中空押出材の製造方法
【課題】押出材を押し出しながら内側から冷却する中空押出材の製造方法を提供する。
【解決手段】 押出材(1)の中空部(2)を成形するマンドレル(22)の下流側端面に、吸引口(28)が開口する冷媒用通路(26)を備える押出ダイス(20)を用い、金属を押し出しながら、押し出された押出材(1)の中空部(2)内の冷媒(C)を前記マンドレル(22)の吸引口(28)から吸引することにより、外部の冷媒(C)をその押出材(1)の開口部から中空部(2)内に引き込んで該中空部(2)内に流通させる。
【解決手段】 押出材(1)の中空部(2)を成形するマンドレル(22)の下流側端面に、吸引口(28)が開口する冷媒用通路(26)を備える押出ダイス(20)を用い、金属を押し出しながら、押し出された押出材(1)の中空部(2)内の冷媒(C)を前記マンドレル(22)の吸引口(28)から吸引することにより、外部の冷媒(C)をその押出材(1)の開口部から中空部(2)内に引き込んで該中空部(2)内に流通させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属製の中空押出材の製造方法およびその関連技術に関する。
【0002】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、押出材および押出材料の進む方向を下流または下流側と称し、逆方向を上流または上流側と称する。
【背景技術】
【0003】
押出加工における押出材の冷却は、押出ダイスの下流側に冷却装置を配置し、空冷、水冷、ミストにより外側から冷却するのが一般的である。また一般に、Al−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金、Al−Zn−Mg系の7000系合金といった熱処理型のアルミニウム合金押出材は、押出後に溶体化処理、焼入れ処理を行った後に時効処理を行うが、押出直後に製品を冷却するダイクエンチを行うことによって押出加工と同時に焼入れを行う方法も知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、中空押出材の冷却では、ポートホールダイスの雄型にマンドレルの先端面に冷媒吐出口を設け、この吐出口に連通してブリッジ部を経由してダイス側面に開口する冷媒用通路を穿孔し、この冷媒用通路に導入した冷媒を前記吐出口から中空部内に吐出することにより、押出材の内側から冷却する方法も提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−132318号公報
【特許文献2】特開2002−275603号公報
【特許文献3】特開平8−206729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2のような外側から冷却では押出材内部の冷却が遅くなるため、断面における冷却が不均一となり、ひいては押出材の内部品質が不均一になる。
【0006】
中空押出材では内側からの冷却が可能であり、中空押出材の外側と内側の両方から冷却することで冷却を促進することができる。しかしながら、特許文献3に記載された冷却方法では、冷媒が高温のダイスを通過する間に温度が上昇してしまうために冷却効率が悪いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、中空押出材を内側から効率良く冷却できる中空押出材の製造方法およびその関連技術の提供を目的とする。
【0008】
即ち、本発明は下記[1]〜[13]に記載の各構成を有する。
【0009】
[1]押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスを用い、金属を押し出しながら、押し出された押出材の中空部内の冷媒を前記マンドレルの吸引口から吸引することにより、外部の冷媒をその押出材の開口部から中空部内に引き込んで該中空部内に流通させることを特徴とする中空押出材の製造方法。
【0010】
[2]前記押出材を押し出しながら、該押出材に新たな冷媒引き込み用の開口部を形成する前項1に記載の中空押出材の製造方法。
【0011】
[3]前記押出材の複数の中空部において、これらの中空部を成形するマンドレルに冷媒用通路を設けるとともに、それぞれの中空部における冷媒吸引量を独立して制御する前項1または2に記載の中空押出材の製造方法。
【0012】
[4]前記押出材の外壁の肉厚が該押出材の断面における外接円の直径の0.5%以下である前項1〜3のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0013】
[5]前記押出材は外壁に臨まない中空部を有し、その中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる前項1〜4のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0014】
[6]前記押出材は外壁よりも肉厚の厚い内壁を有し、その内壁に臨む中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる前項1〜5のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0015】
[7]前記前記押出材の単重が2kg/m以上である前項1〜6のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0016】
[8]前記押出材は断面における外接円の直径が100mm以上である前項1〜7のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0017】
[9]前記押出材は非対称断面形状を有する前項1〜8のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0018】
[10]前記押出材を外側から冷却する前項1〜9のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0019】
[11]押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスと、
前記吸引口から冷媒用通路を介して冷媒を吸引する吸引手段と
を備えることを特徴とする押出装置。
【0020】
[12]前記押出ダイスの下流側に配置される冷媒供給手段を備える前項11に記載の押出装置。
【0021】
[13]押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備え、前記冷媒用通路の他端に吸引手段との接続部が形成されていることを特徴とする押出ダイス。
【発明の効果】
【0022】
上記[1]に記載の発明にかかる中空押出材の製造方法によれば、外部の冷媒を直接押出材の中空部に引き込んで中空部内を流通させることができるので、押出材を内側から効率良く冷却することができる。押出材の内側からの冷却により断面において均一な冷却がなされるので、押出材の内部品質が均一化される。また、冷却効率が高いことで急冷が可能であるから、焼入れ効果も得られる。さらに、マンドレルの吸引口から吸引された冷媒が冷媒用通路を流通することによって、ダイスの冷却も行われる。
【0023】
上記[2]に記載の発明によれば、長時間にわたって高い冷却効率を維持することができる。
【0024】
上記[3]に記載の発明によれば、押出材の形状に対応した精密な冷却制御が可能であり、さらに均一な冷却が可能である。
【0025】
上記[4]に記載の発明によれば、薄肉の外壁を有する押出材の製造において変形を防止することができる。
【0026】
上記[5][6][7][8][9]に記載の各発明によれば、外側からの冷却では効率良くかつ均一に冷却され難い形状の押出材に対して、内側からに冷却を実施して効率良くかつ均一な冷却を行うことができる。
【0027】
上記[10]に記載の発明によれば、押出材の内側と外側の両方からの冷却によって冷却効率が向上し、焼入れ効果も高めることができる。また、押出材の内外での冷却速度差を小さくして冷却による押出材の曲がりや変形を抑制できる。
【0028】
上記[11][12]に記載の各発明にかかる押出装置によれば、本発明の押出材の製造方法を実施して押出材を内側から効率良く冷却することができる。
【0029】
上記[13]に記載の発明にかかる押出ダイスは、押出装置に組み込むことによって押出材を内側から効率良く冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の方法によって製造する押出材は、少なくとも1つの中空部を有している。例えば図1に示す押出材(1)は周方向で肉厚の等しい円筒管であり、1つの中空部(2)を有している。また、図3、図5〜7に示す押出材(70)(80)(90)(100)は複数の中空部を有している。
【0031】
以下に、本発明について、前記中空材(1)を押し出すためのポートホールダイスと、このポートホールダイスを備える押出装置を例示して図2を参照しつつ詳述する。
【0032】
図2に示すポートホールダイス(10)は、押出材(1)の外周面を成形する雌型(11)と内周面(2a)を成形する雄型(20)とが組み合わされてなり、前記雄型(20)が本発明の押出ダイスに対応する。
【0033】
雌型(11)は、中央部にベアリング孔(12)を有し、ベアリング孔(12)の上流側には溶着室用凹部(13)が形成され、下流側にはリリーフ孔(14)が形成されている。
【0034】
前記雄型(20)は、ダイス基盤(21)の中央から下流側に中空部(2)を成形するマンドレル(22)が突出し、このマンドレル(22)の周囲に押出方向に貫通する複数個のポートホール(23)を有している。隣接するポートホール(23)(23)間には前記マンドレル(22)を基端部で支持する脚部(24)が形成されている。前記マンドレル(22)の先端側の周面には押出材(1)の内周面(2a)を成形するベアリング部(25)が突設されている。
【0035】
前記雄型(20)は内部に冷媒用通路(26)を有している。前記冷媒用通路(26)は一端がダイス基盤(21)の側面に開口して吸引手段(60)との接続部(27)となされ、脚部(24)を通ってダイスの軸心に達し、軸心で屈曲してマンドレル(22)の中心を通り、他端がマンドレル(22)の先端面に開口して冷媒(C)の吸引口(28)となされている。前記接続部(27)にはネジが切られ、吸引装置(60)に連通接続するためのジョント(61)が取り付けられている。冷媒用通路(26)において、吸引口(28)は通路の直径が拡大され、上流側部分(26a)よりも断面積および表面積が拡大されて、冷媒(C)の吸引を促進するとともにベアリング部(25)を効率良く冷却するための冷却促進部(29)を形成している。前記冷却促進部(29)はベアリング部(25)の内側に位置している。
【0036】
前記雌型(11)と雄型(20)とを組み合わせると、雌型(11)のベアリング孔(12)内に雄型(20)のマンドレル(22)のベアリング部(25)が嵌り込んでこれらの間に環状の成形用間隙(符号なし)が形成され、雌型(11)の溶着室用凹部(13)の一部が雄型(20)のダイス基盤(21)の端面で塞がれてポートホール(23)に連通する溶着室を形成する。そして、各ポートホール(23)に流入した押出材料は溶着室で合流し、成形用間隙から中空材(1)として押出される。
【0037】
前記吸引装置(60)は、接続部(27)に連通する排出管(62)とポンプ等の吸引手段とを備え、冷媒用通路(26)を介して吸引した冷媒(C)をダイス外に排出するものとなされている。
【0038】
前記ポートホールダイス(10)を用いて金属を押し出す工程において、押出材(1)の先端は開放され、冷媒(C)としての外部の空気が先端開口部から中空部(2)内に自由に流入するものとなされている。この状態で吸引装置(60)を稼働して接続部(27)から冷媒用通路(26)内の流体を排出すると、中空部(2)内の冷媒(C)がマンドレル(22)端面の吸引口(28)から冷媒用通路(26)内に吸引され、この吸引に伴って外部の冷媒(C)が押出材(1)の先端開口部から中空部(2)内に引き込まれる。引き込まれた冷媒(C)は中空部(2)を通って吸引口(28)に吸引され、押出材(1)の先端開口部、中空部(2)、雄型(20)の吸引口(28)、冷媒用通路(26)、接続部(27)、排出管(62)を順次通過する、押出材(1)の進行方向に対して逆方向の冷媒(C)の流れが生じる。そして、冷媒(C)が中空部(2)内を流通する間に押出材(1)を内側から冷却する。
【0039】
なお、図示例では押出材(1)の先端が開口し、この開口部から外部の冷媒(C)を引き込むようにしているが、チャッキング等のために押出材(1)の先端を閉じる場合は、先端近傍に冷媒引き込み用の開口部を穿設しておけば、この開口部から冷媒(C)を中空部(2)内に引き込むことができる。
【0040】
本発明の冷却構造、即ち冷媒(C)を押出材(1)の開口部から引き込んで中空部(2)内を押出材(1)の進行とは逆の方向に流通させる冷却構造は、冷媒をマンドレルの先端から吐出して押出材の進行と同一方向に流通させる従来の冷却構造(特許文献3)よりも冷却効率が優れている。なぜならば、従来の冷却構造ではダイスとの熱交換によって昇温した冷媒を中空部内に吐出するのに対し、本発明の冷却構造では外部の冷媒(C)を直接中空部(2)に引き込むので、より低い温度の冷媒(C)を押出材(1)に接触させることができるからである。また、冷媒(C)がそのままの温度で押出材(1)の冷却に供されるので、温度調節した冷媒(C)を引き込ませることによって精度の高い冷却制御を行うことができる。従来の冷却構造において中空部(2)内に吐出する冷媒温度を制御しようとすれば、ダイス内での上昇分を見込んでダイスに供給する冷媒温度を制御することになるが、上昇分は押出中のダイス温度やダイス構造に影響を受けるので精度の高い冷却制御が難しい。このように、本発明の冷却構造を採用して押出材(1)を効率良く冷却することにより、断面において均一な冷却がなされるので、押出材(1)の内部品質が均一化される。
【0041】
また、本発明の冷却構造はおいては、冷却効率が良く、押出材(1)を急冷することが可能であるから焼入れ効果を奏することもできる。また、中空部(2)内に引き込む冷媒(C)の温度や流通量を制御することにより、焼入れを制御することができる。
【0042】
中空部(2)内に引き込む冷媒(C)は気体、液体のいずれでも良いが、非酸化性の冷媒を推奨できる。非酸化性冷媒を用いるのは、押出材(1)の内周面(2a)を酸化させないためである。気体冷媒として、空気、窒素ガス、アルゴンガスを例示でき、液体冷媒として、水、液体窒素を例示できる。液体冷媒は中空部(2)内で気化し、気化熱によっても冷却効果が得られる。冷媒としては上に挙げた液体冷媒と気体冷媒の混合物でも良く、液体冷媒と気体冷媒の混合物の場合には冷却効果の調整が容易である。更には液体冷媒と気体冷媒の混合物の中でも気体冷媒中に液体冷媒の粒を浮揚させた混合物、いわゆるミストにしたものを用いても良い。冷媒として該ミストを用いた場合には調整した冷却効果を安定化する効果が得られる。
【0043】
これらの冷媒は押出材(1)の先端側に供給手段を設けて積極的に供給すれば、冷却効果を高めることができる。具体的には、冷媒供給用ノズルを中空部(2)に向けて配置し、中空部(2)内に吐出した冷媒を吸引口(28)から吸引させる。中空材(1)の進行ともにノズルを移動させるようにすれば、押し出しながら冷媒を供給することができる。
【0044】
また、冷媒として室温の空気を用いる場合は、ダイス側からの吸引によって外部の空気を中空部(2)に引き込むようにすれば格別の供給手段が無くても冷媒(空気)を引き込むことができ、冷媒の貯蔵タンクさえ必要としないので、押出装置を簡略化できる。
【0045】
いずれの場合も、所期する押出材の冷却温度に応じて、冷媒の吸引量を調節して中空部内の流通量を適宜調節する。複数の中空部を成形するための複数のマンドレルを有する雄型においては、マンドレル毎に独立した冷媒用通路を設けておけば個別に吸引量を調節でき、中空部毎に冷媒の流通量を制御することができ、ひいては中空部毎に独立した冷却制御が可能であり、押出材の形状に対応した精密な冷却制御が可能である。冷媒供給手段においても冷媒の温度や流量を調節することで冷却温度を調節することができるので、吸引側と供給側の両方を組み合わせて調節することもできる。また、複数のマンドレルの冷媒用通路に対して排出側で一括して吸引する場合であっても、中空部毎に引き込ませる冷媒の種類や温度を変えれば、中空部毎に独立した冷却制御が可能である。
【0046】
図3、図5〜7に示すように、複数の中空部を有する押出材(70)(80)(90)(100)の製造においては、少なくとも1つの中空部が上述した冷却構造によって内側から冷却されるものであれば本発明に含まれ、本発明の冷却構造を採用する中空部の数は任意に設定できる。
【0047】
本発明は押出材の内側からの冷却を規定するものであるが、外側からの冷却を排除するものではない。冷却効率を高める上で押出材の外側からも冷却することが好ましい。冷却速度を高めることにより焼入れ効果を高めることできる。また、押出材の内側と外側の両方から冷却によって内外での冷却速度差が小さくして冷却による押出材の曲がりや変形を抑制できる。さらに、内側と外側の冷却条件の組合せることによって、より複雑で精密な冷却制御を行える。外側からの冷却方法は何ら限定されず空冷、水冷、ミスト冷却等周知の方法で適宜行えば良い。
【0048】
また、押出材が長くなると、中空部内の圧力損失によりダイスからの吸引効率が低下し、またダイス近傍では冷媒の温度上昇によって冷却効率が低下することがある。このような場合は、押し出しながら押出材に冷媒引き込み用の開口部を新たに形成し、その開口部から冷媒を引き込むようにすれば吸引効率を回復させ、かつ低温の冷媒をダイス近傍まで供給することができる。押し出しながら新たな開口部を形成することによって、長時間にわたって高い冷却効率を維持することができる。新たな開口部は、押出材を切断して切り離すか、あるいは押出材に穴を明けることによって形成することができる。例えば、図14Aおよび図14Bは、回転する鋸刃(110)で押出材(1)の上部にスリットの穴(111)を明ける方法を示している。鋸刃(110)を下降させ、あるいはさらにスライドさせることによって所望の長さのスリット状の穴(111)を明けることができる。また、図15Aおよび図15Bは、針またはドリル(112)を押出材(1)に刺し込んでスポット状の穴(113)を明ける方法を示している。また、冷媒供給用ノズルを用いている場合は、新たな開口部に冷媒供給用ノズルを移動させれば良い。押出材の本来の切断予定位置に合わせて切断(切り離し)位置または穴明け位置を設定すれば、無駄な端材も発生しない。
【0049】
上述したように、本発明は押出材を内側から冷却するものであるから、外側からの冷却では内部の冷却が不足する形状や内部の冷却が不均一になりやすい形状の押出材に適用した場合に顕著な効果が得られる。例えば、大型の押出材、内部を区画する内壁や厚肉の壁を有する押出材、非対称断面形状の押出材に適用することにより顕著な効果が得られる。以下に、種々の断面形状の押出材とこれらの押出材の冷却について説明する。なお、図4の押出装置において図2と同じ符号を付したものは同一機能を有するものとして説明を省略する。
【0050】
図3の押出材(70)は、外壁(71)よりも肉厚の厚い十字形の内壁(72)によって4つの中空部(73)が形成されている。図4は前記押出材(70)を押し出すためのポートホールダイス(75)を備えた押出装置であり、雄型(76)は各中空部(73)を成形する4つのマンドレル(77)を有し(2個のみを図示)、ダイス基盤(21)の側面に接続部(27)を有する冷媒用通路(26)は各マンドレル(77)に分岐してそれぞれの先端面に開口して吸引口(28)となされている。そして、吸引装置(60)を稼働して吸引口(28)から冷媒(C)を吸引すると、押出材(70)の先端開口部から4つの中空部(73)内に冷媒(C)が引き込まれ、4つの中空部(73)と冷媒用通路(26)を経由して排出管(62)から排出される。
【0051】
前記押出材(70)を外側のみから冷却すると、内壁(72)は外壁(71)からの抜熱によってしか冷却されない上に厚肉であるために冷却が遅くなる。しかし、前記中空部(73)に本発明の冷却構造を採用し、厚肉の内壁(72)に臨む中空部(73)内に冷媒(C)を流通させて内側から冷却することによって内壁(72)を効率良く冷却することができる。
【0052】
なお、図4の冷媒用通路(26)は4つのマンドレル(77)に分岐させて1つの接続部(27)から吸引を行い、4つの中空部(73)に対して同じ条件で冷媒(C)を流通させているが、各マンドレル(77)で冷媒用通路を独立させて別々の接続部(排出側の開口部)を設けて吸引すれば各中空部(73)における冷媒流通を独立して制御することができる。また、各中空部(73)に引き込ませる冷媒条件を変えることによっても独立した冷却制御を行うことができる。
【0053】
図5の押出材(80)は、外壁(81)に臨む4つの多角形中空部(82)(82)(82)(82)と、これらの多角形中空部(82)(82)(82)(82)の中央に外壁(81)に臨まない1つの円形中空部(83)を有している。前記円形中空部(83)は円形内壁(84)に囲まれ、隣接する多角形中空部(82)(82)間の隔壁(85)は外壁(81)よりも厚肉である。かかる形状の押出材(80)を外側のみから冷却すると、隔壁(85)は外壁(81)を介した抜熱によってしか冷却されず、円形内壁(84)は外壁(81)および隔壁(85)を介した抜熱によってしか冷却されないので、これらの冷却は遅くなる。とりわけ、円形内壁(83)は外壁(81)および隔壁(85)を介した冷却となるので冷却速度が遅く、断面において冷却速度が不均一となる。前記円形中空部(83)に本発明の冷却構造を採用して円形内壁(84)を内側から直接冷却すると、円形内壁(84)の冷却速度が高められて断面における冷却速度が均一化される。また、外壁(81)に臨む4つの多角形中空部(82)は円形内壁(84)および隔壁(85)にも臨んでいるので、これらの多角形中空部(82)にも本発明の冷却構造を採用して内側から冷却すれば、円形内壁(84)、隔壁(85)および外壁(81)の冷却を促進することができる。
【0054】
図6の押出材(90)は非対称断面形状の異形断面材であり、複数の中空部(91)(92)(93)(94)は形状の異なり、外壁(95)および内壁(96)(97)(98)(99)の肉厚も異なっている。かかる断面形状の押出材(90)を外側からの冷却で均一に冷却することは困難である。前記中空部(91)(92)(93)(94)の少なくとも1つに本発明の冷却構造を採用することにより冷却が促進される。また、本発明の冷却構造を各中空部(91)(92)(93)(94)に採用し、各中空部(91)(92)(93)(94)の冷却速度を独立して調節することにより、冷却速度をより一層高めるとともに、断面における冷却速度を均一化することができる。特に非対称断面形状の押出材(90)は外側から均一に冷却することが困難であるため、各中空部(91)(92)(93)(94)に本発明の冷却構造を採用し、あるいはさらに独立して冷却制御を行う意義は大きい。
【0055】
また、以下の各押出材についても、本発明の冷却構造を適用する意義が大きい。
【0056】
まず、単量の大きい押出材および大型押出材は冷却が遅いため、内側からの冷却による冷却促進効果が大きい。
【0057】
単量としては、2kg/m以上の押出材に適用することが好ましく、特に5kg/m以上の押出材に適用することが好ましい。
【0058】
寸法としては、断面における外接円が100mm以上の大型押出材に適用することが好ましく、特に外接円が300mm以上の押出材に適用することが好ましい。
【0059】
一方、図7に示すような外壁(101)の肉厚の薄い押出材(100)においても、本発明の適用意義は大きい。薄肉の外壁(101)は、外側からの冷却によって外周面と内周面との温度差が大きくなると変形するおそれがある。このような場合、押出材(100)の内側から冷却して外周面と内周面との温度差を小さくすることによって変形を防止することができる。具体的には、外壁(101)の肉厚(t)が断面の外接円の直径(D)の0.5%以下、特に0.2%以下であるような薄肉の押出材(100)において、本発明の適用意義が大きい。
【0060】
また、本発明によって製造する中空押出材の材料は金属である限り何ら限定されず、アルミニウム、銅、鉄およびこれらの合金を例示できる。
【0061】
ところで、図2に参照されるように、冷媒(C)はマンドレル(22)の先端の吸引口(28)に到達した時点においてもなお冷却能力を有しており、冷媒用通路(26)を流通する間に雄型(20)との間で熱交換を行ってダイスを冷却する効果がある。
【0062】
冷媒用通路(26)を流通する冷媒(C)は熱交換により温度が上昇していくので、冷媒温度はベアリング部(25)に近い吸引口(28)において最も低く、接続部(27)において最も高くなる。冷媒(C)は、吸引口(28)に近いほどダイスとの温度差が大きくて熱交換効率が高く、接続部(27)に近づくほどダイスとの温度差が小さくなって熱交換効率が低下していく。このような冷媒(C)の熱交換効率の下降は雄型(20)の冷却に有利に作用する。
【0063】
即ち、マンドレル(22)のベアリング部(25)では焼付きや摩耗を抑制するために加工熱によって上昇したダイス温度を下げることが望まれるが、ダイス基盤(21)や脚部(24)ではダイス温度が下がりすぎると材料温度が下がって押出不良の原因となる。このため、ベアリング部(25)が冷却される一方で、ダイス基盤(21)や脚部(24)は過度に冷却されないことが好ましい。冷媒(C)をマンドレル(22)の吸引口(28)からダイス基盤(21)の接続部(27)へと流通させると、吸引口(28)に近いベアリング部(25)が良く冷却される一方で、マンドレル(22)の根元、ダイス基盤(21)および脚部(24)はベアリング部(25)ほどには冷却されない。
【0064】
また、冷媒(C)が押出材(1)の中空部(2)から中空部(2)よりも断面積の小さい吸引口(28)に流入することで流速が速くなるので、ベアリング部(25)の冷却が促進される。断面積が拡大された冷却促進部(29)から上流側部分(26a)に進むと断面積はさらに小さくなって冷媒(C)は加速されるが、表面積の減少と冷媒(C)温度の上昇によって熱交換効率が低下するため、マンドレル(22)の根元やダイス基盤(21)はベアリング部(25)ほどには冷却されず、ダイス基盤(21)が過度に冷却されることによる押出不良を回避できる。
【0065】
さらに、冷媒(C)とダイスとの温度差は接続部(27)の手前で最も小さくなるため、冷媒用通路(26)が設けられている脚部(24)と設けられていない脚部(24)との間の温度差も小さい。従来のダイスでは、導入口に近い脚部において冷媒温度が最も低くダイスとの温度差が最大となるので、冷媒用通路の有無による脚部の温度差が本発明よりも大きくなる。複数の脚部における温度差は、温度に影響されるダイス強度(高温変形抵抗値)の不均衡による偏肉や材料温度の不均衡の原因となる。従って、本発明で用いるダイスは複数の脚部(24)における温度差が小さいので、ダイス強度や材料温度の不均衡も小さくなる。
【0066】
以上の点で、本発明の冷却構造は、押出材(1)の冷却のみならず、押出ダイスの冷却においても有用である。
【0067】
さらに、上述したマンドレル(22)における冷却促進部(29)は、その断面積および表面積が上流側部分(26a)よりも拡大されていることで熱交換効率が高められている。かかる構造の冷媒用通路(26)に冷媒(C)を導入すると、ベアリング部(25)を効率良く冷却する一方でマンドレル(22)の根元およびダイス基盤(21)の冷却は抑制される。
【0068】
熱交換効率を高めた冷却促進部は他の構造によっても実現できる。以下に、他の冷却促進部の構造について説明する。なお、以下の図面において、図2と同一の符号は同一物を示すものとして説明を省略する。
【0069】
図8Aおよび図8Bに示す冷却促進部(30)は、冷媒用通路(26)の直径を上流側部分(26a)よりも拡大するとともに、壁面からマンドレル(22)の軸心に向かって多数のフィンを(31)を突設したものである。冷却促進部(30)に入った冷媒(C)は隣接するフィン(31)間にまで入り込んで熱交換し、多数のフィン(31)により表面積が飛躍的に拡大されたことで高い熱交換効率が達成される。なお、図示例では拡径した冷媒用通路(26)にフィン(31)を設けているが、拡径することなくフィンを設けることできる。拡径することなくフィンを設けた場合でも、表面積拡大による熱交換効率の向上分が断面積減少による熱交換効率の低下分を上回れば、上流側部分よりも熱交換効率を高めることができる。
【0070】
図9Aおよび図9Bの冷却促進部(32)(34)もまた、冷媒用通路(26)の表面積を拡大したものである。図9Aの冷却促進部(32)は、フィン(31)の替わりに断面三角形の凸部(33)を設けたものである。前記冷却促進部(30)よりも表面積の拡大率が小さいので熱交換効率の向上率も小さいが、薄板状のフィン(31)よりも加工が容易である。このように冷媒通路内に凹凸を設ければ表面積を拡大することができる。図9Bの冷却促進部(34)は冷媒用通路内に格子(35)を設けて表面積を拡大したものである。
【0071】
上述したフィン(31)、凸部(33)および格子(35)は、例えば形彫放電加工によって成形することができる。また、フィン(31)等はマンドレル(22)と一体に成形して良いし、別部材で製作して冷媒用通路(26)内に取り付けても良い。別部材として取り付ける場合は、フィン等のみを別部材として製作して取り付けても良いし、環体の内部に前記フィン等を一体に成形したものを別部材とし、これを冷媒用通路(26)内に嵌め込むこともできる。
【0072】
図10の冷却促進部(36)は、冷媒用通路(26)の直径をテーパー状に拡大することにより断面積および表面積を拡大したものである。
【0073】
以上は、冷媒用通路の断面形状の変更によって冷却促進部を形成したものであるが、ダイス素材よりも熱伝導率の良い素材を用いて冷却促進部を形成することもできる。
【0074】
図11に示す冷却促進部(38)は、図2と同様に冷媒用通路(26)の直径を拡大し、広げたスペースにダイス素材よりも熱伝導率の良い素材からなる筒状の冷却促進部材(39)を密着状態に嵌め込んだものである。通路の断面形状が同一であっても、冷却促進部材(39)を取り付けたことでダイス素材で構成された上流側部分(26a)よりも熱交換効率を高めることができる。
【0075】
熱交換効率に差を設けるのは、ベアリング部の温度を上流側部分よりも下げることが目的であるから、ベアリング部の内側と上流側部分とで熱交換効率に高低差を設ければ目的は達成される。図12Aおよび図12Bは、冷媒用通路(26)において、内壁面にベアリング部(25)の上流側にダイス素材よりも熱伝導率の低い材料からなる筒状の冷却抑制部材(40)を取付けて上流側部分(26a)の熱交換効率を低下させて冷却抑制部とし、これによりベアリング部(25)の内側における熱交換効率を上流側部分(26a)よりも相対的に高めた構造を示している。なお、前記冷却抑制部材(40)は、図12Aのように冷媒用通路(26)の壁面から突出するように取り付けても良いし、図12Bのように取付け部分の通路径を拡大して冷却抑制部材(40)と壁面が同一高さになるようにしても良い。
【0076】
押出用ダイスの素材としては、SKD61、SKT4、SKD4、SKD5、SKD7、SKD8、SKD11、SKD12等のダイス鋼が用いられる。これらのダイス鋼のなかで、20℃における熱伝導率は、SKD61が30.6W/(m・K)、SKT4が36W/(m・K)、SKD11が29W/(m・K)であり、他のダイス鋼の熱伝導率も同程度である。上述したように熱伝導率の異なる素材を用いて熱交換効率に高低差を付ける場合、ダイス鋼よりも熱伝導率の良い素材として銅やアルミニウムを例示でき、ダイス鋼よりも熱伝導率の悪い素材としてセラミック材料やステンレス材料を例示できる。これらの材料の20℃における熱伝導率は、銅が401W/(m・K)、アルミニウムが236W/(m・K)ジルコニア系のセラミックが2W/(m・K)、SUS304が16W/(m・K)である。
【0077】
また、前記冷却促進部の熱交換効率をさらに高くする手段として、冷媒用通路の吸入口の一部を塞ぐ方法がある。図13Aおよび図13Bは、図8Aおよび図8Bのフィン付の冷却促進部(30)の中心部に吸引口(28)側からピン(50)を打ち込んだものである。各フィン(31)の先端で形成される円柱形空間にピン(50)の脚部(51)が挿入されて該円柱形空間を塞ぎ、かつ径大の頭部(52)が吸引口(28)の一部を塞いでいる。吸引口(28)の一部を塞いで押出材(1)の中空部(2)と吸引口(28)の開口面積との差を拡大すると、冷媒(C)の流速が速くなって冷却促進部における熱交換効率を高めることができる。しかも、冷却促進部(30)の断面積や表面積の拡大による熱交換効率向上効果も損なわれないので、両方の熱交換効率向上効果を享受できる。また、吸引口(28)の中心部を塞いで周縁から冷媒(C)を導入すると、冷媒(C)が各フィン(31)の付け根まで均等に行き渡るので効率良く熱交換がなされる。このように、冷却促進部(30)の吸引口(28)の一部を塞ぐことによって冷媒(C)の流れを強制的に変更し、冷媒(C)が円柱形空間を通り抜けること(図8A参照)を妨げることによってフィン(31)による熱交換を活用できる。
【0078】
上述した熱交換効率に差を設けるための種々の構造は複数種を組み合わせることもできる。例えば、ダイス素材よりも熱伝導率の良い素材で別途フィン等を製作し、または環の内部にフィン等を突設した部材を製作し、これらを拡径した冷媒用通路に取付けた場合は、フィンによる表面積拡大効果と素材の熱伝導率差による効果の両方を得て熱交換効率を高めることができる。また、ベアリング部の内側に冷却促進部を設けるとともに、上流側部分に冷却抑制部を設けて、熱交換効率の高低差を拡大することもできる。ベアリング部の内側と上流側部分との熱交換効率の差は、所期するベアリング部の冷却温度および上流側部分との温度差に応じて適宜設定する。
【0079】
さらに、ダイスの冷媒用通路の断面形状が、ベアリング部の内側とその上流側部分とで同一である場合も本発明に含まれる。冷媒用通路を流通する冷媒は、上流側に進むに従って冷媒温度が上昇し冷媒とダイスとの温度差が小さくなるので、自ずとベアリング部の内側よりも上流側部分が冷却されにくくなるためである。
【0080】
図2および図4に参照されるように、冷媒用通路(26)はダイス基盤(21)の側面とマンドレル(22)の下流側端面とに開口部を有し、L字形に曲がって両方の開口部に通じている。このような通路はL字形に切削する必要はなく、ダイス基盤(21)の側面の開口部(接続部)(27)から脚部(24)を通ってマンドレル(2)の中心に向かう第1通路と、マンドレル(22)の中心を押出方向に貫通して吸入口(28)に通じる第2通路とを穿設し、第2通路の上流側開口部を閉塞すればL字形通路となる。閉塞方法は、ボルト止め、棒状閉塞部材の溶接や焼嵌め等により適宜行えば良い。また、接続部(27)に通じる第2通路は必ずしも脚部(24)を貫いて設けることに限定されず、ダイス基盤(21)の上流側端面とダイスの上流側に配置するプレート(図示省略)との合わせ面に臨む位置に形成することもでき、ダイス基盤の側面に開口させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の冷却構造を中空押出材の製造に適用して押出材を効率良くかつ均一に冷却することにより、品質の良い中空押出材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の押出材の製造方法によって製造する押出材の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の押出材の製造方法を実施して図1の押出材を製造する押出装置、および製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の押出材の製造方法によって製造する押出材の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の押出材の製造方法を実施して図3の押出材を製造する押出装置、および製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の押出材の製造方法に適した押出材の断面図である。
【図6】本発明の押出材の製造方法に適した他の押出材の断面図である。
【図7】本発明の押出材の製造方法に適したさらに他の押出材の断面図である。
【図8A】押出装置における押出ダイスの他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図8B】図8Aの押出ダイスを下流側から見た側面図である。
【図9A】図8Aの押出ダイスの変形例を示す側面図である。
【図9B】図8Aの押出ダイスの他の変形例を示す側面図である。
【図10】押出ダイスのさらに他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図11】押出ダイスのさらに他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図12A】押出ダイスのさらに他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図12B】図12Aの押出ダイスの変形例を示す断面図である。
【図13A】押出ダイスのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図13B】図13Aの押出ダイスを下流側から見た側面図である。
【図14A】押出材にスリット状の穴を明ける方法を示す斜視図である。
【図14B】押出材にスリット状の穴を明ける方法を示す断面図である。
【図15A】押出材にスポット状の穴を明ける方法を示す斜視図である。
【図15B】押出材にスポット状の穴を明ける方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1、70、80、90、100…押出材
2、73、82、83、91、92、93、94…中空部
10、75…ポートホールダイス
20、76…雄型(押出ダイス)
21…ダイス基盤
22,77…マンドレル
25…ベアリング部
26…冷媒用通路
26a…上流側部分
27…接続部
28…吸引口
29,30,32,34,36,38…冷却促進部
39…冷却促進部材
40…冷却抑制部材(冷却抑制部)
60…吸引装置(吸引手段)
71、81、95、101…外壁
72、97、98、99…内壁
85…隔壁(内壁)
84…円形内壁(内壁)
C…冷媒
【技術分野】
【0001】
この発明は、金属製の中空押出材の製造方法およびその関連技術に関する。
【0002】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、押出材および押出材料の進む方向を下流または下流側と称し、逆方向を上流または上流側と称する。
【背景技術】
【0003】
押出加工における押出材の冷却は、押出ダイスの下流側に冷却装置を配置し、空冷、水冷、ミストにより外側から冷却するのが一般的である。また一般に、Al−Cu−Mg系の2000系合金、Al−Mg−Si系の6000系合金、Al−Zn−Mg系の7000系合金といった熱処理型のアルミニウム合金押出材は、押出後に溶体化処理、焼入れ処理を行った後に時効処理を行うが、押出直後に製品を冷却するダイクエンチを行うことによって押出加工と同時に焼入れを行う方法も知られている(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、中空押出材の冷却では、ポートホールダイスの雄型にマンドレルの先端面に冷媒吐出口を設け、この吐出口に連通してブリッジ部を経由してダイス側面に開口する冷媒用通路を穿孔し、この冷媒用通路に導入した冷媒を前記吐出口から中空部内に吐出することにより、押出材の内側から冷却する方法も提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−132318号公報
【特許文献2】特開2002−275603号公報
【特許文献3】特開平8−206729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2のような外側から冷却では押出材内部の冷却が遅くなるため、断面における冷却が不均一となり、ひいては押出材の内部品質が不均一になる。
【0006】
中空押出材では内側からの冷却が可能であり、中空押出材の外側と内側の両方から冷却することで冷却を促進することができる。しかしながら、特許文献3に記載された冷却方法では、冷媒が高温のダイスを通過する間に温度が上昇してしまうために冷却効率が悪いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、中空押出材を内側から効率良く冷却できる中空押出材の製造方法およびその関連技術の提供を目的とする。
【0008】
即ち、本発明は下記[1]〜[13]に記載の各構成を有する。
【0009】
[1]押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスを用い、金属を押し出しながら、押し出された押出材の中空部内の冷媒を前記マンドレルの吸引口から吸引することにより、外部の冷媒をその押出材の開口部から中空部内に引き込んで該中空部内に流通させることを特徴とする中空押出材の製造方法。
【0010】
[2]前記押出材を押し出しながら、該押出材に新たな冷媒引き込み用の開口部を形成する前項1に記載の中空押出材の製造方法。
【0011】
[3]前記押出材の複数の中空部において、これらの中空部を成形するマンドレルに冷媒用通路を設けるとともに、それぞれの中空部における冷媒吸引量を独立して制御する前項1または2に記載の中空押出材の製造方法。
【0012】
[4]前記押出材の外壁の肉厚が該押出材の断面における外接円の直径の0.5%以下である前項1〜3のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0013】
[5]前記押出材は外壁に臨まない中空部を有し、その中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる前項1〜4のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0014】
[6]前記押出材は外壁よりも肉厚の厚い内壁を有し、その内壁に臨む中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる前項1〜5のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0015】
[7]前記前記押出材の単重が2kg/m以上である前項1〜6のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0016】
[8]前記押出材は断面における外接円の直径が100mm以上である前項1〜7のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0017】
[9]前記押出材は非対称断面形状を有する前項1〜8のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0018】
[10]前記押出材を外側から冷却する前項1〜9のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【0019】
[11]押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスと、
前記吸引口から冷媒用通路を介して冷媒を吸引する吸引手段と
を備えることを特徴とする押出装置。
【0020】
[12]前記押出ダイスの下流側に配置される冷媒供給手段を備える前項11に記載の押出装置。
【0021】
[13]押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備え、前記冷媒用通路の他端に吸引手段との接続部が形成されていることを特徴とする押出ダイス。
【発明の効果】
【0022】
上記[1]に記載の発明にかかる中空押出材の製造方法によれば、外部の冷媒を直接押出材の中空部に引き込んで中空部内を流通させることができるので、押出材を内側から効率良く冷却することができる。押出材の内側からの冷却により断面において均一な冷却がなされるので、押出材の内部品質が均一化される。また、冷却効率が高いことで急冷が可能であるから、焼入れ効果も得られる。さらに、マンドレルの吸引口から吸引された冷媒が冷媒用通路を流通することによって、ダイスの冷却も行われる。
【0023】
上記[2]に記載の発明によれば、長時間にわたって高い冷却効率を維持することができる。
【0024】
上記[3]に記載の発明によれば、押出材の形状に対応した精密な冷却制御が可能であり、さらに均一な冷却が可能である。
【0025】
上記[4]に記載の発明によれば、薄肉の外壁を有する押出材の製造において変形を防止することができる。
【0026】
上記[5][6][7][8][9]に記載の各発明によれば、外側からの冷却では効率良くかつ均一に冷却され難い形状の押出材に対して、内側からに冷却を実施して効率良くかつ均一な冷却を行うことができる。
【0027】
上記[10]に記載の発明によれば、押出材の内側と外側の両方からの冷却によって冷却効率が向上し、焼入れ効果も高めることができる。また、押出材の内外での冷却速度差を小さくして冷却による押出材の曲がりや変形を抑制できる。
【0028】
上記[11][12]に記載の各発明にかかる押出装置によれば、本発明の押出材の製造方法を実施して押出材を内側から効率良く冷却することができる。
【0029】
上記[13]に記載の発明にかかる押出ダイスは、押出装置に組み込むことによって押出材を内側から効率良く冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の方法によって製造する押出材は、少なくとも1つの中空部を有している。例えば図1に示す押出材(1)は周方向で肉厚の等しい円筒管であり、1つの中空部(2)を有している。また、図3、図5〜7に示す押出材(70)(80)(90)(100)は複数の中空部を有している。
【0031】
以下に、本発明について、前記中空材(1)を押し出すためのポートホールダイスと、このポートホールダイスを備える押出装置を例示して図2を参照しつつ詳述する。
【0032】
図2に示すポートホールダイス(10)は、押出材(1)の外周面を成形する雌型(11)と内周面(2a)を成形する雄型(20)とが組み合わされてなり、前記雄型(20)が本発明の押出ダイスに対応する。
【0033】
雌型(11)は、中央部にベアリング孔(12)を有し、ベアリング孔(12)の上流側には溶着室用凹部(13)が形成され、下流側にはリリーフ孔(14)が形成されている。
【0034】
前記雄型(20)は、ダイス基盤(21)の中央から下流側に中空部(2)を成形するマンドレル(22)が突出し、このマンドレル(22)の周囲に押出方向に貫通する複数個のポートホール(23)を有している。隣接するポートホール(23)(23)間には前記マンドレル(22)を基端部で支持する脚部(24)が形成されている。前記マンドレル(22)の先端側の周面には押出材(1)の内周面(2a)を成形するベアリング部(25)が突設されている。
【0035】
前記雄型(20)は内部に冷媒用通路(26)を有している。前記冷媒用通路(26)は一端がダイス基盤(21)の側面に開口して吸引手段(60)との接続部(27)となされ、脚部(24)を通ってダイスの軸心に達し、軸心で屈曲してマンドレル(22)の中心を通り、他端がマンドレル(22)の先端面に開口して冷媒(C)の吸引口(28)となされている。前記接続部(27)にはネジが切られ、吸引装置(60)に連通接続するためのジョント(61)が取り付けられている。冷媒用通路(26)において、吸引口(28)は通路の直径が拡大され、上流側部分(26a)よりも断面積および表面積が拡大されて、冷媒(C)の吸引を促進するとともにベアリング部(25)を効率良く冷却するための冷却促進部(29)を形成している。前記冷却促進部(29)はベアリング部(25)の内側に位置している。
【0036】
前記雌型(11)と雄型(20)とを組み合わせると、雌型(11)のベアリング孔(12)内に雄型(20)のマンドレル(22)のベアリング部(25)が嵌り込んでこれらの間に環状の成形用間隙(符号なし)が形成され、雌型(11)の溶着室用凹部(13)の一部が雄型(20)のダイス基盤(21)の端面で塞がれてポートホール(23)に連通する溶着室を形成する。そして、各ポートホール(23)に流入した押出材料は溶着室で合流し、成形用間隙から中空材(1)として押出される。
【0037】
前記吸引装置(60)は、接続部(27)に連通する排出管(62)とポンプ等の吸引手段とを備え、冷媒用通路(26)を介して吸引した冷媒(C)をダイス外に排出するものとなされている。
【0038】
前記ポートホールダイス(10)を用いて金属を押し出す工程において、押出材(1)の先端は開放され、冷媒(C)としての外部の空気が先端開口部から中空部(2)内に自由に流入するものとなされている。この状態で吸引装置(60)を稼働して接続部(27)から冷媒用通路(26)内の流体を排出すると、中空部(2)内の冷媒(C)がマンドレル(22)端面の吸引口(28)から冷媒用通路(26)内に吸引され、この吸引に伴って外部の冷媒(C)が押出材(1)の先端開口部から中空部(2)内に引き込まれる。引き込まれた冷媒(C)は中空部(2)を通って吸引口(28)に吸引され、押出材(1)の先端開口部、中空部(2)、雄型(20)の吸引口(28)、冷媒用通路(26)、接続部(27)、排出管(62)を順次通過する、押出材(1)の進行方向に対して逆方向の冷媒(C)の流れが生じる。そして、冷媒(C)が中空部(2)内を流通する間に押出材(1)を内側から冷却する。
【0039】
なお、図示例では押出材(1)の先端が開口し、この開口部から外部の冷媒(C)を引き込むようにしているが、チャッキング等のために押出材(1)の先端を閉じる場合は、先端近傍に冷媒引き込み用の開口部を穿設しておけば、この開口部から冷媒(C)を中空部(2)内に引き込むことができる。
【0040】
本発明の冷却構造、即ち冷媒(C)を押出材(1)の開口部から引き込んで中空部(2)内を押出材(1)の進行とは逆の方向に流通させる冷却構造は、冷媒をマンドレルの先端から吐出して押出材の進行と同一方向に流通させる従来の冷却構造(特許文献3)よりも冷却効率が優れている。なぜならば、従来の冷却構造ではダイスとの熱交換によって昇温した冷媒を中空部内に吐出するのに対し、本発明の冷却構造では外部の冷媒(C)を直接中空部(2)に引き込むので、より低い温度の冷媒(C)を押出材(1)に接触させることができるからである。また、冷媒(C)がそのままの温度で押出材(1)の冷却に供されるので、温度調節した冷媒(C)を引き込ませることによって精度の高い冷却制御を行うことができる。従来の冷却構造において中空部(2)内に吐出する冷媒温度を制御しようとすれば、ダイス内での上昇分を見込んでダイスに供給する冷媒温度を制御することになるが、上昇分は押出中のダイス温度やダイス構造に影響を受けるので精度の高い冷却制御が難しい。このように、本発明の冷却構造を採用して押出材(1)を効率良く冷却することにより、断面において均一な冷却がなされるので、押出材(1)の内部品質が均一化される。
【0041】
また、本発明の冷却構造はおいては、冷却効率が良く、押出材(1)を急冷することが可能であるから焼入れ効果を奏することもできる。また、中空部(2)内に引き込む冷媒(C)の温度や流通量を制御することにより、焼入れを制御することができる。
【0042】
中空部(2)内に引き込む冷媒(C)は気体、液体のいずれでも良いが、非酸化性の冷媒を推奨できる。非酸化性冷媒を用いるのは、押出材(1)の内周面(2a)を酸化させないためである。気体冷媒として、空気、窒素ガス、アルゴンガスを例示でき、液体冷媒として、水、液体窒素を例示できる。液体冷媒は中空部(2)内で気化し、気化熱によっても冷却効果が得られる。冷媒としては上に挙げた液体冷媒と気体冷媒の混合物でも良く、液体冷媒と気体冷媒の混合物の場合には冷却効果の調整が容易である。更には液体冷媒と気体冷媒の混合物の中でも気体冷媒中に液体冷媒の粒を浮揚させた混合物、いわゆるミストにしたものを用いても良い。冷媒として該ミストを用いた場合には調整した冷却効果を安定化する効果が得られる。
【0043】
これらの冷媒は押出材(1)の先端側に供給手段を設けて積極的に供給すれば、冷却効果を高めることができる。具体的には、冷媒供給用ノズルを中空部(2)に向けて配置し、中空部(2)内に吐出した冷媒を吸引口(28)から吸引させる。中空材(1)の進行ともにノズルを移動させるようにすれば、押し出しながら冷媒を供給することができる。
【0044】
また、冷媒として室温の空気を用いる場合は、ダイス側からの吸引によって外部の空気を中空部(2)に引き込むようにすれば格別の供給手段が無くても冷媒(空気)を引き込むことができ、冷媒の貯蔵タンクさえ必要としないので、押出装置を簡略化できる。
【0045】
いずれの場合も、所期する押出材の冷却温度に応じて、冷媒の吸引量を調節して中空部内の流通量を適宜調節する。複数の中空部を成形するための複数のマンドレルを有する雄型においては、マンドレル毎に独立した冷媒用通路を設けておけば個別に吸引量を調節でき、中空部毎に冷媒の流通量を制御することができ、ひいては中空部毎に独立した冷却制御が可能であり、押出材の形状に対応した精密な冷却制御が可能である。冷媒供給手段においても冷媒の温度や流量を調節することで冷却温度を調節することができるので、吸引側と供給側の両方を組み合わせて調節することもできる。また、複数のマンドレルの冷媒用通路に対して排出側で一括して吸引する場合であっても、中空部毎に引き込ませる冷媒の種類や温度を変えれば、中空部毎に独立した冷却制御が可能である。
【0046】
図3、図5〜7に示すように、複数の中空部を有する押出材(70)(80)(90)(100)の製造においては、少なくとも1つの中空部が上述した冷却構造によって内側から冷却されるものであれば本発明に含まれ、本発明の冷却構造を採用する中空部の数は任意に設定できる。
【0047】
本発明は押出材の内側からの冷却を規定するものであるが、外側からの冷却を排除するものではない。冷却効率を高める上で押出材の外側からも冷却することが好ましい。冷却速度を高めることにより焼入れ効果を高めることできる。また、押出材の内側と外側の両方から冷却によって内外での冷却速度差が小さくして冷却による押出材の曲がりや変形を抑制できる。さらに、内側と外側の冷却条件の組合せることによって、より複雑で精密な冷却制御を行える。外側からの冷却方法は何ら限定されず空冷、水冷、ミスト冷却等周知の方法で適宜行えば良い。
【0048】
また、押出材が長くなると、中空部内の圧力損失によりダイスからの吸引効率が低下し、またダイス近傍では冷媒の温度上昇によって冷却効率が低下することがある。このような場合は、押し出しながら押出材に冷媒引き込み用の開口部を新たに形成し、その開口部から冷媒を引き込むようにすれば吸引効率を回復させ、かつ低温の冷媒をダイス近傍まで供給することができる。押し出しながら新たな開口部を形成することによって、長時間にわたって高い冷却効率を維持することができる。新たな開口部は、押出材を切断して切り離すか、あるいは押出材に穴を明けることによって形成することができる。例えば、図14Aおよび図14Bは、回転する鋸刃(110)で押出材(1)の上部にスリットの穴(111)を明ける方法を示している。鋸刃(110)を下降させ、あるいはさらにスライドさせることによって所望の長さのスリット状の穴(111)を明けることができる。また、図15Aおよび図15Bは、針またはドリル(112)を押出材(1)に刺し込んでスポット状の穴(113)を明ける方法を示している。また、冷媒供給用ノズルを用いている場合は、新たな開口部に冷媒供給用ノズルを移動させれば良い。押出材の本来の切断予定位置に合わせて切断(切り離し)位置または穴明け位置を設定すれば、無駄な端材も発生しない。
【0049】
上述したように、本発明は押出材を内側から冷却するものであるから、外側からの冷却では内部の冷却が不足する形状や内部の冷却が不均一になりやすい形状の押出材に適用した場合に顕著な効果が得られる。例えば、大型の押出材、内部を区画する内壁や厚肉の壁を有する押出材、非対称断面形状の押出材に適用することにより顕著な効果が得られる。以下に、種々の断面形状の押出材とこれらの押出材の冷却について説明する。なお、図4の押出装置において図2と同じ符号を付したものは同一機能を有するものとして説明を省略する。
【0050】
図3の押出材(70)は、外壁(71)よりも肉厚の厚い十字形の内壁(72)によって4つの中空部(73)が形成されている。図4は前記押出材(70)を押し出すためのポートホールダイス(75)を備えた押出装置であり、雄型(76)は各中空部(73)を成形する4つのマンドレル(77)を有し(2個のみを図示)、ダイス基盤(21)の側面に接続部(27)を有する冷媒用通路(26)は各マンドレル(77)に分岐してそれぞれの先端面に開口して吸引口(28)となされている。そして、吸引装置(60)を稼働して吸引口(28)から冷媒(C)を吸引すると、押出材(70)の先端開口部から4つの中空部(73)内に冷媒(C)が引き込まれ、4つの中空部(73)と冷媒用通路(26)を経由して排出管(62)から排出される。
【0051】
前記押出材(70)を外側のみから冷却すると、内壁(72)は外壁(71)からの抜熱によってしか冷却されない上に厚肉であるために冷却が遅くなる。しかし、前記中空部(73)に本発明の冷却構造を採用し、厚肉の内壁(72)に臨む中空部(73)内に冷媒(C)を流通させて内側から冷却することによって内壁(72)を効率良く冷却することができる。
【0052】
なお、図4の冷媒用通路(26)は4つのマンドレル(77)に分岐させて1つの接続部(27)から吸引を行い、4つの中空部(73)に対して同じ条件で冷媒(C)を流通させているが、各マンドレル(77)で冷媒用通路を独立させて別々の接続部(排出側の開口部)を設けて吸引すれば各中空部(73)における冷媒流通を独立して制御することができる。また、各中空部(73)に引き込ませる冷媒条件を変えることによっても独立した冷却制御を行うことができる。
【0053】
図5の押出材(80)は、外壁(81)に臨む4つの多角形中空部(82)(82)(82)(82)と、これらの多角形中空部(82)(82)(82)(82)の中央に外壁(81)に臨まない1つの円形中空部(83)を有している。前記円形中空部(83)は円形内壁(84)に囲まれ、隣接する多角形中空部(82)(82)間の隔壁(85)は外壁(81)よりも厚肉である。かかる形状の押出材(80)を外側のみから冷却すると、隔壁(85)は外壁(81)を介した抜熱によってしか冷却されず、円形内壁(84)は外壁(81)および隔壁(85)を介した抜熱によってしか冷却されないので、これらの冷却は遅くなる。とりわけ、円形内壁(83)は外壁(81)および隔壁(85)を介した冷却となるので冷却速度が遅く、断面において冷却速度が不均一となる。前記円形中空部(83)に本発明の冷却構造を採用して円形内壁(84)を内側から直接冷却すると、円形内壁(84)の冷却速度が高められて断面における冷却速度が均一化される。また、外壁(81)に臨む4つの多角形中空部(82)は円形内壁(84)および隔壁(85)にも臨んでいるので、これらの多角形中空部(82)にも本発明の冷却構造を採用して内側から冷却すれば、円形内壁(84)、隔壁(85)および外壁(81)の冷却を促進することができる。
【0054】
図6の押出材(90)は非対称断面形状の異形断面材であり、複数の中空部(91)(92)(93)(94)は形状の異なり、外壁(95)および内壁(96)(97)(98)(99)の肉厚も異なっている。かかる断面形状の押出材(90)を外側からの冷却で均一に冷却することは困難である。前記中空部(91)(92)(93)(94)の少なくとも1つに本発明の冷却構造を採用することにより冷却が促進される。また、本発明の冷却構造を各中空部(91)(92)(93)(94)に採用し、各中空部(91)(92)(93)(94)の冷却速度を独立して調節することにより、冷却速度をより一層高めるとともに、断面における冷却速度を均一化することができる。特に非対称断面形状の押出材(90)は外側から均一に冷却することが困難であるため、各中空部(91)(92)(93)(94)に本発明の冷却構造を採用し、あるいはさらに独立して冷却制御を行う意義は大きい。
【0055】
また、以下の各押出材についても、本発明の冷却構造を適用する意義が大きい。
【0056】
まず、単量の大きい押出材および大型押出材は冷却が遅いため、内側からの冷却による冷却促進効果が大きい。
【0057】
単量としては、2kg/m以上の押出材に適用することが好ましく、特に5kg/m以上の押出材に適用することが好ましい。
【0058】
寸法としては、断面における外接円が100mm以上の大型押出材に適用することが好ましく、特に外接円が300mm以上の押出材に適用することが好ましい。
【0059】
一方、図7に示すような外壁(101)の肉厚の薄い押出材(100)においても、本発明の適用意義は大きい。薄肉の外壁(101)は、外側からの冷却によって外周面と内周面との温度差が大きくなると変形するおそれがある。このような場合、押出材(100)の内側から冷却して外周面と内周面との温度差を小さくすることによって変形を防止することができる。具体的には、外壁(101)の肉厚(t)が断面の外接円の直径(D)の0.5%以下、特に0.2%以下であるような薄肉の押出材(100)において、本発明の適用意義が大きい。
【0060】
また、本発明によって製造する中空押出材の材料は金属である限り何ら限定されず、アルミニウム、銅、鉄およびこれらの合金を例示できる。
【0061】
ところで、図2に参照されるように、冷媒(C)はマンドレル(22)の先端の吸引口(28)に到達した時点においてもなお冷却能力を有しており、冷媒用通路(26)を流通する間に雄型(20)との間で熱交換を行ってダイスを冷却する効果がある。
【0062】
冷媒用通路(26)を流通する冷媒(C)は熱交換により温度が上昇していくので、冷媒温度はベアリング部(25)に近い吸引口(28)において最も低く、接続部(27)において最も高くなる。冷媒(C)は、吸引口(28)に近いほどダイスとの温度差が大きくて熱交換効率が高く、接続部(27)に近づくほどダイスとの温度差が小さくなって熱交換効率が低下していく。このような冷媒(C)の熱交換効率の下降は雄型(20)の冷却に有利に作用する。
【0063】
即ち、マンドレル(22)のベアリング部(25)では焼付きや摩耗を抑制するために加工熱によって上昇したダイス温度を下げることが望まれるが、ダイス基盤(21)や脚部(24)ではダイス温度が下がりすぎると材料温度が下がって押出不良の原因となる。このため、ベアリング部(25)が冷却される一方で、ダイス基盤(21)や脚部(24)は過度に冷却されないことが好ましい。冷媒(C)をマンドレル(22)の吸引口(28)からダイス基盤(21)の接続部(27)へと流通させると、吸引口(28)に近いベアリング部(25)が良く冷却される一方で、マンドレル(22)の根元、ダイス基盤(21)および脚部(24)はベアリング部(25)ほどには冷却されない。
【0064】
また、冷媒(C)が押出材(1)の中空部(2)から中空部(2)よりも断面積の小さい吸引口(28)に流入することで流速が速くなるので、ベアリング部(25)の冷却が促進される。断面積が拡大された冷却促進部(29)から上流側部分(26a)に進むと断面積はさらに小さくなって冷媒(C)は加速されるが、表面積の減少と冷媒(C)温度の上昇によって熱交換効率が低下するため、マンドレル(22)の根元やダイス基盤(21)はベアリング部(25)ほどには冷却されず、ダイス基盤(21)が過度に冷却されることによる押出不良を回避できる。
【0065】
さらに、冷媒(C)とダイスとの温度差は接続部(27)の手前で最も小さくなるため、冷媒用通路(26)が設けられている脚部(24)と設けられていない脚部(24)との間の温度差も小さい。従来のダイスでは、導入口に近い脚部において冷媒温度が最も低くダイスとの温度差が最大となるので、冷媒用通路の有無による脚部の温度差が本発明よりも大きくなる。複数の脚部における温度差は、温度に影響されるダイス強度(高温変形抵抗値)の不均衡による偏肉や材料温度の不均衡の原因となる。従って、本発明で用いるダイスは複数の脚部(24)における温度差が小さいので、ダイス強度や材料温度の不均衡も小さくなる。
【0066】
以上の点で、本発明の冷却構造は、押出材(1)の冷却のみならず、押出ダイスの冷却においても有用である。
【0067】
さらに、上述したマンドレル(22)における冷却促進部(29)は、その断面積および表面積が上流側部分(26a)よりも拡大されていることで熱交換効率が高められている。かかる構造の冷媒用通路(26)に冷媒(C)を導入すると、ベアリング部(25)を効率良く冷却する一方でマンドレル(22)の根元およびダイス基盤(21)の冷却は抑制される。
【0068】
熱交換効率を高めた冷却促進部は他の構造によっても実現できる。以下に、他の冷却促進部の構造について説明する。なお、以下の図面において、図2と同一の符号は同一物を示すものとして説明を省略する。
【0069】
図8Aおよび図8Bに示す冷却促進部(30)は、冷媒用通路(26)の直径を上流側部分(26a)よりも拡大するとともに、壁面からマンドレル(22)の軸心に向かって多数のフィンを(31)を突設したものである。冷却促進部(30)に入った冷媒(C)は隣接するフィン(31)間にまで入り込んで熱交換し、多数のフィン(31)により表面積が飛躍的に拡大されたことで高い熱交換効率が達成される。なお、図示例では拡径した冷媒用通路(26)にフィン(31)を設けているが、拡径することなくフィンを設けることできる。拡径することなくフィンを設けた場合でも、表面積拡大による熱交換効率の向上分が断面積減少による熱交換効率の低下分を上回れば、上流側部分よりも熱交換効率を高めることができる。
【0070】
図9Aおよび図9Bの冷却促進部(32)(34)もまた、冷媒用通路(26)の表面積を拡大したものである。図9Aの冷却促進部(32)は、フィン(31)の替わりに断面三角形の凸部(33)を設けたものである。前記冷却促進部(30)よりも表面積の拡大率が小さいので熱交換効率の向上率も小さいが、薄板状のフィン(31)よりも加工が容易である。このように冷媒通路内に凹凸を設ければ表面積を拡大することができる。図9Bの冷却促進部(34)は冷媒用通路内に格子(35)を設けて表面積を拡大したものである。
【0071】
上述したフィン(31)、凸部(33)および格子(35)は、例えば形彫放電加工によって成形することができる。また、フィン(31)等はマンドレル(22)と一体に成形して良いし、別部材で製作して冷媒用通路(26)内に取り付けても良い。別部材として取り付ける場合は、フィン等のみを別部材として製作して取り付けても良いし、環体の内部に前記フィン等を一体に成形したものを別部材とし、これを冷媒用通路(26)内に嵌め込むこともできる。
【0072】
図10の冷却促進部(36)は、冷媒用通路(26)の直径をテーパー状に拡大することにより断面積および表面積を拡大したものである。
【0073】
以上は、冷媒用通路の断面形状の変更によって冷却促進部を形成したものであるが、ダイス素材よりも熱伝導率の良い素材を用いて冷却促進部を形成することもできる。
【0074】
図11に示す冷却促進部(38)は、図2と同様に冷媒用通路(26)の直径を拡大し、広げたスペースにダイス素材よりも熱伝導率の良い素材からなる筒状の冷却促進部材(39)を密着状態に嵌め込んだものである。通路の断面形状が同一であっても、冷却促進部材(39)を取り付けたことでダイス素材で構成された上流側部分(26a)よりも熱交換効率を高めることができる。
【0075】
熱交換効率に差を設けるのは、ベアリング部の温度を上流側部分よりも下げることが目的であるから、ベアリング部の内側と上流側部分とで熱交換効率に高低差を設ければ目的は達成される。図12Aおよび図12Bは、冷媒用通路(26)において、内壁面にベアリング部(25)の上流側にダイス素材よりも熱伝導率の低い材料からなる筒状の冷却抑制部材(40)を取付けて上流側部分(26a)の熱交換効率を低下させて冷却抑制部とし、これによりベアリング部(25)の内側における熱交換効率を上流側部分(26a)よりも相対的に高めた構造を示している。なお、前記冷却抑制部材(40)は、図12Aのように冷媒用通路(26)の壁面から突出するように取り付けても良いし、図12Bのように取付け部分の通路径を拡大して冷却抑制部材(40)と壁面が同一高さになるようにしても良い。
【0076】
押出用ダイスの素材としては、SKD61、SKT4、SKD4、SKD5、SKD7、SKD8、SKD11、SKD12等のダイス鋼が用いられる。これらのダイス鋼のなかで、20℃における熱伝導率は、SKD61が30.6W/(m・K)、SKT4が36W/(m・K)、SKD11が29W/(m・K)であり、他のダイス鋼の熱伝導率も同程度である。上述したように熱伝導率の異なる素材を用いて熱交換効率に高低差を付ける場合、ダイス鋼よりも熱伝導率の良い素材として銅やアルミニウムを例示でき、ダイス鋼よりも熱伝導率の悪い素材としてセラミック材料やステンレス材料を例示できる。これらの材料の20℃における熱伝導率は、銅が401W/(m・K)、アルミニウムが236W/(m・K)ジルコニア系のセラミックが2W/(m・K)、SUS304が16W/(m・K)である。
【0077】
また、前記冷却促進部の熱交換効率をさらに高くする手段として、冷媒用通路の吸入口の一部を塞ぐ方法がある。図13Aおよび図13Bは、図8Aおよび図8Bのフィン付の冷却促進部(30)の中心部に吸引口(28)側からピン(50)を打ち込んだものである。各フィン(31)の先端で形成される円柱形空間にピン(50)の脚部(51)が挿入されて該円柱形空間を塞ぎ、かつ径大の頭部(52)が吸引口(28)の一部を塞いでいる。吸引口(28)の一部を塞いで押出材(1)の中空部(2)と吸引口(28)の開口面積との差を拡大すると、冷媒(C)の流速が速くなって冷却促進部における熱交換効率を高めることができる。しかも、冷却促進部(30)の断面積や表面積の拡大による熱交換効率向上効果も損なわれないので、両方の熱交換効率向上効果を享受できる。また、吸引口(28)の中心部を塞いで周縁から冷媒(C)を導入すると、冷媒(C)が各フィン(31)の付け根まで均等に行き渡るので効率良く熱交換がなされる。このように、冷却促進部(30)の吸引口(28)の一部を塞ぐことによって冷媒(C)の流れを強制的に変更し、冷媒(C)が円柱形空間を通り抜けること(図8A参照)を妨げることによってフィン(31)による熱交換を活用できる。
【0078】
上述した熱交換効率に差を設けるための種々の構造は複数種を組み合わせることもできる。例えば、ダイス素材よりも熱伝導率の良い素材で別途フィン等を製作し、または環の内部にフィン等を突設した部材を製作し、これらを拡径した冷媒用通路に取付けた場合は、フィンによる表面積拡大効果と素材の熱伝導率差による効果の両方を得て熱交換効率を高めることができる。また、ベアリング部の内側に冷却促進部を設けるとともに、上流側部分に冷却抑制部を設けて、熱交換効率の高低差を拡大することもできる。ベアリング部の内側と上流側部分との熱交換効率の差は、所期するベアリング部の冷却温度および上流側部分との温度差に応じて適宜設定する。
【0079】
さらに、ダイスの冷媒用通路の断面形状が、ベアリング部の内側とその上流側部分とで同一である場合も本発明に含まれる。冷媒用通路を流通する冷媒は、上流側に進むに従って冷媒温度が上昇し冷媒とダイスとの温度差が小さくなるので、自ずとベアリング部の内側よりも上流側部分が冷却されにくくなるためである。
【0080】
図2および図4に参照されるように、冷媒用通路(26)はダイス基盤(21)の側面とマンドレル(22)の下流側端面とに開口部を有し、L字形に曲がって両方の開口部に通じている。このような通路はL字形に切削する必要はなく、ダイス基盤(21)の側面の開口部(接続部)(27)から脚部(24)を通ってマンドレル(2)の中心に向かう第1通路と、マンドレル(22)の中心を押出方向に貫通して吸入口(28)に通じる第2通路とを穿設し、第2通路の上流側開口部を閉塞すればL字形通路となる。閉塞方法は、ボルト止め、棒状閉塞部材の溶接や焼嵌め等により適宜行えば良い。また、接続部(27)に通じる第2通路は必ずしも脚部(24)を貫いて設けることに限定されず、ダイス基盤(21)の上流側端面とダイスの上流側に配置するプレート(図示省略)との合わせ面に臨む位置に形成することもでき、ダイス基盤の側面に開口させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の冷却構造を中空押出材の製造に適用して押出材を効率良くかつ均一に冷却することにより、品質の良い中空押出材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の押出材の製造方法によって製造する押出材の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の押出材の製造方法を実施して図1の押出材を製造する押出装置、および製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の押出材の製造方法によって製造する押出材の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明の押出材の製造方法を実施して図3の押出材を製造する押出装置、および製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の押出材の製造方法に適した押出材の断面図である。
【図6】本発明の押出材の製造方法に適した他の押出材の断面図である。
【図7】本発明の押出材の製造方法に適したさらに他の押出材の断面図である。
【図8A】押出装置における押出ダイスの他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図8B】図8Aの押出ダイスを下流側から見た側面図である。
【図9A】図8Aの押出ダイスの変形例を示す側面図である。
【図9B】図8Aの押出ダイスの他の変形例を示す側面図である。
【図10】押出ダイスのさらに他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図11】押出ダイスのさらに他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図12A】押出ダイスのさらに他の実施形態の要部を示す断面図である。
【図12B】図12Aの押出ダイスの変形例を示す断面図である。
【図13A】押出ダイスのさらに他の実施形態を示す断面図である。
【図13B】図13Aの押出ダイスを下流側から見た側面図である。
【図14A】押出材にスリット状の穴を明ける方法を示す斜視図である。
【図14B】押出材にスリット状の穴を明ける方法を示す断面図である。
【図15A】押出材にスポット状の穴を明ける方法を示す斜視図である。
【図15B】押出材にスポット状の穴を明ける方法を示す断面図である。
【符号の説明】
【0083】
1、70、80、90、100…押出材
2、73、82、83、91、92、93、94…中空部
10、75…ポートホールダイス
20、76…雄型(押出ダイス)
21…ダイス基盤
22,77…マンドレル
25…ベアリング部
26…冷媒用通路
26a…上流側部分
27…接続部
28…吸引口
29,30,32,34,36,38…冷却促進部
39…冷却促進部材
40…冷却抑制部材(冷却抑制部)
60…吸引装置(吸引手段)
71、81、95、101…外壁
72、97、98、99…内壁
85…隔壁(内壁)
84…円形内壁(内壁)
C…冷媒
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスを用い、金属を押し出しながら、押し出された押出材の中空部内の冷媒を前記マンドレルの吸引口から吸引することにより、外部の冷媒をその押出材の開口部から中空部内に引き込んで該中空部内に流通させることを特徴とする中空押出材の製造方法。
【請求項2】
前記押出材を押し出しながら、該押出材に新たな冷媒引き込み用の開口部を形成する請求項1に記載の中空押出材の製造方法。
【請求項3】
前記押出材の複数の中空部において、これらの中空部を成形するマンドレルに冷媒用通路を設けるとともに、それぞれの中空部における冷媒吸引量を独立して制御する請求項1または2に記載の中空押出材の製造方法。
【請求項4】
前記押出材の外壁の肉厚が該押出材の断面における外接円の直径の0.5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項5】
前記押出材は外壁に臨まない中空部を有し、その中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる請求項1〜4のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項6】
前記押出材は外壁よりも肉厚の厚い内壁を有し、その内壁に臨む中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる請求項1〜5のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項7】
前記前記押出材の単重が2kg/m以上である請求項1〜6のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項8】
前記押出材は断面における外接円の直径が100mm以上である請求項1〜7のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項9】
前記押出材は非対称断面形状を有する請求項1〜8のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項10】
前記押出材を外側から冷却する請求項1〜9のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項11】
押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスと、
前記吸引口から冷媒用通路を介して冷媒を吸引する吸引手段と
を備えることを特徴とする押出装置。
【請求項12】
前記押出ダイスの下流側に配置される冷媒供給手段を備える請求項11に記載の押出装置。
【請求項13】
押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備え、前記冷媒用通路の他端に吸引手段との接続部が形成されていることを特徴とする押出ダイス。
【請求項1】
押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスを用い、金属を押し出しながら、押し出された押出材の中空部内の冷媒を前記マンドレルの吸引口から吸引することにより、外部の冷媒をその押出材の開口部から中空部内に引き込んで該中空部内に流通させることを特徴とする中空押出材の製造方法。
【請求項2】
前記押出材を押し出しながら、該押出材に新たな冷媒引き込み用の開口部を形成する請求項1に記載の中空押出材の製造方法。
【請求項3】
前記押出材の複数の中空部において、これらの中空部を成形するマンドレルに冷媒用通路を設けるとともに、それぞれの中空部における冷媒吸引量を独立して制御する請求項1または2に記載の中空押出材の製造方法。
【請求項4】
前記押出材の外壁の肉厚が該押出材の断面における外接円の直径の0.5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項5】
前記押出材は外壁に臨まない中空部を有し、その中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる請求項1〜4のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項6】
前記押出材は外壁よりも肉厚の厚い内壁を有し、その内壁に臨む中空部を成形するマンドレルに前記冷媒用通路を設けて該中空部内に冷媒を流通させる請求項1〜5のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項7】
前記前記押出材の単重が2kg/m以上である請求項1〜6のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項8】
前記押出材は断面における外接円の直径が100mm以上である請求項1〜7のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項9】
前記押出材は非対称断面形状を有する請求項1〜8のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項10】
前記押出材を外側から冷却する請求項1〜9のいずれかに記載の中空押出材の製造方法。
【請求項11】
押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備える押出ダイスと、
前記吸引口から冷媒用通路を介して冷媒を吸引する吸引手段と
を備えることを特徴とする押出装置。
【請求項12】
前記押出ダイスの下流側に配置される冷媒供給手段を備える請求項11に記載の押出装置。
【請求項13】
押出材の中空部を成形するマンドレルの下流側端面に、吸引口が開口する冷媒用通路を備え、前記冷媒用通路の他端に吸引手段との接続部が形成されていることを特徴とする押出ダイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【公開番号】特開2010−82639(P2010−82639A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252491(P2008−252491)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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