説明

中継サーバ及び中継通信システム

【課題】複数のサーバによって構築された中継通信システムのサーバにおいて、サーバ間の同時接続の可否を一元的に管理できるサーバを提供する。
【解決手段】コールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベースと、同時接続情報データベースと、通信管理情報データベースと、制御部と、を備える。コールセンターサーバR1の制御部は、客先サーバR3に接続したい旨の派遣先サーバR2,R4からの要求を受信すると、同時接続条件が満たされるか否かを接続状況情報に基づいて判定する。そして、制御部は、同時接続条件が満たされている場合は、派遣先サーバからの接続を許可すべき旨を客先サーバR3に通知する。一方で、同時接続条件が満たされていない場合は、その接続を拒否する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、異なるLAN(Local Area Network)に接続されている端末間の通信を可能とする中継サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network、VPN)と呼ばれる通信システムが知られている。このVPNは、例えば、複数のLANに接続されたクライアント端末同士でインターネットを介して通信を行い、あるクライアント端末を遠隔保守する用途に用いられている。前記VPNを利用すれば、保守対象のクライアント端末は、遠隔地にある他のLANに繋がった機器上からリモートメンテナンス等を受けることができる。
【0003】
特許文献1は、この種のネットワークを介した管理システムを開示する。この管理システムは、ビルオーナ、設備保守会社、及び電気設備メーカーに跨る形で構築されている。ビルオーナは、自己が保有するビルに、電気設備及びこれを制御するための運転制御管理装置を設置している。この運転制御管理装置は、インターネット等のネットワークを介してアクセス可能に構成されている。設備保守会社は、ビルオーナから電気設備の管理を委託され、運転制御管理装置にアクセスする許可を電気設備メーカーから得ている。従って、設備保守会社は、インターネット等のネットワークを介して遠隔地から電気設備を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多数のサーバでシステムが構成される場合、1台のサーバに対して、複数のサーバから同時に遠隔保守が行われる場合があり得る。このような複数のサーバからの同時接続は、保守の対象となるサーバの負荷を増大させ、通信効率の低下を招く原因となる。
【0006】
これを防止するには、サーバに最大同時接続数を設定し、同時に接続するサーバの数を制限することが有効であると考えられる。そして、適切な最大同時接続数はサーバの性能、通信環境等に応じて異なるため、それぞれのサーバの能力を十分に発揮させるには、最大同時接続数の設定はサーバごとに個別に行う必要がある。しかしながら、大規模なネットワークの場合、ネットワーク管理者にとって最大同時接続数の設定は非常に手間の掛かる作業となっていた。
【0007】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のサーバによって構築された中継通信システムのサーバにおいて、サーバ間の同時接続の可否を一元的に管理できるサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下のように構成される中継サーバが提供される。即ち、中継サーバは、アクセス許可情報登録部と、同時接続情報登録部と、接続状況情報登録部と、制御部と、を備える。前記アクセス許可情報登録部は、アクセス対象中継サーバにアクセス可能な1以上のアクセス側中継サーバを前記アクセス対象中継サーバに対応付けて記憶可能に構成される。前記同時接続情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバへの同時接続を許可するか否かを決定する同時接続条件を記憶可能に構成される。前記接続状況情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバにアクセス側中継サーバが接続しているか否かを示す接続状況情報を記憶可能に構成される。前記制御部は、前記アクセス対象中継サーバに接続したい旨の前記アクセス側中継サーバからの要求を受信すると、前記同時接続条件が満たされるか否かを前記接続状況情報に基づいて判定する。そして、前記制御部は、前記同時接続条件が満たされている場合は、前記アクセス側中継サーバからの接続を許可すべき旨を前記アクセス対象中継サーバに通知する。これによって前記アクセス側中継サーバと前記アクセス対象中継サーバとの間のデータ通信を可能にする。
【0010】
これにより、同時接続条件を満たさない場合は、アクセス許可情報登録部を備える中継サーバ側の判定により、アクセス対象中継サーバへの接続が許可されないことになる。従って、中継サーバ側で同時接続の可否を決める条件を集中的に管理及び設定できるので、アクセス対象中継サーバ側では同時接続を許可しないための特別な設定及び処理を行う必要がなくなる。この結果、中継通信システム全体の構成の簡素化にも寄与することができる。
【0011】
前記の中継サーバにおいては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記アクセス許可情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバを複数記憶可能に構成される。前記同時接続情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバごとに前記同時接続条件を記憶可能に構成される。前記制御部は、前記アクセス対象中継サーバごとに設定された前記同時接続条件に基づいて、当該アクセス対象中継サーバへの同時接続の可否を判定する。
【0012】
これにより、アクセス対象中継サーバが稼動している状況に応じて、同時接続の条件を個別的に設定することができる。従って、アクセス対象中継サーバが設置されるそれぞれのシステム環境に適したアクセス対象中継サーバの運用を実現できる。
【0013】
前記の中継サーバにおいては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記アクセス許可情報登録部は、前記アクセス側中継サーバごとに前記同時接続条件を記憶可能に構成される。前記制御部は、前記アクセス側中継サーバごとに設定された前記同時接続条件に基づいて、当該アクセス側中継サーバからの同時接続の可否を判定する。
【0014】
これにより、同時接続条件をアクセス側中継サーバごとに設定できるので、例えばアクセス側中継サーバとアクセス対象中継サーバとの関係、及びアクセス側中継サーバの稼動している状況等を詳細に考慮して、効果的な同時接続制御を行うことができる。
【0015】
前記の中継サーバにおいては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記接続状況情報登録部は、前記同時接続条件を満たさないと判定されてアクセスが許可されなかった前記アクセス側中継サーバと、前記アクセス側中継サーバがアクセスしようとしたアクセス対象中継サーバと、を示す情報である接続拒否情報を記憶可能に構成される。前記制御部は、前記接続拒否情報に示される前記アクセス対象中継サーバへのアクセスが許可される状態になった場合は、前記接続拒否情報に示される前記アクセス側中継サーバに対し、当該アクセス対象中継サーバへのアクセスが可能になったことを通知する。
【0016】
これにより、中継サーバからアクセスが可能になったことが通知されるので、アクセス側中継サーバが自らアクセス対象中継サーバの接続状況を調べる必要がなく、ユーザフレンドリーな中継通信システムを実現できる。
【0017】
本発明の第2の観点によれば、以下のように構成される中継通信システムが提供される。即ち、中継通信システムは、アクセス対象中継サーバと、前記アクセス対象中継サーバにアクセス可能な1以上のアクセス側中継サーバと、前記アクセス対象中継サーバ及び前記アクセス側中継サーバのそれぞれと相互に通信可能な中継サーバと、を備える。また、前記中継サーバは、アクセス許可情報登録部と、同時接続情報登録部と、接続状況情報登録部と、制御部と、を備える。前記アクセス許可情報登録部は、1以上の前記アクセス側中継サーバを前記アクセス対象中継サーバに対応付けて記憶可能に構成される。前記同時接続情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバへの同時接続を許可するか否かを決定する同時接続条件を記憶可能に構成される。前記接続状況情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバにアクセス側中継サーバが接続しているか否かを示す接続状況情報を記憶可能に構成される。前記制御部は、前記アクセス対象中継サーバに接続したい旨の前記アクセス側中継サーバからの要求を受信すると、前記同時接続条件が満たされるか否かを前記接続状況情報に基づいて判定する。前記制御部は、前記同時接続条件が満たされている場合は、前記アクセス側中継サーバからの接続を許可すべき旨を前記アクセス対象中継サーバに通知する。前記アクセス対象中継サーバは、前記アクセス側中継サーバからの接続を許可すべき旨が前記中継サーバから通知されると、前記アクセス側中継サーバからのアクセスを許可し、当該アクセス側中継サーバとデータ通信を行う。
【0018】
これにより、同時接続条件を満たさない場合は、アクセス許可情報登録部を備える中継サーバ側の判定により、アクセス対象中継サーバへの接続が許可されないことになる。従って、中継サーバ側で同時接続の可否を決める条件を集中的に管理及び設定できるので、アクセス対象中継サーバ側では同時接続を許可しないための特別な設定及び処理を行う必要がなくなる。これによって、中継通信システム全体の構成を簡素化することができる。
【0019】
前記の中継通信システムにおいては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記接続状況情報登録部は、前記同時接続条件を満たさないと判定されてアクセスが許可されなかった前記アクセス側中継サーバと、前記アクセス側中継サーバがアクセスしようとしたアクセス対象中継サーバと、を示す情報である接続拒否情報を記憶可能に構成される。前記制御部は、前記接続拒否情報に示される前記アクセス対象中継サーバへのアクセスが許可される状態になった場合は、前記接続拒否情報に示される前記アクセス側中継サーバに対し、当該アクセス対象中継サーバへのアクセスが可能になったことを通知する。
【0020】
これにより、中継サーバからアクセスが可能になったことが通知されるので、アクセス側中継サーバが自らアクセス対象中継サーバの接続状況を調べる必要がなく、ユーザフレンドリーな中継通信システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図。
【図2】外部サーバの機能ブロック図。
【図3】コールセンターサーバの機能ブロック図。
【図4】クライアント端末情報の内容を示す図。
【図5】中継サーバ情報の内容を示す図。
【図6】中継グループ情報の内容を示す図。
【図7】アクセス許可情報データベースの内容を示した表。
【図8】通信管理情報データベースの内容を示した表。
【図9】ルーティング処理を説明する説明図。
【図10】LAN検索結果情報の内容を示す図。
【図11】経路探索結果情報の内容を示す図。
【図12】ルーティンググループ情報の内容を示す図。
【図13】第1派遣先サーバが遠隔保守を行う場合の通信処理を示すシーケンス図。
【図14】第2派遣先サーバによる客先サーバへの同時接続が拒否される場合の通信処理を示すシーケンス図。
【図15】同時接続が拒否された第2派遣先サーバの客先サーバへの再接続が許可される場合の通信処理を示すシーケンス図。
【図16】変形例のアクセス許可情報データベースの内容を示した表。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図である。
【0023】
本実施形態の中継通信システムは、装置又は機械の遠隔保守を目的として構築された遠隔保守システムであり、コールセンターと、前記装置又は機械の設置先(客先工場)と、サービスマン派遣先と、の3拠点を、インターネットを介して接続するものである。
【0024】
なお、コールセンターとは、客先工場に導入した装置又は機械の保守を行うためのサービス拠点であり、例えば前記装置又は機械の製造元メーカーに設置される。サービスマン派遣先(図1で示すところの第1サービスマン派遣先及び第2サービスマン派遣先)はサービスマンが派遣される場所であり、遠隔保守サービスを提供するための拠点としてコールセンターとは別に設置される。本実施形態の中継通信システムは、客先工場の装置又は機械を、サービスマン派遣先に待機しているサービスマンがインターネットを介して遠隔保守する、といった状況を想定して構築されている。
【0025】
図1に示すように、中継通信システムは、WANに接続された複数のLAN91〜94で構成されている。WAN(Wide Area Network)は、異なるLANを相互に接続するネットワークである。本実施形態ではWANとしてインターネットが使用されている。LAN(Local Area Network)は、限定された場所で構築されるネットワークである。LANは複数存在し、互いに物理的に離れた場所に構築されている。
【0026】
LAN(コールセンターLAN)91はコールセンターに構築され、LAN(第1派遣先LAN)92は第1サービスマン派遣先に構築され、LAN(客先LAN)93は客先工場に構築され、LAN(第2派遣先LAN)94は第2サービスマン派遣先に構築されている。これら4つのLAN91,92,93,94は、グローバルなネットワークであるインターネットにそれぞれ接続されている。
【0027】
また、LAN91〜94には、それぞれ中継サーバ1が設置されている。以下の説明において、各LANに配置される中継サーバ1を区別するために、LAN91に配置された中継サーバ1のことをコールセンターサーバ(relay server 1、中継サーバ)R1と呼ぶことがある。また、LAN92に配置された中継サーバ1のことを第1派遣先サーバ(relay server 2、アクセス側中継サーバ)R2と呼ぶことがある。また、LAN93に配置された中継サーバ1のことを客先サーバ(relay server 3、アクセス対象中継サーバ)R3と呼ぶことがある。また、LAN94に配置された中継サーバ1のことを第2派遣先サーバ(relay server 4、アクセス側中継サーバ)R4と呼ぶことがある。
【0028】
コールセンターサーバR1には、中継通信を行うための各種の設定等を行うクライアント端末5がLAN91を介して接続されている。第1派遣先サーバR2及び第2派遣先サーバR4には、サービスマンが遠隔保守を行う際に直接操作するクライアント端末5がLAN92又はLAN94を介して接続されている。
【0029】
客先工場には、サービスマンが遠隔保守を行う対象であるクライアント端末5が配置されている。この客先工場のクライアント端末5そのものが製造元メーカーが製造した装置又は機械であることもあれば、客先工場のクライアント端末5は装置又は機械を制御するための制御端末に過ぎない場合もある。何れの場合であっても、サービスマンは、この客先工場のクライアント端末5にアクセスすることにより、遠隔保守サービスを提供する。客先工場に配置されるクライアント端末5は、LAN93を介して客先サーバR3に接続されている。
【0030】
それぞれのLAN91〜94に接続されるクライアント端末5はユーザが直接操作できる端末であり、例えばユーザによって日々の業務に使用されるパーソナルコンピュータ(PC)等が該当する。従って、LAN内には通常多数のクライアント端末5が存在する。各クライアント端末5には、同一のLANの中で一意に管理されたプライベートIPアドレスが付与されている。
【0031】
なお、図1に図示されているコールセンターサーバR1、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4以外にも、物理的に離れた場所にLANが構築されており、当該LANに中継サーバ1が配置されている。これらの中継サーバ1は、外部サーバ2にインターネットを介して複数接続されている。
【0032】
より具体的には、図1には2つのサービスマン派遣先(第1サービスマン派遣先及び第2サービスマン派遣先)が示されているが、これ以外にも図示しない派遣先が幾つか存在する。そして、図示されない派遣先においてもそれぞれLANが構築されるとともに、当該LANにも、派遣先サーバとしての中継サーバ1が(図1のLAN92及びLAN94の場合と同様に)接続される。また、図1で示す客先工場にはLAN93が設置されているが、これ以外にも図示しない客先工場(保守対象の機械又は装置が設置されている客先)が存在する。そして、図示されない客先工場にもそれぞれLANが設置されるとともに、当該LANにも、客先サーバとしての中継サーバ1が(図1のLAN93の場合と同様に)接続されている。
【0033】
そして、本実施形態においては、客先サーバ(中継サーバ1)ごとに複数の派遣先サーバとしての中継サーバ1が設定されている。なお、以下の説明において、「派遣先サーバとしての中継サーバ1」を単に「派遣先サーバ」と称し、「客先サーバとしての中継サーバ1」を単に「客先サーバ」と称することがある。
【0034】
次に、外部サーバ2の構成について説明する。この外部サーバ2は、各LANに配置された中継サーバ1間での通信に用いられる装置であり、インターネット上に設置されている。本実施形態の外部サーバ2は、SIP(Session Initiaion Protocol)サーバとしての機能を備えている。具体的には、外部サーバ2は、SIPメソッド及びレスポンス等を中継するSIPプロキシサーバとしての機能と、中継サーバ1のアカウントを登録するSIPレジストラサーバとしての機能を備える。
【0035】
外部サーバ2は、図2に示すように、WANインタフェース201と、制御部202と、中継サーバアカウント情報データベース203と、を主要な構成として備えている。
【0036】
WANインタフェース201は、グローバルIPアドレスを使用して、インターネットに接続された中継サーバ1等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0037】
中継サーバアカウント情報データベース203は、中継通信システムを構成する中継サーバ1のアカウントをグローバルIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。本実施形態の中継サーバアカウント情報データベース203には、コールセンターサーバR1、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4のアカウントとグローバルIPアドレスとが、対応付けて中継サーバ1ごとにそれぞれ登録されている。
【0038】
制御部202は、WANインタフェース201を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP又はSIP等のプロトコルに従った通信処理を制御する。この制御部202は、例えば、それぞれの中継サーバ1から当該中継サーバ1のアカウントに関する情報を受信し、中継サーバアカウント情報データベース203に登録する処理を行う。また、中継サーバ1から送信された様々なSIPメソッド又はレスポンス等の通信データを他の中継サーバ1に中継する処理等を行う。
【0039】
次に、LAN91〜94に配置される中継サーバ1の構成について説明する。LAN91〜94に配置される各中継サーバ1は、各LANに配置されているクライアント端末5に通信可能に接続されるとともに、インターネットにも接続されている。そして、各中継サーバ1(即ち、コールセンターサーバR1、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4)には、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの両方が付与されている。これにより、各中継サーバ1は、前記外部サーバ2を介して相互に中継通信を行うことが可能になっている。中継サーバ1はSIPレジストラサーバとしての機能を備えており、各中継サーバ1と各クライアント端末5との間の通信はSIPを使用して行われる。なお、各中継サーバ1と各クライアント端末5との間の通信はSIPを用いたものに限定される訳ではなく、TCP/IP、UDP等の適宜のプロトコルに従った通信を行うことも可能である。
【0040】
図3を参照して、LAN91に配置されるコールセンターサーバR1を例にして中継サーバ1について説明する。図3はコールセンターサーバR1の機能ブロック図である。
【0041】
コールセンターサーバR1は、図3に示すように、LANインタフェース501と、WANインタフェース502と、制御部503と、クライアント端末情報データベース511と、中継サーバ情報データベース512と、中継グループ情報データベース521と、ルーティンググループ情報データベース522と、アクセス許可情報データベース513と、同時接続情報データベース514と、通信管理情報データベース515と、を主要な構成要素として備えている。
【0042】
LANインタフェース501は、自装置と同一のLANに接続されたクライアント端末5との通信を、プライベートIPアドレスを使用して行うインタフェースである。
【0043】
WANインタフェース502は、グローバルIPアドレスを使用して、インターネットに接続された外部サーバ2等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0044】
制御部503は、LANインタフェース501及びWANインタフェース502を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP及びSIP等のプロトコルに従った様々な通信処理を制御する。
【0045】
クライアント端末情報データベース511は、LAN91を介してコールセンターサーバR1とローカルに接続しているクライアント端末5のアカウント情報をプライベートIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。
【0046】
クライアント端末情報データベース511に格納されるクライアント端末情報の記憶内容例を図4に示す。図4に示すように、クライアント端末情報においては、LAN91に接続しているクライアント端末5ごとに、当該クライアント端末5に関する属性情報を含むnodeタグが記述される。クライアント端末5に関する属性情報としては、クライアント端末5のプライベートIPアドレス(「addr」)、識別情報(「id」)、名称(「name」)及びポート情報(「port」)等がある。なお、図4に示す記憶内容例において、client11及びclient12以外のクライアント端末5の記述を省略したが、実際には、LAN91を介して中継サーバ1に接続している他のクライアント端末5(例えば、client13)に関する属性情報についても記述されている。
【0047】
中継サーバ情報データベース512は、中継通信を行う中継サーバ1とそれぞれの中継サーバ1に接続されるクライアント端末5の情報を管理するデータベースである。
【0048】
中継サーバ情報データベース512に格納される中継サーバ情報の記憶内容例を図5に示す。図5に示す中継サーバ情報は、中継通信を行う中継サーバ1(コールセンターサーバR1、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4等)のそれぞれで作成されたものを合成したものである。この中継サーバ情報は、コールセンターサーバR1が、中継通信を行う他の中継サーバ1から受信したそれぞれの中継サーバ情報に、コールセンターサーバR1自身で作成した中継サーバ情報を合成して作成したものである。
【0049】
図5に示す中継サーバ情報においては、中継サーバ1ごとに記述されるsiteタグと、前記siteタグを親要素とする子要素のnodeタグと、が記述されている。siteタグには中継サーバ1に関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、中継サーバ1の識別情報(「id」)、中継サーバ1の名称(「name」)及び起動情報(「stat」)等がある。siteタグの子要素であるnodeタグには、中継サーバ1にログオンするクライアント端末5に関する属性情報が含まれている。クライアント端末5に関する属性情報としては、当該クライアント端末5の識別情報(「id」)及びクライアント端末5の名称(「name」)等がある。なお、図5の記憶内容例において、relayserver1及びrelayserver2以外の中継サーバ1の記述を省略したが、実際には、外部サーバ2を介して接続される他の中継サーバ1(例えば、relayserver3)に関する属性情報についても記述されている。また、図5においては、図4と同様に、クライアント端末5に関する記述を一部省略している。
【0050】
中継グループ情報データベース521は、中継通信を行う中継グループ情報を管理するデータベースである。
【0051】
中継グループ情報データベース521に格納される中継グループ情報の記憶内容例を図6に示す。図6に示すように、中継グループ情報においては、groupタグと、このグループタグを親要素とする子要素のsiteタグと、が記述されている。groupタグには中継グループに関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、中継グループの識別情報(「id」)及び中継グループの名称(「name」)等がある。siteタグには、中継グループに含まれる中継サーバ1に関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、当該中継サーバ1の識別情報(「id」)等がある。また、中継グループは追加作成が可能であり、その場合、新しい中継グループには、他の中継グループと異なる一意の識別情報が付与される。これにより、中継グループ内だけでデータのやり取りを行う等の設定が可能になっている。
【0052】
ルーティンググループ情報データベース522は、中継通信システムを利用したルーティング処理を行うために用いられるルーティンググループ情報を管理するデータベースである。なお、ルーティンググループ情報及びこのルーティンググループ情報を用いたルーティング処理の詳細については後述する。
【0053】
なお、図4で示したクライアント端末情報の記憶内容例、図5で示した中継サーバ情報の記憶内容例及び図6で示した中継グループ情報の記憶内容例はあくまで一例であり、適宜の属性情報及び要素情報を追加又は削除できることは勿論である。
【0054】
アクセス許可情報データベース(アクセス許可情報登録部)513は、コールセンターサーバR1以外で通信が許可されている中継サーバの識別情報等を客先サーバごとに管理するデータベースである。ここでいう客先サーバは、図1に図示される客先サーバR3を含めた中継サーバ1を意味している。このアクセス許可情報データベース513は、例えば、どのサービスマン派遣先がどの客先工場の遠隔保守を担当するかが予め決まっている場合、担当のサービスマン派遣先のみが遠隔保守を実施できるように、客先サーバへのアクセス制限を行うためのものである。
【0055】
このアクセス許可情報データベース513について、図7を参照して具体的に説明する。図7は、アクセス許可情報データベース513の内容を示した表である。
【0056】
また、前述のように、本実施形態のコールセンターサーバR1は、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4に対してだけでなく、多数の中継サーバ1と接続されている。図7においては、これの中継サーバ1のうち、客先サーバを、relayserver3,31,32,33,34と表し、派遣先サーバを、relayserver2,4,5,6と表している。
【0057】
図7の表において、targetの列には客先サーバが記述されている。permitの列には派遣先サーバが記述されている。そして、この表では、ある客先サーバに対して通信が許可されている派遣先サーバが、当該客先サーバに対応付けられた形で記述されている。例えば、relayserver3は、relayserver2,4,6からの通信を許可している。
【0058】
前記制御部503は、例えば、第1派遣先サーバR2から接続要求があった場合は、アクセス許可情報データベース513に登録されている情報に基づいてアクセス許可リストを作成し、当該第1派遣先サーバR2に送信する。このアクセス許可リストは、第1派遣先サーバR2からの通信が許可されている中継サーバ1を示すリストである。
【0059】
なお、制御部503は、アクセス許可リストを作成せずに、アクセス許可情報データベース513に登録されている情報を第1派遣先サーバR2に送信しても良い。第1派遣先サーバR2は、この情報に対して適宜の処理を行うことで、自らが通信可能な客先サーバを把握することができる。
【0060】
同時接続情報データベース(同時接続情報登録部)514は、制御部503が同時接続の可否を決めるために用いる同時接続条件を客先サーバごとに対応付けて管理するデータベースである。
【0061】
本実施形態においては、同時接続条件は、客先サーバと、その客先サーバにアクセスを許可されている派遣先サーバと、の関係ごとに設定することが可能に構成されている。例えば、relayserver3に対して接続が許可されているのはrelayserver2,4,6であるが、同時接続条件は、relayserver3とrelayserver2の関係、relayserver3とrelayserver4の関係、relayserver3とrelayserver6の関係について、それぞれ別々に設定することができる。
【0062】
本実施形態においては、同時接続条件として最大同時接続数が用いられる。この最大同時接続数は、客先サーバと派遣先サーバとの関係ごとに定められている。例えば、relayserver3とrelayserver2との関係では、最大同時接続数が2に設定され、relayserver3とrelayserver4との関係では、最大同時接続数が1に設定されることが考えられる。
【0063】
上記のように設定した場合、relayserver4はrelayserver3との間の最大同時接続数が1に設定されているので、例えばrelayserver3がrelayserver2と接続中である場合は、(接続数の空きがないため、)relayserver4のrelayserver3への接続が許可されないことになる。一方、relayserver3はrelayserver2との間の最大同時接続数が2に設定されているので、例えばrelayserver3とrelayserver4とが接続している場合でも、relayserver2はrelayserver3に接続することができる。このように、派遣先サーバによって同時接続の条件を変更することができるので、客先の要望等をきめ細かく反映したアクセス管理が可能になっている。なお、同時接続条件は、すべての派遣先サーバについて同一の条件を一律に設定することもできる。
【0064】
通信管理情報データベース(接続状況情報登録部)515は、客先サーバと派遣先サーバの接続時間及び接続状況等を管理するデータベースである。
【0065】
通信管理情報データベース515について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、通信管理情報データベース515の内容を示した表である。図8の表において、それぞれの行が、中継サーバ1間に確立されたメディアセッションを示している。activeの列にはアクセスを要求した側の中継サーバ1が、passiveの列にはアクセスを要求された側の中継サーバ1が、それぞれ記載されている。また、start−timeの列にはメディアセッションの開始時刻が、end−timeの列にはメディアセッションの終了時刻が記載されている。なお、メディアセッションが継続中の場合、end−timeの列には「connecting」と記録されている。また、refuseの列には、同時接続条件を満たさなかったためにアクセスが拒否された中継サーバ1がある場合、その中継サーバ1が記載される。
【0066】
第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4は、LANインタフェースと、WANインタフェースと、制御部と、を備えている。第1派遣先サーバR2、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4の構成は、図3に示すコールセンターサーバR1の構成からアクセス許可情報データベース513及び通信管理情報データベース515を省略した構成にほぼ相当しているので、各部の構成の説明は省略する。
【0067】
次に、本実施形態の中継通信システムにおけるパケットのルーティング制御について説明する。本実施形態においては、遠隔地のLANに属するクライアント端末5同士で、WANを意識することなく相互に通信可能とするために、アプリケーション層でパケットのルーティング処理を行うことが可能に構成されている。以下、図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、各クライアント端末5を区別するため、符号の末尾にアルファベットを付して、クライアント端末5a、クライアント端末5b・・・のように表示する場合がある。
【0068】
以下の説明では、第1サービスマン派遣先のサービスマンが客先工場のクライアント端末5を遠隔保守する場合を想定し、派遣先LAN92と客先LAN93との間でパケットのルーティングを行う場合について説明する。なお、以下のルーティングに関する説明において、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間には、既にメディアセッションが確立されているものとする。第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間でメディアセッションを確立するための処理については、後述する。
【0069】
本実施形態の中継通信システムにおいて、WANを介して互いに接続されたLAN91〜94には、それぞれプライベートIPアドレスが割り振られている。なお、各プライベートアドレスは、中継通信システムの中で一意に決まるように管理されている。例として図9に示すように、派遣先LAN92のアドレスは「172.16.1.0/24」、客先LAN93のアドレスは「172.30.2.0/24」である場合を想定して説明する。
【0070】
本実施形態の中継通信システムにおいて、前記アプリケーション層でのパケットのルーティングを実現するため、ルーティングの対象となるLANには、ルーティング装置として機能できる中継サーバ1又はクライアント端末5が少なくとも1つ用意されている。例えば本実施形態の場合、派遣先LAN92内では第1派遣先サーバR2が、客先LAN93内ではクライアント端末5dが、それぞれルーティング装置として機能できるものとする。
【0071】
本実施形態の中継通信システムにおいて、パケットのルーティングを行う際には、まず、ルーティング可能なLANの検索を行う。具体的には、何れかのクライアント端末5から中継サーバ1に対して、ルーティング可能LAN検索コマンド(以下、単にLAN検索コマンド)を送信する。以下では、具体的に、クライアント端末5bが、第1派遣先サーバR2に対してルーティング可能LAN検索コマンドを送信したとして説明する。
【0072】
ここで、「ルーティング可能なLAN」とは、ルーティング装置としての中継サーバ1又はクライアント端末5を備えているLANのことである。なお、図9においては、派遣先LAN92及び客先LAN93は1つずつとして説明しているが、実際には、各中継サーバ1には複数のLANが接続され得るし、それぞれのLANが必ずしもルーティング可能とは限らない。そこで、このようにルーティング可能なLANの検索が必要となる。
【0073】
LAN検索コマンドを受信した第1派遣先サーバR2は、中継グループ情報を参照することにより、中継グループを構成する他の中継サーバ1(コールセンターサーバR1、客先サーバR3、第2派遣先サーバR4)に対してLAN検索コマンドを転送する。そして、LAN検索コマンドを受信した各中継サーバ1(コールセンターサーバR1、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3、第2派遣先サーバR4)は、クライアント端末情報データベース511に登録された各クライアント端末5と通信を行い、自身が接続されているLANの中にルーティング装置として機能できるクライアント端末5が存在するか否かを調べる。ルーティング装置としての機能を備えたクライアント端末5が見つかった場合、当該クライアント端末5を備えるLANはルーティング可能なLANである。また、中継サーバ1自身がルーティング装置として機能できる場合も、当該中継サーバ1を備えるLANはルーティング可能なLANである。このような場合、中継サーバ1は、当該LANはルーティング可能なLANである旨と、当該LANのプライベートIPアドレスと、を関連付けたLAN検索応答情報を生成する。
【0074】
続いて、コールセンターサーバR1、客先サーバR3及び第2派遣先サーバR4は、生成したLAN検索応答情報を第1派遣先サーバR2へ送信する。第1派遣先サーバR2においては、自身が生成したLAN検索応答情報と、各中継サーバ1から受信したLAN検索応答情報と、を合成した合成LAN検索応答情報を生成する。第1派遣先サーバR2は、当該合成LAN検索応答情報を、クライアント端末5bに転送する。クライアント端末5bには、この合成LAN検索応答情報に基づいて、LAN検索結果情報が生成されて記憶される。
【0075】
クライアント端末5bに記憶されるLAN検索結果情報の例を、図10に示す。LAN検索結果情報においては、routing_networkタグを親要素とする子要素のnetworkタグが記述されている。各networkタグには、ルーティング可能なLANのプライベートIPアドレス情報(「addr」)が記載されている。このように、LAN検索コマンドの送信元のクライアント端末において、中継通信システムの中でルーティング可能なLANのプライベートIPアドレスを特定することができる。例えば本実施形態では、図10に示すように、派遣先LAN92(addr=“172.16.1.0/24”)及び客先LAN93(addr=“172.30.2.0/24”)が、ルーティング可能なLANとして特定される。
【0076】
次に、ルーティング可能なLANを特定したクライアント端末5bにおいて、ルーティング経路の探索(より詳細に言うと、ルーティングポイントの特定)が行われる。当該クライアント端末5bは、ルーティング可能なLANの中からルーティング対象LANを指定したうえで、ルーティング経路探索コマンド(以下、単に経路探索コマンド)を第1派遣先サーバR2に送信する。以下、ルーティング対象LANとして、派遣先LAN92と客先LAN93が指定された場合について説明する。
【0077】
経路探索コマンドを受信した第1派遣先サーバR2は、中継グループ情報を参照することにより、中継グループを構成する他の中継サーバ1(コールセンターサーバR1、客先サーバR3、第2派遣先サーバR4)に対して経路探索コマンドを転送する。
【0078】
そして、経路探索コマンドを受信した各中継サーバ1(コールセンターサーバR1、第1派遣先サーバR2、客先サーバR3、第2派遣先サーバR4)は、クライアント端末情報データベース511に登録された各クライアント端末5と通信することにより、自身が接続されているLANの中に、ルーティング対象LANとして指定されたLANのルーティング装置として機能できるクライアント端末5が存在するか否かを調べる。
【0079】
例えば本実施形態の場合、クライアント端末5dは、ルーティング対象LANとして指定されたLAN(客先LAN93)のルーティング装置として機能できる。このようにルーティング対象LANのルーティング装置として機能できるクライアント端末5dは、指定されたLANの間(派遣先LAN92と客先LAN93の間)でパケットをルーティングする際のルーティングポイントとして機能することができる。ルーティングポイントとして機能できるクライアント端末5dが見つかった場合、客先サーバR3は、当該客先LAN93のプライベートIPアドレスと、当該クライアント端末5dの識別情報と、を関連付けた経路探索応答情報を生成する。
【0080】
一方、ルーティング対象LANとして指定されたLANのルーティング装置として中継サーバ1自身が機能できる場合、当該中継サーバ1は、自身がルーティングポイントとして機能できる。例えば本実施形態では、第1派遣先サーバR2は、ルーティング対象LANとして指定されたLAN(派遣先LAN92)のルーティング装置として機能できる。このような場合、当該第1派遣先サーバR2は、当該第1派遣先LAN92のプライベートIPアドレスと、自身の識別情報と、を関連付けた経路探索応答情報を生成する。
【0081】
続いて、客先サーバR3は、生成した経路探索応答情報を第1派遣先サーバR2へ送信する。第1派遣先サーバR2においては、客先サーバR3から受信した経路探索応答情報と、自身が生成した経路探索応答情報と、を合成した合成経路探索応答情報を生成する。第1派遣先サーバR2は、当該合成経路探索応答情報を、クライアント端末5bに転送する。クライアント端末5bには、この合成経路探索応答情報に基づいて、経路探索結果情報が生成されて記憶される。
【0082】
クライアント端末5bに記憶される経路探索結果情報の例を、図11に示す。経路探索結果情報においては、routing_networkタグを親要素とする子要素のnetworkタグが記述されている。各networkタグには、ルーティング可能なLANのプライベートIPアドレス情報(「addr」)と、ルーティングポイントとして機能できる装置の識別情報(「router」)と、が関連付けられて記載されている。このように、ルーティング対象LANとして指定したLANの間でのルーティング経路の探索(即ちルーティングポイントの特定)を実現することができる。
【0083】
次に、ルーティングセッションの確立を行う。ルーティングセッションとは、本実施形態の中継通信システムでパケットのルーティング制御に用いられるメディアセッションである。
【0084】
ルーティングセッションを確立するため、クライアント端末5bは、ルーティングセッションで用いるルーティングポイントを指定する情報を、第1派遣先サーバR2へ送信する。第1派遣先サーバR2においては、上記経路探索結果情報に基づいて、ルーティンググループ情報が生成される。ルーティンググループ情報は、中継通信システムを利用したルーティング制御を実行するためのルーティング設定情報であり、ルーティンググループ情報データベース522に格納される。
【0085】
ルーティンググループ情報データベース522に格納されるルーティンググループ情報の例を、図12に示す。ルーティンググループ情報において、networkタグには、ルーティング対象LANのローカルIPアドレスと、ルーティングポイントと使用する装置の識別情報と、が関連付けられて記述されている。routing_sessionタグを親要素とする子要素のsessionタグには、当該ルーティングセッションの始点(「start」)と終点(「end」)が記述されている。
【0086】
続いて、第1派遣先サーバR2は、ルーティンググループ情報を、次のルーティングポイントであるクライアント端末5dに転送する。これにより、各ルーティングポイントにおいて、ルーティング対象LANの間のルーティング経路に関する情報が共有される。
【0087】
各ルーティングポイントが前記ルーティンググループ情報を受信した後、当該ルーティングポイントの間で、複数のメディアセッションからなるルーティングセッションが確立される。具体的には、客先サーバR3とクライアント端末5dとの間でメディアセッションが確立される。また前述のように、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間には、既にメディアセッションが確立されている。この2つのメディアセッションにより、ルーティングポイント同士(第1派遣先サーバR2とクライアント端末5d)を結ぶルーティングセッションが構成される。
【0088】
次に、派遣先LAN92内の端末5aから、客先LAN93内のクライアント端末5fに対して、ルーティングセッションを介してパケットを送信する場合について説明する。この場合、クライアント端末5aは、クライアント端末5fのプライベートIPアドレス(172.30.2.3)を指定したパケットを作成する。続いて、クライアント端末5aは、当該クライアント端末5a自身が属しているLAN(派遣先LAN92)のルーティングポイントである第1派遣先サーバR2へ、パケットを転送する。
【0089】
ルーティングポイントとしての第1派遣先サーバR2は、ルーティングの対象となるパケットを受信した場合、宛先のプライベートIPアドレス(172.30.2.3)に基づいて、当該パケットを届けるべきLANを特定する。今回の説明では、パケットの届け先のLANは客先LAN93(プライベートIPアドレスは172.30.2.0/24)となる。次に、第1派遣先サーバR2は、前記ルーティンググループ情報を参照することにより、客先LAN93との間で有効なルーティングセッションが確立されているか否かを判定する。例えば現在説明中の例では、ルーティンググループ情報を参照することにより、客先LAN93との間に既にルーティングセッションが確立されていることがわかるので、当該ルーティングセッションを用いてパケットの送信を行えば良いことになる。なお、ここでルーティングセッションが確立されていない場合は、ルーティングセッションを介したパケットの送信が不可能であるためエラーとなる。
【0090】
パケットの送信に使用するルーティングセッションを特定した後、ルーティングポイントとしての第1派遣先サーバR2は、クライアント端末5aから受信したパケットを、ルーティングセッションを介して送り出す。これにより、前記パケットは、次のルーティングポイントであるクライアント端末5dに受信される。
【0091】
次のルーティングポイントであるクライアント端末5dは、宛先として指定されたプライベートIPアドレス(172.30.2.3)に対して、当該パケットを転送する。これにより、クライアント端末5fにパケットが届けられる。なお、逆方向への通信(クライアント端末5fからクライアント端末5aへパケットを送信する場合)も同様に、ルーティングセッションを介してパケットのルーティングを行うことができる。
【0092】
以上で説明したルーティング関係の処理、即ち、ルーティング可能なLANの検索、ルーティング経路の探索の処理などは、アプリケーション層で行われる。このように、本実施形態では、アプリケーション層のルーティングセッションで、ルーティング対象のデータを流すように構成されている。従って、以上で説明したルーティングは、通常のIPルーティングとは異なっている。
【0093】
このようにアプリケーション層でルーティングを行うことにより、WANを意識することなく遠隔地のLAN同士がプライベートIPアドレスを利用して相互に通信できるだけでなく、ルーティング経路等を中継通信システムの構成に応じて柔軟に構築できる。なお、ルーティングセッションを確立するまでもない単発的な情報の送受信を行う場合には、上記のルーティングを行わない通常の方法でパケットを送受信しても良いことは勿論である。
【0094】
本実施形態において、サービスマン派遣先のサービスマンは、以上で説明したルーティングセッションを介して、客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を行うことができる。ところで、上記のようにして確立されたルーティングセッションには、中継サーバ1同士のメディアセッションが含まれている。例えば上記の例では、クライアント端末5aとクライアント端末5fとの間でパケットの送受信を行う際のルーティングセッションには、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションが含まれている。従って、サービスマンは、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションを介して、遠隔保守を行うと言うことができる。なお、以下の説明においては、サービスマンが遠隔保守を行う場合であっても、ルーティングセッション全体の説明は省略し、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションの部分のみを説明する場合がある。
【0095】
このように、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にメディアセッションが確立されると、客先サーバR3のクライアント端末5に対して、稼動状況の確認及びソフトウェアの更新等のリモートメンテナンス作業を行うことができる。また、クライアント端末5に不具合が生じた場合は、復旧用のアプリケーションを適用する等の復旧作業を行うこともできる。
【0096】
次に、図13、図14及び図15を参照して、コールセンターサーバR1が行う派遣先サーバ及び客先サーバのアクセス管理及び同時接続の可否の判定について説明する。図13は、第1派遣先サーバR2が遠隔保守を行う場合の通信処理を示すシーケンス図である。図14は、第2派遣先サーバR4による客先サーバR3への同時接続が拒否される場合の通信処理を示すシーケンス図である。図15は、同時接続が拒否された第2派遣先サーバR4の客先サーバR3への再接続が許可される場合の通信処理を示すシーケンス図である。
【0097】
図13のシーケンス図は、遠隔保守を受けていない状態の客先工場のクライアント端末5に対してサービスマンが遠隔保守を行う場合を想定したものである。なお、以下の説明において、客先サーバR3と第1派遣先サーバR2との関係では最大同時接続数として2が設定されており、客先サーバR3と第2派遣先サーバR4(図13において図示せず)との関係では、最大同時接続数として1が設定されているものとする。また、客先サーバR3は、通常時はコールセンターサーバR1からの通信のみを受け付けるように設定されている。
【0098】
第1サービスマン派遣先のサービスマンが、リモートメンテナンス等の遠隔保守を行う場合は、クライアント端末5を操作し、第1派遣先サーバR2を介して、コールセンターサーバR1を送信先としたアクセス許可リスト要求を送信する(シーケンス番号1)。
【0099】
このように、本実施形態ではクライアント端末5から各中継サーバ1を介して要求等が送信されることがあるが、以下の説明においては、クライアント端末5を操作する処理の具体的な説明を省略することがある。
【0100】
また、このアクセス許可リスト要求では、送信先のコールセンターサーバR1のアカウントが指定されている。外部サーバ2は、中継サーバアカウント情報データベース203を参照することでコールセンターサーバR1のグローバルIPアドレスを取得し、第1派遣先サーバR2からの上記要求をコールセンターサーバR1に中継する。
【0101】
以上のように、本実施形態の各中継サーバ1間の通信は外部サーバ2を経由して行われ、以下においても同様である。従って、以下の説明では、外部サーバ2を経由する通信処理の具体的な説明を省略することがある。
【0102】
上記のアクセス許可リスト要求を受信したコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513に基づいて、第1派遣先サーバR2がアクセス可能な中継サーバを示したアクセス許可リストを作成する。そして、コールセンターサーバR1は、このアクセス許可リストを第1派遣先サーバR2へ送信する。
【0103】
そして、サービスマンは、このアクセス許可リストに基づいて、自らが通信すべき客先サーバを選択する。本実施形態においては、この接続先の客先サーバとして客先サーバR3が選択されたとする。
【0104】
しかし、前述のとおり、客先サーバR3はコールセンターサーバR1以外からの通信を通常は受け付けていない。この通信を開始するためには、コールセンターサーバR1から客先サーバR3へアクセス元(第1派遣先サーバR2)が通知される必要がある。そのため、サービスマンは、第1派遣先サーバR2を介して、アクセス先通知(Accessメソッド)をコールセンターサーバR1に対して送信する(シーケンス番号2)。
【0105】
なお、客先サーバの選択及びアクセス先の通知は、予め設定された方法によって、第1派遣先サーバR2又はクライアント端末5が自動的に行う構成にしても良い。
【0106】
この通知を受信したコールセンターサーバR1は、通信管理情報データベース515に基づいて客先サーバR3の接続状況を調べる。この時点では客先サーバR3は他の派遣先サーバと接続されていないので、コールセンターサーバR1は、客先サーバR3へ、第1派遣先サーバR2に対するアクセス許可要求(ACCESS_PERMITメソッド)を送信する(シーケンス番号2.1)。
【0107】
このアクセス許可要求を受信した客先サーバR3は、第1派遣先サーバR2からの通信を受け付ける処理を行うとともに、コールセンターサーバR1に対してOKレスポンスを返す。コールセンターサーバR1は、客先サーバR3からOKレスポンスを受信した後、前記アクセス許可要求に対するOKレスポンスを第1派遣先サーバR2に対して返す。
【0108】
第1派遣先サーバR2は、このOKレスポンスを受けると、客先サーバR3に対して接続要求(INVITEメソッド)を送信する(シーケンス番号3)。これに対するOKレスポンスを受信した第1派遣先サーバR2は、客先サーバR3に対して、INVITEに対する最終レスポンス(ACKメソッド)を送信する(シーケンス番号4)。そして、客先サーバR3が第1派遣先サーバR2に対してMediaSessionコマンドを送信する。このコマンドによって、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に通信経路(ルーティングセッション、データ通信セッション)が確立される(シーケンス番号5)。
【0109】
通信経路が確立されると、第1派遣先サーバR2の制御部は、コールセンターサーバR1に対してルーティングセッションの確立を通知する(NOTIFY_ESTABLISHMENTメソッド、シーケンス番号5.1)。そして、コールセンターサーバR1は、第1派遣先サーバR2が客先サーバR3に対して中継通信を行っている旨と、ルーティングセッションの開始時刻と、を通信管理情報データベース515へ記録する。続いて、コールセンターサーバR1は、ルーティングセッション確立の通知に対するOKレスポンスを第1派遣先サーバR2に対して返す。なお、このルーティングセッションが終了した場合は、ルーティングセッションが終了した旨の通知が第1派遣先サーバR2から送信され、コールセンターサーバR1は、ルーティングセッションが終了した時刻を通信管理情報データベース515に記憶する。
【0110】
以上で説明した処理により、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間でルーティングセッションを開始又は終了する際には、コールセンターサーバR1の通信管理情報データベース515にログ(接続状況情報)が記憶される。このように、複数の中継サーバ1間の接続状況が、コールセンターサーバR1において一元的に管理されるように構成されている。
【0111】
次に、図14及び図15を参照して、コールセンターサーバR1による同時接続の可否の判定処理について説明する。図14及び図15のシーケンス図は、第1サービスマン派遣先に所属しているサービスマンが客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を行っているところに、第2サービスマン派遣先に所属しているサービスマンが同じ客先工場に接続を要求する状況を想定したものである。なお、以下では、シーケンス番号5で第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にルーティングセッションが確立された後の処理について説明する。
【0112】
図14に示すように、第2派遣先サーバR4からのアクセス許可リスト要求を受信したコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513に基づいて、第2派遣先サーバR4がアクセス可能な中継サーバを示したアクセス許可リストを作成する。そして、コールセンターサーバR1は、このアクセス許可リストを第2派遣先サーバR4へ送信する。
【0113】
そして、第2サービスマン派遣先のサービスマンは、このアクセス許可リストに基づいて、自らが通信すべき客先サーバを選択する。今回の説明では、第2サービスマン派遣先のサービスマンにより客先サーバR3が選択されたとする(シーケンス番号7)。
【0114】
コールセンターサーバR1の制御部503は、第2派遣先サーバR4が接続対象として選択した客先サーバR3の接続状況を、通信管理情報データベース515を参照して調べる。この例では、客先サーバR3と第1派遣先サーバR2との間でルーティングセッションが確立されている。
【0115】
次に、コールセンターサーバR1の制御部503は、同時接続情報データベース514を参照して、第2派遣先サーバR4から客先サーバR3への接続要求が同時接続条件を満たしているか否かを調べる。上述したように、客先サーバR3において、第2派遣先サーバの最大同時接続数は1が設定されており、客先サーバR3は、第1派遣先サーバR2とルーティングセッションを確立している状態である。従って、前記制御部503は、第2派遣先サーバR4の接続要求を拒否すべきであると判定する。
【0116】
コールセンターサーバR1は、第2派遣先サーバR4の接続要求を拒否すべきであると判定した場合、接続ができない旨(BUSYメソッド)を第2派遣先サーバR4に送信する(シーケンス番号8)。なお、この処理とともに、第2派遣先サーバR4からの客先サーバR3へのアクセスが同時接続条件を満たしていなかった旨が通信管理情報データベース515に記憶される(図8における「refuse」列)。
【0117】
次に、シーケンス番号7の処理の後、サービスマンによる遠隔保守が終了した場合について説明する。遠隔保守の作業が終了した場合、サービスマンは、セッションを終了させる旨(BYEメソッド)を客先サーバR3に送信する(シーケンス番号8)。これに対して客先サーバR3はOKレスポンスを返し、通信を切断する。OKレスポンスを返された第1派遣先サーバR2は、客先サーバR3との接続が終了したことをコールセンターサーバR1に通知する(NOTIFY_TERMINATIONメソッド、シーケンス番号9)。
【0118】
そして、コールセンターサーバR1は、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3とのルーティングセッションが終了した時刻を通信管理情報データベース515に記録し、ルーティングセッション終了の通知に対するOKレスポンスを第1派遣先サーバR2に対して返す。それとともに、コールセンターサーバR1は通信管理情報データベース515を調べ、接続状況が同時接続条件を満たすようになったか否かを判定する。
【0119】
第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間のルーティングセッションが切断されたことによって同時接続条件が満たされることになるので、コールセンターサーバR1は、第2派遣先サーバR4に客先サーバR3との接続が可能になった旨(ACCESSIBLEメソッド)を通知する(シーケンス番号10)。第2派遣先サーバR4はこれに対してOKレスポンスを返す。
【0120】
客先サーバR3との接続が可能になった旨を通知された第2派遣先サーバR4は、予め通知先に指定されているクライアント端末5に対し、客先サーバR3との接続が可能になった旨を通知する。この通知を受けたクライアント端末5は、客先サーバR3との接続が可能になった旨を知らせるメッセージを画面に表示させる。これにより、通知を受けたクライアント端末5を操作しているサービスマンは、客先サーバR3がアクセス可能になったことを知ることができる。
【0121】
この状態で、サービスマンは、第1派遣先サーバR2を介して、アクセス先通知(Accessメソッド)をコールセンターサーバR1に対して送信する(シーケンス番号11)。アクセス先通知を受信したコールセンターサーバR1は、客先サーバR3に第2派遣先サーバR4のアクセスを許可するようにアクセス許可要求(ACCESS_PERMITメソッド)を送信する(シーケンス番号11.1)。このアクセス許可要求を受信した客先サーバR3は、コールセンターサーバR1にOKレスポンスを返す。このOKレスポンスを受信したコールセンターサーバR1は、第2派遣先サーバR4にOKレスポンスを返す。第2派遣先サーバR4は、このOKレスポンスを受けると、客先サーバR3に対して接続要求(INVITEメソッド)を送信する(シーケンス番号12)。
【0122】
以降の処理は、図13のシーケンス番号3から5までの処理(ルーティングセッションが確立されるまでの処理)及び図14のシーケンス番号8から10までの処理(ルーティングセッションの切断処理)と同様であるので、その説明を省略する。
【0123】
以上で説明してきた処理により、派遣先サーバR2,R4は、客先サーバR3に接続する前の段階で、客先サーバR3への同時接続の可否がコールセンターサーバR1によって判定されることになる。
【0124】
以上に示したように、本実施形態の中継通信システムに用いられるコールセンターサーバR1は、以下のように構成される。即ち、コールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513と、同時接続情報データベース514と、通信管理情報データベース515と、制御部503と、を備える。アクセス許可情報データベース513は、客先サーバR3にアクセス可能な1以上の派遣先サーバを当該客先サーバR3に対応付けて記憶可能に構成される。同時接続情報データベース514は、客先サーバR3への同時接続を許可するか否かを決定する同時接続条件を記憶可能に構成される。通信管理情報データベース515は、客先サーバR3に派遣先サーバが接続しているか否かを示す接続状況情報を記憶可能に構成される。制御部503は、客先サーバR3に接続したい旨の第1派遣先サーバR2からの要求を受信すると、同時接続条件が満たされるか否かを接続状況情報に基づいて判定する。そして、制御部503は、同時接続条件が満たされている場合は、第1派遣先サーバR2からの接続を許可すべき旨を客先サーバR3に通知し、これによって、第1派遣先サーバR2と客先サーバR3との間のデータ通信を可能にする。
【0125】
これにより、例えば第1派遣先サーバR2が客先サーバR3へ接続したい場合でも、同時接続条件を満たさない場合は、アクセス許可情報データベース513を備えるコールセンターサーバR1側の判定により、当該接続が許可されないことになる。従って、コールセンターサーバR1側で同時接続の可否を決める条件を集中的に管理及び設定できるので、客先サーバR3側は、同時接続を許可しないための特別な設定及び処理を行う必要がなくなる。この結果、中継通信システム全体の構成の簡素化に寄与することができる。
【0126】
また、本実施形態のコールセンターサーバR1においては、以下のように構成される。即ち、アクセス許可情報データベース513は、客先サーバを複数記憶可能に構成される。同時接続情報データベース514は、客先サーバごとに同時接続条件を対応付けて記憶可能に構成される。制御部503は、客先サーバごとに設定された同時接続条件に基づいて、当該客先サーバへの同時接続の可否を判定する。
【0127】
これにより、客先サーバR3が稼動している状況に応じて同時接続の条件を個別的に設定することができる。従って、複数の客先サーバが設置されるそれぞれのシステム環境に適した客先サーバの運用を実現できる。
【0128】
また、本実施形態のコールセンターサーバR1においては、以下のように構成される。即ち、アクセス許可情報データベース513は、派遣先サーバごとに同時接続条件を対応付けて記憶可能に構成される。制御部503は、派遣先サーバごとに設定された同時接続条件に基づいて、当該派遣先サーバからの同時接続の可否を判定する。
【0129】
これにより、同時接続条件を派遣先サーバごとに設定できるので、例えば派遣先サーバと客先サーバとの関係、及び派遣先サーバの稼動している状況等を詳細に考慮して、効果的な同時接続制御を行うことができる。
【0130】
また、本実施形態のコールセンターサーバR1においては、以下のように構成される。即ち、通信管理情報データベース515は、同時接続条件を満たさないと判定されてアクセスが許可されなかった第2派遣先サーバR4と、この第2派遣先サーバR4がアクセスしようとした客先サーバR3と、を示す情報である接続拒否情報を記憶可能に構成される。制御部503は、接続拒否情報に示される客先サーバR3へのアクセスが許可される状態になった場合は、接続拒否情報に示される第2派遣先サーバR4に対し、当該客先サーバR3へのアクセスが可能になったことを通知する。
【0131】
これにより、当初はアクセスが拒否されていた客先サーバR3に対してアクセスが可能になった場合、その旨がコールセンターサーバR1から第2派遣先サーバR4に通知される。従って、第2派遣先サーバR4が自ら客先サーバR3の接続状況を調べる必要がなく、目的の客先サーバR3とのデータ通信にスムーズに移行することができる。これにより、ユーザフレンドリーな中継通信システムを実現できる。
【0132】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
【0133】
上記実施形態では、アクセス許可情報登録部はアクセス許可情報データベース513として、同時接続情報登録部は同時接続情報データベース514として、それぞれ別個に構成されているが、この構成は適宜変更することができる。例えば、アクセス許可情報登録部と、同時接続情報登録部と、を1つのデータベースにまとめることも可能である。この例を示したものが図16に示す表である。図16は、変形例のアクセス許可情報データベースの内容を示した表である。
【0134】
図16に示す表は、exclusionの列が追加されている以外は、図7に示した表と同様のものである。即ち、targetの列には客先サーバが記述され、permitの列には派遣先サーバが記述されている。exclusionの列にはyes又はnoが記述されている。このyes及びnoは、同時接続を認めるか否か(言い換えれば、接続の排他制御を無効にするか否か)を示すものである。図16の表の例では、relayserver3及びrelayserver34が同時接続を認めない客先サーバとして設定されている。このように、同時接続条件をアクセス許可情報データベース513で管理することにより、コールセンターサーバR1の構成を簡素化することができる。
【0135】
また、上記クライアント端末情報、中継サーバ情報、中継グループ情報、ルーティンググループ情報等は、図面を参照して説明する際にXML形式のデータとして説明したが、上記各情報を格納する形式はこれに限定されず、適宜の形式で各情報を格納することができる。
【0136】
上記実施形態ではSIPサーバである外部サーバ2を介して各中継サーバ1間での通信を行ったが、これに代えて、外部サーバ2を介さずに中継サーバ1間で直接通信する構成に変更することができる。
【符号の説明】
【0137】
R1 コールセンターサーバ(中継サーバ)
R2 第1派遣先サーバ(アクセス側中継サーバ)
R3 客先サーバ(アクセス対象中継サーバ)
R4 第2派遣先サーバ(アクセス側中継サーバ)
503 制御部
513 アクセス許可情報データベース(アクセス許可情報登録部)
514 同時接続情報データベース(同時接続情報登録部)
515 通信管理情報データベース(接続状況情報登録部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス対象中継サーバにアクセス可能な1以上のアクセス側中継サーバを前記アクセス対象中継サーバに対応付けて記憶可能なアクセス許可情報登録部と、
前記アクセス対象中継サーバへの同時接続を許可するか否かを決定する同時接続条件を記憶可能な同時接続情報登録部と、
前記アクセス対象中継サーバにアクセス側中継サーバが接続しているか否かを示す接続状況情報を記憶可能な接続状況情報登録部と、
前記アクセス対象中継サーバに接続したい旨の前記アクセス側中継サーバからの要求を受信すると、前記同時接続条件が満たされるか否かを前記接続状況情報に基づいて判定し、
前記同時接続条件が満たされている場合は、
前記アクセス側中継サーバからの接続を許可すべき旨を前記アクセス対象中継サーバに通知し、これによって前記アクセス側中継サーバと前記アクセス対象中継サーバとの間のデータ通信を可能にする制御部と、
を備えることを特徴とする中継サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の中継サーバであって、
前記アクセス許可情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバを複数記憶可能に構成され、
前記同時接続情報登録部は、前記アクセス対象中継サーバごとに前記同時接続条件を記憶可能に構成され、
前記制御部は、前記アクセス対象中継サーバごとに設定された前記同時接続条件に基づいて、当該アクセス対象中継サーバへの同時接続の可否を判定することを特徴とする中継サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の中継サーバであって、
前記アクセス許可情報登録部は、前記アクセス側中継サーバごとに前記同時接続条件を記憶可能に構成され、
前記制御部は、前記アクセス側中継サーバごとに設定された前記同時接続条件に基づいて、当該アクセス側中継サーバからの同時接続の可否を判定することを特徴とする中継サーバ。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の中継サーバであって、
前記接続状況情報登録部は、
前記同時接続条件を満たさないと判定されてアクセスが許可されなかった前記アクセス側中継サーバと、
前記アクセス側中継サーバがアクセスしようとしたアクセス対象中継サーバと、
を示す情報である接続拒否情報を記憶可能に構成され、
前記制御部は、
前記接続拒否情報に示される前記アクセス対象中継サーバへのアクセスが許可される状態になった場合は、
前記接続拒否情報に示される前記アクセス側中継サーバに対し、当該アクセス対象中継サーバへのアクセスが可能になったことを通知することを特徴とする中継サーバ。
【請求項5】
アクセス対象中継サーバと、
前記アクセス対象中継サーバにアクセス可能な1以上のアクセス側中継サーバと、
前記アクセス対象中継サーバ及び前記アクセス側中継サーバのそれぞれと相互に通信可能な中継サーバと、
を備え、
前記中継サーバは、
1以上の前記アクセス側中継サーバを前記アクセス対象中継サーバに対応付けて記憶可能なアクセス許可情報登録部と、
前記アクセス対象中継サーバへの同時接続を許可するか否かを決定する同時接続条件を記憶可能な同時接続情報登録部と、
前記アクセス対象中継サーバにアクセス側中継サーバが接続しているか否かを示す接続状況情報を記憶可能な接続状況情報登録部と、
前記アクセス対象中継サーバに接続したい旨の前記アクセス側中継サーバからの要求を受信すると、前記同時接続条件が満たされるか否かを前記接続状況情報に基づいて判定し、
前記同時接続条件が満たされている場合は、
前記アクセス側中継サーバからの接続を許可すべき旨を前記アクセス対象中継サーバに通知する制御部と、
を備え、
前記アクセス対象中継サーバは、前記アクセス側中継サーバからの接続を許可すべき旨が前記中継サーバから通知されると、前記アクセス側中継サーバからのアクセスを許可し、当該アクセス側中継サーバとデータ通信を行うことを特徴とする中継通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の中継通信システムであって、
前記接続状況情報登録部は、
前記同時接続条件を満たさないと判定されてアクセスが許可されなかった前記アクセス側中継サーバと、
前記アクセス側中継サーバがアクセスしようとしたアクセス対象中継サーバと、
を示す情報である接続拒否情報を記憶可能に構成され、
前記制御部は、
前記接続拒否情報に示される前記アクセス対象中継サーバへのアクセスが許可される状態になった場合は、
前記接続拒否情報に示される前記アクセス側中継サーバに対し、当該アクセス対象中継サーバへのアクセスが可能になったことを通知することを特徴とする中継通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−55448(P2011−55448A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205170(P2009−205170)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】