説明

並列に接続された複数の制御電流源を備える電力変換器

【課題】整流器電流が特に大きい場合であっても、整流器電流の形状の制御を可能にする電力変換器を提案する。
【解決手段】電力変換器は整流器段(REC)と整流器電流(I)が流れるDC電源バスとを備える。前記変換器はさらに、そのDC電源バスにおいて並列に接続された少なくとも2つの制御電流源を備える。各制御電流源は、直列に接続されたインダクタ(L、L)および可変電圧源を備える。さらに、前記整流器電流(I)を前記第1の制御電流源内を流れる第1の電流(I)と前記第2の制御電流源内を流れる第2の電流(I)とに分配するように構成され、前記整流器電流(I)を成形し、かつ、前記第1の可変電圧源の端子における電圧(Ve1)と前記第2の可変電圧源の端子における電圧(Ve2)とを調整するように構成されている制御ユニット(3)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続された複数の制御電流源(controlled current source)を備える電力変換器(power converter)に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換器での制御電流源の使用については、以下の刊行物に記載されている。
【0003】
− ERTL Hら、「A constant Output Current Three Phase Diode Bridge Rectifier Employing a Novel Electronic Smoothing Inductor」、第52巻2号、2005年4月1日、454〜461頁、XP011129546−ISSN:0278−0046、DOI:DOI:10.1109/TIE.2005.843910。
【0004】
− SALMON Jら、「Improving the Operation of 3−Phase Diode Rectifiers using an asymmetrical half−bridge DC−link active filter」、第Conf.35巻、2000年10月8日、2115〜2122頁、XP001042610−DOI:DOI:10.1109/IAS.2000.883118−ISBN:978−0−7803−6402−8。
【0005】
− Cosmin Galeaら、「New topology of electronic smoothing inductor used in three phase electric drives」、ELECTRICAL POWER QUALITY AND UTILISATION (EPQU)、2011年第11回IEEEに関する国際会議、2011年10月17日、1〜6頁、DOI:10.1109/EPQU.2011.6128837−ISBN:978−1−4673−0379−8。
【0006】
− MINO Kら、「Ultra compact three phase rectifier with electronic smoothing inductor」、APPLIED POWER ELECTRONICS CONFERENCE AND EXPOSITION、2005年、APEC2005、TWENTIETH ANNUAL IEEE AUSTIN、TX、USA、2005年3月6〜10日、PISCATAWAY、NJ、USA、IEEE、US、第1巻、2005年3月6日、522〜528頁、XP010809841、DOI:10.1109/APEC.2005.1452989−ISBN 978−0−7803−8975−5。
【0007】
これらの刊行物では、制御電流源は、電力変換器のDC電源バス(DC power supply bus)に直列に接続されたインダクタおよび可変電圧源から形成される。制御電流源は、整流器段の出力における電流(以下、整流器電流と称される)の形状を制御することができ、従って、変換器入力電流の複数の高調波(harmonic)に対処することができ、これらの高調波の大きさは、THDi(「Total Harmonic Distortion of Current(電流の全高調波歪み)」)およびPWHD(「Partial Weighted Harmonic Distortion(部分重み付け高調波歪み)」)と称される2つの指標により表される。
【0008】
THDiは、電流の高調波歪み率に対応し、従って、基本波電流(fundamental current)の実際値と比較した高調波の実際値を表す。一方、PWHDは、高周波高調波、より詳細には、次数14〜40の高周波高調波に対してより大きい重みを与える重み付けを導入する。
【0009】
しかしながら、上記参照された刊行物に記載されているように、制御電流源の電力は、特に制限される。整流器電流が大き過ぎる場合、この電流源を使用することができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ERTL Hら、「A constant Output Current Three Phase Diode Bridge Rectifier Employing a Novel Electronic Smoothing Inductor」、第52巻2号、2005年4月1日、454〜461頁、XP011129546−ISSN:0278−0046、DOI:DOI:10.1109/TIE.2005.843910
【非特許文献2】SALMON Jら、「Improving the Operation of 3−Phase Diode Rectifiers using an asymmetrical half−bridge DC−link active filter」、第Conf.35巻、2000年10月8日、2115〜2122頁、XP001042610−DOI:DOI:10.1109/IAS.2000.883118−ISBN:978−0−7803−6402−8
【非特許文献3】Cosmin Galeaら、「New topology of electronic smoothing inductor used in three phase electric drives」、ELECTRICAL POWER QUALITY AND UTILISATION (EPQU)、2011年第11回IEEEに関する国際会議、2011年10月17日、1〜6頁、DOI:10.1109/EPQU.2011.6128837−ISBN:978−1−4673−0379−8
【非特許文献4】MINO Kら、「Ultra compact three phase rectifier with electronic smoothing inductor」、APPLIED POWER ELECTRONICS CONFERENCE AND EXPOSITION、2005年、APEC2005、TWENTIETH ANNUAL IEEE AUSTIN、TX、USA、2005年3月6〜10日、PISCATAWAY、NJ、USA、IEEE、US、第1巻、2005年3月6日、522〜528頁、XP010809841、DOI:10.1109/APEC.2005.1452989−ISBN 978−0−7803−8975−5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、整流器電流が特に大きい場合であっても、整流器電流の形状の制御を可能にする電力変換器を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、
入力電流を供給する回路網(network)の複数の相(phase)に接続された整流器段と、
前記整流器段に接続され、第1の電源ラインと第2の電源ラインとを備えるDC電源バスであって、前記整流器段により整流された電流、すなわち整流器電流が流れるDC電源バスと、
前記第1の電源ラインと前記第2の電源ラインとに接続されたバスキャパシタ(bus capacitor)と、
前記バスキャパシタの上流で前記第1の電源ラインに直列に接続され、第1の可変電圧源を備える第1の制御電流源と、
前記第1の制御電流源と並列に接続され、第2の可変電圧源を備える第2の制御電流源と、
前記第1の制御電流源および前記第2の制御電流源の制御ユニットであって、前記整流器電流を、前記第1の制御電流源内を流れる第1の電流と前記第2の制御電流源内を流れる第2の電流とに分配するように構成され、前記整流器電流を成形し、かつ、前記第1の可変電圧源の端子における電圧と前記第2の可変電圧源の端子における電圧とを調整するように構成されている制御ユニットと、
を備える電力変換器により達成される。
【0013】
1つの特徴によれば、前記第1の制御電流源と前記第2の制御電流源は、互いに同一(identical)である。
【0014】
異なる特徴によれば、前記第1の制御電流源は、前記第1の可変電圧源に直列に接続された第1のインダクタを備える。
【0015】
異なる特徴によれば、前記第2の制御電流源は、前記第2の可変電圧源に直列に接続された第2のインダクタを備える。
【0016】
異なる特徴によれば、前記第1のインダクタと前記第2のインダクタは、同じ磁心に結合されている。
【0017】
異なる特徴によれば、前記第1の可変電圧源と前記第2の可変電圧源の各々は、並列に接続された第1の切り替えレッグ(switching leg)、第2の切り替えレッグ、およびキャパシタを備える電子変換器(electronic converter)を備え、各切り替えレッグは、少なくとも1つの電子スイッチを備える。
【0018】
異なる特徴によれば、前記制御ユニットは、各制御電流源に印加される制御電圧を決定する手段を備え、前記制御電圧(v)は、以下の関係式、すなわち、
【数1】

に基づいて決定され、ただし、
は、整流器電流基準を表し、
は、制御電流源kのデューティサイクル基準を表し、
ekは、制御電流源kのキャパシタの端子における電圧基準を表し、
PIは、積分比例動作レギュレータ(integral proportional-action regulator)を表す。
【0019】
他の特徴および利点は、添付の図面を参照して与えられる、以下の詳細な記載において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態による電力変換器を示す。
【図2】並列に接続された2つの同一セル(identical cells)について得られたシミュレーション曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、知られているように、電力変換器が、整流器段RECと、DC電源バスとを備える。様々な電力変換器の構成が可能である。使用される整流器段RECは、ダイオードブリッジを用いる従来型であっても、または制御切り替えレッグ(controlled switching leg)が設けられることにより有効であってもよい。
【0022】
続く記載においては、また図1に示されているように、特定の対象は、不制御ダイオードブリッジ(uncontrolled diode bridge)を用いる整流器段RECが設けられている電力変換器に重点が置かれる。
【0023】
図1を参照すると、整流器段RECは、例えば、3つの入力相R、S、TにおけるACインダクタを介して、回路網に接続されている。この図1では、整流器段RECは、回路網により供給されるAC電圧が整流され、DC電圧がDC電源バスに印加されることを可能にする不制御ダイオードブリッジから成る。より正確には、整流器段RECは、各々が直列の2つのダイオードから成る複数のレッグを備え、各レッグは、2つのダイオード間に置かれた中点M1、M2、M3を介して、入力相R、S、Tに接続されている。
【0024】
DC電源バスは、整流器段1の下流に接続されている。このDC電源バスは、正電位を有する第1の電源ラインV+と、負電位を有する第2の電源ラインV−とを含む。バスキャパシタCbusが、バスの2つの電源ラインに接続され、バスの電圧Vが一定値に維持されることを可能にする。
【0025】
本発明の第1の目的は、電力変換器の入力電流Iのプロファイルに影響を与えるために、例えば、その高調波を制限するために、以下、整流器電流Iと称される電流器段の出力におけるDC電源バスにわたって流れる電流のプロファイルを制御できるようにすることである。本発明の第2の目的は、整流器電流Iが相対的に大きい場合であっても、この電流のプロファイルを制御することに存する。
【0026】
これらの目的を達成するために、電力変換器は、バスキャパシタCbusの上流で変換器の第1の電源ラインV+または第2の電源ラインV−に直列に接続されている第1の制御電流源と、第1の制御電流源と並列に接続された少なくとも第2の制御電流源とを備える。
【0027】
複数の制御電流源の並列接続は、電力変換器の電力を増加させるための1つの解決策である。さらに、並列の複数の制御電流源の並置(juxtaposition)は、低い定格電圧および定格電流を有する構成要素が選択されることを可能にする。
【0028】
各制御電流源は、記載の文言を減らすために、以下、セル(ESI)と称される。
【0029】
本発明によれば、変換器のセルESIはすべて同一(identical)であっても、とりわけ使用されている構成要素の電圧と電流の安定性の点で差異を示してもよい。従って、各セルESIは、異なるレベルの電流を転送するのに適していることが可能になる。
【0030】
各セルは、変換器の電力に従って、変換器に付加可能な、または変換器から容易に除去可能な独立モジュールの形態で示され得る。
【0031】
続く記載においては、対象は、並列に接続された2つのセルESI、ESIを備える電力変換器に重点が置かれる。もちろん、この数は限定するものではないことが理解されなくてならない。
【0032】
図1を参照すると、第1のセルESIは、
低い値のインダクタLと、
並列の2つの個別の切り替えレッグと、2つの切り替えレッグに並列に接続されたキャパシタCe1とから成る電子変換器1の形態の制御可変電圧源(controlled variable voltage source)と、
を含む。
【0033】
図1を参照すると、第2のセルESIは、
低い値のインダクタLと、
並列の2つの個別の切り替えレッグと、2つの切り替えレッグと並列に接続されたキャパシタCe2とから成る電子変換器2の形態の制御可変電圧源と、
を含む。
【0034】
本発明によれば、同じ磁心に結合されるように2つのセルの2つのインダクタL、Lを備えることも可能である。
【0035】
続く記載においては、第1のセルESIのみが、単純にするために記載される。この記載が、第2のセルESIに同様に適用されることが理解されなくてはならない。
【0036】
電力変換器の整流器段RECが、例えばダイオードブリッジのように非可逆性(non-reversible)である場合、使用されている電子変換器1の切り替えレッグは、一方向電流を含んでいればよい。逆に、整流器段RECが可逆性である、すなわち、制御切り替えレッグから成る場合、電子変換器の切り替えレッグは、回路網におけるエネルギー再生(energy regeneration)を許可するために、二方向電流を含んでいなくてはならないことになる。
【0037】
異なるトポロジーが、使用されている整流器段RECのタイプに従って、しかしまた、接続されているインダクタLの大きさにも従って、電子変換器1のために使用可能である。
【0038】
非可逆性整流器段RECの場合、第1のセルESIの電子変換器1(または、第2のセルESIの電子変換器2)の2つの切り替えレッグの各々は、例えば、ダイオードD1、D1(またはD2、D2)と直列に接続された電子スイッチT1、T1(またはT2、T2)を含む。各切り替えレッグは、その電子スイッチT1、T1(またはT2、T2)と、そのダイオードD1、D1(またはD2、D2)との間に置かれた接続中点P1、P1(またはP2、P2)を含む。第1の切り替えレッグの接続中点P1(またはP2)は、インダクタL(またはL)に接続され、第2の切り替えレッグの接続中点P1(またはP2)は、バスキャパシタCbusに接続されている。電子変換器1(または電子変換器2)の1つの切り替えレッグにおいて、電子スイッチとダイオードとの直列の配置は、他の切り替えレッグの配置に関して反転される。電力変換器が可逆性の整流器段を使用する場合、電子変換器1(または電子変換器2)の各切り替えレッグは、例えば、2つの電子スイッチ(構成は図示せず)を含む。
【0039】
電子変換器1、2の各々に使用される電子スイッチT1、T1、T2、T2は、例えば、すべてのセルに共通の制御ユニット3により制御されるMOSFETトランジスタである。制御ユニットは、例えば、PWM(Pulse Width Modulation(パルス幅変調))制御部を使用する。
【0040】
従って、セルESI、ESIの各々の電子変換器1、2は、制御可変電圧源として振る舞い、そのキャパシタCe1、Ce2の端子における電圧を考慮する。
【0041】
本発明によれば、複数のセルの並列の接続には、制御ユニット3において実装される適合した制御部が必要である。この実装される制御部は、整流器電流Iが、セルESI、ESIの各々に分配されることを可能にし、電子変換器1、2の各々の端子における電圧が調整されることを可能にするとともに、とりわけ、入力電流Iがほとんど高調波を含まず、この入力電流Iが、そのTHDiとそのPWHDとに対する特定の制約に合うように、整流器電流の成形を可能にする必要がある。電力変換器が、例えば、2つの同じセルを使用する場合、制御ユニットにより実装される制御部は、整流器電流が、各セルに等しく分配されることを可能にする。
【0042】
後述される適合した制御部の一例は、セルの入力における電力が、セルの出力における電力に等しいことに従って、受動性理論に基づいている。
【0043】
制御部の表現を単純にするために、2つのセルESI、ESIが特定の成形なしに、一定の整流器電流Iを得る目的で制御されることが仮定される。
【0044】
システムは、以下の形、すなわち、
【数2】

で示され、ただし、
Iは、整流器電流を表し、
は、セルESIにおける電流を表し、
は、セルESIにおける電流を表し、
は、DC電源バスの電圧を表し、
は、整流器ブリッジの出力における電圧を表し、
は、セルESIにおけるエネルギー(=1/2*Ce1*Ve1)を表し、
は、セルESIにおけるエネルギー(=1/2*Ce2*Ve2)を表し、
は、セルESIの制御電圧を表し、
は、セルESIの制御電圧を表し、
は、セルESIの制御デューティサイクルを表し、
は、セルESIの制御デューティサイクルを表し、
e1は、セルESIのキャパシタの端子における電圧を表し、
e2は、セルESIのキャパシタの端子における電圧を表す。
【0045】
システムの動的方程式は、以下の形、すなわち、
【数3】

で、セルkに関して一般化され得、ただし、
は、バスキャパシタCbusの静電容量を表し、
は、DC電源バスの電圧を表し、
Iは、整流器電流を表し、
は、バスキャパシタの下流でDC電源バスにわたって流れる電流を表し、
は、セルkのインダクタンスを表し、
は、セルk内の電流を表し、
は、整流器ブリッジの出力における電圧を表し、
は、セルkの制御電圧を表し、
ekは、セルkのキャパシタの静電容量を表し、
ekは、セルkのキャパシタの端子における電圧を表し、
は、セルkの制御デューティサイクルを表す。
【0046】
このシステムのハミルトニアンHは、以下の形、すなわち、
【数4】

で示され、ただし、
ψは、セルkのインダクタLにおける流量を表し、
ekは、セルk内のキャパシタの負荷を表し、
は、バスキャパシタの負荷を表す。
【0047】
モデルは、以下のエネルギーバランス、すなわち、
【数5】

を証明する。
【0048】
この構造の1つの特徴は、増分安定性特性(incremental stability property)である。増分モデルの線形化された正接(linearised tangent)は、
【数6】

である。
【0049】
線形化されたシステムは、出力δy=b・∂δH/∂δxを考慮したハミルトニアン(従って、受動的)であり、ただし、b=(−Vek,I,0)である。
【0050】
これは、出力δyの比例積分コレクタ(proportional-integral corrector)が可能であり、線形化された正接の制御可能な経路全体に沿って、システムを安定化することを意味する。
【0051】
従って、基準経路の周りのシステムの局所的な安定化を可能にする、各セルkに印加される制御電圧v、すなわち、
【数7】

を定義することが可能であり、ただし、
は、整流器電流の基準を表し、
は、セルkのデューティサイクル基準を表し、
ekは、セルkのキャパシタの端子における電圧基準を表し、
PIは、大括弧の中に示される項に適用される積分比例動作レギュレータを表す。
【0052】
この式は、セルkへの決定された制御電圧vの印加が、整流器電流の基準I、セルkのキャパシタCekの端子における電圧の基準Vek、セルkに適用されるデューティサイクル基準uが考慮されることを可能にすることを示している。
【0053】
セルkに上記定義された制御電圧vを印加するためには、異なる基準I、I、V、Vekを決定することが必要である。例えば、一定の整流器電流基準Iと異なるセルESIにおける整流器電流Iの等しい分布とを仮定すると、これらの異なる基準は、以下の方程式、すなわち、
【数8】

に従わなければならず、ただし、
【数9】

は、平均値として、整流器ブリッジの出力電圧を表し、
【数10】

は、平均値として、セルkのキャパシタの端子における電圧を表す。
【0054】
図2は、並列に接続された2つの同一セルESI、ESIを含み、400ボルトの入力電圧により電力供給される電力変換器のシミュレーション曲線を示している。
【0055】
図2における第4のダイアグラムに示されるように、整流器電流Iの基準経路は、一定値を辿る。第3のダイアグラムでは、第1のセルESI内を流れる電流Iが、第2のセルESI内を流れる電流Iと等しい(2つの曲線が組み合わせられる)ことが分かる。第1のダイアグラムでは、第1のセルESIのキャパシタの端子における電圧Ve1と、第2のセルESIのキャパシタの端子における電圧Ve2とは、互いに等しく(2つの曲線が組み合わせられる)、各々が80ボルトに調整されることが分かる。第4のダイアグラムは、入力電流Iが一定平均値を見せていることを示している。
【0056】
セルに適用される制御次数に従って、セルのインターレース方式の制御(interlaced control)が行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電流(I)を供給する回路網の複数の相(R、S、T)に接続された整流器段(REC)と、
前記整流器段(REC)に接続され、第1の電源ライン(V+)と第2の電源ライン(V−)とを備えるDC電源バスであって、前記整流器段により整流された電流、すなわち整流器電流(I)が流れるDC電源バスと、
前記第1の電源ラインと前記第2の電源ラインとに接続されたバスキャパシタ(Cbus)と、
前記バスキャパシタ(Cbus)の上流で前記第1の電源ラインに直列に接続され、第1の可変電圧源を備える第1の制御電流源と、
を備える電力変換器であって、
前記電力変換器は、
前記第1の制御電流源と並列に接続され、第2の可変電圧源を備える第2の制御電流源と、
前記第1の制御電流源および前記第2の制御電流源の制御ユニット(3)であって、前記制御ユニット(3)は、前記整流器電流(I)を、前記第1の制御電流源内を流れる第1の電流(I)と前記第2の制御電流源内を流れる第2の電流(I)とに分配するように構成され、前記整流器電流(I)を成形し、かつ、前記第1の可変電圧源の端子における電圧(Ve1)と前記第2の可変電圧源の端子における電圧(Ve2)とを調整するように構成されている制御ユニット(3)と、
を備えることを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
前記第1の制御電流源と前記第2の制御電流源が、互いに同一であることを特徴とする請求項1に記載の変換器。
【請求項3】
前記第1の制御電流源が、前記第1の可変電圧源と直列に接続された第1のインダクタ(L)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の変換器。
【請求項4】
前記第2の制御電流源が、前記第2の可変電圧源と直列に接続された第2のインダクタ(L)を備えることを特徴とする請求項3に記載の変換器。
【請求項5】
前記第1のインダクタ(L)と前記第2のインダクタ(L)が、同じ磁心に結合されていることを特徴とする請求項4に記載の変換器。
【請求項6】
前記第1の可変電圧源と前記第2の可変電圧源の各々が、並列に接続された第1の切り替えレッグ、第2の切り替えレッグ、およびキャパシタ(Ce1、Ce2)を備える電子変換器(1、2)を備え、各切り替えレッグが、少なくとも1つの電子スイッチ(T1、T1、T2、T2)を備えることを特徴とする請求項4に記載の変換器。
【請求項7】
前記制御ユニットが、各制御電流源に印加される制御電圧を決定する手段を備え、前記制御電圧(v)が、以下の関係式、すなわち、
【数1】

に基づいて決定され、ただし、
は、整流器電流基準を表し、
は、制御電流源kのデューティサイクル基準を表し、
ekは、制御電流源kのキャパシタの端子における電圧基準を表し、
PIは、積分比例動作レギュレータを表す、
ことを特徴とする請求項6に記載の変換器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−106519(P2013−106519A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−249982(P2012−249982)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【出願人】(502363191)シュネーデル、トウシバ、インベーター、ヨーロッパ、ソシエテ、パル、アクション、セプリフエ (42)
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER TOSHIBA INVERTER EUROPE SAS
【Fターム(参考)】