説明

一体式ポンプアセンブリ付き計量分配システム

【課題】不注意でまたは偶然に圧力がかった場合に、保存容器から流体が不注意でまたは偶然に排出されるのを防止し、各分配操作から実質的に等しい量の流体材料を吐出できる流体分配装置を提供する。
【解決手段】開口316と、計量分配のために実質的に開口の上でそれに装着されているドームポンプアセンブリ326とを有し、ドームポンプアセンブリ326はドームボタン404、上部延長部318および弁408と一体的に形成されている。保存容器320から液体を計量のためにドーム405に引き込む。延長部318および容器の壁から形成されている出口通路436は、出力弁としての機能を果たす。使用者がドーム404と容器ポーチの反対側306とを同時に圧搾すると、フラッパー弁408が密封されて、実際の分配のために液体が出口通路436に押し出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に分配装置およびパッケージに関する。より具体的には、本発明は流体媒体源から流体媒体を制御可能に分配できる計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商業および工業の全体において、異なる目的でさまざまな種類の流体材料(fluid material)および媒体(media)が採用されている。たとえば、パーソナルケア、ホームケア、エアケア、輸送ケアおよび食品業界には流体材料源からなんらかの形態の当該材料の分配を要するさまざまな製品がある。この材料が商取引で販売される場合、なんらかの形態の容器に収容して保存しなければならない。その製品を使用する場合には、その保存容器から使用する場所に分配しなければならない。
【0003】
先行技術では、保存された流体材料をその所望の使用場所に吐出するために採用される多数の異なる種類のディスペンサがある。たとえば、このような目的のために、そこからノズルチップが延びている可撓性の本体を有する保存容器が一般に提供されている。当該使用の例はケチャップディスペンサの状況において見ることができ、使用者は容器本体を絞って、流体材料(つまり、ケチャップ)を容器本体から押し出して、ノズルチップを通して、流体材料を所望の位置に正確に射出する。このような用途では、最終的に吐出される流体の量は、使用者が実際に容器本体をどの程度絞ったかによって決まる。
【0004】
この先行技術の方法は、かろうじて受け入れられる程度の結果を提供してきたが、この方法は、容器本体のそれぞれ連続した圧搾時に吐出される流体材料が多かったり少なかったりするため、典型的には、流体量の不安定さを生じる。また、流体ノズルチップに弁を採用していないため、漏れないように容器を直立させて保持しなければならない。
先行技術の分配装置の別の実施例では、吐出するべき流体材料の量を維持する可撓性容器が提供されている。前述した漏れの問題を克服しようとして、可撓性容器の出口に1つの一方向逆止弁が設けられている。可撓性本体を絞ると、材料は圧力で弁から押し出される。ここでの問題は、時間の経過とともに弁が部分的に目詰まりするようになり、それによって使用者は弁を開かせるのに余分な圧力をかける必要があることである。その結果、弁がいったん開くと、その余分な圧力によって、使用者がおおよそ望んでいたよりも多くの流体材料が射出される。
【0005】
下記特許文献1は、内側流体保存領域を内部に備えている容器を有する流体分配装置を提供することによる、前述のシステムの大幅な進歩の一例である。可撓性計量ハウジングが流体保存領域に流体連通して配設されているとともに、第1の一方向弁が容器と可撓性計量ハウジングとの間に配設されている。ボタンを押し下げてから放したときの真空作用により、容器の内側流体保存領域からの一方向の流れが、計量チャンバの所定容量に流体を充填する。第2弁は計量ハウジングに流体連通しており、計量ハウジングを再び押し下げたときに、計量チャンバから容器の外部の外側領域への一方向の流れを可能にする。計量ハウジングが押し下げられるたびに、実質的に等しい量の流体が容器から分配される。
【0006】
この計量ポンプアセンブリの構成および動作は優れた結果を提供するが、少なくとも3つの個別要素、具体的には可撓性ボタン、吸込み弁および出力弁を含むことを認識するべきである。ある状況においては、さまざまな機能を統合するおよび/または部品数を減らすことによって、この構成を単純にするのが望ましいことがある。
下記特許文献2は、このような単純化した設計を保有するさまざまな実施形態を開示しており、弁機能および分配機能を設計に組み込んで、製造が比較的単純かつコスト効果的でありながら、しかも優れた結果を提供している。しかし、最低限の数の要素を組み込んでいる実施形態(特許文献2の図17に図示される)でも、計量ポンプアセンブリは2つの個別部品、つまり、ドームボタン(図7の608)および上部(図17の610)を組み込んでいる一要素と、ベースプレート(図17の602)および底部(図17の604)を組み込んでいる別の要素とを含む。
【0007】
場合によっては、なおいっそう単純化した設計が望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,419,322号
【特許文献2】米国特許公開番号第2008/0264973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この点に関して、本発明は、設計がさらに単純な、具体的には1つの一体型部材しか備えていない計量ポンプアセンブリを採用しながら、上記特許文献1および上記特許文献2に開示される装置の利点の多くを保つ計量分配システムを提供する。
そのため、本発明の目的は、各分配操作から実質的に等しい量の流体材料を吐出できる流体分配装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、ディスペンサのドーム型ポンピングメカニズムまたは保存容器に不注意でまたは偶然に圧力がかった場合に、保存容器から流体が不注意でまたは偶然に排出されるのを防止する流体分配装置を提供することである。
本発明の別の目的は、重力に無反応の流体分配装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、所与の用途にポンプアセンブリをよりよく組み込み、それが設置される容器の製造および組み立てを単純化するように一体的に形成されている多数のコンポーネントを有する外部計量分配システムを提供することである。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、一体的に形成されているポンプアセンブリを容器に対して密封することによって、流体を分配する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある実施形態によると、流体分配装置は、内部区画を画成している壁を有する可撓性ポーチ(pouch)を含み、ポーチの壁は内部区画からポーチの外部まで貫通する開口を有する。そこから離れて延びている上部延長部を備えるドームボタンは、計量チャンバを画成するように、開口の付近でその周縁のほぼ全周がポーチの外部に対して密封されている。しかし、上部延長部の末端は、ドームボタンを押し下げたときに上部延長部およびポーチの外面が流体の出口経路を画成するように密封されないままとして、上部延長部およびポーチの外部が一方向出口弁も形成する。
【0013】
弁はドームボタンおよび上部延長部の一体構造にも組み込まれている。一体形成されている弁は、ドームボタンから延びてその自由端に突起を提供するアームを含むので、ポーチを通して開口に密封状に係合することによって、一方向吸込み弁を形成する。
ドームボタンに偶然圧力がかかったときに、液体がポーチに戻って漏れとして出口経路から出ないように、弁は静止時にわずかに開いているように弾性偏倚されていてもよい。ドーム内部の離隔レッグを、所望の分配中に閉じている弁を保持するために使用してもよい。
【0014】
吸込み弁部材を通常閉にして、ドームボタンの下降ストローク時に吸込み弁が閉じられたまま、ドーム内に存在する計量された液体が上部延長部とポーチの外面との間に画成されている出口経路から押し出されるように、弁を下方に弾性偏倚することも可能である。
ドームボタンの上方ストローク時には、吸込み弁はポーチから開口を引き上げて、液体をポーチからドームボタンの計量チャンバ内への装填を可能にする。
【0015】
添付の図面に図示するように、ドームボタンの周りにはその不意の作動を防止するために、直立円周壁が配置されている。壁はドームボタンおよび上部延長部と一体的に成形するのが好ましい。壁は比較的剛性で、その全体に圧力がかかったときに簡単に圧縮されないのが好ましい。このため、ポンピングのためにドームボタンを作動させるためには、可撓性のドームボタン自体を、使用者の指によるなど、明確に押し下げなければならない。その結果、ポンプアセンブリの作動は、とくに望まれるときだけに起こる可能性が高くなる。部品の一体的な形成により完成品アセンブリの溶着部が少なくなるため、性能は改善されなくとも保持しながら、製造がより単純になり、コストが下がる。
【0016】
ポンプは一体式構造を含んではいるが、ポーチの外部に圧力がかかったときにやはり出口通路の自動遮断を行うことができるので、漏れ防止に役立つ。ポーチにかかる圧力は、ポーチの外部における、出口通路を画成する領域を上部延長部に押しやるので、閉じられている出口通路を潰す、平らにする、および圧搾しやすいからである。このため出口通路に存在している材料は可撓性ドームボタンのチャンバに押し戻される。その結果、ポーチに偶然にまたは意図せずに圧力がかかったときに、望ましくない漏れがさらに回避される。
【0017】
添付の図面には図示していないが、本発明のポンプアセンブリからの望ましくない分配および漏れを防止するのをさらに助けるために、使い捨てまたは密封しなおせる閉鎖部を使用してもよい。
一体にしたドームボタン、上部延長部および弁は、プラスチックまたはエラストマー材料およびその組み合わせなど、あらゆる適した材料で作ることができる。一体コンポーネントは、目下の用途に応じてより剛性に、またはより柔軟にすることができる。ポーチもまた、多数の適した材料または材料の組み合わせから作ることができ、いくつかの実施形態ではプラスチックまたはエラストマー製の可撓シート材が好ましい。
【0018】
いくつかの用途では、ポーチの異なる部分を異なる材料から形成するのが望ましくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ポーチの上壁(つまり、ポンプアセンブリが密封される壁)は可撓シート材から形成してもよく、一方で、ポーチの下壁は剛性または半剛性の材料から形成してもよい。他の材料および/または材料の組み合わせの使用も考えられる。
【0019】
前述に鑑みて、本発明はスタンドアップポーチ(SUP)、まち付きポーチ、印刷ポーチ、密閉しなおせるジッパーポーチ、ならびになんらかの形態のはぎ取り式または打ち抜き穴式の出口を含むポーチおよび他の容器など、あらゆる種類のポーチ構成において、調整して計量された吐出を提供するのによく適している。たとえば、はぎ取り式の出口を備えているハンドクリーナー用ディスペンサは、本発明によるポンプアセンブリ構成にとくによく適しているであろう。
【0020】
一般に、本発明は、たとえば、1)出口経路の幅を変更する、2)溶着痕から逆流圧を生み出す、3)出口経路の形状を変更する、4)ポーチを通る開口のサイズと形状とを変更する、5)ドームボタンの離隔レッグのサイズ、長さおよび構成を変更する(設けられている場合)、6)一方向弁のサイズ、形状、柔軟性および構成を変更する、および7)出口経路にノズルを組み込むこと、によって、広い範囲の粘性を取り扱えるように簡単に変更できる弁形状を含むことができる。また、自動遮断を調節するために、出口弁の構成を簡単に変更することもできる。
【0021】
本発明に特徴的な新規な特徴を添付の請求項に記載する。しかし、本発明の好適な実施形態は、別の目的および付随する利点とともに、添付の図面と関連して解される以下の詳細な説明を参照してもっともよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】液体の不注意または偶然の分配を防止するための弁機能を含む、本発明の一体式ポンプアセンブリを備えている計量分配システムの実施形態の斜視図である。
【図2】図1に図示する計量分配システムの前部分解斜視図である。
【図3】本発明の計量分配システムの図1のライン12−12を通る断面図である。
【図4】本発明の計量分配システムの図1のライン12−12を通る斜視断面図である。
【図5】本発明の一体式ポンプアセンブリを備えている計量分配システムの底部斜視図である。
【図6】実際の流体の分配を図示する図1のライン12−12を通る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図4には、ドームボタン404または保存容器320に圧力がかかったときでも、液体302の不注意または偶然の排出を防止する本発明の改良された分配装置を含む装置300の詳細が示されている。
品質の良い分配装置300を製造する効率的な方法は、容器320を構成するために熱溶着を採用することである。たとえば、上部シート304は典型的には底部シート306のその周縁に熱溶着されて、内側流体保存領域322を内部に備えている容器320を形成することができる。他の種類の結合、例えば接着剤も考えられる。
【0024】
本明細書で使用する溶着という用語は、密封、接着、結合などを含むことが意図される。溶着は、熱、振動、化学物質、接着剤、超音波または当業者に周知のポリマーを接合するあらゆる他の手段によって達成されてもよい。
本明細書で使用する密封という用語は、圧力、熱、振動、化学物質、接着剤、超音波または当業者に周知のポリマーを接合するあらゆる他の手段によって達成されてもよい。
【0025】
図1は本発明による改良された一体式ポンプアセンブリを採用する計量ディスペンサ300を示す斜視図である。溶着、材料のチューブ、シーリング、接着剤などによるなど、材料304,306の2枚のシートをともに固着して形成される外側保存容器320が設けられている。上側部材326からなる計量ポンプは保存容器320から液体302を引き出して、それを計量してから、経路を形成する上部延長部318を通して出口308に分配する。
【0026】
図2は、図1に図示する保存容器320および計量ポンプ326の上部を形成する材料の上部シート304の分解図を示す。計量ポンプまたは上側部材326は材料304のシートに取り付けられて、保存容器320の上壁として機能する。
材料304のシートは保存容器320の内部区画から容器の外部まで貫通する開口316を含む。
【0027】
可撓性ハウジング形態の上側部材326のドームボタン404は、開口316の上に配置されている。上部延長部318は、分配装置300の保存容器320を形成する材料304の上部シートの上面に配置されている。
上部延長部318およびフラッパー弁408を含む上側部材326は、シート304の周縁に溶着されて、ポンプ構造を形成する。
【0028】
上部延長部318および材料304の上部シートは互いに隣接しているので、この構造は装置から液体302のさらに望ましくない流れを防止する出口弁としての役目も果たす。
ここで、図3、図4および図6に移ると、計量分配システムの動作のさらなる詳細が示されている。図3は、本発明の計量分配システムの一体式ポンプアセンブリの図1のライン12−12を通る断面図を図示している。アセンブリの弁機能は、ドームボタン404に偶然または不注意で圧力がかかった場合に、保存容器320からの液体302の不注意によるまたは偶然の排出を防止する。
【0029】
可撓性ドームボタン404の頂部の裏面、または壁414の裏面に離隔レッグ422,424が設けられている。
より具体的には、分配動作は実際には、上側部材326の可撓性ドームボタン404とともに、容器またはポーチの外部シート306に力を加える必要がある。これら2つの領域に同時に不注意または偶然に力が加わりそうにはないため、液体の偶然または不注意の排出の可能性は実質的に排除される。
【0030】
本発明の上側部材326のドーム404の開口316の上かつ空洞405の中に静止しているのは、フラッパー弁408である。本明細書ではフラッパー弁を図示し、詳細に説明しているが、これは制限を意図するものではない。本発明によって多くの種類の弁が考えられる。たとえば、末端にビーズを備えている薄い茎状の片を有する弁をドームの内側頂部から吊り下げることができよう。このフラッパー弁408は通常開状態に構成することが可能だが、静止時に平らになるように構成してもよい。
【0031】
上側部材326のドーム404の実質的に下側にある外部シート306が強制的に押し下げ(depress)られない限り、フラッパー弁408は開口316を密封しないので、可撓性ドームポンプハウジング404への不注意による接触から製品の排出は起こらないようになっている。
そのかわりに、フラッパー弁408は開いているので、上側部材326の空洞405内部に存在する液体製品は、出口弁からディスペンサの外側に望ましくなく流れ出すのではなく、開口316から保存容器320自体の内部のリザーバに単に逆流しようとするだろう。
【0032】
使用時、人がポケットまたは財布の中にディスペンサを持っていて、上側部材326の可撓性ドームボタン404に偶然または意図せずに圧力がかかる場合、液体はディスペンサの外側に流れず、それによって、意図せずに分配された製品による汚れを防ぐ。
図3および図4は、計量分配のために押し下げられているドームボタン404を取り囲んでいる周方向の直立壁414を示す。直立壁414はドームボタン404の望ましくない押し下げの防止に役立つ。壁414はドームボタン404、フラッパー弁408および上部延長部318と一体成形されている。壁414は剛性で、その全体に圧力がかかっても容易に圧縮されないことが好ましい。このため、ポンピングのためにドームボタン404を作動させるには、使用者の指によるなどして、可撓性ドームボタン404自体を確実に押し下げなければならない。その結果、ポンプアセンブリ326の作動はとくに望まれるときにだけ行われる可能性が高くなる。部品の一体形成により、完成品アセンブリに溶着または継ぎ目が少なくなっているため、性能は改善されないとしてもそれを保持しながら、製造がより容易でコストが低くなる。
【0033】
図6は液体302の意図的な分配の様子を示している。液体製品302を実際に分配したい場合、使用者の親指430は可撓性ドーム404を押し下げることができ、使用者の人差し指432は同時に上側部材326のドームボタン404の実質的に下側にある容器の外部シート306の部分に作動力を加えることができるので、可撓性ドーム404は、可撓性ドームの下側の離隔レッグ422に助けられて、開口316の上およびその周囲でフラッパー弁408をしっかり密封し、そのポジティブロックを提供し、それによって保存容器320のリザーバ434に戻る液体流路を閉じる。
【0034】
そのため、ドーム404の空洞405内に収容される液体302の経路のみが、図6の矢印によって示されるように、製品の意図された分配のために、上部延長部318および材料304のシートによって形成されている出口通路436から出ることになる。
可撓性ドームボタン404の底部にある離隔レッグ422は、フラッパー弁408の密封をうまく成し遂げるため、使用者の指430,432によって必要な絞り量を調節するために、サイズ、長さおよび構成を変更できることは理解されるべきである。
【0035】
たとえば、可撓性ドームハウジング404の底部に2×2配列で4本の離隔レッグ422を備えていることが好ましく、長さを1/32インチにすることができる。これらの離隔レッグ422は、円形または四角形など、下方に下垂している単一の壁にすることも可能である。このような配列は開口316の径の外側で一方向フラッパー弁408に対して下方に押すと、材料304の上部シートに対するフラッパー弁408の良好な密封が得られるように構成されている。
【0036】
もう一度図4に戻ると、本発明は液体の望ましくない排出を防止するさらなる構造を提供する。上述のような改良された一体式ポンプアセンブリに加えて、出口通路436の自動遮断は、保存容器320の外部に圧力が加わると、漏れを防ぐのに役立つ。図4では、Aと付される矢印で示されるように、保存容器またはポーチ320の外側に圧力が加わると、出口通路436は潰れて、平らになり、圧搾閉鎖しがちである。その結果、通路内に存在する材料は、Bと付される矢印で示されるように、上側部材326の空洞405内に押し戻される。そのため、保存容器320に偶然または意図しない圧力がかかるときに、望まれない漏れが防止される。
【0037】
図6に戻って、本発明の分配装置の操作をさらに説明する。上側部材326のドームボタン404を押し下げて、真空操作を開始する。より具体的には、ボタン404をさらに放すと、流体302は容器本体320の流体保存領域434から、一定の既知の容積を持つように構成されている計量空洞405内に引き込まれる。ボタン404を放す行為は計量空洞405を実質的な収容力まで充填する。こうして、計量された量の流体材料302が、吐出できる状態で空洞405の内部に収容される。計量空洞405のサイズは分配する流体材料302の種類および用途に応じて、したがって、所望の投与量に応じて選択できる。ボタン404をさらに押し下げると、図3に図示するように、計量空洞405内部の計量した量の流体302を出口経路436から出口308の外に押し出す。
【0038】
図5は、本発明の一体式ポンプアセンブリを備えている計量分配システムの斜視底面図を示す。この実施形態では、保存容器は、流体を維持する内部区画またはポーチ520を2つのシート504と506との間に形成するように、ポーチ520の上壁を形成している材料の上部シート504と、上部シート504に対して密封されている材料506の底部シートとを有する透明ポーチ520である。
【0039】
上部シート504は内部区画からポーチの外部まで貫通する開口516を有する。ドームボタン502と、上部延長部518と、ドームボタン502から延びて突起を提供するアーム506を有するフラッパー弁508とを有して一体形成されている一体式ポンプアセンブリ526の裏側は透明ポーチ520から視認できる。フラッパー弁508のアーム506は開口516の上に配置されている。上部延長部518はポーチ520の壁まで延びている。ポンプアセンブリ526は溶着線512に沿って上部シート504に対して密封されている。出口経路522は上部延長部518と上部ポーチシート504の外面とから形成されている。出口514は上部延長部がポーチの壁に合流するところに形成されている。
【0040】
また、出口経路522は、使用するために出口経路522からの液体の流れを許すためには使用者がまず取り除くかまたは開かなければならない切り取り式閉鎖部(図示せず)を備えてもよい。本質的に、切り取り式閉鎖部は弱くまたは薄くした材料の全長によって上部延長部518に接続されている部材であって、なおも出口514に対して密封されている部材であることが好ましい。これにより、使用者はほとんど骨折りすることなく切り取り式閉鎖部を除去できるが、運搬中などに偶然により切断されるほどには簡単に除去できるものではない。切り取り式閉鎖部は、初回使用の前の、ポンプアセンブリ526を使用しているディスペンサの運搬中の漏れを防ぐためにとくに有用である。このような切り取り式閉鎖部は本発明の実施形態のいずれで採用してもよい。
【0041】
あるいは、本発明のポンプメカニズムを装備しているディスペンサからの望ましくない分配および漏れの防止にいっそう役立てるために、参照によりここに組み込む上記特許文献2の図17に説明および図示される、密封しなおせる閉鎖部を使用してもよい。さらに、密封しなおせる閉鎖部は本発明の実施形態のいずれで使用してもよい。
説明したこれらの閉鎖メカニズムは、本発明の範囲内において使用できる多くの異なる種類の閉鎖部の単なる例であることも理解されるべきである。
【0042】
本発明によれば、一貫して計量される投与量の流体材料を吐出できる新規なディスペンサが提供される。ディスペンサは大幅に改良された構造を有する。すなわち、所与の用途に計量ドームポンプをよりうまく組み込み、それが設置されるポンプおよびディスペンサの製造と組み立てとを単純化するように多数のコンポーネントを一体的に形成できる。さらに、改良された弁機能は、保存容器またはポーチの可撓性ドームハウジングまたは本体に圧力がかかっても、液体の偶然または不注意による分配を防止する。本発明の精神から逸脱することなく、図示する実施形態にさまざまな変更および修正を行えることは当業者に認識されるであろう。当該修正および変更のすべては添付の特許請求の範囲でカバーされることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のポンプアセンブリは、本発明の独特な計量投与能力を活用する幅広い用途を有する。あらゆる種類のアプリケータ材料または構成の異なるアプリケータ材料の組み合わせを備えるほぼあらゆるディスペンサが本発明を採用できる。
たとえば、掃除用品およびパーソナルケア業界は、バスジェルおよびシャワージェルを調整して計量した上で分配することに特定の用途を有する。また、医薬品、化粧品、シャンプーなどのヘアケア製品、ローション、虫除け剤および日焼け止め製品などのスキンケア製品も本発明を採用できる。また、さまざまな家庭用品は本発明による装置で吐出することができる。これらには、家具の掃除およびつや出し、浴槽およびシャワーの掃除、床の掃除およびつや出し、窓磨き、悪臭除去、オーブンの掃除、洗濯および衣料の手入れのための製品を含む。また、空気処理装置も本発明を採用できる。掃除用品は、自動車、バイク、飛行機およびトラックの掃除用のものなど、調整された状態で分配できる。分配装置は、液体またはジェル状の殺菌剤の個人用の携帯および計量分配に特に適応する。食品業界は、とくに調味料、ソース、ビタミン、飲料、濃縮飲料、飲料添加物の分配をするための多数の潜在的な用途を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部区画を画成する壁を有する可撓性ポーチであって、前記ポーチの前記壁は前記内部区画から前記ポーチの外部まで貫通している開口を有する、前記可撓性ポーチと、
前記開口から離れて延びる上部延長部を備えるとともに、計量チャンバを画成するように、前記開口の付近でその周縁のほぼ全周が前記ポーチの外部に対して密封されているドームボタンおよび弁を有する上側部材であって、前記弁は前記ドームボタンから延びてその自由端にアームを有することにより、前記ポーチの前記開口と密封状に係合し得る、前記上側部材と、
前記上部延長部および前記ポーチの前記外面から形成されている出口経路とを備える分配装置であって、
前記上側部材は前記ポーチから、前記開口を通って前記計量チャンバ内に流体を引き出すように構成されており、前記上側部材は、前記上側部材の前記弁が前記ポーチの開口に押し当てられたときに液体を前記出口経路に押し出し、かつ前記開口を密封してそこを通る流体の流れを防止するように構成されていることを特徴とする、分配装置。
【請求項2】
前記出口経路に流体連通している一方向出口弁をさらに備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
前記ドームの内部に配置されている少なくとも1つのハウジングの離隔レッグを備える、請求項1に記載の分配装置。
【請求項4】
前記フラッパー弁は静止時にわずかに開いているように弾性偏倚されていることを特徴とする、請求項1に記載の分配装置。
【請求項5】
前記フラッパー弁は下方に弾性偏倚されていることを特徴とする、請求項1に記載の分配装置。
【請求項6】
前記ドームボタンの周囲に周方向の壁が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の分配装置。
【請求項7】
前記壁は前記計量ポンプの前記ドームボタンおよび前記上部延長部と一体的に成形されていることを特徴とする、請求項6に記載の分配装置。
【請求項8】
前記壁は実質的に剛性であることを特徴とする、請求項6に記載の分配装置。
【請求項9】
前記弁はフラッパー弁であることを特徴とする、請求項1に記載の分配装置。
【請求項10】
前記出口弁の閉鎖部をさらに備えている、請求項2に記載の分配装置。
【請求項11】
前記出口経路の端にノズルが組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の分配装置。
【請求項12】
容器の壁を貫通する開口を有しており、分配する材料を収容する可撓性容器と、
前記開口から離れて延びる上部延長部を備えるとともに、計量チャンバを画成するように、前記開口の付近でその周縁のほぼ全周が前記ポーチの外部に対して密封されているドームボタンおよび弁を有する上側部材であって、前記弁は前記ドームボタンから延びてその自由端に突起を提供するアームを有することにより、前記ポーチの前記開口と密封状に係合し得る、前記上側部材と、
前記上部延長部と前記ポーチの前記外面とから形成されている出口経路とを備える分配装置であって、
前記ドームボタンおよび前記容器に同時に加えられる作動力が前記弁を作動させて、前記計量チャンバから、前記上部延長部および前記容器の前記外部によって形成される前記出口経路まで材料を通過させ、前記ドームボタンに加えられる作動力が前記弁を通して、前記計量チャンバから前記開口を通して前記容器内まで材料を通過させることを特徴とする、分配装置。
【請求項13】
前記容器はポーチであることを特徴とする、請求項12に記載の分配装置。
【請求項14】
前記弁はフラッパー弁であることを特徴とする、請求項12に記載の分配装置。
【請求項15】
前記出口経路に介挿されている出口弁をさらに備えている、請求項12に記載の分配装置。
【請求項16】
外面を有する容器の上部に開口と、内部に内部流体保存領域とを提供するステップと、
前記内部流体保存領域内にある容積の流体を提供するステップと、
弁およびそれから延びている上部延長部を備えるドームボタンを有する可撓性ポンプアセンブリを提供するステップであって、前記弁、前記ドームボタンおよび前記上部延長部が一体的に形成されている、前記可撓性ポンプアセンブリを提供するステップと、
前記フラッパー弁が前記開口の実質的に上に配置されて、前記上部延長部が前記容器の外面に合流するように、前記開口付近で前記容器の前記外面に対して前記可撓性ポンプアセンブリを密封するステップであって、前記可撓性計量ハウジングと前記容器の前記外面との間に計量チャンバが作成されるとともに、前記上部延長部と前記容器の前記外面との間に出口経路が作成されている、前記密封するステップと、
前記上部延長部に流体連通している出口を提供するステップと、
前記可撓性計量ハウジングの前記ドームボタンを押し下げるステップと、
前記ドームボタンを放すステップと、
前記計量チャンバに、真空力によって、前記計量チャンバの容積による量の容積の流体を充填するステップと、
前記可撓性計量ハウジングを再び押し下げるステップと、
前記計量チャンバ内の前記容積の流体を前記出口経路を介して前記出口に押し出すステップと、
を含む、流体を分配する方法。
【請求項17】
前記弁がフラッパー弁であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−532805(P2012−532805A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519732(P2012−519732)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/041389
【国際公開番号】WO2011/005975
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512004925)ポーリー−ディー,エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】