説明

不燃断熱パネルおよびその製造方法

【課題】厚さ方向の強度向上が図られ高い剛性を有する不燃断熱パネルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】繊維1aの延びる方向が長手方向に延びている帯状のロックウール原反1を、繊維1aの延びる方向に直交する切断ライン2に沿って切断して複数の芯材ブロック10を得る。所定数の芯材ブロック10を90°横転させて繊維1aの延びる方向を鉛直方向に変え、これら芯材ブロック10を並列させて連結部材20により一体化させ、芯材ユニット11を得る。この芯材ユニット11の表裏面に鋼板30を固着させて、繊維1aの延びる方向が厚さ方向に沿った芯材ユニット11を有する不燃断熱パネル40を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃断熱パネルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記不燃断熱パネルは、火災時の延焼を防ぐことなどを目的として設置されるもので、例えば倉庫や工場などの比較的広い建物内を一定以下の面積の複数のスペースに区画する間仕切りとして設置されたり、建物の外壁パネルとして設置されたりしている。このような不燃断熱パネルは、所定の規格による防火材料性能試験をクリアすることが建築基準法で規定されており、その構造としては、2枚の鋼板の間にロックウール等の断熱材料を芯材として挟み込んだサンドイッチ構造のものが一般的である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記芯材の断熱材料として使用されているロックウールは、製鉄プロセスで得られるガラス状の鉄炉スラグに石灰等を混合して高温で溶解し生成される無機系の人造鉱物繊維であり、溶解状態のものを糸状に吹いて固化させて得ている。このロックウールは、通常、繊維の延びる方向が長尺方向とされた帯状のものが原材料(以下、原反と称する)とされており、この原反を、長尺方向を分断する状態で所定長さの長方形のパネル状に切断して芯材としている。
【0005】
このようにして得られる芯材の両側の面に鋼板を接着させて不燃断熱パネルを得ているが、このパネルにあっては、芯材の繊維の連結が弱い厚さ方向の強度が長手方向に比べて格段に低く、芯材が厚さ方向に伸びるなど、パネル自体の剛性が低くなるといった問題を有している。
【0006】
よって本発明は、厚さ方向の強度向上が図られ高い剛性を有する不燃断熱パネルおよびその製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の不燃断熱パネルは、断熱材料からなり、繊維の延びる方向を厚さ方向に沿った状態で並列された複数の芯材ブロックと、この並列された複数の芯材ブロックを一体的に連結する連結部材と、この連結部材によって連結された前記複数の芯材ブロックの厚さ方向の両側に固着された金属板とを備えることを特徴とする。
【0008】
次に、本発明の不燃断熱パネルの製造方法は、繊維の延びる方向が長手方向に延びている帯状の断熱材料の原反を、前記繊維の延びる方向に直交する切断ラインに沿って切断して複数の芯材ブロックを得る原反切断工程と、所定数の前記芯材ブロックを、前記繊維の延びる方向が厚さ方向に沿った状態で並列させ、これら芯材ブロックを連結部材によって一体的に連結する芯材ブロック連結工程と、前記連結部材によって連結された前記複数の芯材ブロックの厚さ方向の両側に金属板を固着する金属板固着工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって得られる不燃断熱パネルは、芯材ブロックの繊維が厚さ方向に延びているため、厚さ方向の強度が向上したものとなっており、高い剛性を有している。また、複数の芯材ブロックは連結部材によって一体的に連結されるため、芯材ブロックがばらばらにならず取り扱い。このため、金属板固着工程で複数の芯材ブロックに金属板を固着する作業が容易となり、生産性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造方法で使用されるロックウール原反の斜視図である。
【図2】ロックウール原反から切り出した芯材ブロックの端面図である。
【図3】芯材ブロックを90°横転させた状態の端面図である。
【図4】90°横転させた複数の芯材ブロックを並列させた状態の斜視図である。
【図5】複数の芯材ブロックの連結部材を示す斜視図である。
【図6】並列状態の複数の芯材ブロックの端面に連結部材を圧入する溝が形成されている状態を示す(a)端面図、(b)断面図である。
【図7】連結部材を芯材ブロックに圧入した状態を示す断面図である。
【図8】複数の芯材ブロックを連結部材で一体的に連結して得られた芯材ユニットの斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態の製造方法で得られた不燃断熱パネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る不燃断熱パネルの製造方法を工程順に説明する。
【0012】
(1)原反切断工程
図1は断熱材料であるロックウールの原反を示している。このロックウール原反1は所定幅の帯状で、繊維1aは長手方向(図1でY方向)に延びている。一実施形態の製造方法では、まずこのロックウール原反1に対し、繊維1aが延びている長手方向に直交するX方向に延びる複数の切断ライン2を、長手方向に等間隔に設定する。そして切断ライン2に沿ってロックウール原反1を切断し、直方体状の複数の芯材ブロック10を得る。
【0013】
(2)芯材ブロック連結工程
図2は、ロックウール原反1から切り出した状態の複数の芯材ブロック10を示している。これら芯材ブロック10においては、繊維1aは上記Y方向に延びている。芯材ブロック連結工程では、まず、所定数の芯材ブロック10を、図3に示すように90°横転させ、繊維1aを鉛直方向(図1でZ方向であり、厚さ方向に対応する)に延びる状態とする。
【0014】
次いで、繊維1aがZ方向すなわち厚さ方向に延びている状態の横転された所定数の芯材ブロック10を、図4に示すように隣接するものどうしが接し、かつ長手方向(X方向)の端部が揃う状態に並列させる。
【0015】
続いて、並列状態の所定数の芯材ブロック10を、図5に示す連結部材20によって一体的に連結し、図8に示すパネル状の芯材ユニット11とする。この連結部材20は、中央板部21の両端から同方向に側板部22が直角に延びる断面略コ字状の板材で、並列された複数の芯材ブロック10の並列方向の長さに対応する長さを有するものである。連結部材20の各側板部22には、先端に向かうにしたがって厚さが減少するテーパ状の複数の抜け止め凸条22aが形成されている。
【0016】
この連結部材20で複数の芯材ブロック10を連結するには、図6に示すように、揃えられた複数の芯材ブロック10の両端面に、側板部22が圧入される一対の平行な溝10aを形成し、図7に示すように、これら溝10aに、中央板部21が端面に接するまで連結部材20の各側板部22を圧入する。連結部材20は抜け止め凸条22aが芯材ブロック10に埋まることにより抜け止めがなされ、これにより芯材ブロック10の連結状態が保持されるようになっている。なお、中央板部21と芯材ブロック10とを面一とするために、図6(b)および図7に示すように、芯材ブロック10の両端面の溝10a間に、中央板部21の板厚に相当する帯状の凹所10bを形成しておくとよい。
【0017】
連結部材20は並列状態の全ての芯材ブロック10にまたがって固定され、複数の芯材ブロック10は、図8に示すように連結部材20を介して一体的に連結され、パネル状の芯材ユニット11が固定的なものとして構成される。
【0018】
(3)金属板固着工程
次に、図9に示すように、所定数の芯材ブロック10が連結部材20によって連結されてなるパネル状の芯材ユニット11の表裏面、すなわち厚さ方向の両側の面に、鋼板30を適宜な接着剤によって接着させて固着する。これによって一実施形態の長方形状の不燃断熱パネル40を得る。
【0019】
(4)一実施形態の作用効果
上記製造方法で得られる不燃断熱パネル40によれば、芯材ブロック10の繊維1aが厚さ方向に延びているため、繊維が長手方向に延びているものと比べると、厚さ方向の強度が格段に向上したものとなっており、高い剛性を有している。
【0020】
また、上記製造方法によると、ロックウール原反1から切り出した複数の芯材ブロック10を連結部材20によって一体的に連結して1つの芯材ユニット11を構成するため、芯材ブロック10がばらばらにならず取り扱いやすくなっている。その結果、金属板固着工程で複数の芯材ブロック10からなる芯材ユニット11に鋼板30を固着する作業が容易となり、生産性の向上が図られる。
【0021】
なお、上記連結部材20は本発明の連結部材の一例であり、複数の芯材ブロック10を一体的に連結することができるものであれば、連結部材はいかなる形態のものであってもよい。また、芯材ブロック10の原材料はロックウール原反1であるが、断熱材料の原反としてはロックウールに限られず、本発明では繊維の延びる方向が一方向(長手方向)に延びるものであれば使用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1…ロックウール原反
1a…繊維
2…切断ライン
10…芯材ブロック
11…芯材ユニット
20…連結部材
30…鋼板(金属板)
40…不燃断熱パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材料からなり、繊維の延びる方向を厚さ方向に沿った状態で並列された複数の芯材ブロックと、
この並列された複数の芯材ブロックを一体的に連結する連結部材と、
この連結部材によって連結された前記複数の芯材ブロックの厚さ方向の両側に固着された金属板と、
を備えることを特徴とする不燃断熱パネル。
【請求項2】
繊維の延びる方向が長手方向に延びている帯状の断熱材料の原反を、前記繊維の延びる方向に直交する切断ラインに沿って切断して複数の芯材ブロックを得る原反切断工程と、
所定数の前記芯材ブロックを、前記繊維の延びる方向が厚さ方向に沿った状態で並列させ、これら芯材ブロックを連結部材によって一体的に連結する芯材ブロック連結工程と、
前記連結部材によって連結された前記複数の芯材ブロックの厚さ方向の両側に金属板を固着する金属板固着工程と、
を備えることを特徴とする不燃断熱パネルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−80222(P2011−80222A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232148(P2009−232148)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(596066482)明正工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】