説明

一体形レストリクタを備える多目的パワートレインマウント

本開示は、振動を減衰させる一体形レストリクタを備える車のパワートレインマウント組立体に関する。パワートレインマウント組立体は、車のパワートレインの過剰な動きを制御し、パワートレインの重量を支え且つパワートレインの騒音及び振動を絶縁する一体形レストリクタを有している。パワートレインマウント組立体は、互いに角度を成して延びる第一及び第二の部分を有するブラケット部材を備えている。レストリクタブラケットは、ブラケット部材に対し隔てた関係に配設され、また、基部分を有する。ブラケット部材及びレストリクタブラケットは車のパワートレイン部材又はフレーム部材の何れかに機械的に取り付けられる。レストリクタフランジは、ブラケット部材及びレストリクタブラケットの一方と一体的に形成されている。エラストマーの絶縁装置は、両者の間の振動を減衰し得るようにブラケット部材とレストリクタブラケットとの間に介在されており、また、レストリクタフランジはエラストマーの絶縁装置と共にオーバモールディングされることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その開示内容を参考として引用し本明細書に含めた、2004年6月24日付けで出願された米国仮特許出願60/582,415号による優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、全体として、マウント組立体、より具体的には、振動を絶縁し、パワートレインの重量を支え且つパワートレインの過剰な動きを制御する小型の一体形レストリクタ(restrictor)を備える多目的パワートレインマウント及び振動絶縁装置組立体に関する。本発明は、パワートレインの取り付けシステムを最適化し且つ調整して改良された絶縁効果及び性能が得られるようにするエンジニアリング目的の開発ツールとして使用することもできる。
【0003】
車のパワートレインのマウント組立体は、当該技術にて全体として既知であり、エンジンマウント、トランスミッションマウント、及び同様のものを含む。上下振動、前後方向振動、トルク及びトルク反動振動のような多数の振動が自動車に取り付けられた内燃機関と関係している。弾性的なパワートレインマウントは、これらの振動を乗客室から隔離するのに効果的であることが判明している。パワートレインマウント組立体は、パワートレインの重量を支え且つ、騒音及び上下振動のような振動を絶縁すると共に、フレームに対するパワートレイン部材の横揺れを制御する。
【背景技術】
【0004】
典型的に、従来の絶縁装置又はマウントは、その間にて弾性材料の容積を受け入れる第一及び第二のブラケット部材を有している。例は、米国特許明細書4,987,679号、米国特許明細書5,031,873号及び米国特許明細書6,708,793号に図示し且つ記載されている。ブラケット部材は、プレス加工し、冷間圧延したスチール部品であり、通常、車のパワートレイン部材及びフレーム部材にそれぞれ機械的に取り付けられている。典型的な弾性材料は、パワートレイン部材から振動を吸収し且つフレーム部材から上下振動を吸収し、これらの車の構成要素が互いに十分に隔離されるようにすることのできるゴム材料である。好ましいゴム材料は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン−モノマーゴム、及び任意のその他の適当なエラストマー材料を含む。弾性エラストマー材料は、通常、例えば、ゴムの成形過程の前に、金属に施され、その後、硬化工程の間、ゴムにて加硫される適当な溶剤系接着剤によって金属ブラケットに接着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、従来のパワートレインマウントは、エラストマーによる絶縁装置がブラケット部材の1つから分離した場合、ブラケット部材間に相互係止部を提供することはできない。更に、従来のパワートレインマウントは、過剰なパワートレインの動きを制御することはできない。更に、先行技術は、力が引張り方向及びせん断方向の双方に加えられるため、2段階の率の組み立てを許容しない。かかる配置は、通常の作動状態の間、及び過剰な動きを制御するため、改良された移動の制限が望まれる大きい負荷制限状態の間に遭遇する異なる状態に十分、対処することはできない。
【0006】
また、異なる車のプラットフォームは、異なる形態のパワートレインマウントを必要とすることも理解されよう。残念なことに、このことは、製造装置を変更するために著しいコストを必要とする。このため、異なるプラットフォーム間にて容易に変換/順応させることのできる改良された設計が依然、必要とされている。
【0007】
上記のことに鑑みて、先行技術及び(又は)従来のパワートレインマウントが悩む上述した欠点の1つ又はより多くに対する解決策を提供する車のパワートレインマウント組立体が必要とされることは明らかである。また、従来、実現されていなかった多数の有利な点を提供しつつ、先行技術により残された課題の少なくとも幾つかに対する解決策を提供する絶縁装置又はパワートレインマウント組立体は、当該技術にて1つの進歩を示すであろうことは更により明白である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一例としての実施の形態において、振動を減衰させる一体形のレストリクタを備える車のパワートレインマウント組立体又は絶縁装置が提供される。パワートレインマウント組立体は、第一の部材と、該第一の部材に対し隔たった関係に配設された第二の部材とを備えている。第一の部材は、パワートレイン部材及び車の一方に機械的に取り付けられ、また、第二の部材は、パワートレイン部材及び車の他方に機械的に取り付けられる。第一の部材と第二の部材との間に、その間の振動を減衰させるエラストマーによる絶縁装置が介在されていている。レストリクタ組立体は、その間の過剰な動きを制御し得るよう第一及び第二の部材と作用可能に連結されている。レストリクタ組立体の一部分には、第一の部材及び第二の部材の一方が一体的に形成される。
【0009】
本開示の更なる形態によれば、パワートレインマウント組立体は、第一の部材と、該第一の部材に対して隔たった関係に配設された第二の部材とを備えている。第一の部材は、互いに鋭角度にて延在する第一及び第二のフランジを有している。第一及び第二の部材は、機械的手段により、車のパワートレイン部材又はフレーム部材の何れかに取り付けられている。レストリクタ組立体は、両者の間の過剰な相対的動きを制御し得るよう第一及び第二の部材と作用可能に連結されている。レストリクタ組立体の一部分には、第一及び第二の部材の一方が一体的に形成されている。エラストマーによる絶縁装置は、両者の間の振動を減衰させ得るよう第一の部材と第二の部材との間に介在されており、該エラストマーによる絶縁装置は、レストリクタ組立体の一部分を少なくとも部分的に取り囲む。
【0010】
本発明の別の形態によれば、第一の部材は、互いに鋭角な角度にて延びる第一及び第二の部分を含む第一のブラケット部材である。レストリクタブラケットは、第一のブラケット部材に対して隔たった関係に配設されており、また、基部分を有する。第一のブラケット部材は、車のパワートレイン部材及びフレーム部材の一方に機械的に取り付けられ、レストリクタブラケットは、パワートレイン部材及び車のフレーム部材の他方に機械的に取り付けられている。第二のブラケット部材が一体的に形成されたレストリクタフランジはレストリクタブラケットと作用可能に協働する。
【0011】
1つの好ましい配置において、レストリクタ組立体は、エラストマーの絶縁装置と共にオーバモールドされたフランジを有している。
レストリクタ組立体は、取り付けられたとき、オーバモールドされたフランジから隔てられたレストリクタブラケットから延びるピンを更に有している。該ピンは、所定の量の移動後、オーバモールドされたフランジと係合し得るようにされており、また、ピンとレストリクタフランジとの間に増大したばね率を提供し且つパワートレインの移動を制限する。
【0012】
本発明の主たる利点は、エラストマーの絶縁装置がブラケット部材の1つから分離した場合、第一及び第二のブラケット部材間に相互係止部を提供することができることである。
【0013】
本発明の別の利点は、力が引張り方向及びせん断方向の何れかに向けて加えられるため、2段階のばね率の増大(two stage rate buid up)を提供することができることである。
【0014】
更なる別の利点は、車のパワートレインの過剰な動きを制御し、パワートレインの重量を支え且つパワートレインの騒音及び振動を絶縁することができることである。
更に別の利点は、ピンとレストリクタフランジとの間の金属対金属の接触点すなわち「騒音」を防止する点にあることが分かる。
【0015】
本開示の更に他の非制限的な利点及び(又は)特徴は、以下の好ましい実施の形態の説明を読み且つ理解することにより明らかになるであろう。
本発明は、特定の部品及び部品の配置にて物理的形態をとることができ、それらの好ましい実施の形態については、本明細書に詳細に説明し、また、本発明の一部を構成する添付図面に示すであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
勿論、本明細書の説明及び図面は、単に一例であり、本発明の精神から逸脱せずに、開示された構造に色々な改変例及び変更を為すことができることを理解すべきである。幾つかの図面の全体に亙って同様の番号は、同様の部品を示す。
【0017】
本発明の第一の実施の形態は、図1及び図2に示されている。パワートレインマウント組立体Aは、全体として、第一のブラケット部材と、レストリクタブラケットと、レストリクタフランジと、エラストマーによる絶縁装置と、第二のブラケット部材又はアダプタブラケットとを有している。
【0018】
図3を更に参照すると、第一のブラケット部材10は、互いに鋭角な角度にて平行でない関係にて延びる第一のすなわち下側部分12と、第二のすなわち上側部分14とを有することが好ましい。全体として、上側部分の第一の端部16は、下側部分に確実に固定されている(例えば、溶接されている)。下側部分12は、第一のフランジ20と、第二のフランジすなわち幹部22とを有している。第一のフランジは、下方に且つ全体として下側部分に対して垂直に延在している。第二のフランジは、上方に且つ下側部分に対し鋭角な角度にて伸びている。上側部分14の第二の端部18は、第二のフランジ22の一端に確実に固定されている(例えば、溶接されている)。好ましくは、下側部分及び上側部分は、金属構造体であるが、本発明に従って理解されるように、非金属材料を含む代替的な材料を使用して下側部分及び上側部分を形成してもよい。下側部分12は、開口24(図示せず)と、パワートレインマウント組立体Aを車のフレーム部材(図示せず)に機械的に固定するため圧力嵌めスタッド26のような取り付け手段とを更に有している。
【0019】
典型的に、上側部分14は、下側部分12に対しある角度、例えば約30°の角度にて延在している。しかし、当該技術の当業者には、下側部分と上側部分との間の角度は、最終ユーザにとって必要とされる条件に依存して、第二のフランジ22の寸法を変更することにより、調節することが可能であることが理解されよう。従って、下側部分12のプレス加工した金属ブランクの寸法は、角度を変更し得るよう改変するだけでよい。このため、通常、製造装置の高い改造コストを必要とするであろう設計上の変更は、第二のフランジの寸法の増大又は減少に対応することによってブランクダイを変更すればよいことになる。従って、パワートレインマウント組立体Aの個別の構成要素を形成するために使用されるプレス加工/成形ダイは、角度の変更による影響を受けないであろう。
【0020】
図4及び図5に示すように、エラストマーの絶縁装置EIがブラケット部材10の上側部分14の外面に固定されている。絶縁装置は、騒音を絶縁し且つ減少させ、また、振動が伝達されるのを防止する材料の固有の能力又は弾性的性質のため、エラストマー又はゴム構造体であることがしばしばである。ゴムは、ゴムが圧縮されればされる程、その剛性が益々大きくなるという望ましい性質を呈する。このばね率の増大(rate buid up)は、例えば、車環境と関係した騒音、振動及び苛酷さを制御することになる。エラストマーは、上側部分14の外面に成形接合されることが好ましいが、本発明の範囲及び目的から逸脱せずに接着剤接合のようなその他の接合配置が使用可能であることが理解されよう。
【0021】
本開示の第一の実施の形態において、また、図4及び図5に示すように、絶縁装置EIに固定されているのは、第二のブラケット部材又はアダプタブラケット30である。アダプタブラケットは、エンジン又はトランスミッション、すなわちパワートレインに選択的に取り付けられる。絶縁装置は、例えば、接着剤接合によってアダプタブラケットに固定又は接合されている。このようにして、絶縁装置は、第一のブラケット部材10と第二のブラケット部材又はアダプタブラケット30との間に受け入れられている。第二のブラケット部材は、図示した実施の形態において下側の段付き形態部32を有するが、この形態部は、マウント組立体を受け入れる取り囲む構造体に依存して、変更可能であることが理解されよう。更に、第二のブラケット部材は、第二のブラケット部材をパワートレイン又は車のフレームの他方に固定する機械的締結具又は貫通するスタッド34(図4及び図5)を受け入れる。この場合、第二のブラケット部材はパワートレインに固定される。
【0022】
図4及び図5を続けて参照し、また、図6を更に参照すると、第二のブラケット部材の段付き領域は、基部分をエラストマーの絶縁装置EI及びアダプタブラケット32に選択的に固定すべく取り付け締結具34を受け入れ得るようにされた開口54を有する基部分52を備えるレストリクタブラケット50を受け入れる。基部分52は、第一のアーム部分56と、この実施の形態にてその両端から延びる第二のアーム部分58とを更に有している。第一及び第二のアーム部分の各々は、開口60を有し且つ、その間にてピン部材64を受け入れる寸法とされている。ピンの両端はピンを所要位置に固定し得るようピーニング加工されている。図2に示すように、レストリクタブラケット50は、下方に延びるタブ66を有することもできる。該タブは、エラストマーの絶縁装置及びアダプタの第二のブラケット部材に対するレストリクタフランジの動きを更に制限する。
【0023】
特に、図3を再度、参照し、また図2、図4及び図5を更に参照すると、レストリクタフランジ74がブラケット部材10と一体的に形成されている。レストリクタフランジは、両者の間の過剰な相対的動きを制御し得るよう、レストリクタブラケット50及びピン64を介して、第一のブラケット部材10及び第二のブラケット部材30と作用可能に関係付けられて連結されている。レストリクタフランジ74は、ピン部材64を内部に受け入れるキャビティ76を画成する全体としてC字形の輪郭外形を有する。しかし、当該技術の当業者には、本発明の範囲及び目的から逸脱せずに、レストリクタフランジ74の輪郭外形を改変することが可能であることが理解されよう。例えば、レストリクタフランジは、L字形の輪郭外形を有するものとしてよく、かかる変更は本開示の範囲内である。
【0024】
絶縁装置E1は、レストリクタフランジ74の少なくとも一部分と、下側部分12の第二のフランジすなわち幹部22の外面とを更に取り囲む。レストリクタフランジは、エラストマー又はゴム内にてオーバモールドされることが好ましい。このオーバモールディングは、例えば、引張り方向又はせん断方向の何れかに向けて力が加えられるため、2段階のばね率の増大を許容する。一体的な湾曲したレストリクタの設計は、マウントの引張り方向及びせん断方向を制御しつつ、圧縮可能な移動を最大にする。ゴムを湾曲した金属レストリクタと一体化することは、引張り及びせん断方向に向けて2段階の漸進的なばね率の増大を形成する。このことは、通常の作動状態の間、より優れた絶縁を許容し、高負荷状態の間、レストリクタが係合するから、改良された移動の制限状態となる。2つの部分から成るレストリクタは、後の第二の工程にてマウント組立体に取り付けることを許容することにより、主ゴム要素EIを成形することも容易にする。第一のブラケット部材の端部における金属の湾曲した部分は、エラストマーの絶縁装置EIを成形する間、ゴム内にてオーバモールドされる。金属レストリクタは、第二の工程にてマウントの絶縁装置部分に組み立てられる。このシステムは、ゴムスナバ(緩衝器)を同一の成形過程にてレストリクタに追加することを許容しつつ、マウントをより少ない部品にて成形することを許容する。レストリクタピンに対するフックを形成するため成形した下側金属フランジ74及び二次的レストリクタ組み立て工程を使用することは、絶縁装置の成形を容易にすることを許容する。
【0025】
上述したように、ピン部材64は、レストリクタブラケット50の第一及び第二のアーム部分56、58の間に及びレストリクタフランジ74のキャビティ76内に受け入れられる。ピン部材は、最初に組み立てられたとき、レストリクタフランジから隔離される。例えば、ピン部材64とオーバモールドしたレストリクタフランジ74との間に5mmの隙間があることが好ましいが、代替的な間隔とすることも可能である。レストリクタピンは、最初の5mmを移動する間、レストリクタフランジと係合しない。このことは、絶縁装置EIのばね率のみがこの距離に亙ってパワートレイン(図示せず)に影響を与えるから、良好な隔離を許容する。しかし、ピン部材64の移動距離が間隔を上回るとき、ピン部材はオーバモールドしたレストリクタフランジ74と係合するであろう。この状態が生ずるならば、絶縁装置EIのばね率及びピン部材とレストリクタフランジとの間のばね率の双方はパワートレインマウントAの移動に影響を与える。ピン部材64とブラケット部材10との間に実現されたばね率は、移動した距離に対して迅速に増大し、これによりパワートレインの移動距離を制御することになる。レストリクタフランジにおけるこのオーバモールドしたゴムは、被覆しないレストリクタに関係した騒音及び金属音も防止する。
【0026】
全体として、エラストマー又はゴムは、周期的な負荷状態にて僅かな量の引張り応力を許容するよりも遥かに良好に、増大するレベルの圧縮性応力を許容することができる。このように、オーバモールドしたレストリクタフランジ30及びこれに伴う2段階のばね率の増大を導入することにより、パワートレインマウント組立体Aの疲労寿命を改良することができる。
【0027】
上述した実施の形態と同様に、追加的な実施の形態が図7ないし図10に示されている。例えば、図7において、追加的な輪郭外形をレストリクタブラケット50に形成し又はプレス加工し強度を持たせ又は所望の剛性が得られるようにすることができる。しかし、参照番号は、図7の所要輪郭外形のレストリクタブラケットは、実質的に全てのその他の形態にて、その前の図面に示したものと実質的に同様であることを示す。
【0028】
図8の実施の形態において、構造体及び機能の殆どは、実質的に同一であり、このため、単一のプライム添え字(´)を加えた参照番号は同様の構成要素を表わし(例えば、レストリクタブラケットは参照番号50´で表示される)、また、新たな参照番号は新たな構成要素を表示する。主たる相違点は、レストリクタブラケット、アダプタブラケット及びピン部材に関する。具体的には、レストリクタブラケット30´及びピン部材64´は、この配置にて一体的に形成される。好ましくは、ピン部材は、当該技術にて周知の方法(例えば、溶接)にてレストリクタブラケット30´にしっかりと固定される。ピン部材64´が円形の断面であり、また、全体として楕円形の輪郭外形を有し、ピン部材の一部分はレストリクタフランジ74のキャビティ76内に受け入れられる。レストリクタブラケット50´をレストリクタフランジ74に固定するため、ピン部材64´は、レストリクタフランジの上方にて輪状に形成される。基部分32´は、レストリクタフランジ30´を第二のブラケット部材30に取り付け且つ選択的に調節するため、少なくとも1つのスロット78を有している。この形態は、レストリクタブラケット50´及びピン部材64´をキャビティ76内に組み立てるのを簡単にする。
【0029】
図9及び図10に示すように、レストリクタブラケット及び第二のブラケット部材の機能部分は、単一物(ブラケット80)として形成される。ブラケット80は、基部分82と、該基部分から延びる第一及び第二のアーム部分84、86とを有している。取り付け手段52を受け入れる取り付け開口88及びスロット90が基部分82の端部に隣接して、存在する。基部分は、パワートレインの一部分を受け入れる開口部92を更に有する。単一物ブラケット80をパワートレインのマウント組立体A´´内に組み込むことにより、製造及び組み立てステップ数が減少することが理解できる。
【0030】
図9を続けて参照すると、ピン部材64´´は、当該技術にて周知の方法(例えば、溶接又はクリンプ)にてブラケット80にしっかりと固定された第一の部分100と、第一の部分に対し全体として垂直に延びる第二の部分102とを有している。図10に示すように、ピン部材64´´の第二の部分は、レストリクタフランジ74のキャビティ76内に受け入れられる。従って、ブラケット80及びピン部材64´´のこの形態は、別個の構成要素が合体し且つ単一の構成要素として機能することを許容し、これによりレストリクタブラケット50、第二のブラケット部材30及びピン部材64の間の相対的な動きに抵抗する相互係止作用部を提供する。
【0031】
要約すれば、異なる設計のレストリクタブラケット及びオーバモールドしたレストリクタフランジ組立体を組み込む従来のパワートレインマウントを使用して、ばね率の増大及び構成要素の疲労特徴の取り扱いが実現される。パワートレインマウント組立体Aの経済的な特徴は、開発予算の制限の範囲内にてより多くの選択肢を利用可能とすることができることを意味する。このことは、製品の生産着手計画に大きく影響を与えることなく、後にてプログラムの設計に変更を加える能力が実現可能であるという本発明の更に別の特徴を明確にする。
【0032】
一例としての実施の形態について、好ましい実施の形態に関し説明した。勿論、上記の詳細な説明を読み且つ理解することにより、第三者には改変例及び変更例が案出されよう。例えば、色々なその他の製造ステップを採用し又は異なる順序とすることができる。同様に、本発明から逸脱せずに異なる材料を使用し又は代替的な過程とすることができる。一例としての実施の形態は、特許請求の範囲及びその等価物の範囲に属する限り、かかる全ての形態変更例及び改変例を包含すると解釈されるべきことを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本開示に従った組み立てたパワートレインマウントの前方斜視図である。
【図2】図1の組み立てたパワートレインマウントの後方斜視図である。
【図3】本開示に従った第一のブラケット部材の前方斜視図である。
【図4】本開示に従った部分的に組み立てたパワートレインマウントの前方斜視図である。
【図5】図4の部分的に組み立てたパワートレインマウントの後方斜視図である。
【図6】本開示に従ったレストリクタブラケットの前方斜視図である。
【図7】本開示に従ったレストリクタブラケットの前方斜視図である。
【図8】図6及び図7のレストリクタブラケットの1つの代替的な実施の形態を示す斜視図である。
【図9】図8のレストリクタブラケットの1つの代替的な実施の形態を示す斜視図である。
【図10】図9のレストリクタブラケットの代替的な実施の形態を備える組み立てたパワートレインマウントの斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を減衰させるマウント組立体において、
第一の構成要素と接続し得るようにされた第一の部材と、
第一の部材に対し隔たった関係に配設され且つ第二の構成要素と接続し得るようにされた第二の部材と、
その間の振動を減衰すべく第一の部材と第二の部材との間に介在されたエラストマーの絶縁装置と、
その間の過剰な動きを制御し得るよう第一及び第二の部材と作用可能に連結されたレストリクタ組立体とを備え、該レストリクタ組立体の一部分には、第一の部材及び第二の部材の一方が一体的に形成される、振動を減衰させるマウント組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のマウント組立体において、第一の部材は、互いに鋭角度にて延びる第一のフランジ及び第二のフランジを有する、マウント組立体。
【請求項3】
請求項1に記載のマウント組立体において、第二の部材は、基部分と、該第二の部材から延びる第一及び第二のアーム部分とを有する、マウント組立体。
【請求項4】
請求項1に記載のマウント組立体において、レストリクタ組立体は、その内部にピン部材を受け入れるキャビティを画成する全体としてC字形をした第一の部材の輪郭外形を有する、マウント組立体。
【請求項5】
請求項4に記載のマウント組立体において、ピン部材は、通常、C字形の輪郭外形から隔たった関係に配設される、マウント組立体。
【請求項6】
請求項4に記載のマウント組立体において、ピン部材は、第二の部材の第一及び第二のアーム部分の間に受け入れられる、マウント組立体。
【請求項7】
請求項6に記載のマウント組立体において、第二の部材及びピン部材は一体的に形成される、マウント組立体。
【請求項8】
請求項1に記載のマウント組立体において、アダプタブラケットは、第二の部材及びエラストマーの絶縁装置の少なくとも一方に選択的に固定される、マウント組立体。
【請求項9】
請求項8に記載のマウント組立体において、アダプタブラケット及び第二の部材は単一物である、マウント組立体。
【請求項10】
請求項1に記載のマウント組立体において、エラストマーの絶縁装置は、第一の部材及びレストリクタ組立体の一方の一部分に成形される、マウント組立体。
【請求項11】
請求項1に記載のマウント組立体において、エラストマーの絶縁装置はレストリクタ組立体の一部分を少なくとも部分的に取り囲む、マウント組立体。
【請求項12】
振動を減衰させるマウント組立体において、
第一の構成要素と接続し得るようにされた第一の部材であって、互いにある角度にて延びる第一及び第二のフランジを有する前記第一の部材と、
第一の部材に対し隔たった関係に配設され且つ第二の構成要素と接続し得るようにされた第二の部材と、
その間の過剰な動きを制御し得るよう第一及び第二の部材と作用可能に連結されたレストリクタ組立体であって、その一部分には、第一の部材及び第二の部材の一方が一体的に形成される前記レストリクタ組立体と、
両者の間の振動を減衰させ得るよう第一及び第二の部材の間に介在されたエラストマーの絶縁装置であって、レストリクタ組立体の一部分を少なくとも部分的に取り囲む前記エラストマーの絶縁装置と、を備える、振動を減衰させるマウント組立体。
【請求項13】
請求項12に記載のマウント組立体において、第二の部材は、基部分と、該第二の部材から延びる第一及び第二のアーム部分とを有する、マウント組立体。
【請求項14】
請求項12に記載のマウント組立体において、レストリクタ組立体は、第一の部材と一体的に形成されたC字形フランジを有する、マウント組立体。
【請求項15】
請求項14に記載のマウント組立体において、全体としてC字形フランジは、その内部にピン部材を受け入れるキャビティを画成する、マウント組立体。
【請求項16】
請求項12に記載のマウント組立体において、ピン部材は第二の部材に選択的に固定される、マウント組立体。
【請求項17】
請求項12に記載のマウント組立体において、ピン部材及び第二の部材は一体的に形成される、マウント組立体。
【請求項18】
請求項12に記載のマウント組立体において、ブラケット(アダプタブラケット)は、第二の部材及びエラストマーの絶縁装置の少なくとも一方に選択的に固定される、マウント組立体。
【請求項19】
請求項18に記載のマウント組立体において、ブラケット及び第二の部材は単一物である、マウント組立体。
【請求項20】
振動を減衰させるパワートレインマウント組立体において、
第一の構成要素と接続し得るようにされたブラケット部材であって、互いに鋭角度にて延びる第一及び第二の部分を有する前記ブラケット部材と、
ブラケット部材に対し隔たった関係に配設され且つ第二の構成要素と接続し得るようにされ、基部分を有するレストリクタブラケットと、
ブラケット部材及びレストリクタブラケットの一方と一体的に形成されるレストリクタフランジと、
両者の間の振動を減衰させ得るようブラケット部材及びレストリクタブラケットの間に介在されたエラストマーの絶縁装置と、を備え、
レストリクタフランジは、エラストマーの絶縁装置と共にオーバモールディングされる、パワートレインマウント組立体。
【請求項21】
請求項20に記載のパワートレインマウント組立体において、レストリクタフランジは、その内部にピン部材を受け入れるキャビティを画成する全体としてC字形のレストリクタフランジの輪郭外形を有する、パワートレインマウント組立体。
【請求項22】
請求項21に記載のパワートレインマウント組立体において、ピン部材は、全体としてレストリクタフランジから隔てられる、パワートレインマウント組立体。
【請求項23】
請求項20に記載のパワートレインマウント組立体において、ピン部材はレストリクタフランジに選択的に固定される、パワートレインマウント組立体。
【請求項24】
請求項20に記載のパワートレインマウント組立体において、アダプタブラケットは、レストリクタブラケット及びエラストマーの絶縁装置の少なくとも一方に選択的に固定される、パワートレインマウント組立体。
【請求項25】
請求項24に記載のパワートレインマウント組立体において、アダプタブラケット及びレストリクタブラケットは単一物である、パワートレインマウント組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−507664(P2008−507664A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518271(P2007−518271)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/022284
【国際公開番号】WO2006/012217
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(506341607)クーパー−スタンダード・オートモーティブ・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】