説明

一体型走査光学ユニット、画像読取装置および画像形成装置

【課題】キャリッジケースの厚さの増大を抑制できるとともに原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる一体型走査光学ユニット、画像読取装置、画像形成装置を提供すること。
【解決手段】基板405は、キャリッジケース407の側面部外側に配置されるとともに点光源401が実装され、点光源401からの光を原稿読取位置に導くとともに、点光源401に対する相対位置または姿勢の少なくとも一方を点光源401と原稿読取位置との相対位置の変化に応じて変更可能な反射板701を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明系、ミラー、結像レンズなどの光学系や、CCDなどのイメージセンサをキャリッジケースに収容した一体型走査光学ユニット、およびこの一体型走査光学ユニットを搭載する画像読取装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の一体型走査光学ユニットとしては、副走査方向の照度分布ばらつきの低減およびフレア光の遮光を目的として、一体型走査光学ユニットの上部に照明系を配置する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1、2の一体型走査光学ユニットにおいては、原稿を照射する点光源と、原稿からの反射光をイメージセンサに導くミラーと、反射光を結像するレンズをキャリッジケース内に備え、イメージセンサが基板に実装されるとともに板金を介してキャリッジケースの側面部外側に配置される構成となっている。また、この一体型走査光学ユニットにおいては、キャリッジケースの上部に照明系である点光源が配置されている。
【0004】
しかし、特許文献1、2の一体型走査光学ユニットにおいては、キャリッジケースの上部に照明系が配置されているため、照明系の分だけ、一体型走査光学ユニットの厚さ、すなわち上下方向のサイズが大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、イメージセンサが実装された基板上に点光源を設けることで、この点光源をキャリッジケースの側面部外側に配置し、一体型走査光学ユニットの厚さの増大を抑制するようにした技術が知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0006】
これにより、キャリッジケースの上部に必要であった点光源の配置スペースを無くせるので、キャリッジケースの厚さを縮小することができ、また、ミラーの配置を効率的に行える。例えば、点光源が配置されていた領域にミラーの一部を位置させることができるようになるため、光路を稼ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3、4に記載された技術では、共通の基板上にイメージセンサと点光源の双方が実装されているため、イメージセンサの位置を調整するために基板の位置を変化させると、イメージセンサとともに点光源の位置も変化してしまうため、原稿読取位置に対する照度分布が、図22(a)の適正状態から、図22(b)のように照度分布の中心が原稿読取位置からずれた非適正状態となってしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、キャリッジケースの厚さの増大を抑制できるとともに原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる一体型走査光学ユニット、画像読取装置、画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一体型走査光学ユニットは、原稿を照射するための点光源と、前記原稿からの反射光を読み取るイメージセンサと、前記イメージセンサが実装された基板と、前記原稿からの反射光を順次反射させて前記イメージセンサに導く複数のミラーと、前記反射光を結像させる結像レンズと、前記点光源、前記イメージセンサ、前記複数のミラーおよび前記結像レンズを保持して副走査方向に一体的に移動可能なキャリッジケースと、を備えた一体型走査光学ユニットであって、前記基板は、前記キャリッジケースの側面部外側に配置されるとともに前記点光源が実装され、前記点光源からの光を原稿読取位置に導くとともに、前記点光源に対する相対位置または姿勢の少なくとも一方を前記点光源と前記原稿読取位置との相対位置の変化に応じて変更可能な導光部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、点光源とイメージセンサが実装された基板をキャリッジケースの側面部外側に配置したことにより、キャリッジケースの厚さの増大を抑制できる。また、点光源からの光を原稿読取位置に導く導光部材が点光源に対する相対位置または姿勢の少なくとも一方を変更可能であるため、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0011】
したがって、キャリッジケースの厚さの増大を抑制できるとともに、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0012】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記読取位置に垂直な読取光軸上に配置されて前記複数のミラーのうち前記原稿からの反射光を最初に受ける第1ミラーの上方に配置されていることを特徴とする。
【0013】
この構成により、点光源から照射された光を導光部材により狙いの位置に導くことができるため、効率よく原稿面を照射することができるとともに、キャリッジケースの幅方向のサイズを小さくすることができる。
【0014】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記基板と前記キャリッジケースの横側面との間に配置されていることを特徴とする。
【0015】
この構成により、キャリッジケースの横側面とイメージセンサとの距離を離すことなく導光部材を配置できるので、キャリッジケースの移動方向(副走査方向)の幅をコンパクトにすることができる。
【0016】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記基板の背面から締結部材により螺合されて前記基板に固定され、前記基板は、前記原稿読取位置に対して近接および離隔する方向に長径を有する長穴形状に形成されるとともに前記導光部材の固定時に前記締結部材が挿通する挿通孔を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成により、締結部材を緩めることで導光部材の位置調整を行うことができるため、原稿読取位置における点光源からの照射光の照度分布を適正な状態に保つことができる。
【0018】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記基板の挿通孔に対向する位置に位置調整用の目盛りを有することを特徴とする。
【0019】
この構成により、作業者は、締結部材を締結する側から挿通孔を介して目盛りを視認して容易かつ正確に導光部材の位置調整を行うことができる。
【0020】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記読取光軸よりも前記点光源に近い側に配置され、前記点光源からの光を外面反射により原稿読取位置に導く反射板からなることを特徴とする。
【0021】
この構成により、点光源からの光を外面反射により原稿読取位置に導く反射板により、原稿読取位置を良好に照射することができる。
【0022】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記基板上における前記点光源の周囲に、前記反射板により前記点光源の周囲に向って反射した反射光成分を外面反射により原稿読取位置に導く副反射部を備えたことを特徴とする。
【0023】
この構成により、光のロスが少なくなり光効率が向上するため、点光源の個数の削減や消費電流の低減を達成することができる。
【0024】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記読取光軸よりも前記点光源に近い側に配置され、前記点光源からの光を内部反射により原稿読取位置に導く導光板からなることを特徴とする。
【0025】
この構成により、点光源からの光を内部反射により原稿読取位置に導く導光板により、原稿読取位置を良好に照射することができる。
【0026】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光板は、前記キャリッジケースに支持されることを特徴とする。
【0027】
この構成により、点光源の位置が変化しても読取位置に対する導光板の位置が変化しないため、導光板の位置調整を不要とすることができる。
【0028】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記点光源と前記導光板の間であって、前記点光源から前記導光板に向う光の経路を囲む位置に、前記点光源からの光を外面反射により前記導光板に導く反射部材を備えたことを特徴とする。
【0029】
この構成により、反射部材により点光源からの光が拡散することなく導光板に導かれるため、光学調整のために点光源がキャリッジケースから離れる方向に移動して点光源と導光板との距離が離れた場合であっても、導光板に入射する光線が減少して効率が低下することを防止することができる。
【0030】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記導光部材は、前記読取光軸を挟んで前記点光源に対向する位置で前記キャリッジケースに支持され、前記点光源からの光のうち前記対向する位置に向った光を外面反射により原稿読取位置に導く対向反射板からなることを特徴とする。
【0031】
この構成により、点光源からの直接光と対向反射板からの反射光により読取光軸の両側から原稿面を良好に照射することができ、原稿が切り貼り原稿であっても、切り貼り部分に影が発生することを防止することができる。
【0032】
また、本発明に係る一体型走査光学ユニットは、前記対向反射板は、軸線が主走査方向の回動軸を介して前記キャリッジケースに回動可能に支持されることを特徴とする。
【0033】
この構成により、対向反射板を回動させて角度を変化させることにより、対向反射板からの反射光の方向を調整して照度分布を最適化することができる。
【0034】
また、本発明に係る画像読取装置は、上記の一体型走査光学ユニットと、前記一体型走査光学ユニットと原稿とを副走査方向に相対的に移動する移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0035】
この構成により、一体型走査光学ユニットを備えた画像読取装置において、キャリッジケースの厚さの増大を抑制できるとともに、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0036】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記の画像読取装置と、前記画像読取部で読み取った画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0037】
この構成により、一体型走査光学ユニットが搭載された画像読取装置を備えた画像形成装置において、キャリッジケースの厚さの増大を抑制できるとともに、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、キャリッジケースの厚さの増大を抑制できるとともに原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる一体型走査光学ユニット、画像読取装置、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの反射板の構成を示す断面図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの反射板の固定方法をそれぞれ示す正面図および側面図である。
【図7】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの反射板をそれぞれ示す正面図および側面図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの照度分布の適正状態および非適正状態をそれぞれ示す図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの反射板の位置調整用の目盛りを示す図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの反射面の構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットにおいて基板の位置がばらついた状態を示す断面図である。
【図13】(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの導光板の調整機構をそれぞれ示す正面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットにおいて導光板をキャリッジケースに取り付けた構成を示す断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットにおいて導光板をキャリッジケースに取り付け、反射部材を設けた構成を示す断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの構成を示す断面図である。
【図17】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットにおける切り貼り原稿への直接光の照射状態を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの反射板の固定方法を示す断面図である。
【図19】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの対向反射板をそれぞれ示す正面図および側面図である。
【図20】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの対向反射板の2種類の固定方法をそれぞれ示す正面図である。
【図21】(a)、(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る一体型走査光学ユニットの照度分布の非適正状態および適正状態をそれぞれ示す図である。
【図22】(a)、(b)は、従来の一体型走査光学ユニットの照度分布の適正状態および非適正状態をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0041】
(第1の実施の形態)
まず、図1〜図10を参照して第1の実施の形態の構成について説明する。
【0042】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部101と、用紙供給装置40と、原稿搬送読取ユニット104とを備えている。原稿搬送読取ユニット104は、画像形成部101の上に固定された画像読取部102と、これに支持される原稿搬送装置としてのADF103とを有している。
【0043】
用紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から記録媒体としての用紙を送り出す送出ローラ43、送り出された用紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有している。また、画像形成装置100の給紙路37に用紙を搬送する複数の搬送ローラ46等も有している。そして、給紙カセット42内の用紙を画像形成装置100内の給紙路37内に給紙するようになっている。
【0044】
画像形成部101は、光書込装置2や、K、Y、M、C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K、3Y、3M、3C、中間転写ベルト25を有する転写ユニット24、紙搬送ユニット28、レジストローラ対33、定着装置34、排紙ローラ対35、スイッチバック装置36、給紙路37等を備えている。
【0045】
そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザーダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3K、3Y、3M、3Cの感光体4K、4Y、4M、4Cに向けてレーザー光Lを照射する。
【0046】
このレーザー光の照射により、ドラム状の感光体4K、4Y、4M、4Cの表面には静電潜像が形成され、この静電潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。なお、符号の後に付されたK、Y、M、Cという添字は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン用の仕様であることを示している。
【0047】
上記構成の画像形成装置100において、各感光体4K、4Y、4M、4Cの表面に形成されたトナー像は、図中時計回り方向に無端移動する中間転写ベルト25に順次重ね合わせて1次転写される。
【0048】
この1次転写により、中間転写ベルト25には4色重ね合わせのカラートナー像が形成される。また、用紙供給装置40から供給された用紙が、レジストローラ対33により所定のタイミングで、紙搬送ユニット28と中間転写ベルト25との間で形成された2次転写ニップに送り出され、中間転写ベルト25上のカラートナー像が用紙に一括2次転写される。
【0049】
2次転写ニップを通過した用紙は、中間転写ベルト25から離間して定着装置34へ搬送される。定着装置34に搬送された用紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着された後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。なお、画像形成部101は、図1に示すような電子写真方式の構成に限定されるものではなく、インクジェット記録方式等の構成であってもよい。
【0050】
画像形成部101の上に配置された画像読取部102は、原稿406に光を照射して反射光を読み取る一体型走査光学ユニット301を備えている。一体型走査光学ユニット301は、原稿406に接触するように画像読取部102のスキャナカバー部201(図2参照)に固定されたコンタクトガラス203の直下に副走査方向(図の左右方向)に移動可能に配設されている。
【0051】
一体型走査光学ユニット301は、光源、反射ミラー、イメージセンサを1つのユニットに一体化したものであり、ADF103によって搬送される原稿406の画像を読み取る場合には、図中Aの位置に移動して停止した状態で、ADF103によって搬送される原稿406がコンタクトガラス203上を通過する際に光源から発した光を原稿面で順次反射させながら、複数の反射ミラーを経由させて撮像手段としてのCCDで原稿406の画像を読み取る。
【0052】
一方、コンタクトガラス203上に載置された原稿406の画像を読み取る場合には、一体型走査光学ユニット301は、図中Aの位置から右側に移動しながら、光源から発した光をコンタクトガラス203上に載置された原稿406で反射させ、複数の反射ミラーや結像レンズなどを経由させて撮像手段としてのCCDで原稿406の画像を読み取る。
【0053】
図2、図3に示すように、画像読取部102は、スキャナカバー部201と、画像読取部102の側面および下面を構成する筺体としてのスキャナフレーム部202と、を備えている。
【0054】
スキャナカバー部201は、画像読取部102の上面を構成するものであり、原稿を載置するコンタクトガラス203を備えている。画像読取部102の内部には、一体型走査光学ユニット301と、この一体型走査光学ユニット301を副走査方向に移動するためのガイドロッド302およびレール303が設けられている。一体型走査光学ユニット301の内部には、図示しない照明、レンズ、CCD、ミラーが保持されている。
【0055】
以下、本発明の要部である一体型走査光学ユニット301の詳細について説明する。
【0056】
図4に示すように、一体型走査光学ユニット301は、原稿406に光を照射するLED等からなる点光源401と、原稿406からの反射光をイメージセンサ404に導くミラー402a〜402eと、反射光を結像するレンズ403と、これら点光源401、ミラー402a〜402eおよびレンズ403を直接的または間接的に保持して収容する筺体としてのキャリッジケース407と、を備えている。
【0057】
点光源401およびイメージセンサ404は、共通の基板405の同一平面(図中右側の面)の上端近傍および下端近傍にそれぞれ表面実装されて固定されている。基板405は、板金408を介してキャリッジケース407の側面部外側に固定されている。点光源401は、主走査方向(図4の紙面を貫く方向)に所定間隔で複数個配列されている。
【0058】
このため、従来はキャリッジケース407の上部に必要であった点光源401の配置スペースを無くせるので、キャリッジケース407の厚さを縮小することができ、さらに、ミラー402a〜402eの配置を効率的に行うことができる。例えば、第4のミラー402dは、従来は点光源401が配置されていた領域に配置させることができるようになったため、光路を稼ぐことができる。なお、所望の光路長になるように、ミラー402dの位置に合わせて、ミラー402dおよび他のミラー402a〜402c、402eの角度を設定すればよい。
【0059】
図5に示すように、点光源401は、図の右側面が発光面のトップビュータイプであり、図の左から右に向けて放射状に発光する。そして、点光源401の発光方向前方には、点光源401からの光を効率的に照射面に導くための導光部材として、点光源401からの光を原稿面へ反射させる反射板701が設けられており、この反射板701は、基板405に支持されている。
【0060】
反射板701は、外面反射により光を対象物まで導くものであり、基板405に固定される平面形状の固定面701aと、点光源401からの光を原稿面上に反射する湾曲形状の反射面部701bと、を有している。反射面部701bの先端(固定面701aと反対の側)は、点光源401の光軸(最も強い光)よりも原稿側に位置している。なお、反射面部701bにおける、点光源401の光軸上から原稿側領域は、読み取り光軸に向く形状となっている。
【0061】
また、反射面部701bは、基板405とキャリッジケース407との間に配置されている。ここで、反射面部701bはキャリッジケース407に向けて膨出する形状であるため、反射面部701bの形状に沿ってキャリッジケース407の側面の上端部407aも内側に向けて湾曲させている。このようにすることで、キャリッジケース407の左側面とイメージセンサ404との距離を離すことなく、反射板701を配置できるので、キャリッジケース407の移動方向(副走査方向)の幅をコンパクトにすることができる。
【0062】
反射板701は、固定面701aを基板405(点光源401の実装面と同じ面)に対向させた状態で、ねじ等の締結部材700により基板405に締結および固定されている。締結部材700は、反射板701が設けられている側と反対側(図中の基板405の左側)から締結するようになっているため、基板405をキャリッジケース407から取り外すことなく、反射板701のみを基板405から取外したり位置変更することが容易となっている。
【0063】
図6に示すように、基板405は、点光源401の配列方向と直交する方向(図中の上下方向)、すなわち原稿読取位置に対して近接および離隔する方向に長径を有する長穴形状の挿通孔704を有している。また、図7に示すように、反射板701の平面形状の固定面701aは、点光源401の配列方向の両側の2箇所に円形の雌ねじ部703を有している。なお、雌ねじ部703は、2箇所に限らず中央部を加えた3箇所設けられていてもよい。
【0064】
反射板701の雌ねじ部703と基板405の挿通孔704は、基板405と反射板701とを重ね合わせたときに一致する。そして、反射板701は、基板405の裏面よりねじ等の締結部材700で締結することで基板405に固定される。また、固定した後は、締結部材700を緩めることで、基板405に対する反射板701の位置を、挿通孔704に沿って上下方向に移動することができ、所望の反射板701の位置で締結部材700を再度締結することが可能となる。
【0065】
ここで、本実施の形態においては、イメージセンサ404と点光源401の両方が基板405に実装されているため、調整のためにイメージセンサ404の位置を上下に変位させた場合、イメージセンサ404とともに点光源401の位置も変化し、照射面に対する点光源401および反射板701の位置関係が変化してしまう。
【0066】
すなわち、図8(a)に示すように、照度分布の中心が原稿の読取位置に一致している適正な状態から、図8(b)に示すように、照度分布の中心が原稿の読取位置からずれた状態に、変化してしまう。
【0067】
そこで、図8(b)のように点光源401の照度分布にずれが発生していた場合、反射板701を基板405に固定している締結部材700を一旦緩めた上で、図8(a)のように、照度分布の中心が原稿の読取位置に一致している適正な状態となるよう、反射板701を垂直方向(上下方向)に移動した後、締結部材700を再度締結して反射板701を基板405に固定する。これにより、原稿の読取位置に対する点光源401の照度分布のずれを容易に修正することができる。
【0068】
図9に示すように、反射板701の固定面701aにおける基板405と対向する面には、反射板701の雌ねじ部703を挟む上下方向(垂直方向)に位置調整用の目盛り701cが設けられている。この目盛り701cは、例えば、雌ねじ部703からの距離を1mm毎に記したものであり、反射板701を基板405に固定した状態で基板405の挿通孔704から視認できる位置に配置されている。このため、目盛り701cは、キャリッジケース407の外側(図5の左側および図9の手前側)から挿通孔704を介して視認できるので、基板405に対する反射板701の位置を容易に把握することができる。したがって、作業者は、この目盛り701cを見ながら反射板701の位置および移動量を調整することができるので、容易かつ正確に反射板701の位置調整を行うことができる。
【0069】
図10に示すように、点光源401の近傍の基板405上に、光を反射する反射面706を設け、この反射面706により、反射板701の反射面部701bから基板405に向かって反射した光を原稿面に反射させるようにしてもよい。具体的には、反射面706としてのシルク印刷層をシルク印刷により基板405上に形成したり、または、光を反射するシート形状の部材を反射面706として基板405上に貼付することができる。なお、反射面706は、点光源401の配列方向に幅をもって設けられている。
【0070】
基板405上に反射面706を設けることにより、光のロスが少なくなり光効率が向上するため、点光源401の個数の削減や消費電流の低減を達成することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、点光源401としてトップビュータイプのものを使用しているが、サイドビュータイプであっても構わない。サイドビュータイプの点光源401を用いる場合、点光源401の配光特性にあわせて反射面部701bの形状および位置を適宜設定するとともに、反射面706を、基板405上の点光源401の発光方向の面のみに設ければよい。
【0072】
以上のように、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、基板405は、キャリッジケース407の側面部外側に配置されるとともに点光源401が実装され、点光源401からの光を原稿読取位置に導くとともに、点光源401に対する相対位置または姿勢の少なくとも一方を点光源401と原稿読取位置との相対位置の変化に応じて変更可能な反射板701を備えたことを特徴とする。
【0073】
この構成により、点光源401とイメージセンサ404が実装された基板405をキャリッジケース407の側面部外側に配置したことにより、キャリッジケース407の厚さの増大を抑制できる。また、点光源401からの光を原稿読取位置に導く反射板701が点光源401に対する相対位置または姿勢の少なくとも一方を変更可能であるため、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0074】
したがって、キャリッジケース407の厚さの増大を抑制できるとともに、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、反射板701は、読取位置に垂直な読取光軸上に配置され原稿からの反射光を最初に受ける第1のミラー402aの上方に配置されていることを特徴とする。
【0076】
この構成により、点光源401から照射された光を反射板701により狙いの位置に導くことができるため、効率よく原稿面を照射することができるとともに、キャリッジケース407の幅方向のサイズを小さくすることができる。
【0077】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、反射板701は、基板405とキャリッジケース407の横側面との間に配置されていることを特徴とする。
【0078】
この構成により、キャリッジケース407の横側面とイメージセンサ404との距離を離すことなく反射板701を配置できるので、キャリッジケース407の移動方向(副走査方向)の幅をコンパクトにすることができる。
【0079】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、反射板701は、基板405の背面から締結部材700により螺合されて基板405に固定され、基板405は、原稿読取位置に対して近接および離隔する方向に長径を有する長穴形状に形成されるとともに反射板701の固定時に締結部材700が挿通する挿通孔704を備えることを特徴とする。
【0080】
この構成により、締結部材700を緩めることで反射板701の位置調整を行うことができるため、原稿読取位置における点光源401からの照射光の照度分布を適正な状態に保つことができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、反射板701は、基板405の挿通孔704に対向する位置に位置調整用の目盛り701cを有することを特徴とする。
【0082】
この構成により、作業者は、締結部材700を締結する側から挿通孔704を介して目盛り701cを視認して容易かつ正確に反射板701の位置調整を行うことができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、導光部材として、読取光軸よりも点光源401に近い側に配置され、点光源401からの光を外面反射により原稿読取位置に導く反射板701を用いることを特徴とする。
【0084】
この構成により、点光源401からの光を外面反射により原稿読取位置に導く反射板701により、原稿読取位置を良好に照射することができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、基板405上における点光源401の周囲に、反射板701により点光源401の周囲に向って反射した反射光成分を外面反射により原稿読取位置に導く副反射部として反射面706を備えたことを特徴とする。
【0086】
この構成により、光のロスが少なくなり光効率が向上するため、点光源401の個数の削減や消費電流の低減を達成することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る画像読取装置としての原稿搬送読取ユニット104は、上記の一体型走査光学ユニット301と、この一体型走査光学ユニット301と原稿406とを副走査方向に相対的に移動する移動手段としてのADF103、またはガイドロッド302およびレール303を備えたことを特徴とする。
【0088】
この構成により、一体型走査光学ユニット301を備えた原稿搬送読取ユニット104において、キャリッジケース407の厚さの増大を抑制できるとともに、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係る画像形成装置100は、画像読取装置としての原稿搬送読取ユニット104と、原稿搬送読取ユニット104で読み取った画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段としての画像形成部101と、を備えたことを特徴とする。
【0090】
この構成により、一体型走査光学ユニット301が搭載された原稿搬送読取ユニット104を備えた画像形成装置100において、キャリッジケース407の厚さの増大を抑制できるとともに、原稿読取位置に対する照度分布を調整することができる。
【0091】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態は、点光源401の光を導光板により原稿406の照射面に導くようにした点において第1の実施の形態と異なっており、第1の実施の形態と同様の構成については同一の符号を用いるとともに詳細な説明を省略する。
【0092】
図11に示すように、本実施の形態の一体型走査光学ユニット301においては、トップビュータイプの点光源401からの光を効率的に照射面に導くための導光部材として、図10の反射板701に代えて、導光板601を備えている。
【0093】
導光板601は、内部反射により光を対象物まで導くものであり、基板405に固定されるようになっている。導光板601は、点光源401からの光を入射する入射面601aと、点光源401からの光を原稿面上に反射する反射面部601bと、原稿へ向けて光を射出する射出面601cと、基板405に固定される固定面601dと、固定面601dと入射面601aとを連結および支持する支持部601eと、を有している。
【0094】
また、導光板601の射出面601c側は、キャリッジケース407の左側面より内側(図中右側)に入り込んでおり、第1のミラー402aの真上に配置されている。これにより、導光板601内での内部反射により、点光源401から照射された光を狙いの位置に導くことができるため、効率よく原稿面を照射することができるとともに、幅方向のサイズを小さくすることができる。
【0095】
導光板601は、その固定面601dを基板405の点光源401の実装面(図中右側の面)に対向させた状態で、基板405の点光源401の実装面と反対の面(図中左側の面)からねじ等の締結部材602の締結により基板405に固定されている。このように、導光板601が設けられている側と反対側から締結部材602を締結して導光板601を固定するようになっているため、基板405を取り外すことなく、導光板601のみの取外しおよび位置変更を容易に行うことができる。
【0096】
なお、基板405への導光板601の固定方法は、締結部材602による締結に限定されるものではなく、例えば、両面テープまたは接着材を用いて導光板601を基板405に固定するようにしてもよい。
【0097】
ここで、一体型走査光学ユニット301においては、ミラー402a〜402eやレンズ403はキャリッジケース407に保持されるが、キャリッジケース407の部品ばらつき(部品精度)によっては、点光源401から照射される光が狙いの光路とはならず光学調整が必要になる場合がある。光学調整方法としては、ミラー402a〜402eの位置を調整する方法や、イメージセンサ404の位置を調整する方法があるが、調整時間の短縮や調整のし易さの点において有利なことから、イメージセンサ404の位置を調整する方法が一般的である。
【0098】
図12に示すように、第5のミラー402eが設置された角度が、キャリッジケース407の部品ばらつきによって狙いの角度からずれた場合、理想的な副走査方向の位置を読み取るためには、イメージセンサ404は、図11における位置よりも上方に配置される必要があるため、この調整を行うとイメージセンサ404が実装された基板405は上側に変位することとなる。
【0099】
本実施の形態では、基板405に点光源401を取り付けているため、基板405を上側に変位させると、点光源401から照射された光の原稿面照度分布が変化してしまう。
【0100】
すなわち、第1の実施の形態と同様、図8(a)に示すように、照度分布の中心が原稿の読取位置に一致している適正な状態から、図8(b)に示すように、照度分布の中心が原稿の読取位置からずれた状態(左側にピークを持った分布)に、変化してしまう。図8(b)のように読取位置の近傍で傾斜を持った照度分布は読取画像の濃度ムラの原因となってしまうため望ましくない。
【0101】
そこで、図13(a)、図13(b)に示すように、基板405は、点光源401の配列方向と直交する方向(図中の上下方向)に長径を有する長穴形状の挿通孔604を有している。そして、導光板601は、基板405の裏面よりねじ等の締結部材602を挿通孔604に差し込んで締結することで基板405に固定される。また、固定した後は、締結部材602を緩めることで、図13(b)に示すように、基板405に対する導光板601の位置を、挿通孔604に沿って上下方向に移動して調整することができ、所望の導光板601の位置で締結部材602を再度締結することが可能となる。
【0102】
これにより、コンタクトガラス203に対する導光板601の位置を調整することができるため、光学調整によって点光源401の位置が理想的な位置からずれてしまっても最適な照度分布を得ることができる。なお、導光板601の入射面601aから点光源401が外れてしまわないように、基板405の調整代を考慮した分だけ導光板601の入射面601aを大きくしておき、導光板601の調整可能な全ての範囲で点光源401からの光を入射面601aが捉えることができるようにすることが望ましい。
【0103】
なお、本実施の形態においても、導光板601における基板405と対向する面に、図9と同様の目盛り701cを設けることにより、作業者は、導光板601の位置および移動量を調整することができるので、容易かつ正確に導光板601の位置調整を行うことができる。
【0104】
また、図14に示すように、導光板601と同様の構成および機能を有する導光板1001を、基板405ではなくキャリッジケース407に取り付けるよう構成してもよい。図11のように基板405に導光板601を取り付けた場合、基板405の位置の調整に応じて導光板601の位置を調整する必要があるが、図14のように導光板1001をキャリッジケース407に取り付けた場合、コンタクトガラス203上の読取位置に対する導光板1001の位置が光学調整によって変化することがないため、導光板1001の位置調整を不要とすることができる。
【0105】
したがって、図11の構成で導光板601の位置を調整する場合と比べて、導光板1001の位置調整が不要な分だけ組立時間を短くすることができるため、生産コストを低減することができる。また、図11の構成の導光板601の固定面601dおよび支持部601eが不要になるので、図14の構成では導光板1001の形状が複雑になることを防止することができる。
【0106】
なお、導光板1001のキャリッジケース407に取り付けるための構成に関しては、図14に示すように、導光板1001をキャリッジケース407の左側面の上端部407aに載置して固定または係止する構成に限らず、例えば、キャリッジケース407における導光板601と対向する部位を導光板601の対向面に沿った形状にしておいて、導光板1001をキャリッジケース407に固定または係止する構成としてもよい。
【0107】
一体型走査光学ユニット301においては、レンズ403の共役長がばらついた場合、MTFの低下や倍率誤差が発生してしまう。そこで、図15に示すように、キャリッジケース407に対する板金408の取付位置を変更することにより、レンズ403およびイメージセンサ404の位置をキャリッジケース407に対して副走査方向(図15では左方向)に調整して、MTFや倍率を合わせることとなる。
【0108】
本実施の形態では、基板405にイメージセンサ404と点光源401の双方を取り付けているため、イメージセンサ404をキャリッジケース407から離れる方向に移動すると、点光源401もキャリッジケース407から離れる方向に移動してしまい、点光源401と導光板1001との距離が離れてしまうため、コンタクトガラス203上の読取位置に対する導光板1001の位置は変化しないものの、導光板1001に入射する光線が少なくなり効率が低下してしまう。
【0109】
そこで、導光板1001と点光源401の間に反射部材1101を設けることにより、点光源401から発散してしまう光線も反射部材1101によって導光板1001の入射面に導くことができる。
【0110】
なお、本実施の形態では、点光源401としてトップビュータイプのものを使用しているが、サイドビュータイプであっても構わない。サイドビュータイプの点光源401を用いる場合、点光源の配光特性にあわせて導光板601、1001の形状をおよび位置を適宜設定すればよい。
【0111】
以上のように、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、導光部材として、読取光軸よりも点光源401に近い側に配置され、点光源401からの光を内部反射により原稿読取位置に導く導光板601、1001を用いることを特徴とする。
【0112】
この構成により、点光源401からの光を内部反射により原稿読取位置に導く導光板601、1001により、原稿読取位置を良好に照射することができる。
【0113】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、導光板1001は、キャリッジケース407に支持されることを特徴とする。
【0114】
この構成により、点光源401の位置が変化しても読取位置に対する導光板1001の位置が変化しないため、導光板1001の位置調整を不要とすることができる。
【0115】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、点光源401と導光板1001の間であって、点光源401から導光板1001に向う光の経路を囲む位置に、点光源401からの光を外面反射により導光板1001に導く反射部材1101を備えたことを特徴とする。
【0116】
この構成により、反射部材1101により点光源401からの光が拡散することなく導光板1001に導かれるため、光学調整のために点光源401がキャリッジケース407から離れる方向に移動して点光源401と導光板1001との距離が離れた場合であっても、導光板1001に入射する光線が減少して効率が低下することを防止することができる。
【0117】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態は、点光源401の光を対向反射板により原稿406の照射面に導くようにした点において第1および第2の実施の形態と異なっており、第1および第2の実施の形態と同様の構成については同一の符号を用いるとともに詳細な説明を省略する。
【0118】
図16に示すように、本実施の形態の一体型走査光学ユニット301においては、トップビュータイプの点光源401からの光を効率的に照射面に導くための導光部材として、図10の反射板701、図11、図15の導光板601、1001に代えて、対向反射板501を備えている。
【0119】
対向反射板501は、外面反射により光を対象物まで導くものであり、点光源401の光軸を挟んだ対向部分における、キャリッジケース407の端部に取り付けられており、点光源401から照射された光のうち対向反射板501が受けた光線を原稿面に向けて反射させるものである。
【0120】
対向反射板501を設けることにより、点光源401からの直接光と、対向反射板501からの反射光によって、原稿406が切り貼り原稿であっても、光軸の両側から原稿面を良好に照射することができる。
【0121】
すなわち、点光源401からの直接光は、原稿406の読み取り位置において、図17(a)に示すように、切り貼り原稿である原稿406上の切り貼り部406aの手前側端部の段差部を照射することができるが、図17(b)に示すように、切り貼り部406aの厚みによりその奥側端部の段差の背後を照射することができず、点光源401からの直接光だけでは切り貼り部406aの奥側背後に影ができてしまう場合があるため、本実施の形態では、対向反射板501を設けることにより、切り貼り部406aの奥側背後に影が発生することを防止することができる。
【0122】
対向反射板501をキャリッジケース407に固定する構成としては、図16のように直接的な固定方法に限らず、図18に示すように、対向反射板501をその姿勢を変更可能にキャリッジケース407に固定するようにしてもよい。
【0123】
図18において、対向反射板501は、その下側端部にキャリッジケース407に軸支される回動支点502を有するとともに、主走査方向の両端部にイモねじ503が螺合されており、イモねじ503の螺合量を増減することにより回動支点502を回動中心とした姿勢変化、すなわち図中のα方向の角度変化を行うことで、照度分布を最適化するよう、点光源401から受けた光の反射方向を調整することができるようになっている。
【0124】
図19(a)、図19(b)に示すように、対向反射板501は、対向反射板501の主走査方向(図19(a)の左右方向)の両端の下端部にそれぞれ回動支点502を有している。この回動支点502は、キャリッジケース407との寸法公差を緩い締りばめの状態とすることで、半嵌合の状態でキャリッジケース407により軸支されているため、対向反射板501は、自重や軽振動によっては姿勢が変化することがなく、且つ、キャリッジケース407に対して回動可能となっている。また、対向反射板501は、原稿照射に必要な範囲504の外側である主走査方向両端部であって回動支点502よりも上側に、イモねじ503が螺合される螺合穴507をそれぞれ有している。
【0125】
なお、イメージセンサ404の位置調整時等に対向反射板501の姿勢が変化してしまうことのないように、図20(a)に示すように、対向反射板501の主走査方向両端部を板ばね505でそれぞれ固定したり、または、図20(b)に示すように、対向反射板501の主走査方向両端部を粘着テープ類506でそれぞれ固定する構成とすると好適である。
【0126】
ここで、一体型走査光学ユニット301においては、ミラー402a〜402eやレンズ403はキャリッジケース407に保持されるが、キャリッジケース407の部品ばらつき(部品精度)によっては、点光源401から照射される光が狙いの光路とはならず光学調整が必要になる場合がある。光学調整方法としては、ミラー402a〜402eの位置を調整する方法や、イメージセンサ404の位置を調整する方法があるが、調整時間の短縮や調整のし易さの点において有利なことから、イメージセンサ404の位置を調整する方法が一般的である。
【0127】
イメージセンサ404の位置の調整のために基板405の位置を変更すると、本実施の形態の場合、基板405に点光源401が実装されているため、原稿406の照射面に対する点光源401の位置関係も変わってしまう。このため、原稿読取位置における点光源401からの照射光の照度分布がずれてしまう。すなわち、図21(a)に示すように、点光源401からの照射光のうちの直接光成分と対向反射板成分の和である全体の照度分布の中心が狙いの光軸からずれた非適正状態となってしまう。
【0128】
そこで、本実施の形態では、対向反射板501の姿勢の調整、すなわち角度調整を行うことにより、図21(b)に示すように、点光源401からの照射光のうちの対向反射板成分の照度分布を調整し、狙いの光軸に全体の照度分布の中央部分を一致または近づけて適性状態とすることができる。
【0129】
以上のように、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、導光部材として、読取光軸を挟んで点光源401に対向する位置でキャリッジケース407に支持され、点光源401からの光のうち上記対向する位置に向った光を外面反射により原稿読取位置に導く対向反射板501を用いることを特徴とする。
【0130】
この構成により、点光源401からの直接光と対向反射板501からの反射光により読取光軸の両側から原稿面を良好に照射することができ、原稿406が切り貼り原稿であっても、切り貼り部分に影が発生することを防止することができる。
【0131】
また、本実施の形態に係る一体型走査光学ユニット301においては、対向反射板501は、軸線が主走査方向の回動軸である回動支点502を介してキャリッジケース407に回動可能に支持されることを特徴とする。
【0132】
この構成により、対向反射板501を回動させて角度を変化させることにより、対向反射板501からの反射光の方向を調整して照度分布を最適化することができる。
【符号の説明】
【0133】
100 画像形成装置
101 画像形成部(画像形成手段)
102 画像読取部
103 ADF(移動手段)
104 原稿搬送読取ユニット(画像読取装置)
201 スキャナカバー部
202 スキャナフレーム部
203 コンタクトガラス
301 一体型走査光学ユニット
302 ガイドロッド(移動手段)
303 レール(移動手段)
401 点光源
402a〜402e ミラー
403 レンズ
404 イメージセンサ
405 基板
406 原稿
406a 切り貼り部
407 キャリッジケース
407a 上端部
408 板金
501 対向反射板
502 回動支点(回動軸)
503 イモねじ
504 原稿照射に必要な範囲
505 板ばね
506 粘着テープ類
507 螺合穴
601、1001 導光板(導光部材)
601a 入射面
601b 反射面部
601c 射出面
601d 固定面
601e 支持部
602 締結部材
604 挿通孔
700 締結部材
701 反射板(導光部材)
701a 固定面
701b 反射面部
703 雌ねじ部
704 挿通孔
706 反射面(副反射部)
1001 導光板(導光部材)
1101 反射部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0134】
【特許文献1】特開2010−004365号公報
【特許文献2】特開2010−002731号公報
【特許文献3】特開2009−141681号公報
【特許文献4】特開2010−226733号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を照射するための点光源と、
前記原稿からの反射光を読み取るイメージセンサと、
前記イメージセンサが実装された基板と、
前記原稿からの反射光を順次反射させて前記イメージセンサに導く複数のミラーと、
前記反射光を結像させる結像レンズと、
前記点光源、前記イメージセンサ、前記複数のミラーおよび前記結像レンズを保持して副走査方向に一体的に移動可能なキャリッジケースと、を備えた一体型走査光学ユニットであって、
前記基板は、前記キャリッジケースの側面部外側に配置されるとともに前記点光源が実装され、
前記点光源からの光を原稿読取位置に導くとともに、前記点光源に対する相対位置または姿勢の少なくとも一方を前記点光源と前記原稿読取位置との相対位置の変化に応じて変更可能な導光部材を備えたことを特徴とする一体型走査光学ユニット。
【請求項2】
前記導光部材は、前記読取位置に垂直な読取光軸上に配置されて前記複数のミラーのうち前記原稿からの反射光を最初に受ける第1ミラーの上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項3】
前記導光部材は、前記基板と前記キャリッジケースの横側面との間に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項4】
前記導光部材は、前記基板の背面から締結部材により螺合されて前記基板に固定され、
前記基板は、前記原稿読取位置に対して近接および離隔する方向に長径を有する長穴形状に形成されるとともに前記導光部材の固定時に前記締結部材が挿通する挿通孔を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項5】
前記導光部材は、前記基板の挿通孔に対向する位置に位置調整用の目盛りを有することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項6】
前記導光部材は、前記読取光軸よりも前記点光源に近い側に配置され、前記点光源からの光を外面反射により原稿読取位置に導く反射板からなることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項7】
前記基板上における前記点光源の周囲に、前記反射板により前記点光源の周囲に向って反射した反射光成分を外面反射により原稿読取位置に導く副反射部を備えたことを特徴とする請求項6に記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項8】
前記導光部材は、前記読取光軸よりも前記点光源に近い側に配置され、前記点光源からの光を内部反射により原稿読取位置に導く導光板からなることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項9】
前記導光板は、前記キャリッジケースに支持されることを特徴とする請求項8に記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項10】
前記点光源と前記導光板の間であって、前記点光源から前記導光板に向う光の経路を囲む位置に、前記点光源からの光を外面反射により前記導光板に導く反射部材を備えたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項11】
前記導光部材は、前記読取光軸を挟んで前記点光源に対向する位置で前記キャリッジケースに支持され、前記点光源からの光のうち前記対向する位置に向った光を外面反射により原稿読取位置に導く対向反射板からなることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項12】
前記対向反射板は、軸線が主走査方向の回動軸を介して前記キャリッジケースに回動可能に支持されることを特徴とする請求項11に記載の一体型走査光学ユニット。
【請求項13】
請求項1〜請求項12の何れかに記載の一体型走査光学ユニットと、
前記一体型走査光学ユニットと原稿とを副走査方向に相対的に移動する移動手段と、を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像読取装置と、
前記画像読取部で読み取った画像情報に基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−238962(P2012−238962A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105366(P2011−105366)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】