説明

不要な物質の制御および除去のための方法および装置

臭気、バクテリア、ウィルス、菌類、および、毒素のような、不要な空気感染する物質を減少または除去するための装置および方法を提供する。ナノサイズ結晶線線の金属酸化物または金属水酸化物の微粒子を含むフィルタは、建物内、特に、家内に配置される現行のHVACユニットのような空気調和装置、または、携帯用の空気の処理装置または精製装置内に取り付けられても良い。前記空気調和装置は、密閉された環境中から様々な不要な物質を含む空気を引き、さらに、前記ナノサイズ結晶の微粒子を含むフィルタデバイスからそれを指向する送風機で構成される。前記不要な物質は、ナノサイズ結晶の微粒子によって捕捉され、これによって、前記密閉された環境の様々な箇所に戻るように指向される、または、大気に解放される脱臭された空気の流れを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ここに全体を参照として組み入れている2008年8月26日に提出された臭気の制御および除去のための方法および装置と題する米国仮特許出願No.61/091,980の有益性を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、フィルタ装置中に含まれるナノサイズ結晶の金属酸化物および金属水酸化物の微粒子を用いて、家、車両、および、他の種類の恒久的および可動的な構造物を含む密閉された環境中に存在する特にこれらの不要な物質、悪臭、ウィルス、バクテリア、菌類、および、毒素のような不要な物質の取り扱いの方法に関する。フィルタ装置は、家または車両中に存在する現行の加熱、換気、空気調節(HVAC)の設備と、あるいは、携帯用の空気精製ユニットまたは処理装置中に用いられるのに適当である。
【背景技術】
【0003】
従来技術の説明
悪臭の通常の発生源は、煙/たばこ、人間およびペットの排泄物、カビおよび白カビ、バクテリア、食品、飲料(食べられる状態でないミルク)、嘔吐物、および、汚れた衣類を含む。悪臭は、多数の異なる発生源を有するが、化学的に言えば、殆どの悪臭は、本質的に有機物(化合物を含む炭素)である。悪臭は、簡単に浸透可能で突き進み、家や建物のような密閉された環境中の表面に染み込み、さらに、粘着する。
【0004】
様々な種類の臭気の問題が家の中で起こる。有害な臭気の主要な原因のいくつかは、生物的な汚染の結果である。微生物生物が腐敗および不朽した際には、微細物生物はガスおよび有毒な煙霧を放出する。不運にも、これらは、ただの審美的な問題ではない。吐き気から死まで広範囲にわたる健康への懸念は、急性および慢性の被爆からこれらおよび化合物を引き起こす他の臭気まで生じる。屋内の空気汚染は、現在、アメリカのNo.1の環境健康問題として、EPAおよび議会に考慮されている。400〜500万のアメリカ人が既に、化学的に誘発された環境的な病気の影響に苦しんでいる。狭い密封された建物や家は、アレルギー、臭気、かび、および病気を引き起こす汚染物質および屋内の細菌を捕捉可能なだけでなく、より多くのエネルギーが効率的であるかもしれない。
【0005】
さらに、EPAは17歳の学生を指導し、自身の家で働く女性は、主に、通常の家庭用洗剤の使用しているため、オフィスで働く女性よりもガンが原因で死亡するリスクが55%高いことがわかった。アメリカの家庭で見つかる製品のいくつかは、潜在的に有害である化学的な成分を有する。これらの製品は、オーブンのクリーナー、塗料の除去剤、農薬、溶剤、排水管クリーナー等を含む。
【0006】
悪臭の処理は、概して、遮蔽または除去の二つの方法で取りかかる。仮に、臭気の遮蔽が用いられても、悪臭の発生源を取り除くことはできず、さらに、「遮蔽する」因子が一旦除去されると結局戻る。たくさんの事例において、悪臭は、遮蔽する因子が効果的でないために、とても抵抗できないくらい強い。他方、除去による処理は、その発生源を取り除くことによって悪臭を取り除く。除去は、汚染された表面を物理的に置き換える、または、悪臭を引き起こす因子自身を取り除くことによってなされる。
【0007】
多数の構成物および方法は、様々な種類の発生源から臭気を減少させるために発展してきたが、発生源の広い範囲と関連する臭気は、複雑であり、アンモニアのような無機塩基、酪酸およびイソバレリアン酸のような有機物の酸、および、アセトアルデヒドおよびメチルメタカプタンのような中性分子に限定されないが、異なる物質を含む混合物で構成される可能性がある。これらの物質によって引き起こされる悪臭の減少の最も一般的な方法は、(i)臭気を遮蔽する芳香を用いて臭気を遮蔽、(ii)活性炭素、重曹、および、タルカンの粉末のような無機材料を用いて臭気を吸収、(iii)悪臭のある物質を生成するバクテリアを減少させるために、二酸化塩素のような化合物を用いることを含む。しかしながら、これらの方法は、次の問題:(i)臭気は除去されず、遮蔽されただけである。(ii)これらの従来の吸着剤の吸収能力は限界である。(iii)酸化因子を用いることにより、二次的な汚染物質が生成される。さらに、(iv)吸着剤は、湿った環境のような特定の状況下で効果的である。:が存在する。
【0008】
上述のように、いくつかの臭気は、バクテリアや他の微生物生物から生成されている。これらの微生物生物を取り除くこと、または、除去することは、恒久的な臭気の除去において役立つ。さらに、病院、家、学校、および、飛行機を含む密閉された環境は、そこの中に位置する人々の間の伝染のために、ウィルス、バクテリア、菌類、および、毒素を内部に有する。密閉された空間内の空気からこれらの物質を除去または制御することは、伝染の発生およびそれらに関連する病気を十分に減少することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本発明は、概して、新規のフィルタ装置と、家、オフィスの建物、工業用の建物、車両等のような密閉された空間内から、悪臭、バクテリア、ウィルス、菌類、および、毒素のような不要な物質の制御および除去におけるその用途とに対して指向されている。一実施形態においては、密閉された環境中の不要な物質を制御および除去するためのシステムが提供される。システムは、概して、密閉された環境内で空気を循環するために原動力として作動する送風機を有する空気調和装置、および、空気調和装置によって密閉された環境内で循環される空気と接触し合うように配置された空気濾過装置で構成される。フィルタ装置は、空気調和装置から流出する空気から1つ以上の不要な物質を取り除くことが可能なナノサイズ結晶の金属酸化物および金属水酸化物の微粒子で構成される。
【0010】
特定の実施形態においては、空気調和装置は、空気調和装置中に着脱可能に挿入され、かつ、空気調和装置からの空気の流れに対して横方向に配置されている。特定の実施形態においては、HVACユニット中のように、フィルタカートリッジは、空気調和装置からの空気の流れの局所方向に対して概して垂直に配置される。フィルタカートリッジは、空気調和装置から流出する空気から、バクテリア、ウィルス、菌類、毒素、および、臭気のような不要な物質を取り除くための第1のフィルタメディアで構成される。第1のフィルタメディアは、空気調和装置から流出する空気から1種類以上の不要な物質を取り除くことが可能なナノサイズ結晶の金属酸化物および金属水酸化物の微粒子で構成されている。特定の実施形態においては、フィルタカートリッジは、空気調和装置から流出する空気から粒状物質を取り除くために第2のフィルタメディアも有してもよい。
【0011】
本発明に係る別の実施形態においては、密閉された環境中から不要な物質を制御および処理する方法が提供される。その方法は、密閉された環境内で空気を循環させるための原動力として作動し、かつ、密閉された環境内に配置される送風機を有する空気調和装置を利用する。その方法は、概して、空気調和装置によって密閉された環境内で循環する空気と接触し合うように配置された空気濾過装置を提供するステップと、空気から少なくとも1つ以上の不要な物質の少なくとも一部を取り除くためのフィルタ装置から少なくとも1つの不要な物質を含む空気を向けて、これによって、精製空気の流出を生成する送風機を用いるステップとで構成される。フィルタ装置は、空気調和装置から流出する空気から少なくとも1つの不要な物質を取り除くことが可能なナノサイズ結晶の金属酸化物または金属水酸化物の微粒子で構成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
【図1】図1は、本発明に係るナノサイズ結晶の微粒子を用いる携帯用の空気精製装置の図である。
【図2】図2は、本発明に係るナノサイズ結晶の金属の酸化物または水酸化物の微粒子を含むフィルタメディアを有するひだ状のフィルタカートリッジの図である。
【図3】図3は、粒状の金属の酸化物または水酸物の微粒子で満たされる複数のセルを有するハニカム式のフィルタカートリッジの図である。
【図4】図4は、本発明が用いられる建物内に取り付けられたHVACの概念図である。
【図5】図5は、密閉された環境の外側に大気解放される本発明に係るフィルタ装置を通過する空気の一部分内の換気システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好適実施形態の詳細な説明
本発明は、概して、空気から不要な物質を制御および除去するためのシステムにおいて、ナノサイズ結晶材料、特に、ナノサイズ結晶の金属酸化物および水酸化物の用途に指向される。そのような不要な物質は、臭気と、ウィルス、バクテリア、毒素、および、菌類のような空気中の病原体とを含む。本発明は、特に、(車両、船舶、電車、飛行機等のような)流動的な環境と、(その内側に取り付けられる現行のHVACユニットと、または、そこに配置される携帯用の空気処理装置または空気精製装置を有する建物のような)定常的な環境との両方での使用に特に適合する。臭気を取り込むナノサイズ結晶の金属酸化物および水酸化物は、全体がここに参照として組み込まれている米国特許出願明細書2009/0098016として発行されているナノサイズ結晶金属酸化物を用いる臭気の処理と題する係属中の米国特許出願S/N 12/091,671に記載されている。
【0014】
ナノサイズ結晶の材料は、ナノサイズ結晶の金属の酸化物および水酸化物、被覆(たとえば、ハロゲン被覆)された金属の酸化物/水酸化物、ドープされた金属の酸化物/水酸化物、界面活性剤が被覆されたナノサイズ結晶の金属酸化物、および、これらを組み合わせたもので構成される。集合的にここで用いられる文言、「金属酸化物」および「金属水酸化物」は、主成分として好ましい、金属酸化物または金属水酸化物の材料で構成される材料全てを言及している。
【0015】
本発明に関して用いる好ましいナノサイズ結晶の材料は、Mg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si,Zn、Ag、Mo、Sb、Cr、Co、および、これらの混合物の金属酸化物および金属水酸化物を含む。さらに好ましいナノサイズ結晶の材料は、米国特許No.6,093,236および5,759,939(別の金属酸化物で被覆された金属酸化物)で開示されるような被覆されたナノサイズ結晶の材料、米国特許No.6,653,519、6,087,294および6,057,488(その表面で安定した反応性原子を有するナノサイズ結晶の材料、反応性原子は、酸化イオン成分、オゾン、ハロゲン、およびI基の金属を含む)で開示させるようなハロゲン化微粒子、シルバーをドープされたアルミニウムのようなドープされた金属の酸化物および水酸化物、 Mg、Al、および、Tiの混合物のような本質的に混合された金属の酸化物、炭素が被覆された金属酸化物、および、米国特許No.6,887,302および6,860,924(界面活性剤、ワックス、油、シリル、合成または天然のポリマー、または、樹脂)に開示されるような空気中で安定なナノサイズ結晶の材料、ここに参照によって組み込まれている全てを含む。ナノサイズ結晶の材料は、約25nmより小さい結晶子サイズが存在し、さらに好ましくは20nmより小さく、最も好ましくは10nmより小さい。ナノサイズ結晶の微粒子は、好ましくは、少なくとも約15m/g、さらに好ましくは約70m/g、最も好ましくは約100‐850m/gのブルナウアー‐エメット‐テラー(BET)式の複数表面領域を表す。代表的なナノサイズ結晶の材料は、ナノアクティブ(商標登録)という名で、マンハッタン島のカンザス州のナノスケール株式会社から入手できる。
【0016】
本発明に係る特定の実施形態においては、ナノサイズ結晶の微粒子は、空気濾過装置中に含まれる。一実施形態においては、ナノサイズ結晶の微粒子は、微粒子の層の形で空気濾過装置中に存在する。微粒子は、充填層を形成するように一緒に詰められても、もしくは、トレーまたは他のタイプの容器内にルーズに含まれていてもよい。微粒子の層として配置される際には、空気濾過装置は、新鮮なナノサイズ結晶の微粒子がシステム内に存在可能なように、時々、微粒子を好適に変化させる。
【0017】
図1は、微粒子12のルーズな層を用いる携帯用の空気精製装置10を図示する。この実施形態において、精製装置10は、筺体14中へ、かつ、微粒子の層12を横切る空気の移動のための原動力として作動するファン12の内側にある筐体14で構成される。本明細書で使用するときに、「ファン」および「送風機」という文言は、本質的に、空気処理システムの特定の部分に対して特別であるか否かに関係なく空気の移動のための原動力として作動するいかなる手段も規定する。空気が層12を横切って移動するとき、不要な物質は、空気との接触のうちに存在し、かつ、ナノサイズ結晶の微粒子によって取り込まれる。従って、筐体14に存在する空気は、精製され、密閉された環境に戻される。精製装置10は、ACまたはDCを供給されてもよい。図示においては、精製装置10は、バッテリー15によって供給される。DCの供給されたバージョンの精製装置10は、冷蔵庫、冷凍庫、自動車、および、クローゼットのような小さい堆積の密閉空間内に用いるために特に適している。さらに、ACが供給された携帯用の精製装置は、空気の大きな堆積の循環を必要とする災害復旧および回復運転において、特に役立つ。特に、これらの大きいユニットは、建物の中の火炎、大水、下水道のダメージの浄化に用いることができる。微粒子の層の形状と共に、使用済み微粒子は、新鮮な微粒子と置き換えることができる。別の実施形態においては、微粒子の層12は、ナノサイズ結晶の微粒子を含むカートリッジとも置き換えることができる。カートリッジは、以下に説明するこれらのカートリッジと同様のデザインでも、また、はるかに簡単で、かつ、ナノサイズ結晶の微粒子を含む使い捨ての多孔性のバッグまたはポーチでも良い。
【0018】
別の実施形態においては、ナノサイズ結晶の微粒子は、それぞれ、図2および3に示すカートリッジ18および20のような、フィルタカートリッジ内に含まれる。一実施形態においては、フィルタカートリッジ18および20は、HVACシステム、車両、電車、または、飛行機内の機構制御システム、または、携帯用の空気濾過装置のような、空気処理システム内に用いられる標準的なフィルタと交換可能である。従来技術の一つとして、フィルタカートリッジの形状が、例えば、キャニスタータイプのカートリッジ、ラウンドフィルタ等のように、要求された実施形態に合わせて変更することができることは認識されている。本発明との使用のためのフィルタカートリッジは、概して、ナノサイズ結晶の微粒子を含む第1のフィルタメディアで構成される。別の実施形態においては、フィルタカートリッジは、空気処理システムによって循環する空気から微粒子物質を取り除くための第2のフィルタメディアで構成されてもよい。第2のフィルタメディアは、第1のウィルターメディアと共に内側に分散されても、または、そこから全体的に上流または下流に配置されてもよい。特定の実施形態においては、空気中を循環する微粒子物質が、微粒子に対する空気流を閉塞または遮蔽することを避けるために、ナノサイズ結晶の微粒子を含む第1のフィルタメディアと接触する前に取り除かれるように、第1のフィルタメディアから上流に第2のフィルタメディアが配置されることが望ましい。
【0019】
第1のフィルタメディアは、ナノサイズ結晶の微粒子が捕捉される多孔性の不織布材料で構成されてもよい。多孔性の不織布材料は、合成樹脂発泡体、または、ナノサイズ結晶の微粒子を含むフィルムで構成されていてもよい。例えば、不織布材料は、天然の繊維(例えば、セルロース、コットン、ウール等)および合成繊維(例えば、アクリル、芳香族ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ガラス、ポリエチレン硫化物、二成分繊維等)を含む。第2のフィルタメディアも、第1のフィルタメディア中に用いられるものと同様または類似の材料で構成されてもよい。第2のフィルタメディアは、ナノサイズ結晶の微粒子を含んでも含まなくてもよい。第2のフィルタメディアとして用いるための代表的な材料は、天然の繊維(例えば、セルロース、コットン、ウール等)および合成繊維(例えば、アクリル芳香族ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミド、ガラス、ポリエチレン硫化物、二成分繊維等)を有する。
【0020】
図2に示すように、フィルタカートリッジ18は、ナノサイズ結晶の微粒子が概して均一的に分散している不織布材料のひだ状のシート22で構成される。以下に説明するように、多数の出願において、フィルタカートリッジ18は、空気調和装置内に垂直に取り付けられる。従って、ナノサイズ結晶の微粒子が不織布材料内に概ね均一に分散されて残り、さらに、カートリッジのあらゆる微粒子領域に沈降せずに移動することが重要である。ナノサイズ結晶の微粒子が従来のファイバーメディアのファイバ中で分散される例において、フィルタが垂直に取り付けられたとき、微粒子はフィルタカートリッジの底、または、メディア内の様々な位置に分散する微粒子のより緻密なポケットに対して沈降し、従って、カートリッジを通って移動する空気に接触する能力が減少する。しかしながら、本発明は、メディアから均一に微粒子を捕捉し、これによって、循環する空気と接触する利用可能な表面領域を最小限にすることによってこの問題を解決する。
【0021】
特定の実施形態においては、フィルタカートリッジが空気調和装置内に垂直に取り付けられたときに、微粒子は、少なくとも一カ月間カートリッジ内に均一に分散されて残っている。垂直に取り付けられた(従来の空気処理システム中に用いられるほとんどのフィルタの場合のように)フィルタメディアから均一に分散したナノサイズ結晶の微粒子を保つ能力は、ナノ微粒子がフィルタに対してパワーを失うように簡単に供給されないことを示す。むしろ、微粒子および第1のフィルタメディアは、微粒子が捕捉され、かつ、フィルタメディア内の比較的一定の局所位置を維持するような方法で形成される。別の実施形態においては、第1のフィルタメディアは、ナノサイズ結晶の微粒子が被覆膜として堆積する粒剤で構成される。粒剤は、ナノサイズ結晶の金属の酸化物/水酸化物の微粒子自体でもよいし、または、活性炭素のような他の種類の不活性な多孔性基板でもよい。ナノサイズ結晶の微粒子は、後続の内側の層が徐々に空気調和装置によってフィルタを通して循環する空気への露出を得るに従って、多くのコーティング層が臭気―取り入れの効果を時間-放出に与えるための複数の被覆層として、粒剤に適用されてもよい。
【0022】
図3は、本発明に係るフィルタカートリッジメディアの別の実施形態を表す。カートリッジ20は、多数の粒状のナノサイズ結晶の金属酸化物または金属水酸物材料28を含む各セルと、多数の分離セル26を有する蜂の巣のような構造物24で構成される。粒剤28は、良質な多孔材料の第1および第2のシート30,32によってセル内に含まれる。シート30,32は、そこに空気を自由に通過させるために十分浸透性のある織布または不織布の材料で構成されてもよい。従って、粒剤28は、セル26内に捕捉され、さらに、空気調和装置内に垂直に取り付けられたときにカートリッジ20を通っておおよそ均一に分散されて残る。シート30、32は、上述した第1および第2のフィルタメディアと同様の材料で作製され、さらに、ハチの巣の部分24を通過する前の空気から微粒子の材料の濾過を可能にする。
【0023】
本発明に係る特定の実施形態において、ナノサイズ結晶の微粒子は、約50g/平方フィートから約1kg/平方フィート(約538g/平方メートルから約10.74kg/平方メートル)の間のローディングの空気濾過装置中またはフィルタカートリッジに存在する。
【0024】
従って、本発明に係るフィルタは、従来のフィルタのように、微粒子(例えば、ほこり、ペットの毛、糸くず等)をたくさん取り除くタスクを実行する。しかしながら、従来のフィルタとは異なり、第1のフィルタメディアによって含まれるナノサイズ結晶の微粒子も、臭気、バクテリア、ウィルス、菌類、および、毒素のように、空気中に存在する不要な化学的および生物学的な物質を取り除き、かつ、効力を消す。本発明のフィルタカートリッジによって取り除かれる可能性のある一般的な臭気は、尿、糞便、汗、腐敗しかかっている生物学的物質、殺虫剤、有機溶剤、揮発性有機物質、および、これらの混合物を含む。上述の参照によって組み込まれている米国特許出願明細書2009/0098016は、本発明のフィルタカートリッジと共に用いられるナノサイズ結晶の微粒子によって取り除かれる可能性のあるさらに代表的な臭気を引きおこす物質を開示している。さらに、ナノサイズ結晶の微粒子は、密閉された空間内の空気からの有害な非臭気材料および物質を取り除く能力がある。代表的な材料および物質は、HCN、CO、および、ウィルス、バクテリア、菌類、および、毒素のような生物学的な種類のものを含む。
【0025】
上述したように、上述したフィルタカートリッジ18および20を含むフィルタデバイスは、固定または部分的に取り付けられた、HVACシステム、フードベントのような様々なベントシステム、および、工業用乾燥機とミキサーからの通気穴を含む装置を有する空気調和装置と共に用いられるのに特に適合する。図4は、代表的な空気調和装置34、特に、密閉された環境内で空気を循環させるための原動力として作動する送風機38およびフィルタカートリッジ40を含む建物36(例えば、家、オフィスの建物、工業用の建物、または、倉庫)内に取り付けられるHVACシステムを図示する。HVACユニットは、建物内での分散のために送風機38中または外側に空気の流れを向けるダクトワーク42で概して構成される。少なくとも1つのフィルタカートリッジ40は、HVACユニット内に取り付けられている。従来、装置34は、空気調和装置34を通る空気からの微粒子除去のために第一にカートリッジを利用する。しかしながら、本発明の構成においては、ナノサイズ結晶の微粒子を含むカートリッジは、従来のフィルタ(時々、炉のフィルタとして言及される)に付加的または代わりに取り付けられてもよい。本発明のフィルタカートリッジは、フィルタを横切って生じる圧力降下を最小限にするためにデザインされる。殆どのパワフルな送風機は、フィルタから空気を引くために必要とされ、さらに、家や様々の他の種類の建物中に取り付けられた殆どの送風機が梱包された層タイプのフィルタを横切って生じるパワフルな送風機が外観上大きい圧力損失を克服するのに十分なパワーでないときに圧力降下が増加するのを補うので、梱包された層タイプのフィルタは、空気調和装置34内に用いられるべきである。しかし、特定の実施形態においては、梱包された層のフィルタの使用は、じっくり考慮され、かつ、非常に実用的である可能性がある。しかしながら、別の実施形態においては、フィルタカートリッジは、従来の梱包された層タイプのフィルタよりたくさんの小さい圧力降下を有するように特徴づけてもよい。
【0026】
特定の実施形態において、フィルタは、送風機がフィルタカートリッジ40から空気を「引く」ように、HVACの送風機38の上流に置かれる。従って、建物36内からの空気が、1本以上の戻り空気ダクト44の道によって送風機38に向けられる。建物36内からの空気は、建物構造物内に存在する臭気または他の不要な物質と共に積み込んでもよい。送風機38は、不要な物質がそれによって運び込まれるナノサイズ結晶の微粒子と接触するフィルタカレッジ40からの空気を追いやる。不要な物質は、ナノサイズ結晶の微粒子上に取り込まれ、さらに、精製された空気の流れは、新鮮な空気のダクト46を通って建物に散布されるように、送風機38から向けられる。
【0027】
図5は、システムを通過する空気の少なくとも一部が、大気中などのような、密閉された空間50の外側に大気解放される代表的な空気処理システム48である。空気処理システムは、1つ以上の不要な物質を含む空気の流れを引き起こすための原動力を供給するフード52およびファン54で構成される。フード52は、上述したいずれの空気濾過装置56にも具備されている。従って、空気処理システム48は、大気中に解放される前の空気から、臭気、バクテリア、菌類、ウィルス、または、毒素のような、1つ以上の不要な物質を取り除くことが可能である。システム48は、密閉された空間と密閉された空間の外側の環境とも通信し、さらに、本発明は、図示される装置のみに限定されないと理解される。むしろ、上述の原則を利用される別の種類の大気解放システムは、大気中に空気が排気される前に空気流によって運び込まれる不要な物質を取り除くことに従事する。
【0028】
別の従来のフィルタのように、本発明に係るフィルタカートリッジは、様々なフィルタメディアの見詰まりのため、かつ、第1のフィルタメディアによって運び込まれるナノサイズ結晶の微粒子の浸透のために、時々、交換してもよい。フィルタカートリッジのための使用サービスの寿命は、それぞれの建物と共に存在する状態によって変化するかもしれない。浮遊している微粒子の高濃度、または、異常に強い臭気、または、不要な物質の異常に強い臭気または濃度を示すアプリケーションのために、カートリッジ交換はさらに頻繁に必要とされる。しかしながら、通常の状況下においては、フィルタカートリッジは、空気調和装置のおよそ継続的な操作の少なくとも一カ月間、好ましくは、少なくとも三カ月間、臭気および不要な物質のレベルを減少または除去する可能性がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された環境における不要な物質の制御および除去のためのシステムは、
この密閉された環境内の空気の流れのために、原動力として作動する送風機を有する空気調和装置と、
前記空気調和装置によって引き起こされる空気の流れと接触し合うように配置される空気濾過装置と、
で構成され、
前記濾過装置は、前記空気調和装置から流出する空気から1つ以上の不要な物質を取り除くことが可能なナノサイズ結晶の金属酸化物および金属水酸化物の微粒子で構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ナノサイズ結晶の微粒子は、Mg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、Co、Cr、および、これらの混合物の酸化物および水酸化物で成る群から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記空気濾過装置は、前記密閉された環境内に配置された前記ナノサイズ結晶の微粒子の層で構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記空気濾過装置は、フィルタカートリッジで構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記フィルタカートリッジは、前記空気調和装置中に取り付け可能に挿入される請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記フィルタカートリッジは、前記ナノサイズ結晶の微粒子を含む第1のフィルタメディアで構成される請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のフィルタメディアは、多孔性の不織布材料で構成され、
前記ナノサイズ結晶の微粒子は、前記不織布材料内に捕捉される請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記不織布材料は、合成樹脂の泡沫またはフィルムで構成される請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記フィルタメディアは、前記ナノサイズ結晶の微粒子が被覆膜として堆積する上に粒剤で構成される請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記被覆膜は、前記ナノサイズ結晶の微粒子の複数の層で構成される請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記フィルタカートリッジは、前記ナノサイズ結晶の微粒子が含まれる複数のセルで構成される請求項4に記載のシステム。
【請求項12】
前記フィルタカートリッジは、前記空気調和装置から流出する空気から微粒子材料を取り除くための第2のフィルタメディアで構成される請求項4に記載のシステム。
【請求項13】
前記ナノサイズ結晶の微粒子は、前記フィルタカートリッジが前記空気調和装置内に垂直に取り付けられるときに、前記第1のフィルタメディアの全体にわたって概して均一に分散され、かつ、少なくとも1ヵ月間およそ均一に分散されて残る請求項4に記載のシステム。
【請求項14】
前記空気調和装置は、定常的または流動的な環境内内に取り付けられたHVACユニットである請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記定常的な環境は、建物である請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記空気濾過装置は、前記空気調和装置中に着脱可能に取り付けられ、かつ、前記空気調和装置からの空気の流れに対して横方向に配置されるフィルタカートリッジで構成される請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記フィルタカートリッジは、前記送風機の上流に配置され、
前記送風機は、前記フィルタカートリッジから、さらに、前記送風機中へ空気を引くために作動することを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記流動的な環境は、車両である請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記不要な物質は、バクテリア、菌類、ウィルス、毒素、および、臭気で成る群から選択され、
前記臭気は、尿、糞便、汗、腐敗しかかっている生物学的物質、殺虫剤、有機溶剤、揮発性有機物質、および、これらの混合物で成る群から選択される要素によって引き起こされる請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記空気調和装置は、携帯用の空気精製装置または携帯用の空気処理装置である請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムは、さらに、前記密閉された環境の外側に前記空気濾過装置と接触した空気の少なくとも一部を大気解放するための大気解放構造物で構成される請求項1にシステム。
【請求項22】
密閉された環境内から不要な物質を制御および除去する方法であって、
空気調和装置は、前記密閉された環境内に配置される前記密閉された環境内の空気の流れのために原動力として作動する送風機を有し、
前記方法は、
前記空気調和装置によって生成される空気流と接触し合うように配置される空気濾過装置を提供するステップ、および、
前記空気から前記少なくとも1つの不要な物質を取り除き、これにより、精製された空気の流れを生成するために、前記濾過装置から前記少なくとも1つの不要な物質を含む空気を指向する前記送風機を用いるステップ、
で構成され、
前記濾過装置は、前記空気調和装置から流れる空気から少なくとも1つの不要な物質を取り除くことが可能なナノサイズ結晶の金属酸化物または金属水酸化物の微粒子で構成されることを特徴とする方法。
【請求項23】
前記空気調和装置は、定常的、または、流動的な環境内に取り付けられるHVACユニットである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記定常的な環境は、建物である請求項23に記載の方法。
【請求項25】
さらに、前記送風機から、さらには、前記密閉された環境中に、前記精製された空気を指向するステップで構成される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記流動的な環境は、車両である請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記空気調和装置は、携帯用の空気濾過装置、または、携帯用の空気処理装置である請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記ナノサイズ結晶の微粒子は、Mg、Sr、Ba、Ca、Ti、Zr、Fe、V、Mn、Ni、Cu、Al、Si、Zn、Ag、Mo、Sb、Cr、Co、および、これらの混合物の酸化物および水酸化物で成る群から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記不要な物質は、バクテリア、菌類、ウィルス、毒素、および、臭気で成る群から選択され、
前記臭気は、尿、糞便、汗、腐敗しかかっている生物学的物質、殺虫剤、有機溶剤、揮発性有機物質、および、これらの混合物で成る群から選択される要素によって引き起こされる請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記空気濾過装置は、前記密閉された環境内に配置された前記ナノサイズ結晶の微粒子の層で構成される請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記空気濾過装置は、フィルタカートリッジで構成される請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記フィルタカートリッジは、前記ナノサイズ結晶の微粒子を含む第1のフィルタメディアで構成される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のフィルタメディアは、多孔性の不織布材料で構成され、
前記ナノサイズ結晶の微粒子は、前記不織布材料内に捕捉される請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のフィルタメディアは、前記ナノサイズ結晶の微粒子が被覆膜として堆積される上に粒剤で構成される請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記被覆膜は、前記ナノサイズ結晶の微粒子の複数の層で構成される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記フィルタカートリッジは、前記ナノサイズ結晶の微粒子が含まれる複数のセルで構成される請求項31に記載の方法。
【請求項37】
さらに、前記密閉された環境の外側に前記精製された空気の少なくとも一部を大気解放するステップで構成される請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−501226(P2012−501226A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525176(P2011−525176)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/055078
【国際公開番号】WO2010/027868
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(504450626)ナノスケール コーポレーション (11)
【Fターム(参考)】