説明

一回使用デンタルフロスホルダーを製造するための装置

【課題】ワックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスを含む一回使用フロスホルダーを形成するための金型を提供する。
【解決手段】この金型は、中に配置される第1の空洞を有する第1の部分であって、第1の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、第1の空洞は、基部部分と、近位部と遠位部とを有し基部部分から延出する第1及び第2の離間部分と、を含む、第1の部分と、中に配置される第2の空洞を含む第2の部分であって、第2の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、第2の空洞は、基部部分と、近位部と遠位部とを有し基部部分から延出しかつ遠位部で終端する、第1及び第2の離間部分と、を含む、第2の部分と、約10:1以上のアスペクト比、並びに第1及び第2の末端部と中間部とを有する溝であって、溝は第2の部分の全幅にわたって延び、溝の第1及び第2の末端部は、それぞれ第2の空洞の第1及び第2の離間部分の遠位部を横切り遠位部と一致する、溝と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワックスコーティングされたデンタルフロスを含む一回使用(single-use)フロスホルダーを製造するために使用する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの一回使用フロッシング装置が知られており、市販されている。このような装置は、典型的には、基部から上方、又は外方に延出して一般にU字形の構成を形成する2つの離間したアームを含むフロスホルダーを有し、フロスは、各末端部においてアームの一方に取り付けられ、離間したアームの間の距離に及ぶ。装置はまた、フロスホルダーと関連付けられるハンドル部分を含む。
【0003】
一部の装置では、デンタルフロスホルダー自体がハンドル部分から取り外し可能であり、したがって交換可能である。このような装置は、一般に、デンタルフロスホルダーを受容しかつ保持するように設計されたヘッド部分を備えるハンドルを有している。使用する際、ハンドルのヘッド部分にデンタルフロスホルダーを取り付け、歯間にフロスを挿入する。フロッシングの後、ハンドルのヘッドからデンタルフロスホルダーを取り外し、新しいデンタルホルダーと交換する。このような装置は、例えば、米国特許第5,483,982号、同第7,059,334号、同第7,174,904号、及び同第7,325,554号に示されており、当該特許のそれぞれの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。かかる特許において例示されている装置、及びかかる特許の開示に従って製造された商品は、ワックスコーティングされた糸を使用していないことを指摘しておく。他の装置では、フロッシングが完了した後に装置全体が廃棄され得るように、デンタルフロスホルダーはハンドル部分と一体化されて一体型装置を形成する。
【0004】
このような装置を製造しかつフロスをフロスホルダーのアームに取り付ける1つの方法では、フロスホルダーは、ハンドルから取り外し可能かハンドルと一体であるかに関わらず、一般にU字形のフロスホルダーを得るために、典型的には、コーティングされていないフロスの周囲にプラスチックから成型され、フロスをホルダーの離間したアームに取り付け、かつアームの間に延在させる。記載されるように、ホルダーは、一体型装置を形成するためにハンドル部分と一体に成型されてもよく、又は取り外し可能なフロスホルダーを受容するように構成されたハンドルのヘッドに取り外し可能なフロスホルダーを剛連結するための手段を備えて成型されてもよい。
【0005】
広くは、フロスは、フロスを歯間に挿入している間、また更にはフロッシング作業の上下運動の間に、著しいほつれ又は破損のない状態でいくつかの歯の間を通過することができなければならない。このため、いくつかの糸は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの非常に丈夫な材料から作られる。更に、フロッシング作業中に近接する繊維、又はフィラメントをしっかり結びつけるために高度に撚られた、即ち1センチメートル当たり0.8回(1インチ当たり2回)を超える回転を有するマルチフィラメント糸もまた使用される1センチメートル当たり1.2回又は1.6回の撚り(1インチ当たり3又は4回の撚り)が典型的である。従来型ディスペンサに入れられて販売される従来のフロスのメーカーは、歯間をより容易に滑り、歯肉に優しいより柔軟なフロスを消費者が好むことを見出した。このため、製造業者は、このようなマルチフィラメント糸の撚りを低減又は排除した。しかしながら、このことは、通常、ほつれ及び破損の増加をもたらす。ほつれ及び破損の低減を維持するために、製造業者は、繊維間の空隙に微結晶ワックス又は蜜蝋などの軟質重合体を含浸させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーティングされたマルチフィラメント糸は、フロスがスプールに巻き付けられている従来型のフロスディスペンサから分配される場合の使用には適しているが、ワックスコーティングされたマルチフィラメントフロスが、上記のような市販の一回使用フロッシング装置で使用されることは知られていない。これは、1つには、ワックスコーティングされたマルチフィラメント糸を使用するそのような装置を製造することに付随する困難が原因である。
【0007】
要約すれば、ほつれ及び破損を低減する強さを維持しながら、歯間をより容易に滑りかつ歯肉に優しいフロスを用いた一回使用フロッシング装置、並びにそのような一回使用装置の製造方法及び装置の必要性が存在している。後述するように、ワックスコーティングされたデンタルフロスを用いた一回使用フロッシング装置を提供するための方法が今や判明した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ワックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスを含む一回使用フロスホルダーを形成するための金型に関し、この金型は、中に配置される第1の空洞を有する第1の部分であって、第1の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、第1の空洞は、基部部分と、近位部と遠位部とを有し基部部分から延出する第1及び第2の離間部分と、を含む、第1の部分と、中に配置される第2の空洞を含む第2の部分であって、第2の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、第2の空洞は、基部部分と、近位部と遠位部とを有し基部部分から延出しかつ遠位部で終端する、第1及び第2の離間部分と、を含む、第2の部分と、約10:1以上のアスペクト比、並びに第1及び第2の末端部と中間部とを有する溝であって、溝は第2の部分の全幅にわたって延び、溝の第1及び第2の末端部は、それぞれ第2の空洞の第1及び第2の離間部分の遠位部を横切り遠位部と一致する、溝と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の一回使用フロスホルダーを作製するのに使用される従来の金型の斜視図。
【図1a】図1に描かれた溝の断面図。
【図1b】図1に描かれている第2の金型部分の中の側方の空洞の遠位部の平面図。第1の部分の突起は、第1及び第2の金型部分が合体されたときに位置決めされることになるように点線で示されている。
【図2】本発明による金型の斜視図。
【図2a】図2に描かれた溝の断面図。
【図2b】図2に描かれている第2の金型部分の中の側方の空洞の遠位部の平面図。第1の部分の突起は、第1及び第2の金型部分が合体されたときに位置決めされることになるように点線で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ワックスコーティングを含まないフロスを用いる従来の一回使用フロスホルダーを製造するために使用される従来の金型を使用しようと試みた際に、ワックスコーティングされたフロスを利用するフロスホルダーを製造するのにそのような金型を使用することを阻んでいた問題が見出された。フロスの周囲にフロスホルダーを成型するときに、ある長さのフロスが2つの型半部の間に保持される従来の金型の溝の中に、コーティングされたデンタルフロスからのワックスが蓄積することが判明した。溝の中の蓄積の程度は、フロス上のワックスの量だけでなく、金型の表面と実際に接触するワックスの量にも左右される。溝がデンタルフロスからの残留ワックスで充填されると、フロスホルダーがフロスの周りに成型され得るようにフロスが金型の溝に嵌り込むための空間が次第に減少することが見出された。最終的に、ワックスは、従来の金型の溝の中に過剰レベルまで堆積し、これがフロスの破損の一因となり、成型作業を停止させる。従来のワックスタイプのフロスで使用されるワックスのレベルでは、従来の金型を使用した場合の蓄積及び破損は、典型的には、約5〜10成型サイクルの後に起こり、従来の金型を用いてそのようなフロスホルダーを営業生産するには法外な費用がかかることが見出された。
【0011】
ワックスの蓄積に起因したフロスの破損の一因となることの他に、ワックスコーティングされた糸を使用する一回使用フロッシング装置の商業的な実現可能性を制限している他の要因が存在している。1つの問題は、インサート成型作業中に直面する溶融に関する問題である。典型的には、従来の一回使用フロッシングヘッド、又はフロスホルダーは、約160℃の溶融温度を有するポリプロピレンで作製される。フロスホルダーが周囲に成型されるフロスは、約125℃の溶融温度を有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で作製される。押出機のバレル温度は180℃〜190℃が典型的であり、最高325℃のインサートノズル温度を用いて、フロスホルダーを形成するための樹脂を金型の中に注入する。これは、熱溶融樹脂が金型内に注入されて、はるかに低い溶融温度を有するフロスと接触することを意味する。したがって、フロスを融解するのに十分なレベルの熱がフロスに伝導し得る。
【0012】
ワックスコーティングを含まない高度に撚られたUHMWPEフロスの場合、フロスホルダーを形成するのに使用される溶融樹脂は、フロスの撚り及び締めつけに起因してフロスに浸透しないので、伝導される熱の量はフロスを融解するには不十分である。しかしながら、ワックスコーティングされたUHMWPEフロスの場合、ワックスが溶融樹脂とUHMWPEとの間の熱伝導剤として作用し、樹脂がフロスと接触する場所に、フロスの部分的又は完全な融解が生じる可能性があると考えられている。
【0013】
本発明は、従来の金型に付随するこれらの重大な問題の解決法、及びワックスコーティング組成物が塗布されたデンタルフロスを利用する一回使用フロスホルダーを製造しようと試みる際に用いられる方法を提供する。ックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスを含む一回使用フロスホルダーを形成するのに有用な本発明による金型は、金型のフロス溝の中のワックス組成物及び/又は余剰ワックスの蓄積に起因し得る熱伝導に付随する問題を解決する。本明細書で使用するとき、デンタルフロス、又はフロスは、マルチフィラメント糸(撚り合わされているか撚り合わされていないかに関わらず)、モノフィラメントデンタルテープ、例えば芯鞘デンタルテープ、及びエラストマー材の押出成形により形成されるモノフィラメントエラストマーデンタルテープなどの種々の形態のデンタルフロスを包含する。
【0014】
本発明による金型は、硬化工具鋼で形成されてもよいが、アルミニウムが使用されてもよい。この金型は、第1の部分と第2の部分とを有し、これらは上部及び下部と考えられてもよく、これらの部分は本発明のデンタルフロスホルダーの形成中に合体される。第1の部分は、底部基部面と周壁部とによって画定される第1の空洞を含む。第1の空洞は、基部部分と、この基部部分から延出する近位部と遠位部とを有する第1及び第2の離間部分とを有する。各離間部分は、その遠位部で終端している。第1の空洞は、例えば、一般にV字形又はU字形であってもよい。基部部分は、略水平であってもよく、本明細書において以下に示されるように、中間部と第1及び第2の末端部とを含んでもよい。ある実施形態では、第1及び第2の離間部分は実質的に側方であり、略水平な基部部分に対して略直角に配置される。この実施形態では、側方の離間部分は、基部部分の第1及び第2の末端部からそれぞれ延出して、一般にU字形の空洞を形成する。
【0015】
第2の部分は、その中に配置される第2の空洞を含み、第2の空洞の形状及び寸法は共に、第1の部分の中の第1の空洞に実質的に対応している。第2の部分の中の第2の空洞は、底部基部面と周縁側壁とによって画定される。第2の空洞は、基部部分と、基部部分から延出する近位部と遠位部とを有する第1及び第2の離間部分とを含む。各離間部分は、その遠位部で終端している。ある実施形態では、第1及び第2の離間部分は実質的に側方であり、略水平な基部部分に対して略直角に配置される。この実施形態では、側方の離間部分は、基部部分の第1及び第2の末端部からそれぞれ延出して、一般にU字形の空洞を形成する。
【0016】
本発明のフロスホルダーを形成するために使用される金型は、ワックスコーティングが溝の中に蓄積するのを防いで、ワックスの蓄積に付随する問題を最小限に抑える又は軽減するように特別に設計された溝を使用する。この溝は、第1及び第2の末端部と中間部とを含む。この溝は、第1の部分又は第2の部分のいずれかの中に位置付けられてもよいが、本明細書において図示されかつ論じられる際は、第2の部分、つまり下部の中に配置される。溝は、第2の金型部分の全幅にわたって延び、溝の第1及び第2の末端部はそれぞれ、第1及び第2の離間部分の遠位部を横切る、又は遠位部に及ぶ、及び遠位部と一致する。
【0017】
本発明による金型の中のフロス溝は、約10:1以上、又は約10:1〜約100:1若しくは約25:1〜約75:1、又は約50:1のアスペクト比(幅:深さ)を有する。本発明のフロスホルダーの成型中にワックスコーティングされたある長さのデンタルフロスとの接触を低減するために、溝の中間部は、それぞれの末端部よりも幅広及び/又は深くてもよい。例えば、中間部は末端部より約2〜約10倍深い及び/又は約1.2〜約1.5倍幅広であってもよい。典型的な400デニールの糸のための溝は、深さ約0.051cm(約0.02インチ)及び幅約0.051cm(約0.020インチ)の、半径約0.0254cm(約0.010インチ)の溝状の切り込みとなる。コーティングされていないフロスを用いる従来の一回使用フロッシング装置を形成するための従来の金型は、約1:1〜約4:1のアスペクト比(幅:深さ)を典型的に有する溝を利用する。溝の断面形状は、ある長さのフロスを2つの型半部の間に容易に捕捉しかつぴったり詰める(compact)ために、半円形からほぼV字形まで様々であってよい。従来の溝はまた、中間部と末端部とを有していてもよく、中間部は末端部より幅広であってもよい。溝の断面積はフロスの断面積と実質的に同じである。
【0018】
従来の金型の溝のアスペクト比及び断面形状は、本発明による金型の溝のものとは大きく異なるが、溝の総体積はおよそ等しい。従来の金型の溝の断面形状と比べて、本発明による金型で用いる溝の断面形状は実質的に矩形であり、実質的に平坦な底部表面を有する。このことは、溝の中へのワックスの蓄積を防止する又は最小限に抑えるのと同時に、ある長さのフロスを金型の溝の中に設置する際により大きな許容度を提供して、溝の中のフロスの若干の側方の不整列を許容する。したがって、従来の金型に付随するフロスの破損及び不整列の両方に関する問題は、相乗的に改善される。
【0019】
ワックス組成物が熱伝導剤としての機能を果たし得る実施形態では、金型は、第1及び第2の側方の離間部分の遠位部とそれぞれ一致する溝の第1及び第2の末端部のそれぞれに近接して配置される1つ又は複数の放熱板を更に含んでもよい。本明細書で使用するとき、「放熱板」とは、別の物体(例えばコーティングされたある長さのデンタルフロス)からの熱を、熱的接触(直接又は輻射のいずれかであり得る)により吸収及び消散する物体を意味する。本明細書で使用するとき、「第1及び第2の末端部のそれぞれに近接して」とは、熱をある長さのデンタルフロスから放熱板に移動させて、フロスの周囲にフロスホルダーを成型する間の融解に起因するフロスの破損を低減するのに有効であるように、放熱板が、溝の末端部と接触して配置されるか、又は溝の末端部に十分に近い距離に配置されることを意味する。フロスホルダーの成型中、放熱板は、空洞の離間部分の遠位部の中に配置されたある長さのデンタルフロスの終端部に近接している。溝と同様に、熱をある長さのデンタルフロスから離して移動させるのに有効であるように、放熱板は、ある長さのデンタルフロスと接触しているか、又はある長さのデンタルフロスと十分に近い距離にある。放熱板は、フロスホルダーを形成する溶融樹脂からフロスの片側又は両側を保護することができ、また樹脂の流れをフロスの周囲に方向付けることができる。
【0020】
本発明による放熱板の一実施形態が図2に示されている。図に示されているように、第1の部分の第1の空洞内に突起が配置されている。突起は、一方では、例えばフレーバー組成物を保持するための空洞を最終フロスホルダーの中に形成するのに役立つ。これに加えて、突起は、金型の2つの部分が合体されたときに突起が第2の部分の溝の末端部に近接するように、第1の部分の第1の空洞内に位置付けられる。その結果、放熱板は、デンタルフロスホルダーの成型中に、コーティングされたある長さのデンタルフロスに近接し、放熱板の役割を果たす。図1に示される従来の金型も、例えばフレーバー組成物を保持するための空洞をフロスホルダーの中に形成するために、第1の空洞の中に配置される突起を含むが、金型部分が合体されたときに、突起は溝に近接していない。その結果、従来の金型の中に保持されるある長さのフロスは、成型中に突起に近接せず、突起は放熱板としての役割を果たさない。放熱板を必要とする本発明の実施形態では、それ故、フロスホルダーの形成中に突起が放熱板として機能するのを確実にするために、金型内の突起と溝との相対的位置が重要である。図2は、放熱板として機能する位置にある突起を図示しているが、放熱板を必要としない本発明の実施形態では、突起は溝の末端部に近接している必要はない。
【0021】
あるいは、排圧ピンが金型内の放熱板として機能し得る。この場合、ピンは溝の末端部に近接しており、金型内が終圧に達するまで、ワックスコーティングされたフロスの片側に接触し、又はこれを遮蔽し、終圧に達した時点で、圧力はピンを金型の本体の中に後退させて空洞領域を閉締する。金型自体と同様に、放熱板は硬化工具鋼で形成されてもよいが、アルミニウムが使用されてもよい。
【0022】
本発明による金型を使用して製造されるフロスホルダーは、一体型一回使用使い捨てフロッシング装置のように、ハンドルと一体形成されてもよく、したがって使用後に廃棄されてもよい。あるいは、本発明に従って製造されるフロスホルダーは、フロスホルダーを別個のハンドルに、堅いが取り外し可能に取り付けることができるようにする、嵌合具を備えて作製されてもよい。したがって、フロスホルダー自体は使い捨てであり、ハンドルは再利用可能であるということになる。
【0023】
一実施形態において、フロスホルダーは一般にU字形であり、中間部と第1及び第2の末端部とを有する略水平な基部部分を含む。第1及び第2の実質的に側方に離間したアームは、基部部分と一体であり、基部部分に対して略直角である。側方のアームはそれぞれ、基部部分の第1及び第2の末端部とそれぞれ一体の近位端を有する。側方の各アームはその遠位部で終端する。アームは、基部部分の第1及び第2の末端部からそれぞれ延出して、一般にU字形の形状を形成する。ワックス組成物が塗布されたある長さのフロスは、離間したアームの間に延在し、離間したアームのそれぞれの遠位部にフロスの各末端部が堅く取り付けられる。フロスは、対応するアームの外側に形成された結び目を用いて離間したアームに固定されてもよく、この結び目は、融点超でフロスを加熱して、対応する離間したアームの外側表面上に融解したフロスのビーズを形成することによって形成される。ホルダーは、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、又は他の同様の成型材料などの重合体で作製され得る。
【0024】
側方の離間したアームの間に延在するある長さのフロスは、マルチフィラメント糸、又はモノフィラメントフロス、又はテープで作製されてもよい。複数の歯間を通過する必要があることから、フロスは、極めて耐ほつれ性である必要がある。このため、マルチフィラメント糸の好ましい材料は、デニールが約400、及びフィラメント寸法がおよそ1dpfである超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)である。1dpfより大きいフィラメントも機能するが、フィラメントが粗いほど歯間への挿入力が大きくなるので、あまり望ましくない。1dpfのフィラメントを下回るフィラメントも使用可能となるが、現在そのようなフィラメントを製造している製造業者はないこの手の糸は、DSM(DSM Dyneema B.V.,Urmond,the Netherlands)などの企業から商標名DYNEEMAで供給されており、SK65と呼ばれている。他の材料も使用することができるが、UHMWPEは高強度で細いフィラメントであることから、最も望ましい材料である。
【0025】
既知の一回使用フロッシング装置で用いられるコーティングされていないマルチフィラメント糸は、フロッシング作業中に近接する繊維をしっかり結びつけてほつれを防止するために、例えば1センチメートル当たり0.8回(1インチ当たり2回)を超える回転で高度に撚られている。1センチメートル当たり1.2回又は1.6回の撚り(1インチ当たり3又は4回の撚り)が典型的である。本発明では、高撚糸又は低撚糸を使用することができる。本明細書における低撚糸とは、1センチメートル当たり0.8回撚り(1インチ当たり2回撚り)未満で撚り合わされている糸であると定義され、理想的には、1センチメートル当たり0.6回撚り(1インチ当たり1.5回撚り)で撚り合わされているべきである。このことは、ソフトな感触と、耐ほつれ性と、挿入力との間の良好なバランスを提供する。空気交絡結節を有する撚られていない糸もまた、本発明において使用することができる。
【0026】
マルチフィラメント糸に加えて、本発明による金型を使用して製造されるフロスは、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2009/0120454 A1号に開示されているもののようなモノフィラメントテープで製造されてもよい。そのようなモノフィラメントデンタルテープは、約5:1を超えるアスペクト比を有するコア本体と、第1クリーニング表面と、この第1クリーニング表面に対向する第2クリーニング表面とを含み、これら第1及び第2クリーニング表面のうちの少なくとも一方は、その長さに沿って配置された複数のリブを含み、このデンタルテープの幅の、デンタルテープの厚さに対する比は、約3:1〜約25:1である。
【0027】
そのようなデンタルテープを形成するのに用いられ得るエラストマー材には、商標名PEBAX(Ato Chimie,Hauts−de−Seine France)で販売されている、PEBAX 7033、5533、MX1205、4033、3533、及び2533などのポリアミド−ポリエーテルブロック共重合体;商標名HYTREL(E.I.du Pont de Nemours & Co.,Wilmington,Del.)で販売されている、HYTREL 7246、5556、及び4056などのポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体及びポリエステル−ポリエステルブロック共重合体;商標名TECOFLEX(Lubrizol Advanced Materials,Inc.,Cleveland Ohio)で販売されている熱可塑性脂肪族ポリウレタンエラストマー;商標名PELLETHANE(Dow Chemical Co.,Midland,Mich.)で販売されている熱可塑性芳香族ポリウレタンエラストマー;並びに名称MULTI−FLEX(Dow Chemical Co.,Midland,Mich.)で販売されている熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。デンタルテープを製造することができる非エラストマー材には、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。
【0028】
本発明の一回使用フロスホルダーで使用されるある長さのデンタルフロスは、歯間をより容易に滑らせ、かつ歯肉に優しくするために、ワックス組成物が塗布されている。歯間のより良好な滑りに加え、ワックス組成物は、低撚糸のフィラメントを結合させてほつれを防止する働きもすもる。デンタルフロスは、ある長さのデンタルフロスの重量に基づいて約10パーセント以上、例えば約25パーセント以上のワックス組成物が塗布されていてもよい。ある実施形態では、ある長さのデンタルフロスは、ある長さのデンタルフロスの重量に基づいて約25パーセント〜約50パーセントのワックス組成物が塗布されていてもよい。
【0029】
フロスのコーティングはワックスを含み、更なる添加物を含んでもよい。ワックス組成物への添加物は、コーティングが金型に移動するのを防ぎ、かつ成型ヘッド、即ちフロスホルダーを構成するプラスチックへのワックス組成物のより良好な付着を目的として使用される。フロス用のワックス組成物で有用な代表的なワックスは、Witco Corp.のPetroleum Specialties Group(New York,NY)製のMultiwax W−445であるが、約76℃〜約85℃の融点及び約14〜約25dmの硬度を有する他の等級の微結晶ワックス(MCW)で十分である。これに加えて又は別の方法として、Strahl and Pitsch白蝋NF−SP422などの蜜蝋、及び類似のワックスを使用してもよい。いくつかの実施形態では、ワックス組成物は、ワックス組成物の総重量に基づいて約10重量パーセント〜約95重量パーセントの微結晶ワックスを含む。ワックス組成物への添加物には、ワックスをべとつかないようにする及び/又はヘッド内でのフロス接着性を向上させるが、繊維束のたわみ性を感知できるほどに低下させないものが挙げられる。これにより、苛酷なフロッシングの間、束から個々の繊維が分離するのを最小限に抑えながらフロスを自由に動かすることが可能になる。そのような添加物の1つは、Honeywell(Honeywell International,Morristown,NJ)製のA−C 400等級などのエチレンビニルアセテート共重合体である。Honeywellのポリエチレン単独重合体、例えばA−C 617などのその他の添加物を使用してもよい。添加物として有用な重合体は、ワックスとの相溶性、適切な溶融温度、低粘度、及び適切な硬度の組み合わせを呈する。約80℃〜120℃の溶融温度、約600cpsを下回る粘度、及び約1〜約9の硬度(ASTM D−5)を有する重合体が有利であると思われる。
【0030】
フロッシング装置は添加物なしで成功裏に作製され得るが、フロスホルダー内のフロスの接着性を高めるために添加物を使用するのが望ましい場合がある。例えば、ワックス組成物は、組成物の総重量に基づいて約5重量パーセント〜約40重量パーセント、又は約20重量パーセントの添加物を含んでもよい。その他の範囲も機能し得るが、約20パーセントは、たわみ性と、柔軟性と、滑り性(slideability)と、フロスホルダー内の接着性と、成型作業中のワックス最小蓄積との間での良好なバランスを提供する。
【0031】
ワックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスを含む本発明による一回使用デンタルフロスホルダーを製造するプロセスでは、ワックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスが提供される。マルチフィラメント又はモノフィラメントのいずれかであるコーティングされていない糸又はデンタルテープは、典型的には重量約1〜5キログラムのロール状で供給される。マルチフィラメント糸は、それぞれ既知の商業用技術を利用して撚り合わされていても、撚り合わされていなくてもよく、又は空気交絡されていてもよい。
【0032】
コーティングされていないデンタルフロスを保持している供給ロールを、標準的なフロスコーティング装置に通過させ、そこでワックスコーティングが塗布され、コーティングされたフロスは、更なる処理のために供給ロール上に巻き戻される。従来のワックスコーティングされたデンタルフロスを調製するために従来用いられる任意のワックスコーティングプロセス及びコーティング装置を採用できることは、当業者には理解されよう。コーティングプロセスで使用されるワックスコーティング組成物及び塗布ダイの温度は、塗布されるコーティングによって決まる。通常、微結晶ワックスコーティングでは、マルチフィラメント糸の場合に糸の内部繊維の中へのワックスの良好な浸透を達成するために、ワックスの融点よりも有意に高い温度でコーティングを塗布することが望ましい。Witco W−445に関しては通常90℃〜95℃である。約80パーセントの微結晶ワックスと約20パーセントのEVAとの混合物では、この温度は通常約95℃〜約115℃である。マルチフィラメント糸の束の内部へのワックスの分配は、内部繊維の結合を強化させ、また更には、フロスホルダーを形成するのに使用される金型の溝の中へのワックスの蓄積の一因となり、ひいてはインサート成型中のフロスの破損の一因となり得る、フロスの表面上のワックスを最小限にする。
【0033】
次に、ワックスコーティングされたフロスを保持する供給ロールは、溶融プラスチック材料を受容するための空洞と、ワックスコーティングされたある長さのデンタルフロスを金型の片方の中に受容するための溝とを有する金型を含むインサート成型機に提供される。金型の溝は、約10:1又はそれ以上のアスペクト比を有する。ある長さのデンタルフロスの終端部が、溝を含む型半部の中の空洞のそれぞれの遠位部に及ぶように、2つの開いた型半部にフロスを通過させ、金型の溝の中に位置決めする。金型は、任意に、溝及びワックスコーティングされたある長さのデンタルフロスに近接して放熱板(1枚又は複数)を含んでもよい。次に、2つの型半部を合体させ、金型の空洞の中に注入ノズルを介して溶融プラスチックを注入して、フロスの終端部の周囲にフロスヘッド、又はフロスホルダーを形成する。
【0034】
金型に入る樹脂の温度は、ヘッド内でのフロスの保持力に影響を及ぼす。樹脂の最適温度は、フロスの融解が生じない温度である。最適よりも高い温度は、成型プロセスの間にヘッド内のフロスの一部が融解するので低保持力をもたらし、そのため保持力を低下させる。金型に入る樹脂の温度は、押出機のバレル内の4つの制御可能な温度点、ノズルの温度、及び熱いマニホールドの温度の影響を受ける。これらの温度は、完成したフロスホルダーの末端部からフロスを引き抜くのに必要な力が、約17.8N(約4ポンド)以上、例えば約22.2N(約5ポンド)以上であるように選択される。樹脂の温度が高すぎると、フロスホルダーのそれぞれの側方の部分からワックスコーティングされたデンタルフロスを引き抜くのに必要な力は、十分に大きくならない。選択される実際の温度は、特定のデンタルフロス、デンタルフロスに塗布されるワックスコーティングの濃度、ワックスコーティングの組成、及び金型の溝に近接して位置付けられる放熱板の有無、並びに金型内に位置決めされるデンタルフロスの長さなどの要因に依存する。ある実施形態では、注入ノズルの温度は、約300℃以下、又は約275℃以下、又は約210℃〜約290℃、又は約220℃〜約270℃である。本明細書に記載の放熱板をアスペクト比が約10:1以上である溝と組み合わせて使用することにより、引き抜き力の変動を低減することができ、尚且つフロスホルダーからフロスを引き抜くと予想される最小引き抜き力を改善することができることがわかった。
【0035】
成型されたフロスホルダーは、典型的には、冷却用のコールドランナー及び少なくともフロスの複数の房に取り付けられ、このフロスの複数の房は、成型部品が冷却されて固化して金型が開かれた後に、金型からこの成型部品を解放するために使用される。次に、取り付けられたフロスホルダーの各群を、それぞれの群の間のフロスを切断することによって、隣の群から分離する。隣接するホルダーの間のフロスを切断するために直火が用いられる。この燃焼プロセスは、余剰フロスを融解し、フロスホルダーの側方のアームの外面に収縮させて戻すので、側方のアームの遠位部の外側でフロスの末端部に結び目を形成し、この結び目はフロスを定位置に保持する。
【0036】
前述の通り、ワックスコーティングされたフロスを有する一回使用フロスヘッド、例えばフロスホルダーの製造に関する問題は、ワックスコーティングされたフロスの周囲に溶融物質、例えばプラスチックを成型することに関する問題である。一方では、フロスからのワックスは、型半部の間にフロスが保持される場所である金型の溝の中に蓄積する。他方では、ワックスは、成型作業中にフロスの融解の一因となる熱伝導剤として機能し得る。本発明の金型はこの問題を克服する。
【0037】
図1は、ワックスコーティングを含まないデンタルフロスを利用する、従来の一回使用フロスホルダーを製造するために使用される従来技術の金型の斜視図である。金型50は、第1の部分40と第2の部分10とを有する。第1の部分40は、上面42と、底面44と、側面46、48、52、及び54とを有する矩形プリズムである。第1の部分40は、その中に配置される一般にU字形の第1の空洞56を更に含んでいる。空洞56は、周縁側壁56dと空洞底部表面56eとによって画定され、側壁56dは、空洞底部表面56eの平面と底面44の平面との間に延びている。空洞56は、第1の末端部56kと第2の末端部56lとを有する水平な基部空洞部分56aと、それぞれが近位部56f、56gと遠位部56h、56iとを有し、基部空洞部分56aの第1の末端部56k及び第2の末端部56lに対して略直角であり、かつ第1の末端部56k及び第2の末端部56lから離れて同じ方向に延びる、実質的に側方の離間した空洞部分56b及び56cとを含んで、一般にU字形の形状を形成する。例えば、フレーバーを含有する組成物を収容するための空洞をフロスホルダーの中に形成するのを目的として、突起58b及び58cが側方の空洞部分56b及び56c内にそれぞれ配置される。
【0038】
第2の部分10は、上面12と、底面14と、側面16、18、22、及び24とを有する。第2の部分10は矩形プリズムであり、その中に配置される一般にU字形の第2の空洞32を有する。空洞32は、周縁側壁32dと空洞底部表面32eとによって画定され、側壁32dは、空洞底部表面32eの平面と上面12の平面との間に延びている。空洞32は、第1の末端部32fと第2の末端部32gとを有する基部空洞部分32aと、それぞれが近位部32h、32iと遠位部32j、32kとを有し、基部空洞部分32aの第1の末端部32f及び第2の末端部32gに対して略直角であり、かつ第1の末端部32f及び第2の末端部32gから離れて同じ方向に延びる、実質的に側方の離間した空洞部分32b及び32cとを含んで、一般にU字形の形状を形成する。
【0039】
フロス溝34は、側方の空洞部分32b及び32cを横断して位置付けられ、溝34の位置は、ある長さのフロスが空洞部分32b及び32cに及ぶ所望の位置に対応している。溝34は、中間部34cと、末端部34b及び34aとを有する。注入ポート36は、第1の部分40の後側面18及び第2の部分10の後側面48内に位置付けられている。射出成型プロセスの間、溶融樹脂は注入ポート36を通過し、第1の金型部分40及び第2の金型部分10が合体されときに第1の空洞56及び第2の空洞32によって形成される型穴を充填して、ある長さのフロスをフロスホルダーの中に包埋する。
【0040】
図1aは、溝34の末端部の断面側面図である。図示するように、溝34は、実質的にV字形又は半円形の断面形状を有する。溝34の底部34dは、従来のデンタルフロスホルダーの製造中に、ある長さのデンタルフロスが中に位置決めされる、溝状の形状を形成している。
【0041】
図1bは、図1に描かれている側方の空洞32bの遠位部32j及び側方の空洞32cの遠位部32kの平面図である。溝34の末端部34a及び34bは、側方の空洞32bの遠位部32j及び側方の空洞32cの遠位部32kを横切っている、又はこれらに及んでいる。第1の部分の突起58b及び58cは、それぞれ、金型の2つの半部が合体されたときに側方の空洞32b及び32cの中に位置決めされているとして示されている。図のように、突起58b及び58cは、溝34の末端部34a又は34bに近接していない。その結果、突起58b及び58cは、従来技術の金型において放熱板として機能しない。
【0042】
図2は、本発明による金型の斜視図である。金型70は、第1の部分90と第2の部分80とを有する。金型70は、硬化工具鋼で形成されてもよいが、アルミニウムが使用されてもよい。第1の部分90は、上面92と、底面94と、側面95、96、97、及び98とを有する矩形プリズムである。第1の部分70は、その中に配置される一般にU字形の第1の空洞100を更に含む。空洞100は、周縁側壁100dと空洞底部表面100eとによって画定され、側壁100dは、空洞底部表面100eの平面と底面94の平面との間に延びている。空洞100は、第1の末端部100fと第2の末端部100gとを有する基部空洞部分100aと、それぞれが近位部100h、100iと遠位部100j、100kとを有し、基部空洞部分100aの第1及び第2の末端部に対して略直角であり、かつこの第1及び第2の末端部から離れて同じ方向に延びる、実質的に側方の離間した空洞部分100b及び100cとを含んで、一般にU字形の形状を形成する。例えば、フレーバーを含有する組成物を収容するための空洞をフロスホルダーの中に形成するのを目的として、突起102b及び102cが側方の空洞部分100b及び100c内にそれぞれ配置される。
【0043】
第2の部分80は、上面82と、底面84と、側面85、86、87及び88とを有する。第2の部分80は矩形プリズムであり、その中に配置される一般にU字形の空洞110を有する。空洞110は、周縁側壁110dと空洞底部表面110eとによって画定され、側壁100dは、空洞底部表面110eの平面と底面84の平面との間に延びている。空洞110は、第1の末端部110fと第2の末端部110gとを有する基部空洞部分110aと、それぞれが近位部110h、110iと遠位部110j、110kとを有し、基部空洞部分110aの第1の末端部110f及び第2の末端部110gに対して略直角であり、かつ第1の末端部110f及び第2の末端部110gから離れて同じ方向に延びる、実質的に側方の離間した空洞部分110b及び110cとを含んで、一般にU字形の形状を形成する。
【0044】
フロス溝114は、側方の空洞部分110a及び110bを横断して位置付けられ、溝114の位置は、ある長さのフロスが空洞部分110a及び110bに及ぶ所望の位置に対応している。溝114の位置は、フロスホルダーの成型中に突起102b及び102cに近接するような位置である。この実施形態では、突起及びフロス溝の近接した位置を考えると、突起は、成型中に熱をある長さのフロスから消散させるための放熱板としての機能を果たす。このような金型を利用して作製されるフロスホルダーでは、コーティングされたある長さのフロスは、突起102b及び102cによって形成されるフロスホルダーの空洞に近接する。注入ポート116は、第1の部分90の後側面98及び第2の部分80の後側面86内に位置付けられている。射出成型プロセスの間、溶融樹脂は注入ポート116を通過し、金型部分90及び80が合体されたときに第1の空洞100及び第2の空洞110によって形成される型穴を充填して、ある長さのフロスの少なくとも一部分がフロスホルダーの中に形成された空洞に近接するように、ある長さのフロスをフロスホルダーの中に包埋する。単一式(single-part)の金型が示されているが、約20個以上の個別のフロスホルダーを形成する能力がある多部式(multiple-part)の金型をこのようなフロスホルダーを製造する際には使用してもよい。
【0045】
図2aは、溝114の断面側面図である。図示するように、溝114は、本発明のデンタルフロスホルダーの製造中に、ある長さのデンタルフロスが中に位置決めされる実質的に平坦な底部表面114dを有する実質的に矩形の断面形状を有している。
【0046】
図2bは、図2に描かれている側方の空洞110bの遠位部110j及び側方の空洞110cの遠位部110kの平面図である。溝114の末端部114a及び114bは、側方の空洞110bの遠位部110j及び側方の空洞110cの遠位部110kを横切っている、又はこれらに及んでいる。第1の部分の突起102b及び102cは、それぞれ、金型の2つの半部が合体されたときに側方の空洞110b及び110cの中に位置決めされているとして示されている。図のように、突起102b及び102cは、溝114の末端部114a又は114bに近接している。その結果、突起102b及び102cは、本発明によるデンタルフロスホルダーの製造中に、金型の中の放熱板として機能する。
【0047】
引き抜き力は、フロスヘッド、即ちフロスホルダーからフロスを引き抜くのに必要とする力の量として、又はホルダーが動作不能になるようにフロスを緩めるためにユーザーがフロスヘッドに加えなければならないであろう力の量として定義される。フロスの最小引き抜き力は、17.8N(4ポンド)超であるのが好ましく、より好ましくは22.2N(5ポンド)超である。撤去力を測定する技法は、典型的には、フロスホルダーをインストロン又は同様の装置に取り付けることによって達成される。インストロンの移動可能な側に取り付けられたフックを、フロスホルダーの中央に設置する。次に、フックを徐々に上方へ移動させて、そのプロセスでフロスの中間部を引っ掛ける。フックは、最終的にフロスの片側がU字形ヘッドから引き出される結果となるまで、増加する力を加えながら、約25.4cm/分(約10インチ/分)の一定速度で上方に移動する。これは、フロッシング装置が動作不能となるためにユーザーがフロスにかけなければならない力をシミュレートする。
【0048】
本発明の利点を更に説明するために、以下に実施例を提供する。本発明は、本明細書に記載の特定の詳細に限定されると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
第1の部分、つまり上部と、第2の部分、つまり下部とを有する金型を作製し、各部分は一回使用フロスホルダーを製造するための8個の空洞(各側に4個の空洞)を含んでおり、コールドランナーがこれら空洞を連結していた。金型の上部の一方の部分において、この第1の部分は図2に示される第1の部分と類似しており、突起は、放熱板として機能し最終フロスホルダーの中に空洞を形成するように位置付けられた。第1の部分のもう一方の部分では突起は用いられず、したがって、最終フロスホルダーの中に空洞は存在しなかった。金型の第2の部分は、型半部が閉締されたときにある長さのフロスを受容するのを目的として、その面に機械加工された溝を含んでいた。図1及び図2に示されるものと同様の2つの異なる形状のフロス溝を比較のために使用した。半径約0.0254cm(約0.010インチ)の半円形の断面形状を有する従来の溝(以下で溝Aと呼ばれる)を、金型の面における幅が0.0508cm(0.020インチ)であり、この面から溝の底部までの深さが0.0254cm(0.010インチ)であり、したがってアスペクト比(w/d)が2:1となるように、型半部に機械加工した。本発明に従って用いられるもう一方の溝(以下では溝Bと呼ばれる)は実質的に矩形の断面形状を有し、幅0.254cm(0.100インチ)及び深さ0.005cm(0.002インチ)であり、したがってアスペクト比(w/d)は50:1であった。
【0050】
溝Aの性能を溝Bと比較するために、ワックスコーティングが塗布されている及び塗布されていない多くのフロスを金型の両側で試した。成型条件は次の通りであった。
挿入圧力2224N(500ポンド)
保持圧力445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度315℃
サイクル時間11.4秒
【0051】
第1の組の試験では、種々のコーティングが塗布された400デニールUHMWPEマルチフィラメントフロスを使用して、プロトタイプの一回使用フロスホルダーを形成した。成型試験の結果を表1に要約する。
【表1】

注記:MCWは微結晶ワックス、PEはポリエチレン単独重合体、及びEVAはエチレンビニルアセテート共重合体である。
【0052】
表1は、ワックスコーティングを含まないUHMWPEフロスが、両方の溝形状に関して処理問題を引き起こさなかったことを示している。しかしながら、ワックスコーティングされたUHMWPEを使用して一回使用フロスホルダーを形成すると、比較用溝Aの中にワックスコーティングの蓄積が生じたが、本発明の溝Bの中にはコーティング蓄積が全く又はほとんど生じなかった。
【0053】
次に、400デニールSK−65 UHMWPEマルチフィラメントフロス(1.5回撚り、60パーセントのMCWと40パーセントのPE−617とを含むワックスコーティング組成物を49パーセントコーティング重量で有する)を使用して一回使用フロッシング装置を作製するために金型の溝Bを有する側のみを使用して、短い製造試験を行った。この試験はプロセスの持続性をテストするものであった。1.5時間の試験の後、金型を開き、蓄積及び残屑を調べた。少量の蓄積が見られたが、プロセスを停止させる又は成型プロセスにマイナスの影響を与えるには十分ではなかった。
【0054】
(実施例2)
溝B(アスペクト比50:1)を備える実施例1で使用した金型を用いて、2つの異なるフロスを使用する一回使用デンタルフロスホルダーを作製した。第1のフロスは高度に撚り合わされたマルチフィラメントフロス糸であった。このフロスは、1.2回撚り/cm(3回撚り/インチ)のワックスの塗布されていないUHMWPE DSM SK 65糸であった。第2のフロスは、0.6回撚り/cm(1.5回撚り/インチ)の400デニールUHMWPE DSM SK−65糸であり、80パーセントの微結晶ワックスと20パーセントのHoneywell EVA PE400とを含有するコーティングを25重量パーセント含んでいた。製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:1668N(375ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度315℃
サイクル時間:11.4秒
【0055】
フロスホルダーからフロスを引き抜くのに必要な平均及び最小予想力が表2に示されている。引き抜き力の最小予想値は、平均引き抜き力から標準偏差の3倍を引いたものと定義された。フロッシング装置のメーカーによると、十分な平均及び最小予想引き抜き力は約17.8N〜22.2N(約4〜5ポンド)超であると考えられている。
【表2】

【0056】
表2は、高撚りでコーティングされていないフロス、及び低撚りでコーティングされたフロスの両方が、平均引き抜き力要件を満たしたことを示している。しかしながら、低撚りでワックスタイプのフロスでは、引き抜き力の最小予想値は4.4N(1ポンド)未満である。
【0057】
次の実施例では、挿入ノズルの温度を315℃から255℃に下げて、樹脂温度が引き抜き強度に与える影響を判定した。
【0058】
(実施例3)
実施例2と同じ金型及びフロスを使用した。第1のフロスは、1.2回撚り/cm(3回撚り/インチ)のワックスの塗布されていないUHMWPE DSM SK 65糸であった。第2のフロスは、0.6回撚り/cm(1.5回撚り/インチ)のUHMWPE DSM SK−65、400デニールであり、80パーセントの微結晶ワックスと20パーセントのHoneywell EVA PE400とを含有するコーティングを24.8重量パーセント含んでいた。製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:2224N(500ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度255℃
サイクル時間:11.4秒
【0059】
フロスを引き抜く力は表3に示されている。
【表3】

【0060】
表3は、示された条件下で製造された高撚りでコーティングされていないフロス及び低撚りでコーティングされたフロスが共に、平均及び最小予想引き抜き力の両方に関する最小引き抜き力要件を満たしたことを示している。
【0061】
(実施例4)
挿入ノズルの温度を235℃に、次に220℃まで更に下げたことを除いては実施例3を繰り返して、樹脂温度が引き抜き強度に与える影響を判定した。製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:2224N(500ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度235℃又は220℃
サイクル時間:11.4秒
【0062】
フロスを引き抜く力は表4に示されている。
【表4】

【0063】
表4は、示された条件下で製造された低撚りのコーティングされたフロスは、平均及び最小予想引き抜き力要件の両方を満たしたことを示している。
【0064】
(実施例5)
この実施例は、放熱板の使用が一回使用フロッシング装置の引き抜き強度に与える影響を示している。実施例1で使用した金型と同様に金型を作製した。金型の片側は、幅2.0cm(0.800インチ)及び深さ0.005cm(0.002インチ)である溝を含んでおり、したがってアスペクト比は40:1であった。図1に示されるものと同様の放熱板を、2つの型半部が合体されると放熱板が溝及び溝の中に位置決めされたある長さのフロスに近接するように、型半部のもう一方の側の中の空洞の遠位部の中に機械加工した。使用したフロスは実施例4のものと同じであり(DSM 400、0.6回撚り/cm(1.5回撚り/インチ))、80パーセントの微結晶ワックスと20パーセントのHoneywell EVA PE400とを含有する25.7パーセントのコーティング組成物で塗布されていた。一方の側に同じアスペクト比の溝を有する金型を使用したが、他方の側では放熱板を使用せずに、類似のフロスホルダーを作製した。
【0065】
製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:2224N(500ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度235℃
サイクル時間:11.4秒
【0066】
フロスを引き抜く力は表5に示されている。
【表5】

【0067】
標準偏差がほぼ2分の1に低減したことから明らかなように、表5は、溝及びある長さのデンタルフロスに近接する放熱板を利用することにより、かかる金型で作製されたフロスホルダーの引き抜き力の変動が有意に低減することを示している。更に、最小予想引き抜き力は約24.9N(約5.6ポンド)であったが、放熱板を有さない金型で作製されたフロスホルダーは15.1N(3.4ポンド)という低さであった。このように、標準偏差の低減及び最小予想引き抜き力の有意な増加から明らかなように、金型の側方の空洞部分内で放熱板を利用することにより、頑健な製造プロセス及び引き抜きが改善されたフロスホルダーの両方を相乗的に提供する。
【0068】
(実施例6)
中に入っていく樹脂の温度が引き抜き力に影響を及ぼすことが示されたので、挿入ノズルの温度を変化させて実験を行った。実施例5と同じ金型を使用した。使用したフロスは実施例4のものと同じであった。製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:2224N(500ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度220℃又は270℃
サイクル時間:11.4秒
フロスを引き抜く力は表8に示されている。
【表6】

【0069】
表6もやはり、本発明による溝と組み合わせて放熱板を含む金型を利用すると、製品及びプロセス変動を相乗的に低減し、かつ全注入ノズル温度における最小予想引き抜き力を有意に増加させることを実証している。この実施形態で用いた特定のフロス及びプロセス条件では、約220℃の挿入ノズルの温度が最適な結果(例えば最小予想引き抜き力が約32.4N(約7.3ポンド))をもたらした。
【0070】
(実施例7)
実施例5と同じ金型を使用した。使用したフロスは、DSM 400、0.6回撚り/cm(1.5回撚り/インチ)であり、微結晶ワックスの26.6パーセントコーティングが塗布されていた。製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:2224N(500ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度270℃
サイクル時間:11.4秒
【0071】
フロスを引き抜く力は表9に示されている。
【表7】

【0072】
表7もやはり、本発明による溝と組み合わせて放熱板を含む金型を利用すると、製品及びプロセス変動を相乗的に低減し、かつ最小予想引き抜き力を増加させることを実証している。
【0073】
(実施例8)
実施例7を繰り返したが、高度に撚り合わされたコーティングされていないフロスを使用した。実施例7と同じ金型を使用した。使用したフロスは、DSM 400、1.2回撚り/cm(3回撚り/インチ)であり、ワックスコーティングは塗布されていなかった。製造条件は次の通りであった。
挿入圧力:2224N(500ポンド)
保持圧力:445N(100ポンド)
バレル及びマニホールドの温度182℃
挿入ノズルの温度260℃
サイクル時間:11.4秒
【0074】
フロスを引き抜く力は表8に示されている。
【表8】

【0075】
表8は、高度に撚り合わされたコーティングされていないフロスを成型する際に放熱板を含む金型を利用すると、平均及び最小予想引き抜き力を実際に低減させるが、引き抜き力測定値の変動(標準偏差)にほとんど影響を及ぼさないことを示している。したがって、驚くべきことに、ワックスコーティングされたフロスを有する一回使用デンタルフロスホルダーの製造に放熱板を使用することによって、プロセス及び製品の両方の改善が示されることが見出され、これは誰もが予想することに反している。
【0076】
(実施例9)
表9で「比較品」として示されている、現在流通しているフロス(DSM 400デニール、超高分子量ポリエチレンSK−65、1.2回撚り/cm(3回撚り/インチ)、コーティングなし)を有するフロッシング装置と、表9で「本発明」として示されている、低撚りのコーティングされたフロス(DSM 400デニール、超高分子量ポリエチレンSK−65、0.6回撚り/cm(1.5回撚り/インチ)、80パーセントの微結晶ワックスと20パーセントのEVAとを含有する組成物のコーティングを26%有する)を有する同じフロッシング装置とを比較する消費者試験が行われた。
【表9】

【0077】
低撚りでワックスコーティングされたフロスを備えるフロッシング装置は、全体的嗜好、歯間への挿入が容易、歯間からの除去が容易、に関する評価が有意に高かった(95%信頼限界)。低撚りのフロスを備えるフロッシング装置は、歯間に挟まって動かなくならない、歯間を滑らせるのが容易、歯肉に優しい、歯間を良好にクリーニングできる、に関して良好である(90%信頼限界)と考えられた。その他の全ての属性については、製品は等しいと評価され、本発明のフロスホルダーが比較品と比べて不利点を呈さなかったことを示した。このことは、フロスを平坦化しかつコーティングすることで、いかなるその他の特性、特にほつれに関する特性も犠牲にすることなく、追加的な好ましい利益を提供したことを示しているという点で重要である。
【0078】
〔実施の態様〕
(1) ワックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスを含む一回使用フロスホルダーを形成するための金型であって、
中に配置される第1の空洞を含む第1の部分であって、前記第1の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、前記第1の空洞は、
基部部分と、
近位部と遠位部とを有する第1及び第2の離間部分と、を含み、前記側部は前記基部部分から延出する、第1の部分と、
中に配置される第2の空洞を含む第2の部分であって、前記第2の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、前記第2の空洞は、
基部部分と、
近位部と遠位部とを有する第1及び第2の離間部分と、を含み、前記側部は前記基部部分から延出し、かつ前記遠位部で終端する、第2の部分と、
第1及び第2の末端部と中間部とを有する溝であって、前記溝は前記第2の部分の全幅にわたって延び、前記溝の前記第1及び第2の末端部は、それぞれ前記第1及び第2の離間部分の前記遠位部を横切り前記遠位部と一致し、前記溝は約10:1以上のアスペクト比を有する、溝と、
を含む、金型。
(2) 前記溝が、約10:1〜100:1のアスペクト比を有する、実施態様1に記載の金型。
(3) 前記溝が、約25:1〜約75:1のアスペクト比を有する、実施態様1に記載の金型。
(4) 前記第1及び第2の離間部分の前記遠位部と一致する前記溝の前記第1及び第2の末端部のそれぞれに近接して配置される放熱板を更に含む、実施態様1に記載の金型。
(5) 前記溝が、約25:1〜約75:1のアスペクト比を有する、実施態様4に記載の金型。
(6) 前記放熱板が、前記第1の部分内に配置される、実施態様4に記載の金型。
(7) 前記放熱板が、前記第2の部分内に配置される、実施態様4に記載の金型。
(8) 前記溝の前記末端部が、約0.005cm(約0.002インチ)の深さを有する、実施態様1に記載の金型。
(9) 前記溝の前記末端部が、約0.25cm(約0.100インチ)の幅を有する、実施態様1に記載の金型。
(10) 前記溝の前記中間部の幅が、前記溝の前記第1及び第2の末端部の幅よりも大きい、実施態様1に記載の金型。
【0079】
(11) 前記第1の空洞の前記基部部分が略水平であり、第1の末端部と第2の末端部とを含み、
前記第1の空洞の前記第1及び第2の離間部分が実質的に側方であり、前記第1の空洞の前記基部部分に対して略直角であり、かつ前記第1の空洞の前記基部部分の前記第1及び第2の末端部からそれぞれが延出し、
前記第2の空洞の前記基部部分が略水平であり、第1の末端部と第2の末端部とを含み、
前記第2の空洞の前記第1及び第2の離間部分が実質的に側方であり、前記第2の空洞の前記基部部分に対して略直角であり、かつ前記第2の空洞の前記基部部分の前記第1及び第2の末端部からそれぞれが延出する、実施態様1に記載の金型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワックス組成物が塗布されたある長さのデンタルフロスを含む一回使用フロスホルダーを形成するための金型であって、
中に配置される第1の空洞を含む第1の部分であって、前記第1の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、前記第1の空洞は、
基部部分と、
近位部と遠位部とを有する第1及び第2の離間部分と、を含み、前記側部は前記基部部分から延出する、第1の部分と、
中に配置される第2の空洞を含む第2の部分であって、前記第2の空洞は底部基部面と周縁側壁とによって画定され、前記第2の空洞は、
基部部分と、
近位部と遠位部とを有する第1及び第2の離間部分と、を含み、前記側部は前記基部部分から延出し、かつ前記遠位部で終端する、第2の部分と、
第1及び第2の末端部と中間部とを有する溝であって、前記溝は前記第2の部分の全幅にわたって延び、前記溝の前記第1及び第2の末端部は、それぞれ前記第1及び第2の離間部分の前記遠位部を横切り前記遠位部と一致し、前記溝は約10:1以上のアスペクト比を有する、溝と、
を含む、金型。
【請求項2】
前記溝が、約10:1〜100:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記溝が、約25:1〜約75:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載の金型。
【請求項4】
前記第1及び第2の離間部分の前記遠位部と一致する前記溝の前記第1及び第2の末端部のそれぞれに近接して配置される放熱板を更に含む、請求項1に記載の金型。
【請求項5】
前記溝が、約25:1〜約75:1のアスペクト比を有する、請求項4に記載の金型。
【請求項6】
前記放熱板が、前記第1の部分内に配置される、請求項4に記載の金型。
【請求項7】
前記放熱板が、前記第2の部分内に配置される、請求項4に記載の金型。
【請求項8】
前記溝の前記末端部が、約0.005cm(約0.002インチ)の深さを有する、請求項1に記載の金型。
【請求項9】
前記溝の前記末端部が、約0.25cm(約0.100インチ)の幅を有する、請求項1に記載の金型。
【請求項10】
前記溝の前記中間部の幅が、前記溝の前記第1及び第2の末端部の幅よりも大きい、請求項1に記載の金型。
【請求項11】
前記第1の空洞の前記基部部分が略水平であり、第1の末端部と第2の末端部とを含み、
前記第1の空洞の前記第1及び第2の離間部分が実質的に側方であり、前記第1の空洞の前記基部部分に対して略直角であり、かつ前記第1の空洞の前記基部部分の前記第1及び第2の末端部からそれぞれが延出し、
前記第2の空洞の前記基部部分が略水平であり、第1の末端部と第2の末端部とを含み、
前記第2の空洞の前記第1及び第2の離間部分が実質的に側方であり、前記第2の空洞の前記基部部分に対して略直角であり、かつ前記第2の空洞の前記基部部分の前記第1及び第2の末端部からそれぞれが延出する、請求項1に記載の金型。

【図1】
image rotate

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate


【公開番号】特開2011−245310(P2011−245310A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−118774(P2011−118774)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(506105814)マクニール−ピーピーシー・インコーポレーテツド (69)
【Fターム(参考)】