不織布、不織布製造方法及び不織布製造装置
【課題】本発明は、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整され又は、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布、該不織布の製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明における不織布製造装置は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整され、又は所定の溝部、開口部又は突部の1又は2以上が形成された不織布を製造する。
【解決手段】本発明における不織布製造装置は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整され、又は所定の溝部、開口部又は突部の1又は2以上が形成された不織布を製造する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布、不織布製造方法及び不織布製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、不織布は、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品、ワイパー等の清掃用品、マスク等の医療用品と、幅広い分野に使用されている。このように不織布は、異なる様々な分野で使用されるが、実際に各分野の製品に使用される場合には、それぞれの製品の用途に適した性質や構造となるよう製造されることが必要である。
【0003】
不織布は、例えば、乾式法や湿式法等により繊維層(繊維ウェブ)を形成し、ケミカルボンド法やサーマルボンド法等により繊維層を形成する繊維同士を結合させることで形成される。繊維層を形成する繊維を結合させる工程において、この繊維層に多数のニードルを繰り返し突き刺す方法や、水流を噴射する方法等の繊維層に外部から物理的な力を加えることを含む方法も存在する。
【0004】
しかし、これらの方法は、あくまで繊維同士を交絡させるだけであり、繊維層における繊維の配向や配置、また、繊維層の形状等を調整するものではなかった。つまり、これらの方法で製造されるのは単なるシート状の不織布であった。
【0005】
このように、不織布における通常の製造工程において、不織布における繊維の配向や配置及びその形状を簡易に調整することができないという問題があった。より具体的には、繊維層における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上を簡易に調整することや、溝部、開口部又は突起部の1又は2以上を簡易に形成することが困難であるという問題があった。
【0006】
この問題を解決するため、例えば、少なくとも一方が凹凸を有する一対の通気性コンベアに熱可塑性繊維を含有する繊維ウェブを通し、該繊維ウェブを挟持した状態で搬送する間に、該繊維ウェブの表面に空気を噴射して、上記通気性コンベアの凹部に該繊維ウェブを追随させて該繊維ウェブを凹凸に形成した不織布製造方法及び不織布が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−229255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1において、少なくとも一方が凹凸を有する一対の通気性コンベアにより繊維ウェブを挟持し、この挟持された繊維ウェブの一方の面に空気を噴射することで該繊維ウェブを通気性コンベアにおける凹部に追随させ、特定の凹凸を形成している。
【0008】
つまり、特許文献1における不織布製造方法(不織布)においても、繊維ウェブを凹凸に形成するためには、繊維ウェブを上下から挟持する一対の通気性コンベアが必要であるという課題がある。また、繊維ウェブを、コンベアの凹凸状にしか形成できないという課題がある。更には、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け等を調整することは困難であるという課題がある。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、所定の通気性支持部材により下面側から支持される繊維ウェブに、上面側から気体を噴きあてて該繊維ウェブを構成する繊維を移動させることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整することができること、また、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
(1)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造装置であって、前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【0012】
(2)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する不織布製造装置であって、前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【0013】
(3)前記主に気体からなる流体は、常温もしくは所定温度に調整された気体、又は、該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルである(1)又は(2)に記載の不織布製造装置。
【0014】
(4)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体の温度は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である(1)から(3)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0015】
(5)前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える(1)から(4)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0016】
(6)前記通気部は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部を有する(5)に記載の不織布製造装置。
【0017】
(7)前記通気性支持部材は、網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである(1)から(5)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0018】
(8)前記通気性支持部材は、該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である(1)から(7)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0019】
(9)前記通気性支持部材は、略板状である(1)から(8)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0020】
(10)前記通気性支持部材は、略円筒状である(1)から(8)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0021】
(11)前記通気性支持部材は、該不織布製造装置に着脱可能に配置される(1)から(10)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0022】
(12)前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される他の通気性支持部材と交換可能である(1)から(11)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0023】
(13)前記移動手段を制御可能な移動制御手段と、を更に備え、前記移動手段は、前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動手段と、前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動手段と、を備え、前記移動制御手段は、前記第1移動手段及び前記第2移動手段それぞれを制御可能であり、前記第1移動手段における前記繊維集合体の第1移動速度及び前記第2移動手段における前記繊維集合体の第2移動速度をそれぞれ調整可能である(1)から(12)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0024】
(14)前記移動速度制御手段は、前記第1移動速度が前記第2移動速度よりも速くなるよう前記第1移動手段及び前記第2移動手段をそれぞれ制御可能である(13)に記載の不織布製造装置。
【0025】
(15)前記噴きあて手段は、前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有する噴き出し部と、前記噴き出し部に前記主に気体からなる流体又は前記主に気体からなる流体を構成する気体を送気する送気部と、を備える(1)から(14)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0026】
(16)前記噴きあて手段は、前記主に気体からなる流体を前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてる(1)から(15)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0027】
(17)前記噴きあて手段により噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる(1)から(16)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0028】
(18)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【0029】
(19)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【0030】
(20)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である(18)又は(19)に記載の不織布製造方法。
【0031】
(21)前記支持工程における前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える(18)から(20)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0032】
(22)前記通気部は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部を有する(21)に記載の不織布製造方法。
【0033】
(23)前記支持工程における前記通気性支持部材は、網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである(18)から(22)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0034】
(24)前記支持工程における前記通気性支持部材は、該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である(18)から(23)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0035】
(25)前記支持工程における前記通気性支持部材は、略板状である(18)から(24)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0036】
(26)前記支持工程における前記通気性支持部材は、略円筒状である(18)から(24)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0037】
(27)前記支持工程における前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される(18)から(26)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0038】
(28)前記移動工程は、前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動工程と、前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動工程と、を含み、前記第1移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第1移動速度は、前記第2移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第2移動速度よりも速い(18)から(27)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0039】
(29)前記噴きあて工程における前記噴きあて手段は、前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有し、前記主に気体からなる流体は、複数の噴き出し口それぞれから噴き出され、前記繊維集合体における前記他の面側にそれぞれ噴きあてられる(18)から(28)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0040】
(30)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の溝部を形成する(21)又は(22)に記載の不織布製造方法。
【0041】
(31)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の開口部を形成する(21)又は(22)に記載の不織布製造方法。
【0042】
(32)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記第2通気部に支持されている領域に噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記第2通気部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する(22)に記載の不織布製造方法。
【0043】
(33)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてられる(18)から(32)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0044】
(34)前記噴きあて工程において、前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる(18)から(33)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0045】
(35)所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【0046】
(36)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上を維持する(35)に記載の不織布。
【0047】
(37)前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え、前記通気部及び前記不通気部の形状及び配置に応じて、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された(35)又は(36)に記載の不織布。
【0048】
(38)前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された(35)から(37)のいずれかに記載の不織布。
【0049】
(39)所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布。
【0050】
(40)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記形成された所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上の形状を維持する(39)に記載の不織布。
【0051】
(41)前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え、前記通気部及び不通気部の形状及び配置に応じて、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された(39)又は(40)に記載の不織布。
【0052】
(42)前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部が形成された(41)に記載の不織布。
【0053】
(43)前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の開口部が形成された(41)に記載の不織布。
【0054】
(44)前記通気部は孔部であり、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記孔部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する(41)に記載の不織布。
【0055】
(45)前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された(39)から(44)のいずれかに記載の不織布。
【0056】
(46)所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、前記所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成されたと共に、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【発明の効果】
【0057】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することができる。
また、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0059】
図1は、繊維ウェブの斜視図である。図2は、第1実施形態の不織布における平面図及び底面図である。図3は、図2における領域Xの拡大斜視図である。図4は、網状支持部材の平面図及び斜視図である。図5は、図1の繊維ウェブが下面側を図4の網状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図2の第1実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。図6は、第2実施形態の不織布における平面図及び底面図である。図7は、図6における領域Yの拡大斜視図である。図8は、網状支持部材に細長状部材を等間隔で並列配置した支持部材の平面図及び斜視図である。図9は、図1の繊維ウェブが下面側を図8の支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図6の第2実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。図10は、第3実施形態の不織布における平面図及び底面図である。図11は、楕円状の開口部が複数開口された板状支持部材の平面図及び斜視図である。図12は、図1の繊維ウェブが下面側を図11の板状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図10の第3実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。図13は、図12におけるA―A断面図である。図14は、第1実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。図15は、図14の不織布製造装置を説明する平面図である。図16は、図14における領域Zの拡大斜視図である。図17は、図16における噴き出し部の底面図である。図18は、第2実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。図19は、図18の不織布製造装置を説明する平面図である。
【0060】
[1]概要
[1.1]不織布製造装置
本発明の不織布製造装置は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する。
【0061】
また、本発明の不織布製造装置は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する。
【0062】
具体的には、図14に示すように、本発明の不織布製造装置90は、繊維集合体である繊維ウェブ100を一方の面側から支持する通気性支持部材200と、通気性支持部材200により前記一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100に、該繊維集合体である繊維ウェブ100における他方の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部と、繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる移動手段であるコンベア930と、を備える。
【0063】
そして、前記移動手段であるコンベア930は、通気性支持部材200により一方の面側から支持された状態における繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させ、噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部は、移動手段であるコンベア930により所定方向Fに移動される通気性支持部材200により一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100における他の面側に、主に気体からなる流体を噴きあてる。
【0064】
[1.2]不織布製造方法
本発明の不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する製造方法である。
【0065】
また、本発明の不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する製造方法である。
【0066】
具体的には、図14より、本発明の不織布製造方法は、繊維集合体である繊維ウェブ100を通気性支持部材200の所定面に配置し、又は所定の繊維を所定面に繊維集合体である繊維ウェブ100を形成するよう積層配置することで、通気性支持部材200に前記繊維集合体である繊維ウェブ100における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段であるコンベア930により、通気性支持部材200により支持される繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部により、移動工程において所定方向Fに移動される繊維集合体である繊維ウェブ100における他の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む。
【0067】
[1.3]不織布
本発明の不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布である。
【0068】
また、本発明の不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布である。
【0069】
[2]繊維集合体
本発明における不織布は、上述の通り、例えば図1に示されるような繊維ウェブ100等の略シート状の繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴き当てることで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整し、又は、所定の溝部、開口部又は突起部を形成して得られる。
【0070】
繊維集合体は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態であるものである。言い換えると、繊維同士の自由度を有する繊維集合体である。この繊維集合体は、例えば、複数の繊維を混合した混合繊維を所定厚さの繊維層を形成するように噴き出すことで形成することができる。また、例えば、複数の異なる繊維それぞれを、複数回に分けて積層させて繊維層を形成するように噴出すことで形成することができる。
【0071】
本発明における繊維集合体として、例えば、カード法により形成される繊維ウェブ、もしくは熱融着されて繊維同士の熱融着が固化する以前の繊維ウェブを例示できる。また、エアレイド法により形成されたウェブ、もしくは熱融着されて繊維同士の熱融着が固化する以前の繊維ウェブを例示できる。また、ポイントボンド法でエンボスされた熱融着が固化する以前の繊維ウェブを例示できる。また、スパンボンド法により紡糸されエンボスされる以前の繊維集合体、もしくはエンボスされた熱融着が固化する以前の繊維集合体を例示できる。また、ニードルパンチ法により形成され半交絡された繊維ウェブを例示できる。また、スパンレース法により形成され半交絡された繊維ウェブを例示できる。また、メルトブローン法により紡糸され繊維同士の熱融着が固化する以前の繊維集合体を例示できる。また、溶剤接着法によって形成された溶剤により繊維同士が固化する以前の繊維集合体を例示できる。
【0072】
また、好ましくは、空気(気体)流によって繊維を再配列しやすいのは、比較的長繊維を使用するカード法で形成した繊維ウェブであり、更には繊維同士の自由度が高く交絡のみで形成される熱融着以前のウェブを例示できる。また、後述する複数の空気(気体)流により溝部(凹凸)等を形成した後に、その形状を保持したまま不織布化させるには、所定の加熱装置等によりオーブン処理(加熱処理)することで繊維集合体に含まれる熱可塑性繊維を熱融着させるスルーエアー法が好ましい。
【0073】
[3]繊維
繊維集合体を構成する繊維(例えば、図1に示す繊維ウェブ100を構成する繊維101)として、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリプロピレン、変性ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂で構成し、各樹脂を単独、もしくは複合した繊維が挙げられる。
【0074】
複合形状は、例えば、芯成分の融点が鞘成分より高い芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、左右成分の融点が異なるサイドバイサイドタイプが挙げられる。また、中空タイプや、扁平やY型やC型などの異型や、潜在捲縮や顕在捲縮の立体捲縮繊維、水流や熱やエンボスなどの物理的負荷により分割する分割繊維などが混合されていてもよい。
【0075】
また、3次捲縮形状を形成するために、所定の顕在捲縮繊維や潜在捲縮繊維を配合することができる。ここで、3次元捲縮形状とはスパイラル状・ジグザグ状・Ω状などであり、繊維配向は主体的に平面方向へ向いていても部分的には繊維配向が厚み方向へ向くことになる。これにより、繊維自体の挫屈強度が厚み方向へ働くため、外圧が加わっても嵩が潰れにくくなる。更には、これらの中でも、スパイラル状の形状であれば、外圧が解放されたときに形状が元に戻ろうとするため、過剰な外圧で嵩が若干潰れても外圧解放後には元の厚みに戻りやすくなる。
【0076】
顕在捲縮繊維は、機械捲縮による形状付与や、芯鞘構造が偏芯タイプ、サイドバイサイドなどで予め捲縮されている繊維の総称である。潜在捲縮繊維は、熱を加えることで捲縮が発現するものである。
【0077】
機械捲縮とは、紡糸後の連続で直線状の繊維に対し、ライン速度の周速差・熱・加圧によって制御でき、単位長さ当たりの捲縮個数が多いほど、外圧下に対する挫屈強度を高めることができる。例えば、捲縮個数は10から35個/inch、更には15から30個/inchの範囲であることが好ましい。
【0078】
熱収縮による形状付与とは、融点の異なる2つ以上の樹脂からなり、熱を加えると融点差により熱収縮率が変化しているため、3次元捲縮する繊維のことである。繊維断面の樹脂構成は、芯鞘構造の偏芯タイプ、左右成分の融点が異なるサイドバイサイドタイプが挙げられる。このような繊維の熱収縮率は、例えば、5から90%、更には10から80%の範囲を好ましい値として例示できる。
【0079】
熱収縮率の測定方法は、(1)測定する繊維100%で200gsm(g/m2)のウェブを作成し、(2)250×250mmの大きさにカットしたサンプルをつくり、(3)このサンプルを145℃(418.15K)のオーブン内に5分間放置し、(4)収縮後の長さ寸法を測定し、(5)熱収縮前後の長さ寸法差から算出することができる。
【0080】
本不織布を表面シートとして用いる場合は、繊度は、例えば、液体の入り込みや肌触りを考慮すると、1.1から8.8dtexの範囲であることが好ましい。
【0081】
本不織布を表面シートとして用いる場合は、繊維集合体を構成する繊維として、例えば、肌に残るような少量な経血や汗などをも吸収するために、パルプ、化学パルプ、レーヨン、アセテート、天然コットンなどのセルロース系の液親水性繊維が含まれていてもよい。ただし、セルロース系繊維は一度吸収した液体を排出しにくいため、例えば、全体に対し0.1から5質量%の範囲で混入する場合を好ましい態様として例示できる。
【0082】
本不織布を表面シートとして用いる場合は、例えば、液体の入り込み性やリウェットバックを考慮して、前記に挙げた疎水性合成繊維に、親水剤や撥水剤などを練り込んだり、コーティングなどされていてもよい。また、コロナ処理やプラズマ処理によって親水性を付与してもよい。
【0083】
また、白化性を高めるために、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラーが含有されていてもよい。芯鞘タイプの複合繊維である場合は、芯にのみ含有していてもよいし、鞘にも含有してあってもよい。
【0084】
また、先に示した通り、空気流によって繊維を再配列しやすいのは比較的長繊維を使用するカード法で形成した繊維ウェブであり、複数の空気流により溝部(凹凸化)等を形成した後にその形状を保持したまま不織布化させるには、オーブン処理(加熱処理)で熱可塑性繊維を熱融着させるスルーエアー法が好ましい。この製法に適した繊維としては、繊維同士の交点が熱融着するために芯鞘構造、サイドバイサイド構造の繊維を使用することが好ましく、更には鞘同士が確実に熱融着しやすい芯鞘構造の繊維で構成されていることが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとからなる芯鞘複合繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる芯鞘複合繊維を用いることが好ましい。これらの繊維は、単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、繊維長は20から100mm、特には35から65mmが好ましい。
【0085】
[4]主に気体からなる流体
本発明にける主に気体からなる流体は、例えば、常温もしくは所定温度に調整された気体、又は、該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルを例示できる。
【0086】
気体として、例えば、空気、窒素等を例示できる。また、気体は、水蒸気等の液体の蒸気を含むものである。
【0087】
エーロゾルとは、気体中に液体または固体が分散したものであり、以下にその例を挙げる。例えば、着色のためのインクや、柔軟性を高めるためのシリコン等の柔軟剤や、帯電防止およびヌレ性を制御するための親水性若しくは撥水性の活性剤や、流体のエネルギーを高めるための酸化チタン、硫酸バリウム等の無機フィラーや、流体のエネルギーを高めると共に加熱処理において凹凸成形維持性を高めるためのポリエチレン等のパウダーボンドや、かゆみ防止のための塩酸ジフェンヒドラミン、イソプロピルメチルフェノール等の抗ヒスタミン剤や、保湿剤や、殺菌剤等を分散させたものを例示できる。ここで、固体は、ゲル状のものを含む。
【0088】
主に気体からなる流体の温度は適宜調整することができる。繊維集合体を構成する繊維の性質や、製造すべき不織布の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部等の形状に応じて適宜調整することができる。
【0089】
ここで、例えば、繊維集合体を構成する繊維を好適に移動させるには、主に気体からなる流体の温度は、ある程度高い温度である方が繊維集合体を構成する繊維の自由度が増すため好ましい。また、繊維集合体に熱可塑性繊維が含まれる場合には、主に気体からなる流体の温度を該熱可塑性繊維が軟化可能な温度にすることで、主に気体からなる流体が噴きあてられた領域等に配置される熱可塑性繊維を軟化もしくは溶融させると共に、再度硬化させるよう構成することができる。
【0090】
これにより、例えば、主に気体からなる流体が噴きあてられることで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け等や、溝部、開口部又は突起部等における形状が維持される。また、例えば、繊維集合体が所定の移動手段により移動される際に該繊維集合体(不織布)が散けない程度の強度が与される。
【0091】
主に気体からなる流体の流量は、調整される繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成される所定の溝部、開口部又は突起部等に応じて適宜調整することができる。繊維同士が自由度を有する繊維集合体の具体例として、例えば、鞘に高密度ポリエチレン、芯にポリエチレンテレフタレートからなり、繊維長が20から100mm、好ましくは35から65mm、繊度が1.1から8.8dtex、好ましくは2.2から5.6dtexの芯鞘繊維を主体とし、カード法による開繊であれば繊維長が20から100mm、好ましくは35から65mm、エアレイド法による開繊であれば繊維長が1から50mm、好ましくは3から20mmの繊維を用い、10から1000gsm、好ましくは15から100gsmで調整した繊維ウェブ100を例示できる。主に気体からなる流体の条件として、例えば、図16又は図17に示す複数の噴き出し口913が形成された噴き出し部910(噴き出し口913:直径が0.1から30mm、好ましくは0.5から5mm:ピッチが0.5から30mm、好ましくは0.1から10mm:形状が真円、楕円や長方形)において、温度が15から300℃(288.15Kから573.15K)、好ましくは100から200℃(373.15Kから473.15K)の熱風を、風量3から50[L/(分・孔)]、好まししくは5から20[L/(分・孔)]の条件で繊維ウェブ100噴きあてる場合を例示できる。例えば、主に気体からなる流体が上記条件で噴きあてられた場合に、構成する繊維がその位置や向きを変更可能である繊維集合体が、本発明における繊維集合体における好適なものの一つである。このような繊維、製造条件で作成することにより、例えば図2、3で示される不織布を成形できる。溝部1や凸状部2の寸法や目付は以下の範囲で得ることが出来る。溝部1では、厚み0.05から10mm、好ましくは0.1から5mmの範囲、幅は0.1から30mm、好ましくは0.5から5mmの範囲、目付は2から900gsm、好ましくは10から90gsmの範囲である。凸状部2では、厚み0.1から15mm、好ましくは0.5から10mmの範囲、幅は0.5から30mm、好ましくは1.0から10mmの範囲、目付は5から1000gsm、好ましくは10から100gsmの範囲である。また、おおよそ上記数値範囲で不織布を作成できるが、この範囲に限定されるものではない。
【0092】
[5]不織布製造装置
図14から図19により、本発明における不織製造装置について説明する。
【0093】
[5.1]不織布製造装置の第1実施形態
図14から図17により、本発明の不織布製造装置における第1実施形態について説明する。
【0094】
[5.1.1]全体構造
図14又は図15に示すように、本実施形態における不織布製造装置90は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する。
【0095】
また、本実施形態における不織布製造装置90は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する。
【0096】
不織布製造装置90は、繊維集合体である繊維ウェブ100を一方の面側から支持する通気性支持部材200と、通気性支持部材200により前記一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100に、該繊維集合体である繊維ウェブ100における他方の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部と、繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる移動手段であるコンベア930と、を備える。
【0097】
そして、前記移動手段であるコンベア930は、通気性支持部材200により一方の面側から支持された状態における繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させ、噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部は、移動手段であるコンベア930により所定方向Fに移動される通気性支持部材200により一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100における他の面側に、主に気体からなる流体を噴きあてる。
【0098】
これにより、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、噴き出し部910から噴き出される(噴きあてられる)主に気体からなる流体、及び/又は、この噴き出し部910から噴き出される(噴きあてられる)主に気体からなる流体であって、繊維ウェブ100を通気すると共に後述する通気性支持部材に形成される不通気部によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体により、繊維ウェブ100を構成する繊維101移動させる。この繊維101の移動を調整することで、繊維ウェブ100における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整、また、所定の溝部、開口部又は突起部を形成することができる。
【0099】
言い換えると、調整すべき繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成すべき所定の溝部、開口部又は突起部の形状に応じて、後述する通気性支持部材における通気部及び不通気部の形状及び配置を設計することで、所望の不織布を製造することができる。
【0100】
また、同じ通気性支持部材を用いても、主に気体からなる流体の噴きあて条件を変更することで、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動を調整することができる。つまり、通気性支持部材における通気部及び不織布通気部の形状及び配置に加えて、主に気体からなる流体の噴きあて条件を調整することで、不織布の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部の形状等を調整することができる。
【0101】
本発明における不織布製造装置90において、例えば、複数の異なる通気性支持部材から所定の通気性支持部材を選択すると共に、主に気体からなる流体の噴きあて条件を調整することで、所望の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けに調整され、また、所望の溝部、開口部又は突起部が形成された不織布を製造することができる。
【0102】
[5.1.2]各構成要件
[5.1.2.1]通気性支持部材
通気性支持部材200は、例えば、図14における噴き出し部910から噴き出された主に気体からなる流体であって繊維ウェブ100を通気した主に気体からなる流体が、該繊維ウェブ100が載置された側とは反対側に通気可能な支持部材である。
【0103】
主に気体からなる流体が全体的に通気可能な支持部材として、例えば、図4に示される網状支持部材210を例示することができる。該網状支持部材210は、例えば、細いワイヤーが編み込まれるようにして形成される目の細かい網状部材により形成することができる。また、網状支持部材210は、後述する第1通気部である網状が全体的に配置された通気性支持部材である。
【0104】
また、通気性支持部材200は、繊維ウェブ100における上面側から噴きあてられた主に気体からなる流体が、通気性支持部材200における繊維ウェブ100が配置された側とは反対側である下側に通気できる通気部と、繊維ウェブ100における上面側から噴きあてられた主に気体からなる流体が、通気性支持部材200における下側に通気できず、かつ、繊維ウェブ100を構成する繊維101(図1)が通気性支持部材200における反対側に移動できない不通気部と、を備えることができる。
【0105】
このような通気性支持部材200として、例えば、所定の網状部材に不通気部が所定のパターンニングで配置された部材や、不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材を例示することができる。
【0106】
該所定の網状部材に不通気部が所定のパターンニングで配置された部材としては、例えば、図8に示される網状支持部材210の一面に不通気部である細長状部材225が等間隔で並列配置された支持部材220を例示できる。ここで、不通気部である細長状部材225の形状や配置を適宜変更したものを他の実施形態として例示することができる。不通気部は、図8に示される細長状部材225を網状支持部材210の一面に配置する場合のほか、通気部である網状の目を埋める(例えば、ハンダ、樹脂等により)ことでも形成することもできる。
【0107】
該不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材としては、例えば、図11に示される通気部である楕円状の孔部233が複数形成された板状支持部材230を例示できる。ここで、孔部233の形状、大きさ及び配置を適宜調整したものを他の実施形態として例示することができる。言い換えると、不通気部であるプレート部235の形状等を適宜調整したものを他の実施形態として例示することができる。
【0108】
ここで、通気性支持部材200における通気部は、繊維ウェブ100を構成する繊維101が通気性支持部材200における繊維ウェブ100が載置される側とは反対側(下側)に実質的に移動できない第1通気部と、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部と、を含む。
【0109】
第1通気部として、例えば、網状支持部材210における網状の領域を例示することができる。また、第2通気部として、例えば、板状支持部材230における孔部233を例示することができる。
【0110】
第1通気部を有する通気性支持部材200として、例えば、網状支持部材210を例示できる。不通気部及び第1通気部を有する通気性支持部材200として、例えば、支持部材220と例示することができる。不通気部及び第2通気部を有する支持部材として、例えば、板状支持部材230を例示することができる。
【0111】
その他、第1通気部と第2通気部とからなる通気性支持部材200や、不通気性支持部材と第1通気部及び第2通気部とを備える通気性支持部材200を例示できる。第1通気部と第2通気部とからなる通気性支持部材200として、例えば、図4に示される網状支持部材210に複数の開口が形成された通気性支持体を例示することができる。また、不通気性支持部材と第1通気部及び第2通気部とを備える通気性支持部材200として、例えば、図8に示される支持部材220における網状領域に複数の開口が形成された通気性支持部材を例示することができる。
【0112】
また、通気性支持部材200として、繊維ウェブ100支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である支持部材を例示できる。略平面状又は略曲面状として、例えば、板状や円筒状を例示できる。また、略平坦状とは、例えば、支持部材における繊維ウェブ100を載置する面自体が凹凸状等に形成されていないことをいう。具体的には、網状支持部材210における網が凹凸状等に形成されていない支持部材を例示することができる。
【0113】
この通気性支持部材200として、例えば、板状の支持部材や円筒状の支持部材を例示することができる。具体的には、上述した網状支持部材210、支持部材220及び板状支持部材230や、図18及び図19に示される通気性支持ドラム250等を例示することができる。
【0114】
ここで、通気性支持部材200は、不織布製造装置90に着脱可能に配置することがきる。これにより、所望の不織布における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部に応じた通気性支持部材200を適宜配置することができる。言い換えると、不織布製造装置90において、通気性支持部材200は、異なる複数の通気性支持部材から選択される他の通気性支持部材と交換可能である。また、本発明は、例えば、不織布製造装置90と、異なる複数の通気性支持部材200と、を備える不織布製造システムを含むといえる。
【0115】
図4に示す網状支持部材210又は図8に示される支持部材220における網状部分について以下に説明する。この通気性の網状部分として、例えば、ポリエステル・ポリフェニレンサルファイド・ナイロン・導電性モノフィラメントなどの樹脂による糸、もしくはステンレス・銅・アルミなどの金属による糸等で、平織・綾織・朱子織・二重織・スパイラル織等で織り込まれた通気性ネットを例示できる。
【0116】
この通気性ネットにおける通気度は、例えば、織り込み方や糸の太さ、糸形状を部分的に変化させることで、部分的に通気度を変化させることができる。具体的には、ポリエステルによるスパイラル織の通気性メッシュ、ステンレスによる平形糸と円形糸によるスパイラル織の通気性メッシュを例示できる。
【0117】
また、図8に示される支持部材220の一面に配置される細長状部材225に代えて、例えば、通気性ネットへシリコン樹脂などをパターンニングして塗工したり、非通気材料を部分的に接合したりしてもよい。例えば、ポリエステルによる平織された20メッシュの通気性ネットに、幅方向に延びライン流れ方向で互いに繰り返すようシリコン樹脂を塗工することができる。この場合、シリコン樹脂や非通気材料が接合された不通気部となり、他の箇所は第1通気部となる。不通気部においては、表面のすべり性を高めるためにその表面は平滑であることが好ましい。
【0118】
図11に示す板状支持部材230として、例えば、ステンレス・銅・アルミなどの金属で作成されたスリーブを例示できる。スリーブは、上記金属の板を所定パターンで部分的に抜いたものを例示できる。この金属がくり抜かれた箇所は第2通気部となり、金属がくり抜かれていない箇所は不通気部となる。また、上記と同様に不通気部においては、表面のすべり性を高めるためにその表面は平滑であることが好ましい。
【0119】
スリーブとして、例えば、長さが3mmで幅40mmの各角を丸くした横長方形で金属がくり抜かれた孔部が、ライン流れ方向(移動方向)においては2mmの間隔を空け、幅方向では3mmの間隔を空けて格子状に配置される、厚みが0.3mmのステンレス製のスリーブを例示することができる。
【0120】
また、孔部が千鳥状に配置されたスリーブを例示できる。例えば、直径4mmの円形で金属がくり抜かれた孔部が、ライン流れ方向(移動方向)においてピッチ12mm、幅方向ではピッチ6mmの千鳥状に配置される、厚みが0.3mmのステンレス製のスリーブを例示できる。このように、くり抜かれるパターン(形成される孔部)や配置は適時設定できる。
【0121】
更に、所定の起伏が設けられた通気性支持部材200を例示できる。例えば、主に気体からなる流体が直接噴きあてられない箇所がライン流れ方向(移動方向)へ交互に起伏(例えば、波状)を有する通気性支持体を例示できる。このような形状の通気性支持部材200を用いることで、例えば、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され、また、所定の溝部、開口部又は突起部が形成されると共に、全体的に通気性支持部材200における交互に起伏(例えば、波状)した形状に形成された不織布を得ることができる。
【0122】
ここで、通気性支持部材200の構造が異なる場合には、例えば、噴き出し部910から同じ条件で気体を噴きあてたとしても、繊維ウェブ100における繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成される溝部、開口部又は突起部の形状や大きさは、全く異なったものとなる。言い換えると、通気性支持部材200部を適宜選択することで、所望の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けに調整された不織布や、所望の形状の溝部、開口部又は突起部が形成された不織布を得ることができる。
【0123】
また、本実施形態における不織布製造装置90は、噴き出し手段から連続的に主に気体からなる流体を繊維集合体である繊維ウェブ100に噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部が形成された不織布を製造することができることを特徴の一つとする。
【0124】
[5.1.2.2]移動手段
移動手段は、上述した通気性支持部材200により一方の面側から支持された状態における繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向に移動させる。具体的には、主に気体からなる流体が噴きあてられた状態における繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる。移動手段として、例えば、図14に示されるコンベア930を例示できる。コンベア930は、通気性支持部材200を載置する横長のリング状に形成される通気性の通気性ベルト部939と、横長のリング状に形成された通気性ベルト部939の内側であって長手方向の両端に配置され、該リング状の通気性ベルト部939を所定方向に回転させる回転部931、933と、を備える。ここで、通気性支持部材200が、図4における網状支持部材210や図8における支持部材220である場合には、上述の通気性ベルト部939を配置しない場合がある。通気性支持部材200が、図11における板状支持部材230のように大きな孔が形成されている支持体である場合には、例えば、繊維ウェブ100を構成する繊維が孔から落ちて、工程で使用される機械に入り込むことを抑制するため、通気性ベルト部939を配置することが好ましい。この通気性ベルト部939として、例えば、網状のベルト部が好ましい。
【0125】
コンベア930は、上述の通り、繊維ウェブ100を下面側から支持した状態の通気性支持部材200を所定方向Fに移動させる。具体的には、図14に示すように、繊維ウェブ100が、噴き出し部910の下側を通過するように移動させる。更には、繊維ウェブ100が、加熱手段である両側面が開口したヒータ部950の内部を通過するように移動させる。
【0126】
また、例えば、図18に示すように、移動手段として複数のコンベアを組み合わせたものを例示することができる。このように構成することで、噴き出し部910に近づくように移動する速度と、噴き出し部910から遠ざかるように移動する移動速度を適宜調整することで、不織布115における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、溝部、開口部又は突起部の形状等を調整することができる。詳細は、後述の通りである。
【0127】
[5.1.2.3]噴きあて手段
噴きあて手段は、不図示の送気部及び、噴き出し部910を備える。不図示の送気部は、送気管920を介して噴き出し部910に連結される。送気管920は、噴き出し部910の上側に通気可能に接続される。図17に示すように、噴き出し部910には、噴き出し口913が所定間隔で複数形成されている。
【0128】
不図示の送気部から送気管920を介して噴き出し部910に送気された気体は、噴き出し部910に形成された複数の噴き出し口913から噴出される。複数の噴き出し口913から噴出された気体は、通気性支持部材200に下面側から支持された繊維ウェブ100の上面側に連続的に噴きあてられる。具体的には、複数の噴き出し口913から噴出された気体は、コンベア930により所定方向Fに移動された状態における繊維ウェブ100の上面側に連続的に噴きあてられる。
【0129】
噴き出し部910下方であって通気性支持部材200の下側に配置される吸気部915は、噴き出し部910から噴出され通気性支持部材200を通気した気体等を吸気する。ここで、この吸気部915による吸気により、繊維ウェブ100を通気性支持部材200に張り付かせるよう位置決めさせることも可能である。更には、吸気によって、空気流により成形した溝部(凹凸)等の形状をより保った状態でヒータ部950内に搬送することができる。この場合、空気流による成形と同時にヒータ部950まで、吸気しながら搬送することが好ましい。
【0130】
図15又は図16に示すように、例えば、繊維ウェブ100の幅方向に所定間隔で形成された噴き出し口913(図17参照)から噴出された主に気体からなる流体により、繊維ウェブ100の上面側に溝部1が所定間隔で形成された不織布110が製造される。
【0131】
噴き出し部910として、例えば、噴き出し口913の直径が0.1から30mm、好ましくは0.3から10mmであり、噴き出し口913同士のピッチが0.5から20mm、好ましくは3から10mmが形成されたものを例示できる。
【0132】
噴き出し口913の形状は、例えば、真円、楕円、正方形、長方形等を例示できるがこれに限定されない。また、噴き出し口913の断面形状は円筒型、台形型、逆台形型を例示できるがこれらに限定されない。空気が効率良く繊維ウェブ100に噴きあてられることを考慮すると、形状は真円で断面形状は円筒型が好ましい。
【0133】
この噴き出し口913は、不織布における所望の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部に応じて設計等することができる。また、複数の噴き出し口913それぞれにおける孔径や形状はそれぞれ異なっていても良く、また、噴き出し部910において噴き出し口013が複数列になるよう形成されてもよい。
【0134】
噴き出し口913それぞれから噴き出される主に気体からなる流体の温度は、上述の通り常温であってもよいが、例えば、溝部(凹凸)、開口部又は突起部の成形性を良好にするには、繊維集合体を構成する少なくとも熱可塑性繊維の軟化点以上、好ましくは軟化点以上であり融点+50℃以下の温度に調整することができる。繊維が軟化すると繊維自体の反発力が低下するため、空気流等で繊維が再配列された形状を保ちやすく、温度を更に高めると繊維同士の熱融着が開始されるためより一層、溝部(凹凸)等の形状を保ちやすくなる。これにより、溝部(凹凸)等の形状を保った状態でヒータ部950内に搬送しやすくなる。
【0135】
また、空気流等により成形した溝部(凹凸)等の形状をより保った状態でヒータ部950に搬送するには、空気流等による溝部(凹凸)等の成形直後もしくは同時にヒータ部950内に搬送するか、熱風(所定温度の空気流)による溝部(凹凸)等の成形直後に冷風等により冷却させ、その後、ヒータ部950に搬送することができる。
【0136】
ここで、上述した通気性支持部材200の構造のほか、繊維ウェブ100における繊維101を移動させて、繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成される溝部、開口部又は突起部の形状や大きさ等を調整する要素として、例えば、噴き出し部910から噴き出される気体の流速や流量等を例示することができる。この噴き出される気体の流速や流量は、例えば、不図示の送気部における送気量等や、噴き出し部910に形成される噴き出し口913の数や口径により調整することができる。
【0137】
その他、噴き出し部910を、主に気体からなる流体の向きを変更可能にすることで、例えば、形成される凹凸における凹部(溝部)の間隔や、凸状部の高さ等を適宜調整することができる。また、例えば、上記流体の向きを自動的に変更可能に構成することで、例えば、溝部等を蛇行状(波状、ジグザグ状)や他の形状となるよう適宜調整することができる。また、主に気体からなる流体の噴き出し量や噴き出し時間を調整することで、溝部や開口部の形状や形成パターンを適宜調整することができる。主に気体からなる流体の繊維ウェブ100に対する噴きあて角度は、垂直であってもよく、また、繊維ウェブ100の移動方向Fにおいて、該移動方向Fであるライン流れ方向へ所定角度だけ向いていても、ライン流れ方向とは逆へ所定角度だけ向いていてもよい。
【0138】
[5.1.2.4]加熱手段
加熱手段であるヒータ部950は、所定方向Fにおける両端が開口されている。これにより、コンベア930により移動される通気性支持部材200に載置された繊維ウェブ100(不織布110)が、ヒータ部950の内部に形成される加熱空間を所定時間の滞留をもって連続的に移動される。例えば、繊維ウェブ100(不織布110)を構成する繊維101に熱可塑性繊維を含ませた場合には、このヒータ部950における加熱により繊維101同士が結合された不織布115を得ることができる。
【0139】
繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され及び/又は所定の溝部、開口部又は突部の1又は2以上が形成された不織布110における繊維101を接着させる方法として、例えば、ニードルパンチ法、スパンレース法、溶剤接着法による接着や、ポイントボンド法やエアースルー法による熱接着が例示できるが、調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成された所定の溝部、開口部又は突部の形状を維持するためは、エアースルー法が好ましい。そして、例えば、ヒータ部95によるエアースルー法における熱処理が好ましい。
【0140】
[5.1.2.5]その他
ヒータ部950により加熱されて製造された不織布115は、コンベア930と所定方向Fにおいて連続するコンベア940により、例えば、不織布115を所定形状に切断する工程や巻き取る工程に移動される。コンベア940は、コンベア930と同様に、ベルト部949と、回転部941等を備える。
【0141】
[5.2]不織布製造装置の第2実施形態
図18及び図19により、本発明の不織布製造装置における第2実施形態について説明する。第2実施形態における不織布製造装置95は、第1実施形態における不織布製造装置90と、移動手段及び通気性支持部材200の形態において相違する。以下に、その異なる点を中心として不織布製造装置95について説明する。
【0142】
[5.2.1]全体構造
本実施形態における不織布製造装置95は、繊維集合体である繊維ウェブ100を噴き出し部910に近づくように移動させる第1移動手段である第1コンベア970と、繊維ウェブ100を噴き出し部910から離れるように移動させる第2移動手段である第2コンベア980とを備える。第1コンベア970と第2コンベア980との間には、通気性支持ドラム250が配置される。上記噴き出し手段を構成する噴き出し部910は、通気性支持ドラム250の上側に配置される。ここで、他の構成要件は、第1実施形態における不織布製造装置90と同様である。
【0143】
第1コンベア970により所定方向Fに移動された繊維ウェブ100は、通気性支持ドラム250の上面(円筒状の側面)に移動される。通気性支持ドラム250の上面(円筒状の側面)に移動された繊維ウェブ100は、該通気性支持ドラム250がR方向に回転することにより、該通気性支持ドラム250の上側に支持された状態で第2コンベア980側に移動される。
【0144】
噴き出し部910から噴き出される主に気体からなる流体は、上記通気性支持ドラム250の上側に支持された状態で所定方向Fに移動される繊維ウェブ100における上面側に噴きあてられる。主に気体からなる流体が噴きあてられ、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され、また、所定の溝部、開口部又は突部が形成された不織布110は、第2コンベア980により加熱手段であるヒータ部950に移動される。このヒータ部950で所定温度(例えば、繊維ウェブ100に含まれる熱可塑性繊維の溶融温度)に昇温された不織布110は、すでに調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成された所定の溝部、開口部又は突部が維持された不織布120となる。
【0145】
[5.2.2]各構成要件
「5.2.2.1」通気性支持部材
本実施形態における通気性支持部材200は、略円筒状に形成されている点で第1実施形態と相違する。本実施形態における通気性支持部材200は、略円筒状の通気性ドラム255と、該通気性ドラム255の側面に周回するように配置されるドラム状通気性ベルト部259との外周面に、該ドラム状通気性ベルト部259に積層するように配置され、略円筒状の通気性支持ドラム250を構成する。ここで、通気性支持部材200が、図4における網状支持部材210や図8における支持部材220である場合には、上述のドラム状通気性ベルト部259を配置しない場合がある。通気性支持部材200が、図11における板状支持部材230のように大きな孔が形成されている支持体である場合には、例えば、繊維ウェブ100を構成する繊維が孔から落ちて、工程で使用される機械に入り込むことを抑制するため、ドラム状通気性ベルト部259を配置することが好ましい。このドラム状通気性ベルト部259として、例えば、網状のベルト部が好ましい。
【0146】
通気性支持ドラム250は、前述した第1コンベア970と、第2コンベア980との間に配置される。通気性支持ドラム250は、その両端が繊維ウェブ100の移動方向Fに対して側方側を向くようにして配置される。言い換えると、通気性支持ドラム250における側面が、略水平になるように配置される。例えば、通気性支持ドラム250を横に倒したように配置される。
【0147】
通気性支持ドラム250は、円筒軸を中心にR方向に回転可能に配置される。通気性支持ドラム250がR方向に回転することで、該通気性支持ドラム250の側面に配置される繊維ウェブ100は所定方向Fに移動される。
【0148】
通気性支持ドラム250における内部側(円筒状の内側)には、所定の吸気部等を配置することができる。これにより、噴き出し部910から噴き出された主に気体からなる流体を吸引可能となると共に、繊維ウェブ100は、通気性支持ドラム250の上面側に位置決めされる。
【0149】
更には、吸引部における吸引可能な領域を調整することで、繊維ウェブ100が位置決めされる領域や強さを調整することができる。これにより、溝部、開口部又は突部等の形状を調整することができる。
【0150】
また、通気性支持ドラム250は、不織布製造装置95に着脱可能に配置される。言い換えると、異なる複数の通気性ドラムから選ばれる他の通気性ドラムに交換可能に配置あれる。これにより、不織布製造装置95は、所望の不織布における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付や、所定の溝部、開口部又は突部の形状に応じた通気性支持部材200が外側面に配置された通気性支持ドラムを適宜配置することができる。
【0151】
通気性ドラム255に配置される通気性支持部材200として、例えば、上述した網状支持部材210、支持部材220や板状支持部材230等を例示できる。言い換えると、これら網状支持部材210、支持部材220や板状支持部材230等を、通気性ドラム255の外側面に沿うように配置した通気性支持ドラム250を例示できる。
【0152】
通気性支持ドラム250を用いることで、例えば、製造ラインを短くすることができる場合がある。また、例えば、通気性支持ドラム250として、異なる複数の通気性ドラムから選ばれる所定の通気性支持ドラムを用いる製造装置(システム)である場合には、使用しない通気性支持ドラムの保管スペースが小さくてすむ場合がある。
【0153】
「5.2.2.2」移動手段
不織布製造装置95は、繊維集合体である繊維ウェブ100を噴き出し部910に近づくように移動させる第1コンベア970と、繊維ウェブ100を噴き出し部910から離れるように移動させる第2コンベア980とを備える。本実施形態においては、第1移動手段は第1コンベア970であり、第2移動手段は通気性支持ドラム250がこれを兼ねる。この第1コンベア970における繊維ウェブ100の第1移動速度と、通気性支持ドラム250のR方向への回転による繊維ウェブ100の第2移動速度とを調整することで、移動中における繊維ウェブ100のテンションを調整することができる。これにより、例えば、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動状態を調整することができる。
【0154】
例えば、通気性支持部材200が板状支持部材230である場合には、このテンションを調整することで、繊維の孔部233への入り込みを調整することができる。言い換えると、同じ板状支持部材230を用いた場合でも、テンションを強くすることで後述する開口部が複数形成された不織布を製造することができ、逆にテンションを弱くすることで後述する突起部が複数形成された不織布を製造することができる。
【0155】
例えば、繊維ウェブ100におけるテンションを強くするには、第1移動速度と第2速度とを略同じにするよう調整すれば良く、テンションを弱くするには、第1移動速度が第2移動速度よりも速くなるよう調整すればよい。ここで、第2移動速度は、通気性支持ドラム250のR方向への回転速度や、該通気性支持ドラム250の内部側に配置される吸気部のおける強さにより調整することができる。更には、第2コンベア980における移動速度を、第2移動速度と同じか又は第2移動速度よりも速くすることで、板状支持部材230における孔部233に繊維が入り込んで形成される突起部が該孔部233から引き抜かれると共に、ヒータ部950に搬送される。ここで、第1移動速度が第2移動速度よりも速くなるように調整した場合、例えば、噴き出し部910を通過する前の繊維ウェブ100における平均目付けを100とした場合に、噴き出し部910を通過した後の繊維ウェブ100の平均目付けが110から1000、特に120から500の範囲となるよう上記速度を調整することが好ましい。
【0156】
「5.2.2.3」移動制御手段
不織布製造装置95は、移動制御手段である不図示の制御部を備える。制御部は、例えば、所定のCPU等で構成される。制御部は、例えば、第1コンベア970、第2コンベア980及び通気性支持ドラム250を制御可能である。制御部は、第1コンベア970における繊維ウェブ100の第1移動速度及び、通気性支持ドラム250における繊維ウェブ100の第2移動速度を制御可能である。制御部は、不織布110における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突部に応じて第1移動速度及び第2移動速度のそれぞれを調整することができる。
【0157】
「5.3」その他
第1実施形態の不織布製造装置90及び第2実施形態の不織布製造装置95において、噴き出し部910や通気性支持部材200を複数備えることもできる。例えば、多段階で繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整し、また、所定の溝部、開口部又は突部を形成することができ、詳細な不織布設計をすることができる。
【0158】
[6]不織布製造方法
[6.1]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの調整
本実施形態における不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法である。
【0159】
そして、本実施形態における不織布製造方法は、繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により通気性支持部材により支持される繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により移動工程において所定方向に移動される繊維集合体における他の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む。
【0160】
[6.2]所定の溝部、開口部又は突部の形成
本実施形態における不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法である。
【0161】
そして、本実施形態における不織布製造方法は、繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、通気性支持部材に繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により通気性支持部材により支持される繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により移動工程において所定方向に移動される繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む。
【0162】
[6.3]各構成要素
[6.3.1]繊維及び主に気体からなる流体
本実施形態における繊維集合体は、例えば、熱可塑性繊維を含むことができる。繊維集合体が熱可塑性繊維を含む場合、例えば、所定の噴きあて手段から繊維集合体の他の面側である上面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度にすることができる。
【0163】
例えば、主に気体からなる流体の温度を該熱可塑性繊維が軟化可能な温度にすることで、主に気体からなる流体が噴きあてられた領域等に配置される熱可塑性繊維を軟化もしくは溶融させると共に、再度硬化させるよう構成することができる。これにより、例えば、主に気体からなる流体が噴きあてられることで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け等や、溝部、開口部又は突起部等における形状が維持される。また、例えば、繊維集合体が所定の移動手段により移動される際に該繊維集合体(不織布)が散けない程度の強度が付与される。その他、繊維及び主に気体からなる流体の内容は上述の記載を参考にすることができる。
【0164】
[6.3.2]支持工程
本実施形態における支持工程は、繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、通気性支持部材に繊維集合体における一方の面側から支持させる工程である。
【0165】
例えば、図16又は図19に示すように、通気性支持部材の上面に繊維集合体である繊維ウェブを配置することができ、また、所定の通気性支持部材の上面に不図示の繊維噴き出し部から所定の繊維を積層させて繊維ウェブを形成してもよい。
【0166】
通気性支持部材の内容は、上述した通気性支持部材200の記載を参考にすることができる。また、例えば、網状支持部材210、支持部材220、板状支持部材230及びこれらを円筒状に形成した通気性支持ドラム250を例示できる。
【0167】
通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選ばれる他の通気性支持部材と適宜交換することができる。
【0168】
[6.3.3]移動工程
移動工程は、所定の移動手段により通気性支持部材により支持される繊維集合体を所定方向に移動させる。所定の移動手段の内容は、上述したコンベア等の記載を参考にすることができる。
【0169】
移動工程は、繊維集合体を噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動工程と、繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動工程と、を含むことができる。第1移動工程における第1移動手段及び第2移動工程における第2移動手段の内容は、上述した第1移動手段及び第2移動手段の記載を参考にすることができる。
【0170】
ここで、第1移動工程における繊維集合体の移動速度である第1移動速度は、第2移動工程における繊維集合体の移動速度である第2移動速度よりも速くすることができる。例えば、上述の移動制御手段により、第1移動手段及び第2移動手段それぞれを制御して、第1移動速度及び第2移動速度を調整することができる。
【0171】
[6.3.4]噴きあて工程
噴きあて工程は、所定の噴きあて手段により移動工程において所定方向に移動される繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる。噴きあて手段の内容は上述の噴きあて手段の記載を参考にすることができる。
【0172】
前記噴きあて工程において、所定の噴きあて手段から噴きあてられる主に気体からなる流体、及び/又は、その噴きあてられる主に気体からなる流体であって繊維集合体を通気すると共に不通気部によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体は、繊維集合体を構成する繊維を移動させる。これにより、繊維集合体を構成する繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され、また、所定の溝部、開口部又は突部が形成される。
【0173】
例えば、噴きあて工程において、主に気体からなる流体を繊維集合体における通気性支持部材の通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の溝部を形成することができる。
【0174】
例えば、噴きあて工程において、主に気体からなる流体を繊維集合体における通気性支持部材の不通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の開口部を形成することができる。
【0175】
例えば、噴きあて工程において、主に気体からなる流体を繊維集合体における通気性支持部材の第2通気部に支持されている領域に噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を第2通気部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成することができる。
【0176】
噴きあて工程において、主に気体からなる流体は、繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてられる場合を好ましい態様として例示できる。この場合、例えば、所定の構造である通気性支持部材を選択して使用することで、主に気体からなる流体を単に連続的に噴きあてることだけで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突部の形状等を調整することができる。
【0177】
[6.4]その他
上述した本実施形態における不織布製造方法を実施する装置として、例えば、上述した不織布製造装置90及び不織布製造装置95を例示することができる。
【0178】
[7]不織布
[7.1]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの調整
本実施形態における不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布である。
【0179】
[7.2]所定の溝部、開口部又は突部の形成
また、本実施形態における不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布である。
【0180】
[7.3]不織布の第1実施形態
図2から図5により、本発明の不織布における第1実施形態について説明する。
【0181】
[7.3.1]概要
図2A、図2B、図3又は図5に示すように、本実施形態における不織布110は、該不織布110の一面側に複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成された不織布である。そして、略等間隔で形成された複数の溝部1それぞれの間に、複数の凸状部2それぞれが形成されている。この凸状部2は、溝部1と同様に略等間隔で並列的に形成されている。ここで、本実施形態において、溝部1は略等間隔で並列的に形成されているがこれに限定されず、例えば、異なる間隔ごとに形成されていても良く、また、並列的でなく溝部1同士の間隔が変化するように形成されていてもよい。また、凸状部2における高さも、均一でなく互いに異なる高さになるように形成することができる。
【0182】
溝部1は、繊維集合体である繊維ウェブ100を、例えば、図4で示される通気性支持部材である網状支持部材210により下面側から支持し、上面側から気体を噴きあてて該繊維ウェブ100を構成する繊維101を移動させることにより形成される。また、同様に、繊維ウェブ100を構成する繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整される。
【0183】
この繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる主に気体からなる流体によりなされる。
【0184】
凸状部2は、繊維ウェブ100における主に気体からなる流体が噴きあてられていない領域であり、前記溝部1が形成されることにより、相対的に突出する領域となったものである。凸状部2は、後述するように、該凸状部2における側部と中央部における繊維101の配向、疎密又は目付け等が異なるという特徴を有する。
【0185】
[7.3.2]溝部、開口部又は突部
図2A、図2B及び図3に示すように、本実施形態における不織布110は、上述の通り、該不織布110の一面側に複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成された不織布である。そして、略等間隔で形成された複数の溝部1それぞれの間に、複数の凸状部2それぞれが形成されている。この凸状部2は、溝部1と同様に略等間隔で並列的に形成されている。
【0186】
ここで、本実施形態において、溝部1は略等間隔で並列的に形成されているがこれに限定されず、例えば、異なる間隔ごとに形成されても良く、また、並列的でなく溝部1同士の間隔が変化するように形成されていてもよい。
【0187】
また、本実施形態における不織布110の凸状部2の高さ(厚さ方向)は略均一であるが、例えば、互いに隣接する凸状部2の高さが異なるように形成されていてもよい。例えば、主に気体からなる流体が噴き出される噴き出し口913の間隔を調整することで、凸状部2の高さを調整することができる。例えば、噴き出し口913の間隔を狭くすることで凸状部2の高さを低くすることができ、逆に、噴き出し口913の間隔を広くすることで凸状部2の高さを高くすることができる。更には、噴き出し口913の間隔を狭い間隔と広い間隔とが交互になるよう形成することで、高さの異なる凸状部2が交互に形成されるようにすることもできる。また、このように、凸状部2の高さが部分的に変化していれば、肌との接触面積が下がるために肌への負担を減らすことができるというメリットも生じる。
【0188】
[7.3.3]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け
[7.3.3.1]繊維配向
図2A、図2B及び図3に示すように、溝部1の底部における繊維101は、該溝部1の長手方向に交差する方向、具体的には、略幅方向(横方向)に配向している。
【0189】
また、凸状部2における側部の繊維101は、該凸状部2の長手方向に沿う方向に配向している。例えば、該凸状部2の中央部(両側部の間の領域)における繊維101の配向と比べて長手方向に配向している。
【0190】
[7.3.3.2]繊維疎密
図3に示すように、溝部1は、凸状部2に比べて繊維101の密度が低くなるように調整されている。また、溝部1の繊維密度は、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の量やテンションなどの諸条件によって任意に調整できる。
【0191】
凸状部2は、上述の通り、溝部1に比べて繊維101の密度が高くなるように調整されている。また、凸状部2の繊維密度は、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の量やテンションなどの諸条件によって任意に調整できる。
【0192】
更に、該凸状部2における側部は、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の量やテンションなどの諸条件によって任意に調整できる。
【0193】
[7.3.3.3]繊維目付け
図3に示すように、溝部1は、凸状部2に比べて繊維101の目付け量が少なくなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0194】
凸状部2は、上述の通り、溝部1に比べて繊維101の目付け量が多くなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0195】
[7.3.4]その他
本実施形態の不織布を、例えば、所定の液体を吸収又は透過させるために使用した場合、溝部1は液体を透過させ、凸状部2はポーラス構造であるので液体を保持しにくい。
【0196】
溝部1は、繊維101の密度が低く、目付け量が少ないことから、液体を透過させるのに適したものとなっている。更に、溝部1の底部における繊維101が幅方向に配向していることから、液体が溝部1の長手方向に流れすぎて広く広がってしまうことを防止できる。溝部1は目付が低いにもかかわらず繊維101を該溝部1の幅方向に配向(CD配向)されているので、不織布の幅方向への強度(CD強度)が高まっている。
【0197】
凸状部2の繊維目付けが高くなるよう調整されるが、これにより繊維本数が増大するため融着点数が増え、ポーラス構造が維持される。
【0198】
[7.3.5]製造方法及び網状支持部材
以下に、本実施形態における不織布110を製造する方法について説明する。まず、繊維ウェブ100を通気性支持部材である網状支持部材210の上面側に載置する。言い換えると、繊維ウェブ100を網状支持部材210により下側から支持する。
【0199】
そして、この繊維ウェブ100を支持した状態における網状支持部材210を所定方向に移動させ、該移動されている繊維ウェブ100の上面側から連続的に気体を噴きあてることで、本実施形態における不織布110を製造することができる。
【0200】
ここで、網状支持部材210は、不通気部である所定太さの複数のワイヤ211が、織り込まれるようにして形成される。複数のワイヤ211が所定間隔を開けて織り込まれることで、通気部である孔部233が複数形成された網状支持部材が得られる。
【0201】
図4における網状支持部材210は、上述の通り、孔径が小さな孔部233が複数形成されているものであり、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられた気体は、該網状支持部材210に妨げられることなく下方に通気する。この網状支持部材210は、噴きあてられる気体の流れを大きく変えることがなく、また、繊維101を該網状支持部材の下方向に移動させない。
【0202】
このため、繊維ウェブ100における繊維101は、主に上面側か噴きあてられた気体により所定方向に移動される。具体的には、網状支持部材210の下方側への移動が規制されているため、繊維101は、該網状支持部材210の表面に沿うような方向に移動する。
【0203】
例えば、気体が噴きあてられた領域における繊維101は、該領域に隣接する領域に移動される。そして、気体が噴きあてられる領域が所定方向に移動するため、結果として、気体が噴きあてられた所定方向に連続する領域における側方の領域に移動される。
【0204】
これにより、溝部1が形成されると共に、溝部1における底部の繊維101は幅方向に配向するよう移動される。また、溝部1と溝部1との間に凸状部2が形成され、該凸状部2における側方部の繊維密度が高くなり、繊維101が長手方向に配向等される。
【0205】
本実施形態における不織布110は後述する不織布製造装置90により製造することができる。この不織布製造装置90における不織布の製造方法等は、上述した不織布110の製造方法及び不織布製造装置90、95の説明における記載を参考にすることができる。
【0206】
[7.4]第2実施形態
図6から図9により、本発明の不織布における第2実施形態について説明する。
【0207】
[7.4.1]概要
図6A、図6B、図7又は図9に示すように、本実施形態における不織布120は、複数の開口部3が形成された不織布である。
【0208】
開口部3は、繊維集合体である繊維ウェブ100を、例えば、図8で示される通気性支持部材である支持部材220により下面側から支持し、上面側から主に気体からなる流体を噴きあてて該繊維ウェブ100を構成する繊維101を移動させることにより形成される。また、同様に、繊維ウェブ100を構成する繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整された不織布である。
【0209】
図8に示される支持部材220は、図4における網状支持部材210の上面に、複数の細長状部材225を所定間隔で略平行に配置した支持部材である。細長状部材225は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた主に気体からなる流体を下方側に通気させない。言い換えると、細長状部材225に噴きあてられた主に気体からなる流体は、その流れ方向が変更される。
【0210】
つまり、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる主に気体からなる流体及び/又は、噴きあてられた主に気体からなる流体であって繊維ウェブ100を通気すると共に細長状部材225によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体により移動される。これにより、開口部3が形成され、また、繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整される。
【0211】
[7.4.2]溝部、開口部又は突部
図6A、図6B、図7又は図9に示すように、本実施形態における不織布120は、上述の通り、複数の開口部3が形成された不織布である。詳細には、不織布120は、該不織布120の一面側に複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成されると共に、該溝部1に沿うように複数の開口部3が形成された不織布である。この複数の開口部3それぞれは、略円形状又は略楕円状に形成される。ここで、本実施形態において、溝部1は略等間隔で並列的に形成されているがこれに限定されず、例えば、異なる間隔ごとに形成されても良く、また、並列的でなく溝部1同士の間隔が変化するように形成されていてもよい。また、凸状部2における高さも、均一でなく互いに異なる高さになるように形成することができる。
【0212】
そして、複数の溝部1それぞれの間に、複数の凸状部2それぞれが形成されている。凸状部2は、溝部1と同様に略等間隔で並列的に形成されている。本実施形態における不織布120の凸状部2の高さ(厚さ方向)は略均一であるが、例えば、互いに隣接する凸状部2の高さが異なるように形成されていてもよい。例えば、主に気体からなる流体が噴き出される噴き出し口913の間隔を調整することで、凸状部2の高さを調整することができる。例えば、噴き出し口913の間隔を狭くすることで凸状部2の高さを低くすることができ、逆に、噴き出し口913の間隔を広くすることで凸状部2の高さを高くすることができる。更には、噴き出し口913の間隔を狭い間隔と広い間隔とが交互になるよう形成することで、高さの異なる凸状部2が交互に形成されるようにすることもできる。また、このように、凸状部2の高さが部分的に変化していれば、肌との接触面積が下がるために肌への負担を減らすことができるというメリットも生じる。
【0213】
開口部3とこれに隣接する開口部3との間には、凸状部2とこれに隣接する凸状部2とを繋ぐように形成される連結部4が形成される。言い換えると、所定間隔で形成される複数の連結部4が、凸状部2とこれに隣接する凸状部2とを連結しているともいえる。
【0214】
[7.4.3]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け
[7.4.3.1]繊維配向
図6A、図6B、図7又は図9に示すように、連結部4における繊維101は、溝部1における長手方向に交差する方向、具体的には、長手方向に向いている繊維101が、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の吹きつけによって凸状部2の側部に寄せられ、幅方向へ向いていた繊維が残存することによって溝部1の繊維配向は主体的に幅方向(CD方向)へ向いている。
【0215】
また、凸状部2における側部の繊維101は、該凸状部2の長手方向に沿う方向に配向している。例えば、該凸状部2における中央部(両側部の間の領域)における繊維101の配向と比べて長手方向に配向している。
【0216】
開口部3の周囲の繊維101は、該開口部3の周囲に沿うように配向している。言い換えると、開口部3における溝部1の長手方向端部は、該長手方向に対して交差する方向に配向している。また、開口部3における溝部1の長手方向側部は、該長手方向に沿う方向に配向している。
【0217】
[7.4.3.2]繊維疎密
図7に示すように、長手方向に向いている繊維101が、熱風の吹きつけによって凸状部2の側部に寄せられることで、凸状部2の側部は長手方向へ向いた繊維101の繊維本数が増大する。それにより、融着点数が増え、更には密度も高まることから凸状部2全体のポーラス構造をより一層維持しやすくなる。溝部1における連結部4は、開口部3の形状や大きさに応じて、繊維101の密度が調整される。
【0218】
[7.4.3.3]繊維目付け
図7に示すように、溝部1は、凸状部2に比べて繊維101の目付け量が少なくなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0219】
凸状部2は、上述の通り、溝部1に比べて繊維101の目付け量が多くなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0220】
[7.4.4]その他
本実施形態の不織布を、例えば、所定の液体を吸収又は透過させるために使用した場合、溝部1は液体を透過させ、凸状部2は液体を保持しにくくするようにポーラスにしている。更には、溝部1に形成された開口部3は、液体に加え固体も透過することができる。
【0221】
溝部1には、複数の開口部3が形成されているので、液体及び固体を透過させるのに適したものとなっている。更に、溝部1の底部における繊維101が幅方向に配向していることから、液体が溝部1の長手方向に流れすぎて広く広がってしまうことを防止できる。溝部1は目付が低いにもかかわらず繊維101を該溝部1の幅方向に配向(CD配向)されているので、不織布の幅方向への強度(CD強度)が高まっている。
【0222】
凸状部2の繊維目付けが高くなるよう調整されるが、これにより繊維本数が増大するため融着点数が増え、ポーラス構造が維持される。
【0223】
[7.4.5]製造方法及び網状支持部材
以下に、本実施形態における不織布120を製造する方法について説明する。まず、繊維ウェブ100を通気性支持部材である支持部材220の上面側に載置する。言い換えると、繊維ウェブ100を支持部材220により下側から支持する。
【0224】
そして、この繊維ウェブ100を支持した状態における支持部材220を所定方向に移動させ、該移動されている繊維ウェブ100の上面側から連続的に気体を噴きあてることで、本実施形態における不織布120を製造することができる。
【0225】
繊維ウェブ100を上面側に載置した支持部材220は、細長状部材225の長手方向に略直交する方向に移動する。これにより、繊維ウェブ100の上面側に、細長状部材225に略直交する方向に気体が連続的に噴きあてられることになる。つまり、溝部1は、細長状部材225と略直交する方向に形成される。そして、後述する開口部3は、細長状部材225と溝部1とが交差する位置に形成される。
【0226】
上述の通り、支持部材220は、図4における網状支持部材210の上面に、複数の細長状部材225を所定間隔で略平行に配置した支持部材である。細長状部材225は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体を下方側に通気させない。言い換えると、細長状部材225に噴きあてられた気体は、その流れ方向が変更される。
【0227】
また、細長状部材225は、繊維ウェブ100における繊維101を、支持部材220の下方側に移動させない。
【0228】
このため、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる気体及び/又は、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共に細長状部材225によって流れの方向が変えられた気体により移動される。
【0229】
例えば、気体が噴きあてられた領域における繊維101は、該領域に隣接する領域に移動される。そして、気体が噴きあてられる領域が所定方向に移動するため、結果として、気体が噴きあてられた所定方向に連続する領域における側方の領域に移動される。
【0230】
これにより、溝部1が形成されると共に、溝部1における底部の繊維101は幅方向に配向するよう移動される。また、溝部1と溝部1との間に凸状部2が形成され、該凸状部2における側方部の繊維密度が高くなり、繊維101が長手方向に配向等される。
【0231】
更に、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共に細長状部材225によって流れの方向が変えられた気体は、繊維ウェブ100を構成する繊維101を上記とは異なる方向に移動させる。
【0232】
支持部材220を構成する網状支持部材210及び細長状部材225は、支持部材220の下面側への繊維101の移動を規制するので、繊維101は、支持部材220の上面に沿うような方向に移動される。
【0233】
詳細には、細長状部材225に噴きあてられた気体は、該細長状部材225に沿うような方向に流れを変える。このように流れを変えた気体は、細長状部材225の上面に配置されている繊維101を、細長状部材225の上面から周囲の領域に移動させる。これにより、所定形状の開口部3が形成される。また、繊維101の配向、疎密又は目付けの1又は2以上が調整される。
【0234】
本実施形態における不織布120は後述する不織布製造装置90により製造することができる。この不織布製造装置90における不織布の製造方法等は、上述した不織布120の製造方法及び不織布製造装置90、95の説明における記載を参考にすることができる。
【0235】
更には、繊維ウェブ100に噴きあてる主に気体からなる流体の温度、量又は強さを調整し、また、移動手段における繊維ウェブ100の移動速度を調整しテンション等を調整することで、図11に示される支持部材220を用いても、本実施形態における不織布120を得ることができる。
【0236】
[7.5]第3実施形態
図10から図13により、本発明の不織布における第3実施形態について説明する。
【0237】
[7.5.1]概要
図10A、図10B、図12又は図13に示すように、本実施形態における不織布130は、一面側に突出する凸状部である所定長さの突起部7が複数形成された不織布である。
【0238】
突起部7は、通気性支持部材である複数の孔部233が形成された板状支持部材230に所定方向に移動可能に支持された繊維ウェブ100の上面側から主に気体からなる流体を噴きあてることで形成される。具体的には、噴きあてられた主に気体からなる流体により繊維集合体である繊維ウェブ100を構成する繊維101が複数の孔部233それぞれに入り込むように移動され、該繊維ウェブ100における厚さ方向に突出するようにして形成されている。また、これにより、繊維ウェブ100を構成する繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整される。
【0239】
図11に示される板状支持部材230は、複数の孔部233が形成された板状の部材である。詳細には、板状支持部材230は、不通気部であるプレート部235と、第2通気部である孔部233と、により形成されている。
【0240】
プレート部235は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体を下方側に通気させない。言い換えると、プレート部235に噴きあてられた気体は、その流れ方向が変更される。
【0241】
孔部233においては、気体が通気可能であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体は板状支持部材230における下方側に通気する。更に、孔部233において、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、該孔部233に入り込むようにして板状支持部材230の下方側に移動可能である。
【0242】
繊維ウェブ100を構成する繊維101は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる主に気体からなる流体及び/又は、噴きあてられた主に気体からなる流体であって繊維ウェブ100を通気すると共にプレート部235によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体により移動される。
【0243】
繊維ウェブ100は、板状支持部材230により所定方向に移動可能に支持されるので、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、孔部233に入り込むようにして移動し一面側に突出する凸状部である所定長さの突起部7が複数形成される。また、繊維101の配向、疎密又は目付けの1又は2以上が調整される。
【0244】
[7.5.2]溝部、開口部又は突部
図10A、図10B、図12又は図13に示すように、本実施形態における不織布130は、上述の通り、一面側に突出する凸状部である所定長さの突起部7が複数形成された不織布である。また、突起部が突出する面と反対側の面においては、図10Aに示すように、不織布130は、複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成されると共に、該溝部1に沿うように複数の開口部3が形成された不織布である。
【0245】
突起部7は、溝部1における開口部3と開口部3との間に形成される領域における繊維が孔部233に入り込むことで形成される。これにより、突起部7が突出する側とは反対側の面には、溝部1と略直交する方向に所定長さの入り込み部5が形成される。入り込み部5は、孔部233に入り込んだ繊維101により形成される突起部7の一方の根元部と他方の根元部との間に形成され、該反対側の面から見た場合、略孔部233の長さの溝状に形成される。
【0246】
本実施形態においては、入り込み部5は、溝部1と略直交するように全体的に略直線状に形成される。更に、該所定面は、図10Aに示すように、複数の開口部3が所定方向に連続するようにして形成されているので、複数の入り込み部5が連続するように形成されてなる略直線は、これに略直交するように配置される。
【0247】
そして、一面側には、繊維ウェブ100を構成する繊維101が孔部233に入り込むようにして形成された所定長さの突起部7が複数形成される。図13に示すように、突起部7は、繊維ウェブ100が互いに向かい合うようにして配置される幅の狭い領域である根元部と、根元部に連続し膨らむように形成された該根元部より幅が広い略アーチ状であるアーチ部とを有する。ここで、本実施形態においては、突起部7は略アーチ状であるが、他の実施形態として、例えば、三角状(三角柱状)の突起部、三角状(三角柱上)で厚さ方向における頂部が曲面である突起部、四角状(四角柱状)の突起部や、これらの突起部であって、厚さ方向に対して斜めに傾斜している突起部等を例示できる。また、主に気体からなる流体の温度を調整することで、例えば、根元を融着させることができ、また、根元だけでなく全体的に融着させることができ、また、根元は融着させないようにすることができる。
【0248】
突起部7における根元部の幅は、孔部233の幅により規定される。また、突起部7の長手方向における長さは、孔部233における長手方向における長さにより規定される。そして、突起部7の高さ(不織布130における厚さ方向への長さ)は、孔部233の形状、繊維101の長さ及び噴きあてられる気体の強さや量によって規定される。例えば、主に気体からなる流体(例えば、熱風)が強く噴きあてられる場合や噴きあてられる主に気体からなる流体の量が多い場合、繊維ウェブ100にラインテンションがほとんど加わっていない場合、又は繊維ウェブ100を主に気体からなる流体(例えば、熱風)を吹きつける直前でオーバーフィード気味にする場合等には、繊維101は孔部233へ入りこみ易くなる。また、通気性支持部材200として、例えば、網状支持部材210における孔部の孔径が大きく、太いワイヤーで構成される立体感のある網状支持部材を例示できる。この網状支持部材における孔部は第2通気部であり、繊維ウェブ100を構成する繊維101が該網状支持部材における繊維ウェブ100が載置された側とは反対側に移動可能である。これにより、厚さ方向に突出する突起部が形成可能である。また、該網状支持部材を構成するワイヤーが太いため、繊維ウェブ100を構成する繊維101が該網状支持部材における表面の形状に沿うように移動し、例えば、ジグザグ状に突出する突起部が形成された不織布を得ることができる。
【0249】
不織布130を該一面側から見た場合、複数の突起部7と、該複数の突起部7それぞれの間に形成される略正方形である複数の平坦部と、該複数の平坦部それぞれにおける一対の側方に形成される開口部3とが規則的に形成されている。
【0250】
[7.5.3]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け
図13に示すように、突起部7における繊維101は、それぞれの根元部から該突起部7におけるアーチ状に沿うように配向している。また、突起部7は、他の領域、例えば、平坦部に比べて繊維101の密度が高い。特に、突起部7の頭頂部における繊維密度が高い。そして、図12又は図13に示すように、不織布130の厚さ方向において、突起部7が形成された部分における繊維101の量は、突起部7が形成されていない他の領域に比べて多い。
【0251】
[7.5.4]その他
凸状部を下方へ向けて表面シートとして用いた場合、凸状部は頭頂部(製品では吸収体側)に向って密度が高まっていると共に、繊維配向が下方へ向かっているため、表面から下方へ向かって液体を移送させやすい。また、凸状部を上方へ向けて表面シートとして用いた場合、肌との接触面積が格段に低下すると共に、凸状部は根元部を起点として変動可能であるため肌との摩擦を極力低減できる。
【0252】
また、該突起部7の根元部には、複数の開口部3が形成されているので、液体及び固体を透過させるのに適したものとなっている。
【0253】
また、該不織布130を人体にあてるようにして使用した場合、クッション性に優れているため、使用感が良好となる。また、物にあてるように使用した場合、同様に、クッション性に優れているため、物を保護するのに適している。また、不織布における厚さ方向に突出する複数の突起部7が形成されているので、例えば、物の表面を拭くことに適している。
【0254】
[7.5.5]製造方法及び網状支持部材
以下に、本実施形態における不織布130を製造する方法について説明する。まず、繊維ウェブ100を通気性支持部材である板状支持部材230の上面側に載置する。言い換えると、繊維ウェブ100を板状支持部材230により下側から支持する。
【0255】
そして、この繊維ウェブ100を支持した状態における板状支持部材230を所定方向に移動させ、該移動されている繊維ウェブ100の上面側から連続的に気体を噴きあてることで、本実施形態における不織布130を製造することができる。
【0256】
繊維ウェブ100を上面側に載置した板状支持部材230は、孔部233の長手方向に略直交する方向に移動する。これにより、繊維ウェブ100の上面側に、孔部233の長手方向に略直交する方向に気体が連続的に噴きあてられることになる。つまり、溝部1は、孔部233の長手方向と略直交する方向に形成される。そして、後述する突起部7は、孔部233が形成された位置に形成される。
【0257】
上述の通り、図11に示すように、板状支持部材230は、複数の孔部233が形成された板状の支持部材である。具体的には、プレート部235と、複数の孔部233とを有する板状の支持部材である。プレート部235は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体を下方側に通気させない。言い換えると、プレート部235に噴きあてられた気体は、その流れ方向を変更される。
【0258】
また、プレート部235は、繊維ウェブ100における繊維101を、板状支持部材230の下方側に移動させない。
【0259】
このため、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる気体及び/又は、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共にプレート部235によって流れの方向が変えられた気体により移動される。
【0260】
例えば、気体が噴きあてられた領域における繊維101は、該領域に隣接する領域に移動される。そして、気体が噴きあてられる領域が所定方向に移動するため、結果として、気体が噴きあてられた所定方向に連続する領域における側方の領域に移動される。
【0261】
また、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共にプレート部235によって流れの方向が変えられた気体は、繊維ウェブ100を構成する繊維101を上記とは異なる方向に移動させる。
【0262】
プレート部235の上面に配置される繊維101は、該プレート部235の表面に沿うような方向に移動される。詳細には、プレート部235に噴きあてられた気体は、該プレート部235に沿うような方向に流れを変える。このように流れを変えた気体は、プレート部235の上面に配置されている繊維101を、プレート部235の上面から、周囲の領域に移動させる。これにより、所定形状の開口部3が形成される。また、繊維101の配向、疎密又は目付けの1又は2以上が調整される。
【0263】
更に、孔部233において、繊維ウェブ100における繊維101は、板状支持部材230の下方側に移動可能である。
【0264】
このため、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる気体により、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、孔部233に入り込むようにして該板状支持部材の下方側に移動される。これにより、他方側に突出する所定長さの突起部7が複数形成される。
【0265】
また、言い換えると、開口部3とこれに隣接する開口部3との間に形成される領域が孔部233に入り込むことで、他方側に突出する突起部7を形成する。該突起部7は、略平面状の繊維ウェブ100における一部が孔部233に入り込んで形成されているので、根元部において所定厚さの繊維ウェブ100が互いに向かい合うようにして孔部233に入り込んでいる。そして、他方側に突出した繊維ウェブ100は、根元部における幅よりも広い幅に広がるようにアーチ状を形成している。
【0266】
ここで、上述の通り、突起部7における根元部の幅は、孔部233の幅により規定される。また、突起部7の長手方向における長さは、孔部233における長手方向における長さにより規定される。そして、突起部7の高さ(不織布130における厚さ方向への長さ)は、孔部233の形状、繊維101の長さ及び噴きあてられる気体の強さや量によって規定される。
【0267】
該他の面側から見た場合、複数の突起部7と、該複数の突起部7それぞれの間に形成される略正方形である複数の平坦部と、該複数の平坦部それぞれにおける一対の側方に形成される開口部3とが規則的に形成されている。
【0268】
本実施形態における不織布130は後述する不織布製造装置90により製造することができる。この不織布製造装置90における不織布の製造方法等は、上述した不織布130の製造方法及び不織布製造装置90、95の説明における記載を参考にすることができる。
【0269】
[7.6]その他
上述した実施形態における繊維ウェブは、異なる性質や機能を有する繊維ウェブを複数重ね合わせたものを使用することができる。これにより、異なる機能が組み合わされた不織布を得ることができる。また、上述した実施形態における不織布を、平面状の不織布に重ねるようにして積層配置することで、様々な態様の不織布を得ることができる。
【0270】
[8]用途例
本発明における不織布の用途として、例えば、生理用ナプキン、ライナー、おむつ等の吸収性物品における表面シート等を例示できる。この場合、凸状部は肌面側、裏面側のどちらであってもよいが、肌面側にすることによって、肌との接触面積が低下するため体液による湿り感を与えにくい場合がある。また、吸収性物品の表面シートと吸収体との間の中間シートとしても使用できる。表面シートもしくは吸収体との接触面積が低下するため、吸収体からの逆戻りがしにくい場合がある。また、吸収性物品のサイドシートや、おむつなどの外面(アウターバック)、面ファスナー雌材等でも、肌との接触面積の低下やクッション感があることから用いることができる。また、床や身体に付着したゴミや垢などを除去するためのワイパー、マスク、母乳パッドなど多方面に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】繊維ウェブの斜視図である。
【図2】第1実施形態の不織布における平面図及び底面図である。
【図3】図2における領域Xの拡大斜視図である。
【図4】網状支持部材の平面図及び斜視図である。
【図5】図1の繊維ウェブが下面側を図4の網状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図2の第1実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。
【図6】第2実施形態の不織布における平面図及び底面図である。
【図7】図6における領域Yの拡大斜視図である。
【図8】網状支持部材に細長状部材を等間隔で並列配置した支持部材の平面図及び斜視図である。
【図9】図1の繊維ウェブが下面側を図8の支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図6の第2実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。
【図10】第3実施形態の不織布における平面図及び底面図である。
【図11】楕円状の開口部が複数開口された板状支持部材の平面図及び斜視図である。
【図12】図1の繊維ウェブが下面側を図11の板状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図10の第3実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。
【図13】図12におけるA―A断面図である。
【図14】第1実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。
【図15】図14の不織布製造装置を説明する平面図である。
【図16】図14における領域Zの拡大斜視図である。
【図17】図16における噴き出し部の底面図である。
【図18】第2実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。
【図19】図18の不織布製造装置を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0272】
1 溝部
2 凸状部
100 繊維ウェブ
110 不織布
210 網状支持部材
910 噴き出し部
920 送気管
915 吸引部
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布、不織布製造方法及び不織布製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、不織布は、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品、ワイパー等の清掃用品、マスク等の医療用品と、幅広い分野に使用されている。このように不織布は、異なる様々な分野で使用されるが、実際に各分野の製品に使用される場合には、それぞれの製品の用途に適した性質や構造となるよう製造されることが必要である。
【0003】
不織布は、例えば、乾式法や湿式法等により繊維層(繊維ウェブ)を形成し、ケミカルボンド法やサーマルボンド法等により繊維層を形成する繊維同士を結合させることで形成される。繊維層を形成する繊維を結合させる工程において、この繊維層に多数のニードルを繰り返し突き刺す方法や、水流を噴射する方法等の繊維層に外部から物理的な力を加えることを含む方法も存在する。
【0004】
しかし、これらの方法は、あくまで繊維同士を交絡させるだけであり、繊維層における繊維の配向や配置、また、繊維層の形状等を調整するものではなかった。つまり、これらの方法で製造されるのは単なるシート状の不織布であった。
【0005】
このように、不織布における通常の製造工程において、不織布における繊維の配向や配置及びその形状を簡易に調整することができないという問題があった。より具体的には、繊維層における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上を簡易に調整することや、溝部、開口部又は突起部の1又は2以上を簡易に形成することが困難であるという問題があった。
【0006】
この問題を解決するため、例えば、少なくとも一方が凹凸を有する一対の通気性コンベアに熱可塑性繊維を含有する繊維ウェブを通し、該繊維ウェブを挟持した状態で搬送する間に、該繊維ウェブの表面に空気を噴射して、上記通気性コンベアの凹部に該繊維ウェブを追随させて該繊維ウェブを凹凸に形成した不織布製造方法及び不織布が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−229255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1において、少なくとも一方が凹凸を有する一対の通気性コンベアにより繊維ウェブを挟持し、この挟持された繊維ウェブの一方の面に空気を噴射することで該繊維ウェブを通気性コンベアにおける凹部に追随させ、特定の凹凸を形成している。
【0008】
つまり、特許文献1における不織布製造方法(不織布)においても、繊維ウェブを凹凸に形成するためには、繊維ウェブを上下から挟持する一対の通気性コンベアが必要であるという課題がある。また、繊維ウェブを、コンベアの凹凸状にしか形成できないという課題がある。更には、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け等を調整することは困難であるという課題がある。そして、これらが本発明の課題といってよい。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、所定の通気性支持部材により下面側から支持される繊維ウェブに、上面側から気体を噴きあてて該繊維ウェブを構成する繊維を移動させることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整することができること、また、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
(1)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造装置であって、前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【0012】
(2)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する不織布製造装置であって、前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【0013】
(3)前記主に気体からなる流体は、常温もしくは所定温度に調整された気体、又は、該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルである(1)又は(2)に記載の不織布製造装置。
【0014】
(4)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体の温度は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である(1)から(3)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0015】
(5)前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える(1)から(4)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0016】
(6)前記通気部は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部を有する(5)に記載の不織布製造装置。
【0017】
(7)前記通気性支持部材は、網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである(1)から(5)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0018】
(8)前記通気性支持部材は、該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である(1)から(7)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0019】
(9)前記通気性支持部材は、略板状である(1)から(8)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0020】
(10)前記通気性支持部材は、略円筒状である(1)から(8)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0021】
(11)前記通気性支持部材は、該不織布製造装置に着脱可能に配置される(1)から(10)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0022】
(12)前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される他の通気性支持部材と交換可能である(1)から(11)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0023】
(13)前記移動手段を制御可能な移動制御手段と、を更に備え、前記移動手段は、前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動手段と、前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動手段と、を備え、前記移動制御手段は、前記第1移動手段及び前記第2移動手段それぞれを制御可能であり、前記第1移動手段における前記繊維集合体の第1移動速度及び前記第2移動手段における前記繊維集合体の第2移動速度をそれぞれ調整可能である(1)から(12)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0024】
(14)前記移動速度制御手段は、前記第1移動速度が前記第2移動速度よりも速くなるよう前記第1移動手段及び前記第2移動手段をそれぞれ制御可能である(13)に記載の不織布製造装置。
【0025】
(15)前記噴きあて手段は、前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有する噴き出し部と、前記噴き出し部に前記主に気体からなる流体又は前記主に気体からなる流体を構成する気体を送気する送気部と、を備える(1)から(14)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0026】
(16)前記噴きあて手段は、前記主に気体からなる流体を前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてる(1)から(15)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0027】
(17)前記噴きあて手段により噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる(1)から(16)のいずれかに記載の不織布製造装置。
【0028】
(18)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【0029】
(19)略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【0030】
(20)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である(18)又は(19)に記載の不織布製造方法。
【0031】
(21)前記支持工程における前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える(18)から(20)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0032】
(22)前記通気部は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部を有する(21)に記載の不織布製造方法。
【0033】
(23)前記支持工程における前記通気性支持部材は、網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである(18)から(22)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0034】
(24)前記支持工程における前記通気性支持部材は、該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である(18)から(23)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0035】
(25)前記支持工程における前記通気性支持部材は、略板状である(18)から(24)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0036】
(26)前記支持工程における前記通気性支持部材は、略円筒状である(18)から(24)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0037】
(27)前記支持工程における前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される(18)から(26)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0038】
(28)前記移動工程は、前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動工程と、前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動工程と、を含み、前記第1移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第1移動速度は、前記第2移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第2移動速度よりも速い(18)から(27)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0039】
(29)前記噴きあて工程における前記噴きあて手段は、前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有し、前記主に気体からなる流体は、複数の噴き出し口それぞれから噴き出され、前記繊維集合体における前記他の面側にそれぞれ噴きあてられる(18)から(28)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0040】
(30)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の溝部を形成する(21)又は(22)に記載の不織布製造方法。
【0041】
(31)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の開口部を形成する(21)又は(22)に記載の不織布製造方法。
【0042】
(32)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記第2通気部に支持されている領域に噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記第2通気部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する(22)に記載の不織布製造方法。
【0043】
(33)前記噴きあて工程において、前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてられる(18)から(32)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0044】
(34)前記噴きあて工程において、前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる(18)から(33)のいずれかに記載の不織布製造方法。
【0045】
(35)所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【0046】
(36)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上を維持する(35)に記載の不織布。
【0047】
(37)前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え、前記通気部及び前記不通気部の形状及び配置に応じて、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された(35)又は(36)に記載の不織布。
【0048】
(38)前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された(35)から(37)のいずれかに記載の不織布。
【0049】
(39)所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布。
【0050】
(40)前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記形成された所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上の形状を維持する(39)に記載の不織布。
【0051】
(41)前記通気性支持部材は、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え、前記通気部及び不通気部の形状及び配置に応じて、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された(39)又は(40)に記載の不織布。
【0052】
(42)前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部が形成された(41)に記載の不織布。
【0053】
(43)前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の開口部が形成された(41)に記載の不織布。
【0054】
(44)前記通気部は孔部であり、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記孔部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する(41)に記載の不織布。
【0055】
(45)前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された(39)から(44)のいずれかに記載の不織布。
【0056】
(46)所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、前記所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成されたと共に、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【発明の効果】
【0057】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することができる。
また、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布、該不織布の製造方法及び不織布製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0059】
図1は、繊維ウェブの斜視図である。図2は、第1実施形態の不織布における平面図及び底面図である。図3は、図2における領域Xの拡大斜視図である。図4は、網状支持部材の平面図及び斜視図である。図5は、図1の繊維ウェブが下面側を図4の網状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図2の第1実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。図6は、第2実施形態の不織布における平面図及び底面図である。図7は、図6における領域Yの拡大斜視図である。図8は、網状支持部材に細長状部材を等間隔で並列配置した支持部材の平面図及び斜視図である。図9は、図1の繊維ウェブが下面側を図8の支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図6の第2実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。図10は、第3実施形態の不織布における平面図及び底面図である。図11は、楕円状の開口部が複数開口された板状支持部材の平面図及び斜視図である。図12は、図1の繊維ウェブが下面側を図11の板状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図10の第3実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。図13は、図12におけるA―A断面図である。図14は、第1実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。図15は、図14の不織布製造装置を説明する平面図である。図16は、図14における領域Zの拡大斜視図である。図17は、図16における噴き出し部の底面図である。図18は、第2実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。図19は、図18の不織布製造装置を説明する平面図である。
【0060】
[1]概要
[1.1]不織布製造装置
本発明の不織布製造装置は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する。
【0061】
また、本発明の不織布製造装置は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する。
【0062】
具体的には、図14に示すように、本発明の不織布製造装置90は、繊維集合体である繊維ウェブ100を一方の面側から支持する通気性支持部材200と、通気性支持部材200により前記一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100に、該繊維集合体である繊維ウェブ100における他方の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部と、繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる移動手段であるコンベア930と、を備える。
【0063】
そして、前記移動手段であるコンベア930は、通気性支持部材200により一方の面側から支持された状態における繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させ、噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部は、移動手段であるコンベア930により所定方向Fに移動される通気性支持部材200により一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100における他の面側に、主に気体からなる流体を噴きあてる。
【0064】
[1.2]不織布製造方法
本発明の不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する製造方法である。
【0065】
また、本発明の不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する製造方法である。
【0066】
具体的には、図14より、本発明の不織布製造方法は、繊維集合体である繊維ウェブ100を通気性支持部材200の所定面に配置し、又は所定の繊維を所定面に繊維集合体である繊維ウェブ100を形成するよう積層配置することで、通気性支持部材200に前記繊維集合体である繊維ウェブ100における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段であるコンベア930により、通気性支持部材200により支持される繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部により、移動工程において所定方向Fに移動される繊維集合体である繊維ウェブ100における他の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む。
【0067】
[1.3]不織布
本発明の不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布である。
【0068】
また、本発明の不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布である。
【0069】
[2]繊維集合体
本発明における不織布は、上述の通り、例えば図1に示されるような繊維ウェブ100等の略シート状の繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴き当てることで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整し、又は、所定の溝部、開口部又は突起部を形成して得られる。
【0070】
繊維集合体は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態であるものである。言い換えると、繊維同士の自由度を有する繊維集合体である。この繊維集合体は、例えば、複数の繊維を混合した混合繊維を所定厚さの繊維層を形成するように噴き出すことで形成することができる。また、例えば、複数の異なる繊維それぞれを、複数回に分けて積層させて繊維層を形成するように噴出すことで形成することができる。
【0071】
本発明における繊維集合体として、例えば、カード法により形成される繊維ウェブ、もしくは熱融着されて繊維同士の熱融着が固化する以前の繊維ウェブを例示できる。また、エアレイド法により形成されたウェブ、もしくは熱融着されて繊維同士の熱融着が固化する以前の繊維ウェブを例示できる。また、ポイントボンド法でエンボスされた熱融着が固化する以前の繊維ウェブを例示できる。また、スパンボンド法により紡糸されエンボスされる以前の繊維集合体、もしくはエンボスされた熱融着が固化する以前の繊維集合体を例示できる。また、ニードルパンチ法により形成され半交絡された繊維ウェブを例示できる。また、スパンレース法により形成され半交絡された繊維ウェブを例示できる。また、メルトブローン法により紡糸され繊維同士の熱融着が固化する以前の繊維集合体を例示できる。また、溶剤接着法によって形成された溶剤により繊維同士が固化する以前の繊維集合体を例示できる。
【0072】
また、好ましくは、空気(気体)流によって繊維を再配列しやすいのは、比較的長繊維を使用するカード法で形成した繊維ウェブであり、更には繊維同士の自由度が高く交絡のみで形成される熱融着以前のウェブを例示できる。また、後述する複数の空気(気体)流により溝部(凹凸)等を形成した後に、その形状を保持したまま不織布化させるには、所定の加熱装置等によりオーブン処理(加熱処理)することで繊維集合体に含まれる熱可塑性繊維を熱融着させるスルーエアー法が好ましい。
【0073】
[3]繊維
繊維集合体を構成する繊維(例えば、図1に示す繊維ウェブ100を構成する繊維101)として、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリプロピレン、変性ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂で構成し、各樹脂を単独、もしくは複合した繊維が挙げられる。
【0074】
複合形状は、例えば、芯成分の融点が鞘成分より高い芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、左右成分の融点が異なるサイドバイサイドタイプが挙げられる。また、中空タイプや、扁平やY型やC型などの異型や、潜在捲縮や顕在捲縮の立体捲縮繊維、水流や熱やエンボスなどの物理的負荷により分割する分割繊維などが混合されていてもよい。
【0075】
また、3次捲縮形状を形成するために、所定の顕在捲縮繊維や潜在捲縮繊維を配合することができる。ここで、3次元捲縮形状とはスパイラル状・ジグザグ状・Ω状などであり、繊維配向は主体的に平面方向へ向いていても部分的には繊維配向が厚み方向へ向くことになる。これにより、繊維自体の挫屈強度が厚み方向へ働くため、外圧が加わっても嵩が潰れにくくなる。更には、これらの中でも、スパイラル状の形状であれば、外圧が解放されたときに形状が元に戻ろうとするため、過剰な外圧で嵩が若干潰れても外圧解放後には元の厚みに戻りやすくなる。
【0076】
顕在捲縮繊維は、機械捲縮による形状付与や、芯鞘構造が偏芯タイプ、サイドバイサイドなどで予め捲縮されている繊維の総称である。潜在捲縮繊維は、熱を加えることで捲縮が発現するものである。
【0077】
機械捲縮とは、紡糸後の連続で直線状の繊維に対し、ライン速度の周速差・熱・加圧によって制御でき、単位長さ当たりの捲縮個数が多いほど、外圧下に対する挫屈強度を高めることができる。例えば、捲縮個数は10から35個/inch、更には15から30個/inchの範囲であることが好ましい。
【0078】
熱収縮による形状付与とは、融点の異なる2つ以上の樹脂からなり、熱を加えると融点差により熱収縮率が変化しているため、3次元捲縮する繊維のことである。繊維断面の樹脂構成は、芯鞘構造の偏芯タイプ、左右成分の融点が異なるサイドバイサイドタイプが挙げられる。このような繊維の熱収縮率は、例えば、5から90%、更には10から80%の範囲を好ましい値として例示できる。
【0079】
熱収縮率の測定方法は、(1)測定する繊維100%で200gsm(g/m2)のウェブを作成し、(2)250×250mmの大きさにカットしたサンプルをつくり、(3)このサンプルを145℃(418.15K)のオーブン内に5分間放置し、(4)収縮後の長さ寸法を測定し、(5)熱収縮前後の長さ寸法差から算出することができる。
【0080】
本不織布を表面シートとして用いる場合は、繊度は、例えば、液体の入り込みや肌触りを考慮すると、1.1から8.8dtexの範囲であることが好ましい。
【0081】
本不織布を表面シートとして用いる場合は、繊維集合体を構成する繊維として、例えば、肌に残るような少量な経血や汗などをも吸収するために、パルプ、化学パルプ、レーヨン、アセテート、天然コットンなどのセルロース系の液親水性繊維が含まれていてもよい。ただし、セルロース系繊維は一度吸収した液体を排出しにくいため、例えば、全体に対し0.1から5質量%の範囲で混入する場合を好ましい態様として例示できる。
【0082】
本不織布を表面シートとして用いる場合は、例えば、液体の入り込み性やリウェットバックを考慮して、前記に挙げた疎水性合成繊維に、親水剤や撥水剤などを練り込んだり、コーティングなどされていてもよい。また、コロナ処理やプラズマ処理によって親水性を付与してもよい。
【0083】
また、白化性を高めるために、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラーが含有されていてもよい。芯鞘タイプの複合繊維である場合は、芯にのみ含有していてもよいし、鞘にも含有してあってもよい。
【0084】
また、先に示した通り、空気流によって繊維を再配列しやすいのは比較的長繊維を使用するカード法で形成した繊維ウェブであり、複数の空気流により溝部(凹凸化)等を形成した後にその形状を保持したまま不織布化させるには、オーブン処理(加熱処理)で熱可塑性繊維を熱融着させるスルーエアー法が好ましい。この製法に適した繊維としては、繊維同士の交点が熱融着するために芯鞘構造、サイドバイサイド構造の繊維を使用することが好ましく、更には鞘同士が確実に熱融着しやすい芯鞘構造の繊維で構成されていることが好ましい。特に、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとからなる芯鞘複合繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる芯鞘複合繊維を用いることが好ましい。これらの繊維は、単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、繊維長は20から100mm、特には35から65mmが好ましい。
【0085】
[4]主に気体からなる流体
本発明にける主に気体からなる流体は、例えば、常温もしくは所定温度に調整された気体、又は、該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルを例示できる。
【0086】
気体として、例えば、空気、窒素等を例示できる。また、気体は、水蒸気等の液体の蒸気を含むものである。
【0087】
エーロゾルとは、気体中に液体または固体が分散したものであり、以下にその例を挙げる。例えば、着色のためのインクや、柔軟性を高めるためのシリコン等の柔軟剤や、帯電防止およびヌレ性を制御するための親水性若しくは撥水性の活性剤や、流体のエネルギーを高めるための酸化チタン、硫酸バリウム等の無機フィラーや、流体のエネルギーを高めると共に加熱処理において凹凸成形維持性を高めるためのポリエチレン等のパウダーボンドや、かゆみ防止のための塩酸ジフェンヒドラミン、イソプロピルメチルフェノール等の抗ヒスタミン剤や、保湿剤や、殺菌剤等を分散させたものを例示できる。ここで、固体は、ゲル状のものを含む。
【0088】
主に気体からなる流体の温度は適宜調整することができる。繊維集合体を構成する繊維の性質や、製造すべき不織布の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部等の形状に応じて適宜調整することができる。
【0089】
ここで、例えば、繊維集合体を構成する繊維を好適に移動させるには、主に気体からなる流体の温度は、ある程度高い温度である方が繊維集合体を構成する繊維の自由度が増すため好ましい。また、繊維集合体に熱可塑性繊維が含まれる場合には、主に気体からなる流体の温度を該熱可塑性繊維が軟化可能な温度にすることで、主に気体からなる流体が噴きあてられた領域等に配置される熱可塑性繊維を軟化もしくは溶融させると共に、再度硬化させるよう構成することができる。
【0090】
これにより、例えば、主に気体からなる流体が噴きあてられることで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け等や、溝部、開口部又は突起部等における形状が維持される。また、例えば、繊維集合体が所定の移動手段により移動される際に該繊維集合体(不織布)が散けない程度の強度が与される。
【0091】
主に気体からなる流体の流量は、調整される繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成される所定の溝部、開口部又は突起部等に応じて適宜調整することができる。繊維同士が自由度を有する繊維集合体の具体例として、例えば、鞘に高密度ポリエチレン、芯にポリエチレンテレフタレートからなり、繊維長が20から100mm、好ましくは35から65mm、繊度が1.1から8.8dtex、好ましくは2.2から5.6dtexの芯鞘繊維を主体とし、カード法による開繊であれば繊維長が20から100mm、好ましくは35から65mm、エアレイド法による開繊であれば繊維長が1から50mm、好ましくは3から20mmの繊維を用い、10から1000gsm、好ましくは15から100gsmで調整した繊維ウェブ100を例示できる。主に気体からなる流体の条件として、例えば、図16又は図17に示す複数の噴き出し口913が形成された噴き出し部910(噴き出し口913:直径が0.1から30mm、好ましくは0.5から5mm:ピッチが0.5から30mm、好ましくは0.1から10mm:形状が真円、楕円や長方形)において、温度が15から300℃(288.15Kから573.15K)、好ましくは100から200℃(373.15Kから473.15K)の熱風を、風量3から50[L/(分・孔)]、好まししくは5から20[L/(分・孔)]の条件で繊維ウェブ100噴きあてる場合を例示できる。例えば、主に気体からなる流体が上記条件で噴きあてられた場合に、構成する繊維がその位置や向きを変更可能である繊維集合体が、本発明における繊維集合体における好適なものの一つである。このような繊維、製造条件で作成することにより、例えば図2、3で示される不織布を成形できる。溝部1や凸状部2の寸法や目付は以下の範囲で得ることが出来る。溝部1では、厚み0.05から10mm、好ましくは0.1から5mmの範囲、幅は0.1から30mm、好ましくは0.5から5mmの範囲、目付は2から900gsm、好ましくは10から90gsmの範囲である。凸状部2では、厚み0.1から15mm、好ましくは0.5から10mmの範囲、幅は0.5から30mm、好ましくは1.0から10mmの範囲、目付は5から1000gsm、好ましくは10から100gsmの範囲である。また、おおよそ上記数値範囲で不織布を作成できるが、この範囲に限定されるものではない。
【0092】
[5]不織布製造装置
図14から図19により、本発明における不織製造装置について説明する。
【0093】
[5.1]不織布製造装置の第1実施形態
図14から図17により、本発明の不織布製造装置における第1実施形態について説明する。
【0094】
[5.1.1]全体構造
図14又は図15に示すように、本実施形態における不織布製造装置90は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する。
【0095】
また、本実施形態における不織布製造装置90は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する。
【0096】
不織布製造装置90は、繊維集合体である繊維ウェブ100を一方の面側から支持する通気性支持部材200と、通気性支持部材200により前記一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100に、該繊維集合体である繊維ウェブ100における他方の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部と、繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる移動手段であるコンベア930と、を備える。
【0097】
そして、前記移動手段であるコンベア930は、通気性支持部材200により一方の面側から支持された状態における繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させ、噴きあて手段である噴き出し部910及び不図示の送気部は、移動手段であるコンベア930により所定方向Fに移動される通気性支持部材200により一方の面側から支持される繊維集合体である繊維ウェブ100における他の面側に、主に気体からなる流体を噴きあてる。
【0098】
これにより、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、噴き出し部910から噴き出される(噴きあてられる)主に気体からなる流体、及び/又は、この噴き出し部910から噴き出される(噴きあてられる)主に気体からなる流体であって、繊維ウェブ100を通気すると共に後述する通気性支持部材に形成される不通気部によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体により、繊維ウェブ100を構成する繊維101移動させる。この繊維101の移動を調整することで、繊維ウェブ100における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整、また、所定の溝部、開口部又は突起部を形成することができる。
【0099】
言い換えると、調整すべき繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成すべき所定の溝部、開口部又は突起部の形状に応じて、後述する通気性支持部材における通気部及び不通気部の形状及び配置を設計することで、所望の不織布を製造することができる。
【0100】
また、同じ通気性支持部材を用いても、主に気体からなる流体の噴きあて条件を変更することで、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動を調整することができる。つまり、通気性支持部材における通気部及び不織布通気部の形状及び配置に加えて、主に気体からなる流体の噴きあて条件を調整することで、不織布の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部の形状等を調整することができる。
【0101】
本発明における不織布製造装置90において、例えば、複数の異なる通気性支持部材から所定の通気性支持部材を選択すると共に、主に気体からなる流体の噴きあて条件を調整することで、所望の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けに調整され、また、所望の溝部、開口部又は突起部が形成された不織布を製造することができる。
【0102】
[5.1.2]各構成要件
[5.1.2.1]通気性支持部材
通気性支持部材200は、例えば、図14における噴き出し部910から噴き出された主に気体からなる流体であって繊維ウェブ100を通気した主に気体からなる流体が、該繊維ウェブ100が載置された側とは反対側に通気可能な支持部材である。
【0103】
主に気体からなる流体が全体的に通気可能な支持部材として、例えば、図4に示される網状支持部材210を例示することができる。該網状支持部材210は、例えば、細いワイヤーが編み込まれるようにして形成される目の細かい網状部材により形成することができる。また、網状支持部材210は、後述する第1通気部である網状が全体的に配置された通気性支持部材である。
【0104】
また、通気性支持部材200は、繊維ウェブ100における上面側から噴きあてられた主に気体からなる流体が、通気性支持部材200における繊維ウェブ100が配置された側とは反対側である下側に通気できる通気部と、繊維ウェブ100における上面側から噴きあてられた主に気体からなる流体が、通気性支持部材200における下側に通気できず、かつ、繊維ウェブ100を構成する繊維101(図1)が通気性支持部材200における反対側に移動できない不通気部と、を備えることができる。
【0105】
このような通気性支持部材200として、例えば、所定の網状部材に不通気部が所定のパターンニングで配置された部材や、不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材を例示することができる。
【0106】
該所定の網状部材に不通気部が所定のパターンニングで配置された部材としては、例えば、図8に示される網状支持部材210の一面に不通気部である細長状部材225が等間隔で並列配置された支持部材220を例示できる。ここで、不通気部である細長状部材225の形状や配置を適宜変更したものを他の実施形態として例示することができる。不通気部は、図8に示される細長状部材225を網状支持部材210の一面に配置する場合のほか、通気部である網状の目を埋める(例えば、ハンダ、樹脂等により)ことでも形成することもできる。
【0107】
該不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材としては、例えば、図11に示される通気部である楕円状の孔部233が複数形成された板状支持部材230を例示できる。ここで、孔部233の形状、大きさ及び配置を適宜調整したものを他の実施形態として例示することができる。言い換えると、不通気部であるプレート部235の形状等を適宜調整したものを他の実施形態として例示することができる。
【0108】
ここで、通気性支持部材200における通気部は、繊維ウェブ100を構成する繊維101が通気性支持部材200における繊維ウェブ100が載置される側とは反対側(下側)に実質的に移動できない第1通気部と、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部と、を含む。
【0109】
第1通気部として、例えば、網状支持部材210における網状の領域を例示することができる。また、第2通気部として、例えば、板状支持部材230における孔部233を例示することができる。
【0110】
第1通気部を有する通気性支持部材200として、例えば、網状支持部材210を例示できる。不通気部及び第1通気部を有する通気性支持部材200として、例えば、支持部材220と例示することができる。不通気部及び第2通気部を有する支持部材として、例えば、板状支持部材230を例示することができる。
【0111】
その他、第1通気部と第2通気部とからなる通気性支持部材200や、不通気性支持部材と第1通気部及び第2通気部とを備える通気性支持部材200を例示できる。第1通気部と第2通気部とからなる通気性支持部材200として、例えば、図4に示される網状支持部材210に複数の開口が形成された通気性支持体を例示することができる。また、不通気性支持部材と第1通気部及び第2通気部とを備える通気性支持部材200として、例えば、図8に示される支持部材220における網状領域に複数の開口が形成された通気性支持部材を例示することができる。
【0112】
また、通気性支持部材200として、繊維ウェブ100支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である支持部材を例示できる。略平面状又は略曲面状として、例えば、板状や円筒状を例示できる。また、略平坦状とは、例えば、支持部材における繊維ウェブ100を載置する面自体が凹凸状等に形成されていないことをいう。具体的には、網状支持部材210における網が凹凸状等に形成されていない支持部材を例示することができる。
【0113】
この通気性支持部材200として、例えば、板状の支持部材や円筒状の支持部材を例示することができる。具体的には、上述した網状支持部材210、支持部材220及び板状支持部材230や、図18及び図19に示される通気性支持ドラム250等を例示することができる。
【0114】
ここで、通気性支持部材200は、不織布製造装置90に着脱可能に配置することがきる。これにより、所望の不織布における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部に応じた通気性支持部材200を適宜配置することができる。言い換えると、不織布製造装置90において、通気性支持部材200は、異なる複数の通気性支持部材から選択される他の通気性支持部材と交換可能である。また、本発明は、例えば、不織布製造装置90と、異なる複数の通気性支持部材200と、を備える不織布製造システムを含むといえる。
【0115】
図4に示す網状支持部材210又は図8に示される支持部材220における網状部分について以下に説明する。この通気性の網状部分として、例えば、ポリエステル・ポリフェニレンサルファイド・ナイロン・導電性モノフィラメントなどの樹脂による糸、もしくはステンレス・銅・アルミなどの金属による糸等で、平織・綾織・朱子織・二重織・スパイラル織等で織り込まれた通気性ネットを例示できる。
【0116】
この通気性ネットにおける通気度は、例えば、織り込み方や糸の太さ、糸形状を部分的に変化させることで、部分的に通気度を変化させることができる。具体的には、ポリエステルによるスパイラル織の通気性メッシュ、ステンレスによる平形糸と円形糸によるスパイラル織の通気性メッシュを例示できる。
【0117】
また、図8に示される支持部材220の一面に配置される細長状部材225に代えて、例えば、通気性ネットへシリコン樹脂などをパターンニングして塗工したり、非通気材料を部分的に接合したりしてもよい。例えば、ポリエステルによる平織された20メッシュの通気性ネットに、幅方向に延びライン流れ方向で互いに繰り返すようシリコン樹脂を塗工することができる。この場合、シリコン樹脂や非通気材料が接合された不通気部となり、他の箇所は第1通気部となる。不通気部においては、表面のすべり性を高めるためにその表面は平滑であることが好ましい。
【0118】
図11に示す板状支持部材230として、例えば、ステンレス・銅・アルミなどの金属で作成されたスリーブを例示できる。スリーブは、上記金属の板を所定パターンで部分的に抜いたものを例示できる。この金属がくり抜かれた箇所は第2通気部となり、金属がくり抜かれていない箇所は不通気部となる。また、上記と同様に不通気部においては、表面のすべり性を高めるためにその表面は平滑であることが好ましい。
【0119】
スリーブとして、例えば、長さが3mmで幅40mmの各角を丸くした横長方形で金属がくり抜かれた孔部が、ライン流れ方向(移動方向)においては2mmの間隔を空け、幅方向では3mmの間隔を空けて格子状に配置される、厚みが0.3mmのステンレス製のスリーブを例示することができる。
【0120】
また、孔部が千鳥状に配置されたスリーブを例示できる。例えば、直径4mmの円形で金属がくり抜かれた孔部が、ライン流れ方向(移動方向)においてピッチ12mm、幅方向ではピッチ6mmの千鳥状に配置される、厚みが0.3mmのステンレス製のスリーブを例示できる。このように、くり抜かれるパターン(形成される孔部)や配置は適時設定できる。
【0121】
更に、所定の起伏が設けられた通気性支持部材200を例示できる。例えば、主に気体からなる流体が直接噴きあてられない箇所がライン流れ方向(移動方向)へ交互に起伏(例えば、波状)を有する通気性支持体を例示できる。このような形状の通気性支持部材200を用いることで、例えば、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され、また、所定の溝部、開口部又は突起部が形成されると共に、全体的に通気性支持部材200における交互に起伏(例えば、波状)した形状に形成された不織布を得ることができる。
【0122】
ここで、通気性支持部材200の構造が異なる場合には、例えば、噴き出し部910から同じ条件で気体を噴きあてたとしても、繊維ウェブ100における繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成される溝部、開口部又は突起部の形状や大きさは、全く異なったものとなる。言い換えると、通気性支持部材200部を適宜選択することで、所望の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けに調整された不織布や、所望の形状の溝部、開口部又は突起部が形成された不織布を得ることができる。
【0123】
また、本実施形態における不織布製造装置90は、噴き出し手段から連続的に主に気体からなる流体を繊維集合体である繊維ウェブ100に噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部が形成された不織布を製造することができることを特徴の一つとする。
【0124】
[5.1.2.2]移動手段
移動手段は、上述した通気性支持部材200により一方の面側から支持された状態における繊維集合体である繊維ウェブ100を所定方向に移動させる。具体的には、主に気体からなる流体が噴きあてられた状態における繊維ウェブ100を所定方向Fに移動させる。移動手段として、例えば、図14に示されるコンベア930を例示できる。コンベア930は、通気性支持部材200を載置する横長のリング状に形成される通気性の通気性ベルト部939と、横長のリング状に形成された通気性ベルト部939の内側であって長手方向の両端に配置され、該リング状の通気性ベルト部939を所定方向に回転させる回転部931、933と、を備える。ここで、通気性支持部材200が、図4における網状支持部材210や図8における支持部材220である場合には、上述の通気性ベルト部939を配置しない場合がある。通気性支持部材200が、図11における板状支持部材230のように大きな孔が形成されている支持体である場合には、例えば、繊維ウェブ100を構成する繊維が孔から落ちて、工程で使用される機械に入り込むことを抑制するため、通気性ベルト部939を配置することが好ましい。この通気性ベルト部939として、例えば、網状のベルト部が好ましい。
【0125】
コンベア930は、上述の通り、繊維ウェブ100を下面側から支持した状態の通気性支持部材200を所定方向Fに移動させる。具体的には、図14に示すように、繊維ウェブ100が、噴き出し部910の下側を通過するように移動させる。更には、繊維ウェブ100が、加熱手段である両側面が開口したヒータ部950の内部を通過するように移動させる。
【0126】
また、例えば、図18に示すように、移動手段として複数のコンベアを組み合わせたものを例示することができる。このように構成することで、噴き出し部910に近づくように移動する速度と、噴き出し部910から遠ざかるように移動する移動速度を適宜調整することで、不織布115における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、溝部、開口部又は突起部の形状等を調整することができる。詳細は、後述の通りである。
【0127】
[5.1.2.3]噴きあて手段
噴きあて手段は、不図示の送気部及び、噴き出し部910を備える。不図示の送気部は、送気管920を介して噴き出し部910に連結される。送気管920は、噴き出し部910の上側に通気可能に接続される。図17に示すように、噴き出し部910には、噴き出し口913が所定間隔で複数形成されている。
【0128】
不図示の送気部から送気管920を介して噴き出し部910に送気された気体は、噴き出し部910に形成された複数の噴き出し口913から噴出される。複数の噴き出し口913から噴出された気体は、通気性支持部材200に下面側から支持された繊維ウェブ100の上面側に連続的に噴きあてられる。具体的には、複数の噴き出し口913から噴出された気体は、コンベア930により所定方向Fに移動された状態における繊維ウェブ100の上面側に連続的に噴きあてられる。
【0129】
噴き出し部910下方であって通気性支持部材200の下側に配置される吸気部915は、噴き出し部910から噴出され通気性支持部材200を通気した気体等を吸気する。ここで、この吸気部915による吸気により、繊維ウェブ100を通気性支持部材200に張り付かせるよう位置決めさせることも可能である。更には、吸気によって、空気流により成形した溝部(凹凸)等の形状をより保った状態でヒータ部950内に搬送することができる。この場合、空気流による成形と同時にヒータ部950まで、吸気しながら搬送することが好ましい。
【0130】
図15又は図16に示すように、例えば、繊維ウェブ100の幅方向に所定間隔で形成された噴き出し口913(図17参照)から噴出された主に気体からなる流体により、繊維ウェブ100の上面側に溝部1が所定間隔で形成された不織布110が製造される。
【0131】
噴き出し部910として、例えば、噴き出し口913の直径が0.1から30mm、好ましくは0.3から10mmであり、噴き出し口913同士のピッチが0.5から20mm、好ましくは3から10mmが形成されたものを例示できる。
【0132】
噴き出し口913の形状は、例えば、真円、楕円、正方形、長方形等を例示できるがこれに限定されない。また、噴き出し口913の断面形状は円筒型、台形型、逆台形型を例示できるがこれらに限定されない。空気が効率良く繊維ウェブ100に噴きあてられることを考慮すると、形状は真円で断面形状は円筒型が好ましい。
【0133】
この噴き出し口913は、不織布における所望の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突起部に応じて設計等することができる。また、複数の噴き出し口913それぞれにおける孔径や形状はそれぞれ異なっていても良く、また、噴き出し部910において噴き出し口013が複数列になるよう形成されてもよい。
【0134】
噴き出し口913それぞれから噴き出される主に気体からなる流体の温度は、上述の通り常温であってもよいが、例えば、溝部(凹凸)、開口部又は突起部の成形性を良好にするには、繊維集合体を構成する少なくとも熱可塑性繊維の軟化点以上、好ましくは軟化点以上であり融点+50℃以下の温度に調整することができる。繊維が軟化すると繊維自体の反発力が低下するため、空気流等で繊維が再配列された形状を保ちやすく、温度を更に高めると繊維同士の熱融着が開始されるためより一層、溝部(凹凸)等の形状を保ちやすくなる。これにより、溝部(凹凸)等の形状を保った状態でヒータ部950内に搬送しやすくなる。
【0135】
また、空気流等により成形した溝部(凹凸)等の形状をより保った状態でヒータ部950に搬送するには、空気流等による溝部(凹凸)等の成形直後もしくは同時にヒータ部950内に搬送するか、熱風(所定温度の空気流)による溝部(凹凸)等の成形直後に冷風等により冷却させ、その後、ヒータ部950に搬送することができる。
【0136】
ここで、上述した通気性支持部材200の構造のほか、繊維ウェブ100における繊維101を移動させて、繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成される溝部、開口部又は突起部の形状や大きさ等を調整する要素として、例えば、噴き出し部910から噴き出される気体の流速や流量等を例示することができる。この噴き出される気体の流速や流量は、例えば、不図示の送気部における送気量等や、噴き出し部910に形成される噴き出し口913の数や口径により調整することができる。
【0137】
その他、噴き出し部910を、主に気体からなる流体の向きを変更可能にすることで、例えば、形成される凹凸における凹部(溝部)の間隔や、凸状部の高さ等を適宜調整することができる。また、例えば、上記流体の向きを自動的に変更可能に構成することで、例えば、溝部等を蛇行状(波状、ジグザグ状)や他の形状となるよう適宜調整することができる。また、主に気体からなる流体の噴き出し量や噴き出し時間を調整することで、溝部や開口部の形状や形成パターンを適宜調整することができる。主に気体からなる流体の繊維ウェブ100に対する噴きあて角度は、垂直であってもよく、また、繊維ウェブ100の移動方向Fにおいて、該移動方向Fであるライン流れ方向へ所定角度だけ向いていても、ライン流れ方向とは逆へ所定角度だけ向いていてもよい。
【0138】
[5.1.2.4]加熱手段
加熱手段であるヒータ部950は、所定方向Fにおける両端が開口されている。これにより、コンベア930により移動される通気性支持部材200に載置された繊維ウェブ100(不織布110)が、ヒータ部950の内部に形成される加熱空間を所定時間の滞留をもって連続的に移動される。例えば、繊維ウェブ100(不織布110)を構成する繊維101に熱可塑性繊維を含ませた場合には、このヒータ部950における加熱により繊維101同士が結合された不織布115を得ることができる。
【0139】
繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され及び/又は所定の溝部、開口部又は突部の1又は2以上が形成された不織布110における繊維101を接着させる方法として、例えば、ニードルパンチ法、スパンレース法、溶剤接着法による接着や、ポイントボンド法やエアースルー法による熱接着が例示できるが、調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成された所定の溝部、開口部又は突部の形状を維持するためは、エアースルー法が好ましい。そして、例えば、ヒータ部95によるエアースルー法における熱処理が好ましい。
【0140】
[5.1.2.5]その他
ヒータ部950により加熱されて製造された不織布115は、コンベア930と所定方向Fにおいて連続するコンベア940により、例えば、不織布115を所定形状に切断する工程や巻き取る工程に移動される。コンベア940は、コンベア930と同様に、ベルト部949と、回転部941等を備える。
【0141】
[5.2]不織布製造装置の第2実施形態
図18及び図19により、本発明の不織布製造装置における第2実施形態について説明する。第2実施形態における不織布製造装置95は、第1実施形態における不織布製造装置90と、移動手段及び通気性支持部材200の形態において相違する。以下に、その異なる点を中心として不織布製造装置95について説明する。
【0142】
[5.2.1]全体構造
本実施形態における不織布製造装置95は、繊維集合体である繊維ウェブ100を噴き出し部910に近づくように移動させる第1移動手段である第1コンベア970と、繊維ウェブ100を噴き出し部910から離れるように移動させる第2移動手段である第2コンベア980とを備える。第1コンベア970と第2コンベア980との間には、通気性支持ドラム250が配置される。上記噴き出し手段を構成する噴き出し部910は、通気性支持ドラム250の上側に配置される。ここで、他の構成要件は、第1実施形態における不織布製造装置90と同様である。
【0143】
第1コンベア970により所定方向Fに移動された繊維ウェブ100は、通気性支持ドラム250の上面(円筒状の側面)に移動される。通気性支持ドラム250の上面(円筒状の側面)に移動された繊維ウェブ100は、該通気性支持ドラム250がR方向に回転することにより、該通気性支持ドラム250の上側に支持された状態で第2コンベア980側に移動される。
【0144】
噴き出し部910から噴き出される主に気体からなる流体は、上記通気性支持ドラム250の上側に支持された状態で所定方向Fに移動される繊維ウェブ100における上面側に噴きあてられる。主に気体からなる流体が噴きあてられ、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され、また、所定の溝部、開口部又は突部が形成された不織布110は、第2コンベア980により加熱手段であるヒータ部950に移動される。このヒータ部950で所定温度(例えば、繊維ウェブ100に含まれる熱可塑性繊維の溶融温度)に昇温された不織布110は、すでに調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、形成された所定の溝部、開口部又は突部が維持された不織布120となる。
【0145】
[5.2.2]各構成要件
「5.2.2.1」通気性支持部材
本実施形態における通気性支持部材200は、略円筒状に形成されている点で第1実施形態と相違する。本実施形態における通気性支持部材200は、略円筒状の通気性ドラム255と、該通気性ドラム255の側面に周回するように配置されるドラム状通気性ベルト部259との外周面に、該ドラム状通気性ベルト部259に積層するように配置され、略円筒状の通気性支持ドラム250を構成する。ここで、通気性支持部材200が、図4における網状支持部材210や図8における支持部材220である場合には、上述のドラム状通気性ベルト部259を配置しない場合がある。通気性支持部材200が、図11における板状支持部材230のように大きな孔が形成されている支持体である場合には、例えば、繊維ウェブ100を構成する繊維が孔から落ちて、工程で使用される機械に入り込むことを抑制するため、ドラム状通気性ベルト部259を配置することが好ましい。このドラム状通気性ベルト部259として、例えば、網状のベルト部が好ましい。
【0146】
通気性支持ドラム250は、前述した第1コンベア970と、第2コンベア980との間に配置される。通気性支持ドラム250は、その両端が繊維ウェブ100の移動方向Fに対して側方側を向くようにして配置される。言い換えると、通気性支持ドラム250における側面が、略水平になるように配置される。例えば、通気性支持ドラム250を横に倒したように配置される。
【0147】
通気性支持ドラム250は、円筒軸を中心にR方向に回転可能に配置される。通気性支持ドラム250がR方向に回転することで、該通気性支持ドラム250の側面に配置される繊維ウェブ100は所定方向Fに移動される。
【0148】
通気性支持ドラム250における内部側(円筒状の内側)には、所定の吸気部等を配置することができる。これにより、噴き出し部910から噴き出された主に気体からなる流体を吸引可能となると共に、繊維ウェブ100は、通気性支持ドラム250の上面側に位置決めされる。
【0149】
更には、吸引部における吸引可能な領域を調整することで、繊維ウェブ100が位置決めされる領域や強さを調整することができる。これにより、溝部、開口部又は突部等の形状を調整することができる。
【0150】
また、通気性支持ドラム250は、不織布製造装置95に着脱可能に配置される。言い換えると、異なる複数の通気性ドラムから選ばれる他の通気性ドラムに交換可能に配置あれる。これにより、不織布製造装置95は、所望の不織布における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付や、所定の溝部、開口部又は突部の形状に応じた通気性支持部材200が外側面に配置された通気性支持ドラムを適宜配置することができる。
【0151】
通気性ドラム255に配置される通気性支持部材200として、例えば、上述した網状支持部材210、支持部材220や板状支持部材230等を例示できる。言い換えると、これら網状支持部材210、支持部材220や板状支持部材230等を、通気性ドラム255の外側面に沿うように配置した通気性支持ドラム250を例示できる。
【0152】
通気性支持ドラム250を用いることで、例えば、製造ラインを短くすることができる場合がある。また、例えば、通気性支持ドラム250として、異なる複数の通気性ドラムから選ばれる所定の通気性支持ドラムを用いる製造装置(システム)である場合には、使用しない通気性支持ドラムの保管スペースが小さくてすむ場合がある。
【0153】
「5.2.2.2」移動手段
不織布製造装置95は、繊維集合体である繊維ウェブ100を噴き出し部910に近づくように移動させる第1コンベア970と、繊維ウェブ100を噴き出し部910から離れるように移動させる第2コンベア980とを備える。本実施形態においては、第1移動手段は第1コンベア970であり、第2移動手段は通気性支持ドラム250がこれを兼ねる。この第1コンベア970における繊維ウェブ100の第1移動速度と、通気性支持ドラム250のR方向への回転による繊維ウェブ100の第2移動速度とを調整することで、移動中における繊維ウェブ100のテンションを調整することができる。これにより、例えば、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動状態を調整することができる。
【0154】
例えば、通気性支持部材200が板状支持部材230である場合には、このテンションを調整することで、繊維の孔部233への入り込みを調整することができる。言い換えると、同じ板状支持部材230を用いた場合でも、テンションを強くすることで後述する開口部が複数形成された不織布を製造することができ、逆にテンションを弱くすることで後述する突起部が複数形成された不織布を製造することができる。
【0155】
例えば、繊維ウェブ100におけるテンションを強くするには、第1移動速度と第2速度とを略同じにするよう調整すれば良く、テンションを弱くするには、第1移動速度が第2移動速度よりも速くなるよう調整すればよい。ここで、第2移動速度は、通気性支持ドラム250のR方向への回転速度や、該通気性支持ドラム250の内部側に配置される吸気部のおける強さにより調整することができる。更には、第2コンベア980における移動速度を、第2移動速度と同じか又は第2移動速度よりも速くすることで、板状支持部材230における孔部233に繊維が入り込んで形成される突起部が該孔部233から引き抜かれると共に、ヒータ部950に搬送される。ここで、第1移動速度が第2移動速度よりも速くなるように調整した場合、例えば、噴き出し部910を通過する前の繊維ウェブ100における平均目付けを100とした場合に、噴き出し部910を通過した後の繊維ウェブ100の平均目付けが110から1000、特に120から500の範囲となるよう上記速度を調整することが好ましい。
【0156】
「5.2.2.3」移動制御手段
不織布製造装置95は、移動制御手段である不図示の制御部を備える。制御部は、例えば、所定のCPU等で構成される。制御部は、例えば、第1コンベア970、第2コンベア980及び通気性支持ドラム250を制御可能である。制御部は、第1コンベア970における繊維ウェブ100の第1移動速度及び、通気性支持ドラム250における繊維ウェブ100の第2移動速度を制御可能である。制御部は、不織布110における繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突部に応じて第1移動速度及び第2移動速度のそれぞれを調整することができる。
【0157】
「5.3」その他
第1実施形態の不織布製造装置90及び第2実施形態の不織布製造装置95において、噴き出し部910や通気性支持部材200を複数備えることもできる。例えば、多段階で繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けを調整し、また、所定の溝部、開口部又は突部を形成することができ、詳細な不織布設計をすることができる。
【0158】
[6]不織布製造方法
[6.1]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの調整
本実施形態における不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法である。
【0159】
そして、本実施形態における不織布製造方法は、繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により通気性支持部材により支持される繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により移動工程において所定方向に移動される繊維集合体における他の面側から主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む。
【0160】
[6.2]所定の溝部、開口部又は突部の形成
本実施形態における不織布製造方法は、略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法である。
【0161】
そして、本実施形態における不織布製造方法は、繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、通気性支持部材に繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、所定の移動手段により通気性支持部材により支持される繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、所定の噴きあて手段により移動工程において所定方向に移動される繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む。
【0162】
[6.3]各構成要素
[6.3.1]繊維及び主に気体からなる流体
本実施形態における繊維集合体は、例えば、熱可塑性繊維を含むことができる。繊維集合体が熱可塑性繊維を含む場合、例えば、所定の噴きあて手段から繊維集合体の他の面側である上面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度にすることができる。
【0163】
例えば、主に気体からなる流体の温度を該熱可塑性繊維が軟化可能な温度にすることで、主に気体からなる流体が噴きあてられた領域等に配置される熱可塑性繊維を軟化もしくは溶融させると共に、再度硬化させるよう構成することができる。これにより、例えば、主に気体からなる流体が噴きあてられることで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け等や、溝部、開口部又は突起部等における形状が維持される。また、例えば、繊維集合体が所定の移動手段により移動される際に該繊維集合体(不織布)が散けない程度の強度が付与される。その他、繊維及び主に気体からなる流体の内容は上述の記載を参考にすることができる。
【0164】
[6.3.2]支持工程
本実施形態における支持工程は、繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、通気性支持部材に繊維集合体における一方の面側から支持させる工程である。
【0165】
例えば、図16又は図19に示すように、通気性支持部材の上面に繊維集合体である繊維ウェブを配置することができ、また、所定の通気性支持部材の上面に不図示の繊維噴き出し部から所定の繊維を積層させて繊維ウェブを形成してもよい。
【0166】
通気性支持部材の内容は、上述した通気性支持部材200の記載を参考にすることができる。また、例えば、網状支持部材210、支持部材220、板状支持部材230及びこれらを円筒状に形成した通気性支持ドラム250を例示できる。
【0167】
通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選ばれる他の通気性支持部材と適宜交換することができる。
【0168】
[6.3.3]移動工程
移動工程は、所定の移動手段により通気性支持部材により支持される繊維集合体を所定方向に移動させる。所定の移動手段の内容は、上述したコンベア等の記載を参考にすることができる。
【0169】
移動工程は、繊維集合体を噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動工程と、繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動工程と、を含むことができる。第1移動工程における第1移動手段及び第2移動工程における第2移動手段の内容は、上述した第1移動手段及び第2移動手段の記載を参考にすることができる。
【0170】
ここで、第1移動工程における繊維集合体の移動速度である第1移動速度は、第2移動工程における繊維集合体の移動速度である第2移動速度よりも速くすることができる。例えば、上述の移動制御手段により、第1移動手段及び第2移動手段それぞれを制御して、第1移動速度及び第2移動速度を調整することができる。
【0171】
[6.3.4]噴きあて工程
噴きあて工程は、所定の噴きあて手段により移動工程において所定方向に移動される繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる。噴きあて手段の内容は上述の噴きあて手段の記載を参考にすることができる。
【0172】
前記噴きあて工程において、所定の噴きあて手段から噴きあてられる主に気体からなる流体、及び/又は、その噴きあてられる主に気体からなる流体であって繊維集合体を通気すると共に不通気部によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体は、繊維集合体を構成する繊維を移動させる。これにより、繊維集合体を構成する繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整され、また、所定の溝部、開口部又は突部が形成される。
【0173】
例えば、噴きあて工程において、主に気体からなる流体を繊維集合体における通気性支持部材の通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の溝部を形成することができる。
【0174】
例えば、噴きあて工程において、主に気体からなる流体を繊維集合体における通気性支持部材の不通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の開口部を形成することができる。
【0175】
例えば、噴きあて工程において、主に気体からなる流体を繊維集合体における通気性支持部材の第2通気部に支持されている領域に噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を第2通気部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成することができる。
【0176】
噴きあて工程において、主に気体からなる流体は、繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてられる場合を好ましい態様として例示できる。この場合、例えば、所定の構造である通気性支持部材を選択して使用することで、主に気体からなる流体を単に連続的に噴きあてることだけで繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けや、所定の溝部、開口部又は突部の形状等を調整することができる。
【0177】
[6.4]その他
上述した本実施形態における不織布製造方法を実施する装置として、例えば、上述した不織布製造装置90及び不織布製造装置95を例示することができる。
【0178】
[7]不織布
[7.1]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの調整
本実施形態における不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布である。
【0179】
[7.2]所定の溝部、開口部又は突部の形成
また、本実施形態における不織布は、所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布である。
【0180】
[7.3]不織布の第1実施形態
図2から図5により、本発明の不織布における第1実施形態について説明する。
【0181】
[7.3.1]概要
図2A、図2B、図3又は図5に示すように、本実施形態における不織布110は、該不織布110の一面側に複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成された不織布である。そして、略等間隔で形成された複数の溝部1それぞれの間に、複数の凸状部2それぞれが形成されている。この凸状部2は、溝部1と同様に略等間隔で並列的に形成されている。ここで、本実施形態において、溝部1は略等間隔で並列的に形成されているがこれに限定されず、例えば、異なる間隔ごとに形成されていても良く、また、並列的でなく溝部1同士の間隔が変化するように形成されていてもよい。また、凸状部2における高さも、均一でなく互いに異なる高さになるように形成することができる。
【0182】
溝部1は、繊維集合体である繊維ウェブ100を、例えば、図4で示される通気性支持部材である網状支持部材210により下面側から支持し、上面側から気体を噴きあてて該繊維ウェブ100を構成する繊維101を移動させることにより形成される。また、同様に、繊維ウェブ100を構成する繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整される。
【0183】
この繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる主に気体からなる流体によりなされる。
【0184】
凸状部2は、繊維ウェブ100における主に気体からなる流体が噴きあてられていない領域であり、前記溝部1が形成されることにより、相対的に突出する領域となったものである。凸状部2は、後述するように、該凸状部2における側部と中央部における繊維101の配向、疎密又は目付け等が異なるという特徴を有する。
【0185】
[7.3.2]溝部、開口部又は突部
図2A、図2B及び図3に示すように、本実施形態における不織布110は、上述の通り、該不織布110の一面側に複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成された不織布である。そして、略等間隔で形成された複数の溝部1それぞれの間に、複数の凸状部2それぞれが形成されている。この凸状部2は、溝部1と同様に略等間隔で並列的に形成されている。
【0186】
ここで、本実施形態において、溝部1は略等間隔で並列的に形成されているがこれに限定されず、例えば、異なる間隔ごとに形成されても良く、また、並列的でなく溝部1同士の間隔が変化するように形成されていてもよい。
【0187】
また、本実施形態における不織布110の凸状部2の高さ(厚さ方向)は略均一であるが、例えば、互いに隣接する凸状部2の高さが異なるように形成されていてもよい。例えば、主に気体からなる流体が噴き出される噴き出し口913の間隔を調整することで、凸状部2の高さを調整することができる。例えば、噴き出し口913の間隔を狭くすることで凸状部2の高さを低くすることができ、逆に、噴き出し口913の間隔を広くすることで凸状部2の高さを高くすることができる。更には、噴き出し口913の間隔を狭い間隔と広い間隔とが交互になるよう形成することで、高さの異なる凸状部2が交互に形成されるようにすることもできる。また、このように、凸状部2の高さが部分的に変化していれば、肌との接触面積が下がるために肌への負担を減らすことができるというメリットも生じる。
【0188】
[7.3.3]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け
[7.3.3.1]繊維配向
図2A、図2B及び図3に示すように、溝部1の底部における繊維101は、該溝部1の長手方向に交差する方向、具体的には、略幅方向(横方向)に配向している。
【0189】
また、凸状部2における側部の繊維101は、該凸状部2の長手方向に沿う方向に配向している。例えば、該凸状部2の中央部(両側部の間の領域)における繊維101の配向と比べて長手方向に配向している。
【0190】
[7.3.3.2]繊維疎密
図3に示すように、溝部1は、凸状部2に比べて繊維101の密度が低くなるように調整されている。また、溝部1の繊維密度は、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の量やテンションなどの諸条件によって任意に調整できる。
【0191】
凸状部2は、上述の通り、溝部1に比べて繊維101の密度が高くなるように調整されている。また、凸状部2の繊維密度は、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の量やテンションなどの諸条件によって任意に調整できる。
【0192】
更に、該凸状部2における側部は、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の量やテンションなどの諸条件によって任意に調整できる。
【0193】
[7.3.3.3]繊維目付け
図3に示すように、溝部1は、凸状部2に比べて繊維101の目付け量が少なくなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0194】
凸状部2は、上述の通り、溝部1に比べて繊維101の目付け量が多くなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0195】
[7.3.4]その他
本実施形態の不織布を、例えば、所定の液体を吸収又は透過させるために使用した場合、溝部1は液体を透過させ、凸状部2はポーラス構造であるので液体を保持しにくい。
【0196】
溝部1は、繊維101の密度が低く、目付け量が少ないことから、液体を透過させるのに適したものとなっている。更に、溝部1の底部における繊維101が幅方向に配向していることから、液体が溝部1の長手方向に流れすぎて広く広がってしまうことを防止できる。溝部1は目付が低いにもかかわらず繊維101を該溝部1の幅方向に配向(CD配向)されているので、不織布の幅方向への強度(CD強度)が高まっている。
【0197】
凸状部2の繊維目付けが高くなるよう調整されるが、これにより繊維本数が増大するため融着点数が増え、ポーラス構造が維持される。
【0198】
[7.3.5]製造方法及び網状支持部材
以下に、本実施形態における不織布110を製造する方法について説明する。まず、繊維ウェブ100を通気性支持部材である網状支持部材210の上面側に載置する。言い換えると、繊維ウェブ100を網状支持部材210により下側から支持する。
【0199】
そして、この繊維ウェブ100を支持した状態における網状支持部材210を所定方向に移動させ、該移動されている繊維ウェブ100の上面側から連続的に気体を噴きあてることで、本実施形態における不織布110を製造することができる。
【0200】
ここで、網状支持部材210は、不通気部である所定太さの複数のワイヤ211が、織り込まれるようにして形成される。複数のワイヤ211が所定間隔を開けて織り込まれることで、通気部である孔部233が複数形成された網状支持部材が得られる。
【0201】
図4における網状支持部材210は、上述の通り、孔径が小さな孔部233が複数形成されているものであり、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられた気体は、該網状支持部材210に妨げられることなく下方に通気する。この網状支持部材210は、噴きあてられる気体の流れを大きく変えることがなく、また、繊維101を該網状支持部材の下方向に移動させない。
【0202】
このため、繊維ウェブ100における繊維101は、主に上面側か噴きあてられた気体により所定方向に移動される。具体的には、網状支持部材210の下方側への移動が規制されているため、繊維101は、該網状支持部材210の表面に沿うような方向に移動する。
【0203】
例えば、気体が噴きあてられた領域における繊維101は、該領域に隣接する領域に移動される。そして、気体が噴きあてられる領域が所定方向に移動するため、結果として、気体が噴きあてられた所定方向に連続する領域における側方の領域に移動される。
【0204】
これにより、溝部1が形成されると共に、溝部1における底部の繊維101は幅方向に配向するよう移動される。また、溝部1と溝部1との間に凸状部2が形成され、該凸状部2における側方部の繊維密度が高くなり、繊維101が長手方向に配向等される。
【0205】
本実施形態における不織布110は後述する不織布製造装置90により製造することができる。この不織布製造装置90における不織布の製造方法等は、上述した不織布110の製造方法及び不織布製造装置90、95の説明における記載を参考にすることができる。
【0206】
[7.4]第2実施形態
図6から図9により、本発明の不織布における第2実施形態について説明する。
【0207】
[7.4.1]概要
図6A、図6B、図7又は図9に示すように、本実施形態における不織布120は、複数の開口部3が形成された不織布である。
【0208】
開口部3は、繊維集合体である繊維ウェブ100を、例えば、図8で示される通気性支持部材である支持部材220により下面側から支持し、上面側から主に気体からなる流体を噴きあてて該繊維ウェブ100を構成する繊維101を移動させることにより形成される。また、同様に、繊維ウェブ100を構成する繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整された不織布である。
【0209】
図8に示される支持部材220は、図4における網状支持部材210の上面に、複数の細長状部材225を所定間隔で略平行に配置した支持部材である。細長状部材225は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた主に気体からなる流体を下方側に通気させない。言い換えると、細長状部材225に噴きあてられた主に気体からなる流体は、その流れ方向が変更される。
【0210】
つまり、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる主に気体からなる流体及び/又は、噴きあてられた主に気体からなる流体であって繊維ウェブ100を通気すると共に細長状部材225によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体により移動される。これにより、開口部3が形成され、また、繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整される。
【0211】
[7.4.2]溝部、開口部又は突部
図6A、図6B、図7又は図9に示すように、本実施形態における不織布120は、上述の通り、複数の開口部3が形成された不織布である。詳細には、不織布120は、該不織布120の一面側に複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成されると共に、該溝部1に沿うように複数の開口部3が形成された不織布である。この複数の開口部3それぞれは、略円形状又は略楕円状に形成される。ここで、本実施形態において、溝部1は略等間隔で並列的に形成されているがこれに限定されず、例えば、異なる間隔ごとに形成されても良く、また、並列的でなく溝部1同士の間隔が変化するように形成されていてもよい。また、凸状部2における高さも、均一でなく互いに異なる高さになるように形成することができる。
【0212】
そして、複数の溝部1それぞれの間に、複数の凸状部2それぞれが形成されている。凸状部2は、溝部1と同様に略等間隔で並列的に形成されている。本実施形態における不織布120の凸状部2の高さ(厚さ方向)は略均一であるが、例えば、互いに隣接する凸状部2の高さが異なるように形成されていてもよい。例えば、主に気体からなる流体が噴き出される噴き出し口913の間隔を調整することで、凸状部2の高さを調整することができる。例えば、噴き出し口913の間隔を狭くすることで凸状部2の高さを低くすることができ、逆に、噴き出し口913の間隔を広くすることで凸状部2の高さを高くすることができる。更には、噴き出し口913の間隔を狭い間隔と広い間隔とが交互になるよう形成することで、高さの異なる凸状部2が交互に形成されるようにすることもできる。また、このように、凸状部2の高さが部分的に変化していれば、肌との接触面積が下がるために肌への負担を減らすことができるというメリットも生じる。
【0213】
開口部3とこれに隣接する開口部3との間には、凸状部2とこれに隣接する凸状部2とを繋ぐように形成される連結部4が形成される。言い換えると、所定間隔で形成される複数の連結部4が、凸状部2とこれに隣接する凸状部2とを連結しているともいえる。
【0214】
[7.4.3]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け
[7.4.3.1]繊維配向
図6A、図6B、図7又は図9に示すように、連結部4における繊維101は、溝部1における長手方向に交差する方向、具体的には、長手方向に向いている繊維101が、主に気体からなる流体(例えば、熱風)の吹きつけによって凸状部2の側部に寄せられ、幅方向へ向いていた繊維が残存することによって溝部1の繊維配向は主体的に幅方向(CD方向)へ向いている。
【0215】
また、凸状部2における側部の繊維101は、該凸状部2の長手方向に沿う方向に配向している。例えば、該凸状部2における中央部(両側部の間の領域)における繊維101の配向と比べて長手方向に配向している。
【0216】
開口部3の周囲の繊維101は、該開口部3の周囲に沿うように配向している。言い換えると、開口部3における溝部1の長手方向端部は、該長手方向に対して交差する方向に配向している。また、開口部3における溝部1の長手方向側部は、該長手方向に沿う方向に配向している。
【0217】
[7.4.3.2]繊維疎密
図7に示すように、長手方向に向いている繊維101が、熱風の吹きつけによって凸状部2の側部に寄せられることで、凸状部2の側部は長手方向へ向いた繊維101の繊維本数が増大する。それにより、融着点数が増え、更には密度も高まることから凸状部2全体のポーラス構造をより一層維持しやすくなる。溝部1における連結部4は、開口部3の形状や大きさに応じて、繊維101の密度が調整される。
【0218】
[7.4.3.3]繊維目付け
図7に示すように、溝部1は、凸状部2に比べて繊維101の目付け量が少なくなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0219】
凸状部2は、上述の通り、溝部1に比べて繊維101の目付け量が多くなるよう調整されている。また、溝部1の目付け量は、溝部1と凸状部2とを含む全体における目付け量の平均に比べて低くなるよう調整される。
【0220】
[7.4.4]その他
本実施形態の不織布を、例えば、所定の液体を吸収又は透過させるために使用した場合、溝部1は液体を透過させ、凸状部2は液体を保持しにくくするようにポーラスにしている。更には、溝部1に形成された開口部3は、液体に加え固体も透過することができる。
【0221】
溝部1には、複数の開口部3が形成されているので、液体及び固体を透過させるのに適したものとなっている。更に、溝部1の底部における繊維101が幅方向に配向していることから、液体が溝部1の長手方向に流れすぎて広く広がってしまうことを防止できる。溝部1は目付が低いにもかかわらず繊維101を該溝部1の幅方向に配向(CD配向)されているので、不織布の幅方向への強度(CD強度)が高まっている。
【0222】
凸状部2の繊維目付けが高くなるよう調整されるが、これにより繊維本数が増大するため融着点数が増え、ポーラス構造が維持される。
【0223】
[7.4.5]製造方法及び網状支持部材
以下に、本実施形態における不織布120を製造する方法について説明する。まず、繊維ウェブ100を通気性支持部材である支持部材220の上面側に載置する。言い換えると、繊維ウェブ100を支持部材220により下側から支持する。
【0224】
そして、この繊維ウェブ100を支持した状態における支持部材220を所定方向に移動させ、該移動されている繊維ウェブ100の上面側から連続的に気体を噴きあてることで、本実施形態における不織布120を製造することができる。
【0225】
繊維ウェブ100を上面側に載置した支持部材220は、細長状部材225の長手方向に略直交する方向に移動する。これにより、繊維ウェブ100の上面側に、細長状部材225に略直交する方向に気体が連続的に噴きあてられることになる。つまり、溝部1は、細長状部材225と略直交する方向に形成される。そして、後述する開口部3は、細長状部材225と溝部1とが交差する位置に形成される。
【0226】
上述の通り、支持部材220は、図4における網状支持部材210の上面に、複数の細長状部材225を所定間隔で略平行に配置した支持部材である。細長状部材225は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体を下方側に通気させない。言い換えると、細長状部材225に噴きあてられた気体は、その流れ方向が変更される。
【0227】
また、細長状部材225は、繊維ウェブ100における繊維101を、支持部材220の下方側に移動させない。
【0228】
このため、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる気体及び/又は、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共に細長状部材225によって流れの方向が変えられた気体により移動される。
【0229】
例えば、気体が噴きあてられた領域における繊維101は、該領域に隣接する領域に移動される。そして、気体が噴きあてられる領域が所定方向に移動するため、結果として、気体が噴きあてられた所定方向に連続する領域における側方の領域に移動される。
【0230】
これにより、溝部1が形成されると共に、溝部1における底部の繊維101は幅方向に配向するよう移動される。また、溝部1と溝部1との間に凸状部2が形成され、該凸状部2における側方部の繊維密度が高くなり、繊維101が長手方向に配向等される。
【0231】
更に、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共に細長状部材225によって流れの方向が変えられた気体は、繊維ウェブ100を構成する繊維101を上記とは異なる方向に移動させる。
【0232】
支持部材220を構成する網状支持部材210及び細長状部材225は、支持部材220の下面側への繊維101の移動を規制するので、繊維101は、支持部材220の上面に沿うような方向に移動される。
【0233】
詳細には、細長状部材225に噴きあてられた気体は、該細長状部材225に沿うような方向に流れを変える。このように流れを変えた気体は、細長状部材225の上面に配置されている繊維101を、細長状部材225の上面から周囲の領域に移動させる。これにより、所定形状の開口部3が形成される。また、繊維101の配向、疎密又は目付けの1又は2以上が調整される。
【0234】
本実施形態における不織布120は後述する不織布製造装置90により製造することができる。この不織布製造装置90における不織布の製造方法等は、上述した不織布120の製造方法及び不織布製造装置90、95の説明における記載を参考にすることができる。
【0235】
更には、繊維ウェブ100に噴きあてる主に気体からなる流体の温度、量又は強さを調整し、また、移動手段における繊維ウェブ100の移動速度を調整しテンション等を調整することで、図11に示される支持部材220を用いても、本実施形態における不織布120を得ることができる。
【0236】
[7.5]第3実施形態
図10から図13により、本発明の不織布における第3実施形態について説明する。
【0237】
[7.5.1]概要
図10A、図10B、図12又は図13に示すように、本実施形態における不織布130は、一面側に突出する凸状部である所定長さの突起部7が複数形成された不織布である。
【0238】
突起部7は、通気性支持部材である複数の孔部233が形成された板状支持部材230に所定方向に移動可能に支持された繊維ウェブ100の上面側から主に気体からなる流体を噴きあてることで形成される。具体的には、噴きあてられた主に気体からなる流体により繊維集合体である繊維ウェブ100を構成する繊維101が複数の孔部233それぞれに入り込むように移動され、該繊維ウェブ100における厚さ方向に突出するようにして形成されている。また、これにより、繊維ウェブ100を構成する繊維101の繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けが調整される。
【0239】
図11に示される板状支持部材230は、複数の孔部233が形成された板状の部材である。詳細には、板状支持部材230は、不通気部であるプレート部235と、第2通気部である孔部233と、により形成されている。
【0240】
プレート部235は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体を下方側に通気させない。言い換えると、プレート部235に噴きあてられた気体は、その流れ方向が変更される。
【0241】
孔部233においては、気体が通気可能であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体は板状支持部材230における下方側に通気する。更に、孔部233において、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、該孔部233に入り込むようにして板状支持部材230の下方側に移動可能である。
【0242】
繊維ウェブ100を構成する繊維101は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる主に気体からなる流体及び/又は、噴きあてられた主に気体からなる流体であって繊維ウェブ100を通気すると共にプレート部235によって流れの方向が変えられた主に気体からなる流体により移動される。
【0243】
繊維ウェブ100は、板状支持部材230により所定方向に移動可能に支持されるので、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、孔部233に入り込むようにして移動し一面側に突出する凸状部である所定長さの突起部7が複数形成される。また、繊維101の配向、疎密又は目付けの1又は2以上が調整される。
【0244】
[7.5.2]溝部、開口部又は突部
図10A、図10B、図12又は図13に示すように、本実施形態における不織布130は、上述の通り、一面側に突出する凸状部である所定長さの突起部7が複数形成された不織布である。また、突起部が突出する面と反対側の面においては、図10Aに示すように、不織布130は、複数の溝部1が略等間隔で並列的に形成されると共に、該溝部1に沿うように複数の開口部3が形成された不織布である。
【0245】
突起部7は、溝部1における開口部3と開口部3との間に形成される領域における繊維が孔部233に入り込むことで形成される。これにより、突起部7が突出する側とは反対側の面には、溝部1と略直交する方向に所定長さの入り込み部5が形成される。入り込み部5は、孔部233に入り込んだ繊維101により形成される突起部7の一方の根元部と他方の根元部との間に形成され、該反対側の面から見た場合、略孔部233の長さの溝状に形成される。
【0246】
本実施形態においては、入り込み部5は、溝部1と略直交するように全体的に略直線状に形成される。更に、該所定面は、図10Aに示すように、複数の開口部3が所定方向に連続するようにして形成されているので、複数の入り込み部5が連続するように形成されてなる略直線は、これに略直交するように配置される。
【0247】
そして、一面側には、繊維ウェブ100を構成する繊維101が孔部233に入り込むようにして形成された所定長さの突起部7が複数形成される。図13に示すように、突起部7は、繊維ウェブ100が互いに向かい合うようにして配置される幅の狭い領域である根元部と、根元部に連続し膨らむように形成された該根元部より幅が広い略アーチ状であるアーチ部とを有する。ここで、本実施形態においては、突起部7は略アーチ状であるが、他の実施形態として、例えば、三角状(三角柱状)の突起部、三角状(三角柱上)で厚さ方向における頂部が曲面である突起部、四角状(四角柱状)の突起部や、これらの突起部であって、厚さ方向に対して斜めに傾斜している突起部等を例示できる。また、主に気体からなる流体の温度を調整することで、例えば、根元を融着させることができ、また、根元だけでなく全体的に融着させることができ、また、根元は融着させないようにすることができる。
【0248】
突起部7における根元部の幅は、孔部233の幅により規定される。また、突起部7の長手方向における長さは、孔部233における長手方向における長さにより規定される。そして、突起部7の高さ(不織布130における厚さ方向への長さ)は、孔部233の形状、繊維101の長さ及び噴きあてられる気体の強さや量によって規定される。例えば、主に気体からなる流体(例えば、熱風)が強く噴きあてられる場合や噴きあてられる主に気体からなる流体の量が多い場合、繊維ウェブ100にラインテンションがほとんど加わっていない場合、又は繊維ウェブ100を主に気体からなる流体(例えば、熱風)を吹きつける直前でオーバーフィード気味にする場合等には、繊維101は孔部233へ入りこみ易くなる。また、通気性支持部材200として、例えば、網状支持部材210における孔部の孔径が大きく、太いワイヤーで構成される立体感のある網状支持部材を例示できる。この網状支持部材における孔部は第2通気部であり、繊維ウェブ100を構成する繊維101が該網状支持部材における繊維ウェブ100が載置された側とは反対側に移動可能である。これにより、厚さ方向に突出する突起部が形成可能である。また、該網状支持部材を構成するワイヤーが太いため、繊維ウェブ100を構成する繊維101が該網状支持部材における表面の形状に沿うように移動し、例えば、ジグザグ状に突出する突起部が形成された不織布を得ることができる。
【0249】
不織布130を該一面側から見た場合、複数の突起部7と、該複数の突起部7それぞれの間に形成される略正方形である複数の平坦部と、該複数の平坦部それぞれにおける一対の側方に形成される開口部3とが規則的に形成されている。
【0250】
[7.5.3]繊維配向、繊維疎密又は繊維目付け
図13に示すように、突起部7における繊維101は、それぞれの根元部から該突起部7におけるアーチ状に沿うように配向している。また、突起部7は、他の領域、例えば、平坦部に比べて繊維101の密度が高い。特に、突起部7の頭頂部における繊維密度が高い。そして、図12又は図13に示すように、不織布130の厚さ方向において、突起部7が形成された部分における繊維101の量は、突起部7が形成されていない他の領域に比べて多い。
【0251】
[7.5.4]その他
凸状部を下方へ向けて表面シートとして用いた場合、凸状部は頭頂部(製品では吸収体側)に向って密度が高まっていると共に、繊維配向が下方へ向かっているため、表面から下方へ向かって液体を移送させやすい。また、凸状部を上方へ向けて表面シートとして用いた場合、肌との接触面積が格段に低下すると共に、凸状部は根元部を起点として変動可能であるため肌との摩擦を極力低減できる。
【0252】
また、該突起部7の根元部には、複数の開口部3が形成されているので、液体及び固体を透過させるのに適したものとなっている。
【0253】
また、該不織布130を人体にあてるようにして使用した場合、クッション性に優れているため、使用感が良好となる。また、物にあてるように使用した場合、同様に、クッション性に優れているため、物を保護するのに適している。また、不織布における厚さ方向に突出する複数の突起部7が形成されているので、例えば、物の表面を拭くことに適している。
【0254】
[7.5.5]製造方法及び網状支持部材
以下に、本実施形態における不織布130を製造する方法について説明する。まず、繊維ウェブ100を通気性支持部材である板状支持部材230の上面側に載置する。言い換えると、繊維ウェブ100を板状支持部材230により下側から支持する。
【0255】
そして、この繊維ウェブ100を支持した状態における板状支持部材230を所定方向に移動させ、該移動されている繊維ウェブ100の上面側から連続的に気体を噴きあてることで、本実施形態における不織布130を製造することができる。
【0256】
繊維ウェブ100を上面側に載置した板状支持部材230は、孔部233の長手方向に略直交する方向に移動する。これにより、繊維ウェブ100の上面側に、孔部233の長手方向に略直交する方向に気体が連続的に噴きあてられることになる。つまり、溝部1は、孔部233の長手方向と略直交する方向に形成される。そして、後述する突起部7は、孔部233が形成された位置に形成される。
【0257】
上述の通り、図11に示すように、板状支持部材230は、複数の孔部233が形成された板状の支持部材である。具体的には、プレート部235と、複数の孔部233とを有する板状の支持部材である。プレート部235は、不通気性の部材であり、例えば、上方側から噴きあてられた気体を下方側に通気させない。言い換えると、プレート部235に噴きあてられた気体は、その流れ方向を変更される。
【0258】
また、プレート部235は、繊維ウェブ100における繊維101を、板状支持部材230の下方側に移動させない。
【0259】
このため、繊維ウェブ100を構成する繊維101の移動は、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる気体及び/又は、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共にプレート部235によって流れの方向が変えられた気体により移動される。
【0260】
例えば、気体が噴きあてられた領域における繊維101は、該領域に隣接する領域に移動される。そして、気体が噴きあてられる領域が所定方向に移動するため、結果として、気体が噴きあてられた所定方向に連続する領域における側方の領域に移動される。
【0261】
また、噴きあてられた気体であって繊維ウェブ100を通気すると共にプレート部235によって流れの方向が変えられた気体は、繊維ウェブ100を構成する繊維101を上記とは異なる方向に移動させる。
【0262】
プレート部235の上面に配置される繊維101は、該プレート部235の表面に沿うような方向に移動される。詳細には、プレート部235に噴きあてられた気体は、該プレート部235に沿うような方向に流れを変える。このように流れを変えた気体は、プレート部235の上面に配置されている繊維101を、プレート部235の上面から、周囲の領域に移動させる。これにより、所定形状の開口部3が形成される。また、繊維101の配向、疎密又は目付けの1又は2以上が調整される。
【0263】
更に、孔部233において、繊維ウェブ100における繊維101は、板状支持部材230の下方側に移動可能である。
【0264】
このため、繊維ウェブ100の上面側から噴きあてられる気体により、繊維ウェブ100を構成する繊維101は、孔部233に入り込むようにして該板状支持部材の下方側に移動される。これにより、他方側に突出する所定長さの突起部7が複数形成される。
【0265】
また、言い換えると、開口部3とこれに隣接する開口部3との間に形成される領域が孔部233に入り込むことで、他方側に突出する突起部7を形成する。該突起部7は、略平面状の繊維ウェブ100における一部が孔部233に入り込んで形成されているので、根元部において所定厚さの繊維ウェブ100が互いに向かい合うようにして孔部233に入り込んでいる。そして、他方側に突出した繊維ウェブ100は、根元部における幅よりも広い幅に広がるようにアーチ状を形成している。
【0266】
ここで、上述の通り、突起部7における根元部の幅は、孔部233の幅により規定される。また、突起部7の長手方向における長さは、孔部233における長手方向における長さにより規定される。そして、突起部7の高さ(不織布130における厚さ方向への長さ)は、孔部233の形状、繊維101の長さ及び噴きあてられる気体の強さや量によって規定される。
【0267】
該他の面側から見た場合、複数の突起部7と、該複数の突起部7それぞれの間に形成される略正方形である複数の平坦部と、該複数の平坦部それぞれにおける一対の側方に形成される開口部3とが規則的に形成されている。
【0268】
本実施形態における不織布130は後述する不織布製造装置90により製造することができる。この不織布製造装置90における不織布の製造方法等は、上述した不織布130の製造方法及び不織布製造装置90、95の説明における記載を参考にすることができる。
【0269】
[7.6]その他
上述した実施形態における繊維ウェブは、異なる性質や機能を有する繊維ウェブを複数重ね合わせたものを使用することができる。これにより、異なる機能が組み合わされた不織布を得ることができる。また、上述した実施形態における不織布を、平面状の不織布に重ねるようにして積層配置することで、様々な態様の不織布を得ることができる。
【0270】
[8]用途例
本発明における不織布の用途として、例えば、生理用ナプキン、ライナー、おむつ等の吸収性物品における表面シート等を例示できる。この場合、凸状部は肌面側、裏面側のどちらであってもよいが、肌面側にすることによって、肌との接触面積が低下するため体液による湿り感を与えにくい場合がある。また、吸収性物品の表面シートと吸収体との間の中間シートとしても使用できる。表面シートもしくは吸収体との接触面積が低下するため、吸収体からの逆戻りがしにくい場合がある。また、吸収性物品のサイドシートや、おむつなどの外面(アウターバック)、面ファスナー雌材等でも、肌との接触面積の低下やクッション感があることから用いることができる。また、床や身体に付着したゴミや垢などを除去するためのワイパー、マスク、母乳パッドなど多方面に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】繊維ウェブの斜視図である。
【図2】第1実施形態の不織布における平面図及び底面図である。
【図3】図2における領域Xの拡大斜視図である。
【図4】網状支持部材の平面図及び斜視図である。
【図5】図1の繊維ウェブが下面側を図4の網状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図2の第1実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。
【図6】第2実施形態の不織布における平面図及び底面図である。
【図7】図6における領域Yの拡大斜視図である。
【図8】網状支持部材に細長状部材を等間隔で並列配置した支持部材の平面図及び斜視図である。
【図9】図1の繊維ウェブが下面側を図8の支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図6の第2実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。
【図10】第3実施形態の不織布における平面図及び底面図である。
【図11】楕円状の開口部が複数開口された板状支持部材の平面図及び斜視図である。
【図12】図1の繊維ウェブが下面側を図11の板状支持部材に支持された状態で上面側に気体を噴きあてられて図10の第3実施形態の不織布が製造された状態を示す図である。
【図13】図12におけるA―A断面図である。
【図14】第1実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。
【図15】図14の不織布製造装置を説明する平面図である。
【図16】図14における領域Zの拡大斜視図である。
【図17】図16における噴き出し部の底面図である。
【図18】第2実施形態の不織布製造装置を説明する側面図である。
【図19】図18の不織布製造装置を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0272】
1 溝部
2 凸状部
100 繊維ウェブ
110 不織布
210 網状支持部材
910 噴き出し部
920 送気管
915 吸引部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造装置であって、
前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、
前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、
前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、
前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【請求項2】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する不織布製造装置であって、
前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、
前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、
前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、を備え、
前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、
前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【請求項3】
前記主に気体からなる流体は、
常温もしくは所定温度に調整された気体、又は、
該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルである請求項1又は2に記載の不織布製造装置。
【請求項4】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体の温度は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である請求項1から3のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項5】
前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える請求項1から4のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項6】
前記通気部は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部と有する請求項5に記載の不織布製造装置。
【請求項7】
前記通気性支持部材は、
網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項8】
前記通気性支持部材は、該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である請求項1から7のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項9】
前記通気性支持部材は、略板状である請求項1から8のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項10】
前記通気性支持部材は、略円筒状である請求項1から8のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項11】
前記通気性支持部材は、該不織布製造装置に着脱可能に配置される請求項1から10のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項12】
前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される他の通気性支持部材と交換可能である請求項1から11のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項13】
前記移動手段を制御可能な移動制御手段と、を更に備え、
前記移動手段は、前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動手段と、前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動手段と、を備え、
前記移動制御手段は、前記第1移動手段及び前記第2移動手段それぞれを制御可能であり、前記第1移動手段における前記繊維集合体の第1移動速度及び前記第2移動手段における前記繊維集合体の第2移動速度をそれぞれ調整可能である請求項1から12のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項14】
前記移動速度制御手段は、前記第1移動速度が前記第2移動速度よりも速くなるよう前記第1移動手段及び前記第2移動手段をそれぞれ制御可能である請求項13に記載の不織布製造装置。
【請求項15】
前記噴きあて手段は、
前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有する噴き出し部と、
前記気体噴き出し部に前記主に気体からなる流体又は前記主に気体からなる流体を構成する気体を送気する送気部と、を備える請求項1から14のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項16】
前記噴きあて手段は、前記主に気体からなる流体を前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてる請求項1から15のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項17】
前記噴きあて手段により噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる請求項1から16のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項18】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、
前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、
所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、
所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【請求項19】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、
前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、
所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、
所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【請求項20】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である請求項18又は19に記載の不織布製造方法。
【請求項21】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える請求項18から20のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項22】
前記通気部は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部を有する請求項21に記載の不織布製造方法。
【請求項23】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、
網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである請求項18から22のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項24】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、
該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である請求項18から23のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項25】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、略板状である請求項18から24のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項26】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、略円筒状である請求項18から24のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項27】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される請求項18から26のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項28】
前記移動工程は、
前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動工程と、
前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動工程と、を含み、
前記第1移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第1移動速度は、前記第2移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第2移動速度よりも速い請求項18から27のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項29】
前記噴きあて工程における前記噴きあて手段は、
前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有し、
前記主に気体からなる流体は、複数の噴き出し口それぞれから噴き出され、前記繊維集合体における前記他の面側にそれぞれ噴きあてられる請求項18から28のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項30】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の溝部を形成する請求項21又は22に記載の不織布製造方法。
【請求項31】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の開口部を形成する請求項21又は22に記載の不織布製造方法。
【請求項32】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記第2通気部に支持されている領域に噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記第2通気部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する請求項22に記載の不織布製造方法。
【請求項33】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてられる請求項18から32のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項34】
前記噴きあて工程において、
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる請求項18から33のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項35】
所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【請求項36】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、
前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上を維持する請求項35に記載の不織布。
【請求項37】
前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え、
前記通気部及び前記不通気部の形状及び配置に応じて、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された請求項35又は36に記載の不織布。
【請求項38】
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された請求項35から37のいずれかに記載の不織布。
【請求項39】
所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布。
【請求項40】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、
前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記形成された所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上の形状を維持する請求項39に記載の不織布。
【請求項41】
前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え
前記通気部及び不通気部の形状及び配置に応じて、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された請求項39又は40に記載の不織布。
【請求項42】
前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部が形成された請求項41に記載の不織布。
【請求項43】
前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の開口部が形成された請求項41に記載の不織布。
【請求項44】
前記通気部は孔部であり、
前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記孔部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する請求項41に記載の不織布。
【請求項45】
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された請求項39から44のいずれかに記載の不織布。
【請求項46】
所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、
前記所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成されたと共に、
繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【請求項1】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造装置であって、
前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、
前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、
前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、
前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【請求項2】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布を製造する不織布製造装置であって、
前記繊維集合体を一方の面側から支持する通気性支持部材と、
前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される前記繊維集合体に、該繊維集合体における他方の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて手段と、
前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動手段と、を備え、
前記移動手段は、前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持された状態における前記繊維集合体を前記所定方向に移動させ、
前記噴きあて手段は、前記移動手段により前記所定方向に移動される前記通気性支持部材により前記一方の面側から支持される繊維集合体における前記他の面側に、前記主に気体からなる流体を噴きあてる不織布製造装置。
【請求項3】
前記主に気体からなる流体は、
常温もしくは所定温度に調整された気体、又は、
該気体に固体もしくは液体の微粒子が含まれるエーロゾルである請求項1又は2に記載の不織布製造装置。
【請求項4】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体の温度は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である請求項1から3のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項5】
前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える請求項1から4のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項6】
前記通気部は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部と有する請求項5に記載の不織布製造装置。
【請求項7】
前記通気性支持部材は、
網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項8】
前記通気性支持部材は、該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である請求項1から7のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項9】
前記通気性支持部材は、略板状である請求項1から8のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項10】
前記通気性支持部材は、略円筒状である請求項1から8のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項11】
前記通気性支持部材は、該不織布製造装置に着脱可能に配置される請求項1から10のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項12】
前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される他の通気性支持部材と交換可能である請求項1から11のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項13】
前記移動手段を制御可能な移動制御手段と、を更に備え、
前記移動手段は、前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動手段と、前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動手段と、を備え、
前記移動制御手段は、前記第1移動手段及び前記第2移動手段それぞれを制御可能であり、前記第1移動手段における前記繊維集合体の第1移動速度及び前記第2移動手段における前記繊維集合体の第2移動速度をそれぞれ調整可能である請求項1から12のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項14】
前記移動速度制御手段は、前記第1移動速度が前記第2移動速度よりも速くなるよう前記第1移動手段及び前記第2移動手段をそれぞれ制御可能である請求項13に記載の不織布製造装置。
【請求項15】
前記噴きあて手段は、
前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有する噴き出し部と、
前記気体噴き出し部に前記主に気体からなる流体又は前記主に気体からなる流体を構成する気体を送気する送気部と、を備える請求項1から14のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項16】
前記噴きあて手段は、前記主に気体からなる流体を前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてる請求項1から15のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項17】
前記噴きあて手段により噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる請求項1から16のいずれかに記載の不織布製造装置。
【請求項18】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、
前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、
所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、
所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【請求項19】
略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が調整された不織布を製造する不織布製造方法であって、
前記繊維集合体を通気性支持部材の所定面に配置し、又は所定の繊維を前記所定面に前記繊維集合体を形成するよう積層配置することで、前記通気性支持部材に前記繊維集合体における一方の面側から支持させる支持工程と、
所定の移動手段により、前記通気性支持部材により支持される前記繊維集合体を所定方向に移動させる移動工程と、
所定の噴きあて手段により、前記移動工程において前記所定方向に移動される前記繊維集合体における他の面側から前記主に気体からなる流体を噴きあてる噴きあて工程と、を含む不織布製造方法。
【請求項20】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度である請求項18又は19に記載の不織布製造方法。
【請求項21】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備える請求項18から20のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項22】
前記通気部は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に実質的に移動できない第1通気部、及び/又は、
前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できる第2通気部を有する請求項21に記載の不織布製造方法。
【請求項23】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、
網状部材、前記網状部材に前記不通気部が所定のパターンニングで配置された部材、又は不通気性の板状部材に所定の孔部が複数形成された部材のいずれかである請求項18から22のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項24】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、
該通気性支持部材における前記繊維集合体を支持する側が略平面状又は略曲面状であると共に、該略平面状又は略曲面状における表面は略平坦である請求項18から23のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項25】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、略板状である請求項18から24のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項26】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、略円筒状である請求項18から24のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項27】
前記支持工程における前記通気性支持部材は、異なる複数の通気性支持部材から選択される請求項18から26のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項28】
前記移動工程は、
前記繊維集合体を前記噴きあて手段に近づく方向に移動させる第1移動工程と、
前記繊維集合体を前記噴きあて手段から離れる方向に移動させる第2移動工程と、を含み、
前記第1移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第1移動速度は、前記第2移動工程における前記繊維集合体の移動速度である第2移動速度よりも速い請求項18から27のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項29】
前記噴きあて工程における前記噴きあて手段は、
前記繊維集合体における前記他方の面に対向するように配置され該繊維集合体における前記移動方向と交差する方向において所定間隔で配置される複数の噴き出し口を有し、
前記主に気体からなる流体は、複数の噴き出し口それぞれから噴き出され、前記繊維集合体における前記他の面側にそれぞれ噴きあてられる請求項18から28のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項30】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の溝部を形成する請求項21又は22に記載の不織布製造方法。
【請求項31】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に噴きあてることで、所定の開口部を形成する請求項21又は22に記載の不織布製造方法。
【請求項32】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体を、前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記第2通気部に支持されている領域に噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記第2通気部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する請求項22に記載の不織布製造方法。
【請求項33】
前記噴きあて工程において、
前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体における前記他の面側に連続的に噴きあてられる請求項18から32のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項34】
前記噴きあて工程において、
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体であって前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体は、前記繊維集合体を構成する繊維を移動させる請求項18から33のいずれかに記載の不織布製造方法。
【請求項35】
所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【請求項36】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、
前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記調整された繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上を維持する請求項35に記載の不織布。
【請求項37】
前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え、
前記通気部及び前記不通気部の形状及び配置に応じて、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された請求項35又は36に記載の不織布。
【請求項38】
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された請求項35から37のいずれかに記載の不織布。
【請求項39】
所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された不織布。
【請求項40】
前記繊維集合体は、所定の温度で軟化可能な熱可塑性繊維を含み、
前記噴きあて手段から前記繊維集合体の前記他の面側に噴きあてられる前記主に気体からなる流体は、前記熱可塑性繊維を軟化可能な前記所定温度よりも高い温度であり、
前記主に気体からなる流体が接触した前記熱可塑性繊維の全部又は一部は軟化もしくは溶融し、前記形成された所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上の形状を維持する請求項39に記載の不織布。
【請求項41】
前記通気性支持部材は、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記繊維集合体が配置された側とは反対側に通気できる通気部と、
前記繊維集合体における前記他方の面側から噴きあてられた前記主に気体からなる流体が該通気性支持部材における前記反対側に通気できず、かつ、前記繊維集合体を構成する繊維が前記通気性支持部材における前記反対側に移動できない不通気部と、を備え
前記通気部及び不通気部の形状及び配置に応じて、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された請求項39又は40に記載の不織布。
【請求項42】
前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の溝部が形成された請求項41に記載の不織布。
【請求項43】
前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、所定の開口部が形成された請求項41に記載の不織布。
【請求項44】
前記通気部は孔部であり、
前記繊維集合体における前記通気性支持部材の前記不通気部に支持される領域に前記主に気体からなる流体を噴きあてることで、該繊維集合体を構成する繊維を前記孔部に入り込むよう移動させ、所定の突起部を形成する請求項41に記載の不織布。
【請求項45】
前記噴きあてられる前記主に気体からなる流体、及び/又は、
前記繊維集合体を通気すると共に前記不通気部によって流れの方向が変えられた前記主に気体からなる流体により前記繊維集合体を構成する繊維を移動させることで、所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成された請求項39から44のいずれかに記載の不織布。
【請求項46】
所定の通気性支持部材により一方の面側から支持される略シート状に形成された繊維集合体であって該繊維集合体を構成する繊維が自由度を有する状態である繊維集合体に、主に気体からなる流体を噴きあてることにより、
前記所定の溝部、開口部又は突起部の1又は2以上が形成されたと共に、
繊維配向、繊維疎密又は繊維目付けの1又は2以上が調整された不織布。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−2034(P2008−2034A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174504(P2006−174504)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]