説明

一体化された輸送冷却ユニット用の電力管理システム

電力管理システム(36)が、乗り物(22)の冷却ユニット(20)に電力を供給する。乗り物のエンジン(40)が稼動しているとき、冷却ユニットは、直流電源(38)から電力を受ける。乗り物のエンジンが稼動していないとき、交流電源(46)から電力が供給される。電力管理システム内の変換器(42)が、交流電力を直流電力に変換し、変換した電力を冷却ユニットに送る。この冷却ユニットが変換器から電力を受けているときにユーザが乗り物のエンジンを始動させようとした場合、電力供給に競合が生じる。電力管理システムは、異なる2つの電力システムで冷却ユニットに電力を供給しようとするユーザに警告するための警告装置(48)を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、乗り物内に配置された輸送冷却ユニット用の電力管理システムに関し、詳しくは、直流電源または交流電源からの電力を管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の輸送車冷却ユニットは、乗り物コンパートメントの内側の冷却を行う。従来の輸送車冷却ユニットは、一般に、乗り物の屋根上に、冷却ユニットハウジングに取り囲まれるように配置される。輸送車冷却ユニットは、乗り物コンパートメント内へ圧送される空気を冷却することにより、冷却を行う。
【0003】
典型的な冷却ユニットは、バッテリが供給する直流電力を使用して、作動する。一般に、バッテリは、乗り物の内部に配置されている。しかし、乗り物のエンジンが稼動しているときにのみ冷却ユニットが作動することができるので、この方法により電力を供給することには制限がある。乗り物が稼動していないときには、交流電源を使用して冷却ユニットに電力を供給することができる。乗り物が稼動していないときに、交流電源を使用して電力を供給する種々のシステムは、電力を変換するための追加的な構成要素を必要とする。2つの代替的な電源を使用することにより、交流電源および直流電源の両方から同時に電力が供給された場合に両者の競合が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、交流電源および直流電源の両方からの電力を供給および管理するための構成や方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明においては、乗り物の屋根が冷却ユニットを支持する。冷却ユニットは、乗り物コンパートメントの主に外側に配置された外部ハウジングと、乗り物コンパートメントの主に内側に配置された内部ハウジングと、を含む。内部ハウジングは、乗り物の屋根における開口内に配置されている。乗り物の屋根は、外部層と、外部層から離間した内部層と、を有する。外部層と内部層との間に断熱層が配置され、外気から乗り物コンパートメントを断熱する。
【0006】
冷却ユニットが交流電力または直流電力のいずれかを使用して作動することができるように、電力管理システムが冷却ユニットに電力を供給する。乗り物のエンジンが稼動しているとき、冷却ユニットは電力管理システムの直流電源から直流電力を受ける。この直流電源は、乗り物のバッテリである。また、実施例の電力管理システムは、乗り物のエンジンが稼動していないときに電力を供給するための変換器およびラインコードを含む。ラインコードで変換器に接続された交流電源から交流電力が供給される。変換器は、交流電力を直流電力に変換し、変換した電力を冷却ユニットに送る。
【0007】
冷却ユニットが変換器を介して交流電源から電力を受けるときにユーザが乗り物のエンジンを始動させようとする場合、電力供給に競合が生じる。電力管理システムは、電力が2つの競合する電源から供給されていることをユーザに警告するために警報装置を活動させる。本発明の上記および他の特徴は、以下の詳細な説明および図からもっともよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、冷却システムなどの蒸気圧縮システム10を示し、この冷却システムは、冷媒などの流体を圧縮する圧縮機12を含む。冷媒は、圧縮機12から下流に向かって凝縮器14などの熱交換器に運ばれる。凝縮器14内で、冷媒が外部の流体媒体に熱を放出する。開示した実施例においては、外部の流体媒体は、空気である。冷媒は、凝縮器14から膨張装置16へ移動して膨張し、圧力が低下する。冷媒は、蒸発器18内で空気などの他の流体媒体から熱を受けとり、次いで圧縮機12へ流入し、サイクルが完成する。
【0009】
図2に、蒸気圧縮システム10を含む本発明の冷却ユニット20の斜視図を示す。乗り物の屋根22は、冷却ユニット20を支持する。冷却ユニット20は、外部ハウジング24および内部ハウジング26を含む。外部ハウジング24は、主に乗り物コンパートメント21の外側において乗り物の屋根22の上に配置されている。内部ハウジング26は、図示したように、主に乗り物コンパートメント21の内側において乗り物の屋根22の下に配置されている。乗り物の屋根22および外部ハウジング24の間に配置された第1の開口28を介して外部ハウジング24内に外気が流入する。図示したように、冷却ユニット20は、冷却ユニット20内に流入する空気流を増加させるための複数の第1の開口28を含み得る。空気は、凝縮器14および圧縮器12などの冷却ユニット20の構成要素を通過することにより、加熱される。加熱された空気は、外部ハウジング24内の第2の開口30を介して排出される。第2の開口30を介して冷却ユニット20内に流入し得る水および他の外部汚染物質の量を減らすために、第2の開口30にカバー32を設けることができる。また、外部ハウジング24は、水および他の汚染物質が冷却ユニット20内に流入することを防ぐ助けとなる。
【0010】
乗り物コンパートメント21の外側へ空気を吐出させて蒸気圧縮システム10の構成要素から熱を除去することにより、乗り物コンパートメント21内を加熱することなく、乗り物コンパートメント21の内側かつ乗り物の屋根22の下に冷却ユニット20を配置することができ、従って見栄えがよくなる。冷却ユニット20が外観からは隠されて、構成要素が発する熱は、乗り物コンパートメント21内の空気の温度に悪影響を与えることなく、第2の開口30を介して除去される。
【0011】
図3は、乗り物34および冷却ユニット20の一例を示す。電力管理システム36は、冷却ユニット20に電力を供給して作動させる。電力管理システム36は、冷却ユニット20が交流電力または直流電力のいずれかを使って作動することを可能にする。交流電源からの電力管理に必要なすべての構成要素が電力管理システム36に含まれる。従って、既に直流電力で作動する冷却ユニット20を有する種々の乗り物34に本発明の電力管理システム36を加えることができ、交流電力または直流電力のいずれかを使用する場合の電力供給を管理することができる。
【0012】
図4は、冷却ユニット20のための電力管理システム36の一例を概略的に示す。この冷却ユニット20は、直流電力を使って作動するように構成されている。一例においては、この直流電力は、12V直流電圧の電力を供給する。この電力管理システム36に、乗り物のバッテリなどの直流電力源38が接続されている。乗り物のエンジン40が稼動しているとき、冷却ユニットは、直流電源38から直流電力を受ける。
【0013】
実施例の電力管理システム36は、さらに、変換器42および交流ラインコード44を含む。乗り物のエンジン40が稼動していないとき、220Vの電気コンセントなどの交流電源46に交流ラインコード44を接続することができる。交流電源46およびラインコード44を介して変換器42に交流電力を供給することができる。変換器42は、交流電力を直流電力に変換し、冷却ユニット20に電力を供給する。変換器42および交流ラインコード44は、乗り物のエンジン40が稼動していない場合にも、冷却ユニット20が作動することを可能にする。
【0014】
しかし、冷却ユニット20が変換器42を介して交流電源46から電力を受けているときにユーザが乗り物のエンジン40を始動させようとする場合、冷却ユニット20への電力供給において競合が生じる。電力管理システム36は、変換器42および直流電源38の両方に接続された警報装置48を含む。この警報装置48は、変換器42および直流電源38の両方からの電力を検知し、警報装置を作動させる。図示した実施例においては、警報装置48は、音声信号であり、ブザーであることが好ましい。警報装置48が作動すると、ユーザに電力管理の競合を報知する。すると、ユーザは、交流電源46から電力管理システム36の接続を解除し、電力を競合させることなく乗り物のエンジン40を始動させることができる。
【0015】
本発明の好ましい実施例を開示したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの変更がなされ得ることを理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の蒸気圧縮システムを概略的に示す図。
【図2】本発明の冷却ユニットの斜視図。
【図3】本発明の乗り物および冷却ユニットの一例を示す図。
【図4】冷却ユニットのための本発明の電力管理システムの一例を概略的に示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力を供給する直流電源と、
交流電力を供給する交流電源と、
前記交流電力を直流電力に変換する変換器と、
前記変換器によって変換された変換直流電力および前記直流電源からの直流電力の両方が前記冷却ユニットに供給されたときに信号を発生させる警報装置と、
を備える、冷却ユニットに用いる電力管理システム。
【請求項2】
乗り物が稼動しているときに、前記直流電源が前記冷却ユニットに電力を供給することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
乗り物が稼動していないときに、前記変換器が前記交流電源からの前記交流電力を前記変換直流電力に変換することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記交流電源が電気コンセントであり、前記変換器がラインコードによって前記電気コンセントに接続されることを特徴とする請求項3に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記冷却ユニットが、蒸発器、圧縮機および凝縮器を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記信号が音声信号であることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記直流電源が乗り物のバッテリであることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項8】
乗り物コンパートメントの主に外側に配置された外部ハウジングと、
前記乗り物コンパートメントの主に内側に配置された複数の構成要素を収容する内側ハウジングと、
前記乗り物が稼動しているときに、前記冷却ユニットを駆動するための直流電力を供給する直流電源と、
前記乗り物が稼動していないときに、前記冷却ユニットを駆動するための交流電力を供給する交流電源と、
前記交流電源を変換直流電源に変換する変換器と、
を備える、乗り物用の冷却ユニット。
【請求項9】
前記乗り物が稼動していないとき、前記変換器が前記交流電力を前記変換直流電力に変換することを特徴とする請求項8に記載の冷却ユニット。
【請求項10】
前記交流電源が電気コンセントであり、前記変換器がラインコードによって前記電気コンセントに接続されることを特徴とする請求項9に記載の冷却ユニット。
【請求項11】
前記複数の構成要素が、蒸発器、圧縮機および凝縮器を含むことを特徴とする請求項8に記載の冷却ユニット。
【請求項12】
前記変換直流電力と、前記直流電源からの前記直流電力と、の両方が前記複数の構成要素に供給されたときに信号を発生させる警報装置をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の冷却ユニット。
【請求項13】
前記信号が音声信号であることを特徴とする請求項12に記載の冷却ユニット。
【請求項14】
前記直流電源が乗り物のバッテリであることを特徴とする請求項8に記載の冷却ユニット。
【請求項15】
冷却ユニットに供給する電力を管理する方法であって、
乗り物が稼動しているときに、前記冷却ユニットに直流電源からの直流電力を供給するステップと、
前記乗り物が稼動していないときに、交流電源からの交流電力を変換直流電力に変換するとともに、前記冷却ユニットに前記変換直流電力を供給するステップと、
前記直流電源からの前記直流電力と、前記変換直流電力と、の両方が前記冷却ユニットに供給されたときに警報装置を作動させるステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記直流電源からの直流電力を供給するステップが、乗り物のバッテリから電力を供給することを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記変換直流電力を供給するステップが、前記冷却ユニットを交流電源に接続するとともに前記交流電力を直流電力に変換するステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記交流電源から前記冷却ユニットへの接続を解除するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記交流電源から前記冷却ユニットへの接続が解除されたときに、前記乗り物を始動させるステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記警報装置を作動させるステップが、音声信号を提供することを含む請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−524396(P2009−524396A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551235(P2008−551235)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/002021
【国際公開番号】WO2007/084131
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(591003493)キャリア コーポレイション (161)
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
【Fターム(参考)】