面に形成された底部孔又は溝の突出周縁部、特にレーザビームで形成される突出周縁部である。このような突出周縁部は、レーザビームで形成される底部孔又は溝が形成される際に、自動的に形成される。
【0023】
更に本発明では、少なくとも1個の小突起は、第1内部フィルムに形成される少なくとも1個の入口孔の突出周縁部、特にレーザビームで形成される突出周縁部である。このような突出周縁部は、前記入口孔が、第2面から第1内部フィルムに進入するレーザビームで形成される際に、自動的に形成される。
【0024】
本発明の他の態様では、少なくとも1個の出口孔が、少なくとも前記第2外部フィルムの少なくとも一端に形成される。
【0025】
本発明の他の態様では、少なくとも1個の出口孔は、外部フィルムを通過する孔である。
【0026】
前記少なくとも1個の入口孔は、ルーメンつまり通孔を有する適切な孔とすることができる。
【0027】
包装される製品がチャンネル部から入ることを防止するために、前記少なくとも1個の入口孔の直径を、包装される製品の任意の要素の直径より小さくする。包装される製品が粒状又は粉状物質の場合は、前記少なくとも1個の入口孔の直径は、前記製品の最も小さい粒子より小さくする。従って、前記少なくとも1個の入口孔は、50μmから500μm、あるいは100μmから300μmでも良く、更に150μmから200μmでも良い直径を有する。しかし、包装される製品に応じて、前記少なくとも1個の入口孔は、500μmを超える直径を有することができることに注目すべきである。包装する製品が挽いたコーヒーの場合、前記少なくとも1個の入口孔の直径は、200μmより小さいか、あるいは150μmより小さくする。
【0028】
第1内部フィルムは、例えば0.1から2.0mm、特に0,2から1.0mm離れた2又はそれ以上の僅かに離間した入口孔を有していても良い。従って、第1内部フィルムは、5、9、11個、又はそれ以上の孔を有していても良い。5又は9個の孔はX字状に配置できる。場合により、僅かに離間した所定数の孔を種々のパターンで配置できる。
【0029】
第1内部フィルムが、多数の小孔、例えば50〜300μmの直径の孔を有する場合、それらは、5mm×5mmのエリア内、あるいは4mm×4mmのエリア内、あるいは3mm×3mmのエリア内、あるいは2mm×2mmのエリア内、あるいは1mm×1mmのエリア内に配置することが好ましい。
【0030】
小さい入口孔の数を増やすと、弁の開口圧が減少する。それに対応するように、大径の孔を使用すると、弁の開口圧が減少する。しかし現状では、多数の小孔が好ましい。
【0031】
本発明の他の態様では、任意の入口孔及び任意の出口孔間の間隔は、2から40mm、あるいは2から25mm、あるいは2から10mmである。
【0032】
本発明の他の態様では、第2外部フィルムの第2面及び第1内部フィルムの第2面は、チャンネル又はポケット部を形成するためにラミネートされていない箇所を除いて、互いにラミネートされている。前記内部及び外部フィルムは、共押出しても良い。しかし、外部フィルムは、その幅が内部フィルムの幅より狭くなるようにすることができ、これにより充填材料の量を減少させる。
【0033】
前記第2外部フィルムは、前記第1内部フィルムの一部、好ましくはその領域のサイズが、第1内部フィルムのサイズより実質的に小さい領域を被覆するラベルとすることができる。
【0034】
本発明の一態様では、前記ラベルは、2本の互いに離間したシーリングラインに沿った第1内部フィルムの第2面にシールされ、その間にチャンネルを形成する。前記少なくとも1個の出口孔を、ラベルの少なくとも一端に形成する。
【0035】
前記ラベルは、閉じたシーリングラインに沿った第1内部フィルムの第2面にシールされても良く、前記少なくとも1個の出口孔を、閉じたシーリングライン内部の第2外部フィルムに形成することもできる。
【0036】
前記ラベルは、接着により、第1内部フィルムにシールしても良い。
【0037】
前記ラベルは、長さ(L)及び幅(W)が100mm未満、好ましくは80mm未満、特に60mm未満の方形の輪郭線を有する。長さ40mmで幅20mmのラベルで、良好な結果が得られる。
【0038】
外部フィルムは、特に線密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は超低密度ポリエチレン(ULDPE)であるポリエチレン(PE);又はPE−EVOH−PEフィルム、つまりポリビニルアルコール(PVOH)のコア層とその両側のポリエチレン(PE)層を有する共押出フィルム;又はポリプロピレン(PP);又は無定形ポリアミド(amorfPA);又は特に熱可塑性エラストマ(TPE)であるエラストマ;又はEVA(エチレン−酢酸ビニル)系又はPA(ポリアミド)系ホットメルトなどのホットメルトから形成されるか、あるいはこれらを含むフィルムとすることができる。PA系ホットメルトの例は、ヘンケル・ゲーエムベーハーから入手できるVP9676であり、EVA系ホットメルトの例は、ヘンケル・ゲーエムベーハーから入手できるVP0332である。
【0039】
フィルムの弾性に応じて、外部フィルムの厚さは、約10μmから200μmで、特定の試験片を5%延伸させるために必要な力は、依然として5N未満である。
【0040】
前記第1内部フィルムは、金属化層のような本質的にガス不透過性層であると有利である。
【0041】
前記第外部フィルムも、本質的にガス不透過性層である。そのような層の例は、EVOH層である。従って、外部フィルムは、PE−EVOH−PEフィルムであっても良い。
【0042】
最後に、本発明は、少なくとも一部が本発明の充填材料で形成された製品、特にガス放出性食品用パッケージにも関する。
【0043】
本発明の充填材料は、椀体のような容器、又は全体が袋体のような可撓製パッケージを形成するための蓋体として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1態様の充填材料で形成した蓋体を備えるパッケージの斜視図。
【図2】図1のII−II線拡大断面図。
【図3】本発明の第2態様の充填材料で形成した袋体の斜視図。
【図4】図4aから4bは、本発明の充填材料と一体化した一方向圧力逃がし弁の機能を説明するための、図3のIV−IV線拡大断面図。
【図5】図3の矢印V方向から見た充填材料の断面図。
【図6】本発明の第3態様の充填材料を使用する、図4に対応する拡大断面図。
【図7】本発明の第4態様の充填材料を使用する、図4に対応する拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1及び図2に示すパッケージは、椀状底部1及び平面状被覆部、つまり蓋体2を含み、この蓋体2は、本発明の第1態様の充填材料で形成されている。
【0046】
前記底部は長方形で、底面3を含む。2対の対向する側壁4、5及び6、7は、前記底面3から上向きに延びている。これらの上端で、前記側壁は連続して、共通フランジ8を形成する。前記底部は一般にポリプロピレン(PP)製で、熱成形又は射出成形で形成される。
【0047】
前記平面被覆部2は、前記底部1のフランジをシールして閉鎖された内部チャンバ16を形成し、該チャンバには、ガス放出性食品が収容されている。明確化のため、前記食品は図1では示さず、図2のみで示してある。被覆部2が形成されている充填材料は、第1面20及び第2面21を有する第1内部フィルム10と、第1面22及び第2面23を有する第2外部フィルム11を備えている。2枚のフィルムは、内部及び外部フィルム10,11間の狭いチャンネル部12を除いて、互いに全体が、第2面を第2面に対してラミネートされている。
【0048】
前記充填材料の一例は、ラミネート・コエックスOPP 20/金属化PETP12/PE60で、ここで、コエックスOPP 20は、ポリプロピレンの中心層と、その両側の薄いシール層を有する12μm厚の共押出配向ポリプロピレンフィルムを意味する。PETPは、12μm厚のポリエステルフィルムを意味し、PE60は、60μm厚のポリエチレンフィルムを意味する。
【0049】
前記外部フィルム11は、弾性又は可撓性フィルムで、その一例は、40μmの直線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚いフィルムである。張力試験における幅15mmのこのフィルムの試験片を伸ばすために必要な力は、2.9Nである。
【0050】
2個の互いに平行で離間した入口孔13、14が、ラミネートされていないチャンネル部12の内部フィルム10に形成されている。出口孔15が、ラミネートされていないチャンネル部12の外部フィルム11に形成されている。外部フィルム11の出口孔15は、内部フィルム10の入口孔13、14から離間している。図1で最も良く判るように、これらの孔13、14、15は直線状に配置されている。
【0051】
これにより、内部フィルム10の入口孔13、14は、パッケージのチャンネル部12と内部チャンバ16間を連通する。対応するように、外部フィルム11の出口孔15は、前記チャンネル部12と周囲間を連通する。
【0052】
小粒子17を含むシリコンオイル19の形態の液体が、入口孔13、14に隣接するチャンネル部12に存在する。出口孔15に隣接するチャンネル部12には、粒子を有しないシリコンオイルが存在する。前記粒子17は、内部及び外部フィルム10、11を僅かに離間させたまま保持し、前記シリコンオイルは、入口孔13、14と出口孔15が、開いたまま連通されることを防止する。このようにして、前記チャンネル部12、入口孔13、14、出口孔15、シリコンオイル19及び粒子17により、一方向圧力逃がし弁18が構成される。その閉止位置では、図2に示す通り、前記弁18は、周囲の空気が、パッケージの内部チャンバ16に進入することを防止する。しかし、充填された食品9により、前記パッケージの内部チャンバ16内に特定の過剰圧が生じると、前記弁18は開口される。該特定の過剰圧が生じると、外部フィルム11が僅かに変形して、前記粒子17から上向きに僅かに離れる。そうすると、前記液体の密着性が減少して、前記外部フィルムは、ガスのため、内部フィルムから大きく離れる。その結果、パッケージの内部チャンバ16中のガスは、入口孔13、14を通り、シリコン19及び粒子17を有するチャンネル部12を通り、出口孔15から外部へ出る。これにより内圧は減少し、前記弁は密着状態で閉止し、周囲の空気が、出口孔、チャンネル部及び入口孔を通って内部チャンバ16に進入することが防止される。外部フィルム11の弾性又は可撓性と、シリコンオイル19の接着性に起因して、信頼できる弁閉止が可能になり、外部フィルム11が動きかつ元の閉止位置に戻ることを許容する。
【0053】
前記第1態様に関して、チャンネル部としてラミネートされていない部分を形成する替わりに、それを、図1の点線で示したポケットとして構成することもできることに注目すべきである。
【0054】
更に前記第1態様に関して、後述する充填材料の第2から第4態様で述べるように、スペーサ手段として粒子を使用する替わりに、第1内部フィルムの第2面から突出しかつ内部フィルムと一体化する1又は2以上の突起をスペーサ手段として使用することも可能である。
【0055】
図3から図5は、本発明の第2態様による、充填材料の全体を袋状に形成した可撓性袋体を示す。この第2態様の充填材料は、例えば前記第1態様の充填材料で使用したものと同じ内部フィルム10である。換言すると、該内部フィルムは、ラミネート・コエックスOPP 20/金属化PETP12/PE60である。
【0056】
前記充填材料は、例えば前記第1態様の充填材料で使用されたものと同じ外部フィルム11と同じ外部フィルムを備えていても良く、換言すると、前記外部フィルムは、40μmの直線状の低密度ポリエチレン(LLDPE)の厚いフィルムである。しかし、前記外部フィルムは、前記第1内部フィルム10の一部の領域を被覆するラベル24であり、前記領域は、図3に明瞭に示す通り、前記第1内部フィルム10のサイズより実質的に小さいサイズである。
【0057】
第2態様の充填材料及び圧力逃がし弁の構造を詳細に述べる前に、公知の充填材料で形成される袋体は、後部シール25、底部シール26及び上部シール27を有することに注目すべきである。これら3個のシール25、26、27は、フィンシールの形状を有し、つまり充填材料は、内面と内面(PE60とPE60)がシールされている。これらのシールは、ガス放出性食品を収容するシールされた内部チャンバ28を提供する。図3から図5には、食品を示していない。
【0058】
充填材料の構造に戻ると、内部フィルム10は、サイコロの5の目のように、つまりX字状に配置された5個の内部孔28を有する。各内部孔28は、例えば約150μmの直径と約0,75mmの間隔を有する。前記内部孔28は、内部フィルム10の第2面21からレーザビームで形成され、これにより該レーザビームが内部ポリマーフィルム10を溶融する際に、前記内部孔28の周縁に沿って、小突起29が自動的に形成される。
【0059】
前記ラベル24は、図5に最も明瞭に示されるように、該ラベル24の対向端部の細長い形状の接続エリア30、31に沿った内部フィルム10の第2面21に接続されている。チャンネル部32が、前記細長い形状の接続エリア30、31、内部フィルム10の第2面21及び外部フィルム11に形成されるラベル24の第2面23間に形成される。前記チャンネル部32は、前記細長い形状の接続エリア30、31間のラベル24の対向端に開放され、これにより、外部孔33、34が、第2外部フィルム11で形成されるラベル24の前記対向端に形成される(特に図5参照)。
【0060】
次いで、ラベル24と充填材料のチャンネル部32の内部フィルム10間で、小突起29がスペーサ手段を形成することを示す図4を参照する。シリコンオイル19のような液体が、前記チャンネル部32に収容されている。例えば、前記シリコンオイル19は、1000cpsの粘度を有する。更に、小さい空気ポケット35が、チャンネル部32の小突起29に隣接して、かつ内部孔28に近接して形成されている。前述した通り、これらの小さい空気ポケット35は、前記充填材料に、ラベル24、内部フィルム10、突起29、シリコンオイル19、内部孔28及び出口孔33、34により形成される圧力逃がし弁の領域の圧力を掛けることにより形成される。
【0061】
図4aに示した前記弁の閉止状態では、シリコンオイル19の接着性が、入口孔28及び出口孔33、34間の連通を防止する。
【0062】
図4bは、充填された製品が放出するガスのために、パッケージの内部に圧力が発生する状況を示している。矢印36で示すように、ガスは、入口孔を通して、ラベルを押圧する。
【0063】
図4cは、内圧が更に増加して、弁が開き始め、入口孔28周辺のラベル24がシリコンオイル19の接着力から解放されかつ小突起29から離れて僅かに上昇した状況を示す。
【0064】
最後に、図4dは、圧力が更に増加し、予備設定された過剰圧力に達した状態を示す。前記弁は完全に開口され、ガスはパッケージ内部から入口孔28を通ってかつチャンネル部32に沿って移動し、矢印で示すように、出口孔33、34を通って周囲に排出される。
【0065】
前記態様では、弁の開口圧は、8〜9ミリバールで、閉止圧は、それより2ミリバール低い。
【0066】
前記第2態様の第1の改良では、内部フィルムは、直径が150〜200μmで、約2mm×2mmのエリア内にXを形成するように配置されたレーザーカットで作製された9個の通孔を有している。
【0067】
外部フィルムのラベルは、長さLが40mm、幅Wが20mmで、50μm厚のEVA系フィルム(ヘンケル・ゲーエムベーハーから入手できるVP−0332)である。
【0068】
孔のあるエリアは、細長い形状の接続エリア30、31間の中央で、かつ出口孔33、34間の中央に位置する。前記細長い形状の接続エリア30、31間の間隔Sは約18mmで、孔のあるエリアは、出口孔33、34から8mm離れている。
【0069】
前記第1の改良では、開口圧は約9ミリバールであり、閉止圧はそれより2ミリバール低い。
【0070】
第2の改良は、外部フィルムが、30μm厚のPA系ホットメルト(ヘンケル・ゲーエムベーハーから入手できるVP−9672)であること以外は、第1の改良と同じである。
【0071】
前記第2の改良では、開口圧は約7ミリバールで、閉止圧はそれより2ミリバール低い。
【0072】
外部フィルムを、20μm厚のOPP−、OPA−又はPETP系フィルムとしたことを除いて、弁構造を、本発明の充填材料の第2態様の前記第1及び第2の改良と同じものとして、比較試験を行った。これらの特定のフィルムを5%延伸させるために必要ば力は、約10〜20Nで、開口圧は約20〜27ミリバールであった。
【0073】
本発明の前記態様の開口圧を、前記比較試験の開口圧と比較すると、望ましくは10ミリバール未満である顕著に低い開口圧が本発明では得られることが明確に示され、本発明では、特定の張力試験で5Nの力で少なくとも5%延伸する弾性のある外部フィルムを使用し、対照例では、一体的な通気弁を有する充填材料の外部フィルムとして一般に使用される可撓性の小さいフィルムを使用した。
【0074】
図6に示す本発明の充填材料の第3態様では、内部フィルム10の第2面21のスペーサ手段は、前記内部フィルム10の第2面21に形成された底部孔又は溝38の周縁を突出させることにより形成される。突出周縁部37は、前記内部フィルム10の第2面21に対して、直接レーザビームを照射して前記底部孔又は溝を形成することにより、得られる。更に、前記内部フィルム10は、少なくとも1個の内部孔39を有する。他のことに関しては、充填材料の第1態様は、前述の第2態様に本質的に対応し、この理由のため、その圧力逃がし弁のより以上の説明は省略する。
【0075】
図7に示す本発明の充填材料の第4態様では、内部フィルム10の第2面21のスペーサ手段は、前記内部フィルム10の第2面21から突出し、かつ内部フィルム10の第2面21に印刷された印刷インクのような印刷された物、又は内部フィルム10の第2面21に真空蒸着されたアルミニウムのような蒸着物である突起40である。該突起40は、点状又は直線状である。更に、内部フィルム10は、充填材料で形成されるパッケージの内部をチャンネル部と連通させる少なくとも1個の内部孔41を有する。他のことに関しては、充填材料の第4態様は、前述の第2態様に本質的に対応する。更に一体化された圧力逃がし弁の機能も、第2態様に関して述べたものと同じである。この理由のため、前記充填材料の構造及び前記弁の機能のより以上の説明は省略する。
【0076】
更に、前記第2、第3及び第4態様は、外部フィルムの形成されたラベルの外縁に形成された複数の出口孔を有するが、これらの態様は、本発明の第1態様に関して説明した、通孔としての少なくとも1個の出口孔を有する充填材料の他の態様に含まれることに注目すべきである。
【符号の説明】
【0077】
1 椀状底部
2 平面状被覆部
3 底面
4、5、6、7 側壁
8 共通フランジ
9 食品
10 第1内部フィルム
11 第2外部フィルム
12 狭いチャンネル部
13、14 内部フィルムの入口孔
15 出口孔
16 閉鎖された内部チャンバ
17 小粒子
18 一方向圧力逃がし弁
19 シリコンオイル
20 内部フィルムの第1面
21 内部フィルムの第2面
22 外部フィルムの第1面
23 外部フィルムの第2面
24 ラベル
25 後部シール
26 底部シール
27 上部シール
28 入口孔
29 小突起
30、31 細長い形状の接続エリア
32 チャンネル部
33、34 外部孔
35 空気ポケット
36 矢印
37 突出周縁部
38 底部孔又は溝
39 入口孔
40 突起
41 入口孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品であるガス放出性製品のパッケージの少なくとも一部を形成し、かつ通常は閉止し、予備設定された過剰圧で開口される一体化された圧力逃がし弁(18)を有する充填材料であって、
該圧力逃がし弁は、好ましくはポリマーフィルムであるパッケージの内部フィルムであって、それを通る少なくとも1個の入口孔(13、14、28、39、41)を有する第1内部フィルム(10)と、好ましくはポリマーフィルムであるパッケージの外部フィルムであって、前記第1内部フィルム(10)の入口孔を被覆し、かつ前記第1内部フィルム(10)に結合されて、前記第1内部及び第2内部フィルム間にチャンネル又はポケット部(12、32)を形成する第2外部フィルム(11)を含み、
前記チャンネル又はポケット部(12、32)は、前記入口孔から離間した、少なくとも1個の出口孔(15、33、34)を通して、パッケージの周囲と連通し、
前記第1内部フィルム(10)は、第1面(20)及び第2面(21)を有し、かつ前記第2外部フィルム(11)は、第1面(22)及び第2面(23)を有し、
前記第1内部フィルム(10)の第2面(21)は、前記第2外部フィルム(11)の第2面(23)に面し、
前記圧力逃がし弁(18)は更に、前記チャンネル又はポケット部中に液体(19)を、かつ前記入口孔(13、14、28、39、41)の近傍の前記チャンネル又はポケット部中に固体のスペーサ手段(17,29、37,40)を有し、
前記スペーサ手段は、前記第1内部フィルム(10)の第2面(21)と前記第2外部フィルム(11)の第2面(23)間に間隙を形成する充填材料において、
前記第2外部フィルム(11)は、
幅15mmの試験片を、正確に100mm離間した2セットの顎部で把持し、かつ100mm/分の速度で5%、つまり5mm延伸するように引張って、そのときの力を記録する、ISO 527/ASTM D638に従って実施する張力試験で、幅15mmの試験片が5%延伸するために必要な力が5N未満である、可撓性又は弾性を有する軟質フィルムであることを特徴とする充填材料。
【請求項2】
第2フィルムである試験片を5%延伸させるために必要な力は、4N未満であるか、3N未満であるか、2N未満であるか、1.5N未満であるか、1N未満でも良い請求項1記載の充填材料。
【請求項3】
前記充填材料が、チャンネル又はポケット部中のスペーサ手段に隣接し、かつ少なくとも1個の入口孔近傍の空気ポケット(35)を備える請求項1又は2記載の充填材料。
【請求項4】
前記スペーサ手段は、第2外部フィルム(11)の第2面(23)と第1内部フィルム(10)の第2面(21)間に、10から100μm、特に20から60μmの間隙を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項5】
前記スペーサ手段は、前記チャンネル又はポケット部(12)に配置された固体の小粒子(17)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項6】
前記スペーサ手段は、前記第1内部フィルム(10)の第2面(21)から突出する1又は2以上の小突起(29、37、40)である請求項1〜5のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項7】
少なくとも1個の小突起は、第1内部フィルム(10)の第2面(21)に析出した真空蒸着したアルミニウムのような蒸着した突起(40)、又は第1内部フィルムの第2面に印刷した印刷インクのような印刷された突起である請求項1〜6のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項8】
少なくとも1個の小突起は、第1内部フィルム(10)の第2面(21)に形成された底部孔又は溝の突出周縁部(37)、特にレーザビームで形成される突出周縁部である請求項6又は7記載の充填材料。
【請求項9】
少なくとも1個の小突起は、第1内部フィルム(10)内に形成された前記少なくとも1個の入口孔(28)の突出周縁部(29)、特にレーザビームで形成される突出周縁部である請求項6〜8のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項10】
前記少なくとも1個の出口孔(33、34)は、少なくとも第2外部フィルム(11)の少なくとも一端に形成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項11】
前記少なくとも1個の出口孔は、外部フィルム(11)を通過する孔(15)である請求項1〜9のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項12】
前記少なくとも1個の入口孔は、ルーメン、つまり通孔を有する適切な孔である請求項1〜11のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項13】
前記少なくとも1個の入口孔は、前記充填材料中に包装される製品の任意の要素より直径が小さい請求項1〜12のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項14】
第1内部フィルムは、僅かに離間した多数の入口孔を有する請求項1〜13のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項15】
入口孔は、50μmから500μm、あるいは100μmから300μmでも良く、更に150μmから200μmでも良い直径を有する請求項1〜14のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項16】
多数の小孔が、5mm×5mmより狭いエリア内、その代わりに4mm×4mmより狭いエリア内、その代わりに3mm×3mmより狭いエリア内、その代わりに2mm×2mmより狭いエリア内、その代わりに1mm×1mmより狭いエリア内に配置されている請求項14又は15記載の充填材料。
【請求項17】
入口孔及び出口孔間の間隔が、2から40mm、あるいは2から25mm、あるいは2から10mmである請求項1〜16のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項18】
第2外部フィルム(11)の第2面(23)及び第1内部フィルム(10)の第2面(21)は、チャンネル又はポケット部(12)を形成するためにラミネートされていない箇所を除いて、互いにラミネートされている請求項1〜17のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項19】
第2外部フィルム(11)は、第1内部フィルム(10)の一部の領域を被覆するラベル(24)であり、前記領域は、好ましくは前記第1内部フィルムのサイズより実質的に小さいサイズである請求項1〜18のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項20】
前記ラベルは、2本の互いに離間したシーリングラインに沿った第1内部フィルムの第2面にシールされ、その間にチャンネルを形成し、かつ前記少なくとも1個の出口孔をラベルの少なくとも一端に形成した請求項19記載の充填材料。
【請求項21】
前記ラベルは、閉じたシーリングラインに沿った第1内部フィルムの第2面にシールされ、前記少なくとも1個の出口孔を、閉じたシーリングライン内部の第2外部フィルムに形成した請求項19記載の充填材料。
【請求項22】
前記ラベルは、接着により、第1内部フィルムにシールされている請求項20又は21記載の充填材料。
【請求項23】
前記ラベルは、長さ(L)及び幅(W)が100mm未満、好ましくは80mm未満、特に60mm未満の方形の輪郭線を有する請求項19〜22のいずれか1項に記載の充填材料。
【請求項24】
少なくともその一部が、請求項1〜23のいずれか1項に記載の充填材料で形成されている食品である、製品用パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−532800(P2012−532800A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518922(P2012−518922)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059470
【国際公開番号】WO2011/003831
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512007258)アムコル フレキシブルズ トランスパック ベスローテン フェンノートシャップ メット ベペルクテ アーンスプラケレイクヘイト (1)
【Fターム(参考)】