説明

三輪自転車

【課題】前二輪、後一輪の三輪自転車において、3人の子供を安定した状態で乗せることができ、しかもハンドル操作による自転車の方向転換も円滑に行えるようにする。
【解決手段】ペダル9によりチェーン式回転駆動機構12を介して駆動する前二輪10a,10bと、ハンドル5操作により操舵用ギア機構21を介して左右方向に揺動可能とする後一輪10cとをシャーシ本体1の前後部に備える。シャーシ本体1中間に配したサドル4位置の前方の前二輪10a,10b側には2つの前側座席18a,18b、後方の後一輪10c側には1つの後側座席18cを配する。操舵用ギア機構21は、ステアリング軸6下端に設けた駆動側ギアに噛合する中間伝達ギアと一体の操舵スプロケットと、後一輪10cの車軸11を枢着した揺動支持部材25の上端に設けた揺動スプロケットとの相互間を操舵チェーンで掛巡する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば3名の複数の子供を安定した状態で乗せて走行することができる前二輪、後一輪の三輪自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車の前後に2人の子供を乗せる3人乗り自転車は、その重量の増加に伴ってハンドルが大きくぶれる等の安全性の問題から、法規制に基づき原則として禁止されていた。しかし近年では、自転車による子供の保育園送迎という必要性から世論の反発が生じ、このため3人乗り自転車につき、一部解禁の規制緩和措置が実施されることが考えられている。
【0003】
また、従来における前二輪、後一輪の三輪自転車としては、例えば特許文献1に開示されているように、クランクアーム、ペダルにより後輪を駆動するチェーン機構をチェーンケースに収納した構造を備え、二輪車に用いられているフロントフォークに類似形態の前輪用フレームに、左右それぞれのフォーク部材に一輪づつ前輪を弾性部材を介して設けて成る前二輪後一輪の三輪車なる技術が存在する。
【特許文献1】特開2003−81165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の3人乗り自転車においては、自転車の前後に2人の子供を乗せた場合のハンドルのふらつきや安定性、子供座席位置の高所性等、安全性においての多くの問題点が残存する。その問題点を解消するため、例えば、自転車の後輪の安定性を高める目的で当該後輪に補助輪を付設したり、ハンドルのふらつきを抑える目的で当該ハンドルの軸上に子供用座席を配置したりすることが提案されている。
【0005】
しかし、このように後輪に補助輪がある場合では、停車時には安定して保持できるが、走行路の急なカーブによって転倒する危険性がある。しかも、ハンドルの軸上に子供用座席を配置した場合では、重心がハンドル側に集中するため、ハンドルを持った状態での自転車の急な方向転換が非常に困難なものとなるという問題点を有していた。
【0006】
また、特許文献1による前二輪後一輪の三輪自転車では、クランクアームに巻架されたチェーンにより後輪を駆動するため、ハンドルによる自転車の操舵は必然的に前二輪で行うものとなることから、自転車の小回りが効かず、したがって迅速な方向転換が非常に困難なものとなる。
【0007】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、前二輪、後一輪の三輪自転車において、複数の子供例えば3人の子供を安定した状態で乗せることができ、しかもハンドルの操作時における自転車の急な方向転換によっても当該ハンドルをふらつかせずに安定して操舵可能な三輪自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、ペダル9によりチェーン式回転駆動機構12を介して駆動される前二輪10a,10bと、ハンドル5操作により操舵用ギア機構21を介して左右方向に揺動可能とする後一輪10cとをシャーシ本体1の前後部に備え、シャーシ本体1中間に配したサドル4位置の前方、後方のシャーシ本体1には、前二輪10a,10b側に例えば2つの前側座席18a,18b、後一輪10c側に例えば1つの後側座席18cそれぞれを配して成るものである。
チェーン式回転駆動機構12は、ペダル9の踏圧によるクランクアーム8の回動によって回転する駆動側スプロケット13と、前二輪10a,10bの車軸11と同軸上に取り付けられた変速ギア機構16に噛合連繋させて成る従動側スプロケット14と、該従動側スプロケット14、前記駆動側スプロケット13相互間に掛巡させたチェーン15とをシャーシ本体1に設けて成るものとすることができる。
操舵用ギア機構21は、ハンドル5のステアリング軸6下端に一体となって設けられた駆動側ギア22と、該駆動側ギア22に噛合され、上側面に操舵スプロケット28を備えた中間伝達ギア23と、後一輪10cを左右方向に揺動可能となるように当該後一輪10cの車軸11を枢着させた揺動支持部材25と、該揺動支持部材25の上端に一体となって設けられた揺動スプロケット29と、該揺動スプロケット29、前記操舵スプロケット28相互間に掛巡させたチェーン30とをシャーシ本体1に設けて成るものとすることができる。
シャーシ本体1には、この左右両側から上方に突出した前二輪10a,10b部分を上側から覆う左右一対のガード17が設けられ、前側座席18a,18bは当該両ガード17間における前二輪10a,10bの車軸11近傍に配されて成るものとすることができる。
シャーシ本体1先端部には、ダンパーを介して泥除け防風用のフード19を備えて成るものとすることができる。
【0009】
以上のように構成された本発明に係る三輪自転車にあって、シャーシ本体1に備えたチェーン式回転駆動機構12は、サドル4に腰掛けた運転者Pがペダル9を踏圧することによるクランクアーム8の回動によって駆動側スプロケット13を回転させ、チェーン15を介して従動側スプロケット14を回転させる。この従動側スプロケット14の回転により変速ギア機構16を回転駆動させることで前二輪10a,10bを同時回転させる。
また、シャーシ本体1に備えた操舵用ギア機構21は、サドル4に腰掛けた運転者Pが手でハンドル5を操作することで、ステアリング軸6下端の駆動側ギア22を左右いずれかの方向に揺動させる。このとき、駆動側ギア22に噛合されている中間伝達ギア23が当該中間伝達ギア23の上側面に備えた操舵スプロケット28と同時に揺動され、操舵チェーン30を介して揺動スプロケット29をハンドル5と同一方向に揺動させる。これにより揺動スプロケット29と一体の揺動支持部材25を介して、後一輪10cをハンドル5の揺動操作方向に一致させて揺動させる。
シャーシ本体1左右両側の前二輪10a,10b部分を上側から覆う左右一対のガード17は、前側座席18a,18bに子供Qを乗せて運転した際に、子供Qの手足等が前二輪10a,10bに巻き込まれるのを未然に防止させる。また、当該ガード17間における前二輪10a,10bの車軸11近傍に配された前側座席18a,18bは、前二輪10a,10bの車軸11に対してシャーシ本体1全体の低重心位置に配置されることから、当該前側座席18a,18bに子供Qを乗せて運転した場合に、子供Qを低い位置で乗せさせると同時にハンドル5のふらつき等の不安定性を防止させる。
シャーシ本体1にダンパーを介して備えた泥除け防風用のフード19は、前側座席18a,18bに座っている子供Qを風や跳ね泥から未然に保護させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前二輪10a,10b、後一輪10cの三輪自転車において、例えば3人の子供Qを安定した状態で乗せることができ、しかもハンドル5の操作時における自転車の急な方向転換によっても当該ハンドル5をふらつかせずに安定して行える。
【0011】
すなわち、これは本発明が、ペダル9によりチェーン式回転駆動機構12を介して駆動される前二輪10a,10bと、ハンドル5操作により操舵用ギア機構21を介して左右方向に揺動可能とする後一輪10cとをシャーシ本体1の前後部に備え、シャーシ本体1中間に配したサドル4位置の前方、後方のシャーシ本体1上に、前二輪10a,10b側には2つの前側座席18a,18b、後一輪10c側に後側座席18cそれぞれを配して成るからであり、これにより、例えば2人の子供Qを前二輪10a,10b側の前側座席18a,18bに、例えば1人の子供Qを後一輪10c側の後側座席18cにそれぞれ乗せることで、シャーシ本体1に掛かる荷重の前後バランスが向上して走行中の安定性が容易に得られると同時に3輪(10a,10b,10c)構成であることと相俟ち停車しても倒れないものとなる。
【0012】
また、ハンドル5操作により操舵用ギア機構21を介して、小回りの効く後一輪10cを左右方向に揺動可能とすることから、走行中における自転車の急な方向転換が当該ハンドル5をふらつかせずに安定して行うことができる。例えば、直進走行時においても、旋回走行時においても、前二輪10a,10bは路面に対してほぼ直立した状態を維持できることから、前二輪10a,10bの走行面が常に路面に対して平行に接地することが可能となり、走行安定性を常に維持することができる。
【0013】
チェーン式回転駆動機構12は、ペダル9の踏圧によるクランクアーム8の回動によって回転する駆動側スプロケット13と、前二輪10a,10bの車軸11と同軸上に取り付けられた変速ギア機構16に噛合連繋させて成る従動側スプロケット14と、該従動側スプロケット14、前記駆動側スプロケット13相互間に掛巡させたチェーン15とをシャーシ本体1に設けて成るので、前二輪10a,10b駆動型の三輪自転車を容易に製作することができる。それと同時に、例えば2人の子供Qを前二輪10a,10b側の2つの前側座席18a,18bに座らせた時の荷重を当該前二輪10a,10bで支えながら運転することから、ハンドル5操作による操舵用ギア機構21を介しての後一輪10cの左右方向への転換に伴う揺動操作を当該ハンドル5をふらつかせずに安定して行うことができる。
【0014】
操舵用ギア機構21は、ハンドル5のステアリング軸6下端に一体となって設けられた駆動側ギア22と、該駆動側ギア22に噛合され、上側面に操舵スプロケット28を備えた中間伝達ギア23と、後一輪10cを左右方向に揺動可能となるように当該後一輪10cの車軸11を枢着させた揺動支持部材25と、該揺動支持部材25の上端に一体となって設けられた揺動スプロケット29と、該揺動スプロケット29、前記操舵スプロケット28相互間に掛巡させた操舵チェーン30とをシャーシ本体1に設けて成るので、後一輪10c操舵型の三輪自転車を容易に製作することができる。それと同時に、ハンドル5操作による後一輪10cの左右方向への揺動操作を当該ハンドル5をふらつかせずに安定して行うことができる。
【0015】
シャーシ本体1には、この左右両側から上方に突出した前二輪10a,10b部分を上側から覆う左右一対のガード17が設けられ、前側座席18a,18bは当該両ガード17間における前二輪10a,10bの車軸11近傍に配されて成るので、前側座席18a,18bに子供Qを乗せて運転した際に、子供Qの手足等が前二輪10a,10bに巻き込まれるのを未然に防止することができる。また、当該ガード17間における前二輪10a,10bの車軸11近傍に配された前側座席18a,18bは、前二輪10a,10bの車軸11に対してシャーシ本体1全体の低重心位置に当該前側座席18a,18bが配置されることから、前側座席18a,18bに子供Qを乗せて運転した場合に、子供Qを低位置で乗せることで安全性を向上できると共に、ハンドル5のふらつき等の不安定性を防止することができ、且つ停車中での安定性も確保できる。
【0016】
シャーシ本体1先端部には、ダンパーを介して泥除け防風用のフード19を備えて成るので、前側座席18a,18bに座っている子供Qを風や跳ね泥から未然に保護することができる。
【0017】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項それぞれにおいて付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするために付したもので、図面中の符号によって示された構造・形状に本発明が限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は、下側開口の断面略コ字型を呈する長尺角枠状のチャンネル材から成るシャーシ本体である。該シャーシ本体1は、図1乃至図3に示すように、ペダル9によりチェーン式回転駆動機構12を介して駆動される前二輪10a,10bと、ハンドル5操作により操舵用ギア機構21を介して左右方向に揺動可能とする後一輪10cとを当該シャーシ本体1前後部に備えている。そして、シャーシ本体1の略中間位置に配されたサドル4を中心にして、前方の前二輪10a,10b側には2つの前側座席18a,18b、後方の後一輪10c側には1つの後側座席18cがそれぞれ配されている。
【0019】
すなわち、シャーシ本体1は、その上面の略中間位置よりも若干後方側に、例えばパイプ状のサドルポスト2を立設し、該サドルポスト2には、サドル4を上端に取り付けたサドルパイプ3が高さ調整自在にして挿入することで、運転者Pの身長等に合わせて当該サドル4を調整レバーによって任意の高さに調整可能としてある。
【0020】
また、シャーシ本体1上面の略中間位置よりも若干前方側には、ハンドル5の中央部分を上端に取り付けたステアリング軸6の下端側がラジアル軸受を介して回転自在に枢着され、該ステアリング軸6の最下端がシャーシ本体1の下方側に突出されている。そして、ステアリング軸6の最下端には後述する操舵用ギア機構21を構成する駆動側ギア22が一体に取り付けられ、ハンドル5の左右方向への揺動によって当該駆動側ギア22が一体となって左右方向に揺動できるようにしてある。
【0021】
サドルポスト2の下側近傍には、シャーシ本体1の左右を貫通するようにクランク軸7がラジアル軸受を介して回転自在に取り付けられており、該クランク軸7の両端には、クランクアーム8およびペダル9が回動可能に取り付けられている。そして、シャーシ本体1の片側から外部に露出しているクランク軸7の一端側にはチェーン式回転駆動機構12を構成する駆動側スプロケット13が固設されている。
【0022】
一方、図4に示すように、シャーシ本体1の前端側には車軸11を支承するブラケット(図示せず)が付設されており、この車軸11の両端には相互間で任意の長さで左右に離隔された前二輪10a,10bがラジアル軸受を介して回転自在に設けられている。
【0023】
チェーン式回転駆動機構12としては、この前二輪10a,10bの車軸11に同軸上となって変速ギア機構16が付設され、該変速ギア機構16は前記ブラケットを介して回転自在に枢着されている従動側スプロケット14に噛合連繋されている。そして、この従動側スプロケット14と、クランク軸7の駆動側スプロケット13とにチェーン15が相互間で掛巡されるように巻架されることで、ペダル9の踏圧によるクランクアーム8およびクランク軸7の回動によって、その駆動力を前二輪10a,10bに伝達する構成となっている。尚、チェーン15は、不図示のチェーンケースに収納されている。
【0024】
また、シャーシ本体1の左右両側から上方に突出した前二輪10a,10b部分を上側から覆うための左右一対となった円弧型カバー状のガード17が当該シャーシ本体1の左右対称位置に一体となって設けられており、2つの前側座席18a,18bは前二輪10a,10bの車軸11近傍に配されるよう当該両ガード17に挟まれた隙間に設けられている。
【0025】
また、シャーシ本体1先端部には、略円弧型板状に形成された泥除け防風用のフード19が備え付けられており、さらにはダンパーが取り付けられている。
【0026】
操舵用ギア機構21は、図5に示すように、ハンドル5中央のステアリング軸6下端に一体となって設けられた駆動側ギア22に隣接して、上側面に操舵スプロケット28を備えた中間伝達ギア23がシャーシ本体1下面にラジアル軸受を介して回転自在に枢着されており、両ギア22,23は互いに噛合されている。
【0027】
また、シャーシ本体1の後端側は、上面だけが後方に延設され、この上に1つの後側座席18cが備え付けられると共に、下面には後一輪10cの車軸11を左右一対の水平アーム24を介して枢着させたパイプ状の揺動支持部材25の上端がラジアル軸受を介して左右方向に揺動可能となるように枢着されている。そして、揺動支持部材25の上端側には、操舵スプロケット28に対向して揺動スプロケット29が固設され、該揺動スプロケット29と前記操舵スプロケット28とにはチェーン30が相互間で掛巡されるように巻架されている。
【0028】
尚、水平アーム24は、揺動支持部材25に固設したL字形のサポート部材26を介して取り付けられており、またサポート部材26のL字一端側からは複数本の補強桟材27が、水平アーム24における後一輪10cの車軸11の支持部位に架けられている。
【0029】
これにより、サドル4に腰掛けた運転者Pが手でハンドル5を操作することで、ステアリング軸6下端の駆動側ギア22を左右いずれかの方向に揺動させた際に、駆動側ギア22に噛合されている中間伝達ギア23が当該中間伝達ギア23の上側面に備えた操舵スプロケット28と同時に揺動されると共に、操舵チェーン30を介して揺動スプロケット29が、ハンドル5による左右への同一揺動方向に回転されることから、揺動スプロケット29と一体の揺動支持部材25を介して、後一輪10cをハンドル5の揺動操作方向に一致させて同一揺動方向となって揺動させることとなる(図6(a)および図6(b)参照)。
【0030】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例について説明する。先ず、例えば前方の前二輪10a,10b側の2つの前側座席18a,18bに2人の子供Qを乗せ、後方の後一輪10c側の1つの後側座席18cに1人の子供Qを乗せる。このときシャーシ本体1に掛かる荷重の前後バランスが向上することから、走行中の安定性が図れるものとなる。
【0031】
運転者Pがサドル4に腰掛け、ハンドル5を操作しながら両足で交互に左右のペダル9を踏むと、クランクアーム8およびクランク軸7の回動によりチェーン式回転駆動機構12の駆動側スプロケット13が同時回転し、この駆動力がチェーン15を介して従動側スプロケット14に伝達され、さらに車軸11に備えた変速ギア機構16を介して前二輪10a,10bを回転させる。
【0032】
運転者Pが手でハンドル5を操作して方向転換するに際し、例えば右方向に曲がる場合には、図6(a)に示すように、ハンドル5を右方向に揺動させるとステアリング軸6下端の駆動側ギア22が同一の右方向に揺動され、駆動側ギア22に噛合されている中間伝達ギア23が、上側面に備えた操舵スプロケット28と同時に反対の左方向に揺動させられる。そして、操舵チェーン30を介して揺動スプロケット29が操舵スプロケット28と同じ左方向に揺動されることから、揺動スプロケット29と一体の揺動支持部材25を介して、後一輪10cはハンドル5と同一の右方向に揺動させられる。
【0033】
一方、左方向に曲がる場合には、図6(b)に示すように、ハンドル5を左方向に揺動させるとステアリング軸6下端の駆動側ギア22が同一の左方向に揺動され、駆動側ギア22に噛合されている中間伝達ギア23が、上側面に備えた操舵スプロケット28と同時に反対の右方向に揺動させられる。そして、操舵チェーン30を介して揺動スプロケット29が操舵スプロケット28と同じ右方向に揺動されることから、揺動スプロケット29と一体の揺動支持部材25を介して、後一輪10cはハンドル5と同一の左方向に揺動させられる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における三輪自転車の一例を示す使用状態の斜視図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく一部切欠側面図である。
【図4】同じく正面図である。
【図5】同じく操舵用ギア機構の構成の一例を示す断面図である。
【図6】同じく操舵用ギア機構の動作を説明するもので、(a)は右側に方向転換する場合のハンドルと後一輪との状態を示す説明図、(b)は左側に方向転換する場合のハンドルと後一輪との状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
P…運転者 Q…子供
1…シャーシ本体 2…サドルポスト
3…サドルパイプ 4…サドル
5…ハンドル 6…ステアリング軸
7…クランク軸 8…クランクアーム
9…ペダル 10a,10b…前二輪
10c…後一輪 11…車軸
12…チェーン式回転駆動機構 13…駆動側スプロケット
14…従動側スプロケット 15…チェーン
16…変速ギア機構 17…ガード
18a,18b…前側座席 18c…後側座席
19…フード
21…操舵用ギア機構 22…駆動側ギア
23…中間伝達ギア 24…水平アーム
25…揺動支持部材 26…サポート部材
27…補強桟材 28…操舵スプロケット
29…揺動スプロケット 30…操舵チェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルによりチェーン式回転駆動機構を介して駆動される前二輪と、ハンドル操作により操舵用ギア機構を介して左右方向に揺動可能とする後一輪とをシャーシ本体の前後部に備え、シャーシ本体中間に配したサドル位置の前方、後方のシャーシ本体には、前二輪側に前側座席、後一輪側に後側座席それぞれを配して成ることを特徴とする三輪自転車。
【請求項2】
チェーン式回転駆動機構は、ペダルの踏圧によるクランクアームの回動によって回転する駆動側スプロケットと、前二輪の車軸と同軸上に取り付けられた変速ギア機構に噛合連繋させて成る従動側スプロケットと、該従動側スプロケット、前記駆動側スプロケット相互間に掛巡させたチェーンとをシャーシ本体に設けて成る請求項1記載の三輪自転車。
【請求項3】
操舵用ギア機構は、ハンドルのステアリング軸下端に一体となって設けられた駆動側ギアと、該駆動側ギアに噛合され、上側面に操舵スプロケットを備えた中間伝達ギアと、後一輪を左右方向に揺動可能となるように当該後一輪の車軸を枢着させた揺動支持部材と、該揺動支持部材の上端に一体となって設けられた揺動スプロケットと、該揺動スプロケット、前記操舵スプロケット相互間に掛巡させた操舵チェーンとをシャーシ本体に設けて成る請求項1または2記載の三輪自転車。
【請求項4】
シャーシ本体には、この左右両側から上方に突出した前二輪部分を上側から覆う左右一対のガードが設けられ、前側座席は当該両ガード間における前二輪の車軸近傍に配されて成る請求項1乃至3のいずれか記載の三輪自転車。
【請求項5】
シャーシ本体先端部には、ダンパーを介して泥除け防風用のフードを備えて成る請求項1乃至4のいずれか記載の三輪自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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