説明

中耳炎の経膜治療方法および予防方法

リポソームおよび他の脂質ベシクルのような薬剤を含んだ経膜キャリア組成物の鼓膜への経膜投与により、中耳感染を治療および予防する方法。外耳の痛み、炎症または感染を治療するのに有用な薬剤を併用投与してもよい。経膜投与に用いられた場合、リポソームや他の脂質ベシクルは、通常は立体的に安定化されないこととなる。本発明の方法により送達される薬剤には、抗生物質、抗ウイルス剤、抗菌剤および抗炎症剤があり、中耳感染およびその後遺症の治療および/または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中耳炎(中耳感染)を治療する非侵襲性の方法に関する。より詳細には、本発明は、鼓膜を透過して送達することにより、中耳炎の治療に有用な薬剤を中耳に投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年数百万人の子供が中耳炎、すなわち、中耳の感染に襲われている。大人も中耳感染を受けやすいが、相対的に短い耳道が炎症により容易に閉ざされやすいため、子供に特に危険がある。そして、体液が鼓膜の裏側でトラップされ、重度の痛みをきたし、微生物が繁殖する環境をもたらすこととなる。
【0003】
鼓膜は、中耳に薬物を導入することに対する大きな障壁であり、中耳感染を治療するために処方される抗生物質はほとんどいつも経口で摂取される。しかし、種々の細菌とウイルスが中耳感染の原因となり得、何が特定の感染の原因であるかを区別するのはしばしば不可能であり、経口抗生物質による治療に適するかどうかを区別できない。さらに、経口投与された抗生物質の中耳への影響は、薬剤の全身分配のために薄められ、患者を全身送達に伴う副作用の危険にさらすこととなりうる(例えば、女性患者における酵母感染)。
【0004】
再発性の感染に罹患する子供は、鼓膜の液圧を減らすために手術が必要となる場合がある。より重篤な場合は、鼓膜に廃液チューブを設置することとなる。チューブ自身は感染の再発を防止するものではないが(逆に、中耳に他の病原の進入のための導管を提供する場合もある)、圧力を低減し、鼓膜の裏側にトラップされる液体の程度を低下させることができる。チューブはまた、中耳に直接抗生物質を導入できる導管を提供し、例えば、抗生物質の滴を適用し、廃液チューブ中に流すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この方法は、侵襲的で痛みを伴い、中耳に抗生物質を導入する他のルートに対する強い必要性を示唆する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、経膜送達により中耳に薬剤を直接導入できることがわかった。本発明によれば、薬剤は、鼓膜に適用される経膜キャリア組成物の有効成分として供給され、経膜キャリア組成物は、脂質ベースのエマルジョン、脂質ベシクル、リポソーム、リオソーム、ミセル、トランスファーソームおよび鼓膜を透過して薬剤を送達できる高分子キャリアなどである。
【0007】
好ましい薬剤は、中耳炎(中耳感染)およびその後遺症の治療または予防に有用なものである。本発明は、特に、抗生物質や抗ウイルス剤(感染が存在する原因に依存する)、抗菌剤、および抗炎症剤または他の鎮痛剤のような薬剤の送達によく適している。慢性再発性の中耳感染の予防には、本発明の方法を用いて、実際の感染と感染の間に、中耳に予防剤も送達できる。
【0008】
上述した本発明の概要は限定するためのものではなく、本発明の他の特徴および有利な点は、以下の発明を実施するための最良の形態および特許請求の範囲の記載から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
A.中耳炎の経膜治療方法
本発明は、中耳感染およびその後遺症の予防または治療に有用な薬剤を経膜キャリア組成物として投与することを介して、中耳炎を治療および予防する方法を提供する。本発明は、適切なキャリア中では、膜を突き刺すことなく(例えば、チューブの挿入や注射によることなく)、薬剤が鼓膜を透過して送達できるという驚くべき発見に由来する。
【0010】
「経膜投与」は、鼓膜を透過することができる本発明の経膜キャリア組成物が鼓膜の外耳側に適用され、薬剤を中耳に送達することを意味する。したがって、本発明は、罹患した個体の鼓膜への薬剤の経膜投与により中耳の感染およびその後遺症を予防および/または治療するための方法を提供する。
【0011】
経膜投与は、例えば、鼓膜への医薬組成物の適用の医学的に許容されるいずれかの手段を介して、例えば、針なし注射器や滴下器を耳道に挿入して膜にキャアリア組成物を適用することにより、本発明の経膜キャリア組成物を鼓膜に適用することを介して達成される。投与は、所与の抗生物質の治療効果投与量レベルが達成されるのに必要なだけ繰り返され、例えば、抗生物質0.3%w/wからなる経膜キャリア組成物の5〜10滴を罹患した子供の中耳炎を治療するために1日2回送達される。
【0012】
当業者は、特定の感染を治療するために適した投与計画に慣れており、容易にこれを選択できるであろう。選択される投与計画は、本発明により提供される特定のキャリアおよび薬剤の送達および使用のための確立された臨床的プロトコルに従うこととなる。1つの態様において、薬剤は脂質ベースのキャリアの少なくとも約0.3%w/wの濃度で提供される。
【0013】
組成物は、好ましくはキャリアとして経膜キャリア組成物そのものが投与されるが、種々の態様において、経膜キャリアは、キャリアゲルまたは他の適したキャリアとして投与される。
【0014】
B.本発明に使用する脂質ベースのキャリア
本発明は、このような送達の作用メカニズムとしていずれの理論によっても限定されるべきではないが、薬剤の経膜送達に適したキャリアは鼓膜の脂質リッチなチャネルと相互作用でき(例えば、ファンデルワールス相互作用)、またその中に進入することもできるものであると、今のところ考えられている。したがって、現在のところ好ましい経膜キャリアは、脂質エマルジョン(マイクロエマルジョンおよび水中油型エマルジョンを含む)のような脂質ベースのものであり、また、リポソーム、リオソーム、ミセルおよびトランスファーソーム(超可変(ウルトラフレキシブル)脂質ベシクル)のような脂質ベシクルである。リン脂質ベースの処方は、現在のところ好ましく、特に非ベシクル処方は本発明に有用である。
【0015】
また、本発明は、その作用メカニズムのいずれの理論にも限定されないが、経膜送達は感染の急性期に最も効果的であることが観察され、ここで鼓膜は中耳の圧力の増加により外向きに膨らみ(すなわち、外耳側に)、急性中耳感染の症状の特徴となる。膨らみは、体液が膜の裏側にトラップされていることを示す。本発明の脂質ベースのキャリアを膜の反対側に導入することは、浸透圧の差を創りだし、脂質ベースキャリアからの薬剤または脂質ベースキャリアとともに薬剤の経膜移動を容易にする。
【0016】
最も好ましくは、脂質ベシクル経膜組成物は、可変であり、すなわち、それらはコレステロールのような立体的安定化成分を含まない(しかし、立体的安定化ベシクルは外耳に併用投与する薬剤に使用してもよく、詳しくは後述する)。さらに、本発明により送達される薬剤は、好ましくは水相(例えばリポソームの中心部)ではなく、脂質相(例えば、リポソームの脂質2分子層中)に保持される。従って、(水相に分散できる水溶性薬剤よりも、一般的にベシクルの脂質層中に高濃度で提供できる)脂溶性薬剤が好ましいが、本発明に用いるために必要とされるものではない。
【0017】
脂質エマルジョンおよびベシクルを調製する方法は当分野で周知であり、ここでは本発明の使用のための経膜キャリア組成物の現在最も好ましい態様との関連で、立体的安定化剤を含まず、増粘剤をほとんどあるいは全く含まないリポソームついて、簡潔に概説する。
【0018】
「リポソーム」は、規則的な脂質2分子層により仕切られ、水相を包含する球状ベシクルを意味する。リポソームの脂質2分子層は、通常天然または合成のリン脂質で作られるが、非リン脂質で作ってもよい。リポソームの脂質2分子層は、規則的な2分子層であり、脂質の分子の「頭」および「尾」構造がお互いに順次並んでいる。
【0019】
本発明で用いられるリポソームは、ユニラメラ(1つの脂質2分子層を有する)またはより好ましくはマルチラメラである。「マルチラメラ」のリポソームは、多重の層または膜を有している。この型のリポソームは、脂質2分子層間の空間に水相を有する脂質2分子層の層を有する。マルチラメラリポソームは、少なくとも2つの脂質の層を有する。
【0020】
好ましいリポソームは、本明細書および本出願人が同時に出願中の2003年2月12日出願の米国特許出願番号10/366,584に記載されたものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に取り込まれるものとする。しかし、当業者は、リポソームの他の処方、すなわち、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシドのようなホスファチジル化合物などが利用可能であることを認識しうる。特に有用なものは、ジアシルホスファチジルグリセロールであり、脂質部位は14〜18個の炭素原子を含み、特に16〜18個の炭素原子であり、飽和のものである。例示的なリン脂質としては、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンがある。これらの脂質は、本発明の非ベシクル経膜キャリア組成物にも有用であろう。
【0021】
本発明で用いるリポソームと脂質ベシクルの大きさは、場合によっては可変であるが、このようなベシクルは、各々のバッチ調製で好ましくは単一の大きさである。リポソームは、20μm、25μm、さらに30μmまでであろう。しかし、好ましい態様では、約95%のリポソームが約0.5μm〜約10μmの直径であろう。1つの態様では、少なくとも80%のリポソームがここに記載された方法に従って製造された好ましい組成物において、約0.5μm〜約5μmである。この点において、「約」の語は、記載された値の上下5%の範囲を包含する。リポソームの実際の直径は、次の工程がリポソームの製造に用いられた場合には、その後の冷却曲線、攪拌またはボルテックス水和の長さと強さの関数となる。また他の態様では、リポソームは、1つの大きなリポソームが2以上の小さなリポソームを包含するマルチラメラリポソームでもよい。
【0022】
この分野で周知の方法により製造された従来のリポソームは、本発明で用いることができるが、本発明の好ましいリポソームは、先行技術のリポソームで見出されるような(例えば、Mezeiの米国特許番号4,761,288および4,897,269を参照のこと。この両者は、参照によりその全部が本明細書に取り込まれるものとする。)、脂溶性防腐剤を含まない。むしろ、同時に出願中の米国特許出願番号10/366584(その全体を本明細書に取り込む)に記載されたように、本発明のリポソームは、抗菌剤として機能できる水溶性防腐剤を使用し、これは好ましくは、塩化ベンゼトニウムのようなベンゼトニウム塩である。
【0023】
この点において、「防腐剤」は、細菌が処方中で実質的に成長し増加するのを防ぐ、経膜キャリア組成物に添加される原料を指す。さらに、「水溶性」は、水に100μg/ml(または0.01%)を超える水への溶解性を有する原料を意味する。他の態様において、原料は、1mg/ml(0.1%)を超える水への溶解度を有しうる。
【0024】
しかし、安息香酸、塩化ベンジルコニウムのようなベンジルコニウム塩などの他の水溶性防腐剤も、本発明で使用できる。防腐剤の選択が安定なリポソームを達成するのに重要であり、脂溶性防腐剤が細菌成長のためにリポソームの構造を弱め、不安定化し、低粘度の不安定な組成物となることが予期せずに発見された。他の水溶性防腐剤も使用でき、組成物のpHで活性となるように有利に選択される。
【0025】
本発明の好ましい態様において、使用されるリポソームは、脂溶性抗酸化剤としてビタミンEを含んでもよい。抗酸化剤は、フリーラジカルスカベンジャーとして作用し、リポソームの最大の安定性の達成を促進する。メチルセルロースや他の増粘剤が経膜キャリア組成物に加えられ、充分な粘度を達成し、液体組成物となることを避け、皮膚に適用しやすくする。最も好ましい態様において、本組成物は、抗酸化剤としてビタミンEを含み、また、増粘剤を2%w/w未満、1.5%未満、1.0%未満、0.5%未満、または0.25%未満しか含まない。
【0026】
より好ましくは、組成物は、メチルセルロースや他の増粘剤を全く含まず、これは、有効薬剤成分の最適な経膜透過をもたらす。1つの態様において、少なくともビタミンEの50%がリポソームの脂質2分子層に存在する。他の態様において、ビタミンEの少なくとも70%、80%、90%または95%が、リポソームの脂質層に存在する。
【0027】
「増粘剤」は、粘度を増加させるために組成物に添加される化合物を意味する。増粘剤は、25℃において組成物の粘度を少なくとも10,000センチポイズ増加させるであろう。増粘剤には、限定されないが、メチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、アカシア(アラビアゴム)カーボマー、およびセトステアリルアルコールがある。リン脂質は、この定義においては増粘剤とは見なされない。増粘剤は、添加しない場合に対し少なくとも10,000センチポイズ粘度を増加させ、他の態様では添加しない場合に対し20,000または30,000センチポイズ(40,000または50,000センチポイズもの高さまで)粘度を増加させることができる。
【0028】
従って、種々の態様において、本発明の好ましい経膜キャリア組成物は、2%w/w未満、1%未満、0.5%未満、またはさらに0%の増粘剤しか含まない。例えば、種々の態様では、組成物は、これらよりも少ない量の、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、炭酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素酸の塩のような、有機または無機塩しか含まない。組成物は、また、好ましくは、2%w/w未満、1%未満、またはさらに0%の臭化カリウム、塩化カリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素ジカリウム、硫酸カリウム、ヨウ化カリウム、硝酸カリウム、臭化リチウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、臭化アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素ジアンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、臭化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素ジナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムしか含まない。
【0029】
2%w/w未満、1%未満、またはさらに0%で経膜キャリア組成物に好ましく存在する他の塩としては、塩化アルカノールアミン、硫酸塩、リン酸塩、安息香酸、酢酸、サリチル酸、シュウ酸、フタル酸、グルコン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、プロピオン酸、アスコルビン酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸の塩、トリエタノールアンモニウムクロライド、リン酸2水素トリエタノールアンモニウム、硫酸トリエタノールアンモニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸アンモニウム、フタル酸ナトリウム、フタル酸カリウム、フタル酸アンモニウム、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸アンモニウム、1−ナフタレンスルホン酸アンモニウム、2−ナフタレンスルホン酸カリウム、2−ナフタレンスルホン酸アンモニウム、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、マロン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸トリエタノールアンモニウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸トリエタノールアンモニウム、アスコルビン酸カリウム、マンデル酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、およびクエン酸トリエタノールアンモニウムがある。
【0030】
種々の態様において、本発明に有用な経膜キャリア組成物は、メチルセルロースや他の増粘剤の存在なしに、58℃において少なくとも10,000センチポイズ、少なくとも20,000センチポイズ、少なくとも30,000センチポイズ、少なくとも40,000センチポイズ、少なくとも50,000センチポイズ、少なくとも60,000センチポイズ、または少なくとも70,000センチポイズの粘度を有する。メチルセルロースおよび他の増粘剤が処方中に存在しないため、経膜透過が実質的に増加する。1つの態様において、オレイルアルコールを、組成物中には存在するがリポソームの外に存在する薬剤の経膜透過を増強するために添加してもよい。
【0031】
いずれかの特定の理論に固執することを望むものではないが、水溶性防腐剤と脂溶性抗酸化剤の組み合わせがこれらの特定のリポソームの安定性を提供すると考えられる。これにより、リポソームが安定となり、高粘度にもなる。高い粘度は、経膜キャリア組成物が増粘剤をほとんど含まないか全く含まなくてもよくなる。増粘剤が、皮膚を透過する有効成分の移動を損なうと考えられる。本組成物は、充分な粘度を保持する一方で、有効成分の投与において最大限の皮膚透過のすぐれた性質を提供する。
【0032】
リポソームがリン脂質ベースのベシクルの場合、好ましい脂質は、ホスホリポン90H(phospholipon 90H)であり、これは大豆レシチンから精製して得られ、1,2−ジアシル−5N−グリセロ−3−ホスファチジルコリンの化学名を有する。最少で90%がホスファチジルコリンであり、完全に水添されている。しかし、当業者は他の脂質も本発明に用いてもよいことを理解するであろう。例えば、ホスファチジルコリンは低い純度でもよく、例えば、プロピレングリコール/エタノール、中鎖トリグリセライド、油/エタノール、ホスファチジン酸、コレステロールおよびホスファチジルイノシトールのような他の脂質やキャリア成分を含んでいてもよい。リン脂質は、いずれの天然でも合成のリン脂質でもよく、例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、卵若しくは大豆リン脂質、またはそれらの組み合わせである。リン脂質は、塩のものや脱塩のもの、水添若しくは部分水添、天然、合成、または半合成のものでもよい。市販のリン脂質の例としては、限定されないが、卵リン脂質P123(Pfanstiehl,ワウケジェン、イリノイ州)、Lipoid E80(Lipoid,ルードビッヒファーヘン,ドイツ)、および水添大豆リン脂質Phospholipon 80H(R)、80G(R)、90H(R)および100H(R)(Nattermann,ミュンヘン,ドイツ)、および99%純大豆ホスファチジルコリン(Avanti Polar Lipids、アラバスター、アラバマ州)がある。
【0033】
任意に、無水アルコールおよびプロピレングリコールを脂質相の共溶媒として使用でき、酢酸ビタミンEを抗酸化剤として含んでもよい。種々の態様において、セラミド、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、カルジオリピン、トリリノレインおよび他の化合物のような、他の脂質または脂質様物質を本発明に用いることができる。非リン脂質を本発明に用いることもできる。例えば、有用な非リン脂質物質としては、脂質ベシクルを形成するポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エーテル、ジエタノールアミン、長鎖アシルアミド、長鎖アシルアミノ酸アミド、長鎖アシルアミド、ポリオキシエチレンソルビタンオレート、ポリオキシエチレングリセロールモノステアレート、グリセロールモノステアレート、並びにそれらの混合物、類似物および誘導体がある。ベシクルは、またステロイドおよび電荷発生剤を含んでもよい。好ましいステロイドとしては、コレステロール、ハイドロコルチゾン、並びにそれらの類似体、誘導体、およびそれらの混合物がある。好ましい負電荷発生材料としては、オレイン酸、ジセチルリン酸、パルミチン酸、セチル硫酸、レチノイン酸、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、およびそれらの混合物がある。所望の場合にベシクルに正電荷を付与するために、脂質ベシクルが充分な量の水相を保持する限りにおいて、長鎖アミン、例えば、ステアリルアミンまたはオレイルアミン、長鎖ピリジニウム化合物、例えば、セチルピリジニウムクロライド、4級アンモニウム化合物、またはこれらの混合物を用いてもよい。
【0034】
非リン脂質リポソームを含む、他のリポソーム処方を本発明に用いてもよい。概説として、1988年月2日に発行されたMezeiの米国特許番号4,761,288に開示された多相リポソーム薬物送達システムは(その開示内容は、参照の簡便のために本明細書に取り込まれる)、本発明に利用されるリポソーム組成物の代表的な例示である。経膜キャリアとしての使用について、ベシクルを立体的に安定化させるための、またはターゲティングを提供するための、または徐放性ベシクル(または使用される他の脂質ベースのキャリア)を提供するための、リポソーム(または本発明に使用される他の脂質ベシクル)の修飾は、組成物の経膜活性を妨害し、このため、好ましくはない。
【0035】
本発明に好ましく用いられる経膜キャリア組成物は、「安定」であり、これは組成物の化学的または物理的性質を変えることなく少なくとも6ヶ月、1年または2年間保存できることを意味する。
【0036】
本発明に用いられる脂質ベースのキャリア中に取り込まれる化合物の数には、理論的な制限はない。しかし、当業者は、相対的に高い脂質:水含量を有するリポソーム組成物において一般的に高い包含率を有し、一般的に脂質相に保持される脂溶性薬剤が水相に保持される水溶性薬剤より高い濃度で脂質層に提供できることを知っている。
【0037】
例えば、2以上の原料を同じベシクルに包含でき、または有効成分が配合禁忌の場合、成分を別々に包含でき、2以上の原料を有する組成物を提供するために、または複数の有効成分によって単一の症状を治療するために、経膜キャリア組成物を組み合わせる。
【0038】
ベシクル中に包含された中耳の治療のための1以上の有効成分の第1のセットと、周囲の水相中に包含されない形態で分散している耳道を治療するための1以上の有効成分の第2のセットを含む、経膜キャリア組成物を投与することにより、中耳および耳道を同時に治療することも可能である(例えば、前者の感染を治療し、後者の腫れを軽減する)。包含された第1のセットの化合物は、鼓膜を透過して中耳に入り、包含されない第2のセットの化合物は入らない。
【0039】
例えば、分解に耐性のあるように製造されたリポソームのような徐放形態の第2のセットの化合物を投与することにより、併用投与も達成できる。当業者は、限定されないが、脂質層にコレステロールを添加すること(例えば、米国特許番号6,352,716を参照のこと。この目的のためにリポソームにコレステロールを取り込む方法の概要として、参照により本明細書に取り込まれる)、およびリポソーム製造中に増粘剤(メチルセルロースのような)を用いることなど、この目的を達成するための製造方法に慣れているであろう。
【0040】
このような相対的に不溶性の脂質ベシクルは、鼓膜を透過して薬剤を送達するのにはあまり適さないが、その代わり、送達された場所に留まり、第2の(または更なる)セットの化合物を含む薬剤を耳道に徐放することが期待される(例えば、そこの炎症を治療したり、または鎮痛剤を提供する)。このようなベシクルは、殺菌性や、外耳の感染を治療したり、感染速度を制御するのに有用な他の性質を有し、例えば、能力のある殺菌剤であるヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドをベシクルに正電荷を発生する物質として用いた場合、副次的な有利な点が提供される。そのような態様では、ベシクルはそれぞれの崩壊によって、持続的放出殺菌剤として作用する。
【0041】
C. 中耳炎の治療および予防のための有用な薬剤
「薬剤」は、中耳感染とその後遺症および関連した痛みと炎症の治療および/または予防に有用なすべての生物学的有効成分を意味する。従って、この点において、特に好ましい薬剤は、動物、特にヒトにおいて中耳感染の治療または予防に有用な抗生物質である。感染の重篤度とその原因に依存して、このような抗生物質には、限定されないが、アモキシシリン(および他のペニシリン)、シプロフロキサシン(およびオフロキサシンのような、他のキノロン抗生物質)、カラブラネート(および他のベータ−ラクタマーゼ阻害剤)、セファクロール(およびセフィキシムのような他のセファロスポリン)、アジスロマイシン(およびクラリスロマイシンのような他のマクロライド抗生物質)、およびスルフィソキサゾール(スルファメトキサゾールのような他のサルファ剤)がある。本発明に有用な抗生物質の中で、シプロフロキサシンが現在のところ好ましい。
【0042】
スルフィソキサゾールおよびアモキシシリンは、中耳感染の再発予防にも用いられる基本的な抗生物質である。アモキシシリンやシプロフロキサシンのような広いスペクトルの抗生物質は、特に抗生物質耐性感染が疑われる人における中耳感染の治療に特に好ましく用いられる。
【0043】
抗生物質治療とは独立した併用投与または使用のための有用な抗炎症化合物としては、時には経口の弱い効果または安定したものが用いられ、例えば、ナプロキセン、ケトプロフェン、セレコキシブおよびインドメタシンのような非ステロイド抗炎症化合物がある。アシクロビルのような抗ウイルス化合物は臨床的に徴候があった場合には抗菌化合物として、抗生物質に代えて、あるいは併用して、投与されてもよい。中耳感染およびその後遺症を治療するためおよび予防するために用いられる他の薬剤は、本発明の経膜キャリア組成物の適用により、鼓膜に投与されてもよい。
【0044】
いくつかの態様では、本発明の経膜キャリア組成物は、1以上の薬剤を含む。例えば、クラモキシル(CLAMOXYL(R))およびオーグメンチン(AUGMENTIN(R))は、両方とも中耳炎の治療に広く処方される経口投与の組み合わせ剤組成物である。各々の組成物は、2つの有効抗生物質成分、アモキシシリンおよびクラブラネートを含む。このような多重剤を提供する経膜キャリア組成物は、特に適切な症状に好ましく用いられる。
【実施例1】
【0045】
例示処方A
この節は、シプロフロキシンを含む本発明の経膜キャリア組成物を製造するための出発原料の例を提供する。経膜キャリア組成物は、リポソームを含み、w/wの百分率で以下の原料を含む。
ホスホリポン 5.00以下
(PHOSPHOLIPON(R) 90H)
無水アルコール、USP 5.00以下
プロピレングリコール、USP 5.00
酢酸ビタミンE 1.00
塩化ベンゼトニウム 0.02
シプロフロキシン 0.30または
治療投与量を提供するのに必要な量
精製水 76.98以上
【実施例2】
【0046】
処方Aの例示的製造方法
この節は、シプロフロキシンを含む本発明の経膜キャリア組成物の製造方法の例を提供する。
【0047】
水相 この工程は、好ましくは2つのジャケット付きステンレススチールボルテックス水和チャンバを用いて実施される。2つのチャンバのうち大きい方に、泡や表面のあぶくが形成しないように、精製水と塩化ベンゼトニウムをゆっくりと混合した。水相の目標温度である50℃±2℃になるように、加熱した。チャンバには、水の蒸発を防ぐために蓋がされ、底部開口部と容器からの物質の流れを制御するためのバルブが装備されていた。
【0048】
脂質相 第2のジャケット付きステンレススチールの混合容器は、第1のものと近接して用いられた。この第2のチャンバに、まず無水アルコールとプロピレングリコールを泡や表面のあぶくが形成しないようにゆっくりと混合した。上部の攪拌機を始動し、58℃の目標となるように58±2℃に加熱した。溶液が目標温度に達したとき、シプロフロキシンを加え、完全に溶解した。PHOSPHOLIPON(R) 90Hおよび酢酸ビタミンEを加え、脂質相が溶解/融解するまで混合した。チャンバの蓋を用いて、工程中にアルコールが蒸発するのを防いだ。
【0049】
脂質相の水和 チャンバの底部開口部のバルブを開き、両方の容器からの流れを制御した。水相と油相が流れてインライン制御ティーで合流し、分散ポンプにより2つの相を一緒に吸引した。混合物を60メッシュの分散スクリーンに循環させ、脂質相の水和を最適化した。混合物をチャンバの上部に向け、全工程をポンプによりチャンバに10分間循環させた。
【0050】
冷却期 循環の後、チャンバのジャケットを冷却し、生成物の温度が28℃になるまでゆっくりと攪拌を続け、工程を完了した。原料の組み合わせは、表面の泡やあぶくの形成が生じない限り、充分に速く完全に混合することが好ましい。冷却工程は、好ましくはゆっくりと、最も好ましくは1時間当たり約6℃で冷却する。
【実施例3】
【0051】
中耳炎の治療のための例示処方の使用
罹患した個体において中耳感染およびその後遺症を治療するために、本発明による薬剤を含むリポソームは鼓膜に対して経膜投与により患者に投与される。薬剤は、中耳感染の予防および/または治療に有用なものであり、抗生物質、抗ウイルス剤または非ステロイド抗炎症剤のような鎮痛剤である。
【0052】
経膜投与は、例えば、本発明の経膜キャリア組成物を針なし注射器または薬剤挿入に適した他の器具を用いて耳道中に鼓膜に対して適用されることにより達成される。投与は、所与の抗生物質化合物が治療効果を奏する投与量レベルになるまで繰り返される。痛みは、鎮痛および/または抗炎症剤を含む本発明の経膜キャリア組成物と一般的に同じ方法で投与することにより治療してもよい。
【0053】
その場の鼓膜廃液チューブを通じて中耳に抗生物質を導入するのに用いられる現在のプロトコルに基づいて、実施例1に記載された例示処方の適切な投与計画は、12歳未満の子供に対して1日2回5滴、12歳以上の子供に対して1日2回10滴であろう。
【0054】
中耳感染の再発に対する予防的治療は、同様の方法により提供され、予防に有効な抗生物質や他の薬剤を含む本発明の経膜キャリア組成物を利用する。
【0055】
本発明は、完全に記載されてきたが、その実施は以下の例により概説される。これらの例は、網羅的ではなく、本発明を実施する方法およびそれらより得られる結果の代表的なものである。
【実施例4】
【0056】
中耳炎の動物(チンチラ)モデル
Chinchilla langerは、人における中耳炎に対する治療の効果を研究するのに適した動物種である。チンチラは小型で、ヒトと極めて似た聴覚能力を有し、ヒトの蝸牛に似た膜構造の蝸牛を有し、長期の実験における顕著な老人性難聴を発症せず、モルモットやウサギに一般的な自然発生する中耳炎になりにくい。例えば、Zak O, Sande M, editors, Handbook of Animal Models of Infection,カリフォルニア州、サンディエゴ: Academic Press (1999),389−403ページ中の、Hajek DM, Yuan Z, Quartey MK, Giebink GS., Otitis Media: The Chinchilla Modelを参照のこと。この内容は、この動物モデルの先行技術においてその性質および受容を概説するために参照により本明細書に取り込まれる。
【0057】
動物モデルを確立して評価するために、各々のチンチラは、Haemophilus influenzaeを100cfuの濃度で0.2mLの容量をトランスブラー注射によりそれぞれの耳の中耳に直接接種した。各々のチンチラは、実験に用いる前にオトスコープ耳試験を行った。本発明の組成物または対照の経口アモキシシリンの投与は、細菌接種の約48時間後に開始した。すべての動物は、実験の間、無痛覚のためにバプレノーフィン(Buprenorphine)を1日2回0.05mg/kg皮下投与された。
【0058】
投与期間の最後に(細菌接種の8日後)、各々の動物を安楽死させ、耳道を塩水で洗浄し、試験した。特に、各々のチンチラの中耳からのサンプルを採取した。1つの耳サンプルを1つの実験工程において一晩培養した。サンプルを播種後約24時間でカウントし、コロニー形成単位(cfu)を記録した。
【実施例5】
【0059】
チンチラモデルにおける中耳炎の治療(リポソーム脂質)
陽性対照物質(アモキシシリン)は、約8時間間隔で1日2回6日間3匹のチンチラに胃管栄養により経口投与した。2、4、または6滴のオフロキサシン0.3%リポソーム処方またはシプロフロキサシン0.3%リポソーム処方を3匹のチンチラの2群それぞれに、これらの動物の最大可能投与量として投与した。
【0060】
それぞれの群(3匹の非妊娠メス動物/群)の結果を以下に示す。
非治療動物:6日後でも活性な感染が存在する。
対照動物:アモキシシリン20mg/kg、1日2回6日間。6日後にいずれの動物にも活性な感染は存在しない。
本発明の方法により治療された動物
シプロフロキシン4滴、1日2回6日間。6日後にいずれの動物にも活性な感染は存在しない。
オフロキサシン2滴、1日2回6日間。6日後でも2匹の動物において活性な感染が存在し、第3の動物には存在しなかった。
オフロキサシン4滴、1日2回6日間。6日後でも1匹の動物において活性な感染が存在し、他の2匹の動物には存在しなかった。
【実施例6】
【0061】
チンチラモデルにおける中耳炎の治療(非リポソーム脂質)
リポソーム中および非リポソーム脂質中のシプロフロキシン処方を用いて、実施例5に記載したプロトコルに従って、以下の結果を得た。
【0062】
【表1】

【0063】
これらの結果は、関連する動物モデルにおいて、治療された動物の投与量に依存して中耳感染の治療における本発明の効果を示す。
【0064】
本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない、いずれかまたは複数の要素や限定の存在なしに実施することができる。使用された用語および表現は、限定するものではなく、記述の用語として用いられ、このような用語および表現の使用において、示され、記載された特徴のいかなる等価物またはその部分を除外する意図はなく、しかし、種々の改変が特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において可能であることを認識できる。したがって、本発明は好ましい態様および最適な特徴によって具体的に記載されたが、ここに開示された概念の改変および変種が当業者に理解され、そのような改変および変種が特許請求の範囲に定義された本発明の範囲に入るとみなされると理解すべきである。
【0065】
本明細書で言及され引用された論文、特許、特許出願、および他のすべての文書並びに電子的に利用可能な情報の内容は、示された各々の個々の刊行物が具体的に個別に参照により取り込まれているのかのように、その全体が同じ範囲で参照により本明細書に取り込まれる。出願人は、このようなすべての論文、特許、特許出願、または他の文書からのいずれかのおよびすべての内容および情報を本出願に物理的に取り込む権利を留保する。
【0066】
本明細書に例示的に記載された本発明は、本明細書に具体的に記載されていないいずれかのまたは複数の要素、限定の存在なしに適切に実施しうる。従って、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」等は、広く限定なしに読まれるべきである。さらに、本明細書で用いられる用語および表現は、限定するものではなく、記述の用語として用いられ、このような用語および表現の使用において、示され、記載された特徴のいかなる等価物またはその部分を除外する意図はなく、しかし、種々の改変が特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において可能であることを認識できる。したがって、本発明は好ましい態様および最適な特徴によって具体的に記載されたが、ここに開示された概念の改変および変種が当業者に理解され、そのような改変および変種が本発明の範囲に入るとみなされると理解すべきである。
【0067】
本発明は、本明細書で広く一般的に記載された。狭い種および属の開示範囲に入るようにグループ化される亜属の各々は、また、本発明の一部を形成する。これには、除外された内容が本明細書に具体的に明示されているか否かに拘わらず、条件付きまたは負の限定により属からいずれかの主題を除去する本発明の一般的な記載も含まれる。他の態様は、前述の特許請求の範囲に示される。
【0068】
さらに、本発明の特徴や見地がマーカッシュ群の用語で記載されている場合は、当業者は、本発明がそれによってマーカッシュ群の構成員のいずれかの個々のまたはサブグループの用語で記載されていると認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の経膜投与による中耳の感染およびその後遺症を治療または予防する方法であって、
鼓膜の外側表面に経膜キャリア組成物を適用することを含み、前記経膜キャリア組成物は、中耳感染およびその後遺症の治療または予防に有用な薬剤を含む、方法。
【請求項2】
薬剤の経膜投与による中耳の感染およびその後遺症を治療または予防する方法であって、
鼓膜の外側表面に立体的に安定化されていない経膜キャリア組成物を適用することを含み、前記経膜キャリア組成物は、中耳感染およびその後遺症の治療または予防に有用な薬剤を含む、方法。
【請求項3】
経膜キャリアが脂質ベシクルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
立体的に安定化されていない経膜キャリアが、リポソーム、ミセル、リオソーム、ニオソームおよびトランスファーソームからなる脂質ベシクルの群から選ばれる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
立体的に安定化されていない経膜キャリアがリポソームである、請求項5に記載の方法。
【請求項6】
経膜キャリア組成物が、
水溶性防腐剤、および
脂溶性抗酸化剤
を含むリポソームであって、
少なくとも75%のリポソームが、直径約0.5μm〜約10μmであり、
前記組成物が、少なくとも20,000センチポイズの粘度を有し、2%w/w未満の増粘剤を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記薬剤が抗生物質である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤が抗生物質である請求項2に記載の方法。
【請求項9】
抗生物質が、キノロン抗生物質、ペニシリン抗生物質、マクロライド抗生物質、セファロスポリン抗生物質、サルファ抗生物質およびベータ−ラクタマーゼ阻害剤からなる群より選ばれる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項10】
前記抗生物質が、シプロフロキサシンを含み、中耳感染を治療または予防するために投与される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記抗生物質が、オフロキサシンを含み、中耳感染を治療または予防するために投与される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
前記抗生物質が、サルフィソキサゾールを含み、中耳感染を治療または予防するために投与される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
前記抗生物質が、アモキシシリンを含み、中耳感染を治療または予防するために投与される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項14】
抗生物質が組成物の0.3%w/wの濃度で提供される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤が抗ウイルス剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤が抗ウイルス剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
抗ウイルス剤がアシクロビルである、請求項16または17に記載の方法。
【請求項18】
外耳の痛み、感染または炎症を治療する薬剤の投与をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項19】
外耳の痛み、感染または炎症を治療する薬剤が、立体的に安定化された脂質ベシクルで提供される、請求項19に記載の方法。
【請求項20】
立体的に安定化された脂質ベシクルがリポソームである、請求項20に記載の方法。
【請求項21】
リポソームがコレステロールによって立体的に安定化されている、請求項22に記載の方法。
【請求項22】
前記薬剤が、セレコキシブ、ナプロキセン、インドメタシン、ケトプロフェン、グルコサミン、メチルスルホニルメタン、プレグネノロン、S−アデノシルメチオニン、およびこれらの任意の2以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記薬剤が、セレコキシブ、ナプロキセン、インドメタシン、ケトプロフェン、グルコサミン、メチルスルホニルメタン、プレグネノロン、S−アデノシルメチオニン、およびこれらの任意の2以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
経膜キャリア組成物が、中耳感染の急性期に鼓膜に適用される、請求項1または2に記載の方法。



【公表番号】特表2008−512383(P2008−512383A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530446(P2007−530446)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/031531
【国際公開番号】WO2006/029074
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(504403264)ピードモント ファーマシューティカルズ エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】