説明

下地化粧料の製造方法

【課題】 毛穴を目立たなくさせるのに好適な化粧料を製造する手段を提供する。
【解決手段】 1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体を毛穴の充填のための粉体として選択し、粉体含有化粧料を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の製造方法に関し、更に詳細には下地化粧料の製造に好適な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下地化粧料の機能には、下地化粧料の塗布の後に塗布される、ファンデーションなどのベースメークアップ化粧料の皮膚への「のり」を良くさせる作用、前記ベースメークアップ化粧料が経時的に変化するのを防ぐ、化粧持ち向上作用、前記ベースメークアップ化粧料のみでは補正しがたい、皮膚のトラブルの補正乃至は補正補助作用などが存する。この様な作用の中で特に近年重要視されるようになってきたのは、目立つ毛穴の補正である。目立つ毛穴は、その立体形状の特異性から、ベースメークアップ化粧料がのりにくいし、更には、毛穴自体が脂質分泌器官であることから、毛穴より分泌される脂質によって前記ベースメークアップ化粧料の崩れが促進される現象が存するためである。
【0003】
加えて、毛穴の存在は、顔の印象形成に於いて、大きな影響を与えるが、該影響は決して好ましいものとは言えない。「肌理の細やかな肌」、「もち肌」等の皮膚の喩えがプラスのものであるのに対し、「毛穴が目立つ」「夏みかん」等の例えは大きなマイナスイメージとなっていることがその証拠と言える。諸原材料の開発などの技術の進歩により、美白化粧料や保湿化粧料が充実してきた今、「毛穴」を目立たなくさせる技術の開発も、香粧品科学の分野では新たなテーマとなりつつある。
【0004】
この様な、化粧料による毛穴に関する対応には2つの方向が存する。即ち、毛穴の形状を有効成分の投与によって縮小させる方向(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)と、粉体などの光学的な効果を利用して、毛穴の存在を目立たなくさせる方法(例えば、特許文献4、特許文献5、特許文献6)である。この内、前者については、皮膚の表面形状そのものを大きく変えることを必要とするため、ある程度の効果を奏するものはあっても、満足が行くほど大きな効果を奏するものは存在していないのが現状である。又、後者に於いては、ある程度のメークテクニックがあれば、化粧直後はそこそこの効果を奏しても、経時的に効果を失する場合が少なくないし、メークテクニックのレベルによっては当初の効果さえもおぼつかない欠点が存した。又、更に、毛穴の充填物そのものが目立つと、毛穴の補正効果は損なわれるため、毛穴の充填物と皮膚との見た目の差を減じせしめる工夫も望まれていた。勿論、この様な光学効果に於いて、二酸化チタンや酸化亜鉛などの高隠蔽性粉体の隠蔽力に依存して毛穴に充填されている粉体と、皮膚との境界をカバーすることは、自然な見え方で毛穴を補正するという、本来の主旨とは矛盾するものであり、好ましい対応とは言えない。又、この様な対応に於いては、毛穴より分泌される皮脂に対しては有効とは言えない。
【0005】
一方、拡散透過性、光沢値(グロス値)は化粧料用の粉体の評価値として、一般的に用いられるものである。
(例えば、特許文献7、特許文献8を参照)
【0006】
【特許文献1】特開2005−179342号公報
【特許文献2】特開2004−339120号公報
【特許文献3】特開2003−137713号公報
【特許文献4】特開2004−210655号公報
【特許文献5】特開2005−089461号公報
【特許文献6】特開平11−349442号公報
【特許文献7】特開2002−173415号公報
【特許文献8】特開2000−319540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、毛穴を目立たなくさせるのに好適な化粧料を製造する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、毛穴を目立たなくさせるのに好適な化粧料を製造する手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体を毛穴の充填のための粉体として選択し、化粧料に含有せしめることにより、前記の特性を有する化粧料が製造できることを見出し、発明を完成させた。更に検討を進めた結果、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体に属さないものを、毛穴の充填のための粉体を見えにくくするための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することにより、前記の効果を持続されることが出来ることを見出し、発明を発展させた。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)下地化粧料の製造方法であって、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体を毛穴の充填のための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することを特徴とする、下地化粧料の製造方法。
(2)更に、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体に属さないものを、毛穴の充填のための粉体を見えにくくするための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することを特徴とする、(1)に記載の下地化粧料の製造方法。
(3)前記下地化粧料が、毛穴の目立ちを補正するためのものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の下地化粧料の製造方法。
(4)前記下地化粧料が専ら夏に使用されるべきものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の下地化粧料の製造方法。
(5)粉体における、油脂で湿潤させた状態が1質量部の粉体に対し、1〜2質量部のオレイン酸を含浸せしめた状態であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の下地化粧料の製造方法。
(6)下地化粧料の製造のための、毛穴を充填すべき粉体の評価法であって、粉体を、粘着剤を塗工してあっても良い支持体上に、均一な厚さで延展し、粉体そのものの拡散透過率を測定し、しかる後、塗工した粉体を油脂成分で湿潤せしめ、しかる後に、湿潤状態の拡散透過率を測定し、粉体そのものの拡散透過率と、湿潤状態の拡散透過率とを比較し、湿潤状態の拡散透過率が、粉体そのものの拡散透過率と等しいか、大きい場合に毛穴を目立たなくさせる化粧料用の粉体として適切であると判断することを特徴とする、評価法。
(7)下地化粧料の製造のための、毛穴を充填すべき粉体を見えにくくするための粉体の評価法であって、粘着剤を塗工してあっても良い支持体上に、均一な厚さで延展し、粉体そのものの光沢値(グロス値)を測定し、しかる後、塗工した粉体を油脂成分で湿潤せしめ、しかる後に、湿潤状態の光沢値(グロス値)を測定し、粉体そのものの光沢値と、湿潤状態の光沢値(グロス値)とを比較し、湿潤状態の光沢値(グロス値)が、粉体そのものの光沢値(グロス値)と等しいか、小さい場合に毛穴を目立たなくさせる化粧料用の粉体として適切であると判断することを特徴とする、評価法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、毛穴を目立たなくさせるのに好適な化粧料を製造する手段を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の化粧料の製造方法は、下地化粧料の製造方法であって、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体を毛穴の充填のための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することを特徴とする。
【0011】
更に好適な実施の形態として、本発明の下地化粧料の製造法では、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体に属さないものを、毛穴の充填のための粉体を見えにくくするための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することを特徴とする。ここで、毛穴充填のための粉体を見えにくくするとは、化粧料を塗布した直後に、毛穴に粉体が充填されているのを見えにくくすることと、毛穴に充填された粉体が経時的に皮脂などを吸収し、当初の光学効果を奏さなくなるのを防ぐこととの両者を意味する。
【0012】
前記拡散透過率は、濁度計、分光光度計などを用いてはかることが出来る。この様な機器としては、例えば自記分光光度計(日立製)、日本電色工業株式会社製のNDH2000等が特に好ましく例示できる。即ち、乾粉(粉体そのもの)であれば、スライドグラスなどのような支持体上に、所望により、粘着剤などをドクターブレードなどで一定厚に塗工し、しかる後に、粉体をドクターブレードなどで一定厚に刷毛等で均一に延展し、このサンプルの拡散透過率を前記濁度計分光光度計で測定すればよい。この厚さとしては、0.1〜30ミル程度、より好ましくは0.2〜0.8ミル程度が良好な再現性が得られるので好ましい。粘着剤としては、アクリル樹脂系のポリマーエマルションなどが好適に例示できる。油脂で湿潤させた粉体は、前記の乾粉のサンプルに対して、ワイプ紙などに油脂を湿潤させ、これを軽く押しつけて、油脂分を移行させ、1〜2質量倍の油脂を粉体に含浸させればよい。油脂としては、化粧料粉体の皮脂濡れに於いて寄与度の高い、液状の脂肪酸が好ましく、特にオレイン酸が扱いやすさと近似性の点で好ましい。この様に湿潤させた粉体を乾粉と同様に操作することにより、測定できる。拡散透過率は可視領域(400〜700nm)の透過率の積分値として算出される。かかる測定に於いて、粉体そのものの拡散透過率と、湿潤状態の拡散透過率とを比較し、湿潤状態の拡散透過率が、粉体そのものの拡散透過率と等しいか、大きい場合に毛穴の目立ちを補正するための化粧料用の粉体の必要要件を備えていると判断する。ここで、等しいとは、20%の差の範囲まで含む。
【0013】
グロス値は、グロスメータ(VGS−SENSOR(日本電色工業株式会社製))などを用いて常法に従って、測定することが出来る。グロス値を測定するための条件としては、通常行われている条件であれば特段の限定はないが、入射角45度における、受光角45度のグロス値を用いることが好ましい。サンプルは前記の拡散透過性の測定と同様に、支持体上に延展したサンプルを作成し、このものについてグロス値を測定し、粉体そのもののグロス値と油脂で湿潤した状態でのグロス値とを比較し、湿潤状態のグロス値が、粉体そのもののグロス値と等しいか、小さい場合には、毛穴の目立ちを補正するための化粧料用の粉体の必要要件を備えていると判断する。ここで、等しいとは、20%の差の範囲まで含む。
【0014】
前記の如く、拡散透過性の評価と、グロス値の評価の両方で毛穴の目立ちを補正するための化粧料用の粉体の必要要件を備えていると判定された粉体の内、球状粉体であって、その粒径が3〜20μm、より好ましくは4〜15μmのものを毛穴に充填すべき粉体として採用し、このものを化粧料中に0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜1質量%含有せしめる。
【0015】
前記の如く、拡散透過性の評価と、グロス値の評価の両方で毛穴の目立ちを補正するための化粧料用の粉体の必要要件を備えていると判定された粉体の内、前記毛穴に充填すべき粉体として採用されなかったもの、言い換えれば、球状粉体であって、その粒径が3〜20μmの粉体に属さないものは、前記毛穴に充填すべき粉体を見えにくくする粉体として採用し、このものを化粧料中に0.005〜10質量%、より好ましくは0.01〜1質量%含有せしめる。又、この時、毛穴を充填すべき粉体と、前記毛穴を充填すべき粉体を、見えにくくする粉体との比は、1:2〜2:1が好ましく例示できる。
【0016】
本発明の化粧料の製造方法が対象とする化粧料としては、メークアップ化粧料であれば特段の限定無く対象とでき、例えば、アンダーメークアップ化粧料やコントロールカラー化粧料などの下地化粧料、ファンデーション、粉白粉、固形白粉などのベースメークアップ化粧料、チークカラー、アイカラー、ハイライトなどのポイントメークアップ化粧料等が例示できる。又、その剤形も、粉体を含有することの出来る剤形であれば特段の限定はなく、例えば、ローション剤形、ジェル剤形、乳化分散剤形、ルースパウダー剤形、プレストパウダー剤形などが好ましく例示できる。
【0017】
製剤化にあたっては、本発明の化粧料の製造方法では、前記の成分以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を、本発明の効果を損なわない範囲に於いて含有せしめることが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。これらの配合に於いては、常法に従えばよい。この様に、本発明の化粧料の製造方法で製造された化粧料は、毛穴を長時間に渡って目立たなくさせる作用を有する。本発明の製造方法で製造された化粧料を用いて、この様に補正することで、第三者に対して、好ましい印象形成を促すことが出来る。尚、本発明に於いて、「製造」と言う言葉は設計行為も包含する。
【0018】
以下に、本発明について、実施例を挙げて、更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0019】
<拡散透過性の評価>
以下に示す手順で、拡散透過性の評価を行い必要要件を備えた粉体を選択した。
1)ガラス板に「ポリジョイントJN」(大成化工株式会社製;アクリル酸アルキル共重合体)をドクターブレードにて厚さ0.5ミルに塗布し、10分後、各粉体を刷毛にて均一にならした。(粉塗布量0.0027±0.0004g)このサンプルを粉体そのもの(乾粉)とし、日立製の自記分光光度計を用いて、可視領域(400〜700nm)の透過率の積分値(面積)を算出した。
2)オレイン酸を浸した「キムワイプ」(ワイプ紙)を1)のサンプルガラス板上に載せ、その上から指で8回塗擦し、これを油脂湿潤サンプルとした。(オレイン酸塗布量約0.0045±0.0007g)油脂湿潤サンプルについて、1)と同様に可視領域(400〜700nm)の透過率の積分値(面積)を算出した。
3)1)及び2)で求めた、全光線透過率Ttの積分値−平行光線透過率Tpの積分値から、拡散透過率Tdの積分値を割り出し、比較評価した。即ち、Td積分値が20%の範囲で等しい時、あるいは乾粉時<湿粉時である時、毛穴補正を持続する効果に優れると評価し、化粧料の製造に使用すべき粉体として選択した。各種粉体の測定結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

・シリカマイクロビードP1500、マルチプルビーズ、マルチプルビーズII、中空酸化チタンファイバー、HOLLOWY-N15、カバーリーフAR80(触媒化成工業製)
・ラテックスタルク(松本油脂製薬製)
・ナイロンSP500(東レ製)
・TPMパウダー2003(大東化成工業製)
・シリコーンKSP300(信越化学製)
【0021】
<グロス値の評価>
拡散透過性の評価で用いたのと同じ、スライドグラス上に粉体を塗工したサンプルを用い、グロス値を測定した。即ち、グロスメーター VGS−SENSOR(日本電色工業製)にて入射45度、受光45度のグロス値(Gs(45°))を測定した。Gs(45°)が乾粉時>湿粉時である時に、毛穴補正するための化粧料用の粉体として必要要件を備えていると判定し、採用した。測定・評価結果を表2に示す。
【0022】
【表2】

【0023】
<毛穴に充填すべき粉体の選択>
前記の評価より、拡散透過性の評価と、グロス値の評価の両方で毛穴の目立ちを補正するための化粧料用の粉体の必要要件を備えていると判定された粉体は、「マルチプルビーズ」、「マルチプルビーズII」(何れも、多相被覆シリカで触媒化成工業株式会社製)、「ナイロンSP500」(ナイロン粉末、TORAY株式会社製)、「中空酸化チタンファイバー」(中空繊維状二酸化チタン、触媒化成工業株式会社製)、「シリコーンKSP300」((ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、信越シリコーン株式会社製)、「HOLLOWY−N15」(表面に多孔質層を有さず、空気粒を内包したシリカ、触媒化成工業株式会社製)及び「カバーリーフAR80」(多相被覆タルク、触媒化成工業株式会社製)であった。これらの内、「球状粉体であって、粒径が3〜20μmのものは、「HOLLOWY−N15」(粒径12μm)と「シリコーンKSP300」(粒径510μm)であり、この2つが毛穴に充填すべき粉体として選択された。この毛穴充填効果を、「HOLLOWY−N15」と、これとは粒径の異なる表面に多孔質層を有さず、空気粒を内包したシリカを用いて、毛穴の充填の状態を観察した。毛穴の目立つパネラーの顔に、粉体をパフで軽く擦過して、しかる後、粉体の存在状況をビデオマイクロスコープを用いて観察した。図1に12μm、図2に2μm、図3に30μmのものの写真を示す。図1のみが均一に充填していることが判る。
【0024】
<毛穴に充填すべき粉体を見えにくくする粉体の選択>
前記の評価より、拡散透過性の評価と、グロス値の評価の両方で毛穴の目立ちを補正するための化粧料用の粉体の必要要件を備えていると判定された粉体の内、「HOLLOWY−N15」(粒径12μm)と「シリコーンKSP300」(粒径510μm)以外のものは、「マルチプルビーズ」、「マルチプルビーズII」(何れも、多相被覆シリカで触媒化成工業株式会社製)、「ナイロンSP500」(ナイロン粉末、TORAY株式会社製)、「中空酸化チタンファイバー」(中空繊維状二酸化チタン、触媒化成工業株式会社製)及び「カバーリーフAR80」(多相被覆タルク、触媒化成工業株式会社製)であった。これらが毛穴に充填すべき粉体を見えにくくする粉体として選択された。
【実施例2】
【0025】
以下に示す処方に従って、毛穴を目立たなくさせるためのアンダーメークアップ(油中水乳化剤形)を作成した。即ち、イ、ロ、ハの成分を80℃に加熱し、イの成分にニの成分を分散させ、これにロの成分を加え混練りし、これに徐々にハの成分を攪拌下加えて乳化し、攪拌冷却しアンダーメークアップ1を得た。同時に「HOLLOWY−N15」と「シリコーンKSP300」とを平均粒径40μmの(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーに置換した比較例1、「中空酸化チタンファイバー」を通常の二酸化チタンに置換した比較例2、「HOLLOWY−N15」と「シリコーンKSP300」とを平均粒径40μmの(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーに置換し、且つ、「中空酸化チタンファイバー」を通常の二酸化チタンに置換した比較例3も同様に作成した。
【0026】

「シリコーンKSG210」 3 質量%
「シリコーンKF6017」 3 質量%
ジメチコン 8 質量%
シクロメチコン 13.5質量%
蔗糖ステアリン酸モノエステル 0.5質量%

1,3−ブタンジオール 10 質量%
フェノキシエタノール 0.5質量%

水 56.08質量%
硫酸マグネシウム 0.5質量%

微粒子二酸化チタン(平均粒径0.01μm) 3 質量%
「オイルセンサーパウダー」 0.1質量%
(亜鉛配位ピラードクレイ;大東化成株式会社製)
「チミロンスプレンディッドレッド」 0.1質量%
(虹彩箔(赤);エンゲルハード社製)
「ベントン38V」 1.5質量%
(ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド変性ヘクトライト;エレメンティス社製)
「カバーリーフAR−80」 0.1質量%
(タルクを二酸化チタン、シリカアルミナで順次被覆した粉体;触媒化成工業株式会社製)
シリカ(平均粒径50μm) 0.1質量%
「HOLLOWY−N15」 0.005質量%
「シリコーンKSP300」 0.005質量%
「中空酸化チタンファイバー」 0.01質量%
【0027】
(試験例1)
アンダーメークアップ1と比較例1、比較例2、比較例3とを用いて、毛穴への粉体の充填による、毛穴補正効果を調べた。即ち、毛穴の目立つパネラーを用い、洗顔後に顔の額、両頬、鼻の頭、顎先の5点に化粧料をおき、唯一度の擦過で化粧料を延展して、化粧料を塗布してもらい、化粧の前後における毛穴の周囲の状況をビデオマイクロスコープで撮影し、粉体の充填の毛穴の目立ちの状況を下記の基準に従って判定した。その結果、アンダーメークアップ1はスコア5であったのに対し、比較例1はスコア2、比較例2はスコア3、比較例3はスコア2であり、必須の成分の添加効果が確認された。
【0028】
スコア1:非常に毛穴が目立つ
スコア2:毛穴が目立つ
スコア3:やや毛穴が目立つ
スコア4:ほとんど毛穴が目立たない
スコア5:毛穴が目立たない
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、毛穴補正に好適な化粧料が製造(設計を含む)に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1の12μmの粉体の状況を表す図である。(図面代用写真)
【図2】実施例1の2μmの粉体の状況を表す図である。(図面代用写真)
【図3】実施例1の30μmの粉体の状況を表す図である。(図面代用写真)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地化粧料の製造方法であって、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体を毛穴の充填のための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することを特徴とする、下地化粧料の製造方法。
【請求項2】
更に、1)粉体そのものの拡散透過率と、油脂で湿潤させた状態における拡散透過率とを測定し、後者の値が前者の値を上回るか、拡散透過率に変化のない粉体を選択し、2)粉体そのもののグロス値と、油脂で湿潤させた状態におけるグロス値とを測定し、湿潤状態のグロス値の方が粉体そのもののグロス値よりも低い粉体を前記球状粉体を選択し、1)、2)の両方で選択された粉体の内、粒径3〜20μmの球状粉体に属さないものを、毛穴の充填のための粉体を見えにくくするための粉体として選択し、これらを化粧料に配合することを特徴とする、請求項1に記載の下地化粧料の製造方法。
【請求項3】
前記下地化粧料が、毛穴の目立ちを補正するためのものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の下地化粧料の製造方法。
【請求項4】
前記下地化粧料が専ら夏に使用されるべきものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の下地化粧料の製造方法。
【請求項5】
粉体における、油脂で湿潤させた状態が1質量部の粉体に対し、1〜2質量部のオレイン酸を含浸せしめた状態であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の下地化粧料の製造方法。
【請求項6】
下地化粧料の製造のための、毛穴を充填すべき粉体の評価法であって、粉体を、粘着剤を塗工してあっても良い支持体上に、均一な厚さで延展し、粉体そのものの拡散透過率を測定し、しかる後、塗工した粉体を油脂成分で湿潤せしめ、しかる後に、湿潤状態の拡散透過率を測定し、粉体そのものの拡散透過率と、湿潤状態の拡散透過率とを比較し、湿潤状態の拡散透過率が、粉体そのものの拡散透過率と等しいか、大きい場合に毛穴を目立たなくさせる化粧料用の粉体として適切であると判断することを特徴とする、評価法。
【請求項7】
下地化粧料の製造のための、毛穴を充填すべき粉体を見えにくくするための粉体の評価法であって、粘着剤を塗工してあっても良い支持体上に、均一な厚さで延展し、粉体そのものの光沢値(グロス値)を測定し、しかる後、塗工した粉体を油脂成分で湿潤せしめ、しかる後に、湿潤状態の光沢値(グロス値)を測定し、粉体そのものの光沢値と、湿潤状態の光沢値(グロス値)とを比較し、湿潤状態の光沢値(グロス値)が、粉体そのものの光沢値(グロス値)と等しいか、小さい場合に毛穴を目立たなくさせる化粧料用の粉体として適切であると判断することを特徴とする、評価法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−39374(P2007−39374A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−225090(P2005−225090)
【出願日】平成17年8月3日(2005.8.3)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】