説明

一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、および一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の調製方法、およびそれらの使用

本発明は、ホスフィン酸ソース物質(I)を、オレフィン(IV)を用いて、触媒Aの存在下で、アルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)に変換するステップと、次いでこれをC=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物を用いて、化合物(III)タイプ、式中、R、R、R、R、R、Rは、同じであるか、または異なっており、相互に独立して何よりも特にH、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アラルキルを意味し、Xは、何よりも特にH、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、および/またはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、Hを表わし、Aは、OH、NH、NHR、NR、またはO−CO−Rを意味し、Wは、鉱酸、カルボン酸、ルイス酸、または有機酸を表わし、nは、0から4の整数または分数を表わし、さらに触媒Aは、各種遷移金属、および/または各種遷移金属化合物、および/またはいずれか一つの遷移金属および/またはいずれか一つの遷移金属化合物に、少なくとも一つのリガンドを結合した触媒系であり、に変換するステップとからなることを特徴とする、一官能化ジアルキルホスフィン酸、そのエステルおよびその塩を製造する方法、ならびにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、および一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の調製方法、ならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、フェニル亜ホスホン酸誘導体もしくはメチル亜ホスホン酸誘導体に不飽和化合物を付加することにより、一官能化ジアルキルホスフィン酸を入手している。酢酸アルケニルをメチル亜ホスホン酸誘導体に付加することが知られている。フェニル亜ホスホン酸誘導体ならびにメチル亜ホスホン酸誘導体については、これまで、リンハロゲン化合物(三塩化ホスホリル)を使用しない限り、入手が不可能であるが、それというのも、二重結合を持つ反応物(オレフィン、アルデヒド、ケトンなど)の直接的な付加反応によっては、これらの代表物質がもたらされないためである。
【0003】
次亜リン酸またはその塩もしくは誘導体にオレフィンを段階的に付加して、不斉ジアルキル酸を得ることは余り知られていないが、アルキルホスフィン酸エステルまたはアリールホスフィン酸エステルの非活性化アルファオレフィンへのラジカル付加反応の収率が芳しくない上に、望ましくないテロマー副生物が生じることから、好ましくない。ほかにもこの付加反応は、選択的な段階的付加反応ではなく、それにより同じオレフィンの二重付加を来たし、対称なジアルキルホスフィン酸の形態をとる副生物の比率はかなりのものとなる。
【0004】
ラジカル付加反応によらずに調製されるエチルホスフィン酸の官能性誘導体およびエチルホスフィン酸のアミン官能化誘導体は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、および一官能化ジアルキルホスフィン酸塩をハロゲンフリーで調製する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、
a)ホスフィン酸ソース物質(I)
【0007】
【化1】

を、オレフィン(IV)
【0008】
【化2】

を用いて、触媒Aの存在下で、アルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)に変換するステップ、
【0009】
【化3】

b)そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)を、C=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物を用いて、
【0010】
【化4】

タイプの化合物(III)、式中、R、R、R、R、R、Rは、同じであるか、または異なっており、相互に独立して、H、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アラルキル、C〜C18−アルキルアリール、CN、CHO、OC(O)CHCN、CH(OH)C、CHCH(OH)CH、9−アントラセン、2−ピロリドン、(CHOH、(CHNH、(CHNCS、(CHNC(S)NH、(CHSH、(CHS−2−チアゾリン、(CHSiMe、CHR(CHCH、C(O)R、(CHC(O)R、CH=CHR、RC=CHR、および/またはCH=CH−C(O)Rを意味しており、但し式中RはH、C〜C−アルキル、またはC〜C18−アリールを表わし、mは0から10の整数を意味しており、Xは、H、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アラルキル、C〜C18−アルキル−アリール、(CHOH、CH−CHOH−CHOH、(CHO(CHH、(CH−CH(OH)−(CHH、(CH−CHO)H、(CH−C[CH]HO)H、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)H、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)H、(CH−CHO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)−アルキル、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)O−アルキル、(CH−CH=CH(CHH、(CHNH、および/または(CHN[(CHH]を表わしており、但し式中kは、0から10の整数を意味する、および/または、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、H、および/またはプロトン化窒素塩基を表わしており、Aは、OH、NH、NHR、NR、またはO−CO−Rを意味し、RはRからRと同義であり、Wは、鉱酸、カルボン酸、ルイス酸、または有機酸を表わしており、nは0から4の整数または分数を表わしており、さらに触媒Aは、各種遷移金属、および/または各種遷移金属化合物、および/またはいずれか一つの遷移金属および/またはいずれか一つの遷移金属化合物に、少なくとも一つのリガンドを結合した触媒系であり、
に変換するステップ
からなることを特徴とする、一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、および一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の調製方法により解決される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ステップb)においては、そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)と、先ずC=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物との変換反応を行い、続いて、NHR、NHR、NH、またはそれらの塩との変換反応を行うことが好ましい。
【0012】
あるいはその代わりに、ステップb)においては、そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)と、C=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物との変換反応、およびNHR、NHR、NH、またはそれらの塩との変換反応が同時に行われるようになっている。
【0013】
式(III)の化合物から、AがO−CO−Rを意味する場合には、触媒Bの存在下で、原子団RCOYが脱離されることが好ましい。
【0014】
ステップb)により得られる一官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩またはそのエステル(III)を、引き続きステップc)において、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kの金属化合物、および/またはプロトン化窒素塩基を用いて、これらの金属および/または窒素化合物の対応する一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)に変換することが好ましい。
【0015】
ステップa)に従って得られるアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)、および/または、ステップb)に従って得られる一官能化ジアルキルホスフィン酸、エチレンジアルキルホスフィン酸塩、またはエチレンジアルキルホスフィン酸エステル(III)、および/または、それぞれ結果として生じるそれらの反応液は、酸化アルキレンまたはアルコールM−OHおよび/またはM’−OHとエステル化されて、それぞれ生じるアルキル亜ホスホン酸エステル(II)および/または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)を、さらなる反応ステップb)またはc)にまわされることが好ましい。
【0016】
〜C18−アリール基、C〜C18−アラルキル基、およびC〜C18−アルキルアリール基は、SO、−C(O)CH、OH、CHOH、CHSO、PO、NH、NO、OCH、SH、および/またはOC(O)CHで置換されていることが好ましい。
【0017】
、R、R、R、R、R、Rは同じであるか、または異なっており、相互に独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、および/またはフェニルを意味することが好ましい。
【0018】
Xは、H、Ca、Mg、Al、Zn、Ti、Fe、Ce、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、フェニル、エチレングリコール、プロピルグリコール、ブチルグリコール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、アリルおよび/またはグリセリンを意味することが好ましい。
【0019】
遷移金属および/または遷移金属化合物は、第VIIB族および第VIIIB族由来のものであることが好ましい。
【0020】
遷移金属および/または遷移金属化合物は、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金および/またはルテニウムであることが好ましい。
【0021】
Wは、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、パルミチン酸、ステアリン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリブチルボラン、またはトリフェニルボランを意味することが好ましい。
【0022】
一般式M−OHのアルコールは、C〜C18の炭素鎖長を有する直鎖または分枝鎖、飽和および不飽和の一価有機アルコールであり、一般式M’−OHのアルコールは、C〜C18の炭素鎖長を有する直鎖または分枝鎖、飽和および不飽和の多価有機アルコールであることが好ましい。
【0023】
触媒Bは、金属、金属水素化物、金属水酸化物、および/または金属アルコキシドであることが好ましい。
【0024】
触媒Bは、リチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはナトリウムブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、またはカリウムブトキシドであることが好ましい。
【0025】
本発明はまた、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法に従って調製された一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルおよび一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の、さらなる合成のための中間体としての使用、結合剤としての使用、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応時の架橋剤または促進剤としての使用、ポリマー安定剤としての使用、農薬としての使用、ヒトおよび動物用の治療薬または治療薬添加剤としての使用、金属イオン封鎖剤としての使用、鉱油添加剤としての使用、防食剤としての使用、洗剤およびクリーニング剤用途における使用、エレクトロニクス用途における使用、ポリエステル用の重合触媒としての使用、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維用の共重縮合可能な難燃剤としての使用、ポリエステルマスターバッチとしての使用、ポリマー用の熱安定剤、光安定剤としての使用、アンギオテンシン転換酵素阻害剤用の中間体としての使用、細胞機能に影響を与えて、免疫性、炎症性、神経性その他の疾患の治療目的での、アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤としての使用、またはこれを調製するための中間体としての使用、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤としての使用、またはこれを調製するための中間体としての使用、高血圧を治療するためのエポキシドヒドロラーゼの阻害剤としての使用、またはこれを調製するための中間体としての使用、繊維の前処理および繊維の表面変性の目的での使用にも関する。
【0026】
本発明は同様に、請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、および一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)の、難燃剤、特にクリアコートおよび発泡性防炎塗料用の難燃剤、木材および他のセルロース含有製品用の難燃剤としての使用、ポリマー用の反応性および/または非反応性難燃剤としての使用、難燃性ポリマー成形材料の製造目的での使用、難燃性ポリマー成形体の製造目的での使用、および/または、含浸により、ポリエステル、およびセルロースの純紡および混紡織物に難燃加工を施す目的での使用にも関する。
【0027】
本発明はまた、各成分を合計すると100重量%になるとして、請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを0.5〜45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5〜99重量%、添加剤を0〜55重量%、および、増量剤もしくは強化材を0〜55重量%含有する、難燃性の熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料を含む。
【0028】
最後に、本発明はさらに、各成分を合計すると100重量%になるとして、請求項1〜15のいずれか一つに従って調製されるエチレンジアルキルホスフィン酸、エチレンジアルキルホスフィン酸塩、または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを0.5〜45重量%、熱可塑性ポリマーまたは熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5〜99重量%、添加剤を0〜55重量%、ならびに増量剤もしくは強化材を0〜55重量%を含有する、難燃性の熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸およびポリマー繊維にも関する。
【0029】
mは1〜10であり、kは2〜10であることが好ましい。nは0、1/4、1/3、1/2、1、2、3および4であることが好ましい。
【0030】
変換反応は全て、段階的に実施されるようにしてもよい。同様に、工程のさまざまな段階において、その時々に結果として生じた反応液が使用されるようにしてもよい。
【0031】
C=X二重結合を持つ好ましい化合物は、C=O二重結合を持つ化合物であるが、ここでは、RC=OタイプのケトンまたはRCHOタイプのアルデヒドが好ましい。
【0032】
適切なアルデヒドは例えば、アセトアルデヒド、ベンジルグリセリンアルデヒド、ブチルアルデヒド、デカナール、ホルムアルデヒド、グルタルジアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、グリオキシル酸一水和物、ヘキサナール、イソブチルアルデヒド、ラウリンアルデヒド、3−メチルブチルアルデヒド、オクタナール、エナントアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ペラルゴンアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、プロピオンアルデヒド、2,5,7,7−テトラメチルオクタナール、ウンデカナール、バレルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、クロトンアルデヒド、トランス−2−ヘキセナール、アルファ−メチルシンナムアルデヒド、トランス−2−ペンテナール、シンナムアルデヒド、4−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、2−ベンジルオキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジメトキシベンズアルデヒド、エチルバニリン、2−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−6−メトキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、4−アセトアミドベンズアルデヒド、4−アセトキシベンズアルデヒド、アントラセン−9−カルボアルデヒド、ビフェニル−4−カルボアルデヒド、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、3,5−ジメチルベンズアルデヒド、イソフタルジアルデヒド、4−イソプロピルベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、ナフタレン−1−カルボアルデヒド、ナフタレン−2−カルボアルデヒド、フタルアルデヒド酸、フタルジアルデヒド、テレフタルアルデヒド酸、テレフタルジアルデヒド、2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド、フルフラール、インドール−3−カルボアルデヒド、1−メチルピロル−2−カルボアルデヒド、ピリジン−2−カルボアルデヒド、ピリジン−3−カルボアルデヒド、ピリジン−4−カルボアルデヒド、ピロル−2−カルボアルデヒドである。
【0033】
好ましいケトンは、アセトン、ジイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン;メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトンである。
【0034】
好ましいアルデヒドは、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒドである。
【0035】
方法の代替構成形態の一例では、ステップa)において行われた変換反応の後に、ステップb)において、化合物(II)を、C=X二重結合を持つさまざまな化合物を用いて触媒Bの存在下で、先ず式(III)の化合物―式(III)中のAは、O−CO−Rだけを意味する―に変換し、次いで原子団RCOYを脱離させるようになっている。
【0036】
一官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩およびエステル(III)からのRCOYのこの脱離反応は、酸または塩基を使用して、水の存在下で、酸性またはアルカリ性加水分解を行うことにより達成されるが、式中Yは、H、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、H、および/またはプロトン化窒素塩基を表わしている。
【0037】
C=X二重結合を持つ化合物が、C=C二重結合を持つ化合物である場合は、RおよびR10が同じであるか、または異なっており、相互に独立してH、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アラルキル、C〜C18−アルキルアリール、CN、CHO、OC(O)CHCN、CH(OH)C、CHCH(OH)CH、9−アントラセン、2−ピロリドン、(CHOH、(CHNH、(CHNCS、(CHNC(S)NH、(CHSH、(CHS−2−チアゾリン、(CHSiMe、CHR(CHCH、C(O)R、(CHC(O)R、CH=CHRおよび/またはCH=CH−C(O)Rを意味しており、式中RはH、C〜C−アルキルまたはC〜C18−アリールを表わし、mは0から10の整数を意味するとしたとき、R10C=C(R)−O−CO(R)タイプの化合物であることが好ましい。
【0038】
C=C二重結合を持つ好ましい化合物は、ビニルアセテート、1−プロペニルアセテート、1−ブテニルアセテート、ビニルプロピオネート、1−プロペニルプロピオネート、1−ブテニルプロピオネート、ビニルブチレート、1−プロペニルブチレート、1−ブテニルブチレート、ビニルピバレート、1−プロペニルピバレート、1−ブテニルピバレート、ビニルベンゾエート、1−プロペニルベンゾエート、1−ブテニルベンゾエート、ビニルシンナメート、1−プロペニルシンナメート、1−ブテニルシンナメート、ビニルステアレート、1−プロペニルステアレート、1−ブテニルステアレート、ビニルラウレート、1−プロペニルラウレート、1−ブテニルラウレートである。
【0039】
触媒Bは、C=C二重結合を持つ各化合物に対して0.05から110mol%の量で使用されることが好ましい。
【0040】
触媒Bは、リン含有化合物(II)に対して0.001から110mol%の量で使用されることが好ましい。
【0041】
適切な溶媒は、工程ステップa)において使用されるような溶媒である。
【0042】
触媒Bは、リン含有化合物(II)に対して、毎時0.01から110mol%の触媒という速度で、調量して添加されることが好ましい。
【0043】
アルキル亜ホスホン酸(II)とC=C二重結合を持つ化合物との変換反応は、0から250℃の温度で、非常に好ましくは20から200℃で、特に50から150℃で行われることが好ましい。
【0044】
C=C二重結合を持つ化合物との変換反応時の雰囲気は、50から99.9重量%まで、好ましくは70〜95%、溶媒成分とC=C二重結合を持つ化合物とからなることが好ましい。
【0045】
一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)が得られる場合は、鉱酸を用いてこれを対応する酸に変換して、アルコールM−OHもしくはM’−OHまたは酸化アルキレンを用いてエステル化するとよい。
【0046】
一官能化ジアルキルホスフィン酸(III)が得られる場合は、塩基を用いてこれを一官能化ジアルキルホスフィン酸塩に変換するとよい。
【0047】
適切な鉱酸は、例えば塩酸、硫酸、硝酸、またはリン酸、もしくはこれらの酸の混合物である。
【0048】
酸性またはアルカリ性加水分解は、水および不活性溶媒の存在下で実行できるようにすることが好ましい。適切な不活性溶媒は、工程ステップa)に記載の溶媒であるが、好ましいのは、1から6個の炭素原子を有する低分子量のアルコールである。飽和脂肪族アルコールの使用は、非常に好ましい。適切なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−3−ブタノール、3−メチル−1−ブタノールまたは2−メチル−1−ブタノールである。
【0049】
アルカリ性加水分解を実施するための好ましい塩基は、例えばリチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシドまたはカリウムブトキシドなどの、金属、金属水素化物、および金属アルコキシドに加え、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、および水酸化アンモニウムである。水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化バリウムが使用されることが好ましい。
【0050】
酸性加水分解を実施するための好ましい鉱酸は、例えば硫酸、硝酸、塩酸、リン酸またはそれらの混合物である。硫酸または塩酸が使用されることが好ましい。
【0051】
加水分解を実施する際には、水が存在することが必須である。水の量は、最小量としての化学量論的必要量から、過剰量に達していてもかまわない。
【0052】
加水分解は、リン/水のモル比1:1から1:1000まで、非常に好ましくは1:1から1:10までで行われると好適である。
【0053】
加水分解は、リン/塩基またはリン/酸のモル比1:1から1:300まで、非常に好ましくは1.1から1:20までで行われると好適である。
【0054】
使用されるアルコール量は一般に、一官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩またはエステル(III)1kg当たり0.5kgから1.5kg、好ましくは0.6kgから1.0kgである。
【0055】
反応温度は、50から140℃、好ましくは80から130℃である。
【0056】
変換反応は、1から100barの全圧で、非常に好ましくは1から10barの全圧で行われることが好ましい。
【0057】
反応時間は、0.2から20時間、非常に好ましくは1から13時間であることが好ましい。
【0058】
方法のさらにもう一つの変形例では、ステップb)において、化合物(II)と、C=X二重結合を持つ化合物との変換反応が、NHR、NHR、NH、またはそれらの塩との変換反応と同時に、または相前後して行われるようになっている。
【0059】
適切な塩は、NHR、NHR、NHと、塩酸、硫酸、硝酸、または、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、パルミチン酸、ステアリン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリブチルボランまたはトリフェニルボランとの変換反応から誘導される。
【0060】
NHRの好ましい代表物質は、NHEt、HNCH(C、またはそれらの塩である。
【0061】
基Rは、鉱酸との反応により、または触媒Cの存在下での水素との変換反応により、一官能化ジアルキルホスフィン酸、そのエステルまたはその塩(III)から脱離されることが好ましい。
【0062】
基Rの脱離反応のための好ましい鉱酸は、かなり前のところに記載した鉱酸である。
【0063】
好ましいRの触媒脱離反応は、水素を用いて、触媒Cおよび場合によっては助触媒の存在下で行われる。
【0064】
工程ステップb)のために、一官能化ジアルキルホスフィン酸誘導体(III)を、水素および場合によって助触媒を用いて、一官能化ジアルキルホスフィン酸誘導体(III)に変換するために使用されるような触媒Cは、好ましくは触媒Aであるとよい。
【0065】
触媒Aに関して列記したリガンドに加えて、次の化合物も使用することができる:ジフェニル−p−トリルホスフィット、ジフェニル−m−トリルホスフィット、またはジフェニル−o−トリルホスフィット、ジ−p−トリルフェニルホスフィット、ジ−m−トリルフェニルホスフィット、またはジ−o−トリルフェニルホスフィット、m−トリル−o−トリル−p−トリルホスフィット、o−トリル−p−トリルフェニルホスフィットまたはo−トリル−m−トリルフェニルホスフィット、ジ−p−トリル−m−トリルホスフィットまたはジ−p−トリル−o−トリルホスフィット、ジ−m−トリル−p−トリルホスフィットまたはジ−m−トリル−o−トリルホスフィット、トリ−m−トリルホスフィット、トリ−p−トリルホスフィット、またはトリ−o−トリルホスフィット、ジ−o−トリル−m−トリルホスフィットまたはジ−o−トリル−p−トリルホスフィット;トリス(2−エチルヘキシル)ホスフィット、トリベンジルホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリ−n−ブチルホスフィット、トリエチルホスフィット、トリ−ネオペンチルホスフィット、トリ−i−プロピルホスフィット、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィット、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフィット、ジエチルトリメチル−シリルホスフィット、ジイソデシルフェニルホスフィット、ジメチルトリメチルシリルホスフィット、トリイソデシルホスフィット、トリス(tert−ブチルジメチルシリル)ホスフィット、トリス(2−クロロエチルホスフィット、トリス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)ホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフィット、トリス(トリメチルシリル)ホスフィット、2,2−ジメチルトリメチレン−フェニルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、トリメチロールプロパンホスフィット(Triimethylolpropanphosphit)、ベンジルジエチルホスフィット、(R)−ビナフチルイソブチルホスフィット、(R)−ビナフチルシクロペンチルホスフィット、(R)−ビナフチルイソプロピルホスフィット、トリス(2−トリル)ホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、およびメチルジフェニルホスフィット;(11aR)−(+)−10,11,12,13−テトラヒドロ−ジインデノ[7,1−de:1’,7’−fg][1,3,2]ジオキサホスホシン(dioxaaphosphocin)−5−フェノキシ、4−エチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ[2.2.2]オクタン、(11bR,11’bR)−4,4’−(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス−ジナフト[2,1−d:1’,2’−f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、(11bR、11’bR)−4,4’−(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス−ジナフト[2,1−d:,1’,2’f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、(11bS,11’bS)−4,4’−(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)ビス−ジナフト[2,1−d:1’,2’−f][1,3,2]ジオキサ−ホスフェピン、(11bS,11’bS)−4,4’−(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス−ジナフト[2,1−d:1’,2’−f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、1,1’ビス[(11bR)−および1,1’ビス[(11bS)−ジナフト[2,1−d:1’,2’−f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−4−イル]フェロセン;ジメチルフェニルホスホニット、ジエチルメチルpホスホニット、およびジエチルフェニルホスホニット、およびジイソプロピルフェニルホスホニット;ジメチルフェニルホスフィニット、ジイソプロピルフェニルホスフィニット、エチルジフェニルホスフィニット、およびメチルジフェニルホスフィニット。
【0066】
触媒Aに関して列記した二座リガンドに加えて、次の化合物も使用することができる:1,2−ビス(ジアダマンチルホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ジ−3,5−ジメチルアダマンチル−ホスフィノメチル)ベンゼン、1,2−ビス(ジ−5−tert−ブチルアダマンタイルホスフィノメチル(butyladamantaylphophinomethyl))ベンゼン、1,2−ビス(1−アダマンチルtert−ブチルホスフィノメチル)ベンゼン、1−(ジ−tert−ブチルホスフィノ−メチル)ベンゼンおよび1−(ジアダマンチルホスフィノメチル)−2−(ホスファアダマンチルホスフィノ−メチル)ベンゼン、1,2−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノメチル)−フェロセン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノメチル)−フェロセン、1,2−ビス(ジ−イソブチルホスフィノメチル)フェロセン、1,2−ビス(ジシクロペンチルホスフィノメチル)フェロセン、1,2−ビス−(ジエチルホスフィノメチル)−フェロセン、1,2−ビス(ジイソプロピルホスフィノメチル)フェロセン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノメチル)フェロセン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェノキシホスフィン)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−p−メチルフェノキシホスフィン)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−o−メチルフェノキシホスフィン)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェノキシホスフィン)−2,7−ジ−tert−ブチルキサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−o−メチルフェノキシホスフィン)−2,7−ジ−tert−ブチルキサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−p−メチルフェノキシホスフィン)−2,7−ジ−tert−ブチル−キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)−2,7−ジ−tert−ブチルキサンテン、1,1’−ビス(ジフェノキシホスフィン)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−o−メチルフェノキシ)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−p−メチルフェノキシホスフィン)フェロセン、1,1’−ビス(ジ−1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)フェロセン、2,2’−ビス(ジフェノキシホスフィン)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−o−メチルフェノキシホスフィン)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−メチルフェノキシホスフィン)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)−1,1’−ビナフチル、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェノキシホスフィン)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジ−o−メチルフェノキシホスフィン)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジ−p−メチルフェノキシホスフィン)、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジ−1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)、2,2’−ビス(ジフェノキシホスフィン)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−o−メチルフェノキシホスフィン)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−p−メチルフェノキシホスフィン)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジ−1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)−1,1’−ビフェニル、1,2−ビス(ジ−(1,3,5,7−テトラメチル−6,9,10−トリオキサ−2−ホスファアダマンチルメチル)フェロセン、1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S,4S)−2−[(ジフェニル−ホスフィノ)メチル]−4−(ジベンゾホスホリル)ピロリジン、1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S,4S)−2−[(ジベンゾホスホリル)メチル]−4−(ジフェニルホスフィノ)ピロリジン、1−(tert−ブトキシカルボニル)−(2S,4S)−4−(ジベンゾホスホリル)−2−[(ジベンゾホスホリル)メチル]−ピロリジン、ビナホス、ケリフィット(Kelliphit)、シラフィット(Chiraphit)、ビス−3,4−ジアゾホスホラン;ビス(2,5−トランスジアルキルホスホラン)、ビス(2,4−トランス−ジアルキルホスフェタン)、1,2−ビス(フェノキシホスフィン)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシホスフィン)エタン、1,2−ビス(2−メチルフェノキシホスフィン)エタン、1,2−ビス(1−メチルフェノキシホスフィン)エタン、1,2−ビス(1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)エタン、1,3−ビス(フェノキシホスフィン)プロパン、1,3−ビス(3−メチルフェノキシホスフィン)プロパン、1,3−ビス(2−メチルフェノキシホスフィン)プロパン、1,3−ビス(1−メチルフェノキシホスフィン)プロパン、1,3−ビス(1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)プロパン、1,4−ビス(フェノキシホスフィン)ブタン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシホスフィン)ブタン、1,4−ビス(2−メチルフェノキシホスフィン)ブタン、1,4−ビス(1−メチルフェノキシホスフィン)ブタン、1,4−ビス(1,3,5−トリメチルフェノキシホスフィン)ブタンなどのビス(ホスホラン)リガンド。
【0067】
使用される一官能化ジアルキルホスフィン酸(III)に対する触媒Cの割合は、0.00001から20mol%、非常に好ましくは0.0001から10mol%であることが好ましい。
【0068】
水素化反応は助触媒の存在下で実施されることが好ましいが、その場合は助触媒として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、およびアルカリ土類金属アルコキシドが好ましい。そのような助触媒の例は、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Ba(OH)、ならびにナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはナトリウムブトキシドであるが、そこではNaOH、KOHが非常に好ましい。
【0069】
助触媒対触媒の比は、好適には約0.001:1から0.5:1、好ましくは約0.01:1から0.2:1、非常に好ましくは0.04:1から0.1:1である。
【0070】
先ず助触媒の少なくとも一部を、次いでアミンを、触媒および/または触媒が含有する溶液/懸濁液に添加することが好ましい。最初に助触媒の少なくとも10重量%、好ましくは20重量%、非常に好ましくは50重量%が添加されると好適である。
【0071】
助触媒は、100重量%が添加されると非常に好ましい。
【0072】
遷移金属は、ゼロ価状態で使用されると非常に好ましい。
【0073】
不均一系触媒作用を示す触媒は、変換反応の間には、懸濁液として、または何らかの固相に結合した状態で作用することが好ましい。
【0074】
変換反応は、均一または不均一に混合された単相系としての溶媒中、および/または気相中で行われることが好ましい。
【0075】
適切な溶媒は、かなり前のところで方法ステップa)に記載されるような溶媒である。
【0076】
反応は、ジアルキルホスフィン酸:溶媒のモル比1:10000から1:0まで、非常に好ましくはジアルキルホスフィン酸:溶媒のモル比1:50から1:1まで行われることが好ましい。
【0077】
反応は、20から200℃、非常に好ましくは40から150℃、特に60から100℃の温度で行われることが好ましい。
【0078】
反応時間は、0.1から20時間であることが好ましい。
【0079】
変換反応は、水素および/または溶媒の分圧下で実施されることが好ましい。
【0080】
本発明に従った方法の工程ステップは、0.1から100bar、非常に好ましくは0.5から50bar、特に1から20barの水素分圧で実施されると好適である。
【0081】
本発明に従った方法の工程ステップは、0.1から150bar、非常に好ましくは0.5から70bar、特に1から30barの絶対圧力で実施されると好適である。
【0082】
本発明に従った水素化は、液相中でも、気相中でも、超臨界相中でも実施することができる。その際に触媒は、液体である場合は、均一系触媒または懸濁液として使用されると好適であるのに対して、反応が気相または超臨界で行われる場合は、固定床式の配置方式の方が有利である。
【0083】
C=X二重結合を持つ化合物が、C=N二重結合である場合は、RC=NRタイプの化合物が好ましい。
【0084】
C=NRタイプの好ましい化合物は、ヘキサミン、ベンゾフェノンイミン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノンイミン、N−ベンジリデンメチルアミンおよびN−トリメチルシリルベンザルジミンなどのイミンである。
【0085】
は、鉱酸との反応により、または触媒Cの存在下での水素との変換反応により、一官能化ジアルキルホスフィン酸、そのエステルまたはその塩(III)から脱離されることが好ましい。
【0086】
触媒Aのための遷移金属は、例えば、レニウム、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、および白金などのような、第VIIIB族および第VIIIB族の元素(現在の長周期表の族名では、7族、8族、9族または10族の金属)であることが好ましい。
【0087】
これらの金属塩が、遷移金属および遷移金属化合物のソース物質として使用されることが好ましい。適切な塩は、いずれもアニオンである、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、亜フッ素酸塩、亜塩素酸塩、亜臭素酸塩、亜ヨウ素酸塩、次亜フッ素酸塩、次亜塩素酸塩、次亜臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、過フッ素酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、シアン化物、シアン酸塩、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、酸化物、水酸化物、ホウ酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、過硫酸塩、チオ硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、リン化物、炭酸塩、および、例えばメタンスルホン酸塩、クロロスルホン酸塩、フルオロスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ナフチルスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、t−ブチルスルホン酸塩、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸塩などのスルホン酸塩、およびスルホン化したイオン交換体樹脂を含む、鉱酸類の塩;および/または、例えばアセチルアセトン酸塩、および、例えばトリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩などの20個までの炭素原子を有するハロゲン化カルボン酸を含めた、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、シュウ酸塩、ステアリン酸塩、およびクエン酸塩などの20個までの炭素原子を有するカルボン酸の塩などの、有機塩である。
【0088】
遷移金属および遷移金属化合物のさらにもう一つのソース物質は、テトラフェニルボレートアニオンおよびハロゲン化テトラフェニルボレートアニオンを持つ遷移金属の塩、例えばペルフルオロフェニルボレートである。
【0089】
適切な塩には同様に、一つまたは複数の遷移金属イオン、ならびに相互に独立して、一つまたは複数のアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、および有機ホスホニウムイオン、ならびに相互に独立して一つまたは複数の上記アニオンからなる、複塩および錯塩も含まれる。適切な複塩は、例えば、ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウムおよびテトラクロロパラジウム酸アンモニウムである。
【0090】
遷移金属のソース物質の一つは、元素としての遷移金属、および/または、ゼロ価状態にある何らかの遷移金属化合物であることが好ましい。
【0091】
遷移金属は、金属として、またはさらに別の金属との合金として使用されることが好ましいが、後者の場合は、ホウ素、ジルコニウム、タンタル、タングステン、レニウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金および/または金が優先される。またその際には、使用される合金の遷移金属含有率が45〜99.95重量%であることが好ましい。
【0092】
遷移金属は、ミクロ分散の態様(粒径0.1mm〜100μm)で使用されることが好ましい。
【0093】
遷移金属は、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、Celite(登録商標)、珪藻土などの金属酸化物の表面、例えば炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどの金属炭酸塩の表面、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムなどの金属硫酸塩の表面、例えばリン酸アルミニウム、リン酸バナジウムなどの金属リン酸塩の表面、例えば炭化ケイ素などの金属炭化物の表面、例えばアルミン酸カルシウムなどの金属アルミン酸塩の表面、例えばケイ酸アルミニウム、チョーク、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライトなどの金属ケイ酸塩の表面、例えばSiliaBond(登録商標)、QuadraSil(商標)などの、官能基を結合した機能性ケイ酸塩、機能性シリカゲルの表面、例えばDeloxan(登録商標)などの機能性ポリシロキサンの表面、金属窒化物の表面、石炭、活性炭、ムライト、ボーキサイト、アンチモナイト、シェーライト、ペロブスカイト、ハイドロタルサイト、ヘテロポリアニオンの表面、機能性および非機能性セルロース、キトサン、ケラチン、ヘテロポリアニオンの表面、例えばAmberlite(商標)、Amberjet(商標)、Ambersep(商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)、ScavNet(登録商標)などのイオン交換体の表面、例えばChelex(登録商標)、QuadraPure(商標)、Smopex(登録商標)、PolyOrgs(登録商標)などの機能性ポリマーの表面、ポリマー固定化ホスファン、酸化ホスファン、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミン、アンモニウム塩、アミド、チオアミド、尿素、チオ尿素、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオール、チオールエーテル、チオールエステル、アルコール、アルコキシド、エーテル、エステル、カルボン酸、アセテート、アセタール、ペプチド、ヘタレン、ポリエチレンイミン/二酸化ケイ素、および/またはデンドリマーの表面に担持した状態で使用されることが好ましい。
【0094】
これらの錯化合物も同様に、好適にも金属塩および/または遷移金属の適切なソース物質となっている。金属塩および/または遷移金属の錯化合物は、複数の金属塩もしくは遷移金属と、一つまたは複数の錯生成剤とからなる。適切な錯生成剤は、例えば、オレフィン、ジオレフィン、ニトリル、ジニトリル、一酸化炭素、ホスフィン、ジホスフィン、亜リン酸塩、ジ亜リン酸塩、ジベンジリデンアセトン、シクロペンタジエニル、置換インデニル、またはスチレンである。金属塩および/または遷移金属の適切な錯化合物は、上記担持材料の表面に担持されたものであるとよい。
【0095】
前記担持される遷移金属の含有率は、担体材料の全質量に対して、0.01〜20重量%、好適には0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%であることが好ましい。
【0096】
遷移金属および遷移金属化合物の適切なソース物質は、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム;アルミナ上、シリカ上、炭酸バリウム上、硫酸バリウム上、炭酸カルシウム上、炭酸ストロンチウム上、石炭上、活性炭上の、パラジウム、白金、ニッケル、またはロジウム;白金−パラジウム−金合金、アルミニウム−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金、ランタノイド−ニッケル合金、ジルコニウム−ニッケル合金、白金−イリジウム合金、白金−ロジウム合金;Raney(登録商標)−ニッケル、ニッケル−亜鉛−鉄酸化物;塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、フッ化パラジウム(II)、水素化パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、過酸化パラジウム(II)、シアン化パラジウム(II)、硫酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、リン化パラジウム(II)、ホウ化パラジウム(II)、パラジウム(II)クロム酸化物、パラジウム(II)コバルト酸化物、パラジウム(II)炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、モリブデン酸パラジウム(II)、オクタン酸パラジウム(II)、シュウ酸パラジウム(II)、過塩素酸パラジウム(II)、パラジウム(II)フタロシアニン、パラジウム(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸パラジウム(II)、過塩素酸パラジウム(II)、チオシアン酸パラジウム(II)、パラジウム(II)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、ステアリン酸パラジウム(II)、2−エチルヘキサン酸パラジウム(II)、アセチルアセトン酸パラジウム(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸パラジウム(II)、テトラフルオロホウ酸パラジウム(II)、チオ硫酸パラジウム(II)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、フタロシアニンテトラスルホン酸パラジウム(II)テトラナトリウム塩、メチルパラジウム(II)、シクロペンタジエニルパラジウム(II)、メチルシクロペンタジエニルパラジウム(II)、エチルシクロペンタジエニルパラジウム(II)、ペンタメチルシクロペンタジエニルパラジウム(II)、パラジウム(II)2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、パラジウム(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、パラジウム(II)ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、パラジウム(II)2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、パラジウム(II)2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、パラジウム(II)5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2’−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2’−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2’−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2’:6’,2”−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)、フッ化ニッケル(II)、水素化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、過酸化ニッケル(II)、シアン化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、リン化ニッケル(II)、ホウ化ニッケル(II)、ニッケル(II)クロム酸化物、ニッケル(II)コバルト酸化物、ニッケル(II)炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸ニッケル(II)、水酸化ニッケル(II)、モリブデン酸ニッケル(II)、オクタン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、ニッケル(II)フタロシアニン、ニッケル(II)5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、チオシアン酸ニッケル(II)、ニッケル(II)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、2−エチルヘキサン酸ニッケル(II)、アセチルアセトン酸ニッケル(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸ニッケル(II)、テトラフルオロホウ酸ニッケル(II)、チオ硫酸ニッケル(II)、トリフルオロ酢酸ニッケル(II)、フタロシアニンテトラスルホン酸ニッケル(II)テトラナトリウム塩、メチルニッケル(II)、シクロペンタジエニルニッケル(II)、メチルシクロペンタジエニルニッケル(II)、エチルシクロペンタジエニルニッケル(II)、ペンタメチルシクロペンタジエニルニッケル(II)、ニッケル(II)2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、ニッケル(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、ニッケル(II)ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、ニッケル(II)2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、ニッケル(II)2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、ニッケル(II)5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2’−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2’−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2’−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2’:6’,2”−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体、塩化白金(II)、臭化白金(II)、ヨウ化白金(II)、フッ化白金(II)、水素化白金(II)、酸化白金(II)、過酸化白金(II)、シアン化白金(II)、硫酸白金(II)、硝酸白金(II)、リン化白金(II)、ホウ化白金(II)、白金(II)クロム酸化物、白金(II)コバルト酸化物、白金(II)炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸白金(II)、水酸化白金(II)、モリブデン酸白金(II)、オクタン酸白金(II)、シュウ酸白金(II)、過塩素酸白金(II)、白金(II)フタロシアニン、5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸白金(II)、過塩素酸白金(II)、チオシアン酸白金(II)、白金(II)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸白金(II)、酢酸白金(II)、ステアリン酸白金(II)、2−エチルヘキサン酸白金(II)、アセチルアセトン酸白金(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸白金(II)、テトラフルオロホウ酸白金(II)、チオ硫酸白金(II)、トリフルオロ酢酸白金(II)、フタロシアニンテトラスルホン酸白金(II)テトラナトリウム塩、メチル白金(II)、シクロペンタジエニル白金(II)、メチルシクロペンタジエニル白金(II)、エチルシクロペンタジエニル白金(II)、ペンタメチルシクロペンタジエニル白金(II)、白金(II)2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、白金(II)5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、白金(II)ビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、白金(II)2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、白金(II)2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、白金(II)5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2’−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3
−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2’−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2’−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2’:6’,2”−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体、塩化ロジウム、臭化ロジウム、ヨウ化ロジウム、フッ化ロジウム、水素化ロジウム、酸化ロジウム、過酸化ロジウム、シアン化ロジウム、硫酸ロジウム、硝酸ロジウム、リン化ロジウム、ホウ化ロジウム、ロジウムクロム酸化物、ロジウムコバルト酸化物、ロジウム炭酸水酸化物、シクロヘキサン酪酸ロジウム、水酸化ロジウム、モリブデン酸ロジウム、オクタン酸ロジウム、シュウ酸ロジウム、過塩素酸ロジウム、ロジウムフタロシアニン、ロジウム5,9,14,18,23,27,32,36−オクタブトキシ−2,3−ナフタロシアニン、スルファミン酸ロジウム、過塩素酸ロジウム、チオシアン酸ロジウム、ロジウムビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、プロピオン酸ロジウム、酢酸ロジウム、ステアリン酸ロジウム、2−エチルヘキサン酸ロジウム、アセチルアセトン酸ロジウム、ヘキサフルオロアセチルアセトン酸ロジウム、テトラフルオロホウ酸ロジウム、チオ硫酸ロジウム、トリフルオロ酢酸ロジウム、フタロシアニンテトラスルホン酸ロジウムテトラナトリウム塩、メチルロジウム、シクロペンタジエニルロジウム、メチルシクロペンタジエニルロジウム、エチルシクロペンタジエニルロジウム、ペンタメチルシクロペンタジエニルロジウム、ロジウム2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン、ロジウム5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、ロジウムビス(5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン)、ロジウム2,11,20,29−テトラ−tert−ブチル−2,3−ナフタロシアニン、ロジウム2,9,16,23−テトラフェノキシ−29H,31H−フタロシアニン、ロジウム5,10,15,20−テトラキス(ペンタフルオロフェニル)−21H,23H−ポルフィン、およびそれらの1,4−ビス(ジフェニルホスフィン)ブタン錯体、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン錯体、2−(2’−ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル錯体、アセトニトリル錯体、ベンゾニトリル錯体、エチレンジアミン錯体、クロロホルム錯体、1,2−ビス(フェニルスルフィニル)エタン錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリデン)(3−クロロピリジル)錯体、2’−(ジメチルアミノ)−2−ビフェニリル錯体、ジノルボルニルホスフィン錯体、2−(ジメチルアミノメチル)フェロセン錯体、アリル錯体、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン錯体、(N−スクシンイミジル)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体、ジメチルフェニルホスフィン錯体、メチルジフェニルホスフィン錯体、1,10−フェナントロリン錯体、1,5−シクロオクタジエン錯体、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体、トリ−o−トリルホスフィン錯体、トリシクロヘキシルホスフィン錯体、トリブチルホスフィン錯体、トリエチルホスフィン錯体、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル錯体、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,3−ビス(メシチル)イミダゾール−2−イリデン錯体、1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)フェロセン錯体、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン錯体、N−メチルイミダゾール錯体、2,2’−ビピリジン錯体、(ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2,5−ジエン)錯体、ビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチル−アミノフェニル)ホスフィン)錯体、ビス(tert.−ブチルイソシアニド)、2−メトキシエチルエーテル錯体、エチレングリコールジメチルエーテル錯体、1,2−ジメトキシエタン錯体、ビス(1,3−ジアミノ−2−プロパノール)錯体、ビス(N,N−ジエチルエチレンジアミン)錯体、1,2−ジアミノシクロヘキサン錯体、ピリジン錯体、2,2’:6’,2”−テルピリジン錯体、ジエチルスルフィド錯体、エチレン錯体、アミン錯体;ヘキサクロロパラジウム酸(IV)カリウム、ヘキサクロロパラジウム酸(IV)ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸(IV)アンモニウム、テトラクロロパラジウム酸(II)カリウム、テトラクロロパラジウム酸(II)ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸(II)アンモニウム、ブロモ(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(I)ダイマー、(2−メチルアリル)パラジウム(II)クロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、テトラキス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(0)、ビス[1,2−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン]パラジウム(0)、ビス(3,5,3’,5’−ジメトキシジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム(0)、メソ−テトラフェニルテトラベンゾポルフィンパラジウム、テトラキス(メチルジフェニルホスフィン)パラジウム(0)、トリス(3,3’,3”−ホスフィニジン−トリス(ベンゼンスルホナト)パラジウム(0)ノナナトリウム塩、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン(1,4−ナフトキノン)パラジウム(0)、およびそれらのクロロホルム錯体;アリルニッケル(II)クロリドダイマー、硫酸ニッケル(II)アンモニウム、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)ジカルボニルニッケル(0)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)、テトラキス(亜リン酸トリフェニル)ニッケル(0)、ヘキサフルオロニッケル(IV)酸カリウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム、パラ過ヨウ素酸ニッケル(IV)カリウム、テトラブロモニッケル(II)酸ジリチウム、テトラシアノニッケル(II)酸カリウム;塩化白金(IV)、酸化白金(IV)、硫化白金(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸アンモニウム、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、トリメチル(メチルシクロペンタジエニル)白金(IV)、シス−ジアミンテトラクロロ白金(IV)、トリクロロ(エチレン)白金(II)酸カリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(II)酸テトラアミン白金(II)、ヘキサクロロ白金(IV)酸テトラブチルアンモニウム、エチレンビス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、白金(0)−2,4,6,8−テトラメチル−2,4,6,8−テトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、白金オクタエチルポルフィリン、クロロ白金酸、カルボプラチン;クロロビス(エチレン)ロジウムダイマー、ヘキサロジウムヘキサデカカルボニル、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウムダイマー、クロロ(ノルボルナジエン)ロジウムダイマー、クロロ(1,5−ヘキサジエン)ロジウムダイマーである。
【0097】
リガンドは、式(V)のホスフィンであることが好ましく、
PR11 (V)
式中、基R11は、相互に独立して、水素、直鎖、分枝鎖、または環式の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルキルアリール、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−カルボキシレート、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニルオキシ、C〜C20−アルキニルオキシ、C〜C20−アルコキシカルボニル、C〜C20−アルキルチオ、C〜C20−アルキルスルホニル、C〜C20−アルキルスルフィニル、シリル、および/またはこれらの誘導体、および/または、少なくとも1個のR12により置換されているフェニル、または少なくとも1個のR12により置換されているナフチルを表わす。R12は、相互に独立して、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、NH、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、ホルミル、直鎖、分枝鎖、または環式の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルコキシ、HN(C〜C20−アルキル)、N(C〜C20−アルキル)、−CO−(C〜C20−アルキル)、−CON(C〜C20−アルキル)、−OCO(C〜C20−アルキル)、NHCO(C〜C20−アルキル)、C〜C20−アシル、−SOM、−SON(R13)M、−COM、−PO、−AsO、−SiOM、−C(CFOM(M=H、Li、NaまたはK)を表わしており、さらに式中R13は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、直鎖、分枝鎖、または環式の、C〜C20−アルキル、C〜C20−アルケニル、C〜C20−アルキニル、C〜C20−カルボキシレート、C〜C20−アルコキシ、C〜C20−アルケニルオキシ、C〜C20−アルキニルオキシ、C〜C20−アルコキシカルボニル、C〜C20−アルキルチオ、C〜C20−アルキルスルホニル、C〜C20−アルキルスルフィニル、シリル、および/またはそれらの誘導体、アリール、C〜C20−アリールアルキル、C〜C20−アルキルアリール、フェニル、および/またはビフェニルを意味する。基R11は全て、同一であることが好ましい。
【0098】
適切なホスフィン(V)は、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリイソペンチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(p−トリル)ホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、2−ピリジルジフェニルホスフィン、ビス(6−メチル−2ピリジル)フェニルホスフィン、トリ(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(2−スルホナトフェニル)ホスフィン;ジフェニル(3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、ビス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、ビス(3−スルホナトフェニル)フェニルホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、トリス(4,6−ジメチル−3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、トリス(2−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、トリス(3−スルホナトフェニル)ホスフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩;2−ビス(ジフェニルホスフィノエチル)トリメチルアンモニウムヨージド、2’−ジシクロヘキシルホスフィノ−2,6−ジメトキシ−3−スルホナト−1,1’−ビフェニルナトリウム塩、亜リン酸トリメチル、および/または亜リン酸トリフェニルである。
【0099】
リガンドは、下記一般式
11M”−Z−M”R (VI)
の二座リガンドであると非常に好ましい。式中、M”は、相互に独立して、N、P、AsまたはSbを表わす。M”は、両方とも等しいことが好ましく、またM”は、一つのリン原子であると非常に好ましい。
【0100】
基R11は、それぞれ相互に独立して、式(V)で記述されるラジカルを表わす。基R11は全て同一であると好適である。
【0101】
Zは、少なくとも1個の架橋原子を有している、好ましくは2〜6個の架橋原子を有している、二価架橋基であることが好ましい。
【0102】
架橋原子は、C、N、O、SiおよびS原子の中から選択されるとよい。Zは、少なくとも1個の炭素原子を有している有機架橋基であることが好ましい。Zは、1〜6個の架橋原子を有しており、そのうちの少なくとも2個が、未置換のものであっても置換されたものであってもかまわない、炭素原子となっている、有機架橋基であることが好ましい。
【0103】
好ましい基Zは、−CHラジカル、−CH−CHラジカル、−CH−CH−CHラジカル、−CH−CH(CH)−CHラジカル、−CH−C(CH−CHラジカル、−CH−C(C)−CHラジカル、−CH−Si(CH−CHラジカル、−CH−O−CHラジカル、−CH−CH−CH−CHラジカル、−CH−CH(C)−CHラジカル、−CH−CH(n−Pr)−CH、および−CH−CH(n−Bu)−CHラジカル、未置換の、または置換されている1,2−フェニルラジカル、1,2−シクロヘキシルラジカル、1,1’−または1,2−フェロセニルラジカル、2,2’−(1,1’−ビフェニル)ラジカル、4,5−キサンテンラジカル、および/またはオキシジ−2,1−フェニレンラジカルである。
【0104】
適切な二座ホスフィンリガンド(VI)は、例えば、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジエチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジプロピルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジブチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、および1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン;1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)プロパン、および1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;1,4−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ブタン、および1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;1,5−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ペンタン;1,2−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)ベンゼン、1,3−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)ベンゼン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,3−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ベンゼン、および1,3−ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)ベンゼン;9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−ジ−tert.−ブチルキサンテン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)キサンテン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(オキシジ−2,1−フェニレン)ビス(ジフェニルホスフィン)、2,5−(ジイソプロピルホスホラノ)ベンゼン、2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,2’−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、2−(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)エチルアミン、2−[2−(ジフェニルホスフィノ)エチル]ピリジン;1,2−ビス(ジ−4−スルホナトフェニルホスフィノ)ベンゼンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナト−フェニル)ホスフィノ]メチル]−4,4’,7,7’−テトラスルホナト−1,1’−ビナフチルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−5,5’−テトラスルホナト−1,1’−ビフェニルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−1,1’−ビナフチルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、(2,2’−ビス[[ビス(3−スルホナトフェニル)ホスフィノ]メチル]−1,1’−ビフェニルのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジ−tert.−ブチルホスフィノ)−2,7−スルホナトキサンテンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、1,2−ビス(ジ−4−スルホナトフェニルホスフィノ)ベンゼンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、メソ−テトラキス(4−スルホナトフェニル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、メソ−テトラキス(2,6−ジクロロ−3−スルホナトフェニル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、メソ−テトラキス(3−スルホナトメシチル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、テトラキス(4−カルボキシフェニル)ポルフィンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩、および5,11,17,23−スルホナト−25,26,27,28−テトラヒドロキシカリックス[4]アレーンのカリウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩である。
【0105】
さらに、式(V)および(VI)のリガンドは、ラジカルR11および/または架橋基を介して、適切なポリマーまたは無機基材に結合されたものであるとよい。
【0106】
触媒系は、1:0.01〜1:100、好ましくは1:0.05〜1:10、特に1:1〜1:4の遷移金属:リガンドのモル比を有する。
【0107】
工程ステップa)、b)および場合によってはc)における変換反応は、選択により、例えば窒素、酸素、アルゴン、二酸化炭素などのさらに別の気体成分を含む雰囲気中で行われることが好ましい;その温度は、−20〜340℃、特に20〜180℃であり、全圧は、1〜100barである。
【0108】
工程ステップa)、b)およびc)の後の、生成物および/または構成成分および/または遷移金属および/または遷移金属化合物および/または触媒系および/またはリガンドおよび/または出発材料の単離は、選択により、蒸留もしくは精留によって、結晶化もしくは析出によって、濾過もしくは遠心分離によって、吸着もしくはクロマトグラフィーによって、または他の知られている方法によって行われる。
【0109】
本発明に従った方法では、溶媒、助剤、および場合により他の揮発性成分は、例えば蒸留、濾過、および/または抽出により分離されるようになっている。
【0110】
工程ステップa)、b)および場合によってはc)における変換反応は、選択により、吸収カラム、噴霧塔、気泡カラム、撹拌タンク、流動床反応器、管型流通式反応器、ループ管型反応器、および/または混練機で行われることが好ましい。
【0111】
適切な混合具は、例えば、アンカーミキサー、ブレードミキサー、EKATO MIG撹拌機、プロペラ型撹拌機、インペラー型撹拌機、タービン型撹拌機、クロス状の撹拌翼を持つ撹拌機、ディスパーサー・ディスク、中空撹拌機(スパージング・スターラー(sparging stirrer))、ローター・ステーター式ミキサー、スタティックミキサー、ベンチュリノズル、および/またはマンモス・ポンプである。
【0112】
またその際には、反応液/反応混合物が、1〜1,000,000、好ましくは100〜100,000の回転レイノルズ数に相当する撹拌強度で撹拌されることが好ましい。
【0113】
それぞれの反応相手の完全な混合が、0.080〜10kW/m、好ましくは0.30〜1.65kW/mのエネルギーを投入して強力に行われることが好ましい。
【0114】
変換反応の間には、それぞれの触媒Aが均一系または不均一系触媒作用を示すことが好ましい。したがって、不均一系触媒作用を示す触媒はいずれも、変換反応の間には、懸濁液として、または何らかの固相に結合した状態で作用することが好ましい。
【0115】
触媒Aは、変換反応の前、および/または変換反応の開始時、および/または変換反応の間に、その場で生成されることが好ましい。
【0116】
それぞれの変換反応は、均一または不均一に混合された単相系としての溶媒中で、および/または気相中で行われることが好ましい。
【0117】
多相系を使用する場合は、それに加えて、何らかの相転移触媒が使用されるとよい。
【0118】
本発明に従った反応は、液相中、気相中、または超臨界相中で実行することができる。その際に触媒Aは、液体である場合は、均一系触媒または懸濁液として使用されると好適であるのに対して、反応が気相または超臨界で行われる場合は、固定床式の配置方式の方が有利である。
【0119】
適切な溶媒は、本発明に従った方法では、水、例えばメタノール、エタノール、i−プロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、n−アミルアルコール、i−アミルアルコール、t−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、i−オクタノール、n−トリデカノール、ベンジルアルコールなどのアルコールである。好ましいのはほかにも、単独で、または相互に組み合わせて使用される、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールなどのグリコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、および石油エーテル、石油ベンジン、ケロシン、石油、パラフィン油など;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、四塩化炭素、テトラブロモエチレンなどのハロゲン化炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、およびメチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;アニソール(メチルフェニルエーテル)、t−ブチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジフェニルエーテル、メチルビニルエーテル、テトラヒドロフラン、トリイソプロピルエーテルなどのエーテル;ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DMEモノグリム)、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグリム)、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル;アセトン、ジイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトンなどのケトン;メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトンなど;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、および酢酸n−ブチルなどのエステル;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸である。
【0120】
使用されるオレフィンおよびホスフィン酸ソース物質もまた、適切な溶媒である。そのいずれによっても、空時収率の増大という形で利点がもたらされることになる。
【0121】
変換反応は、オレフィンおよび/または溶媒に固有の蒸気圧下で実行されることが好ましい。
【0122】
オレフィン(IV)のR、R、RおよびRは、同じであるか、または異なっており、相互に独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、および/またはフェニルを意味することが好ましい。
【0123】
また、イソチオシアン酸アリル、メタクリル酸アリル、2−アリルフェノール、N−アリルチオ尿素、2−(アリルチオ)−2−チアゾリン、アリルトリメチルシラン、酢酸アリル、アセト酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、アリルベンゼン、シアン化アリル、シアノ酢酸アリル、アリルアニソール、トランス−2−ペンテナール、シス−2−ペンテンニトリル、1−ペンテン−3−オール、4−ペンテン−1−オール、4−ペンテン−2−オール、トランス−2−ヘキセナール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−3−ヘキセン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、スチレン、−メチルスチレン、4−メチルスチレン、酢酸ビニル、9−ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、および1−ビニル−2−ピロリドンなどの官能化オレフィンも、使用されることが好ましい。
【0124】
変換反応は、好ましくは0.01〜100barのオレフィン分圧で、特に好ましくは0.1〜10barのオレフィン分圧で行われる。
【0125】
変換反応は、好ましくは1:10,000〜1:0.001のホスフィン酸:オレフィンのモル比で、特に好ましくは1:30〜1:0.01の比で行われる。
【0126】
変換反応は、好ましくは1:1〜1:0.00000001のホスフィン酸:触媒のモル比で、特に好ましくは1:0.01〜1:0.000001で行われる。
【0127】
変換反応は、好ましくは1:10,000〜1:0のホスフィン酸:溶媒のモル比で、特に好ましくは1:50〜1:1で行われる。
【0128】
本発明に従った式(II)の化合物の製法は、一つのホスフィン酸ソース物質を、オレフィンを用いて、触媒の存在下で変換して、生成物(II)(アルキル亜ホスホン酸、またはアルキル亜ホスホン酸塩、またはアルキル亜ホスホン酸エステル)から触媒、遷移金属または遷移金属化合物、リガンド、錯生成剤、塩、および副生成物を除去するステップを特徴とする。
【0129】
本発明に従った方法では、一つの助剤1を添加して、触媒、触媒系、遷移金属、および/または遷移金属化合物を、抽出および/または濾過により除去することにより、触媒、触媒系、遷移金属、および/または遷移金属化合物が分離されるようになっている。
【0130】
本発明に従った方法では、助剤2を用いた抽出および/または助剤2を用いた蒸留により、リガンドおよび/または錯生成剤が分離されるようになっている。
【0131】
助剤1は、水、および/または、少なくとも一つの、金属捕捉剤(メタルスカベンジャー)に区分されるものを代表する物質であることが好ましい。好ましい金属捕捉剤は、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化マグネシウム、Celite(登録商標)、珪藻土などの金属酸化物;例えば炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウムなどの金属炭酸塩;例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムなどの金属硫酸塩;例えばリン酸アルミニウム、リン酸バナジウムなどの金属リン酸塩;例えば炭化ケイ素などの金属炭化物;例えばアルミン酸カルシウムなどの金属アルミン酸塩;例えばケイ酸アルミニウム、チョーク、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライトなどの金属ケイ酸塩;例えばSiliaBond(登録商標)、QuadraSil(商標)などの機能性ケイ酸塩、機能性シリカゲル;例えばDeloxan(登録商標)などの機能性ポリシロキサン;金属窒化物、石炭、活性炭、ムライト、ボーキサイト、アンチモナイト、シェーライト、ペロブスカイト、ハイドロタルサイト、機能性および非機能性セルロース、キトサン、ケラチン、ヘテロポリアニオン、例えばAmberlite(商標)、Amberjet(商標)、Ambersep(商標)、Dowex(登録商標)、Lewatit(登録商標)、ScavNet(登録商標)などのイオン交換体;例えばChelex(登録商標)、QuadraPure(商標)、Smopex(登録商標)、PolyOrgs(登録商標)などの機能性ポリマー;ポリマー固定化ホスファン、酸化ホスファン、ホスフィン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミン、アンモニウム塩、アミド、チオアミド、尿素、チオ尿素、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、チオール、チオールエーテル、チオールエステル、アルコール、アルコキシド、エーテル、エステル、カルボン酸、酢酸塩、アセタール、ペプチド、ヘタレン、ポリエチレンイミン/二酸化ケイ素、および/またはデンドリマーである。
【0132】
助剤1については、助剤1上に担持される金属負荷の0.1〜40重量%に相当する量が添加されることが好ましい。
【0133】
助剤1は、20〜90℃の温度で使用されることが好ましい。
【0134】
助剤1の滞留時間は、0.5〜360分であることが好ましい。
【0135】
助剤2は、前記の本発明に従った溶媒であることが好ましい。
【0136】
ステップb)では、C=X二重結合を持つ化合物対アルキル亜ホスホン酸(II)のモル比が、0.5対1から10対1、特に1対1から5対1となっている。
【0137】
本発明に従った方法のステップb)における変換反応は、100対1から1対10までの、溶媒対アルキル亜ホスホン酸(II)比で行われることが好ましい。
【0138】
一官能化ジアルキルホスフィン酸(III)もしくはアルキル亜ホスホン酸誘導体(II)、ならびにホスフィン酸ソース物質(I)の、相応のエステルへのエステル化は、例えば、生じる水を共沸蒸留により除去しながら高沸点アルコールを用いて変換することにより、またはエポキシド(酸化アルキレン)を用いて変換することにより、達成することができる。
【0139】
M−OHは、C〜C18の炭素鎖長を有する、第1級、第2級または第3級アルコールであることが好ましい。特に好ましいのは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert.−ブタノール、アミルアルコール、および/またはヘキサノールである。
【0140】
M’−OHは、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリスヒドロキシメチルエタン、トリスヒドロキシメチルプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、α−ナフトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、および/またはEO−POブロックポリマーであることが好ましい。
【0141】
M−OHおよびM’−OHとしては、ほかにも、例えばn−ブテン−2−オール−1、1,4−ブテンジオール、およびアリルアルコールなどの、C〜C18の炭素鎖長を有する一価または多価の不飽和アルコールも適している。
【0142】
M−OHおよびM’−OHとしては、ほかにも、一価アルコールと、一つまたは複数の酸化アルキレン分子との、好ましくは、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの変換反応生成物も適している。好ましいのは、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−エタノール、2−n−ドデコキシエタノール、メチルジグリコール、エチルジグリコール、イソプロピルジグリコール、脂肪族アルコールポリグリコールエーテル、およびアリールポリグリコールエーテルである。
【0143】
ほかにもM−OHおよびM’−OHは、多価アルコールと、一つまたは複数の酸化アルキレン分子との変換反応生成物、特にジグリコールおよびトリグリコール、ならびに、酸化エチレンまたは酸化プロピレンの分子を1〜6個、グリセリン、トリスヒドロキシメチルプロパン、またはペンタエリトリトールに付加した、付加生成物であることが好ましい。
【0144】
M−OHおよびM’−OHとしては、ほかにも、水と一つまたは複数の酸化アルキレン分子との変換反応生成物も使用することができる。好ましいのは、平均分子量が100〜1000g/mol、特に好ましくは150〜350g/molである、さまざまな分子サイズのポリエチレングリコールおよびポリ−1,2−プロピレングリコールである。
【0145】
M−OHおよびM’−OHとしては、ほかにも、酸化エチレンと、ポリ−1,2−プロピレングリコールまたは脂肪族アルコールプロピレングリコールとの変換反応生成物が好ましい;1,2−プロピレンオキシドと、ポリエチレングリコールまたは脂肪族アルコールエトキシレートとの変換反応生成物も同様である。好ましいのは、平均分子量が100〜1000g/mol、特に好ましくは150〜450g/molであるような変換反応生成物である。
【0146】
M−OHおよびM’−OHとしては、ほかにも、酸化アルキレンと、アンモニア、第1級または第2級アミン、硫化水素、メルカプタン、リンの酸素酸、およびC〜Cジカルボン酸との変換反応生成物も使用可能である。酸化エチレンと窒素化合物との適切な変換反応生成物は、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、n−ドデシルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、n−ブチルメチルエタノールアミン、ジ−n−ブチルエタノールアミン、n−ドデシルメチルエタノールアミン、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、またはペンタヒドロキシエチルジエチレントリアミンである。
【0147】
好ましい酸化アルキレンは、酸化エチレン、1,2−プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシエチルベンゼン、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、2,3−エポキシ−1−プロパノール、および3,4−エポキシ−1−ブテンである。
【0148】
方法のステップa)において言及される溶媒のほかにも、使用されるアルコールM−OH、M’−OH、および酸化アルキレンは、適切な溶媒である。そのいずれによっても、空時収率の増大という形で利点がもたらされることになる。
【0149】
変換反応は、使用されるアルコールM−OH、M’−OHおよび酸化アルキレンおよび/または溶媒に固有の蒸気圧下で実行されることが好ましい。
【0150】
変換反応は、好ましくは、使用されるアルコールM−OH、M’−OHおよび酸化アルキレンの分圧0.01〜100barで、特に好ましくはアルコールの分圧0.1〜10barで行われる。
【0151】
変換反応は、好ましくは−20〜340℃の温度で、特に好ましくは20〜180℃の温度で実行される。
【0152】
変換反応は、1〜100barの全圧で行われることが好ましい。
【0153】
変換反応は、好ましくは、アルコールもしくは酸化アルキレン成分の、ホスフィン酸ソース物質(I)もしくはアルキル亜ホスホン酸(II)もしくは一官能化ジアルキルホスフィン酸(III)に対するモル比10,000:1〜0.001:1で、特に好ましくは1,000:1〜0.01:1の比で行われる。
【0154】
変換反応は、好ましくは、ホスフィン酸ソース物質(I)もしくはアルキル亜ホスホン酸(II)もしくは一官能化ジアルキルホスフィン酸(III)の、溶媒に対するモル比1:10,000〜1:0で、特に好ましくは1:50〜1:1のホスフィン酸:溶媒のモル比で行われる。
【0155】
式(III)の一官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩およびエステルのアミノ官能価は、続いて、鉱酸、カルボン酸、ルイス酸、有機酸、またはこれらの酸の混合物を用いて、さらに別のアンモニウム塩に変換されるとよい。
【0156】
反応は、0から150℃の温度で、非常に好ましくは20から70℃の温度で行われることが好ましい。
【0157】
適切な溶媒は、かなり前のところで、方法1から4の工程ステップa)において使用されるような溶媒である。
【0158】
好ましい鉱酸は例えば、塩酸、硫酸、硝酸、または、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸である。
【0159】
好ましいカルボン酸は、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、パルミチン酸、ステアリン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸である。
【0160】
好ましいルイス酸は、例えばジボラン、例えばトリメチルボラン、トリエチルボラン、トリブチルボランなどのトリアルキルボラン、例えばトリフェニルボランなどのトリアリールボランなどの、ボラン類である。
【0161】
アンモニウム塩は、上記のモノアミノ官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩およびエステルと、塩酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、酢酸、クエン酸、アスコルビン酸、トリフェニルボランとの塩であると非常に好ましい。
【0162】
一官能化ジアルキルホスフィン酸またはその塩(III)は、続いてステップc)において、さらに別の金属塩へと変換されるようにするとよい。
【0163】
工程ステップc)で使用される金属化合物は、好ましくはMg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kらの金属元素、特に好ましくはCa、Al、Ti、Zn、Sn、Ce、Feの化合物である。
【0164】
工程ステップc)のための適切な溶媒は、上記の工程ステップa)において使用される溶媒である。
【0165】
工程ステップc)における変換反応は、水性媒体中で行われることが好ましい。
【0166】
工程ステップc)においては、工程ステップb)に従って得られる一官能化ジアルキルホスフィン酸、そのエステルおよび/またはアルカリ性の塩(III)を、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物を用いて、これらの金属の一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)に変換することが好ましい。
【0167】
その際にこの変換反応は、一官能化ジアルキルホスフィン酸/エチレンジアルキルホスフィン酸エステル/エチレンジアルキルホスフィン酸塩(III)対金属のモル比を、8対1から1対8(四価金属イオン、または、安定した四価の酸化状態を有する金属の場合)、6対1から1対3(三価金属イオン、または、安定した三価の酸化状態を有する金属の場合)、4対1から1対3(二価金属イオン、または、安定した二価の酸化状態を有する金属の場合)、および3対1から1対4(一価金属イオン、または、安定した一価の酸化状態を有する金属)として行われるようになっている。
【0168】
好ましくは、方法1から4の方法ステップb)において得られる一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル/その塩(III)を対応するジアルキルホスフィン酸に変換し、方法ステップc)においてこれを、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物と反応させて、これらの金属の一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)にする。
【0169】
方法1から4の方法ステップb)において得られる一官能化ジアルキルホスフィン酸/一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)は、それぞれ対応するジアルキルホスフィン酸に転化されて、これらが工程ステップc)において、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、Ce、またはFeの金属化合物を用いて、これらの金属の一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)に変換されることが好ましい。
【0170】
工程ステップc)のための、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeの金属化合物は、各種金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属水酸化酸化物、金属ホウ酸塩、金属炭酸塩、金属ヒドロキソ炭酸塩、金属ヒドロキソ炭酸塩水和物、混合金属ヒドロキソ炭酸塩、混合金属ヒドロキソ炭酸塩水和物、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硫酸塩水和物、金属ヒドロキソ硫酸塩水和物、混合金属ヒドロキソ硫酸塩水和物、金属オキシ硫酸塩、金属酢酸塩、金属硝酸塩、金属フッ化物、フッ化金属水和物、金属塩化物、塩化金属水和物、金属オキシ塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、ヨウ化金属水和物、金属カルボン酸誘導体、および/または金属アルコキシドであることが好ましい。
【0171】
これらの金属化合物は、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタニル、硝酸亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および/または硫酸亜鉛であることが好ましい。
【0172】
ほかにも適しているのは、アルミニウム金属、フッ化アルミニウム、アルミニウムヒドロキシクロリド、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硫化アルミニウム、セレン化アルミニウム;リン化アルミニウム、次亜リン酸アルミニウム、アンチモン化アルミニウム、窒化アルミニウム;炭化アルミニウム、ヘキサフルオロケイ酸アルミニウム;水素化アルミニウム、水素化カルシウムアルミニウム、水素化ホウ素アルミニウム;塩素酸アルミニウム;硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸アルミニウム、メタリン酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸アルミニウム、アルミニウムのハイドロタルサイト、炭酸アルミニウムナトリウム、ホウ酸アルミニウム;チオシアン酸アルミニウム;酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、これらの相応の水和物、および/または、好適にはアルミニウム含有率が9〜40重量%のポリアルミニウムヒドロキシ化合物である。
【0173】
ほかにも、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸のアルミニウム塩、例えば、アルミニウムジアセテート、アルミニウムアセトタルトレート、ギ酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウム、アルミニウム−8−オキシキノレート(−8−oxychinolat)も適している。
【0174】
同様に、亜鉛元素、亜鉛金属、ならびに、例えば亜鉛ハロゲン化物(フッ化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛)などの亜鉛塩も適している。
【0175】
ほかにも、ホウ酸亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸水酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛、ヘキサフルオロケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、スズ酸水酸化亜鉛、炭酸水酸化亜鉛−マグネシウム−アルミニウム;硝酸亜鉛、亜硝酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛;硫酸亜鉛、リン化亜鉛、セレン化亜鉛、テルル化亜鉛、および第VIIA族のオキソ酸の亜鉛塩(次亜ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、例えばヨウ素酸亜鉛、過ハロゲン酸塩、例えば過塩素酸亜鉛);擬似ハロゲン化物の亜鉛塩(チオシアン酸亜鉛、シアン酸亜鉛、シアン化亜鉛);酸化亜鉛、過酸化亜鉛、水酸化亜鉛、または混合水酸化酸化亜鉛も適している。
【0176】
好ましいのは、遷移金属のオキソ酸の亜鉛塩(例えば、クロム(VI)酸水酸化亜鉛、亜クロム酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、過マンガン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛)である。
【0177】
適しているのは、ほかにも、モノカルボン酸、ジカルボン酸、オリゴカルボン酸、ポリカルボン酸の亜鉛塩、例えば、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、カプリル酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、シュウ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、クエン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、乳酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレイン酸亜鉛、コハク酸亜鉛、各種アミノ酸(グリシン)の塩、酸性のヒドロキシル官能基の塩(亜鉛フェノキシドなど)、p−フェノールスルホン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、スズ酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛である。
【0178】
適切な金属化合物は、第IA族の元素の塩、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属水酸化酸化物、アルカリ金属炭酸水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、非常に好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−n−プロポキシド、ナトリウム−i−プロポキシド、ナトリウム−n−ブトキシド、ナトリウムi−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、ナトリウムアミレートおよび/またはナトリウムグリコレートである。
【0179】
適切な金属化合物は、第IIA族および第IIB族の元素の塩、好ましくは、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化酸化物、アルカリ土類金属金属炭酸水酸化物、非常に好ましくは水酸化マグネシウム(Magnifin(登録商標)H5、Albermarle社)、ハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・nHO)、ジヒドロタルサイト、炭酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムカルシウム、水酸化カルシウムである。
【0180】
チタン化合物では、チタン金属と同様、塩化チタン(III)および/または(IV)、硝酸チタン(III)および/または(IV)、硫酸チタン(III)および/または(IV)、ギ酸チタン(III)および/または(IV)、酢酸チタン(III)および/または(IV)、臭化チタン(III)および/または(IV)、フッ化チタン(III)および/または(IV)、オキシ塩化チタン(III)および/または(IV)、オキシ硫酸チタン(III)および/または(IV)、酸化チタン(III)および/または(IV)、チタン(III)および/または(IV)−n−プロポキシド、チタン(III)および/または(IV)−n−ブトキシド、チタン(III)および/または(IV)イソプロポキシド、チタン(III)および/または(IV)エトキシド、チタン(III)および/または(IV)−2−エチルヘキシルオキシドが適している。
【0181】
適しているのは、ほかにも、スズ金属、ならびにスズ塩(塩化スズ(II)および/または(IV));酸化スズ、および、例えばスズ(IV)tert−ブトキシドなどのスズアルコキシドである。
【0182】
また、フッ化セリウム(III)、塩化セリウム(III)、および硝酸セリウム(III)も適している。
【0183】
ジルコニウム化合物では、ジルコニウム金属、ならびに、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどのジルコニウム塩、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニルが好ましい。さらに、酸化ジルコニウム、ならびにジルコニウム(IV)tert−ブトキシドも好ましい。
【0184】
工程ステップc)における変換反応は、0.1〜70重量%、好ましくは5〜40重量%の、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の固形分含有率で行われる。
【0185】
工程ステップc)における変換反応は、20〜250℃、好ましくは80〜120℃の温度で行われる。
【0186】
工程ステップc)における変換反応は、0.01〜1000barの間の圧力で、好ましくは0.1〜100barで行われる。
【0187】
工程ステップc)における変換反応は、1・10−7〜1000時間の反応時間の間中、行われることが好ましい。
【0188】
工程ステップc)の後には、反応混合物から濾過および/または遠心分離により分離された一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)を乾燥させることが好ましい。
【0189】
工程ステップb)に従って得られる生成混合物は、それ以上の精製を不要として、金属化合物を用いて変換されることが好ましい。
【0190】
好ましい溶媒は、工程ステップa)において言及される溶媒である。
【0191】
工程ステップb)および/またはc)における変換反応は、ステップa)により与えられている溶媒系中で行われることが好ましい。
【0192】
工程ステップc)における変換反応は、改質が行われた所与の溶媒系中で行われることが好ましい。そのために、さまざまな酸性成分、可溶化剤、消泡剤などが添加されるようになっている。
【0193】
本方法のさらにもう一つの実施形態においては、工程ステップa)および/またはb)に従って得られた生成混合物が、さらに処理されるようになっている。
【0194】
本方法のさらに別の実施形態においては、工程ステップb)により得られた生成混合物がさらに処理されて、その後、工程ステップb)に従って得られた一官能化ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩またはエステル(III)が、工程ステップc)において、金属化合物を用いて変換されるようになっている。
【0195】
生成混合物は、工程ステップb)の後に、例えば蒸発濃縮により溶媒系を除去することにより、一官能化ジアルキルホスフィン酸および/またはその塩またはエステル(III)を単離することによって、処理されることが好ましい。
【0196】
Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、Ce、またはFeらの金属元素の一官能化ジアルキルホスフィン酸塩IIIは、選択により、
0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%の残留水分、
0.1〜2000μm、好ましくは10〜500μmの平均粒径、
80〜800g/l、好ましくは200〜700g/lの嵩密度、
0.5〜10、好ましくは1〜5のフレングル(Pfrengle)流動性
を有することが好ましい。
【0197】
成形体、成形フィルム、成形糸、および成形繊維は、各成分を合計すると常に100重量%になるとして、請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸/一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル/一官能化ジアルキルホスフィン酸塩を5%〜30重量%、ポリマーまたはその混合物を5〜80重量%、添加剤を5〜40重量%、および増量剤を5〜40重量%を含有することが好ましい。
【0198】
添加剤は、抗酸化剤、帯電防止剤、発泡剤、さらなる難燃剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、加工助剤、滑剤、光安定剤、防滴剤、混和剤、強化剤、核生成剤、核剤、レーザーマーキング用の添加剤、加水分解安定剤、鎖延長剤、着色顔料、軟化剤、および/または可塑剤であることが好ましい。
【0199】
好ましいのは、ハロゲン含有率が低い一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを0.1〜90重量%、およびそれ以外の添加剤、特に好ましくはジオールを0.1%〜50重量%含有する難燃剤である。
【0200】
好ましい添加剤は、ほかにも、アルミニウム三水和物、酸化アンチモン、臭素化した芳香族炭化水素、または脂環式炭化水素、フェノール、エーテル、クロロパラフィン、ヘキサクロロシクロペンタジエン付加物、赤リン、メラミン誘導体、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、および水酸化マグネシウムである。また、それ以外の難燃剤、特にジアルキルホスフィン酸の塩も、好ましい添加剤である。
【0201】
特に本発明は、本発明に従った一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、および一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)の、難燃剤としての使用、あるいは、ポリエステル、ポリスチレン、またはポリアミドなどの熱可塑性ポリマー用、および、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、またはアクリレートなどの熱硬化性ポリマー用の難燃剤を調製するための中間体としての使用に関する。
【0202】
適切なポリエステルは、ジカルボン酸およびそのエステルおよびジオールから、および/または、ヒドロキシカルボン酸またはこれに相当するラクトンから誘導される。テレフタル酸およびエチレングリコール、プロパン−1,3−ジオールおよびブタン−1,3−ジオールが使用されると好ましい。
【0203】
適切なポリエステルは、中でも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社;Ultradur(登録商標)、BASF社)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ならびに、ヒドロキシル末端基を持つポリエーテルから誘導されるブロックポリエーテルエステル;さらに、ポリカーボネートまたはMBS樹脂を用いて改質したポリエステルである。
【0204】
永久難燃性を示す合成線状ポリエステルは、本発明に従った一官能化ジアルキルホスフィン酸および一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルの、ジカルボン酸成分、C−C−ジオール成分から、および、リンを含有した結合鎖として使用される、本発明に従った方法に基づき調製された一官能化ジアルキルホスフィン酸および一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルから合成される。本発明に従った一官能化ジアルキルホスフィン酸および一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルは、ポリマー鎖の一部である。リンを含有した結合鎖は、このポリエステルのジカルボン酸成分の2〜20重量%を占めることになる。その結果として生じるポリエステルのリン含有率は、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%である。
【0205】
一官能化ジアルキルホスフィン酸モノマー、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルモノマーを、ジカルボン酸成分、C〜Cジオール成分に添加して、次いで、エステル化/エステル交換し、重縮合させることが好ましい。
【0206】
遊離ジカルボン酸および遊離ジオールを出発材料として、難燃性の成形材料を調製するために、最初にエステル化反応を直接行い、続いて重縮合反応を行って非難燃性予備縮合物を調製することが好ましい。
【0207】
ジカルボン酸エステル、特にジメチルエステルを出発材料として、最初にエステル交換反応が行われ、続いて、広く一般に使用される重縮合触媒を使用して、重縮合反応を行って非難燃性予備縮合物を調製することが好ましい。
【0208】
次いで、一官能化ジアルキルホスフィン酸モノマー、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)モノマーを添加して、重合を完了させることが好ましい。この場合は一官能化ジアルキルホスフィン酸モノマー、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルモノマーが、主としてジカルボン酸−ジグリコール構造単位の間でランダムに、ポリマー鎖中に組み入れられている。
【0209】
このポリエスエル調製工程では、好適にも、これらの慣用触媒のほかにも、広く一般に使用されるさまざまな添加剤(架橋剤、艶消剤および安定剤、核剤、染料、および増量剤など)を添加できるようになっている。
【0210】
エステル化および/またはエステル交換のために使用されるジカルボン酸エステル対ジオール成分の比は、1:1から1:3mol/molまでであることが好ましい。
【0211】
好ましいジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、ジフェニル−パラ−ジカルボン酸およびパラ−フェニレンジ酢酸などの芳香族酸である。
【0212】
好ましいのはほかにも、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、および2,5−ノルボルナンジカルボン酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸である。
【0213】
好ましいアルキレングリコールは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、およびそれよりも高級の同族体、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、およびポリテトラメチレングリコール;ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオールなどの芳香族グリコールである。
【0214】
さらに、乳酸、クエン酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、および4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸などのヒドロキシカルボン酸をベースとするポリエステルが好ましい。
【0215】
このポリエステル調製工程では、上述のエステル化反応および/またはエステル交換反応が、好ましくは100〜300℃の温度で、特に好ましくは180〜240℃で行われる。
【0216】
このポリエステル調製工程では、上述の重縮合反応が、0.1〜200mbarの圧力、および好ましくは150〜450℃の温度で、特に好ましくは200〜300℃で行われる。
【0217】
さらに、一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)を先ず、R=C〜C−アルキル、C〜C20−アルキルアリール、C〜C20−アラルキル、C〜C20−アリール、およびX=アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルアリール、H、ならびにn=2.0から100としたとき、式X−O−(P(=O)R−CH−O)−Hで表わされるオリゴマーに縮合することが好ましい。
【0218】
さらにもう一つの実施形態は、モノマーを10〜75mol%、ダイマーを10〜75mol%、およびトリマーを0から35mol%を含有する組成物である。
【0219】
オリゴマーを、ジカルボン酸成分、C〜Cジオール成分に添加して、次いで、エステル化/エステル交換した上で、重縮合させるようにすることが好ましい。この場合は、P濃度が0.1から5重量%であることが好ましい。
【0220】
次いで、このオリゴマーを縮合物前駆体と混合して、重縮合を完了させるようにすることが好ましい。この場合は、P濃度が0.1から5重量%であることが好ましい。
【0221】
ほかにも、一官能化ジアルキルホスフィン酸モノマー、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)モノマー、またはそれらのオリゴマーを、完全に縮合させたポリエステルに加えて縮合条件(0.01から1000mbar、140〜350℃、0.5〜3h)下で混合するようにすることが好ましい。この場合は、P濃度が0.1から5重量%であることが好ましい。
【0222】
さらに、一官能化ジアルキルホスフィン酸のモノマーまたはオリゴマー、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)のモノマーまたはオリゴマーを、プレポリマーと縮合させて、マスターバッチ/濃縮物を得るようにすることが好ましい。この場合は、P濃度が0.1から25重量%、非常に好ましくは1から10重量%であることが好ましい。
【0223】
このマスターバッチは、押し出し条件下で、非難燃性ポリマーと混合されることが好ましい。好ましいポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレート、ポリアミドである。
【0224】
マスターバッチを使用する場合の利点は、一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、塩(III)の添加量を増大しても、他の難燃剤を縮合物前駆体に添加した場合には生じ得るような、難燃性ポリマー成形材料の溶融粘度に変動を一切生じない点にある。溶融粘度が変動する結果、溶融粘度を制御することが困難となる。
【0225】
本発明に従って調製される難燃性ポリエステル成形材料は、難燃性ポリエステル成形体に使用されることが好ましい。
【0226】
好ましい難燃性ポリエステル成形体は、ジカルボン酸成分として主にテレフタル酸を含有し、ジオール成分として主にエチレングリコールを含有する、さまざまな糸、繊維、フィルムおよび成形体である。
【0227】
結果として生じる、難燃性ポリエステル製の糸および繊維のリン含有率は、0.1〜18重量%、好ましくは0.5〜15重量%であり、フィルムの場合は、0.2〜15重量%、好ましくは0.9〜12重量%であることが好ましい。
【0228】
好ましいのは、重縮合生成物が少なくとも一つのアルキルジカルボン酸、少なくとも一つのジアミン、および一つの一官能化ジアルキルホスフィン酸を含有する、難燃性ポリマー成形材料である。そのような難燃性ポリアミドは、リンを0.1から1%含有する。一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)は、モノマーである塩に縮合条件下で添加されて、ポリマー中に組み入れられて縮合する。この場合これらは、アルキルジカルボン酸−ジアミンのモノマー連鎖の中にランダムに組み入れられている。
【0229】
適切なポリスチレンは、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、および/またはポリ(α−メチルスチレン)である。
【0230】
適切なポリスチレンは、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−アルキルメタクリレート、スチレン−ブタジエン−アルキルアクリレート、およびスチレン−ブタジエン−アルキルメタクリレート、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−アクリロニトリル−メチルアクリレートなどの、スチレンまたはα−メチルスチレンと、ジエンまたはアクリル酸誘導体とのコポリマー;複数のスチレンコポリマーと、それ以外の一つのポリマー、例えば、ポリアクリレート、ジエンポリマー、またはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーとからなる、耐衝撃性に優れた混合物;ならびに、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン、またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンなどの、スチレンのブロックコポリマーであることが好ましい。
【0231】
適切なポリスチレンは、ほかにも、スチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにグラフト重合したスチレン、ポリブタジエン−スチレンコポリマーまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにグラフト重合したスチレン、ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル);ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレン、アクリロニトリル、およびメチルメタクリレート;ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレン、アクリロニトリル、および無水マレイン酸、またはマレイン酸イミド;ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレンおよびマレイン酸イミド、ポリブタジエンにグラフト重合した、スチレン、およびアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマーにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレートにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート−ブタジエンコポリマーにグラフト重合した、スチレンおよびアクリロニトリル、ならびに、これらの(例えばABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマー、またはAESポリマーとして知られるような)混合物などであることが好ましい。
【0232】
ポリマーは、また、ジアミンおよびジカルボン酸から、および/または、アミノカルボン酸またはこれに相当するラクタムから誘導される、ポリアミドおよびコポリアミド、例えば、ポリアミド−2,12、ポリアミド−4、ポリアミド−4,6、ポリアミド−6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6,9、ポリアミド−6,10、ポリアミド−6,12、ポリアミド−6,66、ポリアミド−7,7、ポリアミド−8,8、ポリアミド−9,9、ポリアミド−10,9、ポリアミド−10,10、ポリアミド−11、ポリアミド−12などであることが好ましい。このようなポリアミドは、例えば、DuPont社のNylon(登録商標)、BASF社のUltramid(登録商標)、DSM社のAkulon(登録商標)K122、DuPont社のZytel(登録商標)7301;Bayer社のDurethan(登録商標)B29およびEms Chemie社のGrillamid(登録商標)等という商品名で知られている。
【0233】
適しているのは、ほかにも、m−キシレン、ジアミン、およびアジピン酸を出発材料とする芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミン、およびイソフルタ酸および/またはテレフタル酸、および場合により改質剤として使用される一つのエラストマーから調製されるポリアミド、例えば、ポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド、またはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、前記各ポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー、または、化学結合あるいはグラフト重合されたエラストマーとのブロックコポリマー、または、前記各ポリアミドと、各種ポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーである。さらに、EPDMまたはABS樹脂を用いて改質したポリアミドまたはコポリアミド;ならびに、加工の間に縮合されたポリアミド(「RIMポリアミド系」)も適している。
【0234】
請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸/一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル/一官能化ジアルキルホスフィン酸塩は、成形材料に適用され、これがさらにポリマー成形体を生成するために使用されることが好ましい。
【0235】
この難燃性成形材料は、各成分を合計すると常に100重量%になるとして、請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを5〜30重量%、ポリマーまたはその混合物を5〜80重量%、添加剤を5〜40重量%、および増量剤を5〜40重量%含有すると非常に好ましい。
【0236】
本発明は、ほかにも、請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを含有する難燃剤にも関する。
【0237】
それに加えて、本発明は、本発明に従って調製される、Mg、Ca、Al、Zn、Ti、Sn、Zr、CeまたはFeらの金属元素の一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)を含有するポリマー成形材料、ならびに、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸およびポリマー繊維にも関する。
【0238】
特に本発明は、本発明に従って調製された一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の、熱可塑性ポリマー用の難燃剤としての使用、またはポリエステル、ポリスチレン、またはポリアミド用、および、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、またはアクリレートなどの熱硬化性ポリマー用の難燃剤の調製目的での中間段階としての使用に関する。
【0239】
本発明を下記の例により詳述する。
【0240】
難燃性ポリマー成形材料および難燃性ポリマー成形体の製造、加工および試験
それぞれの難燃性成分を、ポリマー顆粒および場合により各種添加剤と混ぜ合わせ、二軸スクリュー押出機(Leistritz LSM(登録商標)30/34型)において、230〜260℃(PBT顆粒)もしくは260〜280℃(PA66顆粒)の温度で混和する。均質なポリマーストランドを引き出して、水浴中で冷却し、引き続いて顆粒化した。
【0241】
これらの成形材料を、十分に乾燥させた後に射出成形機(Aarburg Allrounder型)において、240〜270℃(PBT顆粒)または260〜290℃(PA66顆粒)の融解温度で、さまざまな試験片に加工した。これらの試験片の耐燃性(難燃性)を、UL(アンダーライター実験室)94試験に基づき試験して、等級付けを行い評価する。
【0242】
それぞれの混合物から得られる試験片について、燃焼等級UL(アンダーライター実験室)94を厚さ1.5mmの試験片で決定した。
【0243】
UL94の燃焼等級は、次のとおりである:
V−0:1回の接炎後10秒以上燃え続けないこと、10回の接炎後の合計燃焼時間が50秒以内、火玉落下なし、試料が完全には燃え尽きないこと、接炎後のグローイング時間が30秒以内
V−1:1回の接炎後30秒以上燃え続けないこと、10回の接炎後の合計燃焼時間が250秒以内、接炎後のグローイング時間が60秒以内、他の基準はV−0と同様
V−2:火玉落下で脱脂綿を燃やさないこと、他の基準はV−1と同様
等級外(ncl):燃焼等級V−2を満たさない。
【0244】
幾つかの調査済み試料については、ほかにもLOI値を測定した。このLOI値(限界酸素指数:Limiting Oxygen Index)は、ISO4589に基づき決定される。ISO4589によると、LOIは、酸素と窒素の混合気体において、プラスチックの燃焼を辛うじて維持するために必要な最低酸素濃度を体積百分率で表わしたものである。LOI値が高いほど、被験材料は燃えにくくなる。
LOI 23 易燃性
LOI 24〜28 可燃性
LOI 29〜35 準難燃性
LOI >36 難燃性
例1
【0245】
撹拌機とスパイラル式凝縮器を備えた三つ口フラスコに、室温で水295gを先に投入し、撹拌しながら窒素を10分間これに通してガス抜きする。続いてこれに硫酸パラジウム(II)0.3mgおよびトリス(3−スルホフェニル)ホスフィン三ナトリウム塩3.6mgを加えて、15分間撹拌する。撹拌しながら、ホスフィン酸103.4gを水103.4gへ添加する。この反応液を、2lビュッヒ(Buechi)反応器に移し替え、撹拌しながら2.5barでエチレンを送り込み、反応混合物を80℃に加熱する。エチレン44gが取り込まれた後、室温に冷却して、遊離エチレンを燃焼させて放出させる。反応混合物から、最大温度60℃でロータリーエバポレーターで溶媒を除去する。残滓を脱イオン水160gと混合して、室温、窒素雰囲気下で1時間撹拌する。生じた残渣を濾過して、100mlのトルエンを用いて濾液の抽出を行う。
【0246】
ロータリーエバポレーターで水性相から溶媒を除去する。エチル亜ホスホン酸147.2g(96.3%)が得られる。これを、脱塩水147gおよびパラホルムアルデヒド(95%)47.6gと共に、Berghoff社製の実験室用オートクレーブに入れる。150℃で6時間撹拌した後に、粗生成物をロータリーエバポレーターで蒸発させ、エチルヒドロキシメチルホスフィン酸(91.8%、31P−NMR分光法)189.5gを得る。これは、93%の収率に相当する。
例2
【0247】
(例1に従って調製した)エチル亜ホスホン酸14.6gに、水21.2g、エタノール207.3g、およびベンズアルデヒド35.0gを加え、KPGスターラー、温度計、および還流凝縮器を備えた多口丸底フラスコ内で6h、110℃で加熱する。反応液中では、31P−NMR分光法により、65mol%のエチル−ヒドロキシメチル−フェニル−ホスフィン酸が決定される。
例3
【0248】
(例1に従って調製した)エチル亜ホスホン酸48.8gに、水43gおよびパラアルデヒド26.4gを加え、Berghoff社製の実験室用オートクレーブ内で12hにわたり150℃で加熱する。反応液中では、31P−NMR分光法により、77mol%のエチル−ヒドロキシエチルフェニル−ホスフィン酸が決定される。
例4
【0249】
例1と同様にして、Berghoff社製の実験室用オートクレーブに、(例1に従って調製した)エチル亜ホスホン酸(96.3%)100.1g、脱塩水100.1g、およびパラホルムアルデヒド34.0g(95%)を入れる。170℃で6時間撹拌した後に、粗生成物をロータリーエバポレーターで蒸発させ、その後、KPGスターラー、還流凝縮器、およびガス導入管を備えた三つ口丸底フラスコ内で、酸化エチレン88.7gと変換させる。P含有率が14.9%であり、31P−NMR信号が約59ppmのところにある、グリコールエステル229.5gが得られる。遊離グリコールの含有率は4%である。
例5
【0250】
KPGスターラー、還流凝縮器、および滴下漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに、パラホルムアルデヒド44.0g(95%)、脱塩水105.5g、および塩酸ジエチルアミン233.4gを先に投入して、(例1に従って調製した)エチル亜ホスホン酸100.1g(96.3%)を6hかけて110℃で撹拌しながら添加する。37%塩酸8gを用いて、反応液のpHを1未満に調節する。1時間、還流煮沸した後、エチル−ジエチルアミノメチルホスフィン酸の溶液が得られる。
例6
【0251】
KPGスターラー、還流凝縮器、および滴下漏斗を備えた4l−三つ口フラスコに、脱塩水1094g、(例5に従って調製した)エチル−ジエチルアミノメチルホスフィン酸502.1gを先に投入し、90℃に加熱する。2h以内に、硫酸アルミニウム水溶液(4.3%Al)224gを撹拌しながら滴加する。沈澱した固形物を濾別し、脱塩水1000gで洗浄し、その後、130℃で乾燥させる。収率91%に相当する、アルミニウムトリス(ビスジエチルアミノメチルホスフィネート)182gが得られる。
例7
【0252】
還流凝縮器、KPGクーラー、および滴下漏斗を備えた1リットル三つ口フラスコに、窒素下で、(例1に従って調製した)エチル亜ホスホン酸(96.3%)48.8g、およびパラアルデヒド(アセトアルデヒドトリマー)22.0gを水125gに入れたものを添加して、還流加熱する。次いで、塩酸ジフェニルメチルアミン109.9gを脱塩水250gに入れた溶液を滴加する。その後2h撹拌し、冷却して、固形物を濾別し、アセトンで洗浄して乾燥させる。収率:ジフェニル−メチルアミンホスフィン酸(87%)132g。
例8
【0253】
(例7に従って調製した)ジフェニルメチルアミノホスフィン酸132gに、20%硫酸715gを加えて2h、還流煮沸する。次いで、水分が無くなるまで蒸発させ、ジイソプロピルエーテル100gを用いて二度洗浄し、さらにもう一度蒸発させる。これをエタノールに取り込ませて、酸化プロピレンを加える。沈澱した固形物を濾別し、エタノールで洗浄して乾燥させる。87%の収率で、(1−アミノ−1−メチル)−メチル−エチルホスフィン酸56gが得られる。
例9
【0254】
還流凝縮器、KPGクーラー、および滴下漏斗を備えた1リットル三つ口フラスコ内で、窒素下で、(例1に従って調製した)エチル亜ホスホン酸(96.3%)49.3gを水125gに入れた溶液を、ジフェニルメチルアミン91.6g、パラアルデヒド(アセトアルデヒドトリマー)22.0g、および98%硫酸25gを脱塩水250gに入れた還流煮沸溶液に滴加する。その後2h撹拌し、冷却して、固形物を濾別し、アセトンで洗浄して乾燥させる。収率82%に相当する、ジフェニルメチルアミニホスフィン酸(Diphenylmethylaminiphosphinsaeure)125gが得られる。
例10
【0255】
(例1に従って調製した)エチル−ヒドロキシメチルホスフィン酸405.5gに、ブタノール1115gを加え、気水分離器を用いて常圧で煮沸することにより縮合水を除去する。エステル化の終了後に、ブタノールを真空中で分離し、ビグリューカラムを使用して残渣を真空中で蒸留する。79%の収率で、エチル−ヒドロキシメチルホスフィン酸n−ブチルエステル392gが得られる。
例11
【0256】
例1と同様にして、第1のステップにおいてエチル亜ホスホン酸を調製する。これから、ブタノールを添加することにより、例10に準じてエチル亜ホスホン酸n−ブチルエステルを調製する。第2のステップにおいて、撹拌下で最大60℃まで冷却しながら、エチル亜ホスホン酸−n−ブチルエステル37.5gおよび酢酸ビニル10.8gを先に投入し、これにナトリウムブトキシド0.6gをブタノール20gに入れた溶液を添加する。この反応液を真空(0.5mmHg)中で蒸留して、エチル−(1−ヒドロキシエチルアセテート)−ホスフィン酸−n−ブチルエステル(C−P(O)(O−n−C)−CH(O−COCH)−CH)23gを得る。これを、濃硫酸9.9gおよび脱塩水6.7gを用いて、メタノール100g中で変換させ、エチル−(1−ヒドロキシエチル)ホスフィン酸n−ブチルエステル17.2gを得る。
例12
【0257】
テレフタル酸ジメチル1000gおよびエチレングリコール800gを、オートクレーブ内で、酢酸マンガン(II)四水和物230mgと共に220℃まで加熱し、生じたメタノールを留去する。次いで、例4に従って得たグリコールエステル72g、ならびに三酸化アンチモン400mg、およびリン酸400mgを添加して、先ず圧力1トルで250℃に加熱し、次いで、0.2トルで275℃に加熱する。P含有率が約1%、UL94の燃焼等級がV−0である、難燃性ポリエステル成形材料が得られる。
例13
【0258】
1l−二重ジャケット撹拌反応器内で、例10からのエステルに、ジブチルスズラウレート(触媒)3gを加え、180℃に加熱する。14時間以内に圧力を1mmHgに低下させる。得られた生成物(231g)は、ブタノールの脱離下で生じる内側のエチルヒドロキシメチルホスフィン酸のホモオリゴマーであり、そのP含有率は29.2%(理論量29.2%)である。そのようにして得たホモオリゴマー200gを、1lオートクレーブ内で、PETペレット450g(Polyclear1101、KoSa社)と共に、290℃および100mmHgで撹拌しながら0.5h、溶融する。この後、冷却する。得られた難燃性ポリマーのP含有率は9%であり、これをUL試験片に加工すると、V−0等級を示す。
例14
【0259】
二軸スクリューコンパウンダー内で、非難燃性PBT顆粒8960gを、例13に従ったオリゴマー1040gと275℃で化合させ、難燃性PBT顆粒を得た。この顆粒のP含有率は3.0%であった。この顆粒は、燃焼等級V−0を示す。
【0260】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル、および一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の調製方法であって、
a)ホスフィン酸ソース物質(I)
【化1】

を、オレフィン(IV)
【化2】

を用いて、触媒Aの存在下で、アルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)に変換するステップ、
【化3】

b)そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)を、C=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物を用いて、
【化4】

タイプの化合物(III)、式中、R、R、R、R、R、Rは、同じであるか、または異なっており、相互に独立して、H、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アラルキル、C〜C18−アルキルアリール、CN、CHO、OC(O)CHCN、CH(OH)C、CHCH(OH)CH、9−アントラセン、2−ピロリドン、(CHOH、(CHNH、(CHNCS、(CHNC(S)NH、(CHSH、(CHS−2−チアゾリン、(CHSiMe、CHR(CHCH、C(O)R、(CHC(O)R、CH=CHR、RC=CHR、および/またはCH=CH−C(O)Rを意味しており、但し式中RはH、C〜C−アルキル、またはC〜C18−アリールを表わし、mは0から10の整数を意味しており、Xは、H、C〜C18−アルキル、C〜C18−アリール、C〜C18−アラルキル、C〜C18−アルキル−アリール、(CHOH、CH−CHOH−CHOH、(CHO(CHH、(CH−CH(OH)−(CHH、(CH−CHO)H、(CH−C[CH]HO)H、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)H、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)H、(CH−CHO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)−アルキル、(CH−C[CH]HO)(CH−CHO)−アルキル、(CH−CHO)(CH−C[CH]HO)O−アルキル、(CH−CH=CH(CHH、(CHNH、および/または(CHN[(CHH]を表わしており、但し式中kは、0から10の整数を意味する、および/または、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Cu、Ni、Li、Na、K、H、および/またはプロトン化窒素塩基を表わしており、Aは、OH、NH、NHR、NR、またはO−CO−Rを意味し、Rは、RからRと同義であり、Wは、鉱酸、カルボン酸、ルイス酸または有機酸を表わしており、nは0から4の整数または分数を表わしており、さらに触媒Aは、各種遷移金属、および/または各種遷移金属化合物、および/またはいずれか一つの遷移金属および/またはいずれか一つの遷移金属化合物に、少なくとも一つのリガンドを結合した触媒系であり、
に変換するステップ
からなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ステップb)において、そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)と、最初にC=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物との変換反応を行い、続いて、NHR、NHR、NH、またはそれらの塩との変換反応を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)において、そのようにして生じたアルキル亜ホスホン酸、その塩またはエステル(II)と、C=C二重結合、C=O二重結合、またはC=N二重結合を持つ化合物との変換反応、およびNHR、NHR、NH、またはそれらの塩との変換反応が同時に行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(III)の化合物から、AがO−CO−Rを意味する場合には、触媒Bの存在下で、原子団RCOYが脱離されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)に従って得られる前記一官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩またはそのエステル(III)を、引き続きステップc)において、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Fe、Zr、Zn、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、Kの金属化合物、および/またはプロトン化窒素塩基を用いて、これらの金属の相応の一官能化ジアルキルホスフィン酸塩(III)および/または窒素化合物に変換するステップを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
ステップa)に従って得られる前記アルキル亜ホスホン酸、その塩またはそのエステル(II)、および/または、ステップb)に従って得られる前記一官能化ジアルキルホスフィン酸、その塩またはそのエステル(III)、および/または、それぞれ結果として生じるそれらの反応液を、アルキレン酸化物またはアルコールM−OHおよび/またはM’−OHとエステル化して、それぞれ生じるアルキル亜ホスホン酸エステル(II)および/または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステル(III)を、さらなる反応ステップb)またはc)にまわすステップを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記C〜C18−アリール基、C〜C18−アラルキル基、およびC〜C18−アルキルアリール基が、SO、−C(O)CH、OH、CHOH、CHSO、PO、NH、NO、OCH、SH、および/またはOC(O)CHで置換されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、Rが同じであるか、または異なっており、相互に独立して、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、および/またはフェニルを意味することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
Xが、H、Ca、Mg、Al、Zn、Ti、Fe、Ce、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert.−ブチル、フェニル、エチレングリコール、プロピルグリコール、ブチルグリコール、ペンチルグリコール、ヘキシルグリコール、アリルおよび/またはグリセリンを意味することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記各遷移金属および/または前記各遷移金属化合物が、第VIIB族および第VIIIB族由来のものであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
前記各遷移金属および/または前記各遷移金属化合物が、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、および/またはルテニウムであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
Wが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、パルミチン酸、ステアリン酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリブチルボラン、またはトリフェニルボランを意味することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
一般式M−OHのアルコールが、C〜C18の炭素鎖長を有する直鎖または分枝鎖、飽和および不飽和の一価有機アルコールであり、一般式M’−OHのアルコールが、C〜C18の炭素鎖長を有する直鎖または分枝鎖、飽和および不飽和の多価有機アルコールであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記触媒Bが、金属、金属水素化物、金属水酸化物、および/または金属アルコキシドであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記触媒Bが、リチウム、水素化リチウム、水素化アルミニウムリチウム、メチルリチウム、ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウム、水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはナトリウムブトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、またはカリウムブトキシドであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法に従って調製された一官能化ジアルキルホスフィン酸、その一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルおよびその一官能化ジアルキルホスフィン酸塩の、さらなる合成のための中間体としての使用、結合剤としての使用、エポキシ樹脂、ポリウレタンおよび不飽和ポリエステル樹脂の硬化反応時の架橋剤または促進剤としての使用、ポリマー安定剤としての使用、農薬としての使用、ヒトおよび動物用の治療薬または治療薬添加剤としての使用、金属イオン封鎖剤としての使用、鉱油添加剤としての使用、防食剤としての使用、洗剤およびクリーニング剤用途における使用、エレクロトニクス用途における使用、ポリエステル用の重合触媒としての使用、ポリエステル繊維およびポリアミド繊維用の共重縮合可能な難燃剤としての使用、ポリエステルマスターバッチとしての使用、ポリマーのための熱安定剤、および光安定剤としての使用、アンギオテンシン転換酵素阻害剤用の中間体としての使用、細胞機能に影響を与えて、免疫性、炎症性、神経性その他の疾患の治療目的での、アラニルアミノペプチダーゼ阻害剤としての使用、またはこれを調製するための中間体としての使用、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤としての使用、またはこれを調製するための中間体としての使用、高血圧を治療するためのエポキシドヒドロラーゼの阻害剤としての使用、またはこれを調製するための中間体としての使用、繊維の前処理および繊維の表面変性の目的での使用。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一つに従って調製される一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、および一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルの、難燃剤、特にクリアコートおよび発泡性防炎塗料用の難燃剤、木材および他のセルロース含有製品用の難燃剤としての使用、ポリマー用の反応性および/または非反応性難燃剤としての使用、難燃性ポリマー成形材料の製造目的での使用、難燃性ポリマー成形体の製造目的での使用、および/または、含浸により、ポリエステル、およびセルロース製の純紡および混紡織物に難燃加工を施す目的での使用。
【請求項18】
各成分を合計すると100重量%になるとして、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法に従って調製された一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを0.5から45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5から99重量%、添加剤を0から55重量%、および充填剤または強化材を0から55重量%含有する、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形材料。
【請求項19】
各成分を合計すると100重量%になるとして、請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法に従って調製された一官能化ジアルキルホスフィン酸、一官能化ジアルキルホスフィン酸塩、または一官能化ジアルキルホスフィン酸エステルを0.5から45重量%、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーまたはその混合物を0.5から99重量%、添加剤を0から55重量%、および充填剤または強化材を0から55重量%含有する、難燃性熱可塑性または熱硬化性ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマーフィラメントおよび繊維。

【公表番号】特表2012−512197(P2012−512197A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541124(P2011−541124)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/007144
【国際公開番号】WO2010/069420
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】