説明

一体型ベルト張力付与装置、クロスリンク機構、自動化ストレージライブラリ、およびベルト駆動システムにおいて張力を調節するための方法

【課題】一体型ベルト張力付与装置のための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】1つの例示的な装置は、滑車161、162、付勢部材および表示器164を含む。付勢部材(たとえば、ばねなど)は、滑車を付勢位置に付勢するように適合される。表示器は滑車の位置と関連付けられ、付勢位置に対する滑車の相対的位置に従って変化する。滑車に作用するベルト158からの張力は、付勢力に抗して付勢位置から遠ざかるように滑車を変位させる。表示器は付勢位置からの滑車の相対的位置に従って変化し、これによりベルトの張力と相関され得る。ベルト張力付与装置160は、たとえばクロスリンク機構などの自動化ストレージライブラリで用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.分野
さまざまな局面および例はベルト駆動システムに一般的に関し、より特定的には、自動化されたストレージライブラリに有利に用い得る一体型ベルト張力付与装置および関連の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
ベルト駆動システムは典型的に、2つ以上の滑車の間にかかるモータ駆動ベルトを含む。典型的に、ベルト駆動システムにおけるベルトの張力は、ベルト駆動システムの性能および動作ならびにベルトの磨耗および寿命にとって重要である。たとえば、張力が適切でないと、ベルト駆動システムはうまく動作しなかったり、または過剰に磨耗したりしてしまうことがある。したがって、ベルト駆動システムは一般的に、所望の張力で(または所望の範囲内で)動作する。ベルト駆動システムにおいてベルトの張力を測定および調節するには、一般的に、たとえば力測定器などの外部測定装置、ベルト駆動システムのさまざまな部分へのアクセス、および張力を定めかつ調節する技術者を必要とする。
【0003】
ベルト駆動システムにおいて張力を調節するための1つの例示的な方法は、フォースゲージを用いてスパンの中点の近くで予め定められた距離だけベルトを変位させる力変位方法を含む。ベルトの張力は、フォースゲージの読取値を用いて定めてもよい(これに代えて、予め定められた力によってベルトを変位させてもよく、変位の距離は張力値に相関する)。ベルトはフォースゲージ読取値に基づいて調節してもよく、張力測定はベルトの所望の張力が達成されるまで繰返される。
【0004】
ベルト駆動システムにおいて張力を調節するための別の例示的な方法は、周波数方法を含む。この方法では、ベルトは振動するようにセットされ、周波数計で周波数を電子的に測定してベルトの張力と相関させる。周波数計は2つの滑車の間の中点に置かれる。
【0005】
ベルトシステムにおいて張力を定めて調節するこれらおよび他の方法は、外部の工具およびベルト駆動システムへのアクセスを必要とする。たとえば、力測定器とベルトシステムにおいてベルトの張力を測定する技術者とが必要であろう。さらに、ベルトスパンの中点へのアクセスが必要であり得、張力を測定しこれを所望の値に調節するためのそのようなアクセスを可能にするためにはハウジングまたは周囲のシステムのさまざまな部分を取外す必要があろう。
【0006】
ベルト駆動システムを用いる1つの例示的な技術分野は、自動化ストレージライブラリを含む。自動化ストレージライブラリは一般的に、(磁気的または光学的装置などの)記憶装置を保持するための複数のストレージビンまたはスロットを有するハウジング、(しばしば「ピッカ」と称される)ロボットカートリッジ把持機構、および1つ以上のメディアドライブを含む。ロボットピッカは、ライブラリから特定の記憶装置を選択して、ストレージスロットとメディアドライブとの間で数秒以内に記憶装置を転送するように制御され得る。ロボットピッカは典型的に、ロボットピッカ上に位置決めされるグリッパまたはハンド機構を含む。ロボットピッカは、グリッパを所望の記憶装置の近くに位置決めしてグリッパを作動させて記憶装置を係合または把持し、ストレージビンから記憶装置を取出し得る。ロボットアームは、メディアドライブ、(ライブラリから記憶装置を取出したりまたは追加したりするための)ロードポートなどに記憶装置をロードすべき場所にグリッ
パおよび記憶装置を移動させ得る。
【0007】
複数の自動化ストレージライブラリを互いの近くに置いてクロスリンク機構を介して結合してもよい。これにより、2つ以上の自動化ストレージライブラリは記憶装置を交換する。たとえば、クロスリンク機構は、ライブラリシステムピッカと協働して1つのストレージライブラリから別のストレージライブラリへ記憶カートリッジを選択的に搬送する、ベルト駆動システムによって駆動されるピッカ機構またはポケットを含み得る。
【0008】
一般的に、クロスリンク記憶と関連付けられるピッカ機構は、望ましくは、かなり高い精度で、ならびに記憶装置へのアクセスおよびその搬送を反復して、稼動する。クロスリンク機構の動作および精度は、ピッカ機構を駆動するベルトが所望の公差内の張力値を有し、かつベルトの張力値がある期間にわたって実質的に一定であるのを確実にすることによって向上し得る。たとえば、張力が所望の値から変化すると、クロスリンク機構の精度およびクロスリンク機構と関連付けられるベルト駆動システムの寿命が損なわれることがある。したがって、ベルトの張力は設置されてすぐに設定され、所望の公差内に留まるようにある期間にわたって容易に測定および調節されるのが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
本明細書中に記載される1つの例では、ベルト張力付与装置が提供される。ベルト張力付与装置は、滑車、付勢部材および表示器を含む。(たとえばばねなどの)付勢部材は、付勢位置に向けて滑車を付勢するように適合される。表示器は滑車の位置と関連付けられ、付勢位置への滑車の相対的な位置に従って変化する。たとえば、滑車に作用するベルトからの張力が増大すると、滑車は付勢力に抗して付勢位置から遠ざかるように変位する。表示器は、付勢位置からの滑車の相対的な位置に従って変化し、これによりベルトシステムにおける張力と相関され得る。たとえば付勢部材、滑車および表示器を含むベルト張力付与装置は、特定のベルト駆動システムおよび所望のベルト張力値向けに構成されてもよい。
【0010】
表示器は所望の張力を示すように構成されてもよく、またはさまざまな張力値を示すように目盛りを振られてもよい。表示器は、滑車の変位を視覚的に示すさまざまな好適な要素(またはベルトシステムにおける張力に相関され得るベルト張力付与装置の他の相対移動部分)を含み得る。たとえば、ベルト張力付与装置の相対移動部分のさまざまな位置と関連付けられるさまざまな印、マーク、窓、または他の好適な視覚的手がかりを用いてベルトシステムにおける張力を示してもよい。
【0011】
本明細書中に記載される別の局面では、2つ以上の自動化ストレージライブラリの間で記憶装置を転送するためのクロスリンク機構が提供される。1つの例では、クロスリンク機構は、2つ以上の滑車の間にかかるベルトと、ベルト張力付与装置とを含む。ベルト張力付与装置は、第1の滑車、第1の滑車に結合されて滑車を付勢位置に付勢する付勢部材、および滑車と関連付けられる表示器を含み得、滑車は、ベルトの張力により第1の滑車が付勢位置から遠ざかるように変位し、かつ第1の滑車の変位に従って表示器が変化するように構成される。
【0012】
本明細書中に記載される別の局面では、ベルト駆動システム内でベルトに張力を付与するための方法が提供される。方法は、ベルトの張力が増大するにつれて滑車が付勢位置から遠ざかるようにベルト駆動システムの滑車を付勢するステップを含む。滑車の相対的な位置と関連付けられる表示器を用いて、滑車の変位とベルトの張力とを相関させ得る。
【0013】
1つの例では、ベルトは、2つ以上の滑車の間にかかるように位置決めされる。滑車のうち1つはベルト張力付与装置に含まれ、ベルト張力付与装置は、滑車、滑車を付勢する付勢部材、および滑車の相対的な位置と関連付けられる表示器を含む。ベルト張力付与アセンブリは、2つ以上の滑車の間のベルトに張力付与するように調節される。表示器は、ベルトの張力を示すように観察され得、ベルト張力付与アセンブリは、ベルトの張力を変化させるように再位置決めされ得る。
【0014】
本発明のさまざまな局面および例は、添付の図面および請求項と関連して以下の詳細な説明を考慮することにより、より十分に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
詳細な説明
以下の説明は、当業者が本発明のさまざまな局面を実施しかつ用いることができるように提示される。特定の材料、技術および適用例の説明は、例示としてのみ提供される。本明細書中に記載される例に対するさまざまな変形例が当業者には容易に明らかであり、本明細書中に規定される一般的な原則は、この発明の精神および範囲から逸脱するのでなければ他の例および適用例に適用され得る。
【0016】
1つの例に従うと、一体型内蔵ベルト張力付与装置を含むベルト駆動システムが設けられる。ベルト張力付与装置はベルト駆動装置内に一体化され得る。たとえば、滑車などのベルト張力付与装置の少なくとも一部はベルト駆動システムの一部である。1つの例では、ベルト張力付与装置は、ベルト駆動システムの動作の間にベルトを係合する滑車を含む。ベルト張力付与装置はベルトの張力を調節するように動かされ得る。滑車は、ベルトの張力が増大するにつれて滑車が付勢力に抗してベルト張力付与装置に対して動くように、付勢部材(たとえばばね)によって(たとえばベルトから遠ざかる)方向に付勢される。表示器は、張力付与装置と関連付けられ、ベルトの張力が増大する際の滑車の付勢位置からのその変位を示し得る。滑車の変位は、(たとえば付勢力、変位の距離などに基づいて)ベルトの張力値と相関され得る。したがって、表示器は、ゲージまたは器具を付加せずに、ユーザがベルトの適切な張力を視覚的に検査してこれを確実にすることができるようにし得る。表示器は、ベルトの張力を示すため、ベルト張力付与アセンブリの相対移動部分と関連付けられるいずれの好適な印、マーク、装置などを含んでもよい。
【0017】
一般的に自動化ストレージライブラリおよび複数の自動化ストレージライブラリをリンクさせるための機構に関して、例示的なベルト駆動システムおよびベルト張力付与アセンブリを本明細書で説明する。これらの説明および例は、例示的なベルト駆動システムおよびベルト張力付与アセンブリのいくつかの適用例のみを例示するものである。当業者は、本明細書中では具体的に言及しないベルト駆動システムを含むさまざまなその他の適用例および技術において、例示的なベルト駆動システムおよびベルト張力付与アセンブリを用いてもよいことを認識するであろう。
【0018】
図1は、2つの例示的な自動ストレージライブラリシステム100に格納される複数の記憶装置114の格納および取出しの概略図である。ストレージライブラリシステム100は、1つ以上のメディアドライブ112と、ビンまたはストレージスロット116に格納される複数の記憶装置114と、選択された記憶装置114をたとえばドライブ112とストレージスロット116との間で搬送するためのピッカ機構(図示せず)を備え得る搬送機構118とを含む。ストレージライブラリシステム100は、ホストプロセッサまたはコンピュータネットワークと通信して搬送機構118およびドライブ112の行動を制御してデータを取出すおよび/または格納するライブラリコントローラ104をさらに含む。
【0019】
自動化ストレージライブラリシステム100は、技術分野で公知のような、手作業でライブラリに記憶装置を追加したり、そこから取出したりするためのロードポート、さまざまなアクセスドア、コントロールパネル、電源などのさまざまな他の特徴をさらに含んでもよい。しかしながら、明瞭さのため、そのような付加的な特徴は本明細書中では省略する。
【0020】
ストレージライブラリシステム100は、クロスリンク機構150を介して1つのライブラリシステム100から隣接するライブラリシステム100へ記憶装置114をさらに転送し得る。したがって、クロスリンク機構150は、カートリッジをクロスリンク機構150にロードして装置114を隣接するストレージライブラリシステム100内の新しい場所に転送することによって2つ以上のストレージライブラリシステム100が記憶装置114を共有できるようにする。
【0021】
例示的なクロスリンク機構150は、図2にさらに詳細に示されるように、ベルト駆動モータシステムを含む。特に、クロスリンク機構150は一般的に、(1つ以上の記憶装置を係合または保持するいずれの好適な装置も含み得る)ピッカ機構154を導くためのトラック152を含む。ピッカ機構154は、モータ156と滑車161および162の間にかかるベルト158とを含むベルトモータシステムによって駆動される。さらに、ベルトモータシステムは、滑車162と、張力表示器164と、調節ねじ166とを含むベルト張力付与装置160を含む。ベルト張力付与装置160は、調節ねじ166ならびにナット166aおよび166bを介してトラック152のフレーム部材に調節可能に固定される。さらに、張力表示器164は、ベルト158の張力と関連付けられる、滑車162に対する力の視覚的表示を与える。さらに、ベルト張力付与装置160は(図2には図示されない)付勢部材を含む。
【0022】
ベルト158はモータ156によって駆動され、モータ156と関連付けられる滑車161とベルト張力付与装置160の滑車162との間にかかる。ベルト張力付与装置160は、調節ねじ166ならびにナット166aおよび166bを介して調節されて滑車162の位置およびベルト158の張力を調節し得る。ベルト張力付与装置160をベルト158から遠ざかる方向に(滑車161から遠ざかる右方向に)移動させるとベルト158の張力が増大し、ベルト張力付与装置160をベルト158に向けて(滑車161に向けて左方向に)シフトさせるとベルトの張力158が減少する。
【0023】
この例では、ベルト張力付与装置160の滑車162は、滑車161から遠ざかる方向およびベルト158が生成する滑車162に対する張力の方向に付勢される。付勢力は、ベルト158の所望の張力をオフセットするようなものである。特に、滑車162が滑車161から遠ざかる方向に(図2の右に)動かされるにつれ、ベルト158においておよび滑車162に対して張力が増大する。ベルト158の張力は滑車162に作用する付勢力に勝るため、滑車162は張力付与装置160に対して動く。特に、ベルト158の張力は、一般的には付勢力の方向とは反対の、調節ねじ166に対する滑車162の変位を生じさせる。この変位によりベルト158の張力が示される。
【0024】
滑車162の付勢位置に対する滑車162の変位は、張力付与装置160と関連付けられる張力表示器164によって観察され得る。張力表示器164は、ベルト158の相対的な張力または変位と関連付けられるいずれの好適な表示器を含んでもよい。たとえば、区別できる色、マークまたはその他の特徴を用いて変位および張力値を示してもよい。張力表示器164、滑車162および付勢力はすべてベルト158の所望の張力について適合され得る。したがって、ユーザは張力表示器164を見て調節ねじ166を調節し、ベルト張力付与装置160の位置およびベルト158の張力を所望のレベルに変更し得る。
【0025】
この例では、2つのナット166aおよび166bを介して調節ねじ166をトラック152のフレーム部分に装着する。外側ナット166bを回転させて滑車162の位置を調節し、内側ナット166aを回転させて調節ねじ166をトラック152に対して定位置にロックまたはそこからロック解除する。当然ながら、さまざまな他の構成および好適な要素を用いて滑車162の位置を調節したりおよび/またはベルト張力付与装置160をフレーム部材に固定したりしてもよい。
【0026】
1つの例では、ベルト158は「歯型ベルト」または同期ベルトを含む。他の例では、ベルト158は摩擦ベルトを含み得る。ベルト駆動システムは2つよりも多くの滑車および1つよりも多くのベルト張力付与装置を含んでもよい。さらに、駆動モータとも関連付けられる滑車とベルト張力付与装置とを関連付け、または含むことができる。
【0027】
例示的な張力付与装置160およびクロスリンク機構150は、設置され得るベルト駆動システムと、測定され調節されるベルト158の張力とについて、特別な工具、測定装置または特別な技能の必要性を低減する。さらに、ベルト158の張力を、より複雑でない態様で、ある期間にわたって見るおよび調節し得る。
【0028】
図3A、図3B、図4A、図4B、図5Aおよび図5Bは、図2に示されるベルト張力付与装置160と同様の例示的なベルト張力付与装置360をより詳細に図示する。特に、図3Aおよび図3Bはそれぞれベルト張力付与装置360の斜視図および分解図である。さらに、図4A、図4B、図5Aおよび図5Bは、ベルトからの力のレベルを変えた場合の例示的なベルト張力付与装置360の側面図および断面図であり、図3Aおよび図3Bと組合せて参照される。
【0029】
ベルト張力付与装置360は一般的に、滑車362、滑車ブラケット370、ハウジング352、付勢部材374、検査窓354と座金354aとを含む張力表示器、ねじ切りされた調節ロッド366、ならびにベルト張力付与装置360を固定するためのさまざまな他の座金、ロックナットなどを含む。ねじ切りされた調節ねじ366は、フレーム部分を通るように適合されて、システム内にベルト張力付与装置360を固定し、(たとえば、図2のロックナット166aおよび166bと同様の)2つのロックナットによって捕捉される。ロックナットは、ベルト駆動システムの他の部分に対して、所望の場所にベルト張力付与装置360を動かしたり固定したりするように適切に締められたり緩められたりし得る。
【0030】
ベルト駆動システムに張力を付与する1つの例では、まずベルト張力付与装置360は、たとえば調節ねじ366と関連付けられるナットの1つを回転させることによりベルトの弛みを取除くように位置決めされる。ベルト張力付与装置360を移動させ続けるとベルトの張力が増大して、たとえばコイルばねなどの付勢部材374を圧縮し、これによりハウジング357の開口または検査窓354を見ながら座金354aを動かす。付勢部材374ならびに張力表示器座金354aおよび検査窓354の位置は、表示器座金354aが検査窓354と芯合わせされる(およびしたがって検査窓354を通して見える)ときに所望のベルト張力値が達成されるように配置され得る。たとえば、付勢部材374は、表示器座金354aが検査窓354と整列したときにベルトの張力が予め設定された荷重とほぼ等しくなるように、たとえば16ポンドの荷重などの予め定められた荷重で設計され得る。
【0031】
検査窓354、座金354aの場所、付勢部材374の付勢力およびベルト張力付与装置360の他の特徴は、特定の適用例、所望のベルトの張力、所望の公差などのさまざまな要因に依存して異なり得る。所望の張力が達成されると、張力付与装置360は、たとえばナットまたは他の要素をロックしてフレーム部材などに対して定位置にベルト張力付
与装置360を保持することによって定位置にロックされ得る。
【0032】
図4Bおよび図5Bにより明確に見られるように、ベルトから弛みを取除きベルトの所望の張力を生じるように張力付与装置360が位置決めされると、滑車362は調節ねじ366に対して変位する。特に、付勢部材374を圧縮して、これにより座金354aが検査窓354を通して見えるようにハウジング374に対して座金354aを変位する。この例では、ハウジング352の周りに周方向に複数の検査窓354を示す。そのような構成により、ユーザはベルト張力付与装置360に対するさまざまな位置から座金354aを見ることができるようになる。1つの例では、座金354aは、ユーザにはっきりと見えるようにハウジング352の色とは異なる色を含み得る。
【0033】
視覚的表示器はさまざまな態様で構成され得る。いくつかの例では、複数の開口をハウジング352に含んで、関連のベルトの異なる張力レベルと関連付けられる目盛り付き検査窓を設けてもよい。さらに、他の例では、マーク390(図4Bおよび図5Bを参照)を調節ねじ366の上に含んで、これを用いてハウジング352の変位を定めてもよい。一般的に、表示器は、ベルトが十分な張力下にある場合の付勢部材374に抗する滑車162の相対的変位と関連付けられる、ベルト張力付与システム360のいずれの2つの移動部分も参照するいかなる好適な印を含んでもよい。
【0034】
ベルト張力付与装置のさまざまな要素の追加および省略を含むさまざまな変形例が可能であることが当業者には明らかであろう。たとえば、コイルばね、板ばね、および発泡材、エラストマー、ゴムなどの弾性材料などのさまざまな付勢要素を用いてもよい。明示的に示されたもの以外の構成も用いて付勢力を与えてベルトの張力を均衡させてもよい。遊び車、定滑車、輪郭付き滑車などのさまざまな滑車を用いてもよい。滑車を保持するため、およびアセンブリまたはフレーム部材に対して滑車が可動であるための代替的な構成が当業者には明らかであろう。
【0035】
さらに、ベルト駆動システムのさまざまな要素の追加および省略を含むさまざまな変形例が可能である。たとえば、モータおよびベルト張力装置は同じ滑車に隣接して位置決めされてもよい。複数のベルト張力付与装置が単一のベルト駆動システムなどの中に含まれてもよい。
【0036】
上記詳細な説明は例示的な実施例を図示するために与えられたものであり、制限的であることを意図するものではない。当業者には、本発明の範囲内に入る数多くの変形例および修正例が可能であることが明らかであろう。たとえば、本明細書中に記載されたさまざまな例示的な方法およびシステムは、単独でも、または、本明細書に記載されていてもいなくてもさまざまな他のベルト駆動システムもしくは装置と組合せて用いてもよい。さらに、特定の例およびこれらの例が関連技術分野のある欠点をどのように扱うと考えられるかを論じた。しかしながら、この議論は、さまざまな例を、欠点を実際に扱うまたは解決する方法および/またはシステムに制限することを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】1つの例に従うベルト張力付与装置を含むクロスリンク機構によって結合された2つの例示的なストレージライブラリシステムの図である。
【図2】ベルト張力付与装置を含む例示的なクロスリンク機構をより詳細に示す図である。
【図3A】例示的なベルト張力付与装置の斜視図である。
【図3B】例示的なベルト張力付与装置の分解図である。
【図4A】異なる荷重条件下での例示的なベルト張力付与装置の側面図である。
【図4B】異なる荷重条件下での例示的なベルト張力付与装置の側面図である。
【図5A】異なる荷重条件下での例示的なベルト張力付与装置の側面断面図である。
【図5B】異なる荷重条件下での例示的なベルト張力付与装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0038】
100 ストレージライブラリシステム、114 ストレージ装置、118 搬送機構、150 クロスリンク機構、156 モータ、158 ベルト、160 ベルト張力付与装置、161、162 滑車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型ベルト張力付与装置であって、
滑車と、
付勢位置に向けて滑車を付勢するための付勢部材と、
滑車の位置と関連付けられる表示器とを備え、
前記表示器は付勢位置に対する滑車の相対位置に従って変化する、一体型ベルト張力付与装置。
【請求項2】
付勢位置に対する滑車の相対位置は、滑車に対する力と関連付けられる、請求項1に記載のベルト張力付与装置。
【請求項3】
付勢部材を内包するハウジングをさらに備え、
付勢部材はばねを含む、請求項1に記載のベルト張力付与装置。
【請求項4】
ハウジングは滑車に結合され、かつ表示器を表示するための窓を含む、請求項3に記載のベルト張力付与装置。
【請求項5】
表示器は、滑車の位置と関連付けられる1つ以上の印を含む、請求項1に記載のベルト張力付与装置。
【請求項6】
請求項1に記載のベルト張力付与装置を含む自動化ストレージライブラリのためのクロスリンク機構。
【請求項7】
請求項1に記載のベルト張力付与装置を含む自動化ストレージライブラリ。
【請求項8】
2つ以上の自動化ストレージライブラリの間で記憶装置を転送するためのクロスリンク機構であって、
2つ以上の滑車の間にかかるベルトと、
一体型ベルト張力付与装置とを備え、前記一体型ベルト張力付与装置は、
第1の滑車と、
第1の滑車に結合されて滑車を付勢位置に付勢する付勢部材と、
第1の滑車と関連付けられる表示器とを含み、
前記第1の滑車は、ベルトの張力によって第1の滑車が付勢位置から遠ざかるように変位するように構成され、
表示器は第1の滑車の変位に従って変化する、クロスリンク機構。
【請求項9】
ベルトを駆動するためのモータをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
記憶装置を係合するための、ベルトに結合された機構をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
ベルト張力付与システムをフレームに装着する部材をさらに備え、前記部材はベルト張力付与装置の位置を調節するように適合される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
付勢部材を内包するハウジングをさらに備え、付勢部材はばねを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記ハウジングは第1の滑車に結合され、かつ窓を含み、前記窓は第1の滑車の変位と関連付けられる表示器と選択的に整列するように適合される、請求項12に記載のシステ
ム。
【請求項14】
前記表示器は、第1の滑車の変位と関連付けられる1つ以上の印を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
付勢位置に対する第1の滑車の相対位置はベルトの張力と関連付けられる、請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
2つ以上の滑車の間にかかるベルトを有するベルト駆動システムにおいて張力を調節するための方法であって、
付勢部材を用いてベルト駆動システムの滑車を付勢位置に付勢するステップと、
滑車が付勢部材に抗して動き、かつ付勢部材がベルトの張力を均衡させるように滑車を動かしてベルトの張力を増大させるステップとを含む、方法。
【請求項17】
付勢位置からの滑車の相対変位およびベルトの張力と関連付けられる表示器をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
滑車、付勢部材および表示器は、ベルト駆動システムのフレーム部材に調節可能に搭載される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ベルト駆動システムは、2つ以上の自動化ストレージライブラリのためのクロスリンク機構を含む、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2006−220305(P2006−220305A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33927(P2006−33927)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(591179352)クウォンタム・コーポレイション (49)
【氏名又は名称原語表記】QUANTUM CORPORATION
【Fターム(参考)】