説明

中性洗浄剤を用いる洗浄機

【課題】部品洗浄に有機溶剤洗浄液、炭化水素洗浄液、臭素系洗浄液、アルカリ系洗浄液の洗浄剤を使用すれば、気化した有害物質によるオゾン層の破壊、水質汚染等が発生する。
【解決手段】加温洗浄槽と油分を分離する油分回収槽と、中性洗浄剤を循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプからの送りだされる中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部と、常温洗浄する常温洗浄槽と、洗浄機を制御する制御部からの構成からなり、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させる構成で洗浄運転中に、油分を手動又は、自動回収する中性洗浄剤を用いる洗浄機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、中性洗浄剤を用いてプレス部品、加工部品などを洗浄する洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗浄機は、加工部品などの洗浄に有機溶剤洗浄液、炭化水素洗浄液、臭素系洗浄液、アルカリ系洗浄液等の洗浄剤が用いられているが液自体、及び使用後の廃液は地球環境に有害物質と位置付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−27239公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のように部品洗浄に有機溶剤洗浄液、炭化水素洗浄液、臭素系洗浄液、アルカリ系洗浄液の洗浄剤を使用すれば下記の事が問題となっている。
(イ)気化した有害物質によるオゾン層の破壊
(ロ)有害物質の漏洩による土壌汚染
(ハ)有害物質の漏洩による水質汚染
また、水洗浄機ではプレス加工等に用いる打抜き油等の高粘度油は除去できない。
本発明は、以上のような欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、中性洗浄剤を用いて部品洗浄する設備において、洗浄運転中、加温洗浄槽に浸漬された洗浄物は中性洗浄剤により油分が剥離され、浮遊した油分は油分回収槽と連結している循環パイプ内を流動し油分回収槽に流れ込み、油分回収槽の液面下50mm程度に沈めた油分回収槽供給パイプから流入される事により油分回収槽内の中性洗浄剤の液面を静止状態に近い状態を保持することで油分は中性洗浄剤の液面上に浮遊し油分の手動又は、自動回収が容易に出来る構造にて環境負荷有害物質を使用しない中性洗浄剤を用いる洗浄機である。
【0006】
加温洗浄槽と油分を分離する油分回収槽と、中性洗浄剤を循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプからの送りだされる中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部と、常温洗浄する常温洗浄槽と、洗浄機を制御する制御部からの構成からなり、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させる構成で洗浄運転中に、油分を手動又は、自動回収できる。
【0007】
又、加温洗浄槽にて浸漬された洗浄物を中性洗浄剤により油分を剥離し、浮遊した油分を前記油分回収槽と連結している循環パイプ内を流動させ、油分回収槽の液面下50mm程度に沈めた油分回収槽供給パイプから流入される事により油分回収槽内の中性洗浄剤の液面を静止状態に近い状態を保持させることで、油分が中性洗浄剤に混じることなく油分を中性洗浄剤の液面上に浮遊させて洗浄運転中に油分の手動又は、自動回収が容易に出来る。
【0008】
加温洗浄槽は、中性洗浄剤の脱脂効果を高める目的で加温させるパイプヒーターを備え、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させる構成で洗浄運転中に、油分回収効果を高めたことができる。又、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させるときに、洗浄運転中に、中性洗浄剤の希釈濃度を自動調整させる希釈濃度自動調整器を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、加温洗浄槽と油分を分離する油分回収槽と、中性洗浄剤を循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプからの送りだされる中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部と、常温洗浄する常温洗浄槽と、洗浄機を制御する制御部からの構成からなり、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させる構成により次の効果を有する。
【0010】
イ)洗浄運転中に、油分を手動又は、自動回収する事ができる。
ロ)洗浄物に付着している油分は、洗浄運転中に油分回収槽で容易に油分を手動又は、自動回収ができる。
ハ)洗浄物の仕上がり状態で中性洗浄剤を原液から希釈して使用することで中性洗浄剤も使用量の抑制ができ洗浄を施せる。
ニ)中性洗浄剤の希釈濃度を調整することによって高濃度の加工オイルも除去できる。
ホ)中性洗浄剤を使用することで従来の塩素系、炭素系、臭素系、アルカリ系の洗浄剤の環境負荷物質使用削減が行える。
ヘ)従来の塩素系、炭素系、臭素系、アルカリ系の洗浄剤の環境負荷物質を使用しない事において、使用後の廃液処理に発生する特別管理産業廃棄物削減ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の洗浄機の全体構成図
【図2】本発明の洗浄機の外観図
【図3】本発明の洗浄機の制御を示すフローチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1に洗浄機の全体構成を示す。プレス部品、加工部品等の部品を洗浄するためのもので、加温洗浄槽1と中性洗浄剤を加温させるパイプヒーター2と、油分を分離する油分回収槽3と、中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ4と、前記循環ポンプ4からの送りだされる中性洗浄剤の希釈濃度自動調整器24と、中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部5と、常温洗浄する常温洗浄槽6と、これらの器具を制御する制御部11から構成される。
【0013】
図1の、加温洗浄槽1にバケットに入れたプレス加工部品等を浸漬させ中性洗浄剤により部品より剥離された油分は、油分オーバーフロー面15からオーバーフローし油分を含んだ中性洗浄剤は油分排水口16から循環パイプ12を経由し油分回収槽供給パイプ17から油分を分離する油分回収槽3へ流れ込む。加温洗浄槽1に浸漬されたバケットに入れたプレス加工部品等は右横の常温洗浄槽6へ移動し浸漬させ、常温洗浄槽6でも中性洗浄剤で部品に残留している油分を剥離させる。この時、常温洗浄槽6には循環ポンプ4から油分回収槽の中性洗浄剤が供給される。常温洗浄槽6で剥離された油分は左横の加温洗浄層1に常温洗浄槽6上面からオーバーフローし流れ込む。常温洗浄槽6に浸漬されたバケットは右横の加温純水洗浄槽7へ移動し浸漬させる。
【0014】
加温洗浄槽1には中性洗浄剤を加熱し油分の剥離効果を高める目的で中性洗浄剤を加温させるパイプヒーター2が設置されている。ヒーター温度は制御部11で設定する。
【0015】
油分回収槽3に流れ込む油分を含有した中性洗浄剤は、液面下50mmに沈めた油分回収槽供給パイプ17から流入される事により油分回収槽内の中性洗浄剤の液面を静止状態に近い環境にすることで油分が中性洗浄剤から分離し液面に浮遊し手動又は、油分自動回収器25により油分回収が容易にできる。
【0016】
油分回収槽3の底面10mmから油分を含まない中性洗浄剤を常温洗剤槽6に、中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ4を用いて中性洗浄剤供給パイプ21を通り中性洗浄剤の希釈濃度自動調整器24で希釈濃度を自動調整された後、中性洗浄剤供給口18より供給する。この時の供給量は中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部5によって制御される。また、油分回収槽3の中性洗浄剤液量は純水補給用フロート13によって常に一定に保たれる。
【0017】
上記、構成により中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ4より送り出された中性洗浄剤は中性洗浄剤供給パイプ21を通り、中性洗浄剤供給口18より常温洗浄槽6に供給され中性洗浄剤は液面オーバーフロー面22よりオーバーフローし再び加温洗浄槽1へ流れ中性洗浄剤は循環する。
【0018】
加温純水洗浄槽7においては、水道水14からの供給によりイオン交換樹脂槽9内でイオン交換樹脂の機能で純水化され水道水14は純水となり、純水供給パイプ19を通り純水供給口20から加温純水洗浄槽7に純水の流量手動設定部10を経由し供給される。また、純水は純水補給パイプ23も経由し純水補給用フロート13にて制御され油分回収槽3にも供給される。
【0019】
加温純水洗浄槽7には純水を加温し洗浄物から中性洗浄剤の除去効果を高める目的で純水用パイプヒーター8が設置されている。ヒーター温度は制御部11で設定する。
【0020】
上記、構成から洗浄物は加温洗浄槽1から常温洗浄槽6で脱脂され、加温純水洗浄槽7にて部品に残留している中性洗浄剤を落とすことにより洗浄が出来る。
【0021】
図3のフローチャートは、制御部11の設定と本洗浄機の稼動までの手順を表している。イ)中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ4のスイッチを入りにする。
ロ)中性洗浄剤を加温させるパイプヒーター2と純水用パイプヒーター8のスイッチを入りにする。この時、中性洗浄剤の加温温度は任意で設定できる。
ハ)中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ4から送り出される中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部5で流量を手動調整する。
二)イオン交換樹脂槽から送り出される純水の流量手動設定部10で流量を手動調整する。
ホ)中性洗浄剤の希釈濃度自動調整器24は中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ5を稼動させれば自動で希釈濃度を調整する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
プレス加工品など金属部品の油分の脱脂を要する金属加工分野、環境分野での利用が可能。
【符号の説明】
【0023】
1 加温洗浄槽
2 中性洗浄剤を加温させるパイプヒーター
3 油分を分離する油分回収槽
4 中性洗浄剤を循環させる循環ポンプ
5 中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部
6 常温洗浄槽
7 加温純水洗浄槽
8 純水用パイプヒーター
9 イオン交換樹脂槽
10 純水の流量手動設定部
11 制御部
12 循環パイプ
13 純水補給用フロート
14 水道水
15 油分オーバーフロー面
16 油分排水口
17 油分回収槽供給パイプ
18 中性洗浄剤供給口
19 純水供給パイプ
20 純水供給口
21 中性洗浄剤供給パイプ
22 液面オーバーフロー面
23 純水補給パイプ
24 中性洗浄剤の希釈濃度自動調整器
25 油分自動回収器




【特許請求の範囲】
【請求項1】
加温洗浄槽と油分を分離する油分回収槽と、中性洗浄剤を循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプからの送りだされる中性洗浄剤の流量を手動設定する流量手動設定部と、常温洗浄する常温洗浄槽と、洗浄機を制御する制御部からの構成からなり、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させ、油分を手動又は、自動回収することにより洗浄運転することを特徴とする中性洗浄剤を用いる洗浄機。
【請求項2】
加温洗浄槽にて浸漬された洗浄物を中性洗浄剤により油分を剥離し、浮遊した油分を前記
油分回収槽と連結している循環パイプ内を流動させ、油分回収槽に沈めた油分回収槽供給
パイプから油分回収槽に流れ込む事により中性洗浄剤の液面を静止状態に近い状態を保持させ、油分を中性洗浄剤の液面上に浮遊させて洗浄運転中に油分の手動又は、自動回収が容易に出来ることを特徴とする請求項1記載の中性洗浄剤を用いる洗浄機。
【請求項3】
加温洗浄槽は、中性洗浄剤の脱脂効果を高める目的で加温させるパイプヒーターを備え、中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させる構成で洗浄運転中に、油分回収効果を高めた事を特徴とする請求項1に記載の中性洗浄剤を用いる洗浄機。
【請求項4】
中性洗浄剤を加温洗浄槽と油分回収槽と常温洗浄槽とを循環させるときに、洗浄運転中に、中性洗浄剤の希釈濃度を自動調整させる希釈濃度自動調整器を備える事を特徴とする請求項1に記載の中性洗浄剤を用いる洗浄機。




【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−62635(P2011−62635A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215123(P2009−215123)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(594148690)株式会社光洋 (1)
【Fターム(参考)】