説明

中間体化合物及びその製造方法、並びにアンサマイシン系抗生物質の製造方法

【課題】サイトトリエニンAの全合成方法を確立し、サイトトリエニンAを含むアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物及びその製造方法、並びにアンサマイシン系抗生物質の製造方法を提供する。
【解決手段】サイトトリエニンAをC1−C6セグメント、C7−C16セグメント、シクロプロパンカルボン酸、芳香族セグメントの4つのセグメントに分け、それぞれを連結させることにより、サイトトリエニンAを合成する。特に合成の最終段階では、下記式(g)で表される化合物から閉環メタセシス反応によりトリエンを構築した後、保護基を脱保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイトトリエニンA等のアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物及びその製造方法、並びにアンサマイシン系抗生物質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンサマイシン系抗生物質と称される化合物群は、Streptomyces属細菌から数多く見出されており、基本骨格として芳香環の2つの非隣接部位の間に脂肪族鎖状架橋構造を有している。芳香環部位としてはベンゼン環及びナフタレン環の2種が知られており、その環数としては19員環、21員環、25員環等が知られている。
【0003】
このうち、21員環マクロラクタム構造を有する化合物の例としては、マイコトリエノール、マイコトリエノールIIが挙げられる。これらの化合物は、Streptomyces rishiriensis T−23の培養液から単離され、抗真菌活性を示すことが知られている。構造的特徴としては、3つの連続した不斉中心を含む4つの不斉点及びトリエンユニットを有している。
【0004】
また、マイコトリエノールやマイコトリエノールIIのC11位がエステル化された類縁体や芳香環部位が異なる類縁体も現在までに数多く報告されている。例えば、マイコトリエニンI,IIは、マイコトリエノール等と同じ培養液から単離された化合物であり、アンサトリエニンA,A,Aは、Streptomyces collinusの培養液から単離された化合物であり、いずれも抗真菌活性を示す。また、トリエノマイシンA−Fは、Streptomyces属83−16株から単離された化合物であり、白血病細胞に対する抗腫瘍活性を示す。チアジノトリエノマイシンA−Eは、Streptomyces属MJ672−m3株から単離された化合物であり、食道癌、大腸癌、胃癌、乳癌の癌細胞に対する抗腫瘍活性を示す。また、サイトトリエニンAは、Streptomyces属95−74株から単離された化合物であり、白血病細胞をはじめとした様々な癌種に対して、抗腫瘍活性を示す。さらにサイトトリエニンAは、アポトーシス誘導に重要な働きを有するプロテインキナーゼMST/Krsタンパク質の活性化を誘導することが明らかになっている(非特許文献1参照)。このサイトトリエニンAは、マイコトリエノールIIと同様の基本骨格に加え、C11位の側鎖にシクロプロパンカルボン酸部位を有している。
【0005】
このように、Streptomyces属細菌から単離される21員環マクロラクタム構造を有する一連の化合物は、C11位の側鎖構造や芳香環部位が異なるだけであり、様々な生物活性を示す。しかしながら、これらの化合物は天然からの供給量が少ないため、作用機序解明、誘導体合成等の目的には有機化学合成による人工的な供給が望まれている。
【0006】
このような背景から、21員環マクロラクタム構造を有するアンサマイシン系抗生物質の合成研究がなされている。例えば、SmithやPanekらのグループは、トリエノマイシンA,F、マイコトリエノール、マイコトリエニンI、チアジノトリエノマイシンEの全合成方法を報告している(非特許文献2〜4参照)。一方、PanekやKirschningらのグループは、サイトトリエニンAの全合成を試み、その大環状コアまでは合成しているが(非特許文献5,6参照)、C11位の側鎖を含めた全合成には至っていない。
【非特許文献1】Kakeya, H.; Onose, R., Osada, H.; Cancer Res.; 1998, 58, p.4888
【非特許文献2】Smith, A. B., III.; Barbosa, J.; Wong, W.; Wood, J. L.; J. Am. Chem. Soc.; 1996, 118, p.8316
【非特許文献3】Masse, C. E.; Yang, M.; Solomon, J.; Panek, J. S.; J. Am. Chem. Soc.; 1998, 120, p.4123
【非特許文献4】Smith, A. B., III.; Wan, Z.; J. Org. Chem.l; 2000, 65, p.3738
【非特許文献5】Evano, G.; Schaus, J. V.; Panek, J. S.; Org. Lett.; 2004, 6, 525
【非特許文献6】Kashin, D.; Meyer, A.; Wittenberg, R.; Schoning,K. U.; Kamlage, S.; Kirschning, A.; Synthesis; 2007, 304
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、サイトトリエニンAの全合成方法を確立し、サイトトリエニンAを含むアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物及びその製造方法、並びにアンサマイシン系抗生物質の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、サイトトリエニンAの逆合成解析を試みた結果、C1−C6セグメント、C7−C16セグメント、シクロプロパンカルボン酸、芳香族セグメントの4つのセグメントに分けて合成し、それぞれを連結させることで全合成が可能であること見出した。また、大環状コアを形成してから嵩高い側鎖を導入することは困難であり、かつ、不安定なトリエンユニットが変化してしまうことを避ける必要があることから、側鎖については合成の中盤で導入し、トリエンユニットについては合成の最終段階で閉環メタセシス(RCM:Ring Closing Metathesis)により構築することを見出した。さらに、3つの連続した不斉中心のうち、2つの連続した不斉中心については有機触媒を用いた不斉アルドール反応により構築し、残り1つの不斉中心については有機触媒を用いた不斉α−アミノオキシ化反応により構築することを見出した。これにより、サイトトリエニンAの全合成方法が確立でき、また、サイトトリエニンAを含むアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物及びその製造方法、並びにアンサマイシン系抗生物質の製造方法を提供することが可能になった。より具体的には、本発明は以下の通りである。
【0009】
(1) 下記式(a)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化1】

(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示す。)
【0010】
(2) 下記式(b)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化2】

(式(b)中、R,Rは保護基を示し、Rは水素原子又は保護基を示す。)
【0011】
(3) 下記式(c)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化3】

(式(c)中、R,Rは保護基を示し、Rは水素原子又は保護基を示し、Rは水素原子又はトリチル基を示す。)
【0012】
(4) 下記式(d)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化4】

(式(d)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示し、R10は水素原子又は水酸基を示す。)
【0013】
(5) 下記式(e)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化5】

(式(e)中、R11は保護基を示し、R12は水素原子又はメチル基を示す。)
【0014】
(6) 下記式(f)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化6】

【0015】
(7) 下記式(g)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化7】

(式(g)中、R13は保護基を示し、R14は下記式
【化8】

のいずれかを示し、R16,R17は水素原子又は保護基を示し、R18は水素原子又は−OR19(R19は保護基)を示す。R15は下記式
【化9】

のいずれかを示す。)
【0016】
(8) 下記式(h)で表される化合物にアリールアルデヒドジアルキルアセタール、ヘテロアリールアルデヒドジアルキルアセタール、アリールアルデヒド、又はヘテロアリールアルデヒドを作用させることにより下記式(a)で表される化合物を得る、アンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物の製造方法。
【化10】

(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示す。)
【0017】
(9) フルフラールとプロパナールとをプロリン又はプロリン誘導体の存在下で反応させ、前記式(h)で表される化合物を得る、前記(8)記載のアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物の製造方法。
【0018】
(10) 下記式(g)で表される化合物から閉環メタセシス反応によりトリエンを構築した後、保護基を脱保護する、アンサマイシン系抗生物質の製造方法。
【化11】

(式(g)中、R13は保護基を示し、R14は下記式
【化12】

のいずれかを示し、R16,R17は水素原子又は保護基を示し、R18は水素原子又は−OR19(R19は保護基)を示す。R15は下記式
【化13】

のいずれかを示す。)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サイトトリエニンAを含むアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物及びその製造方法、並びにアンサマイシン系抗生物質の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[中間体化合物]
本発明に係る中間体化合物は、上記式(a)〜(g)で表される。これらの中間体化合物は、いずれもサイトトリエニンAの全合成の過程で新規に見出されたものであるが、サイトトリエンAのみならず、アンサマイシン系抗生物質の合成用の中間体化合物として使用することができる。
【0021】
上記式(a),(d)におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、ヘテロアリール基としては、フリル基、チエニル基等が挙げられる。また、アリール基、ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0022】
また、上記式(b),(c),(e),(g)における保護基としては、アルキル基、アシル基、シリル基等の通常用いられている保護基を用いることができる。このうち、シリル基の例としては、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基等が挙げられる。
【0023】
[中間体化合物の製造方法]
上記式(a)で表される中間体化合物は、後述する実施例の反応2a,2bで示されるように、上記式(h)で表される化合物に置換基を有していてもよいアリールアルデヒドジアルキルアセタール、ヘテロアリールアルデヒドジアルキルアセタール、アリールアルデヒド、又はヘテロアリールアルデヒドを作用させることにより製造することができる。また、上記式(h)で表される化合物は、後述する実施例の反応1a,1bで示されるように、プロリン又はプロリン誘導体を不斉触媒とした、フルフラールとプロパナールとの不斉クロスアルドール反応により製造することができる。
【0024】
上記式(a)で表される中間体化合物を製造する際のプロリン誘導体としては、下記式(i)で表されるものを使用することができる。
【化14】

【0025】
上記式(i)中、Aはアルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、又は置換基を有していてもよいシリルオキシ基を示す。中でも、アルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。
【0026】
上記式(b),(c)で表される中間体化合物は、上記式(a)で表される中間体化合物を用いて後述する実施例のようにして製造することができる。また、上記式(d)で表される中間体化合物は、文献公知の化合物から、後述する実施例の反応29,30に従って製造することができる。同様に、上記式(e),(f)で表される中間体化合物は、文献公知の化合物から、後述する実施例の反応31〜36に従って製造することができる。また、上記式(g)で表される中間体化合物は、上記式(a)〜(f)で表される中間体化合物を用いて後述する実施例のようにして製造することができる。
【0027】
[アンサマイシン系抗生物質の製造方法]
サイトトリエニンA等のアンサマイシン系抗生物質は、後述する実施例で示されるように、上記式(a)〜(g)で表される中間体化合物を経て製造することができる。特に合成の最終段階では、上記式(g)で表される中間体化合物から閉環メタセシス反応によりトリエンを構築した後、保護基を脱保護する。このようにトリエンユニットを最終段階で構築することにより、不安定なトリエンユニットが合成途中で変化してしまうのを防ぐことができる。
【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
[サイトトリエニンAの全合成方法]
下記の合成スキームに従って、サイトトリエニンAの全合成を行った。以下に示す化合物の番号は、この合成スキームに基づく。
【化15】

【0030】
<反応1a:(1R,2R)−1−(フラン−2−イル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオール(4)の合成>
【化16】

【0031】
フルフラール(1)(0.91mL,10.4mmol)と4−アシロキシプロリン(3)(297mg,0.04mmol)との混合物に、アルゴン雰囲気下、4℃で46時間かけてプロパナール(2)(2.25mL,31.2mmol)を加えた。反応液を4℃で2時間撹拌した後、メタノール(10mL)及びNaBH(1.2g,31.2mmol)を加えた。さらに反応液を0℃で1時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させ、有機物を酢酸エチルで5回抽出した。次いで、有機物を酢酸エチルで5回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、低沸点物をメタノールで3回共沸除去した。セルフアルドール体(S1)及び少量のフルフリルアルコール(S2)は、クーゲルロール(115℃、0〜1Torr)で除去した。酢酸エチルを流出溶媒として、残渣をシリカゲルパッド(SiO:7g)に通すことにより、淡黄色油状のジオール(4)(1.34g,83%,anti:syn=6.2:1,91%ee)を得た。
【0032】
ジオール(4)を対応するモノベンゾイルエステルに変換した後、HPLCを用いて鏡像体過剰率を算出した。測定条件は以下の通りである。
カラム:Chiralpac AS−Hカラム(2−プロパノール:ヘキサン=1:100)
流速:0.5mL/分
メジャーエナンチオマー:t=45.7分
マイナーエナンチオマー:t=52.0分
【0033】
<反応2a:(4R,5R)−4−(フラン−2−イル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1,3−ジオキサン(5)の合成>
【化17】

【0034】
上記反応1aで合成されたジオール(4)(1.22g,anti:syn=6.2:1,7.81mmol)を含むベンゼン溶液(16mL)に、アルゴン雰囲気下、室温でp−アニスアルデヒドジメチルアセタール(1.6mL,9.37mmol)及びピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS,98mg,0.39mmol)を加えた。反応液を80℃に加温して1時間撹拌し、反応液を23℃に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣を33%酢酸エチルを含むn−へキサンから再結晶させ、白色針状のアセタール保護体(5)(1.36g,64%,>99%ee)を得た。
【0035】
アセタール保護体(5)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度、融点の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.74(3H,d,J=6.7Hz),2.37−2.52(1H,m),3.61(1H,t,J=11.4Hz),3.78(3H,s),4.26(1H,dd,J=11.4,4.7Hz),4.49(1H,d,J=10.4Hz),5.59(1H,s),6.36(1H,dd,J=3.2,1.0Hz),6.39(1H,br d,J=3.2Hz),6.87(2H,br d,J=8.7Hz),7.41(1H,d,J=1.0Hz),7.45(2H,br d,J=8.7Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ12.4,32.8,55.3,73.2,78.7,101.6,108.5,110.1,113.6(2C),127.6(2C),130.7,142.4,152.5,160.0;
IR(KBr):ν2958,2927,2845,1618,1587,1520,1455,1425,1392,1354,1308,1254,1174,1074,1036,822,748,652,606cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1618NaO:297.1097, 実測値:297.1096;
[α]33 −7.7(c=0.99,MeOH);
融点:104−105℃
【0036】
HPLCを用いてアセタール保護体(5)の鏡像体過剰率を算出した。測定条件は以下の通りである。
カラム:Chiralpac ICカラム(2−プロパノール:ヘキサン=1:30)
流速:1.3mL/分
メジャーエナンチオマー:t=8.5分
マイナーエナンチオマー:t=10.0分
【0037】
<反応1b:(1R,2R)−1−(フラン−2−イル)−2−メチルプロパン−1,3−ジオール(4)の合成>
【化18】

【0038】
フルフラール(1)(1g,10.4mmol)とプロリン(3’)(119.6mg,0.1mmol)との混合物に、アルゴン雰囲気下、4℃でプロパナール(2)(3.02g,52.1mmol)を加えた。反応液を4℃で96時間撹拌した後、メタノール(10mL)及びNaBH(787mg,20.8mmol)を加えた。さらに反応液を4℃で1時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させ、有機物を酢酸エチルで5回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。低沸点物を減圧下(10〜20mmHg)で留去した後、減圧下(115〜120℃,0〜1mmHg)でセルフアルドール体(S1)及び少量のフルフリルアルコール(S2)を除去した。酢酸エチルを流出溶媒として、残渣をシリカゲルパッド(SiO:7g)に通すことにより、淡黄色油状のジオール(4)(1.14g,70%,anti:syn=3.8:1,97%ee)を得た。
【0039】
<反応2b:(4R,5R)−4−(フラン−2−イル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−1,3−ジオキサン(5)の合成>
【化19】

【0040】
上記反応1bで合成されたジオール(4)(1.14g,anti:syn=3.8:1,7.3mmol)を含むベンゼン溶液(13mL)に、アルゴン雰囲気下、室温でp−アニスアルデヒドジメチルアセタール(2.6g,14.3mmol)及びピリジニウムp−トルエンスルホン酸(PPTS,150mg,0.6mmol)を加えた。反応液を80℃に加温して1.5時間撹拌し、反応液を23℃に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。低沸点物を減圧下(10〜20mmHg)で留去して得られる固体を酢酸エチル(2mL)から再結晶し、白色針状のアセタール保護体(5)(953mg,48%,>99%ee)を得た。
【0041】
<反応3:(2R,3R)−3−(フラン−2−イル)−3−(4−メトキシベンジルオキシ)−2−メチルプロパン−1−オール(6)の合成>
【化20】

【0042】
上記反応2aで合成されたアセタール保護体(5)(24g,87.5mmol)を含むエタノール溶液(875mL)に、アルゴン雰囲気下、−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H,268mL,0.98M へキサン溶液,262mmol)を加えた。反応液を128時間かけて−10℃に加温し、飽和ロッシェル塩水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、無色油状のアルコール(6)(19.3g,80%)を得た。同時に、アセタール保護体(5)(3.1g,13%)を回収した。
【0043】
アルコール(6)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.71(3H,d,J=7.0Hz),2.25−2.38(1H,m),2.87(1H,br s),3.59(1H,dd,J=10.7,7.0Hz),3.64−3.72(1H,m),3.80(3H,s),4.21(1H,d,J=11.5Hz),4.22(1H,d,J=9.0Hz),4.45(1H,d,J=11.5Hz),6.32(1H,br d,J=3.1Hz),6.38(1H,dd,J=3.1,1.3Hz),6.87(2H,br d,J=8.6Hz),7.21(2H,br d,J=8.6Hz),7.44(1H,d,J=1.3Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ13.4,39.4,55.1,66.7,70.0,78.5,109.0,109.9,113.8(2C),129.4(2C),129.6,142.3,153.0,159.2;
IR(neat):ν3448,2962,1612,1514,1466,1302,1250,1174,1151,1035,1010,822,741cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1620NaO:299.1254, 実測値:299.1259;
[α]29 +91.5(c=0.77,MeOH)
【0044】
<反応4:(2S,3R)−3−(フラン−2−イル)−3−(4−メトキシベンジルオキシ)−2−メチルプロパナール(7)の合成>
【化21】

【0045】
上記反応3で合成されたアルコール(6)(4.7g,17mmol)を含むジクロロメタン溶液(17mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でトリエチルアミン(11.8mL,85mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO,17mL,1.0M)、及びSO・ピリジン複合体(7.8g,51mmol)を加えた。反応液を0℃で45分間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、淡黄色油状のアルデヒド(7)(4.7g,定量的収率)を得た。
【0046】
アルデヒド(7)のH NMR、13C NMR、IRの結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.86(3H,d,J=7.1Hz),2.91−3.02(1H,m),3.78(3H,s),4.21(1H,d,J=11.5Hz),4.45(1H,d,J=11.5Hz),4.48(1H,d,J=9.1Hz),6.30−6.41(2H,m),6.84(2H,br d,J=8.5Hz),7.16(2H,br d,J=8.5Hz),7.44(1H,br s),9.76(1H,br d,J=2.3Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ10.7,49.9,55.2,70.1,74.5,109.8,110.1,113.8(2C),129.5,129.6(2C),143.0,151.7,159.3,203.3;
IR(neat):ν2993,2851,1729,1613,1514,1457,1249,1063,819,739cm−1
【0047】
<反応5:(1R,2R,3R,Z)−1−(フラン−2−イル)−1−(4−メトキシベンジルオキシ)−2,4−ジメチル−6−(トリイソプロピルシロキシ)ヘキサ−4−エン−3−オール(9)の合成>
【化22】

【0048】
化合物(8)(1.46g,4.13mmol)(合成方法は後述)を含むTHF溶液(20mL)に、アルゴン雰囲気下、−78℃でt−ブチルリチウム(5.2mL,8.27mmol,1.59M ペンタン溶液)を加えた。反応液を−78℃で1時間撹拌した後、ジメチル亜鉛(4.13mL,4.13mmol,1.0M ヘキサン溶液)を加えた。さらに反応液を0℃で20分間撹拌した後、再び−78℃に低下させ、その反応液中に、上記反応4で合成されたアルデヒド(7)(945mg,3.45mmol)のTHF溶液(20mL)を滴下した。3時間かけて反応温度を−35℃まで徐々に上昇させ、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。粗生成物をセライトパッドに通した後、有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製し、淡黄色油状のアルコール(9)(1.36g,79%)を得た。
【0049】
アルコール(9)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.83(3H,d,J=7.0Hz),1.05(21H,s),1.73(3H,s),2.14(1H,dq,J=3.2,7.0Hz),2.75(1H,br d,J=3.1Hz),3.80(3H,s),4.10−4.20(2H,m),4.24(1H,d,J=11.4Hz),4.37(1H,d,J=7.0Hz),4.48(1H,d,J=11.4Hz),4.74(1H,br s),5.42(1H,dt,J=1.0,5.6Hz),6.32(1H,d,J=3.1Hz),6.37(1H,dd,J=1.8,3.1Hz),6.86(2H,d,J=8.5Hz),7.22(2H,d,J=8.5Hz),7.42(1H,br d,J=1.8Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ10.7,12.0(3C),18.0(6C),20.5,42.2,55.2,59.5,70.7,71.2,76.7,108.7,110.0,113.8(2C),127.0,129.5(2C),130.1,138.4,142.2,153.6,159.3;
IR(neat):ν2942,2866,1614,1514,1458,1386,1249,1173,1056,1011,882,821,738,683,432cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C2946NaOSi]:525.3007, 実測値:525.3014;
[α]29 +55.2(c=1.54,MeOH)
【0050】
<反応6:(1R,2S,3R,Z)−1−(フラン−2−イル)−1−(4−メトキシベンジルオキシ)−2,4−ジメチル−3,6−ビス(トリイソプロピルシロキシ)ヘキサ−4−エン(10)の合成>
【化23】

【0051】
上記反応5で合成されたアルコール(9)(5.0g,9.95mmol)を含むジクロロメタン溶液(99mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で2,6−ルチジン(1.97mL,16.9mmol)及びトリイソプロピルシリル トリフルオロメタンスルホン酸塩(TIPSOTf,4.0mL,14.9mmol)を加えた。反応液を0℃で23時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=100:1)で精製し、淡赤色油状の化合物(10)(6.43g,99%)を得た。
【0052】
化合物(10)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.85(3H,d,J=6.8Hz),1.05(42H,s),1.75(3H,s),2.10−2.21(1H,m),3.80(3H,s),4.16(1H,br ddd,J=12.8,4.4,1.6Hz),4.21(1H,d,J=11.2Hz),4.25(1H,d,J=7.6Hz),4.28−4.36(2H,m),4.80(1H,d,J=4.4Hz),5.30(1H,br t,J=6.0Hz),6.29(1H,br d,J=3.2Hz),6.35(1H,br dd,J=3.2,1.6Hz),6.83(2H,d,J=8.8Hz),7.18(2H,d,J=8.4Hz),7.39(1H,br d,J=1.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.1,12.0(3C),12.9(3C),18.0(6C),18.2(3C),18.2(3C),19.3,44.4,55.2,59.7,69.9,70.9,75.6,109.2,109.9,113.6(2C),127.3,129.2(2C),130.7,138.3,142.0,153.9,159.0;
IR(neat):ν2942,2866,2360,1614,1514,1463,1384,1249,1173,1105,1060,1011,919,883,821,737,682,599,421cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C3866NaOSi:681.4341, 実測値:681.4358;
[α]33 +31.1(c=1.71,MeOH)
【0053】
<反応7:(2E,5R,6S,7R,8Z)−5−(4−メトキシベンジルオキシ)−6,8−ジメチル−7,10−ビス(トリイソプロピルシロキシ)デカ−2,8−ジエン−1,4−ジオール(11)の合成>
【化24】

【0054】
上記反応6で合成された化合物(10)(500mg,0.76mmol)を含むプロピオニトリル溶液(EtCN,15.2mL)に、酸素雰囲気中かつローズベンガル(38.7mg,0.038mmol)の存在下、−78℃、8時間の条件で蛍光ランプ(22W)を照射した後、アルゴン雰囲気下、ジメチルスルフィド(3.3mL,45.6mmol)を加えた。反応温度を15時間、−20℃に上昇させた後、反応液に1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO,85.2mg,0.76mmol)のプロピオニトリル溶液(EtCN,2mL)を加えた。反応液を−20℃で2時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させ、セライトパッドで濾過した。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、淡黄色油状の不安定なアルデヒド(S3)(493mg)を得た。
【0055】
このアルデヒド(S3)(493mg)及び塩化セリウム・七水和物を含むエタノール溶液(18.3mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でNaBH(82.5mg,2.18mmol)を加えた。反応液を0℃で20分間撹拌した後、飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで2回、酢酸エチルで2回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、淡橙色油状のジオール(11)(417mg,81%,2ステップ)を得た。
【0056】
ジオール(11)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.04(21H,br s),1.07(21H,br s),1.18(3H,d,J=6.8Hz),1.73(3H,s),2.03−2.20(1H,m),2.63(1H,d,J=7.2Hz),3.25(1H,t,J=3.2Hz),3.80(3H,s),4.04−4.20(4H,m),4.33(1H,dd,J=12.8,7.2Hz),4.41(1H,d,J=11.2Hz),4.48(1H,d,J=8.4Hz),4.59(1H,d,J=8.4Hz),5.36(1H,dd,J=12.0,6.0Hz),5.66(1H,dd,J=15.6,7.2Hz),5.89(1H,dt,J=15.6,10.4Hz),6.86(2H,d,J=8.4Hz),7.22(2H,d,J=8.4Hz)(OH×1,未検出);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ12.0(3C),12.7(3C),13.1,18.0(7C),18.2(3C),18.3(3C),40.6,55.3,59.7,63.0,70.8,72.0,72.6,81.1,113.8(2C),128.4,129.4(2C),130.3,130.4,132.7,137.3,159.3;
IR(neat):ν3419,2943,2866,1614,1515,1464,1384,1302,1250,1173,1056,1013,883,822,777,682,595cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C3870NaOSi:701.4603, 実測値:701.4634;
[α]33 −6.5(c=0.46,MeOH)
【0057】
<反応8:(2E,5R,6S,7R,8Z)−5−(4−メトキシベンジルオキシ)−6,8−ジメチル−7,10−ビストリイソプロピルシロキシ−1−トリチルオキシ−デカ−2,8−ジエン−4−オール(12)の合成>
【化25】

【0058】
上記反応7で合成されたジオール(11)(7.9g,11.6mmol)を含むジクロロメタン溶液(23mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でトリエチルアミン(6.5mL,46.4mmol)及び塩化トリフェニルメチル(TrCl,6.5g,23.2mmol)を加えた。反応液を23℃で3時間撹拌した後、過剰量のメタノールとpH7.0に調整したリン酸緩衝液とを加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製し、淡黄色油状のアルコール(12)(9.3g,89%)を得た。
【0059】
アルコール(12)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.99(21H,s),1.07(21H,br s),1.18(3H,d,J=6.8Hz),1.72(3H,s),2.02−2.13(1H,m),2.54(1H,d,J=7.8Hz),3.29(1H,dd,J=4.0,2.8Hz),3.61(2H,br d,J=2.4Hz),3.76(3H,s),4.08−4.16(2H,m),4.32(1H,dd,J=12.8,7.8Hz),4.51(1H,dd,J=18.6,7.8Hz),4.53(1H,d,J=7.2Hz),4.59(1H,d,J=10.8Hz),5.33(1H,br t,J=6.4Hz),5.84(1H,d,J=3.2Hz),5.86(1H,d,J=4.0Hz),6.80(2H,d,J=8.4Hz),7.20−7.31(11H,m),7.45(6H,d,J=7.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ12.0(3C),12.8(3C),13.1,18.0(7C),18.2(3C),18.3(3C),41.0,55.2,59.6,64.2,70.9,72.0,73.0,81.4,86.8,113.8(2C),126.9(3C),127.7(7C),128.1,128.6(6C),129.3(2C),130.3,133.0,137.6,144.2(3C),159.3;
IR(neat):ν2943,2866,1614,1514,1458,1386,1249,1173,1056,882,822,764,704,681cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5784NaOSi:943.5699, 実測値:943.5663;
[α]34 +3.9(c=0.92,MeOH)
【0060】
<反応9:(2E,5R,6S,7R,8Z)−ギ酸 2−(4−メトキシベンジルオキシ)−3,5−ジメチル−4,7−ビストリイソプロピルシロキシ−1−(3−トリチルオキシプロペニル)−ヘプタ−5−エニル エステル(14)の合成>
【化26】

【0061】
上記反応8で合成されたアルコール(12)(3.7g,4.02mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,147mg,1.21mmol)を含むジクロロメタン溶液(8.0mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でN−ホルミルベンゾトリアゾール(13)(1.7g,9.25mmol,純度80%)を加えた。反応液を23℃で4時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製し、淡黄色油状のアルデヒド(14)(3.8g,定量的収率)を得た。
【0062】
なお、N−ホルミルベンゾトリアゾール(13)は、Katrizky,A.R.; Chang, H. X.; Yang, B.; Synthesis; 1995,503を参照して合成した。
【0063】
アルデヒド(14)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(600MHz,CDCl):δ0.99(21H,s),1.06(21H,br s),1.12(3H,d,J=7.2Hz),1.71(3H,s),2.04(1H,dq,J=12.1,5.1Hz),3.41(1H,t,J=4.8Hz),3.60(2H,br d,J=4.2Hz),3.75(3H,s),4.18(1H,br dd,J=12.8,4.1Hz),4.37(1H,dd,J=12.8,7.9Hz),4.59(2H,s),4.62(1H,d,J=7.2Hz),5.35(1H,br t,J=6.4Hz),5.55(1H,br t,J=5.1Hz),5.84(1H,dt,J=15.5,8.3Hz),5.91(1H,dd,J=15.7,6.4Hz),6.78(2H,d,J=9.0Hz),7.21−7.32(11H,m),7.43(6H,d,J=7.8Hz),8.11(1H,s);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ12.0(3C),12.8(3C),13.6,18.0(7C),18.2(3C),18.2(3C),40.1,55.1,59.8,63.8,71.3,73.3,73.7,81.5,86.9,113.7(2C),126.2,127.0(3C),127.8(6C),128.5,128.6(6C),129.3(2C),130.4,131.7,137.4,144.0(3C),159.2,160.3;
IR(neat):ν2943,2866,2724,1727,1613,1587,1514,1491,1463,1449,1383,1248,1173,1057,1013,883,822,763,745,704,682,633,595,462cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5884NaOSi:971.5648, 実測値:971.5658;
[α]33 −5.4(c=1.51,MeOH)
【0064】
<反応10:(2E,4R,5S,6S,8E)−6−(4−メトキシベンジルオキシ)−3,5−ジメチル−1,4−ビス(トリイソプロピルシロキシ)−10−トリチルオキシ−デカ−2,8−ジエン(15)の合成>
【化27】

【0065】
上記反応9で合成されたアルデヒド(14)(940mg,0.99mmol)、ギ酸アンモニウム塩(125mg,1.98mmol)、及びトリブチルホスフィン(0.39mL,1.58mmol)を含む脱気した1,4−ジオキサン溶液(9.9mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でPd(dba)・CHCl(205mg,0.20mmol)を加えた。反応液を23℃で67時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=40:1)で精製し、淡黄色油状の化合物(15)(683mg,76%)を得た。
【0066】
化合物(15)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.95−1.10(45H,m),1.71(3H,s),1.95(1H,br dd,J=14.6,6.2Hz),2.02−2.15(1H,m),2.24(1H,br dt,J=15.2,7.4Hz),3.20(1H,br ddd,J=10.0,6.5,2.3Hz),3.49(2H,br dd,J=7.8,5.2Hz),3.70(3H,s),4.06(1H,br dd,J=12.6,3.2Hz),4.21−4.51(4H,m),5.32(1H,br dd,J=6.6,5.2Hz),5.61(1H,dt,J=10.6,6.5Hz),5.70(1H,dt,J=12.6,6.5Hz),6.74(2H,d,J=8.6Hz),7.17−7.29(11H,m),7.41−7.46(6H,m);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.1,11.9(3C),12.7(3C),18.0(7C),18.2(3C),18.3(3C),33.2,40.3,55.2,59.6,64.9,70.8,72.1,78.9,86.7,113.7(2C),126.9(3C),127.7(6C),128.0,128.4,128.7(6C),129.2,129.7(2C),130.9,137.1,144.3(3C),159.0;
IR(neat):ν2943,2866,1613,1514,1464,1383,1247,1058,882,772,705,682,594,460cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5784NaOSi:927.5749, 実測値:927.5761;
[α]33 +1.9(c=1.03,MeOH)
【0067】
<反応11:(2E,5S,6S,7R,8Z)−6,8−ジメチル−7,10−ビス(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)デカ−2,8−ジエン−5−オール(16)の合成>
【化28】

【0068】
上記反応10で合成された化合物(15)(450mg,0.50mmol)を含むジクロロメタン(4.1mL)及びpH7.0に調整したリン酸緩衝液(0.8mL)の溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ,136mg,0.60mmol)を加えた。反応液を0℃で4時間撹拌した後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させ、セライトパッドで濾過した。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製し、淡黄色油状のアルコール(16)(375mg,96%)を得た。
【0069】
アルコール(16)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.76(3H,d,J=6.8Hz),0.96−1.10(42H,m),1.86(3H,s),1.91(1H,br dd,J=13.6,7.2Hz),2.00−2.13(1H,m),2.30(1H,br d,J=14.4Hz),3.46(1H,s),3.55(2H,d,J=5.2Hz),3.61(1H,br t,J=6.8Hz),4.11(1H,br dd,J=12.4,3.6Hz),4.28(1H,dd,J=12.4,7.6Hz),4.69(1H,d,J=4.8Hz),5.45(1H,br t,J=6.4Hz),5.65(1H,dt,J=15.2,5.2Hz),5.72−5.85(1H,m),7.16−7.29(10H,m),7.42(5H,d,J=7.6Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ12.0(3C),12.4(3C),13.0,18.0(6C),18.1(6C),19.9,38.0,44.2,59.6,65.0,73.1,74.9,86.7,126.8(3C),127.7(6C),128.4,128.7(6C),128.7,129.5,136.8,144.3(3C);
IR(neat):ν3480,2943,2866,1490,1464,1383,1104,1055,1013,882,763,745,705,682cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C4976NaOSi:807.5174, 実測値:807.5197;
[α]24 −7.3(c=0.69,CHCl
【0070】
<反応12:(2E,5S,6S,7R,8Z)−6,8−ジメチル−7,10−ビス(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)デカ−2,8−ジエン−5−イル 1−アジドシクロプロパンカルボキシレート(18)の合成>
【化29】

【0071】
カルボン酸(17)(2.48g,19.5mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF,0.15mL,1.95mmol)を含むベンゼン溶液(20mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で塩化オキサリル(1.33mL,15.6mmol)を加え、23℃で1時間撹拌した。その一方で、上記反応11で合成されたアルコール(16)(5.1g,6.5mmol)及びトリエチルアミン(5.44mL,39mmol)を含むジクロロメタン溶液(20mL)に、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,236mg,1.95mmol)を加えた。0℃にてカルボン酸(17)の溶液をアルコール(16)の溶液中に移し、反応液を0℃で20分間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=80:1)で精製し、無色油状のアジド(18)(5.67g,98%)を得た。
【0072】
なお、カルボン酸(17)は、Pirrung, M.C.; McGeehan, G. M.; J. Org. Chem.; 1983, 48, p.5143を参照して合成した。
【0073】
アジド(18)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.00−1.09(45H,m),1.23−1.45(4H,m),1.84(3H,s),2.03−2.16(2H, m),2.31−2.39(1H,m),3.50(2H,br t,J=4.2Hz),4.13(1H,dd,J=12.0,4.8Hz),4.35(2H,dd,J=14.4,7.8Hz),4.80(1H,br ddd,J=10.2,4.2,2.4Hz),5.42(1H,br t,J=6.0Hz),5.57(1H,br dt,J=14.1,6.0Hz),5.62(1H,dt,J=15.6,4.8Hz),7.23(3H,t,J=7.8Hz),7.29(6H,t,J=7.2Hz),7.42(6H,d,J=7.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.2,12.0(3C),12.7(3C),16.5,16.6,18.0(6C),18.1(3C),18.2(3C),32.4,41.2,42.7,59.4,64.5,72.1,75.7,86.8,126.9(3C),127.4,127.7(6C),128.2,128.6(7C),130.1,137.2,144.2(3C),170.6;
IR(neat):ν2943,2866,2360,2104,1732,1464,1383,1317,1288,1208,1155,1058,882,771,745,704,681cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5379NaOSi:916.5450, 実測値:916.5489;
[α]18 +0.8(c=1.0,CHCl
【0074】
<反応13:(2E,5S,6S,7R,8Z)−10−ヒドロキシ−6,8−ジメチル−7−(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)デカ−2,8−ジエン−5−イル−1−アジドシクロプロパンカルボキシレート(19)の合成>
【化30】

【0075】
上記反応12で合成されたアジド(18)(5.47g,6.12mmol)を含むTHF溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で65%HF・ピリジン(6.9mL,245mmol)を加えた。反応液を23℃で17時間撹拌した後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製し、無色油状のアルコール(19)(3.77g,84%)を得た。
【0076】
アルコール(19)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.99(21H,d,J=3.6Hz),1.03(3H,d,J=6.4Hz),1.27−1.37(4H,m),1.78(3H,s),2.02−2.17(2H,m),2.23−2.34(1H,m),3.46(2H,s),3.99−4.18(3H,m),4.33(1H,d,J=8.4Hz),4.73−4.82(1H,m),5.39(1H,t,J=6.8Hz),5.56(2H,s),7.10−7.23(10H,m),7.35(5H,d,J=7.6Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.4,12.6(3C),16.6,16.7,18.1(6C),32.9,41.6,42.7,58.6,64.4,72.4,76.0,86.8,126.9(4C),127.0,127.7(6C),128.5(7C),130.3,139.8,144.1(3C),171.0;
IR(neat):ν3446,2944,2866,2106,1729,1448,1384,1318,1287,1209,1158,1058,883,746,706,681,633,420cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C4459NaOSi]:760.4116, 実測値:760.4085;
[α]23 −12.4(c=1.08,CHCl
【0077】
<反応14:(2E,5S,6S,7R,8Z)−11−(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロフェニル)−6,8−ジメチル−11−(フェニルスルホニル)−7−(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)ウンデカ−2,8−ジエン−5−イル−1−アジドシクロプロパンカルボキシレート(21)の合成>
【化31】

【0078】
上記反応13で合成されたアルコール(19)(328mg,0.44mmol)、イミダゾール(181mg,2.66mmol)、及びヨウ素を含むベンゼン溶液(7.0mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で30分間かけて、トリフェニルホスフィン(466mg,1.78mmol)を含むベンゼン溶液(2.0mL)を滴下した。その後、反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、淡黄色油状のヨウ化物(S4)(378mg,定量的収率)を得た。
【0079】
一方、芳香族セグメント(20)(718mg,2.22mmol)(合成方法は後述)のTHF溶液に、アルゴン雰囲気下、−90℃でリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS,4.7mL,1.0M THF溶液、4.66mmol)を加え、反応液を−90℃で40分間撹拌した。この反応液を−90℃でヨウ化物(S4)(378mg,0.44mmol)を含むTHF溶液(10mL)中に移し、温度を2時間、−65℃まで上昇させた。反応液を−65℃でさらに18時間撹拌した後、pH7.0に調整した冷却したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、黄色非晶質粉末状のアジド(21)(361mg,78%,2ステップ)を得た。
【0080】
アジド(21)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ0.86−1.07(24H,m),1.15−1.33(4H,m),1.62(3H,s),1.89−2.10(2H,m),2.23−2.37(1H,m),2.55(1H,br t,J=13.2Hz),3.24(1H,br t,J=11.2Hz),3.42−3.54(2H,m),3.59(3H,s),4.32(1H,br d,J=7.6Hz),4.60−4.82(3H,m),5.46−5.65(2H,m),7.09−7.59(22H,m),10.29(1H,br s);
13C NMR(100MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ11.2,11.3,12.7,16.6,16.4,18.1,18.1,18.2,18.2,25.9,26.6,32.6,32.9,41.5,42.7,55.9,56.0,64.5,64.8,72.1,75.1,76.0,86.8,86.9,106.9,107.3,124.2,124.6,126.4,126.9,127.0,127.4,127.8,128.6,128.7,128.9,130.5,130.7,133.1,133.8,133.9,137.5,137.7,141.1,144.2,144.2,148.5,148.6,152.1,170.7;
IR(neat):ν3022,2944,2866,2106,1729,1596,1542,1466,1448,1430,1383,1320,1254,1215,1150,1085,1056,883,760,706,687,602,555,518,443cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5870NaO10SSi]:1065.4474, 実測値:1065.4425;
[α]23 +11.2(c=2.93,CHCl
【0081】
<反応15:(2E,5S,6S,7R,8Z)−11−[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−6,8−ジメチル−11−(フェニルスルホニル)−7−(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)ウンデカ−2,8−ジエン−5−イル−1−アジドシクロプロパンカルボキシレート(22)の合成>
【化32】

【0082】
上記反応14で合成されたアジド(21)(956mg,0.92mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,224mg,1.83mmol)を含むジクロロメタン溶液(63mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で(Boc)O(0.66mL,2.75mmol)を加えた。反応液を23℃で30分間撹拌した後、pH7.0に調整した冷却したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、黄色非晶質粉末状のアジド(22)(1.01g,96%)を得た。
【0083】
アジド(22)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ0.95−1.11(24H,m),1.35−1.46(4H,m),1.49(6H,s),1.53(3H,s),1.69(3H,s),1.99−2.23(2H,m),2.31−2.47(1H,m),2.62(1H,br t,J=14.0Hz),3.25−3.38(1H,m),3.57(2H,t,J=4.8Hz),3.65(3H,s),4.40(1H,br d,J=7.6Hz),4.59(1H,br d,J=12.0Hz),4.74−4.83(2H,m),5.57−5.77(2H,m),7.20−7.35(9H,m),7.39−7.49(8H,m),7.49−7.60(3H,m),7.64(2H,d,J=7.6Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ11.0,11.3,12.7,14.1,14.2,16.6,16.6,18.1,18.1,18.2,18.2,20.7,21.0,22.6,25.2,26.9,27.5,31.5,32.9,33.0,34.5,34.6,41.7,41.8,42.7,42.8,56.0,56.1,60.3,61.7,62.2,64.5,64.7,72.2,75.5,75.7,85.2,85.6,86.8,86.9,110.6,111.2,119.6,120.1,120.5,126.9,126.9,127.8,128.6,128.7,128.9,129.1,129.6,130.5,130.8,131.9,134.0,137.2,137.3,141.2,142.3,144.2,149.6,156.6,170.6,170.6;
IR(neat):ν2944,2867,1771,1727,1621,1584,1543,1448,1315,1211,1146,1058,1003,910,882,820cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C6378NaO12SSi]:1165.4998, 実測値:1165.5044;
[α]29 +15.5(c=0.84,CHCl
【0084】
<反応16:(2E,5S,6S,7R,8Z)−11−[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−6,8−ジメチル−11−(フェニルスルホニル)−7−(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)ウンデカ−2,8−ジエン−5−イル−1−アミノシクロプロパンカルボキシレート(23)の合成>
【化33】

【0085】
上記反応15で合成されたアジド(22)(1.08g,0.95mmol)及びトリエチルアミン(6.6mL,47.3mmol)を含むメタノール溶液(79mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で1,3−プロパンジチオール(4.7mL,47.3mmol)を加えた。反応液を23℃で18時間撹拌した後、真空乾燥して溶剤等を除去し、粗生成物にpH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、黄色非晶質粉末状のアミン(23)(918mg,87%)を得た。
【0086】
アミン(23)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ0.97(3H,d,J=6.4Hz),1.06(21H,d,J=5.6Hz),1.23−1.32(3H,m),1.45(1H,s),1.49(6H,s),1.70(3H,s),1.82−2.18(6H,m),2.25−2.38(1H,m),2.61(1H,br t,J=13.6Hz),3.25−3.38(1H,m),3.57(2H,br t,J=6.4Hz),3.65(3H,s),4.33−4.46(1H,m),4.53−4.63(1H,m),4.64−4.71(1H,m),4.78(1H,br d,J=8.8Hz),4.83−4.88(1H,m),5.52−5.73(2H,m),7.20−7.34(9H,m),7.39−7.49(8H,m),7.51−7.59(3H,m),7.63(2H,d,J=7.6Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ11.2,12.7,18.0,18.2,18.2,20.7,25.2,27.5,32.8,34.6,35.8,41.6,55.9,61.6,64.5,74.4,85.2,86.8,111.0,120.2,126.9,127.3,127.8,128.6,128.6,128.7,128.9,129.0,130.0,134.0,137.2,142.2,144.1,144.2,149.6,156.5,175.8;
IR(neat):ν3884,3022,2944,2867,1771,1717,1585,1543,1448,1312,1287,1214,1146,1056,1003,882,753,705,599,525cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C6380NaO12SSi]:1139.5093, 実測値:1139.5050;
[α]24 +9.2(c=1.18,CHCl
【0087】
<反応17:(2E,5S,6S,7R,8Z)−11−[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−6,8−ジメチル−11−(フェニルスルホニル)−7−(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)ウンデカ−2,8−ジエン−5−イル−1−(シクロヘキサ−1−エンカルボキサミド)シクロプロパンカルボキシレート(24)の合成>
【化34】

【0088】
上記反応16で合成されたアミン(23)(918mg,0.82mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP,802mg,6.57mmol)を含むジクロロメタン溶液(17mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で1−シクロヘキセンカルボン酸(311mg,2.46mmol)を含むジクロロメタン溶液(10mL)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl,630mg,3.28mmol)を加えた。反応液を23℃で21時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で2回、それぞれ洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、黄色非晶質粉末状のアミド(24)(780mg,78%)を得た。
【0089】
アミド(24)のH NMR、13C NMR、IR、MS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ0.94−1.09(24H,m),1.23−1.35(3H,m),1.42−1.77(16H,m),1.82−1.93(1H,m),1.95−2.09(4H,m),2.10−2.40(6H,m),2.62(1H,br t,J=13.6Hz),3.41(1H,br t,J=12.0Hz),3.50−3.66(1H,m),3.70(3H,s),4.32(1H,br d,J=10.4Hz),4.51(1H,br d,J=5.2Hz),4.65−4.85(2H,m),5.52−5.79(2H,m),6.52(2H,br s),6.95(1H,br s),7.18−7.34(7H,m),7.35−7.62(12H,m);
13C NMR(100MHz,CDCl,ジアステレオマー混合物として):δ10.9,12.8,14.1,17.4,18.1,18.2,18.2,20.7,21.1,21.5,21.8,22.0,22.6,24.0,24.1,25.3,26.1,31.6,33.2,33.8,34.5,34.7,56.0,62.3,65.0,75.1,86.8,111.0,120.4,126.9,127.6,127.8,128.7,128.9,130.0,133.2,133.6,134.1,137.3,142.3,143.9,144.3,156.6,169.3,172.0;
IR(neat):ν3398,2941,2866,1734,1669,1639,1541,1491,1446,1311,1190,1056,1009,924,883,754,705,601cm−1
MS(ESI):1147.65(C6580NaO11SSi: Boc基は脱保護されている);
[α]23 +4.8(c=1.45,CHCl
【0090】
<反応18:(2E,5S,6S,7R,8Z)−11−(2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−ニトロフェニル)−6,8−ジメチル−7−(トリイソプロピルシロキシ)−1−(トリチルオキシ)ウンデカ−2,8−ジエン−5−イル−1−(シクロヘキサ−1−エンカルボキサミド)シクロプロパンカルボキシレート(25)の合成>
【化35】

【0091】
上記反応17で合成されたアミド(24)(780mg,0.64mmol)を含むジクロロメタン溶液(32mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でピロリジン(9.4mL,112.6mmol)を加えた。反応液を23℃で5時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、黄色非晶質粉末状の化合物(S5)(698mg,97%)を得た。
【0092】
この化合物(S5)(143mg,0.13mmol)を含むエタノール溶液(9.4mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でNaBH(192mg,5.06mmol)を加えた。反応液を50℃で21時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、黄色非晶質粉末状の化合物(25)(125mg,57%,2ステップ)を得た。
【0093】
化合物(25)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.96−1.11(24H,m),1.11−1.19(2H,m),1.49−1.68(7H,m),1.81(3H,s),2.06−2.19(5H,m),2.19−2.34(2H,m),2.36−2.50(1H,m),2.63−2.82(2H,m),3.52(2H,d,J=4.0Hz),3.75(3H,s),4.36(1H,d,J=9.2Hz),4.70−4.80(1H,m),5.25(1H,br t,J=6.4Hz),5.50−5.63(2H,m),6.10(1H,s),6.52(1H,br s),7.05(1H,d,J=3.2Hz),7.18−7.32(10H,m),7.35(1H,d,J=3.2Hz),7.37−7.45(6H,m);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.1,12.6(3C),14.2,17.2(2C),18.1(3C),18.2(3C),21.5,22.0,24.1,25.3,27.7,30.6,32.4,33.9,40.9,55.8,64.7,72.1,74.7,86.8,103.4,126.1,126.9(3C),127.4(6C),127.7,128.3,128.6(6C),129.6,133.0,133.2,133.7,134.0,137.7,144.2(3C),148.8,151.8,169.2,171.7;
IR(neat):ν3422,3338,2941,2865,1727,1668,1634,1539,1493,1466,1430,1374,1327,1255,1174,1055,999,883,758,705cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5976NaOSi]:1007.5212, 実測値:1007.5195;
[α]23 −3.9(c=1.33,CHCl
【0094】
<反応19:(2E,5S,6S,7R,8Z)−11−[2−(アリルオキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−1−ヒドロキシ−6,8−ジメチル−7−(トリイソプロピルシロキシ)ウンデカ−2,8−ジエン−5−イル−1−(シクロヘキサ−1−エンカルボキサミド)シクロプロパンカルボキシレート(26)の合成>
【化36】

【0095】
上記反応18で合成された化合物(25)(36mg,0.037mmol)及びトリエチルアミン(127μL,0.91mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.8mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で塩化ギ酸アリルエステル(AllocCl,50.3μL,0.48mmol)を加えた。反応液を23℃で40分間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色非晶質粉末状の粗生成物(S6)(41.3mg)を得た。
【0096】
この粗生成物(S6)(41.3mg)を含むメタノール溶液(3.7mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でp−トルエンスルホン酸塩(TsOH・HO,5.6mg,0.029mmol)を加えた。反応液を23℃で1時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=1:4)で精製し、淡黄色非晶質粉末状のアルコール(26)(28.3mg,94%,2ステップ)を得た。
【0097】
アルコール(26)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.94−1.15(25H,m),1.42−1.52(1H,m),1.52−1.70(5H,m),1.76(4H,s),1.99(2H,br d,J=11.6Hz),2.07−2.29(6H,m),2.29−2.44(1H,m),2.55−2.73(2H,m),3.61(1H,br s),3.85(3H,s),4.01(2H,br d,J=5.2Hz),4.33(1H,d,J=8.4Hz),4.76(2H,d,J=7.6Hz),4.84(1H,br d,J=11.2Hz),5.21(1H,br t,J=6.4Hz),5.34(1H,d,J=10.4Hz),5.37−5.47(2H,m),5.61(1H,dt,J=14.8,5.6Hz),5.93−6.06(1H,m),6.23(1H,s),6.62(1H,br s),7.00(1H,br d,J=2.8Hz),7.46(1H,br d,J=3.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.3,12.7(3C),17.0(2C),17.5,18.1(3C),18.2(3C),21.4,22.0,24.1,25.4,28.2,30.3,32.6,33.7,41.6,56.0,63.3,70.0,72.2,74.3,108.1,119.7,121.8,125.6,126.8,130.8,132.9,133.6,134.6,136.2,138.1,138.3,142.1,152.6,157.0,169.7,171.5;
IR(neat):ν3332,2942,2866,1771,1726,1664,1630,1540,1462,1349,1288,1231,1203,1083,1058,995,941,883,757,681,600,445cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C4466NaO11Si]:849.4328, 実測値:849.4337;
[α]20 +120.8(c=0.31,CHCl
【0098】
<反応20:(3E,6S,7S,8R,9Z)−12−[2−(アリルオキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−7,9−ジメチル−8−(トリイソプロピルシロキシ)ドデカ−1,3,9−トリエン−6−イル−1−(シクロヘキセニルメチルアミノ)シクロプロパンカルボキシレート(27)の合成>
【化37】

【0099】
上記反応19で合成されたアルコール(26)(21mg,0.0254mmol)を含むジクロロメタン溶液(5mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で過剰量のMnOを加えた。反応液を23℃で40分間撹拌した後、セライトパッドでMnOを濾過した。有機物を減圧下で濃縮し、淡黄色非晶質粉末状の粗生成物(S7)(19mg)を得た。
【0100】
一方、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム(46.2mg,0.114mmol)を含むTHF溶液(1.5mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でtert−ブトキシカリウム(10mg,0.0889mmol)を加えた。反応液を0℃で30分間撹拌した後、粗生成物(S7)(19mg,0.023mmol)を含むTHF溶液(0.5mL)中に移した。反応液をさらに30分間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をプレパラティブTLC(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、淡黄色非晶質粉末状のジエン(27)(15.4mg,74%,2ステップ)を得た。
【0101】
ジエン(27)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.97−1.08(25H,m),1.45−1.72(6H,m),1.79(3H,br s),1.98−2.46(10H,m),2.56−2.74(2H,m),3.85(3H,s),4.33(1H,d,J=8.8Hz),4.72(1H,br dt,J=9.6,2.4Hz),4.76(2H,d,J=6.0Hz),4.97(1H,d,J=10.0Hz),5.07(1H,d,J=16.8Hz),5.19(1H,br t,J=6.8Hz),5.35(1H,d,J=10.4Hz),5.44(1H,br dd,J=16.0,1.2Hz),5.51(1H,dd,J=14.4,6.8Hz),5.92−6.07(2H,m),6.12(1H,s),6.17−6.32(1H,m),6.58(1H,br s),7.01(1H,d,J=2.8Hz),7.46(1H,d,J=3.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ11.0,12.7(3C),17.2,17.3,18.1(3C),18.2(3C),21.5,22.1,24.2,25.4,28.1,30.3,32.5,33.9,41.1,56.0,69.9,72.2,74.9,108.1,115.9,119.7,121.8,125.4,129.9,130.8,133.3,133.6,133.7,136.2,136.7,138.3,138.4,142.1,152.6,157.0,169.2,171.8;
IR(neat):ν3327,3089,2941,2867,1771,1726,1665,1631,1540,1459,1349,1203,1060,1004,945,883,758,682cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C4466NaO10Si]:845.4379, 実測値:845.4348;
[α]20 −1.9(c=0.87,CHCl
【0102】
<反応21:(3E,6S,7R,8R,9Z)−12−[2−(アリルオキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−8−ヒドロキシ−7,9−ジメチル−ドデカ−1,3,9−トリエン−6−イル−1−(シクロヘキサ−1−エンカルボキサミド)シクロプロパンカルボキシレート(28)の合成>
【化38】

【0103】
上記反応20で合成されたジエン(27)(80mg,0.0972mmol)を含むアセトニトリル溶液(8.0mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で46%HF(0.8mL,44mmol)を加えた。反応液を23℃で16時間撹拌した後、0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回、クロロホルムで1回、それぞれ抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、淡黄色非晶質粉末状のアルコール(28)(43.8mg,68%)を得た。同時に、ジエン(27)(21mg,26%)を回収した。
【0104】
アルコール(28)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.92(3H,d,J=7.2Hz),1.06−1.20(2H,m),1.46−1.76(9H,m),1.77−1.85(1H,m),2.08−2.22(4H,m),2.23−2.44(5H,m),2.58−2.74(2H,m),3.85(3H,s),4.33(1H,br d,J=4.8Hz),4.77(2H,dt,J=6.0,1.2Hz),4.82(1H,dt,J=7.6,4.0Hz),4.98(1H,d,J=10.4Hz),5.08(1H,d,J=16.8Hz),5.20(1H,br t,J=14.4Hz),5.35(1H,dd,J=10.4,0.8Hz),5.44(1H,dt,J=16.8,1.2Hz),5.50−5.60(1H,m),5.94−6.08(2H,m),6.16−6.33(2H,m),6.55−6.63(1H,m),7.09(1H,d,J=3.2Hz),7.45(1H,d,J=3.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ10.2,17.4,17.5,20.0,21.5,22.0,24.1,25.4,27.7,30.4,33.8,34.4,40.9,56.1,70.0(2C),75.8,108.0,115.9,119.8,122.0,125.1,129.4,130.8,133.0,133.8,134.3,136.2,136.7,138.1,138.7,142.0,152.6,156.9,169.5,172.5;
IR(neat):ν3416,3089,2935,1770,1725,1664,1629,1538,1448,1352,1283,1203,1038,1005,946,861,823,769,738,704cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C3646NaO10:689.3045, 実測値:689.3076;
[α]20 +5.1(c=1.0,MeOH)
【0105】
<反応22:(3E,6S,7R,8R,9Z)−12−[2−(アリルオキシカルボニルオキシ)−5−メトキシ−3−ニトロフェニル]−7,9−ジメチル−8−(トリエチルシロキシ)ドデカ−1,3,9−トリエン−6−イル−1−(シクロヘキセニルメチルアミノ)シクロプロパンカルボキシレート(29)の合成>
【化39】

【0106】
上記反応21で合成されたアルコール(28)(17mg,0.0255mmol)を含むジクロロメタン溶液(1.5mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でジイソプロピルエチルアミン(44.5μL,0.0255mmol)及びトリエチルシリルトリフレート(TESOTf,29μL,0.128mmol)を加えた。反応液を23℃で30分間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をプレパラティブTLC(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、淡黄色非晶質粉末状のジエン(29)(19.7mg,99%)を得た。
【0107】
ジエン(29)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.52(6H,q,J=7.6Hz),0.91(9H,t,J=7.6Hz),1.13(2H,d,J=2.0Hz),1.46−1.51(2H,m),1.55−1.70(6H,m),1.75(3H,s),1.98−2.08(1H,m),2.08−2.32(8H,m),2.32−2.46(1H,m),2.61−2.71(2H,m),3.85(3H,s),4.19(1H,d,J=8.0Hz),4.70(1H,ddd,J=9.2,4.0,2.8Hz),4.76(2H,d,J=6.0Hz),4.96(1H,d,J=10.4Hz),5.07(1H,d,J=17.2Hz),5.18(1H,t,J=6.4Hz),5.34(1H,dd,J=10.4,0.8Hz),5.44(1H,dd,J=17.2,1.2Hz),5.47−5.57(1H,m),5.93−6.06(2H,m),6.14(1H,s),6.25(1H,dt,J=17.2,10.4Hz),6.53−6.62(1H,m),7.05(1H,d,J=2.8Hz),7.46(1H,d,J=2.8Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ4.8(3C),5.8,6.8(3C),10.7,17.2,18.6,21.5,22.1,24.2,25.3,28.0,30.3,32.7,33.9,40.8,56.0,69.9,71.7,75.1,108.1,115.8,119.7,121.8,125.1,129.9,130.8,133.3,133.5,133.7,136.2,136.8,138.4,138.5,142.1,152.6,156.9,169.2,171.8;
IR(neat):ν3671,3327,3088,2937,1771,1732,1667,1633,1584,1537,1504,1494,1455,1361,1294,1203,1066,1006,946,853,823,742,611cm−1
HRMS(ESI):[M+Na]] 計算値[C4260NaO10Si]:803.3909, 実測値:803.3909;
[α]20 +3.4(c=1.92,MeOH)
【0108】
<反応23:(3E,6S,7R,8R,9Z)−12−{2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−[(3R,4E)−3−メトキシ−ヘプタ−4,6−ジエノイルアミノ]フェニル}−7,9−ジメチル−8−(トリエチルシロキシ)ドデカ−1,3,9−トリエン−6−イル−1−(シクロヘキセニルメチルアミノ)シクロプロパンカルボキシレート(31)の合成>
【化40】

【0109】
上記反応22で合成されたジエン(29)(21.7mg,0.0278mmol)を含むTHF溶液(3.8mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で硫黄(31.2mg,0.973mmol)及びNaBH(21mg,0.556mmol)を加えた。反応液を50℃で2.5時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色非晶質粉末状の粗生成物(S8)を得た。
【0110】
この粗生成物(S8)を含むトルエン溶液(3.8mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でジイソプロピルエチルアミン(248μL,1.39mmol)を加えた。この反応液を、23℃でC1−C6セグメント(30)(26mg,0.167mmol)(合成方法は後述)を含むTHF溶液(10mL)に加え、さらにビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物(BOPCl,21.2mg,0.0834mmol)を加えた。反応液を23℃で8時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色非晶質粉末状の粗生成物(S9)を得た。
【0111】
この粗生成物(S9)を含むメタノール溶液(4.0mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で炭酸カリウム(40mg)を加えた。反応液を23℃で10分間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をプレパラティブTLC(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、淡黄色非晶質粉末状の化合物(31)(17.6mg,79%,3ステップ)を得た。
【0112】
化合物(31)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.53(6H,t,J=8.0Hz),0.86−0.98(9H,m),1.13(2H,d,J=3.2Hz),1.51−1.70(9H,m),1.75(3H,s),1.98(1H,q,J=6.8Hz),2.06−2.31(8H,m),2.37−2.50(1H,m),2.57−2.77(3H,m),3.37(3H,s),3.73(3H,s),4.06−4.14(1H,m),4.30(1H,d,J=7.2Hz),4.74(1H,q,J=6.0Hz),4.95(1H,d,J=10.0Hz),5.06(1H,d,J=16.4Hz),5.15−5.33(3H,m),5.49−5.62(2H,m),6.00(1H,dd,J=15.2,10.4Hz),6.18−6.41(4H,m),6.57(3H,s),8.16(1H,br s),8.66(1H,s);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ4.8(3C),6.9(3C),10.8,17.2,17.3,18.8,21.5,22.1,24.2,25.3,28.2,29.7,31.6,33.0,33.9,41.2,42.9,55.7,56.5,71.3,75.5,78.6,105.5,113.2,115.4,119.2,126.4,126.6,130.2,130.8,133.1,133.3,133.5,133.7,134.6,135.6,137.1,137.5,140.6,152.9,169.5,170.3;
IR(neat):ν3328,2932,2876,2360,1726,1660,1627,1488,1347,1297,1236,1176,1065,1006,841,742cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C4668NaOSi]:827.4637, 実測値:827.4604;
[α]20 +7.3(c=0.47,MeOH)
【0113】
<反応24:(3E,6S,7R,8R,9Z)−12−{2,5−ジヒドロキシ−3−[(3R,4E)−3−メトキシ−ヘプタ−4,6−ジエノイルアミノ]フェニル}−7,9−ジメチル−8−(トリエチルシロキシ)ドデカ−1,3,9−トリエン−6−イル−1−(シクロヘキセニルメチルアミノ)シクロプロパンカルボキシレート(32)の合成>
【化41】

【0114】
上記反応23で合成された化合物(31)(10mg,0.0124mmol)を含むジクロロメタン溶液(5mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で過剰量のMnOを加えた。反応液を23℃で5分間撹拌した後、セライトパッドでMnOを濾過した。有機物を減圧下で濃縮し、黄色非晶質粉末状のキノン(S10)を得た。
【0115】
このキノン(S10)を含むメタノール溶液(1.5mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でNaBH(9.4mg,0.248mmol)を加えた。反応液を0℃で2秒間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物をクロロホルムで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色非晶質粉末状のヒドロキノン(32)(9.7mg)を得た。
【0116】
ヒドロキノン(32)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(600MHz,CDCl):δ0.46−0.60(6H,m),0.86−0.96(9H,m),1.06−1.23(2H,m),1.42−1.50(1H,m),1.53−1.79(12H,m),1.84−1.92(1H,m),2.09−2.28(6H,m),2.33−2.39(1H,m),2.39−2.48(1H,m),2.59−2.75(3H,m),3.35(3H,s),4.08(1H,td,J=8.4,3.6Hz),4.42(1H,br s),4.78−4.86(1H,m),4.97(1H,d,J=10.2Hz),5.08(1H,d,J=16.8Hz),5.18(1H,d,J=9.6Hz),5.22−5.32(2H,m),5.47−5.63(2H,m),6.00(1H,dd,J=15.0,10.2Hz),6.20−6.47(6H,m),6.65(2H,br dd,J=9.0,3.0Hz),8.14(1H,s),8.73(1H,s);
13C NMR(150MHz,CDCl):δ4.7(3C),6.9(3C),10.7,14.1,17.1,17.2,21.4,22.0,24.1,25.4,28.2,29.7,30.1,33.7,34.0,41.9,42.8,56.5,76.4,78.6,106.7,114.5,115.6,119.1,126.2,130.0,130.9,132.7,133.0,133.7,134.6,135.0,135.6,136.2,136.9,137.7,140.0,149.9,170.2,170.4,171.9;
IR(neat):ν3306,2930,1725,1660,1627,1501,1464,1374,1292,1236,1178,1072,1006,906,851,741,605,549cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C4566NaOSi]:813.4481, 実測値:813.4453;
[α]21 +6.0(c=0.56,MeOH)
【0117】
<反応25:(3E,6S,7R,8R,9Z)−12−{3−[(3R,4E)−3−メトキシ−ヘプタ−4,6−ジエノイルアミノ]−2,5−ビス(トリエチルシロキシ)−フェニル}−7,9−ジメチル−8−(トリエチルシロキシ)ドデカ−1,3,9−トリエン−6−イル−1−(シクロヘキセニルメチルアミノ)シクロプロパンカルボキシレート(34)の合成>
【化42】

【0118】
ヒドロキノン(32)(9.7mg)及びN,N−ジメチルホルムアミド溶液(DMF,0.4mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で過剰量の化合物(33)を加えた。反応液を23℃で1時間撹拌した後、50℃でさらに8時間撹拌し、水を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、水で4回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、淡黄色非晶質粉末状のジエン(34)(9.7mg,77%,化合物(31)から3ステップ)を得た。
【0119】
なお、化合物(33)は、(a)Robert, W.; J. Am. Chem. Soc.; 1958, 80, p.3246.(b)Veysoglu, T.; Mitscher, L. A.; Tetrahedron Lett.; 1981, 22, p.1303.(c)Feigelson, G. B.; Egbertson, M.; Danishefsky, S. J.; J. Org. Chem.; 1988, 53, p.3391を参照して合成した。
【0120】
ジエン(34)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.55(6H,t,J=8.0Hz),0.69−0.80(12H,m),0.87−1.02(27H,m),1.15(2H,br d,J=1.6Hz),1.23−1.35(2H,m),1.45−1.70(9H,m),1.76(3H,s),2.00−2.40(8H,m),2.46−2.62(3H,m),3.30(3H,s),4.11−4.24(2H,m),4.71(1H,br dt,J=10.4,2.8Hz),4.95(1H,d,J=10.0Hz),5.05(1H,d,J=17.2Hz),5.14(1H,d,J=10.0Hz),5.20(1H,t,J=7.2Hz),5.25(1H,d,J=17.2Hz),5.45−5.55(1H,m),5.59(1H,dd,J=14.4,8.0Hz),5.98(1H,dd,J=15.2,10.4Hz),6.07(1H,s),6.17−6.39(4H,m),6.56(1H,br s),7.80(1H,br d,J=2.4Hz),7.83(1H,s);
13C NMR(150MHz,CDCl):δ4.9(3C),5.0(3C),5.4(3C),6.6(3C),6.7(3C),6.9(3C),10.9,17.2,18.3,21.5,22.1,24.2,25.4,28.2,29.7,31.1,32.5,33.9,40.5,44.9,56.6,71.7,75.0,78.6,110.3,115.4,115.6,118.4,126.3,130.1,130.3,131.8,132.1,133.2,133.4,133.7,133.8,135.9,136.8,137.2,137.3,149.7,168.0,169.2,171.8;
IR(neat):ν3429,3318,2956,2878,1726,1666,1631,1523,1448,1349,1290,1239,1174,1068,1006,899,815,743cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5794NaOSi:1041.6210, 実測値:1041.6228;
[α]20 +14.1(c=1.07,CHCl
【0121】
<反応26:(5R,6E,8E,10E,13S,14R,15R,16Z)−1−[(シクロヘキサ−1−エンカルボニル)−アミノ]−シクロプロパンカルボン酸−5−メトキシ−14,16−ジメチル−3−オキソ−15,22,24−トリス−トリエチルシロキシ−2−アザ−ビシクロ[18.3.1]テトラコサ−1(23),6,8,10,16,20(24),21−ヘプタエン−13−イルエステル(35)の合成>
【化43】

【0122】
上記反応25で合成されたジエン(34)(12mg,0.0118mmol)を含む脱気したジクロロメタン溶液(7.5mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でGrubbs第一世代触媒(3.9mg,0.00472mmol)を加えた。反応液を暗所にて23℃で71時間撹拌した後、33%酢酸エチルを含むn−へキサンを溶媒としてシリカゲルに通し、減圧下で濃縮した。残渣をプレパラティブTLC(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、淡黄色非晶質粉末状のトリエン(35)(4.6mg,39%)を得た。同時に、ジエン(34)(2.8mg,23%)を回収した。
【0123】
トリエン(35)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(600MHz,CDCl):δ0.55−0.62(6H,m),0.73(12H,t,J=7.8Hz),0.97(27H,t,J=7.8Hz),1.09−1.18(2H,m),1.20−1.35(2H,m),1.45−1.48(2H,m),1.62−1.69(3H,m),1.70−1.82(4H,m),1.91−2.00(2H,m),2.08−2.26(6H,m),2.27−2.38(2H,m),2.45−2.65(2H,m),2.66−2.73(1H,m),2.86(1H,dd,J=11.4,3.6Hz),3.34(3H,s),4.01−4.07(1H,m),4.20(1H,br d,J=9.0Hz),4.67−4.73(1H,m),5.16−5.26(2H,m),5.30−5.38(1H,m),5.56(1H,dd,J=14.4,7.2Hz),5.72−5.79(1H,m),5.89−6.02(3H,m),6.12(1H,s),6.26(1H,d,J=3.0Hz),6.60(1H,br s),7.87(1H,d,J=3.0Hz);
13C NMR(150MHz,CDCl):δ5.0(3C),5.0(3C),5.5(3C),6.7(6C),6.9(3C),10.5,17.2,17.3,21.5,22.1,22.7,24.2,25.4,29.7,31.9,32.8,34.0,41.3,46.2,56.6,70.7,74.5,79.6,108.6,115.2,128.9,129.7,130.3(2C),131.6,132.0,132.8(2C),133.3(2C),133.8(2C),136.4,149.6,167.8,169.4,171.5;
IR(neat):ν3545,3419,3330,2925,2871,1732,1693,1633,1520,1445,1378,1288,1240,1172,1098,1003,898,808,743,614cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C5590NaOSi:1013.5897, 実測値:1013.5922;
[α]20 +10.8(c=0.24,CHCl
【0124】
<反応27:サイトトリエニンAの合成>
【化44】

【0125】
上記反応26で合成されたトリエン(35)(4.0mg,0.004mmol)を含む脱気したTHF(1.0mL)及び水(0.1mL)の溶液に、アルゴン雰囲気下、23℃でAmberlyst 15(商標)(240mg,6000wt%)を加えた。反応液を暗所にて23℃で47時間撹拌した後、反応液をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,メタノール:トリクロロメタン=1:20)で精製し、目的物である淡黄色固体状のサイトトリエニンA(2.8mg,95%)を得た。
【0126】
サイトトリエニンAのH NMR、HRMS、比旋光度、HPLCの結果を以下に示す。
H NMR(600MHz,CDCl):δ0.76(3H,d,J=6.6Hz),1.12−1.37(3H,m),1.42−1.82(9H,m),1.93−2.38(8H,m),2.54(1H,dd,J=9.6,13.2Hz),2.57−2.64(1H,m),2.81(1H,br s),2.94(1H,dd,J=4.2,13.2Hz),2.99−3.06(1H,m),3.36(3H,s),4.17−4.24(1H,m),4.49(1H,br s),4.74−4.80(1H,m),5.09(1H,br d,J=9.0Hz),5.49(1H,dd,J=7.8,15.6Hz),5.62(1H,ddd,J=4.8,10.2,15.0Hz),6.02(1H,t,J=12.0Hz),6.05(1H,t,J=11.4Hz),6.18(1H,dd,J=10.8,15.0Hz),6.26(1H,dd,J=10.8,15.6Hz),6.33(1H,s),6.44(1H,d,J=2.4Hz),6.58(1H,d,J=2.4Hz),6.71(1H,br s),7.05(1H,s),7.76(1H,s),(OH×1,未検出);
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C3748NaO:671.3303, 実測値:671.3291;
[α]28 +186.6(c=0.029,MeOH);
HPLC条件;カラム:資生堂CAPCELL PAK C18 UG120, カラム温度:10℃, 流速:0.8mL/分, 溶媒:62%MeOH/HO, UV:254nm, t=30分
【0127】
[化合物(8)の合成方法]
<反応28:(Z)−3−ヨード−1−トリイソプロピルシロキシ−2−ブテン(8)の合成>
【化45】

【0128】
水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(トルエンを溶媒とするRed−Al(商標),78.3mL,261mmol)を含むエタノール溶液(286mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で、2−ブテン−1−オール(36)(12.2g,174mmol)を含むエタノール溶液(27mL)を加えた。反応液を23℃で4時間撹拌し、暗所にて0℃で酢酸エチル(17mL)及びヨウ素(66g,261mmol)を加えた。反応液を23℃でさらに12時間撹拌し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させ、2N HClを加えた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、水で2回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、淡黄色油状のアルコール(S11)(34.5g,定量的収率)を得た。
【0129】
このアルコール(S11)(36.4g,221mmol)を含むDMF溶液(184mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でイミダゾール(25g,368mmol)及びトリイソプロピルシリルクロライド(TIPSCl,47.2mL,221mmol)を加えた。反応液を0℃で1.5時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物をエタノールで2回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製し、無色油状の化合物(8)(60.6g,93%,2ステップ)を得た。
【0130】
化合物(8)のH NMR、13C NMR、IR、HRMSの結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.03−1.12(21H,m),2.50−2.53(3H,m),4.23−4.27(2H,m),5.70−5.76(1H,m);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ12.0(3C),18.0(6C),33.4,68.8,98.3,135.6;
IR(neat):ν2943,2866,1655,1464,1426,1371,1246,1104,1055,1009,882,768,684cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1327INaOSi]:377.0768, 実測値:377.0765
【0131】
[芳香族セグメント(20)の合成方法]
<反応29:2−ヒドロキシメチル−4−メトキシ−6−ニトロ−フェノール(38)の合成>
【化46】

【0132】
アルデヒド(37)(3.1g,15.7mmol)を含む酢酸エチル(105mL)及びメタノール(52mL)の溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で、NaBH(890mg,23.6mmol)を加えた。反応液を0℃で2時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、酢酸エチルを溶媒としたシリカゲルクロマトグラフィで精製し、減圧下で濃縮して、黄色固体状のアルコール(38)(2.6g,83%)を得た。
【0133】
なお、アルデヒド(37)は、Baker, R.; Castro, J. L.; J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1; 1990, 47を参照して合成した。
【0134】
アルコール(38)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、融点の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ2.26(1H,t,J=6.0Hz),3.82(3H,s),4.78(2H,d,J=5.6Hz),7.34(1H,d,J=3.2Hz),7.44(1H,d,J=3.2Hz),10.68(1H,s);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ56.0,60.4,104.8,125.3(2C),133.0,147.7,152.3;
IR(neat):ν3410,1529,1460,1427,1328,1248,1194,1157,1059,773,763,671cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[CNNaO:222.0373, 実測値:222.0366;
融点:103−106℃
【0135】
<反応30:2−ベンゼンスルホニルメチル−4−メトキシ−6−ニトロ−フェノール(20)の合成>
【化47】

【0136】
上記反応29で合成されたアルコール(38)(6.9g,34.7mmol)を含む酢酸溶液(347mL)に、アルゴン雰囲気下、4℃でHBr(30mL,173.3mmol)を加えた。反応液を23℃で2.5時間撹拌した後、水を加えて反応を停止させた。次いで、不溶性の有機物を濾過して水で洗浄した後、残渣を酢酸エチルに溶解した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過して減圧下で濃縮し、黄色固体状の粗生成物(S12)(7.36g)を得た。
【0137】
この粗生成物(S12)(7.36g,28.1mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド溶液(DMF,281mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃でNaSOPh(9.2g,56.2mmol)を加えた。反応液を120℃で3時間撹拌し、0℃に冷却すると、黄色結晶が形成された。濾過して沈殿物を集め、水で洗浄した後、33%酢酸エチルを含むn−へキサンから再結晶させ、黄色針状の芳香族セグメント(20)(5.86g,53%,2ステップ)を得た。
【0138】
芳香族セグメント(20)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、融点の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ3.82(3H,s),4.49(2H,s),7.32(1H,d,J=2.8Hz),7.47(2H,bt,J=8.0Hz),7.53(1H,d,J=3.2Hz),7.59−7.65(1H,m),7.72−7.76(2H,m),10.29(1H,s);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ55.4,56.1,107.7,120.5,128.5(2C),129.0(3C),133.2,134.0,138.3,148.2,151.8;
IR(neat):ν1540,1474,1431,1309,1238,1166,1137,1085,1048,934,896,746,717,686,545,529cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1413NNaOS]:346.0356, 実測値:346.0361;
融点:137−138℃
【0139】
[C1−C6セグメント(30)の合成方法]
<反応31:(R,E)−エチル−6−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−4−ヒドロキシ−ヘキサ−2−エノエート(40)の合成>
【化48】

【0140】
化合物(39)(50.6mg,0.25mmol)及びニトロソベンゼン(51.1mg,0.5mmol)を含むアセトニトリル溶液(0.6mL)に、アルゴン雰囲気下、−20℃でL−プロリン(2.9mg,0.025mmol)を加え、反応液を−20℃で24時間撹拌した。一方、NaH(20.9mg,0.48mmol)を含むTHF溶液(0.3mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でトリエチルホスフォノアセテート(40)(112mg,0.5mmol)を含むTHF溶液(0.2mL)を加え、反応液を23℃で45分間撹拌した。次いで、化合物(S12)の混合物を、0℃でトリエチルホスフォノアセテート(40)の溶液に移し、0℃で30分間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。セライトパッドで濾過した後、有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、淡赤色油状の化合物(S13)(107mg)を得た。
【0141】
なお、化合物(39)は、Taillier, C.; Gille, B.; Bellosta, V.; Cossy, J.; J. Org. Chem.; 2005, 70, p.2097を参照して合成した。
【0142】
この化合物(S13)(107mg,0.28mmol)を含むメタノール溶液(1.6mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で無水硫酸銅(12mg,0.075mmol)を加えた。反応液を0℃で46時間撹拌した後、冷却した飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。セライトパッドで濾過した後、有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、薄茶色油状の化合物(41)(32.9mg,46%,98%ee,3ステップ)を得た。
【0143】
化合物(41)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.06(6H,s),0.89(9H,br d,J=0.8Hz),1.27(3H,t,J=6.8Hz),1.67−1.76(1H,m),1.80−1.90(1H,m),3.67(1H,br s),3.76−3.92(2H,m),4.18(2H,q,J=7.2Hz),4.53(1H,br s),6.09(1H,d,J=15.6Hz),6.92(1H,dd,J=15.6,5.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ−5.7,−5.6,14.2,18.0,25.8(3C),37.4,60.2,61.8,70.8,120.2,150.0,166.6;
IR(neat):ν3480,2954,2930,2857,1722,1658,1472,1390,1368,1304,1258,1174,1097,1040,981,940,836,778,720,664cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1428NaOSi]:311.1649, 実測値:311.1660;
[α]25 +5.0(c=0.5,CHCl
【0144】
HPLCを用いて化合物(41)の鏡像体過剰率を算出した。測定条件は以下の通りである。
カラム:Chiralpac ICカラム(2−プロパノール:ヘキサン=1:30)
流速:1mL/分
メジャーエナンチオマー:t=16.8分
マイナーエナンチオマー:t=20.8分
【0145】
<反応32:(R,E)−エチル−6−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−4−メトキシ−ヘキサ−2−エノエート(42)の合成>
【化49】

【0146】
上記反応31で合成された化合物(41)(920mg,3.19mmol)を含むN,N−ジメチルホルムアミド溶液(DMF,16mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でNaH(153mg,6.38mmol)を加えた。反応液を0℃で10分間撹拌し、MeI(0.79mL,12.8mmol)で処理した。反応液をさらに1時間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。不溶物をセライトパッドで濾過した後、有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、淡黄色油状のエチルエステル(42)(906mg,94%)を得た。
【0147】
エチルエステル(42)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.02(6H,br d,J=1.6Hz),0.87(9H,s),1.27(3H,t,J=7.2Hz),1.71(2H,dt,J=12.8,6.0Hz),3.28(3H,s),3.58−3.79(2H,m),3.92(1H,q,J=6.4Hz),4.18(2H,q,J=7.2Hz),5.96(1H,d,J=15.6Hz),6.80(1H,dd,J=15.6,6.4Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ−5.5(2C),14.2,18.2,25.9(3C),38.0,57.1,58.7,60.3,77.3,121.7,148.1,166.1;
IR(neat):ν2954,2929,2857,1725,1658,1471,1368,1257,1165,1096,1039,984,945,836,776,720,663cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1530NaOSi]:325.1806, 実測値:325.1816;
[α]24 +12.9(c=0.87,CHCl
【0148】
<反応33:(R,E)−6−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−4−メトキシ−ヘキサ−2−エン−1−オール(43)の合成>
【化50】

【0149】
上記反応32で合成されたエチルエステル(42)(185mg,0.61mmol)を含むジクロロメタン溶液(2mL)に、アルゴン雰囲気下、−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H,1.6mL,0.94M へキサン溶液,1.53mmol)を加えた。反応温度を2時間、−40℃に上昇させ、飽和ロッシェル塩水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、淡黄色油状のアルコール(43)(131mg,82%)を得た。
【0150】
アルコール(43)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.03(6H,br d,J=2.4Hz),0.88(9H,s),1.59−1.71(1H,m),1.71−1.82(1H,m),1.87(1H,br s),3.25(3H,s),3.57−3.61(1H,m),3.61−3.81(2H,m),4.15(2H,br d,J=5.2Hz),5.55(1H,dd,J=15.6,7.6Hz),5.81(1H,dt,J=15.6,5.2Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ−5.4(2C),18.2,25.9(3C),38.6,56.2,59.2,62.8,78.4,131.6,131.9;
IR(neat);ν3421,2953,2929,2858,2361,1472,1389,1255,1187,1095,1007,973,837,776cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1328NaOSi]:283.1700, 実測値:283.1694;
[α]24 +12.8(c=0.56,CHCl
【0151】
<反応34:(R,E)−1−(tert−ブチルジメチルシロキシ)−3−メトキシ−ヘプタ−4,6−ジエン(44)の合成>
【化51】

【0152】
上記反応33で合成されたアルコール(43)(262mg,1.0mmol)を含むジクロロメタン溶液(14mL)に、アルゴン雰囲気下、23℃で過剰量のMnOを加えた。反応液を23℃で2時間撹拌した後、セライトパッドでMnOを濾過した。有機物を減圧下で濃縮し、淡黄色油状の粗生成物(S14)(317mg)を得た。
【0153】
一方、ヨウ化メチルトリフェニルホスホニウム(814mg,2.0mmol)を含むTHF溶液(8mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でtert−ブトキシカリウム(215mg,1.9mmol)を加えた。反応液を0℃で30分間撹拌した後、粗生成物(S14)(317mg)を含むTHF溶液(2.1mL)中に移した。反応液をさらに15分間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をプレパラティブTLC(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製し、淡黄色油状のジエン(44)(207mg,80%,2ステップ)を得た。
【0154】
ジエン(44)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ0.05(6H,d,J=2.0Hz),0.90(9H,s),1.61−1.72(1H,m),1.75−1.85(1H,m),3.26(3H,s),3.63(1H,dt,J=10.4,6.0Hz),3.67−3.81(2H,m),5.09(1H,br dd,J=10.0,1.2Hz),5.21(1H,br dd,J=16.4,1.2Hz),5.55(1H,dd,J=15.6,8.0Hz),6.19(1H,dd,J=15.6,10.4Hz),6.35(1H,dt,J=16.8,10.4Hz);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ−5.4(2C),18.3,25.9(3C),38.7,56.3,59.2,78.6,117.3,133.0,134.3,136.4;
IR(neat):ν2954,2929,2857,2820,1604,1471,1389,1362,1254,1190,1099,1004,953,934,903,837,776,664cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C1428NaOSi]:279.1751, 実測値:279.1753;
[α]22 +8.1(c=0.99,MeOH)
【0155】
<反応35:(R,E)−3−メトキシ−ヘプタ−4,6−ジエン−1−オール(45)の合成>
【化52】

【0156】
上記反応34で合成されたジエン(44)(132mg,0.52mmol)を含むアセトニトリル溶液(2.6mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で65%HF・ピリジン(0.27mL,10.3mmol)を加えた。反応液を0℃で1.5時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮した後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO,ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製し、淡黄色油状のアルコール(45)(51mg,70%)を得た。
【0157】
アルコール(45)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ1.71−1.90(2H,m),2.41(1H,br s),3.28(3H,s),3.69−3.81(2H,m),3.85(1H,dt,J=8.0,4.8Hz),5.12(1H,br dd,J=10.4,1.6Hz),5.23(1H,br dd,J=16.8,1.2Hz),5.57(1H,dd,J=15.2,8.0Hz),6.21(1H,dd,J=15.2,10.4Hz),6.35(1H,dt,J=16.8,10.4Hz);
13C NMR(150MHz,CDCl):δ37.8,56.3,60.8,81.8,118.0,133.2,133.4,136.0;
IR(neat):ν3417,3084,2937,2885,2820,1817,1650,1604,1467,1343,1185,1101,1055,1006,953,906,791,656cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C14NaO:165.0886, 実測値:165.0889;
[α]20 +34.8(c=0.54,MeOH)
【0158】
<反応36:(R,E)−3−メトキシ−ヘプタ−4,6−ジエン酸(30)の合成>
【化53】

【0159】
上記反応35で合成されたアルコール(45)(25mg,0.18mmol)を含むジクロロメタン溶液(176μL)に、アルゴン雰囲気下、0℃でトリエチルアミン(123μL,0.88mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO,176μL,1.0M)、及びSO・ピリジン複合体(82mg,0.53mmol)を加えた。反応液を0℃で50分間撹拌した後、pH7.0に調整したリン酸緩衝液を加えて反応を停止させた。有機物を酢酸エチルで3回抽出し、水で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色油状のアルデヒド(S15)(25mg)を得た。
【0160】
このアルデヒド(S15)(14mg,0.1mmol)を含むtert−ブチルアルコール(145μL)及び水(48μL)の溶液に、アルゴン雰囲気下、23℃でNaHPO・2HO(30mg,0.2mmol)、2−メチル−2−ブテン(41μL,0.4mmol)、及びNaClO(33mg,0.3mmol)を加えた。反応液を23℃で1時間撹拌し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とを加えて反応を停止させた。水層をジエチルエーテルで2回洗浄し、2N HClでpH1に調整した。また、有機層をジエチルエーテルで2回抽出し、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。これらを濾過して減圧下で濃縮し、淡黄色油状のカルボン酸(30)(12mg,80%,2ステップ)を得た。
【0161】
カルボン酸(30)のH NMR、13C NMR、IR、HRMS、比旋光度の結果を以下に示す。
H NMR(400MHz,CDCl):δ2.56(1H,dd,J=15.6,4.4Hz),2.65(1H,dd,J=15.6,8.0Hz),3.32(3H,s),4.08(1H,dt,J=8.4,4.8Hz),5.17(1H,d,J=10.0Hz),5.28(1H,d,J=16.8Hz),5.56(1H,dd,J=14.8,8.0Hz),6.24−6.41(2H,m),(COOH×1,未検出);
13C NMR(100MHz,CDCl):δ40.8,56.5,78.0,118.6,131.6,134.2,135.8,176.1;
IR(neat):ν2935,2826,1712,1605,1415,1345,1303,1206,1099,1047,1007,957,910,843,661cm−1
HRMS(ESI):[M+Na] 計算値[C12NaO:179.0679, 実測値:179.0679;
[α]29 +7.8(c=0.69,CHCl

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化1】

(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示す。)
【請求項2】
下記式(b)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化2】

(式(b)中、R,Rは保護基を示し、Rは水素原子又は保護基を示す。)
【請求項3】
下記式(c)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化3】

(式(c)中、R,Rは保護基を示し、Rは水素原子又は保護基を示し、Rは水素原子又はトリチル基を示す。)
【請求項4】
下記式(d)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化4】

(式(d)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示し、R10は水素原子又は水酸基を示す。)
【請求項5】
下記式(e)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化5】

(式(e)中、R11は保護基を示し、R12は水素原子又はメチル基を示す。)
【請求項6】
下記式(f)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化6】

【請求項7】
下記式(g)で表されるアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物。
【化7】

(式(g)中、R13は保護基を示し、R14は下記式
【化8】

のいずれかを示し、R16,R17は水素原子又は保護基を示し、R18は水素原子又は−OR19(R19は保護基)を示す。R15は下記式
【化9】

のいずれかを示す。)
【請求項8】
下記式(h)で表される化合物に置換基を有していてもよいアリールアルデヒドジアルキルアセタール、ヘテロアリールアルデヒドジアルキルアセタール、アリールアルデヒド、又はヘテロアリールアルデヒドを作用させることにより下記式(a)で表される化合物を得る、アンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物の製造方法。
【化10】

(式(a)中、Rは置換基を有していてもよいアリール基又はヘテロアリール基を示す。)
【請求項9】
フルフラールとプロパナールとをプロリン又はプロリン誘導体の存在下で反応させ、前記式(h)で表される化合物を得る、請求項8記載のアンサマイシン系抗生物質合成用の中間体化合物の製造方法。
【請求項10】
下記式(g)で表される化合物から閉環メタセシス反応によりトリエンを構築した後、保護基を脱保護する、アンサマイシン系抗生物質の製造方法。
【化11】

(式(g)中、R13は保護基を示し、R14は下記式
【化12】

のいずれかを示し、R16,R17は水素原子又は保護基を示し、R18は水素原子又は−OR19(R19は保護基)を示す。R15は下記式
【化13】

のいずれかを示す。)

【公開番号】特開2009−191000(P2009−191000A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32312(P2008−32312)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【出願人】(503359821)独立行政法人理化学研究所 (1,056)
【Fターム(参考)】