説明

一液型水性コーティング剤、その製造方法および塗装物

【課題】ポリオレフィン基材等に対する密着性と耐(温)水性と耐油性のバランスが良好で、耐(温)水性と耐油性がより高いレベルで両立する一液型(非架橋型)の水性コーティング剤と、その製造方法およびこのコーティング剤を塗装してなる塗装物を提供すること。
【解決手段】塩素化ポリオレフィンポリマー(A)と、ホモポリマーのTgが60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)と他のビニル系単量体(b4)からなるビニル共重合体(B)の混合ポリマー粒子が、乳化剤(C)の存在下で水中に分散している一液型水性コーティング剤、塩素化ポリオレフィンポリマー(A)の有機溶剤溶液と、ビニル単量体(b1)〜(b4)を乳化剤の存在下で水中に分散させた後、重合する一液型水性コーティング剤の製造方法、及び塗装物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一液型水性コーティング剤、その製造方法および塗装物に関するものであり、更に詳細には低極性表面を持つポリオレフィン基材等に対する密着性、耐(温)水性、耐油性に優れた皮膜を形成することができるため、自動車部品材料、ポリオレフィンフィルム、ポリオレフィン成型物に対して有用な一液型水性コーティング剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料、インキ等の分野で用いられている塩素化ポリオレフィンの欠点、例えば大量に溶剤を使用することや価格の高いこと等を改善するために、塩素化ポリオレフィンのビニル系モノマーによる変性、複合化を用いた水性化の検討が行われている。例えば、塩素化ポリオレフィンの有機溶剤溶液とモノマーの混合物を乳化剤にて水中乳化させたのちホモジナイザー等で微乳化したものをラジカル重合させることにより、ポリオレフィン基材等に対する密着性、耐(温)水性、耐油性に優れた皮膜を形成できる水性樹脂組成物が得られることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載された水性樹脂組成物では、ポリオレフィン基材等に対する密着性、耐(温)水性、耐油性は改良されているものの、耐(温)水性と耐油性を高いレベルで両立させるものではないため、ポリオレフィン基材等に対する密着性と耐(温)水性と耐油性のバランスが良好で、耐(温)水性と耐油性がより高いレベルで両立する一液型(非架橋型)の水性コーティング剤の出現が望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−263802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、ポリオレフィン基材等に対する密着性と耐(温)水性と耐油性のバランスが良好で、耐(温)水性と耐油性がより高いレベルで両立する一液型(非架橋型)の水性コーティング剤と、その製造方法およびこのコーティング剤を塗装してなる塗装物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記(1)〜(3)の知見を得て、本発明を完成するに至った。
(1)塩素化度5〜50重量%、重量平均分子量30,000〜70,000の塩素化ポリオレフィンポリマー(A)と、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合なビニル系単量体(b4)を重合することによって得られるビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子が、乳化剤(C)の存在下で水中に分散している一液型水性コーティング剤は、ポリオレフィン基材等に対する密着性と耐(温)水性と耐油性のバランスが良好で、耐(温)水性と耐油性がより高いレベルで両立すること、
(2)この一液型水性コーティング剤は、前記塩素化ポリオレフィンポリマー(A)を有機溶剤(F)に溶解せしめた塩素化ポリオレフィンポリマー溶液(I)と、前記ビニル単量体(b1)、(b2)、(b3)および(b4)からなるビニル単量体類(II)を、乳化剤(C)の存在下で水中に機械的に分散させた後、ビニル単量体類(II)を重合することにより製造できること、
(3)この一液型水性コーティング剤をプラスチック基材上に塗装してなる塗装物は、密着性と耐(温)水性と耐油性のバランスが良好で、耐(温)水性と耐油性がより高いレベルで両立した皮膜を有する塗装物であること。
【0007】
即ち、本発明は、塩素化度5〜50重量%、重量平均分子量30,000〜70,000の塩素化ポリオレフィンポリマー(A)と、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合なビニル系単量体(b4)を重合することによって得られるビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子が、乳化剤(C)の存在下で水中に分散していることを特徴とする一液型水性コーティング剤を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、塩素化度5〜50重量%、重量平均分子量30,000〜70,000の塩素化ポリオレフィンポリマー(A)を有機溶剤(F)に溶解せしめた塩素化ポリオレフィンポリマー溶液(I)と、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合なビニル系単量体(b4)からなるビニル単量体類(II)を、乳化剤(C)の存在下で水中に機械的に分散させた後、ビニル単量体類(II)を重合することを特徴とする一液型水性コーティング剤の製造方法を提供するものである。
【0009】
更に、本発明は、前記した本発明の一液型水性コーティング剤をプラスチック基材上に塗装してなることを特徴とする塗装物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一液型水性コーティング剤や、本発明の製造方法で得られる一液型水性コーティング剤は、ポリオレフィン基材等に塗装することにより。密着性と耐(温)水性と耐油性のバランスが良好で、耐(温)水性と耐油性がより高いレベルで両立した皮膜を有する塗装物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で用いる塩素化ポリオレフィンポリマー(A)は、塩素化度5〜50重量%、重量平均分子量30,000〜70,0000の塩素化ポリオレフィンポリマーであれることが必須であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体、天然ゴム、合成イソプロピレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンポリマーを5〜50重量%までの範囲で塩素化して得られる重量平均分子量30,000〜70,0000の塩素化ポリオレフィン、好ましくは塩素化度10〜30重量%の塩素化ポリプロピレンが挙げられる。又、塩素化ポリプロピレンについては、これらをさらに無水マレイン酸変性したものを用いることも可能である。通常、これら塩素化ポリオレフィンポリマーは、有機溶剤、とりわけ塩素化ポリオレフィンポリマーへの溶解力が高く、なおかつ低沸点で脱溶剤が容易な、トルエン、キシレン、シクロヘキサンの溶液が主な製品であるため、できるだけこれらを使用するのが好ましい。有機溶剤の使用量としては、塩素化ポリオレフィンポリマー100重量部に対して、通常100〜900重量部、好ましくは100〜400重量部である。
【0012】
これら塩素化ポリオレフィンポリマー(A)の塩素化度が50重量%を超えると、ポリオレフィン基材との密着性低下を起こし、塩素化度が5重量%未満であると有機溶剤への溶解度が低下し、その結果水性樹脂組成物の安定性が低下して低温保存時などに凝集し、ブツを発生する可能性が高いため、好ましくない。また、重量平均分子量が30,000未満であると塗膜の凝集力低下が原因の密着不良を引き起こし、また70,000を超えるとポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材へのぬれ性が低下して密着性が低下するため、好ましくない。
【0013】
次に、本発明で用いるビニル共重合体(B)と本発明の一液型水性コーティング剤について説明する。
【0014】
前記ビニル共重合体(B)は、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合なビニル系単量体(b4)を重合することによって得られるビニル共重合体であればよく、その製造方法等に限定はないが、本発明の一液型水性コーティング剤が、前記塩素化ポリオレフィンポリマー(A)とビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子の水性分散体であり、このような水性分散体がビニル共重合体(B)の合成に際して容易に製造できることから、前記塩素化ポリオレフィンポリマー(A)を有機溶剤(D)に溶解せしめた塩素化ポリオレフィンポリマー溶液(I)と、前記ビニル単量体(b1)と(b2)と(b3)と(b4)からなるビニル単量体類(II)を、乳化剤(C)の存在下で水中に機械的に分散させた後、ビニル単量体類(II)を、好ましくはラジカル重合開始剤(E)の存在下で、重合させる方法が好ましく、この製造方法により、ビニル共重合体(B)の合成と同時に、塩素化ポリオレフィンポリマー(A)とビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子が、乳化剤(C)の存在下で水中に分散している本発明の一液型水性コーティング剤を製造することができる。
【0015】
ここで用いる疎水性ビニル単量体(b1)としては、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体であれば良く、特に限定されないが、例えば、シクロへキシルメタアクリレート(ホモポリマーのガラス転移点:70℃)、イソボルニル(メタ)アクリレート(ホモポリマーのガラス転移点155℃)等が挙げられる。
【0016】
前記疎水性ビニル単量体(b1)の使用量としては、ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材への付着性に優れる水性コーティング剤が得られるビニル共重合体を合成できることから、ビニル共重合体(B)の合成に用いるビニル単量体の総量100重量部に対して30〜95重量部であることが好ましく、なかでも40〜80重量%であることがより好ましく、50〜80重量%であることが最も好ましい。
【0017】
次に、水酸基含有ビニル単量体(b2)としては、水酸基を含有するビニル単量体であれば良く、特に限定されないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート又はこれらとε−カプロラクトンとの付加物、「プラクセル FMないしはFAモノマー」〔ダイセル化学(株)製カプロラクトン付加モノマー〕等が挙げられる。これらのなかでも、ビニル共重合体(B)の水酸基価を下記の範囲に調製することが容易なことから、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0018】
又、水酸基含有ビニル単量体(b2)の使用量としては、耐油性、ポリオレフィン基材への付着性および耐(温)水性に優れる水性コーティング剤が得られるビニル共重合体を合成できることから、重合後のビニル共重合体の水酸基価が10〜100(mgKOH/g)となる範囲であることが好ましく、なかでも20〜80となる範囲であることが特に好ましい。
【0019】
さらに、アルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)としては、アルコキシシリル基を含有するビニル単量体であれば良く、特に限定されないが、例えば下記一般式(1)
【0020】
【化1】

で示されるメトキシシリル基又はエトキシシリル基を1〜3個含有するビニル単量体が挙げられる。
【0021】
前記一般式(1)で示されるビニル単量体の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメトキシジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシブチルフェニルジプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられ、なかでも硬化性が高く、耐(温)水性と耐油性に優れる水性コーティング剤が得られるビニル共重合体を合成できることから、メトキシシリル基又はエトキシシリル基を3個含有するビニル単量体が好ましい。
【0022】
前記アルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)の使用量としては、アルコキシシリル基含有ビニル単量体の種類にもよるが、耐油性に優れ、造膜性が良く、その結果ポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材への付着性に優れる水性コーティング剤が得られるビニル共重合体を合成できることから、ビニル共重合体(B)の合成に用いるビニル単量体の総量100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることが好ましく、なかでも0.4〜2.0重量%であることが特に好ましい。
【0023】
その他共重合可能なビニル系単量体(b4)としては、前記ビニル単量体(b1)、(b2)および(b3)以外の共重合可能なビニル単量体が挙げられ、特に制限はなくいずれも用いることができ、例えば、スチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、イソプロピルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等のスチレン系単量体、ベンジル(メタ)アクリレート等の側鎖に官能基を含有しない(メタ)アクリレート類、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソ(i)−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、「アクリエステル SL」〔三菱レーヨン(株)製の炭素原子数12〜13のメタクリレート混合物〕、ステアリル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート類、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又は酸無水基含有単官能モノマー類、
【0024】
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メチル)グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド等の官能基を有する単官能(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、「ベオバ」〔オランダ国シェル社製の分岐状(分枝状)脂肪族モノカルボン酸類のビニルエステル〕等のビニルエステル類、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート等の一分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体などがあげられ、これらの中から1種又は2種以上のビニル単量体を単独又は混合して用いることができる。
【0025】
前記その他供重合可能なビニル単量体(b4)のなかでも、水分散安定性に優れるコーティング剤が得られるビニル共重合体を合成できることから、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基又は酸無水物含有単官能モノマー類が好ましい。
【0026】
前記カルボキシル基又は酸無水基含有単官能モノマー類の使用量としては、ビニル共重合体(B)の合成後、塩基性化合物で中和することにより、さらに水分散安定性の良好な水性コーティンブ剤が得られることから、ビニル共重合体(B)の酸価が3〜60(mgKOH/g)となる範囲であることが好ましく、なかでも5〜30となる範囲であることが特に好ましい。
【0027】
カルボキシル基又は酸無水基の中和に用いる塩基性化合物の使用量としては、水性コーティング剤のpHが7.5〜9.5となる値となる範囲であることが好ましい。中和に用いられる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア(水);エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の1級〜3級のアミンなどが挙げられ、なかでもアンモニア水が好ましい。
【0028】
前記ビニル単量体類(II)の使用量としては、特に限定されないが、耐油性、分散安定性およびポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材への密着性に優れる水性コーティング剤が得られることから、塩素化ポリオレフィンポリマー(A)100重量部に対して100〜1,000重量部であることが好ましく、なかでも100〜500重量部であることが特に好ましい。
【0029】
また、本発明で用いる乳化剤(C)はアニオン乳化剤および/又はノニオン乳化剤であり、いずれも使用でき、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキレンジスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩類、ジアルキルサクシネートスルホン酸塩類、モノアルキルサクシネートスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩類等のアニオン乳化剤、
【0030】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンアルケート、ソルビタンアルケート、ポリオキシエチレンソルビタンアルケート、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン乳化剤等を挙げることができる。
【0031】
さらに、前記乳化剤(C)としては、ビニルスルホン酸塩類、(メタ)アクリロイロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩類、(メタ)アクリロイロキシポリオキシエチレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ナトリウムアリルアルキルスルホサクシネート、(メタ)アクリロイロキシポリオキシプロピレンスルホン酸塩類等の反応性アニオン乳化剤、ポリオキシエチレンアルケニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンメタクリロイルエーテル等の反応性ノニオン乳化剤などの反応性乳化剤も用いることができる。もちろんこれらの乳化剤を複数種用いることも可能である。
【0032】
前記反応性乳化剤として一般的に市販されているものとしては、例えば、アクアロンKH−1025、HS−1025、アクアロンKH−10、HS−10、ニューフロンティアA−229E〔以上、第一工業製薬(株)製〕、アデカリアソープSE−3N、SE−5N、SE−10N、SE−20N、SE−30N〔以上、旭電化工業(株)製〕、AntoxMS−60、MS−2N、RA−1120,RA−2614〔以上、日本乳化剤(株)製k〕、エレミノールJS−2、RS−30〔以上、三洋化成工業(株)製〕、ラテムルS−120A、S−180A、S−180〔以上、花王(株)製k〕等の反応性アニオン乳化剤、アクアロンRN−20、RN−30、RN−50ニューフロンティアN−177E〔以上、第一工業製薬(株)製〕、アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40〔以上、旭電化工業(株)製〕、RMA−568、RMA−1114〔以上、日本乳化剤(株)製〕、NKエステルM−20G、M−40G、M−230G〔以上、新中村化学工業(株)製〕等の反応性ノニオン乳化剤等、一般的に乳化重合反応に用いられているものであれば何等問題なく用いることができ、勿論これら以外の市販の反応性乳化剤を用いることも可能である。
【0033】
乳化剤(C)の種類については、前記したものに制約されるものではなく、適宜選択して用いることができ、一般的に市販されているものを用いることができる。
また、環境保護、労働衛生上の観点よりアルキルフェノール骨格を持たない乳化剤を使用した方が好ましい。
【0034】
前記乳化剤(C)の使用量としては、塩素化ポリオレフィンポリマー(A)とビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子の分散安定性が高く、耐(温)水付着性に優れる水性コーティング剤が得られることから、ビニル単量体類(II)100重量部に対して0.2〜10重量部となる範囲が好ましく、なかでも0.5〜5重量部となる範囲が特に好ましい。
【0035】
前記有機溶剤(D)としては、前記塩素化ポリオレフィンポリマー(A)を溶解できる有機溶剤であることが必要であり、なかでも低沸点で脱溶剤が容易なことから、トルエン、キシレン、シクロヘキサンが好ましい。
【0036】
前記有機溶剤(D)の使用量としては、前記塩素化ポリオレフィンポリマー(A)100重量部に対して、100〜900重量部であることが好ましく、なかでも100〜400重量部であることが特に好ましい。
【0037】
前記ラジカル開始剤(E)としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類、アゾビスイソブチロニトリル及びその塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系開始剤、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。また、これらラジカル開始剤(E)は還元剤との併用が可能であり、併用可能な還元剤としては、例えば、ナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アスコルビン酸等が挙げられる。さらに、還元剤を併用する場合、鉄イオンや銅イオンなどによって代表される、いわゆる多価金属塩イオンを生成する化合物を促進剤として併用することも可能である。これらのラジカル重合開始剤(E)および還元剤の使用量は、ビニル系単量体類(II)100重量部に対して、それぞれ独立に0.1〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0038】
また、ビニル共重合体(B)の乳化重合に際して、その重合度を制御するため、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類やチオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸オクチル等のチオグリコール酸エステル類、チオリンゴ酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等の水溶性メルカプタン類やイソプロピルアルコールのアルコール類等が挙げられる。
【0039】
本発明の一液型水性コーティング剤の製造方法では、まず前記塩素化ポリオレフィンポリマー(A)と、ビニル単量体(b1)と(b2)と(b3)と(b4)からなるビニル単量体類(II)と、乳化剤(C)と、有機溶剤(D)を、水の存在下で機械的に乳化分散する。この乳化分散工程としては、例えば、ホモミキサー等の機械乳化分散装置を用いて乳化分散を行う方法が挙げられる。又、このような乳化分散体は、均一微粒子であることが凝集粒子の発生やポリマー粒子の沈降等を防止できることから、その平均粒子径は0.05〜0.3μmであることが好ましく、0.08〜0.2μmであることが特に好ましい。
【0040】
本発明の一液型水性コーティング剤の製造方法では、前記乳化分散体中のビニル系単量体類(II)を、ラジカル重合開始剤(E)の存在下、窒素雰囲気中で攪拌しながら乳化重合することが好ましい。その反応温度は、40〜100℃の範囲で行うのが好ましい。なお、ラジカル重合開始剤(E)は、予め反応釜中に全量添加されていても良いし、重合反応の進行とともに逐次添加しても良い。
【0041】
また、本発明の一液型水性コーティング剤の製造方法では、乳化重合で得られる本発明の一液型水性コーティング剤中のビニル共重合体(B)がビニル単量体(b4)の一部もしくは全部として前記したカルボキシル基又は酸無水基含有単官能モノマー類を用いて得られる酸基含有ビニル共重合体である場合には、前記塩基性化合物で中和することにより、さらに水分散安定性の良好な水性コーティンブ剤とすることができる。なお、塩基性化合物による中和は、中和後の水性コーティング剤のpHが7.5〜9.5の範囲となるように調製することが好ましい。
【0042】
又、本発明の一液型水性コーティング剤の製造方法では、重合によって得られた一液型水性コーティング剤中の有機溶剤(D)を減圧蒸留によって脱溶剤することもできる。減圧蒸留の条件は、温度30〜80℃、減圧度0.0008〜0.04MPaが好ましい。
【0043】
本発明の一液型水性コーティング剤としては、例えば、前記した本発明の一液型水性コーティング剤の製造方法で得られるものが好ましく挙げられるが、塩素化ポリオレフィンポリマー(A)とビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子が、乳化剤(C)の存在下で水中に分散している一液型水性コーティング剤であれば、他の製造方法で得られたものであっても良い。
【0044】
この場合、前記ビニル共重合体(B)の使用量としては、特に限定されないが、耐油性、分散安定性およびポリプロピレン基材等のポリオレフィン基材への密着性に優れる水性コーティング剤が得られることから、塩素化ポリオレフィンポリマー(A)100重量部に対して100〜1,000重量部であることが好ましく、なかでも100〜500重量部であることが特に好ましい。また、本発明の一液型水性コーティング剤中における塩素化ポリオレフィンポリマー(A)とビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子の平均粒子径としては、凝集粒子の発生やポリマー粒子の沈降等を防止できることから、0.05〜0.3μmであることが好ましく、なかでも0.08〜0.2μmであることが特に好ましい。さらに、ビニル共重合体(B)としては、塩基性化合物で中和されたカルボキシル基又は酸無水基を有するものであることが、ポリマー粒子の分散安定性に優れることから好ましい。
【0045】
本発明の一液型水性コーティング剤は、非極性面を持つポリオレフィン基材に対する密着性、耐(温)水性、耐油性に優れた被膜を形成することができるため、ポリオレフィンフィルム・シート、ポリオレフィン成型物に対するコーティング剤として、自動車部品材料、電気電子部品材料、土木建築材料等の広い分野で利用できる。
【0046】
本発明の一液型水性コーティング剤を使用する際は、例えば、クリアーであっても、顔料を含む形の着色塗量でもいずれの形であっても良い。顔料とは、種々の有機系顔料のほかにも、酸化チタン、酸化鉄、アルミニウム・フレーク、チタンコート・マイカなどのような、種々の無機系顔料も挙げられる。
【0047】
乾燥皮膜を形成させる方法としては、ポリオレフィン基材等にエアー・スプレー法、エアレス・スプレー法、刷毛塗りもしくはロール・コート法などのような種々の塗装方法が利用できる。
【0048】
乾燥方法としては、本発明の一液型水性コーティング剤の乾燥性あるいは基材の耐熱性などに応じて、さらには、それぞれの用途などに応じて、常温で1日から2週間程度乾燥したり、あるいは約40〜120℃程度の温度範囲で乾燥を行ったりするなどの、幅広い乾燥条件の設定が可能である。
【実施例】
【0049】
次に実施例および比較例を示して、本発明をより更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例中の部および%は特に断りのない限り、重量基準である。
【0050】
実施例1
塩素化度25.5%、重量平均分子量50,000の塩素化ポリプロピレン30%トルエン溶液〔スーパクロン803LT:日本製紙(株)製〕400.0部と、シクロへキシルメタクリレート(以下、CHMAと略す。)360.0部、メチルメタアクリレート(以下、MMAと略す。)27.6部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(以下、βHEMAと略す。)83.4部、A−174〔γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン:日本ユニカー(株)製〕3.0部、ラウリルメルカプタン(以下、L−SHと略す。)3.0部およびメタアクリル酸(以下、MAAと略す。)6.0部からなるビニル単量体類を、反応性乳化剤ハイテノールKH−1025 36.0部とアクアロンER−20 12.0部を水261.0部に溶解した溶液とガラス棒を用いて混合して粗乳化し、さらにその粗乳化物をホモジナイザー〔TKオートホモミキサー:特殊機化工業(株)製〕を用いて9000rpmの条件で、30分間かけて微粒化し、塩素化ポリプロピレンとビニル単量体類の混合物の乳化分散体とした。
【0051】
また、パーブチルH(ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド)3.0部を、ニューコール707SF〔日本乳化剤(株)製〕3.0部とイオン交換水60.0部の乳化剤水溶液に溶解させ、ラジカル重合開始剤水溶液を得た。さらに、レドールCP〔ナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド:三菱化学(株)〕3.0部をイオン交換水60gに溶解させ、還元剤水溶液を得た。
【0052】
攪拌機、温度計、冷却器を取り付けた2リットル反応容器中に、イオン交換水330部を仕込み、窒素ガスを挿入しつつ攪拌しながら70℃に昇温した。反応容器内を充分に窒素置換したのち、反応容器中に塩素化ポリプロピレンとビニル単量体類の混合物の乳化分散体、ラジカル重合開始剤水溶液および還元剤水溶液を、それぞれ滴下投入した。滴下時間は塩素化ポリプロピレンとビニル単量体類の混合物の乳化分散体が3時間、ラジカル重合開始剤水溶液および還元剤水溶液が3時間30分とし、滴下反応中、反応容器内を70℃に保持しつつ攪拌を継続した。ラジカル重合開始剤水溶液と還元剤水溶液の滴下終了後、30分間攪拌しながら70℃に保持した後、冷却し、12.5%アンモニア水でpH8〜9に調整した。さらに得られた水性樹脂組成物を水流減圧機(A−3S:東京理化学製)にて0.007MPa、42℃にて1時間減圧蒸留を行った。その後、12.5%アンモニア水およびイオン交換水にてpHおよび不揮発分を調整し、不揮発分43.0%、粘度120mPa・s、pH9.3の一液型水性コーティング剤を得た。また、このときのポリマー粒子の粒子径を粒子径測定器〔マイクロトラック粒度分析計9340UPA:日機装(株)製〕にて測定したところ、0.17μmであった。
【0053】
実施例2〜3および比較例1〜4
以下の第1表および第2表に記載の原料を用いた以外は実施例1と同様にして、本発明および比較用の一液型水性コーティング剤を得た。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
試験例1〜3および比較試験例1〜4
(造膜助剤の添加)
実施例1〜3および比較例1〜4で得られた一液型水性コーティング剤100gを、それぞれディスパーにて攪拌する。この状態にてDBDG(ジエチレングリコールジブチルエーテル)を一液型水性コーティング剤の固形分100部に対して90部添加し、10分間ディスパーにて攪拌してから取り出して、造膜助剤が添加された一液型水性コーティング剤を得た。
【0057】
(被膜試験板作成方法)
自動車内装グレードのポリプロピレン基材に、造膜助剤が添加された一液型水性コーティング剤を、それぞれスプレーにて乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、5分間セッティングを行った後、熱風乾燥機を用いて80℃で30分間乾燥を行い、さらに室温で3日間乾燥して、乾燥被膜を有する試験板を得、得られた試験板を用いて、下記のように1次密着性試験、2次密着性試験および耐油性試験を行い、試験板上の被膜を評価した。
【0058】
(1次密着性試験)
被膜表面にカッターにて2mm角で10×10個の切れ目を入れ、セロファンテープによる剥離試験を行い、残存する目数を下記評価基準で評価した。
評価基準 ◎:100個
○:85〜99個
△:65〜84個
×:35〜64個
××:34個以下
【0059】
(2次密着性試験)
試験板を40℃の温水に24時間浸漬した後、取り出して常温にて2時間乾燥した。その後、1次密着性試験と同じくセロファンテープによる剥離試験を行い、残存する目数を下記評価基準で評価した。
評価基準 ◎:100個
○:85〜99個
△:65〜84個
×:35〜64個
××:34個以下
【0060】
(耐油性試験)
試験板に牛脂1級を2g/100cmの割合で塗布した後、ネル布をかぶせ、熱風乾燥機にて80℃で7日間加熱を行った。その後取り出し、冷却してからネル布を剥離し、剥離後の皮膜の表面状態(ネル付着、被膜溶解)を下記評価基準で評価した。
評価基準 ◎:変化なし。
○:つやびけあり。
△:溶解少々あり、ネルやや付着あり。
×:溶解、ネル付着あり。
××:全面溶解。
【0061】
【表3】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素化度5〜50重量%、重量平均分子量30,000〜70,000の塩素化ポリオレフィンポリマー(A)と、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合可能なビニル系単量体(b4)を重合することによって得られるビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子が、乳化剤(C)の存在下で水中に分散していることを特徴とする一液型水性コーティング剤。
【請求項2】
疎水性ビニル単量体(b1)がシクロへキシルメタクリレートおよび/又はイソボルニル(メタ)アクリレートである請求項1に記載の一液型水性コーティング剤。
【請求項3】
塩素化ポリオレフィンポリマー(A)100重量部に対するビニル共重合体(B)の重量が100〜1000重量部である請求項1又は2に記載の一液型水性コーティング剤。
【請求項4】
ビニル共重合体(B)が、疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合なビニル系単量体(b4)の合計100重量部に対して疎水性ビニル単量体(b1)を30〜95重量部、アルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)を0.3〜5重量部用いて得られる水酸基価10〜100mgKOH/gのビニル共重合体である請求項1又は2に記載の一液型水性コーティング剤。
【請求項5】
アルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)がメトキシシリル基又はエトキシシリル基を3個有する(メタ)アクリル単量体である請求項1又は2に記載の一液型水性コーティング剤。
【請求項6】
塩素化ポリオレフィンポリマー(A)とビニル共重合体(B)が混合されたポリマー粒子の平均粒子径が0.05〜0.3μmである請求項1又は2に記載の一液型水性コーティング剤。
【請求項7】
ビニル共重合体(B)が塩基性化合物で中和されたカルボキシル基又は酸無水基を有するものである請求項1又は2に記載の一液型水性コーティング剤。
【請求項8】
塩素化度5〜50重量%、重量平均分子量30,000〜70,000の塩素化ポリオレフィンポリマー(A)を有機溶剤(D)に溶解せしめた塩素化ポリオレフィンポリマー溶液(I)と、ホモポリマーのガラス転移点が60〜200℃の疎水性ビニル単量体(b1)と水酸基含有ビニル単量体(b2)とアルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)とその他共重合可能なビニル系単量体(b4)からなるビニル単量体類(II)を、乳化剤(C)の存在下で水中に機械的に分散させた後、ビニル単量体類(II)を重合することを特徴とする一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項9】
塩素化ポリオレフィンポリマー溶液(I)とビニル単量体類(II)を機械的に分散させた後、ビニル単量体類(II)を重合して平均粒子径が0.05〜0.3μmのポリマー粒子の水性分散体とする請求項8に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項10】
塩素化ポリオレフィンポリマー溶液(I)とビニル単量体類(II)を、乳化剤(C)の存在下で、水中に機械的に分散させた後、ラジカル重合開始剤(E)の存在下でビニル単量体類(II)を重合する請求項8に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項11】
ビニル単量体類(II)を乳化重合した後、減圧蒸留により脱溶剤する請求項8、9又は10に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項12】
疎水性ビニル単量体(b1)がシクロへキシルメタクリレートおよび/又はイソボルニル(メタ)アクリレートである請求項8、9又は10に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項13】
塩素化ポリオレフィンポリマー(A)100重量部に対するビニル単量体類(II)の重量が100〜1,000重量部である請求項8、9又は10に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項14】
ビニル単量体類(II)が、ビニル単量体類(II)100重量部に対して疎水性ビニル単量体(b1)を30〜95重量部、アルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)を0.3〜5重量部含有し、かつ、水酸基含有ビニル単量体(b2)をビニル単量体類(II)を重合して得られるビニル共重合体の水酸基価が10〜100mgKOH/gとなる割合で含有するものである請求項8、9又は10に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項15】
アルコキシシリル基含有ビニル単量体(b3)がメトキシシリル基又はエトキシシリル基を3個有する(メタ)アクリル単量体である請求項8、9又は10に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項16】
ビニル単量体類(II)としてカルボキシル基又は酸無水基を有するビニル単量体を含有するビニル単量体類を用いて重合した後、塩基性化合物で中和する請求項8、9又は10に記載の一液型水性コーティング剤の製造方法。
【請求項17】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の一液型水性コーティング剤をポリオレフィン基材上に塗装してなることを特徴とする塗装物。
【請求項18】
ポリオレフィン基材がポリプロピレン基材である請求項17に記載の塗装物。


【公開番号】特開2007−91997(P2007−91997A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287021(P2005−287021)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】