説明

不正開封防止キャップ

【課題】開封履歴の確認ができ、かつ開封後に不要なゴミを発生させることなく、開封後に触れて怪我をするような突出物を発生させないようにした不正開封防止キャップを提供する。
【解決手段】容器口部1を開閉自在に封止するためのカバーキャップCと、カバーキャップCを封止状態にロックするためにカバーキャップCに破断可能なブリッジ4を介して分離可能に接続されるロック部材5と、ロック部材5を係止状態にロックさせるために容器13側に設けられるロック部6と、を備え、ロック部6は、ロック部材5を係止させるための係止段部8と、ロック部材5を収納するポケット9と、ブリッジ4が破断されているか否かを外部から視認できる開口10Aと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開栓履歴の確認ができ、かつ開封時にゴミを発生させないようにした不正開封防止キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器口部に装着されるキャップ本体に上蓋がヒンジ連結されたいわゆるヒンジキャップは、各種飲料や調味料、化粧品等のあらゆる容器に広く適用されている。このようなキャップでは、一般に、いたずら防止や容器内容物の品質保証などのために不正開封防止機能を備えたものが従来より各種提案されている。例えば、キャップ本体の周壁の前方外周上端縁部に、略半円弧状の不正開封防止帯体を複数個の脆弱小ブリッジで接続した構成のものが提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
この例では、不正開封防止帯体を外側方向へ引っ張って、複数個の脆弱小ブリッジを破断することにより、開封できるように構成されており、その不正開封防止帯体の有無又は脆弱小ブリッジの破損状態を確認することによって開封状態を知ることができる。つまり、不正開封の有無を判別することができる。
【特許文献1】特開2005−138890号公報
【特許文献2】特開2005−212816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の不正開封防止キャップでは、不正開封防止帯体がキャップ本体から分離されて不要なゴミとなり、また、破損された脆弱小ブリッジが外部に露出した状態でキャップ本体の容器口部の周壁に残るため、不用意に触れて怪我をすることも懸念される。このような問題は、ヒンジキャップ以外のキャップに適用される不正開封防止構造においても同様に発生する。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、開封履歴の確認ができ、かつ開封後に不要なゴミを発生させることなく、また開封後に触れて怪我をするような突出物を発生させないようにした不正開封防止キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の不正開封防止キャップは、容器口部を開閉自在に封止するためのカバーキャップと、該記カバーキャップを封止状態にロックするために前記カバーキャップに破断可能なブリッジを介して分離可能に接続されるロック部材と、前記ロック部材を係止状態にロックさせるために前記容器口部に設けられるロック部と、を備え、
前記ロック部は、前記ロック部材を係止させるための係止段部と、前記ロック部材を収納するポケットと、開封履歴を確認するために前記係止段部に対する前記ロック部材の係止状態を外部から視認可能な開口と、を有していることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、開口からロック部材の係止状態を視認することにより、開封履歴の有無を確認することができる。つまり、ロック部材が係止状態であれば、開封履歴はなく、ロック部材が係止状態でなければ、開封履歴があったものと判断することができる。また、カバーキャップの開放動作によって分離されたロック部材はポケットに収納されるため、ゴミになることはなく対環境性が良好である。そして、容器口部の周りにロック部材の破断された痕跡が残らないため、開封後に容器口部に触れて怪我をするような虞はなくなる。
【0008】
前記開口は、前記ブリッジが破断されているか否かを外部から視認できるように前記ポケットの外側に開設されるようにしてもよい。このようにすれば、ブリッジが破断されているか否かを視認性よく確認することができる。
【0009】
前記開口は、前記カバーキャップから分離して前記ポケット底部に落下した前記ロック部材を外部から視認できるように前記ポケットの下部に形成されるようにしてもよい。このようにすれば、ブリッジが破断されているか否かを視認性よく確認することができる。
【0010】
前記カバーキャップは、前記容器口部に螺着されるシェルにヒンジ結合され、前記シェルの口部を開閉自在に閉塞するようにしてもよい。このようにすれば、カバーキャップの開閉端側にのみロック部材を設ければよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の不正開封防止キャップは、ロック部材の係止状態を外部から視認可能な開口を設けているので、開封履歴の有無を明確に確認することができる。また、カバーキャップの開放動作によって分離されたロック部材はポケットに収納されるので、ゴミになることはなく対環境性が良好である。そして、容器口部の周りにはロック部材の破断された痕跡が残らないので、開封後に容器口部に触れて怪我をするような虞はなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の不正開封防止キャップの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1(a)はカバーキャップを閉じる前の要部断面図、(b)は容器口部の正面図、(c)は倒置状態のカバーキャップの正面図、図2(a)はカバーキャップをロック状態に閉じた要部断面図、(b)はロック状態に閉じたカバーキャップの正面図、図3はカバーキャップを開いた状態の要部断面図である。これらの図に示すように、この不正開封防止キャップは、容器口部1に外嵌状態に螺着されるシェル2にヒンジ結合hされてシェル2の口部3を開閉自在に閉塞するカバーキャップCと、そのカバーキャップCをシェル2に対してロックするためにカバーキャップCに破断可能な複数のブリッジ4を介して接続されるロック部材5と、そのロック部材5を係止状態にロックさせるためにシェル2に設けられるロック部6と、を備えている。
【0013】
より詳しくは、上記カバーキャップCは、シェル本体2aの中央部に離脱不能な被嵌状態に密嵌されたリング体7にヒンジ結合hされ、そのカバーキャップCの開閉端側に破断可能な3つのブリッジ4を介してロック部材5が、例えば樹脂材の一体成形によりカバーキャップCと一体的に形成されており、そのロック部材5を係止状態にロックさせるためのロック部6が、リング体7のカバーキャップCの開閉端側の対応部位に設けられている。そのロック部6は、ロック部材5を離脱不能に挿入係止させる係止段部8と、ロック部材5を収納するポケット9と、ブリッジ4が破断されているか否かを外部から視認できるようにポケット9の外側に開設される開口10Aと、を有している。その開口10Aは、例えばリング体7の外周面に形成されたポケットカバー9aに、3つのブリッジ4に対応させて例えば3つ開設される。
【0014】
このような構成によれば、図1(a)に示すカバーキャップCの開放状態から、図2(a)(b)に示すように、カバーキャップCを閉じると、ロック部材5がロック部6の係止段部8に挿入係止され、カバーキャップCの天板11の内側に形成された中足12がシェル2の口部3に密嵌し、容器13内に充填されている内容物が密封状態に保護される。このような密封状態から、図3に示すように、カバーキャップCの開閉端側に形成された係止部14に親指を掛けてカバーキャップCを上方に押し上げると、3つのブリッジ4が破断されてカバーキャップCを開放することができる。
【0015】
ブリッジ4が破断されると、ロック部材5がポケット9の底部に落下する。その際に、外部から開口10Aを介してブリッジ4が破断されていることを目視で確認することができる。即ち、破断前には、図2(b)に拡大して示すように、3つの開口10Aから視認されていたブリッジ4が、破断後には、3つの開口10Aから見えなくなる(図示省略)。これにより、カバーキャップCが開放され、開封履歴があったことを判別することができる。このように開放された状態から、再度、カバーキャップCを閉じても、ロック部材5はポケット9の底部に収納されてブリッジ4が破断されたままであるから、3つの開口10Aからブリッジ4が見えなくなるため開封された事実(開封履歴)が消滅することはない。
【0016】
従って、悪戯によるカバーキャップCの開放や何らかの外力が不用意に作用したこと等によって既に開封されている場合には、外部から開封履歴を容易に確認することができる。そして、分離されたロック部材5はポケット9に収納されるため、ゴミになることはない。また、ロック部材5の破断された痕跡が容器口部1の周りに突出した状態で残らないため、開封後に容器口部1に触れて怪我をするような虞はなくなる。
【0017】
〔実施の形態2〕
図4(a)はカバーキャップを閉じる前の要部断面図、(b)は倒置状態に開いたカバーキャップの正面図、図5(a)はカバーキャップをロック状態に閉じた要部断面図、(b)はロック状態に閉じたカバーキャップの正面図、図6はカバーキャップを開いた状態の要部断面図である。これらの図に示すように、この不正開封防止キャップは、ロック部6の構成が前実施の形態と異なるが、その他の構成については、前実施の形態と同じであり、同一乃至は同等部材については同一符号を付してその説明を省略する。
【0018】
そのロック部6は、ロック部材5を離脱不能に挿入係止させる係止段部8と、ロック部材5を収納するポケット9と、該ポケット9の底部に落下収納されたロック部材5を外部から視認するための開口10Bと、を有している。その開口10Bは、ポケット9の下部に形成され、詳しくは、リング体7の外周面にポケット9を覆うように付設されるポケットカバー9aの下部とシェル本体2aの上部の間の隙間に形成され、ロック部材5が係止段部8に係止しているときには、開口10Bからロック部材5は見えないが、ブリッジ4が破断してロック部材5がポケット9の下部に落下すると、開口10Bからロック部材5を視認することができる。
【0019】
このような構成によれば、図4(a)に示すカバーキャップCの開放状態から、図5(a)(b)に示すように、カバーキャップCを閉じると、ロック部材5がロック部6の係止段部8に挿入係止され、カバーキャップCの天板11の内側に形成された中足12がシェル2の口部3に密嵌し、容器13内に充填されている内容物が密封状態に保護される。このような密封状態から、図6に示すように、カバーキャップCの開閉端側に形成された係止部14に親指を掛けてカバーキャップCを上方に押し上げると、3つのブリッジ4が破断されてカバーキャップCを開放することができる。
【0020】
ブリッジ4が破断されると、ロック部材5がポケット9の底部に落下収納される。このロック部材5を、例えば、シェル2やリング体7とは異なる色に着色しておくことで、そのロック部材5の存在を開口10Bから明確に視認することができる。これにより、カバーキャップCが開放されたことを判別することができる。このように開放された状態から、再度、カバーキャップCを閉じても、ロック部材5はポケット9に収納されたままであるから開封された事実(開封履歴)を開口10Bから明確に確認することができる。
【0021】
尚、本発明は、実施の形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて設計変更や改良等を行うのは自由であり、また、実施の形態間での組み合わせも自由である。例えばシェル2とリング体7は一体的に形成されてもよい。カバーキャップCは、必ずしもヒンジ結合hでリング体7に一体化されていなくてもよく、螺合方式でシェル2に着脱自在に取り付けられてもよい。ロック部材は、必ずしも破断可能なブリッジを介してカバーキャップに一体成形される必要はなく、例えば別部材に形成して分離可能な凹凸嵌合によってカバーキャップに接続されてもよく、要するに、ロック部材は、カバーキャップから分離可能に接続されていればよく、その接続部の構成の如何は問わない。また、ブリッジを設ける場合には、そのブリッジの数や開口の数も3つ以外に適宜に選択されてよく、単一の開口から複数のブリッジを視認できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は本発明の実施の形態1に係る不正開封防止キャップのカバーキャップを開いた封止前の状態を示す要部断面図、(b)は容器口部の正面図、(c)はカバーキャップの倒置状態の正面図である。
【図2】(a)は同不正開封防止キャップのカバーキャップを閉じた状態の要部断面図、(b)はカバーキャップの正面図である。
【図3】は同不正開封防止キャップのカバーキャップを封止後に開いた状態の要部断面図である。
【図4】(a)は本発明の実施の形態2に係る不正開封防止キャップのカバーキャップを開いた封止前の状態を示す要部断面図、(b)はカバーキャップの倒置状態の正面図である。
【図5】(a)は同不正開封防止キャップのカバーキャップを閉じた状態の要部断面図、(b)はカバーキャップの正面図である。
【図6】は同不正開封防止キャップのカバーキャップを封止後に開いた状態の要部断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…容器口部、2…シェル、3…口部、4…ブリッジ、5…ロック部材、6…ロック部、8…係止段部、9…ポケット、10A,10B…開口、C…カバーキャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部を開閉自在に封止するためのカバーキャップと、該記カバーキャップを封止状態にロックするために前記カバーキャップに分離可能に接続されるロック部材と、前記ロック部材を係止状態にロックさせるために前記容器口部に設けられるロック部と、を備え、
前記ロック部は、前記ロック部材を係止させるための係止段部と、前記ロック部材を収納するポケットと、開封履歴を確認するために前記係止段部に対する前記ロック部材の係止状態を外部から視認可能な開口と、を有していることを特徴とする不正開封防止キャップ。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記カバーキャップに破断可能なブリッジを介して接続され、前記開口は、前記ブリッジが破断されているか否かを外部から視認できるように前記ポケットの外側に開設されることを特徴とする請求項1に記載の不正開封防止キャップ。
【請求項3】
前記開口は、前記カバーキャップから分離して前記ポケット底部に落下した前記ロック部材を外部から視認できるように前記ポケットの下部に開設されることを特徴とする請求項1に記載の不正開封防止キャップ。
【請求項4】
前記カバーキャップは、前記容器口部に螺着されるシェルにヒンジ結合され、前記シェルの口部を開閉自在に閉塞することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の不正開封防止キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−100717(P2008−100717A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284082(P2006−284082)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(596126465)アサヒ飲料株式会社 (84)
【出願人】(000241865)ホッカンホールディングス株式会社 (6)
【Fターム(参考)】