説明

中継装置、端末装置、通信システム、通信方法、及びプログラム

【課題】場所に応じて通信サービスの提供形態を柔軟に選択すること。
【解決手段】外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部と、前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部と、前記信号変換部により変調された静電界信号を静電界の電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部と、を備える中継装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置、端末装置、通信システム、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、移動体通信などの無線通信が広く普及している。例えば、移動体通信用の端末として代表的な携帯電話を用いると、基地局からの電波が到達する限り、建物や乗り物の内部であっても無線通信をすることができる。しかし、基地局からの電波到達範囲内でも、例えばコンサートホールや劇場など、携帯電話の着信音が鳴るとユーザに迷惑が掛かる施設などにおいては、電波を局所的に妨害する装置等を設置することにより、携帯電話の使用が制限される場合がある。
【0003】
図1は、携帯電話の使用が制限される状況を示す模式図である。図1において、基地局10の電波到達範囲12の内部に、施設20が位置している。施設20は、例えばコンサートホールなどに該当する。そして、施設20には、妨害波発信器22が設置されている。それにより、施設20の中では、基地局10の電波到達範囲12から外れていなくても携帯電話30の使用が制限される。
【0004】
また、無線通信の使用が制限されるその他の例としては、公共交通機関の中が挙げられる。例えば、列車内では通話を控えるマナーが広まっている。但し、一部の座席指定型列車等のデッキでは使用が認められるなど、使用場所に応じて制限の程度は異なる。また、例えば、航空機内では、機器に影響を与える可能性のある無線通信機器の使用は通常一切禁止される。
【0005】
無線通信の機能を制限するための技術としては、例えば下記特許文献1に、自装置の周囲の通信端末との間で無線信号を送受信することにより周囲の端末数を検知し、検知した端末数に応じて自動的にマナーモードに移行する方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2007−135009
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、無線通信の機能を制限する手段として無線信号を用いるため、妨害電波が発生している状況や、無線信号を発信すること自体を制限すべき状況の下では使用することができなかった。
【0008】
多くの場合、無線通信の使用の制限はユーザの良識に委ねられており、マナーの悪いユーザに対する効果的な抑止手段は未だ実現されていない。また、図1に例示したように、電波を局所的に妨害する装置等を設置した場合には、当該装置を設置した施設内では無線通信を利用する全てのサービスがその種類によらず妨害される。そのため、本来許容してもよい通信サービスを限定的に提供可能とするなど、通信サービスの提供形態を柔軟に選択することができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、場所に応じて通信サービスの提供形態を柔軟に選択することのできる、新規かつ改良された中継装置、端末装置、通信システム、通信方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部と、前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部と、前記信号変換部により変調された静電界信号を静電界の電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部と、を備える中継装置が提供される。
【0011】
かかる構成によれば、基幹通信部は有線又は無線による通信信号を外部装置から受信し、信号変換部は基幹通信部により受信された通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、当該静電界信号は電極部から放射される。また、静電界の電位を感知した電極部により生成された静電界信号は、信号変換部により復調されて外部装置との間で送受信される通信信号に変換され、当該通信信号は基幹通信部から外部装置へ送信される。
【0012】
また、前記中継装置は、前記基幹通信部により受信された前記通信信号から当該通信信号により提供される通信サービスを識別するサービス識別子を取得し、取得された当該サービス識別子が事前に定義された中継対象の通信サービスに該当する場合にのみ、前記通信信号を前記信号変換部により前記静電界信号に変換させる処理部、をさらに備えてもよい。
【0013】
また、前記中継装置は、ユーザへの提供を許可する通信サービスを指定する許可サービス識別子を前記基幹通信部により受信された前記通信信号に付加し、前記許可サービス識別子が付加された前記通信信号を前記信号変換部により前記静電界信号に変換させる処理部、をさらに備えてもよい。
【0014】
また、前記中継装置は、共通鍵を用いて前記許可サービス識別子を暗号化して署名情報を生成し、生成した当該署名情報を前記基幹通信部により受信された前記通信信号に付加する署名付加部、をさらに備えてもよい。
【0015】
また、前記中継装置は、所定の静電界信号を周期的に前記電極部から送信させる定常信号送信部、をさらに備えてもよい。
【0016】
また、前記中継装置は、前記基幹通信部により受信された前記通信信号に任意の情報を付加して前記信号変換部により前記静電界信号に変換させ、又は、前記信号変換部により静電界信号から変換された通信信号に任意の情報を付加して前記基幹通信部により前記外部装置へ送信させる処理部、をさらに備えてもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部と、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部と、前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部と、を備える端末装置が提供される。
【0018】
また、前記判定部は、前記無線通信部及び前記静電界通信部による通信状況を取得し、取得した当該通信状況に応じて前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定してもよい。
【0019】
また、前記判定部は、前記無線通信部及び前記静電界通信部が共に通信可能である場合には、事前に与えられた優先順位情報に基づいて前記無線信号又は前記静電界信号のうち通信サービスの提供に使用される信号を決定してもよい。
【0020】
また、前記判定部は、ユーザへの提供を許可する通信サービスを指定する許可サービス識別子を前記静電界信号から取得し、取得した許可サービス識別子に基づいて前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定してもよい。
【0021】
また、前記端末装置は、前記静電界信号に付加された前記許可サービス識別子に対する署名情報を共通鍵を使用して復号化することにより前記許可サービス識別子の正当性を検証する署名検証部、をさらに備えてもよい。
【0022】
また、前記静電界通信部は、周期的に送信される静電界信号である定常信号を受信し、前記判定部は、前記静電界通信部により前記定常信号が受信された場合には、前記無線通信部による無線信号の送受信を停止させてもよい。
【0023】
また、前記端末装置は、前記無線通信部により送受信される前記無線信号の信号強度と、前記静電界通信部により送受信される前記静電界信号の信号強度と、前記無線信号及び前記静電界信号のうち現在使用可能な信号の種類とをユーザに表示する表示部、をさらに備えてもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部と、前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部と、を備える端末装置が提供される。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部、前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部、及び、前記信号変換部により変調された静電界信号を電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部、を備える中継装置と、外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部、及び、前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部、を備える端末装置と、を含む通信システムが提供される。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部、前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部、前記信号変換部により変調された静電界信号を電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部、及び、前記基幹通信部により受信された前記通信信号から当該通信信号により提供される通信サービスを識別するサービス識別子を取得し、取得された当該サービス識別子が事前に定義された中継対象の通信サービスに該当する場合にのみ、前記通信信号を前記信号変換部により前記静電界信号に変換させる処理部、をそれぞれ備える第1及び第2の中継装置と、外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部、及び、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部、を備える端末装置と、を含む通信システムであって、前記第1の中継装置に事前に定義された中継対象の通信サービスと前記第2の中継装置に事前に定義された中継対象の通信サービスとは同一でない通信システムが提供される。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置から送信された有線又は無線による通信信号を中継装置において受信するステップと、受信された前記通信信号を静電界における電位に変調された静電界信号に変換し、中継装置に設けられた電極部から放射するステップと、無線信号を送受信する無線通信部及び静電界信号を送受信する静電界通信部を備える端末装置において、放射された前記静電界信号を静電界の電位を感知することにより受信するステップと、を含む通信方法が提供される。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部、及び、静電界信号を静電界の電位として放射し又は静電界の電位を感知して静電界信号を生成する電極部を備える中継装置を制御するコンピュータを、前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、前記電極部により生成された静電界信号を復調して前記通信信号に変換する信号変換部、として機能させるためのプログラムが提供される。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部、及び、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部を備える端末装置を制御するコンピュータを、前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部、として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明に係る中継装置、端末装置、通信システム、通信方法、及びプログラムによれば、場所に応じて通信サービスの提供形態を柔軟に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
また、以下の順序にしたがって当該「発明を実施するための最良の形態」を説明する。
〔1〕通信システムの概要
〔2〕第1の実施形態
〔3〕第2の実施形態
〔3−1〕第1の構成例
〔3−2〕第2の構成例
〔4〕第3の実施形態
〔5〕第4の実施形態
〔6〕第5の実施形態
〔7〕まとめ
【0033】
〔1〕通信システムの概要
まず、図2を用いて、後述する第1〜第5の実施形態に係る通信システムの概要について説明する。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態に係る通信システム100の基本的な構成を示す模式図である。図2を参照すると、通信システム100は、中継装置120と端末装置150とを主に含む。
【0035】
中継装置120は、通信システム100の外部の通信装置(以下、外部装置という。図示せず)と端末装置150との間で送受信される信号を中継する役割を果たす。より具体的には、中継装置120は、外部装置から受信した基幹信号S1を静電界信号S2に変換し、電極部130から放射する。また、中継装置120は、電極部130により受信された静電界信号S2を基幹信号S1に変換し、外部装置へ送信する。
【0036】
図2において、電極部130として平板電極を示しているが、電極部130は平板電極に限定されない。電極部130は、例えば、平板以外の形状をした電極、又は静電界の電位と共に変化する磁界に作用するコイルなどであってもよい。また、電極部130は、例えば電位の変化を光学的に検知する電気光学結晶体などであってもよい。
【0037】
基幹信号S1は、例えば既存の通信網によって送受信される有線又は無線による通信信号である。例えば、基幹信号S1は、インターネット、有線若しくは無線LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、専用線、又はVPN(Virtual Private Network)などを介して送受信される信号であってもよい。
【0038】
一方、静電界信号S2は、例えば静電界における電位を用いて変調された信号である。静電界信号S2は、例えば、中継装置120の電極部130から人体110を介して端末装置150へ伝達される。但し、静電界信号は、必ずしも人体110を介さず、例えば端末装置150が電極部130に近づけられた場合には、電極部130から空間を介して直接端末装置150へ伝達し得る。
【0039】
端末装置150は、中継装置120との間で静電界信号S2を送受信する。また、端末装置150は、外部装置との間で無線信号S3を送受信する。図2では端末装置150として携帯電話を示しているが、端末装置150は携帯電話に限定されない。端末装置150は、例えばPC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム端末など、任意の通信端末又は情報処理端末などであってよい。
【0040】
ここまで、図2を用いて、本発明の一実施形態に係る通信システム100の概要を説明した。次に、本発明の第1〜第5の実施形態について説明する。
【0041】
〔2〕第1の実施形態
本発明の第1の実施形態として、通信システム100が電波を局所的に妨害する装置の設置された施設内に適用される例を図3に示している。
【0042】
図3を参照すると、通信システム100は、施設102の内部に存在する。そして、施設102には、妨害波発信器104が設置されている。そのため、ユーザ(人体110)が所持する端末装置150は、施設102の外部に位置する基地局10から送信される電波を受信することができない。
【0043】
一方、基地局10から送信される電波は、中継局12によって受信され、基幹信号S1となる。そして、基幹信号S1は、中継装置120へ入力される。
【0044】
図4は、本実施形態に係る中継装置120の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図4を参照すると、中継装置120は、基幹通信部122、信号変換部128、及び電極部130を備える。
【0045】
基幹通信部122は、例えば、外部装置から中継局12を介して基幹信号S1を受信し、受信した基幹信号S1を信号変換部128へ出力する。また、基幹通信部122は、例えば、信号変換部128から入力された基幹信号S1を中継局12を介して外部装置へ送信する。例えば、図3に示した中継局12と中継装置120との間をTCP/IPに基づくイーサネット(登録商標)により接続する場合には、基幹通信部122は、イーサネット(登録商標)に準拠したネットワークインタフェースとして実装される。
【0046】
信号変換部128は、例えば、基幹通信部122から入力された基幹信号S1を静電界信号S2に変換し、電極部130へ出力する。また、信号変換部128は、例えば、電極部130から入力された静電界信号S2を基幹信号S1に変換し、基幹通信部122へ出力する。より具体的には、例えば、基幹信号S1を静電界信号S2へ変換する場合、信号変換部128は、交流信号生成器により生成した交流信号を容量素子と誘導素子とを含む共振回路を用いて増幅し、電極部130から放射される電位の変化に静電界信号S2を変調する。また、例えば、静電界信号S2を基幹信号S1へ変換する場合、信号変換部128は、電極部130により感知された静電界の電位の変化を、容量素子と誘導素子とを含む共振回路を用いて増幅し、復調器を用いて復調する。
【0047】
電極部130は、図2に関連して説明したように、例えば信号変換部128から入力された静電界信号S2を静電界における電位として放射する。また、電極部130は、例えば人体110の電位を感知して静電界信号S2を生成し、生成した静電界信号S2を信号変換部128へ出力する。
【0048】
図3の説明に戻り、本実施形態に係る通信システム100の説明を継続する。
【0049】
中継装置120から出力された静電界信号S2は、例えば人体110を伝送媒体として伝わり、端末装置150へと伝達される。
【0050】
図5は、本実施形態に係る端末装置150の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、端末装置150は、無線通信部152、静電界通信部154、表示部156、操作部158、通話部160、制御部162、判定部164、及び記憶部166を備える。
【0051】
無線通信部152は、端末装置150が外部装置との間で無線通信をするための通信インタフェースである。無線通信部152は、例えば、アンテナ、RF(Radio Frequency)回路、復調器、復号器、符号器、及び変調器などを主に含む。なお、図3に関連して説明したように、本実施形態において、施設102の内部には妨害波発信器104による妨害波が発信されているため、無線通信部152は、外部装置から送信される無線信号S3を受信できない。
【0052】
静電界通信部154は、端末装置150が中継装置120との間の静電界通信を利用して外部装置と通信するための通信インタフェースである。静電界通信部154は、例えば、電極、共振回路、交流信号生成器、復調器、復号器、符号器、及び変調器などを主に含む。例えば、人体110に接触又は近接した静電界通信部154の電極により人体110の電位の変化が感知されると、静電界通信部154は、電位の変化を増幅、復調及び復号化して制御部162へ出力する。
【0053】
表示部156は、端末装置150がユーザへ提示する任意の情報を画面に表示させる。例えば、表示部156は、後述するように、現在無線通信部152と静電界通信部154により送受信することのできる信号の強度などを表示する。
【0054】
操作部158は、端末装置150のユーザが端末装置150へ指示を与え、又は情報を入力するためのユーザインタフェースを提供する。例えば、端末装置150による通話の開始や着信に対する応答、メールの送受信などは、操作部158に対するユーザの操作をきっかけとして開始され得る。
【0055】
通話部160は、端末装置150のユーザが他の端末装置を使用するユーザとの間で通話を行うために設けられる。通話部160は、例えば、送話器と受話器とを含む。
【0056】
制御部162は、無線通信部152による無線通信、静電界通信部154による静電界通信、表示部156による画面表示、通話部160を介した通話など、端末装置150の機能全般を制御する。即ち、端末装置150によりユーザに提供される電話サービスやメールサービスなどの各サービスは、制御部162により制御される。また、本実施形態において、制御部162は、ユーザにサービスを提供する前に、当該サービスの提供の可否の判定を判定部164に要求する。
【0057】
判定部164は、例えば、無線通信部152及び静電界通信部154の通信の状況に応じて、制御部162による各サービスの提供の可否を判定する。判定部164によるサービスの提供可否の判定は、例えば、記憶部166に事前に登録された提供サービス情報を用いて行われる。
【0058】
図6は、記憶部166に事前に登録され得る、通信状況と関連付けられた提供サービス情報の一例を示している。図6の1行目、2行目には、無線通信と静電界通信の通信状況がそれぞれ定義されている(○:通信中、×:非通信中)。ここから、図6のA列は無線通信中の場合、B列は静電界通信中の場合に該当することが分かる。
【0059】
また、図6の3行目〜6行目には、端末装置150により提供されるサービスの一例として、“着信<音>”(音で知らせる着信)、“着信<バイブレーション>“(バイブレーションで知らせる着信)、“通話“、“メール送受信“の各サービスが順に列記されている。そして、これら各サービスについて、無線通信中の場合(A列)と静電界通信中の場合(B列)にそれぞれサービスを提供可能か否かが定義されている(○:提供可、×:提供不可)。図6の例では、無線通信中の場合(A列)には、前述した全てのサービスを提供可能である。一方、静電界通信中の場合(B列)には、バイブレーションで知らせる着信とメール送受信サービスは提供可能であるものの、音で知らせる着信と通話サービスは提供されない。
【0060】
判定部164は、例えば、このような提供サービス情報を記憶部166から取得し、制御部162からのサービス提供可否の問合せに応答する。そして、制御部162は、判定部164からの応答を受け、提供可能であると判定されたサービスのみをユーザに提供する。
【0061】
記憶部166は、前述した提供サービス情報の他、端末装置150の有する各機能を実行するためのプログラムやデータ、及びユーザが閲覧又は使用するデータなどを記憶する。
【0062】
ここまで、図3〜図6を用いて、本発明の第1の実施形態について説明した。本実施形態において、施設102の内部では、妨害波発信器104の影響により、端末装置150を用いて無線通信をすることはできない。しかし、施設102の内部に設置された中継装置120の電極部130と接する(又は近傍に位置する)ユーザは、端末装置150を用いて静電界通信をすることができる。
【0063】
このとき、静電界通信を使用して提供されるサービスは、前述した提供サービス情報に基づいて、個々のサービスの単位で制限される。かかる提供サービス情報は、端末装置150の備える操作部158などを介して自由に追加・変更されることができる。そのため、例えばコンサートホールや劇場の内部ではバイブレーションで知らせる着信とメールのみを許可するなど、場所に応じた提供サービスの柔軟な選択が可能となる。
【0064】
また、図6には示していないが、例えば記憶部166に、無線通信と静電界通信が両方とも利用できる場合にどちらの通信を優先的に使用するかを示す優先順位情報を記憶しておいてもよい。その場合には、判定部164により当該優先順位情報を取得し、制御部162に優先すべき通信方式を用いた通信サービスを提供させることができる。それにより、例えばコンサートホールの休憩場所や繁華街など、混雑により無線通信が輻輳する恐れのある場所に電極を設置し、静電界通信を代替的な通信手段として用いることが可能となる。
【0065】
〔3〕第2の実施形態
〔3−1〕第1の構成例
第1の実施形態では、1つの中継装置と端末装置とを含む通信システムを施設の内部に構成し、中継装置から送信される静電界信号S2を受信した端末装置において、通信状況に応じて提供されるサービスを適宜制限する例について説明した。これに対し、施設の内部に複数の中継装置を含む通信システムを設け、各中継装置に通信サービスを判定するための情報を持たせれば、よりきめ細やかなサービスの選択が可能となる。
【0066】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る通信システム200の概要を示す模式図である。
【0067】
図7を参照すると、通信システム200は、第1の実施形態に係る通信システム100と同様、施設102の内部に存在する。施設102には、妨害波発信器104が設置されている。そのため、ユーザ(人体110)が所持する端末装置250A及び250Bは、施設102の外部に位置する基地局10から送信される電波を受信することができない。
【0068】
また、本実施形態において、施設102の内部には、領域102Aと領域102Bが存在する。そして、領域102Aには中継装置220Aが設置され、中継装置220Aの電極に通信端末250Aを保持するユーザ110Aが接している。一方、領域102Bには中継装置220Bが設置され、中継装置220Bの電極に通信端末250Bを保持するユーザ110Bが接している。
【0069】
図7の例において、基地局10から送信される電波は、中継局12によって受信され、基幹信号S1となる。そして、基幹信号S1は、中継装置220A及び中継装置220Bへ入力される。
【0070】
図8は、本実施形態に係る中継装置220(中継装置220A及び中継装置220B)の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図8を参照すると、中継装置220は、基幹通信部122、処理部224、記憶部226、信号変換部128、及び電極部130を備える。
【0071】
本実施形態において、基幹通信部122の出力する基幹信号S1は、信号変換部128に受け渡される前に、処理部224へ入力される。ここで、本実施形態における基幹信号S1には、当該信号によって提供されるサービスを識別するためのサービス識別子が含まれるものとする。
【0072】
図9は、基幹信号S1の構成の一例を示す説明図である。図9を参照すると、基幹信号S1は、ヘッダ部及びデータ部を有する。そして、ヘッダ部には、サービス識別子が含まれる。
【0073】
サービス識別子とは、図9に一例として示したように、例えば、通話(X1)、メール送受信(X2)、動画配信(X3)、及びその他サービス(XX)などの各サービスを識別するための識別子である。サービス識別子は、例えば、TCP/IPパケットに含まれるポート番号であってもよい。また、サービス識別子は、通信システム200により独自に定義される記号などであってもよい。
【0074】
図8に示した中継装置220の処理部224は、基幹信号S1を入力されると、当該基幹信号S1に含まれるサービス識別子を取得する。そして、取得したサービス識別子が自装置の設置された領域において許可されたサービスを示している場合にのみ、基幹信号S1を後続の機能ブロック(信号変換部128又は基幹通信部122)へ出力する。
【0075】
ここで、処理部224により取得されたサービス識別子が許可されたサービスを示しているか否かは、例えば記憶部226に事前に登録された中継サービス情報に基づいて判定される。図10は、記憶部226に事前に登録され得る、中継装置220の設置された領域と関連付けられた中継サービス情報の一例を示している。
【0076】
図10(A)は、領域Aの中継装置220Aに用いられる中継サービス情報の一例である。図10(A)を参照すると、領域Aにおいては、通話(X1)、メール送受信(X2)、動画配信(X3)、及びその他サービス(XX)は、いずれも許可されている。例えば、領域Aが、通話やメールなどを自由に利用可能なコンサートホールや劇場の休憩場所などであれば、中継サービス情報は図10(A)のように定義され得る。
【0077】
一方、図10(B)は、領域Bの中継装置220Bに用いられる中継サービス情報の一例である。図10(B)を参照すると、領域Bにおいては、メール送受信(X2)のみが許可され、他のサービスは全て拒否されている。例えば、領域Bが、通話が認められないコンサートホールや劇場の実演場所などであれば、中継サービス情報は図10(B)のように定義され得る。
【0078】
処理部224は、例えば、このような中継サービス情報を記憶部226から取得し、基幹信号S1に含まれるサービス識別子が許可されたサービスを示しているか否かを判定する。そして、許可されたサービスを示すサービス識別子を有する基幹信号S1のみを、信号変換部128又は基幹通信部122へ出力する。
【0079】
図11は、本実施形態に係る中継装置220が実行する中継処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0080】
図11を参照すると、まず、基幹通信部122により基幹信号S1が受信される(S1102)。次に、処理部224により、基幹信号S1に含まれるサービス識別子が取得される(S1104)。そして、処理部224は、サービス識別子が自装置の設置された領域において許可されているサービスを示しているか否かを、記憶部226から取得した中継サービス情報に基づいて判定する(S1106)。ここで、サービス識別子が許可されているサービスに該当しなければ、処理はS1102に戻り、中継装置220は次の基幹信号S1を待ち受ける。
【0081】
一方、S1106において、サービス識別子が許可されているサービスに該当した場合には、基幹信号S1は信号変換部128へ入力され、静電界信号S2に変換される(S1108)。そして、静電界信号S2は、電極部130から送信され(S1110)、人体110を介して端末装置250に伝達される。
【0082】
その後、端末装置250から応答信号としての静電界信号S2が出力されると、当該静電界信号S2は、電極部130により受信される(S1112)。そして、受信された静電界信号S2は、信号変換部128により基幹信号S1に変換され(S1114)、基幹通信部122から外部装置へ送信される(S1116)。
【0083】
なお、図11のフローチャートでは、端末装置250からの応答信号に対する処理部224によるサービス識別子の判定を行わない例を説明しているが、端末装置250からの応答信号に対して処理部224によるサービス識別子の判定を行ってもよい。
【0084】
ここまで、図7〜図11を用いて、本実施形態の第1の構成例について説明した。本構成例において、施設102の内部では、妨害波発信器104の影響により、ユーザは、端末装置250を用いて無線通信をすることはできない。ここで、施設102の内部の領域Aには中継装置220A、領域Bには中継装置220Bが設置される。そして、各中継装置220は、前述した中継サービス情報に基づき、自装置の設置された領域において許可されたサービスに該当する基幹信号S1のみを静電界信号S2に変換して中継する。
【0085】
かかる中継サービス情報は、中継装置220の記憶部226に自由に追加・変更され得る。そのため、例えばコンサートホールや劇場のある領域では静電界通信を使用した全てのサービスの利用を許可し、ある領域では一部のサービスのみの利用を許可するなど、場所に応じた提供サービスの柔軟な選択が可能となる。
【0086】
〔3−2〕第2の構成例
前述した本実施形態の第1の構成例では、端末装置250は、受信した静電界信号S2を無条件で処理し得た。これに対し、次に説明する第2の構成例のように、サービス提供の判断を端末装置250に行わせてもよい。以下、本実施形態の第2の構成例について説明する。
【0087】
本構成例において、中継装置220の処理部224は、図11のS1106に関連して説明したサービス識別子の判定処理の代わりに、例えば信号変換部128へ出力される信号の末尾に、自装置の設置された領域において許可されるサービスに関する情報を付加する。
【0088】
図12は、施設102の内部のある領域に位置するユーザの端末装置250により受信される静電界信号S2の構成の一例を示す説明図である。図12を参照すると、静電界信号S2は、ヘッダ部及びデータ部に加えて、付加部を有する。ヘッダ部には、サービス識別子が含まれている。また、付加部には、当該領域内で許可されるサービスを識別する許可サービス識別子が含まれている。
【0089】
許可サービス識別子は、例えば、中継装置220の処理部224によって記憶部226から取得され、信号変換前の基幹信号S1又は信号変換後の静電界信号S2に付加される。図12の例では、記憶部226に事前に登録された許可サービス情報の中で、メール送受信サービスを表す識別子“X2”が、許可サービス識別子として信号の末尾に付加されている。
【0090】
図13は、本実施形態に係る端末装置250(端末装置250A及び端末装置250B)の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図13を参照すると、端末装置250は、無線通信部152、静電界通信部154、表示部156、操作部158、通話部160、制御部262、判定部264、及び記憶部166を備える。
【0091】
制御部262は、無線通信部152による無線通信、静電界通信部154による静電界通信、表示部156による画面表示、通話部160を介した通話など、端末装置250の機能全般を制御する。即ち、端末装置250によりユーザに提供される電話サービスやメールサービスなどの各サービスは、制御部262により制御される。また、本構成例において、制御部262は、ユーザにサービスを提供する前に、当該サービスの提供の可否の判定を判定部264に要求する。
【0092】
判定部264は、静電界通信部154を使用したサービスの提供の可否の判定を制御部262により要求されると、静電界信号S2のヘッダ部に含まれるサービス識別子、及び付加部に付加された許可サービス識別子を取得する。そして、ヘッダ部から取得したサービス識別子が許可サービス識別子に含まれていれば、当該サービスを提供可能であると判定する。そして、制御部162は、判定部164からの応答を受け、提供可能であると判定されたサービスのみをユーザに提供する。
【0093】
図14は、本構成例に係る端末装置250が実行する静電界通信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0094】
図14を参照すると、まず、静電界通信部154により静電界信号S2が受信される(S1202)。次に、制御部262からの要求を受けた判定部264により、静電界信号S2のヘッダ部からサービス識別子が取得される(S1204)。また、同様に、静電界信号S2の付加部から許可サービス識別子が取得される(S1206)。そして、判定部264は、ヘッダ部から取得したサービス識別子が許可サービス識別子に含まれているか否かを判定する(S1208)。ここで、サービス識別子が許可サービス識別子に含まれていなければ、処理はS2102に戻り、端末装置250は次の信号を待ち受ける。
【0095】
一方、S1208において、サービス識別子が許可サービス識別子に含まれていた場合には、判定部264からの応答を受けた制御部262により、所定のサービスが実行される(S1210)。そして、制御部262は、応答信号としての静電界信号S2を、静電界通信部154から送信させる(S1212)。
【0096】
ここまで、図12〜図14を用いて、本実施形態の第2の構成例について説明した。本構成例において、施設102の内部に設置された中継装置220A又は中継装置220Bは、前述した許可サービス情報を参照し、端末装置250へ中継する信号に許可サービス識別子を付加する。そして、中継装置220により中継された静電界信号S2を受信した端末装置250は、当該許可サービス識別子に基づいて、ユーザへの提供が許可されているサービスのみをユーザへ提供する。
【0097】
本構成例では、中継装置220は、基幹信号S1に含まれるサービス識別子を意識する必要がない。そのため、例えばセキュリティ上の要請により通信内容が暗号化される場合など、中継装置220がサービス識別子を取得できない場合にも、施設内で場所に応じた提供サービスの柔軟な選択が可能となる。
【0098】
〔4〕第3の実施形態
第1及び第2の実施形態では、妨害波発信器の設置された施設の内部に通信システム100又は200を配置し、静電界通信を使用した通信サービスをユーザに提供する例について説明した。しかし、例えば、航空機の内部や車両の優先席の周辺などでは、電波が発信されること自体が問題となることから、妨害波発信器を設置することは現実的でない。そこで、本発明の第3の実施形態では、妨害波発信器を設置することなく、無線通信の使用を技術的に制限する手法について説明する。
【0099】
図15は、本発明の第3の実施形態に係る通信システム300の概要を示す模式図である。図15を参照すると、通信システム300は、施設302の内部に存在する。施設302は、例えば航空機の客室であって、妨害波発信器を設置することはできない。
【0100】
本実施形態において、施設302の内部には、領域302Aと領域302Bが存在する。領域302Aには中継装置320Aが設置され、中継装置320Aの電極に通信端末350Aを保持するユーザ110Aが接している。領域302Bには中継装置320Bが設置され、中継装置320Bの電極に通信端末350Bを保持するユーザ110Bが接している。
【0101】
また、図15には、施設302の外部に専用中継機14が示されている。専用中継機14は、例えば、航空機の機器に影響を与えない航空無線の特定のチャネル信号を送受信する専用の無線機能を備える。そして、専用中継機14によって受信された信号は、基幹信号S1として中継装置320A及び中継装置320Bへ入力される。
【0102】
図16は、本実施形態に係る中継装置320(中継装置320A及び中継装置320B)の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図16を参照すると、中継装置320は、基幹通信部122、処理部224、記憶部226、信号変換部128、電極部130、及び定常信号生成部332を備える。
【0103】
中継装置320の定常信号生成部332は、電極部130の周囲に位置するユーザの保持する端末装置350へ向けて、自装置との間の静電界通信が有効であることを通知する定常信号を定期的に送信する。
【0104】
図17は、中継装置320と端末装置350との間で静電界通信により送受信される信号の様子を時間軸に沿って示した説明図である。図17を参照すると、定常信号Sが、一定の周期Tをもって中継装置320の定常信号生成部332から送信されている。そして、隣り合う定常信号Sの間に、通信サービスを提供するための通常のデータ信号S2が送受信されている。
【0105】
このように定常信号生成部332から電極部130を介して送信された定常信号Sは、端末装置350により受信される。
【0106】
図18は、本実施形態に係る端末装置350(端末装置350A及び端末装置350B)の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図18を参照すると、端末装置350は、無線通信部152、静電界通信部154、表示部356、操作部158、通話部160、制御部362、判定部364、及び記憶部166を備える。
【0107】
判定部364は、静電界通信部154により前述した定常信号Sが受信されると、現在自装置が静電界通信可能な場所に位置していることを認識する。そして、判定部364は、例えば定常信号Sを受信している間、無線通信部152による無線信号の送受信を制御部362により停止させる。
【0108】
ここで、例えば、中継装置320の定常信号生成部332が定常信号Sを送信する際に、無線信号の送受信を停止させるか否かを指定する情報を定常信号Sに含めておくことも考えられる。その場合には、判定部364は、定常信号Sにおいて無線信号の送受信の停止が指定されている場合にのみ、無線通信部152による無線信号の送受信を停止させることができる。
【0109】
また、判定部364は、定常信号Sが受信されない場合には、例えばユーザが施設302の外部など、無線通信が許容される領域に移動したものと認識する。その場合、判定部364は、無線通信部152による無線信号の送受信を再開させる。
【0110】
本実施形態(又は他の実施形態)において、制御部362は、現在の端末装置350の無線通信及び静電界通信の状況を、表示部356に表示させるのが好適である。図19は、表示部356により端末装置350の表示装置に表示される画面の一例を示す模式図である。
【0111】
図19を参照すると、表示部356により表示された画面D1には、日付及び時刻といった文字情報の他、無線通信の状況を表示するアイコンI1、静電界通信の状況を表示するアイコンI2が示されている。アイコンI1は、例えば無線信号の強度が3段階で判別可能なように構成される。アイコンI2は、例えば静電界信号の強度が3段階で判別可能なように構成される。また、アイコンI1には、現在無線信号の送受信が停止されていることを示すマークM1が付与されている。マークM1は、例えば、前述したように、航空機の内部など無線通信の使用が制限される施設において、端末装置350が定常信号Sを受信し、無線信号の送受信が停止されている場合に付与される。一方、マークM2は、現在使用可能な通信の種類を示すために付与される。
【0112】
ここまで、図15〜図19を用いて、本発明の第3の実施形態について説明した。本実施形態では、施設302の内部において妨害波発信器を使用することができない。その代わりに、中継装置320から静電界通信による定常信号Sを周期的に送信し、端末装置350による無線信号の送受信を停止させる。
【0113】
これまで、妨害波の発信などにより無線通信を遮断できない場合には、無線通信の使用の抑止は、ユーザのマナー又は乗務員による指導などに委ねられていた。しかし、本実施形態によれば、定常信号Sを受信した端末装置350により、無線通信の使用を技術的に制限することができる。
【0114】
さらに、本実施形態によれば、無線通信の使用を制限するだけではなく、中継装置320及び専用中継機14を介して、静電界通信を使用したサービスをユーザに提供することもできる。また、前述した第1及び第2の実施形態に係るサービスの制限機能と組み合わせれば、例えば客席の周辺ではメールの送受信のみを許可し、車両のデッキなどでは通話も許可するなど、場所に応じた提供サービスの柔軟な選択も可能となる。
【0115】
〔5〕第4の実施形態
第1〜第3の実施形態では、電極部130の近傍に位置するユーザは、その場所において許可されたサービスを端末装置の設定で制限していない範囲で自由に利用することができた。しかし、例えば病院などにおいては、同一の場所でも医師や看護師による緊急連絡用の通話等は許可し、患者による通話は禁止するといったように、ユーザごとに異なるサービスを提供したいという要求もある。そこで、本発明の第4の実施形態では、同一の場所でもユーザごとに提供されるサービスを変えるための手法について説明する。
【0116】
図20は、本発明の第4の実施形態に係る通信システム400の概要を示す模式図である。図20を参照すると、通信システム400は、施設402の内部に存在する。施設402には、妨害波発信器104が設置されている。そのため、ユーザ(人体110)が所持する端末装置450は、施設402の外部に位置する基地局10から送信される電波を受信することができない。
【0117】
図20の例において、基地局10から送信される電波は、中継局12によって受信され、基幹信号S1となる。そして、基幹信号S1は、中継装置420へ入力される。
【0118】
図21は、本実施形態に係る中継装置420の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図21を参照すると、中継装置420は、基幹通信部122、処理部424、記憶部426、信号変換部128、電極部130、及び署名付加部434を備える。
【0119】
処理部424は、基幹信号S1を入力されると、例えば基幹信号S1の末尾に、図12に関連して説明した許可サービス識別子を付加する。基幹信号S1には、さらに署名付加部434により署名情報が付加される。署名情報は、例えば記憶部426に事前に保持される共通鍵暗号方式の共通鍵を用いて、署名付加部434により生成される。
【0120】
図22は、本実施形態において中継装置420から送信される静電界信号S2の構成を示す説明図である。図22を参照すると、静電界信号S2は、ヘッダ部、データ部、及び付加部を有する。ヘッダ部には、サービス識別子が含まれる。また、付加部には、ユーザへの提供を許可するサービスを指定する許可サービス識別子、及び、許可サービス識別子を暗号化することにより生成された署名情報が含まれる。かかる静電界信号S2は、端末装置450により受信される。
【0121】
図23は、本実施形態に係る端末装置450の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図23を参照すると、端末装置450は、無線通信部152、静電界通信部154、表示部156、操作部158、通話部160、制御部462、判定部464、記憶部466、及び署名検証部468を備える。
【0122】
制御部462は、無線通信部152による無線通信、静電界通信部154による静電界通信、表示部156による画面表示、通話部160を介した通話など、端末装置450の機能全般を制御する。即ち、端末装置450によりユーザに提供される電話サービスやメールサービスなどの各サービスは、制御部462により制御される。また、本実施形態において、制御部462は、ユーザにサービスを提供する前に、当該サービスの提供の可否の判定を判定部464に要求する。
【0123】
判定部464は、静電界通信部154を使用したサービスの提供の可否の判定を制御部462により要求されると、図22に示した静電界信号S2のヘッダ部に含まれるサービス識別子、並びに付加部に付加された許可サービス識別子及び署名情報を取得する。そして、判定部464は、署名検証部468にサービス識別子の正当性の検証を要求する。
【0124】
ここで、施設402において特別に認められたユーザ(例えば病院の医師や看護師)の使用する端末装置450には、予めその記憶部466に、前述した共通鍵が登録されているものとする。そして、署名検証部468は、判定部464からの要求を受け、記憶部466に事前に保持されている共通鍵を使用して署名情報を復号化することにより、サービス識別子の正当性を検証し、検証結果を判定部464に出力する。
【0125】
その結果、判定部464は、ヘッダ部から取得したサービス識別子が許可サービス識別子に含まれており、かつ当該サービス識別子の正当性が署名検証部468により検証された場合にのみ、当該サービスを提供可能であると判定する。そして、制御部462は、判定部464からの応答を受け、提供可能であると判定されたサービスのみをユーザに提供する。
【0126】
ここまで、図20〜図23を用いて、本発明の第4の実施形態について説明した。本実施形態において、中継装置420は、許可サービス識別子と共に、一部のユーザにのみ許可サービス識別子の正当性を検証することのできる署名情報を、端末装置450へ中継する静電界信号S2に付加する。そして、端末装置450は、正当性を検証できた許可サービス識別子により許可されているサービスのみをユーザに提供する。それにより、中継装置420が設置された同一の場所においても、共通鍵を事前に登録した特別なユーザとその他のユーザとの間で異なるサービスを提供することが可能となる。
【0127】
〔6〕第5の実施形態
電極間又は電極と伝送媒体間の静電結合を通信に用いる静電界通信では、無線通信と比較すると、端末装置に課せられる位置の制約が大きくなる。しかし、第1〜第4の実施形態では、こうした静電界通信における位置の制約を積極的に活用し、場所に応じた提供サービスの柔軟な選択を可能とした。さらに、本発明の第5の実施形態では、静電界通信を使用した通信サービスのうち、情報提供サービスにより提供される情報の内容を、場所に応じて柔軟に選択する手法について説明する。
【0128】
図24は、本実施形態に係る中継装置520の論理的な構成の一例を示すブロック図である。図24を参照すると、中継装置520は、基幹通信部122、処理部524、記憶部526、信号変換部128、電極部130、及び操作部536を備える。
【0129】
本実施形態において、処理部524は、基幹信号S1を入力されると、記憶部526から付加情報を取得し、例えば基幹信号S1の末尾に付加する。付加情報が付加された基幹信号S1は、信号変換部128により静電界信号S2に変換された後、電極部130から送信される。かかる付加情報は、例えば端末装置150の表示部156により、ユーザに表示される。
【0130】
図25は、本実施形態において中継装置520から送信される静電界信号S2の構成を示す説明図である。図25を参照すると、静電界信号S2は、ヘッダ部、データ部、及び付加部を有する。ヘッダ部には、例えばサービス識別子が含まれる。また、付加部には、処理部524により付加された付加情報が含まれる。
【0131】
付加情報は、中継装置520が設置された場所に関連する任意の情報であってよい。例えば、付加情報として、特定の店舗でのみ取り扱っている商品の広告情報が付加されてもよい。また、地域に特有の災害情報や交通機関に特化した運行情報などを付加情報として扱ってもよい。さらに、付加情報として音声情報を信号に付加し、端末装置によって再生してもよい。これら付加情報は、操作部536を操作するユーザにより、又は基幹信号S1若しくは静電界信号S2を用いて通信網経由で、中継装置520の記憶部526へ事前に登録され得る。
【0132】
ここまで、図24及び図25を用いて、本発明の第5の実施形態について説明した。本実施形態において、中継装置520は、自装置が設置された場所に関連する任意の情報を、端末装置550へ中継する信号に付加する。それにより、静電界通信を使用した情報提供サービスにより提供される情報の内容を、場所に応じて柔軟に選択することが可能となる。
【0133】
なお、本実施形態では、中継装置520から端末装置150へ送信する信号に付加情報を付加する例を説明したが、端末装置150から中継装置520を経由して外部装置へ送信される信号に付加情報が付加されてもよい。例えば、静電界通信が使用されたことを示す識別情報を信号に付加することにより、静電界通信とその他の通信とを区別し、通信サービス料の課金方法を変えるなどの応用が考えられる。そうした場合には、例えば静電界通信を使用した場合の料金を安価に設定し、静電界通信の使用を促進することができる。
【0134】
〔7〕まとめ
本明細書では、端末装置に静電界通信機能を備え、基幹信号を静電界信号として中継することのできる中継装置と組み合わせて通信システムを構成する、5つの実施形態について説明した。
【0135】
ここで、携帯型の端末装置で使用され得る通信方式としては、本明細書で述べた無線通信及び静電界通信の他に、例えば赤外線通信が挙げられる。しかし、赤外線通信の場合には、赤外線の指向性が原因で通信範囲が特定の方向に偏ってしまい、また使用時にユーザが端末装置をかざすなど意図的な動作が求められる点で利便性が損なわれる。
【0136】
また、例えばBluetooth(登録商標)に代表される近距離通信を使用した場合には、通信の開始に際して端末装置間の初期設定が必要であり、また静電界通信のような通信領域の局所的な設定ができない点が課題となる。
【0137】
これに対し、静電界通信を用いれば、電極の設置された領域にユーザが入った場合には、直ちに、自由な姿勢で通信が可能となる。そこで、そうした静電界通信の特性を生かし、また電極の存在という位置の制約を積極的に活用することにより、上述の各実施形態のように、場所に応じて通信サービスの提供形態を柔軟に選択することを可能とした。
【0138】
なお、本明細書では、主に無線通信と静電界通信の両方の機能を有する端末装置について説明したが、第1〜第5の各実施形態を、静電界通信の機能のみを有する専用の端末装置に適用してもよい。そうした場合にも、専用の端末装置を使用するユーザに、場所に応じて柔軟に選択されるサービスを提供することができる。
【0139】
また、本明細書において説明した中継装置又は端末装置に係る制御処理又は判定処理などの一連の処理をハードウェアで実現するかソフトウェアで実現するかは問わない。一連の処理をソフトウェアで実行させる場合には、ソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ、又は例えば図26に示した汎用コンピュータなどを用いて実行される。
【0140】
図26において、CPU(Central Processing Unit)902は、汎用コンピュータの動作全般を制御する。ROM(Read Only Memory)904には、一連の処理の一部又は全部を記述したプログラム又はデータが格納される。RAM(Random Access Memory)906には、CPU902が演算処理に用いるプログラムやデータなどが一時的に記憶される。
【0141】
CPU902、ROM904、及びRAM906は、バス908を介して相互に接続される。バス908にはさらに、入出力インタフェース910が接続される。
【0142】
入出力インタフェース910は、CPU902、ROM904、及びRAM906と、入力装置912、表示装置914、記憶装置916、第1及び第2の通信装置918、919、及びドライブ920とを接続するためのインタフェースである。
【0143】
入力装置912は、例えばボタン、スイッチ、レバー、マウスやキーボードなどの入力装置を介して、ユーザからの指示や情報入力を受け付ける。表示装置914は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの表示装置を介してユーザに対して情報を表示する。記憶装置916は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリなどにより構成され、プログラム又はプログラムデータなどを記憶する。
【0144】
第1の通信装置918は、インターネット、LAN、WAN、専用線などを経由する基幹信号又は無線信号を送受信するための通信インタフェースである。第2の通信装置919は、静電界信号を送受信するための電極や共振回路等を有する。
【0145】
ドライブ920は、必要に応じて汎用コンピュータに設けられ、例えばドライブ920にはリムーバブルメディア922が装着される。
【0146】
一連の処理をソフトウェアで実行する場合には、例えば図26に示したROM904、記憶装置916、又はリムーバブルメディア922に格納されたプログラムが、実行時にRAM906に読み込まれ、CPU902によって実行される。
【0147】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0148】
例えば、第1〜第5の実施形態において、ユーザが電極の近傍に位置している際には、通信サービスが制限されていない限り、直ちに静電界通信を使用できることとしている。しかしながら、その代わりに、端末装置は、表示部及び操作部を介して、ユーザに明示的に無線通信から静電界通信への切替えの指示又は確認を求めてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】無線通信サービスを制限するための一般的な手法を例示する模式図である。
【図2】一実施形態に係る通信システムの基本的な構成を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
【図4】第1の実施形態に係る中継装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る端末装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態に係る端末装置の記憶部に登録され得る提供サービス情報の一例を示す説明図である。
【図7】第2の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
【図8】第2の実施形態に係る中継装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態において中継装置から送信される信号の第1の構成例を示す説明図である。
【図10】第2の実施形態に係る中継装置の記憶部に登録され得る中継サービス情報の一例を示す説明図である。
【図11】第2の実施形態において中継装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】第2の実施形態において中継装置から送信される信号の第2の構成例を示す説明図である。
【図13】第2の実施形態に係る端末装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施形態において端末装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
【図16】第3の実施形態に係る中継装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図17】第3の実施形態において中継装置から送信される信号の様子を時系列で例示する説明図である。
【図18】第3の実施形態に係る端末装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図19】第3の実施形態に係る端末装置に表示される画面例を示す模式図である。
【図20】第4の実施形態に係る通信システムの構成を示す模式図である。
【図21】第4の実施形態に係る中継装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図22】第4の実施形態において中継装置から送信される信号の構成例を示す説明図である。
【図23】第4の実施形態に係る端末装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図24】第5の実施形態に係る中継装置の論理的な構成を示すブロック図である。
【図25】第5の実施形態において中継装置から送信される信号の構成例を示す説明図である。
【図26】汎用コンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0150】
10 基地局
12 中継局
14 専用中継機
100、200、300、400、500 通信システム
102、302、402 施設
104 妨害波発信器
110 人体
120、220、320、420 中継装置
122 基幹通信部
124、224、424、524 処理部
126、226、426、526 記憶部
128 信号変換部
130 電極部
332 定常信号生成部
434 署名付加部
536 操作部
150、250、350、450 端末装置
152 無線通信部
154 静電界通信部
156、356 表示部
158 操作部
160 通話部
162、262、362、462 制御部
164、264、364、464 判定部
166、466 記憶部
468 署名検証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部と;
前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部と;
前記信号変換部により変調された静電界信号を静電界の電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部と;
を備える中継装置。
【請求項2】
前記中継装置は、
前記基幹通信部により受信された前記通信信号から当該通信信号により提供される通信サービスを識別するサービス識別子を取得し、取得された当該サービス識別子が事前に定義された中継対象の通信サービスに該当する場合にのみ、前記通信信号を前記信号変換部により前記静電界信号に変換させる処理部、
をさらに備える、請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記中継装置は、
ユーザへの提供を許可する通信サービスを指定する許可サービス識別子を前記基幹通信部により受信された前記通信信号に付加し、前記許可サービス識別子が付加された前記通信信号を前記信号変換部により前記静電界信号に変換させる処理部、
をさらに備える、請求項1に記載の中継装置。
【請求項4】
前記中継装置は、
共通鍵を用いて前記許可サービス識別子を暗号化して署名情報を生成し、生成した当該署名情報を前記基幹通信部により受信された前記通信信号に付加する署名付加部、
をさらに備える、請求項3に記載の中継装置。
【請求項5】
前記中継装置は、
所定の静電界信号を周期的に前記電極部から送信させる定常信号送信部、
をさらに備える、請求項1に記載の中継装置。
【請求項6】
前記中継装置は、
前記基幹通信部により受信された前記通信信号に任意の情報を付加して前記信号変換部により前記静電界信号に変換させ、又は、前記信号変換部により静電界信号から変換された通信信号に任意の情報を付加して前記基幹通信部により前記外部装置へ送信させる処理部、
をさらに備える、請求項1に記載の中継装置。
【請求項7】
外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部と;
静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部と;
前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部と;
を備える端末装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記無線通信部及び前記静電界通信部による通信状況を取得し、取得した当該通信状況に応じて前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記無線通信部及び前記静電界通信部が共に通信可能である場合には、事前に与えられた優先順位情報に基づいて前記無線信号又は前記静電界信号のうち通信サービスの提供に使用される信号を決定する、請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記判定部は、ユーザへの提供を許可する通信サービスを指定する許可サービス識別子を前記静電界信号から取得し、取得した許可サービス識別子に基づいて前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項11】
前記端末装置は、
前記静電界信号に付加された前記許可サービス識別子に対する署名情報を共通鍵を使用して復号化することにより前記許可サービス識別子の正当性を検証する署名検証部、
をさらに備える、請求項10に記載の端末装置。
【請求項12】
前記静電界通信部は、周期的に送信される静電界信号である定常信号を受信し、
前記判定部は、前記静電界通信部により前記定常信号が受信された場合には、前記無線通信部による無線信号の送受信を停止させる、
請求項7に記載の端末装置。
【請求項13】
前記端末装置は、
前記無線通信部により送受信される前記無線信号の信号強度と、前記静電界通信部により送受信される前記静電界信号の信号強度と、前記無線信号及び前記静電界信号のうち現在使用可能な信号の種類とをユーザに表示する表示部、
をさらに備える、請求項7に記載の端末装置。
【請求項14】
静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部と;
前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部と;
を備える端末装置。
【請求項15】
外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部;
前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部;
及び、前記信号変換部により変調された静電界信号を電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部;
を備える中継装置と;
外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部;
静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部;
及び、前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部;
を備える端末装置と;
を含む通信システム。
【請求項16】
外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部;
前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、静電界における電位に変調された静電界信号を復調して前記外部装置との間で送受信される通信信号に変換する信号変換部;
前記信号変換部により変調された静電界信号を電位として放射し、又は、静電界の電位を感知して静電界信号を生成し前記信号変換部へ出力する電極部;
及び、前記基幹通信部により受信された前記通信信号から当該通信信号により提供される通信サービスを識別するサービス識別子を取得し、取得された当該サービス識別子が事前に定義された中継対象の通信サービスに該当する場合にのみ、前記通信信号を前記信号変換部により前記静電界信号に変換させる処理部;
をそれぞれ備える第1及び第2の中継装置と;
外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部;
及び、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部;
を備える端末装置と;
を含む通信システムであって、
前記第1の中継装置に事前に定義された中継対象の通信サービスと前記第2の中継装置に事前に定義された中継対象の通信サービスとは同一でない、
通信システム。
【請求項17】
外部装置から送信された有線又は無線による通信信号を中継装置において受信するステップと;
受信された前記通信信号を静電界における電位に変調された静電界信号に変換し、中継装置に設けられた電極部から放射するステップと;
無線信号を送受信する無線通信部及び静電界信号を送受信する静電界通信部を備える端末装置において、放射された前記静電界信号を静電界の電位を感知することにより受信するステップと;
を含む通信方法。
【請求項18】
外部装置との間で有線又は無線による通信信号を送受信する基幹通信部、及び、静電界信号を静電界の電位として放射し又は静電界の電位を感知して静電界信号を生成する電極部を備える中継装置を制御するコンピュータを:
前記基幹通信部により受信された前記通信信号を静電界における電位に変調して静電界信号に変換し、又は、前記電極部により生成された静電界信号を復調して前記通信信号に変換する信号変換部;
として機能させるためのプログラム。
【請求項19】
外部装置との間で無線信号を送受信する無線通信部、及び、静電界の電位に変調された静電界信号を送受信する静電界通信部を備える端末装置を制御するコンピュータを:
前記無線信号又は前記静電界信号により提供される通信サービスの提供可否を判定する判定部;
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−28382(P2010−28382A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186303(P2008−186303)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】