両面受光構成
【課題】太陽エネルギーを効率良く電気エネルギーに変換する。
【解決手段】第一の面と第二の面とを有する半導体層と、半導体層の第一の面に形成される第一の不活性化層、及び半導体層の第二の面に形成される第二の不活性化層と、第一及び第二の不活性化層に形成されると共に、半導体層の第一の面及び第二の面に選択的に接続された複数の金属化部分と、を有する両面セルを含み、少なくとも一部の金属化部分が、比較的狭幅で比較的高さのある、第一及び第二の不活性化層から上方向に延出する長尺の金属構造体を含む両面受光構成により上記課題を解決する。
【解決手段】第一の面と第二の面とを有する半導体層と、半導体層の第一の面に形成される第一の不活性化層、及び半導体層の第二の面に形成される第二の不活性化層と、第一及び第二の不活性化層に形成されると共に、半導体層の第一の面及び第二の面に選択的に接続された複数の金属化部分と、を有する両面セルを含み、少なくとも一部の金属化部分が、比較的狭幅で比較的高さのある、第一及び第二の不活性化層から上方向に延出する長尺の金属構造体を含む両面受光構成により上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光放射を電気エネルギーに変換することに係り、より詳しくは、両面光電デバイス(例えば両面受光太陽電池)の製造方法及びツール、ならびに太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する両面デバイス(例えば両面受光太陽電池モジュール)の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
光放射を電気エネルギーに変換する装置を製造するための技術は従来種々提案されている。
【0003】
本発明に関連する技術として、特許文献1〜3等が挙げられうる。
【特許文献1】米国特許第2789731号
【特許文献2】米国特許第3159313号
【特許文献3】米国特許第4254894号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来技術の問題点の多くを効果的に解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、第一の面と第二の面とを有する半導体層と、前記半導体層の前記第一の面に形成される第一の不活性化層、及び前記半導体層の前記第二の面に形成される第二の不活性化層と、前記第一及び第二の不活性化層に形成されると共に、前記半導体層の前記第一の面及び前記第二の面に選択的に接続された複数の金属化部分と、を有する両面セルを含み、少なくとも一部の金属化部分が、比較的狭幅で比較的高さのある、前記第一及び第二の不活性化層から上方向に延出する長尺の金属構造体を含むことを特徴とする、両面受光構成を提供する。
【0006】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様において、更に、相互に電気的に接触して両面受光太陽電池モジュールを形成する複数の両面セルと、両面受光太陽電池の裏面へ光を反射させることを可能とした構造と一体に形成されるガラスもしくはプラスチック層上の反射体と、を含むことを特徴とする受光構成を提供する。
【0007】
本発明の第三の態様は、上記第二の態様において、前記両面セルは、プラスチック積層板表面層及びガラス裏面層を備えた両面セルモジュール内に形成されることを特徴とする受光構成を提供する。
【0008】
本発明の第四の態様は、上記第一の態様において、前記半導体層の厚みが約150ミクロン以下であり、前記第一及び第二の面上の金属化部分は略同一の機械的モーメントを有することを特徴とする受光構成を提供する。
【0009】
本発明の第五の態様は、上記第一の態様において、前記金属化部分は前記第一及び第二の面の10%未満を被覆することを特徴とする受光構成を提供する。
【0010】
本発明の第六の態様は、半導体層と、1つ以上のドープ領域と、第一の面と、第二の面と、前記第一の面及び前記第二の面上に配置された複数の導電線とを含む両面光電デバイスの製造方法であって、前記方法は、前記半導体の前記第一の面及び前記第二の面の各々にブランケット不活性化層を形成することと、前記半導体層の前記ドープ領域と接触する前記導電線を布設するダイレクト書込み金属化装置構成を使用することと、を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願明細書では、「上」「下」「側」「前」「後」などの方向に関する用語は説明のための相対的な位置を示すものであり、絶対的な枠組みを指定することを意図していない。
【0012】
本願明細書に記載された半導体材料は、半導体層と呼ばれることもある。この用語及びこれに類する用語は、太陽放射熱を吸収し電気エネルギーに変換するための、太陽デバイスで用いられる材料として広義に解されることを意図している。太陽デバイスは特に太陽電池、光電池(photovoltaic cell, photoelectric cell)とも呼ばれる。半導体層(及びそれに類する用語)とは、特に、両面太陽デバイスを含む太陽デバイスの作製に使用されるウエハを始めとする薄膜材料を含むものと解されたい。
【0013】
図1は、当該技術で公知の、半導体層のドープされた拡散領域と、その上に設けられる第一及び第二の不活性化層を有するデバイスを形成するステップ110から開始される。ステップ120で、非接触パターニング装置により、デバイスの第一の表面上の第一の不活性化層に開口部が画定される。ステップ130で、ダイレクト書込み金属化装置を用いて、第一の不活性化層に画定された開口部を通じて、ドープされた溶解領域上の第一の半導体層表面に接触構造を布設する。ステップ140で、半導体層は、第一の表面側に布設された接触構造を硬化させ得る温度に加熱される。これによりデバイスを反転させたり回転させたりしても、布設された接触構造材料に不都合な影響が及ばない。
【0014】
布設された接触構造を硬化させるためにいったん半導体層が加熱されると、ステップ150で、デバイスが反転あるいは回転されて裏面の処理に移る。ステップ160で、別の非接触パターニング装置を使用して第二の不活性化層の開口部を画定する。ステップ170で、別のダイレクト書込み金属化装置を用いて、第二の不活性化層の画定された開口部を通じて、ドープされた拡散領域上の第二の半導体層表面上に接触構造を布設する。
【0015】
図2では、両面光電デバイスを製造するシステムについて更に詳細に説明する。半導体ウエハ212の上面213及び下面213'は、1つ以上のドープされた上面領域214及びドープされた下面領域'214を含む(図2ではドープ領域214'の全体を図示していないが、ドープ領域213と同様の構成を有する)。上面213のドープ領域214にブランケット不活性化層215が形成され、下面213'のドープ領域214'にブランケット不活性化層'215が形成される。一般的に光電デバイスは「デバイス211」として識別され、処理サイクルの各段階において、デバイスの現在の処理段階を示す接尾辞を付して表される(例えば、取付け前あるいは取付け中のデバイスは、処理サイクルの比較的初期の時点を示す、接尾辞「T1」を付して「デバイス211T1」として表される)。デバイス211T1にドープ領域214、214'及び不活性化層215、215'を設ける作業は、周知の処理技術により実施される。また、デバイス211T1の製造に利用された設備を、ウエハ処理システム210として図2に示す。
【0016】
デバイス211T1は処理システム(ツール)230の、デバイス211T1をコンベヤ235に搭載するための任意の取付け機構220へ移される。処理システム230は、コンベヤ235の搬送方向(例えば図2の右方向)に直列に配置される、少なくとも1つの非接触パターニング装置240及び少なくとも1つのダイレクト書込み金属化装置250を含む。本願明細書でいう「ダイレクト書込み金属化装置」とは、半導体層の金属化が必要な箇所にのみ金属化材料を射出、押出又はその他の方法にて布設する(すなわち、金属化材料の一部を除去するために後続のマスク処理及び/又はエッチング処理を必要としない)装置をいう。金属化部分とは、例えば太陽電池の構成において単独もしくは組み合わせて用いられる、グリッド線接触部分及び/又はバスバーをいう。複数の金属化部分とは、物理的及び/又は電気的に相互接続されているか否か、及び/又はバスバーに接続されているか否かに関わらず、多数の個別のグリッド線を意味し得る。金属化部分は、片面型太陽電池の裏側によく見られるような金属化部分のブランケット層と見なすことはできない。
【0017】
デバイス211T4を反転もしくは回転させた際に金属材料がべとついたり、望ましくない影響を受けることを防ぐため、ダイレクト書込み金属材料を硬化させる目的でダイレクト書込み金属材料を十分な温度に昇温することが必要な場合、加熱装置260を設けてもよい。加熱装置は、誘導ヒータ、電気ヒータ、マイクロ波ヒータあるいは他の適切な加熱装置とすることができる。加熱装置は、処理システム230のコンベヤ235近傍に設けられ、デバイス211T4はコンベヤ235から離れることなく加熱装置260を通過できる。ダイレクト書込み金属材料を硬化するため、ヒータは金属材料をその特性に基づいた温度に昇温する。ダイレクト書込み金属化装置250によって布設された金属材料を硬化するのに必要な温度は120℃〜140℃であることが多い。但し、温度や熱量は使用材料に応じて変更できる。
【0018】
ヒータ260はコンベヤ235から離れた位置に配置されてもよい。この場合、処理システムはデバイス211T4コンベヤ235からを取り外し、加熱後に戻すための追加部品を含む。
【0019】
金属を支持する材料は、熱又は光(特に紫外線光)の存在下で重合あるいは機械的に安定化(液体から固体に変形)する化合物を含むことができる。布設された金属材料の一部を硬化させ、残りの処理フローの間形状を実質的に維持させるための光源を設けてもよい。
【0020】
ダイレクト書込み金属化処理はホットメルト材料を相変化ペーストの形で使用してもよい。例えば、ホットメルト材料が液体状態にあるとき、加熱された印刷ヘッドを通過し、基板上に配置され、あるいは基板と接触する際に固化もしくは冷凍される。基板は、半導体層の不活性化層及び/又は表面としてもよい。相変化ペーストとして、ホットメルト材料としてのワックスのほか、適切な金属材料が利用できる。
【0021】
デバイス211T5上の金属材料が硬化された後、デバイスは反転デバイス270により回転又は反転され、コンベヤ235上で裏表を返され、後続処理のために裏面を露出させる。反転デバイスは当該技術において公知である。デバイス211T5の裏面を処理するため、処理システム230は第二の非接触パターニング装置240'及び第二のダイレクト書込み金属化装置250'を備える。デバイス211T6の第二の表面は非接触パターニング装置240'により処理され、デバイス211T7はダイレクト書込み金属化装置250’により処理される。
【0022】
処理システム230は、必要に応じて、ダイレクト書込み金属化装置250'による処理の完了後、処理済みのデバイス211T8をコンベヤ235から取り外すための取外し機構280を含む。取り外されたデバイスはポスト金属化処理システム290へ搬送され、後続処理される。必要に応じて設けられる取付け機構220及び取外し機構280は、当該技術において周知の方法で動作する。
【0023】
ヒータ260と同様の加熱装置をダイレクト書込み金属化装置250'の前段に設けてもよい。デバイス211T8を完全に処理するためには、硬化温度(例えば120℃〜140℃)より高い温度(例えば約600℃〜900℃)に加熱されることから、このヒータは必要に応じて設けられる。従って、裏面の金属材料の硬化及びデバイス全体の最終的な加熱は、ポスト金属化処理システム290のヒータ構成によって単一の工程として行ってもよい。
【0024】
他の処理フローは、製造するデバイス、装置、及び処理システム中の装置構成に応じて利用できる。例えば、図3及び図4で説明する概念を応用した処理システムでは、反転デバイス270を設ける必要がない。
【0025】
処理システム230では、コンベヤ235は、デバイス211T1を非接触パターニング装置240、240'及びダイレクト書込み金属化装置250、250'へ平坦なベルト上で搬送するベルト型コンベヤ機構として説明されている。説明された一般的なシステムのベルト状コンベヤ235はあくまで一例であり、本出願を限定する意図はない。
【0026】
また、表面と裏面の両方が同時に露出されるようデバイス211T1を配置する方法もある。図3において、処理システム230はデバイス211T1が取り付けられるスロット236を設けたコンベヤ235aを含めて構成されてもよい。スロット236のサイズは、デバイス211T1が処理中に前後に移動したり、スライドしたりせずに確実に保持されるサイズである。スロット236の幅により、デバイス211T1に付与される張力の量が定まる。また、スロット236の深さは完全な処理のために十分なアクセスを可能とすべく選択される。スロット236の幅及び深さは、デバイス211T1の材料、サイズ及び厚さに応じて変更される。スロット236は、個別に画定された複数のスロット領域であってもよいし、単一の連続したスロットであってもよい。またベルト表面上に形成されてもよいし、ベルト内部に設けられてもよい。
【0027】
図4は、デバイス211T1が係合アーム238a、238bを有するオーバヘッドクランプ238に保持されるオーバヘッドクランプ型のコンベヤ237を示す。
【0028】
デバイス211T1を略垂直位置に位置決めすることで、デバイス211T1を反転させずに処理作業を行うことができる。従って、デバイスの両面に対し同時もしくは連続的に作業を行うことができる。例えば、非接触パターニング装置240及び240'を、デバイス211T1の両側に対向配置してもよい(ダイレクト書込み金属化装置250及び250'も同様に配置できる)。これらの装置は相互にオフセットされていてもよい。図4に示すように、オーバヘッドクランプ238が旋回し、処理装置がデバイス211T1の片側に配置され、デバイス211T1が回転される、オーバヘッドコンベヤを用いる方法を設計してもよい。
【0029】
図3及び図4のデバイス211T1は円形もしくは環状を有するものとして説明したが、本出願の概念は正方形や略正方形の構成にも同様に適用できる。
【0030】
図2では、非接触パターニング装置240は不活性化層215に穿設される複数の開口部217を画定する。半導体ウエハ212の表面213上の前記1つ以上の領域の対応する1つが各開口部217から露出される。このような処理の結果を図5に示す。非接触パターニング装置240は、金属化に先立ってクリーニングやその他の処理を必要とせずに、基板212の表面部分213Aを露出する開口部217を形成するために、不活性化層215の一部を除去する(取り除く)に足るエネルギーのレーザパルスLPを生成し得る、レーザベースのアブレーション装置であってもよい。レーザアブレーションを使用することの利点は、アブレーション完了後に、ウエハ212を水洗・乾燥する必要がない点にある。
【0031】
開口部を形成することが可能な粒子線生成装置あるいは他の適切な装置を、レーザベースのパターニングに代えて使用してもよい。非接触パターニング装置240'がデバイス211T5の裏面を処理する際、デバイスの裏面に同様の配置の開口部217’を不活性化層215’に穿設してもよい。説明の便宜上、個別の図は提供されない。また、両面の処理については図2に示す。
【0032】
あるいは、有機ビヒクルにガラスフリットを含むことができるソーラーペーストを用いてもよい。加熱の際に有機ビヒクルは分解し、ガラスフリットは軟化し、不活性化層表面を溶解し、半導体層への通路を作製する。
【0033】
なお、半導体層を金属部分(接触部分、グリッド線など)に接続するために利用される実施形態では、例えば、ドープ領域における位置ずれや開口部の不完全な形成などの製造上の不具合により、意図されていた結合の全てが形成されないという状況が発生する。従って、接続は、実際には全ての意図した接続、あるいはそれよりいくらか少ない数の接続が形成されることを意味する、選択的接続とみなすことができる。
【0034】
図6に示すように、非接触パターニング装置240及び240'は、走査タイプのレーザ装置240-1を含む。該レーザ装置240−1では、レーザ310により生成されたレーザパルスLPがビーム調節光学320によって回転鏡330に向けられ、且つ適切な走査レンズ340を通過し、レーザパルスLPが、不活性化層215,215'(例えば窒化ケイ素)上の所定の走査パターンに方向付けられる。レーザ装置240-1は、ゼログラフィーの印刷エンジンにおいて光受容体上に静電画像を書き込む際に使用されるものと同様の装置である。このようなレーザ処理ツールは、毎秒1層台の半導体層を作製する処理能力を有する。この印刷速度は、低速から中速の範囲のレーザプリンタの印刷速度に匹敵する。スポットサイズ(開口部217、217'の平均直径D)は、除去された各接触開口部217、217'のサイズを決定する。このサイズは、一般的に直径5〜50ミクロンである。
【0035】
レーザベースの非接触パターニング装置240-1は、レーザが、レーザエネルギーが不活性化層中の原子をイオン化するに足る強度の電場である十分な力に収束することが可能な、フェムト秒レーザを含む。これにより、レーザの光子エネルギーが誘電性不活性化のバンドギャップ・エネルギーよりも小さい場合であってもエネルギー吸収が可能となる。従って、不活性化材料が除去される際に発生するデブリスが減少し、あるいは微細化される。発生するデブリスは、デバイス上に再度付着しないよう、気体を流動させて除去することができる。
【0036】
図1及び図2において、第一のすなわち上側の不活性化層215のパターニングが完了すると、デバイス211T2は、ダイレクト書込み金属化装置250の真下の位置にコンベヤ235により搬送される。当該位置において、ダイレクト金属化装置250は各開口部217へ少なくとも接触(金属化)部分218を設けるために利用される。接触部分218は電流を伝える導電性(金属化)グリッド線219から、ウエハ212に形成された拡散領域への電気接続を促進する。金属化処理が完了すると、ダイレクト書込み金属化装置250によって設けられた金属材料を硬化すべく、デバイス211T4はヒータ260により硬化温度(例えば120℃〜140℃)に昇温される。次いで、デバイス211T5は反転装置270により反転され、デバイス211T6の第二のすなわち裏面を呈し、裏面が非接触パターニング装置240'により処理される。デバイス211T7は、非接触パターニング装置240及びダイレクト書込み金属化装置250に関して上述した方法でダイレクト書込み金属化装置250により処理されるべく呈示される。
【0037】
デバイス211T8は、ポスト金属化処理システム290にデバイス211T8を搬送するための、必要に応じて設けられるウエハ取外し機構280に移動される。よって、本実施形態では、開口部217'、接触(金属化)部分218'、電流を伝える導電性(金属化)グリッド線219は、デバイス211T1〜211T3の第一の側すなわち上側に関して記述した方法と同様にして形成される。本実施形態でデバイス211の表面及び裏面に同様の処理を行うとしても、このことは必要でない。更に、開口部217及び217'、接触部分218及び218'、導電性グリッド線219及び219'は、デバイスの各側で対応するパターン及び位置に配置される必要はない。各側で金属化に使用される材料は同一でなくともよく、むしろ、異なる材料を使用することが一般的である。
【0038】
図7は、ダイレクト書込み金属化装置250から不活性化層215に形成された各開口部217へ接触材料CMを連続的に布設するところを図示したものである。接触部分218は、基板212の露出部分213A上に直接形成される。接触部分218は必ずしも開口部215を充填しない。接触部分218は、シリコン中で緩慢に拡散するケイ素化合物形成金属を含んでいてもよい。この目的に適合するとみなされる金属の例としてニッケル(Ni)、コバルト(社)及びチタン(Ti)が挙げられる。これらの金属は銀よりも安価であり、30以上の係数分低い接触抵抗を可能とする。デバイスのn型エミッタ接触については、金属は、軽くドープされたn型シリコンに対し低いバリアの電気接触を形成することで知られる希土類元素の中から選択されてもよい。インクもしくはペーストを支持するケイ素化合物形成金属は、必要に応じて布設した金属に適用される熱処理工程の間に接触領域に追加のドーピングを行うためのリンあるいはホウ素などのドーパントを含んでいてもよい。インクもしくはペーストを支持するケイ素化合物形成金属、必要に応じて金属のナノ微粒子を含んでいてもよい。金属粒子のサイズを小さくすることで、インク中への粒子の分散及びシリコンとの反応性の両方が改善される。
【0039】
図8は、接触部分218上で導電性プラグ219Lを形成するために、第二の(比較的導電性の高い)金属MMを開口部215へ布設し、必要に応じて第二の金属を不活性化層215上に布設して金属線219Uを形成し、導電線219を完結させる、第二の布設ヘッドあるいはノズルを含むダイレクト書込み金属化装置250の処理を図示したものである。第二の金属MMは、シリコン上にケイ素化合物を形成する能力を有するゆえに選択されるのではなく、第二の金属MMが導電性を有し、一般的に接触金属CMと比べて導電性が大きいという点で選択される点で接触金属CM(上述)とは異なる。第二の金属MMは、廉価でありながら導電性に優れ、固化が容易な銅を含む。銅が接触金属CMとして使用され、ウエハ212へ拡散させると、銅はデバイス内に再結合中心を作製し、セル性能を低下させる。従って、電流を伝える導電性グリッド線219が、シリコン/金属界面に配置されるケイ素化合物接触構造218(例えばニッケル・ケイ素化合物)と、接触金属218上に形成された低抵抗導体219L/219U(銅など)の両方を含むことが望ましい。ニッケル・ケイ素化合物接触構造218は、銅導電性プラグ219Lによるシリコン汚染を防ぐための拡散バリアとして作用する。Ni源はナノ相Niの懸濁粒子からなるインクである。デバイスの上面に関する図7及び図8に示す処理は、デバイス211T5の低い面すなわち裏面への処理にも同様に当てはまる。
【0040】
接触開口部217を形成した直後に金属化を行うことで、露出部分213Aの空気接触が制限されるという更なる利点がある。空気との接触が短いと、酸化シリコン層の形成が防止される。酸化シリコン層が形成されると後続して作製されるケイ素化合物の形成に干渉する。加熱装置260による硬化加熱に続いて例えば図2のポスト金属化処理290中にデバイスを加熱することで、インク又はペーストの残留揮発性成分が追放される。次いで、必要に応じて水素や形成気体などの還元環境に配置することによるデバイスの温度サイクルにより、接触が完了する。
【0041】
本出願のダイレクト書込み金属化装置は、不活性化層の各開口部内に、所定のパターンでシード層金属化材料(例えばNi、Cu、Ag)を印刷し、1層以上のシード層を形成してもよい。コンベヤから取り外された後、デバイスにめっき処理が施される。めっき処理により導電線が既知の技術によりシード層に形成される。これにより、両面受光太陽電池の組立てに特に適した、本質的に自己整合された処理が行われる。シード層の金属化材料はジェット印刷、燃焼、次いで追加の金属によりめっきされてもよい。両面セルを形成するため、このような処理はデバイスの両側に施される。
【0042】
以下の例示的実施形態に示されるように、ダイレクト書込み金属化装置は、インクジェット方式の印刷ヘッド又は押出方式の分配ノズルであってもよい。このような非接触型のダイレクト書込み金属化装置を非接触パターニング装置のすぐ後段に配置することにより、高価で時間のかかる位置合わせ工程を経ずに、形成されたばかりの接触開口部上に金属化が適切に配置されることができる。
【0043】
図9は、デバイス(例えば211T2、211T5)の両側に接触構造218と導電線219とを印刷するためのインクジェット型印刷装置250-1の斜視図である。印刷支持構造480に取り付けられた印刷アセンブリ450と制御回路490(コンピュータ)/ワークステーションとして図示されている)を含む印刷装置250-1は、デバイス211T2(211T5)を支持するコンベヤ235(部分的に図示される)上に取り付けられる。
【0044】
印刷アセンブリ450は印刷ヘッド430、及び固定取付け台460に取り付けられた任意のカメラ470(高倍率)を含む。印刷ヘッド430は、イジェクタ・ベース431に取り付けられた1つ以上のイジェクタ440を含む。イジェクタ440はデバイス211T2上に流体又はペーストの形状の適切な金属化材料の小滴を分配すべく構成されている。
【0045】
制御回路490は、印刷支持構造480に適切な制御信号を供給するための下記方式に従って構成される。データソース491は、インラインセンサ、ネットワーク化されたコンピュータ、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を介して接続されたパターンデータベース、あるいはCD-ROMやその他の取出し可能な記憶媒体などからの入力を含む、データソースを含むことができる。コンピュータ/ワークステーション490から供給される制御信号は、デバイス211T2に関連して変換されると、印刷ヘッド430の動作及び印刷動作を制御する。
【0046】
印刷動作は、印刷支持構造480、コンベヤ235、あるいはその両方によって提供されることができる。コンピュータ/ワークステーション490は、必要に応じて、カメラ470から画像形成データを受け取り、処理するために接続されていてもよい。カメラ470は、印刷装置250-1のための手動もしくは自動較正性能を有していてもよい。
【0047】
デバイス211T2に対し印刷装置250−1を適切に較正・位置決めするsことにより、金属化パターン(例えば、接触部分218及び金属部分219L、219U)が不活性化層215に形成された開口部217と正確に位置合わせされる。装置の較正は、印刷ヘッドのイジェクタ位置に対し相対的に固定された光学軸位置を有するビデオカメラ顕微鏡(カメラ470など)により行うことができる。また、印刷装置250-1などの印刷装置は、デバイス211T5の処理(すなわち裏面)に使用できる。
【0048】
図10は、ウエハ211T2上に接触構造218及び導電線219の少なくとも1つを印刷するための押出型分配装置250-2を示す。押出型分配装置250-2はデバイス211T2を支持するコンベヤ235上に取り付けられ、分配ノズル510、必要に応じて設けられる硬化成分520及び必要に応じて設けられる急冷成分530を含む。分配ノズル510は1つ以上の開口部515を含み、2種以上の金属化材料(例えばケイ素化合物形成金属ペーストと高導電性金属ペースト)を同時に塗布するように構成されている。材料は、分配ノズル510を通じて、1つ以上の開口部515中に材料が押し出される(例えば絞出される)押出及び/又は引出技術(例えば加熱及び冷却)及び/又は(真空などにより)引き出されることにより塗布される。ノズル510は、マイクロ機械加工することにより個々の材料を受け取り収束させる種々のチャネル及び構造を有する。ノズル510は、ノズル510内で材料を合流させ、単一の流れとして開口部515から分配させるためのN(Nは1以上の整数)本のチャネルを含んでもよい。N本のチャネルの各々を異なる材料の導入に用いてもよいし、及び/又は略同一の材料の導入に多数のチャネルを使用してもよい。ノズル510が単一のチャネルを含む場合、異なる材料は同一及び/又は異なるポートから該チャネルに導入することができる。各チャネルは、ノズル510の長さ(例えば全長もしくはその部分集合)方向に延出してもよい。材料を合流させる前に流速を安定化させる層流を形成するために、N本のチャネルのうち1本以上はノズル510の長さより短く、但し入口の長さよりも長くしてもよい。このような構成は、強反応性イオンエッチングやウエハ・ボンディングなどの既知の超微細加工技術により形成できる。
【0049】
層流を形成するようにノズル510を作製することにより、材料がノズル510を通って開口部515から排出される際の材料の混合が低減及び/又は最小化される。また、N本のチャネルは、材料がノズル510からデバイス211T2へ移動する際の材料の表面張力を打ち消す形状とされていてもよい。
【0050】
チャネルは各々独自の形状を有していてもよいし、同一及び/又は非同一形状など同様の形状であってもよい。インクジェット方式の印刷装置と同様に、ノズル510は所望の金属化構造を形成するため、材料を分配する際にデバイス211T2上を移動してもよい。押出後、分配された材料が混合する傾向があるが、硬化成分520及び/又は急冷成分530によりこの傾向を制限できる。例えば、硬化成分は、分配される材料がノズル510から排出される際に熱、光、及び/又は別の手段により材料を硬化させるために使用されてもよい。急冷成分530は、ウエハ212を冷却し、押出直後の分配された材料を冷却・固化するために使用されてもよい。
【0051】
また、デバイス211T5(すなわち裏面)の処理の際に、押出型分配装置250-2のような押出型分配装置を使用してもよい。
【0052】
図11に、ウエハ212及び/又は不活性化層215の表面に接触層(218A又は218B)と、接触層218A/B上に設けられる1つ以上の導電性金属層(219A又は219B)を同時に布設するための分配ノズル510-1を備えた押出分配装置が示されている。グリッド線の各層は、同時押出成形される高アスペクト比金属(例えば2:1〜10:1及びこの範囲のサブ範囲)である。これにより、金属材料の被覆範囲がデバイス211T8の総表面積の10%〜4%未満とすることが可能となる。
【0053】
図11は、2種以上の異なる材料をウエハ212及び不活性化層215上に塗布するノズル510-1を図示している。ノズル510-1は、材料(接触材料CMと金属材料MM)を合流させるための層流を促進するチャネルを含むマニホルド620を有する。材料はマニホルド620中の各チャネルに入り、材料の混合を防止しながら別々の材料の単流を形成する(材料と材料の接触)。チャネルは材料をマニホルド620に導入するために使用されるポート636又はポート638のいずれかと関連付けられている。異なる2種の材料は、隣接するチャネルに異なる材料が導入されるよう、挟み込む方式でマニホルド620へ導入される。材料は、対応するチャネルを通じて移動し(例えば押す、引くなどの技術により)、マニホルド620内の層流下で合流し、材料の単流を形成する。材料の単流はウエハ212又は不活性化層215上の開口部515を通って押し出される。
【0054】
図12Aは、ノズル510-1(図11)を使用して押し出された高アスペクト比グリッド線219Aの断面の端面を示す。グリッド線219Aは、比較的狭幅で比較的高さを有する(すなわち、不活性化層/ウエハから離れる方向に延在する)長尺の中央金属構造219A-1と、該中央金属構造219A-1の片側もしくは両側に形成された透明支持体219A-2を含む。中央金属構造219A-1は、銅、銀、アルミニウムなどの高導電性金属を含み、透明支持体219A-2は、透明性及びデバイス面への付着性を最適化した低溶融性ガラスを含む。図示しないが、個々の印刷ヘッドはグリッド線219Aの押出し前に各接触開口部内部の接触構造を印刷するために利用されてもよい。この構造により、デバイス両側に入射する太陽光の妨げを最小限とすることのできる両面受光態様電池デバイスを製造することが可能となる。グリッド線基板の界面(すなわち接触開口部内及び不活性化層215上)に布設されるニッケル保持ペーストを含む接触部分218A、及び上部219Aは、銅、銀、アルミニウムなどのより導電性の高い金属からなる。
【0055】
図12Bは、高アスペクト比グリッド線219Bの断面の端面を示す。高アスペクト比グリッド線219Aと同様に、グリッド線219Bは、中央金属構造219B-1と、該中央金属構造219B-1の片側もしくは両側に形成された透明支持体219B-2を含む。但し、グリッド線219Bは、更に、中央金属構造219B-1及び透明支持体219B-2と同時押出形成され、これらの下部に位置する1つ以上の長尺の接触金属層218B-1及び218B-2を含む。接触金属層218B-1及び218B-2は、例えばケイ素化合物形成金属(あるいは、処理後に金属などからケイ素化合物が形成される)を含む。
【0056】
図13は、第二のノズル510-2、及び接触形成金属部218B、導電性金属部分219B、及びハンダぬれ材料SWにより形成される多層積層体を含む第二のグリッド線を示す。これらの材料は、それぞれ開口部515-21、515-22及び515-23を通って押し出される。これらの層はいずれも二重機能を有していてもよい。例えば、銅は高い導電性を有し、また固化も容易である。他の同時押出構造と同様に、完全に押し出すために、グリッド線の片側もしくは両側に高アスペクト比金属部分を支持するための透明もしくは犠牲構造を必要に応じて含んでいてもよい。犠牲支持構造を用いることで、支持構造は金属化部分の燃焼の際に燃え尽きてもよい。
【0057】
本願明細書に記載されたダイレクト書込み金属化装置を使用すると、表面の金属化領域(例えばグリッド線、バスバー、接触部分)は、デバイスの総表面積の10%未満〜4%とすることができる。
【0058】
ダイレクト書込み金属化装置(すなわちインクジェット方式の印刷装置250-1及び/又は押出型分配装置250-2)により接触開口部上に塗布された金属化部分は、後続の熱処理を行った後、モジュールアセンブリ用のタブやストリングを設けるための、完全なセル金属化部分として作用してもよい。タブを設ける代わりに、セルを可撓性のある裏面へ結合させてもよい。
【0059】
接触開口部217及び217'を直線的に配置する代わりに、グリッド線とN型核酸領域にとの間に接点を提供する際に利用されるレーザパルスLPにより開口部を連続的に直線的に形成してもよい(図示せず)。
【0060】
図14は、ウエハ212-1の上面に形成された連続的なN型拡散領域214-1とウエハ212-1の下面に形成された連続的なP型拡散領域214-2との間に配置されたp型の単一結晶シリコンウエハ212-1を含む、両面光電デバイス211-1を図示したものである。不活性化層215-1は拡散領域214-1上に形成され、不活性化層215-2は拡散領域214-2上に形成される。公知の技術により、ピラミッド状の光トラッピング構造215ー1Aが上側の不活性化層215-1の表面に形成され、ピラミッド状の光トラッピング構造215ー2Aが下側の不活性化層215-2の表面に形成されている。電流を伝える導電性グリッド線219-1及び219-2が不活性化層215-1及び215-2上にそれぞれ形成される。グリッド線219-1及び219-2は、例えば接触部分218及び218'、より低い金属導電プラグプラグ219L、219L'、金属グリッド線部分219U、219U'を含むべく、上述の任意の方法によって形成される。なお、グリッド線219-1及び219-2は、不活性化層215-1及び215-2の表面上に概ね延在する一般的に狭い平行な金属線である。
【0061】
図14はp-pn接合デバイスとして図示されている。上記説明は、本発明の教示に従って製造される両面セルのタイプを制限する意図はない。本発明の概念は、他の太陽電池構造(例えばホモ接合、ヘテロ接合、p-i-n/n-i-p、マルチ結合)にも同様に適用できる。更に、本発明の両面セルではセルの両側に接触点を設けたが、本出願に記載される概念は片側にのみ接触点を設けた両面セルにも同様に適用できる。
【0062】
太陽電池の製造コストが高いのは、半導体シリコン層のコストが高いことに起因する。可能な限り薄い半導体シリコン層を使用することが望ましい。既存のセルでは、半導体層の厚みは250〜300ミクロンである。本出願では非接触とすることを構想としているため、150ミクロンから100ミクロン、あるいは更に薄い半導体層を使用することも可能である。
【0063】
このような薄膜半導体層が使用される場合、問題が生じる。ほぼ全ての処理方法で薄膜半導体シリコン層が使用される場合、望ましくない影響が生じる。単面の正方形の太陽電池1000は、金属グリッド線1002を片面に設けている。布設されたグリッド線1002の熱膨張率は、半導体層1004の膨張係数と一致しない。このため、図16の平面図に示すような半導体層1004の撓み(湾曲やその他の変形)が発生する。半導体ウエハの厚みが薄すぎる場合、半導体層1004の縁部は平面から引き上げられる。
【0064】
材料間の熱膨張率が一致しない場合には、このことは両面にグリッド線を有する両面セルにも発生する。例えば、既存の両面セルでは、片方の面(例えば、頂部金属)に銀が用いられ、他方の面(底部金属)にアルミニウムが用いられるのが一般的である。アルミニウムと銀は、半導体層のシリコンと同様に、熱膨張率が大幅に異なっていることから、薄い半導体層(例えば厚みが約150ミクロン以下のシリコン)が使用される場合には撓み(湾曲)が発生する。半導体層のタイプ及び金属材料によっては、150ミクロン以上の厚みを有する半導体層であっても湾曲が生ずることがある。
【0065】
この問題に対処するため、上面と下面のグリッド線の機械的モーメントを等しくした両面セルが開発されている。機械的モーメントが一致すると、半導体層は現在可能な薄さよりも薄くでき、撓みも防止できる。図17の両面セル1008では、半導体層1010の厚みは約150〜100ミクロン以下である。半導体層1010の上面に設けられる材料1012と、層1010の底面に設けられる材料1014とが十分に一致する熱膨張率を有すると、半導体層を湾曲されずに保つために、相互に十分に打ち消しあう打ち消し力が発生される。
【0066】
熱膨張率が著しく異なる金属を両面セルの両側に用いる場合、例えば、一方の面の金属材料として銀を用い、他方の面の金属材料としてアルミニウムを用いる場合、本出願は応力を均等に逃がす方法を提供する。図17に点で図示された層1018で示されるように、銀(あるいは他の適切な金属)の第二の層をアルミニウム層(例えば1014)上に配置してもよい。層1016の量は、上部金属化部分(1012)の機械的モーメントが底部金属化部分(1014、1016)と十分等しくなるよう選択される。
【0067】
シリコンの熱膨張率係数は2.8x10-6/度である。大多数の金属は本質的に伸縮性が高い。表面エミッタ接触グリッド線として一般的に用いられる銀の熱膨張率は18.9x10-6/度である。ブランケットコレクタ金属化に一般的に用いられるアルミニウムの熱膨張率は23.1x10-6/度である。850度台の温度で金属を燃焼させた場合、アルミニウムは液化し、あるいは軟化する。応力は冷却期間に蓄積される。金属構造体は、シリコンと比べて収縮し、引張り応力を生じようとする傾向が高い。このことは、概ね裏面全体を被覆するアルミニウムのブランケット層(例えば厚みが20ミクロン以上)を用いるセルで発生する。これは、表面金属化と比べ大幅に大きな機械的モーメントを有する。これにより、シリコン層はアルミニウム側に湾曲する。層の表面上のグリッド線が約10%を被覆すると、表面上の銀の機械的モーメントは裏面のアルミニウムの機械的モーメントと比較して10倍以上小さい。半導体層の薄化が進むと、湾曲の問題は深刻化する。
【0068】
本実施形態では、接触領域が小さく、またブランケット金属化を必要としない。裏面の金属を分割させ、ブランケット層ではなくグリッド線及びバスバーを形成することで金属量を90%以上減少できる。よって、表面層と裏面層の機械的モーメントは同等である。機械的モーメントは、下記処理手順の1つ以上により更に近く合致させることができる。(1)半導体層の両側のそれぞれの金属の幅は、機械的モーメントを均等化すべく調整できる。(2)半導体層の両側のそれぞれの金属の厚みは、機械的モーメントを均等化すべく調整できる。(3)半導体層の両側のそれぞれの金属の体積は、機械的モーメントを均等化すべく調整できる。(4)例えば半導体層の裏面で多層金属化を行う場合、半導体層の表面側で銀金属化部分に対する所望の組合せの機械的モーメントを生ずるべく、アルミニウムーニッケルー銅を積層した金属化を行ってもよい。これらの実施形態のうち他の実施形態は、以下の事実を利用する。すなわち、(a)半導体層の表面と裏面の線が主として銀などの同一金属で形成されており、容量が略同一である場合、機械的モーメントは略同一となること、ならびに、(b)銀はアルミニウムよりも導電性において優れている、という事実である。
【0069】
図18に示すように、個々の太陽電池を両面受光構成に組み込んでもよい。図18のモジュール1100は、表面すなわち被覆1102と、ガラス又はプラスチックなどの透明層を有する。層は、テフゼル(Tefzel:商標)などの変性ETFE(エチレン-テトラフロオルエチレン)フルオロポリマーとしてもよい。複数の両面受光太陽電池1106の片面側にエチレン酢酸ビニル(EVA)などの透明ラミネート層1104が設けられ、セルストリング中の接続する両面受光太陽電池1106を相互に連結させる(1108)。セルストリングは直列、並列あるいは直列/並列のセル接続であってもよい。裏面は、その外側表面に反射体1112を支持するプラスチック層又はガラス層1110を含む。反射体1112は、マイラーシートなどに塗布された、ガラス層又はプラスチック層1110上の金属鏡である。反射体1112がプラスチック層又はガラス層1110の外側表面上に設けられる場合、金属鏡は環境安定性を図るための防護壁1114で被覆されていてもよい。
【0070】
層を圧縮・加熱することでプラスチックラミネート層1104が溶解し、層を凝固させて単一モジュールを形成する。
【0071】
反射体1112を挿入することで、表面1102から入射する光が太陽電池1106の裏面側へ反射されることが可能となる。反射体1112は、モジュールを通じて光を両面受光太陽電池へ反射するためのサイズとされ、配置される。モジュールは、同一平面上で水平方向及び垂直方向に伸びる多数の太陽電池を含んでいてもよい。従って、反射体は、モジュールの両面受光太陽電池の裏面全体あるいは少なくとも大部分へ光を反射できるものであってもよい。
【0072】
図19は両面受光太陽電池モジュール1120を示す。表面層1102、ラミネート層1104、太陽電池1106及びコネクタ1108は図18の配置と同様に配置される。但し、透明絶縁体1120は、ラミネート層1104のうちの1層と、プラスチック又はガラスとすることのできる裏面層1124の内側面に支持される反射体1122との間に設けられる。金属鏡1122はセルストリングの短絡を防ぐため、透明絶縁層1120により太陽電池1106のアレイから分離されている。透明絶縁層1120は、太陽電池のストリングが鏡を通じて溶解したり、鏡と短絡することを防ぐため、他の積層材料(EVAなど)と比較して高い融点を有するよう選択される。あるいは、隣接セル間に導電パスが存在しないように金属をパターン化してもよい。
【0073】
図20のモジュール1130は、表面1132が従来のガラスであり、裏面1134がいずれかが反射性を有する単一層もしくは多層フィルムから成る構成である。金属基板の場合でも、ガラス基板と同様のことがいえる。反射面は複数の誘電体層1134a、1134b、1134nを用いて製造できる。反射面は、太陽電池によって電気に変換できない波長を有する光を伝達することを意図されている。多くの例において、太陽スペクトルの長波長部分は太陽電池の各層に吸収されなくてもよい。長波長部分が太陽電池に反射されれば、太陽電池を望ましくない温度に加熱する結果となる。セル効率は、セルの温度上昇に伴って低下する。温度が1度上昇すると、効率が低下する。多数の誘電体層が、モジュールの動作温度を下げるべくダイクロイック「コールドミラー」として機能する。太陽スペクトルのうち、電気エネルギーに効率的に変換される性能を有する波長のみが太陽電池1106の裏面側へ反射される。ダイクロイックミラー層が多層構造体の一部である場合、モジュールの長期間にわたる構造安定性を高めるべく、システムの他の層は透明層として設計してもよい。
【0074】
両面セルは、電子と孔との再結合を低減するため、結晶シリコンウエハに対するアモルファスシリコン面不活性化として構成された不活性化層を有する構成であってもよい。金属化方式は、透明導電酸化物(限定はされないが、ITOなど)を両側に含んでもよい。このようなセルは、動作上三洋コーポレーション社のHITセル設計と類似の設計を有するセルとすることができる。この設計では、太陽電池構造に使用される金属ペーストは、アモルファスシリコン中の水素化除去を行わずに金属グリッド線の形成を可能とする、硬化温度が400度未満の硬化性材料であろう。
【0075】
反射体は均等拡散反射体あるいは鏡のような反射体であってもよい。両面モジュールは、プラスチック積層表面層及びガラス裏面層を用いて設計してもよい。
【0076】
本出願の各種態様は、特にアモルファスシリコン、CdTe(テルル化カドミウム)あるいはCIGS(銅インジウム・ガリウム・ジセレニド)などに形成されるウエハ上の光電デバイスの製造にも利用できる。同時押出しに関して説明したが、単独押出しも利用できる。本発明の特徴は他の実施形態にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】光電デバイスを製造するための簡単な方法を示すフロー図
【図2】光電デバイスを製造するためのアセンブリを示す簡略図
【図3】スロット入りの、ウエハ運搬用コンベヤシステムを示す図
【図4】オーバヘッドクランプコンベヤ構成を示す図
【図5】両面光電デバイスの一部を示す斜視図
【図6】レーザベースのパターニング装置を示す平面図
【図7】両面光電デバイスの一部を示す斜視図
【図8】両面光電デバイスの一部を示す斜視図
【図9】インクジェット方式の印刷デバイスを示す斜視図
【図10】押出型分配装置を示す側面図
【図11】押出ノズルを示す横断面図
【図12A】光電デバイスに形成されたグリッド線の横断面図
【図12B】光電デバイスに形成されたグリッド線の横断面図
【図13】簡略化された押出ノズルと多層のグリッド線の横断面図
【図14】両面光電デバイスを示す図
【図15】金属グリッド線を有する片面セルの側面図
【図16】湾曲効果を有する、図15の太陽電池を示す図
【図17】頂面と底面の金属形成間の金属拡張係数が等しい、太陽電池上の金属形成を示す図
【図18】両面光電デバイスモジュールの簡略断面図
【図19】別の両面光電デバイスモジュールの簡略断面図
【図20】別の両面光電デバイスモジュールの簡略断面図
【技術分野】
【0001】
本発明は、光放射を電気エネルギーに変換することに係り、より詳しくは、両面光電デバイス(例えば両面受光太陽電池)の製造方法及びツール、ならびに太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する両面デバイス(例えば両面受光太陽電池モジュール)の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
光放射を電気エネルギーに変換する装置を製造するための技術は従来種々提案されている。
【0003】
本発明に関連する技術として、特許文献1〜3等が挙げられうる。
【特許文献1】米国特許第2789731号
【特許文献2】米国特許第3159313号
【特許文献3】米国特許第4254894号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来技術の問題点の多くを効果的に解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の態様は、第一の面と第二の面とを有する半導体層と、前記半導体層の前記第一の面に形成される第一の不活性化層、及び前記半導体層の前記第二の面に形成される第二の不活性化層と、前記第一及び第二の不活性化層に形成されると共に、前記半導体層の前記第一の面及び前記第二の面に選択的に接続された複数の金属化部分と、を有する両面セルを含み、少なくとも一部の金属化部分が、比較的狭幅で比較的高さのある、前記第一及び第二の不活性化層から上方向に延出する長尺の金属構造体を含むことを特徴とする、両面受光構成を提供する。
【0006】
本発明の第二の態様は、上記第一の態様において、更に、相互に電気的に接触して両面受光太陽電池モジュールを形成する複数の両面セルと、両面受光太陽電池の裏面へ光を反射させることを可能とした構造と一体に形成されるガラスもしくはプラスチック層上の反射体と、を含むことを特徴とする受光構成を提供する。
【0007】
本発明の第三の態様は、上記第二の態様において、前記両面セルは、プラスチック積層板表面層及びガラス裏面層を備えた両面セルモジュール内に形成されることを特徴とする受光構成を提供する。
【0008】
本発明の第四の態様は、上記第一の態様において、前記半導体層の厚みが約150ミクロン以下であり、前記第一及び第二の面上の金属化部分は略同一の機械的モーメントを有することを特徴とする受光構成を提供する。
【0009】
本発明の第五の態様は、上記第一の態様において、前記金属化部分は前記第一及び第二の面の10%未満を被覆することを特徴とする受光構成を提供する。
【0010】
本発明の第六の態様は、半導体層と、1つ以上のドープ領域と、第一の面と、第二の面と、前記第一の面及び前記第二の面上に配置された複数の導電線とを含む両面光電デバイスの製造方法であって、前記方法は、前記半導体の前記第一の面及び前記第二の面の各々にブランケット不活性化層を形成することと、前記半導体層の前記ドープ領域と接触する前記導電線を布設するダイレクト書込み金属化装置構成を使用することと、を含む方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願明細書では、「上」「下」「側」「前」「後」などの方向に関する用語は説明のための相対的な位置を示すものであり、絶対的な枠組みを指定することを意図していない。
【0012】
本願明細書に記載された半導体材料は、半導体層と呼ばれることもある。この用語及びこれに類する用語は、太陽放射熱を吸収し電気エネルギーに変換するための、太陽デバイスで用いられる材料として広義に解されることを意図している。太陽デバイスは特に太陽電池、光電池(photovoltaic cell, photoelectric cell)とも呼ばれる。半導体層(及びそれに類する用語)とは、特に、両面太陽デバイスを含む太陽デバイスの作製に使用されるウエハを始めとする薄膜材料を含むものと解されたい。
【0013】
図1は、当該技術で公知の、半導体層のドープされた拡散領域と、その上に設けられる第一及び第二の不活性化層を有するデバイスを形成するステップ110から開始される。ステップ120で、非接触パターニング装置により、デバイスの第一の表面上の第一の不活性化層に開口部が画定される。ステップ130で、ダイレクト書込み金属化装置を用いて、第一の不活性化層に画定された開口部を通じて、ドープされた溶解領域上の第一の半導体層表面に接触構造を布設する。ステップ140で、半導体層は、第一の表面側に布設された接触構造を硬化させ得る温度に加熱される。これによりデバイスを反転させたり回転させたりしても、布設された接触構造材料に不都合な影響が及ばない。
【0014】
布設された接触構造を硬化させるためにいったん半導体層が加熱されると、ステップ150で、デバイスが反転あるいは回転されて裏面の処理に移る。ステップ160で、別の非接触パターニング装置を使用して第二の不活性化層の開口部を画定する。ステップ170で、別のダイレクト書込み金属化装置を用いて、第二の不活性化層の画定された開口部を通じて、ドープされた拡散領域上の第二の半導体層表面上に接触構造を布設する。
【0015】
図2では、両面光電デバイスを製造するシステムについて更に詳細に説明する。半導体ウエハ212の上面213及び下面213'は、1つ以上のドープされた上面領域214及びドープされた下面領域'214を含む(図2ではドープ領域214'の全体を図示していないが、ドープ領域213と同様の構成を有する)。上面213のドープ領域214にブランケット不活性化層215が形成され、下面213'のドープ領域214'にブランケット不活性化層'215が形成される。一般的に光電デバイスは「デバイス211」として識別され、処理サイクルの各段階において、デバイスの現在の処理段階を示す接尾辞を付して表される(例えば、取付け前あるいは取付け中のデバイスは、処理サイクルの比較的初期の時点を示す、接尾辞「T1」を付して「デバイス211T1」として表される)。デバイス211T1にドープ領域214、214'及び不活性化層215、215'を設ける作業は、周知の処理技術により実施される。また、デバイス211T1の製造に利用された設備を、ウエハ処理システム210として図2に示す。
【0016】
デバイス211T1は処理システム(ツール)230の、デバイス211T1をコンベヤ235に搭載するための任意の取付け機構220へ移される。処理システム230は、コンベヤ235の搬送方向(例えば図2の右方向)に直列に配置される、少なくとも1つの非接触パターニング装置240及び少なくとも1つのダイレクト書込み金属化装置250を含む。本願明細書でいう「ダイレクト書込み金属化装置」とは、半導体層の金属化が必要な箇所にのみ金属化材料を射出、押出又はその他の方法にて布設する(すなわち、金属化材料の一部を除去するために後続のマスク処理及び/又はエッチング処理を必要としない)装置をいう。金属化部分とは、例えば太陽電池の構成において単独もしくは組み合わせて用いられる、グリッド線接触部分及び/又はバスバーをいう。複数の金属化部分とは、物理的及び/又は電気的に相互接続されているか否か、及び/又はバスバーに接続されているか否かに関わらず、多数の個別のグリッド線を意味し得る。金属化部分は、片面型太陽電池の裏側によく見られるような金属化部分のブランケット層と見なすことはできない。
【0017】
デバイス211T4を反転もしくは回転させた際に金属材料がべとついたり、望ましくない影響を受けることを防ぐため、ダイレクト書込み金属材料を硬化させる目的でダイレクト書込み金属材料を十分な温度に昇温することが必要な場合、加熱装置260を設けてもよい。加熱装置は、誘導ヒータ、電気ヒータ、マイクロ波ヒータあるいは他の適切な加熱装置とすることができる。加熱装置は、処理システム230のコンベヤ235近傍に設けられ、デバイス211T4はコンベヤ235から離れることなく加熱装置260を通過できる。ダイレクト書込み金属材料を硬化するため、ヒータは金属材料をその特性に基づいた温度に昇温する。ダイレクト書込み金属化装置250によって布設された金属材料を硬化するのに必要な温度は120℃〜140℃であることが多い。但し、温度や熱量は使用材料に応じて変更できる。
【0018】
ヒータ260はコンベヤ235から離れた位置に配置されてもよい。この場合、処理システムはデバイス211T4コンベヤ235からを取り外し、加熱後に戻すための追加部品を含む。
【0019】
金属を支持する材料は、熱又は光(特に紫外線光)の存在下で重合あるいは機械的に安定化(液体から固体に変形)する化合物を含むことができる。布設された金属材料の一部を硬化させ、残りの処理フローの間形状を実質的に維持させるための光源を設けてもよい。
【0020】
ダイレクト書込み金属化処理はホットメルト材料を相変化ペーストの形で使用してもよい。例えば、ホットメルト材料が液体状態にあるとき、加熱された印刷ヘッドを通過し、基板上に配置され、あるいは基板と接触する際に固化もしくは冷凍される。基板は、半導体層の不活性化層及び/又は表面としてもよい。相変化ペーストとして、ホットメルト材料としてのワックスのほか、適切な金属材料が利用できる。
【0021】
デバイス211T5上の金属材料が硬化された後、デバイスは反転デバイス270により回転又は反転され、コンベヤ235上で裏表を返され、後続処理のために裏面を露出させる。反転デバイスは当該技術において公知である。デバイス211T5の裏面を処理するため、処理システム230は第二の非接触パターニング装置240'及び第二のダイレクト書込み金属化装置250'を備える。デバイス211T6の第二の表面は非接触パターニング装置240'により処理され、デバイス211T7はダイレクト書込み金属化装置250’により処理される。
【0022】
処理システム230は、必要に応じて、ダイレクト書込み金属化装置250'による処理の完了後、処理済みのデバイス211T8をコンベヤ235から取り外すための取外し機構280を含む。取り外されたデバイスはポスト金属化処理システム290へ搬送され、後続処理される。必要に応じて設けられる取付け機構220及び取外し機構280は、当該技術において周知の方法で動作する。
【0023】
ヒータ260と同様の加熱装置をダイレクト書込み金属化装置250'の前段に設けてもよい。デバイス211T8を完全に処理するためには、硬化温度(例えば120℃〜140℃)より高い温度(例えば約600℃〜900℃)に加熱されることから、このヒータは必要に応じて設けられる。従って、裏面の金属材料の硬化及びデバイス全体の最終的な加熱は、ポスト金属化処理システム290のヒータ構成によって単一の工程として行ってもよい。
【0024】
他の処理フローは、製造するデバイス、装置、及び処理システム中の装置構成に応じて利用できる。例えば、図3及び図4で説明する概念を応用した処理システムでは、反転デバイス270を設ける必要がない。
【0025】
処理システム230では、コンベヤ235は、デバイス211T1を非接触パターニング装置240、240'及びダイレクト書込み金属化装置250、250'へ平坦なベルト上で搬送するベルト型コンベヤ機構として説明されている。説明された一般的なシステムのベルト状コンベヤ235はあくまで一例であり、本出願を限定する意図はない。
【0026】
また、表面と裏面の両方が同時に露出されるようデバイス211T1を配置する方法もある。図3において、処理システム230はデバイス211T1が取り付けられるスロット236を設けたコンベヤ235aを含めて構成されてもよい。スロット236のサイズは、デバイス211T1が処理中に前後に移動したり、スライドしたりせずに確実に保持されるサイズである。スロット236の幅により、デバイス211T1に付与される張力の量が定まる。また、スロット236の深さは完全な処理のために十分なアクセスを可能とすべく選択される。スロット236の幅及び深さは、デバイス211T1の材料、サイズ及び厚さに応じて変更される。スロット236は、個別に画定された複数のスロット領域であってもよいし、単一の連続したスロットであってもよい。またベルト表面上に形成されてもよいし、ベルト内部に設けられてもよい。
【0027】
図4は、デバイス211T1が係合アーム238a、238bを有するオーバヘッドクランプ238に保持されるオーバヘッドクランプ型のコンベヤ237を示す。
【0028】
デバイス211T1を略垂直位置に位置決めすることで、デバイス211T1を反転させずに処理作業を行うことができる。従って、デバイスの両面に対し同時もしくは連続的に作業を行うことができる。例えば、非接触パターニング装置240及び240'を、デバイス211T1の両側に対向配置してもよい(ダイレクト書込み金属化装置250及び250'も同様に配置できる)。これらの装置は相互にオフセットされていてもよい。図4に示すように、オーバヘッドクランプ238が旋回し、処理装置がデバイス211T1の片側に配置され、デバイス211T1が回転される、オーバヘッドコンベヤを用いる方法を設計してもよい。
【0029】
図3及び図4のデバイス211T1は円形もしくは環状を有するものとして説明したが、本出願の概念は正方形や略正方形の構成にも同様に適用できる。
【0030】
図2では、非接触パターニング装置240は不活性化層215に穿設される複数の開口部217を画定する。半導体ウエハ212の表面213上の前記1つ以上の領域の対応する1つが各開口部217から露出される。このような処理の結果を図5に示す。非接触パターニング装置240は、金属化に先立ってクリーニングやその他の処理を必要とせずに、基板212の表面部分213Aを露出する開口部217を形成するために、不活性化層215の一部を除去する(取り除く)に足るエネルギーのレーザパルスLPを生成し得る、レーザベースのアブレーション装置であってもよい。レーザアブレーションを使用することの利点は、アブレーション完了後に、ウエハ212を水洗・乾燥する必要がない点にある。
【0031】
開口部を形成することが可能な粒子線生成装置あるいは他の適切な装置を、レーザベースのパターニングに代えて使用してもよい。非接触パターニング装置240'がデバイス211T5の裏面を処理する際、デバイスの裏面に同様の配置の開口部217’を不活性化層215’に穿設してもよい。説明の便宜上、個別の図は提供されない。また、両面の処理については図2に示す。
【0032】
あるいは、有機ビヒクルにガラスフリットを含むことができるソーラーペーストを用いてもよい。加熱の際に有機ビヒクルは分解し、ガラスフリットは軟化し、不活性化層表面を溶解し、半導体層への通路を作製する。
【0033】
なお、半導体層を金属部分(接触部分、グリッド線など)に接続するために利用される実施形態では、例えば、ドープ領域における位置ずれや開口部の不完全な形成などの製造上の不具合により、意図されていた結合の全てが形成されないという状況が発生する。従って、接続は、実際には全ての意図した接続、あるいはそれよりいくらか少ない数の接続が形成されることを意味する、選択的接続とみなすことができる。
【0034】
図6に示すように、非接触パターニング装置240及び240'は、走査タイプのレーザ装置240-1を含む。該レーザ装置240−1では、レーザ310により生成されたレーザパルスLPがビーム調節光学320によって回転鏡330に向けられ、且つ適切な走査レンズ340を通過し、レーザパルスLPが、不活性化層215,215'(例えば窒化ケイ素)上の所定の走査パターンに方向付けられる。レーザ装置240-1は、ゼログラフィーの印刷エンジンにおいて光受容体上に静電画像を書き込む際に使用されるものと同様の装置である。このようなレーザ処理ツールは、毎秒1層台の半導体層を作製する処理能力を有する。この印刷速度は、低速から中速の範囲のレーザプリンタの印刷速度に匹敵する。スポットサイズ(開口部217、217'の平均直径D)は、除去された各接触開口部217、217'のサイズを決定する。このサイズは、一般的に直径5〜50ミクロンである。
【0035】
レーザベースの非接触パターニング装置240-1は、レーザが、レーザエネルギーが不活性化層中の原子をイオン化するに足る強度の電場である十分な力に収束することが可能な、フェムト秒レーザを含む。これにより、レーザの光子エネルギーが誘電性不活性化のバンドギャップ・エネルギーよりも小さい場合であってもエネルギー吸収が可能となる。従って、不活性化材料が除去される際に発生するデブリスが減少し、あるいは微細化される。発生するデブリスは、デバイス上に再度付着しないよう、気体を流動させて除去することができる。
【0036】
図1及び図2において、第一のすなわち上側の不活性化層215のパターニングが完了すると、デバイス211T2は、ダイレクト書込み金属化装置250の真下の位置にコンベヤ235により搬送される。当該位置において、ダイレクト金属化装置250は各開口部217へ少なくとも接触(金属化)部分218を設けるために利用される。接触部分218は電流を伝える導電性(金属化)グリッド線219から、ウエハ212に形成された拡散領域への電気接続を促進する。金属化処理が完了すると、ダイレクト書込み金属化装置250によって設けられた金属材料を硬化すべく、デバイス211T4はヒータ260により硬化温度(例えば120℃〜140℃)に昇温される。次いで、デバイス211T5は反転装置270により反転され、デバイス211T6の第二のすなわち裏面を呈し、裏面が非接触パターニング装置240'により処理される。デバイス211T7は、非接触パターニング装置240及びダイレクト書込み金属化装置250に関して上述した方法でダイレクト書込み金属化装置250により処理されるべく呈示される。
【0037】
デバイス211T8は、ポスト金属化処理システム290にデバイス211T8を搬送するための、必要に応じて設けられるウエハ取外し機構280に移動される。よって、本実施形態では、開口部217'、接触(金属化)部分218'、電流を伝える導電性(金属化)グリッド線219は、デバイス211T1〜211T3の第一の側すなわち上側に関して記述した方法と同様にして形成される。本実施形態でデバイス211の表面及び裏面に同様の処理を行うとしても、このことは必要でない。更に、開口部217及び217'、接触部分218及び218'、導電性グリッド線219及び219'は、デバイスの各側で対応するパターン及び位置に配置される必要はない。各側で金属化に使用される材料は同一でなくともよく、むしろ、異なる材料を使用することが一般的である。
【0038】
図7は、ダイレクト書込み金属化装置250から不活性化層215に形成された各開口部217へ接触材料CMを連続的に布設するところを図示したものである。接触部分218は、基板212の露出部分213A上に直接形成される。接触部分218は必ずしも開口部215を充填しない。接触部分218は、シリコン中で緩慢に拡散するケイ素化合物形成金属を含んでいてもよい。この目的に適合するとみなされる金属の例としてニッケル(Ni)、コバルト(社)及びチタン(Ti)が挙げられる。これらの金属は銀よりも安価であり、30以上の係数分低い接触抵抗を可能とする。デバイスのn型エミッタ接触については、金属は、軽くドープされたn型シリコンに対し低いバリアの電気接触を形成することで知られる希土類元素の中から選択されてもよい。インクもしくはペーストを支持するケイ素化合物形成金属は、必要に応じて布設した金属に適用される熱処理工程の間に接触領域に追加のドーピングを行うためのリンあるいはホウ素などのドーパントを含んでいてもよい。インクもしくはペーストを支持するケイ素化合物形成金属、必要に応じて金属のナノ微粒子を含んでいてもよい。金属粒子のサイズを小さくすることで、インク中への粒子の分散及びシリコンとの反応性の両方が改善される。
【0039】
図8は、接触部分218上で導電性プラグ219Lを形成するために、第二の(比較的導電性の高い)金属MMを開口部215へ布設し、必要に応じて第二の金属を不活性化層215上に布設して金属線219Uを形成し、導電線219を完結させる、第二の布設ヘッドあるいはノズルを含むダイレクト書込み金属化装置250の処理を図示したものである。第二の金属MMは、シリコン上にケイ素化合物を形成する能力を有するゆえに選択されるのではなく、第二の金属MMが導電性を有し、一般的に接触金属CMと比べて導電性が大きいという点で選択される点で接触金属CM(上述)とは異なる。第二の金属MMは、廉価でありながら導電性に優れ、固化が容易な銅を含む。銅が接触金属CMとして使用され、ウエハ212へ拡散させると、銅はデバイス内に再結合中心を作製し、セル性能を低下させる。従って、電流を伝える導電性グリッド線219が、シリコン/金属界面に配置されるケイ素化合物接触構造218(例えばニッケル・ケイ素化合物)と、接触金属218上に形成された低抵抗導体219L/219U(銅など)の両方を含むことが望ましい。ニッケル・ケイ素化合物接触構造218は、銅導電性プラグ219Lによるシリコン汚染を防ぐための拡散バリアとして作用する。Ni源はナノ相Niの懸濁粒子からなるインクである。デバイスの上面に関する図7及び図8に示す処理は、デバイス211T5の低い面すなわち裏面への処理にも同様に当てはまる。
【0040】
接触開口部217を形成した直後に金属化を行うことで、露出部分213Aの空気接触が制限されるという更なる利点がある。空気との接触が短いと、酸化シリコン層の形成が防止される。酸化シリコン層が形成されると後続して作製されるケイ素化合物の形成に干渉する。加熱装置260による硬化加熱に続いて例えば図2のポスト金属化処理290中にデバイスを加熱することで、インク又はペーストの残留揮発性成分が追放される。次いで、必要に応じて水素や形成気体などの還元環境に配置することによるデバイスの温度サイクルにより、接触が完了する。
【0041】
本出願のダイレクト書込み金属化装置は、不活性化層の各開口部内に、所定のパターンでシード層金属化材料(例えばNi、Cu、Ag)を印刷し、1層以上のシード層を形成してもよい。コンベヤから取り外された後、デバイスにめっき処理が施される。めっき処理により導電線が既知の技術によりシード層に形成される。これにより、両面受光太陽電池の組立てに特に適した、本質的に自己整合された処理が行われる。シード層の金属化材料はジェット印刷、燃焼、次いで追加の金属によりめっきされてもよい。両面セルを形成するため、このような処理はデバイスの両側に施される。
【0042】
以下の例示的実施形態に示されるように、ダイレクト書込み金属化装置は、インクジェット方式の印刷ヘッド又は押出方式の分配ノズルであってもよい。このような非接触型のダイレクト書込み金属化装置を非接触パターニング装置のすぐ後段に配置することにより、高価で時間のかかる位置合わせ工程を経ずに、形成されたばかりの接触開口部上に金属化が適切に配置されることができる。
【0043】
図9は、デバイス(例えば211T2、211T5)の両側に接触構造218と導電線219とを印刷するためのインクジェット型印刷装置250-1の斜視図である。印刷支持構造480に取り付けられた印刷アセンブリ450と制御回路490(コンピュータ)/ワークステーションとして図示されている)を含む印刷装置250-1は、デバイス211T2(211T5)を支持するコンベヤ235(部分的に図示される)上に取り付けられる。
【0044】
印刷アセンブリ450は印刷ヘッド430、及び固定取付け台460に取り付けられた任意のカメラ470(高倍率)を含む。印刷ヘッド430は、イジェクタ・ベース431に取り付けられた1つ以上のイジェクタ440を含む。イジェクタ440はデバイス211T2上に流体又はペーストの形状の適切な金属化材料の小滴を分配すべく構成されている。
【0045】
制御回路490は、印刷支持構造480に適切な制御信号を供給するための下記方式に従って構成される。データソース491は、インラインセンサ、ネットワーク化されたコンピュータ、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を介して接続されたパターンデータベース、あるいはCD-ROMやその他の取出し可能な記憶媒体などからの入力を含む、データソースを含むことができる。コンピュータ/ワークステーション490から供給される制御信号は、デバイス211T2に関連して変換されると、印刷ヘッド430の動作及び印刷動作を制御する。
【0046】
印刷動作は、印刷支持構造480、コンベヤ235、あるいはその両方によって提供されることができる。コンピュータ/ワークステーション490は、必要に応じて、カメラ470から画像形成データを受け取り、処理するために接続されていてもよい。カメラ470は、印刷装置250-1のための手動もしくは自動較正性能を有していてもよい。
【0047】
デバイス211T2に対し印刷装置250−1を適切に較正・位置決めするsことにより、金属化パターン(例えば、接触部分218及び金属部分219L、219U)が不活性化層215に形成された開口部217と正確に位置合わせされる。装置の較正は、印刷ヘッドのイジェクタ位置に対し相対的に固定された光学軸位置を有するビデオカメラ顕微鏡(カメラ470など)により行うことができる。また、印刷装置250-1などの印刷装置は、デバイス211T5の処理(すなわち裏面)に使用できる。
【0048】
図10は、ウエハ211T2上に接触構造218及び導電線219の少なくとも1つを印刷するための押出型分配装置250-2を示す。押出型分配装置250-2はデバイス211T2を支持するコンベヤ235上に取り付けられ、分配ノズル510、必要に応じて設けられる硬化成分520及び必要に応じて設けられる急冷成分530を含む。分配ノズル510は1つ以上の開口部515を含み、2種以上の金属化材料(例えばケイ素化合物形成金属ペーストと高導電性金属ペースト)を同時に塗布するように構成されている。材料は、分配ノズル510を通じて、1つ以上の開口部515中に材料が押し出される(例えば絞出される)押出及び/又は引出技術(例えば加熱及び冷却)及び/又は(真空などにより)引き出されることにより塗布される。ノズル510は、マイクロ機械加工することにより個々の材料を受け取り収束させる種々のチャネル及び構造を有する。ノズル510は、ノズル510内で材料を合流させ、単一の流れとして開口部515から分配させるためのN(Nは1以上の整数)本のチャネルを含んでもよい。N本のチャネルの各々を異なる材料の導入に用いてもよいし、及び/又は略同一の材料の導入に多数のチャネルを使用してもよい。ノズル510が単一のチャネルを含む場合、異なる材料は同一及び/又は異なるポートから該チャネルに導入することができる。各チャネルは、ノズル510の長さ(例えば全長もしくはその部分集合)方向に延出してもよい。材料を合流させる前に流速を安定化させる層流を形成するために、N本のチャネルのうち1本以上はノズル510の長さより短く、但し入口の長さよりも長くしてもよい。このような構成は、強反応性イオンエッチングやウエハ・ボンディングなどの既知の超微細加工技術により形成できる。
【0049】
層流を形成するようにノズル510を作製することにより、材料がノズル510を通って開口部515から排出される際の材料の混合が低減及び/又は最小化される。また、N本のチャネルは、材料がノズル510からデバイス211T2へ移動する際の材料の表面張力を打ち消す形状とされていてもよい。
【0050】
チャネルは各々独自の形状を有していてもよいし、同一及び/又は非同一形状など同様の形状であってもよい。インクジェット方式の印刷装置と同様に、ノズル510は所望の金属化構造を形成するため、材料を分配する際にデバイス211T2上を移動してもよい。押出後、分配された材料が混合する傾向があるが、硬化成分520及び/又は急冷成分530によりこの傾向を制限できる。例えば、硬化成分は、分配される材料がノズル510から排出される際に熱、光、及び/又は別の手段により材料を硬化させるために使用されてもよい。急冷成分530は、ウエハ212を冷却し、押出直後の分配された材料を冷却・固化するために使用されてもよい。
【0051】
また、デバイス211T5(すなわち裏面)の処理の際に、押出型分配装置250-2のような押出型分配装置を使用してもよい。
【0052】
図11に、ウエハ212及び/又は不活性化層215の表面に接触層(218A又は218B)と、接触層218A/B上に設けられる1つ以上の導電性金属層(219A又は219B)を同時に布設するための分配ノズル510-1を備えた押出分配装置が示されている。グリッド線の各層は、同時押出成形される高アスペクト比金属(例えば2:1〜10:1及びこの範囲のサブ範囲)である。これにより、金属材料の被覆範囲がデバイス211T8の総表面積の10%〜4%未満とすることが可能となる。
【0053】
図11は、2種以上の異なる材料をウエハ212及び不活性化層215上に塗布するノズル510-1を図示している。ノズル510-1は、材料(接触材料CMと金属材料MM)を合流させるための層流を促進するチャネルを含むマニホルド620を有する。材料はマニホルド620中の各チャネルに入り、材料の混合を防止しながら別々の材料の単流を形成する(材料と材料の接触)。チャネルは材料をマニホルド620に導入するために使用されるポート636又はポート638のいずれかと関連付けられている。異なる2種の材料は、隣接するチャネルに異なる材料が導入されるよう、挟み込む方式でマニホルド620へ導入される。材料は、対応するチャネルを通じて移動し(例えば押す、引くなどの技術により)、マニホルド620内の層流下で合流し、材料の単流を形成する。材料の単流はウエハ212又は不活性化層215上の開口部515を通って押し出される。
【0054】
図12Aは、ノズル510-1(図11)を使用して押し出された高アスペクト比グリッド線219Aの断面の端面を示す。グリッド線219Aは、比較的狭幅で比較的高さを有する(すなわち、不活性化層/ウエハから離れる方向に延在する)長尺の中央金属構造219A-1と、該中央金属構造219A-1の片側もしくは両側に形成された透明支持体219A-2を含む。中央金属構造219A-1は、銅、銀、アルミニウムなどの高導電性金属を含み、透明支持体219A-2は、透明性及びデバイス面への付着性を最適化した低溶融性ガラスを含む。図示しないが、個々の印刷ヘッドはグリッド線219Aの押出し前に各接触開口部内部の接触構造を印刷するために利用されてもよい。この構造により、デバイス両側に入射する太陽光の妨げを最小限とすることのできる両面受光態様電池デバイスを製造することが可能となる。グリッド線基板の界面(すなわち接触開口部内及び不活性化層215上)に布設されるニッケル保持ペーストを含む接触部分218A、及び上部219Aは、銅、銀、アルミニウムなどのより導電性の高い金属からなる。
【0055】
図12Bは、高アスペクト比グリッド線219Bの断面の端面を示す。高アスペクト比グリッド線219Aと同様に、グリッド線219Bは、中央金属構造219B-1と、該中央金属構造219B-1の片側もしくは両側に形成された透明支持体219B-2を含む。但し、グリッド線219Bは、更に、中央金属構造219B-1及び透明支持体219B-2と同時押出形成され、これらの下部に位置する1つ以上の長尺の接触金属層218B-1及び218B-2を含む。接触金属層218B-1及び218B-2は、例えばケイ素化合物形成金属(あるいは、処理後に金属などからケイ素化合物が形成される)を含む。
【0056】
図13は、第二のノズル510-2、及び接触形成金属部218B、導電性金属部分219B、及びハンダぬれ材料SWにより形成される多層積層体を含む第二のグリッド線を示す。これらの材料は、それぞれ開口部515-21、515-22及び515-23を通って押し出される。これらの層はいずれも二重機能を有していてもよい。例えば、銅は高い導電性を有し、また固化も容易である。他の同時押出構造と同様に、完全に押し出すために、グリッド線の片側もしくは両側に高アスペクト比金属部分を支持するための透明もしくは犠牲構造を必要に応じて含んでいてもよい。犠牲支持構造を用いることで、支持構造は金属化部分の燃焼の際に燃え尽きてもよい。
【0057】
本願明細書に記載されたダイレクト書込み金属化装置を使用すると、表面の金属化領域(例えばグリッド線、バスバー、接触部分)は、デバイスの総表面積の10%未満〜4%とすることができる。
【0058】
ダイレクト書込み金属化装置(すなわちインクジェット方式の印刷装置250-1及び/又は押出型分配装置250-2)により接触開口部上に塗布された金属化部分は、後続の熱処理を行った後、モジュールアセンブリ用のタブやストリングを設けるための、完全なセル金属化部分として作用してもよい。タブを設ける代わりに、セルを可撓性のある裏面へ結合させてもよい。
【0059】
接触開口部217及び217'を直線的に配置する代わりに、グリッド線とN型核酸領域にとの間に接点を提供する際に利用されるレーザパルスLPにより開口部を連続的に直線的に形成してもよい(図示せず)。
【0060】
図14は、ウエハ212-1の上面に形成された連続的なN型拡散領域214-1とウエハ212-1の下面に形成された連続的なP型拡散領域214-2との間に配置されたp型の単一結晶シリコンウエハ212-1を含む、両面光電デバイス211-1を図示したものである。不活性化層215-1は拡散領域214-1上に形成され、不活性化層215-2は拡散領域214-2上に形成される。公知の技術により、ピラミッド状の光トラッピング構造215ー1Aが上側の不活性化層215-1の表面に形成され、ピラミッド状の光トラッピング構造215ー2Aが下側の不活性化層215-2の表面に形成されている。電流を伝える導電性グリッド線219-1及び219-2が不活性化層215-1及び215-2上にそれぞれ形成される。グリッド線219-1及び219-2は、例えば接触部分218及び218'、より低い金属導電プラグプラグ219L、219L'、金属グリッド線部分219U、219U'を含むべく、上述の任意の方法によって形成される。なお、グリッド線219-1及び219-2は、不活性化層215-1及び215-2の表面上に概ね延在する一般的に狭い平行な金属線である。
【0061】
図14はp-pn接合デバイスとして図示されている。上記説明は、本発明の教示に従って製造される両面セルのタイプを制限する意図はない。本発明の概念は、他の太陽電池構造(例えばホモ接合、ヘテロ接合、p-i-n/n-i-p、マルチ結合)にも同様に適用できる。更に、本発明の両面セルではセルの両側に接触点を設けたが、本出願に記載される概念は片側にのみ接触点を設けた両面セルにも同様に適用できる。
【0062】
太陽電池の製造コストが高いのは、半導体シリコン層のコストが高いことに起因する。可能な限り薄い半導体シリコン層を使用することが望ましい。既存のセルでは、半導体層の厚みは250〜300ミクロンである。本出願では非接触とすることを構想としているため、150ミクロンから100ミクロン、あるいは更に薄い半導体層を使用することも可能である。
【0063】
このような薄膜半導体層が使用される場合、問題が生じる。ほぼ全ての処理方法で薄膜半導体シリコン層が使用される場合、望ましくない影響が生じる。単面の正方形の太陽電池1000は、金属グリッド線1002を片面に設けている。布設されたグリッド線1002の熱膨張率は、半導体層1004の膨張係数と一致しない。このため、図16の平面図に示すような半導体層1004の撓み(湾曲やその他の変形)が発生する。半導体ウエハの厚みが薄すぎる場合、半導体層1004の縁部は平面から引き上げられる。
【0064】
材料間の熱膨張率が一致しない場合には、このことは両面にグリッド線を有する両面セルにも発生する。例えば、既存の両面セルでは、片方の面(例えば、頂部金属)に銀が用いられ、他方の面(底部金属)にアルミニウムが用いられるのが一般的である。アルミニウムと銀は、半導体層のシリコンと同様に、熱膨張率が大幅に異なっていることから、薄い半導体層(例えば厚みが約150ミクロン以下のシリコン)が使用される場合には撓み(湾曲)が発生する。半導体層のタイプ及び金属材料によっては、150ミクロン以上の厚みを有する半導体層であっても湾曲が生ずることがある。
【0065】
この問題に対処するため、上面と下面のグリッド線の機械的モーメントを等しくした両面セルが開発されている。機械的モーメントが一致すると、半導体層は現在可能な薄さよりも薄くでき、撓みも防止できる。図17の両面セル1008では、半導体層1010の厚みは約150〜100ミクロン以下である。半導体層1010の上面に設けられる材料1012と、層1010の底面に設けられる材料1014とが十分に一致する熱膨張率を有すると、半導体層を湾曲されずに保つために、相互に十分に打ち消しあう打ち消し力が発生される。
【0066】
熱膨張率が著しく異なる金属を両面セルの両側に用いる場合、例えば、一方の面の金属材料として銀を用い、他方の面の金属材料としてアルミニウムを用いる場合、本出願は応力を均等に逃がす方法を提供する。図17に点で図示された層1018で示されるように、銀(あるいは他の適切な金属)の第二の層をアルミニウム層(例えば1014)上に配置してもよい。層1016の量は、上部金属化部分(1012)の機械的モーメントが底部金属化部分(1014、1016)と十分等しくなるよう選択される。
【0067】
シリコンの熱膨張率係数は2.8x10-6/度である。大多数の金属は本質的に伸縮性が高い。表面エミッタ接触グリッド線として一般的に用いられる銀の熱膨張率は18.9x10-6/度である。ブランケットコレクタ金属化に一般的に用いられるアルミニウムの熱膨張率は23.1x10-6/度である。850度台の温度で金属を燃焼させた場合、アルミニウムは液化し、あるいは軟化する。応力は冷却期間に蓄積される。金属構造体は、シリコンと比べて収縮し、引張り応力を生じようとする傾向が高い。このことは、概ね裏面全体を被覆するアルミニウムのブランケット層(例えば厚みが20ミクロン以上)を用いるセルで発生する。これは、表面金属化と比べ大幅に大きな機械的モーメントを有する。これにより、シリコン層はアルミニウム側に湾曲する。層の表面上のグリッド線が約10%を被覆すると、表面上の銀の機械的モーメントは裏面のアルミニウムの機械的モーメントと比較して10倍以上小さい。半導体層の薄化が進むと、湾曲の問題は深刻化する。
【0068】
本実施形態では、接触領域が小さく、またブランケット金属化を必要としない。裏面の金属を分割させ、ブランケット層ではなくグリッド線及びバスバーを形成することで金属量を90%以上減少できる。よって、表面層と裏面層の機械的モーメントは同等である。機械的モーメントは、下記処理手順の1つ以上により更に近く合致させることができる。(1)半導体層の両側のそれぞれの金属の幅は、機械的モーメントを均等化すべく調整できる。(2)半導体層の両側のそれぞれの金属の厚みは、機械的モーメントを均等化すべく調整できる。(3)半導体層の両側のそれぞれの金属の体積は、機械的モーメントを均等化すべく調整できる。(4)例えば半導体層の裏面で多層金属化を行う場合、半導体層の表面側で銀金属化部分に対する所望の組合せの機械的モーメントを生ずるべく、アルミニウムーニッケルー銅を積層した金属化を行ってもよい。これらの実施形態のうち他の実施形態は、以下の事実を利用する。すなわち、(a)半導体層の表面と裏面の線が主として銀などの同一金属で形成されており、容量が略同一である場合、機械的モーメントは略同一となること、ならびに、(b)銀はアルミニウムよりも導電性において優れている、という事実である。
【0069】
図18に示すように、個々の太陽電池を両面受光構成に組み込んでもよい。図18のモジュール1100は、表面すなわち被覆1102と、ガラス又はプラスチックなどの透明層を有する。層は、テフゼル(Tefzel:商標)などの変性ETFE(エチレン-テトラフロオルエチレン)フルオロポリマーとしてもよい。複数の両面受光太陽電池1106の片面側にエチレン酢酸ビニル(EVA)などの透明ラミネート層1104が設けられ、セルストリング中の接続する両面受光太陽電池1106を相互に連結させる(1108)。セルストリングは直列、並列あるいは直列/並列のセル接続であってもよい。裏面は、その外側表面に反射体1112を支持するプラスチック層又はガラス層1110を含む。反射体1112は、マイラーシートなどに塗布された、ガラス層又はプラスチック層1110上の金属鏡である。反射体1112がプラスチック層又はガラス層1110の外側表面上に設けられる場合、金属鏡は環境安定性を図るための防護壁1114で被覆されていてもよい。
【0070】
層を圧縮・加熱することでプラスチックラミネート層1104が溶解し、層を凝固させて単一モジュールを形成する。
【0071】
反射体1112を挿入することで、表面1102から入射する光が太陽電池1106の裏面側へ反射されることが可能となる。反射体1112は、モジュールを通じて光を両面受光太陽電池へ反射するためのサイズとされ、配置される。モジュールは、同一平面上で水平方向及び垂直方向に伸びる多数の太陽電池を含んでいてもよい。従って、反射体は、モジュールの両面受光太陽電池の裏面全体あるいは少なくとも大部分へ光を反射できるものであってもよい。
【0072】
図19は両面受光太陽電池モジュール1120を示す。表面層1102、ラミネート層1104、太陽電池1106及びコネクタ1108は図18の配置と同様に配置される。但し、透明絶縁体1120は、ラミネート層1104のうちの1層と、プラスチック又はガラスとすることのできる裏面層1124の内側面に支持される反射体1122との間に設けられる。金属鏡1122はセルストリングの短絡を防ぐため、透明絶縁層1120により太陽電池1106のアレイから分離されている。透明絶縁層1120は、太陽電池のストリングが鏡を通じて溶解したり、鏡と短絡することを防ぐため、他の積層材料(EVAなど)と比較して高い融点を有するよう選択される。あるいは、隣接セル間に導電パスが存在しないように金属をパターン化してもよい。
【0073】
図20のモジュール1130は、表面1132が従来のガラスであり、裏面1134がいずれかが反射性を有する単一層もしくは多層フィルムから成る構成である。金属基板の場合でも、ガラス基板と同様のことがいえる。反射面は複数の誘電体層1134a、1134b、1134nを用いて製造できる。反射面は、太陽電池によって電気に変換できない波長を有する光を伝達することを意図されている。多くの例において、太陽スペクトルの長波長部分は太陽電池の各層に吸収されなくてもよい。長波長部分が太陽電池に反射されれば、太陽電池を望ましくない温度に加熱する結果となる。セル効率は、セルの温度上昇に伴って低下する。温度が1度上昇すると、効率が低下する。多数の誘電体層が、モジュールの動作温度を下げるべくダイクロイック「コールドミラー」として機能する。太陽スペクトルのうち、電気エネルギーに効率的に変換される性能を有する波長のみが太陽電池1106の裏面側へ反射される。ダイクロイックミラー層が多層構造体の一部である場合、モジュールの長期間にわたる構造安定性を高めるべく、システムの他の層は透明層として設計してもよい。
【0074】
両面セルは、電子と孔との再結合を低減するため、結晶シリコンウエハに対するアモルファスシリコン面不活性化として構成された不活性化層を有する構成であってもよい。金属化方式は、透明導電酸化物(限定はされないが、ITOなど)を両側に含んでもよい。このようなセルは、動作上三洋コーポレーション社のHITセル設計と類似の設計を有するセルとすることができる。この設計では、太陽電池構造に使用される金属ペーストは、アモルファスシリコン中の水素化除去を行わずに金属グリッド線の形成を可能とする、硬化温度が400度未満の硬化性材料であろう。
【0075】
反射体は均等拡散反射体あるいは鏡のような反射体であってもよい。両面モジュールは、プラスチック積層表面層及びガラス裏面層を用いて設計してもよい。
【0076】
本出願の各種態様は、特にアモルファスシリコン、CdTe(テルル化カドミウム)あるいはCIGS(銅インジウム・ガリウム・ジセレニド)などに形成されるウエハ上の光電デバイスの製造にも利用できる。同時押出しに関して説明したが、単独押出しも利用できる。本発明の特徴は他の実施形態にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】光電デバイスを製造するための簡単な方法を示すフロー図
【図2】光電デバイスを製造するためのアセンブリを示す簡略図
【図3】スロット入りの、ウエハ運搬用コンベヤシステムを示す図
【図4】オーバヘッドクランプコンベヤ構成を示す図
【図5】両面光電デバイスの一部を示す斜視図
【図6】レーザベースのパターニング装置を示す平面図
【図7】両面光電デバイスの一部を示す斜視図
【図8】両面光電デバイスの一部を示す斜視図
【図9】インクジェット方式の印刷デバイスを示す斜視図
【図10】押出型分配装置を示す側面図
【図11】押出ノズルを示す横断面図
【図12A】光電デバイスに形成されたグリッド線の横断面図
【図12B】光電デバイスに形成されたグリッド線の横断面図
【図13】簡略化された押出ノズルと多層のグリッド線の横断面図
【図14】両面光電デバイスを示す図
【図15】金属グリッド線を有する片面セルの側面図
【図16】湾曲効果を有する、図15の太陽電池を示す図
【図17】頂面と底面の金属形成間の金属拡張係数が等しい、太陽電池上の金属形成を示す図
【図18】両面光電デバイスモジュールの簡略断面図
【図19】別の両面光電デバイスモジュールの簡略断面図
【図20】別の両面光電デバイスモジュールの簡略断面図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の面と第二の面とを有する半導体層と、
前記半導体層の前記第一の面に形成される第一の不活性化層、及び前記半導体層の前記第二の面に形成される第二の不活性化層と、
前記第一及び第二の不活性化層に形成されると共に、前記半導体層の前記第一の面及び前記第二の面に選択的に接続された複数の金属化部分と、
を有する両面セルを含み、
少なくとも一部の金属化部分が、比較的狭幅で比較的高さのある、前記第一及び第二の不活性化層から上方向に延出する長尺の金属構造体を含むことを特徴とする、
両面受光構成。
【請求項2】
更に、相互に電気的に接触して両面受光太陽電池モジュールを形成する複数の両面セルと、両面受光太陽電池の裏面へ光を反射させることを可能とした構造と一体に形成されるガラスもしくはプラスチック層上の反射体と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の受光構成。
【請求項3】
前記両面セルは、プラスチック積層板表面層及びガラス裏面層を備えた両面セルモジュール内に形成されることを特徴とする請求項2に記載の受光構成。
【請求項4】
前記半導体層の厚みが約150ミクロン以下であり、前記第一及び第二の面上の金属化部分は略同一の機械的モーメントを有することを特徴とする請求項1に記載の受光構成。
【請求項5】
前記金属化部分は前記第一及び第二の面の10%未満を被覆することを特徴とする請求項1に記載の受光構成。
【請求項6】
半導体層と、1つ以上のドープ領域と、第一の面と、第二の面と、前記第一の面及び前記第二の面上に配置された複数の導電線とを含む両面光電デバイスの製造方法であって、前記方法は、
前記半導体の前記第一の面及び前記第二の面の各々にブランケット不活性化層を形成することと、
前記半導体層の前記ドープ領域と接触する前記導電線を布設するダイレクト書込み金属化装置構成を使用することと、
を含む方法。
【請求項1】
第一の面と第二の面とを有する半導体層と、
前記半導体層の前記第一の面に形成される第一の不活性化層、及び前記半導体層の前記第二の面に形成される第二の不活性化層と、
前記第一及び第二の不活性化層に形成されると共に、前記半導体層の前記第一の面及び前記第二の面に選択的に接続された複数の金属化部分と、
を有する両面セルを含み、
少なくとも一部の金属化部分が、比較的狭幅で比較的高さのある、前記第一及び第二の不活性化層から上方向に延出する長尺の金属構造体を含むことを特徴とする、
両面受光構成。
【請求項2】
更に、相互に電気的に接触して両面受光太陽電池モジュールを形成する複数の両面セルと、両面受光太陽電池の裏面へ光を反射させることを可能とした構造と一体に形成されるガラスもしくはプラスチック層上の反射体と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の受光構成。
【請求項3】
前記両面セルは、プラスチック積層板表面層及びガラス裏面層を備えた両面セルモジュール内に形成されることを特徴とする請求項2に記載の受光構成。
【請求項4】
前記半導体層の厚みが約150ミクロン以下であり、前記第一及び第二の面上の金属化部分は略同一の機械的モーメントを有することを特徴とする請求項1に記載の受光構成。
【請求項5】
前記金属化部分は前記第一及び第二の面の10%未満を被覆することを特徴とする請求項1に記載の受光構成。
【請求項6】
半導体層と、1つ以上のドープ領域と、第一の面と、第二の面と、前記第一の面及び前記第二の面上に配置された複数の導電線とを含む両面光電デバイスの製造方法であって、前記方法は、
前記半導体の前記第一の面及び前記第二の面の各々にブランケット不活性化層を形成することと、
前記半導体層の前記ドープ領域と接触する前記導電線を布設するダイレクト書込み金属化装置構成を使用することと、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−300128(P2007−300128A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122466(P2007−122466)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]