説明

三角図形を用いた情報入力方式

【課題】 コンピュータが読み取り易く、人が手書きにより図形化が容易な直角三角形を利用した情報入力方式を提供する。
【解決手段】 大直角三角形の3辺をほぼ等分(図1では9等分)し、相似の小直角三角形を形成する。小直角三角形の縦領域3〜8、横領域2〜7の部分の点線で指示した中程の6段6列を母音領域とし、他の残りの斜辺の2列及び底辺の1列を子音領域とする。例えば図1では、母音領域の3カ所を図のように塗りつぶすことにより、英文字Oを表記し、子音領域を図のように2カ所塗りつぶすことにより、英文字Tを表記する。この結果、表記内容はTO(と)を表わすものである。読み取り側では、小直角三角形の塗り潰された図形を纏まった情報として光学的に読み取りコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して「と」の音として表音する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラ等の光学手段により読み取り可能な画像または図形に関し、特にコンピュータで表音可能にする三角図形を用いた情報入力方式に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用の画像または図形の入力方式としては、OCRを用いて読み取る二次元コード、一次元バーコード、カルラコードがある。二次元コードなどは機械で印刷作成され、機械により読み取るものであり、種々提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
手書きの記号は手書OCRにより読み取られ、冗長度の高い手書き文字を対象とするため、文字枠の設定、文字面とカメラの距離指定など、読み取り環境を細かく規定する必要があり、更に読み取った枠内の画像情報を正規化するための解析プログラムが求められる。
【0004】
一方、カルラコードを利用した情報入力方式も知られている(例えば、特許文献2参照。)。カルラコードは手書きもできるが、小面積部分に情報を埋め込むことを目的としているため、記号の冗長度を低く抑えており、記入側と読取側との間で、記号の大きさ、ピッチ、向きを事前に合わせる必要がある。
【特許文献1】特開平9−97300号公報
【特許文献2】特開昭64−10396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文字をもたない民族の言葉を表記しようとする場合、また、町名、駅名などの文字の読み取りが困難な人のために音を用いて表す場合、人が手書きし易く、コンピュータが読み取り易い表音記号があれば、コンピュータの助けを借り易くなる。従来の情報入力手段では上述のように複雑であり、また表音には適さなかった。そこで本発明の目的は、コンピュータが読み取り易く、人が手書きし易く、かつ音調情報の図形化が容易な直角三角形の図形を用いた情報入力方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、表記した図形を纏まった情報として光学的に読み取ってコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して表現するものにおいて、前記表記した図形は、大きな直角三角形と、該直角三角形をこれと相似の小直角三角形に均等に複数分割したもので構成し、大きな直角三角形を一つの図形とし、いずれか複数の小直角三角形を選択して特定した図形と共に纏まった情報としてコンピュータに読み取らせて特定の文字または記号に変換し、表現するように構成した。
【0007】
これにより、円と共に同定しやすい形状の直角三角形を塗り潰すだけの簡単な手段により、人が手書きし易く、コンピュータが読み取り易い表音記号となり、コンピュータの助けを借り易くなるので、文字をもたない民族の言葉を表記したり、水中、宇宙空間での制御信号に用いる図形情報の表示、水中作業者への音声情報及び地上でのロボットの動作の制御信号に利用できる。また地上での目の不自由な人への音声案内板にも利用できる。
【0008】
本発明の請求項2に係る発明は、表記した図形を纏まった情報として光学的に読み取ってコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して表現するものにおいて、前記表記した図形は、大きな直角三角形と、該直角三角形をこれと相似の小直角三角形に均等に複数分割したもので構成し、大きな直角三角形を一つの図形とし、いずれか複数の小直角三角形を選択して特定した図形と共に纏まった情報としてコンピュータに読み取らせて特定の文字または記号に変換し、前記大きな直角三角形を複数個用いて得られる文字または記号により、特定の言葉または意味を表現するするように構成した。
【0009】
これにより、文字をもたない民族の言葉を表記したり、目の不自由な人に町名、駅名などのを言葉で音声案内することができる。また、水中作業者への音声情報の提供に利用できる。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、表記した図形を纏まった情報として光学的に読み取ってコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して表現するものにおいて、前記表記した図形は、大きな直角三角形と、該直角三角形をこれと相似の小直角三角形に均等に複数分割したもので構成し、前記大きな直角三角形の対で一つの情報を構成し、一方の大きな直角三角形を文字領域に、他方の大きな直角三角形を音調領域とし、両領域の合成情報としてコンピュータに読み取らせて、音調を加味した特定の文字に変換し、表現するように構成した。
【0011】
これにより、円と共に同定しやすい形状の直角三角形を塗り潰すだけの簡単な手段を文字領域と音調領域の2つを1組として構成することにより、文字をもたない民族の言葉を音調を加味して表現したり、地上での目の不自由な人に音調を加味した音を提供できるものである。
【0012】
本発明の請求項4に係る発明は、表記した図形を纏まった情報として光学的に読み取ってコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して表現するものにおいて、前記表記した図形は、大きな直角三角形と、該直角三角形をこれと相似の小直角三角形に均等に複数分割したもので構成し、前記大きな直角三角形の対で一つの情報を構成し、一方の大きな直角三角形を文字領域に、他方の大きな直角三角形を音調領域とし、両領域の合成情報としてコンピュータに読み取らせて、音調を加味した特定の文字に変換し、前記大きな直角三角形の対を複数個用いて得られる文字により、特定の言葉または意味を表現するように構成した。
【0013】
これにより、直角三角形を塗り潰すだけの簡単な手段を文字領域と音調領域の対を1組として構成することにより、文字をもたない民族の言葉または意味を音調を加味して表現したり、目の不自由な人に町名、駅名などのを言葉でまたは意味を音調を加味して音声案内することができる。また、水中作業者への音声情報の提供、及び水中遊泳者同士の情報伝達を音調を加味して、より人の言葉に近づけて表現できる。
【発明の効果】
【0014】
円と共に同定し易くて、上下左右を特定することが可能な形状の直角三角形を塗り潰すだけの簡単な手段により、人が手書きし易く、コンピュータが読み取り易い表音記号となり、コンピュータの助けを借り易くなるので、文字をもたない民族の言葉を表記したり、水中、宇宙空間での制御信号に用いる図形情報の表示、水中作業者への音声情報及び地上でのロボットの動作の制御信号に利用できる。また地上での目の不自由な人への音声案内板にも利用できるものである。
【0015】
また、文字領域と音調領域の対の直角三角形を1組として構成することにより、文字をもたない民族の言葉または意味を音調を加味して表現したり、目の不自由な人に町名、駅名などのを言葉でまたは意味を音調を加味して音声案内することができる。また、水中作業者への音声情報の提供、及び情報伝達を音調を加味して、より人の言葉に近づけて表現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の情報入力方式に用いられる図形は、コンピュータが読み取り易く、人が手書きし易い図形として、基本図形に直角三角形を用い、明細な表現を行なうために発音を記号化することが特徴である。三角形を用いるのは、円と共に同定しやすい形状であるからである。図1に基本図形を示す。
【0017】
図1において、大きな直角三角形(以下、大直角三角形という)は直角をはさむ2辺の長さの比を1対1と異なる値、例えば2対1にすることにより、三角形の上下右左を特定することを可能としている。この大直角三角形の3辺をほぼ等分(図1では9等分)し、それぞれ辺の等分に対応する点を結んで、相似の小直角三角形を形成し、大直角三角形をほぼ均等に分割する。
【0018】
大直角三角形の各角は色分(黒色も含む)け塗り潰し、後述の大直角三角形との区別信号とする。小直角三角形の縦領域3〜8、横領域2〜7の部分の点線で指示した中程の6段6列を母音領域とし、他の残りの斜辺の2列及び底辺の1列を子音領域とする。例えば図1では、母音領域の3カ所を図のように塗りつぶすことにより、英文字Oを表記し、子音領域を図のように2カ所塗りつぶすことにより、英文字Tを表記するものとする。この結果、表記内容はTO(と)を表わすものである。
【0019】
読み取り側では、小直角三角形の塗り潰された図形を纏まった情報として光学的に読み取りコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して「と」の音として表音する。
【実施例1】
【0020】
これらの大直角三角形を複数並べることにより、意味のある内容をもたせた実施例を図2に示す。図2(A)は、図1で述べたように、例えば「と」の音とし、図2(B)の小直角三角形の塗り潰しの形状は「ま」の音とし、図2(C)の小直角三角形の塗り潰しの形状を「れ」の音とすれば、3つの大直角三角形により、「とまれ」の3文字の表音を行なうことができる。文字数は3文字に限らず、大直角三角形を必要な文字の数だけ用意することにより、必要な言葉を表現することができる。
【0021】
従って、この図形情報を立入禁止等の危険な場所に設置しておくことにより、目の不自由な人は保持している光学読取手段で読み取り、携帯用の信号処理機で図形/音声変換の処理を行なうことにより、音声により危険を察知することができる。また、街中の看板、標識、建物名などを直角三角形記号で併記しておくことにより、目の不自由な人に代わってコンピュータにカメラ画像として取込み、図形を図形/音声対応処理手段により解読し、音声発声装置などに出力させることが可能となる。
【実施例2】
【0022】
次に、図3を参照して、2つの大直角三角形を1組として、音調も加味して表音することができる実施例を説明する。図3(A)(B)(C)において、上下2つの大直角三角形を1組として、上の大直角三角形は文字領域を示すものであり、下の大直角三角形は音調領域である。文字領域の各角は色分け塗り潰され、音調領域は大直角三角形の頂点を除いた底辺の2つの角を色分け塗り潰して、文字領域と音調領域との区分け認識に供されている。
【0023】
図3(A)(B)(C)に示す上の大直角三角形の文字領域は、図2に示すように、それぞれ「と」「ま」「れ」の文字を表記している。下の大直角三角形の音調領域は音声発声装置に対する指示記号を表す部分である。図3(A)の例示では、小直角三角形の(イ)の領域は、音の高さ、(ロ)の領域は、音の長さ(時間)、(ハ)の領域は、音の強さ、(ニ)の領域は、音の形(抑揚)の指示を示している。図3(A)の小直角三角形の(イ)の領域は、例えば、音の高さ「ミ」の音調を表わす。
【0024】
従って、大直角三角形の文字領域と音調領域の合成情報としてコンピュータに読み取らせて、音調を加味した特定の文字、図3(A)の例では音調「ミ」をもった文字「と」に変換し、表音することができる。同様に、図3(B)(C)の音調領域でも、小直角三角形の(イ)の領域は、例えば、それぞれ音の高さ「ファ」、「ファ」の音調を表わし、音調をもった「ま」「れ」の文字を表記している。
【0025】
これにより、図3(A)(B)(C)全体では、それぞれの音調をもって「とまれ」の3文字の表音を行なうことができる。文字数は3文字に限らず、上下2つの大直角三角形を1組とした図形情報を必要な文字の数だけ用意することにより、音調をもった必要な言葉を表現することができ、特に詩、歌などの表現に適している。
【実施例3】
【0026】
水中ロボット、または宇宙空間のような基準を決めにくい場所で作業するロボットに対する動作指示図形は、ロボットの姿勢に拘わらず、読み取る図形の上下左右を判別し易すくする必要がある。次に、図4を参照して、水中、宇宙空間での図形情報に適した実施例を説明する。
【0027】
図4において、読み取る図形の上下左右を判別し易すくするために、大直角三角形の頂点と小直角三角形の縦領域2及び大直角三角形の底辺を色分けして塗り潰している。また、矢印表記として小直角三角形の縦領域5を横方向に色分けして塗り潰している。そして、図4(A)は大直角三角形の左側面を色分けして塗り潰すことにより、「左方向矢印」の情報とし、図4(B)は大直角三角形の右側面を色分けして塗り潰すことにより、「右方向矢印」の情報としている。
【0028】
このように、「左方向矢印」の情報と「右方向矢印」の情報を簡単に表記することができるので、水中、宇宙空間での制御信号に用いる図形情報に限らず、地上でのロボットの動作の制御信号、水中作業者への音声情報に利用できる。また地上での目の不自由な人への音声案内板にも利用できるものである。
【0029】
文字領域において、図1のように、大直角三角形の各頂点の小直角三角形の塗り潰すことにより、読み取り側では、大直角三角形の各頂点の小直角三角形の塗りつぶされた記号を読み取ることで大直角三角形の大きさが推定できる。また、大直角三角形の各辺が何等分されているかが予め与えられていれば、各辺の長さの比、小直角三角形の面積が推定できる。そして、それぞれの小直角三角形の塗り潰された面積とを比較することにより、正常に塗り潰されたものであるか、ゴミによる汚れなのかが判別できるものである。
【0030】
そして、小直角三角形のいずれを塗り潰すかは、言葉を表記するか、または、単なる指示記号を示すか等に基づいて、予め読み取り側の基本設定に組み込んでおく。また、底辺が上になる倒立小直角三角形は、塗り潰さない部位であると設定しておくことにより、はみだし塗りがあっても、これは正常でない状態として、これを塗り潰しの図形に算入しないような処理を行なうことがが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の三角図形を用いた情報入力方式は、文字を持たない民族の言語表示、目の不自由な人への情報伝達、地上、水中、宇宙でのロボットの動作指令情報として、種々の分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の直角三角形を利用した情報の基本構成図。
【図2】複数の直角三角形を利用した情報の構成図。
【図3】文字領域と音調領域を有する複数の直角三角形を利用した情報の構成図。
【図4】記号を表現した直角三角形を利用した情報の構成図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表記した図形を纏まった情報として光学的に読み取ってコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して表現するものにおいて、前記表記した図形は、大きな直角三角形と、該直角三角形をこれと相似の小直角三角形に均等に複数分割したもので構成し、大きな直角三角形を一つの図形とし、いずれか複数の小直角三角形を選択して特定した図形と共に纏まった情報としてコンピュータに読み取らせて特定の文字または記号に変換し、表現することを特徴とする三角図形を用いた情報入力方式。
【請求項2】
前記大きな直角三角形を複数個用いて得られる文字または記号により、特定の言葉または意味を表現することを特徴とする請求項1記載の三角図形を用いた情報入力方式。
【請求項3】
表記した図形を纏まった情報として光学的に読み取ってコンピュータに入力し、コンピュータのメモリに保有する図形/音声対応情報に基づいて、前記図形を音声に変換して表現するものにおいて、前記表記した図形は、大きな直角三角形と、該直角三角形をこれと相似の小直角三角形に均等に複数分割したもので構成し、前記大きな直角三角形の対で一つの情報を構成し、一方の大きな直角三角形を文字領域に、他方の大きな直角三角形を音調領域とし、両領域の合成情報としてコンピュータに読み取らせて、音調を加味した特定の文字に変換し、表現することを特徴とする三角図形を用いた情報入力方式。
【請求項4】
前記大きな直角三角形の対を複数個用いて得られる文字により、特定の言葉または意味を表現することを特徴とする請求項3記載の三角図形を用いた情報入力方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−25560(P2007−25560A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−211391(P2005−211391)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(505275309)
【Fターム(参考)】