一貫した供給を提供する定量吸入器のための計量弁
本発明は、製剤供給の改良された一貫性を提供する計量弁のための新規な設計に関する。概して、本計量弁は、(a)概して長手方向軸を画定し、計量面を有する本体部を含む弁棒であって、長手方向軸と計量面の少なくとも一部に対して接線の方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、弁棒と、(b)少なくとも部分的に本体壁によって画定され、弁棒の計量面に実質的に従うように構成された計量部を含む内部チャンバを有する弁本体と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
計量弁は、エアゾール容器からエアゾールを分配する際に用いられる一般的な手段である。計量弁は、特に、エアゾール内の、液化ガス噴射剤を含み患者に供給される医薬製剤を投与するために有用である。
【0002】
医薬製剤を投与する場合、所望の生理反応をもたらすために十分な用量の製剤を患者に供給する。連続した各投与において適当な所定量の製剤を患者に分配しなければならない。このため、いかなる分配システムも、治療の安全性および効力を保証するのに役立つように正確かつ確実に医薬製剤を分配することができなければならない。
【0003】
医薬エアゾール製剤の分配を制御する計量弁が開発されてきた。計量弁を使用して、次の投与として分配される製剤の最大量を規定する、容器から計量チャンバに移動する医薬製剤の容量を調節することができる。医薬製剤の計量チャンバへの流動が確実かつ制御可能であることにより、製剤の連続した投与の計量を正確かつ/または高精度にすることができる。このため、医薬製剤の計量チャンバへの流動が確実かつ制御可能であることにより、計量弁の性能を向上させることができ、したがって、そのことは非常に望ましい場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある計量弁においては、患者が弁棒を作動させそれにより1回分の投与量を吐出させる前に、計量チャンバに医薬製剤が充填されている。1回分の投与量を分配した後、計量弁がすぐに次の投与量を放出するように、計量チャンバに製剤を補充する。したがって、使用者が1回分の投与量を放出するために弁棒を押下している短時間を除き、計量チャンバは、常に製剤を収容している。また、製剤が計量チャンバに達するために流動しなければならない通路は、しばしば狭く曲がりくねっている。その結果、このように構成された計量弁には、たとえば、始動損失(loss of prime)のために一貫しない投与をもたらす結果となる複数の不都合がある。「始動損失」とは、計量された容積において蒸気または空気の間隙が発生することを意味し、それにより弁によって計量されている1回の投与の容積が不足することになる。始動損失の主な原因は、製剤が計量チャンバを充填するために通過しなければならない1つまたは複数の入口通路に制限がある、ということである。かかる制限により、流動が中断され、そのため計量チャンバに蒸気または空気の空隙が発生することになる可能性がある。
【0005】
一貫しない投与をもたらす可能性のある別の現象は、投与量損失(loss of dose)である。「投与量損失」は、容器内のバルク製剤の平均的な配合に比較して、製剤の計量された1回分の投与量における懸濁した薬剤または賦形剤粒子の量の変化を意味する。投与量損失の主な原因は、薬剤粒子が計量弁の制限された領域に沈殿するかまたはかかる領域から出ることにより、その後、1回分の投与を供給する前にその制限された領域内に、製剤の適当な濃度を得ることができなくなる、ということである。たとえば、薬剤粒子は、残留計量容積に、すなわち、計量面によって境界が画され、計量弁が休止位置にある時に流体を充填したままにするがバルク製剤と実質的に自由流動連通していない、計量弁の任意の部分に沈殿する可能性がある。
【0006】
他の計量弁においては、弁棒が作動されない限りかつ弁棒が作動されるまで計量チャンバが実体化しないように計量弁を設計することにより、残留計量容積をある程度まで制限することができる。しかしながら、これらの計量弁においてさえも、弁棒と計量弁本体との間に小さい環状の間隙が存在するため、計量弁が休止している時に、わずかな残留計量容積が存在する。
【0007】
これらの弁棒の作動は、充填段階と放出段階とに分割することができる。充填段階は、作動中に弁棒が押下されると開始する。弁棒を押下するという動作により、一時的な計量チャンバが形成され、それは、小さい環状の間隙によって画定される残留計量容積と流体連通する。弁棒が押下されると、計量チャンバの一時的な部分が拡張し、製剤がその計量チャンバ内に入る。弁棒の変位が続くと、一時的な計量チャンバの充填が停止する段階に達する。
【0008】
最終的に、弁棒の変位は、計量された製剤が放出される放出段階まで続く。これらの弁では、このような1回の作動により、一時的な計量チャンバが急速に充填され、その後、製剤が患者に放出される。一般に、これらの計量弁では、計量された製剤は、計量チャンバ内にそれほどの時間は存在しない。しかしながら、計量弁が休止している時、小さい環状の間隙によって画定される残留計量容積に、幾分かの製剤が存在する可能性がある。
【0009】
計量弁によっては、環状の間隙の高さを制限することにより、残留容積を低減し、作動事象間に計量チャンバに存在する製剤の量を制限する。
【0010】
一時的な計量チャンバを有する計量弁は、エアゾール製剤の供給に対し他のタイプの計量弁に比較して利点を提供するが、容器から計量チャンバへの製剤の流動が中断される可能性がある。製剤の流動が中断されることは、計量チャンバを、極めてアクセスが制限された1つまたは複数の狭い領域を通して充填することを意味する。狭い領域を通る流動は、特に患者の使用に典型的な状態の下で、計量チャンバの実質的に不完全な充填をもたらすほど妨げられる可能性がある。このようになると、製剤は、一貫しないまたは不正確な投与量で供給される可能性がある。当然ながら、計量チャンバ入口はすべて、作動中にシールされる直前に大幅に制限される。このような妨げられた流動が、作動の充填段階の大部分の間の流動アクセスになる。
【0011】
製剤の計量チャンバ内への流動を促進するいくつかの計量弁が設計された。たとえば、計量弁によっては、製剤の計量チャンバ内への流動の中断を制限するように設計された角度付きの余水路の充填路を有する。流動の中断が減少することにより、計量された容積内に蒸気または空気の間隙が形成される確率および程度を低減することができ、したがって、計量弁の性能を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、製剤供給の改良された一貫性を提供する計量弁のための新規な設計に関する。本発明の計量弁は、(1)残留計量容積を制限または除去することにより、計量弁が休止状態にある間に計量チャンバに存在する製剤の量を低減し、(2)計量チャンバ内への製剤の自由流動に対する制約を制限するように設計された弁棒を有する。したがって、始動損失および投与量損失の影響を低減することにより、製剤の一貫した供給が得られる。
【0013】
本発明は、弁本体と、概して長手方向軸を画定し弁棒と弁本体のシール部との間に一時的な実質的流体密封シールを形成することができるように構成された計量ガスケットを備える弁棒と、を有するエアゾール計量弁を提供する。弁棒は、計量面を含む本体部を有し、長手方向軸と計量面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが、約2°から約90°の角度を画定する。
【0014】
別の態様では、本発明は、(a)開口を画定する壁を有するダイヤフラムを有する弁本体と、(b)概して中心軸を画定するとともに部分的に内部空間を画定し、シール部と、シール部に対し遠位の入口凹部と、入口凹部に対して遠位の計量面と、計量面に対して遠位の放出ガスケットと、を有する計量心棒であって、中心軸と計量面の少なくとも一部に対して接線の方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、計量心棒と、(c)開口と摺動可能にシール係合する弁棒であって、(1)計量心棒の入口凹部から内部空間の一部を横切るシール部であって、計量心棒シール部の少なくとも一部と一時的な流体密封摺動シールを形成することができるように構成された計量ガスケットを備えるシール部と、(2)計量心棒の計量面に実質的に従うように構成された計量面と、(3)内面と、(4)内面の一部の放出凹部と、を有する弁棒と、を有するエアゾール計量弁を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の説明を、エアゾール容器からエアゾール製剤を分配するために使用するエアゾール計量弁に関して示す。しかしながら、本発明の計量弁および方法は、正確な計量された投与量を供給する必要のある実質的に任意の加圧流体に対し適用することができる。特に、本明細書で説明する計量弁は、医薬エアゾール製剤を分配するために有用である。
【0016】
本発明による計量弁は、医薬エアゾール製剤を分配するために使用する場合、口、鼻、肛門、膣、耳等の患者の体腔内にもしくは眼または患者の任意の皮膚領域の上に薬剤の実質的に任意のエアゾール製剤を投与するために使用することができる。しかしながら、本発明は、医薬の用途に限定されず、加圧流体から正確な量の材料を所与の領域に供給すべき場合であればいかなる場合に使用してもよい。
【0017】
図1は、本発明による計量弁14の一実施形態を組み込んだ、概して10として示すエアゾール分配装置を示す。計量弁14の上端は、従来のエアゾール容器12の端部周辺に圧着されており、計量弁14の底部周辺には従来の放出部品16が取り付けられている。このため、エアゾール製剤は、エアゾール容器12から下方に分配され、計量弁14を通り、その後放出部品16を通ってそこで患者に供給される。放出部品16は、エアゾール製剤を、その製剤が供給される体腔または皮膚領域に向ける。たとえば、放出部品16は、患者の口の中に挿入することができるマウスピースであってもよく、それによりエアゾール製剤の経口投与が可能になる。
【0018】
図1に示すエアゾール分配装置は、単に、本発明による計量弁を分配装置にいかに組み込むことができるかの一例である。さらに、放出部品16の構成は、エアゾールに対する適用によって決まる。
【0019】
図の多くでは、例示を容易にするために、計量弁または弁棒を分離して示す。分離して示す弁棒を、1つまたは複数の追加の部品と結合することにより計量弁を形成してもよい。かかる計量弁を、図に分離して示す計量弁と同様に、1つまたは複数の追加の部品と結合することにより、エアゾール分配装置を形成してもよい。計量弁および/または弁棒実施形態に示す任意の特定の特徴を、他の実施形態に示す特徴と結合してもよくかつ/または他の実施形態に適当に組み込んでもよい、ということが理解される。
【0020】
計量弁14(休止位置にある)の実施形態を示す図2を参照すると、計量弁14は、典型的には、計量弁14のさまざまな部品を収容する役割を果たすハウジング18を有する。ハウジング18の上部は、エアゾール容器12に付着する(図1に示すように)。典型的には弁ハウジング18内に着座する弁本体22は、弁棒26に対しハウジングを提供する。弁本体22は、弁本体の内部チャンバまたは内腔を画定する内面24を有する。
【0021】
計量弁14は、典型的には、弁本体22とともに、一部が弁棒26の一部によって占有される内部チャンバ38を画定する、バネケージ46を有する。1つまたは複数の入口(図示せず)が、内部チャンバ38とエアゾール容器12との間の開口し制限のない流体連通を提供する。
【0022】
弁棒26は、2つの部分、すなわち本体部と心棒部とを有する。心棒部は、弁棒26が図2に示す休止位置にある場合に弁ハウジング18の外部にある弁棒の部分を含む。しかしながら、弁棒26の作動中、心棒部は、後により完全に説明するように計量弁14に対して内方に変位し、それにより心棒部の一部が一時的に弁ハウジング18内に配置されるようになる。心棒部は、後により完全に説明するように、定量の製剤が放出される際に通過する通路50を有する。通路は1つまたは複数の横穴52を有する。
【0023】
弁棒26の本体部は、弁棒26の作動の間を通して弁ハウジング18内に配置される部分である。弁棒26の本体部は、計量面28とシール面30とを有する。
【0024】
弁棒26の本体部は、弁本体22の周囲壁と実質的に同じ形状を有するように構成される。このため、図2に示す実施形態で分かるように、弁棒26の計量面28の実質的な部分は、計量弁が休止位置にある時、弁本体24の内面に接触して休止し、それにより、計量弁が休止位置にある時に弁棒と弁本体との間の環状間隙が最小化し、そのため残留計量容積が最小化する。
【0025】
計量弁は、図2に示すように、心棒部の反対側の弁棒本体部の端部に取り付けられたバネガイド44と、計量弁の内部チャンバ38内のバネ48と、を有してもよい。バネ48は、バネガイドと係合することにより、弁棒26を休止位置に向かって付勢する。当業者には、弁棒26を休止位置に付勢する任意の適当な手段、たとえばコイル圧縮バネまたは内部チャンバの外部に適当に取り付けられたバネを、本発明による計量弁とともに使用してもよい、ということが理解されよう。バネガイドは、引用により開示内容が本明細書内に包含されたものとする米国特許第5,400,920号明細書に述べられているように、弁棒の一体部分であってもよくかつ/または圧力充填リングを有するように構成されてもよい。
【0026】
計量弁14はまた、少なくとも2つの環状ガスケット、すなわちダイヤフラム20と計量ガスケット32とを有する。ダイヤフラム20は、図2に示すように、弁ハウジング18と、弁本体22と、弁棒26と、の間に配置される。ダイヤフラム20は、以下の2つの流体密封シールを形成することにより、エアゾール容器12内の製剤を弁の外面から分離する。すなわち、1)弁棒が弁ハウジングから出て延在する場合のダイヤフラム20と弁棒26との間の環状シールと、2)ダイヤフラム20とハウジング18との間の圧縮平面または端面シールと、である。後者のシールを、弁本体22かまたはハウジング18のいずれかにシーリングビードを用いて行ってもよくまたは用いずに行ってもよい。
【0027】
図2に示すように、計量ガスケット32は、弁棒26内に含まれ、弁棒26の本体部と2つの平坦面シールを形成する。計量ガスケットを、弁棒に機械的に付着させてもよく、弁棒上に成形してもよく、または弁棒を、たとえば、2ショットまたは同時成形プロセスを使用して製造してもよい。同時成形プロセスでは、弁棒と計量ガスケットとが、弁棒の基礎部分と計量ガスケットとの間に強力な接着(機械的および/または化学的)を達成することができるように同時成形される。後により詳細に説明するように、計量ガスケット32は、計量チャンバ34(作動中に形成される)内の製剤をエアゾール容器12から一時的に分離し(図4に最もよく示すように)、それにより、弁棒26の作動中にエアゾール容器12から計量チャンバ34への製剤の流動を遮る手段を提供する。
【0028】
図2に示す計量弁の動作を図3および図4に示す。図は、患者が弁棒26を作動する際の計量弁14の動作の段階と弁部品の対応する相対位置とを示し、それにより1回分の投与量のエアゾール製剤が吐出される。図3は、充填段階における計量弁14を示し、図4は、放出段階における計量弁14を示す。
【0029】
図3に示すように、作動の充填段階中、弁棒26は、バネ48の圧縮力に対抗して内部チャンバ38の内方に変位する。弁棒26が内方に変位すると、弁棒26の心棒部の遠位端が弁ハウジング18に入る。その結果、弁本体24の内面と弁棒26の計量面28との間に計量チャンバ34が形成される。計量チャンバ34の容積は、充填段階の最後にその充填済み容積に達するまで、弁棒が変位するに従って増大する。
【0030】
エアゾール製剤は、以下のように計量チャンバ34の充填容積に入る。エアゾール容器12からの製剤は、1つまたは複数の入口を通過し計量弁の内部チャンバ38内に入る。製剤は、内部チャンバ38から、バネガイド44と計量ガスケット32との間を通過する。製剤は、弁棒26と弁本体24の内面との間の流路42を通って弁棒26の遠位端の周囲を流動し、膨張した計量チャンバ34に入る。計量チャンバへの流動および/またはアクセスを促進するために、バネガイドに切取部または開口を設けてもよい。
【0031】
このように、弁棒26が図2に示す休止位置から図3に示す充填段階まで移動する際、エアゾール製剤は、弁棒26が作動するとすぐに、エアゾール容器12から計量チャンバ34に移動する。製剤は、計量弁14が充填済み段階(図示せず)に達するまで計量チャンバ34を充填し続ける。後により詳細に説明するように、計量チャンバ34への製剤の流動に対し、弁棒の中央長手方向軸に対する弁棒28の計量面によって描かれる角度が作用してもよい。
【0032】
充填段階の最後に、計量ガスケットが弁本体22のシール面40に接触すると流路が中断される。計量ガスケットは、シール面と流体密封の摺動環状シールを形成する(図4に示すように)。シール面40は、計量ガスケットが最初にシール面40に接触しその後シール面40を越えて摺動する際に計量ガスケット32の摩耗を制限するように設計された1つまたは複数の構造を有してもよい。適当な構造は、限定されないが、丸みを帯びた縁と、面取りされた縁と、弁本体24の内面からシール面40への平滑な角度付き遷移部とを有する。
【0033】
弁本体22と、弁棒26と、他の弁部品との寸法により、完全に充填された位置における計量チャンバ34の充填容積が確定する。
【0034】
図4は、作動の放出段階における計量弁14を示す。定量のエアゾール製剤を計量チャンバ34から放出するために、弁棒26を図4に示す位置までさらに作動する。当業者は、充填段階の開始と図4との間で弁棒26が移動した距離により、計量された投与量を増大させることなく計量チャンバ34が膨張する、ということが理解されよう。余分の移動により、1つまたは複数の横穴52が計量チャンバ34に入る前に、計量ガスケット32がシール面40に対してシールされることが確実になる。弁棒26が完全に作動されると、放出通路50の1つまたは複数の横穴52が、ダイヤフラム20を通過し、計量チャンバ34と流体連通するようになる。このようにして確立された流体連通により、計量チャンバ34内のエアゾール製剤が1つまたは複数の横穴52内に吐出され、そのため製剤が放出通路50を通過し、それにより、定量のエアゾール製剤が患者または他の所望の領域に供給される。
【0035】
図4に示すような計量チャンバ34からのエアゾール製剤の放出中、計量ガスケット32は、弁部品の寸法公差に対して許容差を与えながら、追加のバルク製剤がエアゾール容器12から計量チャンバ34に移動するのを防止し続ける。1回分の投与量のエアゾール製剤が分配された後、患者は弁棒26を解放し、弁棒26は、少なくともバネ48の付勢動作により図2に示すその元の休止位置に戻る。
【0036】
図3および図4に例示的に示すような弁棒作動の連続した段階は、すべて、弁棒の作動の短い期間の間に行われる。したがって、計量チャンバの形成、充填および排出が迅速に行われる。多くても、作動間に、計量チャンバには、1回分の投与量の製剤の非常にわずかな部分しか存在しない。実施形態によっては、計量チャンバは休止段階にはまったく存在しなくてもよく、すなわち、残留計量容積はゼロであってもよく、それにより、作動間に計量チャンバ内に製剤が存在しないことが可能となる。弁棒作動の段階が迅速に発生するため、計量チャンバには、計量チャンバからの製剤の放出の直前の短い瞬間にのみ製剤が充填される。
【0037】
図5〜図7は、休止位置にある、作動の充填段階中、および放出段階中における計量弁14の別の実施形態を示す。この実施形態は、バネガイド44と弁棒26とが単一要素として形成される例を提供する。この実施形態では、計量面とシール面との間の中間面に隣接して配置された計量面28の部分には、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされた有意な部分がない。さらに、計量面28は、弁本体22の周囲壁と実質的に同じ形状であるように構成される。このため、この実施形態では、計量弁が休止位置にある時(図5に示すように)、実質的に弁棒26の計量面28の完全な部分が、弁本体24の内面に接触して休止し、それにより、任意の残留計量容積が、実質的に除去されないまでも最小化される。
【0038】
また、この実施形態では、計量面とシール面との間の中間面に隣接して配置されたシール面30の一部には、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされた有意な部分がない。これにより、計量弁が休止位置にある時、バルク製剤と、内部チャンバ38内、特に弁棒26の本体部と弁本体壁の内面24によって画定される弁本体22の内部チャンバまたは内腔との付近における薬剤と、の間の自由流体連通が容易になる。
【0039】
計量弁14の作動中(図6および図7に示すように)(その動作は、図2〜図4に示す実施形態に対して説明したものと同じである)、後に詳細に論考するように、弁棒26の本体部の計量面28および/またはシール面30の望ましい構成のために、充填段階中(図6)の製剤の、作動時に形成される計量チャンバ34内への自由流動もまた促進される。
【0040】
図8は、休止位置にある計量弁14のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、バネガイド44が2つの部分、すなわちバネガイド心棒44’とバネガイドキャップ44”とから形成される例を提供し、ここでは、弁棒26とバネガイド心棒とが単一要素として形成され、バネガイドキャップが、後にバネガイド心棒に付着される別個の要素として形成される。
【0041】
この実施形態では、計量面とシール面30との間の中間面に隣接して配置された計量面28の部分は、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされた部分を実質的に有していないように構成される。さらに、計量面28は、弁本体22の周囲壁と本質的に同じ形状であるように構成される。このため、この実施形態では、計量弁が休止位置にある場合(図8に示すように)、本質的に弁棒26の本体部の計量面28の完全な部分が弁本体24の内面に接触して休止し、それにより、任意の残留計量容積が実質的に除去される。この実施形態では、計量面28とシール面との間の中間面に隣接して配置されたシール面30の部分もまた、特に計量面28とシール面との間の中間面に隣接する、心棒軸に平行に位置合せされた部分を実質的に有していないように構成される。これにより、この場合もまた、計量弁が休止位置にある時、バルク製剤と、内部チャンバ38内、特に弁棒26の本体部と弁本体壁の内面24によって画定される弁本体の内部チャンバまたは内腔との付近における製剤と、の間の自由流体連通が促進される。
【0042】
図8から理解することができるように、この実施形態の計量ガスケット32の形状は、実質的に三角形である。計量ガスケット32の内面は、典型的には、成形(たとえば、ガスケットを金属弁棒の上に成形する)かまたは、より望ましくは弁棒を製作するために使用する同時成形製造プロセスの結果として、弁棒26のそれぞれの基礎部分に付着される。上述したように、同時成形プロセスを使用することにより、計量ガスケットの中間面と弁棒の基礎部分との間に強力な接着を提供することができる。接着を促進するためかつ/または機械的支持および強度をさらに確実にするため、弁26の基礎部分に、成形されたまたは同時成形された計量ガスケット32の機械的固定を容易にしまたは促進する、キーまたは幾何学的特徴33を設けてもよい。よりよい理解のために、図9は、図8に示す計量弁の一部、すなわち計量ガスケットの付近の等角切取拡大図を示す。図示するように、計量ガスケット32の内面の下にある弁棒26の部分に、図示するように任意にわずかにアンダーカットされてもよい一続きの交互の三角形の歯の形態のキー33が設けられる。理解されるように、キーの形態は、任意の適当な形態であってもよく、望ましくは、製造を容易にするために非凹角形態であってもよく(たとえば、射出成形ツーリングを使用し工具の軸方向を2分割移動させる)、それにより計量ガスケットの固定が容易になりまたは促進される。適当な形態には、L字型拡張部、望ましくは別法として起伏がある、T字型拡張部、環状フランジ、または図10に例示するような、穴または細長い穿孔33’が設けられた環状フランジ33がある。
【0043】
図8に示す計量弁14の作動中(図示せず)(この動作は図2〜図4に示す実施形態に対して説明したものと同じである)、後により詳細に論考するように、弁棒26の本体部の計量面28および/またはシール面30の望ましい構成のために、充填段階中の製剤の、作動中に形成された計量チャンバ34への自由流動が促進される。
【0044】
上述したように、弁本体22、弁棒26および場合によっては他の弁部品の構成は、弁棒が作動された場合の製剤の計量弁24への流動と同様に、計量弁がその休止位置にある場合の製剤の自由流動と残留計量容積の存在とに影響を与える。
【0045】
たとえば、弁本体の計量部(部分的に、作動時に形成される計量チャンバの境界を画定する部分)が、弁棒の計量面に実質的に従うように構成される場合、計量弁がその休止位置にある時、残留計量容積の存在が最小になる。「弁本体の計量部が弁棒の計量面に実質的に従うように構成される」という条件下では、望ましくは、計量弁が休止位置にある時、弁棒の計量面の有意な部分(たとえば、≧85%)が弁本体の内面に接触して休止する、ということが理解される。弁が休止状態にある時に弁棒の計量面に実質的に従うようにまたは従うように弁本体の計量部を構成することにより、残留計量容積をさらに最小化することができる。「弁本体の計量部が弁棒の計量面に本質的に従うようにまたは従うように構成される」という条件下では、望ましくは、計量弁が休止位置にある時、弁棒の計量面の夫々実質的に完全な部分(たとえば、≧90%)または本質的に完全な部分(たとえば、≧95%またはより望ましくは≧97.5%)が弁本体の内面に接触して休止することが理解される。
【0046】
上述したように、休止位置にある弁における製剤の自由流動は、さらに望ましくは、弁棒の本体部の計量面を、弁本体の本体部の計量面とシール面との間の中間面に隣接する計量面のいかなる有意な部分も(たとえば、≦5%またはより望ましくは≦2.5%)、より適当にはいかなる実質的な部分も(たとえば、≦2%またはより望ましくは≦1%)、または最も適当にはいかなる部分も、心棒軸に平行にまたは略平行に(すなわち、非常に小さい角度θ、たとえば0°または1°で)位置合せされないように構成することにより、影響を受けてもよい。また、計量弁が休止位置にある場合、バルク製剤と、内部チャンバ内、特に弁棒の本体部と弁本体壁の内面によって画定される弁本体の内部チャンバまたは内腔との付近における製剤と、の間の自由流動連通は、弁棒の本体部のシール面の一定の構成によって促進されてもよい。特に、弁棒の本体部のシール面を、弁本体の本体部の計量面とシール面との間の中間面に隣接するシール面のいかなる有意な部分も(たとえば、≦5%またはより望ましくは≦2.5%)、より適当にはいかなる実質的な部分も(たとえば、≦2%またはより望ましくは≦1%)、または最も適当にはいかなる部分も、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされないように、構成することが望ましい場合がある。
【0047】
上述したように、作動中の製剤の計量チャンバへの流動に対し、弁棒の中心長手方向軸に対する弁棒の計量面によって描かれる角度が作用してもよい。たとえば、図11に示すように、弁棒26は、中心長手方向軸60を画定してもよい。角度θmを、弁棒の計量面28の主な部分に対して接線の方向の平面62と中心軸60との交差部分によって画定してもよい。複雑な幾何学的形状を有する実施形態によっては、角度θmを、図13に示すように、中心軸60と計量面28の小さい方の部分に対して接線の方向の平面との交差部分によって画定してもよい。
【0048】
他のすべてが同じであるとし、かつ弁本体が弁棒に実質的に従うように構成されるとすると、θmが大きいほど、計量弁の作動中の弁棒の所与の変位に対する充填間隙が広くなる。所与のシール直径と計量点までの所与の心棒変位距離とに対し、θmの値が大きくなることにより、概して、弁棒と計量弁とを短くすることができる。図13に示す計量面28の形状により、より短い計量弁において特定の角度θmを使用することができる。図11に示すもの等、より単純な計量面では、計量弁が休止位置にある場合に互いに実質的に従いそれにより残留計量容積を制限しまたは除去する弁棒と弁本体とを製造するために必要な寸法制御をより軽減することができる。
【0049】
本発明による弁棒における角度θmの適当な値は、約2°から約90°である。この範囲内で、最小角度は、約10°がより望ましく、約20°がさらにより望ましく、約30°が最も望ましい。最大角度は、約80°がより望ましく、約70°がさらにより望ましく、約60°が最も望ましい。
【0050】
計量チャンバ内での制限された流動の領域の可能性を制限し製剤の計量チャンバ内への自由流動を促進するために、計量面は、望ましくは、そのいかなる有意な部分も(たとえば、≦5%またはより望ましくは≦2.5%)、より適当にはいかなる実質的な部分も(たとえば、≦2%またはより望ましくは≦1%)、または最も適当にはいかなる部分も、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされないように構成される。
【0051】
図2、図5および図8に示す例示的な実施形態に示すように、弁棒の本体部は、典型的には、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされる、心棒部に隣接する部分を含む。この部分により、弁棒の弁ハウジングの開口および/またはダイヤフラムの通過が容易になる。この部分は、心棒部に隣接しかつ作動時に形成される計量チャンバの遠位端にあるため(たとえば図6において理解されるように)、本体部のこの部分の平行なまたは略平行な位置合せにより、計量チャンバ内への流動は制限されない。
【0052】
例示的な弁棒を示す図11〜図13に最もよく示すように、計量面28は、典型的には、シール面30を含む本体部の部分と心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされる心棒部に隣接する本体部の部分との間に配置される、本体部の部分の面である。計量ガスケットの外面に配置される、計量面とシール面との円周方向の中間面または境界は、典型的には、計量ガスケットの最も広い横断面の環であるように理解される。上述した定義に従って心棒の長手方向軸に対して平行な部分を有する中間面または境界を有する実施形態では、中間面または境界は、この場合、平行な部分の遠位端(すなわち、心棒部に向う端部)における環であるように理解される。図11〜図13から理解することができるように、弁棒が、取り付けられるかまたは一体的なバネガイド44を有する場合、シール面30は、弁棒の本体部の面とバネガイドの面との間の中間面または境界で終端する。
【0053】
計量弁が休止状態である場合の製剤の自由流動と同様に、作動中の計量チャンバ内への製剤の流動に対してもまた、弁棒の中心長手方向軸に対する弁棒のシール面によって描かれる角度が作用してもよい。図11を参照すると、角度θsを、弁棒のシール面30の主な部分に対して接線の方向の平面64と中心軸60との交差部分によって画定してもよい。複雑な幾何学的形状を有する実施形態によっては、角度θsを、中心軸60とシール面30の小さい方の部分に対する接線の方向の平面との交差部分によって画定してもよい。弁棒における角度θsに対する典型的な値は、約30°から約90°であってもよい。この範囲内で、最小角度は約45°がより望ましく、約50°が最も望ましい。最大角度は、約85°がより望ましく、約80°が最も望ましい。
【0054】
角度θmが説明した範囲にある計量弁は、計量部、すなわち、部分的に計量チャンバの境界を画する部分を有してもよく、それを、概して、近位端の断面積が遠位端の断面積より大きい円錐形の形状であると述べることができる。実施形態によっては、計量面とシール面との中間面における弁棒本体の横断面積は、弁棒本体の遠位端(すなわち、弁棒の心棒部に向う)の横断面積より約4%大きくもよい。他の実施形態では、計量面とシール面との中間面における弁棒本体の横断面積は、弁棒本体の遠位端の横断面積より少なくとも約20%大きくてもよい。さらに他の実施形態では、計量面とシール面との中間面における弁棒本体の横断面積は、弁棒本体の遠位端の横断面積より少なくとも約60%大きくてもよい。
【0055】
略円錐形計量部を有する実施形態によっては、弁本体の内面は、ダイヤフラムから弁本体シール面への略円錐形状を維持する。
【0056】
弁棒26の計量面28は、任意の適当な外形であってもよく、それでもなお、角度θmを画定するために使用される平面62を画定してもよい。たとえば、図11に示す弁棒等、比較的単純な幾何学的形状を有する弁棒では、計量面28の大部分が、角度θmを画定するために使用される平面62を画定してもよい。別法として、計量面28は、図12および図13に示すもののように不規則であってもよく、平面62を画定するために、計量面の一部のみを使用してもよい。さらに、計量面28の不規則性は、非幾何学的であってもよく、それでもなお、本発明による弁棒26に対する適当な形状を提供してもよい。
【0057】
このように、(1)角度θmを本明細書で説明するように画定することができ、(2)弁本体22の内面24が計量面28の幾何学的形状に実質的に従うように構成される限り、計量面28の特定の幾何学的形状は重要ではない。これらの要素は、計量弁が休止状態にある場合に残留計量容積を制限しまたは除去することに役立ち、計量チャンバへの製剤の流動の制限を低減するのを容易にする。さらに、計量面とシール面との間の中間面に隣接する計量面および/またはシール面のいかなる有意な部分も心棒軸に平行してまたは略平行して位置合せされないことは、残留計量容積を制限しまたは除去するために有利である場合がある。計量面を、いかなる有意な部分も心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされないように構成してもよい。これは、弁本体22の内面24が計量面28の幾何学的形状に実質的に従っても、計量チャンバ内の制限された流動の領域の形成、故に製剤の計量チャンバ内への自由流動に対する制限を抑えることに役立つことができる。
【0058】
弁本体の計量面28および内面24に対する単純な幾何学的形状により、いくつかの製造上の利点を提供することができる。たとえば、完全に360°の回転対称である弁棒では、弁の組立て中に回転位置合せが不要である。円錐等の単純な形状もまた、いくつかの性能上の利点を与えることができる。たとえば、単純な形状により、薬剤の堆積または角のある縁における製剤の流動の不連続性に関する問題を低減することができる。しかしながら、本発明による弁棒26には、より複雑な幾何学的形状もまた適している。たとえば、実施形態によっては、半球または他の湾曲構成を含んでもよい。他の実施形態では、図12および図13に示すもの等、複数の角度を有する弁棒を有してもよい。
【0059】
上述した実施形態は、弁本体によって包囲された変位可能な弁棒を有する計量弁の文脈で提供している。しかしながら、変位可能な弁棒が弁本体を包囲する計量弁を設計してもよい。かかる実施形態を図14〜図16に示す。図14は、休止段階にある実施形態を示し、図15は、充填段階にある同じ実施形態を示し、図16は、放出段階にある同じ実施形態を示す。
【0060】
図14の計量弁114は、計量弁114のさまざまな部品を収容する役割を果たすハウジング118を有する。ハウジング118の上部は、図1の代替実施形態に関して示すようなエアゾール容器に付着する。弁本体122は、弁ハウジング118内に着座し、それにより弁棒126のためのハウジングを提供する。
【0061】
計量弁114は、弁本体122とともに弁棒126の一部によって部分的に占有される内部チャンバ138を画定する計量本体124を有する。少なくとも1つの入口(図示せず)が、内部チャンバ138とエアゾール容器に貯蔵されたバルク製剤との開口した制限されない流体連通を提供する。
【0062】
図14〜図16に示す実施形態では、計量本体は、概して中心軸160を画定する心棒部123を有する。計量本体124の心棒部123は、入口凹部112と、シール面113と、計量面116と、放出ガスケット117と、を有する。放出ガスケット117は、計量弁が休止位置にある時、弁棒130の内面との摺動シールを形成し、内部チャンバ138を弁の外面から分離する。
【0063】
弁棒126の一部は、作動中を通してハウジング118内に存在する。弁棒126の別の部分は、弁棒126が図14に示す休止位置にある時、弁ハウジング118の外部に存在する。弁棒126の作動中、ハウジング118の外部に存在する弁棒126の部分は、弁ハウジング118の内部に一時的に配置されるように、計量弁114に対して内方に変位する。
【0064】
図14〜図16に示す計量弁114の弁棒126は、計量ガスケット132を有する。計量ガスケット132は、弁棒126と平面シールを形成し、計量本体124の心棒部123のシール面113と摺動環状シールを形成することができるように配置される。弁棒126はまた、計量面128と、放出凹部136と、放出通路150と、を有する。放出通路150は、放出部品152と流体連通してもよい。
【0065】
図15は、作動の充填段階における図14の計量弁を示す。弁棒126は、部分的に作動されているように示されており、すなわち、計量本体124の心棒部123に対して、したがって、また計量弁全体に対して内方に変位している。このため、弁棒計量面128は、計量本体の計量面116から引き離されている。結果としての空間は、部分的に計量チャンバ134を画定する。製剤は、内部チャンバ138から、計量ガスケット132と入口凹部112との間に形成された通路を通り、計量チャンバ134内に流動することができる。
【0066】
動作時、弁棒126は、さらに、充填済み段階(図示せず)まで作動される。充填済み段階では、計量ガスケット132は最終的にシール面113と接触し、流体密封摺動シールを形成する。このシールにより、計量チャンバ134が内部チャンバ138から分離し、製剤の計量チャンバ134内への流動を停止する。
【0067】
図16は、放出段階に作動された弁棒126を示す。弁棒126は、放出凹部136が、計量された製剤が計量チャンバ134から放出ガスケット117の周囲を通り、定量の製剤を患者に供給することができる放出通路150内に流動することができるように、十分に作動されるように示されている。計量ガスケット132は、シール面113との摺動シールを維持し、それにより、内部チャンバ138内の製剤を弁の外面から分離し続ける。
【0068】
図16はまた、図示する実施形態における角度θmの確定を示す。上に示す実施形態と同様に、角度θmは、中心軸(図16において160として示す)と計量面の少なくとも一部に対して接線の方向の平面(図16において162として示す)とによって画定される。この実施形態では、角度θmを画定するために使用される平面は、計量本体123の心棒部の計量面116の少なくとも一部に対して接線の方向である。
【0069】
角度θmが、部分的には、計量本体123の心棒部の計量面116の一部に対して接線の方向の平面によって画定されるため、計量本体の遠位部、すなわち、放出ガスケット117に近い部分の横断面積は、計量本体123の近位部、すなわち入口凹部112に近い部分の横断面積より大きくなる。実施形態によっては、計量本体の遠位端の横断面積は、計量本体の近位端の横断面積より約4%大きくてもよい。他の実施形態では、計量本体の遠位端の横断面積は、計量本体の近位端の横断面積より少なくとも約20%大きくてもよい。さらに他の実施形態では、計量本体の遠位端の横断面積は、計量本体の近位端の横断面積より少なくとも約60%大きくてもよい。
【0070】
上述した実施形態と同様に、計量本体123の心棒部の計量面116は、弁棒128の計量面の形状および寸法に実質的に従ってもよい。このため、この設計を採用する計量弁は、計量弁が休止位置にある時、計量本体計量面116と弁棒計量面128との間の残留計量容積を制限しまたは除去することも可能である。
【0071】
本発明による計量面の設計は、計量弁または弁棒設計の他の態様と同様に、作動中の計量弁を通る製剤の流動を促進するのに役立つことができる。したがって、本発明の設計を、明示的に図に示すものとは異なる一般的な計量弁設計とともに使用してもよい。かかる代替計量弁設計には、弁棒、弁本体、または計量弁の性能を向上させるように設計された計量弁の他の任意の部分の1つまたは複数の追加の特徴が含まれてもよい。かかる追加の設計上の特徴は、限定されないが作動中のエアゾール容器から計量チャンバへの製剤の流動と製剤計量の一貫性とを含む性能パラメータを向上させることにより計量弁性能を向上させてもよい。
【0072】
同時成形された計量ガスケットを含む実施形態では、以下細長い心棒要素と呼ぶ弁棒の非計量ガスケット部(心棒部と、本体部の大部分と、恐らくはバネガイドまたはその一部と、を含む)は、望ましくは、ポリマーを含む材料から作製される。適当なポリマーには、アセタール、ナイロン、ポリエステル(PE)、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、サーモトロピック液晶ポリマー(LCP)、ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリ−二フッ化ビニリデン(PVDF)およびそれらの混合物がある。材料は、構造上の頑強性を向上させることができる、繊維(たとえば、ガラス、鉱物または炭素繊維)、鉱物(たとえば、CaCO3)、グラファイトまたは炭素等、典型的な充填剤を含んでもよい。PPSおよびPBT含有材料は、望ましくはたとえばガラス繊維から作製された充填剤を組み込み、他のポリマー含有材料には、望ましくは充填剤は含まれない。機械的かつ/または熱的応力または変形に対する望ましい耐性を示す弁棒を提供するために、ポリマーを、望ましくは、ポリエーテルエーテルケトン等のポリアリールエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイドおよびそれらの混合物からなる群から選択する。
【0073】
計量ガスケットは、典型的にはエラストマーであり、熱可塑性エラストマーまたは熱硬化性エラストマーを含む材料から作製してもよい。
【0074】
適当な熱可塑性エラストマーのさまざまな種類には、ポリエステルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、スチレンブタジエンゴム、コポリエステル熱可塑性エラストマー、コポリエステルエーテル熱可塑性エラストマー、オレフィン熱可塑性エラストマー、ポリエステルアミド熱可塑性エラストマー、ポリエーテルアミド熱可塑性エラストマー、コポリアミド熱可塑性エラストマーおよびそれらの混合物が含まれる。オレフィン熱可塑性エラストマーの例は、引用により開示内容がすべて本明細書に包含されたものとする国際公開第92/11190号パンフレットにおいて述べられており、1−ブテン(but−1−ene)、1−ヘキセン(hex−1−ene)および1−オクテン(oct−1−ene)から選択されたモノマーを含むエチレンのブロックコポリマーを含む。適当なオレフィン熱可塑性エラストマーの他の例は、引用をもって開示内容がすべて本明細書に包含されたものとする国際公開第99/20664号パンフレットと、米国特許第5703187号明細書(ダウ(Dow))とにおいて述べられている。ともに引用をもって開示内容がすべて本明細書に包含されたものとする国際公開第93/22221号パンフレットおよび国際公開第95/03984号パンフレットにおいて述べられているもの等、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーおよび混合物は、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーとともに、適当な熱可塑性エラストマーである。ポリエーテルアミド熱可塑性エラストマーの例は、ポリエーテル−ブロック−コポリアミドであるペバックス(PEBAX)(アトフィーナ(Atofina))である。相互分散した比較的硬質なドメインと比較的軟質のドメインとの混合を含む組成物もまた、適当な熱可塑性エラストマーとして採用してもよい。かかる混合組成物の例には、ポリオレフィンマトリクスに分散された熱硬化性EPDMを有するサントプレーン(SANTOPRENE)(アドバンスド・エラストマー・システムズ(Advanced Elastomer Systems))、もしくは、結晶性ナノフェーズとゴム状ナノフェーズとの混合物を含むセグメント化ポリエステルウレタンのポリマーであるエスタン(ESTANE)(ノベオン(Noveon))がある。他の混合物には、オレフィン熱可塑性/ゴム混合物とポリ塩化ビニル/ゴム混合物がある。他の可能性には、単相溶融処理可能なゴムおよびイオノマーがある。
【0075】
好ましい熱硬化性エラストマーには、熱硬化性エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー(ニトリルゴム)、イソブチレン−イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー(特にクロロブチルゴムおよびブロモブチルゴム)、ポリクロロピレン(ネオプレン(Neoprene))およびそれらの混合物があり、EPDM、ニトリルゴムおよびブチルゴムがより好ましく、EPDMおよびニトリルゴムがさらに好ましく、EPDMが最も好ましい。
【0076】
熱硬化性EPDM、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴムおよび/またはネオプレン、特にEPDMを含む材料から作製された、同時成形された計量ガスケットの、PAEK、LCP、PPSおよび/またはPMPポリマーを含む材料から作製された細長い心棒要素との組合せにより、医薬エアゾール製剤を供給するための分配弁(たとえば、定量分配弁)において、機械的かつ/または化学的応力耐性に関して特定の有利な特性を有する弁棒が提供される。あり得る24の計量ガスケット/細長い心棒要素の材料の組合せの各々を、本明細書では個々に開示する、ということを理解しなければならない。PAEK、より詳細にはポリエーテルエーテルケトンを含む材料から作製された細長い心棒要素と、熱硬化性EPDMを含む材料から作製された同時成形された計量ガスケットとを備える弁棒は、医薬エアゾール製剤、特に、液化噴射剤HFA134aおよび/またはHFA227を含む医薬エアゾール製剤、より詳細にはさらにエタノールを含むかかる製剤に対して、優れた構造的および/または化学的特性を示す。
【0077】
弁棒を、オーバーモールディングプロセスによって製造してもアンダーモールディングプロセスで製造してもよい。
【0078】
前者の方法は、
a)第1型形状を提供するステップと、
b)ポリマーを含む第1材料を成形して細長い心棒要素を形成するステップと、
c)少なくとも部分的に細長い心棒要素を含む第2型形状を提供するステップと、
d)計量ガスケットが細長い心棒要素の少なくとも一部と同時成形されるように、第2材料を成形して計量ガスケットを形成するステップと、
を含む。
【0079】
第2アンダーモールディング方法は、
a)第2型形状を提供するステップと、
b)第2材料を成形して計量ガスケットを形成するステップと、
c)少なくとも部分的に計量ガスケットの下にある第1型形状を提供するステップと、
d)ポリマーを含む第1材料を成形して、細長い心棒要素の少なくとも一部と同時成形される計量ガスケットを有する細長い心棒要素を形成するステップと、
を含む。
【0080】
2つの代替方法の一貫性のために、本明細書では、プロセスステップの連続した順序に関わらず、「第1」型形状および「第1」材料という表現を、細長い心棒要素の成形に関するステップに関連して使用し、「第2」型形状および「第2」材料という表現を、計量ガスケットの成形に関するステップに関連して使用する。細長い心棒要素の成形および/または計量ガスケットの成形のために、好ましい成形の方法は射出成形である。
【0081】
当業者には、夫々の型形状が、特定の分配弁において弁棒を使用するために必要な特定の形態の細長い心棒要素と計量ガスケットとを提供することができるように提供される、ということが理解されよう。本方法は、成形部品をその型から取り除き、その後他の部品を成形するために別の型形態に適当に配置する、ということを含んでもよい。別法として、本方法は、単一の再配置可能なまたは形態変更可能な型を用いてもよく、その場合、部品の成形時に、他の部品を成形するために適当な形態形状を提供するように、型を再配置しまたは変更する。
【0082】
熱硬化性エラストマーを含む材料から作製される計量ガスケットを有する弁棒の場合、成形ステップ、より詳細には射出成形ステップでシール要素を形成するために使用される材料(「第2材料」)は、望ましくは熱硬化可能エラストマーを含む。熱硬化可能エラストマーは、本明細書では、熱硬化性エラストマーを提供することができるように硬化プロセス時に上に架橋を形成することができるサイトを提供する、少なくとも1つの二重結合を有するポリマー分子、特にアルケン基、より詳細には、ペンダントアルケン基を有するポリマー分子を含む材料(より詳細には射出成形可能材料)を意味するものと理解される。
【0083】
たとえば、熱硬化性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー)とニトリルゴム(アクリロニトリル−ブラジエンコポリマー)とを提供するために使用される熱硬化可能エラストマーは、典型的には、架橋するのためにポリマーにアルケン基を提供する重合されたジエンを含む。ブチルゴムは、典型的には、架橋するためにアルケン基を提供するためにわずかな割合でイソプレンとともにポリイソブテンを含むポリマーから作製され、ハロゲン化ブチレンゴム、たとえばCIIRおよびBIIRは、典型的には、硬化の前に夫々のポリマーのハロゲン化によって作製される。ハロゲン化により不飽和がなくなることはなく、架橋は、典型的には、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛、好ましくは酸化亜鉛を使用して行われ、それにより夫々のハロゲン化金属が除去される。同様に、ネオプレンは、典型的には、任意にアルキルジアミンとともに酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛を使用して、ポリクロロプレンから金属塩化物を除去することにより架橋される。
【0084】
製造する方法において、熱硬化可能エラストマーを含む第2材料を成形する(より詳細には射出成形する)ステップに続き、本方法は、上記第2材料を硬化させるステップを含む。この硬化させるステップは、典型的には、第2材料の成形のステップの直後に行われ、プロセスにおいて上記成形の後でありかつ最終型形状を除去する前の適当な時に行ってもよい。
【0085】
硬化プロセスは、望ましくは、少なくとも架橋結合の大部分が形成されるように実行される。架橋するプロセスは既知であり、2つの一般的なタイプには、典型的にはポリサルファイド架橋を提供するための硫黄ドナー分子を用いる硫黄硬化と、過酸化分子が遊離基源を提供することによりアルケンまたはペンダントアルケン基が架橋を形成することができるようにする、過酸化物硬化と、がある。抽出される可能性のある有害な抽出物が最小である材料を提供するために、過酸化物硬化が、典型的には、硬化の好ましい方法である。過酸化物硬化では、CIIRおよびBIIR等のハロゲン化ブチルゴムを提供するために、しばしば、N,N’−m−フェニレン−ジマレイミド等の同時加硫剤を使用して適当な架橋を行う。硬化プロセスは、また、典型的には、熱処理、たとえば1分間以上110℃と200℃との間で加熱することも含み、それにより少なくとも架橋結合の大部分を形成することができる。最適な硬化条件、硬化剤等は、成形される特定の熱硬化可能エラストマーにより、また恐らくは成形される特定の計量ガスケットの全体寸法、サイズおよび/または形態によって決まる。プロセス効率に関し、成形工具の回転を迅速にするために短時間で高温を使用することが望ましい場合がある。
【0086】
両方法において硬化ステップと最終型形状の除去の後、追加の熱処理ステップを行うこと、たとえば、架橋を実質的に完了しかつ/またはこのように形成された計量ガスケットの物理特性を最適化することが望ましい場合がある。この熱処理ステップには、典型的には硬化ステップより長い期間、たとえば0.5〜24時間の期間にわたり、110℃から200℃の間で加熱することが含まれてもよい。
【0087】
本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には、本発明に対するさまざまな変更態様および改変態様が明らかとなろう。本発明は、本明細書に示す例示的な実施形態および例によって不当に限定されるようには意図されておらず、かかる例および実施形態は、単に例として提示されており本発明の範囲は本明細書において示される特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている、ということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明によるエアゾール計量弁の実施形態を有する定量吸入器の断面図である。
【図2】休止位置にある本発明による別のエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図3】弁棒作動の充填段階中の図2に示すエアゾール計量弁の拡大断面図である。
【図4】弁棒作動の放出段階中の図2に示すエアゾール計量弁の拡大断面図である。
【図5】休止位置にある図1に示す本発明によるエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図6】充填段階にある図1に示す本発明によるエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図7】放出段階にある図1に示す本発明によるエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図8】休止位置にあるさらに別の実施形態の拡大断面図である。
【図9】図8に示す計量弁の弁棒の一部、すなわち計量ガスケットの付近の等角切取拡大図である。
【図10】本発明によるエアゾール計量弁で使用する弁棒のさらなる実施形態の一部、すなわち計量ガスケットの付近の等角切取拡大図である。
【図11】本発明による弁棒の一実施形態の拡大断面図である。
【図12】本発明による弁棒の代替実施形態の拡大断面図である。
【図13】本発明による弁棒の別の代替実施形態の拡大断面図である。
【図14】休止位置にある本発明による計量弁の代替実施形態の拡大断面図である。
【図15】充填段階にある本発明による計量弁の代替実施形態の拡大断面図である。
【図16】放出段階にある本発明による計量弁の代替実施形態の拡大断面図である。
【背景技術】
【0001】
計量弁は、エアゾール容器からエアゾールを分配する際に用いられる一般的な手段である。計量弁は、特に、エアゾール内の、液化ガス噴射剤を含み患者に供給される医薬製剤を投与するために有用である。
【0002】
医薬製剤を投与する場合、所望の生理反応をもたらすために十分な用量の製剤を患者に供給する。連続した各投与において適当な所定量の製剤を患者に分配しなければならない。このため、いかなる分配システムも、治療の安全性および効力を保証するのに役立つように正確かつ確実に医薬製剤を分配することができなければならない。
【0003】
医薬エアゾール製剤の分配を制御する計量弁が開発されてきた。計量弁を使用して、次の投与として分配される製剤の最大量を規定する、容器から計量チャンバに移動する医薬製剤の容量を調節することができる。医薬製剤の計量チャンバへの流動が確実かつ制御可能であることにより、製剤の連続した投与の計量を正確かつ/または高精度にすることができる。このため、医薬製剤の計量チャンバへの流動が確実かつ制御可能であることにより、計量弁の性能を向上させることができ、したがって、そのことは非常に望ましい場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある計量弁においては、患者が弁棒を作動させそれにより1回分の投与量を吐出させる前に、計量チャンバに医薬製剤が充填されている。1回分の投与量を分配した後、計量弁がすぐに次の投与量を放出するように、計量チャンバに製剤を補充する。したがって、使用者が1回分の投与量を放出するために弁棒を押下している短時間を除き、計量チャンバは、常に製剤を収容している。また、製剤が計量チャンバに達するために流動しなければならない通路は、しばしば狭く曲がりくねっている。その結果、このように構成された計量弁には、たとえば、始動損失(loss of prime)のために一貫しない投与をもたらす結果となる複数の不都合がある。「始動損失」とは、計量された容積において蒸気または空気の間隙が発生することを意味し、それにより弁によって計量されている1回の投与の容積が不足することになる。始動損失の主な原因は、製剤が計量チャンバを充填するために通過しなければならない1つまたは複数の入口通路に制限がある、ということである。かかる制限により、流動が中断され、そのため計量チャンバに蒸気または空気の空隙が発生することになる可能性がある。
【0005】
一貫しない投与をもたらす可能性のある別の現象は、投与量損失(loss of dose)である。「投与量損失」は、容器内のバルク製剤の平均的な配合に比較して、製剤の計量された1回分の投与量における懸濁した薬剤または賦形剤粒子の量の変化を意味する。投与量損失の主な原因は、薬剤粒子が計量弁の制限された領域に沈殿するかまたはかかる領域から出ることにより、その後、1回分の投与を供給する前にその制限された領域内に、製剤の適当な濃度を得ることができなくなる、ということである。たとえば、薬剤粒子は、残留計量容積に、すなわち、計量面によって境界が画され、計量弁が休止位置にある時に流体を充填したままにするがバルク製剤と実質的に自由流動連通していない、計量弁の任意の部分に沈殿する可能性がある。
【0006】
他の計量弁においては、弁棒が作動されない限りかつ弁棒が作動されるまで計量チャンバが実体化しないように計量弁を設計することにより、残留計量容積をある程度まで制限することができる。しかしながら、これらの計量弁においてさえも、弁棒と計量弁本体との間に小さい環状の間隙が存在するため、計量弁が休止している時に、わずかな残留計量容積が存在する。
【0007】
これらの弁棒の作動は、充填段階と放出段階とに分割することができる。充填段階は、作動中に弁棒が押下されると開始する。弁棒を押下するという動作により、一時的な計量チャンバが形成され、それは、小さい環状の間隙によって画定される残留計量容積と流体連通する。弁棒が押下されると、計量チャンバの一時的な部分が拡張し、製剤がその計量チャンバ内に入る。弁棒の変位が続くと、一時的な計量チャンバの充填が停止する段階に達する。
【0008】
最終的に、弁棒の変位は、計量された製剤が放出される放出段階まで続く。これらの弁では、このような1回の作動により、一時的な計量チャンバが急速に充填され、その後、製剤が患者に放出される。一般に、これらの計量弁では、計量された製剤は、計量チャンバ内にそれほどの時間は存在しない。しかしながら、計量弁が休止している時、小さい環状の間隙によって画定される残留計量容積に、幾分かの製剤が存在する可能性がある。
【0009】
計量弁によっては、環状の間隙の高さを制限することにより、残留容積を低減し、作動事象間に計量チャンバに存在する製剤の量を制限する。
【0010】
一時的な計量チャンバを有する計量弁は、エアゾール製剤の供給に対し他のタイプの計量弁に比較して利点を提供するが、容器から計量チャンバへの製剤の流動が中断される可能性がある。製剤の流動が中断されることは、計量チャンバを、極めてアクセスが制限された1つまたは複数の狭い領域を通して充填することを意味する。狭い領域を通る流動は、特に患者の使用に典型的な状態の下で、計量チャンバの実質的に不完全な充填をもたらすほど妨げられる可能性がある。このようになると、製剤は、一貫しないまたは不正確な投与量で供給される可能性がある。当然ながら、計量チャンバ入口はすべて、作動中にシールされる直前に大幅に制限される。このような妨げられた流動が、作動の充填段階の大部分の間の流動アクセスになる。
【0011】
製剤の計量チャンバ内への流動を促進するいくつかの計量弁が設計された。たとえば、計量弁によっては、製剤の計量チャンバ内への流動の中断を制限するように設計された角度付きの余水路の充填路を有する。流動の中断が減少することにより、計量された容積内に蒸気または空気の間隙が形成される確率および程度を低減することができ、したがって、計量弁の性能を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、製剤供給の改良された一貫性を提供する計量弁のための新規な設計に関する。本発明の計量弁は、(1)残留計量容積を制限または除去することにより、計量弁が休止状態にある間に計量チャンバに存在する製剤の量を低減し、(2)計量チャンバ内への製剤の自由流動に対する制約を制限するように設計された弁棒を有する。したがって、始動損失および投与量損失の影響を低減することにより、製剤の一貫した供給が得られる。
【0013】
本発明は、弁本体と、概して長手方向軸を画定し弁棒と弁本体のシール部との間に一時的な実質的流体密封シールを形成することができるように構成された計量ガスケットを備える弁棒と、を有するエアゾール計量弁を提供する。弁棒は、計量面を含む本体部を有し、長手方向軸と計量面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが、約2°から約90°の角度を画定する。
【0014】
別の態様では、本発明は、(a)開口を画定する壁を有するダイヤフラムを有する弁本体と、(b)概して中心軸を画定するとともに部分的に内部空間を画定し、シール部と、シール部に対し遠位の入口凹部と、入口凹部に対して遠位の計量面と、計量面に対して遠位の放出ガスケットと、を有する計量心棒であって、中心軸と計量面の少なくとも一部に対して接線の方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、計量心棒と、(c)開口と摺動可能にシール係合する弁棒であって、(1)計量心棒の入口凹部から内部空間の一部を横切るシール部であって、計量心棒シール部の少なくとも一部と一時的な流体密封摺動シールを形成することができるように構成された計量ガスケットを備えるシール部と、(2)計量心棒の計量面に実質的に従うように構成された計量面と、(3)内面と、(4)内面の一部の放出凹部と、を有する弁棒と、を有するエアゾール計量弁を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の説明を、エアゾール容器からエアゾール製剤を分配するために使用するエアゾール計量弁に関して示す。しかしながら、本発明の計量弁および方法は、正確な計量された投与量を供給する必要のある実質的に任意の加圧流体に対し適用することができる。特に、本明細書で説明する計量弁は、医薬エアゾール製剤を分配するために有用である。
【0016】
本発明による計量弁は、医薬エアゾール製剤を分配するために使用する場合、口、鼻、肛門、膣、耳等の患者の体腔内にもしくは眼または患者の任意の皮膚領域の上に薬剤の実質的に任意のエアゾール製剤を投与するために使用することができる。しかしながら、本発明は、医薬の用途に限定されず、加圧流体から正確な量の材料を所与の領域に供給すべき場合であればいかなる場合に使用してもよい。
【0017】
図1は、本発明による計量弁14の一実施形態を組み込んだ、概して10として示すエアゾール分配装置を示す。計量弁14の上端は、従来のエアゾール容器12の端部周辺に圧着されており、計量弁14の底部周辺には従来の放出部品16が取り付けられている。このため、エアゾール製剤は、エアゾール容器12から下方に分配され、計量弁14を通り、その後放出部品16を通ってそこで患者に供給される。放出部品16は、エアゾール製剤を、その製剤が供給される体腔または皮膚領域に向ける。たとえば、放出部品16は、患者の口の中に挿入することができるマウスピースであってもよく、それによりエアゾール製剤の経口投与が可能になる。
【0018】
図1に示すエアゾール分配装置は、単に、本発明による計量弁を分配装置にいかに組み込むことができるかの一例である。さらに、放出部品16の構成は、エアゾールに対する適用によって決まる。
【0019】
図の多くでは、例示を容易にするために、計量弁または弁棒を分離して示す。分離して示す弁棒を、1つまたは複数の追加の部品と結合することにより計量弁を形成してもよい。かかる計量弁を、図に分離して示す計量弁と同様に、1つまたは複数の追加の部品と結合することにより、エアゾール分配装置を形成してもよい。計量弁および/または弁棒実施形態に示す任意の特定の特徴を、他の実施形態に示す特徴と結合してもよくかつ/または他の実施形態に適当に組み込んでもよい、ということが理解される。
【0020】
計量弁14(休止位置にある)の実施形態を示す図2を参照すると、計量弁14は、典型的には、計量弁14のさまざまな部品を収容する役割を果たすハウジング18を有する。ハウジング18の上部は、エアゾール容器12に付着する(図1に示すように)。典型的には弁ハウジング18内に着座する弁本体22は、弁棒26に対しハウジングを提供する。弁本体22は、弁本体の内部チャンバまたは内腔を画定する内面24を有する。
【0021】
計量弁14は、典型的には、弁本体22とともに、一部が弁棒26の一部によって占有される内部チャンバ38を画定する、バネケージ46を有する。1つまたは複数の入口(図示せず)が、内部チャンバ38とエアゾール容器12との間の開口し制限のない流体連通を提供する。
【0022】
弁棒26は、2つの部分、すなわち本体部と心棒部とを有する。心棒部は、弁棒26が図2に示す休止位置にある場合に弁ハウジング18の外部にある弁棒の部分を含む。しかしながら、弁棒26の作動中、心棒部は、後により完全に説明するように計量弁14に対して内方に変位し、それにより心棒部の一部が一時的に弁ハウジング18内に配置されるようになる。心棒部は、後により完全に説明するように、定量の製剤が放出される際に通過する通路50を有する。通路は1つまたは複数の横穴52を有する。
【0023】
弁棒26の本体部は、弁棒26の作動の間を通して弁ハウジング18内に配置される部分である。弁棒26の本体部は、計量面28とシール面30とを有する。
【0024】
弁棒26の本体部は、弁本体22の周囲壁と実質的に同じ形状を有するように構成される。このため、図2に示す実施形態で分かるように、弁棒26の計量面28の実質的な部分は、計量弁が休止位置にある時、弁本体24の内面に接触して休止し、それにより、計量弁が休止位置にある時に弁棒と弁本体との間の環状間隙が最小化し、そのため残留計量容積が最小化する。
【0025】
計量弁は、図2に示すように、心棒部の反対側の弁棒本体部の端部に取り付けられたバネガイド44と、計量弁の内部チャンバ38内のバネ48と、を有してもよい。バネ48は、バネガイドと係合することにより、弁棒26を休止位置に向かって付勢する。当業者には、弁棒26を休止位置に付勢する任意の適当な手段、たとえばコイル圧縮バネまたは内部チャンバの外部に適当に取り付けられたバネを、本発明による計量弁とともに使用してもよい、ということが理解されよう。バネガイドは、引用により開示内容が本明細書内に包含されたものとする米国特許第5,400,920号明細書に述べられているように、弁棒の一体部分であってもよくかつ/または圧力充填リングを有するように構成されてもよい。
【0026】
計量弁14はまた、少なくとも2つの環状ガスケット、すなわちダイヤフラム20と計量ガスケット32とを有する。ダイヤフラム20は、図2に示すように、弁ハウジング18と、弁本体22と、弁棒26と、の間に配置される。ダイヤフラム20は、以下の2つの流体密封シールを形成することにより、エアゾール容器12内の製剤を弁の外面から分離する。すなわち、1)弁棒が弁ハウジングから出て延在する場合のダイヤフラム20と弁棒26との間の環状シールと、2)ダイヤフラム20とハウジング18との間の圧縮平面または端面シールと、である。後者のシールを、弁本体22かまたはハウジング18のいずれかにシーリングビードを用いて行ってもよくまたは用いずに行ってもよい。
【0027】
図2に示すように、計量ガスケット32は、弁棒26内に含まれ、弁棒26の本体部と2つの平坦面シールを形成する。計量ガスケットを、弁棒に機械的に付着させてもよく、弁棒上に成形してもよく、または弁棒を、たとえば、2ショットまたは同時成形プロセスを使用して製造してもよい。同時成形プロセスでは、弁棒と計量ガスケットとが、弁棒の基礎部分と計量ガスケットとの間に強力な接着(機械的および/または化学的)を達成することができるように同時成形される。後により詳細に説明するように、計量ガスケット32は、計量チャンバ34(作動中に形成される)内の製剤をエアゾール容器12から一時的に分離し(図4に最もよく示すように)、それにより、弁棒26の作動中にエアゾール容器12から計量チャンバ34への製剤の流動を遮る手段を提供する。
【0028】
図2に示す計量弁の動作を図3および図4に示す。図は、患者が弁棒26を作動する際の計量弁14の動作の段階と弁部品の対応する相対位置とを示し、それにより1回分の投与量のエアゾール製剤が吐出される。図3は、充填段階における計量弁14を示し、図4は、放出段階における計量弁14を示す。
【0029】
図3に示すように、作動の充填段階中、弁棒26は、バネ48の圧縮力に対抗して内部チャンバ38の内方に変位する。弁棒26が内方に変位すると、弁棒26の心棒部の遠位端が弁ハウジング18に入る。その結果、弁本体24の内面と弁棒26の計量面28との間に計量チャンバ34が形成される。計量チャンバ34の容積は、充填段階の最後にその充填済み容積に達するまで、弁棒が変位するに従って増大する。
【0030】
エアゾール製剤は、以下のように計量チャンバ34の充填容積に入る。エアゾール容器12からの製剤は、1つまたは複数の入口を通過し計量弁の内部チャンバ38内に入る。製剤は、内部チャンバ38から、バネガイド44と計量ガスケット32との間を通過する。製剤は、弁棒26と弁本体24の内面との間の流路42を通って弁棒26の遠位端の周囲を流動し、膨張した計量チャンバ34に入る。計量チャンバへの流動および/またはアクセスを促進するために、バネガイドに切取部または開口を設けてもよい。
【0031】
このように、弁棒26が図2に示す休止位置から図3に示す充填段階まで移動する際、エアゾール製剤は、弁棒26が作動するとすぐに、エアゾール容器12から計量チャンバ34に移動する。製剤は、計量弁14が充填済み段階(図示せず)に達するまで計量チャンバ34を充填し続ける。後により詳細に説明するように、計量チャンバ34への製剤の流動に対し、弁棒の中央長手方向軸に対する弁棒28の計量面によって描かれる角度が作用してもよい。
【0032】
充填段階の最後に、計量ガスケットが弁本体22のシール面40に接触すると流路が中断される。計量ガスケットは、シール面と流体密封の摺動環状シールを形成する(図4に示すように)。シール面40は、計量ガスケットが最初にシール面40に接触しその後シール面40を越えて摺動する際に計量ガスケット32の摩耗を制限するように設計された1つまたは複数の構造を有してもよい。適当な構造は、限定されないが、丸みを帯びた縁と、面取りされた縁と、弁本体24の内面からシール面40への平滑な角度付き遷移部とを有する。
【0033】
弁本体22と、弁棒26と、他の弁部品との寸法により、完全に充填された位置における計量チャンバ34の充填容積が確定する。
【0034】
図4は、作動の放出段階における計量弁14を示す。定量のエアゾール製剤を計量チャンバ34から放出するために、弁棒26を図4に示す位置までさらに作動する。当業者は、充填段階の開始と図4との間で弁棒26が移動した距離により、計量された投与量を増大させることなく計量チャンバ34が膨張する、ということが理解されよう。余分の移動により、1つまたは複数の横穴52が計量チャンバ34に入る前に、計量ガスケット32がシール面40に対してシールされることが確実になる。弁棒26が完全に作動されると、放出通路50の1つまたは複数の横穴52が、ダイヤフラム20を通過し、計量チャンバ34と流体連通するようになる。このようにして確立された流体連通により、計量チャンバ34内のエアゾール製剤が1つまたは複数の横穴52内に吐出され、そのため製剤が放出通路50を通過し、それにより、定量のエアゾール製剤が患者または他の所望の領域に供給される。
【0035】
図4に示すような計量チャンバ34からのエアゾール製剤の放出中、計量ガスケット32は、弁部品の寸法公差に対して許容差を与えながら、追加のバルク製剤がエアゾール容器12から計量チャンバ34に移動するのを防止し続ける。1回分の投与量のエアゾール製剤が分配された後、患者は弁棒26を解放し、弁棒26は、少なくともバネ48の付勢動作により図2に示すその元の休止位置に戻る。
【0036】
図3および図4に例示的に示すような弁棒作動の連続した段階は、すべて、弁棒の作動の短い期間の間に行われる。したがって、計量チャンバの形成、充填および排出が迅速に行われる。多くても、作動間に、計量チャンバには、1回分の投与量の製剤の非常にわずかな部分しか存在しない。実施形態によっては、計量チャンバは休止段階にはまったく存在しなくてもよく、すなわち、残留計量容積はゼロであってもよく、それにより、作動間に計量チャンバ内に製剤が存在しないことが可能となる。弁棒作動の段階が迅速に発生するため、計量チャンバには、計量チャンバからの製剤の放出の直前の短い瞬間にのみ製剤が充填される。
【0037】
図5〜図7は、休止位置にある、作動の充填段階中、および放出段階中における計量弁14の別の実施形態を示す。この実施形態は、バネガイド44と弁棒26とが単一要素として形成される例を提供する。この実施形態では、計量面とシール面との間の中間面に隣接して配置された計量面28の部分には、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされた有意な部分がない。さらに、計量面28は、弁本体22の周囲壁と実質的に同じ形状であるように構成される。このため、この実施形態では、計量弁が休止位置にある時(図5に示すように)、実質的に弁棒26の計量面28の完全な部分が、弁本体24の内面に接触して休止し、それにより、任意の残留計量容積が、実質的に除去されないまでも最小化される。
【0038】
また、この実施形態では、計量面とシール面との間の中間面に隣接して配置されたシール面30の一部には、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされた有意な部分がない。これにより、計量弁が休止位置にある時、バルク製剤と、内部チャンバ38内、特に弁棒26の本体部と弁本体壁の内面24によって画定される弁本体22の内部チャンバまたは内腔との付近における薬剤と、の間の自由流体連通が容易になる。
【0039】
計量弁14の作動中(図6および図7に示すように)(その動作は、図2〜図4に示す実施形態に対して説明したものと同じである)、後に詳細に論考するように、弁棒26の本体部の計量面28および/またはシール面30の望ましい構成のために、充填段階中(図6)の製剤の、作動時に形成される計量チャンバ34内への自由流動もまた促進される。
【0040】
図8は、休止位置にある計量弁14のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、バネガイド44が2つの部分、すなわちバネガイド心棒44’とバネガイドキャップ44”とから形成される例を提供し、ここでは、弁棒26とバネガイド心棒とが単一要素として形成され、バネガイドキャップが、後にバネガイド心棒に付着される別個の要素として形成される。
【0041】
この実施形態では、計量面とシール面30との間の中間面に隣接して配置された計量面28の部分は、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされた部分を実質的に有していないように構成される。さらに、計量面28は、弁本体22の周囲壁と本質的に同じ形状であるように構成される。このため、この実施形態では、計量弁が休止位置にある場合(図8に示すように)、本質的に弁棒26の本体部の計量面28の完全な部分が弁本体24の内面に接触して休止し、それにより、任意の残留計量容積が実質的に除去される。この実施形態では、計量面28とシール面との間の中間面に隣接して配置されたシール面30の部分もまた、特に計量面28とシール面との間の中間面に隣接する、心棒軸に平行に位置合せされた部分を実質的に有していないように構成される。これにより、この場合もまた、計量弁が休止位置にある時、バルク製剤と、内部チャンバ38内、特に弁棒26の本体部と弁本体壁の内面24によって画定される弁本体の内部チャンバまたは内腔との付近における製剤と、の間の自由流体連通が促進される。
【0042】
図8から理解することができるように、この実施形態の計量ガスケット32の形状は、実質的に三角形である。計量ガスケット32の内面は、典型的には、成形(たとえば、ガスケットを金属弁棒の上に成形する)かまたは、より望ましくは弁棒を製作するために使用する同時成形製造プロセスの結果として、弁棒26のそれぞれの基礎部分に付着される。上述したように、同時成形プロセスを使用することにより、計量ガスケットの中間面と弁棒の基礎部分との間に強力な接着を提供することができる。接着を促進するためかつ/または機械的支持および強度をさらに確実にするため、弁26の基礎部分に、成形されたまたは同時成形された計量ガスケット32の機械的固定を容易にしまたは促進する、キーまたは幾何学的特徴33を設けてもよい。よりよい理解のために、図9は、図8に示す計量弁の一部、すなわち計量ガスケットの付近の等角切取拡大図を示す。図示するように、計量ガスケット32の内面の下にある弁棒26の部分に、図示するように任意にわずかにアンダーカットされてもよい一続きの交互の三角形の歯の形態のキー33が設けられる。理解されるように、キーの形態は、任意の適当な形態であってもよく、望ましくは、製造を容易にするために非凹角形態であってもよく(たとえば、射出成形ツーリングを使用し工具の軸方向を2分割移動させる)、それにより計量ガスケットの固定が容易になりまたは促進される。適当な形態には、L字型拡張部、望ましくは別法として起伏がある、T字型拡張部、環状フランジ、または図10に例示するような、穴または細長い穿孔33’が設けられた環状フランジ33がある。
【0043】
図8に示す計量弁14の作動中(図示せず)(この動作は図2〜図4に示す実施形態に対して説明したものと同じである)、後により詳細に論考するように、弁棒26の本体部の計量面28および/またはシール面30の望ましい構成のために、充填段階中の製剤の、作動中に形成された計量チャンバ34への自由流動が促進される。
【0044】
上述したように、弁本体22、弁棒26および場合によっては他の弁部品の構成は、弁棒が作動された場合の製剤の計量弁24への流動と同様に、計量弁がその休止位置にある場合の製剤の自由流動と残留計量容積の存在とに影響を与える。
【0045】
たとえば、弁本体の計量部(部分的に、作動時に形成される計量チャンバの境界を画定する部分)が、弁棒の計量面に実質的に従うように構成される場合、計量弁がその休止位置にある時、残留計量容積の存在が最小になる。「弁本体の計量部が弁棒の計量面に実質的に従うように構成される」という条件下では、望ましくは、計量弁が休止位置にある時、弁棒の計量面の有意な部分(たとえば、≧85%)が弁本体の内面に接触して休止する、ということが理解される。弁が休止状態にある時に弁棒の計量面に実質的に従うようにまたは従うように弁本体の計量部を構成することにより、残留計量容積をさらに最小化することができる。「弁本体の計量部が弁棒の計量面に本質的に従うようにまたは従うように構成される」という条件下では、望ましくは、計量弁が休止位置にある時、弁棒の計量面の夫々実質的に完全な部分(たとえば、≧90%)または本質的に完全な部分(たとえば、≧95%またはより望ましくは≧97.5%)が弁本体の内面に接触して休止することが理解される。
【0046】
上述したように、休止位置にある弁における製剤の自由流動は、さらに望ましくは、弁棒の本体部の計量面を、弁本体の本体部の計量面とシール面との間の中間面に隣接する計量面のいかなる有意な部分も(たとえば、≦5%またはより望ましくは≦2.5%)、より適当にはいかなる実質的な部分も(たとえば、≦2%またはより望ましくは≦1%)、または最も適当にはいかなる部分も、心棒軸に平行にまたは略平行に(すなわち、非常に小さい角度θ、たとえば0°または1°で)位置合せされないように構成することにより、影響を受けてもよい。また、計量弁が休止位置にある場合、バルク製剤と、内部チャンバ内、特に弁棒の本体部と弁本体壁の内面によって画定される弁本体の内部チャンバまたは内腔との付近における製剤と、の間の自由流動連通は、弁棒の本体部のシール面の一定の構成によって促進されてもよい。特に、弁棒の本体部のシール面を、弁本体の本体部の計量面とシール面との間の中間面に隣接するシール面のいかなる有意な部分も(たとえば、≦5%またはより望ましくは≦2.5%)、より適当にはいかなる実質的な部分も(たとえば、≦2%またはより望ましくは≦1%)、または最も適当にはいかなる部分も、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされないように、構成することが望ましい場合がある。
【0047】
上述したように、作動中の製剤の計量チャンバへの流動に対し、弁棒の中心長手方向軸に対する弁棒の計量面によって描かれる角度が作用してもよい。たとえば、図11に示すように、弁棒26は、中心長手方向軸60を画定してもよい。角度θmを、弁棒の計量面28の主な部分に対して接線の方向の平面62と中心軸60との交差部分によって画定してもよい。複雑な幾何学的形状を有する実施形態によっては、角度θmを、図13に示すように、中心軸60と計量面28の小さい方の部分に対して接線の方向の平面との交差部分によって画定してもよい。
【0048】
他のすべてが同じであるとし、かつ弁本体が弁棒に実質的に従うように構成されるとすると、θmが大きいほど、計量弁の作動中の弁棒の所与の変位に対する充填間隙が広くなる。所与のシール直径と計量点までの所与の心棒変位距離とに対し、θmの値が大きくなることにより、概して、弁棒と計量弁とを短くすることができる。図13に示す計量面28の形状により、より短い計量弁において特定の角度θmを使用することができる。図11に示すもの等、より単純な計量面では、計量弁が休止位置にある場合に互いに実質的に従いそれにより残留計量容積を制限しまたは除去する弁棒と弁本体とを製造するために必要な寸法制御をより軽減することができる。
【0049】
本発明による弁棒における角度θmの適当な値は、約2°から約90°である。この範囲内で、最小角度は、約10°がより望ましく、約20°がさらにより望ましく、約30°が最も望ましい。最大角度は、約80°がより望ましく、約70°がさらにより望ましく、約60°が最も望ましい。
【0050】
計量チャンバ内での制限された流動の領域の可能性を制限し製剤の計量チャンバ内への自由流動を促進するために、計量面は、望ましくは、そのいかなる有意な部分も(たとえば、≦5%またはより望ましくは≦2.5%)、より適当にはいかなる実質的な部分も(たとえば、≦2%またはより望ましくは≦1%)、または最も適当にはいかなる部分も、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされないように構成される。
【0051】
図2、図5および図8に示す例示的な実施形態に示すように、弁棒の本体部は、典型的には、心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされる、心棒部に隣接する部分を含む。この部分により、弁棒の弁ハウジングの開口および/またはダイヤフラムの通過が容易になる。この部分は、心棒部に隣接しかつ作動時に形成される計量チャンバの遠位端にあるため(たとえば図6において理解されるように)、本体部のこの部分の平行なまたは略平行な位置合せにより、計量チャンバ内への流動は制限されない。
【0052】
例示的な弁棒を示す図11〜図13に最もよく示すように、計量面28は、典型的には、シール面30を含む本体部の部分と心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされる心棒部に隣接する本体部の部分との間に配置される、本体部の部分の面である。計量ガスケットの外面に配置される、計量面とシール面との円周方向の中間面または境界は、典型的には、計量ガスケットの最も広い横断面の環であるように理解される。上述した定義に従って心棒の長手方向軸に対して平行な部分を有する中間面または境界を有する実施形態では、中間面または境界は、この場合、平行な部分の遠位端(すなわち、心棒部に向う端部)における環であるように理解される。図11〜図13から理解することができるように、弁棒が、取り付けられるかまたは一体的なバネガイド44を有する場合、シール面30は、弁棒の本体部の面とバネガイドの面との間の中間面または境界で終端する。
【0053】
計量弁が休止状態である場合の製剤の自由流動と同様に、作動中の計量チャンバ内への製剤の流動に対してもまた、弁棒の中心長手方向軸に対する弁棒のシール面によって描かれる角度が作用してもよい。図11を参照すると、角度θsを、弁棒のシール面30の主な部分に対して接線の方向の平面64と中心軸60との交差部分によって画定してもよい。複雑な幾何学的形状を有する実施形態によっては、角度θsを、中心軸60とシール面30の小さい方の部分に対する接線の方向の平面との交差部分によって画定してもよい。弁棒における角度θsに対する典型的な値は、約30°から約90°であってもよい。この範囲内で、最小角度は約45°がより望ましく、約50°が最も望ましい。最大角度は、約85°がより望ましく、約80°が最も望ましい。
【0054】
角度θmが説明した範囲にある計量弁は、計量部、すなわち、部分的に計量チャンバの境界を画する部分を有してもよく、それを、概して、近位端の断面積が遠位端の断面積より大きい円錐形の形状であると述べることができる。実施形態によっては、計量面とシール面との中間面における弁棒本体の横断面積は、弁棒本体の遠位端(すなわち、弁棒の心棒部に向う)の横断面積より約4%大きくもよい。他の実施形態では、計量面とシール面との中間面における弁棒本体の横断面積は、弁棒本体の遠位端の横断面積より少なくとも約20%大きくてもよい。さらに他の実施形態では、計量面とシール面との中間面における弁棒本体の横断面積は、弁棒本体の遠位端の横断面積より少なくとも約60%大きくてもよい。
【0055】
略円錐形計量部を有する実施形態によっては、弁本体の内面は、ダイヤフラムから弁本体シール面への略円錐形状を維持する。
【0056】
弁棒26の計量面28は、任意の適当な外形であってもよく、それでもなお、角度θmを画定するために使用される平面62を画定してもよい。たとえば、図11に示す弁棒等、比較的単純な幾何学的形状を有する弁棒では、計量面28の大部分が、角度θmを画定するために使用される平面62を画定してもよい。別法として、計量面28は、図12および図13に示すもののように不規則であってもよく、平面62を画定するために、計量面の一部のみを使用してもよい。さらに、計量面28の不規則性は、非幾何学的であってもよく、それでもなお、本発明による弁棒26に対する適当な形状を提供してもよい。
【0057】
このように、(1)角度θmを本明細書で説明するように画定することができ、(2)弁本体22の内面24が計量面28の幾何学的形状に実質的に従うように構成される限り、計量面28の特定の幾何学的形状は重要ではない。これらの要素は、計量弁が休止状態にある場合に残留計量容積を制限しまたは除去することに役立ち、計量チャンバへの製剤の流動の制限を低減するのを容易にする。さらに、計量面とシール面との間の中間面に隣接する計量面および/またはシール面のいかなる有意な部分も心棒軸に平行してまたは略平行して位置合せされないことは、残留計量容積を制限しまたは除去するために有利である場合がある。計量面を、いかなる有意な部分も心棒軸に平行にまたは略平行に位置合せされないように構成してもよい。これは、弁本体22の内面24が計量面28の幾何学的形状に実質的に従っても、計量チャンバ内の制限された流動の領域の形成、故に製剤の計量チャンバ内への自由流動に対する制限を抑えることに役立つことができる。
【0058】
弁本体の計量面28および内面24に対する単純な幾何学的形状により、いくつかの製造上の利点を提供することができる。たとえば、完全に360°の回転対称である弁棒では、弁の組立て中に回転位置合せが不要である。円錐等の単純な形状もまた、いくつかの性能上の利点を与えることができる。たとえば、単純な形状により、薬剤の堆積または角のある縁における製剤の流動の不連続性に関する問題を低減することができる。しかしながら、本発明による弁棒26には、より複雑な幾何学的形状もまた適している。たとえば、実施形態によっては、半球または他の湾曲構成を含んでもよい。他の実施形態では、図12および図13に示すもの等、複数の角度を有する弁棒を有してもよい。
【0059】
上述した実施形態は、弁本体によって包囲された変位可能な弁棒を有する計量弁の文脈で提供している。しかしながら、変位可能な弁棒が弁本体を包囲する計量弁を設計してもよい。かかる実施形態を図14〜図16に示す。図14は、休止段階にある実施形態を示し、図15は、充填段階にある同じ実施形態を示し、図16は、放出段階にある同じ実施形態を示す。
【0060】
図14の計量弁114は、計量弁114のさまざまな部品を収容する役割を果たすハウジング118を有する。ハウジング118の上部は、図1の代替実施形態に関して示すようなエアゾール容器に付着する。弁本体122は、弁ハウジング118内に着座し、それにより弁棒126のためのハウジングを提供する。
【0061】
計量弁114は、弁本体122とともに弁棒126の一部によって部分的に占有される内部チャンバ138を画定する計量本体124を有する。少なくとも1つの入口(図示せず)が、内部チャンバ138とエアゾール容器に貯蔵されたバルク製剤との開口した制限されない流体連通を提供する。
【0062】
図14〜図16に示す実施形態では、計量本体は、概して中心軸160を画定する心棒部123を有する。計量本体124の心棒部123は、入口凹部112と、シール面113と、計量面116と、放出ガスケット117と、を有する。放出ガスケット117は、計量弁が休止位置にある時、弁棒130の内面との摺動シールを形成し、内部チャンバ138を弁の外面から分離する。
【0063】
弁棒126の一部は、作動中を通してハウジング118内に存在する。弁棒126の別の部分は、弁棒126が図14に示す休止位置にある時、弁ハウジング118の外部に存在する。弁棒126の作動中、ハウジング118の外部に存在する弁棒126の部分は、弁ハウジング118の内部に一時的に配置されるように、計量弁114に対して内方に変位する。
【0064】
図14〜図16に示す計量弁114の弁棒126は、計量ガスケット132を有する。計量ガスケット132は、弁棒126と平面シールを形成し、計量本体124の心棒部123のシール面113と摺動環状シールを形成することができるように配置される。弁棒126はまた、計量面128と、放出凹部136と、放出通路150と、を有する。放出通路150は、放出部品152と流体連通してもよい。
【0065】
図15は、作動の充填段階における図14の計量弁を示す。弁棒126は、部分的に作動されているように示されており、すなわち、計量本体124の心棒部123に対して、したがって、また計量弁全体に対して内方に変位している。このため、弁棒計量面128は、計量本体の計量面116から引き離されている。結果としての空間は、部分的に計量チャンバ134を画定する。製剤は、内部チャンバ138から、計量ガスケット132と入口凹部112との間に形成された通路を通り、計量チャンバ134内に流動することができる。
【0066】
動作時、弁棒126は、さらに、充填済み段階(図示せず)まで作動される。充填済み段階では、計量ガスケット132は最終的にシール面113と接触し、流体密封摺動シールを形成する。このシールにより、計量チャンバ134が内部チャンバ138から分離し、製剤の計量チャンバ134内への流動を停止する。
【0067】
図16は、放出段階に作動された弁棒126を示す。弁棒126は、放出凹部136が、計量された製剤が計量チャンバ134から放出ガスケット117の周囲を通り、定量の製剤を患者に供給することができる放出通路150内に流動することができるように、十分に作動されるように示されている。計量ガスケット132は、シール面113との摺動シールを維持し、それにより、内部チャンバ138内の製剤を弁の外面から分離し続ける。
【0068】
図16はまた、図示する実施形態における角度θmの確定を示す。上に示す実施形態と同様に、角度θmは、中心軸(図16において160として示す)と計量面の少なくとも一部に対して接線の方向の平面(図16において162として示す)とによって画定される。この実施形態では、角度θmを画定するために使用される平面は、計量本体123の心棒部の計量面116の少なくとも一部に対して接線の方向である。
【0069】
角度θmが、部分的には、計量本体123の心棒部の計量面116の一部に対して接線の方向の平面によって画定されるため、計量本体の遠位部、すなわち、放出ガスケット117に近い部分の横断面積は、計量本体123の近位部、すなわち入口凹部112に近い部分の横断面積より大きくなる。実施形態によっては、計量本体の遠位端の横断面積は、計量本体の近位端の横断面積より約4%大きくてもよい。他の実施形態では、計量本体の遠位端の横断面積は、計量本体の近位端の横断面積より少なくとも約20%大きくてもよい。さらに他の実施形態では、計量本体の遠位端の横断面積は、計量本体の近位端の横断面積より少なくとも約60%大きくてもよい。
【0070】
上述した実施形態と同様に、計量本体123の心棒部の計量面116は、弁棒128の計量面の形状および寸法に実質的に従ってもよい。このため、この設計を採用する計量弁は、計量弁が休止位置にある時、計量本体計量面116と弁棒計量面128との間の残留計量容積を制限しまたは除去することも可能である。
【0071】
本発明による計量面の設計は、計量弁または弁棒設計の他の態様と同様に、作動中の計量弁を通る製剤の流動を促進するのに役立つことができる。したがって、本発明の設計を、明示的に図に示すものとは異なる一般的な計量弁設計とともに使用してもよい。かかる代替計量弁設計には、弁棒、弁本体、または計量弁の性能を向上させるように設計された計量弁の他の任意の部分の1つまたは複数の追加の特徴が含まれてもよい。かかる追加の設計上の特徴は、限定されないが作動中のエアゾール容器から計量チャンバへの製剤の流動と製剤計量の一貫性とを含む性能パラメータを向上させることにより計量弁性能を向上させてもよい。
【0072】
同時成形された計量ガスケットを含む実施形態では、以下細長い心棒要素と呼ぶ弁棒の非計量ガスケット部(心棒部と、本体部の大部分と、恐らくはバネガイドまたはその一部と、を含む)は、望ましくは、ポリマーを含む材料から作製される。適当なポリマーには、アセタール、ナイロン、ポリエステル(PE)、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、サーモトロピック液晶ポリマー(LCP)、ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリ−二フッ化ビニリデン(PVDF)およびそれらの混合物がある。材料は、構造上の頑強性を向上させることができる、繊維(たとえば、ガラス、鉱物または炭素繊維)、鉱物(たとえば、CaCO3)、グラファイトまたは炭素等、典型的な充填剤を含んでもよい。PPSおよびPBT含有材料は、望ましくはたとえばガラス繊維から作製された充填剤を組み込み、他のポリマー含有材料には、望ましくは充填剤は含まれない。機械的かつ/または熱的応力または変形に対する望ましい耐性を示す弁棒を提供するために、ポリマーを、望ましくは、ポリエーテルエーテルケトン等のポリアリールエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイドおよびそれらの混合物からなる群から選択する。
【0073】
計量ガスケットは、典型的にはエラストマーであり、熱可塑性エラストマーまたは熱硬化性エラストマーを含む材料から作製してもよい。
【0074】
適当な熱可塑性エラストマーのさまざまな種類には、ポリエステルゴム、ポリウレタンゴム、エチレン酢酸ビニルゴム、スチレンブタジエンゴム、コポリエステル熱可塑性エラストマー、コポリエステルエーテル熱可塑性エラストマー、オレフィン熱可塑性エラストマー、ポリエステルアミド熱可塑性エラストマー、ポリエーテルアミド熱可塑性エラストマー、コポリアミド熱可塑性エラストマーおよびそれらの混合物が含まれる。オレフィン熱可塑性エラストマーの例は、引用により開示内容がすべて本明細書に包含されたものとする国際公開第92/11190号パンフレットにおいて述べられており、1−ブテン(but−1−ene)、1−ヘキセン(hex−1−ene)および1−オクテン(oct−1−ene)から選択されたモノマーを含むエチレンのブロックコポリマーを含む。適当なオレフィン熱可塑性エラストマーの他の例は、引用をもって開示内容がすべて本明細書に包含されたものとする国際公開第99/20664号パンフレットと、米国特許第5703187号明細書(ダウ(Dow))とにおいて述べられている。ともに引用をもって開示内容がすべて本明細書に包含されたものとする国際公開第93/22221号パンフレットおよび国際公開第95/03984号パンフレットにおいて述べられているもの等、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーおよび混合物は、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマーとともに、適当な熱可塑性エラストマーである。ポリエーテルアミド熱可塑性エラストマーの例は、ポリエーテル−ブロック−コポリアミドであるペバックス(PEBAX)(アトフィーナ(Atofina))である。相互分散した比較的硬質なドメインと比較的軟質のドメインとの混合を含む組成物もまた、適当な熱可塑性エラストマーとして採用してもよい。かかる混合組成物の例には、ポリオレフィンマトリクスに分散された熱硬化性EPDMを有するサントプレーン(SANTOPRENE)(アドバンスド・エラストマー・システムズ(Advanced Elastomer Systems))、もしくは、結晶性ナノフェーズとゴム状ナノフェーズとの混合物を含むセグメント化ポリエステルウレタンのポリマーであるエスタン(ESTANE)(ノベオン(Noveon))がある。他の混合物には、オレフィン熱可塑性/ゴム混合物とポリ塩化ビニル/ゴム混合物がある。他の可能性には、単相溶融処理可能なゴムおよびイオノマーがある。
【0075】
好ましい熱硬化性エラストマーには、熱硬化性エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー(ニトリルゴム)、イソブチレン−イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー(特にクロロブチルゴムおよびブロモブチルゴム)、ポリクロロピレン(ネオプレン(Neoprene))およびそれらの混合物があり、EPDM、ニトリルゴムおよびブチルゴムがより好ましく、EPDMおよびニトリルゴムがさらに好ましく、EPDMが最も好ましい。
【0076】
熱硬化性EPDM、ニトリルゴム、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴムおよび/またはネオプレン、特にEPDMを含む材料から作製された、同時成形された計量ガスケットの、PAEK、LCP、PPSおよび/またはPMPポリマーを含む材料から作製された細長い心棒要素との組合せにより、医薬エアゾール製剤を供給するための分配弁(たとえば、定量分配弁)において、機械的かつ/または化学的応力耐性に関して特定の有利な特性を有する弁棒が提供される。あり得る24の計量ガスケット/細長い心棒要素の材料の組合せの各々を、本明細書では個々に開示する、ということを理解しなければならない。PAEK、より詳細にはポリエーテルエーテルケトンを含む材料から作製された細長い心棒要素と、熱硬化性EPDMを含む材料から作製された同時成形された計量ガスケットとを備える弁棒は、医薬エアゾール製剤、特に、液化噴射剤HFA134aおよび/またはHFA227を含む医薬エアゾール製剤、より詳細にはさらにエタノールを含むかかる製剤に対して、優れた構造的および/または化学的特性を示す。
【0077】
弁棒を、オーバーモールディングプロセスによって製造してもアンダーモールディングプロセスで製造してもよい。
【0078】
前者の方法は、
a)第1型形状を提供するステップと、
b)ポリマーを含む第1材料を成形して細長い心棒要素を形成するステップと、
c)少なくとも部分的に細長い心棒要素を含む第2型形状を提供するステップと、
d)計量ガスケットが細長い心棒要素の少なくとも一部と同時成形されるように、第2材料を成形して計量ガスケットを形成するステップと、
を含む。
【0079】
第2アンダーモールディング方法は、
a)第2型形状を提供するステップと、
b)第2材料を成形して計量ガスケットを形成するステップと、
c)少なくとも部分的に計量ガスケットの下にある第1型形状を提供するステップと、
d)ポリマーを含む第1材料を成形して、細長い心棒要素の少なくとも一部と同時成形される計量ガスケットを有する細長い心棒要素を形成するステップと、
を含む。
【0080】
2つの代替方法の一貫性のために、本明細書では、プロセスステップの連続した順序に関わらず、「第1」型形状および「第1」材料という表現を、細長い心棒要素の成形に関するステップに関連して使用し、「第2」型形状および「第2」材料という表現を、計量ガスケットの成形に関するステップに関連して使用する。細長い心棒要素の成形および/または計量ガスケットの成形のために、好ましい成形の方法は射出成形である。
【0081】
当業者には、夫々の型形状が、特定の分配弁において弁棒を使用するために必要な特定の形態の細長い心棒要素と計量ガスケットとを提供することができるように提供される、ということが理解されよう。本方法は、成形部品をその型から取り除き、その後他の部品を成形するために別の型形態に適当に配置する、ということを含んでもよい。別法として、本方法は、単一の再配置可能なまたは形態変更可能な型を用いてもよく、その場合、部品の成形時に、他の部品を成形するために適当な形態形状を提供するように、型を再配置しまたは変更する。
【0082】
熱硬化性エラストマーを含む材料から作製される計量ガスケットを有する弁棒の場合、成形ステップ、より詳細には射出成形ステップでシール要素を形成するために使用される材料(「第2材料」)は、望ましくは熱硬化可能エラストマーを含む。熱硬化可能エラストマーは、本明細書では、熱硬化性エラストマーを提供することができるように硬化プロセス時に上に架橋を形成することができるサイトを提供する、少なくとも1つの二重結合を有するポリマー分子、特にアルケン基、より詳細には、ペンダントアルケン基を有するポリマー分子を含む材料(より詳細には射出成形可能材料)を意味するものと理解される。
【0083】
たとえば、熱硬化性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー)とニトリルゴム(アクリロニトリル−ブラジエンコポリマー)とを提供するために使用される熱硬化可能エラストマーは、典型的には、架橋するのためにポリマーにアルケン基を提供する重合されたジエンを含む。ブチルゴムは、典型的には、架橋するためにアルケン基を提供するためにわずかな割合でイソプレンとともにポリイソブテンを含むポリマーから作製され、ハロゲン化ブチレンゴム、たとえばCIIRおよびBIIRは、典型的には、硬化の前に夫々のポリマーのハロゲン化によって作製される。ハロゲン化により不飽和がなくなることはなく、架橋は、典型的には、酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛、好ましくは酸化亜鉛を使用して行われ、それにより夫々のハロゲン化金属が除去される。同様に、ネオプレンは、典型的には、任意にアルキルジアミンとともに酸化マグネシウムおよび/または酸化亜鉛を使用して、ポリクロロプレンから金属塩化物を除去することにより架橋される。
【0084】
製造する方法において、熱硬化可能エラストマーを含む第2材料を成形する(より詳細には射出成形する)ステップに続き、本方法は、上記第2材料を硬化させるステップを含む。この硬化させるステップは、典型的には、第2材料の成形のステップの直後に行われ、プロセスにおいて上記成形の後でありかつ最終型形状を除去する前の適当な時に行ってもよい。
【0085】
硬化プロセスは、望ましくは、少なくとも架橋結合の大部分が形成されるように実行される。架橋するプロセスは既知であり、2つの一般的なタイプには、典型的にはポリサルファイド架橋を提供するための硫黄ドナー分子を用いる硫黄硬化と、過酸化分子が遊離基源を提供することによりアルケンまたはペンダントアルケン基が架橋を形成することができるようにする、過酸化物硬化と、がある。抽出される可能性のある有害な抽出物が最小である材料を提供するために、過酸化物硬化が、典型的には、硬化の好ましい方法である。過酸化物硬化では、CIIRおよびBIIR等のハロゲン化ブチルゴムを提供するために、しばしば、N,N’−m−フェニレン−ジマレイミド等の同時加硫剤を使用して適当な架橋を行う。硬化プロセスは、また、典型的には、熱処理、たとえば1分間以上110℃と200℃との間で加熱することも含み、それにより少なくとも架橋結合の大部分を形成することができる。最適な硬化条件、硬化剤等は、成形される特定の熱硬化可能エラストマーにより、また恐らくは成形される特定の計量ガスケットの全体寸法、サイズおよび/または形態によって決まる。プロセス効率に関し、成形工具の回転を迅速にするために短時間で高温を使用することが望ましい場合がある。
【0086】
両方法において硬化ステップと最終型形状の除去の後、追加の熱処理ステップを行うこと、たとえば、架橋を実質的に完了しかつ/またはこのように形成された計量ガスケットの物理特性を最適化することが望ましい場合がある。この熱処理ステップには、典型的には硬化ステップより長い期間、たとえば0.5〜24時間の期間にわたり、110℃から200℃の間で加熱することが含まれてもよい。
【0087】
本発明の範囲から逸脱することなく、当業者には、本発明に対するさまざまな変更態様および改変態様が明らかとなろう。本発明は、本明細書に示す例示的な実施形態および例によって不当に限定されるようには意図されておらず、かかる例および実施形態は、単に例として提示されており本発明の範囲は本明細書において示される特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図されている、ということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明によるエアゾール計量弁の実施形態を有する定量吸入器の断面図である。
【図2】休止位置にある本発明による別のエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図3】弁棒作動の充填段階中の図2に示すエアゾール計量弁の拡大断面図である。
【図4】弁棒作動の放出段階中の図2に示すエアゾール計量弁の拡大断面図である。
【図5】休止位置にある図1に示す本発明によるエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図6】充填段階にある図1に示す本発明によるエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図7】放出段階にある図1に示す本発明によるエアゾール計量弁の実施形態の拡大断面図である。
【図8】休止位置にあるさらに別の実施形態の拡大断面図である。
【図9】図8に示す計量弁の弁棒の一部、すなわち計量ガスケットの付近の等角切取拡大図である。
【図10】本発明によるエアゾール計量弁で使用する弁棒のさらなる実施形態の一部、すなわち計量ガスケットの付近の等角切取拡大図である。
【図11】本発明による弁棒の一実施形態の拡大断面図である。
【図12】本発明による弁棒の代替実施形態の拡大断面図である。
【図13】本発明による弁棒の別の代替実施形態の拡大断面図である。
【図14】休止位置にある本発明による計量弁の代替実施形態の拡大断面図である。
【図15】充填段階にある本発明による計量弁の代替実施形態の拡大断面図である。
【図16】放出段階にある本発明による計量弁の代替実施形態の拡大断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)概して長手方向軸を画定する弁棒であって、
(1)計量面を備えるとともに、該長手方向軸と該計量面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、本体部と、
(2)放出通路を備える心棒部と、
(3)計量ガスケットと、
を備える弁棒と、
(b)(1)シール部を備える本体壁と、
(2)少なくとも部分的に該本体壁によって画定され、該弁棒の該計量面に実質的に従うように構成された計量部を備える、内部チャンバと、
を備える弁本体と、
(c)該弁棒の該心棒部と摺動可能にシール係合する開口を画定する壁を有するダイヤフラムと、
を具備し、
該計量ガスケットが、該弁棒と該本体壁の該シール部との間に一時的な実質的流体密封シールを形成することができるように構成される、エアゾール計量弁。
【請求項2】
前記弁棒の前記本体部が、前記計量面に隣接しかつ該弁棒の前記心棒部に対して遠いシール面を備え、該シール面と該計量面とが、前記計量ガスケットの外面に円周方向の中間面を形成する、請求項1に記載のエアゾール計量弁。
【請求項3】
前記弁棒の前記計量面と前記シール面との間の前記中間面に隣接する該計量面および/または該シール面のいかなる有意な部分も、前記長手方向軸に平行にまたは略平行に位置合せされない、請求項2に記載のエアゾール計量弁。
【請求項4】
前記長手方向軸と前記シール面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが、約30°から約90°の角度を画定する、請求項2または3に記載のエアゾール計量弁。
【請求項5】
前記計量ガスケットが、前記本体壁の前記シール部の少なくとも一部と実質的に流体密封の摺動シールを形成することができるように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項6】
(a)開口を画定する壁を有するダイヤフラムを備える弁本体と、
(b)概して長手方向軸を画定するとともに部分的に内部空間を画定し、シール部と、該シール部に対し遠位の入口凹部と、該入口凹部に対して遠位の計量面と、該計量面に対して遠位の放出ガスケットと、を備える計量心棒であって、中心軸と該計量面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、計量心棒と、
(c)該開口と摺動可能にシール係合する弁棒であって、
(1)該計量心棒の該入口凹部から該内部空間の一部を横切るシール部であって、該弁棒と該計量心棒の該シール部との間に一時的な流体密封を形成することができるように構成された計量ガスケットを備える、シール部と、
(2)該計量心棒の該計量面に実質的に従うように構成された計量面と、
(3)内面と、
(4)該内面の一部の放出凹部と、
(5)放出通路と、
を備える弁棒と、
を具備する、エアゾール計量弁。
【請求項7】
前記計量ガスケットが、前記計量心棒の前記シール部の少なくとも一部と実質的に流体密封の摺動シールを形成することができるように構成される、請求項6に記載のエアゾール計量弁。
【請求項8】
前記計量面の角度が約10°以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項9】
前記計量面の角度が約20°以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項10】
前記計量面の角度が約30°以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項11】
前記計量面の角度が約80°以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項12】
前記計量面の角度が約70°以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項13】
前記計量面の角度が約60°以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項14】
前記計量面が、前記長手方向軸に平行にまたは略平行に位置合せされる有意な部分を有さない、請求項1〜13のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項15】
前記計量ガスケットが、前記弁棒の少なくとも一部と同時成形される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項16】
前記計量ガスケットが、熱可塑性エラストマーまたは熱硬化性エラストマーを含む材料から作製され、前記弁棒の非計量ガスケット部が、ポリマーを含む材料から作製される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項17】
前記ポリマーが、アセタール、ナイロン、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリ−二フッ化ビニリデンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載のエアゾール計量弁。
【請求項18】
前記ポリマーが、ポリアリールエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイドおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載のエアゾール計量弁。
【請求項19】
前記計量ガスケットは、EPDM、ニトリル、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴムおよびネオプレンからなる群から選択される熱硬化性エラストマーを含む材料から作製される、請求項16〜18のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁を具備する定量分配装置。
【請求項21】
定量吸入器である、請求項20に記載の定量分配装置。
【請求項1】
(a)概して長手方向軸を画定する弁棒であって、
(1)計量面を備えるとともに、該長手方向軸と該計量面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、本体部と、
(2)放出通路を備える心棒部と、
(3)計量ガスケットと、
を備える弁棒と、
(b)(1)シール部を備える本体壁と、
(2)少なくとも部分的に該本体壁によって画定され、該弁棒の該計量面に実質的に従うように構成された計量部を備える、内部チャンバと、
を備える弁本体と、
(c)該弁棒の該心棒部と摺動可能にシール係合する開口を画定する壁を有するダイヤフラムと、
を具備し、
該計量ガスケットが、該弁棒と該本体壁の該シール部との間に一時的な実質的流体密封シールを形成することができるように構成される、エアゾール計量弁。
【請求項2】
前記弁棒の前記本体部が、前記計量面に隣接しかつ該弁棒の前記心棒部に対して遠いシール面を備え、該シール面と該計量面とが、前記計量ガスケットの外面に円周方向の中間面を形成する、請求項1に記載のエアゾール計量弁。
【請求項3】
前記弁棒の前記計量面と前記シール面との間の前記中間面に隣接する該計量面および/または該シール面のいかなる有意な部分も、前記長手方向軸に平行にまたは略平行に位置合せされない、請求項2に記載のエアゾール計量弁。
【請求項4】
前記長手方向軸と前記シール面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが、約30°から約90°の角度を画定する、請求項2または3に記載のエアゾール計量弁。
【請求項5】
前記計量ガスケットが、前記本体壁の前記シール部の少なくとも一部と実質的に流体密封の摺動シールを形成することができるように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項6】
(a)開口を画定する壁を有するダイヤフラムを備える弁本体と、
(b)概して長手方向軸を画定するとともに部分的に内部空間を画定し、シール部と、該シール部に対し遠位の入口凹部と、該入口凹部に対して遠位の計量面と、該計量面に対して遠位の放出ガスケットと、を備える計量心棒であって、中心軸と該計量面の少なくとも一部に対して接線方向の平面とが約2°から約90°の角度を画定する、計量心棒と、
(c)該開口と摺動可能にシール係合する弁棒であって、
(1)該計量心棒の該入口凹部から該内部空間の一部を横切るシール部であって、該弁棒と該計量心棒の該シール部との間に一時的な流体密封を形成することができるように構成された計量ガスケットを備える、シール部と、
(2)該計量心棒の該計量面に実質的に従うように構成された計量面と、
(3)内面と、
(4)該内面の一部の放出凹部と、
(5)放出通路と、
を備える弁棒と、
を具備する、エアゾール計量弁。
【請求項7】
前記計量ガスケットが、前記計量心棒の前記シール部の少なくとも一部と実質的に流体密封の摺動シールを形成することができるように構成される、請求項6に記載のエアゾール計量弁。
【請求項8】
前記計量面の角度が約10°以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項9】
前記計量面の角度が約20°以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項10】
前記計量面の角度が約30°以上である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項11】
前記計量面の角度が約80°以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項12】
前記計量面の角度が約70°以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項13】
前記計量面の角度が約60°以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項14】
前記計量面が、前記長手方向軸に平行にまたは略平行に位置合せされる有意な部分を有さない、請求項1〜13のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項15】
前記計量ガスケットが、前記弁棒の少なくとも一部と同時成形される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項16】
前記計量ガスケットが、熱可塑性エラストマーまたは熱硬化性エラストマーを含む材料から作製され、前記弁棒の非計量ガスケット部が、ポリマーを含む材料から作製される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項17】
前記ポリマーが、アセタール、ナイロン、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリールエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリプロピレン、高密度ポリプロピレン、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、ポリ−二フッ化ビニリデンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載のエアゾール計量弁。
【請求項18】
前記ポリマーが、ポリアリールエーテルケトン、サーモトロピック液晶ポリマー、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンサルファイドおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載のエアゾール計量弁。
【請求項19】
前記計量ガスケットは、EPDM、ニトリル、ブチルゴム、クロロブチルゴム、ブロモブチルゴムおよびネオプレンからなる群から選択される熱硬化性エラストマーを含む材料から作製される、請求項16〜18のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のエアゾール計量弁を具備する定量分配装置。
【請求項21】
定量吸入器である、請求項20に記載の定量分配装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2006−500980(P2006−500980A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−534632(P2004−534632)
【出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/027829
【国際公開番号】WO2004/022143
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年9月4日(2003.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/027829
【国際公開番号】WO2004/022143
【国際公開日】平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]