説明

一塩基多型(SNP)および免疫寛容の誘導に対する耐性との関連

本出願は、集団内の一定の核酸配列の存在または非存在とその同じ集団における免疫寛容を生じさせる能力とを関連づけるための方法、システムおよびキットを開示する。静脈内投与または舌下投与される可溶性抗原を含めて、抗原の単回または反復投与により寛容を誘導することができる。本出願は、バリアントを検出するための方法も開示する。加えて、本出願は、療法における非ステロイド系抗炎症薬の使用または回避を扱う。本発明はまた、集団内の一定の核酸配列の存在または非存在とその同じ集団における免疫寛容を生じさせる能力とを関連づけることに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫系および療法の分野に存する。詳細には、本発明は、ヒトゲノムにおける特異的核酸配列、ならびに疾患および病状ならびに免疫寛容誘導とそれらの関連性に関する。正常個体を基準にした患者集団における対立遺伝子頻度の差に基づいて、本明細書に開示する自然に発生する核酸配列を、診断試薬の設計および治療薬の開発のためのならびに疾患関連性および連鎖情報のためのターゲットとして用いることができる。詳細には、本発明の核酸配列は、疾患または病状の発現のリスクが増加または低減している個体(例えば、患者)を同定するために、ならびに疾患または病状の早期検出のために、疾患または病状の予防および/または治療のための臨床的に重要な情報を提供するために、ならびに治療薬をスクリーニングおよび選択するために有用である。さらに、1つまたは複数の核酸配列の存在または非存在を利用して、免疫寛容を誘導するための所定の抗原のタイプおよび用量を決定することができる。特定の核酸配列を有するまたは有さない患者に、患者において免疫寛容を誘導することができる抗原である1つまたは複数の抗原を投与することができる。本明細書に開示する核酸配列は、人物同定用途にも有用である。これらの多型およびそれらをコードする産物の存在を検出するための方法、アッセイ、キットおよび試薬も提供する。加えて、本発明は、療法における非ステロイド系抗炎症薬の使用または非存在を扱う。
【背景技術】
【0002】
すべての生物のゲノムは、それらの継続進化の過程で自然変異を受けて、前駆遺伝子配列のバリアント形態を生じさせる。バリアント形態は、先祖形態に比べて進化的利益をもたらすことがあり、または進化的不利益をもたらすことがあり、または中間的であることがある。場合により、バリアント形態は、進化的利益を種にもたらし、最終的には種の多くのまたは大部分の構成員のDNAに組み込まれ、有効に先祖形態になる。加えて、バリアント形態の効果は、環境に依存して、有益であることもあり、有害であることもある。例えば、ヘテロ接合鎌状赤血球変異は、マラリアに対して耐性であるが、ホモ接合鎌状赤血球変異は、通常は致死性である。多くの場合、先祖形態とバリアント形態の両方が生き残り、種集団の中で共存する。遺伝子配列の多数の形の共存が、一塩基多型、別様には「SNP」としての公知、をはじめとする遺伝子多型を生じさせる。SNPは、明白な機能を有さないゲノムの領域において発生する場合もあるが、SNPは、ゲノム内のバリアント配列に遺伝連鎖される場合がある。従って、SNPは、その遺伝連鎖がどれだけ近いかに依存して、ゲノムのバリアント配列と密接に相関し得る。
【0003】
ヒトゲノムにおけるすべての多型のおおよそ90%がSNPである。SNPは、集団内の異なる対立遺伝子、または代替ヌクレオチド、が存在するDNAの中の単一塩基位置である。SNP位置(本明細書では、同義でSNP、SNP部位、またはSNP遺伝子座と呼ぶ)は、通常、対立遺伝子の高保存配列(例えば、集団の1/100または1/1000未満の構成員でしか異ならない配列)の前および後にある。個体は、それぞれのSNP位置における対立遺伝子について、ホモ接合体であることがあり、またはヘテロ接合体であることがある。
【0004】
医薬での治療に対する患者の応答が、多くの場合、不均一であることが多いことは、臨床試験によって証明されている。患者の応答は、改変された受容体、酵素、または細胞生理の何らかの変化を生じさせる結果となる彼らの遺伝子構成に起因すると考える者もいる。例えば、遺伝子構成の差が、結果として集団内の他の者とは異なる応答を生じさせる。従って、研究者は、薬品開発および選択プロセスを助長するために患者の核酸配列を医薬研究に用いることができる期待を口にしてきた。現在のところ、製薬における患者の核酸配列の使用は、免疫寛容には適用されていないと本発明者らは考えている。
【0005】
免疫または免疫学的寛容は、免疫系が、他の状況では免疫原性の抗原に対して免疫応答を開始しない、またはその免疫応答を抑制方向に向け直させるプロセスである。獲得または誘導寛容は、他の環境では細胞媒介または液性免疫を誘導する可能性が高い所定の抗原に対するリンパ組織の特異的非反応性を特徴とする、外部抗原に対する免疫系の順応を指す。最も重要な自然な種類の獲得寛容の一つは、胎児および胎盤が母体免疫系によって許容されなければならない、妊娠中に発生する。真獣類胎児胚性防御系の使用をはじめとする非常に多数の寛容誘導モデルが存在し、寛容の誘導には調節T細胞の関与が主として必要とされる。
【0006】
免疫寛容の1つの具体的なタイプ、経口寛容、は、食物タンパク質に対するおよび粘膜フローラに存在する細菌抗原に対する超過敏反応を防止するためにおそらく発生する、経口経路による抗原の以前の投与による抗原に対する細胞および/または液性免疫反応の特異的抑制である。それは、外部抗原によって誘導される継続的な自然免疫事象であるので、非常に免疫学的に重要なものである。内部環境へのそれらの特権的到達のため、粘膜に絶えず接触している抗原は、外来成分と自己成分との境界を表す。経口寛容は、危険シグナルを伴わずに自然経路によって身体に入る外部物質を処理するために発生したものであり、後にこれは自己の一部になる。経口寛容の不全は、免疫性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)をはじめとする、免疫に基づく幾つかの疾患の発現および病理に起因する。本発明において考えられる他の一般的な寛容誘導形態としては、internaselおよびIV寛容誘導が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
今日、ゲノムおよびSNPに向けての大量の研究にもかかわらず、ゲノミクスは、我々の医療管理を洗練するために今は未だ用いられていない。従って、遺伝した感受性、遺伝子発現、および予測される薬理ゲノム応答を見つけるために個体のゲノムを検査する、信頼できる大規模アッセイ、キットおよび方法は殆どない。より具体的には、免疫寛容の分野においてゲノミクスは用いられていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ゲノミクスと免疫寛容を併合する方法、試薬、キットおよびアッセイの提供が、本発明者らの功績である。従って、本発明者らは、核酸配列を検出することができ、および核酸配列の存在および/または非存在に基づいて、免疫寛容の誘導を望む患者に合わせてケア方法を作ることができる。一つの特定の実施形態において、興味のある核酸配列は、SNPである。
【0009】
本発明は、集団内の一定の核酸配列の存在または非存在とその同じ集団における免疫寛容を生じさせる能力とを関連づけることに関する。この相関関係は、免疫寛容の誘導を助長するために用いることができる。一部の実施形態において、本発明は、超大用量の抗原の反復投与、または免疫応答の刺激に必要な閾値より下である小用量の反復投与によって誘導される寛容に関する。一部の実施形態において、寛容は、静脈内投与または舌下投与される可溶性抗原によって、最も容易に誘導される。さらに、免疫抑制も寛容の誘導を助長すると考えられる。特定の疾患または障害に関連した一定の核酸配列の存在または非存在の相関関係に基づいて、本発明は、バリアントの検出方法も提供する。一つの特定の実施形態において、興味のある核酸は、SNPである。本発明の追加の実施形態において、療法における非ステロイド系抗炎症薬の使用または回避を扱う。
【0010】
本発明は、免疫寛容の発現に対する感受性についてスクリーニングするための方法を含み、この方法は、少なくとも1つのSNPについてのスクリーニングを含む。前記スクリーニング方法は、FISH、DNAアレイの使用、および/またはポリヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションを含む場合がある。
【0011】
本発明は、免疫寛容の発現に対する感受性についてスクリーニングするための方法を含み、この方法は、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的増幅、塩基配列決定、5’ヌクレアーゼ消化、分子ビーコンアッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、サイズ分析、および/または一本鎖高次構造多型の使用を含む。
【0012】
本発明は、免疫寛容の発現に対する感受性についてスクリーニングするための方法を含み、この方法は、少なくとも1つのSNPの存在または非存在と宿主への1つまたは複数の抗原または治療薬の投与の結果として免疫寛容を発現する宿主の能力とを関連づける工程を含む。前記抗原は、I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIII、XXIV、XXV、XXVI、XXVIIおよびXXVIIIから成る群の型より選択されるコラーゲンをはじめとする、コラーゲンを含む。
【0013】
本発明は、免疫寛容の発現に対する感受性についてスクリーニングするための方法を含み、この方法は、核酸を含む前記宿主からのサンプルを得る工程;前記サンプルから核酸を単離する工程;少なくとも1つのSNPの存在または非存在について前記サンプルをアッセイする工程を含み、この場合、少なくとも1つのSNPの存在または非存在が、免疫寛容の発現に対する感受性の増大の指標となる。前記サンプルは、全血、血漿、尿、涙、精液、唾液、頬粘膜、間質液、リンパ液、髄膜液、羊水、腺液、痰、糞便、汗、粘液、膣分泌物、脳脊髄液、毛髪、皮膚、排泄物、創傷滲出物、創傷ホモジネート、および創傷液であり得る。さらに、前記方法は、宿主への少なくとも1つの抗原の投与による免疫寛容の誘導を含む工程があり、この場合の抗原は、コラーゲンの1種であり得る。
【0014】
前記免疫寛容は、任意の自己免疫疾患、例えば、全身性硬化症のような硬化性疾患に対するものであり得る。
【0015】
本発明は、免疫寛容の発現に対する感受性についてスクリーニングするための方法を含み、この方法は、少なくとも1つのコンピュータシステムと共に使用するための1つまたは複数のコンピュータプログラムの使用を含み、この場合のコンピュータプログラムは、前記少なくとも1つのSNPの存在または非存在の識別を支援するための少なくとも1つの指示;前記少なくとも1つのSNPの存在または非存在と少なくとも1つの疾病状態とを関係づけるための少なくとも1つの指示;および前記少なくとも1つのSNPの存在または非存在と、宿主の免疫寛容の発現に対する感受性を示す評点とを関連づけるための少なくとも1つの指示をはじめとする、複数の指示を含む。前記コンピュータは、多数の支持の結果を含むレポートを生成することもでき、この場合、前記レポートを、ネットワーク、オン・ライン・ポータルを通して、紙またはe−メールによって、安全保護様式または非安全保護様式で送信することができる。
【0016】
本発明は、少なくとも1つの治療薬を投与する方法を含み、この方法は、宿主の核酸における1つまたは複数のSNPの遺伝子型を判定する工程、前記1つまたは複数のSNPと1つまたは複数の疾患または障害とを関連づける工程、数学アルゴリズムを用いて、前記宿主が、少なくとも1つの治療薬の投与に対して陽性にまたは陰性に応答する確率を決定する工程、および前記数学アルゴリズムの結果に基づいて宿主に治療薬を投与するまたは投与しない工程を含む。
【0017】
本発明は、1つまたは複数の抗原を評価する臨床試験を行うための方法を含み、この方法は、1つまたは複数の疾患または障害に関連する1つまたは複数のSNPの遺伝子型を判定する工程;遺伝子型判定結果を分析する工程;前記遺伝子型判定結果に基づいて行動方針を決定する工程を含み、この場合、前記行動方針は、個体を、該個体が前記1つまたは複数の抗原に応答する可能性が高いことを示した前記遺伝子型判定の結果に基づいて、臨床試験に組み入れる工程、および/または個体を、該個体が前記1つまたは複数の抗原に応答する可能性が低いことを示した前記遺伝子型判定結果に基づいて、臨床試験への参加から除外する工程を含む。
【0018】
本発明は、自己免疫疾患を発現するリスクの改変を有する個体を同定するための方法を含み、この方法は、前記個体の核酸中の配列番号:1の一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)を検出する工程を含み、この場合、前記SNPの存在は、自己免疫疾患についてのリスクの改変と関連する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、1つまたは複数の核酸が免疫寛容の誘導と関連するかどうかを判定するプロセスを説明する、本発明の一部の実施形態によるフローチャートを示す図である。
【図2】図2は、1つまたは複数の核酸の存在または非存在によって個体の治療レジメント(regiment)を決定するプロセスを説明する、本発明の一部の実施形態によるフローチャートを示す図である。
【図3】図3は、1つまたは複数の核酸の存在または非存在によって個体の治療レジメントを決定するプロセスを説明する、本発明の一部の実施形態によるフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、1つまたは複数の核酸の存在または非存在によって個体の治療レジメントを決定するプロセスを説明する、本発明の一部の実施形態によるフローチャートを示す図である。
【図5】図5は、1つまたは複数のポリペプチドの存在または非存在によって個体の治療レジメントを決定するプロセスを説明する、本発明の一部の実施形態によるフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、マウスにゾンデ栄養法によって与えたコラーゲンIIの量と関連する関節炎罹患関節のパーセントを示すチャートである。
【図7】図7は、ピロキシカムによる経口寛容の一定の形態に対する廃止を示すチャートである。
【図8】図8は、α1(II)刺激脾臓細胞によるIFN−γ生産を示すチャートである。
【図9】図9は、COX−2阻害剤SC’236が経口寛容誘導を廃止することを示すチャートである。
【図10】図10は、ピロキシカムによる経口寛容の持続的廃止を示すチャートである。
【図11】図11は、パイエル板脾臓共培養に対するピロキシカムまたはCIIの効果を示すチャートである。
【図12】図12は、腸間膜リンパ節細胞増殖に対するピロキシカムまたはCIIの効果を示すチャートである。
【図13】図13は、関節リウマチ患者の経口コラーゲンII治療の効果、およびそれがPBMCによるPBMC IFN生産をどの程度調節するかを示すチャートである。
【図14】図14は、関節リウマチを有する人の遺伝子型および免疫寛容を誘導する彼らの能力のチャートである。
【図15】図15は、マーカーおよび遺伝子が、興味のある、可能性のあるSNPを含有することを示すチャートである。
【図16】図16は、プラセボ患者に対して12ヶ月の時点でのMRSSの有意な低下を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
以下の論述の中で、一定の物品および方法を背景技術および序論のために説明する。本明細書に含めるものを先行技術の「承認」と解釈すべきではない。本出願人は、準拠する法律条項のもと、本明細書において言及する物品および方法が先行技術を構成しないことを、適宜、論証する権利を明白に有する。本発明の説明を補助するために、以下の定義を提供する。
【0021】
用語「核酸」は、一本鎖形態または二本鎖形態のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを指す。1本の鎖の上の特定の部位への言及が、相補鎖上の対応する部位も指すことは、当業者には容易に理解されるであろう。特に限定しない限り、この用語は、参照核酸と類似した結合特性を有する、および自然に発生するヌクレオチドに類似した様式で代謝される、天然ヌクレオチドの公知類似体を含有する核酸を包含する。別に指示しない限り、特定核酸配列は、明確に示す配列ばかりでなく、その保存修飾バリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オーソログ、SNPおよび相補配列も暗黙のうちに包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンの第三の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を生じさせることによって達成することができる。用語核酸は、遺伝子によってコードされた「核酸配列」、「遺伝子」、「cDNA」および「mRNA」と同義で用いる。
【0022】
用語「アミノ酸」は、自然に発生するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに自然に発生するアミノ酸に類似した様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸ミメティックを指す。自然に発生するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされたもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、α−カルボキシグルタミン酸塩、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、自然に発生するアミノ酸と同じ基礎化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合しているα炭素、を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)または修飾ペプチド主鎖を有するが、自然に発生するアミノ酸と同じ基礎化学構造を保持する。「アミノ酸ミメティック」は、アミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するが、自然に発生するアミノ酸に類似した様式で機能する化合物を指す。本明細書では、アミノ酸を、一般に知られている三文字記号によって紹介する場合があり、またはIUPAC−IUB生化学物質命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨されている1文字記号によって紹介する場合がある。同様に、ヌクレオチドを、それらの一般に認められている1文字コードによって紹介する場合がある。
【0023】
本明細書において用いる場合の用語「遺伝子型」は、例えば、複相生物が、興味のある1つまたは複数の変異対立遺伝子についてヘテロ接合であるか、ホモ接合であるかを含めて、生物の遺伝子組成を広く指す。
【0024】
本明細書において用いる場合、「SNP」および「SNP遺伝子型」への言及は、個々のSNPおよび/またはハプロタイプ(これは、一般に一緒に遺伝されるSNP群である)を含む。ハプロタイプは、個々のSNPと比較して、疾患または他の表現型効果とより強い相関関係を有し、従って、場合によっては診断精度向上をもたらすことがある。
【0025】
本発明のSNPは、多型部位における1つまたは複数のヌクレオチドでの別のものの置換から生ずる場合がある。置換は、転位である場合もあり、または転換である場合もある。転位は、1つのプリンヌクレオチドの別のプリンヌクレオチドによる、または1つのピリミジンの別のピリミジンによる置き換わりである。転換は、プリンのピリミジンによる、またはピリミジンのプリンによる置き換わりである。SNPは、単一塩基挿入である場合もあり、または欠失バリアントである場合もある。
【0026】
本発明のSNPは、遺伝子コードの縮重に起因してアミノ酸変化をもたらす結果とならないものである、同義コドン変化、またはサイレント変異/SNP(「SNP」、「多型」、「変異」、「変異体」、「変異」、および「バリアント」などの用語を本明細書では同義で用いる)から生ずる場合がある。あるアミノ酸をコードするコドンを異なるアミノ酸をコードするコドンに変える置換(すなわち、非同義コドン変化)は、ミスセンス変異と呼ばれる。ナンセンス変異は、停止コドンを形成し、それによってポリペプチド鎖およびトランケート型タンパク質の時期尚早の停止をもたらすタイプの非同義コドン変化を生じさせる結果となる。読み過ごし変異は、停止コドンの破壊を生じさせ、それによって伸長ポリペプチド産物を生じさせる結果となる、もう1つのタイプの非同義コドン変化である。SNPは、二、三、または四対立遺伝子性のものを含む、すべての対立遺伝子性のものを含み得る。
【0027】
SNP位置、SNP対立遺伝子、またはヌクレオチド配列を定義する際、核酸分子の1本の鎖の上の特定部位におけるアデニン、チミン(ウリジン)、シトシンまたはグアニンへの言及は、その核酸分子の相補鎖上の対応する部位における(それぞれ)チミン(ウリジン)、アデニン、グアニン、またはシトシンも規定する。従って、特定のSNP位置、SNP対立遺伝子、またはヌクレオチド配列を指すために、いずれか一方の鎖に言及する場合がある。プローブおよびプライマーをいずれの鎖にハイブリダイズするようにも設計することができ、ならびに本明細書に開示するSNP遺伝子型判定法は、一般に、いずれの鎖もターゲットにすることができる。
【0028】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書では同義で用いる。これらの用語は、自然に発生するアミノ酸ポリマーおよび自然に発生しないアミノ酸ポリマーにばかりでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する自然に発生するアミノ酸の人工的化学的ミメティックであるアミノ酸ポリマーにもあてはまる。本明細書において用いる場合、これらの用語は、アミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結されている、完全長タンパク質(すなわち抗原)を含めて、任意の長さのアミノ酸鎖を包含する。本発明の「ポリペプチド」、「ペプチド」または「タンパク質」への言及は、当該技術分野において公知のペプチド/ポリペプチド/タンパク質(このタンパク質を、同義で、「野生型」、「参照」または「正常」タンパク質と呼ぶことがある)の対応するアミノ酸配列とは異なるアミノ酸残基を少なくとも1つ含有する、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、またはそれらのフラグメントを含む。そのような変異ペプチド/ポリペプチド/タンパク質は、本発明が開示するタンパク質コード位置での非同義ヌクレオチド置換(すなわち、ミスセンス変異)によって引き起こされるコドン変化の結果として生ずることがある。本発明の変異ペプチド/ポリペプチド/タンパク質は、ナンセンス変異、すなわち、早期停止コドンを生じさせるSNP、停止コドンの完全破壊によって読み過ごし変異を生じさせるSNPから生ずる場合もあり、またはタンパク質の構造、機能/活性、もしくは発現を別様に改変する本発明が開示する任意のSNP、例えば、調節領域におけるSNP(例えば、プロモーターもしくはエンハンサー)、または選択的もしくは不完全スプライシングをもたらすSNP、例えば、イントロンにおけるSNPもしくはエキソン/イントロン境界におけるSNPのために生ずる場合もある。本明細書において用いる場合、用語「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」は、同義で用いる。
【0029】
すべての実施形態について、用語「個体」および「宿主」は、同義で用いており、ヒトに限定されない。本発明の態様によると、「個体」は、霊長類などの哺乳動物を含む、ならびにヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジおよびサルを含む、任意の脊椎動物であり得る。従って、開示する本発明は、例えば、動物の水、動物の餌、動物用製剤およびこれらに類するものによって動物の治療に適用可能であり得る。本発明の態様によると、個体は、健常である場合もあり、または疾患に罹患している場合もある。しかし、一般に、本発明の方法は、自己免疫疾患、または病原性微生物および個体内の一定の核酸配列のタイプによって引き起こされる疾患に罹患しているヒトに適用する場合、有効に用いることができる。
【0030】
用語「改変された」は、増加されたまたは減少されたリスク/尤度をいずれも包含するように本明細書では用いることができる。
【0031】
本明細書において用いる用語「特定の疾患」、「疾患」または「障害」は、自己抗体疾患、ならびに例えばウイルス、細菌、酵母またはマイコプラズマなどの病原性微生物に関連した疾患、ならびに腫瘍学的疾患を包含する。しかし、疾患は、特に限定されない。
【0032】
本明細書において用いる用語「従事者」または「医療従事者」は、医療業界、バイオテクノロジー業界または製薬業界をはじめとする、医薬または関連医療分野に専門職として従事している任意の人を含む。
【0033】
発明の詳細な説明
本発明は、個体が、免疫寛容を発現する可能性が高いかどうかを判定する方法を提供し、これらの方法は、その個体における遺伝子配列ばかりでなく核酸配列の改変された発現(より高いもしくはより低い発現のいずれも)または独特な発現を、それらが発現されてないまたは一過的にしか発現されない場合でさえ、検出することによる。従って、一部の実施形態は、免疫寛容を発現する能力を有する個体が、免疫寛容を発現する能力を有さない個体からの既知および未知核酸配列の特異なまたは独特な発現を有するかどうかを判定する方法を提供する。一部の実施形態において、前記核酸配列は、SNPである。
【0034】
本発明は、核酸配列、核酸配列を検出するための方法および試薬、免疫寛容を誘導する前に使用するためのキットまたはアッセイにおける核酸配列の使用も提供する。
【0035】
本発明は、免疫寛容を有するもしくは発現するリスク増加または免疫寛容を有するもしくは発現するリスク低下のいずれかに関係づけられる核酸配列の使用を考えている。一定の核酸配列(またはそれらのmRNAもしくはタンパク質コード産物)の存在をアッセイして、個体が、免疫寛容を有するもしくは発現するリスク増加または免疫寛容を有するもしくは発現するリスク低下を示す核酸配列を有するかどうかを判定することができる。
【0036】
類似して、特定の治療もしくは抗原に応答する尤度増加もしくは低下、または特定の治療もしくは抗原に対して免疫寛容を発現する尤度増加もしくは低下のいずれかに本発明の核酸配列を関連づけることができる。
【0037】
一部の実施形態において、前記核酸配列は、SNPである。PCR、RFLP、ハイブリダイゼーションおよびダイレクト塩基配列決定をはじめとする、当業者に周知である多数の異なる方法で、そのような核酸変異をアッセイすることができる。
【0038】
免疫寛容になりやすい個体における核酸の存在/非存在の判定
一つの実施形態は、図1に示すような、少なくとも1つの核酸配列についてスクリーニングすることを含む、免疫寛容を発現しやすい個体に存在するまたは非存在である核酸配列を判定する方法である。この方法では、医療従事者が、先ず、経口抗原を患者に投与して免疫寛容を誘導する(101)。
【0039】
本発明での使用に適する抗原としては、合成または天然由来のタンパク質およびペプチド、ならびに特に、経口寛容を誘導するために高い用量を自ら必要とするもの;多糖類およびリポ多糖類を含む(しかし、これらに限定されない)炭水化物;ならびに例えば自己免疫疾患、臨床的(アレルギー性)過敏症および同種移植拒絶に関連したものまたはそれらの誘導の原因となるものなどの、生物源から単離された抗原およびそれらのサブユニットまたは抽出物;またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0040】
さらに、前記抗原は、自己免疫疾患、臨床的(アレルギー性)過敏症および同種移植拒絶の誘導と関係づけられるまたは誘導の原因となる任意のもの、およびそれらのサブユニットもしくは抽出物;または組換え生産全タンパク質、それらのサブユニットもしくはフラグメント;またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0041】
前記関連疾患を治療するために投与される抗原としては、表1の抗原のすべてを挙げることができるが、これらに限定されない。表1に列挙する関連疾患または障害は、例であるつもりであり、いかなる点においても包括的なものでない。一つの特定の実施形態において、少なくとも1つの抗原は、I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIII、XXIV、XXV、XXVI、XXVIIおよびXXVIIIから成る群より選択されるコラーゲン、およびそれらの混合物である。前記コラーゲンは、そのフラグメントである場合もある。例えば、前記コラーゲンは、8つのCBフラグメント:CB0、CB1、CB2、CB4、CB5、CB8、CB3、CB7およびCB6を生じさせる、α1(I)のCNBr切断によって生成される1つまたは複数のフラグメントである場合がある。前記コラーゲンは、6つのCBフラグメント:CB1、CB0、CB4、CB2、CB3およびCB5を生じさせる、α2(I)のcCNBr切断によって生成される1つまたは複数のフラグメントである場合がある。
【0042】
さらに一つの実施形態において、前記疾患は、硬化性疾患である。もう一つの実施形態において、前記疾患は、多発性硬化症である。
【0043】
表1は、本発明の多数の実施形態を示すものである。例えば、一つの実施形態において、コラーゲンは、疾患特発性肺線維症に対する免疫寛容を誘導するために使用した抗原である。もう一つの実施形態において、α−エノラーゼは、疾患喘息に対する免疫寛容を誘導するために使用した抗原である。
【0044】
さらに、個々の用量サイズ、用量の数、用量投薬頻度、および投与方式は、様々であり得る。当業者は、そのようなプロトコルの決定を果たすことができる。適する単回用量は、適する期間に1回以上の回数(例えば、数週間のあいだに数分から数日)投与したとき、動物における生体応答を改変することができる用量である。好ましくは、用量は、体重のキログラムあたり抗原約1ng(ng/kg)から、体重のキログラムあたり抗原約1グラム(gm/kg)、さらに好ましくは、100ng/kgから約100ミリグラム/キログラム(mg/kg)、およびさらにいっそう好ましくは、体重キログラムあたり抗原約10マイクログラム(μg/kg)から約10mg/kgを含む。
【0045】
あるいは、患者の体重に基づいて抗原の用量を決定しない場合がある。この実施形態において、用量は、抗原少なくとも1ng/1日である場合がある。好ましくは、前記用量は、抗原10μg/日から5000μg/日にわたる。もう一つの実施形態において、前記用量は、抗原10μg/日から500μg/日にわたる。もう一つの実施形態において、前記用量は、抗原30μg/日から200μg/日にわたる。
【0046】
一つの代替実施形態において、抗原の用量は、免疫応答の刺激に必要とされる閾値より低い。もう一つの実施形態において、抗原の用量は、前記閾値より高く、その結果、免疫応答を刺激する。
【0047】
投与方式としては、エーロゾル投与経路、皮下経路、直腸内経路、皮内経路、静脈内経路、鼻経路、経口経路、経皮経路および筋肉内経路を挙げることができるが、これらに限定されない。一つの好ましい実施形態では、抗原を経口投与する。もう一つの好ましい実施形態では、抗原を静脈内または舌下投与する。
【0048】
さらに、個体に投与する前に、抗原を他の成分、例えば、医薬的に許容される賦形剤および/または担体と併せることができる。他の成分は、投与方式、保管の必要、およびこれらに類するものに依存するであろう。
【0049】
そのような賦形剤の例としては、水、食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、ハンクス溶液、および他の生理的平衡塩類水溶液が挙げられる。非水性ビヒクル、例えば、固定油、ゴマ油、オレイン酸エチル、またはトリグリセリドを使用してもよい。他の有用な調合物としては、増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストラン、を含有する懸濁液が挙げられる。賦形剤は、少量の添加剤、例えば、等張性および化学的安定性を向上させる物質も含有することがある。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液およびTris緩衝液が挙げられるが、これらに限定されず、一方、保存薬の例としては、チメロサール、m−またはo−クレゾール、ホルマリン、およびベンジルアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
標準的な調合物は、注射液である場合もあり、または注射用の懸濁液もしくは溶液などの適する液体に溶かすことができる固体である場合もある。一般に、担体は、治療する個体において抗原の半減期を増加させる化合物である。適する担体としては、高分子制御放出ビヒクル、生体分解性インプラント、リポソーム、細菌、ウイルス、油、エステル、およびグリコールが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい制御放出調合物は、本発明の抗原を個体にゆっくりと放出することができる。適する制御放出ビヒクルとしては、生体適合性ポリマー、他のポリマーマトリックス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子、ボーラス製剤、浸透圧ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスフェア、および経皮送達システムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の他の制御放出ビヒクルとしては、個体に投与するとインサイチューで固体またはゲルを形成する液体が挙げられる。好ましい制御放出ビヒクルは、生体分解性(すなわち、生体浸食性)である。
【0051】
「サンプル」とも呼ぶ、生体サンプルを、固体の免疫応答の判定に使用するために固体から採取する(102)。そのようなサンプル調製成分は、任意の体液(例えば、血液、血清、血漿、尿、唾液、痰、胃液、精液、涙、汗など)、皮膚、毛髪、細胞(特に、有核細胞)、生検材料、口内スワブまたは組織標本から核酸抽出物(DNAおよび/もしくはRNAを含む)、タンパク質または膜抽出物を作製するために使用することができる。サンプルを採取する頻度、およびその使用は、採点法、アッセイ形式、検出法の性質、およびアッセイする試験サンプルとして使用する具体的な組織、細胞または抽出物などの要因に基づいて変わるであろう。生体サンプルから核酸、タンパク質、細胞抽出物を調製する方法は、当該技術分野において周知であり、利用するシステムに適合性であるサンプルが得られるように変えることが容易にできる。
【0052】
前記生体サンプルから、抗原に応答する個体免疫系を決定し、それらの応答に基づいて個体を採点する(103)。採点方法は、従事者に依存し、および抗原に対するそれらの免疫応答に基づいて患者を分ける任意の方法を含む。例えば、抗原特異的アッセイに基づいて患者を採点してもよいし、抗原非特異的アッセイに基づいて患者を採点してもよい。抗原特異的アッセイは、特定の抗原に対するTおよびB細胞の応答を測定し、これに対して抗原非特異的アッセイは、特定の臨床状態と関係づけられるパターンについて表面マーカーの表現型または細胞の機能状態を判定する。
【0053】
具体的には、従事者は、酵素標識免疫定量法(enzyme−linked immunoabsorbent assay:ELISA)、ELISA/ACT(登録商標)リンパ球応答アッセイ(Lymphocyte Response Assay:LRA)、抗体生産のインビトロ測定、混合白血球反応、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、限界希釈アッセイ、質量分析法、免疫沈降法および免疫蛍光法の使用をはじめとするがそれらに限定されない、免疫系応答の判定に適便な任意の手段を用いることができる。
【0054】
例えば、一つの実施形態では、ELISPOTアッセイを用いて個体の免疫応答を判定する。一般に、ELISPOTアッセイは、興味のあるサイトカインに対する捕獲抗体をコーティングしたプレートにおける免疫細胞のインキュベーションを含む。その後、細胞膜によって放出されたサイトカインは、そのインキュベーション期間中に捕獲抗体によって捕獲される。細胞を除去し、例えば同じサイトカインの異なるエピトープに対する標識二次抗体などの標識系を使用して、結合したサイトカインを検出する。このアッセイにより、結果として単個細胞のサイトカインフットプリントが得られる。
【0055】
もう一つの実施形態では、トランスビボDTHアッセイを用いて、個体の免疫応答を判定する。このアッセイでは、個体からの細胞を、抗原と共に、免疫不全マウスの足蹠に注射する。その後、結果として生じた足蹠腫脹によってその抗原に対するT細胞の反応性指数を測定する。
【0056】
もう一つの実施形態では、四量体アッセイを用いる。この場合は、フローサイトメトリーを用いて、T細胞の頻度を特定のペプチド−MHC複合体へのそれらの結合によって測定する。
【0057】
代替実施形態でのCFSEアッセイは、分裂細胞におけるCFSE色素の希釈によって、T細胞の増殖を測定する。このアッセイは、フローサイトメトリーの使用を含む。
【0058】
さらにもう一つの実施形態では、T細胞の細胞内染色を用いて、例えばフローサイトメトリーにより、サイトカイン生産性T細胞の頻度を判定することができる。
【0059】
さらにもう一つの実施形態では、抗原の摂取前、中および/または後のIFN−γ生産のそれぞれのレベルおよび/または変化に基づいて、患者を採点する。あるいは、他のサイトカインを測定して、個体の評点を決定することができる。例えば、α1(I)およびα2(I)刺激PBMC培養上清中のIL−10ならびに/またはsIL−2Rのレベルを用いて患者を採点することができる。
【0060】
免疫系応答を判定するための他の手段としては、TCRレパートリーの特性付けが挙げられる。このアッセイは、Vβ遺伝子産物に沿ってCFR3長分布を決定するためにVβ鎖を使用するT細胞の比率(proporation)を決定するための定量的PCR、ゲル電気泳動およびDNA塩基配列決定の使用を含む場合がある。
【0061】
免疫系応答を判定するためのもう一つの手段は、ポリクローナル、非抗原特異的刺激に応答するT細胞を含む。この場合は、全血を、一定期間、フィトヘムアグルチニンで刺激し、その後、CD4+ T細胞を単離し、細胞溶解後に測定される細胞内ATPの合成および蓄積によって早期CD4+ T細胞活性化の程度を測定する。
【0062】
免疫系応答を判定する他の手段としては、核酸の存在の検出が挙げられるが、これに限定されない。PCR、LCRおよびハイブリダイゼーション技術を含めて、幾つかの核酸検出方法を利用することができる。ハイブリダイゼーション技術は、2つ以上の核酸分子のハイブリダイゼーションの検出を含み、この場合の検出は、核酸分子の標識付けおよびそのような標識から生ずるシグナルの観察を含む、様々な方法で達成される。ハイブリダイゼーション技術としては、次のうちのいずれかを挙げることができる:ノーザンおよびサザンブロッティング、サイクリングプローブ反応、分岐DNA、Invader(商標)アッセイ、ならびにハイブリッドキャプチャー。ハイブリダイゼーション技術は、公知核酸配列のマイクロアレイ(または「バイオアレイ」)を使用してサンプルをプローブすることによりサンプル中に存在する核酸の特定の配列を同定するために用いることもできる。バイオアレイ技術は、一般に、公知一本鎖核酸を使用するものであり、この場合、特定の既知位置にそれぞれに特有の短鎖を取り付け、その後、サンプル核酸を添加し、サンプル中に存在する配列をその固定された鎖にハイブリダイズさせる。その後、ハイブリダイゼーション前に検出すべきサンプルのフラグメントを標識すること、一般には末端標識、によって、このハイブリダイゼーションの検出を行う。さらに、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション技術の使用により、ハイブリダイゼーションを判定することができる。
【0063】
さらに、一つの実施形態では、プロテオミクスアプローチを用いる場合がある。この場合は、タンパク質マイクロアレイまたは質量分析を用いて、個体のサンプル中に存在するタンパク質フラグメントの存在および定量化を判定する。加えて、1つより多くのタンパク質を分析することにより、従事者は、個体におけるタンパク質発現の独特なパターンによって免疫応答を判定することができる。
【0064】
免疫系応答に基づいて患者を採点するために、従事者は、抗原の摂取前、中および/または後の免疫応答を測定して比較することができる。いつ免疫応答を測定するか、およびいかなる方法を用いるかの決定は、従事者の要求に基づく。さらに、従事者は、患者の免疫応答の採点を助長するために、個体の他の生理的要因、例えば、他のサイトカイン、T細胞の百分率、NK細胞、B細胞、樹状細胞、単球、亜集団、酸化ラジカル、結合組織成長因子、酸化窒素、撮像技術によって判定される胸腺の形態、患者の身長、栄養状態、体重、健康状態、免疫学的アッセイによって判定される胸腺の機能、食事、性、年齢、ビタミンAレベル、亜鉛レベル、および環境問題をさらに考慮することができると考えられる。患者のゲノム的背景、例えば、他の遺伝子またはゲノム領域における変異、人種および性の相違も考慮することができる。
【0065】
抗原応答に基づいて個体を採点すると、従事者は、個体の遺伝子型を分析して、個体が1つまたは複数の核酸配列を有するのか、欠くのか(それによって、遺伝子発現のレベルまたはパターンが改変される)を判定することができる(104)。その後、その遺伝子型を用いて、1つまたは複数の核酸の存在または非存在と段階(103)の免疫応答評点とを関連づける。
【0066】
従事者は、興味のある特定の公知核酸を検査して、または全ゲノムの一部もしくは全体を検査して、特異なまたは独特な核酸または核酸パターンの存在または非存在を捜し、1つまたは複数の核酸の存在/非存在と個体の免疫応答評点とを関連づけることができる。特に興味深い核酸としては、サンプル中のmRNAまたはタンパク質の濃度に影響を及ぼすことが知られているもの、核酸および/またはタンパク質発現の動態に影響を及ぼすことが知られている核酸、核酸および/またはタンパク質分解の速度に影響を及ぼす核酸、ならびにタンパク質安定性プロフィール、KmまたはVmaxに影響を及ぼす核酸が挙げられる。
【0067】
さらに、従事者は、段階(102)の生体サンプルの一部を使用して核酸について分析することができ、または従事者は、分析のためにその個体から別の生体サンプルを採取することができる。従事者にとって適便な任意の手段によってサンプルから核酸を精製または単離することができるが、一定の検出形態では、そのような単離が必要とされない場合がある。
【0068】
一つの好ましい実施形態において、従事者は、当該技術分野において周知の方法によって個体の遺伝子型を分析して、どの対立遺伝子(単数/複数)が興味のある任意の所定の遺伝子領域に存在するかを決定することとなる。隣接配列を使用して、オレゴヌクレオチドプローブなどの核酸検出試薬を設計することができ、場合によってはそれをキット形式で実現することができる。
【0069】
一般的な遺伝子型判定方法としては、TaqManアッセイ、分子ビーコンアッセイ、核酸アレイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的PCR、プライマー伸長整列(arrayed primer extension)、相同プライマー伸長アッセイ、質量分析法による検出を伴うプライマー伸長、パイロシーケンシング、遺伝子アレイで選別される多重プライマー伸長、ローリングサークル増幅でのライゲーション、相同性ライゲーション、OLA、遺伝子アレイで選別される多重ライゲーション反応、制限フラグメント長多型、一塩基伸長タグアッセイ、およびInvaderアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。そのような方法を、例えば発光または化学発光検出、蛍光検出、時間分解蛍光検出、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光偏光法、質量分析法、および電気的検出などの検出メカニズムと併用することができる。
【0070】
多型を検出するための様々な方法としては、開裂剤からの保護を用いてRNA/RNAまたはRNA/DNAにおけるミスマッチ塩基を検出する方法、変異核酸分子と野生型核酸節の電気泳動移動度の比較、および変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法を用いる変性剤の濃度勾配を有するポリアクリルアミドゲル中の多型または野生型フラグメントの移動についてのアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。RNアーゼおよびSI保護などのヌクレアーゼ保護アッセイまたは化学的開裂法により、特定の位置での配列変異も評価することができる。
【0071】
一つの実施形態では、5’ヌクレアーゼアッセイとしても公知であるTaqManアッセイを用いて、遺伝子型判定を行う。TaqManアッセイは、PCR中の特定の増幅産物の蓄積を検出するものである。TaqManアッセイは、蛍光レポーター色素およびクエンチャー色素で標識されたオレゴヌクレオチドプローブを利用する。レポーター色素は、適切な波長での照射によって励起され、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)と呼ばれるプロセスによって同じプローブ内のクエンチャー色素にエネルギーを移動させる。プローブに取り付けたとき、励起したレポーター色素はシグナルを出さない。無損傷プローブ内でのクエンチャー色素のレポーター色素への近接により、そのレポーターについての低減された蛍光が維持される。レポーター色素およびクエンチャー色素は、それぞれ、5’最末端および3’最末端に存在する場合もあり、または3’最末端および5’最末端に存在する場合もある。あるいは、レポーター色素は、5’もしくは3’最末端に存在してよいが、クエンチャー色素を内部ヌクレオチドに取り付け、またはクエンチャー色素は、5’もしくは3’最末端に存在してよいが、レポーター色素を内部ヌクレオチドに取り付ける。さらにもう一つの実施形態では、レポーターとクエンチャーの両方を、レポーターの蛍光が減少されるようなお互いの距離で、内部ヌクレオチドに取り付けることができる。
【0072】
PCR中に、DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がプローブを切断し、それによってレポーター色素およびクエンチャー色素が分離し、結果としてレポーターの蛍光増加が生ずる。レポーター色素の蛍光の増加をモニターすることによって、PCR産物の蓄積を直接検出する。DNAポリメラーゼは、PCR中に増幅されるターゲットSNP含有テンプレートにプローブがハイブリダイズした場合のみ、レポーター色素とクエンチャー色素の間でプローブを切断し、およびこのプローブは、特定のSNP対立遺伝子が存在する場合にのみターゲットSNP部位にハイブリダイズするように設計される。
【0073】
好ましいTaqManプライマーおよびプローブ配列は、本明細書に提供するSNPおよび関連核酸配列情報を用いて、容易に決定することができる。Primer Express(カリフォルニア州、フォスター・シティーのApplied Biosystems)などの多数のコンピュータプログラムを用いて、最適なプライマー/プローブセットを迅速に得ることができる。本発明の核酸を検出するためのそのようなプライマーおよびプローブが、狭窄および関連病状についての診断アッセイに有用であること、ならびにキット形式に容易に組み込むことができることは、当業者にはわかるであろう。本発明は、当該技術分野において周知のTaqmanアッセイの変形、例えば、分子ビーコンプローブおよび他の様々な形式の使用も含む。
【0074】
本発明の核酸のもう一つの遺伝子型判別方法は、OLAにおける2つのオレゴヌクレオチドプローブの使用である。この方法では、1つのプローブをターゲット核酸のセグメントにハイブリダイズして、その3’最末端をその核酸部位に合わせる。第二のプローブは、ターゲット核酸分子の、第一のプローブの3’にすぐ隣接するセグメントにハイブリダイズする。並置された2つのプローブは、ターゲット核酸分子にハイブリダイズし、第一プローブの最も3’側のヌクレオチドと核酸部位との間に完全な相補性があれば、リガーゼなどの連結剤の存在下でライゲートされる。ミスマッチがあれば、効率的なライゲーションは発生しない。反応後、ライゲートしたプローブをターゲット核酸分子から分離し、核酸配列の存在の指標として検出する。ユニバーサルアレイを使用して核酸検出を行い(この場合、ジップコード配列をハイブリダイゼーションプローブの1つに導入することができる)、結果として生じた産物、すなわち増幅産物、をユニバーサルジップコードアレイにハイブリダイズするために、OLAを用いることもできる。あるいは、ジップコードをOLAプローブに導入し、増幅PCR産物を電気泳動またはユニバーサルジップコードアレイ読み取りによって決定する、OLAを用いることができる。
【0075】
あるいは、OLAを用い、その後PCRを用いる、多重SNP検出のためのSNPlex法およびソフトウェアを用いることができ、この場合、ジップコードをOLAプローブに組み込み、増幅PCR産物をzipchute試薬とハイブリダイズし、SNPの同一性をそのzipchuteの電気泳動の読み取り値から決定する。一部の実施形態において、OLAをPCR(または別の核酸増幅法)の前に行う。他の実施形態では、PCR(または別の核酸増幅法)をOLAの前に行う。
【0076】
もう一つの遺伝子型判定法は、質量分析に基づく。質量分析は、DNAの4つのヌクレオチドのそれぞれの固有質量を利用する。代替核酸対立遺伝子を有する核酸の質量の差を測定することによる質量分析によって、核酸の遺伝子型を明確に判定することができる。MALDI−TOF(Matrix Assisted Laser Desorption Ionizaion −− Time of Flight:マトリックス支援レーザー脱離イオン化−−飛行時間型)質量分析技術は、SNPなどについての、分子量の極めて正確な決定に好ましい。遺伝子型分析への非常に多数のアプローチが質量分析に基づいて開発されている。質量分析に基づく好ましい核酸遺伝子型判定法は、プライマー伸長アッセイであり、これは、従来のゲルに基づく形式およびマイクロアレイなどの、他のアプローチと併用することもできる。
【0077】
一般に、プライマー伸長アッセイは、プライマーを設計し、ターゲット核酸位置から上流(5’)のテンプレートPCRアンプリコンにアニールすることを含む。ジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)および/またはデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)の混合物を、テンプレートを含有する反応混合物に添加する。例えば、一部の実施形態において、これは、PCRなどによって一般に増幅されたSNP含有核酸分子である。プライマーおよびDNAポリメラーゼをさらに添加することができる。その混合物中のddNTPの1つに相補的なヌクレオチドが存在するそのテンプレート内の最初の位置で、プライマーの伸長は停止する。プライマーは、その核酸位置にすぐ隣接する(すなわち、プライマーの3’末端のヌクレオチドが、ターゲットSNP部位の隣のヌクレオチドにハイブリダイズする)場合もあり、またはその核酸位置から2ヌクレオチド以上隔たっている場合もある。プライマーが、ターゲット核酸位置から数ヌクレオチド隔たっている場合、唯一の制限は、プライマーの3’末端と核酸位置の間のテンプレート配列が、検出すべきものと同じタイプのヌクレオチドを含有できないことであり、そうでないと、これは、伸長プライマーの早期停止を生じさせるであろう。
【0078】
あるいは、dNTPを伴わない、4つすべてddNTPのみのものを反応混合物に添加すると、プライマーは、ターゲットSNP位置に対応する1つだけの核酸によって必ず伸長されることとなる。この場合、プライマーを、SNP位置の1ヌクレオチド上流に結合する(すなわち、プライマーの3’末端のヌクレオチドが、ターゲットSNP部位の5’側のターゲットSNP部位にすぐ隣接するヌクレオチドにハイブリダイズする)ように設計する。1ヌクレオチドだけの伸長が望ましい。それによって伸長プライマーの全質量が最小になり、その結果、代替SNPヌクレオチド間の質量差の分解能が増すからである。さらに、プライマー伸長反応において未修飾ddNTPの代わりに質量タグ付きddNTPを用いることができる。これは、これらのddNTPで伸長されたプライマー間の質量差を増加させ、その結果、感度および精度上昇をもたらし、ならびにヘテロ接合塩基位置のタイプ分けに特に有用である。質量のタグ付けにより、集約的なサンプル調製手順の必要も軽減され、および質量分析計の必要分解能も減少される。
【0079】
その後、伸長プライマーをMALDI−TOF質量分析法によって精製および分析して、ターゲットSNP位置に存在するヌクレオチドの同一性を決定することができる。1つの分析方法では、プライマー伸長反応からの産物を、マトリックスを構成する吸光結晶と併用する。その後、レーザーなどのエネルギー源をマトリクスにあてて核酸分子をイオン化し、気相に脱離させる。その後、それらのイオン化した分子は飛行管に放出され、その管を下って検出器に向かって加速する。レーザーパルスなどのイオン化事象と検出器での分子の衝突との間の時間が、その分子の飛行時間である。飛行時間は、イオン化された分子の質量対電荷比(m/z)と正確な相関関係がある。小さいm/zを有するイオンのほうが、大きいm/zを有するイオンより速くその管を移動し、従って、軽いイオンのほうが、重いイオンより前に検出器に到達する。その後、その飛行時間を、対応する、および非常に正確な、m/zに変換する。このように、単一塩基位置に異なるヌクレオチドを有する核酸分子に固有の、質量のわずかな差、および対応する飛行時間の相違に基づいて、SNPを同定することができる。
【0080】
核酸を直接DNA塩基配列決定によって採点することもできる。質量分析による塩基配列決定をはじめとする、様々な自動塩基配列決定手順を用いることができる。本発明の核酸配列は、通常の当業者が、そのような自動塩基配列決定手順のための塩基配列決定用プライマーを容易に設計できるようにする。市販の機器装備、例えば、Applied Biosystems 377、3100、3700、3730、および3730x1 DNA Analyzers(カリフォルニア州、フォスター・シティー)が、自動塩基配列決定のための分野において一般に用いられている。SpectruMedixシステムなどのハイスループット変異スクリーニングシステムを利用することによって、核酸配列を決定することもできる。
【0081】
本発明の核酸の遺伝子型判定に用いることができる他の方法としては、一本鎖高次構造多形(single−strand conformational polymorphism:SSCP)、および変性濃度勾配ゲル電気泳動法(denaturing gradient gel electrophoresis:DGGE)が挙げられる。SSCPは、一本鎖PCR産物の電気泳動移動の変化によって塩基の相違を同定する。一本鎖PCR産物は、二本鎖PCR産物を加熱するまたは別様に変性させることによって生じさせることができる。一本鎖核酸は、二次構造をリフォールディングまたは形成することがあり、これは、その塩基配列に一部分依存する。一本鎖増幅産物の異なる電気泳動移動度は、核酸位置での塩基配列の相違に関係づけられる。DGGEは、多型DNAに固有の異なる配列依存性安定性および融解特性、ならびに変性勾配ゲルにおける電気泳動移動パターンの対応する相違に基づいて、核酸対立遺伝子を区別する。
【0082】
配列特異的リボザイムを使用して、リボザイム切断部位の発生または喪失に基づき核酸、特にSNP、を採点することもできる。ヌクレアーゼ切断消化アッセイによって、または融解温度の差によって、完全マッチ配列をミスマッチ配列と区別することができる。従って、例えば、SNPが制限酵素切断部位に影響を及ぼす場合、制限酵素消化パターンの変化、およびゲル電気泳動法によって決定される核酸フラグメント長の対応する変化によってそのSNPを同定することができる。
【0083】
遺伝子型判定は、例えば、ヒト被験者から生体サンプル(例えば、組織、細胞、流体、分泌物などのサンプル)を採取する段階、そのサンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNAまたは両方)を単離する段階、その核酸と、興味のあるターゲット核酸領域を含有する単離された核酸の領域に、そのターゲット核酸領域のハイブリダイゼーションおよび増幅が発生するような条件下で、特異的にハイブリダイズする1つまたは複数のプライマーとを接触させる段階、ならびに興味のある核酸位置に存在するヌクレオチドを決定する段階、または一部のアッセイでは、増幅産物の存在または非存在を検出する段階(特定の核酸配列対立遺伝子が存在するまたは非存在である場合にのみ、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅が発生するようにアッセイを設計することができる)を含む場合がある。一部のアッセイでは、増幅産物のサイズを検出し、対照サンプルの長さと比較する;例えば、正常遺伝子型と比較した増幅産物のサイズの変化によって欠失および挿入を検出することができる。
【0084】
さらに、その後、見つかった核酸、または特にSNPの核酸を、免疫応答を誘導するために抗原も摂取した他の個体の核酸と比較することができる。2つ以上の配列の同一性を比較する方法は、Wisconsin Sequence Analysis Package version 9.1(米国、ウィスコンシン州、マディソンのGenetics Computer Group)において入手できるプログラムをはじめとする任意の妥当な手段によって行うことができる。BESTFITなどの他のプログラムは、スミスおよびウォーターマンの「局所的相同性」アルゴリズムを見つけるために用いることができ、および二配列間の類似性の最高の単一領域を見つける。さらに、「最大類似性」を見つけて2つの配列をアラインする、GAPなどのプログラムを用いることができる。好ましくは、比較する2つの配列を最適にアラインして同一性および類似性%を決定する。配列間の同一性および/または類似性を決定するための他のプログラム、例えば、米国、メリーランド州、ベセズダの米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCB)から入手できるプログラムのBLASTファミリー、およびWisconsin Sequence Analysis Packageの一部として入手できるFASTAも当該技術分野において公知である。
【0085】
個体内に存在する核酸の存在または非存在またはパターンを決定すると、その免疫応答評点を核酸結果と関係づけることができる。その後、従事者は、1つまたは複数の核酸、好ましくはSNP、が、免疫寛容が改変されて抗原に対して応答する個体と関係づけられるのか、または応答しない個体と関係づけられるのかを決定することができる。
【0086】
免疫寛容の誘導のメカニズムは、疾患および障害が異なれば変わるだろうと考えられる。例えば、全身性エリテマトーデスの誘導に関与するSNPは、自己免疫脳症などの他の疾患に関与するSNPとは異なるだろう。従って、従事者は、従事者が免疫寛容の誘導を望むそれぞれの疾患および障害について、図1のプロセスを反復することができる。
【0087】
個体の遺伝子型判定に基づく治療の決定
図1の方法は、それにより、従事者が、どのような核酸配列(SNPを含む)が免疫寛容の誘導に関与し得るかを決定できるので、特に有益である。さらに重要なことに、図1の方法を完了すると、図2において概説するように、従事者は、新たな個体を興味のある核酸配列またはSNPについて簡単に検査することができる。
【0088】
先ず、従事者は、患者を疾患または障害を有するとおりにカテゴリー分けまたは診断する(201)。このカテゴリー分けまたは診断は、現在または過去の症状、病歴、家族歴、検査、例えばアッセイまたは医学的スキャン、およびこれらに類するものに基づくだろう。
【0089】
従事者は、患者を診断したら、その患者から生体サンプルを採取する(202)。このサンプルは、全血、血漿、尿、涙、精液、唾液、頬粘膜、間質液、リンパ液、髄膜液、羊水、腺液、痰、糞便、汗、粘液、膣分泌物、脳脊髄液、毛髪、皮膚、排泄物、創傷滲出物、創傷ホモジネート、および創傷液をはじめとする(しかし、これらに限定されない)、従事者および患者にとって適便な任意の形態のものであってよい。
【0090】
その後、その個体の核酸をそのサンプルから単離する(203)。単離は、従事者にとって適便な任意の手段によって行うことができる。例えば、単離は、先ず、洗剤、酵素的消化または物理的破壊を用いて細胞を溶解するによって、行うことができる。その後、例えば、酵素的消化、有機溶媒抽出、またはクロマトグラフ法の使用により、汚染物質を核酸から除去する。アルコールでの沈殿、遠心分離および/または透析をはじめとする任意の手段によって、個体の核酸を精製および/または濃縮することができる。
【0091】
その後、その個体の核酸を、興味のある1つまたは複数の所定の核酸の存在または非存在についてアッセイする(204)。興味のある1つまたは複数の所定の核酸は、従事者が、いずれかの疾患または障害に対する免疫寛容に関係づけることができると考える、いずれの核酸であってもよい。適切な疾患または障害の典型的な例を表1に列挙する。
【0092】
興味のある1つまたは複数の所定の核酸が存在するか、非存在であるかの判定を、任意の手段によって行うことができる(205)。
【0093】
一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、66,603,791と66,603,991bpsの間の染色体12の近位末端から約55.5Mbpに位置する、染色体12上のおおよそ50KBの非遺伝子領域であり、この場合、興味のある核酸は、
【0094】
【化1】

のいずれかである。
【0095】
【化2】

は、多型性部位である。従って、AAは、AAホモ接合を表し、その一方で、ABは、A/Gヘテロ接合を表し、およびBBは、GG遺伝子型を表し、A→Gは、多型部位を表す。
【0096】
あるいは、興味のある所定の核酸は、SNP A−1515737の5’側のおおよそ265143bpの部分を含む場合がある。あるいは、興味のある所定の核酸は、SNP−1515737の3’側のおおよそ231513bpの部分を含む場合がある。あるいは、興味のある所定の核酸は、配列番号3または4のすべての部分を含む。
【0097】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、マーカーD12S1503の近位内の、染色体12上の66507155−66507464の間に位置する。
【0098】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S1676の近位内に位置し、すなわち、興味のある所定の核酸の一部またはすべてが、染色体12上の66499298−66499423の間に位置する。
【0099】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S335の近位内に位置し、すなわち興味のある所定の核酸の一部またはすべてが、染色体12上の66415802−66416056の間に位置する。
【0100】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S102の近位内に位置し、すなわち興味のある所定の核酸の一部またはすべてが、染色体12上の66781046−66781298の間に位置する。
【0101】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S1506の近位内に位置し、すなわち興味のある所定の核酸の一部またはすべてが、染色体12上の66785380−66785614の間に位置する。
【0102】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1508498(TSC51977)であり、CまたはTが多型である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1512645(TSC1720860)であり、CまたはTが多型である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1512719(TSC1720861)であり、CまたはTが多型である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1515330(TSC1244733)であり、CまたはTが多型である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1518829(TSC51583)であり、AまたはGが多型である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1518878(TSC51584)であり、CまたはGが多型である。さらに、一つの特定の実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1515737の30kbp内に位置する。これらの他のマーカーおよび転写物も、寛容、特に経口寛容、を誘導させる患者の能力を判定するために用いることができる。
【0103】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S1503(配列番号5)である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S1676(配列番号6)である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S335(配列番号7)である。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、D12S102(配列番号8)である。
【0104】
もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1508498であり、CまたはTが多型である。(配列番号9および10)。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1512645であり、CまたはTが多型である。(配列番号11または12)。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1512719であり、CまたはTが多型である。(配列番号13または14)。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1515330であり、CまたはTが多型である。(配列番号15または16)。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1518829であり、AまたはGが多型である。(配列番号17または18)。もう一つの実施形態において、興味のある所定の核酸は、SNP_A−1518878であり、CまたはGが多型である。(配列番号19または20)。興味のある所定の核酸は、ヒト染色体12上の63.3mbpと69.4mbpの間の任意のマーカーまたは遺伝子である場合もある。例えば、図15参照。
【0105】
一つの実施形態において、従事者は、核酸の特定のバリアントの存在または非存在の視覚的確認を用いる。
【0106】
もう一つの実施形態において、前記方法は、興味のある1つまたは複数の所定の核酸の存在および/または非存在を判定するための1つまたは複数のアルゴリズムをコンピュータベースのシステムに備えさせ、存在する場合には、個体の核酸中に存在する興味のある1つまたは複数の所定の核酸の量を定量する。
【0107】
一つの好ましい実施形態において、興味のある所定の核酸は、1つまたは複数のSNPである。さらに、前記コンピュータベースのシステムは、観察されたSNP対立遺伝子、代替コドン、集団、対立遺伝子頻度、SNPタイプ、および/または影響を受けたタンパク質ならびにこれらに類するものについての情報を含む場合がある。
【0108】
前記コンピュータベースのシステムは、本発明の任意の情報を分析するために使用することができる次のもののうちの少なくとも1つを含む:ハードウェア手段、ソフトウェア手段、およびデータ記憶手段。本発明のコンピュータベースのシステムの最小のハードウェア手段は、一般に、中央演算処理装置(central processing unit:CPU)、インプット手段、アウトプット手段、およびデータ記憶手段を含む。現在利用できるコンピュータベースのシステムのいずれのものも本発明での使用に適することは、当業者には容易に理解されるはずである。そのようなシステムを、一切実験せずに、CD−Rに備えられた情報またはそのサブセットを利用することにより本発明のシステムに変えることができる。
【0109】
上で述べたように、本発明のコンピュータベースのシステムは、情報が記憶されたデータ記憶手段と、検索手段を支援および実装するために必要なハードウェア手段およびソフトウェア手段とを含む。前記コンピュータベースのシステムの検索手段は、データ記憶手段の中に記憶された核酸情報に基づいて、ターゲット配列中のSNPを含めて、核酸配列を同定または分析するためにそのコンピュータベースのシステムに実装される1つまたは複数のソフトウェアプログラムまたはアルゴリズムを含む。核酸配列の存在もしくは非存在、および/またはどのヌクレオチドが核酸配列の特定のSNP位置に存在するのかを判定するために、検索手段を用いることができる。
【0110】
この実施形態の一つの応用例では、従事者は、コンピュータベースのシステムに、コンピュータ可読媒体上の興味のある核酸に関する情報を備えさせることができる。コンピュータ可読媒体は、磁気記憶媒体、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ;光学記憶媒体、例えば、CD−ROM;電気的記憶媒体、例えば、RAMおよびROM;ならびにこれらのカテゴリーのハイブリッド、例えば、磁気/光学記憶媒体をはじめとする(しかし、これらに限定されない)、コンピュータによって直接読むことおよびアクセスすることができる任意の媒体である。
【0111】
本発明のヌクレオチドまたはアミノ酸配列を記録したコンピュータ可読媒体を作るために、当業者は、様々なデータ記憶構造を利用することができる。データ記憶構造の選択は、一般に、記憶される情報にアクセスするために選択される手段に基づく。加えて、本発明の核酸配列情報をコンピュータ可読媒体に記憶するために、様々なデータプロセッサープログラムおよび形式を用いることができる。例えば、配列情報を、市販のソフトウェア、例えばWordPerfectおよびMicrosoft Word、でフォーマットした、ワード・プロセッシング・テキスト・ファイルで表現することができ、ASCIIファイルの形式で表現することができ、またはデータベースアプリケーション、例えばOB2、Sybase、Oracleまたはこれらに類するもの、に記憶することができる。当業者は、本発明の核酸配列情報を記録したコンピュータ可読媒体を得るために、任意の数のデータプロセッサー構成フォーマット(例えば、テキストファイルまたはデータベース)を容易に適応させることができる。
【0112】
本発明の、SNPを含めて、核酸配列をコンピュータ可読形式で提供することにより、従者は、様々な目的のための核酸配列情報に常例的にアクセスすることができる。当業者がコンピュータ可読媒体において提供される配列情報にアクセスすることができるようにするコンピュータソフトウェアは、一般入手可能である。一般入手可能なコンピュータソフトウェアの例としては、BLASTおよびBLAZE検索アルゴリズムが挙げられる。
【0113】
本発明は、本明細書に記載する核酸配列情報を含有するシステム、特に、コンピュータベースのシステムをさらに提供する。そのようなシステムを、例えば多数のSNP位置に関する情報、または多数の個体からの、SNP遺伝子型を含めて、遺伝子型に関する情報を記憶および/または分析するように設計することができる。本発明の核酸配列情報は、利用可能な情報源の代表である。コンピュータベースのシステムで記憶/分析される本発明の核酸配列情報は、集団内の核酸対立遺伝子頻度の判定もしくは分析、疾病遺伝子のマッピング、遺伝子型−表現型関連性研究、SNPのハプロタイプへのグループ分け、SNPハプロタイプと特定の薬物への応答との相関関係の証明のようなコンピュータ集約型用途に、または様々な他の生命情報科学的、薬理ゲノム科学的、薬物開発、もしくは人物の同定/法医学的用途に用いることができる。
【0114】
その後、興味のある1つまたは複数の所定の核酸の存在および/または非存在に基づいてその個体のための治療を処方する(206)。治療は、誘導することができる免疫寛容を誘導する尤度の決定、そのような場合には抗原のタイプ、用量、投与方法、治療レジメント、およびこれらに類するものをはじめとする、従事者の手段のうちのいずれのものも含むことができる。
【0115】
本発明者らは、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)が免疫寛容の発生に干渉する場合があることも発見した。従って、一つの代替実施形態において、従事者は、治療を望む個体にNSAIDSの使用を停止してもらうこと、または例えばミソプロストールなどの免疫寛容のNSAID阻害を逆行させる医薬を投与することによって、免疫寛容の生成を調節することができる。
【0116】
さらに、一つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、特発性肺線維症(「IPF」)を治療するために用いることができる。IPFは、正常肺組織が線維化組織によって徐々に置き換えられる、または異常な過剰量の線維化組織が肺間質内に沈着する、致死的、慢性、進行性、間質性肺疾患である。これは、肺の瘢痕化として説明することができる。IPF患者の約60%は、V型コラーゲンに対する抗原特異的自己免疫反応を有する。特定のメカニズムまたは理論に拘束されることを望まないが、そのような患者の免疫系が肺のV型コラーゲンを攻撃し、それによって線維症を引き起こすと考えられる。
【0117】
肺のV型コラーゲンを攻撃する免疫応答を停止または減少させることができると、V型コラーゲンに対する自己免疫反応を有するIPF患者にとって有益であろう。本発明の方法を用いてV型コラーゲンに対する免疫寛容を誘導することにより、この免疫応答を停止または減少させることができるだろう。本発明の方法に従ってコラーゲン、好ましくはV型コラーゲン抗原、を反復投与することによって、寛容を誘導することができるだろう。
【0118】
コラーゲンまたはコラーゲン抗原、好ましくはV型コラーゲンまたはその抗原、の投与は、V型コラーゲンに対する抗原特異的自己免疫反応を有するIPF患者の治療に最も有効であろう。従って、そのような患者を同定するための検査が望ましい。
【0119】
本発明の方法を用いて、関連性研究を行って、V型コラーゲンに対する抗原特異的自己免疫反応を有するIPF患者が、V型コラーゲンに対する抗原特異的自己免疫反応を有さないIPF患者において見つけられないSNP−−またはSNPに何らかの様式で関連している他の核酸配列−−を1つまたは複数有するかどうかを判定することができる。その後、V型コラーゲンに対する抗原特異的自己免疫反応に関係づけられる1つまたは複数のSNPまたは関連核酸配列の存在を用いて、コラーゲンまたはコラーゲン抗原、好ましくはV型コラーゲンまたはその抗原、の投与の恩恵を受ける可能性が最も高い患者を同定することができる。V型コラーゲンに対する自己免疫反応は、肺移植に対する拒絶反応の一因になることも考えられる。従って、V型コラーゲンに対する抗原特異的自己免疫反応と関係づけられることが判明したSNP(単数もしくは複数)および/または関連核酸配列を用いて、肺または他の移植をうまく受けられる患者の傾向を評価することもできる。
【0120】
免疫寛容を誘導するかどうかを判定するための個体遺伝子型の使用
従事者は、本発明を用いて、個体のための治療のレジメントを決定することもできる。すなわち、個体特異的情報に基づいて、本発明は、治療レジメント、例えば、免疫寛容を誘導するかどうか、抗原のタイプ、用量、投与方法、治療のレジメント、およびこれらに類するものを従事者に推奨することができる。治療レジメントの推奨は、個体が有する疾患または障害に依存するものであるばかりでなく、個体の特徴に依存するものである場合がある。
【0121】
この実施形態、図3にある方法、では、先ず、個体の特徴を1つまたは複数のデータベースに入れる(301)。1人以上の従事者での総合診察、個体が記入した質問票、電子データベース、診断用または専門調査会測定ツール、クライアント概要レポート、および転帰測定レポートの使用をはじめとする任意の手段によって、個体の特徴の情報を受け取ることができる。さらに、ネットワーク、口頭での伝達、視覚的伝達、書面での伝達、物理的データ記憶媒体、および/またはデータを伝えることができる任意の他の手段のうちの1つまたは複数によって、個体の特徴の情報を受け取ることができる。
【0122】
個体の特徴としては、年齢、性別、身長、体重、個体の病歴、家族の病歴、民族、アレルギー情報、生活様式情報、およびこれらに類するものを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0123】
その後、個体の核酸を採取して分析する(302)。個体の核酸の採取方法は、本明細書の中で述べるものをはじめとする、従事者によって考えられるいずれの方法であってもよい。
【0124】
その後、興味にある1つまたは複数の所定の核酸の存在または非存在を判定する(303)。この場合は、どの核酸を検査するか、すなわち興味にある所定の核酸、の決定は、従事者が個々に決定することができる。あるいは、その決定は、個体の現在の疾患もしくは診断とまたは従事者が現在の疾患もしくは診断であると考えるものとその疾患または診断に関係づけられる興味のある核酸との関係を反映する情報を含むデータベースにアクセスすることを含む。
【0125】
一部の実施形態において、本発明の1つまたは複数のデータベースは、従事者の居場所に局在する。他の実施形態において、前記1つまたは複数のデータベースは、遠隔、動的データベースである。一般に、動的データベースは、中のデータを容易に変更またはアップデートできるものである。例えば、ソフトウェアシステムを使用して、ネットワーク経由で動的データベースからの情報にアクセスすること、およびそのデータベースから情報をソフトウェアシステムにアップロードすることができる。データベースに記憶されている情報が変わると、そのデータベースに接続しているソフトウェアシステムも、人的介入なしに、相応じて自動的に変わるであろう。前記ソフトウェアシステムは、限定されないが、イベントドリブン方式で、分単位で、1時間ごとに、毎日または週1回を含めて、随時、前記動的データベース内の個体の情報をアップデートすることができる。
【0126】
段階(303)の結果、すなわち興味のある1つまたは複数の所定の核酸の存在または非存在、に基づいて、個体の治療を決定することができる。一つの実施形態において、従事者は、医療分野における彼のノウハウに基づいて治療レジメントを決定する。もう一つの実施形態において、1つまたは複数のデータベースに記憶されたソフトウェアシステムが治療レジメントを推奨する。推奨される治療レジメントとしては、免疫寛容を誘導するかどうか、抗原の型、用量、投与方法、治療のレジメント、市販薬または処方薬、生活様式変化、およびこれらに類するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0127】
治療レジメントの推奨は、個体が有する疾患または障害に依存するものであるばかりでなく、個体の特徴に依存するものでもある場合がある。従って、1つまたは複数のデータベースに、個体についてのより多くの情報、治療すべき疾患または障害、治療の転帰、および他の互換性のある情報をソフトウェアによってインプットできるようにすることができる。多数の個体についての情報を共にプールすることができると考えられ、従って、1つまたは複数のパラメータについてのデータの量が増すにつれて、ソフトウェアシステム内のアルゴリズムは、どのような治療/手順が個体の基準セットに最もよく適するかを計算する点で、より強くおよびより正確になる。さらに、前記データベースは、「ベストプラクティス」、すなわち、医療専門家の一団によって最適と判断された特定の治療プロトコル、のウェアハウスをさらに含む場合がある。
【0128】
これらの実施形態によって、従事者は、個体の治療をより良く調整することができ、ならびに不必要な費用および不必要な治療の時間を回避することができる。
【0129】
免疫寛容に関係づけられる核酸の決定
どの核酸が興味のある所定の核酸であるかの決定は、図4の方法によって決定することができる。先ず、疾患または障害を有する多数の個体に関する情報を収集し、1つまたは複数のデータベースに保管する(401)。この情報は、少なくとも、個体の疾患または障害、抗原投与後に免疫寛容を発現する個体の能力、および個体の核酸情報を含む。好ましくは、前記核酸情報は、1つまたは複数のSNPの存在または非存在である。
【0130】
1つまたは複数のSNPの存在または非存在と免疫寛容を発現する個体の能力を比較して、特定の疾患または障害状態でのその核酸の存在増加(または減少)を判定する(402)。SNPと免疫寛容を発現する能力の比較は、数学的アルゴリズムを用いることによって遂行することができる。
【0131】
統計的に有意な関連性が、1つまたは複数のSNPと免疫寛容を誘導する能力の間に確立されたら、そのSNPの周辺の領域を場合によっては徹底的にスクリーニングして、免疫寛容を誘導する能力に影響を及ぼす原因遺伝子座/配列(単数または複数)(例えば、原因SNP/変異、遺伝子、調節、領域など)を同定することができる。
【0132】
加えて、SNPと特定の疾患または障害についての関連性研究を行って、興味のある疾患または疾病を有する個体からの生体サンプルにおけるSNP対立遺伝子の存在または頻度を決定することができ、ならびにその情報を、好ましくは同様の年齢および人種である対照(すなわち、その障害を有さない個体;対照を「健常」または「正常」個体と呼ぶこともある)の情報と比較することができる。前記患者および対照は、身体的特徴ができる限り似通っているほうがよく、十分に特性付けされている個体のプールが極めて望ましい。さらに、関連性研究は、一般集団内で行うこともでき、罹患家族内の関連個体に対して行う研究(連鎖研究)に限定されない。
【0133】
その後、1つまたは複数のSNPに関する情報を、免疫寛容を誘導する能力を有する個体におけるその存在または非存在に関する情報と共に、1つまたは複数のデータベースに記憶させる(403)。
【0134】
その後、疾患または障害についての治療を望む個体の核酸を採取し、分析して、その個体が、免疫寛容を誘導する他の個体の能力と統計学的に有意に関係づけられる1つまたは複数のSNPを有するかどうかを見出す(404)。その後、医療従事者は、独力で、または1つまたは複数のデータベースを含むソフトウェアの支援によって、どのような医療レジメントが実行可能であるのか、およびそれらの治療のパラメータを決定することができる。
【0135】
免疫寛容になりやすい個体における改変されたポリペプチド提示の判定
もう一つの実施形態では、先ず、図5に示すような少なくとも1つのポリペプチドについてスクリーニングする工程を含む方法を用いて、免疫寛容を発現しやすい個体に存在するまたは非存在であるポリペプチドを決定する。この方法では、先ず、医療従事者が経口抗原を患者に投与して、免疫寛容を誘導する(501)。
【0136】
本発明での使用に適する抗原としては、前に論じたものが挙げられ、ならびに自己免疫疾患、臨床的(アレルギー性)過敏症、および同種移植拒絶の誘導に関係づけられるもしくは該誘導の原因となる任意のもの、ならびにそれらからのサブユニットもしくは抽出物;または組換え生産された全タンパク質、それらのサブユニットもしくはフラグメント;またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。さらに、前記抗原としては、関連疾患を治療するための、表1の抗原のすべてを挙げることができるが、それらに限定されない。個体に投与する前に、前記抗原を他の成分、例えば、医薬的に許容される賦形剤および/または担体、とさらに併せることができる。
【0137】
個々の用量のサイズ、用量の数、用量投与の頻度、および投与方式は、様々であり得、当業者がそれを決定できる。抗原の適する用量は、前に論じたものである。さらに、投与方式としては、エーロゾル投与経路、皮下経路、直腸内経路、皮内経路、静脈内経路、鼻経路、経口経路、経皮経路および筋肉内経路を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0138】
個体の免疫応答の判定に使用するために個体から生体サンプルを採取し(502)、それによって、抗原に対する個体の免疫系応答を、それらの応答に基づいて採点する(503)。
【0139】
個体の免疫応答を判定する方法としては、酵素標識免疫定量法(ELISA)、ELISA/ACT(登録商標)リンパ球応答アッセイ(LRA)、抗体生産のインビトロ測定、混合白血球反応、細胞傷害性Tリンパ球アッセイ、フローサイトメトリー、ウエスタンブロット、限界希釈アッセイ、質量分析法、免疫沈降法、免疫蛍光法、ELISPOT、トランスビボDTHアッセイ、四量体アッセイ、CFSEアッセイ、TCRレパートリーの特性付け、ポリクローナル、非抗原特異的刺激に対するT細胞応答の測定、PCR、LCR、ハイブリダイゼーション技術およびプロテオミクスを含む核酸の存在の検出の使用を含む(しかし、これらに限定されない)、前に論じた任意の方法を挙げることができる。加えて、一つの特定の実施形態では、抗原の摂取前、中および/または後の、IL−17、IL−2またはIFN−γ生産をはじめとする、サイトカイン生産のそれぞれのレベルおよび/または変化に基づいて、患者を採点する。さらに、Tr1細胞などのT調節細胞またはCD4、CD25、FoxP3細胞のレベルを用いて、患者応答を採点することができる。あるいは、他のサイトカインを測定して、個体の評点を決定することができる。例えば、α1(I)およびα2(I)刺激PBMC培養上清中のIL−10、IL−4、IL−5またはTGF−β1、2もしくは3、ならびに/あるいはsIL−2Rのレベルを用いて、患者を採点することができる。
【0140】
採点方法は、従事者に依存し、および抗原に対するそれらの免疫応答に基づいて患者を分ける任意の方法を含む。免疫系応答に基づいて患者を採点するために、従事者は、抗原の摂取の前、中および/または後の免疫応答を測定して比較することができる。いつ免疫応答を測定するのか、およびどのような方法を用いるのかの決定は、従事者の要求に基づく。さらに、従事者は、患者の免疫応答の採点を助長するために、個体の他の生理的要因、例えば、他のサイトカイン、酸化ラジカル、結合組織成長因子、酸化窒素、患者の身長、体重、食事、および環境問題をさらに考慮することができると考えられる。
【0141】
個体を抗原応答に基づいて採点したら、従事者は、個体のポリペプチドを分析して、個体が1つまたは複数のポリペプチドまたは変異ポリペプチドを有するかどうかを判定する(504)。
【0142】
従事者は、興味のある特定の公知ポリペプチドを検査してまたはサンプル中に存在するタンパク質の一部またはすべてを検査して、特異なもしくは独特なポリペプチドまたはポリペプチドパターンの存在または非存在を捜し、そのポリペプチドの存在/非存在と個体の免疫応答評点とを関連づけることができる。
【0143】
当業者に公知の様々な方法によって、ポリペプチドを検出することができる。ポリペプチド検出前に、硫酸アンモニウムなどの物質での選択的沈殿、冷エタノール沈殿、限界濾過、カラムクロマトグラフィー、免疫精製法、およびこれらに類するものをはじめとする(しかし、これらに限定されない)標準的な技術によって、個体の生体サンプル中のポリペプチドを実質の純度に精製することができる。
【0144】
サンドイッチアッセイおよび競合または置換アッセイをはじめとする(しかし、これらに限定されない)、従事者にとって適便な任意の方法を使用することによって、ポリペプチドを検出することができる。一般に、サンドイッチまたは競合/置換アッセイは、分析物(この場合はサンプル中の1つまたは複数のポリペプチド)に特異的に結合するおよび多くの場合、該分析物を固定する「捕捉剤」を含む。捕捉剤は、分析物に特異的に結合する部分である。
【0145】
ポリペプチドの存在または非存在は、電気化学的手段または標識の使用をはじめとする、従事者にとって適便な任意の手段によって判定することができる。標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能な任意の組成物である。本発明において有用な標識としては、磁気ビーズ、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、およびこれらに類するもの)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびELISAにおいて一般に使用されている他の酵素)、ならびに比色標識、例えば、コロイド金または着色ガラスもしくはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズが挙げられる。当該技術分野において周知の方法によるアッセイの所望の成分に前記標識を直接または間接的にカップリングさせることができる。抗体は、当業者に周知のおよび上で説明したような多数の手段のいずれかによって生産することができる。さらに、標識は、捕捉剤/分析物複合体に結合するまたは捕捉剤/分析物複合体についてはっきりと識別できる部分に二次的に結合する第三の部分上に存在する場合がある。
【0146】
前記ポリペプチドを検出および/または定量するために用いることができる他の技術としては、ウエスタンブロット(免疫ブロット)分析、リポソームイムノアッセイ(liposome immunoassay:LIA)、プロテオミクス、例えば、タンパク質マイクロアレイまたは質量分析法が挙げられる。
【0147】
個体のサンプル中で見つけられる興味のあるポリペプチドのアミノ酸配列を決定し、免疫寛容を誘導する他の個体の能力と統計学的に有意に関係づけられるポリペプチドアミノ酸配列を有する1つまたは複数のデータベースと比較する(404)。医療従事者は、独力で、または1つまたは複数のデータベースを含むソフトウェアシステムの支援によって、どのような医療レジメントが実行可能であるのか、およびそれらの治療のパラメータを決定することができる。
【0148】
本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、疾患または障害を人種、民族、または性別に関連づけることができることは理解される。例えば、ある研究により、診断された自己免疫疾患の78%を女性が構成することが判明した。さらに、全身性硬化症は、性および人種特異的罹患率を有し、この場合、女性のほうが、男性より障害を有する可能性が高く、アフリカ系アメリカ人のほうが、白人より障害を有する可能性が高い。従って、興味のある核酸の存在または非存在を、ホルモン、X染色体に、または酵素、受容体に、または性およびまたは人種間で異なるレベルを有する他の化合物に結びづけることができる。
【0149】
SNP検出キットおよびシステム
本明細書に開示するSNPおよび関連配列情報に基づいて、検出試薬を開発し、個々に使用して、または併用して、本発明の任意のSNPをアッセイするために使用することができ、ならびに当該技術分野において周知である確立されたキットまたはシステム形式の1つにそのような検出試薬を容易に組み込むことができる。SNP検出試薬の文脈で用いるキットは、多数のSNP検出試薬の組み合わせのような物を指す、または1つまたは複数の他のタイプの要素または成分(例えば、他のタイプの生化学的試薬、容器、パッケージ、例えば商業販売向けの包装、SNP検出試薬が付いている物質、電子機器部品など)との組み合わせでの1つまたは複数のSNP検出試薬を指すと解釈する。従って、本発明は、包装されたプローブとプライマーのセット(例えば、TaqManプローブ/プライマーセット)、核酸分子のアレイ/マイクロアレイ、および本発明の1つまたは複数のSNPを検出するための1つまたは複数のプローブ、プライマーまたは他の検出試薬を含有するビーズをはじめとする(しかし、これらに限定されない)、SNP検出キットおよびシステムをさらに提供する。前記キット/システムは、様々な電子機器部品を場合によっては含むことがあり;例えば、様々な製造業者によって供給されているアレイ(「DNAチップ」)およびマイクロ流体システム(「ラブ・オン・チップ(lab−on−a−chip)」システム)は、一般に機器部品を含む。
【0150】
他のキット/システム(例えば、プローブ/プライマーセット)は、電子機器部品を含まない場合があり、例えば、(場合によっては他の生化学的試薬と共に)1つまたは複数の容器内に包装された1つまたは複数のSNP検出試薬から成る場合がある。
【0151】
一部の実施形態において、SNP検出キットは、SNP含有核酸分子の増幅および/または検出などの、アッセイまたは反応を行うために必要な1つまたは複数の検出試薬および他の成分(例えば、緩衝液、酵素、例えばDNAポリメラーゼまたはリガーゼ、連鎖伸長ヌクレオチド、例えばデオキシヌクレオチド三リン酸、およびSanger型DNA塩基配列決定反応の場合には、連鎖停止ヌクレオチド、陽性対照配列、陰性対照配列、およびこれらに類するもの)を一般に含有する。キットは、ターゲット核酸の量を決定するための手段、およびその量を標準と比較するための手段をさらに含む場合があり、ならびに興味のあるSNP含有核酸分子を検出するためにそのキットを使用するための指示書を含む場合がある。本発明の一つの実施形態では、本明細書において開示する1つまたは複数のSNPを検出するために1つまたは複数のアッセイを行うための必要試薬を含むキットを提供する。本発明の好ましい実施形態において、SNP検出キット/システムは、核酸アレイの形態であり、またはマイクロ流体/ラブ・オン・チップシステムをはじめとするコンパートメントキット(compartmentalized kit)の形態である。
【0152】
SNP検出キット/システムは、例えば、核酸分子のそれぞれのターゲットSNP位置にまたは付近にハイブリダイズする1つまたは複数のプローブ、またはプローブのペアを含む場合がある。対立遺伝子特異的プローブの多数のペアをこのキット/システムに含めて、多数のSNP(これらのうちの少なくとも1つは、本発明のSNPである)を同時にアッセイすることができる。一部のキット/システムの場合、対立遺伝子特異的プローブを基材、例えばアレイまたはビーズ、に固定する。例えば、同じ基材が、表1および/または表2に示すSNPの少なくとも1つ、10、100、1000、10,000、100,000(またはこの間の任意の他の数)または実質的にすべてを検出するための対立遺伝子特異的プローブを含む場合がある。
【0153】
用語「アレイ」、「マイクロアレイ」および「DNAチップ」は、基材、例えばガラス、プラスチック、紙、ナイロンもしくは他のタイプの膜、フィルター、チップ、または他の任意の固体支持体に付けられた異なるポリヌクレオチドのアレイを指すために、本明細書では同義で用いる。ポリヌクレオチドをその基材上で直接合成することができ、または基材から離れて合成し、その後、その基材に付けることができる。マイクロアレイは、固体支持体に固定された多数の特有の一本鎖ポリヌクレオチド、通常はcDNAの合成アンチセンスポリヌクレオチドまたはフラグメント、から成り得る。
【0154】
ポリヌクレオチドアレイに基づくハイブリダイゼーションアッセイは、完全マッチおよびミスマッチターゲット配列バリアントへのプローブのハイブリダイゼーション安定性の差に依存する。SNP遺伝子型判定のために、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて用いるストリンジェンシー条件は、たった1つSNP位置ほどしか互いに異ならない核酸分子を区別できるほどに高いことが、一般には好ましい(例えば、典型的なSNPハイブリダイゼーションアッセイは、1つの特定のヌクレオチドがSNP位置に存在する場合にしかハイブリダイゼーションが発生せず、代替ヌクレオチドがそのSNP位置に存在する場合には発生しないように設計される)。そのような高いストリンジェンシー条件は、例えば、SNP検出のために対立遺伝子特異的プローブの核酸アレイを使用するとき、好ましいだろう。
【0155】
他の実施形態では、前記アレイを化学発光検出技術と併用する。
【0156】
本発明のSNP検出キット/システムは、SNP含有核酸分子の後の増幅および/または検出のために、試験サンプルから核酸を調製するために使用される成分を含む場合がある。そのようなサンプル調製成分は、体液(例えば、血液、血清、血漿、尿、唾液、痰、胃液、精液、涙、汗など)、皮膚、毛髪、細胞(特に、有核細胞)、生検材料、口内スワブまたは組織標本から核酸抽出物(DNAおよび/もしくはRNAを含む)、タンパク質または膜抽出物を製造するために使用することができる。上で説明した方法において使用される試験サンプルは、アッセイ形式、検出方法の性質、およびアッセイすべき試験サンプルとして使用される具体的な組織、細胞または抽出物などの要因に基づいて変わるであろう。核酸、タンパク質および細胞抽出物の調製方法は、当該技術分野において周知であり、利用するシステムに適合性であるサンプルが得られるように変えることが容易にできる。
【0157】
本発明によって考えられるキットのもう一つの形態は、コンパートメントキットである。コンパートメントキットは、試薬が別々の容器内に収容されている任意のキットを包含する。そのような容器としては、例えば、小型ガラス容器、プラスチック容器、プラスチック、ガラスもしくは紙のストリップ、またはシリカなどの配列性材料が挙げられる。そのような容器によって、試験サンプルおよび試薬が交差汚染されないように1つのコンパートメントから別のコンパートメントに、または1つの容器からそのキットに含まれていない別の容器に、試薬を効率的に移すことができ、およびそれぞれの容器の薬剤または溶液を1つのコンパートメントから別のコンパートメントにもしくは別の容器に定量的に添加することができる。そのような容器としては、例えば、試験サンプルを受け入れる1つまたは複数の容器、本発明の1つまたは複数のSNPを検出するための少なくとも1つのプローブまたは他のSNP検出試薬を収容する1つまたは複数の容器、洗浄試薬(例えば、リン酸緩衝食塩水、Tris緩衝液など)を収容する1つまたは複数の容器、および結合したプローブまたは他のSNP検出試薬の存在を明らかにするために使用される試薬を収容する1つまたは複数の容器が挙げられる。前記キットは、例えば、核酸増幅、または他の酵素的反応、例えばプライマー伸長反応、ハイブリダイゼーション、ライゲーション、電気泳動(好ましくは、キャピラリー電気泳動)、質量分析、および/もしくはレーザー誘起蛍光検出のための、コンパートメントおよび/または試薬を場合によってはさらに含むことがある。
【0158】
マイクロ流体装置は、「ラブ・オン・チップ」システム、生物医学的微小電気機械システム(biomedical micro−electro−mechanical system:bioMEM)またはマルチコンポーネント統合システムと呼ばれることもあり、SNPを分析するための本発明の例示的キット/システムである。そのようなシステムは、プローブ/ターゲットハイブリダイゼーション、核酸増幅およびキャピラリー電気泳動反応などのプロセスを単一機能装置に小型化し、コンパートメント化する。そのようなマイクロ流体装置は、このシステムの少なくとも1つの態様では検出試薬を一般に利用し、そのような検出試薬を用いて、本発明の1つまたは複数のSNPを検出することができる。
【0159】
さらに、前記キットは、上で説明したような1つまたは複数の抗原を含む場合もある。従って、医療専門家は、先ず、SNPが患者に存在するのか、非存在であるのかを判定することができる。その後、医療専門家は、レジメントを調製するか、その代わりに所定のレジメントを用いて、どの抗原、どのような用量、どのような投与方法を患者に施すのかを見つける。1つまたは複数の抗原をキットと共に販売することができ、またはキットとは別に販売することができる。
【0160】
当業者に周知の情報と共に本出願における開示を考えれば、免疫寛容を生じさせる能力または困難と関連する多くのSNPを決定することができる。レプリコンがこれらのSNPを含有する場合、またはレプリコンがゲノムに基づきそれらに密接に関連づけられる場合、サンプルに対してPCRを行うことができる。そのような技術は、特定の個体において寛容を誘導する能力の尤度を判定するための迅速なアッセイをもたらすことができる。
【0161】
有意な利点を有する本発明を提供したことは、上述から明らかであろう。本発明をその形態のうちのほんの少数で示すが、本発明はそれらに限定されず、本発明の精神を逸脱することなく様々な変更および変形が可能である。
【0162】
本開示を通して、本発明の様々な態様を範囲形式で提示する場合がある。範囲形式での記載は、単に便宜および簡潔のためと理解すべきであり、本発明の範囲の確固たる限定と解釈すべきでない。従って、範囲の記載は、可能なサブ範囲ならびにその範囲内の個々の数値すべてが具体的に開示されていると解釈すべきである。例えば、1から6などの範囲の記載は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6などのようなサブ範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5および6が具体的に開示されていると解釈すべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【実施例】
【0163】
実施例1:関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)患者
彼らのRAについて従来の療法で管理されている120人のRA患者を、自己抗原と共に50μg/uのコラーゲンII(CII)またはα1(II)の精製ウシα1鎖を6日間培養したときのIFNγを生産する彼らの末梢血単核細胞(PBMC)の能力について試験した。培養上清を回収し、IFNγレベルをELISAによって決定した。
【0164】
【数1】

下の(表I)に示すように、76人の患者は、彼らの非刺激もしくは(PBS)培養PBMCに対して2倍増加し、またはCIIに対して免疫応答するRA患者(「応答者」と呼ぶ)63%の普及率を有した。CII自己免疫を有するRA患者の普及率は高いが、これは、この疾患中に明らかになる幾つかの可能性のある抗原の1つである。
【0165】
【表1−1】

実施例2:低用量コラーゲンIIは、DBA/1 Lacマウスにおいて寛容を誘導する
12匹のマウスの群に2週間にわたって8回、指示した用量で経口CIIを給餌し、CFA中の100μgウシCIIで免疫した。4日の休息後、完全フロイント・アジュバントで乳化させた100μgのCIIでマウスの尾の基部に免疫した。8週間、盲検観察者(blinded observer)が関節炎の程度を評価した。
【0166】
図6でわかるように、CIIの10μg/日の経口用量は、関節炎の発生の減少に最も有効であり、それよりは劣るが、500μg/日も有効であった。グレード3または4関節炎を有するマウスのパーセントをY軸に示す。2相応答は、高用量CIIに対して低用量による異なる寛容メカニズムの誘導に起因する。低用量CII(10μg)は、調節T細胞を誘導するが、高用量(500μg)は、アネルギーまたはクローン除去を誘導する。
【0167】
実施例3:DBA/1マウスにおけるコラーゲンIIに対する免疫寛容の誘導のNSAID阻害
DBA/1マウスにおける経口給餌ウシCIIに対する寛容誘導が、経口給餌NSAIDによって阻止されるかどうかを判定するために、20〜22匹のDBA/1マウスの3つの群に以下のものの8用量(2週間のあいだ月曜日、火曜日、木曜日および金曜日)を(ゾンデ栄養法により)給餌した:午前中にプラセボ(食塩水)および午後にプラセボ(0.1MのHAc);午前中にプラセボ(食塩水)および午後に10μgの天然ウシCII;または午前中にピロキシカム(2.4μg/gm)および午後に天然ウシCII(10μg)。1週間後、完全フロイント・アジュバントで乳化させた100μgのウシCIIですべてのマウスを(尾の基部における皮内に)免疫した。動物をコード付きケージに入れ、それらを週に2回、関節炎罹患関節(腫脹した、赤い、および/または変形した関節)の数について盲検観察者が採点した。
【0168】
図7に示すように、プラセボ+プラセボ給餌対照と比較すると、プラセボ+CIIを給餌したマウスの群におけるほうが観察期間にわたって関節炎罹患関節のパーセントが低かった(Cochran−Mantel−Haenszel分析によりp<0.03)。対照してみると、ピロキシカム+CIIを給餌したマウスにおけるほうが、同じ観察期間で、関節炎関節が有意に多かった。類似の研究において、本発明者らは、ナブメトン(nabumatone(レリフェン(Relafen))もDBA/1マウスにおいてOT誘導を阻止することを確認した(データは示さない)。
【0169】
実施例4:脾臓細胞によるIFNγ生産
図7における実験と類似した仕方で、脾臓細胞IFNγ生産に対するプラセボまたはCIIを給餌した別のマウス群へのピロキシカムの経口給餌の効果を評価するために、4つのマウス群(1群につきマウス4匹)に2週間にわたって8日間、以下のものをゾンデで給餌した:ピロキシカム(午前)−CII(午後);ピロキシカム(午前中)−HAc(午後);食塩水(午前)−CII(午後);または食塩水(午前)−HAc(午後)。1週間の休息後、すべてのマウスの尾の基部をCII−完全フロイント・アジュバント・エマルジョンで免疫した。14日後、マウスを犠牲にし、脾臓細胞を単離し、PBSまたはα1(II)CBペプチド混合物を用いて培養を始めた。72時間培養した後、回収した上清をELISAによりIFNγレベルについて分析した。
【0170】
CII+プラセボまたはピロキシカム+プラセボを給餌したマウスは、α1(II)CBペプチド混合物を用いてそれらの脾臓細胞をインビトロで培養したとき、低減されたIFNγ生産を有した。図8参照。しかし、経口CIIを給餌したマウスにピロキシカムを経口給餌したとき、インビトロでα1(II)CBペプチド混合物で刺激した脾臓細胞によるIFNγ生産レベルは、劇的に増加した。他の実験において、脾臓細胞によるIFNγ生産によって評価したところ、COX−2阻害剤SC236もDBA/1マウスにおけるCIIに対する経口寛容誘導を阻止することが判明した(データは示さない)。
【0171】
実施例5:COX−2阻害剤SC’236は経口寛容誘導を阻害する
マウス各8匹の群に、月火木金(MTTHF)×2週間、午前中に、PBSまたはSC’236(100μL PBS中、5μg/gm)をゾンデで給餌した。SC’236(Searle)は、COX−1に対してよりも約2000倍高くCOX−2に対して阻害性である。
【0172】
午前中にPBSを与えたマウス4匹および午前中にSC’236を与えた4匹に、午後、10μgのウシII型コラーゲン(CII)をゾンデで給餌した。午前PBSおよび午前SC’236群の中の他の4匹のマウスには、CIIを溶解したビヒクル中の0.1M酢酸(HAc)を午後にゾンデで給餌した。これらの8日の給餌後、すべてのマウスを1週間休息させ、その後、完全フロイント・アジュバント中のCII 100μgで免疫した。10日後、すべてのマウスを犠牲にし、脾臓細胞(2×10/ml)を単離し、PBSおよびウシα1(II)(50μg/ml)CB混合物を用いて培養を始めた。4日培養した後、上清を回収し、IFNγレベルをELISA(Endogen)によって決定した。α1(II)データのみをプロットするが、PBS+すべてのマウスからの脾臓細胞培養物は、1〜12pg/mlの間のIFNγを生産した。すべての群をスチューデント2サンプルt検定によってプラセボ対照群と比較した。
【0173】
図9に示すように、DBA/1マウスへのCIIの給餌は、経口寛容を誘導し、これは、α1(II)CB消化によって刺激された脾臓細胞によるIFNγ生産の有意な減少によって証明された(p<0.025)。対照的に、マウスへのSC’236の給餌は、α1(II)CB消化によってより低いIFNγ生産をもたらす結果となったが、SC’236+CIIをマウスに給餌すると、α1(II)CB消化を伴う培養脾臓細胞によるIFNγ生産の有意な増加(P<0.01)があった。SC’236も、COX−2を阻害するより〜2000倍小さい程度でではあるが、COX−1を阻害し得るという補足説明を考慮にいれると、これらのデータは、低用量の経口抗原に対する最適な寛容誘導にCOX−2が必須であるだろうことを示唆している。
【0174】
実施例6:経口寛容に対する持続的NSAID効果
ピロキシカムとCIIの慢性給餌が、DBA/1マウスにおいてCIIに対する寛容誘導に対して持続的効果を有するかどうかを判定するために、10〜11匹のDBA/1マウスの3つの群に、2週間のあいだに(上記のように)8用量のCIIの給餌を6ヶ月離して2回行った:ピロキシカム(2.4μg/gm)午前およびプラセボ(0.1M HAc、100μl)午後;プラセボ(食塩水)午前および天然ウシCII(10μg)午後;またはピロキシカム(2.4μg/gm)午前および天然ウシCII(10μg)午後。第二の8用量給餌の3ヶ月後、完全フロイント・アジュバント中で乳化させた100μgの天然ウシCIIでそれぞれのマウスを(尾の基部において皮内に)免疫した。マウスをコード付きケージに入れ、盲検観察者がそれらを関節炎罹患関節の数について週2回採点した。図10に示すように、CIIでの免疫後、第7および8週の時点で、9および3ヶ月前にピロキシカムとCIIを給餌したマウスの群は、プラセボとCIIを給餌したマウス群と比較して、有意に多い関節炎罹患関節を有した(カイ二乗分析により第8週の時点でp<0.04)。
【0175】
実施例7:ピロキシカムとCIIを給餌したマウスのGALT
マウスのこれら3群におけるGALTの状態を評価するために、パイエル板細胞をそれぞれの動物から単離し、組換えマウスIL2(10U/ml)を添加した正常DBA/1脾臓細胞(2×10/ml)を用いて四重反復試験で共培養を始めた(2.5×10/ml)。PBS(対照として)または50μg/mlウシα1(II)CBペプチド混合物を96丸底ウエルプレートの四重反復試験ウエルに添加した。3日後、培養物をHチミジンでパルス標識し、24時間後に濾紙に回収した。それぞれのマウスについてα1(II)CBペプチド混合物培養物のcpmをPBS対照培養物のcpmで割ることによって、それぞれのマウスについて「刺激係数」を計算した。図11に示すように、CIIのみまたはピロキシカムのみを給餌したマウスからのパイエル板細胞の共培養と比較して、ピロキシカムとCIIを給餌したマウスからの細胞は、α1(II)CBペプチド混合物によって顕著に刺激された(p<0.03)。さらに、マウスIL−2で刺激したとき、正常同系脾臓細胞(2×10/ml)との共培養でのDBA/1マウスまたはBalb/cマウスからのパイエル板細胞(2.5×10/ml)は、バックグラウンドcpmを超える脾臓細胞の刺激を生じさせないことを本発明者らは一貫して確認した。従って、α1(II)CBペプチド混合物の存在下でのDBA/1脾臓細胞でのパイエル板細胞の刺激指数の顕著な増加は、全く異例であり、予想外である。α1(II)CBペプチド混合物とそれぞれのマウスからの腸間膜リンパ節細胞(2×10/ml)の培養は、類似したパターンを示した(図12)。CIIまたはピロキシカムのいずれかを給餌したマウスからの腸間膜リンパ節細胞は、α1(II)CBペプチド混合物に応答して増殖しなかった。対照的に、ピロキシカム(piroxican)とCIIを給餌したマウスからの腸間膜リンパ節細胞はα1(II)CBペプチド混合物によって顕著に刺激された(図12)。
【0176】
さらに、BALB/cマウスにおいて経口OVA(1mg/日×5日)、およびDBA/1 lac Jマウスにおいて経口ウシCII(14日のあいだに10μg×8用量)を使用して、一般に使用されている免疫修飾薬の免疫誘導に対する効果を試験する研究を行った(プレドニゾン≦7.5mg/日、ヒドロキシクロロキン 400mg/日、メトトレキサート 17.5mg/週、100mg/日×3の負荷用量後にレフルノミド 20mg/日、スルファサラジン 2.5gm/日、D−ペニシラミン 750mg/日、IM−ゴールド、およびエタネルセプト 25mg 週2回)。これらの免疫修飾薬は、寛容を完全には抑制しなかったが、これらの免疫修飾薬を尚、使用してRA患者においてCIIに対する寛容を誘導することは実行可能であり得る。DBA/1 lac Jマウスでのプレドニゾン≧10mg/日当量およびオーラノフィンは、CIIに対するOT誘導を阻止した。
【0177】
実施例9:RAを有する患者において経口コラーゲンIIの投与は自己免疫を低下させる
II型コラーゲンのα1(II)を用いて培養したPBMCによるIFN−γ生産の≧30%低下と定義される免疫学的寛容を、患者において検査した。疾患修飾性抗リウマチ薬、抗−TNF剤および/または非ステロイド系抗炎症薬を使用している患者にミソプロストール 100μgを1日2回投与して、経口寛容の非ステロイド系抗炎症性阻害を逆転した。「低」または「高」用量のCIIの摂取に患者を無作為に割り付けた。低用量群(n=38)は、10週間、1日1回、30μg/日のウシCII、その後、10週間、50μg/日、そしてその後、10週間、70μg/日を摂取した。高用量群(n=41)は、10週間、90μg/日、10週間、110μg/日、そしてその後、10週間、130μg/日を摂取した。
【0178】
ベースラインでのおよびそれぞれの10週治療期間の後のヘパリン加血を得た。血液は、採血後1〜4時間以内に、ペニシリン(100u/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)を含有するRPMI 1640で1:3希釈され、紙で覆われ、「保冷剤」が入っているスタイロフォームボックスの中に入れられ、一晩、輸送された。それらの血液サンプルからPBMCを単離し、ウシα1(II)25μg/ml、PHA 10μg/mlを用いてまたは50ul PBSを用いて培養を始めた。培養中、6日後、無細胞上清を回収し、−70度で7ヶ月以下の間、保管し、その時点で所与の患者からのすべてのサンプルを市販ELISA(R & D Systems)によってIFNγについてアッセイした。結果を図13に示す。
【0179】
IFNγ刺激係数(SI)を
【0180】
【数2】

として計算した。それぞれの低用量(30μg、50μgおよび70μg/日)を摂取した患者についてのSIを、それぞれの10週治療の前のベースラインでの彼らのSIと比較し、高用量CII群(90μg、110μgおよび130μg/日)に関しても同様に、それぞれの10週治療の前のベースラインでの彼らのSIと比較した。
【0181】
IFNγ SIの顕著な抑制があった。30μg、50μg、110μgおよび130μg/日の経口CIIでの10週間治療の後、患者の≧62から69%は、α1(II)IFNγ SIの≧50%減少を示した。70μgおよび90μg/日の用量は、IFNγ SIを減少させず、70μg/日の用量は、ベースライン値と比較してIFNγ SIを有意に増加させた。
【0182】
さらに、これらのデータは、低用量のミソプロストールを与えると、患者がDMARD、抗−TNF剤およびNSAIDSを摂取している間に、給餌抗原(CII)に対する免疫応答低下として定義されるCIIに対する経口寛容が誘導され得ることを示した。30および50μg/日の用量は、より多くのカテゴリーで、より大きな低下を有した。
【0183】
用量応答は、30μg、50μgおよび110μg/日の経口CIIでIFNγ生産の最大抑制を示した。α1(II)刺激PBMCによるIFNγの≧50%減少を有した患者のパーセントについては、大部分の患者がこれらの用量で寛容化されるだろう(69%は、経口投与したCIIに対してα1(II)刺激IFNγ生産の≧50%減少を有した)。
【0184】
患者のさらなる分析は、30〜50μg/日の用量のCIIに対する経口CII非応答者30%がおり、および110〜130μg/日の用量に対する非応答者28%がいることを明らかにした(図13)。
【0185】
実施例10:経口CII寛容は応答および非応答と関係づけられる
任意の特定の遺伝子型をこのコホートにおいて経口CIIに対する応答または非応答と関係づけられるかどうかを調査するために、実施例9から24人の患者を選択した。
【0186】
患者から血液を採取し、その後、PBS対照PBMC培養物と比較してα1(II)刺激により≧2倍のIFNγ増加を生じさせたRA患者にウシCIIを経口投与した。単離したもの(10μg/mL)、ウシα1(II)(50μg/mL)、ウシα1(II)CB11(50μg/mL)をまたは25μlのPBSと共に添加して、ペニシリン(100μg/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)および9%ウシ胎仔血清を補足したダルベッコMEMの500μl 48ウエル組織培養プレートあたり2×10で培養した。6日後、上清を回収し、2000×Gで5分間、遠心分離し、IFNγのレベルを市販のELISA(R & D Systems)によって定量した。応答者と非応答者の間のIFNγレベルの差ならびにPHA、α1(II)およびα1(II)CB11についてのSIの差を、マン・ホイットニー順位和検定を用いて有意性について分析した。
【0187】
24人の患者のうち、16人の患者は、経口CIIに対して応答して、PBMC培養物によるα1(II)およびα1(II)CB11刺激IFNγ生産が減少し、8人の患者は、これらの抗原を用いるPBMC培養によってIFNγを減少させなかった。6日PBMC培養物中のPBS、α1(II)50μg/ml、α1(II)CB11 50μg/mlおよびPHA 10μg/mlに対する16人の応答者および8人の非応答者のベースラインIFNγレベルを表Iに与える。
【0188】
IFNγ刺激係数(S.I.)は、PHAについては次のように:
【0189】
【数3】

;α1(II)については次のように:
【0190】
【数4】

;およびα1(II)CB11については次のように:
【0191】
【数5】

計算した。
【0192】
表IIに示すように、CII経口寛容非応答者は、CII経口寛容応答者より低い平均ベースラインIFNγ α1(II)S.I.を有した(190±40対1800±520、p=0.002)。CII経口寛容非応答者は、CII経口寛容応答者より低い平均ベースラインIFNγ α1(II)CB11 S.I.を有した(1060±197対210±90、p=0.003)。ベースラインでのIFNγ PHA S.I.は、CII経口寛容応答者と非応答者とで差が無かった。
【0193】
【表2】

実施例11:マイクロアレイ評価はRA患者の遺伝子型の分析について正確なデータを生じさせた
経口寛容誘導に重要であることが公知の幾つかのサイトカインおよびケモカインの次に最も密接に関連したSNPの染色体上での頻度を見つけるために、経口CIIに対する16人の応答者および8人の非応答者のSNP分析を行った。16人の患者は、30μg/日、50μg/日、110μg/日または130μg/日のいずれかの用量のCIIに対してベースラインからIFNγ α1刺激係数の≧50%減少を有する者であった(「OT応答者」)。30μg/日、50μg/日、110μg/日または130μg/日の用量の経口CIIでIFNγ α1 S.I.が増加した8人の患者を選択した(「OT非応答者」)。
【0194】
市販の全ゲノム・マッピング・チップを使用して、時宜を得た経済的な様式で、可能性のある遺伝子座をマッピングした。市販のDNA抽出キット、Qiagenキット(カリフォルニア州、アラミダのQiagen Inc.)を製造業者の指示書に従って使用して、実施例2の2つの群のゲノムをDNA抽出によって分析した。エッペンドルフ光度計(ニューヨーク州、ウェストベリーのEppendorf Scientific Inc.)においておよび電気泳動によってDNAの質および量を決定した後、比率>1のOD260/280比および高い完全性を有するDNAを遺伝子型判定に用いた。それぞれのサンプルについて、Affy GeneGhip(登録商標)Mapping 10K 2.0 Array、SNPベースの遺伝子マッピングツール、を使用する遺伝子型判定のために、250ngのDNAを使用した。この10K 2.0アレイは、単一アレイ上に10,000より多くのヒト一塩基多型(SNP)の遺伝子型を含有する。このツールは、特定の形質または表現型、本発明者らの場合はCII経口寛容耐性、に結びつけられるまたは関係づけられるゲノムの領域を特定するために使用することができる。
【0195】
このプロトコルは、4つの主要手順を含む:インシリコ分画、マイクロアレイ上での予測フラグメントの合成、生化学的分画、ならびに対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションおよび遺伝子型コール。10,000の単一ヌクレオチドの2つの多型のそれぞれを表す2つの異なるシグナルを生成した。ソフトウェアが、単一ヌクレオチド10,000ごとに多型または遺伝子型を作り出す。すべてのサンプルの10,000SNPのそれぞれについての多型の遺伝子型が、表IIIに示すように、3つの型:ホモ接合I型、AA;ホモ接合II型、BB;およびヘテロ接合、AB、にコールされた。
【0196】
【表3】

表IIIは、15人の患者(男性9人、女性6人)の遺伝子型判定である。SNPの検出可能シグナル(single)は、大部分のサンプルにおいて99%より多く、これは、高い検出の質を示している。SNPコールは、10,000中の、認識することができたおよびデータをもたらしたSNPの百分率を示す。これらのサンプルにおけるSNPの90%より多くをこの実験によって検出した。これらの遺伝子型、AA、ABおよびBB、の配分は、それらのそれぞれについて約三分の一(33%)であった。
【0197】
実施例12:SNP A−1515737と経口CII応答者および非応答者との関連性
CII治療に対する非寛容原性応答に結びつく可能性のある多型を見つけるために、実施例3の患者の遺伝子型を経口CII応答者および非応答者群に分類した。それぞれの群について、3つの遺伝子型、AA、ABおよびBB、の総数を前記チップでそれぞれのSNPについて計算した。表IVは、これらの候補遺伝子のそれぞれにおけるSNPの遺伝子型比を示すものである。
【0198】
【表4】

表IVに示したように、8の候補遺伝子の20のSNPにおいて、大部分の遺伝子型パターンは、応答者と非応答者の間で同じであるか類似している。グルタミン酸デカルボキシラーゼ(decarboxylse)の第一のSNPのパターンは、14−0−0(AA−AB−BBについて)および10−0−0であり、第二のSNPは、2−8−4および1−6−3である。しかし、応答者群と非応答者群の間のSNP_A−1515737の遺伝子型配分には大きな差があり、応答者および非応答者についてそれぞれ1−9−6および6−1−1である。応答患者の大部分は、ヘテロ接合(従って、AG)またはBBのホモ接合(従って、GG遺伝子型)のいずれかの遺伝子型を有するが、非応答群における患者の大部分は、AA遺伝子型を有した。さらなる分析は、SNP_A−1515737に焦点を合わせた。
【0199】
SNP_A−1515737の配列は、次のとおりである:
【0200】
【化3】


【0201】
【化4】

は、多型部位である。従って、AAは、AAホモ接合を表し、その一方でABは、A/Gヘテロ接合を表し、およびBBは、GG遺伝子型を表し、A→Gは、多型部位を表す。
【0202】
実施例13:CII経口寛容応答者および非応答者患者の中でのSNP_A−1515737配分
応答者の遺伝子型パターンと非応答者の遺伝子型パターンを比較し、遺伝子型配分の有意差を見つけた。図14参照。P値を計算するために、3つの遺伝子型に数字を割り当てた。AA遺伝子型に1を割り当て、AB(従って、AG)に2を割り当て、およびBB(従って、GG遺伝子型)に3を割り当てた。これら仮定条件によると、SNP A−1515737のP値は、0.052に達した。
【0203】
24人の患者を、SNP A−1515737のAA遺伝子型(またはA→G)を有する者とAA遺伝子型を有さない(すなわち、ABまたはBBである)者とに群分けした。表VおよびVIは、2つの群に基づくデータをまとめたものである。表Vは、PHA、α1(II)、α1(II)CB11または無添加(PBS)で6日間刺激した6日上清PBMCにおけるベースラインIFNγを列挙するものである。SNP A−1515737 AAを有する患者は、SNP A−1515737 AAを有さない患者のもの(平均1674±505、マン・ホイットニー順位和検定によりp=0.028)と比較して、有意に低いIFNγ α1(II)S.I.値を有した(平均270±90)。SNP A−1515737 AAを有した7人の患者のうち、1人だけがCII経口寛容応答を有し、SNP A−1515737 GGを有した17人の患者のうちのさらに2人だけが非CII経口寛容応答者であった。
【0204】
【表5−1】

【0205】
【表5−2】

表VIに同じ患者を配置し、ベースラインおよび経口CII投与(10週間、30μg、50μgまたは110μg/日)後の彼らのIFNγ α1(II)S.I.を比較した。表VIに示すように、SNP A−1515737 AA(ROT1 AA)遺伝子型を有さなかった患者は、ベースライン値と比較して経口CII投与後にIFNγ α1(II)S.I.の有意な減少を有した(ウィルコキソン(Wilxocon)順位和検定によりp<0.001)。対照的に、SNP A−1515737 AAを有した患者は、経口CII治療後にIFNγ α1(II)S.I.の有意な変化を有さなかった(ウィルコキソン順位和検定によりp=0.230)。これは、経口CII後のIFNγ α1(II)S.I./ベースライン比としてデータを表すときにも反映された(p=0.011)。
【0206】
【表6−1】

【0207】
【表6−2】

【0208】
データをカイ二乗とフィッシャーの正確確率検定の使用によりデータを分析した。SNP A−1515737 AA遺伝子型を有する患者およびこの遺伝子型を有さない患者における経口CII応答者と非応答者の間には非常に有意な差(p=0.0017)がある(表VII)。
【0209】
【表7−1】

実施例14:応答者SNPと非応答者SNPとの差
A−1515737の近距離内の他のSNPの遺伝子型パターンも検査した。A−1515737に加えて、他に6つのSNPが同じゲノム領域内にある。それらのいずれもが、CII治療に対する応答または非応答との有意な関連性を有さない。例えば、DYRK2の5’側で146068bpおよび3’側:IFNγで350588bpであるSNP A−1508498は、DYRK2の5’側で265143bpおよびIFNγの3’側で231513bpであるA−1515737の非常に近くに位置する。応答者および非応答者の遺伝子パターンは、類似しており、それぞれ、8−−5――1および8−−2――0のAA、ABおよびBBを有する。
【0210】
それぞれの染色体に沿って平均10のSNP分離パターンを検査したが、いずれの分離パターンもCII応答との関連性の証拠はなかった。
【0211】
非応答組織適合性複合体(HLAクラスII組織適合性)に関連した8つのSNP事象を検査したが、分離バンドとCII応答の関連性の証拠はなかった。
【0212】
実施例15:他の自己免疫疾患におけるSNP A−1515737および経口寛容耐性とのつながり
500μg/日のCIを12か月間摂取した広汎性全身性硬化症(systemic sclerosis:SSc)を有する患者における経口I型コラーゲン(CI)の試験から26人の患者のサンプルを採取した。26のうち6は、A−1515737 AA遺伝子型を有した(表VII)。DMARD、生物製剤、NSAIDまたはプレドニゾンを用いている患者はいなかった。
【0213】
PBMCを患者から採取し、天然ウシCIおよびα2(I)CB混合物を用いて培養し、α1(I)CB混合物を用いるとIL−10生産不良に向かう傾向のPBMCが培養された。
【0214】
経口CIによって寛容化された患者は、CI、またはα1(I)もしくはα2(I)で刺激したPBMCによるTh2サイトカイン、IL−10のアップレギュレーションを有した。表VIIに示すように、SSc患者の中で、ROT1AA遺伝子型を有するSSc患者は、経口CIでの12ヶ月の治療後、SSc患者におけるα2(I)またはCI刺激PBMCによってIL−10生産をアップレギュレートしなかった。SNP A−1515737を53人のさらなるSSc患者においても検査し、AAの全普及率が32%であり、35%がGGであり、および30%がGAであることが判明した。RA患者のように、AAを有するSSc患者は、α2(I)刺激PBMCによるIFNγ生産のアップレギュレーションをあまり示さなかった(表VIIおよびVIII)。
【0215】
【表7−2】

【0216】
【表8】

実施例16:ROT1 AAを有するまたは有さないSSc患者についての12か月の経口CIおよび12か月後のIL−10生産
ROT1 AA、GGまたはGA遺伝子型を有する患者において、12か月間、経口CIを摂取した後のα1(I)CB混合物、α2(I)CB混合物または天然CIによって刺激したIL−PBMC培養物のIL−10を測定し、経口CIをSSc患者に投与する前のベースラインでの同じ抗原で刺激したPBMC培養物の上清中のIL−10の値を引いた。
【0217】
12か月間、経口ウシCIを500ug/日を摂取したROT1 AA遺伝子型を有する患者は、天然ウシCIおよびα2(I)CB混合物を用いて培養したときには彼らのPBMCによるIL−10生産の不十分なアップレギュレーション、およびα1(I)CB混合物を用いて培養するとPBMCのIL−10生産不良に向かう傾向を有した。これは、ROT1 AAがタンパク質抗原に対する経口寛容減損と関係づけられることを明示している。表IX参照。
【0218】
【表9】

実施例17:クローン病を有する患者および家族構成員におけるROT1遺伝子型
クローン病および/または潰瘍性大腸炎を有する患者および/または家族構成員ならびにIBDおよび他の公知自己免疫疾患を有さない健常対照においてSNP A−1515737(ROT1)遺伝子型を評価した。表Xは、口内スワブからのDNAを使用してクローン病における前記遺伝子型結果をまとめたものであり、クローン病を有する患者についてのROT1 AAの配分が91.67%であることを示している。
【0219】
【表10】

遺伝子型判定をしたすべてのクローン病患者および彼らの一親等親族のうち、91.67%がROT1AAを有する。これは、ROT1AAがクローン病における経口寛容性耐性に関係づけられることを明示している。
【0220】
12人のクローン病および一親等親族におけるROT1AAの普及率(91.6%)は、SScを有する患者79人(31.6%)、RAを有する患者54人(38.9%)および健常対照におけるもの(35.7%)より高かった(表XI参照)。
【0221】
【表11】

実施例18:広汎性SScを有する患者の31%にROT1遺伝子型が存在する
広汎性SScを有するすべての患者についての貯託(banked)PBMC細胞ペレットを鑑定し、32%がROT1 AAについてホモ接合であることが判明し、35%がROT1 GGについてホモ接合であり、および30%がヘテロ接合ROT1 GAであった。
ROT1 AAを有するSSc患者は、α1(I)刺激PBMCによるIFNγ生産のアップレギュレーションをあまり示さなかった。12ヶ月でのII相経口CI寛容性臨床試験において、この臨床試験に登録した168人のうち79人のSSc患者を遺伝子型判定した。23のROT1AA遺伝子型のうち7つは、遅発相カテゴリーに入り、結果から削除した。完了者の再分析は、ウィルコキソン順位和検定を用いてプラセボ治療患者と比較したとき、CI治療患者におけるベースライン値からの12ヶ月の時点でのMRSSの変化に関して有意な差を示す(図16参照)。
【0222】
【表1−2】

【0223】
【表1−3】

【0224】
【表1−4】

【0225】
【表1−5】

【0226】
【表12】

【0227】
【表13】

【0228】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのSNPについてスクリーニングする工程を含む、免疫寛容の発現に対する感受性についてスクリーニングするための方法。
【請求項2】
前記スクリーニング方法が、FISHを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スクリーニング方法が、DNAアレイの使用を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スクリーニング方法が、ポリヌクレオチドプローブをハイブリダイゼーションする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的増幅、塩基配列決定、5’ヌクレアーゼ消化、分子ビーコンアッセイ、オレゴヌクレオチドライゲーションアッセイ、サイズ分析、および一本鎖高次構造多型から成る群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのSNPの存在または非存在と宿主への1つまたは複数の抗原の投与の結果として免疫寛容を発現する該宿主の能力を関連させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記宿主がヒトである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つまたは複数の治療薬が、少なくとも1つの抗原を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの抗原がコラーゲンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コラーゲンが、I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIII、XXIV、XXV、XXVI、XXVIIおよびXXVIIIから成る群の型より選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
宿主の免疫寛容の発現に対する感受性についてのスクリーニング方法であって、
a.核酸を含む前記宿主からのサンプルを得る工程;
b.前記サンプルから核酸を単離する工程;
c.少なくとも1つのSNPの存在または非存在について前記サンプルをアッセイする工程であって、該少なくとも1つのSNPの存在または非存在が、免疫寛容の発現に対する感受性の増大の指標を示す工程、
を含む方法。
【請求項12】
前記宿主がヒトである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルが、全血、血漿、尿、涙、精液、唾液、頬粘膜、間質液、リンパ液、髄膜液、羊水、腺液、痰、糞便、汗、粘液、膣分泌物、脳脊髄液、毛髪、皮膚、排泄物、創傷滲出物、創傷ホモジネート、および創傷液から成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫寛容が、前記宿主への少なくとも1つの抗原の投与によって誘導される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つまたは複数の抗原がコラーゲンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コラーゲンが、I、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、XX、XXI、XXII、XXIII、XXIV、XXV、XXVI、XXVIIおよびXXVIIIから成る群の型より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記発現される免疫寛容が、硬化性疾患に対するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記硬化性疾患が、全身性硬化症である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのコンピュータシステムと共に使用するための少なくとも1つのコンピュータプログラムをさらに含み、該コンピュータプログラムが、
a.前記少なくとも1つのSNPの存在または非存在の識別を支援するための少なくとも1つの指示;
b.前記少なくとも1つのSNPの存在または非存在を少なくとも1つの疾病状態と関連づけるための少なくとも1つの指示;および
c.前記少なくとも1つのSNPの存在または非存在と、宿主の免疫寛容の発現に対する感受性を示す評点とを関連づけるための少なくとも1つの指示
を含む、複数の指示を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記コンピュータプログラムが、前記複数の指示の結果を含むレポートをさらに生成する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記レポートが、ネットワークを通じて送信される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記レポートが、オン・ライン・ポータルを通して送信される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記レポートが、紙またはe−メールによって送信される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記レポートが、安全保護様式で送信される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記レポートが、データベースに記憶される、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの治療薬を投与する方法であって、
a.宿主の核酸における1つまたは複数のSNPの遺伝子型を判定する工程、
b.前記1つまたは複数のSNPと1つまたは複数の疾患または障害とを関連づける工程、
c.数学アルゴリズムを用いて、前記宿主が、少なくとも1つの治療薬の投与に対して陽性にまたは陰性に応答する確率を決定する工程、および
d.前記数学アルゴリズムの結果に基づく前記宿主に治療薬を投与する工程かまたは投与しない工程、
を含む方法。
【請求項27】
1つまたは複数の抗原を評価する臨床試験を行うための方法であって、
a.1つまたは複数の疾患または障害に関連する1つまたは複数のSNPの遺伝子型を判定する工程;
b.前記遺伝子型判定結果を分析する工程;
c.前記遺伝子型判定結果に基づいて行動方針を決定する工程であって、前記行動方針は、
i.個体を、該個体が前記1つまたは複数の抗原に応答する可能性が高い工程を示した前記遺伝子型判定結果に基づいて、前記臨床試験に組み入れる工程、および/または
ii.個体を、該個体が前記1つまたは複数の抗原に応答する可能性が低いことを示した前記遺伝子型判定結果に基づいて、前記臨床試験への参加から除外する工程
を含む工程、
を含む方法。
【請求項28】
自己免疫疾患を発現するリスクの改変を有する個体を同定するための方法であって、前記個体の核酸において配列番号:1の一塩基多型(SNP)を検出する工程を含み、前記SNPの存在は、自己免疫疾患についてのリスクの改変と関連する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−520425(P2011−520425A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505254(P2011−505254)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/041134
【国際公開番号】WO2009/146213
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(507301165)ザ ユニバーシティー オブ テネシー リサーチ ファウンデーション (5)
【Fターム(参考)】