説明

一次電池・二次電池共用電池収納装置

【課題】 一次電池と二次電池とを共用でき、二次電池への充電機能を有する電子機器において、一次電池が用いられた場合には充電を禁止する手段を提供する。
【解決手段】 電池収納部22に一次電池が収納された場合には一方の電池の正極と他方の電池の負極とを電気的に接続する正負極接続中継電極223に電圧が現れる。この電圧によって充電制御回路31の動作を停止する。一方、二次電池は一方の電池の正極と他方の電池の負極をシート電極で接続した上、シート電極を絶縁物で覆った電池パックとして電池収納部22に収納される。この場合には電池収納部22の正負極接続中継電極223に電圧は現れず充電可能となる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【発明の属する技術的分野】
【0001】
本発明は、電池を電源とする携帯電子機器や簡易設置型電子機器の一次電池と二次電池との共用電池収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来携帯電話機の携帯型充電器の電池としては一次電池である乾電池が主流であったが、最近は二次電池を用いるものが普及している。
【0003】
同一形状・同一サイズで比較すると、二次電池は一次電池よりも電流容量が大きい。しかも二次電池は充電すれば繰り返して使用できるので資源の有効利用にも極めて有用である。
【0004】
しかしながら、二次電池は一次電池よりも入手しにくい。従って、二次電池が電池切れを起こし、手近に充電用電源がない場合を考慮すると、二次電池使用の携帯電子機器にあっても一次電池も使えることが望ましい。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池への充電機能付電子機器を一次電池・二次電池共用とするためには電池識別機能をもたせ、一次電池への充電を避けなければならない。
【0006】
一次電池と二次電池とを識別するために、電池収納部にスイッチを設け、一次電池が収納された場合にはスイッチがオフ、二次電池が収納された場合にはスイッチがオンとなるように電池判別補助材を用いる手段が提案されている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】 特開平10−172526号公報
【0008】
また同様に、電池収納部に二次電池識別スイッチを設け、二次電池パックが収納された場合のみスイッチがオンとなり、充電専用端子を通じて二次電池を充電する手段も提案されている(特許文献2)。
【0009】
【特許文献2】 特開2003−18753号公報
【0010】
上記のこれまでに提案されている方法では、電池収納部にスイッチを設けるとともに、電池に応じてスイッチを作動させるための手段を必要とする。
【0011】
スイッチ等の機構部品を用いることなく、電気的特性の相異によって一次電池と二次電池を識別する方法も提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法は安価には具現できず、また電池の状態によっては識別できない場合もある。
【0012】
【特許文献3】 特開2004−274849号公報
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みて創案されたものであり、一次電池と二次電池との共用の利便性をもち、電池識別機能を有して一次電池には充電されない電池収納装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納装置に収納する二次電池は、同一形状・同一サイズの電池2本を互いに逆向きに横にならべ、一方の正極と他方の負極を金属シート板で電気的に接続して直列接続とし、接続部を絶縁物で覆った電池パックとする。
【0015】
また、本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納装置は、前記二次電池パックの二次電池と同一形状・同一サイズの一次電池2本が互いに逆向きで隣り合うように収納でき、収納された電池2本が直列接続となるように一方の電池の正極と他方の電池の負極が共に接触する正負極接続中継電極を有している。
【0016】
さらに、本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納装置は、本装置に取り付けられた前記正負極接続中継電極の電圧を取り出す端子を有する。
【0017】
またさらに、前記二次電池パックが本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納部に特別の細工することなしに収納できるよう、二次電池パックの正負極接続金属シート板を覆う絶縁物は十分に薄い皮膜とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納装置によれば、一次電池が収納された場合は本収納装置に取り付けられた正負極接続中継電極に電圧が現れるが、二次電池パックが収納された場合には二次電池パック内の正負極接続金属シート板と本収納装置の正負極接続中継電極は絶縁皮膜で絶縁されるので正負極接続中継電極には電圧は現れない。従って、正負極接続中継電極の電圧によって一次電池と二次電池を確実に識別でき、この正負極接続中継電極の電圧で充電回路をオフすることによって一次電池への充電を防止することができるので、本発明は二次電池への充電機能を有する電子機器の利便性と安全性を高めるのに極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明の一次電池・二次電池他共用電池収納装置の好適な実施形態について詳しく説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当部分には同一の符合を付して重複する説明は避ける。
【0020】
図1は、本発明の一次電池・二次電池共用電池収納装置に収納する二次電池パックの略観図である。図1で、11Aと11Bは同一形状・同一サイズの二次電池、113は二次電池11Aの負極と二次電池11Bの正極とを電気的に接続する金属シート板、114は金属シート板113を外部と電気的に絶縁する絶縁皮膜である。
【0021】
図2は、図1の二次電池パック11と二次電池11Aと同一形状・同一サイズの一次電池2本を収納できる電池収納部22の略観図であって、一次電池22Aと22Bが収納された状態を示している。図2において、221は一次電池22Aの正極が接触するプラス電極、222は一次電池22Bの負極が接触するマイナス電極、223は一次電池22Aの負極と一次電池22Bの正極がともに接触する正負極接続中継電極であって、プラス電極221、マイナス電極222、正負極接続中継電極223は電池収納部22に取り付けられている。また、23は正負極接続中継電極223の電圧検出端子である。
【0022】
なお、図1の二次電池パック11が収納された場合には二次電池パック11の負極112が電池収納部22のマイナス電極222に、二次電池パック11の正極111が電池収納部22のプラス電極221に、それぞれ接触し、二次電池パック11の金属シート板113は絶縁皮膜114で覆われているので、電池収納部22の正負極接続中継電極223とは電気的に絶縁される。
【0023】
図3は、図2に示す電池収納部22と充電制御回路31および充電用直流電源32との結線図であって、充電制御回路31は電源入力端子31Aと31B、充電電流出力端子31Cの他に、充電動作禁止端子31Dを備えており、この充電禁止端子31Dは電池収納部22の正負極接続中継電極223の電圧検出端子23に接続される。
【0024】
電池収納部22に二次電池パック11が収納された場合には、電圧検出端子23に電圧が現れないので、充電制御回路31は充電動作を行う。しかし、一次電池が収納された場合には電圧検出端子23に一次電池の電圧が出力され、これによって充電制御回路31は充電動作を停止する。
【0025】
図4は図3の充電制御回路31の回路図であって、311,312,313、314はトランジスタ、321,322,323は抵抗である。
トランジスタ311と312は定電流源を構成しており、トランジスタ312のベース・エミッタ間電圧をVBE、抵抗321の抵抗値をR321とするとVBE/R321の定電流を出力端子31Cに出力する。
【0026】
しかし、電池収納部22に一次電池が収納された場合には端子31Dに電圧が現れ、この電圧によってトランジスタ314がオン、トランジスタ313はオフとなり、トランジスタ311にはベース電流が流れないのでトランジスタ311はオフとなる。これによって充電動作は停止する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る二次電池パックの概略図。
【図2】本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納装置の電池収納部の概略図。
【図3】本発明に係る一次電池・二次電池共用電池収納装置の電池収納部と充電回路との結線図。
【図4】充電制御回路の回路図。
【符号の説明】
11…二次電池パック
22…一次電池・二次電池共用電池収納部
23…電圧検出端子
31…充電制御回路
32…充電用直流電源
11A,11B…二次電池
22A、22B…一次電池
113…正負極接続金属シート板
114…絶縁皮膜
111…二次電池の正極、112…二次電池の負極
221,222,223…一次電池・二次電池共用電池収納部の電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆向きに隣り合う同一形状・同一サイズの2本の二次電池の一方の正極と他方の負極を電気的に接続して直列接続とし、該接続部を絶縁物で覆ったことを特徴とする二次電池パック。
【請求項2】
前記二次電池パックと、前記二次電池と同一形状・同一サイズの一次電池2本とをともに収納でき、前記一次電池の片方の正極と他方の負極は収納部に設けられた正負極接続中継電極によって電気的に接続され、前記正負極接続中継電極の電圧を検出する機能を備えたことを特徴とする電池収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−200022(P2009−200022A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72389(P2008−72389)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(505283393)電子システムデザイン株式会社 (21)
【Fターム(参考)】