説明

両面印刷装置

【課題】複数枚の未登録の印刷媒体を同時に循環経路に搬送することが可能な両面印刷装置を提供する。
【解決手段】両面印刷装置1は、循環経路RC、RRで印刷用紙PAを搬送しつつ画像を印刷する装置である。両面印刷装置1は、循環経路RC、RRを搬送される印刷用紙PAと印刷用紙PAとの間隔である紙間を調整するレジストローラ21と、印刷用紙PAの搬送方向の長さである用紙長PLを算出するために印刷用紙PAを検出して検出信号を出力する用紙センサ27と、用紙センサ27から入力された印刷用紙PAの検出信号に基づいて印刷用紙PAの用紙長PLを算出して、用紙長PLから紙間値SPを算出して、紙間値SPに基づいてレジストローラ21を制御して印刷用紙PAを搬送する制御部9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体を循環させるための循環経路を有する両面印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記憶媒体に登録された定形の印刷媒体以外に、不定形の未登録の印刷媒体を印刷可能な印刷装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、未登録の印刷媒体の長さと幅を検出するためのセンサを備える印刷装置が開示されている。この印刷装置では、センサによって未登録の印刷媒体の長さと幅を検出すると、制御部によって、印刷媒体に印刷される画像位置が決定される。これにより、特許文献1の印刷装置では、未登録の印刷媒体にでも適切な位置に画像を印刷することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−330428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、複数枚の未登録の印刷媒体を同時に循環経路に搬送することができないといった課題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、複数枚の未登録の印刷媒体を同時に循環経路に搬送することが可能な両面印刷装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る両面印刷装置の第1の特徴は、循環経路で印刷媒体を搬送しつつ画像を印刷する両面印刷装置において、前記循環経路を搬送される印刷媒体と印刷媒体との間隔を調整する間隔調整部と、印刷媒体の搬送方向の長さである媒体長を算出するために印刷媒体を検出して検出信号を出力する媒体長検出手段と、前記媒体長検出手段から入力された印刷媒体の検出信号に基づいて前記媒体長を算出して、前記循環経路の循環経路長及び前記媒体長から間隔値を算出して、前記間隔値に基づいて前記間隔調整部を制御して印刷媒体を搬送する制御部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る両面印刷装置の第2の特徴は、印刷媒体の搬送方向と直交する方向の幅である媒体幅を検出して出力する媒体幅検出手段と、前記間隔調整部へ給紙する印刷媒体を載置するための複数の給紙台を有する給紙部とを更に備え、前記制御部は、前記媒体長、前記媒体幅、及び前記算出した間隔値と前記給紙台とを関連付けて記憶する記憶手段を有する。
【0009】
また、本発明に係る両面印刷装置の第3の特徴は、前記制御部は、前記間隔値が閾値間隔以下の場合、前記間隔値が大きくなるように再度算出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の特徴によれば、制御部が印刷媒体の媒体長を算出するとともに、循環経路の循環経路長及び媒体長から間隔値を算出する。そして、制御部は、間隔値に基づいて、間隔調整部を制御する。これにより、第1の特徴は、印刷媒体の詰まり(ジャム)を低減しつつ、複数枚の未登録の印刷媒体を同時に循環経路に搬送することができる。
【0011】
本発明の第2の特徴によれば、制御部が、媒体長、媒体幅及び算出した間隔値と、給紙台とを関連付けて記憶手段に記憶している。これにより、次回以降の印刷において、制御部は、同じ給紙台から搬送される印刷媒体の間隔値を容易に設定できる。
【0012】
本発明の第3の特徴によれば、算出した間隔値が閾値間隔以下の場合、制御部は間隔値が大きくなるように再度算出する。これにより、第3の特徴は、間隔値の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態による両面印刷装置の全体概略図である。
【図2】両面印刷装置の制御系を説明するためのブロック図である。
【図3】印刷用紙の用紙情報テーブルを説明する図である。
【図4】印刷用紙の選択画面の図である。
【図5】不定形の印刷用紙の用紙サイズが書き換えられた印刷用紙の用紙情報テーブルを説明する図である。
【図6】不定形の印刷用紙の用紙サイズが書き換えられた状態での印刷用紙の選択画面の図である。
【図7】紙間値テーブルを説明する図である。
【図8】印刷用紙給紙処理のフローチャートである。
【図9】印刷用紙給紙処理において実行される紙間値設定処理のフローチャートである。
【図10】紙間値設定処理において実行される第1紙間値算出処理のフローチャートである。
【図11】紙間値設定処理において実行される第2紙間値算出処理のフローチャートである。
【図12】紙間値設定処理において実行される第3紙間値算出処理のフローチャートである。
【図13】紙間値設定処理において実行される第4紙間値算出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態による両面印刷装置の全体概略図である。図2は、両面印刷装置の制御系を説明するためのブロック図である。図3は、印刷用紙の用紙情報テーブルを説明する図である。図4は、印刷用紙の選択画面の図である。図5は、不定形の印刷用紙の用紙サイズが書き換えられた印刷用紙の用紙情報テーブルを説明する図である。図6は、不定形の印刷用紙の用紙サイズが書き換えられた状態での印刷用紙の選択画面の図である。図7は、紙間値テーブルを説明する図である。以下の説明において、ユーザが位置する図1の紙面表方向を前方とする。また、図1に示すように、ユーザから視て、上下左右を上下左右方向とする。
【0015】
図1の太線で示す経路が、印刷用紙(請求項の印刷媒体に相当)PAが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち実線で示す経路が通常経路RCである。搬送経路のうち一点鎖線で示す経路が、反転経路RRである。搬送経路のうち点線で示す経路が、排紙経路RDである。搬送経路のうち二点鎖線で示す経路が、給紙経路RSである。通常経路RCと反転経路RRとが、請求項の循環経路に相当する。以下の説明において、上流及び下流とは、搬送経路における上流及び下流の意味とする。
【0016】
ここで、片面印刷の際には、印刷用紙PAは、給紙経路RS、通常経路RC、排紙経路RDの順に搬送される。両面印刷の際には、印刷用紙PAは、給紙経路RS、循環経路(通常経路RC及び反転経路RR)、通常経路RC、排紙経路RDの順に搬送される。
【0017】
図1及び図2に示すように、第1実施形態による両面印刷装置1は、給紙部2と、搬送印刷部3と、上昇搬送部4と、水平搬送部5と、排紙部6と、反転部7と、入力表示部8と、制御部9と、各部を収納する筐体10とを備えている。
【0018】
給紙部2は、印刷用紙PAを搬送して給紙するものである。給紙部2は、搬送経路の最も上流側に配置されている。給紙部2は、サイド給紙台11と、3台の内部給紙台12a、12b、12cと、サイド給紙ローラ13と、サイド給紙モータ14と、複数対の内部給紙ローラ15と、内部給紙モータ16と、合流給紙ローラ17と、合流給紙モータ18とを備えている。
【0019】
給紙台11、12a〜12cは、給紙用の印刷用紙PAを積載するものである。尚、給紙台11、12a〜12cに積載されている印刷用紙PAには、後述する用紙情報が未登録の印刷用紙PAも含まれる。
【0020】
サイド給紙ローラ13は、サイド給紙台11に積載されている印刷用紙PAを搬送印刷部3へと給紙する。サイド給紙ローラ13は、サイド給紙台11の下流側端部と搬送印刷部3のレジストローラ21との間の給紙経路RSに沿って配置されている。サイド給紙ローラ13は、サイド給紙モータ14によって回転駆動される。
【0021】
内部給紙ローラ15は、何れかの内部給紙台12a〜12cに積載されている印刷用紙PAを合流給紙ローラ17へ搬送する。内部給紙ローラ15は、複数の内部給紙台12a〜12cの下流側端部と合流給紙ローラ17との間の複数の給紙経路RSの何れかに沿って配置されている。内部給紙ローラ15は、内部給紙モータ16によって回転駆動される。
【0022】
合流給紙ローラ17は、内部給紙ローラ15から搬送された印刷用紙PAを搬送印刷部3へと給紙する。合流給紙ローラ17は、内部給紙ローラ15と搬送印刷部3のレジストローラ21との間の給紙経路RS上に配置されている。合流給紙ローラ17は、合流給紙モータ18によって回転駆動される。
【0023】
搬送印刷部3は、印刷用紙PAを搬送しつつ、画像を印刷するものである。搬送印刷部3は、給紙部2の下流側に配置されている。搬送印刷部3は、レジストローラ(請求項の間隔調整部に相当)21と、レジストモータ22と、ベルト搬送部23と、ベルトモータ24と、インクジェットヘッド部25と、用紙幅センサ26と、用紙センサ27とを備えている。
【0024】
レジストローラ21は、給紙部2から給紙された印刷用紙PAをベルト搬送部23へと供給するものである。また、レジストローラ21は、反転部7から搬送される印刷用紙PAをベルト搬送部23へと再給紙するものである。ここで、レジストローラ21は、先に搬送されている印刷用紙PAとの間隔(以下、紙間)が後述する紙間値SPとなるように印刷用紙PAをベルト搬送部23へと搬送する。レジストローラ21は、搬送印刷部3の上流部の通常経路RC上に配置されている。換言すると、レジストローラ21は、給紙経路RSと反転経路RRとの合流地点の近傍に配置されている。レジストローラ21は、レジストモータ22によって回転駆動される。
【0025】
ベルト搬送部23は、レジストローラ21から搬送された印刷用紙PAの下面を無端ベルトによって吸引しつつ、印刷用紙PAを上昇搬送部4へと搬送する。ベルト搬送部23は、レジストローラ21よりも通常経路RCの下流側に配置されている。ベルト搬送部23は、通常経路RCの下方に配置されている。ベルト搬送部23は、ベルトモータ24によって印刷用紙PAを搬送する無端ベルトが駆動される。
【0026】
インクジェットヘッド部25は、複数のライン式のインクジェットヘッド(図示略)を備えている。インクジェットヘッド部25は、通常経路RCを挟みベルト搬送部23と反対側に配置されている。インクジェットヘッド部25が配置される領域は、ベルト搬送部23の上面よりも小さい領域である。複数のインクジェットヘッドは、異なる色のインクを吐出する。これにより、ベルト搬送部23によって搬送される印刷用紙PAに画像が印刷される。
【0027】
用紙幅センサ26は、レジストローラ21から通常経路RCに沿って搬送される印刷用紙PAの幅(以下、用紙幅)PWを検出して、制御部9へと出力するものである。尚、用紙幅PWとは、印刷用紙PAの搬送方向と直交する方向の印刷用紙PAの長さ(幅)のことである。制御部9は、検出された印刷用紙PAの用紙幅PWと登録済みの印刷用紙PAの用紙幅の情報とを比較して、搬送されている印刷用紙PAが登録済みか否かを判定する。用紙幅センサ26は、レジストローラ21と用紙センサ27との間の通常経路RCに沿って配置されている。用紙幅センサ26は、CIS(Contact Image Sensor)を適用できる。
【0028】
用紙センサ27は、レジストローラ21から通常経路RCに沿って搬送される印刷用紙PAの先端及び後端を検出して、検出信号を制御部9へと出力するものである。制御部9は、用紙センサ27からの検出信号に基づいて、印刷用紙PAの給紙タイミング及び印刷用紙PAのジャムを判定する。また、制御部9は、用紙センサ27から入力された先端及び後端の検出信号に基づいて、印刷用紙PAの長さ(以下、用紙長)PLを算出する。尚、用紙長PLとは、印刷用紙PAの搬送方向の長さのことである。更に、制御部9は、印刷用紙PAの用紙長PLと登録済みの印刷用紙PAの用紙長の情報とを比較して、搬送されている印刷用紙PAが登録済みか否かを判定する。用紙センサ27は、レジストローラ21よりも通常経路RCの下流側に配置されている。用紙センサ27は、発光素子及び受光素子を有する光センサを適用できる。
【0029】
上昇搬送部4は、下方の搬送印刷部3によって印刷された印刷用紙PAを上方の水平搬送部5へと搬送する。上昇搬送部4は、複数対(例えば、2対)の上昇搬送ローラ28と、上昇モータ29とを備えている。
【0030】
複数対の上昇搬送ローラ28は、搬送印刷部3と水平搬送部5との間の通常経路RCに沿って、所定の間隔を開けて配置されている。上昇搬送ローラ28が配置される領域の通常経路RCは、左側が開口された半円状に構成されている。全ての上昇搬送ローラ28は、1個の上昇モータ29によって回転駆動される。
【0031】
水平搬送部5は、上昇搬送部4から搬送された印刷用紙PAを排紙部6または反転部7へと搬送する。水平搬送部5は、複数対(例えば、4対)の水平搬送ローラ31と、水平モータ32と、切替部33とを備えている。
【0032】
複数対の水平搬送ローラ31は、上昇搬送部4と排紙部6との間の通常経路RCに沿って、所定の間隔を開けて配置されている。一対の水平搬送ローラ31は、反転経路RRの上流部に配置されている。全ての水平搬送ローラ31は、1個の水平モータ32によって回転駆動される。
【0033】
切替部33は、排紙部6に繋がる排紙経路RDと、反転部7に繋がる反転経路RRとの間で印刷用紙PAの搬送経路を切り替える。切替部33は、排紙経路RDと反転経路RRとの分岐点に配置されている。
【0034】
排紙部6は、印刷済みの印刷用紙PAを排紙して積載するものである。排紙部6は、複数対の排紙ローラ41と、排紙モータ42と、排紙台43と、用紙センサ44とを備えている。
【0035】
排紙ローラ41は、水平搬送部5から搬送される印刷済みの印刷用紙PAを排紙台43へと排紙する。複数対の排紙ローラ41は、排紙経路RDに沿って、切替部33と排紙台43との間に配置されている。排紙ローラ41は、排紙モータ42によって回転駆動される。
【0036】
排紙台43は、排紙ローラによって排紙された印刷済みの印刷用紙PAを積載するためのものである。排紙台43は、排紙経路RDの下流端に配置されている。排紙台43の一部は、筐体10から露出している。
【0037】
用紙センサ44は、排紙経路RDに沿って、排紙台43へと排紙される印刷用紙PAを検出して、検出信号を制御部9へと出力する。制御部9は、用紙センサ44からの検出信号に基づいて、印刷用紙PAのジャムを判定する。また、制御部9は、用紙センサ44からの検出信号に基づいて、印刷用紙PAの排紙枚数をカウントする。用紙センサ44は、排紙台43の近傍の排紙経路RD上に配置されている。用紙センサ44は、発光素子及び受光素子を有する光センサを適用できる。
【0038】
反転部7は、両面印刷の際に、片面印刷済みの印刷用紙PAを反転させて搬送印刷部3へと再給紙するものである。反転部7は、反転ローラ46と、反転モータ47と、スイッチバック部48と、再給紙ローラ49と、再給紙モータ50と、フリッパ51とを備えている。
【0039】
反転ローラ46は、水平搬送部5から搬送された印刷用紙PAをスイッチバック部48に一時的に搬入した後に搬出して、再給紙ローラ49へと搬送する。反転ローラ46は、反転経路RR上において、最も下流側の水平搬送ローラ31とスイッチバック部48の搬入口との間に配置されている。反転ローラ46は、反転モータ47によって正転方向(搬入時)及び反転方向(搬出時)に回転駆動される。
【0040】
スイッチバック部48は、反転ローラ46が印刷用紙PAを一時的に搬入するための空間である。スイッチバック部48は、排紙台43の下部に形成された空間からなる。スイッチバック部48は、反転ローラ46の近傍が印刷用紙PAを搬入するために開口されている。
【0041】
再給紙ローラ49は、反転ローラ46から搬送された印刷用紙PAを搬送印刷部3のレジストローラ21へと搬送する。再給紙ローラ49は、反転ローラ46とレジストローラ21との間の反転経路RR上に配置されている。再給紙ローラ49は、再給紙モータ50によって回転される。
【0042】
フリッパ51は、水平搬送ローラ31によって搬送される印刷用紙PAを反転ローラ46へとガイドする。また、フリッパ51は、反転ローラ46によって搬送される印刷用紙PAを再給紙ローラ49へとガイドする。フリッパ51は、最も下流側の水平搬送ローラ31、反転ローラ46及び再給紙ローラ49の3個所の重心近傍に配置されている。
【0043】
入力表示部8は、種々の画像や情報等を表示するとともに、ユーザが情報や指示等を入力するためのものである。入力表示部8は、筐体10の上部に設けられている。入力表示部8は、タッチパネル及び操作キー等を備えている。入力表示部8は、ユーザによって、未登録の印刷用紙PAの用紙長PL及び用紙幅PWを含む用紙サイズを入力可能に構成されている。
【0044】
次に、図2を参照して、両面印刷装置1の制御系について説明する。
【0045】
制御部9は、両面印刷装置1の制御全般を司るものである。即ち、制御部9は、給紙部2と、搬送印刷部3と、上昇搬送部4と、水平搬送部5と、排紙部6と、反転部7と、入力表示部8とを制御する。図2に示すように、制御部9は、種々のプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)55と、各情報が一時的に記憶されるRAM(Random Access Memory)56と、基本プログラム等が記憶されているROM(Read Only Memory)57と、印刷処理用のプログラム、印刷用紙給紙処理用のプログラム等が記憶されているHDD(Hard Disk Drive)58と、入出力を行うための接続部59とを備えている。HDD58が、請求項の記憶手段に相当する。
【0046】
HDD58には、図3に示す用紙情報テーブル61が記憶されている。用紙情報テーブル61は、給紙台11、12a〜12cと用紙情報とが関連付けられたテーブルである。用紙情報とは、用紙長PL及び用紙幅PWである用紙サイズ、紙質を示す用紙種類、厚みに基づく給紙設定と、紙間値(請求項の間隔値に相当)SPを含む。紙間値SPとは、両面印刷の際の印刷用紙PAと印刷用紙PAとの間隔(以下、紙間)の設定値のことである。図3に示すように、不定形の印刷用紙PAが未登録の場合、用紙サイズは不定形、紙間値SPは不定として記憶される。この状態で、印刷用紙PAの選択画面が入力表示部8に表示されると、図4に示すように、該当する給紙台12cの用紙サイズが不定形と表示される。この後、不定形の印刷用紙PAの用紙情報が登録されると、図5に示す用紙情報テーブル61のように該当する用紙サイズの情報が、例えば、200×200mmに書き換えられるとともに、不定の紙間値が「SP4」に書き換えられる。この状態で、印刷用紙PAの選択画面が入力表示部8に表示されると、図6に示すように該当する給紙台12cの用紙サイズが、書き換えられた情報で表示される。
【0047】
HDD58には、図7に示す紙間値テーブル62が記憶されている。紙間値テーブル62は、印刷用紙PAの用紙長PLと紙間値SPとを関連付けたテーブルである。また、紙間値テーブル62には、固定の紙間値SPも含まれる。固定の紙間値SPは、片面印刷の場合と、同時搬送される印刷用紙PAが2枚以下の両面印刷の場合に適用される。
【0048】
HDD58には、印刷用紙PAを搬送可能な紙間の最小値である閾値紙間ThSPが記憶されている。閾値紙間ThSPは、反転部7での反転(スイッチバック)可能な紙間等を考慮して設定される。HDD58には、循環経路RC、RRの経路長の和である循環経路長CLが記憶されている。HDD58には、両面印刷時に印刷用紙PAを複数枚同時に搬送可能な用紙長PLの最大値である閾値用紙長ThPLが記憶されている。ここで、閾値用紙長ThPLは、循環経路RC、RRの循環経路長CLの1/3である。従って、用紙長PLが閾値用紙長ThPL未満とは、循環経路RC、RRに印刷用紙PAが3枚以上同時に搬送できることを意味する。
【0049】
HDD58には、印刷用紙給紙処理用のプログラム内で実行される紙間値算出処理用のプログラムが記憶されている。これにより、制御部9は、未登録の不定形の印刷用紙PAによって両面印刷する際に、印刷用紙PAの紙間値SPを算出する。具体的には、制御部9は、循環経路RC、RRの循環経路長CLの余りを印刷用紙PAの搬送可能最大枚数Mmaxで割って、紙間値SPを算出する。ここで、印刷用紙PAの搬送可能最大枚数Mmaxとは、閾値紙間ThSPよりも大きい紙間で循環経路RC、RRに同時に搬送可能な搬送可能な印刷用紙PAの最大枚数のことである。循環経路RC、RRの循環経路長CLの余りとは、循環経路長CLから印刷用紙PAの搬送可能最大枚数Mmaxと用紙長PLとを乗算した値を引いた値である。
【0050】
接続部59には、給紙部2の給紙モータ14、16、18が信号を受信可能に接続されている。これにより、制御部9は、給紙モータ14、16、18を制御して、何れかの給紙台11、12a〜12cから印刷用紙PAを給紙する。
【0051】
接続部59には、搬送印刷部3のモータ22、24及びインクジェットヘッド部25が信号を受信可能に接続されている。これにより、制御部9は、紙間値SPに基づいて、レジストモータ22を介してレジストローラ21を制御することにより、印刷用紙PAをベルト搬送部23へと搬送する。また、制御部9は、ベルトモータ24及びインクジェットヘッド部25を制御して、印刷用紙PAをベルト搬送部23によって搬送しつつ、印刷用紙PAに画像を印刷する。接続部59には、搬送印刷部3の用紙幅センサ26が印刷用紙PAの用紙幅PWに対応する用紙幅信号を送信可能に接続されている。接続部59には、搬送印刷部3の用紙センサ27が、印刷用紙PAの先端及び後端の検出に対応する先端検出信号及び後端検出を送信可能に接続されている。これにより、制御部9は、用紙センサ27からの検出信号に基づいて、ベルト搬送部23近傍の印刷用紙PAのジャムを検出する。制御部9は、用紙センサ27からの検出信号に基づいて、給紙タイミングを制御する。制御部9は、用紙センサ27から入力された先端検出信号及び後端検出信号と、搬送速度とから印刷用紙PAの用紙長PLを算出する。更に、制御部9は、印刷用紙PAの用紙幅PW及び用紙長PLから搬送されている印刷用紙PAが登録済みか否かを判定する。
【0052】
接続部59には、上昇搬送部4の上昇モータ29が信号を受信可能に接続されている。これにより、制御部9は、上昇モータ29を制御することによって、印刷用紙PAを水平搬送部5へと搬送する。
【0053】
接続部59には、水平搬送部5の水平モータ32及び切替部33が信号を受信可能に接続されている。これにより、制御部9は、水平モータ32を制御することによって、排紙部6または反転部7へと印刷用紙PAを搬送する。
【0054】
接続部59には、排紙部6の排紙モータ42が信号を受信可能に接続されている。これにより、制御部9は、排紙モータ42を制御することによって印刷済みの印刷用紙PAを排紙台43へと排紙する。接続部59には、排紙部6の用紙センサ44が信号を送信可能に接続されている。これにより、制御部9は、用紙センサ44から送信される検出信号に基づいて、排紙された印刷用紙PAをカウントして、印刷用紙PAの搬送完了や印刷完了を判定する。
【0055】
接続部59には、反転部7のモータ47、50が信号を受信可能に接続されている。制御部9は、モータ47、50を制御して水平搬送部5から搬送された印刷用紙PAを反転させて、搬送印刷部3へと再給紙する。
【0056】
接続部59には、入力表示部8が信号を送受信可能に接続されている。制御部9は、入力表示部8に種々の情報を表示することができる。また、制御部9は、入力表示部8を介して、ユーザから入力される種々の情報を受信する。ユーザが入力する情報としては、印刷用紙PAの用紙サイズ等の登録情報である。これにより、制御部9は、給紙台11、12a〜12cと入力された用紙情報とを関連付けて、HDD58の用紙情報テーブル61を書き換える。
【0057】
(両面印刷装置の動作)
次に、上述した両面印刷装置1の動作説明をする。尚、動作説明は、本実施形態の特徴である印刷用紙PAの給紙と、それ以降の印刷用紙PAの印刷から排紙までとを分けて説明する。図8は、印刷用紙給紙処理のフローチャートである。図9は、印刷用紙給紙処理において実行される紙間値設定処理のフローチャートである。図10は、紙間値設定処理において実行される第1紙間値算出処理のフローチャートである。図11は、紙間値設定処理において実行される第2紙間値算出処理のフローチャートである。図12は、紙間値設定処理において実行される第3紙間値算出処理のフローチャートである。図13は、紙間値設定処理において実行される第4紙間値算出処理のフローチャートである。
【0058】
(印刷用紙の給紙)
まず、印刷用紙給紙処理に基づいて実行される印刷用紙PAの給紙について説明する。印刷用紙給紙処理は、画像データが入力されて、印刷動作を開始する際に実行される処理である。
【0059】
まず、画像データが入力されて、印刷用紙給紙処理が開始すると、図8に示すように、制御部9は、印刷用紙PAの給紙枚数をカウントするための給紙カウント値Cntに「1」を設定する(S1)。
【0060】
次に、制御部9は、給紙部2及び搬送印刷部3を制御して、1枚目の印刷用紙PAを給紙する。これにより、何れかの給紙台11、12a〜12cから印刷用紙PAが、給紙ローラ13、15、17により給紙経路RSに沿って、搬送印刷部3のレジストローラ21へと搬送される。この後、印刷用紙PAは、レジストローラ21によって、ベルト搬送部23へと搬送される。
【0061】
印刷用紙PAがレジストローラ21からベルト搬送部23へと搬送される間に、制御部9は、ステップS3〜S5を実行する。具体的には、制御部9は、用紙幅センサ26から用紙幅PWが入力されたか否かを判定する(S3)。制御部9は、用紙幅センサ26から用紙幅PWが検出されるまで、ステップS3を繰り返す(S3:No)。一方、用紙幅信号が用紙幅センサ26から制御部9に入力されると、制御部9は、用紙幅センサ26によって用紙幅PWが検出されたと判定する(S3:Yes)
【0062】
次に、制御部9は用紙センサ27によって、印刷用紙PAの先端が検出されたか否かを判定する(S4)。制御部9は、用紙センサ27によって印刷用紙PAの先端が検出されるまで、ステップS4を繰り返す(S4:No)。一方、先端検出信号が用紙センサ27から制御部9に入力されると、制御部9は、用紙センサ27によって印刷用紙PAの先端が検出されたと判定する(S4:Yes)。
【0063】
次に、制御部9は用紙センサ27によって、印刷用紙PAの後端が検出されたか否かを判定する(S5)。制御部9は、用紙センサ27によって印刷用紙PAの後端が検出されるまで、ステップS5を繰り返す(S5:No)。一方、後端検出信号が用紙センサ27から制御部9に入力されると、制御部9は用紙センサ27によって印刷用紙PAの後端が検出されたと判定する(S5:Yes)。
【0064】
次に、制御部9は、印刷用紙PAの先端及び後端の検出時間の差と搬送速度とから印刷用紙PAの用紙長PLを算出する(S6)。
【0065】
次に、制御部9は、搬送中の印刷用紙PAの用紙長PL及び用紙幅PWから未登録の印刷用紙PAか否かを判定する(S7)。具体的には、制御部9は、算出した用紙長PL及び入力された用紙幅PWが、登録済みの印刷用紙PAの用紙情報テーブル61に含まれているかを判定する。制御部9は、用紙長PL及び用紙幅PWが登録済みでない場合、搬送中の印刷用紙PAが未登録用紙であると判定して(S7:Yes)、ステップS8の処理を実行する。
【0066】
次に、制御部9は、算出された用紙長PLが閾値用紙長ThPL未満か否かを判定する(S8)。制御部9は、用紙長PLが閾値用紙長ThPLよりも未満であると判定すると(S8:Yes)、ステップS9の処理を実行する。
【0067】
次に、制御部9は、入力された画像データに基づいて、両面印刷か否かを判定する(S9)。制御部9は、両面印刷であると判定すると(S9:Yes)、図9に示す紙間値設定処理を実行して、紙間値SPを設定する(S10)。
【0068】
一方、制御部9は、印刷用紙PAが登録用紙である場合(S7:No)、または、用紙長PLが閾値用紙長ThPL以上である場合(S8:No)、または、片面印刷である場合(S9:No)、紙間値SPを抽出する(S11)。具体的には、制御部9は、HDD58に記憶されている図7に示す紙間値テーブル62から算出された用紙長PLに該当する紙間値SPを抽出する。
【0069】
次に、制御部9は、抽出された紙間値SPまたは設定された紙間値SPに基づいて、給紙部2の給紙ローラ13、15、17及び搬送印刷部3のレジストローラ21を制御して、2枚目以降の印刷用紙PAを給紙する(S12)。ここで、制御部9は、片面印刷の場合、または、同時搬送される印刷用紙PAが2枚以下の両面印刷の場合、給紙される印刷用紙PAと印刷用紙PAとの紙間が紙間値SPとなるようにレジストローラ21を制御する。一方、制御部9は、同時搬送される印刷用紙PAが3枚以上の両面印刷の場合、給紙される印刷用紙PAと印刷用紙PAとの紙間が、給紙間隔(=用紙長PL+2×紙間値SP)となるように、レジストローラ21を制御する。この制御は、第1面(先に印刷される面)が印刷された1枚目の印刷用紙PAが反転部7によって反転されて、その1枚目の印刷用紙PAがレジストローラ21によって再給紙可能となるまで続けられる。
【0070】
次に、制御部9は、給紙カウント値Cntを「+1」インクリメントする(S13)。
【0071】
次に、制御部9は、給紙カウント値Cntが、画像データの給紙枚数Nか否かを判定する(S14)。この後、制御部9は、給紙カウント値Cntが給紙枚数NとなるまでステップS12〜S14を繰り返す。
【0072】
一方、制御部9は、給紙カウント値Cntが給紙枚数Nとなったと判定すると(S14:Yes)、印刷用紙PAの用紙長PL、用紙幅PWが、図3に示す用紙情報テーブル61及び図7に示す紙間値テーブル62に未登録か否かを判定する(S15)。
【0073】
制御部9は、用紙長PL、用紙幅PWが未登録であると判定すると(S15:Yes)、用紙長PL、用紙幅PW及び紙間値SPを給紙台11、12a〜12cと関連付けて、用紙情報テーブル61を書き換えるとともに、用紙長PLを紙間値SPと関連付けて紙間値テーブル62を書き換えた後(S16)、印刷用紙給紙処理を終了する。一方、制御部9は、用紙長PL及び用紙幅PWが既に登録済みであると判定すると(S15:No)、用紙情報テーブル61及び紙間値テーブル62を書き換えることなく、印刷用紙給紙処理を終了する。
【0074】
(紙間値設定処理)
次に、図9を参照して、紙間値SPを算出して設定するための紙間値設定処理(S10)について説明する。尚、上述したように紙間値設定処理は、搬送された印刷用紙PAが未登録用紙であって、用紙長PLが閾値用紙長ThPL未満であって、且つ、両面印刷である場合に実行される処理である。
【0075】
図9に示すように、紙間設定値処理が開始すると、制御部9は、以下の式に基づいて、仮定枚数Mを算出する(S21)。
M=CL/PL
式から明らかなように、仮定枚数Mは、循環経路長CLを用紙長PLで割ったものである。即ち、仮定枚数Mは、循環経路RC、RRに並べられる印刷用紙PAの枚数のことである。
【0076】
次に、制御部9は、仮定枚数Mが整数か否かを判定する(S22)。制御部9は、仮定枚数Mが整数であると判定すると(S22:Yes)、仮定枚数Mが奇数か否かを判定する(S23)。
【0077】
制御部9は、仮定枚数Mが奇数であると判定すると(S23:Yes)、図10に示す第1紙間値算出処理を実行する(S24)。一方、制御部9は、仮定枚数Mが奇数でないと判定すると(S23:No)、即ち、仮定枚数Mが偶数の場合、図11に示す第2紙間値算出処理を実行する(S25)。
【0078】
一方、制御部9は、仮定枚数Mが整数でないと判定すると(S22:No)、整数化仮定枚数INT(M)が奇数か否かを判定する(S26)。尚、整数化仮定枚数INT(M)とは、仮定枚数Mの小数点以下の値を切り捨てた値である。
【0079】
次に、制御部9は、整数化仮定枚数INT(M)が奇数であると判定すると(S26:Yes)、図12に示す第3紙間値算出処理を実行する(S27)。一方、制御部9は、整数化仮定枚数INT(M)が奇数でないと判定すると(S26:No)、即ち、整数化仮定枚数INT(M)が偶数の場合、図13に示す第4紙間値算出処理を実行する。
【0080】
この後、何れかの紙間値算出処理(S24、S25、S27、S28)の実行が終了して紙間値SPを算出すると、紙間値設定処理を終了して、上述した印刷用紙給紙処理のステップS12以降を実行する。
【0081】
(第1紙間値算出処理)
次に、図10を参照して、第1紙間値算出処理(S24)について説明する。尚、上述したように第1紙間値算出処理は、仮定枚数Mが、奇数である場合に実行される処理である。
【0082】
図10に示すように、第1紙間値算出処理が開始すると、制御部9は、カウント値pに「1」を設定する(S31)。
【0083】
次に、制御部9は、「M−2p」が正の値か否かを判定する(S32)。ここで、「CL=PL×M」である点を考慮すると、仮定枚数Mの印刷用紙PAを循環経路RC、RR上で搬送すると、紙間が「0」になる。また、循環経路RC、RR上に搬送できる印刷用紙PAは、第1面、第2面(後に印刷する面)を交互に印刷する両面印刷の場合、奇数でなければならないので、循環経路RC、RRで搬送できる印刷用紙PAの枚数は、「M−2p」以下である。
【0084】
次に、制御部9は、「M−2p」が正の値と判定すると(S32:Yes)、循環経路長CL、用紙長PL、仮定枚数M、カウント値pを以下の式(1)に代入して、紙間値SPを算出する(S33)。
SP=(CL−PL(M−2p))/(M−2p) ・・・(1)
尚、「CL=PL×M」及び「M−2p>0」なので、紙間値SPは正の数になる。ここで、「CL−PL(M−2p)」は、(M−2p)枚の用紙長PLの印刷用紙PAが循環経路長CLの循環経路RC、RRに搬送されている状態での、循環経路長CLの余りである。この余りを枚数(M−2p)で割ることにより、紙間値SPが算出される。
【0085】
次に、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であるか否かを判定する(S34)。
【0086】
制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP未満であると判定すると(S34:No)、カウント値pを「+1」インクリメントして(S35)、ステップS32〜S34を繰り返して、紙間値SPを再度算出する。この再度の算出により、紙間値SPは、大きくなる。一方、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であると判定すると(S34:Yes)、第1紙間値算出処理を終了する。尚、この時の「M−2p」が、搬送可能最大枚数Mmaxである。
【0087】
また、制御部9は、「M−2p」が正の数でないと判定すると(S32:No)、搬送判定用のフラグFを「1」にするとともに、図7に示すHDD58の紙間値テーブル62から固定の紙間値SPを抽出して(S36)、第1紙間値算出処理を終了する。尚、搬送判定用のフラグFが「1」の場合、同時に搬送される印刷用紙PAは2枚以下である。
【0088】
(第2紙間値算出処理)
次に、図11を参照して、第2紙間値算出処理(S25)について説明する。尚、上述したように第2紙間値算出処理は、仮定枚数Mが、偶数である場合に実行される処理である。
【0089】
図11に示すように、第2紙間値算出処理が開始すると、制御部9は、カウント値pに「1」を設定する(S41)。
【0090】
次に、制御部9は、「M+1−2p」が正の値か否かを判定する(S42)。ここで、循環経路RC、RR上に搬送できる印刷用紙PAは奇数でなければならないので、実際に循環経路RC、RRで搬送できる印刷用紙PAの枚数は、「M+1−2p」以下である。
【0091】
次に、制御部9は、「M+1−2p」が正の値と判定すると(S42:Yes)、循環経路長CL、用紙長PL、仮定枚数M、カウント値pを以下の式(2)に代入して、紙間値SPを算出する(S43)。
SP=(CL−PL(M+1−2p))/(M+1−2p) ・・・(2)
尚、「CL=PL×M」及び「M+1−2p>0」なので、紙間値SPは正の数になる。ここで、「CL−PL(M+1−2p)」は、(M+1−2p)枚の用紙長PLの印刷用紙PAが循環経路長CLの循環経路RC、RRに搬送されている状態での、循環経路長CLの余りである。この余りを枚数(M+1−2p)で割ることにより、紙間値SPが算出される。
【0092】
次に、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であるか否かを判定する(S44)。
【0093】
制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP未満であると判定すると(S44:No)、カウント値pを「+1」インクリメントして(S45)、ステップS42〜S44を繰り返して、紙間値SPを再度算出する。この再度の算出により、紙間値SPは、大きくなる。一方、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であると判定すると(S44:Yes)、第2紙間値算出処理を終了する。尚、この時の「M+1−2p」が、搬送可能最大枚数Mmaxである。
【0094】
また、制御部9は、「M+1−2p」が正の数でないと判定すると(S42:No)、搬送判定用のフラグFを「1」にするとともに、図7に示すHDD58の紙間値テーブル62から固定の紙間値SPを抽出して(S46)、第2紙間値算出処理を終了する。
【0095】
(第3紙間値算出処理)
次に、図12を参照して、第3紙間値算出処理(S27)について説明する。尚、上述したように第3紙間値算出処理は、整数化仮定枚数INT(M)が、奇数である場合に実行される処理である。
【0096】
図12に示すように、第3紙間値算出処理が開始すると、制御部9は、カウント値pに「0」を設定する(S51)。
【0097】
次に、制御部9は、「INT(M)−2p」が正の値か否かを判定する(S52)。ここで、循環経路RC、RR上に搬送できる印刷用紙PAは奇数でなければならないので、循環経路RC、RRで搬送できる印刷用紙PAの最大枚数は、「INT(M)−2p」である。
【0098】
次に、制御部9は、「INT(M)−2p」が正の値と判定すると(S52:Yes)、循環経路長CL、用紙長PL、整数化仮定枚数INT(M)、カウント値pを以下の式(3)に代入して、紙間値SPを算出する(S53)。
SP=(CL−PL(INT(M)−2p))/(INT(M)−2p)
・・・(3)
尚、「CL=PL×M」及び「INT(M)−2p>0」なので、紙間値SPは正の数になる。ここで、「CL−PL(INT(M)−2p)」は、(INT(M)−2p)枚の用紙長PLの印刷用紙PAが、循環経路長CLの循環経路RC、RRに搬送されている状態での、循環経路長CLの余りである。この余りを枚数(INT(M)−2p)で割ることにより、紙間値SPが算出される。
【0099】
次に、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であるか否かを判定する(S54)。
【0100】
制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP未満であると判定すると(S54:No)、カウント値pを「+1」インクリメントして(S55)、ステップS52〜S54を繰り返して、紙間値SPを再度算出する。この再度の算出により、紙間値SPは、大きくなる。一方、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であると判定すると(S54:Yes)、第3紙間値算出処理を終了する。尚、この時の「INT(M)−2p」が、搬送可能最大枚数Mmaxである。
【0101】
また、制御部9は、「INT(M)−2p」が正の数でないと判定すると(S52:No)、搬送判定用のフラグFを「1」にするとともに、図7に示すHDD58の紙間値テーブル62から固定の紙間値SPを抽出して(S56)、第3紙間値算出処理を終了する。
【0102】
(第4紙間値算出処理)
次に、図13を参照して、第4紙間値算出処理(S28)について説明する。尚、上述したように第4紙間値算出処理は、整数化仮定枚数INT(M)が、偶数である場合に実行される処理である。
【0103】
図13に示すように、第4紙間値算出処理が開始すると、制御部9は、カウント値pに「0」を設定する(S61)。
【0104】
次に、制御部9は、「INT(M)−(2p+1)」が正の値か否かを判定する(S62)。ここで、循環経路RC、RR上に搬送できる印刷用紙PAは奇数でなければならないので、実際に循環経路RC、RRで搬送できる印刷用紙PAの最大枚数は、「INT(M)−(2p+1)」である。
【0105】
次に、制御部9は、「INT(M)−(2p+1)」が正の値と判定すると(S62:Yes)、循環経路長CL、用紙長PL、整数化仮定枚数INT(M)、カウント値pを以下の式(4)に代入して、紙間値SPを算出する(S63)。
SP=(CL−PL(INT(M)−(2p+1)))
/(INT(M)−(2p+1)) ・・・(4)
尚、「CL=PL×M」及び「INT(M)−(2p+1)>0」なので、紙間値SPは正の数になる。ここで、「CL−PL(INT(M)−(2p+1))」は、(INT(M)−(2p+1))枚の用紙長PLの印刷用紙PAが、循環経路長CLの循環経路RC、RRに搬送されている状態での循環経路長CLの余りである。この余りを枚数(INT(M)−(2p+1))で割ることにより、紙間値SPが算出される。
【0106】
次に、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であるか否かを判定する(S64)。
【0107】
制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP未満であると判定すると(S64:No)、カウント値pを「+1」インクリメントして(S65)、ステップS62〜S64を繰り返して、紙間値SPを再度算出する。この再度の算出により、紙間値SPは、大きくなる。一方、制御部9は、紙間値SPが閾値紙間ThSP以上であると判定すると(S64:Yes)、第4紙間値算出処理を終了する。尚、この時の「INT(M)−(2p+1)」が、搬送可能最大枚数Mmaxである。
【0108】
また、制御部9は、「INT(M)−(2p+1)」が正の数でないと判定すると(S62:No)、搬送判定用のフラグFを「1」にするとともに、図7に示すHDD58の紙間値テーブル62から固定の紙間値SPを抽出して(S66)、第4紙間値算出処理を終了する。
【0109】
(印刷用紙の印刷から排紙まで)
次に、給紙された印刷用紙PAの印刷から排紙までを、片面印刷及び両面印刷に分けて説明する。
【0110】
片面印刷の場合、印刷用紙PAは、紙間が固定の紙間値SPとなるようにレジストローラ21からベルト搬送部23へと順次搬送される。次に、印刷用紙PAはベルト搬送部23によって搬送されつつ、画像がインクジェットヘッド部25によって印刷用紙PAに印刷される。この後、印刷用紙PAは、ベルト搬送部23から上昇搬送部4へと搬送される。次に、印刷用紙PAは、上昇搬送部4の上昇搬送ローラ28及び水平搬送部5の水平搬送ローラ31により搬送されつつ、切替部33によって排紙部6へとガイドされる。最後に、印刷用紙PAは、排紙部6の排紙ローラ41によって排紙台43に排紙される。
【0111】
次に、両面印刷の場合について説明する。
【0112】
まず、両面印刷の場合において、同時に循環経路RC、RR上を搬送される印刷用紙PAが、2枚以下の場合について説明する。これは、フラグFが「1」の場合、または、「閾値用紙長ThPL≦用紙長PL」の場合である。尚、この場合の紙間値は、固定の紙間値SPとなる。
【0113】
この両面印刷の場合、何れかの給紙台11、12a〜12cから給紙された印刷用紙PAは、搬送印刷部3によって搬送されつつ、画像がインクジェットヘッド部25によって印刷される。この後、印刷用紙PAは、上昇搬送部4及び水平搬送部5によって、切替部33まで搬送される。次に、印刷用紙PAは、切替部33によって反転経路RRへとガイドされる。この後、印刷用紙PAは、水平搬送ローラ31によって搬送されつつ、フリッパ51により反転部7の反転ローラ46へとガイドされる。次に、印刷用紙PAは、反転ローラ46によってスイッチバック部48に一時的に搬入された後、反転ローラ46によって搬出される。この後、印刷用紙PAは、反転ローラ46によって搬送されつつ、フリッパ51によって再給紙ローラ49へとガイドされる。次に、印刷用紙PAは、再給紙ローラ49によってレジストローラ21へと再給紙される。再給紙された印刷用紙PAは、レジストローラ21によりベルト搬送部23へと搬送される。ここで、印刷用紙PAは、反転部7によって反転されているので、印刷用紙PAの未印刷面が、インクジェットヘッド部25へと向けられている。これにより、印刷用紙PAはベルト搬送部23によって搬送されつつ、画像が印刷用紙PAの未印刷面にインクジェットヘッド部25によって印刷される。
【0114】
この印刷用紙PAの後端がレジストローラ21から抜けると、次の印刷用紙PAが給紙部2によってレジストローラ21へと給紙される。そして、次の印刷用紙PAは、先の印刷用紙PAとの紙間が固定の紙間値SPとなるようにレジストローラ21によってベルト搬送部23へと搬送される。
【0115】
一方、先の印刷用紙PAは、未印刷面に画像が印刷された後、上昇搬送部4、水平搬送部5及び排紙部6によって排紙台43まで搬送される。
【0116】
次に、両面印刷の場合において、3枚以上の印刷用紙PAが、同時に循環経路RC、RR上を搬送される場合について説明する。
【0117】
この両面印刷の場合、印刷用紙PAは、紙間が給紙間隔(=用紙長PL+2×紙間値SP)となるように、給紙部2及びレジストローラ21によって給紙台11、12a〜12cからベルト搬送部23へと順次搬送される。この後、印刷用紙PAは、搬送印刷部3によって搬送されつつ、画像がインクジェットヘッド部25によって印刷される。次に、印刷用紙PAは、上昇搬送部4、水平搬送部5及び反転部7によってレジストローラ21へと搬送される。そして、印刷用紙PAは、レジストローラ21によってベルト搬送部23へと再給紙される。ここで、再給紙される印刷用紙PAは、給紙部2から給紙される印刷用紙PAと印刷用紙PAとの中間に配置される。これにより、反転部7から再給紙される印刷用紙PAと給紙部2から給紙される印刷用紙PAとの紙間は、略紙間値SPとなる。この後、再給紙された印刷用紙PAは、画像が未印刷面に印刷された後、上昇搬送部4、水平搬送部5及び排紙部6によって排紙台43へと搬送される。
【0118】
(第1実施形態の効果)
次に、上述した第1実施形態の両面印刷装置1の効果について説明する。
【0119】
第1実施形態による両面印刷装置1では、制御部9が、不定形の未登録の印刷用紙PAの用紙長PLを算出して、その用紙長PL及び循環経路RC、RRの循環経路長CLから紙間値SPを算出している。そして、制御部9は、算出した紙間値SPに基づいて、未登録の印刷用紙PAによる両面印刷時の給紙間隔をレジストローラ21によって制御している。これにより、両面印刷装置1は、ジャム(紙詰まり)を低減しつつ、複数枚の未登録の印刷用紙PAを同時に搬送しつつ、画像を印刷用紙PAに印刷できる。この結果、両面印刷装置1は、印刷時間の短縮、及び、生産性の向上を実現できる。
【0120】
また、両面印刷装置1では、制御部9が算出した紙間値SPをHDD58の用紙情報テーブル61及び紙間値テーブル62に記憶する。これにより、次回の印刷以降では、制御部9は、紙間値SPを算出することなく、複数枚の印刷用紙PAの同時搬送が可能となる。特に、制御部9は、紙間値SPを給紙台11、12a〜12cと関連付けて、用紙情報テーブル61を書き換えるので、次回同じ給紙台11、12a〜12cから印刷用紙PAを給紙する場合、複数枚の印刷用紙PAの同時搬送がより容易に可能となる。
【0121】
また、両面印刷装置1では、制御部9が算出した紙間値SPが閾値紙間ThSPよりも小さい場合、印刷用紙PAの仮定枚数Mを「2」減らした後、紙間値SPを再度算出している。これにより、両面印刷装置1に適応した紙間値SPを精度よく算出することができる。
【0122】
以上、実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載及び特許請求の範囲の記載と均等の範囲により決定されるものである。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0123】
上述した実施形態の構成の形状、配置、数値、材質等は適宜変更可能である。また、上述した実施形態の各処理は、適宜変更可能である。
【0124】
上述した実施形態では、印刷用紙を対象に説明したが、他の樹脂製の印刷媒体等を搬送可能な両面印刷装置に本願発明を適用してもよい。
【0125】
また、実施形態における循環経路長や閾値等の数値は、装置の特性等に適応させて変更可能である。例えば、循環経路の循環経路長は、通常経路の経路長と反転経路の経路長との和でなくても、反転部の往復搬送等を考慮して経路長を設定してもよい。閾値用紙長は、(循環経路/3)としたが、閾値紙間や搬送ローラの間隔等を考慮してこれよりも小さくしてもよい。閾値紙間(閾値間隔)は、印刷媒体の滑り等を考慮して適宜変更可能である。また、ジャムの発生率が高い場合、制御部が閾値紙間を大きくするように構成してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 両面印刷装置
2 給紙部
3 搬送印刷部
4 上昇搬送部
5 水平搬送部
6 排紙部
7 反転部
8 入力表示部
9 制御部
11 サイド給紙台
12a〜12c 内部給紙台
13 サイド給紙ローラ
14 サイド給紙モータ
15 内部給紙ローラ
16 内部給紙モータ
17 合流給紙ローラ
18 合流給紙モータ
21 レジストローラ
22 レジストモータ
25 インクジェットヘッド部
26 用紙幅センサ
27 用紙センサ
44 用紙センサ
61 用紙情報テーブル
62 紙間値テーブル
CL 循環経路長
M 仮定枚数
INT(M) 整数化仮定枚数
Mmax 搬送可能最大枚数
PA 印刷用紙
RC 通常経路
RD 排紙経路
RR 反転経路
RS 給紙経路
RC、RR 循環経路
PL 用紙長
PW 用紙幅
SP 紙間値
ThPL 閾値用紙長
ThSP 閾値紙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環経路で印刷媒体を搬送しつつ画像を印刷する両面印刷装置において、
前記循環経路を搬送される印刷媒体と印刷媒体との間隔を調整する間隔調整部と、
印刷媒体の搬送方向の長さである媒体長を算出するために印刷媒体を検出して検出信号を出力する媒体長検出手段と、
前記媒体長検出手段から入力された印刷媒体の検出信号に基づいて前記媒体長を算出して、前記循環経路の循環経路長及び前記媒体長から間隔値を算出して、前記間隔値に基づいて前記間隔調整部を制御して印刷媒体を搬送する制御部とを備えることを特徴とする両面印刷装置。
【請求項2】
印刷媒体の搬送方向と直交する方向の幅である媒体幅を検出して出力する媒体幅検出手段と、
前記間隔調整部へ給紙する印刷媒体を載置するための複数の給紙台を有する給紙部とを更に備え、
前記制御部は、前記媒体長、前記媒体幅、及び前記算出した間隔値と前記給紙台とを関連付けて記憶する記憶手段を有することを特徴とする請求項1に記載の両面印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記間隔値が閾値間隔以下の場合、前記間隔値が大きくなるように再度算出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の両面印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−126673(P2011−126673A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287504(P2009−287504)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】