並進移動を低減させたような一体型の波面補正モジュール
本発明は、一体型波面補正モジュールに関するものであって、取付デバイスと;この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;ベースと、このベースとフレキシブル部分および固定部分のうちの一方との間を相互連結する複数のチップチルトアクチュエータと、ベースとフレキシブル部分および固定部分のうちの他方との間を相互連結する複数の支持支柱と、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、変形可能ミラーと一緒に取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構と;を具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並進移動を低減させたような一体型の波面補正モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
適応型の光学システム波面補正に関する最近の改良により、チップチルトエラー補正と大きな時空周波数的波面エラー補正を単一の一体的パッケージ内において組み合わせた改良された一体型の波面補正モジュールが導入された。本出願と同じ出願人により同日付けで出願された特許文献1(出願人整理番号:XIN-110J)を参照されたい。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。このモジュールは、装置のサイズやコストや複雑さを大幅に低減させる。しかしながら、いくつかの問題点が残されている。チップチルト補正の回転は、ミラーの中心に限定されない。そのため、並進移動エラーやビームステアリングの不正確さを導入しかねない。加えて、そのようなモジュールによってもたらされたチップチルト補償は、複数のアクチュエータのストロークの関数であって、パワースペクトルバンドにわたって一様であるものの、チップチルトエラーは、そうではない。
【特許文献1】Ealey による“Integrated Wavefront Correction Module”と題する米国特許出願
【特許文献2】米国特許出願シリアル番号第10/730,514号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、並進移動を低減させたような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、並進移動が小さな正確なステアリングでもってミラー表面中心まわりにチップチルト回転させ得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、パワースペクトル分布に対してチップチルト補正をより良好に適合させ得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、利用可能なストロークを増大させ得るよう、複数の組をなすアクチュエータの相乗効果を使用し得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、広角度かつ狭いバンド幅のビームステアリングであるかあるいは広いバンド幅を有した高速ステアリング(高速のチップチルト補償)であるかのいずれかを提供し得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0009】
本発明は、変形可能ミラーに対して、ミラー表面まわりにおいて変形可能ミラーに対してチップチルト補償回転を印加するチップチルト機構を一体化させたモジュールにおいて、最小の並進移動でのミラー表面についてチップチルト回転を可能とし得るように改良された波面補正モジュールを提供するものである。
【0010】
本発明は、一体型波面補正モジュールであって、固定部分とフレキシブル部分とを有してなる複合型の屈曲プレートを備えた取付デバイスと;この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;を具備している。さらに、ベースと、このベースとフレキシブル部分および固定部分のうちの一方との間を相互連結する複数のチップチルトアクチュエータと、ベースとフレキシブル部分および固定部分のうちの他方との間を相互連結する複数の支持支柱と、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、変形可能ミラーと一緒に取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構を具備している。
【0011】
好ましい実施形態においては、取付デバイスは、変形可能ミラーを設置するための支持フレームを備えることができる。変形可能ミラーは、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えることができる。ミラー表面は、ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けることができる。チップチルト機構は、チップチルトアクチュエータの各々を屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えることができる。さらに、ベースと屈曲プレートの固定部分とを相互接続するための支持フレームを設けることができる。支持支柱として、少なくとも3つの支持支柱が設けることができ、チップチルトアクチュエータとして、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータを設けることができる。変形可能ミラーは、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えることができる。横方向電気変位アクチュエータアレイは、支持構造と;支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備えることができる。アクチュエータ部材の各々は、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ基端部と先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備えることができる。反射面と、アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられる。アドレッシング用電極および共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされている。アクチュエータ部材は、支持構造に対して一体的なものとすることができる。
【0012】
本発明は、また、一体型波面補正モジュールに関するものであって、取付デバイスと;この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;を具備している。さらに、少なくとも1つのアクチュエータプラットホームと、ベースと、このベースに対して少なくとも1つのアクチュエータプラットホームを調節可能に支持するための第1組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータプラットホームに対して取付デバイスを調節可能に支持するための第2組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、変形可能ミラーと一緒に取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構が設けられる。
【0013】
好ましい実施形態においては、互いに積層されて配置された複数のアクチュエータプラットホームと;複数の組をなすチップチルトアクチュエータと;を設けることができ、その際、最初のチップチルトアクチュエータは、ベースに対して、積層配置されているうちの最初のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ;最後のチップチルトアクチュエータは、取付デバイスに対して、積層配置されているうちの最後のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ:中間のチップチルトアクチュエータは、積層配置されているうちの相隣接したプラットホームどうしを連結するためのものとされる。変形可能ミラーは、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えることができる。ミラー表面は、ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けることができる。チップチルト機構は、チップチルトアクチュエータの各々を屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えることができる。さらに、チップチルトエラーの様々なスペクトル範囲において各組をなすチップチルトアクチュエータに対して電力を供給するための制御システムを設けることができる。制御システムは、チップチルトアクチュエータの各組に対して電力を供給することができる。チップチルトアクチュエータの各組には、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータを設けることができる。変形可能ミラーは、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えることができる。横方向電気変位アクチュエータアレイは、支持構造と;支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備えることができる。アクチュエータ部材の各々は、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ基端部と先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備えることができる。反射面と、アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられる。アドレッシング用電極および共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより
、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされている。アクチュエータ部材は、支持構造に対して一体的なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の他の目的や特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、当業者には明瞭となるであろう。
【0015】
後述するような1つまたは複数の好ましい実施形態とは別に、本発明は、様々な他の態様でもって実施することができる。よって、本発明が、以下の説明および添付図面に例示された構成の詳細に限定されないことは、理解されるであろう。
【0016】
図1には、本発明による一体型の波面補正システム10が示さていれる。このシステム10は、取付デバイス12を備えており、取付デバイス12は、変形可能ミラー14を備えている。変形可能ミラー14は、ミラー表面16と、中心軸線19まわりに配置された複数のミラーアクチュエータ18と、を備えている。複数のミラーアクチュエータ18は、ミラーを変形させ、これにより、入射波面における大きな時空周波数エラーを修正することができる。変形可能ミラー14は、例えば井戸またはクレイドル20といったような支持構造内に設置されている。取付デバイス12は、複合型の屈曲プレート13を備えることができる。屈曲プレート13は、固定部分22と、フレキシブル部分24と、切欠26と、を備えている。チップチルト機構30は、ベース32と、図1には2つのものだけが図示されている3つの支柱34と、を備えている。支柱34は、複合型の屈曲プレート13の固定部分22を取り付けている。取付デバイス12のチップチルト機構30は、さらに、3つのチップチルトアクチュエータ36を備えている。図1においては、3つのチップチルトアクチュエータ36のうちの、2つのものが図示されている。チップチルトアクチュエータ36は、フレキシブル部分24を取り付けている。ベース32と、屈曲プレート13の固定部分22と、の間においては、支柱34が相互接続を行っている。これにより、固定部分22を固定している。固定部分24は、支柱34によってベース32に対して堅固に連結されていることにより、固定されている。アクチュエータ36と支柱34とを単に交換することにより、固定部分24をフレキシブル部分とすることができ、フレキシブル部分22を固定部分とすることができる。アクチュエータ18およびアクチュエータ36を駆動するための電力は、ケーブル40によって供給される。
【0017】
例えば井戸またはクレイドル20といったような支持構造は、図2に示すように、屈曲プレート13に対して一体的なものとすることができる。そして、変形可能ミラー14は、さらに、反応質量体42を備えることができる。反応質量体42は、溶接または接着剤によって、支持構造またはクレイドル20に対して固定することができる。各チップチルトアクチュエータ36の端部を取付デバイス12に対して係合させ得るようにして、例えばステンレススチール製の屈曲端部タブ44を設けることができる。ミラー表面16をアクチュエータ18に対して係合させ得るよう、同様の屈曲端部タブ46を設けることができる。屈曲端部タブ46は、ミラー表面16に対して一体的なものとして図示されているけれども、本発明においては、これは必須ではない。アクチュエータ36は、シールド48によってカバーすることができる。
【0018】
一体型の波面補正システム10の構造は、おそらく、図3の分解斜視図によって、より明瞭に理解することができる。ベース32は、典型的にはアルミニウム製のものであって、取付プレート12の固定部分22に対して取り付けられる支柱34を支持する。取付プレート12は、この場合には、複合型の屈曲プレートとすることができる。チップチルトアクチュエータ36も、また、アルミニウム製ベース32に対して取り付けられている。チップチルトアクチュエータ36は、屈曲端部タブ44を介して、取付デバイス12のフレキシブル部分24に対して係合している。チップチルトアクチュエータ36のためのシールドまたはカバー48は、支持構造またはクレイドル20と同様に、アルミニウム製のものとすることができる。シールドまたはカバー48は、この場合には、図示しないボルトを介して、取付デバイス12に対して固定されている。ミラーアクチュエータ18は、例えばピンや溶接や接着剤や他の手法といったような任意の適切な手法によって、反応質量体42に対して固定することができる。反応質量体42は、例えば、パイレックス(登録商標)から形成することができる。ミラーアクチュエータ18は、XIRE4016(登録商標)とすることができる。また、チップチルトアクチュエータ36は、XIRE0750(登録商標)とすることができる。これらは、米国マサチューセッツ州 Devans 所在の Xinetics Inc. 社から入手することができる。そのようなチップチルトアクチュエータ36は、典型的には、10〜40ミクロンというストロークを有している。一方、ミラーアクチュエータ18は、3〜6ミクロンというストロークを有している。
【0019】
動作においては、波面補正システム10の一体的特性により、単一ユニットでもって、高精度での時空周波数的な補正と、チップチルトミラー補正と、の双方を、互いに個別的に達成することができる。大きな時空的な波面エラーは、ミラーアクチュエータ18の選択的な動作によってミラー表面16を変形させることにより、補正される。しかしながら、ミラー表面16と、ミラー表面16とアクチュエータ18と反応質量体42とを備えてなる変形可能ミラー14の全体とは、取付デバイス12によって支持されており、取付デバイス12自体は、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、チップチルトアクチュエータ36によって制御される。このように、入射波面は、単一デバイスによって実施される入射波面のための双方の補正を受ける。これにより、2つの補正デバイスを設ける必要もなく、また、それらに関連して必要とされる光学リレーを設ける必要もなく、また、それら2つの補正デバイスおよび関連光学リレーを収容するのに必要とされるスペースを設ける必要もない。
【0020】
ミラーアクチュエータ18の動作周波数と、チップチルトアクチュエータ36の動作周波数とは、十分に離間していることが望ましい。これにより、波面の歪みを補正するに際して、それら2つのシステムが迷ってしまったりあるいは互いを追求してしまったりすることを、防止することができる。この目的のために、典型的には、ミラーアクチュエータ18は、およそ1100サイクル毎秒(すなわち、1100ヘルツ)で動作することができ、一方、チップチルトアクチュエータ36は、50サイクル毎秒(すなわち、50ヘルツ)で動作することができる。それら2つの動作周波数の離間度合いをさらに増大させ得るよう、システム10は、図4に示すように、剛直フレームまたはスリーブ50内に設置することができる。システム10は、ベース32と、取付デバイス12と、の双方において、取り付けることができる。しかしながら、取付デバイス12に関しては、固定部分22のところにおいてだけ、取り付けられる。これにより、追加された剛性のために、アクチュエータ36の動作周波数を、約1800サイクル毎秒近傍にまで増大させることができる。これにより、アクチュエータ36の動作は、入射波面におけるチップチルトエラーに対する適合のための屈曲に関して要求されるフレキシブル部分24の移動に対して、干渉することがない。
【0021】
図5には、一体型の波面補正システムの他の実施形態10aが示されている。図5においては、上述したものと同様の構成部材は、同じ符号の後に英文字が添えて示されている。チップチルト機構30aは、ベース32aと取付デバイス12aとの間に積層された1つまたは複数のプラットホームを備えている。さらに、複数の組をなすチップチルトアクチュエータ36a,36b,36cが設けられている。これらチップチルトアクチュエータは、ベースと、連続したプラットホーム50,52と、取付デバイス12aと、を相互接続している。
【0022】
この構造は、図6を参照することにより、より容易に理解することができる。図6においては、プラットホーム50は、複数の組をなすチップチルトアクチュエータ36a,36b,36cのそれぞれ対応するものを収容するための互いに同じ幅の3つの隔室60,62,64を備えている。第1組をなす複数のアクチュエータ36aは、ベース32aに対して、および、隔室60,62,64の上面に対して、固定されている。プラットホーム52は、2倍幅の3つの隔室66,68,70を備えている。これら隔室の各々は、プラットホーム50のそれぞれ対応する隔室60,62,64を収容しているとともに、第2組をなすチップチルトアクチュエータ36bをも収容している。第2組をなす複数のチップチルトアクチュエータ36bは、隔室66,68,70の上面に対して、および、プラットホーム50に対して、固定されている。第3組をなす複数のチップチルトアクチュエータ36cは、取付デバイス12aとプラットホーム52とを相互接続している。ベース32aの穴80と、プラットホーム50の穴82と、プラットホーム52の穴84とは、それぞれ、ミラーアクチュエータ18aとチップチルトアクチュエータ36a,36b,36cとに対して接続されているケーブル40aを収容している。構造の全体は、シリコンカーバイドや、ステンレススチールや、アルミニウムや、あるいは、インバール(Invar)(登録商標)、から形成することができる。この実施形態においては、チップチルトアクチュエータ36a,36b,36cは、米国マサチューセッツ州 Devans 所在の Xinetics Inc. 社から入手し得るXIRE0750(登録商標)を使用して具現することができる。ミラーアクチュエータ18aは、本出願人である Mark A. Ealey によって2003年12月8日付けで出願された“Transverse Electrodisplacive Actuator Array ”と題する米国特許出願シリアル番号第10/730,514号明細書に記載された横方向電気変位アクチュエータによって具現することができる。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。
【0023】
この実施形態においては、ミラーアクチュエータ18aは、3〜4ミクロンというストロークを有することができる。一方、チップチルトアクチュエータ36a,36b,36cは、3〜6ミクロンというストロークを有することができる。
【0024】
図7に示すような典型的な制御システム90は、入射波面のチップチルト歪みを検出するためのチップチルトセンサ92と、マイクロプロセッサ94と、を備えている。マイクロプロセッサ94は、従来的なアルゴリズムを使用して、必要な補償信号を生成する。補償信号は、例えば、アンプ96を介して送出される。補償信号は、その後、チップチルト機構内のチップチルトアクチュエータ36へと、供給される。同時に、本発明による同じ一体型波面補正システム内の高精度での時空周波数的なセンサ98が、大きな時空周波数的エラーを検出する。この場合にも、マイクロプロセッサ100内における標準的なアルゴリズムを使用して、必要な補償信号を決定する。補償信号は、アンプ102によって増幅された後に使用され、変形可能ミラー内のミラーアクチュエータ18または18aを駆動することができる。このようにして、本発明においては、単一の一体型システムによって、特定の波面内におけるチップチルトエラーおよび大きな時空周波数的エラーとを、修正することができる。
【0025】
図5および図6に示すようなプラットホームと複数組をなすチップチルトアクチュエータとの積層は、よりコンパクトなパッケージ内においてチップチルトアクチュエータによって利用可能なストロークを増大させるだけでなく、入射波面内におけるチップチルトエラーのパワースペクトル密度に適合するように、動作を調節することもできる。図8により、チップチルトの大きさが、10〜100ヘルツという範囲において最大であり、100〜1,000ヘルツという範囲において低減し、その後、1,000〜10,000ヘルツという範囲において再度減少することが、わかる。本発明を使用することにより、複数の組をなすミラーアクチュエータ36a,36b,36cに対してアンプ96がそれぞれ10ヘルツという低周波数・500ヘルツという中程度の周波数・1000ヘルツという大きな周波数の補償信号を供給し得るように、マイクロプロセッサ94から一組の信号を提供することにより、チップチルトエラーのパワースペクトル密度に対して、より良好に適合することができる。これにより、各組を実際に直列に動作させることによってよりコンパクトなパッケージでもってより大きなストロークを得ることができるとともに、個別の組をなすチップチルトアクチュエータを使用して、低周波数をより大きく補償させなおかつ高周波数を小さく補償させなおかつ中程度の周波数を中程度に補償させることによって、エラー補償に対してより良好に適合することができる。
【0026】
本発明の他の利点は、図9に示すように、中心110を安定に維持しつつ、アクチュエータ18bのストローク範囲のうちの中程度の動作ポイントを例えば70ボルトに設定することにより、また、例えば50ボルトという低電圧に設定することによりミラーの一部分112をより下方へと変形させることにより、また、例えば100ボルトという高電圧に設定することによりミラーの他の部分114をより上方へと変形させることにより、変形可能ミラー14bのミラー表面16bを、全体的に変形させることも、また、ポイント110まわりに回転させることも、できることである。これにより、並進移動効果を低減し得るとともに、ビームステアリングの正確さを改良することができる。
【0027】
屈曲プレート13は、ミラーの中心まわりのチップチルト回転を抑制するとともに、図9に関して上述したように、変形可能ミラーの重量を、アクチュエータ36の代わりに剛直な支柱34に対して、軽減する。屈曲プレート13は、図4に示すように中心軸線19を横向きに配置した場合であってさえも、その固定部分24によって、追加的な剛直さをモジュールに対して付与する。
【0028】
好ましい実施形態においては、変形可能ミラー14は、本出願人である Mark A. Ealeyによって2003年12月8日付けで出願された“Transverse Electrodisplacive
Actuator Array”と題する米国特許出願シリアル番号第10/730,514号明細書に記載されたような、横方向電気変位アクチュエータアレイ48を備えることができる。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。横方向電気変位アクチュエータアレイ248は、図10に示すように、複数のアクチュエータ250,252を備えている。各アクチュエータは、支持構造254上に取り付けられている。アクチュエータは、長手方向軸線d33に沿った歪みではなく、アクチュエータ250を伸縮させ得るような、横方向軸線d31に沿って歪みを利用している。この場合、各々のアクチュエータは、少なくとも2つの電極を備えている。すなわち、アドレッシング用電極256と、共通電極258と、を備えている。アドレッシング用電極256は、支持構造254の表面262上においてコンタクト260に対して接続されている。一方、共通電極258は、表面266上においてコンタクト264に対して接続されている。構成に関し、本発明においては、複数の電極は、電極の伸縮方向に対する横方向ではなく、電極の伸縮方向に対して全体的に平行なものとされている。1つの利点は、起こり得るすべての分離やクラックが力または変位に対して直列ではなくむしろ横方向であることにより、界面応力が、デバイスの動作を妨害する要因とはなり得ないことである。加えて、得られるストロークは、もはや、電極の数およびラミネート積層体内におけるセラミック層の数に依存するものではなく、図10に示すように、アクチュエータ250の長さに依存する。
【0029】
図10のアクチュエータ250,252は、図11に示すようなより大きなアレイ248aの一部とすることができる。このアレイ248aは、複数のアクチュエータ250a,252a,272,274を備えている。アクチュエータ250a,252a,272,274は、支持構造254a上に取り付けられている。支持構造254aは、それらアクチュエータと一体的なものとすることができる。アクチュエータどうしの分離は、切り溝すなわちソーカット276によって行うことができる。切り溝276は、それらアクチュエータどうしを2次元的に分離する。これにより、それらアクチュエータは、互いに独立な部材として機能することができる。また、図示のように、各アクチュエータ部材は、2つ以上のアドレッシング用電極と、2つ以上の共通電極と、を備えることができる。例えば、アクチュエータ250aに関しては、図11に示すように、3つのアドレッシング用電極280,282,284が存在する。これらは、アドレッシング用コンタクト286に対してユニットとして接続されている。複数の共通電極が存在することができる。例えば、4つの共通電極288,290,292,294が存在することができ、これらは、反射部材300の取付面298においてメッキ付けによって形成された共通コンタクト296に対して、ユニットとして接続される。反射部材300は、反対側の面上に、反射面302を備えている。反射面302は、典型的には、連続的な表面である。よって、アドレッシング用コンタクト286を選択的にアドレッシングすることにより、アクチュエータ250aを伸張または収縮させることができ、これにより、アクチュエータ250aが位置している場所において局所的に表面302を膨出または陥没させることができる。同様に、アドレッシング用コンタクト304,306,308を選択した場合には、表面302は、それぞれ関連するアクチュエータ252a,272,274の局所的位置に対応した領域において、駆動されることとなる。これにより、表面302は、印加された電圧に応じて膨出または陥没を引き起こす。これにより、表面302から反射される光学波面をの形状を整形することができる。典型的には、印加される電圧は、70ボルトという静止レベルを有することができる。これにより、30ボルトの増大によって、一方向にお
いてアクチュエータを伸縮させることができ、また、30ボルトの低減によって、他の方向においてアクチュエータを伸縮させることができる。取付面298の戻り止め(あるいは、デテント)297は、任意の適切な接着剤によってあるいは任意の適切な接着技術によって、アクチュエータ252a,254a,272,274に対して連結されている。アクチュエータ部材は、支持構造によって支持された基端部を備えている。先端部は、反射部材を支持している。アドレッシング電極および共通電極は、互いに離間しているとともに、全体的に互いに平行なものとされている。電極は、横方向歪み軸線d31に沿って、アクチュエータ部材の基端部と先端部とがなす方向に沿って、延在している。
【0030】
横方向電気変位アクチュエータアレイ248は、低電圧で動作しさらに293°K(室温)において良好に動作するような大きなストロークの伸縮式のマイクロアクチュエータを構成し得るよう、例えば強誘電性材料または強磁性材料のようなフェロイック(ferroic) 材料の横方向歪みを利用する。例え電歪セラミックや鉛マグネシウムニオブ酸塩(PMN)といったような材料の横方向歪みを利用する。例えばタングステンベースの材料やストロンチウムベースの材料といったような他の材料を使用することにより、それぞれ、125K〜200Kおよび30K〜65Kという温度範囲で動作させることができる。横方向歪み部材を利用することにより、セラミックと電極との間の界面応力が低減され、稠密にパッケージングされた構造の電気相互接続が、単純化される。電極インタフェース構造は、機械加工の許容度に敏感ではなく、性能および再現性に関してよりモジュール的なものであり、さらに、費用効果がよい。アクチュエータを形成するに際して要求されるラミネートの数は、より少なく、長さは、ストローク必要条件を満たすものとされる。電気相互接続は、共通背面にプリント回路基板技術を適用することにより、達成される。横方向電気変位アクチュエータ構成は、最大で107 個という動作チャネルに適合したような、伸縮式の構成を提供する。長手方向の多層アクチュエータに関連した問題点(電気的な相互接続、界面応力、および、製造時の機械加工精度)は、動作モードを横方向モードとすることによって、解決される。アレイ248は、共同焼成されたかつ互いに交互配置された複数のセラミックおよび複数の電極層から形成することができる、あるいは、限定するものではないけれども鉛マグネシウムニトレートや鉛ジルコネートニトレートといったような単結晶材料から形成することができる。
【0031】
横方向電気変位アクチュエータアレイは、PMNやあるいは他のフェロイック材料や強誘電性材料や強磁性材料の横方向電気歪みを利用する。これにより、応力に敏感な多層構成プロセスを必要とすることなく、大きなストロークを有した低電圧動作型のマイクロアクチュエータを形成することができる。横方向という向きであることのために、構造的負荷経路は、完全にセラミックを通過し、電極/セラミック界面を通過しない。さらに、界面応力が、大幅に低減する。なぜなら、長手方向における寸法変化が小さいからであり、また、不活性材料を使用した機械的なクランプ止めまたはピン止めが除去されるからである。ストロークは、追加的な層を追加することによってではなく、長さを調節することによって、得られる。
【0032】
セラミックからなる一体的ブロックを複数の個別アクチュエータへと分離することは、標準的なマイクロソーイング技術によって達成される。横方向の構成は、耐故障性を有した構成(フォールトトレラントな構成)であって、精度が要求されない。これにより、製造時の電極の損傷や短絡を防止することができる。電極の電気的相互接続は、大幅に単純化される。個々のアクチュエータに対しての電気的アドレッシングは、一体的ブロックを使用して行われる。この一体的ブロックは、研磨されているとともに、露出された電極を備えている。プリント回路技術を使用することにより、個別のアドレッシング用アクチュエータチャネルと電子ドライバとの間における電気的相互接続を提供することができる。この結果、マイクロアクチュエータ技術によって、アクチュエータどうしの間の間隔が非常に小さい場合であってさえも、多層構成を使用する必要もなくまた微視的な電気的相互接続を使用する必要もなく、十分なストロークを提供することができる。この構成は、高精度の機械加工を行う必要なく容易に製造されるとともに、電気的活性状態においては、応力に対して極度の耐力を有している。さらに、この構成は、本質的に、低電圧に適合したものである。このことは、ハイブリッド型のマイクロエレクトロニクスのドライバ技術に適合している。電気的なアドレッシングのための相互接続は、それ自体が横方向に伸縮させる共通背面のところで行われる。この概念は、従来技術による電子セラミック製造技術およびプロセッシング技術を使用したような、高性能の伸縮式のマイクロアクチュエータ技術を提供する。
【0033】
図11においては、本発明による横方向電気変位アクチュエータアレイが、反射部材300の取付面298に形成された共通電極296を有するものとして図示されているけれども、本発明においては、これは必須ではない。図12に示すように、アレイ248bにおいては、反射部材300aは、取付面298a上にコンタクトを設けることなく、構成することができる。その代わりに、共通電極のための共通コンタクト296aを、表面299に形成することができる。このようにして、アクチュエータ250a,252a,272,274を備えているアレイに対して、十分に電力を供給することができ、反射部材300aを接着する前にまたは接着剤によって取り付ける前に、テストすることができる。
【0034】
支持構造254aとアクチュエータ250a,252a,272,274との双方を含めたアレイの全体に対して、互いに直交する2つの方向において、カットを行うことができる。カットすなわち切り溝が、複数のアクチュエータを個々の部材へと分離することによって、適切な材料のフェリックセラミックからなるブロックを形成することができる。数個のカット310を行うことができる。これにより、図13においてアレイ248cに関して図示しているように、複数のアクチュエータ312を得ることができる。あるいは、多数のカット314を行うことができる。これにより、図14においてアレイ248dに関して図示しているように、多数のアクチュエータ316を得ることができる。支持構造322に支持された多数のアクチュエータ320を備えた図15の横方向電気変位アクチュエータアレイ248eの相互接続は、図15の底面323上の半田パッド324を使用して、図12のコンタクト286a,296aを形成することによって、行うことができる。底面323上には、ソケットグリッドアレイ326が配置される。ソケットグリッドアレイ326は、フレキシブルケーブル330に付設されたピングリッドアレイ328を受領することができる。
【0035】
本発明による横方向電気変位アクチュエータアレイの有利なモジュール性は、図16に示されている。図16においては、図15の多数の小さな横方向電気変位アクチュエータアレイ320が、図16に組み込まれていて、より大きなアセンブリ332を形成している様子を見ることができる。これにより、連続的な表面とすることができるずっと大きな反射部材334に適合することができる。個々で、単一のケーブル336として図示されているようなすべてのフレキシブルケーブルは、ドライバ回路240bに対して接続されており、ドライバ回路240bは、マイクロプロセッサ242bに対して接続されている。選択されたプログラムを使用してマイクロプロセッサ242bによってドライバ回路240bを制御することにより、図17Aに示すように、励起された活性開口が存在しない状態とすることができ、また、図17Bに示すように、およそ250nmにまで単一のアクチュエータを励起することができ、また、図17Cに示すように、3分の1のアクチュエータを励起することができ、また、図17Dに示すように、すべてのアクチュエータを励起させることさえできる。1024個のアクチュエータを備えているモジュールが例示されている。すなわち、1ミリメートル間隔でもって32×32配列とされた1024個のアクチュエータを備えているモジュールが例示されている。ミラー変形は、100ボルトにおいて0.25ミクロンとして得られ、λ/2000rmsにまで繰返し可能である。各アクチュエータに関し、平均キャパシタンスは、30nfとすることができ、平均ストロークは、250nmとすることができる。
【0036】
他の実施形態においては、144個のアクチュエータを備えているモジュールが例示される。すなわち、2.5ミリメートル間隔でもって12×12配列とされた144個のアクチュエータを備えているモジュールが例示される。ミラー変形は、100ボルトにおいて2.5mmとして得られ、λ/2000rmsにまで繰返し可能である。各アクチュエータに関し、平均キャパシタンスは、0.5uf(あるいは、0.5μf)とすることができ、平均ストロークは、3.5mmとすることができる。
【0037】
本発明のいくつかの特定の特徴点がいくつかの図面におよび他の図面に図示されているけれども、これは、便宜的なものに過ぎない。なぜなら、本発明においては、各特徴点を、他の任意のあるいは他のすべての特徴点に対して組み合わせ得るからである。本明細書においては、『を具備している』、『を備えている』、『を有している』、『を含有している』、という用語は、広義にかつ包括的に解釈されるべきものであり、特定の物理的相互関係に限定されるものではない。さらに、本発明において開示されたすべての実施形態が、可能な実施形態を例示したものに過ぎないことは、理解されるであろう。
【0038】
他の実施形態は、当業者には明らかであり、特許請求の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による一体型波面補正システムを示す斜視図である。
【図2】本発明による一体型波面補正システムの一部を破断して示す破断斜視図である。
【図3】図1および図2の一体型波面補正システムを示す分解斜視図である。
【図4】図2の4−4線に沿った概略的な矢視断面図であって、図1〜図3の一体型波面補正システムの剛直化バージョンを示している。
【図5】本発明による一体型波面補正システムに関する多段積層型という他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5の一体型波面補正システムを示す分解斜視図である。
【図7】チップチルトエラーおよび大きな時空周波数的波形エラーを検出するための、さらには、本発明による一体型波面補正システムにおけるチップチルト機構および変形可能ミラーのための駆動信号を生成するための、制御システムを概略的に示す図である。
【図8】波面におけるチップチルトエラーのパワースペクトル分布を示すグラフである。
【図9】本発明に基づきミラー表面に関して改良された回転特性を概略的に示す図である。
【図10】本発明において使用可能な横方向電気変位アクチュエータを簡略化して示す図である。
【図11】図10の横方向電気変位アクチュエータを使用した横方向電気変位アクチュエータアレイを簡略化して示す図である。
【図12】図11と同様の横方向電気変位アクチュエータを簡略化して示す図であるものの、共通電極が支持構造を通して引き出されている。
【図13】アクチュエータ部材の数を増大させたような横方向電気変位アクチュエータアレイを示す斜視図である。
【図14】アクチュエータ部材の数を増大させたような横方向電気変位アクチュエータアレイを示す斜視図である。
【図15】図14の横方向電気変位アクチュエータアレイと、このアレイに関する電気的相互接続状況と、を示す分解斜視図である。
【図16】ドライバ回路を備えたモジュール構成でもって図14のアレイを示す斜視図である。
【図17A】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【図17B】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【図17C】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【図17D】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 一体型波面補正システム
12 取付デバイス
13 屈曲プレート
14 変形可能ミラー
16 ミラー表面
18 ミラーアクチュエータ
22 固定部分
24 フレキシブル部分
30 チップチルト機構
32 ベース
34 支柱
36 チップチルトアクチュエータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、並進移動を低減させたような一体型の波面補正モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
適応型の光学システム波面補正に関する最近の改良により、チップチルトエラー補正と大きな時空周波数的波面エラー補正を単一の一体的パッケージ内において組み合わせた改良された一体型の波面補正モジュールが導入された。本出願と同じ出願人により同日付けで出願された特許文献1(出願人整理番号:XIN-110J)を参照されたい。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。このモジュールは、装置のサイズやコストや複雑さを大幅に低減させる。しかしながら、いくつかの問題点が残されている。チップチルト補正の回転は、ミラーの中心に限定されない。そのため、並進移動エラーやビームステアリングの不正確さを導入しかねない。加えて、そのようなモジュールによってもたらされたチップチルト補償は、複数のアクチュエータのストロークの関数であって、パワースペクトルバンドにわたって一様であるものの、チップチルトエラーは、そうではない。
【特許文献1】Ealey による“Integrated Wavefront Correction Module”と題する米国特許出願
【特許文献2】米国特許出願シリアル番号第10/730,514号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、本発明の目的は、改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0004】
本発明のさらなる目的は、並進移動を低減させたような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、並進移動が小さな正確なステアリングでもってミラー表面中心まわりにチップチルト回転させ得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、パワースペクトル分布に対してチップチルト補正をより良好に適合させ得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、利用可能なストロークを増大させ得るよう、複数の組をなすアクチュエータの相乗効果を使用し得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、広角度かつ狭いバンド幅のビームステアリングであるかあるいは広いバンド幅を有した高速ステアリング(高速のチップチルト補償)であるかのいずれかを提供し得るような、そのような改良された一体型の波面補正モジュールを提供することである。
【0009】
本発明は、変形可能ミラーに対して、ミラー表面まわりにおいて変形可能ミラーに対してチップチルト補償回転を印加するチップチルト機構を一体化させたモジュールにおいて、最小の並進移動でのミラー表面についてチップチルト回転を可能とし得るように改良された波面補正モジュールを提供するものである。
【0010】
本発明は、一体型波面補正モジュールであって、固定部分とフレキシブル部分とを有してなる複合型の屈曲プレートを備えた取付デバイスと;この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;を具備している。さらに、ベースと、このベースとフレキシブル部分および固定部分のうちの一方との間を相互連結する複数のチップチルトアクチュエータと、ベースとフレキシブル部分および固定部分のうちの他方との間を相互連結する複数の支持支柱と、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、変形可能ミラーと一緒に取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構を具備している。
【0011】
好ましい実施形態においては、取付デバイスは、変形可能ミラーを設置するための支持フレームを備えることができる。変形可能ミラーは、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えることができる。ミラー表面は、ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けることができる。チップチルト機構は、チップチルトアクチュエータの各々を屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えることができる。さらに、ベースと屈曲プレートの固定部分とを相互接続するための支持フレームを設けることができる。支持支柱として、少なくとも3つの支持支柱が設けることができ、チップチルトアクチュエータとして、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータを設けることができる。変形可能ミラーは、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えることができる。横方向電気変位アクチュエータアレイは、支持構造と;支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備えることができる。アクチュエータ部材の各々は、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ基端部と先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備えることができる。反射面と、アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられる。アドレッシング用電極および共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされている。アクチュエータ部材は、支持構造に対して一体的なものとすることができる。
【0012】
本発明は、また、一体型波面補正モジュールに関するものであって、取付デバイスと;この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;を具備している。さらに、少なくとも1つのアクチュエータプラットホームと、ベースと、このベースに対して少なくとも1つのアクチュエータプラットホームを調節可能に支持するための第1組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、少なくとも1つのアクチュエータプラットホームに対して取付デバイスを調節可能に支持するための第2組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、変形可能ミラーと一緒に取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構が設けられる。
【0013】
好ましい実施形態においては、互いに積層されて配置された複数のアクチュエータプラットホームと;複数の組をなすチップチルトアクチュエータと;を設けることができ、その際、最初のチップチルトアクチュエータは、ベースに対して、積層配置されているうちの最初のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ;最後のチップチルトアクチュエータは、取付デバイスに対して、積層配置されているうちの最後のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ:中間のチップチルトアクチュエータは、積層配置されているうちの相隣接したプラットホームどうしを連結するためのものとされる。変形可能ミラーは、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えることができる。ミラー表面は、ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けることができる。チップチルト機構は、チップチルトアクチュエータの各々を屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えることができる。さらに、チップチルトエラーの様々なスペクトル範囲において各組をなすチップチルトアクチュエータに対して電力を供給するための制御システムを設けることができる。制御システムは、チップチルトアクチュエータの各組に対して電力を供給することができる。チップチルトアクチュエータの各組には、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータを設けることができる。変形可能ミラーは、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えることができる。横方向電気変位アクチュエータアレイは、支持構造と;支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備えることができる。アクチュエータ部材の各々は、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ基端部と先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備えることができる。反射面と、アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられる。アドレッシング用電極および共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより
、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされている。アクチュエータ部材は、支持構造に対して一体的なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の他の目的や特徴点や利点は、添付図面を参照しつつ、好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、当業者には明瞭となるであろう。
【0015】
後述するような1つまたは複数の好ましい実施形態とは別に、本発明は、様々な他の態様でもって実施することができる。よって、本発明が、以下の説明および添付図面に例示された構成の詳細に限定されないことは、理解されるであろう。
【0016】
図1には、本発明による一体型の波面補正システム10が示さていれる。このシステム10は、取付デバイス12を備えており、取付デバイス12は、変形可能ミラー14を備えている。変形可能ミラー14は、ミラー表面16と、中心軸線19まわりに配置された複数のミラーアクチュエータ18と、を備えている。複数のミラーアクチュエータ18は、ミラーを変形させ、これにより、入射波面における大きな時空周波数エラーを修正することができる。変形可能ミラー14は、例えば井戸またはクレイドル20といったような支持構造内に設置されている。取付デバイス12は、複合型の屈曲プレート13を備えることができる。屈曲プレート13は、固定部分22と、フレキシブル部分24と、切欠26と、を備えている。チップチルト機構30は、ベース32と、図1には2つのものだけが図示されている3つの支柱34と、を備えている。支柱34は、複合型の屈曲プレート13の固定部分22を取り付けている。取付デバイス12のチップチルト機構30は、さらに、3つのチップチルトアクチュエータ36を備えている。図1においては、3つのチップチルトアクチュエータ36のうちの、2つのものが図示されている。チップチルトアクチュエータ36は、フレキシブル部分24を取り付けている。ベース32と、屈曲プレート13の固定部分22と、の間においては、支柱34が相互接続を行っている。これにより、固定部分22を固定している。固定部分24は、支柱34によってベース32に対して堅固に連結されていることにより、固定されている。アクチュエータ36と支柱34とを単に交換することにより、固定部分24をフレキシブル部分とすることができ、フレキシブル部分22を固定部分とすることができる。アクチュエータ18およびアクチュエータ36を駆動するための電力は、ケーブル40によって供給される。
【0017】
例えば井戸またはクレイドル20といったような支持構造は、図2に示すように、屈曲プレート13に対して一体的なものとすることができる。そして、変形可能ミラー14は、さらに、反応質量体42を備えることができる。反応質量体42は、溶接または接着剤によって、支持構造またはクレイドル20に対して固定することができる。各チップチルトアクチュエータ36の端部を取付デバイス12に対して係合させ得るようにして、例えばステンレススチール製の屈曲端部タブ44を設けることができる。ミラー表面16をアクチュエータ18に対して係合させ得るよう、同様の屈曲端部タブ46を設けることができる。屈曲端部タブ46は、ミラー表面16に対して一体的なものとして図示されているけれども、本発明においては、これは必須ではない。アクチュエータ36は、シールド48によってカバーすることができる。
【0018】
一体型の波面補正システム10の構造は、おそらく、図3の分解斜視図によって、より明瞭に理解することができる。ベース32は、典型的にはアルミニウム製のものであって、取付プレート12の固定部分22に対して取り付けられる支柱34を支持する。取付プレート12は、この場合には、複合型の屈曲プレートとすることができる。チップチルトアクチュエータ36も、また、アルミニウム製ベース32に対して取り付けられている。チップチルトアクチュエータ36は、屈曲端部タブ44を介して、取付デバイス12のフレキシブル部分24に対して係合している。チップチルトアクチュエータ36のためのシールドまたはカバー48は、支持構造またはクレイドル20と同様に、アルミニウム製のものとすることができる。シールドまたはカバー48は、この場合には、図示しないボルトを介して、取付デバイス12に対して固定されている。ミラーアクチュエータ18は、例えばピンや溶接や接着剤や他の手法といったような任意の適切な手法によって、反応質量体42に対して固定することができる。反応質量体42は、例えば、パイレックス(登録商標)から形成することができる。ミラーアクチュエータ18は、XIRE4016(登録商標)とすることができる。また、チップチルトアクチュエータ36は、XIRE0750(登録商標)とすることができる。これらは、米国マサチューセッツ州 Devans 所在の Xinetics Inc. 社から入手することができる。そのようなチップチルトアクチュエータ36は、典型的には、10〜40ミクロンというストロークを有している。一方、ミラーアクチュエータ18は、3〜6ミクロンというストロークを有している。
【0019】
動作においては、波面補正システム10の一体的特性により、単一ユニットでもって、高精度での時空周波数的な補正と、チップチルトミラー補正と、の双方を、互いに個別的に達成することができる。大きな時空的な波面エラーは、ミラーアクチュエータ18の選択的な動作によってミラー表面16を変形させることにより、補正される。しかしながら、ミラー表面16と、ミラー表面16とアクチュエータ18と反応質量体42とを備えてなる変形可能ミラー14の全体とは、取付デバイス12によって支持されており、取付デバイス12自体は、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、チップチルトアクチュエータ36によって制御される。このように、入射波面は、単一デバイスによって実施される入射波面のための双方の補正を受ける。これにより、2つの補正デバイスを設ける必要もなく、また、それらに関連して必要とされる光学リレーを設ける必要もなく、また、それら2つの補正デバイスおよび関連光学リレーを収容するのに必要とされるスペースを設ける必要もない。
【0020】
ミラーアクチュエータ18の動作周波数と、チップチルトアクチュエータ36の動作周波数とは、十分に離間していることが望ましい。これにより、波面の歪みを補正するに際して、それら2つのシステムが迷ってしまったりあるいは互いを追求してしまったりすることを、防止することができる。この目的のために、典型的には、ミラーアクチュエータ18は、およそ1100サイクル毎秒(すなわち、1100ヘルツ)で動作することができ、一方、チップチルトアクチュエータ36は、50サイクル毎秒(すなわち、50ヘルツ)で動作することができる。それら2つの動作周波数の離間度合いをさらに増大させ得るよう、システム10は、図4に示すように、剛直フレームまたはスリーブ50内に設置することができる。システム10は、ベース32と、取付デバイス12と、の双方において、取り付けることができる。しかしながら、取付デバイス12に関しては、固定部分22のところにおいてだけ、取り付けられる。これにより、追加された剛性のために、アクチュエータ36の動作周波数を、約1800サイクル毎秒近傍にまで増大させることができる。これにより、アクチュエータ36の動作は、入射波面におけるチップチルトエラーに対する適合のための屈曲に関して要求されるフレキシブル部分24の移動に対して、干渉することがない。
【0021】
図5には、一体型の波面補正システムの他の実施形態10aが示されている。図5においては、上述したものと同様の構成部材は、同じ符号の後に英文字が添えて示されている。チップチルト機構30aは、ベース32aと取付デバイス12aとの間に積層された1つまたは複数のプラットホームを備えている。さらに、複数の組をなすチップチルトアクチュエータ36a,36b,36cが設けられている。これらチップチルトアクチュエータは、ベースと、連続したプラットホーム50,52と、取付デバイス12aと、を相互接続している。
【0022】
この構造は、図6を参照することにより、より容易に理解することができる。図6においては、プラットホーム50は、複数の組をなすチップチルトアクチュエータ36a,36b,36cのそれぞれ対応するものを収容するための互いに同じ幅の3つの隔室60,62,64を備えている。第1組をなす複数のアクチュエータ36aは、ベース32aに対して、および、隔室60,62,64の上面に対して、固定されている。プラットホーム52は、2倍幅の3つの隔室66,68,70を備えている。これら隔室の各々は、プラットホーム50のそれぞれ対応する隔室60,62,64を収容しているとともに、第2組をなすチップチルトアクチュエータ36bをも収容している。第2組をなす複数のチップチルトアクチュエータ36bは、隔室66,68,70の上面に対して、および、プラットホーム50に対して、固定されている。第3組をなす複数のチップチルトアクチュエータ36cは、取付デバイス12aとプラットホーム52とを相互接続している。ベース32aの穴80と、プラットホーム50の穴82と、プラットホーム52の穴84とは、それぞれ、ミラーアクチュエータ18aとチップチルトアクチュエータ36a,36b,36cとに対して接続されているケーブル40aを収容している。構造の全体は、シリコンカーバイドや、ステンレススチールや、アルミニウムや、あるいは、インバール(Invar)(登録商標)、から形成することができる。この実施形態においては、チップチルトアクチュエータ36a,36b,36cは、米国マサチューセッツ州 Devans 所在の Xinetics Inc. 社から入手し得るXIRE0750(登録商標)を使用して具現することができる。ミラーアクチュエータ18aは、本出願人である Mark A. Ealey によって2003年12月8日付けで出願された“Transverse Electrodisplacive Actuator Array ”と題する米国特許出願シリアル番号第10/730,514号明細書に記載された横方向電気変位アクチュエータによって具現することができる。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。
【0023】
この実施形態においては、ミラーアクチュエータ18aは、3〜4ミクロンというストロークを有することができる。一方、チップチルトアクチュエータ36a,36b,36cは、3〜6ミクロンというストロークを有することができる。
【0024】
図7に示すような典型的な制御システム90は、入射波面のチップチルト歪みを検出するためのチップチルトセンサ92と、マイクロプロセッサ94と、を備えている。マイクロプロセッサ94は、従来的なアルゴリズムを使用して、必要な補償信号を生成する。補償信号は、例えば、アンプ96を介して送出される。補償信号は、その後、チップチルト機構内のチップチルトアクチュエータ36へと、供給される。同時に、本発明による同じ一体型波面補正システム内の高精度での時空周波数的なセンサ98が、大きな時空周波数的エラーを検出する。この場合にも、マイクロプロセッサ100内における標準的なアルゴリズムを使用して、必要な補償信号を決定する。補償信号は、アンプ102によって増幅された後に使用され、変形可能ミラー内のミラーアクチュエータ18または18aを駆動することができる。このようにして、本発明においては、単一の一体型システムによって、特定の波面内におけるチップチルトエラーおよび大きな時空周波数的エラーとを、修正することができる。
【0025】
図5および図6に示すようなプラットホームと複数組をなすチップチルトアクチュエータとの積層は、よりコンパクトなパッケージ内においてチップチルトアクチュエータによって利用可能なストロークを増大させるだけでなく、入射波面内におけるチップチルトエラーのパワースペクトル密度に適合するように、動作を調節することもできる。図8により、チップチルトの大きさが、10〜100ヘルツという範囲において最大であり、100〜1,000ヘルツという範囲において低減し、その後、1,000〜10,000ヘルツという範囲において再度減少することが、わかる。本発明を使用することにより、複数の組をなすミラーアクチュエータ36a,36b,36cに対してアンプ96がそれぞれ10ヘルツという低周波数・500ヘルツという中程度の周波数・1000ヘルツという大きな周波数の補償信号を供給し得るように、マイクロプロセッサ94から一組の信号を提供することにより、チップチルトエラーのパワースペクトル密度に対して、より良好に適合することができる。これにより、各組を実際に直列に動作させることによってよりコンパクトなパッケージでもってより大きなストロークを得ることができるとともに、個別の組をなすチップチルトアクチュエータを使用して、低周波数をより大きく補償させなおかつ高周波数を小さく補償させなおかつ中程度の周波数を中程度に補償させることによって、エラー補償に対してより良好に適合することができる。
【0026】
本発明の他の利点は、図9に示すように、中心110を安定に維持しつつ、アクチュエータ18bのストローク範囲のうちの中程度の動作ポイントを例えば70ボルトに設定することにより、また、例えば50ボルトという低電圧に設定することによりミラーの一部分112をより下方へと変形させることにより、また、例えば100ボルトという高電圧に設定することによりミラーの他の部分114をより上方へと変形させることにより、変形可能ミラー14bのミラー表面16bを、全体的に変形させることも、また、ポイント110まわりに回転させることも、できることである。これにより、並進移動効果を低減し得るとともに、ビームステアリングの正確さを改良することができる。
【0027】
屈曲プレート13は、ミラーの中心まわりのチップチルト回転を抑制するとともに、図9に関して上述したように、変形可能ミラーの重量を、アクチュエータ36の代わりに剛直な支柱34に対して、軽減する。屈曲プレート13は、図4に示すように中心軸線19を横向きに配置した場合であってさえも、その固定部分24によって、追加的な剛直さをモジュールに対して付与する。
【0028】
好ましい実施形態においては、変形可能ミラー14は、本出願人である Mark A. Ealeyによって2003年12月8日付けで出願された“Transverse Electrodisplacive
Actuator Array”と題する米国特許出願シリアル番号第10/730,514号明細書に記載されたような、横方向電気変位アクチュエータアレイ48を備えることができる。この文献の記載内容は、参考のため、その全体がここに組み込まれる。横方向電気変位アクチュエータアレイ248は、図10に示すように、複数のアクチュエータ250,252を備えている。各アクチュエータは、支持構造254上に取り付けられている。アクチュエータは、長手方向軸線d33に沿った歪みではなく、アクチュエータ250を伸縮させ得るような、横方向軸線d31に沿って歪みを利用している。この場合、各々のアクチュエータは、少なくとも2つの電極を備えている。すなわち、アドレッシング用電極256と、共通電極258と、を備えている。アドレッシング用電極256は、支持構造254の表面262上においてコンタクト260に対して接続されている。一方、共通電極258は、表面266上においてコンタクト264に対して接続されている。構成に関し、本発明においては、複数の電極は、電極の伸縮方向に対する横方向ではなく、電極の伸縮方向に対して全体的に平行なものとされている。1つの利点は、起こり得るすべての分離やクラックが力または変位に対して直列ではなくむしろ横方向であることにより、界面応力が、デバイスの動作を妨害する要因とはなり得ないことである。加えて、得られるストロークは、もはや、電極の数およびラミネート積層体内におけるセラミック層の数に依存するものではなく、図10に示すように、アクチュエータ250の長さに依存する。
【0029】
図10のアクチュエータ250,252は、図11に示すようなより大きなアレイ248aの一部とすることができる。このアレイ248aは、複数のアクチュエータ250a,252a,272,274を備えている。アクチュエータ250a,252a,272,274は、支持構造254a上に取り付けられている。支持構造254aは、それらアクチュエータと一体的なものとすることができる。アクチュエータどうしの分離は、切り溝すなわちソーカット276によって行うことができる。切り溝276は、それらアクチュエータどうしを2次元的に分離する。これにより、それらアクチュエータは、互いに独立な部材として機能することができる。また、図示のように、各アクチュエータ部材は、2つ以上のアドレッシング用電極と、2つ以上の共通電極と、を備えることができる。例えば、アクチュエータ250aに関しては、図11に示すように、3つのアドレッシング用電極280,282,284が存在する。これらは、アドレッシング用コンタクト286に対してユニットとして接続されている。複数の共通電極が存在することができる。例えば、4つの共通電極288,290,292,294が存在することができ、これらは、反射部材300の取付面298においてメッキ付けによって形成された共通コンタクト296に対して、ユニットとして接続される。反射部材300は、反対側の面上に、反射面302を備えている。反射面302は、典型的には、連続的な表面である。よって、アドレッシング用コンタクト286を選択的にアドレッシングすることにより、アクチュエータ250aを伸張または収縮させることができ、これにより、アクチュエータ250aが位置している場所において局所的に表面302を膨出または陥没させることができる。同様に、アドレッシング用コンタクト304,306,308を選択した場合には、表面302は、それぞれ関連するアクチュエータ252a,272,274の局所的位置に対応した領域において、駆動されることとなる。これにより、表面302は、印加された電圧に応じて膨出または陥没を引き起こす。これにより、表面302から反射される光学波面をの形状を整形することができる。典型的には、印加される電圧は、70ボルトという静止レベルを有することができる。これにより、30ボルトの増大によって、一方向にお
いてアクチュエータを伸縮させることができ、また、30ボルトの低減によって、他の方向においてアクチュエータを伸縮させることができる。取付面298の戻り止め(あるいは、デテント)297は、任意の適切な接着剤によってあるいは任意の適切な接着技術によって、アクチュエータ252a,254a,272,274に対して連結されている。アクチュエータ部材は、支持構造によって支持された基端部を備えている。先端部は、反射部材を支持している。アドレッシング電極および共通電極は、互いに離間しているとともに、全体的に互いに平行なものとされている。電極は、横方向歪み軸線d31に沿って、アクチュエータ部材の基端部と先端部とがなす方向に沿って、延在している。
【0030】
横方向電気変位アクチュエータアレイ248は、低電圧で動作しさらに293°K(室温)において良好に動作するような大きなストロークの伸縮式のマイクロアクチュエータを構成し得るよう、例えば強誘電性材料または強磁性材料のようなフェロイック(ferroic) 材料の横方向歪みを利用する。例え電歪セラミックや鉛マグネシウムニオブ酸塩(PMN)といったような材料の横方向歪みを利用する。例えばタングステンベースの材料やストロンチウムベースの材料といったような他の材料を使用することにより、それぞれ、125K〜200Kおよび30K〜65Kという温度範囲で動作させることができる。横方向歪み部材を利用することにより、セラミックと電極との間の界面応力が低減され、稠密にパッケージングされた構造の電気相互接続が、単純化される。電極インタフェース構造は、機械加工の許容度に敏感ではなく、性能および再現性に関してよりモジュール的なものであり、さらに、費用効果がよい。アクチュエータを形成するに際して要求されるラミネートの数は、より少なく、長さは、ストローク必要条件を満たすものとされる。電気相互接続は、共通背面にプリント回路基板技術を適用することにより、達成される。横方向電気変位アクチュエータ構成は、最大で107 個という動作チャネルに適合したような、伸縮式の構成を提供する。長手方向の多層アクチュエータに関連した問題点(電気的な相互接続、界面応力、および、製造時の機械加工精度)は、動作モードを横方向モードとすることによって、解決される。アレイ248は、共同焼成されたかつ互いに交互配置された複数のセラミックおよび複数の電極層から形成することができる、あるいは、限定するものではないけれども鉛マグネシウムニトレートや鉛ジルコネートニトレートといったような単結晶材料から形成することができる。
【0031】
横方向電気変位アクチュエータアレイは、PMNやあるいは他のフェロイック材料や強誘電性材料や強磁性材料の横方向電気歪みを利用する。これにより、応力に敏感な多層構成プロセスを必要とすることなく、大きなストロークを有した低電圧動作型のマイクロアクチュエータを形成することができる。横方向という向きであることのために、構造的負荷経路は、完全にセラミックを通過し、電極/セラミック界面を通過しない。さらに、界面応力が、大幅に低減する。なぜなら、長手方向における寸法変化が小さいからであり、また、不活性材料を使用した機械的なクランプ止めまたはピン止めが除去されるからである。ストロークは、追加的な層を追加することによってではなく、長さを調節することによって、得られる。
【0032】
セラミックからなる一体的ブロックを複数の個別アクチュエータへと分離することは、標準的なマイクロソーイング技術によって達成される。横方向の構成は、耐故障性を有した構成(フォールトトレラントな構成)であって、精度が要求されない。これにより、製造時の電極の損傷や短絡を防止することができる。電極の電気的相互接続は、大幅に単純化される。個々のアクチュエータに対しての電気的アドレッシングは、一体的ブロックを使用して行われる。この一体的ブロックは、研磨されているとともに、露出された電極を備えている。プリント回路技術を使用することにより、個別のアドレッシング用アクチュエータチャネルと電子ドライバとの間における電気的相互接続を提供することができる。この結果、マイクロアクチュエータ技術によって、アクチュエータどうしの間の間隔が非常に小さい場合であってさえも、多層構成を使用する必要もなくまた微視的な電気的相互接続を使用する必要もなく、十分なストロークを提供することができる。この構成は、高精度の機械加工を行う必要なく容易に製造されるとともに、電気的活性状態においては、応力に対して極度の耐力を有している。さらに、この構成は、本質的に、低電圧に適合したものである。このことは、ハイブリッド型のマイクロエレクトロニクスのドライバ技術に適合している。電気的なアドレッシングのための相互接続は、それ自体が横方向に伸縮させる共通背面のところで行われる。この概念は、従来技術による電子セラミック製造技術およびプロセッシング技術を使用したような、高性能の伸縮式のマイクロアクチュエータ技術を提供する。
【0033】
図11においては、本発明による横方向電気変位アクチュエータアレイが、反射部材300の取付面298に形成された共通電極296を有するものとして図示されているけれども、本発明においては、これは必須ではない。図12に示すように、アレイ248bにおいては、反射部材300aは、取付面298a上にコンタクトを設けることなく、構成することができる。その代わりに、共通電極のための共通コンタクト296aを、表面299に形成することができる。このようにして、アクチュエータ250a,252a,272,274を備えているアレイに対して、十分に電力を供給することができ、反射部材300aを接着する前にまたは接着剤によって取り付ける前に、テストすることができる。
【0034】
支持構造254aとアクチュエータ250a,252a,272,274との双方を含めたアレイの全体に対して、互いに直交する2つの方向において、カットを行うことができる。カットすなわち切り溝が、複数のアクチュエータを個々の部材へと分離することによって、適切な材料のフェリックセラミックからなるブロックを形成することができる。数個のカット310を行うことができる。これにより、図13においてアレイ248cに関して図示しているように、複数のアクチュエータ312を得ることができる。あるいは、多数のカット314を行うことができる。これにより、図14においてアレイ248dに関して図示しているように、多数のアクチュエータ316を得ることができる。支持構造322に支持された多数のアクチュエータ320を備えた図15の横方向電気変位アクチュエータアレイ248eの相互接続は、図15の底面323上の半田パッド324を使用して、図12のコンタクト286a,296aを形成することによって、行うことができる。底面323上には、ソケットグリッドアレイ326が配置される。ソケットグリッドアレイ326は、フレキシブルケーブル330に付設されたピングリッドアレイ328を受領することができる。
【0035】
本発明による横方向電気変位アクチュエータアレイの有利なモジュール性は、図16に示されている。図16においては、図15の多数の小さな横方向電気変位アクチュエータアレイ320が、図16に組み込まれていて、より大きなアセンブリ332を形成している様子を見ることができる。これにより、連続的な表面とすることができるずっと大きな反射部材334に適合することができる。個々で、単一のケーブル336として図示されているようなすべてのフレキシブルケーブルは、ドライバ回路240bに対して接続されており、ドライバ回路240bは、マイクロプロセッサ242bに対して接続されている。選択されたプログラムを使用してマイクロプロセッサ242bによってドライバ回路240bを制御することにより、図17Aに示すように、励起された活性開口が存在しない状態とすることができ、また、図17Bに示すように、およそ250nmにまで単一のアクチュエータを励起することができ、また、図17Cに示すように、3分の1のアクチュエータを励起することができ、また、図17Dに示すように、すべてのアクチュエータを励起させることさえできる。1024個のアクチュエータを備えているモジュールが例示されている。すなわち、1ミリメートル間隔でもって32×32配列とされた1024個のアクチュエータを備えているモジュールが例示されている。ミラー変形は、100ボルトにおいて0.25ミクロンとして得られ、λ/2000rmsにまで繰返し可能である。各アクチュエータに関し、平均キャパシタンスは、30nfとすることができ、平均ストロークは、250nmとすることができる。
【0036】
他の実施形態においては、144個のアクチュエータを備えているモジュールが例示される。すなわち、2.5ミリメートル間隔でもって12×12配列とされた144個のアクチュエータを備えているモジュールが例示される。ミラー変形は、100ボルトにおいて2.5mmとして得られ、λ/2000rmsにまで繰返し可能である。各アクチュエータに関し、平均キャパシタンスは、0.5uf(あるいは、0.5μf)とすることができ、平均ストロークは、3.5mmとすることができる。
【0037】
本発明のいくつかの特定の特徴点がいくつかの図面におよび他の図面に図示されているけれども、これは、便宜的なものに過ぎない。なぜなら、本発明においては、各特徴点を、他の任意のあるいは他のすべての特徴点に対して組み合わせ得るからである。本明細書においては、『を具備している』、『を備えている』、『を有している』、『を含有している』、という用語は、広義にかつ包括的に解釈されるべきものであり、特定の物理的相互関係に限定されるものではない。さらに、本発明において開示されたすべての実施形態が、可能な実施形態を例示したものに過ぎないことは、理解されるであろう。
【0038】
他の実施形態は、当業者には明らかであり、特許請求の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による一体型波面補正システムを示す斜視図である。
【図2】本発明による一体型波面補正システムの一部を破断して示す破断斜視図である。
【図3】図1および図2の一体型波面補正システムを示す分解斜視図である。
【図4】図2の4−4線に沿った概略的な矢視断面図であって、図1〜図3の一体型波面補正システムの剛直化バージョンを示している。
【図5】本発明による一体型波面補正システムに関する多段積層型という他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5の一体型波面補正システムを示す分解斜視図である。
【図7】チップチルトエラーおよび大きな時空周波数的波形エラーを検出するための、さらには、本発明による一体型波面補正システムにおけるチップチルト機構および変形可能ミラーのための駆動信号を生成するための、制御システムを概略的に示す図である。
【図8】波面におけるチップチルトエラーのパワースペクトル分布を示すグラフである。
【図9】本発明に基づきミラー表面に関して改良された回転特性を概略的に示す図である。
【図10】本発明において使用可能な横方向電気変位アクチュエータを簡略化して示す図である。
【図11】図10の横方向電気変位アクチュエータを使用した横方向電気変位アクチュエータアレイを簡略化して示す図である。
【図12】図11と同様の横方向電気変位アクチュエータを簡略化して示す図であるものの、共通電極が支持構造を通して引き出されている。
【図13】アクチュエータ部材の数を増大させたような横方向電気変位アクチュエータアレイを示す斜視図である。
【図14】アクチュエータ部材の数を増大させたような横方向電気変位アクチュエータアレイを示す斜視図である。
【図15】図14の横方向電気変位アクチュエータアレイと、このアレイに関する電気的相互接続状況と、を示す分解斜視図である。
【図16】ドライバ回路を備えたモジュール構成でもって図14のアレイを示す斜視図である。
【図17A】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【図17B】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【図17C】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【図17D】横方向電気変位アクチュエータアレイによるミラー表面の局所的変形の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 一体型波面補正システム
12 取付デバイス
13 屈曲プレート
14 変形可能ミラー
16 ミラー表面
18 ミラーアクチュエータ
22 固定部分
24 フレキシブル部分
30 チップチルト機構
32 ベース
34 支柱
36 チップチルトアクチュエータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型波面補正モジュールであって、
固定部分とフレキシブル部分とを有してなる複合型の屈曲プレートを備えた取付デバイスと;
この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;
ベースと、このベースと前記フレキシブル部分および前記固定部分のうちの一方との間を相互連結する複数のチップチルトアクチュエータと、前記ベースと前記フレキシブル部分および前記固定部分のうちの他方との間を相互連結する複数の支持支柱と、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、前記変形可能ミラーと一緒に前記取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構と;
を具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記取付デバイスが、前記変形可能ミラーを設置するための支持フレームを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項3】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項4】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記ミラー表面が、前記ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、前記チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項5】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記チップチルト機構が、前記チップチルトアクチュエータの各々を前記屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項6】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
さらに、前記ベースと前記屈曲プレートの前記固定部分とを相互接続するための支持フレームを具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項7】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記支持支柱として、少なくとも3つの支持支柱が設けられ、
前記チップチルトアクチュエータとして、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータが設けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項8】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項9】
請求項8記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記横方向電気変位アクチュエータアレイが、支持構造と;前記支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備え、
前記アクチュエータ部材の各々が、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ前記基端部と前記先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備え、
反射面と、前記アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられ、
前記アドレッシング用電極および前記共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、前記アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて前記反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項10】
請求項9記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記アクチュエータ部材が、前記支持構造に対して一体的なものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項11】
一体型波面補正モジュールであって、
取付デバイスと;
この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;
少なくとも1つのアクチュエータプラットホームと、ベースと、このベースに対して前記少なくとも1つのアクチュエータプラットホームを調節可能に支持するための第1組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、前記少なくとも1つのアクチュエータプラットホームに対して前記取付デバイスを調節可能に支持するための第2組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、前記変形可能ミラーと一緒に前記取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構と;
を具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項12】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
互いに積層されて配置された複数のアクチュエータプラットホームと;複数の組をなすチップチルトアクチュエータと;
が設けられ、
その際、最初のチップチルトアクチュエータが、前記ベースに対して、積層配置されているうちの最初のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ;最後のチップチルトアクチュエータが、前記取付デバイスに対して、積層配置されているうちの最後のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ:中間のチップチルトアクチュエータが、前記積層配置されているうちの相隣接したプラットホームどうしを連結するためのものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項13】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項14】
請求項13記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記ミラー表面が、前記ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、前記チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項15】
請求項13記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記チップチルト機構が、前記チップチルトアクチュエータの各々を前記屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項16】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
さらに、前記チップチルトエラーの様々なスペクトル範囲において前記各組をなすチップチルトアクチュエータに対して電力を供給するための制御システムを具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項17】
請求項12記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
さらに、前記チップチルトエラーの様々なスペクトル範囲において前記各組をなすチップチルトアクチュエータに対して電力を供給するための制御システムを具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項18】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記チップチルトアクチュエータの各組には、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータが設けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項19】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項20】
請求項19記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記横方向電気変位アクチュエータアレイが、支持構造と;前記支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備え、
前記アクチュエータ部材の各々が、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ前記基端部と前記先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備え、
反射面と、前記アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられ、
前記アドレッシング用電極および前記共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、前記アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて前記反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項21】
請求項20記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記アクチュエータ部材が、前記支持構造に対して一体的なものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項1】
一体型波面補正モジュールであって、
固定部分とフレキシブル部分とを有してなる複合型の屈曲プレートを備えた取付デバイスと;
この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;
ベースと、このベースと前記フレキシブル部分および前記固定部分のうちの一方との間を相互連結する複数のチップチルトアクチュエータと、前記ベースと前記フレキシブル部分および前記固定部分のうちの他方との間を相互連結する複数の支持支柱と、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、前記変形可能ミラーと一緒に前記取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構と;
を具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項2】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記取付デバイスが、前記変形可能ミラーを設置するための支持フレームを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項3】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項4】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記ミラー表面が、前記ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、前記チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項5】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記チップチルト機構が、前記チップチルトアクチュエータの各々を前記屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項6】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
さらに、前記ベースと前記屈曲プレートの前記固定部分とを相互接続するための支持フレームを具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項7】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記支持支柱として、少なくとも3つの支持支柱が設けられ、
前記チップチルトアクチュエータとして、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータが設けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項8】
請求項1記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項9】
請求項8記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記横方向電気変位アクチュエータアレイが、支持構造と;前記支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備え、
前記アクチュエータ部材の各々が、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ前記基端部と前記先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備え、
反射面と、前記アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられ、
前記アドレッシング用電極および前記共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、前記アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて前記反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項10】
請求項9記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記アクチュエータ部材が、前記支持構造に対して一体的なものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項11】
一体型波面補正モジュールであって、
取付デバイスと;
この取付デバイスに付設されているとともに、入射波面における大きな時空周波数的エラーを補正するための変形可能ミラーと;
少なくとも1つのアクチュエータプラットホームと、ベースと、このベースに対して前記少なくとも1つのアクチュエータプラットホームを調節可能に支持するための第1組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、前記少なくとも1つのアクチュエータプラットホームに対して前記取付デバイスを調節可能に支持するための第2組をなす複数のチップチルトアクチュエータと、を備えていて、入射波面におけるチップチルトエラーを補償し得るよう、前記変形可能ミラーと一緒に前記取付デバイスを調節するための、チップチルト補正機構と;
を具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項12】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
互いに積層されて配置された複数のアクチュエータプラットホームと;複数の組をなすチップチルトアクチュエータと;
が設けられ、
その際、最初のチップチルトアクチュエータが、前記ベースに対して、積層配置されているうちの最初のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ;最後のチップチルトアクチュエータが、前記取付デバイスに対して、積層配置されているうちの最後のアクチュエータプラットホームを連結するためのものとされ:中間のチップチルトアクチュエータが、前記積層配置されているうちの相隣接したプラットホームどうしを連結するためのものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項13】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、ミラー表面と、このミラー表面を変形させるための複数のミラーアクチュエータと、を備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項14】
請求項13記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記ミラー表面が、前記ミラー表面の回転中心を形成し得るよう、前記チップチルトアクチュエータのストロークの中程度のところで取り付けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項15】
請求項13記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記チップチルト機構が、前記チップチルトアクチュエータの各々を前記屈曲プレートに対して係合させるための屈曲端部タブを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項16】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
さらに、前記チップチルトエラーの様々なスペクトル範囲において前記各組をなすチップチルトアクチュエータに対して電力を供給するための制御システムを具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項17】
請求項12記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
さらに、前記チップチルトエラーの様々なスペクトル範囲において前記各組をなすチップチルトアクチュエータに対して電力を供給するための制御システムを具備していることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項18】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記チップチルトアクチュエータの各組には、少なくとも3つのチップチルトアクチュエータが設けられていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項19】
請求項11記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記変形可能ミラーが、横方向電気変位アクチュエータアレイを備えていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項20】
請求項19記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記横方向電気変位アクチュエータアレイが、支持構造と;前記支持構造の近傍の基端部から先端部までにわたって延在する複数のフェロイック電気変位アクチュエータ部材と;を備え、
前記アクチュエータ部材の各々が、少なくとも1つのアドレッシング用電極と;このアドレッシング用電極から離間して配置されるとともに横方向歪み軸線d31に沿いつつ前記基端部と前記先端部との間の方向に沿って延在する1つの共通電極と;を備え、
反射面と、前記アクチュエータ部材を取り付けるための取付面と、を有した反射部材が設けられ、
前記アドレッシング用電極および前記共通電極に対して電圧を印加するための複数のアドレッシング用コンタクトおよび少なくとも1つの共通コンタクトが設けられ、これにより、アドレッシングされたアクチュエータ部材に対して横方向歪みが誘起され、これにより、前記アドレッシングされたアクチュエータ部材のところにおいて前記反射面の光学的フェーズを変更し得るものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【請求項21】
請求項20記載の一体型波面補正モジュールにおいて、
前記アクチュエータ部材が、前記支持構造に対して一体的なものとされていることを特徴とする一体型波面補正モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【公表番号】特表2008−512723(P2008−512723A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531210(P2007−531210)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/030782
【国際公開番号】WO2006/028796
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(507075598)ザイネティクス・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/030782
【国際公開番号】WO2006/028796
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(507075598)ザイネティクス・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
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