説明

不燃ボードとその製造方法

【課題】建築材料分野等において、消防法や火災予防条例に基づく不燃試験の基準値を満足し、且つ、表面の平滑性が維持される不燃ボード及び不燃ボードの製造方法を提供すること。
【解決手段】
ガラス繊維層によって 酸化マグネシウムと塩化マグネシウムと骨材および少なくとも1種の無機資材と有機質繊維を含有する積層ボードであって、両面にガラス繊維を有して、中心部に酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの含有量がボードの全体に対して50〜90重量%であり、無機質材料と有機質繊維の含有重量がボードの全体に対して10〜30重量%であって、ガラス繊維によって挟んで積層にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面の平滑性に優れた防火性である不燃ボード及びそのような不燃ボードの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築産業等の分野においては多数のパネル部材やボード、例えば、ソリットウッドボード、合板ボード、ハードボード、中密度ファイバーボード(MDF)、パーティクルボード、ストローボード、延伸ストランドボード(OSB)、石膏ボードが既に利用されているが、これらの一部は大臣認定の不燃性ボードではない。
一般に、建築材料分野においては、建築基準法に基づく不燃試験の基準値を満足するものが不燃ボードとして認定されており、また、キッチン等の火気を使用する場所の近傍に配置される収納においては、消防法や火災予防条例により、不燃ボードとして認定されたボードを使用することが定められている。
【0003】
このような不燃ボードには、珪酸カルシウム板、火山性ガラス質板、セメント系の不燃材料が用いられており、これらは例えば、石膏や石灰石等の無機質原料からなる硬化成分に、繊維類などの材料を任意に混合し、水で練り合わせて製造される。
これらの防火、不燃材料は、硬化における性質の違いにより、気硬性のものと水硬性のものとに分けられる。
【0004】
近年、薄型で且つ強度の優れた不燃ボードとして、上記のような防火材料を、無機質ガラス繊維等を用いて表面を強化した不燃ボードが提案されている(特許文献2〜4参照)。
例えば、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム及び水等を混合したものを、2枚のグラスファイバー層間に挟み込むことによって得られる不燃ボードが提案されている(特許文献1、5参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−74438号公報
【特許文献2】特開2001−279860号公報
【特許文献3】特開2004−263528号公報
【特許文献4】特開2004−17478号公報
【特許文献5】実用新案登録第3036428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は環境に優しい不燃性の不燃ボード(一般的な厚さ:2mm〜30mm)を提供するためになされたものである。
しかしながら、不燃ボードの場合、厚さにおいて平滑な面を有するものを製造するのが困難であることや、その表面の平滑性の維持が困難であること等の欠点があった。不燃ボード表面に微細な円形状の凹部が形成されてしまう。このような気泡に起因する凹部(以下、気泡痕という)は、通常、不燃ボード表面100cmあたり、例えばφ0.5mm以上のものが多数形成され、中にはφ1mm以上の大きさのものも形成されることもある。
【0007】
このような気泡痕は、不燃ボード表面の平滑性を損なうだけでなく、不燃ボードの表面に化粧紙や塗装を施して化粧層を設ける場合にも、いわゆる裏写り現象により気泡痕が塗装面や化粧層にまで現れて美観を損なうことが多い。そこで、美観を高めるために、不燃ボードの表面を研磨して気泡痕を無くすことも考えられるが、研磨工程が増えることにより製造コストがアップしたり、また上述したような不燃材料では、例えばサンドペーパーのような材質による研磨では、すぐに目詰まりを起こしてしまい、十分な平滑性を得ることも困難であった。また板材の表面性を高めて、生産性を向上させることが要請されている。さらに不燃温度の高いボードが望まれている。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、生産性を高くして、「板材の厚さ精度」と表面の平滑性に優れる防火性をより一層優れた不燃ボード、並びにそのような不燃ボードを容易に製造することができる製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ガラス繊維層によって 酸化マグネシウムと塩化マグネシウムと骨材および少なくとも1種の無機質成分と有機質繊維を含有する積層ボードであって、両面にガラス繊維を有して、中心部に酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの防火成分と無機骨材と有機質繊維とを含有して、積層にしている不燃ボードである。
酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの防火成分の含有量がボードの全体に対して50〜90重量%であり、厚さを2mm〜30mmである。好ましくは60〜85重量%であって、厚さ3mm〜20mmである。
【0010】
ガラス繊維質は、ガラス織布であって、太さ5〜15μmのガラス繊維を、網目ピッチ(縦×横)0.5〜15mm×0.5〜15mmに編んだ網目状であり、ガラス繊維質層の坪量は、30〜300g/m である。好ましくは100〜300g/mである。ガラス繊維質層は70〜90g/mの坪量が好ましい。70g/m 以上であると、強度に優れており、また、90g/m以下であると、各層間の十分な密着性を確保することができる。
第1及び第2のガラス繊維質層を構成しているガラス繊維質は、同じものであることが望ましい。これは、同じガラス繊維質を用いると、不燃板に反りが生じにくいためである。
【0011】
無機質成分は真珠岩、パーライトであり、有機質繊維はウッドチップ、パルプであって、両者の成分は全成分に対して10〜50重量%を含有している不燃ボードである。好ましくは10〜40重要%である。
【0012】
両層のガラス繊維質層に中心層の不燃基材層に硬化成分を含有し、硬化させて積層されている不燃ボードであって、ガラス繊維の層に硬化成分を含有させて、成型硬化させる不燃ボードである。
製造方法における積層する工程において、少なくとも1回のプレス工程を有する不燃ボードの製造方法である。
【0013】
不燃ボードは長期間の使用に耐えるものであり、無臭で、毒素を含まず、強く、強靭で、耐久性を所持する必要がある。ボードは安全に使用でき、木材のように使用が容易であり、木材のような加工(即ち、鋸挽、孔あけ、螺子締め、ステープル留めおよび接着剤接合)が可能である。この種のボードは優れた釘保持力を有し、ランバー欠陥(例えば、亀裂、破砕、剥離、離層および脆化等)をもたらさないので、木材よりも優れており、有用性も高い。該ボードは防火性、防湿性、耐腐朽性、防音性、耐食性、断熱性、耐衝撃性、白蟻抵抗性、防黴性、耐変形性および耐反り性等の特性を有する。
【0014】
木材のような使用容易性: 切断、鋸挽、孔あけ、螺子締め、ステープル留め、接着接合、螺子切り、箔裏打ち、壁張り、上張り、二次加工、塗装が容易であって、優れた釘保持力を示す。
木材に対する優位性: 亀裂、破砕、剥離、離層および脆化を示さない。
【0015】
本発明によるボードは用途が多く、その適用範囲は極めて広く、特に不燃性で、強靭であって耐久性があるので木材よりも有用性が高く、特に次の用途に適している:間仕切り壁、天井、室内壁、乾式壁、防火壁、防火扉、リフトシャフト/吹き抜きライナー、ソフィット、空調ダクトカバー、電線管ライナー、プレナムの天井、高床用コアボード、エレベーターの内張り、ガレージ、自動車用修理材、ガソリンスタンドや印刷室の壁材、ルーフデッキ、防音壁および断熱層等。該ボードは湿潤環境下でのセラミックタイルの下敷としても有用である。厚さが3mmのボードは円柱や複雑な建造物にも適用でき、また、該ボードは強靭で耐久性が高いので長年にわたってメインテナンスを必要としない。
【0016】
本発明の不燃ボードの製造方法は、平板上に第1のガラス繊維層を積層する工程と、前記第1のガラス繊維層の上に、硬化成分を含有する混合物を塗布する工程と、前記混合物の上に、第2のガラス繊維層を積層する工程と、前記第2のガラス繊維層を積層する工程とを有する。
平板上に、前記気硬性の硬化成分を含有する懸濁液を含浸させたガラス繊維質層を積層することにより、不燃ボードの表面に、ガラス繊維質層と一体的に形成された表層が設けられる。

【0017】
平板上に、硬化成分を含有する懸濁液を含浸させたガラス繊維層を積層するので、懸濁液の空気は、平板との接触面すなわち表層の表面とは反対側の上方に移動し、また、懸濁液を含浸させることにより、予めガラス繊維層内の気泡がほとんど取り除かれている。
したがって、気泡の発生が低減でき、表層の表面へ気泡が抜けて気泡痕が形成されるのを低減することができる。また、発生する気泡の大きさも非常に微小であるので、表面が平滑なものとなる。
【0018】
例えば、従来は、上述したように、0.5〜1mmφの径の気泡痕が100cmあたり400個以上も形成され、中には1mmφのものも100個以上形成されていたが、本発明によれば、ほとんどの気泡痕は0.5mmφ未満であり、また、0.5〜1mmφの径の気泡痕は、形成されたとしても100cmあたり100個以下である。また、1mmφ以上の径の気泡痕はほとんど形成されず、形成されたとしても100cmあたり10個以下である。
【0019】
また、第1のガラス繊維層と第2のガラス繊維層が同じ目の細かさのガラス繊維質層であると、不燃ボードの構成が対称となるので、反りが生じにくくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の不燃ボードは、表面に繊維層を使用せずに、表面に形成される気泡痕の数及び大きさが大幅に低減されており、前表層の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、1mmφ以上のものが10個以下、0.5〜1φmmのものが
100個以下である。本発明の不燃板は、表面が平滑であるので、表面に塗装や化粧層を設けずにそのまま利用することも可能である。また生産性は従来の方法に比べて50%以上の効果を示している。
【0021】
本発明の不燃ボードは、ガラス繊維質層と硬化成分を含有する不燃基材層とが積層されている不燃ボードであって、ガラス繊維質層の表面に、硬化成分を含有する表層が設けられていることにより、その表面に気泡の跡などが形成されにくく、平滑な表面を有している。また、防火基材層の硬化成分と、表層の硬化成分とが相溶性であると、不燃ボード全体が一体化するので、表層と不燃基材層とが界面部分で分離せず、強度や耐久性に優れる。
ガラス繊維が酸化マグネシウムと塩化マグネシウムとを含むことから、硬化が促進されて、生産性も向上して、しかも低コストであり且つ強度に優れた防火性の高い不燃ボードとなる。
【0022】
本発明の不燃ボードは、平板上に、硬化成分を含有する懸濁液を含浸させた第1のガラス繊維質層と第2のガラス繊維質層が同じ目の細かさのガラス繊維質層であると、不燃ボードの構成が対称となるので、反りが生じにくくなる。
また、前記第1のガラス繊維質層を積層する工程の後に、少なくとも1回のプレス工程を行うことにより、余分な懸濁液を取り除くことができるので、表面がさらに平滑なものとなる。また、表層が一体的に設けられていることにより、硬化時間の経過に伴って生じる体積収縮も低減することができるので、不燃ボードの表面の経時的な凹凸形成を抑制することができる。
【0023】
このような不燃性ボードは防火性のほかに、耐腐朽性、防湿性、防音性、耐食性、断熱性、耐衝撃性、白蟻抵抗性、防黴性および耐変形性等の特性を有するので特に有用である。また、該ボードは毒性の接着剤、アスベストまたはその他の潜在的に有毒な物質を含有しないので安全に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
不燃ボードとして、好ましい幅は300mm〜1500mmであり、ボードの長さは300〜4000mmで、好ましくは1800〜2500mmである。ボードの適当な厚さは、好ましくは2〜20mmであり、最大の厚さは30mmである。
【0025】
本発明によるボード(厚さ:2〜30mm)は利用が容易であり、孔あけ、釘打ち、螺子締め、箔裏打ち、壁張り、上張り、二次加工、塗装等を容易におこなうことができる。本発明によるボードはグラスファイバーメッシュによる補強により強く、強靭で、耐久性のあるボードにすることができ、セラミックタイルの下敷としても利用できる。
本発明の不燃ボードは、第1のガラス繊維質層と、硬化成分を含有する不燃基材層とが順次ガラス繊維層に積層された構成を有し、さらに第2のガラス繊維質層と、順次積層された構成を有する。ガラス繊維質層と表層が一体的に設けられ、表層は、気泡による孔が形成されにくく、平滑である。
【0026】
不燃基材層に含まれる硬化成分は、無機系材料(水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム等)、マグネシアセメント及び石膏の構成成分のうち、硬化に寄与する成分であり、1種又は2種以上の無機質原料で構成されており、気硬性であっても水硬性であってもよい。例えば、石膏(硫酸カルシウム)、石灰石(炭酸カルシウム)、酸化マグネシウム等を例示することができる。特に好ましくはマグネシアセメントが用いられる。
【0027】
不燃基材層は、前記硬化成分に、任意に原料を加えて、水と共に練り、硬化させて形成される。
無機質繊維は真珠岩等の無機質繊維、有機質繊維はウッドチップ、パルプ等を含んでいる。
【実施例1】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例における不燃ボードの断面を示す概略図である。
本実施例の不燃ボードは、第1のガラス繊維質層と、不燃基材層と、第2のガラス繊維質層とが積層された構造を有しており、第1のガラス繊維質層の表面には、表層が一体的に積層されている。
【0029】
以下の材料を用い、図2に示す製造工程を用いて、厚さ3.0±0.3mm、質量1790±479g/mの不燃ボードを製造した。
1)ガラス繊維質層:坪量70±7g/m、網目ピッチ(縦×横)13×8のガラスクロスを使用した。
2)不燃基材層:以下の組成の混合物100質量%に、水20質量%を加えて練り合わせた混合物を用いて形成した。ガラス繊維層間の厚さは、約3.1mmであった。
【0030】
酸化マグネシウム 55質量%
塩化マグネシウム 25質量%
パーライト 12質量%
ウッドチップ 4質量%
無機質添加剤 4質量%
3)表層:以下の組成の混合物100質量%に、水30質量%を加えて練り合わせた懸濁液を用いて形成した。表層面からガラス繊維層までの厚さは、約0.22mmであった。
【0031】
酸化マグネシウム 70質量%
塩化マグネシウム 30質量%
第1及び第2のガラス繊維質層を構成しているガラス繊維は、太さ10μmのガラス繊維で、網目ピッチ(縦×横):(5〜15×5〜15)で編んだ網目状のものを使用した。また、ガラス繊維質層の坪量は、80g/m であるものを使用した。
【0032】
図2は、本発明の不燃ボードの製造工程の一実施例を示す。まず、上述した気硬性の硬化成分を水と混合し、懸濁液を調製する(混練工程)。
そして、表面が平滑な平板を走行させつつ、該平板の上に得られた懸濁液を供給する。
【0033】
この工程で、プレスロールを通るガラス繊維質層にも懸濁液を含浸させておくことにより、より気泡の発生を防止して平滑な面を得ることができる。平板の材質としては、表面の平滑性に優れており、前記懸濁液が硬化した後に取り外すことができるものであれば特に制限はない。
次に、プレスロールを用いて第1のガラス繊維質層3を積層する(積層1工程)。
【0034】
一方、混練工程で用いたのと同じ硬化成分に、任意に骨材を添加し、水と練り合わせて混合物を調製しておく。そして、この混合物を前記第1のガラス繊維質層の上に、プレスロールを用いて塗布する(塗布工程)。
【0035】
次に、前記混合物の上に、プレスロールを用いて、第2のガラス繊維質層5とを積層する(積層2工程)。
なお、本実施例では、ガラス繊維質層を同時に積層しているが、また、ガラス繊維質層は、それぞれ、ガラス繊維質層と同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは同じものを用いる。
【0036】
次に、前記の4工程の積層工程で得られた積層体の上に、平坦なシートを重ねる。そして、該シートを介して、プレスロールを用いて前記積層体をプレスして、厚さを調整する(調整工程)。
平坦なシートの材質としては、前記混合物が硬化した後に取り外すことができるものであれば特に制限はなく、例えば、厚さを100〜200μmとしていわゆる腰があり、透明で気泡の状態を視認できるようなPETシートを例示することができる。
【0037】
積層2工程で得られる積層体は、さらに、任意に、プレスロールを用いて厚さを調節することができる(成形工程)。成形工程を行うことで、得られる不燃板の厚さを均一化し、平滑性の精度を上げることができる。
このようにして得られる不燃ボードの表面は平滑で、表層表面に含まれる気泡痕は、φ1mm以上の気泡痕が100cmあたり10個以下、0.5〜1φmmの気泡痕が100cmあたり100個以下であり、また、耐久性もよい。
【0038】
本発明の方法は、例えば3mm以上の厚さを有するような不燃ボードの製造において好適に用いることができる。厚さが3mm以上、特に9mm以上あるような不燃板を製造する場合、製造時に、不燃板自体の重さによって表層表面に大きな圧力がかかる。そのため、表層表面には、1mmφ以上の大きさの気泡痕はほとんど形成されず、平滑性が更に優れた不燃ボードを得ることができる。
【0039】
製造した不燃板について、建築基準法第2条第9号に定められた認定に関わる評価に基づいて、不燃試験を行ったところ、発熱量は4.5MJ(メガジュール)/mであり、規格値(8MJ/m以下)を十分に満足するレベルであった。
【0040】
さらに、表面における気泡の大きさと個数を目視により確認したところ、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、1mmφ以上のものが1個、0.5〜1φmmのものが50個であった。
【実施例2】
【0041】
実施例1と同様な原料、工程、形状および製造方法によって、下記の組成によって不燃ボードを製造した。
酸化マグネシウム 60質量%
塩化マグネシウム 20質量%
パーライト 12質量%
ウッドチップ 4質量%
無機質添加剤 4質量%
【0042】
表層には、以下の組成の混合物100質量%に、水30質量%を加えて練り合わせた懸濁液を用いて形成した。表層表面からガラス繊維層までの厚さは、約0.22mmであった。
製造した不燃板について、建築基準法第2条第9号に定められた認定に関わる評価に基づいて、不燃試験を行ったところ、発熱量は4.2MJ(メガジュール)/mであり、規格値(8MJ/m以下)を十分に満足するレベルであった。
【0043】
さらに、表面における気泡の大きさと個数を目視により確認したところ、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、1mmφ以上のものが1個、0.5〜1φmmのものが64個であった。
第1及び第2のガラス繊維質層を構成しているガラス繊維は、周知のガラス織布を用いることができる。例えば、太さ10μmのガラス繊維を、網目ピッチ
(縦×横):(10×10)で編んだ網目状のものである。
【0044】
第1及び第2のガラス繊維質層を構成しているガラス繊維質は、同じものであり、同じガラス繊維質を用いることによって、不燃板に反りが生じにくい。
【実施例3】
【0045】
実施例1と同様な原料、工程、形状および製造方法によって、下記の組成によって不燃ボードを製造した。
酸化マグネシウム 50質量%
塩化マグネシウム 25質量%
パーライト 10質量%
ウッドチップ 5質量%
無機質添加剤 10質量%
【0046】
製造した不燃ボードについて、建築基準法第2条第9号に定められた認定に関わる評価に基づいて、不燃試験を行ったところ、発熱量は5.1MJ(メガジュール)/mであり、規格値(8MJ/m以下)を十分に満足するレベルであった。
【0047】
さらに、表面における気泡の大きさと個数を目視により確認したところ、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、1mmφ以上のものが1個、0.5〜1mmφのものが74個であった。
第1及び第2のガラス繊維質層を構成しているガラス繊維は、周知のガラス織布を用いることができる。例えば、太さ5〜15μmのガラス繊維を、網目ピッチ(縦×横):(5×15)で編んだ網目状のものである。
また、ガラス繊維質層の坪量は、75g/m である。
【実施例4】
【0048】
実施例1と同様な原料、工程、形状および製造方法によって、下記の組成によって不燃ボードを製造した。カラス繊維についても変えた。
ガラス繊維質層:坪量75g/m、網目ピッチ(縦×横)13×8のガラスクロスであり、ガラス繊維層の坪量を変えた。
以下の組成の混合物100質量%に、水20質量%を加えて練り合わせた混合物を用いて形成した。ガラス繊維層3,5間の厚さは、約3.1mmであった。
【0049】
酸化マグネシウム 55質量%
塩化マグネシウム 25質量%
パーライト 10質量%
ウッドチップ 5質量%
無機質添加剤 5質量%
表層は以下の組成の混合物100質量%に、水30質量%を加えて練り合わせた懸濁液を用いて形成した。表層表面からガラス繊維層5までの厚さは、約0.22mmであった。
【0050】
酸化マグネシウム 60質量%
塩化マグネシウム 40質量%
製造した不燃板について、建築基準法第2条第9号に定められた認定に関わる評価に基づいて、不燃試験を行ったところ、発熱量は5.1MJ(メガジュール)/mであり、規格値(8MJ/m以下)を十分に満足するレベルであった。
【0051】
さらに、表面における気泡の大きさと個数を目視により確認したところ、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、1mmφ以上のものが1個、φ0.5〜1mmφのものが80個であった。
「比較例1」
【0052】
以下の材料を用い、
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に示す製造工程を用いて、実施例1と同様に製造して酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの量を50重量%以下にして45重量%で
不燃ボードを製造した。
ガラス繊維質層は坪量70.1g/m、網目ピッチ(縦×横)13×8のガラスクロスを使用した。
不燃基材層は下の組成の混合物100質量%に、水20質量%を加えて練り合わせた混合物を用いて形成した。ガラス繊維層間の厚さは、約3.1mmであった。
【0053】
酸化マグネシウム 25重量%
塩化マグネシウム 20重量%
パーライト 27重量%
ウッドチップ 14重量%
無機質添加剤 14重量%
表層は下の組成の混合物100重量%に、水30を加えて練り合わせた懸濁液を用いて形成した。表層表面からガラス繊維層重量での厚さは、約0.22mmであった。

【0054】
不燃試験を行ったところ、発熱量は9MJ(メガジュール)/mであり、規格値(8MJ/m以下)を十分に満足するレベルでなかった。
【0055】
さらに、表面における気泡の大きさと個数を目視により確認したところ、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、1mm以上のものが1個、0.5〜1mmのものが120個であった。
【0056】
図3に表層側の断面図及びその模式図を示す。表層の内側に、ガラスクロスの繊維が分散しており、表面付近には1mm以上の大きさの気泡痕は見られた。
「比較例2」
【0057】
実施例1のガラス繊維を使用しなかった以外は実施例1と同様にして不燃板を製造した。不燃試験の結果は問題であった。
また、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、φ1mm以上のものが1個、φ0.5〜1mmのものが160個であった。強度も低かった。
「比較例3」
【0058】
実施例1の塩化マグネシウムを硫酸マグネシウムに変えた以外は実施例1と同様にして不燃板を製造した。不燃試験の結果は良好でなかった。
また、表層側の表面100cmあたりに形成された気泡痕は、φ1mm以上のものが0個、φ0.5〜1mmのものが155個であった。発熱量8.3MJであり、若干耐熱性で劣った。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施態様における不燃板の断面を示す概略図。
【図2】本発明の不燃ボードの製造方法の一実施例を示す概略図。
【図3】製造した不燃ボードの表層側の断面図(a)及びその模式図(b)。
【符号の説明】
【0060】
1、不燃ボード、2…第1のガラス繊維層、3…防火成分層、4、有機成分(ウッドチップ等)5…第2のガラス繊維層、6…表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維層によって 酸化マグネシウムと塩化マグネシウムと骨材および少なくとも1種の無機質成分と有機質繊維を含有する積層ボードであって、両面にガラス繊維を有して、中心部に酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの不燃ボード。
【請求項2】
請求項1において、 酸化マグネシウムと塩化マグネシウムの防火成分の含有量成分と無機質材料と有機質繊維とを含有して、積層にしていることを特徴とする不燃がボードの全体に対して50〜90重量%であり、厚さを2mm〜30mmであることを特徴とする不燃ボード。
【請求項3】
請求項1において、ガラス繊維質は、ガラス織布であって、太さ5〜15μmのガラス繊維を、網目ピッチ(縦×横)0.5〜15mm×0.5〜15mmに編んだ網目状であり、ガラス繊維質層の坪量は、30〜300g/m であることを特徴とする不燃ボード。
【請求項4】
請求項1において、無機質成分は真珠岩、パーライトであり、有機質繊維はウッドチップ、パルプであって、両者の成分は全成分に対して10〜50重量%を含有していることを特徴とする不燃ボード。
【請求項5】
請求項1において、両層のガラス繊維質層に中心層の不燃基材層に硬化成分を含有し、硬化させて積層されている不燃ボードであって、ガラス繊維の層に硬化成分を含有させて、成型硬化させることを特徴とする不燃ボード。
【請求項6】
前記請求項5の積層する工程において、少なくとも1回のプレス工程を有することを特徴とする不燃ボードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−132078(P2009−132078A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310922(P2007−310922)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(502291056)株式会社三和不燃ボード工業 (1)
【Fターム(参考)】