不安定製品を含むミクロ及びナノメートル範囲の粒子を発生させる方法及び得られた粒子
本発明は、制御された再現可能な仕方でミクロ及びナノメートルの重合体粒子を得る方法に関する。前記粒子は、球状で、非常に狭い均一な粒径分布を有する。本発明は、二つの同心流体により形成された複合体ミクロジェットに収束させる流体力学的力を用いることに存する簡単な粒子形成法を用いることを含み、ペプチド及びプロテインから細胞及び微生物までの生物学的に興味深い壊れやすい化合物をカプセル化するのに用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された再現可能な方法で、ミクロ及びナノメートル範囲の重合体粒子を発生させることに関する。前記粒子は、球状で、非常に狭い均一な分布を有する。特に、本発明は、粒子を製造するための穏やかな方法の使用及び適用、及びペプチド及びプロテインから細胞及び微生物まで含めた生物学的に興味深い壊れやすい化合物のカプセル化で実施することについて記述する。
【背景技術】
【0002】
現在、ミクロ粒子を使用することは、製薬、生物医学、化粧品工業、食品工業、農業、家畜病治療科学、織物工業、化学、等のような分野で広く行き渡っている。就中、最も興味深い用途は、生成品を安定化し、環境から保護する方法として且つ/又はその活性度を維持する適用/相互作用点へのそのやり方でカプセル化した化合物の分布を最適にする方法として、ミクロ粒子を使用することが出来ることである。
【0003】
不安定な分子、ペプチド及びプロテイン、細胞、微生物、等のような使用される化合物が不安定であるか、又は配合、製造、分配、貯蔵、及び放出過程を含めたそれらの全体的手順中、それらの有効性を維持するために特別の条件を必要とする場合には、ミクロ粒子の使用は一層重要性を持つことになる。従って、不安定化合物を重合体マトリックス中に固定することは、医学研究、製薬研究、生体工学研究、食品工業研究、等で盛んに使用されるようになってきている方法論である。これらの分野のあるもの、即ち、食品工業、新規な薬品の開発、細胞カプセル化、等で使用することができるか否かを決定するためには、粒子の大きさが極めて重要である。
【0004】
ミクロカプセル化のための種々の方法は、三つの大きなグループ:物理化学的、化学的及び機械的方法;に分類することができる。ミクロカプセル化法は、被覆材料及び実効性のある原理の物理化学的性質に依存して選択される。それにも拘わらず、一つの材料と一つの実効性のある原理のための決まった手順は存在しない。幾つかの場合、幾つかの可能性から選択することができる〔S.ゴゥイン(Gouin)、「ミクロカプセル化:存在する技術の工業的評価」(Microencapsulation:industrial appraisal of existing technologies)、Trends Food.Sci Technol.2004;V.R.シンハ(Sinha)、A.トレハン(Trehan)「プロテイン送出のための生物分解性微小球」(Biodegradable microspheres for protein delivery)、J.Control.Rel.90,261−280(2003)〕。一般に、壊れやすい化合物のカプセル化のための最も慣習的な方法は、カプセル化用材料のイオン性乳化・ゲル化及び/又は毛細管を通して混合物を押出すことによる混合物の噴霧化を含めた技術に基づいている。それにも拘わらず、それらの方法は、まだ解決されていない問題を持っている。それらの中で、通常適用される苛酷な技術によりカプセル化された化合物の有効性又は最終的活性度が低いことを重視すべきである〔ブリーンジェルセン(Brynjelsen)S.その他、US6835396「分散凍結乾燥によるサブミクロン粒径ナノ粒子の製造」(Preparation of submicron sized nanoparticles via dispersion lyophilization);キエキューン(Kyekyoon)K.その他、US5344676、「ナノ液滴及びナノ粒子及びそれらからの薄膜堆積物を製造する方法及び装置」(Method and apparatus for producing nanodrops and nanoparticles and thin film deposits therefrom〕;及び通常、閉塞を防ぐのに充分な大きさの噴霧化用毛細管の直径により粒径が与えられるので、小さな粒径(d≦300μm)の単分散粒子を製造することが不可能なこと〔パシィフィコ(Pacifico)C.J.その他、WO 0145835、「感応性物質カプセル化」(Sensitive substance encapsulation);プルエス・ウェンジンゲ(Pluess−Wenzinge)R.その他、WO 9944735、「微生物、植物及び動物細胞、又は生物学的及び化学的物質をカプセル化するための方法及び装置」(Method and device for capsuling microbial,plant and animal cells or biological and chemical substances)〕。
【0005】
従って、生物学的性質を有する分子の粒径制御と非凝集化処理の両方を組み合わせたミクロ粒子製造方法を持つことができることは、不安定化合物のミクロカプセル化の開発で、大きな進歩を意味することになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流動収束機構(Flow Focusing system)により不安定化合物を含む粒子の製造のための方法で、前記機構の流体力学的力及び特定の幾何学的形態を、必要な性質を有する液滴を発生するように適用することと、前記液滴を固化することとを併用して、球状及び非常に狭い再現可能な粒径分布を有するナノ及びミクロメートルの大きさの粒子を得る方法の適用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により言及される粒子を製造するための機構は、図1に幾何学的形態を示した流動収束装置(Flow Focusing device)により構成される。この装置は、流体(1)の連続的供給により加圧される室で、その流体が前記室の一つの単独出口孔(D)を通って外へ排出される室からなる。室の内部には、その室の前記一つの単独出口孔の前に位置する供給点(D0)を通って一種類以上の流体(2)が注入される。室を加圧する流体の流れは、D0を通って注入された第二流体を取り巻き、それを室の外へ前記孔を通って押出し、制御された仕方で細いミクロジェットを生ずる。
【0008】
ミクロジェットは、層流の内部にあり、毛細管不安定性によりミクロジェットが切れ、制御された大きさを有する液滴分布を与えることになる。それらの液滴が生成すると、それらは乾燥及び/又は固化過程を受け、最初に生成した液滴の粒径分布に等しい均一な粒径分布及び球形を有する乾燥粒子が得られることになる。この手順中、記載した流体は、液体か又は気体である。二種類以上の流体が同時に用いられた場合、それらは、安定なミクロジェットの発生を可能にするのに充分に相互に異なっていなければならない。一般に、内側流体は、一種類以上の成分の溶液、液化固体、懸濁物、及び/又は種々の性質を有する化合物のエマルションである。
【0009】
第一の手順では、一つの単独流体を、収束用流体により加圧された室の内部にある1本の供給管を通って注入し、次に前記供給管の端の前の室壁に位置する一つの孔を通って外へ押出す。
【0010】
本発明に含まれる第二の手順では、注入される流体は異なった流体からなり、それらは同心状毛細管を通って導入される。室の内部で、これらの流体は接触し、幾つかの層の同心状流体により形成された毛細管ミクロジェットを生ずる。この毛細管ミクロジェットは加圧され、室を加圧する液体によりカメラの外へ、前記供給管の端の前の壁に位置する孔を通って押出される。
【0011】
本発明の目的は、加圧された室内部に複数の流体供給管が入った装置を使用し、それらの各供給管の前に作られた孔を通って外へ出る複数のミクロジェットを生成し、多量の粒子を得ることができるようにすることである。
【0012】
任意選択肢として、本発明には、均一な粒径分布を有する粒子の製造を更に一層促進するため、一種類以上の流体に周期的な制御された外部からの不安定化(例えば、機械的、音響的、等)を適用することが出来ることも含まれている。
【0013】
本発明の目的は、不安定な分子、ペプチド及びプロテイン、DNA、生物学的に活性な化合物、細胞、微生物、等を、カプセル化された化合物の実用性及び最終的官能性の両方を与えることができる非常に穏やかな作用条件によりカプセル化するための新規な方法を与えることにある。同様に、本発明の目的は、低分散性の予測可能で制御された粒径を有する乾燥粒子が得られる手段による方法を使用することにある。
【0014】
本発明には、環境に曝される生物学的に興味深い分子を有する粒子の製造のための方法も含まれる。
【0015】
壊れやすい化合物をカプセル化するために、幾何学的効果と流体力学的効果とを組み合わせたこの技術を使用できるようにする主たる有利な特徴は、次の通りである:
【0016】
a) 内側流体と出口孔との間には接触がないので、直接の押出しに関連した大きな剪断応力の問題が起きない。閉塞の問題も起きない。
b) 装置のどのような他の大きさ(孔、供給管、等)よりも小さな粒子を生成することができ、それは、注入孔により大きさが与えられる他の押出し技師では不可能である。
c) 粒径は制御することができ、再現可能である。
d) 粒子の粒径分布は非常に狭く、カプセル化化合物に影響を与えることがあるミクロジェット励起の一層複雑な他の機構に依存する必要はなく、後で選別する必要もない。
e) 完全に再現可能な方法である。
f) 異なった物理的・化学的性質(粘度、化学的化合物、等)を有する幾つかの液体の組合せを用いることができる。
g) 粒子の最終的組成及び構造は、手順の初めから制御することができる。
h) 製造方法の各段階で、徹底的な品質制御を遂行することを可能にする、粒子を連続的に製造する機構である。
【0017】
本発明の詳細な説明
本発明の詳細な説明に入る前に、我々は、本発明がここに記載する特定の成分にも、具体的な手順にも限定されるものではなく、それらは明らかに変化させても良いことを強調しなければならない。一般に、ここで用いる全ての技術は、本発明の異なった特徴を記述するために用いられており、どの場合でも、限定しようとするものではないことを理解すべきである。
【0018】
流動収束技術の特徴を考慮して、次の文書に記述された装置を用いて新規な方法が開発されてきた。それらの中には次のものが含まれる:WO9743048〔「液体噴霧法」(Liquid atomization process)〕、WO9930833〔「乾燥粒子を生成させるための装置及び手順」(Device and method for creating dry particles)〕、WO9930833〔「薬品送出のためのエアロゾルを生成させるための装置及び方法」(Device and method for creating aerosols for drug delivery)〕、WO 03066231〔「毛細管ジェット及びミクロ及びナノメーター粒子を製造するための装置」(Device for the production of capillary jets and micro− and nanometric particles〕、US6234402〔「安定化毛細管ミクロジェット及びそれを生成するための装置及び方法」(Stabilized capillary microjet and devices and methods for producing the same)〕、P200500205〔「ミクロ及びナノメーター粒径の粒子を製造するための方法及び装置」(Procedure and device for the production of particles of micro and nanometric size)〕。
【0019】
一般に、そして特に断わる場合を除き、本明細書で用いられている化学的及び技術的用語は、全て関連する分野で適用された場合に通常理解されるのと同じ意味を有するものである。
【0020】
定義
ここで用いられ、添付の特許請求の範囲で用いられている単数形(“a”、“one”、“the”)は、内容が別のことを示さない限り複数を指示することもできることに注意しなければならない。例えば、「粒子」が記載されている場合、それは一群の粒子も含み、それが「化合物」に言及している場合、それは化合物の組合せも含む等々である。
【0021】
本発明では、球、粒子、及びカプセルという用語は、それらが非中空、中空、多孔質であるか否かには関係なく、種々の層、又は複数の層、等を有するものとして特許中に記載されているミクロ及びナノ粒子についての記載において、互換性を有するものである。これらの粒子は、最終的用途により、どのような材料からでも作ることができる。
【0022】
反応性表面という用語は、球、生成した気孔及び溝の外側表面を含めた、環境と接触するようになることがある粒子の表面で、どのような組成を持っていても、適当な化学的官能性を有するどのような種類の分子とも反応し、その分子と粒子との間に一つ以上の共有結合を形成することができるようにする一連の官能基を有する粒子の表面を指す。
【0023】
本発明で、流体という用語は、気体又は液体を区別することなく言うのに用いられている。液体の場合、それは、単純な液体、混合物、溶液、懸濁物、エマルション、液化固体、等を含む。ミクロジェットという用語は、加圧室内にある内側流体の流動収束から得られた毛細管状フィラメントを指し、それは、室に開けられた孔を通って外へ出る。この用語には、種々の組成のナノ及びミクロメートルの直径をもつジェットが含まれる。
【0024】
本発明の説明
本発明の目的は、不安定な分子、ペプチド及びプロテイン、細胞、微生物、等を内部に含む粒子を製造するための方法にある。この方法は、毛細管状収束機構(capillary focusing system)に基づき、その機構は、流体力学的力の適用とその機構の特定の幾何学的形態とを組合せ、層流内部に毛細管状ミクロジェットの発生を行わせ、そのミクロジェットは毛細管不安定性により制御された粒径の非常に狭い再現可能な分布を有する液滴に切れる。それら液滴を固化した後、最初に生じた液滴の分布を維持した球状のナノ及びミクロメートルの粒径の粒子が得られる。
【0025】
本発明の基本的技術は、第一流体を、第二流体により加圧された室内にその第一流体の安定なミクロジェットで、均一な液滴に切れるミクロジェットを生ずるような仕方で導入するための機構に依存する。第一流体は液体又は気体にすることができ、第二流体も液体又は気体にすることができる。両方の流体が液体である場合、それらは供給端部から、加圧された室の外界への出口へ移動する第一流体の安定なミクロジェットを発生できるように互いに充分異なっていなければならない。
【0026】
本発明の目的は、毛細管針を通って注入された流体が液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体である場合の流動収束装置にある。その外、本発明には、複数の供給管を通って注入される流体が液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体である場合の、複数の毛細管状ミクロジェットを生成させるための流体収束装置が含まれる。
【0027】
本発明の別の目的は、互いに同心状に配置された複数の供給針を含み、それらの供給点を通って注入される流体の中で、少なくとも一つが液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体であり、粒子を生成することになる一つの単独毛細管状ミクロジェットを生ずる設計による装置を使用することにある。本発明には、複数の流体供給管で、その各々が二つ以上の同心状毛細管により構成されている供給管を使用することにより複数の毛細管状ミクロジェットを発生させる装置で、それらを通って注入される流体の中で、それぞれの供給管からの少なくとも一つが液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体であり、粒子を生成することになる一つの単独毛細管状ミクロジェットを生ずる装置を使用することが含まれる。
【0028】
本発明には、生成した液滴固化を、それらの最初の特性を失うことなく、またそれら粒子の形態及び粒径分布を変化させることがあるような凝集過程、閉塞、等を起こすことなく、可能にする、どのような慣用的機構でも適用することが含まれる。液滴を固化するためのこれらの機構の中には、溶媒除去、イオン性ゲル化、熱ゲル化、等が含まれる。
【0029】
本発明には、ミクロジェットが予測された大きさの同様な液滴に切れた瞬間に、エマルションが生成するような仕方で、動いている流体の内部にミクロジェットを発生させる、粒子を得るための方法を適用することも含まれる。既に知られている方法のいずれかにより溶媒を抽出/蒸発させた後、流動収束理論により予測されるように、球状で非常に狭い再現可能な粒径分布を有するナノ及びミクロメートル粒径の粒子が得られる。本発明により、溶媒の抽出/蒸発は、溶媒の除去により粒子の体積減少だけを起こすように行われる。この除去は、液滴の凝集現象、閉塞、等を起こすことなく迅速に行われ、それにより液滴及び最終的粒子の相対的粒径分布が維持される。或る場合には、予想された粒径よりも僅かに大きな粒径が得られ、それは、外側の収束用流体ジェットが受ける減速により、収束された流動ミクロジェットの速度低下及び拡張が、ミクロジェットが切れる前に起きることによる。
【0030】
好ましくは、得られる最終的粒子は、0.01〜1000μm、一層好ましくは0.01〜200μm、最も好ましくは0.01〜80μmの直径を有するのがよい。得られる最終的粒子は、相対標準偏差が10〜30%、一層好ましくは3〜10%、最も好ましくは3%以下である同様な粒径を持つのがよい。
【0031】
任意選択肢として、本発明には、均一な粒径分布を有する粒子の生成を更に一層促進するために、一種類以上の流体に周期的で制御された外部からの摂動(例えば、機械的、音響的、等)を適用することができることも含まれる。これらの摂動は、均一で制御されていなければならず、それらの周波数は発生したミクロジェットの特性及び要求される最終的粒径により決定されるであろう。
【0032】
本発明で言及される流体の性質及び組成は、粒子の組成及び構造、及びそれらの粒子が製造される目的の最終的用途に依存するであろう。本発明では、用語、流体は、気体又は液体を区別することなく言うのに用いられている。液体の場合、それは、単純な液体、混合物、溶液、懸濁物、エマルション、液化固体、等を含む。
【0033】
粒子の最終的組成及び構造を考慮に入れ、本発明に含まれる毛細管状流動収束装置のいずれかにより安定な毛細管状ミクロジェットを発生させるために必要な性質を有し、液滴を固化した後、予測された粒径及び均一な粒径分布を有する粒子が得られるようにする安定な系を、切れて生成する毛細管状ミクロジェットを発生させる、流体の組合せを用いなければならない。
【0034】
本発明の目的は、エマルションの生成が行われる場合、液滴を発生させるための装置は、エマルションの外側相を構成する流体中に浸漬し、エマルションの形成中、液滴が変形過程を全く受けないようにすることにある。この流体は、水性又は有機の性質を持つことができる液体であり、それらの性質は、毛細管状ジェットの解離により生ずるものと大きさが同等の粒径の液滴を含むエマルションを生じさせるため、液滴を構成する流体(一種又は多種)とは充分異なっている。装置が浸漬される流体は、粒子を得るための液滴固化処理中、エマルションの発生、及び均一性及び均質性の維持を促進する物質(表面活性剤、乳化剤、張力活性剤、等)を溶解して含むことができる。更に、エマルションが形成される流体は運動している。
【0035】
本発明には、使用する流体の性質により非常に多種類の特性を有するエマルション(例えば、w/o、o/w、o/o、w/o/w、w/o/o、等)を発生させるための方法が含まれる。
【0036】
異なった材料の粒子を生成させることができ、それらには、重合体、シリカ、金属、セラミック、等が含まれるが、それらに限定されるものではない。本発明は、重合体材料を含むのが好ましい。重合体は、水又は有機溶媒に可溶性の合成又は天然のものにすることができる。本発明の目的は、重合体材料を含む流体にあり、それらの中には次のものを含ませることができるが、それらに本発明は限定されるものではない:ポリアルコール、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン)、及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、ポリセバシン酸、ポリフマール酸、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)、及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、及びそれらの誘導体及び共重合体、ポリ(シアンクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリホスフェート、ポリ(有機ホスファセン)、ポリ(無水物−co−イミド)、多糖類、及び炭水化物誘導体、ポリ(アミノ酸)、巨大分子から誘導された重合体、前記言及したものの全ての誘導体及びそれらの共重合体。
【0037】
本発明の一つの目的は、粒子の製造で用いられる重合体材料が、粒子と分子との間に一つ以上の共有結合を形成できるようにする適用な化学的官能性を有するどのような種類の分子とも反応することができる官能性反応基を有することである。本発明の目的は、好ましくは、これらの反応基が、外側表面の方へ向いた粒子の表面中に存在していることである。本発明に含まれることは、表面に結合される分子には、生物学的に興味深い分子、好ましくはペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、蛋白質、糖蛋白質、脂質、燐脂質、炭水化物、オリゴ糖類、及びそれらの混合物が含まれることである。
【0038】
本発明には、粒子のマトリックスを構成する流体が、粒子の外部環境に曝される生物学的に興味深い共有結合分子を持つ場合の粒子の製造のための方法も含まれる。
【0039】
粒子マトリックス(単数又は複数)を構成する(多層カプセルの場合)主たる成分の外に、次の段階の全て又は幾つかの中で保護することが必要な不安定な物質及び他の化合物から流体を構成することができる:配合、分配、貯蔵及び/又はそれら物質の放出。それらの物質中には次のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:治療及び/又は予防活性を有する医薬及び化合物、使用可能な分子及び化合物、ペプチド及びプロテイン、微生物、細胞、生体分子、等、それら単独又はそれらの幾つかの混合物。
【0040】
更に、本発明の目的は、内部に不安定な物質を含む粒子が、粒子と他の分子との間に共有結合を形成することができる官能性反応基をそれらの表面に有することである。更に、本発明は、好ましい手順として、それによる反応性表面を有する粒子の発生及び壊れやすい材料のカプセル化が、本発明に含まれる上に記載した装置の一つを用いて一つの単独工程で行われる手順を有する。
【0041】
本発明を達成するための方法
例1
フルオレセインで標識付けされたBSAの、アルギネートミクロ粒子としてのカプセル化(図3)
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて、フルオレセインで標識付けしたBSA(BSA−Flu)を、11μのアルギネートミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。1本の単独供給管(D0=200;μmH=125μm)を有する毛細管状流動収束装置(D=350μm)を用いて粒子の形成を行う。毛細管状流動収束装置は、噴霧乾燥機ラブプラント(LabPlant)SD−Basicに統合されている。供給管を通して、BSA−Flu(0.17%w/v)を含む1.7%w/vアルギン酸ナトリウム〔シグマ(Sigma)〕水溶液を10ml/時の流量で注入する。連続的ガス流を導入することにより、室を300ミリバールに加圧する。87℃の温度で噴霧乾燥機中で液滴を乾燥し、その処理が終わった時に乾燥粒子として収集する。
【0042】
光学顕微鏡〔ライカ(Leica)DM LS〕及び画像編集プログラム〔d(平均)10.75μm、DS 0.71〕及び蛍光顕微鏡(ライカDMR)を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図3a、3c)。
【0043】
例2
GFPのアルギネートミクロ粒子としてのカプセル化(図4)
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて緑色蛍光蛋白質(GFP)を11μのアルギネートミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。それは、例1の場合と同じ毛細管状流動収束装置を用いる。GFP(0.04%w/v)を含む1.7%w/vアルギン酸ナトリウム水溶液を調製し、例1に記載したのと同じミクロ粒子製造手順に従う。
【0044】
光学顕微鏡及び画像編集プログラム〔d(平均)11.16μm、DS 1.36〕及び蛍光顕微鏡を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図4b、4c)。
【0045】
例3
フルオレセインで標識付けしたBSAの、ポリスチレンミクロ粒子としてのカプセル化
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて、フルオレセインで標識付けしたBSA(BSA−Flu)を、13μのポリスチレンミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。1本の単独供給管(D0=H=150μm)を有する毛細管状流動収束装置(D=100μm)を用いてエマルションの形成を行う。毛細管状流動収束装置を、1%w/vPVA水溶液中に撹拌しながら浸漬する。ジクロロメタン〔アルドリッヒ(Aldrich)〕中に入れた4%w/vのポリスチレン(アルドリッヒ、Mw=4,000〜200,000)溶液2mlに、フルオレセインで標識付けしたBSAを0.5%w/v含むEtOH〔パンレアク・ケミストリー(Panreac Chemistry)〕溶液を0.140ml連続的に撹拌しながら滴下する。この溶液を、供給管を通して1ml/時の流量で注入する。3ml/分の連続的流量で水を導入することにより室を加圧する。形成されたo/wエマルションを、撹拌しながら室温で16時間維持し、溶媒の抽出/蒸発を行う。固体粒子を遠心分離〔オルト・アルレサ(Orto Alresa)・修正、ディジセン(Digicen)20、4,000rpm、10分〕にかけ、水で3回洗浄し、冷凍乾燥し、4℃で貯蔵した。
【0046】
光学顕微鏡(ライカ DM LS)及び画像編集プログラム〔d(平均)13.27μm、DS 4.57〕及び走査電子顕微鏡〔フィリプス(Philips)XL30〕を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図5b)。
【0047】
例4
バクテリアE.Coliのアルギネートミクロ粒子としてのカプセル化
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて変性GFP生成細菌E.Coli株を11μのアルギネートミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。それは、例1の場合と同じ毛細管状流動収束装置を用いる。種々のバクテリア濃度を有する懸濁物を形成するため、2%w/vアルギン酸ナトリウム水溶液15mlに、NaCl(シグマ、1%w/v)中に入れたE.Coli(4E8c.f.u/ml)懸濁物を種々の量で添加する(表1)。懸濁物を5分間均質化し、例1に記載したのと同じミクロ粒子製造手順を行なった。この時は、液滴乾燥温度は99℃である。
【0048】
光学顕微鏡(ライカ DM LS)及び画像編集プログラム(表1)及び走査電子顕微鏡(フィリプスXL30)を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図6a〜c)。
【0049】
[表1]
表1.初期バクテリア濃度に基づくE.Coliを含むミクロ粒子の粒径分布
E.Coli濃度 d(平均)(μm) DS(μm)
2・108cfu/g 10.3 1.16
8・108cfu/g 11.15 1.16
1,3・109cfu/g 11.51 1.16
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本文に記載した方法による一種類の流体を注入することにより粒子を発生させるための装置の基本的部品:(1)収束する流体、(2)収束した流体、(3)メニスカス;を有する全体的構造図である。
【図2】二つの同心状流体を注入することにより粒子を発生させるための装置の基本的部品:(1)収束する流体、(2)収束した流体、(3)メニスカス;を有する全体的構造図である。
【図3】図3aは、BSA−Fluを含むアルギネート粒子の顕微鏡写真であり、図3bは、染料を全く含まない、BSAを含むアルギネート粒子の蛍光顕微鏡像であり、図3cは、フルオレセインを含むBSAを含むアルギネート粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図4】図4aは、アルギネート粒子の蛍光顕微鏡像であり、図4bは、GFPを含むアルギネート粒子の顕微鏡写真であり、図4cは、図4bのGFPを含むアルギネート粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図5】図5aは、ピレン粒子の蛍光顕微鏡像であり、図5bは、フルオレセインを含むBSAを含むポリスチレン粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図6】図6a〜図6cは、変性GFP生成細菌E.Coli株の種々の濃度、夫々、a)2・108cfu/g、b)8・108cfu/g、c)1.3・109cfu/gで含むアルギネートミクロ粒子の蛍光顕微鏡像である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された再現可能な方法で、ミクロ及びナノメートル範囲の重合体粒子を発生させることに関する。前記粒子は、球状で、非常に狭い均一な分布を有する。特に、本発明は、粒子を製造するための穏やかな方法の使用及び適用、及びペプチド及びプロテインから細胞及び微生物まで含めた生物学的に興味深い壊れやすい化合物のカプセル化で実施することについて記述する。
【背景技術】
【0002】
現在、ミクロ粒子を使用することは、製薬、生物医学、化粧品工業、食品工業、農業、家畜病治療科学、織物工業、化学、等のような分野で広く行き渡っている。就中、最も興味深い用途は、生成品を安定化し、環境から保護する方法として且つ/又はその活性度を維持する適用/相互作用点へのそのやり方でカプセル化した化合物の分布を最適にする方法として、ミクロ粒子を使用することが出来ることである。
【0003】
不安定な分子、ペプチド及びプロテイン、細胞、微生物、等のような使用される化合物が不安定であるか、又は配合、製造、分配、貯蔵、及び放出過程を含めたそれらの全体的手順中、それらの有効性を維持するために特別の条件を必要とする場合には、ミクロ粒子の使用は一層重要性を持つことになる。従って、不安定化合物を重合体マトリックス中に固定することは、医学研究、製薬研究、生体工学研究、食品工業研究、等で盛んに使用されるようになってきている方法論である。これらの分野のあるもの、即ち、食品工業、新規な薬品の開発、細胞カプセル化、等で使用することができるか否かを決定するためには、粒子の大きさが極めて重要である。
【0004】
ミクロカプセル化のための種々の方法は、三つの大きなグループ:物理化学的、化学的及び機械的方法;に分類することができる。ミクロカプセル化法は、被覆材料及び実効性のある原理の物理化学的性質に依存して選択される。それにも拘わらず、一つの材料と一つの実効性のある原理のための決まった手順は存在しない。幾つかの場合、幾つかの可能性から選択することができる〔S.ゴゥイン(Gouin)、「ミクロカプセル化:存在する技術の工業的評価」(Microencapsulation:industrial appraisal of existing technologies)、Trends Food.Sci Technol.2004;V.R.シンハ(Sinha)、A.トレハン(Trehan)「プロテイン送出のための生物分解性微小球」(Biodegradable microspheres for protein delivery)、J.Control.Rel.90,261−280(2003)〕。一般に、壊れやすい化合物のカプセル化のための最も慣習的な方法は、カプセル化用材料のイオン性乳化・ゲル化及び/又は毛細管を通して混合物を押出すことによる混合物の噴霧化を含めた技術に基づいている。それにも拘わらず、それらの方法は、まだ解決されていない問題を持っている。それらの中で、通常適用される苛酷な技術によりカプセル化された化合物の有効性又は最終的活性度が低いことを重視すべきである〔ブリーンジェルセン(Brynjelsen)S.その他、US6835396「分散凍結乾燥によるサブミクロン粒径ナノ粒子の製造」(Preparation of submicron sized nanoparticles via dispersion lyophilization);キエキューン(Kyekyoon)K.その他、US5344676、「ナノ液滴及びナノ粒子及びそれらからの薄膜堆積物を製造する方法及び装置」(Method and apparatus for producing nanodrops and nanoparticles and thin film deposits therefrom〕;及び通常、閉塞を防ぐのに充分な大きさの噴霧化用毛細管の直径により粒径が与えられるので、小さな粒径(d≦300μm)の単分散粒子を製造することが不可能なこと〔パシィフィコ(Pacifico)C.J.その他、WO 0145835、「感応性物質カプセル化」(Sensitive substance encapsulation);プルエス・ウェンジンゲ(Pluess−Wenzinge)R.その他、WO 9944735、「微生物、植物及び動物細胞、又は生物学的及び化学的物質をカプセル化するための方法及び装置」(Method and device for capsuling microbial,plant and animal cells or biological and chemical substances)〕。
【0005】
従って、生物学的性質を有する分子の粒径制御と非凝集化処理の両方を組み合わせたミクロ粒子製造方法を持つことができることは、不安定化合物のミクロカプセル化の開発で、大きな進歩を意味することになるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流動収束機構(Flow Focusing system)により不安定化合物を含む粒子の製造のための方法で、前記機構の流体力学的力及び特定の幾何学的形態を、必要な性質を有する液滴を発生するように適用することと、前記液滴を固化することとを併用して、球状及び非常に狭い再現可能な粒径分布を有するナノ及びミクロメートルの大きさの粒子を得る方法の適用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により言及される粒子を製造するための機構は、図1に幾何学的形態を示した流動収束装置(Flow Focusing device)により構成される。この装置は、流体(1)の連続的供給により加圧される室で、その流体が前記室の一つの単独出口孔(D)を通って外へ排出される室からなる。室の内部には、その室の前記一つの単独出口孔の前に位置する供給点(D0)を通って一種類以上の流体(2)が注入される。室を加圧する流体の流れは、D0を通って注入された第二流体を取り巻き、それを室の外へ前記孔を通って押出し、制御された仕方で細いミクロジェットを生ずる。
【0008】
ミクロジェットは、層流の内部にあり、毛細管不安定性によりミクロジェットが切れ、制御された大きさを有する液滴分布を与えることになる。それらの液滴が生成すると、それらは乾燥及び/又は固化過程を受け、最初に生成した液滴の粒径分布に等しい均一な粒径分布及び球形を有する乾燥粒子が得られることになる。この手順中、記載した流体は、液体か又は気体である。二種類以上の流体が同時に用いられた場合、それらは、安定なミクロジェットの発生を可能にするのに充分に相互に異なっていなければならない。一般に、内側流体は、一種類以上の成分の溶液、液化固体、懸濁物、及び/又は種々の性質を有する化合物のエマルションである。
【0009】
第一の手順では、一つの単独流体を、収束用流体により加圧された室の内部にある1本の供給管を通って注入し、次に前記供給管の端の前の室壁に位置する一つの孔を通って外へ押出す。
【0010】
本発明に含まれる第二の手順では、注入される流体は異なった流体からなり、それらは同心状毛細管を通って導入される。室の内部で、これらの流体は接触し、幾つかの層の同心状流体により形成された毛細管ミクロジェットを生ずる。この毛細管ミクロジェットは加圧され、室を加圧する液体によりカメラの外へ、前記供給管の端の前の壁に位置する孔を通って押出される。
【0011】
本発明の目的は、加圧された室内部に複数の流体供給管が入った装置を使用し、それらの各供給管の前に作られた孔を通って外へ出る複数のミクロジェットを生成し、多量の粒子を得ることができるようにすることである。
【0012】
任意選択肢として、本発明には、均一な粒径分布を有する粒子の製造を更に一層促進するため、一種類以上の流体に周期的な制御された外部からの不安定化(例えば、機械的、音響的、等)を適用することが出来ることも含まれている。
【0013】
本発明の目的は、不安定な分子、ペプチド及びプロテイン、DNA、生物学的に活性な化合物、細胞、微生物、等を、カプセル化された化合物の実用性及び最終的官能性の両方を与えることができる非常に穏やかな作用条件によりカプセル化するための新規な方法を与えることにある。同様に、本発明の目的は、低分散性の予測可能で制御された粒径を有する乾燥粒子が得られる手段による方法を使用することにある。
【0014】
本発明には、環境に曝される生物学的に興味深い分子を有する粒子の製造のための方法も含まれる。
【0015】
壊れやすい化合物をカプセル化するために、幾何学的効果と流体力学的効果とを組み合わせたこの技術を使用できるようにする主たる有利な特徴は、次の通りである:
【0016】
a) 内側流体と出口孔との間には接触がないので、直接の押出しに関連した大きな剪断応力の問題が起きない。閉塞の問題も起きない。
b) 装置のどのような他の大きさ(孔、供給管、等)よりも小さな粒子を生成することができ、それは、注入孔により大きさが与えられる他の押出し技師では不可能である。
c) 粒径は制御することができ、再現可能である。
d) 粒子の粒径分布は非常に狭く、カプセル化化合物に影響を与えることがあるミクロジェット励起の一層複雑な他の機構に依存する必要はなく、後で選別する必要もない。
e) 完全に再現可能な方法である。
f) 異なった物理的・化学的性質(粘度、化学的化合物、等)を有する幾つかの液体の組合せを用いることができる。
g) 粒子の最終的組成及び構造は、手順の初めから制御することができる。
h) 製造方法の各段階で、徹底的な品質制御を遂行することを可能にする、粒子を連続的に製造する機構である。
【0017】
本発明の詳細な説明
本発明の詳細な説明に入る前に、我々は、本発明がここに記載する特定の成分にも、具体的な手順にも限定されるものではなく、それらは明らかに変化させても良いことを強調しなければならない。一般に、ここで用いる全ての技術は、本発明の異なった特徴を記述するために用いられており、どの場合でも、限定しようとするものではないことを理解すべきである。
【0018】
流動収束技術の特徴を考慮して、次の文書に記述された装置を用いて新規な方法が開発されてきた。それらの中には次のものが含まれる:WO9743048〔「液体噴霧法」(Liquid atomization process)〕、WO9930833〔「乾燥粒子を生成させるための装置及び手順」(Device and method for creating dry particles)〕、WO9930833〔「薬品送出のためのエアロゾルを生成させるための装置及び方法」(Device and method for creating aerosols for drug delivery)〕、WO 03066231〔「毛細管ジェット及びミクロ及びナノメーター粒子を製造するための装置」(Device for the production of capillary jets and micro− and nanometric particles〕、US6234402〔「安定化毛細管ミクロジェット及びそれを生成するための装置及び方法」(Stabilized capillary microjet and devices and methods for producing the same)〕、P200500205〔「ミクロ及びナノメーター粒径の粒子を製造するための方法及び装置」(Procedure and device for the production of particles of micro and nanometric size)〕。
【0019】
一般に、そして特に断わる場合を除き、本明細書で用いられている化学的及び技術的用語は、全て関連する分野で適用された場合に通常理解されるのと同じ意味を有するものである。
【0020】
定義
ここで用いられ、添付の特許請求の範囲で用いられている単数形(“a”、“one”、“the”)は、内容が別のことを示さない限り複数を指示することもできることに注意しなければならない。例えば、「粒子」が記載されている場合、それは一群の粒子も含み、それが「化合物」に言及している場合、それは化合物の組合せも含む等々である。
【0021】
本発明では、球、粒子、及びカプセルという用語は、それらが非中空、中空、多孔質であるか否かには関係なく、種々の層、又は複数の層、等を有するものとして特許中に記載されているミクロ及びナノ粒子についての記載において、互換性を有するものである。これらの粒子は、最終的用途により、どのような材料からでも作ることができる。
【0022】
反応性表面という用語は、球、生成した気孔及び溝の外側表面を含めた、環境と接触するようになることがある粒子の表面で、どのような組成を持っていても、適当な化学的官能性を有するどのような種類の分子とも反応し、その分子と粒子との間に一つ以上の共有結合を形成することができるようにする一連の官能基を有する粒子の表面を指す。
【0023】
本発明で、流体という用語は、気体又は液体を区別することなく言うのに用いられている。液体の場合、それは、単純な液体、混合物、溶液、懸濁物、エマルション、液化固体、等を含む。ミクロジェットという用語は、加圧室内にある内側流体の流動収束から得られた毛細管状フィラメントを指し、それは、室に開けられた孔を通って外へ出る。この用語には、種々の組成のナノ及びミクロメートルの直径をもつジェットが含まれる。
【0024】
本発明の説明
本発明の目的は、不安定な分子、ペプチド及びプロテイン、細胞、微生物、等を内部に含む粒子を製造するための方法にある。この方法は、毛細管状収束機構(capillary focusing system)に基づき、その機構は、流体力学的力の適用とその機構の特定の幾何学的形態とを組合せ、層流内部に毛細管状ミクロジェットの発生を行わせ、そのミクロジェットは毛細管不安定性により制御された粒径の非常に狭い再現可能な分布を有する液滴に切れる。それら液滴を固化した後、最初に生じた液滴の分布を維持した球状のナノ及びミクロメートルの粒径の粒子が得られる。
【0025】
本発明の基本的技術は、第一流体を、第二流体により加圧された室内にその第一流体の安定なミクロジェットで、均一な液滴に切れるミクロジェットを生ずるような仕方で導入するための機構に依存する。第一流体は液体又は気体にすることができ、第二流体も液体又は気体にすることができる。両方の流体が液体である場合、それらは供給端部から、加圧された室の外界への出口へ移動する第一流体の安定なミクロジェットを発生できるように互いに充分異なっていなければならない。
【0026】
本発明の目的は、毛細管針を通って注入された流体が液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体である場合の流動収束装置にある。その外、本発明には、複数の供給管を通って注入される流体が液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体である場合の、複数の毛細管状ミクロジェットを生成させるための流体収束装置が含まれる。
【0027】
本発明の別の目的は、互いに同心状に配置された複数の供給針を含み、それらの供給点を通って注入される流体の中で、少なくとも一つが液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体であり、粒子を生成することになる一つの単独毛細管状ミクロジェットを生ずる設計による装置を使用することにある。本発明には、複数の流体供給管で、その各々が二つ以上の同心状毛細管により構成されている供給管を使用することにより複数の毛細管状ミクロジェットを発生させる装置で、それらを通って注入される流体の中で、それぞれの供給管からの少なくとも一つが液体であり、室を加圧する流体が液体又は気体であり、粒子を生成することになる一つの単独毛細管状ミクロジェットを生ずる装置を使用することが含まれる。
【0028】
本発明には、生成した液滴固化を、それらの最初の特性を失うことなく、またそれら粒子の形態及び粒径分布を変化させることがあるような凝集過程、閉塞、等を起こすことなく、可能にする、どのような慣用的機構でも適用することが含まれる。液滴を固化するためのこれらの機構の中には、溶媒除去、イオン性ゲル化、熱ゲル化、等が含まれる。
【0029】
本発明には、ミクロジェットが予測された大きさの同様な液滴に切れた瞬間に、エマルションが生成するような仕方で、動いている流体の内部にミクロジェットを発生させる、粒子を得るための方法を適用することも含まれる。既に知られている方法のいずれかにより溶媒を抽出/蒸発させた後、流動収束理論により予測されるように、球状で非常に狭い再現可能な粒径分布を有するナノ及びミクロメートル粒径の粒子が得られる。本発明により、溶媒の抽出/蒸発は、溶媒の除去により粒子の体積減少だけを起こすように行われる。この除去は、液滴の凝集現象、閉塞、等を起こすことなく迅速に行われ、それにより液滴及び最終的粒子の相対的粒径分布が維持される。或る場合には、予想された粒径よりも僅かに大きな粒径が得られ、それは、外側の収束用流体ジェットが受ける減速により、収束された流動ミクロジェットの速度低下及び拡張が、ミクロジェットが切れる前に起きることによる。
【0030】
好ましくは、得られる最終的粒子は、0.01〜1000μm、一層好ましくは0.01〜200μm、最も好ましくは0.01〜80μmの直径を有するのがよい。得られる最終的粒子は、相対標準偏差が10〜30%、一層好ましくは3〜10%、最も好ましくは3%以下である同様な粒径を持つのがよい。
【0031】
任意選択肢として、本発明には、均一な粒径分布を有する粒子の生成を更に一層促進するために、一種類以上の流体に周期的で制御された外部からの摂動(例えば、機械的、音響的、等)を適用することができることも含まれる。これらの摂動は、均一で制御されていなければならず、それらの周波数は発生したミクロジェットの特性及び要求される最終的粒径により決定されるであろう。
【0032】
本発明で言及される流体の性質及び組成は、粒子の組成及び構造、及びそれらの粒子が製造される目的の最終的用途に依存するであろう。本発明では、用語、流体は、気体又は液体を区別することなく言うのに用いられている。液体の場合、それは、単純な液体、混合物、溶液、懸濁物、エマルション、液化固体、等を含む。
【0033】
粒子の最終的組成及び構造を考慮に入れ、本発明に含まれる毛細管状流動収束装置のいずれかにより安定な毛細管状ミクロジェットを発生させるために必要な性質を有し、液滴を固化した後、予測された粒径及び均一な粒径分布を有する粒子が得られるようにする安定な系を、切れて生成する毛細管状ミクロジェットを発生させる、流体の組合せを用いなければならない。
【0034】
本発明の目的は、エマルションの生成が行われる場合、液滴を発生させるための装置は、エマルションの外側相を構成する流体中に浸漬し、エマルションの形成中、液滴が変形過程を全く受けないようにすることにある。この流体は、水性又は有機の性質を持つことができる液体であり、それらの性質は、毛細管状ジェットの解離により生ずるものと大きさが同等の粒径の液滴を含むエマルションを生じさせるため、液滴を構成する流体(一種又は多種)とは充分異なっている。装置が浸漬される流体は、粒子を得るための液滴固化処理中、エマルションの発生、及び均一性及び均質性の維持を促進する物質(表面活性剤、乳化剤、張力活性剤、等)を溶解して含むことができる。更に、エマルションが形成される流体は運動している。
【0035】
本発明には、使用する流体の性質により非常に多種類の特性を有するエマルション(例えば、w/o、o/w、o/o、w/o/w、w/o/o、等)を発生させるための方法が含まれる。
【0036】
異なった材料の粒子を生成させることができ、それらには、重合体、シリカ、金属、セラミック、等が含まれるが、それらに限定されるものではない。本発明は、重合体材料を含むのが好ましい。重合体は、水又は有機溶媒に可溶性の合成又は天然のものにすることができる。本発明の目的は、重合体材料を含む流体にあり、それらの中には次のものを含ませることができるが、それらに本発明は限定されるものではない:ポリアルコール、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン)、及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、ポリセバシン酸、ポリフマール酸、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)、及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、及びそれらの誘導体及び共重合体、ポリ(シアンクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリホスフェート、ポリ(有機ホスファセン)、ポリ(無水物−co−イミド)、多糖類、及び炭水化物誘導体、ポリ(アミノ酸)、巨大分子から誘導された重合体、前記言及したものの全ての誘導体及びそれらの共重合体。
【0037】
本発明の一つの目的は、粒子の製造で用いられる重合体材料が、粒子と分子との間に一つ以上の共有結合を形成できるようにする適用な化学的官能性を有するどのような種類の分子とも反応することができる官能性反応基を有することである。本発明の目的は、好ましくは、これらの反応基が、外側表面の方へ向いた粒子の表面中に存在していることである。本発明に含まれることは、表面に結合される分子には、生物学的に興味深い分子、好ましくはペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、蛋白質、糖蛋白質、脂質、燐脂質、炭水化物、オリゴ糖類、及びそれらの混合物が含まれることである。
【0038】
本発明には、粒子のマトリックスを構成する流体が、粒子の外部環境に曝される生物学的に興味深い共有結合分子を持つ場合の粒子の製造のための方法も含まれる。
【0039】
粒子マトリックス(単数又は複数)を構成する(多層カプセルの場合)主たる成分の外に、次の段階の全て又は幾つかの中で保護することが必要な不安定な物質及び他の化合物から流体を構成することができる:配合、分配、貯蔵及び/又はそれら物質の放出。それらの物質中には次のものが含まれるが、それらに限定されるものではない:治療及び/又は予防活性を有する医薬及び化合物、使用可能な分子及び化合物、ペプチド及びプロテイン、微生物、細胞、生体分子、等、それら単独又はそれらの幾つかの混合物。
【0040】
更に、本発明の目的は、内部に不安定な物質を含む粒子が、粒子と他の分子との間に共有結合を形成することができる官能性反応基をそれらの表面に有することである。更に、本発明は、好ましい手順として、それによる反応性表面を有する粒子の発生及び壊れやすい材料のカプセル化が、本発明に含まれる上に記載した装置の一つを用いて一つの単独工程で行われる手順を有する。
【0041】
本発明を達成するための方法
例1
フルオレセインで標識付けされたBSAの、アルギネートミクロ粒子としてのカプセル化(図3)
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて、フルオレセインで標識付けしたBSA(BSA−Flu)を、11μのアルギネートミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。1本の単独供給管(D0=200;μmH=125μm)を有する毛細管状流動収束装置(D=350μm)を用いて粒子の形成を行う。毛細管状流動収束装置は、噴霧乾燥機ラブプラント(LabPlant)SD−Basicに統合されている。供給管を通して、BSA−Flu(0.17%w/v)を含む1.7%w/vアルギン酸ナトリウム〔シグマ(Sigma)〕水溶液を10ml/時の流量で注入する。連続的ガス流を導入することにより、室を300ミリバールに加圧する。87℃の温度で噴霧乾燥機中で液滴を乾燥し、その処理が終わった時に乾燥粒子として収集する。
【0042】
光学顕微鏡〔ライカ(Leica)DM LS〕及び画像編集プログラム〔d(平均)10.75μm、DS 0.71〕及び蛍光顕微鏡(ライカDMR)を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図3a、3c)。
【0043】
例2
GFPのアルギネートミクロ粒子としてのカプセル化(図4)
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて緑色蛍光蛋白質(GFP)を11μのアルギネートミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。それは、例1の場合と同じ毛細管状流動収束装置を用いる。GFP(0.04%w/v)を含む1.7%w/vアルギン酸ナトリウム水溶液を調製し、例1に記載したのと同じミクロ粒子製造手順に従う。
【0044】
光学顕微鏡及び画像編集プログラム〔d(平均)11.16μm、DS 1.36〕及び蛍光顕微鏡を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図4b、4c)。
【0045】
例3
フルオレセインで標識付けしたBSAの、ポリスチレンミクロ粒子としてのカプセル化
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて、フルオレセインで標識付けしたBSA(BSA−Flu)を、13μのポリスチレンミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。1本の単独供給管(D0=H=150μm)を有する毛細管状流動収束装置(D=100μm)を用いてエマルションの形成を行う。毛細管状流動収束装置を、1%w/vPVA水溶液中に撹拌しながら浸漬する。ジクロロメタン〔アルドリッヒ(Aldrich)〕中に入れた4%w/vのポリスチレン(アルドリッヒ、Mw=4,000〜200,000)溶液2mlに、フルオレセインで標識付けしたBSAを0.5%w/v含むEtOH〔パンレアク・ケミストリー(Panreac Chemistry)〕溶液を0.140ml連続的に撹拌しながら滴下する。この溶液を、供給管を通して1ml/時の流量で注入する。3ml/分の連続的流量で水を導入することにより室を加圧する。形成されたo/wエマルションを、撹拌しながら室温で16時間維持し、溶媒の抽出/蒸発を行う。固体粒子を遠心分離〔オルト・アルレサ(Orto Alresa)・修正、ディジセン(Digicen)20、4,000rpm、10分〕にかけ、水で3回洗浄し、冷凍乾燥し、4℃で貯蔵した。
【0046】
光学顕微鏡(ライカ DM LS)及び画像編集プログラム〔d(平均)13.27μm、DS 4.57〕及び走査電子顕微鏡〔フィリプス(Philips)XL30〕を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図5b)。
【0047】
例4
バクテリアE.Coliのアルギネートミクロ粒子としてのカプセル化
次の例は、気・液形態の流動収束技術を用いて変性GFP生成細菌E.Coli株を11μのアルギネートミクロ粒子としてカプセル化する手順を示す。それは、例1の場合と同じ毛細管状流動収束装置を用いる。種々のバクテリア濃度を有する懸濁物を形成するため、2%w/vアルギン酸ナトリウム水溶液15mlに、NaCl(シグマ、1%w/v)中に入れたE.Coli(4E8c.f.u/ml)懸濁物を種々の量で添加する(表1)。懸濁物を5分間均質化し、例1に記載したのと同じミクロ粒子製造手順を行なった。この時は、液滴乾燥温度は99℃である。
【0048】
光学顕微鏡(ライカ DM LS)及び画像編集プログラム(表1)及び走査電子顕微鏡(フィリプスXL30)を用いてミクロ粒子の分析を行なった(図6a〜c)。
【0049】
[表1]
表1.初期バクテリア濃度に基づくE.Coliを含むミクロ粒子の粒径分布
E.Coli濃度 d(平均)(μm) DS(μm)
2・108cfu/g 10.3 1.16
8・108cfu/g 11.15 1.16
1,3・109cfu/g 11.51 1.16
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本文に記載した方法による一種類の流体を注入することにより粒子を発生させるための装置の基本的部品:(1)収束する流体、(2)収束した流体、(3)メニスカス;を有する全体的構造図である。
【図2】二つの同心状流体を注入することにより粒子を発生させるための装置の基本的部品:(1)収束する流体、(2)収束した流体、(3)メニスカス;を有する全体的構造図である。
【図3】図3aは、BSA−Fluを含むアルギネート粒子の顕微鏡写真であり、図3bは、染料を全く含まない、BSAを含むアルギネート粒子の蛍光顕微鏡像であり、図3cは、フルオレセインを含むBSAを含むアルギネート粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図4】図4aは、アルギネート粒子の蛍光顕微鏡像であり、図4bは、GFPを含むアルギネート粒子の顕微鏡写真であり、図4cは、図4bのGFPを含むアルギネート粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図5】図5aは、ピレン粒子の蛍光顕微鏡像であり、図5bは、フルオレセインを含むBSAを含むポリスチレン粒子の蛍光顕微鏡像である。
【図6】図6a〜図6cは、変性GFP生成細菌E.Coli株の種々の濃度、夫々、a)2・108cfu/g、b)8・108cfu/g、c)1.3・109cfu/gで含むアルギネートミクロ粒子の蛍光顕微鏡像である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子の製造のための方法において、流動収束装置を用い、次に固化工程を行い、液滴を粒子に変えることにより行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも一種類の収束する流体が液体でなければならないことを特徴とする、請求項1に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子の製造のための方法。
【請求項3】
収束された液体流体が、収束する流体により収束された流体の安定なミクロジェットを形成するために選択された、単純液体、混合物、溶液、懸濁物、エマルション、液化固体とすることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項4】
用いられる少なくとも一種類の収束された液体流体が不安定化合物を含み、該不安定化合物がそれらを含む粒子内にカプセル化されなければならないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項5】
用いられる収束された液体流体の少なくとも一つが、重合体材料、シリカ、金属、又はセラミックを含み、それらが粒子のマトリックスを構成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項6】
収束された液体流体の少なくとも一つが、好ましくは、重合体材料の溶液、混合物、懸濁物及び/又は均一なエマルションであることを特徴とする、請求項5に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項7】
注入された重合体材料を、水又は有機溶媒に可溶性の合成又は天然のものとすることができることを特徴とする、請求項6に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項8】
重合体材料が、好ましくは下記:ポリアルコール、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、ポリセバシン酸、ポリフマール酸、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ(シアンクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリホスフェート、ポリ(有機ホスファセン)、ポリ(無水物−co−イミド)、多糖類、及び炭水化物誘導体、ポリ(アミノ酸)及び巨大分子から誘導された重合体;の中から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項9】
用いられる重合体材料が、適当な化学的官能性を有する分子であって、その分子と粒子との間に一つ以上の共有結合を形成することができるような任意の種類の分子と反応することができる官能性反応基を有することを特徴とする、請求項8に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項10】
本発明に含まれる不安定製品が、熱不安定性、光感応性、酵素感応性、微生物感応性、及び化学的感応性を示すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により形成された、カプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項11】
不安定製品が、有機分子、医薬、治療及び/又は予防活性を有する化合物、ペプチド、プロテイン及び多様な錯体、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、DNA、RNA、ウイルス及び関連細胞小器官、細胞、微生物及びそれらの混合物であることを特徴とする、請求項10に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項12】
粒子のマトリックスが、重合体材料、シリカ、金属又はセラミックを含有することを特徴とする、請求項10〜11のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項13】
マトリックスが、好ましくは、重合体材料の溶液、混合物、懸濁物及び/又は均一なエマルションであることを特徴とする、請求項12に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項14】
重合体材料を、水又は有機溶媒に可溶性の合成又は天然のものとすることができることを特徴とする、請求項13に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項15】
重合体材料が、好ましくは、下記の:ポリアルコール、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、ポリセバシン酸、ポリフマール酸、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ(シアンクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリホスフェート、ポリ(有機ホスファセン)、ポリ(無水物−co−イミド)、多糖類、及び炭水化物誘導体、ポリ(アミノ酸)、巨大分子から誘導された重合体、前述のものの全ての誘導体及びそれらの共重合体;の中から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項16】
適用された重合体材料が、適当な化学的官能性を有する分子であって、その分子と粒子との間に一つ以上の共有結合を形成することができるような任意の種類の分子と反応することができる官能性反応基を有することを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項17】
用いる材料の反応基が、外部環境に露出される液滴の表面に位置していることを特徴とする、請求項16に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項18】
粒子マトリックスを構成する材料が、粒子、好ましくは、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、蛋白質、糖蛋白質、脂質、燐脂質、炭水化物、オリゴ糖類及びそれらの混合物の外側に露出される生物学的に興味深い共有結合分子を持つことができることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項19】
粒子が0.01〜1000μの直径を有することを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項20】
粒子が、相対標準偏差が10〜30%、好ましくは3〜10%、一層好ましくは3%より小さい粒径分布を有することを特徴とする、請求項10〜19のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項21】
得られる粒子を、密、中空又は多孔質とすることができることを特徴とする、請求項10〜20のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項22】
粒子が均一なマトリックスを有することを特徴とする、請求項10〜21のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項23】
粒子が、異なる同心層により構成された不均質なマトリックスを有することを特徴とする、請求項10〜21のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項24】
粒子が、それらの表面に、生物学的に興味深い分子、好ましくはペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、蛋白質、糖蛋白質、脂質、燐脂質、炭水化物、オリゴ糖類及びそれらの混合物と共有結合を形成することができる官能性反応基を有する、請求項10〜23のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項1】
カプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子の製造のための方法において、流動収束装置を用い、次に固化工程を行い、液滴を粒子に変えることにより行われることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも一種類の収束する流体が液体でなければならないことを特徴とする、請求項1に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子の製造のための方法。
【請求項3】
収束された液体流体が、収束する流体により収束された流体の安定なミクロジェットを形成するために選択された、単純液体、混合物、溶液、懸濁物、エマルション、液化固体とすることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項4】
用いられる少なくとも一種類の収束された液体流体が不安定化合物を含み、該不安定化合物がそれらを含む粒子内にカプセル化されなければならないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項5】
用いられる収束された液体流体の少なくとも一つが、重合体材料、シリカ、金属、又はセラミックを含み、それらが粒子のマトリックスを構成することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項6】
収束された液体流体の少なくとも一つが、好ましくは、重合体材料の溶液、混合物、懸濁物及び/又は均一なエマルションであることを特徴とする、請求項5に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項7】
注入された重合体材料を、水又は有機溶媒に可溶性の合成又は天然のものとすることができることを特徴とする、請求項6に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項8】
重合体材料が、好ましくは下記:ポリアルコール、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、ポリセバシン酸、ポリフマール酸、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ(シアンクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリホスフェート、ポリ(有機ホスファセン)、ポリ(無水物−co−イミド)、多糖類、及び炭水化物誘導体、ポリ(アミノ酸)及び巨大分子から誘導された重合体;の中から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項9】
用いられる重合体材料が、適当な化学的官能性を有する分子であって、その分子と粒子との間に一つ以上の共有結合を形成することができるような任意の種類の分子と反応することができる官能性反応基を有することを特徴とする、請求項8に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子を得る方法。
【請求項10】
本発明に含まれる不安定製品が、熱不安定性、光感応性、酵素感応性、微生物感応性、及び化学的感応性を示すことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により形成された、カプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項11】
不安定製品が、有機分子、医薬、治療及び/又は予防活性を有する化合物、ペプチド、プロテイン及び多様な錯体、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、DNA、RNA、ウイルス及び関連細胞小器官、細胞、微生物及びそれらの混合物であることを特徴とする、請求項10に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項12】
粒子のマトリックスが、重合体材料、シリカ、金属又はセラミックを含有することを特徴とする、請求項10〜11のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項13】
マトリックスが、好ましくは、重合体材料の溶液、混合物、懸濁物及び/又は均一なエマルションであることを特徴とする、請求項12に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項14】
重合体材料を、水又は有機溶媒に可溶性の合成又は天然のものとすることができることを特徴とする、請求項13に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項15】
重合体材料が、好ましくは、下記の:ポリアルコール、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(カプロラクトン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリオルトエステル、ポリ無水物(例えば、ポリセバシン酸、ポリフマール酸、ポリ(カルボキシフェノキシプロパン)、ポリ(カルボキシフェノキシヘキサン)及び同様なもの及びそれらの共重合体)、ポリアルデヒド、ポリケトン、ポリカーボネート、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリ(シアンクリレート)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化物、ポリフッ化物、ポリビニル誘導体、ポリオレフィン、ポリホスフェート、ポリ(有機ホスファセン)、ポリ(無水物−co−イミド)、多糖類、及び炭水化物誘導体、ポリ(アミノ酸)、巨大分子から誘導された重合体、前述のものの全ての誘導体及びそれらの共重合体;の中から選択されることを特徴とする、請求項14に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項16】
適用された重合体材料が、適当な化学的官能性を有する分子であって、その分子と粒子との間に一つ以上の共有結合を形成することができるような任意の種類の分子と反応することができる官能性反応基を有することを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項17】
用いる材料の反応基が、外部環境に露出される液滴の表面に位置していることを特徴とする、請求項16に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項18】
粒子マトリックスを構成する材料が、粒子、好ましくは、ペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、蛋白質、糖蛋白質、脂質、燐脂質、炭水化物、オリゴ糖類及びそれらの混合物の外側に露出される生物学的に興味深い共有結合分子を持つことができることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項19】
粒子が0.01〜1000μの直径を有することを特徴とする、請求項10〜18のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項20】
粒子が、相対標準偏差が10〜30%、好ましくは3〜10%、一層好ましくは3%より小さい粒径分布を有することを特徴とする、請求項10〜19のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項21】
得られる粒子を、密、中空又は多孔質とすることができることを特徴とする、請求項10〜20のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項22】
粒子が均一なマトリックスを有することを特徴とする、請求項10〜21のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項23】
粒子が、異なる同心層により構成された不均質なマトリックスを有することを特徴とする、請求項10〜21のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【請求項24】
粒子が、それらの表面に、生物学的に興味深い分子、好ましくはペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、PNA、LNA、蛋白質、糖蛋白質、脂質、燐脂質、炭水化物、オリゴ糖類及びそれらの混合物と共有結合を形成することができる官能性反応基を有する、請求項10〜23のいずれか1項に記載のカプセル化された不安定製品を有する、ミクロ及びナノメートル範囲の粒子。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【公表番号】特表2008−540140(P2008−540140A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509459(P2008−509459)
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000212
【国際公開番号】WO2006/117422
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507101495)ウニベルシダ デ セビリャ (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【国際出願番号】PCT/ES2006/000212
【国際公開番号】WO2006/117422
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507101495)ウニベルシダ デ セビリャ (4)
【Fターム(参考)】
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