説明

丁合機

【課題】形成される冊子が、印刷物本体とこれに貼着した付属印刷物とから構成される印刷物を含み、互いに異なるバーコードが設けられている場合であっても、付属印刷物のバーコードを正確に読み取ることができる。
【解決手段】学習用教材の冊子を形成するにあたり、丁合すべき折丁21(印刷物)にテスト用紙22(付属印刷物)が貼着される場合には、テスト用紙22のバーコード62を、バーコードリーダ7の照射範囲72内において、折丁21のバーコード61に対して供給方向90に垂直な方向にずらして設け、互いのバーコード61、62が重ならないようにする。さらに、バーコードリーダ7には、遮光板73を配置して照射範囲72を制限し、テスト用紙22から透けて見えたり、露出している折丁21のバーコード61への照射光71を遮光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードによる丁合検査機能を備えた丁合機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の丁合機は、搬送ラインと、搬送ラインに沿って設けられ、丁合すべき印刷物のスタックが置かれた複数の給紙棚とを備え、各給紙棚から供給される印刷物を、搬送ライン上において所定の順序に従って順次重ね合わせて、一つの冊子(丁合物)を形成する。
【0003】
この丁合機において、給紙棚に置かれたスタックの中に異なる印刷物が混入し、または印刷物を重ね合わせる順序が異なると、乱丁が発生する。また、印刷物が、給紙棚の給紙口で詰まると、印刷物が搬送ラインに供給されず落丁が発生する。
【0004】
そこで、従来の丁合機は、これらの丁合エラーを防止するための丁合検査機能を備えている。
【0005】
この種の丁合機の一つとして、例えば、丁合すべき印刷物に予め識別用のバーコードを設け、丁合過程で各印刷物のバーコードをバーコードリーダで読み取り、読み取ったバーコード値を予め登録したバーコード値と照合することによって、印刷物が正しく丁合されるかどうかを検査するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
ところで、冊子には、それぞれにバーコードが設けられた二種類の印刷物を貼り合わせたものを含むことがしばしばある。この場合、その印刷物は、一方を印刷物本体とし、他方を付属印刷物として、付属印刷物を印刷物本体に貼着したものからなる。このような印刷物について、バーコードによる丁合検査を行う場合には、印刷物本体と付属印刷物のバーコードの位置関係によって、正確にバーコードが読み取れないことがあった。
【0007】
このバーコードによる丁合検査の問題を解決するため、丁合過程でカメラなどの撮影手段により印刷物の画像を取り込み、当該画像と、予め登録した画像とを比較して、印刷物が正しく丁合されるかどうかを検査する丁合機も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
ところで、一つの丁合機で、一度に多種類の冊子を生産する場合、冊子の種類が変わる毎に、各給紙棚の印刷物のスタックを頻繁に交換する必要がある。その際、前の工程で形成される冊子と次の工程で形成される冊子間で印刷物の印刷面が酷似していれば、作業者は積載すべき印刷物を見誤ることによって、間違った印刷物を給紙棚に積載することがしばしばあった。
【0009】
この問題を上記撮影手段により撮影した画像による丁合検査で解消しようとすると、互いに類似した画像の識別を正確かつ短時間で行う必要があり、高性能の画像認識手段が必要とされる。しかし、これはコスト面からみて現実的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−080231公報
【特許文献2】特開2005−088510公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、冊子に、印刷物本体とそれに貼着された付属印刷物とからなる印刷物が含まれる場合でも、付属印刷物のバーコードのみを正確に読み取ることで丁合検査を行う丁合機を提供することにある。また、一つの丁合機で、一度に多種類の冊子の丁合を行うときに、給紙棚に誤った印刷物のスタックが積載されることを防止できる丁合機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、上記課題を解決するため本発明に係る丁合機は、搬送ラインと、前記搬送ラインに沿って設けられ、丁合すべき印刷物のスタックが置かれた複数の給紙棚と、前記給紙棚のそれぞれに設けられ、前記印刷物を前記給紙棚から一枚ずつ前記搬送ライン上に供給する印刷物供給手段と、を備え、前記印刷物には、供給方向の先端縁に沿ってバーコードが設けられ、さらに、前記給紙棚と前記搬送ラインの間に設けられ、前記印刷物供給手段による供給動作の間に、前記印刷物のバーコードを読み取るバーコードリーダと、前記バーコードリーダにより読みられたバーコード値と予め登録された照合値とを照合し、丁合検査を行う制御手段と、を備え、前記搬送ラインの上流側の給紙棚から順次供給される前記印刷物を前記搬送ラインで重ね合わせて丁合物を形成する丁合機であって、少なくとも一つの前記供給棚に置かれた前記スタックを構成する前記印刷物は、印刷物本体と、前記印刷物本体に貼着された付属印刷物とからなり、前記印刷物本体および前記付属印刷物には、それぞれ別個のバーコードが設けられ、前記付属印刷物のバーコードは、前記印刷物本体のバーコードに対して前記供給方向に垂直な方向にずらして設けられ、前記少なくとも一つの前記給紙棚に関係するバーコードリーダは、前記バーコードリーダから照射される照射光が付属印刷物のバーコードのみを照射するように遮光する遮光板を構成したものである。
【0013】
上記構成において好ましくは、前記印刷物には識別マークが設けられ、前記制御手段はさらに、前記丁合物の種類を特定するためのデータと、その種類毎の、当該丁合物を構成する前記印刷物の種類および丁合順序に対応する前記識別マークの組み合わせのデータとが予め登録された丁合データ登録部を備え、前記給紙棚のそれぞれには、前記給紙棚に積載すべき前記印刷物の識別マークを表示する表示手段が備えられており、前記制御手段は、丁合開始前に、形成すべき前記丁合物の種類を特定するデータの入力を受けたとき、前記丁合データ登録部から前記入力されたデータに対応する前記識別マークの組み合わせのデータを読み出し、関係する前記給紙棚の前記表示手段に、順次前記識別マークを表示させる。
【0014】
上記構成において好ましくは、前記給紙棚には、前記スタックの最下位の前記印刷物の少なくとも先端縁側が露出する開口部が設けられ、前記印刷物供給手段は、前記給紙棚の下側に配置され、前記開口部から前記最下位の印刷物の前記先端縁を前記給紙棚の下側の把持位置まで分離する分離手段と、前記把持位置と前記搬送ラインの間に設けられ、前記把持位置に到達した前記印刷物の先端縁を把持して、前記搬送ライン上に送り出す送り出し手段と、からなり、前記バーコードリーダは、前記把持位置に到達した前記印刷物の前記バーコードに対向する位置、または、前記送り出し手段の把持部に設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、印刷物本体と、それに貼着された付属印刷物とからなる印刷物が含まれるような場合には、付属印刷物のバーコードを、印刷物本体のバーコードに対して供給方向に垂直な方向にずらして設け、かつ、バーコードリーダには、照射光を遮光する遮光板を設けて、照射光が付属印刷物のバーコードのみを照射する。したがって、バーコードリーダは付属印刷物のバーコードのみを正確に読み取ることで丁合検査ができる。
【0016】
また、あらかじめ各印刷物に識別マークを設け、制御手段は冊子の種類を特定するデータと、冊子の種類毎の、冊子を構成する印刷物の種類および丁合順序に対応する識別マークの組み合わせのデータとを登録した丁合データ登録部を備え、給紙棚に識別マークを表示する表示手段を備える構成にした場合は、作業者が丁合開始前に、冊子の種類を特定するデータを入力すれば、各給紙棚に設けられた表示手段に、当該給紙棚に積載すべき印刷物に設けられた識別マークが表示される。それによって作業者は、表示手段に表示されたマークを確認して積載すべき印刷物のスタックを探し、これを給紙棚に置けばよいので、作業者による積載エラーを確実に防止することができ、作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る丁合機を備えた無線綴じ製本装置を示すブロック図である
【図2】本発明に係る丁合機の斜視図である。
【図3】本発明に係る丁合機の側面図である。
【図4】丁合される印刷物の平面図である。
【図5】折丁とテスト用紙の位置関係を示す斜視図である。
【図6】バーコードリーダによるバーコードの読み取り動作を示す図である。(A)は、遮光板を設けない場合、(B)は、遮光板を設けた場合をそれぞれ示す。
【図7】丁合データ登録部の登録データを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る丁合機の好ましい一実施形態を説明する。
【0019】
図1は本発明に係る丁合機を備えた無線綴じ製本装置(以下、「製本装置」とする。)を示すブロック図である。図1に示すように、製本装置は、搬送ライン10と、搬送ライン10に沿って配置された、製本処理を行う処理部(丁合部11、ミーリング部12、糊付け部13、表紙綴じ部14、断裁部15)を備えている。
【0020】
丁合部11は、印刷物を所定の順序で丁合し、一つの冊子(丁合物)を形成する。この実施例では、本発明に係る丁合機が丁合部11を構成している。ミーリング部12は、丁合部11から搬送された冊子ののどを切削する。糊付け部13は、ミーリング部12により切削された冊子ののどに糊付けを行う。表紙綴じ部14は、表紙給紙棚から供給される表紙を、糊付けされた冊子ののどに貼着し、表紙綴じを行う。断裁部15は、表紙綴じ部14から搬送された冊子の天、地および小口を断裁し、冊子を完成させる。
【0021】
また、製本装置は、丁合エラーが生じた冊子を排除するための第一リジェクト部16および第2リジェクト部17を備えている。第一リジェクト部16は、丁合部11で生じた丁合エラーに係る冊子を排除する。第二リジェクト部17は、表紙綴じ部14で生じた丁合エラーに係る冊子を排除する。
【0022】
図2は、丁合部11を示す斜視図であり、また図3は、丁合部11の側面図である。図2及び図3に示すように丁合部11は、搬送ライン10と、搬送ライン10に沿って配置され、丁合すべき印刷物2のスタック20が置かれた複数の給紙棚30を備えている。図3に示すように、給紙棚30の搬送ライン10側には開口部31が設けられ、スタック20の最下位にある印刷物2の少なくとも供給方向90の先端縁2a側が露出する。また、給紙棚30には垂直な前板32が設けられ、印刷物2の先端縁2aの位置を揃えることができるようになっている。
【0023】
給紙棚30の下側には、分離手段4が配置され、最下位の印刷物2の供給方向90の先端縁2aを、開口部31から下向きに反らせて開口部31の下側の把持位置91(図3に示す位置)にまで分離する。分離手段4は、給紙棚30の下側において図示しないフレームに取り付けられ、かつ、供給方向90に直角に延びる水平なシャフト40と、一端がシャフト40に揺動可能に取り付けられた支持アーム41と、支持アーム41の他端に取り付けられ印刷物2を吸着するエアサクション42とから構成される。
【0024】
そして、支持アーム41が、図示しない駆動部により、鉛直面内において、シャフト40の軸まわりに揺動する。この揺動に伴って、エアサクション42は、開口部31から露出する印刷物2の近傍の位置と、把持位置91との間において往復揺動運動する。
【0025】
搬送ライン10と給紙棚30との間には、把持位置91に到達した印刷物2の供給方向90の先端縁2aを把持して、搬送ライン10に送り出す送り出し手段5が設けられる。この送り出し手段5は、把持位置91と搬送ライン10の間において図示しないフレームに固定され、かつ、供給方向90に直角に延びる水平なシャフト50と、上端がシャフト50に揺動可能に取り付けられた旋回アーム51と、旋回アーム51の下端に設けられ印刷物20を把持するためのクランパー52とから構成される。
【0026】
旋回アーム51は、図示しない駆動部により、鉛直面内において、シャフト50の軸まわりに揺動し、把持位置91と、搬送ライン10の上部の解放位置92(図3に示す位置)との間において往復揺動運動する。クランパー52は、固定クランプ板52aと可動クランプ板52bから構成され、可動クランプ板52bは、固定クランプ板52aに対して近接および離間する方向に運動しうるようになっている。この可動クランプ板52bの近接および離間運動によって、クランパー52は、印刷物2を把持および解放できるようになっている。
【0027】
こうして、分離手段4および送り出し手段5により印刷物供給手段が構成され、搬送ライン10に対して直角方向に印刷物2が供給されるようになっている。次に、この印刷物供給手段による、各給紙棚30から搬送ライン10上への供給動作を説明する。
【0028】
分離手段4のエアサクション42が、支持アーム41の揺動に伴い、開口部31から露出する最下位の印刷物2の近傍の位置に達すると、最下位の印刷物2を吸着する。その後、エアサクション42は、吸着したまま開口部31から離間し、把持位置91まで移動することで、最下位の印刷物2の供給方向90の先端縁2aを、給紙棚30から把持位置91まで分離する。
【0029】
一方、送り出し手段5のクランパー52が、旋回アーム51の揺動に伴い、把持位置91に移動し、エアサクション42により吸着された印刷物2の先端縁2aを把持する。それと同時に、エアサクション42は吸着を解除する。その後、クランパー52は、旋回アーム51の揺動に伴い、印刷物2を把持して開放位置92まで移動し、解放位置92において印刷物2を解放し、印刷物2を搬送ライン10上にのせる。
【0030】
搬送ライン10、分離手段4および送り出し手段5は、図示しない制御手段により制御され、各動作の同期がとられる。これによって、丁合部11は、上流側の給紙棚30から順次印刷物2を搬送ライン10上に送り出す。そして上流側から順次、直前の給紙棚30の印刷物2の上に、次の給紙棚30の印刷物2が重なり合って、最終的に一冊の冊子が形成される。
【0031】
図4は、丁合される印刷物2の平面図である。図4に示すように、印刷物2の一方の面には、印刷物2を識別するためのバーコード6が供給方向90の先端縁2aに沿って設けられている。印刷物2のバーコード6を読み取るために、バーコードリーダ7が、分離手段4により把持位置91まで分離された印刷物2のバーコード6に対向するように配置される。バーコードリーダ7は、搬送ライン10に沿って延びる水平な支持部材70に取り付けられる。
【0032】
バーコードリーダ7は、印刷物2が把持位置91に到達したとき、バーコード6を読み取る。このとき、印刷物2は、分離手段4により支持されて一時的に静止状態にあるので、バーコードリーダ7は、印刷物2のバーコード6を、正確に読み取ることができ、読み取り誤差を少なくすることができる。
【0033】
制御手段は、バーコードリーダ7により読み取られたバーコード値を、予め登録されたバーコード値(照合値)と照合することにより、正しい印刷物2かどうかの検査を行う。
【0034】
バーコードリーダ7によりバーコード6を読み取れなかった場合、制御手段は、丁合動作を継続して行うが、読み取りエラーと判定して読み取りエラーの生じた印刷物2を含む冊子をミーリング部12へ搬送せず、第一リジェクト部16へ排除する。また、読み取ったバーコード値が、予め登録されたバーコード値と一致しない場合、制御手段は、照合エラーと判定して丁合動作を停止させる。
【0035】
冊子には、それぞれにバーコード6が設けられた二種類の印刷物2を貼り合わせたものが含まれるものもある。例えば、冊子が学習用教材の場合、ある学習用教材は、問題および問題の解説などが印刷された複数の折丁21(印刷物本体)のみから構成されるが、別の学習用教材は、折丁21にテスト用紙22(付属印刷物)が貼着されたものを含むことがある。このように、折丁21単体と、折丁21にテスト用紙22が貼着されたものとを丁合検査において区別できるようにするため、後者においては、折丁21だけでなくテスト用紙22にもバーコード62が設けられる。
【0036】
しかしながら、テスト用紙22には、通常薄い用紙が使用されるので、テスト用紙22から折丁21のバーコード61が透けて見え、図5Aに示すように、折丁21とテスト用紙22の位置関係によっては、互いのバーコード61、62の一部が重なり合うことがある。また、図5Bに示すように、テスト用紙22と折丁21との先端縁同士が一致しない状態で互いに貼着された場合、折丁21のバーコード61が、ずれた分だけ露出することがある。また、図5Cに示すように、たとえテスト用紙22と折丁21との先端縁同士が一致した状態で互いに貼着された場合でも、テスト用紙22の大きさや、貼着位置によっては、折丁21のバーコード61が、先端縁に沿って余分に露出することがある。
【0037】
これらの場合、バーコードリーダ7からの照射光71が、折丁21のバーコード61とテスト用紙22のバーコード62との双方を照射することにより、バーコードリーダ7が、テスト用紙22のバーコード62を読み取れないことや、折丁21のバーコード61を誤って読み取ることがある。そして、テスト用紙22のバーコード62が読み取れない場合、制御手段は、読み取りエラーと判定して読み取りエラーの生じた印刷物2を含む冊子を、第一リジェクト部16へ排除し、また、誤って折丁21のバーコード61を読み取る場合、制御手段は、照合エラーと判定して丁合動作を停止させるため、丁合検査を正確に行えない。
【0038】
そこで、図6Aに示すように、テスト用紙22のバーコード62を、バーコードリーダ7の照射範囲72内において、折丁21のバーコード61に対して供給方向90に垂直な方向にずらした位置に設け、互いのバーコード61、62が重ならないようにする。さらに図6Bに示すように、この折丁21と、テスト用紙22とからなる印刷物2のスタック20が置かれた給紙棚30に関係するバーコードリーダ7には、遮光板73を設け、折丁21のバーコード61への照射光71を遮光する。こうして、バーコードリーダ7からの照射光71が、テスト用紙22のバーコード62のみを照射するので、たとえ折丁21のバーコード61が、透けて見えたり、露出する場合でも、バーコードリーダ7は、テスト用紙22のバーコード62のみを正確に読み取り、正しく丁合検査を行うことができる。
【0039】
次の丁合工程において、給紙棚30に、折丁21のみからなるスタック20を置いて丁合を行うときには、バーコードリーダ7に設けた遮光板73を取り外しておくだけでよい。遮光板73を取り外せば、折丁21のバーコード61に、照射光71が照射され、丁合検査を行うことができる。
【0040】
通常、バーコード6は、印刷物2の天、地、または小口に設けられるので、バーコード6の領域は断裁工程で断裁され、冊子が完成したときバーコード6は除去される。しかし、無線綴じ製本装置では、バーコード6が設けられる印刷物2の供給方向90の先端縁2aが、のどであることが好ましい。なぜならば、のどに設けられたバーコード6は、ミーリング工程の切削によって容易に除去されるからである。また、たとえミーリング工程でバーコード6の一部が切削されずに残ったとしても、残ったバーコード部分は表紙綴じのための糊代となり、完成した冊子にバーコード6は現れることはない。すなわち、断裁工程を必要としない場合でも、完成した冊子にバーコード6が現れないようにできる。
【0041】
なお、この製本装置では、表紙にもバーコードが設けられており、表紙綴じ部14と断裁部15との間の搬送ライン10上に設けられた図示しないバーコードリーダにより、表紙が正しく綴じられたかの丁合検査が行われる。表紙のバーコードが読み取れなかった場合、制御手段は、読み取りエラーと判定して読み取りエラーの生じた表紙を含む冊子を断裁部15へ搬送せず第二リジェクト部17へ排除する。読み取られたバーコード値が予め登録されたバーコード値と一致しない場合、制御手段は、照合エラーと判定して製本行程を停止させる。
【0042】
上記実施例では、印刷物2の一方の面にのみバーコード6を設けたけれども、その代りに例えば、印刷物2の表裏面に、供給方向90の先端縁2аに沿ってバーコード6を設け、二つのバーコードリーダ7を印刷物2の表裏面はさむとともに、バーコード6に対向するように配置することもできる。この場合、折丁21とテスト用紙22をからなる印刷物2において、一方のバーコードリーダ7により、テスト用紙22のバーコード62を読み取り、他方のバーコードリーダ7により、裏面に設けられた折丁21のバーコード61を読み取ることができる。これによって、制御手段は、読み取られた折丁21とテスト用紙22のバーコード値に基づいて、折丁21とテスト用紙22との組み合わせが正しいかを検査することができる。また、このようにすれば、折丁単体を給紙する場合、遮光板73を取り外さなくても、折丁21のバーコード61を読み取ることができる。
【0043】
また、上記実施例では、バーコードリーダ7は、支持部材70に取り付けられているけれども、その代りに例えば、二つのバーコードリーダ7を、把持部であるクランパー52の可動クランプ板52bと、固定クランプ板52aとに対向するように配置することもできる。これによって、クランパー52が、印刷物2を把持しているときに、印刷物2の表裏面のバーコード6を読み取ることができる。
【0044】
例えば、総合学習用教材は、学年毎に作製され、所定数の科目(国語、算数、理科、社会など)に関する教材を集めたものからなっている。この場合、教材は、同学年で同科目でも、地域により使用する教科書が異なるため、その内容が地域毎に異なっている。したがって、一度に多種類の総合学習用教材を作製する必要がある。
【0045】
このような総合学習用教材の冊子を形成する場合には、その種類に応じて、それを構成する折丁21(教材)は多種にわたるので、それらを区別できるように、折丁21には、バーコード61とは別に、所定の位置に識別マーク8が設けられる(図4参照)。それに対応して、図3に示すように各給紙棚30の前板32の上部には、その給紙棚30に積載すべき折丁21の識別マーク8を表示する表示手段33が設けられる。
【0046】
制御手段は、冊子(学習用教材)の種類を特定するためのデータと(以下、「種類特定データ」とする。)、その種類毎の、冊子を構成する折丁21の種類および丁合順序に対応する識別マーク8の組み合わせのデータ(以下。「組合せデータ」とする。)とが、予め登録された丁合データ登録部を備えている。
【0047】
図7は、丁合データ登録部の登録データを示す表である。図7の欄80は、冊子の種類を、欄81は、欄80に示された冊子の種類特定データを、欄82は、冊子の種類毎の組合せデータを、それぞれ示したものである。例えば、冊子「A地域小学6年生」には、種類特定データ「01」が付与され、組合せデータ(「あ」、「い」、「う」、「え」)が付与されている。この組み合わせデータは、「A地域小学校6年生」の冊子が、「あ」の識別マーク8が設けられた折丁21、以下「い」、「う」、「え」が設けられた折丁21により構成され、この順序に従って丁合されることを表している。
【0048】
作業者は、丁合の開始前に、形成すべき教材の種類特定データを入力する。例えば「小学校6年生G」の冊子を形成するときは、制御手段に「07」を入力する。制御手段は、この入力を受けると、データ登録部から入力されたデータ「07」に対応する組み合わせデータ(「さ」、「し」、「す」、「せ」)を読み出す。
【0049】
そして、制御手段は、関係する給紙棚30の表示手段33に、順次、積載すべき折丁21の識別マーク8を表示させる。つまり、最上流側の給紙棚30の表示手段33には、「さ」の識別マーク8が表示され、順次下流側の給紙棚30の表示手段33には「し」、「す」、「せ」の順で識別マーク8が表示される。
【0050】
作業者は、この表示手段33に表示された識別マーク8を確認して、その識別マーク8が設けられた折丁21のスタック20を探し、そのスタック20を関係する給紙棚30に置けばよい。総合学習用教材では、前の冊子を形成する工程と、次の冊子を形成する工程とで、丁合すべき折丁21の印刷面が酷似していることが多いが、上記構成とすることによって、このような場合でも、作業者が、積載すべき折丁21を見誤って、折丁21のスタック20を給紙棚30に置くことを防止できる。
【符号の説明】
【0051】
10 搬送ライン
11 丁合部
2 印刷物
2a 印刷物の先端縁
20 印刷物のスタック
21 折丁(印刷物本体)
22 テスト用紙(付属印刷物)
30 給紙棚
31 開口部
33 表示手段
4 分離手段
5 送り出し手段
52 クランパー(把持部)
6 バーコード
61 折丁のバーコード
62 テスト用紙のバーコード
7 バーコードリーダ
71 照射光
73 遮光板
8 識別マーク
90 供給方向
91 把持位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインと、
前記搬送ラインに沿って設けられ、丁合すべき印刷物のスタックが置かれた複数の給紙棚と、
前記給紙棚のそれぞれに設けられ、前記印刷物を前記給紙棚から一枚ずつ前記搬送ライン上に供給する印刷物供給手段と、を備え、
前記印刷物には、供給方向の先端縁に沿ってバーコードが設けられ、
さらに、前記給紙棚と前記搬送ラインの間に設けられ、前記印刷物供給手段による供給動作の間に、前記印刷物のバーコードを読み取るバーコードリーダと、
前記バーコードリーダにより読みられたバーコード値と予め登録された照合値とを照合し、丁合検査を行う制御手段と、を備え、
前記搬送ラインの上流側の給紙棚から順次供給される前記印刷物を前記搬送ラインで重ね合わせて丁合物を形成する丁合機であって、
少なくとも一つの前記供給棚に置かれた前記スタックを構成する前記印刷物は、印刷物本体と、前記印刷物本体に貼着された付属印刷物とからなり、
前記印刷物本体および前記付属印刷物には、それぞれ別個のバーコードが設けられ、
前記付属印刷物のバーコードは、前記印刷物本体のバーコードに対して前記供給方向に垂直な方向にずらして設けられ、
前記少なくとも一つの前記給紙棚に関係するバーコードリーダは、前記バーコードリーダから照射される照射光が付属印刷物のバーコードのみを照射するように遮光する遮光板を備えていることを特徴とする丁合機。
【請求項2】
前記印刷物には識別マークが設けられ、
前記制御手段はさらに、前記丁合物の種類を特定するためのデータと、その種類毎の、当該丁合物を構成する前記印刷物の種類および丁合順序に対応する前記識別マークの組み合わせのデータとが予め登録された丁合データ登録部を備え、
前記給紙棚のそれぞれには、前記給紙棚に積載すべき前記印刷物の識別マークを表示する表示手段が備えられており、
前記制御手段は、丁合開始前に、形成すべき前記丁合物の種類を特定するデータの入力を受けたとき、前記丁合データ登録部から前記入力されたデータに対応する前記識別マークの組み合わせのデータを読み出し、関係する前記給紙棚の前記表示手段に、順次前記識別マークを表示させることを特徴とする請求項1記載の丁合機。
【請求項3】
前記給紙棚には、前記スタックの最下位の前記印刷物の少なくとも先端縁側が露出する開口部が設けられ、
前記印刷物供給手段は、
前記給紙棚の下側に配置され、前記開口部から前記最下位の印刷物の前記先端縁を前記給紙棚の下側の把持位置まで分離する分離手段と、
前記把持位置と前記搬送ラインの間に設けられ、前記把持位置に到達した前記印刷物の先端縁を把持して、前記搬送ライン上に送り出す送り出し手段と、からなり、
前記バーコードリーダは、前記把持位置に到達した前記印刷物の前記バーコードに対向する位置、または、前記送り出し手段の把持部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の丁合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−11484(P2011−11484A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158568(P2009−158568)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(593022076)佐川印刷株式会社 (18)
【Fターム(参考)】