説明

一剤式染毛剤組成物

【課題】カップラーを使用することなく、染め上がりの色味を変化させることのできる染毛剤組成物の提供。
【解決手段】(A) 式(1)で表される化合物の1種又は2種以上、(B) アスコルビン酸又はその塩と、亜硫酸又はその塩との組み合わせである酸化防止剤、(C) 非イオン界面活性剤、及び(D) 増粘ポリマーを含有するpH8〜11の一剤式染毛剤組成物。成分(B)における(アスコルビン酸又はその塩)/(亜硫酸又はその塩)の重量比を調整することにより、染毛後に得られる色味を調整する方法。


〔破線はπ結合の存在又は不存在、R1はOH又はアセトキシ基、R2はH、−COOR(RはH、CH3又はC25)又は−COO-+(X+は陽イオン)、R3はH、アセチル基、CH3又はC25を示す〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラーを使用することなく染め上がりの色味を変化させることのできる一剤式染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インドール類、インドリン類等のメラニン前駆体を使用した空気酸化型染毛剤組成物が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、これらの染毛剤は、染め上がりの色味を変えるには、メラニン前駆体だけではなく、カプラーを併用する必要があった。
【0003】
【特許文献1】特公平8-32618号公報
【特許文献2】特開2003-55175号公報
【特許文献3】特開2002-322038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明は、カプラーを使用することなく染め上がりの色味を変化させることができる空気酸化型染毛剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、メラニン前駆体を使用した空気酸化型染毛剤組成物において、特定の2種の酸化防止剤の組み合わせ、非イオン界面活性剤、及び増粘ポリマーを使用することにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)〜(D)を含有するpH8〜11の一剤式染毛剤組成物を提供するものである。
【0007】
(A) 一般式(1)で表される化合物の1種又は2種以上
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、R1は水酸基又はアセトキシ基を示し、R2は水素原子、−COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)又は−COO-+(X+は陽イオン)を示し、R3は水素原子、アセチル基、メチル又はエチル基を示す。〕
【0010】
(B) アスコルビン酸又はその塩と、亜硫酸又はその塩との組み合わせである酸化防止剤
(C) 非イオン界面活性剤
(D) 増粘ポリマー
【0011】
更に本発明は、上記一剤式染毛剤組成物の成分(B)における(アスコルビン酸又はその塩)/(亜硫酸又はその塩)のモル比を調整することにより、染毛後に得られる色味を調整する方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一剤式染毛剤組成物は、カプラーを用いることなく、染め上がりの色味を変化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
成分(A)である一般式(1)で表される化合物は、酸化されることによってメラニン色素に変換するインドール誘導体又はインドリン誘導体(メラニン前駆体)である。一般式(1)で表される化合物としては、5,6-ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、5,6-ジヒドロキシインドリン、5,6-ジヒドロキシインドリン-2-カルボン酸が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、2種以上を組み合わせることにより、染め上がりの色を調整することができる。特に、髪を自然な色合いに染める観点から、5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸を併用することが好ましい。この両者を併用する場合のモル比は、50:50〜999:1、特に80:20〜99:1の範囲とすることが好ましい。ここで、5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸は、逆相HPLCにより定量することができる。
【0014】
成分(A)の化合物の含有量は、染色性、安定性の点から、合計で、本発明の染毛剤組成物中の0.05〜5重量%、特に0.1〜2重量%が好ましい。
【0015】
成分(B)の酸化防止剤は、アスコルビン酸又はその塩と、亜硫酸又はその塩とを、一定の比率で組み合わせてなるものである。アスコルビン酸塩、亜硫酸塩としては、ナトリウム塩が挙げられる。
【0016】
本発明においては、成分(B)における(アスコルビン酸又はその塩)/(亜硫酸又はその塩)のモル比を調整することにより、染め上がりの色味を調整することができる。具体的には、上記モル比を99/1〜50/50に調整することにより、赤みのある茶色〜茶系の染色結果が得られ、上記モル比を49/51〜31/69に調整することにより、やや茶系のグレー〜くすんだグレーの染色結果が得られ、上記モル比を30/70〜1/99に調整することにより、青みがかったグレーの染色結果が得られる。
【0017】
成分(B)の総含有量は、染色性及び色調の制御の点から、本発明の染毛剤組成物中の0.01〜5重量%が好ましく、更には0.05〜2重量%、特に0.1〜1重量%が好ましい。また、アスコルビン酸又はその塩の0.1〜0.5重量%と、亜硫酸又はその塩の0.1〜0.5重量%とを併用することが好ましい。
【0018】
成分(C)の非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノエタノールアミド又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、次の一般式(2)
【0019】
【化2】

【0020】
〔式中、m及びnは合計7〜25、好ましくは7〜20、特に9〜11となる数を示し、xは重量平均で6〜16、好ましくは6〜12、特に8〜10の数を示す。〕
で表される第2級アルコールのポリエトキシレートが好ましく、特にポリオキシエチレントリデシルエーテル(日本触媒社:ソフタノール90,一般式(2)においてm+n=9〜11、x=9)が好ましい。
【0021】
成分(C)の非イオン界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(C)の含有量は、使用性や発泡性の点から、本発明の染毛剤組成物中の0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0022】
成分(D)の増粘ポリマーは、非イオン性、イオン性のいずれのものでもよい。非イオン性の増粘ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、ダイセル化学工業社:SE-850,長瀬産業:セロサイズHECQP52000H)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、ダイセル化学工業社:CMCダイセル1220)、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルステアリルエーテルヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム(例えば、特開平11-12139号公報の製造例1記載の化合物)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、信越化学社:メトローズ60SH-10000)、グアーガム(例えば、大日本住友製薬社:ファイバロンS)、プルラン(例えば、林原株式会社:プルランPI-20)、ヒドロキシプロピルキトサン(例えば、一丸ファルコス社:キトフィルマーHV-10)、キトサン・dl-ピロリドンカルボン酸塩(例えば、ユニオン・カーバイド社:カイトマーPC)、ポリビニルピロリドン(BASF社:Luviskol K-12、K-30、PVP K-120)、ポリビニルアルコール(日本合成化学社:ゴーセノールEG-40)、ビニルアルコール/ビニルアミンコポリマー(エアープロダクト社:VA-120-HCl)、高重合度ポリエチレングリコール(日本ユニオン・カーバイド社:ポリオックスWSRN-60K)などが挙げられる。
【0023】
アニオン性の増粘ポリマーとしては、ポリアクリル酸(Noveon社:カーボポール941、981)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(Noveon社:カーボポールETD2020)、低級アルキルビニルエ―テル/無水マレイン酸共重合体の末端不飽和ジエン化合物による部分架橋ポリマーの加水分解物又はそのモノアルキルエステル(ISP社:スタビリーゼ06、スタビリーゼQM)、カラギーナン(例えば、三菱レーヨン社:ソアギーナLX22、ML210)、キサンタンガム(例えば、大日本住友製薬社:エコーガムT)、ウェランガム(例えば、三晶株式会社:K1C376、K1A96)、ヒドロキシプロピルキサンタンガム(例えば、大日本住友製薬社:ラボールガムEX)などが挙げられる。
【0024】
カチオン性の増粘ポリマーとしては、ポリマー鎖の側鎖にアミノ基又はアンモニウム基を含むか、又はジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む水溶液のもの、例えばカチオン化セルロース誘導体(例えば、ライオン社:レオガードG、同GP,ユニオンカーバイド社:ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M,ナショナルスターチアンドケミカル社:セルコートH-100、同L-200)、カチオン化グアーガム誘導体(例えば、ローディア社:ジャガーC-13S、同C-17,大日本住友製薬社:ラボールガムCG-M、同CG-M7、同CG-M8M)、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体又は共重合体(カルゴン社:マーコート100、同280、同295、同550)、4級化ポリビニルピロリドン誘導体(アイエスピー・ジャパン社:ガフコート734、同755、同755N)等が挙げられる。
【0025】
これらのうち、多糖型ポリマー、特にセルロース骨格又はキサンタンガム骨格を有する天然高分子系のものが好ましい。成分(D)の増粘ポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(D)の含有量は、塗布性、液だれのしにくさの点から、本発明の染毛剤組成物中の0.05〜10重量%、特に0.1〜3重量%が好ましい。また、塗布性、液だれのしにくさの点から、本発明の染毛剤組成物の粘度は100〜8000mPa・s、特に300〜5000mPa・sであることが好ましい。なお、ここでの粘度は、25℃、B型回転粘度計で、6rpmで1分間回転させた後の値とする。
【0026】
本発明の染毛剤組成物には、成分(A)以外の染料を含有させる必要はないが、更に通常染毛剤に使用されている直接染料を含有させてもよい。
【0027】
直接染料としては、酸性染料、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料、特開2003-342139号公報記載の直接染料等が挙げられる。酸性染料としては、青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられ、ニトロ染料としては、2-ニトロパラフェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロオルトフェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC赤3、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロパラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、分散紫1、分散青1、分散黒9等が挙げられ、塩基性染料としては、塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性赤51、塩基性黄57、塩基性黄87、塩基性橙31等が挙げられる。
【0028】
本発明の染毛剤組成物に直接染料を含有させる場合、その含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.001〜5重量%、特に0.01〜3重量%が好ましい。
【0029】
本発明の染毛剤組成物には、成分(C)以外の界面活性剤を含有させてもよい。
【0030】
そのような界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等のアニオン界面活性剤;イミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系又はアミドスルホベタイン系両性界面活性剤等の両性界面活性剤;イミダゾリン開環型第四級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキル第四級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル第四級アンモニウム塩等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩素、臭素、沃素等のハロゲンイオン及びメトサルフェート、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0031】
これら成分(C)以外の界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、またその含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.1〜30重量%、特に0.5〜15重量%が好ましい。
【0032】
本発明の染毛剤組成物には、泡質及び使用性の向上の点から、更に、炭素数12〜24の直鎖脂肪族アルコールを含有させることができる。具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられ、特にステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。
【0033】
直鎖脂肪族アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、またその含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.01〜10重量%が好ましく、更には0.1〜7重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。
【0034】
本発明の染毛剤組成物には、通常の染毛剤に使用されるアルカリ剤を含有させることができる。例えば、アンモニア水;モノ−、ジ−又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;ブチルアミン、ベンジルアミン等のアルキル又はアラルキルアミン類;アルギニン、リジン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類等が挙げられ、なかでも染色力の点からモノエタノールアミンが好ましい。
【0035】
アルカリ剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その含有量は、東洋人の白髪を隠蔽するのに好適な赤みのない黒色に染色する点から、本発明の染毛剤組成物中の0.01〜20重量%、特に0.1〜10重量%が好ましい。
【0036】
更に、本発明の染毛剤組成物には、泡の質感、泡の滑り感、洗浄時のきしみ低減、乾燥時の滑らかさの点からシリコーン類を含有させることができる。このようなシリコーン類としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
【0037】
(1) ジメチルポリシロキサン
例えば下記一般式で表されるものが挙げられる。
(CH3)3SiO-[(CH3)2SiO]b-Si(CH3)3
〔式中、bは3〜20000の数を示す。〕
【0038】
(2) アミノ変性シリコーン
各種のアミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000の、アモジメチコーン(Amodimethicone)、アミノエチルアミノプロピルジメチコーン(Aminoethylaminopropyl Dimethicone)、又はアミノプロピルジメチコーン(Aminopropyl Dimethicone)の名称でINCI辞典(米国,International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)第10版中に記載されているものが好ましい。このアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM 8704C(東レ・ダウコーニング社)、DC 929(ダウコーニング社)、KT 1989(GE東芝社)等が挙げられる。N含量としては特に限定はされないが、0.01〜1重量%が好ましく、0.05〜0.3重量%が特に好ましい。
【0039】
(3) その他のシリコーン類
上記以外に、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。
【0040】
シリコーン類は、2種以上を併用してもよく、その含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.01〜10重量%が好ましく、更には0.05〜6重量%、特に0.3〜3重量%が好ましい。
【0041】
更に、本発明の染毛剤組成物には、他のコンディショニング剤として、油剤を含有させることができる。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボガド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナウバロウ等のロウ類;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;不飽和又は分岐鎖の高級アルコール;その他イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これら油剤は、2種以上を併用することもでき、その含有量は、本発明の染毛剤組成物中の0.2〜2重量%が好ましく、更には0.3〜1.8重量%、特に0.5〜1.5重量%が好ましい。
【0042】
本発明の染毛剤組成物には、上記成分以外に、通常の染毛剤に用いられる成分、例えば水性媒体、安定化剤、緩衝剤、香料、感触向上剤、キレート剤、可溶化剤、防腐剤等を、目的に応じ、適宜配合することができる。
【0043】
成分(A)のメラニン前駆体は、塩基性条件で空気中の酸素と反応しメラニン色素に変換される。このため、本発明の染毛剤組成物のpHは、8〜11の範囲、好ましくは9〜11の範囲に調整する。
【0044】
本発明の染毛剤組成物は、繰り返し使用しても染色力を維持し、また染色力を向上するため、エアゾールの形態とすることが好ましい。エアゾール型の形態とするには、本発明の染毛剤組成物をエアゾール原液として、噴射剤と共に、耐圧容器(エアゾール缶等)に充填すればよい。
【0045】
噴射剤としては、一般にエアゾール製品に用いられる圧縮ガス、液化ガス等が使用でき、圧縮ガスとしては、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガス等が、液化ガスとしては、液化石油ガス、炭素数3〜5の揮発性炭化水素、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらのうち、液化石油ガス、ジメチルエーテルが好ましい。噴射剤は、2種以上を併用することもでき、適度な噴射速度を得るために、原液及び噴射剤からなる全組成中に1〜20重量%、特に3〜15重量%含有させるのが好ましい。また充填後のエアゾール缶の内圧が0.3〜0.5MPa(25℃)となるように調整するのが好ましい。
【0046】
製品充填時には、クリンチと同時に脱気を行い、容器内部に残存する空気を減少させることが好ましく、このような脱気操作は内容物の安定化の点でより効果的である。例えば、48kPa以下の圧力で脱気操作を行うことが好ましい。
【0047】
本発明の染毛剤組成物は、室温で使用することもできるが、ドライヤーにより熱と酸素を供給することにより、染色力を向上させることもできる。
【実施例】
【0048】
実施例1〜4
表1に示す組成に従ってエアゾール型一剤式染毛剤組成物の原液を調製し、この原液をエアゾール用相溶性ビン(東京高分子社)に詰めてクリンチした後、原液:ガス比=90:10(重量比)となるように噴射剤として0.35MPaの液化石油ガスとジメチルエーテルの混合物(混合重量比=90:10)を充填し、エアゾール型一剤式染毛剤組成物を得た。
得られたエアゾール型一剤式染毛剤組成物につき、下記に示す試験評価を行った。結果を表1に併記する。
【0049】
・染色性(ΔE):
中国人女性の乾燥した白髪トレス約1gに、各エアゾール型染毛剤組成物1gを塗布し、室温にて5分間放置し、シャンプーし、水洗した。この染色操作を3回繰り返し、白髪の染色性(ΔE、ミノルタCR300)及び色味を評価した。
上記染色操作により、白髪毛束は、実施例1ではやや赤みを帯びた茶色に染まり、実施例2ではやや青みを帯びた黒っぽい灰色に染まった。実施例3では茶色に染まり、実施例4では青っぽい灰色であり、酸化防止剤の併用比率の変化による色味の変化が確認された。
【0050】
・保存安定性:
各エアゾール型染毛剤組成物をエアゾール容器に充填し、40℃にて1ヶ月間保存後の組成物の外観、吐出性能及び染毛性を製造直後のものと比較、評価した。その結果、いずれも外観、吐出性能及び染色性にほぼ変化はなかった。
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(D)を含有するpH8〜11の一剤式染毛剤組成物。
(A) 一般式(1)で表される化合物の1種又は2種以上
【化1】

〔式中、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、R1は水酸基又はアセトキシ基を示し、R2は水素原子、−COOR(Rは水素原子、メチル基又はエチル基)又は−COO-+(X+は陽イオン)を示し、R3は水素原子、アセチル基、メチル又はエチル基を示す。〕
(B) アスコルビン酸又はその塩と、亜硫酸又はその塩との組み合わせである酸化防止剤
(C) 非イオン界面活性剤
(D) 増粘ポリマー
【請求項2】
成分(B)の総含有量が、0.01〜5重量%である請求項1記載の一剤式染毛剤組成物。
【請求項3】
モノエタノールアミンを含有し、pHが9〜11である請求項1又は2記載の一剤式染毛剤組成物。
【請求項4】
成分(A)が、少なくとも5,6-ジヒドロキシインドール及び5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸を含むものである請求項1〜3のいずれかに記載の一剤式染毛剤組成物。
【請求項5】
5,6-ジヒドロキシインドールと5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸とのモル比が、50:50〜999:1である請求項4記載の一剤式染毛剤組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の一剤式染毛剤組成物の成分(B)における(アスコルビン酸又はその塩)/(亜硫酸又はその塩)のモル比を調整することにより、染毛後に得られる色味を調整する方法。

【公開番号】特開2007−326810(P2007−326810A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159130(P2006−159130)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】