説明

不快な味の軽減された口腔内速崩壊錠及びその製造方法

【課題】
不快な味を有する難溶性薬剤を含む不快な味の軽減された口腔内速崩壊錠を開発すること。
【解決手段】
不快な味を有する難溶性薬剤を1〜35%、及び、該難溶性薬剤1質量部に対し、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ、クロスカルメロースナトリウムの製剤の総量に対する含量が5〜25%であり、残部がそれ以外の添加剤である口腔内速崩壊錠とすることにより、不快な味の軽減され、かつ、口中において、水無しでも60秒以内に崩壊し、容易に服用することが出来、且つ錠剤などの従来の製剤と同等な溶出性を達成することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不快な味を有する難溶性の薬剤の不快な味が軽減された口腔内速崩壊錠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進み、生理的諸機能の低下または老人性痴呆症などにより、食物摂取機能(咀嚼、嚥下など)の低下したまたは障害のある高齢者が増加している。また、高齢者の中には夜尿症患者も多く存在し、このような患者に対して錠剤を水で服用させた場合、服用困難あるいは、夜尿の懸念等の問題が生じてきている。一方、忙しい現代社会において時間および場所を選ばずに服用することができるという利点から、服用時に水を必要としない経口製剤の開発が求められており、そのような経口製剤が種々開発されている。その一つとして口腔内崩壊錠がある。
【0003】
口腔内速崩壊錠は服用したときに速やかに崩壊することが要求される一方、口腔内ですぐに崩壊するため、不快な味を有する薬剤においては、その軽減が大きな問題となる。また、服用までの保存、運搬等においては破損したりしない適度な硬度を必要とすると共に、保存安定性も必要とされる。
特許文献1(特開2002−179558)には、不快な味を隠蔽した速崩壊性の固形製剤として、不快な味を有する塩基性医薬成分、糖類、ポリアニオン系ポリマー及び矯味剤及びカルボキシメチルセルロースを含有する口腔内速崩壊錠(固形製剤)が記載されている。また、その他不快な味を有する薬剤を含む口腔内速崩壊錠としては、薬剤の口中での放出を押さえるために腸溶性高分子等で被覆するもの、例えば特許文献2(特開2008−214334)など数多くの特許出願がなされている。また、特許文献3(特開2001−58944)には活性成分、平均粒子径が30μm〜300μmの糖又は糖アルコール、崩壊剤及びセルロース類を含有してなる速崩壊性固形製剤が記載され、崩壊剤の一つとしてクロスカルメロースナトリウムが例示され、活性成分として、本発明において不快な味を有する薬剤として挙げているピオグリタゾンも挙げられている。しかしこの特許文献は不快な味の軽減を目的とするものではなく、更に、クロスカルメロースナトリウムを用いた製剤例等の具体的な記載は全くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−179558
【特許文献2】特開2008−214334
【特許文献3】特開2001−58944
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は不快な味を有する難溶性の薬剤を含有する口腔内速崩壊錠、特に不快な味が軽減され、飲みやすく、かつ、難溶性薬剤の溶出性が、錠剤など従来製剤と同様であり、製造も容易である口腔内速崩壊錠の開発を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討をした結果、崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムに不快な味を軽減する作用があり、該難溶性薬剤とクロスカルメロースナトリウムを特定割合で含有するとき、不快な味を軽減することができ、且つ、目的とする口腔内速崩壊錠を容易に製造し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は
(1) 製剤の総量に対し、不快な味を有する難溶性薬剤を1〜35%、及び、該難溶性薬剤1質量部に対し、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ、クロスカルメロースナトリウムの製剤の総量に対する含量が5〜25%であり、残部がそれ以外の添加剤である不快な味の軽減された口腔内速崩壊錠、
(2) 賦形剤として、粒子径32μm以下の微細粒子が50%以上を占める乳糖を、製剤の総量に対して10〜40質量%含む上記(1)に記載の口腔内速崩壊錠、
(3) 造粒物全体に対して、不快な味を有する難溶性薬剤を20〜60質量%、水溶性高分子結合剤を1.5〜4質量%、該難溶性薬剤1質量部に対して、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウム及び残部賦形剤を含む造粒物を、更に、賦形剤、崩壊剤及びそれ以外の添加剤と共に、打錠して得られた上記(1)又は(2)に記載の口腔内速崩壊錠、
(4) 製剤の総量に対して、水溶性高分子結合剤を0.5〜3質量%含有する上記(1)〜(3)の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠、
(5) 不快な味を有する難溶性薬剤がピオグリタゾン塩酸塩である上記(1)〜(4)に記載の口腔内速崩壊錠、
(6) 水溶性高分子結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである上記(4)又は(5)に記載の口腔内速崩壊錠、
【0008】
(7) 製剤が、更にクロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム及びカルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤を、製剤の総量に対して、1〜20質量%含み、クロスカルメロースナトリウムとの合計で、崩壊剤の総量が、製剤の総量に対して、6〜25質量%である上記(1)〜(6)の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠、
(8) 前記乳糖以外に、賦形剤として結晶セルロースを含む上記(2)〜(7)の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠、
(9) 不快な味を有する難溶性薬剤、賦形剤、崩壊剤及び水溶性高分子結合剤を含み、更にその他の添加剤を0.5〜5質量%含む上記(1)〜(8)の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠、
(10) その他の添加剤として、製剤の総量に対して、甘味剤を0.2〜2質量%含み、クロスカルメロースナトリウムを8〜13質量%含む上記(9)に記載の口腔内速崩壊錠、
(11) 甘味剤としてアセスルファムカリウムを製剤の総量に対して、0.2〜1質量%含有する上記(1)〜(10)の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠。
(12) 更に、l−メントールを含み、アセスルファムカリウムに対する添加量が1/4〜1/6である上記(11)に記載の口腔内速崩壊錠、
(13) 不快な味を有する難溶性薬剤、賦形剤及び該難溶性薬剤1質量部に対して、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウムを含む造粒物を、更に賦形剤、崩壊剤及びその他の添加剤と共に打錠することを特徴とする上記(1)〜(12)に記載の口腔内速崩壊錠の製造方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって得られる口腔内速崩壊錠は、薬剤を腸溶性コーティング剤でコーティングすることなく、薬剤の不快な味を軽減でき、適度な硬度を有すると共に、口腔内で、60秒以内に崩壊し、且つ、薬剤の溶出性は錠剤などと同等程度にすることができる。また、製剤時における薬剤同士での付着が防止され、製造も容易である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、有効成分としての不快な味を有する難溶性薬剤を含み、該難溶性薬剤に対して、特定割合のクロスカルメロースナトリウムを含有させた、不快な味の軽減された口腔内速崩壊錠(以下本発明の製剤とも言う)に関するものである。
本発明における「口腔内速崩壊錠」としては、口腔内の唾液のみで90秒以内、好ましくは60秒以内、さらに好ましくは40秒以内、最も好ましくは35秒以内に崩壊し、水を摂取することなく口腔内で崩壊させて服用が可能な錠剤を挙げることができる。
また、この「口腔内速崩壊錠」は、錠剤のPTP取出し時において、割れ・欠けを生じない程度の錠剤硬度を有するものが好ましい。
一般的に口腔内速崩壊錠の硬度(錠剤硬度計による測定値)は、最低20N(2kgf)以上が好ましいことが知られている。本発明の口腔内速崩壊錠は硬度30N(3kgf)以上、好ましくは40N(4kgf)以上、更に好ましくは 45N(4.5kgf)以上でも良好な口腔内速崩壊性を示す。
より具体的には、6〜10mm径、好ましくは6〜8mm径の錠剤において、本発明の口腔内速崩壊錠は、硬度が40N(4kgf)以上、好ましくは45N(4.5kgf)以上、さらに好ましくは50N(5kgf)以上を示し、錠剤のPTP取出し時等において、割れ・欠けを生じない。
また、本発明の口腔内速崩壊錠の摩損度は0.1質量%以下、好ましくは0.07質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下であり、摩損度においても問題を生じない。
なお本明細書において断りの無い限り、%は質量%、「部」は質量部を表すものとする。
【0011】
本発明製剤における口腔内速崩壊錠は、製剤の総量に対し、不快な味を有する難溶性薬剤を1〜35%、及び、該難溶性薬剤1質量部に対し、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ、クロスカルメロースナトリウムの製剤の総量に対する含量が5〜25%であり、残部がそれ以外の添加剤である。残部における添加剤としては、賦形剤、崩壊剤及び造粒時に用いる結合剤及び後記するその他の添加剤等を挙げることができる。
本発明製剤における不快な味を有する難溶性薬剤の含量は、通常、製剤の総量に対して、1〜35質量%であり、3〜35%程度が好ましく、より好ましくは5〜35%である。この含量は、薬剤の種類等により、10〜30%程度、より好ましくは13〜28%程度が最も好ましい。このような薬剤として例えばピオグリタゾン塩酸塩を挙げることができる。
【0012】
本発明の口腔内速崩壊錠におけるクロスカルメロースナトリウムは、崩壊剤であると共に、該難溶性薬剤の不快な味を軽減する役割を果たす。該製剤におけるクロスカルメロースナトリウムの含量は、不快な味を有する難溶性薬剤1質量部に対し、通常0.3〜1.6質量部の範囲であり、かつ、該製剤の総量に対するクロスカルメロースナトリウムの含量が5〜25%の範囲内が好ましく、より好ましくは8〜20%程度である。また、薬剤により、該製剤の総量に対するクロスカルメロースナトリウムの含量は5〜15%、より好ましくは8〜13%程度でも良い。このような薬剤として例えばピオグリタゾン塩酸塩を挙げることができる。本発明の不快な味の軽減には、クロスカルメロースナトリウム単独でも良いが、より充分な効果を望む場合には、甘味剤を併用するのが好ましい。甘味剤を併用する場合、該製剤の総量に対するクロスカルメロースナトリウムの含量は5〜15%、より好ましくは8〜13%程度が好ましい。
また、該クロスカルメロースナトリウムは平均粒度が30〜50μm程度のものが好ましい。好ましいものとしては、キッコレート(登録商標)ND−200(ニチリン化学工業株式会社)などを挙げることができる。
【0013】
本発明の口腔内速崩壊錠においては、賦形剤として、粒子径32μm以下の微細粒子が50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上を占める乳糖(以下微細粒子乳糖という)を含むのが好ましい。特に、該乳糖は、ルーズ嵩密度(density poured)が300〜500g/l、より好ましくは300〜400g/lであり、タップ嵩密度(density tapped)が700〜800g/l、より好ましくは750〜800g/lであるものが好ましい。該微細粒子乳糖は、平均粒子径が32μm未満であり、好ましくは20μm未満であり、より好ましくは10μm未満であり、更に好ましくは5μm以下である。下限は通常1μm以上であれば支障は無く、2μm以上がより好ましい。従って、1〜5μmは非常に好ましい範囲であり、2μm以上で、5μm未満が最も好ましい。該微細粒子乳糖は該難溶性薬剤粒子同士の凝集や接着を防ぎ、該薬剤の均一な造粒を可能とする。該微細粒子乳糖の含量は上記の効果を達成できる量であればよく、通常、該難溶性薬剤1部に対して、0.2〜3部、より好ましくは0.5〜2.5部程度である。該乳糖としては通常乳糖水和物が使用される。
該製剤の総量に対する該微細粒子乳糖の含量は、10〜40質量%、より好ましくは12〜35質量%が好ましい。
【0014】
本発明の口腔内速崩壊錠は、如何なる方法で製造されたものでも良いが、好ましくは、該難溶性薬剤及びクロスカルメロースナトリウムを含む造粒物、より好ましくは、該難溶性薬剤、クロスカルメロースナトリウム、賦形剤(より好ましくは上記該微細粒子乳糖)及び水溶性高分子結合剤を含む造粒物を用いて、打錠成形されたものが好ましい。この造粒物を用いて、打錠成形する際に、更に賦形剤、崩壊剤及び必要に応じて、その他の添加剤を加えて均一に混合した後、打錠成形した口腔内速崩壊錠がより好ましい。
【0015】
該造粒物における該難溶性薬剤の含量は、造粒物の全体(総量)に対して、10〜70%、好ましくは20〜60%、更に好ましくは、23〜55%である。
該造粒物におけるクロスカルメロースナトリウムの含量は該難溶性薬剤1部に対して、0.3〜1.6部程度である。該造粒物全体に対するクロスカルメロースナトリウムの含量は5〜30%、好ましくは10〜25%、更に好ましくは14〜20%である。
該造粒物は、更に賦形剤を含むのが好ましい。賦形剤としては特に制限は無いが、該難溶性薬剤同士の凝集、接着を防止する効果から、前記微細粒子乳糖が好ましい。造粒物中における、該賦形剤の含量、好ましくは微細粒子乳糖の含量は、造粒物の総量から、上記該難溶性薬剤、クロスカルメロースナトリウム及び水溶性高分子結合剤の総量を引いた残部であり、通常0〜60%、好ましくは20〜60%、より好ましくは25〜55%である。
造粒物は通常水溶性高分子結合剤を結合剤として用いて、造粒されることから、結合剤として水溶性高分子を含有する。該水溶性高分子結合剤の含量は、造粒物の全体に対して、0.5〜5%、好ましくは0.7〜4%、更に好ましくは1〜4%、最も好ましくは1.5〜3.5%である。
【0016】
以下本発明の口腔内速崩壊錠が含有する各成分につき、具体的に説明する。
本発明の口腔内速崩壊錠における医薬活性成分としては、不快な味を有する難溶性薬剤であれば何れも使用しうる。該難溶性薬剤としては、例えば水又は酸性溶液において、その溶解度が1mg/ml以下で、該難溶性薬剤を口中に含んだとき不快な味がするものを挙げることができる。例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、エノキサシン、トシル酸トスフロキサシン、ノルフロキサシン、セフィキシム、セフジトレンピボキシル、セフテラムピボキシルなどの抗生物質;イブプロフェン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコロームなどの解熱鎮痛消炎剤;リスペリドン、カルバマゼピンなどの精神神経用剤;ピンドロールなどの不整脈用剤;塩酸ピオグリタゾン、グリベンクラミドなどの糖尿病剤;シンバスタチンなどの高脂血症用剤;ジギトキシンなどの強心剤;ランソプラゾール、オメプラゾール、ファモチジン、シメチジンなどの抗潰瘍剤、塩酸マニジピン等の血圧降下剤などを挙げることができる。これらの中で、好ましいものとしては塩酸ピオグリタゾン、塩酸マニジピン等の塩酸塩となっている薬剤が挙げられ、塩酸ピオグリタゾンは最も好ましい。
該難溶性薬剤は平均粒子径がある程度細かい方が良く、通常0.5〜100μm、より好ましくは10〜50μm、更に好ましくは10〜40μm程度である。
【0017】
本発明の口腔内速崩壊錠に含有する賦形剤としては、一般的に医薬賦形剤として使用しうるものであれば何れでもよく、そのような賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、マンニトール及びグルコース等の糖類、結晶セルロース、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及び硫酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の口腔内速崩壊錠はこれら賦形剤を単独又は二種以上含有していてもよい。上記した賦形剤の中で最も好ましいものとしては、上記微細粒子乳糖を挙げることができる。本発明においては、上記微細粒子乳糖とそれ以外の賦形剤を含有するのがより好ましい。この場合、含有される微細粒子乳糖以外の賦形剤としては上記した賦形剤の何れでもよい。該賦形剤としては、微細粒子乳糖以外の乳糖又は/及び結晶セルロース等が好ましい。賦形剤として、微細粒子乳糖と共に、結晶セルロースを含む本発明の口腔内速崩壊錠はより好ましい。結晶セルロースの中では微結晶セルロースがより好ましい。
本発明における口腔内速崩壊錠における賦形剤の含量は、口腔内速崩壊錠の総量から、前記難溶性薬剤及び賦形剤以外の他の添加剤の含量を引いた残部であり、通常、口腔内速崩壊錠の総量に対して35〜75質量%程度、より好ましくは45〜65質量%程度である。
【0018】
造粒物が賦形剤含む場合、該賦形剤は前記する賦形剤の何れでも良い。本製剤の製造時における該難溶性薬剤粒子同士の接着を防止するためには、造粒物中に賦形剤として前記微細粒子乳糖を含む方が好ましい。該難溶性薬剤に対する微細粒子乳糖の含量は前記した通り、該難溶性薬剤1部に対して、0.2〜3部、より好ましくは0.5〜2.5部程度である。微細粒子乳糖は造粒物の賦形剤としてばかりでなく、該造粒物を用いて、打錠成形する際に添加される賦形剤としても使用することができる。本発明の口腔内速崩壊錠の総量に対する微細粒子乳糖の含量は、10〜40%、より好ましくは15〜35%程度である。
【0019】
また、該造粒物を用いて、打錠成形する際に添加される賦形剤としては、上記微細粒子乳糖ばかりでなく、医薬賦形剤として使用されるものは何れも使用することが出来、賦形剤として前記したものが好ましい。乳糖(微細粒子乳糖も含む)又は/及び結晶セルロースがより好ましい。この場合に使用される乳糖はその平均粒子径に特に制限はなく、何れの粒径の乳糖も使用可能である。また、その含量は口腔内速崩壊錠の総量に対して1〜10質量%、より好ましくは4〜5質量%程度である。また、賦形剤として結晶セルロースが使用される場合、その配合量は口腔内速崩壊錠の総量に対して20〜40質量%、より好ましくは25〜35%程度である。本発明の口腔内速崩壊錠においては、結晶セルロースを含む場合が好ましく、乳糖と結晶セルロースの併用がより好ましい。打錠成形する際に添加される賦形剤として乳糖と結晶セルロースを併用する場合、その添加割合は、乳糖1部に対して、結晶セルロースを3〜15部、好ましくは5〜10部の割合である。
医薬品グレードの結晶セルロースは何れも使用出来るが、微結晶セルロースが好ましい。微結晶セルロースとしては例えば(CeolusRTM−711;商品名、旭化成株式会社)等を挙げることができる。該結晶セルロースの平均粒径は100μm以下が好ましく、より好ましくは30〜60μm程度である。
【0020】
本発明の口腔内速崩壊錠が含有する崩壊剤としては、前記クロスカルメロースナトリウムの他に、例えば、クロスポビドン、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース又はトウモロコシデンプン等が挙げられる。
本発明の好ましい態様においては、前記クロスカルメロースナトリウムと他の崩壊剤の両者を含む。他の崩壊剤としては、上記した崩壊剤の何れでも良いが、スーパー崩壊剤といわれるクロスポビドン、カルメロースカルシウム又はカルボキシメチルスターチナトリウム等が好ましく、より好ましいのはクロスポビドンである。クロスポビドンを使用する場合、平均粒径50μm以下のものが好ましく、より好ましくは30μm以下のものである。また、場合により平均粒径の異なる2種以上を併用してもよく、例えば、平均粒径10μm以下、好ましくは1〜10μmのものと、平均粒径10μmより大きいもの、例えば平均粒径10μmより大きく、50μm以下のもの、好ましくは平均粒径10μmより大きく、30μm以下のものを併用する態様は好ましい態様の一つである。
【0021】
クロスカルメロースナトリウムは前記のように、本発明においては、崩壊剤であると共に、難溶性薬剤の不快な味を軽減する役割も果たす。その関係で、前記造粒物中に含むのが好ましい。クロスカルメロースナトリウムの本発明口腔内速崩壊錠中の含量及び造粒物中における含量は前記した通りである。特に甘味剤と併用する場合には、口腔内速崩壊錠の総量に対して、5〜15%が好ましく、より好ましくは8〜13%、最も好ましくは10%程度である。
また、造粒物を、錠剤に圧縮成形する時に添加する崩壊剤(以下後添加崩壊剤とも言う)としては、前記の崩壊剤が何れも使用出来るが、クロスカルメロースナトリウム以外の崩壊剤が好ましく、クロスカルメロースナトリウム以外のスーパー崩壊剤がより好ましい。最も好ましいのはクロスポビドンである。この後添加崩壊剤の含量は、口腔内速崩壊錠の総量に対して1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%程度、より好ましくは8〜13%、最も好ましくは10%程度である。
本発明口腔内速崩壊錠中における崩壊剤の含量は、クロスカルメロースナトリウムを含めた総量で、該製剤総量に対して、通常6〜30%、好ましくは10〜25%、より好ましくは15〜23%、更に好ましくは17〜23%である。
【0022】
本発明口腔内速崩壊錠中に含まれる水溶性高分子結合剤としては、一般的に医薬製剤の造粒に使用することが出来る水溶性高分子結合剤を何れでもよい。例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。本発明に用いられる結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。
水溶性高分子結合剤は造粒物の製造の際に添加され、その添加量は該造粒物の総量に対して、0.5〜5%、好ましくは0.7〜4%、更に好ましくは1〜4%、最も好ましくは1.5〜3.5%程度である。
口腔内速崩壊錠の総量に対する該結合剤の含量は、0.5〜2.0%程度、好ましくは0.7〜1.8%程度、最も好ましくは1.0〜1.8%程度である。
【0023】
本発明の口腔内速崩壊錠は、更に必要であれば錠剤の製造に一般に用いられる上記以外の種々の医薬用添加剤(便宜上以下の説明において、その他の添加剤とも言う)を例えば、錠剤総量に対し0〜10%、好ましくは0.1〜5%、更に好ましくは0.5〜4%程度の範囲で含んでいてもよい。
上記その他の添加剤としては、例えば甘味剤、矯味剤、香料、滑沢剤、流動化剤、着色剤などが挙げられる。
これらの添加剤は本発明の口腔内速崩壊錠における崩壊性、成形性を損なわない範囲であれば、通常、上記の範囲で、単独若しくは複数を、錠剤中に含んでいても良い。
【0024】
本発明の口腔内速崩壊錠において甘味剤は、薬剤の不快の味をマスキングする作用も果たすので、通常含む方が好ましい。該甘味剤としては、非糖質の天然甘味料や合成甘味料が好ましい。例えば、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン又はその塩、グリチルリチン酸又はその塩、ステビア又はその塩、スクラロース、ソーマチン等が挙げられる。これらの中で、アセスルファムカリウムは、薬剤の不快の味をマスキングする上でより好ましい。
該甘味剤の該難溶性薬剤に対する含有割合は、該難溶性薬剤を100部としたとき、該甘味剤は1〜5部程度で良く、好ましくは1〜4部である。
また、香料も薬剤の不快の味をマスキングする上で、有用であり、本発明の口腔内速崩壊錠においては、香料を含む方が好ましい。
香料とは、着香剤といわれるものを含み、例えばオレンジエッセンス、オレンジ油、カラメル、カンフル、ケイヒ油、スペアミント油、ストロベリーエッセンス、チョコレートエッセンス、チェリーフレーバー、トウヒ油、パインオイル、ハッカ油、バニラフレーバー、ビターエッセンス、フルーツフレーバー、ペパーミントエッセンス、ミックスフレーバー、ミントフレーバー、l−メントール、レモンパウダー、レモン油、ローズ油等が挙げられる。これらの中で、l−メントールはより好ましい。
該香料の該難溶性薬剤に対する含有割合は、該難溶性薬剤を100部としたとき、該香料は0.1〜1部程度で良く、好ましくは0.2〜0.9部、より好ましくは0.3〜0.8部である。
本発明の口腔内速崩壊錠においては、l−メントールとアセスルファムカリウムの併用はより好ましい。この併用の場合、l−メントールの含量を1部とする時、アセスルファムカリウムの含量は4〜6部が好ましい。特に、該難溶性薬剤がピオグリタゾン塩酸塩である時、この併用は有用である。
【0025】
本発明の口腔内速崩壊錠においては、通常、打錠に際して、滑沢剤を含む方が好ましい。
滑沢剤としては、医薬錠剤を打錠する際に使用されるものであれば何れでもよい。例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。通常ステアリン酸マグネシウムが好ましい。滑沢剤の錠剤総量に対する現有割合は、0.5〜2%程度であり、通常1%程度が好ましい。
【0026】
以上の他に本発明の口腔内速崩壊錠に含んでも良い添加剤の代表的なものとして、矯味剤、流動化剤及び着色剤を挙げることができる。
矯味剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、グリシン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、希塩酸、クエン酸及びその塩、無水クエン酸、L−グルタミン酸及びその塩、コハク酸及びその塩、酢酸、酒石酸及びその塩、炭酸水素ナトリウム、フマル酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、氷酢酸、イノシン酸二ナトリウム、ハチミツなどが挙げられる。
流動化剤としては、例えば含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、酸化チタン等が挙げられる。
また、着色剤としては、例えば、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、褐色酸化鉄、黒酸化鉄、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、抹茶末等が挙げられる。
これらの矯味剤、流動化剤及び着色剤は本発明の口腔内速崩壊錠に必ずしも含まれていなくてもよく、必要に応じて含ませればよい。
【0027】
本発明の口腔内速崩壊錠は、例えば、下記の方法で製造することができる。
即ち、前記したように、まず、不快な味を有する難溶性薬剤及びクロスカルメロースナトリウムを含む造粒物、より好ましくは、該難溶性薬剤、クロスカルメロースナトリウム、賦形剤(より好ましくは上記該微細粒子乳糖)及び水溶性高分子結合剤を含む造粒物を製造し、そこに、更に賦形剤、崩壊剤及び必要に応じて、その他の添加剤を加えて均一に混合した後、打錠成形すればよい。
造粒物は、常法により、該難溶性薬剤、クロスカルメロースナトリウム及び、必要に応じて、更に 賦形剤(より好ましくは上記該微細粒子乳糖)及び、必要に応じて、その他の添加剤(通常はここではその他の添加剤は添加しなくてよい)を、攪拌混合造粒機等で均一に混合し、得られた造粒用混合末を、攪拌混合造粒機等を用いて、水溶性高分子結合剤溶液を噴霧しながら、湿式造粒を行うことにより得ることが出来る。この得られた造粒物に、更に、必要に応じて、賦形剤、崩壊剤およびその他の添加剤を添加し、次いで均一に混合して、打錠用の混合物を得ることが出来る。この打錠用混合物を常法により、打錠成形することにより、本発明の口腔内速崩壊錠を得ることが出来る。
上記において、甘味剤、香料、滑沢剤等のその他の添加剤は通常造粒物の打錠成型時に添加するのが好ましい。
【0028】
上記で使用する水溶性高分子結合剤溶液は、水溶性高分子結合剤を、水若しくは、水溶性有機溶剤(例えばアセトン、エチルアルコール又はプロピルアルコール)と水の混合液等に溶解した水溶液が好ましい。該水溶液中の水溶性高分子結合剤の濃度は、噴霧できる濃度であれば特に支障は無く、通常1〜20%、好ましくは1〜15%程度、更に好ましくは5〜15%程度である。
また、上記の打錠成形は、例えば超小型打錠機、単発打錠機、ロータリー式打錠機等を用いて200kg〜1000kg/杵、好ましくは400kg〜800kg/杵の圧力を加え圧縮成形する。圧縮成形については、通常の打錠法を用いることができるが、外部滑沢打錠法を使用することもできる。外部滑沢打錠法により、滑沢剤の添加量を減らし、更に崩壊速度を早くし、かつ錠剤硬度を向上させることができる。打錠用顆粒に滑沢剤を混合する通常の手法では100mgの錠剤に対して0.1〜1mgの滑沢剤が必要であるが、外部滑沢打錠法では0.5mg以下、場合により0.1mg以下の使用量での打錠が可能である。外部滑沢打錠を行う装置としては、株式会社菊水製作所製のELS−P1タイプIII等がある。
【0029】
本発明の口腔内速崩壊錠は、どの様な形状も採用することができ、例えば丸形、楕円形、球形、円柱状、棒状型、ドーナツ型の形状及び積層錠、有核錠等であってもよく、更にはコーティングによって被膜することもできる。また、識別性向上のためのマーク、文字などの刻印更には分割用の割線を付けても良い。通常は円柱状の錠剤が使用される。
本発明の口腔内速崩壊錠は、唾液により、口腔内で速やかに崩壊し、ざらつきを残さずに滑らかに服用可能である。
なおこの製剤は、口腔内で崩壊させることなく服用することや、水と一緒に服用することもできる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例及び試験例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1及び2
ピオグリタゾン塩酸塩(平均粒子径20〜30μm)、微細粒子乳糖(Sorbolac(登録商標)400;メグレ・ジャパン株式会社)及びクロスカルメロースナトリウムを、攪拌混合造粒機を用いて均一に混合した後、続いて、ヒドロキシプロピルセルロース(水溶性高分子結合剤:商品名;HPC(SL)、日本曹達株式会社)を溶解させた水溶液を噴霧しながら攪拌混合造粒した。得られた造粒物に、微細粒子乳糖、結晶セルロース(CeolusRTM−711;商品名、旭化成株式会社)、クロスポビドン(Kollidon(登録商標)CL-F 及び CL-M) 、アセスルファムカリウム及びl−メントールを加えて混合機を用いて均一に混合し、最後にステアリン酸マグネシウムを加えたのち、混合機で混合して打錠用混合物を作製した。次に打錠機を用い、直径7mmの円形錠で隅角平の錠剤を作製した。
得られた錠剤の硬度は50〜60Nであった。得られた錠剤の処方を下記の表1及び2に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
上記における乳糖、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、l−メントールは第十五改正日本薬局方記載のものを使用し、クロスポビドンは医薬品添加物規格2003に記載のものを使用した。
【0035】
試験例1:
実施例1及び2において得られた口腔内速崩壊錠、市販のピオグリタゾン錠を比較例(15mg錠を比較例1、同30mg錠を比較例2)として、溶出試験を行った。実施例1の口腔内速崩壊錠及び比較例1の市販の15mg錠の溶出試験の結果を表3、実施例2の口腔内速崩壊錠及び比較例2の市販の30mg錠の溶出試験の結果を表4に示した。
【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
試験例2〜4:
実施例1及び2において得られた口腔内速崩壊錠及び市販のピオグリタゾンの錠剤(通常の錠剤)2種(15mg錠;比較例1、30mg錠;比較例2)について、下記試験法によって、摩損度、錠剤硬度、口腔内崩壊試験を行った。
摩損度、錠剤硬度及び口腔内崩壊時間の結果を表5に示した。
(2)摩損度試験
錠剤摩損度試験器(萱垣医理科工業株式会社)を用い、日局(参考情報)の錠剤の摩損度試験法に準じて実施した。
(3)硬度試験
ロードセル式錠剤硬度計(岡田精工株式会社製 PC-30)を用いて測定した。試験は10錠で行い、その平均値を示した。
(4)口腔内崩壊試験
被験者(5人)に対して、予めうがいにより口をすすぎ、30秒経過後に錠剤を舌の上に置き、口を閉じ、噛まずに形が完全に崩壊するまでの時間を測定し、5人の測定値を平均して示した。
【0039】
【表5】

【0040】
本発明のピオグリタゾン含有口腔内速崩壊錠は、口腔内において何れも35秒以内で崩壊し、ピオグリタゾンの不快な味を感じさせることなく,良好な崩壊性を示した。
【0041】
試験例5
不快な味の軽減効果
下記に示す組成の錠剤を、下記の様に製造した。
(1)試験錠剤A、B及びCの製造
ピオグリタゾン塩酸塩(平均粒子径20〜30μm)及びクロスカルメロースナトリウムを攪拌混合造粒機を用いて均一に混合した後、続いて、ヒドロキシプロピルセルロース(水溶性高分子結合剤:商品名;HPC(SL)、日本曹達株式会社)を溶解させた水溶液を噴霧しながら攪拌混合造粒し、次いで乳糖(PharmatoseRTM200M;DMV株式会社)、錠剤Aにおいては、更にアセスルファムKを添加混合した後、最後にステアリン酸マグネシウムを加え、混合機で混合して打錠用顆粒を作製した。次に打錠機を用い、直径7mmの円形錠で隅角平の錠剤を作製した。(上付RTMは登録商標を示す)
得られた錠剤の硬度は50〜60Nであった。得られた錠剤の処方を下記の表6乃至8に示す。
【0042】
(2)試験錠剤組成
【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
(3)苦味の判定
成人3名(1〜3)において、錠剤を口腔内で崩壊させたときの苦味を下記の基準で判定した。錠剤は上記錠剤A、B、C及び実施例2の錠剤の4種類について行った。
−:殆ど不快な味または苦味をほとんど感じない。
+:不快な味または苦味を感じる。
(4)試験結果
・結果

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の口腔内速崩壊錠は、適度な硬度を有し、口中において60秒以内に崩壊し、水無しで容易に服用することができ、服用した時に、不快な味を有する難溶性薬剤の不快な味をほとんど感じないので、服用感も良好であり、更に、不快な味をマスキングするための高分子被膜も必要としないことから製造も容易であり、不快な味を有する難溶性薬剤の製剤として非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤の総量に対し、不快な味を有する難溶性薬剤を1〜35%、及び、該難溶性薬剤1質量部に対し、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウムを含み、かつ、クロスカルメロースナトリウムの製剤の総量に対する含量が5〜25%であり、残部がそれ以外の添加剤である不快な味の軽減された口腔内速崩壊錠。
【請求項2】
賦形剤として、粒子径32μm以下の微細粒子が50%以上を占める乳糖を、製剤の総量に対して10〜40質量%含む請求項1に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項3】
造粒物全体に対して、不快な味を有する難溶性薬剤を20〜60質量%、水溶性高分子結合剤を1.5〜4質量%、該難溶性薬剤1質量部に対して、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウム及び残部賦形剤を含む造粒物を、更に、賦形剤、崩壊剤及びそれ以外の添加剤と共に、打錠して得られた請求項1又は2に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項4】
製剤の総量に対して、水溶性高分子結合剤を0.5〜3質量%含有する請求項1〜3の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項5】
不快な味を有する難溶性薬剤がピオグリタゾン塩酸塩である請求項1〜4に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項6】
水溶性高分子結合剤がヒドロキシプロピルセルロースである請求項4又は5に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項7】
製剤が、更にクロスポビドン,カルメロース,カルメロースカルシウム及びカルボキシメチルスターチナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤を、製剤の総量に対して、1〜20質量%含み、クロスカルメロースナトリウムとの合計で、崩壊剤の総量が、製剤の総量に対して、6〜25質量%である請求項1〜6の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項8】
前記乳糖以外に、賦形剤として結晶セルロースを含む請求項2〜7の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項9】
不快な味を有する難溶性薬剤、賦形剤、崩壊剤及び水溶性高分子結合剤を含み、更にその他の添加剤を0.5〜5質量%含む請求項1〜8の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項10】
その他の添加剤として、製剤の総量に対して、甘味剤を0.2〜2質量%含み、クロスカルメロースナトリウムを8〜13質量%含む請求項9に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項11】
甘味剤としてアセスルファムカリウムを製剤の総量に対して、0.2〜1質量%含有する請求項1〜10の何れか1項に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項12】
更に、l−メントールを含み、アセスルファムカリウムに対する添加量が1/4〜1/6である請求項11に記載の口腔内速崩壊錠。
【請求項13】
不快な味を有する難溶性薬剤、賦形剤及び該難溶性薬剤1質量部に対して、0.3〜1.6質量部のクロスカルメロースナトリウムを含む造粒物を、更に賦形剤、崩壊剤及びその他の添加剤と共に打錠することを特徴とする請求項1〜12に記載の口腔内速崩壊錠の製造方法。

【公開番号】特開2010−241760(P2010−241760A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94469(P2009−94469)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000169880)高田製薬株式会社 (33)
【Fターム(参考)】