説明

一軸破砕機の押込装置の運転制御方法及び装置

【課題】一軸破砕機において、過負荷にならない領域でより大きな処理速度を得るようにプッシャの制御を行う高効率運転の方法と装置を提供する。
【解決手段】多数の刃を円周上に取り付けて回転するロータ1に、油圧シリンダ5で駆動されるプッシャ3で被破砕物11を供給して破砕する一軸破砕機において、ロータ1の負荷に応じて予め決められた対応値を有するプッシャ3の速度に関する関数を予め格納する工程と、ロータ1の負荷を推定する工程と、格納された関数に従ってロータ1の負荷に対応するプッシャ3の速度を算定する工程と、プッシャ3の速度に対応するように油圧シリンダ5に供給する作動油の量を調整する工程と、作動油の供給によりプッシャ3の速度を制御する工程とを含むプッシャの運転制御方法および装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータにプッシャで被破砕物を供給して破砕する一軸破砕機における押込装置(プッシャ)の運転制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一軸破砕機のプッシャ制御は、取り扱う被破砕物について試運転をしてロータが過負荷にならないような条件を見出し、これに従って装置の運転条件を設定し固定運転するようにしてきた。たとえば、プッシャの移動範囲を後退限と中間点の間および中間点と前進限の間の2つの領域に分けて、後退限から中間点までの間はプッシャを高速前進させ、中間点を通過してから前進限までの間はプッシャを低速で前進させるように、2段階式に切り換える制御などが採用されていた。
【0003】
プッシャは長いストロークを有する油圧シリンダで駆動され、たとえば、三相かご型誘導電動機で駆動する固定ポンプで定量の作動油を供給し、電流値で開度を制御する比例電磁弁を使用して適当量をリリースすることにより吐出量を調整して、プッシャの速度を調整している。押し引きを繰り返しながら原料をロータに供給するため、停止する頻度も高く、また送り速度を調整するため絞りを使って作動油をリリースするのでエネルギーが熱になり、エネルギー損失が大きかった。
【0004】
なお、プッシャ速度は、一軸破砕機に投入される原料のうち最も負荷の掛かる破砕条件に合わせた低い速度に決める必要があるので、破砕しやすい原料を処理するときには機械の能力を十分発揮させることができず、全体的には効率の低い運転条件に設定せざるを得なかった。
【0005】
図8は、従来の一軸破砕機の運転例について本願発明者等が測定した結果を示すグラフである。グラフは、横軸に時間経過をとり、縦軸にロータを駆動する電動機の電流をプロットしている。多数の破砕刃を周囲に設けたロータとプッシャの間に被破砕物を挟み込んでプッシャを前進させると、一軸破砕機は破砕刃に押し付けられた被破砕物を破砕する。ロータの駆動電流は破砕負荷が大きいと大きくなるので、ロータ電流値から負荷量を推測することができる。なお、油圧ロータを使う場合は、作動油の圧力によってもロータ負荷を推定することができる。
【0006】
従来の制御方法による一軸破砕機の運転では、破砕量が多すぎたり硬すぎるものを破砕したりするとロータ負荷が過剰になり、駆動系保護のために、ロータ停止−逆転−停止−正転の順に運転して負荷を逃がす必要があるため、効率が低下する。そこで、たとえばロータ定格値の80%など、適当な閾値を超えたときには、一旦プッシャを停止させたり一時的に後退させたりして、ロータ負荷が減少した後に改めてプッシャを前進させるようにしている。
【0007】
たとえば、図8に示した運転例の初めの破砕作業では、プッシャを後退限位置から前進させると、ロータに押し付けられる被破砕物の量が増加していってロータ負荷が徐々に増大する。ロータ負荷の増大に伴いロータ電動機の電流値が予め決めた上限閾値に達すると、プッシャの前進を止めて押し付け圧をゼロとし、ロータの負荷を解消させる。電流値が先の上限閾値より小さくなってからある時間待って、再びプッシャを前進させて、ロータの破砕刃で被破砕物を破砕させる。
【0008】
プッシャは、挟み込んだ被破砕物があらかた処理された後に、後退限まで後退してホッパーからロータとプッシャの間に落下した被破砕物を挟み込んで、再びロータに向かって前進して破砕部分に被破砕物を供給する。このように、被破砕物の挟み込みと破砕を繰り返して、ホッパー内の被破砕物を処理する。
【0009】
なお、ロータ電動機の電流値が上限閾値に達したときに、プッシャを停止させる代わりに、プッシャを適宜決めた中間点まで後退させて、中間点からプッシャを再度前進させて被破砕物の破砕を行うようにしてもよい。
また、ロータ電動機の電流値またはロータ作動油圧が予め設定された上上限閾値(HH)に達したときは、ロータを停止し、逆転させて負荷を逃がし、再度正転させる。
これらの動作は、いわゆるシーケンサ(PLC:プログラマブルロジックコントローラ)により自動的に行わせることができる。
【0010】
特許文献1には、一軸破砕機におけるロータとプッシャについて、タイマーを適宜利用してプッシャの前進後退の繰り返しを行う制御、被破砕物がスタックしたときにロータを逆転させて被破砕物を押し付けることにより被破砕物の姿勢を変化させて破砕可能にする制御、ロータ用モータの電流値から負荷を検出し閾値と比較して判定した過負荷状態に適合する措置を執るための制御などが開示されている。
【0011】
しかし、特許文献1に開示された制御方法は、プッシャの前進あるいは後退に際し停止する位置を決めるものであって、プッシャの移動の速度には関係しない。また、ロータ用モータの電流値を使ってロータの負荷を推定しているが、いくつかの閾値を用いて過負荷状態を分類するために利用されるものである。特許文献1には、ロータの負荷とプッシャの押し込み速度を関連付ける技術的概念は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−057996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の一軸破砕機では、プッシャの前進速度が、扱う被破砕物のうちで最も負荷が掛かるものに合わせた低い速度に決められているため、より負荷の軽いものを処理する場合でも、前進速度を比較的低速にすることがある。また、被破砕物の押し付け圧も比較的低圧になっていることがある。さらに、プッシャが定速で前進するため、ロータとプッシャの間の距離が短くなると被破砕物の時間当たり圧縮率が大きくなり押し付け圧が急上昇してロータ負荷が増大するが、ロータ負荷が上限閾値に達するとプッシャの前進を止めるため稼働時間が長引くことになる。
これらの理由から総合的な効率が低くなり、従来方法で破砕処理した場合、一軸破砕機の平均負荷率は、たとえば丸太を対象とする場合などは、動力で見て、30%から35%程度にしかならなかった。
【0014】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、一軸破砕機において、過負荷にならない領域でより大きな処理量を得るようにプッシャの制御を行う高効率運転の方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る一軸破砕機の押込装置(プッシャ)の運転制御方法は、破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータに、油圧、空気圧あるいは電動力で駆動されるプッシャで被破砕物を供給して破砕する一軸破砕機において、ロータの負荷に応じて予め決められた対応値を有するプッシャの速度に関する関数を予め格納する工程と、ロータの負荷を推定する工程と、格納された関数に従ってロータの負荷に対応するプッシャの速度を算定する工程と、プッシャの速度に対応するように供給する油圧、空気圧あるいは電動力の量を調整する工程と、油圧、空気圧あるいは電動力の供給によりプッシャの速度を制御する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】
ロータの負荷に応じた対応値を有するプッシャの速度に関する関数は、ロータの負荷が小さいところでプッシャの速度が大きく、ロータの負荷が大きいところでプッシャの速度が小さい関係を有するものであることが好ましい。
さらに、上記関数は、プッシャの速度が、プッシャの位置がロータからみて途中の設定点より遠い領域でその設定点より近い領域におけるプッシャの速度以上の速さであるものであってもよい。
また、プッシャを油圧で駆動するときは、油圧シリンダに供給する作動油の量を調整する油圧ポンプは、永久磁石同期電動機(PMモータ)によって駆動されることが好ましい。なお、この油圧ポンプは、特に永久磁石埋込型同期電動機(IPM同期モータ)によって駆動されることがより好ましい。
【0017】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る一軸破砕機の押込装置(プッシャ)の運転制御装置は、油圧シリンダに供給する作動油量を調整する油圧ポンプと、多数の破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータを駆動する電動機と、ロータの負荷に応じて決められた対応値を有するプッシャの速度に関する関数を予め格納する記憶装置と、ロータの負荷を検出する負荷検出装置と、負荷検出器の出力に基づいて記憶装置に格納された関数に従ってロータの負荷に対応するプッシャの速度を算定する演算装置と、プッシャの速度に対応するように油圧シリンダに供給する作動油量を調整する調整装置と、を備えることを特徴とする。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明の別の観点からする、破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータに、油圧シリンダで駆動される押込装置(プッシャ)で処理物を供給して破砕する一軸破砕機の押込装置の運転制御装置は、ロータを駆動する電動機と、油圧シリンダに供給する作動油量を調整する油圧ポンプと、油圧ポンプの駆動軸を直接駆動する永久磁石同期電動機と、永久磁石同期電動機を制御する同期電動機制御部と、ロータの負荷を検出する負荷検出装置と、を備え、上記の同期電動機制御部が、負荷検出器の出力に基づいて、永久磁石同期電動機を駆動することを特徴とする。
【0019】
本発明の一軸破砕機の押込装置の運転制御方法および運転制御装置によれば、プッシャの前進後退を、プッシャの位置に基づいて進行速度を選択する代わりに、ロータに掛かる負荷の水準に基づいて速度を調整して制御する。したがって、被破砕物の状況に従ってロータに対する押し付け力を調整し、より的確に破砕することができる。また、被破砕物の破砕しやすさに従って、油圧装置などの出力を制御して的確な動力を選択するので、総合的な効率が向上する。さらに、破砕工程において負荷が過大な場合にもプッシャを停止させる必要がないので、プッシャの無用な動作時間が削減され、処理効率が向上する。
【0020】
特に、ロータ負荷とプッシャ速度の関数が、ロータ負荷が小さいところでプッシャの速度を大きく、ロータ負荷が大きいところでプッシャの速度を小さくするようにした場合は、ロータ負荷が大きいときにはプッシャの前進速度を低下させて原料の送り量を減少させ、ロータ負荷に余裕があるときにはプッシャの前進速度を上昇させて、破砕効率を向上させることができる。このように、破砕原料の性状に従って適するプッシャ速度を自動的に選択して破砕するので、より効率の高い破砕処理ができる。
【0021】
また、ロータ負荷とプッシャ速度の関数が、プッシャの可動域を途中の設定点よりロータから遠い領域と途中の設定点よりロータに近い領域に分けて、プッシャがロータから遠い領域にあるときに同じロータ負荷でもより高速で移動するように設定される場合は、プッシャを押し込むと原料が直ぐに圧密してロータ負荷が急激に上昇しやすいロータに近い領域と比較してロータ負荷の上昇が緩い領域において、プッシャの速度を上げることにより処理効率を向上させることができる。
【0022】
さらに、プッシャ駆動用の油圧シリンダに作動油量を供給する油圧ポンプを永久磁石同期電動機(PMモータ)、特に永久磁石埋込型同期電動機(IPMサーボモータ)によって駆動する場合は、PMモータの出力軸を油圧ポンプの駆動軸と繋いで直接駆動することができ、PMモータの回転速度を、指令されるプッシャ速度に応じて油圧シリンダが必要とする作動油量に対応してゼロ速度から定格速度まで、適宜に制御することができる。したがって、従来はポンプを常時回転させて比例電磁弁で作動油量を分け取っていたため少しの油量だけ必要なときにも大きなエネルギーを消費していたのに対して、本発明の一軸破砕機の押込装置の運転制御方法及び装置では、プッシャの停止時にはPMモータも停止させて消費電力をほぼゼロにでき、また低速移動のときにもPMモータの回転数を抑えて消費電力を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の1実施形態に係る押込装置の運転制御方法および運転制御装置を適用した一軸粉砕機の概要を示す断面図である。
【図2】本実施形態に係る制御装置のブロック線図である。
【図3】図2におけるシーケンサの入出力を示す線図である。
【図4】本実施形態に係る制御方法の手順例を説明する流れ図である。
【図5】図4に示した制御方法の手順におけるサブルーチンを説明する流れ図である。
【図6】本実施形態の別の実施例に係る制御方法の手順を説明する流れ図である。
【図7】図6の手順による制御結果例を示すグラフである。
【図8】従来の一軸粉砕機押込装置の運転制御方法による制御結果例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る一軸粉砕機の押込装置の運転制御方法及び運転制御装置の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0025】
本実施形態に係る運転制御装置を適用する一軸破砕機は、図1に示すように、多数の刃(破砕刃)13を円周上に取り付けて回転するロータ1と、破砕刃13と嵌合する固定刃2を備え、プッシャ3により、ロータ1の間に被破砕物11を噛み込んで、回転しているロータ1に押し付けることにより破砕する。
被破砕物11はロータ1やプッシャ3の上部に設けられたホッパー4に収納され、破砕された被破砕物11は排出口8を介して系外に排出する。
【0026】
ロータ1は多角形の断面を有する筒体で、多角形の頂点位置に破砕刃13が設けられている。なお、ロータ1の断面形状は、多角形に限らず、円形や、円形に溝加工した形などであってもよい。ロータ1は、図外の電動機あるいは油圧モータにより回転駆動される。固定刃2は、回転する破砕刃13がすれすれに通過するための間隙を有するように形成され、ロータ1に押し付けられた被破断物12は、ロータ1の破砕刃13と固定刃2の間に発生するせん断力により破砕され、排出口8に落下する。
【0027】
プッシャ3は、油圧シリンダ5のシリンダロッド6に固定され、シリンダロッド6の往復動に従って前進限と後退限の間を前進後退運動する。プッシャ3は、後退時にロータ1との間に被破砕物11を挟んで、前進と共に、挟み込んだ被破砕物11をロータ1に押し付ける。通常は、押し付け圧力が大きい方が、破砕刃13でかじり取られた部分に新しい被破砕物11をスムーズに補充するので、破砕量が増大する。しかし、ロータ1の表面に被破砕物11を強く押し付ければ、ロータ1の回転抵抗が増大してエネルギー損失になるので、より高い破砕効率を得るためには適当な押し付け圧を選択する必要がある。
【0028】
プッシャ3の前進後退は油圧シリンダ5への作動油の流れ方向により決まり、プッシャ3の移動速度は作動油の流量により決まる。作動油は、図1において図外の電動機により回転駆動される図外の油圧ポンプによって供給される。
油圧シリンダ5への作動油の供給量を調整するために、三相かご型誘導電動機により固定流量のギヤポンプやトロコイドポンプなどの油圧ポンプを駆動して、得られた作動油を電磁比例流量制御弁で適当量リリーフして、得られた流量を供給する、従来の方式を用いることもできる。
【0029】
一方、近年では、油圧ポンプを永久磁石同期電動機(PMモータ)によって直接的に駆動する方式も用いられるようになった。
PMモータによるポンプ直動方式は、プッシャ3駆動用の油圧シリンダ5に作動油量を供給する油圧ポンプの駆動軸とPMモータの出力軸を繋いで直接駆動するもので、PMモータの回転速度を調整することにより作動油の流量をゼロから定格量まで調整できるので、プッシャ3のゼロ速度から最大速度まで、適宜に制御することができる。
【0030】
したがって、従来は油圧ポンプを常時回転させて比例電磁弁などで作動油量を分け取っていたため停止時や低速時にも大きなエネルギーを消費していたのに対して、PMモータによるポンプ直動方式を利用する場合は、プッシャ3の停止時にはPMモータも停止させて消費電力をほぼゼロにでき、また低速移動のときにもPMモータの回転数を抑えて消費電力を節減することができる。
【0031】
なお、このPMモータによる直接的駆動法においては、特に低速高トルク特性にすぐれ、高速回転時のモータ効率が高い永久磁石埋込型同期電動機(IPM同期モータ)によって油圧ポンプを駆動することが好ましい。なお、IPMモータを使って2連固定ポンプを駆動し、高圧時には大容量側ポンプをアンロードし低圧時には2つのポンプ出力を合流させるようにして、多段の圧力流量供給を省エネルギー制御する、油圧ユニット(たとえば、ダイキン工業株式会社製高圧スーパーユニット(商品名)など)が市販されているので、これらを利用することもできる。
【0032】
プッシャ3は、ロータ1に向かって傾斜する傾斜板7に沿って移動する。プッシャ3の移動を容易にするため、プッシャ3の本体部には、プッシャ3の荷重を支える支持ローラ9や、プッシャ3が前進後退運動を繰り返すときに正しい位置に納まるように案内するガイドローラ10などが設けられている。なお、プッシャ3は水平に移動するようにしてもよい。また、支持ローラ9に代えて、プッシャ3の荷重を摺動プレートで支えることもできる。さらに、ガイドローラ10は設けない場合もある。
【0033】
なお、前進限と後退限には、機械的なセンサであるリミットスイッチなどを設置して、プッシャ3がこれらの位置に来たところを検出することができるようにしてある。前進限は、プッシャ3の先端部がそれ以上ロータ1に近づかないようにする位置であり、後退限は、プッシャ3がそれ以上後退しないようにする位置である。プッシャ3の位置に代わって、シリンダロッド6の位置によってプッシャ3が前進限と後退限の位置にあるか否かを判定するようにしても良い。
【0034】
図2は、本実施形態の一軸破砕機に係る制御系のブロック線図である。本実施形態に係る制御装置は、ロータ負荷に基づいてプッシャ3の運転制御をするもので、破砕部の効率化を図っている。
図2では、一軸破砕機の制御装置として組み込まれているシーケンサ(PLC:プログラマブルロジックコントローラ)21の一部の機能を使ってプッシャ3の制御を実行することが示されている。図3は、図2におけるシーケンサ21の入出力要素の接続例を示す線図である。
【0035】
図2において、油圧コントローラ22とモータ・ポンプ制御系23は、IPM同期モータで駆動する油圧ポンプの制御システムである。プッシャ制御系24は、モータ・ポンプ制御系23から供給される作動油により駆動され、破砕部25に被破砕物11を供給する。
なお、図3には、油圧コントローラ22とモータ・ポンプ制御系23を合わせた、プッシャ用油圧ユニット制御系28が記載されている。
【0036】
破砕部25は、回転する破砕刃13と固定刃2で被破砕物を破砕する装置である。破砕部25では、ホッパー4に補填された被破砕物11の一部の被破砕物12をプッシャ3でロータ1に押圧し破砕して適宜の大きさの破砕物として排出口8を介して系外に排出する。
負荷検出器26がロータ1の負荷を検出して、シーケンサ21に伝送する。
シーケンサ21は、ロータ1の負荷に基づいてプッシャ3の運動を規定して、プッシャ3の運動を支配する油圧コントローラ22に指令信号を伝送する。
【0037】
図2及び図3に示されたところによると、本実施形態の一軸破砕機に係る制御系では、シーケンサ21の記憶装置33に、ロータ1の負荷とプッシャ3に供給する作動油の量の対応を示す関数を表した特性表、グラフあるいは数式などが記録されている。このような関数の設定及び記憶は、通常のシーケンサに標準的に付属する機能を利用することができる。
この関数は、オペレータが設定盤35を介して、適宜、試験結果や過去の経験などに基づいて、現状に対してより適したパラメータを設定あるいは選択して最適化することができる。
また、制御シーケンスや制御論理にかかる情報も、書き替え可能な記憶装置34に格納されている。これらに係るパラメータも設定盤35を介して設定及び書替えができる。
【0038】
油圧コントローラ22は、モータ駆動インバータとポンプシステムのコントローラを一体化したもので、モータの電流波形・速度と、ポンプの圧力・流量をリアルタイムで制御する。また、複数の圧力・流量設定パターンを内蔵し、外部指令によりパターン選択を任意に行うことができる。
シーケンサ21が圧力・流量選択信号により指令すると、油圧コントローラ22の内部メモリに格納された圧力・流量パターンから指定されたパターンを選択して設定し、モータ・ポンプ制御系23に含まれるモータの回転数と油圧ポンプの吐出圧を油圧コントローラ22にフィードバックして形成した偏差に基づいてインバータを調整して、必要なモータ速度に対応する出力電流をモータ・ポンプ制御系23のモータに供給する。
【0039】
モータ・ポンプ制御系23は、PMモータと油圧ポンプと高圧低圧切り換え電磁弁とで構成される。油圧コントローラ22から供給されるモータ駆動電流によりPMモータが所定の回転数で回転すると、油圧ポンプが対応する吐出量の作動油をプッシャ制御系24に供給する。なお、圧力センサが設けられ、吐出圧を検出して油圧コントローラ22に伝送している。
【0040】
モータ・ポンプ制御系23として、低速安定性を有する回転数可変のIPMモータに低圧大容量側ポンプと高圧小流量側ポンプの固定ポンプを2連に組み込んで、高圧低圧切り換え電磁弁を使った自立切り換え制御により、高圧時には低圧大容量側ポンプをアンロードし低圧時には合流するようにして、高圧化のために必要な電動機トルクアップを低減し、高速回転時のモータ効率を向上させた油圧ユニット(たとえば、ダイキン工業株式会社製高圧スーパーユニット(商品名)など)を利用することもできる。
【0041】
このような油圧ユニットを利用すると、作動油の吐出量ゼロでは、ポンプ回転をほぼ0rpmとし、消費電力をほぼゼロとすることができ、また送り速度が小さいときは回転数を抑えて消費電力を抑制することができる。また、PMモータを用いるので、前進後退の切り換えを頻繁にする制御を行うときにも、応答性の高い連続的な切り換えが可能である。
【0042】
図2に制御系の要素として表示したプッシャ制御系24は、図1に表示したプッシャ3と油圧シリンダ5で構成される。モータ・ポンプ制御系23の油圧ポンプからの作動油は、油圧シリンダ5に供給される。作動油の流量は油圧シリンダ5のロッド6の速度に対応し、プッシャ3の速度と連動する。
また、シーケンサ21からプッシャ前進指令54またはプッシャ後退指令53がプッシャ制御系24に伝達されると、油圧シリンダ5の切り換え電磁弁の操作により、油圧シリンダ5への作動油の流入方向が切り換えられ、シリンダロッド6の運動方向が反転し、プッシャ3の前進と後退が決まる。
なお、後退限位置と前進限位置にプッシャ3の位置を検出する位置センサ43が設けられ、プッシャ3が後退限位置にあるときには後退限信号44をシーケンサ21に送信し、プッシャ3'が前進限位置にあるときには前進限信号45をシーケンサ21に送信する。
【0043】
ロータ1の負荷は、電動機駆動方式ではロータ1を駆動する電動機の電流から推定することができ、また油圧モータで駆動する方式では油圧ポンプの吐出圧から推定することができる。
そこで、図3に示すように、電動機電流を検出する電流変換器CTあるいは油圧ポンプの吐出圧を検出する圧力変換器PTなどで形成される負荷検出器41により、ロータ制御系27で制御されるロータ1の負荷を検出して、アナログ・デジタル変換器42でデジタル信号に変換して、シーケンサ21に供給する。
【0044】
シーケンサ21では、記憶装置33に格納された、ロータ1の負荷とプッシャ3に供給する作動油の量の対応を示す負荷速度特性関数を用いて、プッシャ3に供給すべき油量を算出する。シーケンサ21は、さらに、モータ・ポンプ制御系23がこうして算定した油量を発生するように、プッシャ速度指令信号56およびプッシャ押力指令信号55からなる圧力・流量選択信号を生成して、油圧コントローラ22に伝送する。
【0045】
なお、ロータ1は、破砕作業が終わるまで一定速度で運転されるので、シーケンサ21は速度を変化させるための制御信号をロータ制御系27に送信する必要が無い。ただし、ロータ1に被破砕物が滞留して負荷値が異常に高くなったときなどには、被粉砕物の位置や姿勢を変化させて破砕ができるようにするためにロータ1を一旦停止させた後に逆転させるロータ逆転指令51を発生してロータ制御系27に送信することができ、さらに、粉砕操作を再開するときにロータ1を正転させるためにロータ正転指令52をロータ制御系27に送信することができる。
【0046】
図4は、本実施形態に係る制御方法の手順例を説明する流れ図である。図5は、図4に示したステップS03で使うPLC内におけるサブルーチンを説明する流れ図である。
図4に記載の通り、ホッパー4に被破砕物がないときは、初めに被破砕物11をホッパー4に受け入れる(S01)。その後、ロータ1を始動し、破砕刃13を一定速度で回転させる(S02)。破砕刃13の回転速度は、被破砕物11の種類によって選択できるようにしても良い。最適なロータ回転数は、試験や経験に基づいて決めることができる。
このとき、プッシャ3は後退限位置にあって、プッシャ3の前面とロータ1の間には被破砕物11が挟まっている。
【0047】
ここで、後退限位置にあったプッシャ3を前進させる(S03)。プッシャ3の前進速度は、ロータ1の負荷に対応して予め決められ記憶装置33に格納されている関数に基づいて決められる。
そこで、図5に表示したサブルーチンに従って、負荷変換器41である圧力変換器あるいは電流変換器の測定出力信号をA/D変換器42を介してデジタル信号として入力して(S11)、これに基づいてロータ負荷を算出する(S12)。さらに、記憶装置33に格納されている負荷速度特性関数に基づいて、作動油吐出量を算定する(S13)。作動油吐出量は、プッシャ3の速度と直接的に関連する。そこで、作動油吐出量と対応するようにPMモータの回転数指令信号(圧力・流量選択信号)を生成してプッシャ用油圧ユニット制御系28に伝送する(S14)。
【0048】
この負荷速度特性関数は、ロータ負荷が小さい場合に前進速度を大きくし、ロータ負荷が大きいときに前進速度を小さくするように指定するものであることが好ましい。関数は、ロータ負荷を入力変数として、作動油の流量Qと吐出圧(あるいは押圧)Pを指定するグラフあるいは表の形で格納される。なお、ロータ負荷は、ロータ作動圧あるいはロータ用電動機電流で置き換えても良い。
また、関数を数式で表現して記憶してもよい。
【0049】
この負荷速度特性関数は、主として実機を用いた試験に基づいて決められる。たとえば、下のような関数になる。
ロータ負荷 作動油流量 作動油吐出圧
4以下 27.8 10
4〜6 24.7 14
6〜8 15.4 14
8〜10 15.4 14
10〜12 12.3 14
12〜14 12.3 14
14〜16 9.2 14
16〜18 4.9 14
18〜20 4.9 10
20〜22 4.9 6
ここで、ロータ負荷Xと作動油吐出圧Pの単位はMPa、作動油流量Qの単位はL/minである。
上の表は、入力関数であるロータ負荷Xを10段階に分類して出力を指定するかたちになっているが、内挿演算により連続化することもできる。
【0050】
また、たとえば、直線的な関係を示す一次関数の、
Q=−kX+S
あるいは、下に凹んだ指数関数である、
Q=S・exp(−kX)
等の数式で表せる関数関係を採用して、演算によりQを求めることもできる。ここで、Sは油圧ポンプの最大吐出量を表す。kは被破砕物に係るパラメータである。なお、上記作動油流量Qとロータ負荷Xの関係はQのグラフの切片がSになるようにしているが、ポンプの最大吐出量Sを出力の上限値とするリミッタを別途導入すれば、Qのグラフの切片をSでない任意の値にして、より自由な関数形を使用することができる。
【0051】
また、作動油吐出圧Pは、
P=60ηW/(kQ)
で与えられる。ここで、ηはポンプの効率、Wは電動機の容量(kW)、kは安全係数に係る第2のパラメータ、60は換算係数である。
ただし、安全のため、吐出圧Pには上限Pmaxがあり、ロータ負荷が大きくなり吐出圧Pがたとえば14MPa以上になるとリリーフするように構成されている。
【0052】
一般に、上記の一次関数は、プッシャ速度を負荷変動に対してリニアに選択するもので、木くず、フラフ、あるいは廃プラスチックなど、細かいものを粉砕するときに適しており、指数関数は、負荷が大きいときのプッシャ速度をより低速にするもので、丸太、ブルーシート、フレコン(フレキシブルコンテナバッグ)など、硬い大型の材料で破砕時のロータ負荷が大きいものに適していると考えられる。
最適なパラメータkは、破砕対象ごとに試験して求めることができる。
また、プッシャ3がロータ1に近づくほど、前進距離に対する押圧増加が増大しロータ負荷が大きくなるので、プッシャ3の前進工程において、たとえば後退限と前進限の中間位置でプッシャ速度を高速から低速に切り換えるようにしてもよい。
【0053】
図4に戻って、ステップS03において、プッシャ3が前進するにつれてロータ1における負荷が変化するので、プッシャ3は前進限位置に達するまで速度調整を繰り返しながら前進する。そして、プッシャ3が前進限位置に達したことを前進限信号45により確認したら(S04)、シーケンサ21がプッシャ後退指令信号53をプッシャ用油圧ユニット制御系28に送信するので、プッシャ3は後退限位置に向けて後退をし始める(S05)。後退速度は、安全性に問題がない限り装置が許容できる最大速度であって良い。
【0054】
プッシャ3が後退限位置に達したことを後退限信号44により確認したら(S06)、プッシャ3を停止させて、操作を終了させるか否かを状況に従って判定する(S07)。判定は、オペレータが行っても、制御装置がプログラムされた論理に従って自律的に行ってもよい。たとえば、ホッパー4に破砕すべき被破砕物11が残っているときは、ロータ1とプッシャ3の間に被破砕物11が存在するので、ステップS03に戻って、再度プッシャ3の前進速度を調整して前進をさせ、先の手順と同様にして処理を継続する。
プッシャ3が後退限位置に戻ったときに、破砕すべき被破砕物11が残っていなければ、破砕操作を終了する。
【0055】
図6は、本実施形態に係る制御方法の別の手順を説明する流れ図である。この手順は、プッシャの可動域の途中に適宜な中間点を設定しておいて、プッシャ3が中間点よりロータ1から遠い領域ではより高速で移動し、中間点よりロータ1に近くなると低速で移動するようにすると共に、前進限と中間点の間をプッシャ3が往復するように設定できるようにして、効率を向上させたものである。
【0056】
操作開始後、プッシャ3が初めに適宜な中間点位置に到達するまでの手順(S21,S22,S23,S24)は、図4に表示した手順と同じである。ただし、プッシャ3の移動距離に対するロータ1への押圧の上昇度合いがロータ1に近い領域におけるより緩いので、プッシャ3の前進速度は、より速くても良い。そこで、たとえば、ロータ負荷が最低のときにポンプ吐出圧の最大値を取るようにすることができる。
【0057】
このため、前進中のプッシャ3の位置が後退限と適宜な中間点の間にある場合と中間点と前進限の間にある場合で異なる負荷速度特性関数を用意しておいて、前進中のプッシャ3の位置に基づいて選択して使用するようにすることができる。
また、中間点に位置センサを備えて、プッシャ3の到達を検出してシーケンサ21に通知するようになっている。
【0058】
プッシャ3が中間点位置に到達したときは(S24)、プッシャ3はさらにロータ1に向かって前進を行う(S25)。前進中は、図5に表示したサブルーチンを実行することにより、記憶装置33に格納された負荷速度特性関数に従って、常時前進速度を調整し、前進限に到達するまで前進し続ける。このときの前進速度は、プッシャ3が後退限と中間点の間にあるときよりも低速にすることが好ましい。
そして、プッシャ3が前進限位置に達したら(S26)、この操作において、前進限位置に到達した回数を確認して、今回が予め決めたn回目であるか判定する(S27)。この数nは、前進限と中間点の間をプッシャ3が往復すべき回数に1を加えた数に当たる。
【0059】
プッシャ3が前進限位置に到達した回数がn回に達していない場合は、シーケンサ21がプッシャ後退指令信号53をプッシャ用油圧ユニット制御系28に送信して、プッシャ3を中間点に向けて高速で後退させる(S28)。プッシャ3が中間点に到達したら(S29)、ステップS25に戻って、再び前進速度を調整しながら前進限に向けて前進させる。前進限位置にn回繰り返し到達するまで、前進限と中間点の間を往復する工程を繰り返す。
なお、前進限と中間点の間をプッシャ3が往復する回数は、被破砕物の性質に応じて実験的に決定すればよく、往復するまでもないときは、nを1に設定すればよい。
【0060】
このようにして、たとえば4回往復(n=5)など、予め決めた往復数に対応して、前進限にn回到達したら(S27)、プッシャ3を後退限に向けて高速で後退させる(S30)。プッシャ3が後退限に到達したら(S31)、プッシャ3を停止させて、操作を終了させて良いか否かを判断する(S32)。たとえば、ホッパー4に破砕すべき被破砕物11が残っていて破砕操作を繰り返すときは、ステップS23に戻って、先の手順と同様にして処理を継続する。
プッシャ3が後退限位置に戻ったときに、破砕すべき被破砕物11が残っていなければ、破砕操作を終了する。
【0061】
図7は、本実施形態の制御結果例を示すグラフである。グラフは、横軸に時間経過をとり、縦軸にロータ1を駆動する電動機の電流をプロットしている。この電流は、実質的にロータ1の負荷に対応すると考えて良い。
この例では、プッシャ3は前進限と中間点の間を往復させず、手順中の数nを1として、また前進速度は中間点で緩めるものとして破砕操作が行われている。
【0062】
この破砕操作では、図7から分かるように、破砕操作の初期には大きな電流が流れるが、徐々に電流が小さくなり、中間点で負荷速度特性関数を切り換えると電流の低下傾向が緩和して、プッシャ3が前進限に到達するまで効果的な破砕が維持される。その後、最高速度で後退限まで後退し、次の破砕処理を行う。
【0063】
本実施態様による破砕操作では、ロータ負荷Xと前進速度(作動油吐出量Q)が適正な関係を保つように制御されるので、プッシャ3が被破砕物を必要以上にロータ1側に押し込んでロータ負荷を過剰に増大させるようなことが無い。また、破砕操作の途中で一時停止や後退をさせることが減少する。さらに、破砕操作の初期に表れる大電流も、負荷速度特性関数を最適化することにより適当な水準に抑制することができる。したがって、負荷速度特性関数を、ロータ用電動機電流が定格値に近い、たとえば定格値の80%から60%程度の水準になるように選択することができる。
【0064】
このように、本実施態様に係る制御方法を用いた自動可変運転により破砕刃付きロータへの被破砕物原料の送り込みを効率的に行い、破砕刃が噛み込む原料が増加することでプッシャの無駄な動作時間が短縮されるので、処理量が増大して、高い効率で破砕操作を行うことができる。
また、押込装置の駆動装置に、三相かご型誘導電動機と固定ポンプと比例電磁弁を使用する代わりに、永久磁石同期電動機を使った可変ポンプを使用するため、プッシャ駆動用作動油の必要量に応じてポンプ回転数を迅速に変化させることができるので、停止時には消費電力をほぼゼロにし、送り速度が小さいときは回転数を抑えて消費電力を抑制することができる。
【0065】
たとえば、本発明の制御方法を用いて制御したものでは、プッシャを従来の制御法で制御した一軸破砕機に対して、処理量を約2.1倍に増大させることができた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る一軸粉砕機の押込装置の運転制御方法及び運転制御装置は、廃プラスチック、古紙類、廃木材、剪定枝、布類、その他の廃棄物の細破砕を行うときに、過負荷にならない領域でより大きな処理速度を得るようにプッシャの制御を行って、高効率で破砕運転をすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ロータ
2 固定刃
3,3' プッシャ
4 ホッパー
5 プッシャ用油圧シリンダ
6,6' シリンダロッド
7 傾斜板
8 排出口
9 支持ローラ
10 ガイドローラ
11 原料(被破砕物)
13 破砕刃
21 シーケンサ(PLC)
22 油圧コントローラ
23 モータ・ポンプ制御系
24 プッシャ制御系
25 破砕部
26 負荷検出器
27 ロータ制御系
28 プッシャ用油圧ユニット制御系
31 入力部
32 出力部
33 記憶装置1(特性表)
34 記憶装置2(シーケンス)
35 設定盤
41 負荷変換器(CT又はPT)
42 A/D変換器
43 位置センサ
44 後退限検出信号
45 前進限検出信号
51 ロータ逆転指令
52 ロータ正転指令
53 プッシャ後退指令
54 プッシャ前進指令
55 プッシャ押力指令
56 プッシャ速度指令

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータに、油圧、空気圧あるいは電動力で駆動される押込装置(プッシャ)で被破砕物を供給して破砕する一軸破砕機において、
前記ロータの負荷に応じて予め決められた対応値を有するプッシャの速度に関する関数を予め格納する工程と、
前記ロータの負荷を推定する工程と、
前記関数に従って該ロータの負荷に対応する前記プッシャの速度を算定する工程と、
該プッシャの速度に対応するように前記油圧、空気圧あるいは電動力の量を調整する工程と、
前記油圧、空気圧あるいは電動力の供給により前記プッシャの速度を制御する工程とを含む、
一軸破砕機の押込装置の運転制御方法。
【請求項2】
前記プッシャの速度に関する関数は、前記ロータの負荷が小さいところで前記プッシャの速度が大きく、前記ロータの負荷が大きいところで前記プッシャの速度が小さい関係を有する、請求項2記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御方法。
【請求項3】
前記プッシャの速度に関する関数は、前記プッシャの速度が、前記プッシャの位置が前記ロータからみて途中の設定点より遠い領域で該設定点より近い領域における前記プッシャの速度以上の速さである、請求項1または2記載のエラー! リンクが正しくありません。
【請求項4】
油圧ポンプで発生する油圧を用いた油圧シリンダで前記プッシャを駆動するものであって、前記油圧シリンダに供給する作動油の量を調整する前記油圧ポンプは、永久磁石同期電動機(PMモータ)によって駆動される、請求項1から3のいずれか1項に記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御方法。
【請求項5】
破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータに、油圧シリンダで駆動される押込装置(プッシャ)で処理物を供給して破砕する一軸破砕機において、
前記油圧シリンダに供給する作動油量を調整する油圧ポンプと、
前記ロータを駆動する電動機と、
前記ロータの負荷に応じて決められた対応値を有するプッシャの速度に関する関数を予め格納する記憶装置と、
前記ロータの負荷を検出する負荷検出装置と、
該負荷検出器の出力に基づいて、前記記憶装置に予め格納された前記関数に従って前記ロータの負荷に対応する前記プッシャの速度を算定する演算装置と、
該プッシャの速度に対応するように前記油圧シリンダに供給する作動油の量を調整する調整装置と、を備える
一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。
【請求項6】
前記プッシャの速度に関する関数は、前記ロータの作動圧が小さいところで前記プッシャの速度が大きく、前記ロータの作動圧が大きいところで前記プッシャの速度が小さい関係を有する、請求項5記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。
【請求項7】
前記油圧シリンダに供給する作動油の量を調整する油圧ポンプは、永久磁石同期電動機(PMモータ)によって駆動される、請求項5または6記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。
【請求項8】
破砕刃を円周上に取り付けて回転するロータに、油圧シリンダで駆動される押込装置(プッシャ)で処理物を供給して破砕する一軸破砕機の押込装置の運転制御装置が、
前記ロータを駆動する電動機と、
前記油圧シリンダに供給する作動油量を調整する油圧ポンプと、
該油圧ポンプの駆動軸を直接駆動する永久磁石同期電動機と、
該永久磁石同期電動機を制御する同期電動機制御部と、
前記ロータの負荷を検出する負荷検出装置と、を備え、
前記同期電動機制御部が、前記負荷検出器の出力に基づいて、前記永久磁石同期電動機を駆動する、
一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。
【請求項9】
前記同期電動機制御部が、前記負荷検出器の出力に基づいて、前記永久磁石同期電動機をゼロ速度から最大速度までの範囲にわたり無段階的に制御する指令信号を発生する、請求項8記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。
【請求項10】
さらに、前記永久磁石同期電動機を駆動するインバータと前記油圧ポンプのコントローラを一体化したモータ・ポンプ制御系を備える、請求項8または9記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。
【請求項11】
前記モータ・ポンプ制御系が、高圧低圧切り換え電磁弁を備える、請求項10記載の一軸破砕機の押込装置の運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−152511(P2011−152511A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15399(P2010−15399)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発(転換要素技術開発)/木質系バイオマスの破砕・粉砕・前処理技術の研究開発」共同研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(503245465)株式会社アーステクニカ (54)
【Fターム(参考)】