説明

乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステムおよび方法

【課題】本発明は、乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステム。
【解決手段】本システムは、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法408を実装する第1のモジュールと、操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法410を実装する第2のモジュール404と、前記第1および前記第2のモジュールの見積もりによる状態を共有するための手段と、を包含し、前記第1および前記第2のモジュールのうちの1つの前記見積もりの方法が、前記第1および前記第2のモジュールのうちの他方の1つの状態に基づいて調整され、それによって前記乗り物の操作のパフォーマンス状態および前記操作者の前記生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの前記見積もりを向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステムに関し、より詳細に述べれば、それぞれが操作者の乗り物の操作のパフォーマンス状態、および生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なう2つのモジュールを有するシステムに関する。
【0002】
本発明はまた、乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるための対応する方法にも関係する。
【背景技術】
【0003】
交通事故は、しばしば、たとえば眠気、病気、注意散漫、酩酊等々によって引き起こされる運転者の障害に起因して発生する。運転者の障害によって引き起こされる事故を防止するためには、運転者に警告メッセージを提供して周囲の交通状況に対する運転者の注意を回復すること、または、決定的な状況においては、運転者に対して、休憩を取るかもしくは別の運転者と乗り物の運転を交替するように勧告することが極めて重要なこととなり得る。
【0004】
運転者の挙動を予測し、運転者が現在の運転状況または乗り物の環境に気付いていない場合に警告メッセージを運転者に提供することを試みるシステムがいくつか知られている。しかしながら、運転者がそれを自分のこととして反応できる警告メッセージを提供することが極めて重要であると言える。言い換えると、運転者の障害の種々の原因に対してそれぞれ異なる警告メッセージを提供することが極めて重要なこととなり得る。たとえば、眠そうな運転者には、たとえば酩酊している運転者、または注意散漫な運転者のために意図されたメッセージではなく、眠気のために意図された警告メッセージが与えられる必要がある。実際には運転者が眠そうであるときに、たとえば注意散漫な運転者のために意図された警告メッセージは、運転者がそれを自分のこととせず、正しく、かつ望ましい形でそのメッセージに反応しないという結果をもたらす可能性がある。
【0005】
特許文献1は、運転者の生理学的な挙動を監視するためのシステムについて述べている。このシステムは、たとえば運転者の目の動き、凝視方向、閉瞼の量、瞬きの動き、頭の動き等々を測定する。警告メッセージは、事故を引き起こす可能性のある複数の生理学的挙動のうちの1つをシステムが検出したときに、乗り物の運転者に対して提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,974,414号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このシステムをはじめ、ほかの周知のシステムは、運転者の障害の実際の原因の間を良好に区別すること、すなわち測定された障害の背後にある偶発的要因を明確に決定することができない。したがって、乗り物の運転者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様によれば、上に示した事項を少なくとも部分的に乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステムによって満たすことができ、当該システムは、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法を実装する第1のモジュールと、操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法を実装する第2のモジュールと、第1および第2のモジュールのうちの1つと第1および第2のモジュールのうちの他方の1つの間において見積もりによる状態を共有するための手段と、を包含し、それにおいて第1および第2のモジュールのうちの1つの実装された見積もりの方法が、第1および第2のモジュールのうちの他方の1つの状態に基づいて調整され、それによって乗り物の操作のパフォーマンス状態および操作者の生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを向上させる。
【0009】
本発明は、モジュール間においてたとえば見積もりによる状態を共有することによって、それらのモジュールのうちの1つまたは両方によって実行される方法を、より良好にそれぞれの見積もりを行なうべく調整することができるという理解に基づいている。たとえば、第1のモジュールを、障害性の運転パフォーマンスが生じていることを検出するだけであるとすることができるが、これは、たとえば車線維持等を検出するための現在知られているシステムによって提供できる。障害性の運転パフォーマンスの実際の理由(1つまたは複数)および/または原因(1つまたは複数)は、第1のモジュールだけによっては良好に識別できないことがある。しかしながら、第2のモジュールから第1のモジュールへ、操作者の生理学的状態および/または行動状態の見積もりによる状態を分け与えることによって、第1のモジュールに、障害性の運転パフォーマンスの理由(1つまたは複数)および/または原因(1つまたは複数)の分類を決定できるような情報を与えることができる。注意する必要があるが、共有される見積もりによる状態もまた、モジュール間における少なくとも中間の見積もりによる状態を共有することを包含でき、言い換えると、モジュールのうちの1つが、必ずしも『完全/充分な状態見積もり』を共有せずに、むしろ、たとえば状態見積もり方法のうちの1つの機能ブロックの1つによって提供される中間の状態見積もりを共有することが許される。これにより、第1のモジュールに第2のモジュールから障害性運転パフォーマンスの原因の徴候が提供されたとき、第1の方法の見積もりを向上させるためにそれの調整を実行することができる。システムは、当然のことながら、順序を逆にして、すなわち第2のモジュールが操作者の生理学的状態および/または行動状態の見積もりを行ない、第1のモジュールからの共有される見積もりが、第2のモジュールに対して、第2のモジュールが生理学的状態および/または行動状態の見積もりについての実際の要因(1つまたは複数)を決定することができるような情報を提供するという形においても機能することができる。したがって、本発明によるシステムを用いれば、操作者のパフォーマンス見積もりの分類および決定を行なうことが可能となり得る。それに加えて、第1および第2の方法のうちの1つの見積もりを、第1および第2の方法のうちの他方の1つの見積もりに基づいて分類することは、障害性の運転パフォーマンスの原因(1つまたは複数)を見積もるための、先行技術のシステムと比べて向上するとみられる堅牢なシステムを提供することができる。したがって、第1の方法が特定の運転パフォーマンスの見積もりを行ない、第2の方法が、第1の方法の見積もりの分類が達成され得るように、第1のモジュールに対する入力としてそれの見積もりを提供することができる。これは、当然のことながら上で述べたとおり、順序を逆にすること、すなわち、第1の方法の見積もりが第2の方法の検出を分類するための入力として第2のモジュールに対して提供されることも可能である。
【0010】
追加の例によれば、眠そうな運転パフォーマンスは分単位の遅いプロセスであり、注意散漫な運転は秒単位の速いプロセスである。第1の方法のアルゴリズムは、したがって、受け取った第2のモジュールからの見積もりに基づいて、分単位または秒単位で働くべく適合させることができる。これは、たとえば、第2のモジュールが注意散漫な運転を検出するときに都合のよいことがある。これにより、第1のモジュールのアルゴリズムは、秒単位で動作して、たとえば、上で述べたとおり分単位で作用する眠そうな運転挙動に関して典型的とし得る運転挙動をふるい落とすべく構成することができる。したがって、第2のモジュールがそれの見積もりを第1のモジュールに提供するとき、第1のモジュールの第1の方法は、それのアルゴリズムの時間範囲を調整することができる。
【0011】
それに加えて、たとえば第2のモジュールから第1のモジュールへ状態の見積もりを提供するとき、第2のモジュールの見積もりが正しいことを確実にするために、第1のモジュールを、さらに、第2のモジュールによって見積もられた運転挙動を捜し求めるべく構成することができる。たとえば、第2のモジュールが眠そうな運転パフォーマンスを検出したとき、分単位で作用して眠そうな運転の徴候を見付けるべく第1のモジュールのアルゴリズムを構成することができる。
【0012】
さらにまた、この種のシステムは、乗り物の操作者に対して警告メッセージを提供することが不可欠となり得る乗り物警告システムにおいても有益となることがある。したがって、特定の警告信号/メッセージが障害性の運転の見積もりによる原因(1つまたは複数)に関して適合され、その警告信号/メッセージを乗り物の操作者に提供することもできる。
【0013】
以下における『パフォーマンス見積もり』という用語は、障害性の運転の原因(1つまたは複数)、すなわち乗り物の操作者の特定の挙動の原因(1つまたは複数)の見積もりとして解釈されるものとする。
【0014】
また『第1のモジュール』および『第2のモジュール』という表現は、それぞれ乗り物の内部および/または外部からデータを獲得する内部および外部センサ/検出器からデータを受信するべく構成されるサブシステム(物理的なデバイス、プログラマブル機能ブロック等)を意味しているものと理解される必要がある。受信されたデータに基づいて、これらのモジュールは、それぞれ、乗り物の操作のパフォーマンス状態および操作者の生理学的状態および行動状態についての見積もり(1つまたは複数)を提供する。
【0015】
以下においては、第1および第2のモジュールのうちの1つと第1および第2のモジュールのうちの他方の1つの間において見積もりによる状態の共有を実装するための3つの例示的な実施態様を説明する。
【0016】
第1の例示的な共有実装においては、第1のモジュールの第1の方法が、外部センサ(1つまたは複数)/検出器(1つまたは複数)からの受信データに基づいて乗り物操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なう。第2のモジュールの第2の方法は、内部センサ(1つまたは複数)/検出器(1つまたは複数)からの受信データに基づいて操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なう。続いて第2のモジュールは、それの見積もりによる状態を第1のモジュールに対して提供し、言い換えると第2のモジュールは、それの見積もりを第1のモジュールに分け与える。第1のモジュールの第1の方法は、その後、受け取った第2の方法の見積もりに基づいて調整される。
【0017】
第2の例示的な共有実装においては、第1の共有実装と比較して逆の『方向』で見積もりが共有される。したがって、第1および第2の方法が上で述べたとおりのそれぞれの見積もりを実行し、続いて第1のモジュールが第2のモジュールへ、それの見積もりによる状態を提供し、言い換えると第1のモジュールがそれの見積もりを第2のモジュールに分け与える。第2のモジュールの第2の方法は、その後、受け取った第1の方法の見積もりに基づいて調整される。
【0018】
第3の例示的な共有実装においては、第1の方法がそれの見積もりによる状態を第2のモジュールに分け与え、第2の方法がそれの見積もりによる状態を第1のモジュールに分け与え、言い換えると共有が両『方向』において提供される。この場合においては、あらかじめ決定済みの数の共有サイクルにわたって第1および第2の方法の見積もりによる状態を調整することができる。たとえば第2の方法が、それの見積もりによる状態を受け取った第1の方法の見積もりに基づいて調整した場合に、第2の方法がそれの新しい見積もりによる状態を第1の方法に分け与え、第1の方法は、それの見積もりを調整することができる。続いて第1の方法が更新後の見積もりを第2の方法に再び提供するか、または見積もりが充分に信頼できるとシステムが判断した場合には、そのパフォーマンス見積もりを、たとえば乗り物警告システムまたは乗り物の人間機械インターフェース(HMI)に対して出力することができる。
【0019】
しかしながらここで注意する必要があるが、パフォーマンス見積もりは、必ずしも第1および第2のモジュールのうちの1つだけからの出力として与えられなければならないということはなく、見積もりは、両方のモジュールから乗り物の警告システムまたはHMIへの出力として与えられることもある。それに加えて、出力される見積もりを、見積もりが乗り物の警告システムまたはHMIに提供される前に信頼度の値と比較してそれぞれの見積もりの重み付けを行なうことによって2つのモジュールの組み合わせとすることもできる。
【0020】
本発明の実施態様によれば、第1の方法を、乗り物の車線維持、乗り物の速度、乗り物の車間距離維持、および乗り物のステアリング挙動のうちの少なくとも1つを検出するべく構成することができる。これにより第1の方法は、乗り物の操作者が、操作者の障害によって生じることがある態様で乗り物を操作しているか否かを検出することができる。たとえば、乗り物が車線の一方の側から他方の側へドリフトしている場合、統制されていない加速/減速を行なっている場合、または先行する乗り物までの車間距離維持能力が低下していることが示される場合に乗り物の操作者の障害が生じていることがありがちとなり得る。しかしながら第1の方法を、さらに、不正確なステアリング、交通の変化に対する遅い反応時間、制動の直後に続くアクセル・ペダルの踏み込み、多様なステアリング・ホイール移動パターン等々といった乗り物の挙動を検出するべく構成することもできる。それに加えて、第1の方法は、たとえばカメラ(1つまたは複数)、レーダ、GPS、乗り物対乗り物通信、乗り物対インフラストラクチャ通信等々により、乗り物の操作パフォーマンス状態の検出のための情報を獲得することができる。
【0021】
さらにまた、第2の方法を、操作者の凝視方向、操作者の頭の動き、操作者の身体の動き、および操作者のまぶたの挙動のうちの少なくとも1つを検出するべく構成することができる。したがって、第2の方法は、乗り物の操作者を、特に操作者の生理学的状態および/または行動状態を検出する。しかしながら注意する必要があるが、第2の方法は、操作者の複数のそのほかの生理学的状態または行動状態、たとえばラジオまたは環境コントロール・システムといった多様な乗り物システムとのインタラクション、ほかの搭乗者とのインタラクション、音声パターン、音声認識、トリガされた事象への応答/反応、種々の皮膚パラメータにおける変化、呼吸または雰囲気中のアルコール含量、瞳応答、心拍数等々を検出するべく構成することもできる。それに加えて、第2の方法は、たとえばカメラ(1つまたは複数)、オーディオ認識、ボタン操作、EKG等によって操作者の生理学的状態および/または行動状態を検出するための情報を獲得することができる。
【0022】
本発明の実施態様によれば、第1のモジュールが、複数のあらかじめ定義済みの方法を包含することが許され、それにおいてはあらかじめ定義済みの方法のそれぞれが、操作者の特定の運転パフォーマンス状態を検出するべく構成される。複数のあらかじめ定義済みの方法のそれぞれは、これにより、操作者の特定の運転パフォーマンス状態を検出するべく微調整される。利点は、より精巧なシステムを構成できることであり、それにおいてはあらかじめ定義済みの方法のそれぞれに、操作者の特定の運転パフォーマンス状態を検出するべく特別に設計されたアルゴリズム(1つまたは複数)を提供できる。それに加えて、複数のあらかじめ定義済みの方法のうちの1つの選択は、第2のモジュールの見積もりに基づくことができる。これにより、第2のモジュールの見積もりを、複数のあらかじめ定義済みの方法のうちのいずれの1つが選択されるべきかについて第1のモジュールが決定可能となるように、第1のモジュールへの入力として与えることができる。第2および第3の例示的な共有実装は、上に詳細を述べたとおり、当然のことながら本発明のこの実施態様についても有効である。
【0023】
たとえば、あらかじめ定義済みの方法に、上で述べたとおりの多様な時間範囲を有する、すなわち分単位または秒単位の車線維持アルゴリズム、または乗り物の多様な操作を検出するためのアルゴリズムを提供することができる。さらにまた、あらかじめ定義済みの方法に、ステアリング・ホイールの動きパターンまたは速度維持パターンを検出するためのアルゴリズムを提供することができる。さらにまた、あらかじめ定義済みの方法は、上で述べたアルゴリズムの組み合わせを使用してもよい。
【0024】
さらにまた、第1のモジュールは、複数の運転パフォーマンス状態を受け取り、かつ第2のモジュールの見積もりに基づいて見積もりによる運転パフォーマンスの重み付けを行なうべく構成された重み付け手段を包含することができる。これにより、複数のあらかじめ定義済みの方法のそれぞれのためのアルゴリズムが並列して実行され、かつ重み付け手段が提供される。重み付け手段には、たとえば、第2のモジュールから受け取った見積もりに基づいて多様な重み付けパラメータを提供することができる。重み付けパラメータは、線形または、平方根計算、対数関数等といった非線形計算を使用することができる。第2のモジュールは、重み付け手段が操作者の運転パフォーマンスの現在の原因を見積もることが可能となるように第2の方法からの見積もりを第1のモジュールに提供する。言い換えると、重み付け手段は、複数の運転パフォーマンス状態および第2のモジュールからの見積もりに基づいて運転パフォーマンス状態を分類する。第2および第3の例示的な共有実装は、本発明のこの実施態様についても有効であるが、この場合は、重み付け手段と第2のモジュールの間においても共有を提供することができる。それに加えて、操作者の検出される運転パフォーマンス状態は、眠気/疲労、注意散漫、病気、酩酊、危険運転挙動、および粗悪な運転のうちの1つとすることができる。多様な操作者のパフォーマンス状態を分類する利点は、上で述べたとおり、運転者の障害の原因をより精密に検出できることである。これはたとえば、乗り物の操作者が自分のこととして適切に反応することが可能な警告信号/メッセージを乗り物の警告システムから乗り物の操作者に提供することが可能になるような情報を乗り物の警告システムに提供することができる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるための方法が提供され、それにおいて乗り物は、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法を実装する第1のモジュールと、操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法を実装する第2のモジュールと、を有するシステムを包含し、それにおいてはこの方法が、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりのための第1のモジュールに対するセンサ・データを受信するステップと、操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりのための第2のモジュールに対するセンサ・データを受信するステップと、第1および第2のモジュールのうちの1つと第1および第2のモジュールのうちの他方の1つの間において見積もりによる状態を共有するステップと、第1のモジュールおよび第2のモジュールのうちの1つの実装された方法を、第1のモジュールおよび第2のモジュールのうちの他方の1つの見積もりに基づいて調整し、それによって乗り物の操作のパフォーマンス状態および操作者の生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを向上させるステップと、を包含する。本発明のこの態様は、手前の態様に関係して上で述べたものと類似する利点を提供する。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのコンピュータ・プログラム・プロダクトを具体化するコンピュータ可読媒体が提供され、それにおいて乗り物は、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法を実装する第1のモジュールと、操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法を実装する第2のモジュールと、を有するシステムを包含し、それにおいてはコンピュータ・プログラム・プロダクトが、プロセッサによって実行されたときに、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりのための第1のモジュールに対するセンサ・データを受信するべく構成されたコードと、操作者の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりのための第2のモジュールに対するセンサ・データを受信するべく構成されたコードと、第1および第2のモジュールのうちの1つと第1および第2のモジュールのうちの他方の1つの間において見積もりによる状態を共有するべく構成されたコードと、第1のモジュールおよび第2のモジュールのうちの1つの実装された方法を、第1のモジュールおよび第2のモジュールのうちの他方の1つの見積もりに基づいて調整し、それによって乗り物の操作のパフォーマンス状態および操作者の生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを向上させるべく構成されたコードと、を包含する。本発明のこの態様もまた、手前の本発明の態様に関係して上で述べたものと類似する利点を提供する。
【0027】
本発明のこのほかの目的、特徴、および利点については、以下の詳細な開示、付随する特許請求の範囲の従属請求項をはじめ、図面から明らかになるであろう。
【0028】
次に本発明のこれらの、およびそのほかの態様について、本発明の例示的な実施態様を示している以下に列挙した添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】外部センサが装備された乗り物およびそれの前端における座標系を示した斜視図である。
【図2】内部センサが装備された乗り物の内部の斜視図である。
【図3】乗り物の操作者の顔の座標系を図示した図である。
【図4】第1および第2のモジュールおよびHMIを有する本発明によるシステムの実施態様を図示した図である。
【図5】図4に図示した実施態様による第1のモジュールの実施態様を図示した図である。
【図6】図4に図示した実施態様による第1のモジュールのさらに別の実施態様を図示した図である。
【図7】図4乃至6に図示したシステムを利用するための方法の実施態様を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の例示的な実施態様が示されている添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形で具体化されることを許容し、ここに示されている実施態様に限定されると解釈されるべきでなく、むしろこれらの実施態様は、詳細および完全性のために提供されている。全体を通じて類似した要素の参照には類似した参照文字を用いる。
【0031】
以下においては、乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステムを参照して本発明が説明されている。乗り物には、乗り物の操作者の情報を引き出すための内部センサ(1つまたは複数)、および乗り物の操作をはじめ、乗り物の周囲環境の情報を引き出すための外部センサ(1つまたは複数)が好ましく装備される。より良好な理解に資するために、ここで図1乃至3を参照して内部センサおよび外部センサを説明する。
【0032】
図1は、例示的な乗り物を図示しており、ここではそれを自動車100とするが、それに本発明によるシステムを組み込むことができる。自動車100には、追い越し、乗り物の速度、乗り物のヨー・レート等々といった乗り物の操作をはじめ、乗り物の周囲環境、たとえば車線のマーク、道路のマーク、道路の湾曲、周囲の乗り物等々を検出するべく配される外部センサ104が提供される。外部センサ104は、たとえばカメラまたはレーダ・センサとすることができる。カメラが物体の高さおよび幅の決定時に高精度を提供する一方、レーダ・センサが物体までの距離の決定時に高精度を提供することから、好ましくは、カメラおよびレーダ・センサの組み合わせが使用されるとすることができる。これによって、周囲の物体のサイズ、位置、速度等を決定することが可能になる。自動車100の位置に関して言えば、ここではデカルト座標系として図示されている座標系102が自動車100の前端に置かれる。座標系102は、乗り物に追従するべく構成され、軸は、長さ方向(x軸)、横方向(y軸)、および垂直方向(z軸)をそれぞれ表わす。検出される物体は、自動車100の座標系102に関連して乗り物のシステムに、自動車100と相対的なその物体のサイズおよび位置をシステムが決定することが可能となるように提供される。システムに、異なるセンサ104から検出された物体が連続して提供されることから、周囲の交通環境の速度および加速度を決定することも可能になる。
【0033】
図2は、乗り物の操作者202を含む自動車100の内部を図示しており、それにおいては、自動車100に、ここではカメラ・システム204として図示されている内部センサが装備される。カメラ・システム204は、乗り物の操作の間における乗り物の操作者202の挙動を決定するべく配される。さらにまた、カメラ・システム204は、操作者の顔のあらかじめ決定済みの数の位置に焦点を合わせるべく配することができる。これらの位置は、たとえば、目、まぶた、眉、鼻、口、頬等々とすることができる。カメラ・システム204は、その自動車100を通常操作する特定の操作者202のためにあらかじめ較正すること、または自動車100の運転席に操作者202が入る都度較正することができる。カメラ・システム204が操作者の顔の種々の位置を検出することから、顔の挙動の見積もりが可能になる。したがって、カメラ・システム204は、たとえば頭および目の方向、頭の姿勢、目のサッケード、頭‐目のサッケード、閉瞼、および閉瞼の速度等を検出することができる。またカメラ・システム204は、図3に図示されているが、操作者の顔304に関連して座標系302を使用することによって、操作者の頭が右または左に回転(ヨー)305しているか否か、上または下に回転(ピッチ)306しているか否か、あるいは右または左の肩に向かって傾斜(ロール)307しているか否かを検出することもできる。顔304の座標系302は、好ましくは極座標系とし、それの原点が操作者の目の間に位置決めされる。
【0034】
さらにまた内部センサは、カメラ・システム204に代えて、またはそれに追加して別のタイプの操作者検出手段を含むこともできる。これはたとえば、操作者のEKGまたはEEGを検出するためのセンサ、ステアリング挙動を検出するためのステアリング・ホイール・センサ、一貫性のない自動車100の加速および/または制動を検出するためのアクセル・ペダルおよび/またはブレーキ・ペダルにおけるセンサ、たとえばインフォテインメント・システムの多様な機能のいずれかを操作者202が調整しているか否かといったことを検出する自動車100の多様なボタンにおけるセンサを含むことができる。さらに別の内部センサを、操作者202の酩酊を検出するための呼吸分析センサまたは瞳サイズ・センサとすることができる。
【0035】
次に、本発明によるシステムの例示的な実施態様を図示した図4を参照する。システム400は、第1のモジュール402および第2のモジュール404を包含しており、それにおいてそれらのモジュールのうちの少なくとも1つが、図示された実施態様においては、たとえば人間機械インターフェース(HMI)406またはその類と接続される。図4の例示的な実施態様においては、第1のモジュール402がHMI406に接続され、第2のモジュール404は、破線で図示されているが、HMI406と接続することが可能である。第1のモジュール402は、図示されている実施態様においては、乗り物の操作のパフォーマンス状態、すなわち乗り物の操作者202の現在の運転パフォーマンスの見積もりを行なうべく構成されたシステムである。それに加えて第1のモジュール402は、乗り物の操作のパフォーマンス状態を検出するための運転パフォーマンス見積もりアルゴリズムを有する第1の方法408を包含している。乗り物の操作のパフォーマンス状態は、操作の間における自動車100の特定の挙動を意味するものと理解される必要があり、たとえばそれは、乗り物の車線維持、乗り物の速度、乗り物の車間距離維持、および乗り物のステアリング挙動である。しかしながらそれが、乗り物の操作者202の任意のほかのタイプの運転パフォーマンスにも適用できる本発明の範囲を限定することはない。さらにまた、第1の方法408が乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうために、図1との関連から上で述べたとおり、外部センサ(1つまたは複数)104が、第1のモジュール402にセンサ・データを提供する。
【0036】
さらにまた、第2のモジュール404は、図示されている実施態様においては、乗り物の操作者202の生理学的状態および行動状態(1つまたは複数)の見積もり、すなわち操作者202の生理学的状態および行動状態における何らかの変化の検出および見積もりを行なうべく構成されたシステムである。操作者の生理学的状態および行動状態(1つまたは複数)の見積もりは、第2のモジュール404内に実装された第2の方法410によって提供され、図2および3との関連から上で述べた内部センサ(1つまたは複数)からセンサ・データを受信する。第2のモジュールによって見積もりが行なわれる生理学的状態および行動状態の例は、たとえば凝視方向の見積もり、顔の方向、乗り物システムとのインタラクション、閉瞼の持続時間、閉瞼の速度、開瞼の速度、乗り物のほかの搭乗者(1人または複数)との会話、EEGおよび/またはEKGの見積もり、トリガされた事象(1つまたは複数)に対する応答/反応時間等々を含むことができる。
【0037】
また図4にも図示されているとおり、第1のモジュール402および第2のモジュール404は、それぞれの方法によって提供される見積もり(1つまたは複数)を共有するために互いに接続されている。この例示的な実施態様においては、3つの異なる共有実装412、414、416が存在することが図示されているが、それにおいて第1の共有実装412は、第2のモジュール404によって見積もりが行なわれた生理学的状態および/または行動状態(1つまたは複数)を第1のモジュール402に提供する。第2の共有実装414においては、第1のモジュール402によって見積もりが行なわれた乗り物の操作のパフォーマンス状態が第2のモジュール404と共有され、第3の共有実装416においては、第1のモジュール402および第2のモジュール404によって提供される見積もりが互いの間において共有され、言い換えると第3の共有実装416は、第1の共有実装412と第2の共有実装414の組み合わせである。第3の共有実装416は、第1のモジュール402および第2のモジュール404の見積もりが、第1のモジュール402および第2のモジュール404のうちの他方の1つの見積もりに基づいて連続的に更新され、調整される反復プロセスとすることもできる。次に例示的な共有実装について、より詳細に説明する。
【0038】
第1の例示的な共有実装412においては、第1のモジュール402の第1の方法408が乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行ない、第2のモジュール404の第2の方法410が、上で述べたとおりの操作者の生理学的状態および行動状態(1つまたは複数)のうちの少なくとも1つの見積もりを行なう。第2のモジュール404は、それの見積もりによる状態を第1のモジュール402に対して提供し、言い換えると第2のモジュール404は、それの見積もりを第1のモジュール402に分け与える。第1のモジュール402の第1の方法408は、その後、受け取った第2の方法410の見積もりに基づいて調整される。たとえば第1のモジュール402が、自動車100の現在の運転パフォーマンスの見積もりを、たとえば一貫性のない車線維持とした場合に、それが、その運転パフォーマンスの実際の理由(1つまたは複数)および/または原因(1つまたは複数)を単独で決定できないことがある。しかしながら、第2のモジュール404がそれの見積もりによる状態を第1のモジュール402に分け与えるときには、第1のモジュール402の第1の方法408を、障害性の運転パフォーマンス、すなわち一貫性のない車線維持の理由(1つまたは複数)および/または原因(1つまたは複数)の分類を決定できるように調整することができる。第1の共有実装の実施態様のさらに別の例によれば、第2のモジュール404が自動車100の乗り物の操作者202のゆっくりした閉瞼速度をより長い期間にわたってまぶたが閉じられていることとともに検出した場合には、第2のモジュール404は、第1のモジュール402に、乗り物の操作者202のまぶたの挙動の見積もりを提供することができる。第1のモジュール402が第2のモジュール404から見積もりを受け取ったとき、第1のモジュール402を、この例の場合であれば、乗り物の操作者202の特定のまぶたの挙動に起因することがある乗り物の操作の多様なパフォーマンス状態の見積もりを行なうべく適合させることができる。第1のモジュール402が乗り物の操作のその種の状態、たとえば分単位の一貫性のない車線維持を検出した場合には、眠気または疲労の見積もりおよび分類を行なうことが可能である。その後第1のモジュール402が、たとえば乗り物の警告システムまたはHMI406に、見積もりによる分類を提供し、乗り物の操作者202に適切な警告メッセージ/信号を提供することができる。例としては、乗り物の操作者202に対して休憩を取る必要がある旨の大きく明瞭なメッセージがある。
【0039】
第2の例示的な共有実装414においては、第1の共有実装412と比較して『逆の方向』で見積もりが共有される。したがって、第1の方法408および第2の方法410が上で述べたとおりのそれぞれの見積もりを実行し、続いて第1のモジュール402が第2のモジュール404へ、第1の方法408の見積もりによる状態を提供し、言い換えると第1のモジュール402がそれの見積もりを第2のモジュール404に分け与える。第2のモジュール404の第2の方法410は、その後、受け取った第1の方法408の見積もりに基づいて調整される。これにより、第2の方法410は、第2の方法410が最初に見積もりを行なった特定の生理学的状態および/または行動状態についての実際の原因(1つまたは複数)/理由(1つまたは複数)を決定可能になることがある。またたとえば、第1のモジュール402が第2のモジュール404に、一貫性のないステアリングの挙動、一貫性のない加速および制動の見積もりを提供した場合に、第2のモジュール404は、たとえば乗り物の操作者202の酩酊の検出および見積もりを行なうべく調整することができる。第2のモジュール404がその種の挙動を検出した場合に、第2のモジュール404は、たとえば自動車100の警告システムまたはHMI406に見積もりによる分類を提供し、操作者202に適切な警告メッセージ/信号を提供することができる。
【0040】
第3の例示的な共有実装416においては、第1のモジュール402がそれの見積もりによる状態を第2のモジュール404に分け与え、第2のモジュール404がそれの見積もりによる状態を第1のモジュール402に分け与え、言い換えると共有が両『方向』において提供される。この場合においては、あらかじめ決定済みの数の共有サイクルにわたって第1のモジュール402および第2のモジュール404の見積もりによる状態を調整することができる。たとえば、第1のモジュール402が一貫性のない車線維持の見積もりを行なった場合に、その種の一貫性のない車線維持の原因の見積もりを行なうべく第2のモジュール404を適合させることができる。第2のモジュール404は、続いて、たとえば自動車100のインフォテインメント・システムに向かって指向された操作者の凝視を伴ったインフォテインメント・システムのボタン押しの検出および見積もりを行なう。第2のモジュール404は、その後、確立した見積もりを第1のモジュール402に提供することができる。その後、第1の方法408を、たとえば事故が発生する尤度を決定するために、たとえば自動車100の周囲の物体の見積もりを行なうべく適合させることができる。周囲にある物体が近づいてくる場合には、第1のモジュール402が、その後に続いて、近づいてくる物体に操作者202の凝視が向けられているか否かについての決定および見積もりを第2のモジュール404が行なうことができるように、それの見積もりを第2のモジュール404に提供することができる。第1のモジュール402および/または第2のモジュール404は、その後、状況の逼迫度に応じて、たとえば自動車100の警告システムまたはHMI406に対して、適切な警告メッセージ/信号が乗り物の操作者202に提供されるように、操作者202のパフォーマンス見積もりの分類を提供することができる。
【0041】
ここで注意する必要があるが、モジュール402、404のそれぞれの見積もりは、多様な時間間隔で更新することができる。たとえば、湾曲した道路を高速で走行している自動車100は、直線道路を低速で走行している自動車100より頻繁に更新すること、すなわちモジュール402、404が乗り物の操作および生理学的状態ならびに行動状態の見積もりをより頻繁に提供することができる。
【0042】
図5および6は、本発明による第1のモジュール402’、402”についての2つの異なる実施態様を図示しており、次にこれについて説明する。ここでは、図4に関連して上で説明した例示的な共有実装412、414、416が、図5および6の実施態様についても等しく適用可能であり、したがって、説明が必要となる相違が存在しない限りにおいては追加の説明を行なっていないことに注意する必要がある。
【0043】
図5によれば、第1のモジュール402’が、複数のあらかじめ定義済みの方法502、504、506を包含しており、そのそれぞれは、操作者202の特定の運転パフォーマンス(1つまたは複数)を検出するためのアルゴリズム(1つまたは複数)を伴って構成されている。図5の実施態様においては、3つのあらかじめ定義済みの方法502、504、506が図示されているが、当然のことながら本発明は、望ましい場合にはより多くの、またはより少ないあらかじめ定義済みの方法を伴って等しく適用することが可能である。あらかじめ定義済みの方法502、504、506のそれぞれは、眠そうな運転、注意散漫な運転、酩酊した運転、危険運転、粗悪な運転等々といった操作者202の特定の運転パフォーマンスを検出するべく構成される。たとえば、第1の例示的な共有実装412がシステム400によって提供される場合においては、第1のモジュール402’が、上で述べたとおり第2のモジュール404によって提供される見積もりを受け取る。第2のモジュール404の特定の見積もりに応じて、あらかじめ定義済みの方法のうちの1つ、ここでは502が、第1のモジュール402’が乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりにそのあらかじめ定義済みの方法502のアルゴリズム(1つまたは複数)を利用するように選択される。選択されたあらかじめ定義済みの方法502が、図5においては眠そうな運転を検出するための方法として図示されているが、同様に、乗り物の操作者202のほかのパフォーマンス状態の検出に適した任意のそのほかの方法とすることもできる。
【0044】
次に図6を参照し、本発明による第1のモジュール402”のさらに別の実施態様を、上で述べたとおりの第1の例示的な共有実装412に関して説明する。図6の実施態様もまた、図5を参照して上で述べたとおり、複数のあらかじめ定義済みの方法502、504、506を包含している。さらにまた図6の実施態様においては、第1のモジュール402’が重み付けデバイス508も包含しており、それが、複数のあらかじめ定義済みの方法502、504、506のためのアルゴリズムを受け取るべく構成されている。これにより、複数のあらかじめ定義済みの方法502、504、506が並列に動作し、重み付けデバイス508は、見積もりによる乗り物の操作者202の運転パフォーマンスの重み付けを、受け取った第2のモジュール404による見積もりに基づいて行なう。たとえば、第2のモジュール404が、操作者のまぶたの挙動について、たとえばゆっくりした速度の閉瞼/開瞼であるとの見積もりを行なっている場合には、重み付けデバイス508が、たとえば第1のモジュール402”は主として(たとえば70乃至80%の割合で)眠そうな運転パフォーマンスを検出する必要があるが、同時に酩酊した運転パフォーマンスも(たとえば20乃至30%の割合で)検出する必要があるという重み付けを行なうことができる。
【0045】
図5および6に図示した実施態様は、第1の例示的な共有実装412に関して述べられているが、それらは、同様に第2の例示的な共有実装414および第3の例示的な共有実装416を使用しても等しく適用可能であることに注意する必要がある。図6の実施態様によれば、上で述べたとおり、第1のモジュール402”の重み付けデバイス508と第2のモジュール404の間をはじめ、両方のモジュール402”と404の間に共有を提供することができる。
【0046】
特許請求の範囲において、用語『包含』は、そのほかの要素またはステップを排除せず、また複数であると明示していないことは、複数であることを排除しない。単一のコンピュータまたはそのほかのユニットが、特許請求の範囲の中に列挙されているいくつかの項目の機能を満たすことはあり得る。相互に異なる従属請求項の中で特定の手段が列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが都合よく使用できないことを示していない。
【0047】
主として本発明は、いくつかの実施態様を参照して以上のとおり説明されてきた。しかしながら当業者によって容易に認識されるとおり、付随する特許請求の範囲によって定義されるとおりの本発明の範囲内において、上で述べた開示以外の実施態様についても等しく可能性を有する。たとえば、本発明は、上で説明した自動車のほか、トラック、バス、ダンプカー、ホイール・ローダ、およびそのほかのタイプの乗り物にも適用可能である。また本発明は、乗り物の環境を検出するためのカメラおよび/またはレーダ・センサの使用に限定されることはなく、ほかの周知の適切なセンサも当然のことながら有効である。2つより多くのモジュールを使用することも可能であり、たとえば密度、周囲の乗り物の速度、現在の天候条件等々といった多様な交通条件を検出するべく構成された第3のモジュールを上記のシステムに提供することもできる。
【符号の説明】
【0048】
100 自動車、乗り物
102 座標系
104 外部センサ
202 操作者、乗り物の操作者
204 カメラ・システム、内部センサ
400 システム
402 第1のモジュール
402’ 第1のモジュール
402” 第1のモジュール
404 第2のモジュール
406 人間機械インターフェース(HMI)
408 第1の方法
410 第2の方法
412 第1の共有実装
414 第2の共有実装
416 第3の共有実装
502 あらかじめ定義済みの方法
504 あらかじめ定義済みの方法
506 あらかじめ定義済みの方法
508 重み付け手段、重み付けデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物(100)の操作者(202)のパフォーマンス見積もりを向上させるためのシステム(400)であって、
‐乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法(408)を実装する第1のモジュール(402,402’,402”)と、
‐前記操作者(202)の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法(410)を実装する第2のモジュール(404)と、
‐前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの1つと前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの他方の1つの間において見積もりによる状態を共有するための手段と、
を包含し、
それにおいて前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの1つの前記実装された見積もりの方法が、前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの他方の1つの状態に基づいて調整され、それによって前記乗り物の操作のパフォーマンス状態および前記操作者(202)の前記生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの前記見積もりを向上させる、
システム(400)。
【請求項2】
前記第1の方法(408)は、乗り物の車線維持、乗り物の速度、乗り物の車間距離維持、および乗り物のステアリング挙動のうちの少なくとも1つを検出するべく構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の方法(410)は、操作者の凝視方向、操作者の頭の動き、操作者のまぶたの挙動、および身体の動きのうちの少なくとも1つを検出するべく構成される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のモジュール(402,402’,402”)は、複数のあらかじめ定義済みの方法(502,504,506)を包含し、それにおいて前記あらかじめ定義済みの方法(502,504,506)のそれぞれは、前記操作者(202)の特定の運転パフォーマンス状態を検出するべく構成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記複数のあらかじめ定義済みの方法(502,504,506)のうちの1つを選択することは、前記第2のモジュール(404)の前記見積もりに基づく、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のモジュール(402)は、さらに、前記複数の運転パフォーマンス状態を受け取り、かつ前記第2のモジュール(404)の前記見積もりに基づいて見積もりによる運転パフォーマンスの重み付けを行なうべく構成された重み付け手段(508)を包含する、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記操作者の前記検出される運転パフォーマンス状態は、眠気/疲労、注意散漫、酩酊、危険運転挙動、および粗悪な運転のうちの1つである、請求項4乃至6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるための方法であって、前記乗り物が、
‐乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法(408)を実装する第1のモジュール(402,402’,402”)と、
‐前記操作者(202)の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法(410)を実装する第2のモジュール(404)と、を有するシステムを包含し、それにおいて前記方法が、
‐前記乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりのための前記第1のモジュール(402,402’,402”)に対するセンサ・データを受信するステップ(S1)と、
‐前記操作者(202)の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりのための前記第2のモジュール(404)に対するセンサ・データを受信するステップ(S2)と、
‐前記第1および前記第2のモジュールのうちの1つと前記第1および前記第2のモジュールのうちの他方の1つの間において見積もりによる状態を共有するステップ(S3)と、
‐前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの1つの前記実装された方法を、前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの他方の1つの前記見積もりに基づいて調整し、それによって前記乗り物の操作のパフォーマンス状態および前記操作者(202)の前記生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの前記見積もりを向上させるステップ(S4)と、
を包含する方法。
【請求項9】
前記第1の方法(408)は、乗り物の車線維持、乗り物の速度、乗り物の車間距離維持、および乗り物のステアリング挙動のうちの少なくとも1つを検出するべく構成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の方法(410)は、操作者の凝視方向、操作者の頭の動き、操作者のまぶたの挙動、および身体の動きのうちの少なくとも1つを検出するべく構成される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のモジュール(402,402’,402”)は、複数のあらかじめ定義済みの方法(502,504,506)を包含し、それにおいて前記あらかじめ定義済みの方法(502,504,506)のそれぞれは、前記操作者(202)の特定の運転パフォーマンス状態を検出するべく構成される、請求項8乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記複数のあらかじめ定義済みの方法(502,504,506)のうちの1つを選択することが、前記第2のモジュール(404)の前記見積もりに基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のモジュールは、さらに、前記複数の運転パフォーマンス状態を受け取り、かつ前記第2のモジュール(404)の前記見積もりに基づいて見積もりによる運転パフォーマンスの重み付けを行なうべく構成された重み付け手段(508)を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
乗り物の操作者のパフォーマンス見積もりを向上させるためのコンピュータ・プログラム・プロダクトを具体化するコンピュータ可読媒体であって、前記乗り物が、乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりを行なうための第1の方法(408)を実装する第1のモジュール(402,402’,402”)と、前記操作者(202)の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりを行なうための第2の方法(410)を実装する第2のモジュール(404)と、を有するシステムを包含し、前記コンピュータ・プログラム・プロダクトが、プロセッサによって実行されたときに、
‐前記乗り物の操作のパフォーマンス状態の見積もりのための前記第1のモジュール(402,402’,402”)に対するセンサ・データを受信(S1)するべく構成されたコードと、
‐前記操作者(202)の生理学的状態および行動状態のうちの少なくとも1つの見積もりのための前記第2のモジュール(404)に対するセンサ・データを受信(S2)するべく構成されたコードと、
‐前記第1および前記第2のモジュールのうちの1つと前記第1および前記第2のモジュールのうちの他方の1つの間において見積もりによる状態を共有(S3)するべく構成されたコードと、
‐前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの1つの前記実装された方法を、前記第1のモジュール(402,402’,402”)および前記第2のモジュール(404)のうちの他方の1つの前記見積もりに基づいて調整(S4)し、それによって前記乗り物の操作のパフォーマンス状態および前記操作者(202)の前記生理学的状態および/または行動状態のうちの少なくとも1つの前記見積もりを向上させるべく構成されたコードと、
を包含する、コンピュータ可読媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−54744(P2013−54744A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191997(P2012−191997)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(512224475)ボルボ カー コーポレイション (4)
【出願人】(502196511)ボルボ テクノロジー コーポレイション (52)
【Fターム(参考)】