説明

乗客搭乗用エスカレータ及び手摺りベルト用印刷フィルム

【課題】視覚障がい者がエスカレータを利用した場合でもエスカレータの進行方向を確実に認識することができるとともに、広告媒体、宣伝媒体としての機能を付与した乗客搭乗用エスカレータを提供する。
【解決手段】手摺りベルト1の表面にさらに、そのベルトの少なくとも一部において、所定のパターンを有する印刷帯域をもった長尺の印刷フィルム11が貼付されており、印刷帯域が、所定数の印刷区画12が予め定められた順序で配列されておりかつ隣接する印刷区画どうしが明度を異にする複数個の印刷区画からなる印刷ブロック13を一単位として保有しており、かつ視覚障がい者がエスカレータの進行方向を肉眼で視認可能であるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客等の移動を補助するために用いられるエスカレータに関し、さらに詳しく述べると、手摺りベルトにいわゆるユニバーサルデザインを付与したエスカレータと、そのようなエスカレータの手摺りベルトに貼付される、ユニバーサルデザインを印刷により付与した長尺の手摺りベルト用印刷フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、エスカレータは、乗客等の移動に用いられる搬送手段であって、典型的には、異なる床面の移動を補助するために階段等に設置される上昇型及び下降型エスカレータと、同一床面あるいは僅かに傾斜した床面における移動を補助するために床面、傾斜地等に設置される平面移動型エスカレータとがある。従来、いろいろなタイプのエスカレータが発表され、駅構内、建屋内などに設置され、場所によっては屋外に設置されている場合もある。また、利用者の利便性、安全性などを考慮して、多くの改良がエスカレータやその付属装置に対して改良が加えられている。
【0003】
例えば特許文献1は、遠方からでも側面からでも容易に乗り口と降り口を認識できるようにするため、図1に示したようなマンコンベア(エスカレータ)を提案している。図示のエスカレータは、乗降口124から階段120に乗って上昇するエスカレータであり、欄干121で支持された手摺りベルト130に明色柔軟性弾性部材137が埋め込まれている。弾性部材137を識別マークとして利用することで、利用者に対して、エスカレータの運転方向を視認性高く理解させることができる。
【0004】
また、特許文献2及び3は、手摺りベルトの移動方法を見やすく表示し、もって転倒事故等を防止する構成としたエスカレータの手摺りベルトを提案している。例えば特許文献3は、図2に示されるように、欄干211上を手摺りベルト205が案内され、手摺りベルト205の長手方向にそって長尺の印刷シート206が接着固定されているエスカレータを提案している。手摺りベルト205の表面には、この手摺りベルト205とは色を異にするとともに、移動方向を表示する方向表示マーク206Aを、反転部の半半径範囲H内に少なくとも1個存在するように複数個有し、2個の方向表示マーク206Aの間にはさらに、幅狭で注意文字や広告を表示した表示部206Bを付与した印刷シート206を設けている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−67837号公報(特許請求の範囲、図5)
【特許文献2】特開2006−347763(特許請求の範囲、図2)
【特許文献3】特開2006−347764(特許請求の範囲、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、従来のエスカレータでも、遠方からでも側面からでも容易に乗り口と降り口を認識できるようにしたり、手摺りベルトの移動方法を見やすく表示し、もって転倒事故等を防止したりするため、エスカレータの手摺りベルトに工夫をこらしている。しかしながら、従来のエスカレータの場合、高齢者などが利用したときに利用しやすく、転倒事故等を防止することが目的であるため、視覚障がい者がエスカレータを利用する場合には依然として利用上の問題点が残されている。例えば視覚障がい者がエスカレータを利用する場合、彼ら/彼女らにとっては色の識別を容易に行うことができないため、手摺りベルトに付与されている識別マーク、方向表示マーク、注意文字などを確実に認識することが困難である。
【0007】
本発明の目的は、このような好ましくない状況を打破すること、すなわち、健常者が通常通り利用できることはもちろんのこと、特に視覚障がい者がエスカレータを利用した場合でもエスカレータの進行方向を確実に認識することができるエスカレータを提供することにある。
【0008】
本発明の目的はまた、エスカレータの進行方向の認識やそれによる転倒事故等の防止に加えて、従来ほとんど利用されていない手摺りベルトに広告媒体等としての機能を付与することのできるエスカレータを提供することにある。
【0009】
本発明の目的はさらに、上記のような本発明のエスカレータを提供するのに有用な手摺りベルト用印刷フィルムを提供することにある。
【0010】
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、その1つの面において、乗客等の移動を補助するために用いられる乗客搭乗用エスカレータであって、複数個の移動可能なステップ(踏み台)と、該ステップの両脇に立設された側壁と、該側壁によって支持され、前記ステップの移動と同期して同一の速度で同一の方向に移動可能なエンドレスの手摺りベルトとを含む乗客搭乗用エスカレータにおいて、
前記手摺りベルトの表面にさらに、そのベルトの少なくとも一部において、所定のパターンを有する進行方向印刷帯域をもった長尺の印刷フィルムが前記手摺りベルトに沿って貼付されており、
前記進行方向印刷帯域は、所定数の印刷区画が予め定められた順序で配列されておりかつ隣接する印刷区画どうしが明度を異にする複数個の印刷区画からなる印刷ブロックを一単位として保有していて、視覚障がい者が該エスカレータの進行方向を肉眼で視認可能であることを特徴とする乗客搭乗用エスカレータにある。
【0012】
また、本発明は、そのもう1つの面において、乗客搭乗用エスカレータの手摺りベルトに貼付される長尺のエスカレータ用印刷フィルムであって、
前記印刷フィルムは、そのフィルムの少なくとも一部において、所定のパターンをもった進行方向印刷帯域を有しており、
前記進行方向印刷帯域は、所定数の印刷区画が予め定められた順序で配列されておりかつ隣接する印刷区画どうしが明度を異にする複数個の印刷区画からなる印刷ブロックを一単位として保有していて、前記印刷フィルムをエスカレータの手摺りベルトに貼付して使用したとき、視覚障がい者が前記エスカレータの進行方向を肉眼で視認可能であることを特徴とするエスカレータ用印刷フィルムにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、長尺の手摺りベルト用印刷フィルムの全体に、さもなければ印刷フィルムの少なくとも一部分に、いわゆるユニバーサルデザイン、特にカラーユニバーサルデザインを印刷及び必要に応じてその他の手段で付与したことにより、例えば次のような注目すべき効果を得ることができる。
【0014】
本発明の印刷フィルムを手摺りベルトに貼付した場合、利用者が健常者である場合、通常は無地であった手摺りベルトの側面部に付与されたカラーブロックの繰り返しによる印刷帯域により手摺りベルトの美観を向上させ、利用者の印象を向上させることができる。加えて、手摺りベルトの平面部には各種のメッセージ、例えば広告、宣伝、標語等のコマーシャルもしくは非コマーシャル情報を自由なデザインで付与することができるので、今までほとんど利用されることのなかった手摺りベルトで製品等の広告、観光地等の宣伝、各種のキャンペーンなどを行うことができ、広告媒体等としての優れた機能が発現する。
【0015】
特に本発明の手摺りベルトには、様々な利用者が使いやすいように配色等を考慮したユニバーサルデザインを取り込んだカラーブロックの繰り返しによる進行方向印刷帯域がベルトの側面を利用して備わっているので、特に弱視者や色弱者などの視覚障がい者がエスカレータを利用した場合でもエスカレータの進行方向を容易にかつ確実に認識することができ、誤って乗車したり、乗車すべきステップを見誤ったり、さらには誤って転倒することなどを防止することができるという点で朗報である。なお、「弱視者」とは、視力の弱い人たちを指し、また、「色弱者」とは、色の判断力や感じ方が健常者とは異なる人たち、例えば色覚異常、色弱、色覚障がい、色覚特性などハンディキャップをもった人たちを指している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明による乗客搭乗用エスカレータ及び手摺りベルト用印刷フィルムは、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明の好ましい形態を添付の図面を参照しながら説明するが、本発明は下記の形態に限定されるものではない。
【0017】
最初に、本発明の良好な理解のため、印刷フィルムの少なくとも一部に本発明に従い付与されている「カラーユニバーサルデザイン」について説明する。カラーユニバーサルデザインとは、多様な色覚をもつさまざまな人たちを配慮して、なるべくすべての人に情報がきちんと伝わるように、利用者側の視点にたって作られたデザインを指している。このデザインを選定するに当っては、
1.実際の照明条件、使用条件等の各種の条件を想定して、どのような色覚の人にもなるべく見分けやすい配色を選ぶこと、
2.色に加えて、形の違い、位置の違い、線種や塗り分けパターンの違いなどを併用し、利用者が色を見分けられない場合にも確実に情報が伝わるようにすること、
などに注意を払う必要がある。
【0018】
本発明の実施において、エスカレータは、特に限定されるものではなく、現在一般的に使用されているエスカレータばかりではなく、今後に開発され、使用されるであろう改良されたエスカレータも包含する。以下、本発明を適用可能なエスカレータを一般的に説明する。
【0019】
エスカレータは、主として、デパート、スーパーマーケット、商用ビル、事務用ビル、駅舎、船舶等において顧客、乗客等の利用者がフロア間の移動をスムースに行うために設置し、利用される輸送機器である。エスカレータは、通常、例えば30度あるいは35度の傾斜角度をもった階段状のエスカレータであるが、場合によっては、同一のフロアあるいは平地を移動するのを補助するために平面型のエスカレータ、いわゆる「動く歩道」など、が利用される場合もある。エスカレータは、周知の通り、通常、複数個の移動可能なステップと、これらのステップの両脇に立設された側壁と、それぞれの側壁によって支持され、ステップの移動と同期して同一の速度で同一の方向に移動可能なエンドレスの手摺りベルトと、例えば駆動ユニット(電動機及び減速歯車)及び駆動チェーンを含む駆動装置とをもって構成される。
【0020】
本発明を適用することのできるエスカレータは、いろいろな場所で使用されているものを包含する。エスカレータの設置場所の一例を挙げると、下記のものに限定されないが、交通機関の駅舎やその周辺、大型、一般あるいは一般商業施設の屋内やその周辺、公共施設やその関連建物の屋内やその周辺、医療機関の屋内やその周辺、イベント会場、展示会場、アミューズメント施設等の屋内やその周辺、船舶などを挙げることができる。
【0021】
図3は、本発明による乗客搭乗用エスカレータの好ましい一形態を示した模式図であり、図4は、図3の線分VI-VIに沿った断面図である。本発明のエスカレータ10は、この技術分野で乗客搭乗用エスカレータとして一般的に認識されている構成を有しており、したがって常用の手法によって製造することができる。よって、エスカレータの構成及び製造の詳細は、以下において説明を省略する。エスカレータ10は、図示されるように、複数個の移動可能なステップ7と、ステップ7の両脇に立設された側壁(欄干)6と、欄干6によって支持され、ステップ7の移動と同期して同一の速度で同一の方向に移動可能なエンドレスの手摺りベルト1とを備えている。なお、図では階段等の傾斜個所に上昇用に設けられたエスカレータが示されているが、このエスカレータは、進行方向印刷帯域の印刷パターンの向きを反転させて下降用に設けてもよく、また、図示しないが、平坦もしくはほぼ平坦な個所に2地点間を移動可能なように設けてもよい。
【0022】
さらに詳しく述べると、エスカレータ10は、下部乗り場3と上部降り場4との間には、エンドレスのステップ(階段)7を支持しており、ステップ7を移動するための駆動装置(図示せず)などが内蔵されている主枠5が配設されている。ステップ7は、下部乗り場3と上部降り場4との間を循環及び移動可能である。また、主枠5には、主枠5の長手方向に沿って、一対の欄干6が立設されている。欄干6は、ステップ7の移動に同期せず、固定されている。各欄干6には、ステップ7の移動に同期して移動可能に手摺りガイド2が取り付けられており、また、手摺りガイド2にはエンドレスの手摺りベルト1が装着されている。手摺りベルト1は、例えばウレタン樹脂などの弾性プラスチック材料から形成されており、また、図示されるように、ほぼC字形の断面を有している。手摺りベルト1は、ステップ7の移動と同期して、同一の速度でかつ同一の方向に移動可能である。また、手摺りベルト1には、その表面の全体を覆って本発明による長尺の印刷フィルム11が貼付されている。なお、図4では手摺りベルト1の表面の全体を覆って印刷フィルム11が貼付されているが、印刷フィルム11は、必要に応じて、手摺りベルト1の平面を除く部分、すなわち、手摺りベルト1の片側の部分だけに、あるいは手摺りベルト1の両側の部分に、あるいは手摺りベルト1の中央部とその近傍を含む部分だけに貼付されていてもよい。また、以下に詳細に説明するが、長尺の印刷フィルム11自体も、その進行方向印刷帯域の配置をいろいろな形態で行うことができる。例えば、進行方向印刷帯域は、印刷フィルム11の表面全体に配置してもよく、印刷フィルム11の片側の部分だけに配置してもよく、印刷フィルム11の両側の部分に配置してもよく、さもなければ、印刷フィルム11の中央部とその近傍を含む部分だけに配置してもよい。
【0023】
印刷フィルム11は、通常、基材と、基材の裏面に施された接着剤層とからなる。基材は、特に限定されないが、例えばポリウレタンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどのプラスチックフィルムから有利に形成することができる。基材は、一般的に無色もしくは白色であるが、必要に応じて他の色に着色されていたり、模様などを有していてもよい。但し、本発明において表面に付与される進行方向印刷帯域との区別が明確となるようにするため、通常、無地であるのが好ましい。基材の幅は、手摺りベルトの全面に貼付するか、それとも手摺りベルトの両端面のみに貼付するかで変ってくるが、通常、手摺りベルトの全幅以下、通常、約120〜130mmである。基材の厚さは、通常、約0.1〜0.35mmである。
【0024】
基材の裏面に施される接着剤層は、常用の接着剤から形成することができる。適当な接着剤は、以下のものに限定されないが、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、塩化ビニル系接着剤などである。これらの接着剤をバーコート法などによって基材の裏面に塗布することができる。接着剤層の厚さは、通常、約0.01〜0.05mmである。
【0025】
印刷フィルムは、通常、ロールの形態に巻き取られている印刷フィルム製品から必要長さを巻き出して切断し、長尺の印刷フィルムの形で使用することができる。別法によれば、すでに長尺の印刷フィルムの形で製品となっているシート状の印刷フィルム製品を使用してもよい。使用する印刷フィルム製品は、通常、取扱い性などを改良するため、接着剤層を保護した剥離紙をさらに有することが好ましい。ここで使用する剥離紙は、この技術分野で一般的に使用されているもの、例えば接着剤層の側にテフロン(登録商標)コートを有するプラスチックフィルムなどである。さらに、幅広の大型サイズの印刷フィルム製品をまず作製し、次いで、同時に裁断することによって、個々の印刷フィルム製品を多数個取りしてもよい。
【0026】
図5は、本発明による印刷フィルムの好ましい一形態を示したものであり、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。図示の例は、印刷フィルム11を幅狭で作製し、手摺りベルト1の平面を除く部分、すなわち、両端面とその近傍を含む部分に限って貼付した例である。図中、帯域Iは、手摺りベルト1の中央を占有する平面部であり、本発明ではこの帯域を「進行方向非印刷領域」と呼ぶ。図示の進行方向非印刷領域Iは、下地である手摺りベルト1が露出しているので、例えば黒色、青色、灰色等の手摺りベルトの色1aがそのまま見える帯域である。進行方向非印刷領域Iの両側に、図中IIで指示する「進行方向印刷帯域」が存在する。進行方向印刷帯域IIは、本発明の印刷フィルム11によって形成されている。進行方向印刷帯域IIには、ブロック化した両サイドエリアをそれぞれ明るさの異なる地色に色分けし、カラーユニバーサルデザインを付与したことで、視覚障がい者がエスカレータを利用しようとしたとき、エスカレータの進行方向を肉眼で視認可能である。
【0027】
図示の印刷フィルム11についてさらに詳しく説明すると、印刷フィルム11は、約120〜130mmの幅をもった手摺りベルト1の両端面1b上に貼付されている。印刷フィルム11の幅は、約30mmである。図示されるように、進行方向印刷帯域IIは、所定のパターンをもっており、図示の例では、印刷区画12(区画A、B、C及びD)が順に配列されて1つの印刷ブロック13を形成している。また、印刷ブロック13は、それを一単位として繰り返し配列されている。また、隣接する印刷区画12どうしは、カラーユニバーサルデザインを付与するため、それぞれの明度を異にしている。隣接する印刷区画12どうしの明度差は、好ましくは、JIS Z8721において規定される方法に準じてマンセル表色系、標準光C、2度視野で測定したときに少なくとも1以上であり、さらに好ましくは2以上である。明度差の範囲が上記の範囲を外れると、満足し得るカラーユニバーサルデザインを付与することができない。
【0028】
印刷区画12及び印刷ブロック13についてさらに説明すると、印刷ブロック13は1000mmを1単位として繰り返されており、区画Aは、長さが100mmで赤色(色相、明度/彩度=7.5R、5/14;以下同様)、区画Bは長さが400mmで黄色(5Y、8/14)、区画Cは長さが400mmで青色(5PB、4/10)、そして区画Dは長さが100mmで灰色(明度8)である。よって、隣接する印刷区画間の明度差を上記の規定に従って測定すると、区画A(赤色)と区画B(黄色)の明度差は3、区画B(黄色)と区画C(青色)の明度差は4、区画C(青色)と区画D(灰色)の明度差は4、そして区画D(灰色)と区画A(赤色)の明度差は3である。なお、かかる構成は一例であって、以下においても具体的に説明するように、本発明の範囲でいろいろに変更することができる。好ましい態様をまとめて記載すると、次のようになる。
【0029】
(1)図5では1単位の印刷ブロック13を印刷区画12(区画A、B、C及びDの4区画)から構成したけれども、区画数はこの4個に限定されるものではない。例えば、もしも所望とするカラーユニバーサルデザインを達成することができるのであるならば、区画A、B、C及びDに代えて、区画A及びBの2区画から、あるいは区画A、B及びCの3区画から、あるいは区画A、B、C、D及びEの5区画や区画A、B、C、D、E…のより多数の区画から、印刷ブロック13を構成することができる。すなわち、1単位中の印刷区画の数は、印刷ブロックのサイズや、1単位の長さ、デザイン等に応じて決定することができる。また、図5では採用していないが、印刷ブロックにメリハリを付けたり、視認性を向上させたりするため、相隣り合った印刷区画の間や印刷区画の周囲に黒色、白色等の太線やセパレーション領域などを設けてもよい。
【0030】
(2)図5に示したように、1単位の印刷ブロック13が繰り返して配置されていてもよく、さもなければ、2単位もしくはそれ以上の異なる印刷ブロックが配置されていてもよい。ここで、複数の印刷ブロックを配置するとき、それらの印刷ブロックは、規則的に配置されていてもよく、ランダムに配置されていてもよい。なぜなら、それぞれの印刷ブロックは、満足すべきカラーユニバーサルデザインを保証するものであるからである。また、印刷ブロックを複数の単位で配置した場合には、ある単位で貼り付けの失敗があったり、ある単位の一部の印刷区画のみが汚染したり破損したりしたときに、その汚染もしくは破損印刷区画をもった単位のみを交換すればすむので、非常に有利である。さらに、以下に説明するように、印刷ブロックをそれらのブロックによって奏される広告表示機能と関連して考察した場合、視野範囲の最適化や美観の向上などの面で有利である。さらに、必要ならば、印刷ブロックの繰り返しを行うことを省略して、手摺りベルト上の印刷フィルムを全体として1単位の印刷ブロックから構成してもよい。
【0031】
(3)印刷ブロック13を構成する複数個の印刷区画12は、隣接する印刷区画13どうしの形状やサイズが同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、印刷区画12は図5に示したように矩形のブロックであってもよいが、必要に応じて、例えば丸形、楕円形、三角形、四角形、菱形、星形などの形状や、鉛筆、ボールペン、列車、車等の乗物などの物品や動物などを具象的にデザインした印刷区画12を任意に組み合わせて印刷ブロック13を構成してもよい。もちろん、印刷区画12のサイズも任意に変更可能である。
【0032】
(4)進行方向印刷帯域IIには、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示がさらに印刷されていてもよい。適当な表示としては、例えば、矢印や進行方向を想起させるに足るマークやその組み合わせなどを挙げることができる。また、このような表示は、例えば印刷フィルムが進行方向印刷帯域IIと組み合わせて同一の印刷フィルムからなる透明、半透明もしくは不透明又はメッセージを印刷した進行方向非印刷帯域を合わせて含む場合、その部分にも印刷してもよい。さらに、カラーユニバーサルデザイン効果を高めるため、進行方向印刷帯域(印刷ブロック又は印刷区画)や進行方向非印刷帯域に、その帯域に印刷してある色を、例えば「黄」、「青」、「赤」などというように具体的に表示することが好ましい。色名を記入することによって、エスカレータの利用者が、色名を使用してコミュニケーションをとることも可能であるからである。
【0033】
(5)図5において、印刷ブロック13の一単位の長さを1000mmとしたけれども、これに限定されるものではなく、印刷ブロックを構成する印刷区画の形状やサイズ、所望とするカラーユニバーサルデザイン効果に応じて任意に変更することができる。印刷ブロックの一単位の長さは、約10〜500cmであり、例えば通常、約10〜200cmの長さが好ましい。印刷ブロックの長さが10cm未満では色の変化が多くなりすぎるため、識別しにくくなる。印刷ブロックの長さが500cmを超えると、視野の大部分を印刷ブロックが占めることになり、色の変化を捉えにくくなる。印刷ブロックの一単位の長さは、さらに好ましくは、約80〜120cmの範囲である。また、隣接する印刷ブロックは、そのサイズが変動することが望ましい。サイズが変動することで、印刷ブロックごとに識別力が高くなるからである。なお、サイズの違いは、印刷フィルムの長さ方向(進行方向)あるいは幅方向のいずれであってもよい。
【0034】
(6)上記したように、隣接する印刷区画12どうしの明度差は、JIS Z8721において規定される方法に準じてマンセル表色系、標準光C、2度視野で測定したときに少なくとも1以上であり、好ましくは約2以上である。
【0035】
(7)進行方向印刷帯域IIは、それによって所望とするカラーユニバーサルデザイン効果が得られる限り、任意のパターンで各印刷区画を形成し、完成することができる。適当なパターンとしては、先にものべたように、例えばストライプパターン、円形パターン、楕円形パターン、矩形パターン、三角形パターン、星形パターン、鉛筆、列車等の具象的なデザインなどやそれらの組み合わせを挙げることができる。もちろん、これらのパターンのサイズは、任意に変更可能である。
【0036】
(8)印刷フィルム11は、いろいろな幅を有することができ、手摺りベルト1の全面に貼付するのかあるいはその一部分、例えば端部領域のみに貼付するかによってその幅を変動可能である。印刷フィルム11は、手摺りベルト1の全面に貼付する場合には、その幅は、通常、約100〜140mmの範囲であり、大抵の場合、手摺りベルトに一般的な全幅にあわせて130mm前後である。また、手摺りベルト1の端部領域のみに貼付する場合には、その幅は、通常、約20〜40mmの範囲である。もちろん、この幅は一例であって、所望とする効果などに応じて任意に変更することができる。
【0037】
(9)例えば印刷フィルム11を手摺りベルト1の片側領域もしくは両側領域のみに貼付するような場合、印刷フィルム11の幅は通常約20〜40mmである。この場合、印刷フィルム11の全幅に進行方向印刷帯域IIが施されていることが好ましい。なお、印刷フィルム11は、必要に応じて、手摺りベルト1の中央部に貼付してもよい。
【0038】
(10)例えば印刷フィルム11を手摺りベルト1の全面に貼付するような場合、印刷フィルム11の幅は通常約100〜140mmである。この場合、印刷フィルム11の全幅に進行方向印刷帯域IIが施されていることが好ましい。また、この1変形例によれば、印刷フィルム11は、その幅が約100〜140mmであり、この印刷フィルムの両側に進行方向印刷帯域IIが施されていてもよい。この場合には、2つの進行方向印刷帯域IIによって挟まれた中央部が進行方向非印刷帯域Iとなっている。進行方向非印刷帯域Iの幅は、特に限定されるものではないが、その配置目的を考慮した場合、通常、少なくとも約60mmであることが好ましく、特に60〜70mm前後が好適である。進行方向非印刷帯域Iは、透明、半透明又は不透明であってもよく、さもなければ無地であってもよく、場合によっては模様やパターンなどが印刷されていてもよい。なお、進行方向非印刷帯域Iは、基本的に進行方向の印刷を有しない領域であるが、デザイン等の関係で必要であるならば、進行方向印刷帯域IIと同様な、あるいはそれとは別の進行方向印刷やその他の印刷を有していてもよい。進行方向印刷は、先に説明したように、いろいろな形態で具現することができる。加えて、印刷フィルムにメリハリを付けたり、視認性を向上させたりするため、相隣り合った進行方向非印刷帯域I及び進行方向印刷帯域IIの間に黒色、白色等の太線やセパレーション領域などを設けてもよい。
【0039】
(11)印刷フィルムには、コマーシャルもしくは非コマーシャル情報が、メッセージとしてさらに印刷されていてもよい。例えば、もう1つの好ましい態様において、例えば印刷フィルム11を手摺りベルト1の全面に貼付するような場合、印刷フィルム11の幅は通常約100〜140mmであるが、印刷フィルム11を、印刷フィルム11の両側に施された進行方向印刷帯域IIからなる第1の印刷帯域と、2つの第1の印刷帯域によって挟まれた進行方向非印刷帯域Iからなる第2の印刷帯域とから構成することができる。このような印刷フィルム11において、第1の印刷帯域は、前述のような進行方向印刷帯域IIから構成することができる。第2の印刷帯域は、先に定義し、説明したような進行方向非印刷帯域Iから構成することができる。進行方向非印刷帯域Iは、以下に図8、図14などを参照して説明するように、任意のメッセージあるいはパターン、例えば広告、宣伝、キャンペーン等のコマーシャル目的の情報やコマーシャルを目的としない情報が印刷されていてもよい。また、進行方向非印刷帯域Iは、上記したように、進行方向印刷帯域IIと同様な、あるいはそれとは別の進行方向印刷やその他の印刷を有していてもよい。
【0040】
第2の印刷帯域、すなわち、進行方向非印刷帯域Iの幅は、特に限定されるものではないが、その配置目的を考慮した場合、通常、少なくとも約60mmであることが好ましく、特に60〜70mm前後が好適である。さらに、印刷フィルムにメリハリを付けたり、視認性を向上させたりするため、相隣り合った進行方向非印刷帯域I及び進行方向印刷帯域IIの間に黒色、白色等の太線やセパレーション領域などを設けてもよい。
【0041】
再び図面の説明に戻ると、図6は、図5の印刷フィルムの一変形例を示したものであり、図5と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。図5及び図6の比較から理解される通り、本例では、印刷フィルム11を幅広で作製し、手摺りベルト1の全面に貼付している。すなわち、進行方向印刷帯域IIが手摺りベルト1の全面に存在する。進行方向印刷帯域IIには、ブロック化したエリアをそれぞれ明るさの異なる地色に色分けし、カラーユニバーサルデザインを付与したことで、視覚障がい者がエスカレータを利用しようとしたとき、エスカレータの進行方向を肉眼で視認可能である。
【0042】
図示の印刷フィルム11についてさらに詳しく説明すると、印刷フィルム11は、約120〜130mmの幅をもった手摺りベルト1の全面に貼付されている。よって、印刷フィルム11の幅は、約120〜130mmである。進行方向印刷帯域IIは、印刷区画12(区画A、B、C及びD)が順に配列されて1つの印刷ブロック13を形成している。また、印刷ブロック13は、それを一単位として繰り返し配列されている。また、隣接する印刷区画12どうしは、カラーユニバーサルデザインを付与するため、それぞれの明度を異にしている。隣接する印刷区画12どうしの明度差は、少なくとも1以上であり、さらに好ましくは、約2以上である。明度差の範囲が上記の範囲を外れると、満足し得るカラーユニバーサルデザインを付与することができない。
【0043】
印刷区画12及び印刷ブロック13についてさらに説明すると、印刷ブロック13は1000mmを1単位として繰り返されており、区画Aは、長さが100mmで赤色(7.5R、5/14)、区画Bは長さが400mmで黄色(5Y、8/14)、区画Cは長さが400mmで青色(5PB、4/10)、そして区画Dは長さが100mmで灰色(明度8)である。よって、隣接する印刷区画間の明度差を前記の規定に従って測定すると、区画A(赤色)と区画B(黄色)の明度差は3、区画B(黄色)と区画C(青色)の明度差は4、区画C(青色)と区画D(灰色)の明度差は4、そして区画D(灰色)と区画A(赤色)の明度差は3である。
【0044】
図5及び図6の印刷区画12及び印刷ブロック13から理解される通り、区画Aが明度の低い色からなるときには、隣接する区画Bにおいて明度の高い色を使用し、さらにその隣りの区画Cにおいて再び明度の低い色を使用し、そしてその隣りの区画Dにおいて再び明度の高い色を使用することが好ましい。相隣接する区画の明度差は、少なくとも1であることが好ましい。もちろん、それぞれの区画の色は、上記した赤色、黄色、青色、そして灰色に限定されるものではない。例えば図6に示したようなパターンでは、印刷ブロックの効果に加え、さらに2パターンのバリエーションが可能となる。よって、デザインに採用できる色の組み合わせが広がり、色覚タイプによる色の見え方などの違いにも、より幅広く対応することができる。
【0045】
図7は、図6に示した印刷フィルムの変形例を示したものであり、図6と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。図7の変形例によれば、印刷フィルム11は、その幅が約100〜140mmであり、この印刷フィルムの両側(フィルム11b)に進行方向印刷帯域IIが施されており、2つの進行方向印刷帯域IIによって挟まれた中央部(フィルム11a)が進行方向非印刷帯域Iaとなっている。進行方向非印刷帯域Iaの幅は、少なくとも約60mmであることが好ましい。進行方向印刷帯域IIは、前述のようにして構成することができる。また、進行方向非印刷帯域Iaは、フィルム基材が透明であるので、透明となっているが、必要に応じてフィルム基材を変更して、半透明あるいは不透明などに変更可能である。なお、進行方向非印刷帯域Iaには、必要に応じて、進行方向を示す印刷などを付与してもよく、また、相隣り合った進行方向非印刷帯域Ia及び進行方向印刷帯域IIの間に黒色、白色等の太線やセパレーション領域などを設けてもよい。ここでもまた、印刷ブロック13は1000mmを1単位として繰り返されており、区画Aは、長さが100mmで赤色(7.5R、5/14)、区画Bは長さが400mmで黄色(5Y、8/14)、区画Cは長さが400mmで青色(5PB、4/10)、そして区画Dは長さが100mmで灰色(明度8)である。よって、隣接する印刷区画間の明度差を前記の規定に従って測定すると、区画A(赤色)と区画B(黄色)の明度差は3、区画B(黄色)と区画C(青色)の明度差は4、区画C(青色)と区画D(灰色)の明度差は4、そして区画D(灰色)と区画A(赤色)の明度差は3である。
【0046】
図8も、図6に示した印刷フィルムの変形例を示したものであり、図6と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。図8の変形例によれば、印刷フィルム11は、その幅が約100〜140mmであり、印刷フィルム11の両側(フィルム11b)に施された進行方向印刷帯域IIからなる第1の印刷帯域と、フィルム中央部(フィルム11a)にあって、2つの第1の印刷帯域によって挟まれた進行方向非印刷帯域Ibからなる第2の印刷帯域とから構成されている。ここでもまた、印刷ブロック13は1000mmを1単位として繰り返されており、区画Aは、長さが100mmで赤色(7.5R、5/14)、区画Bは長さが400mmで黄色(5Y、8/14)、区画Cは長さが400mmで青色(5PB、4/10)、そして区画Dは長さが100mmで灰色(明度8)である。よって、隣接する印刷区画間の明度差を上記の規定に従って測定すると、区画A(赤色)と区画B(黄色)の明度差は3、区画B(黄色)と区画C(青色)の明度差は4、区画C(青色)と区画D(灰色)の明度差は4、そして区画D(灰色)と区画A(赤色)の明度差は3である。
【0047】
このような印刷フィルム11において、第1の印刷帯域は、前述のような進行方向印刷帯域IIから構成することができる。第2の印刷帯域は、先に定義し、説明したような進行方向非印刷帯域Ibから構成することができる。進行方向非印刷帯域Ibは、任意のメッセージあるいはパターン、例えば広告、宣伝、キャンペーン等のコマーシャルを目的する情報やコマーシャルを目的としない情報を印刷することによって構成することができる。なお、図示の例では、説明を簡単にするために、union、PENS等のメッセージ20を付与することで、進行方向非印刷帯域Ibに情報を印刷することの説明を行っているが、実際にはよりいろいろな文字、マーク、写真等を印刷することによって製品価値、美観などを高めることができることを理解されたい。進行方向非印刷帯域Ibの幅は、少なくとも約60mmであることが好ましい。また、進行方向非印刷帯域Ibは、進行方向を示す印刷などを有していてもよい。さらに、相隣り合った進行方向非印刷帯域Ib及び進行方向印刷帯域IIの間に黒色、白色等の太線やセパレーション領域などを設けてもよい。
【0048】
図9は、図8に示した印刷フィルムのさらに別の変形例を示したものであり、図8と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。図9の変形例によれば、印刷フィルム11は、その幅が約100〜140mmであり、印刷フィルム11の両側(フィルム11b)に施された進行方向印刷帯域IIからなる第1の印刷帯域と、フィルム中央部(フィルム11a)にあって、2つの第1の印刷帯域によって挟まれた進行方向非印刷帯域Ibからなる第2の印刷帯域とから構成されている。進行方向非印刷帯域Ibは、ブロック22の組み合わせからなる。
【0049】
このような印刷フィルム11において、第1の印刷帯域は、前述のような進行方向印刷帯域IIから構成することができるけれども、本例の場合、区画B及びCの進行方向印刷帯域IIは、図示される通り、その一部が区画B及びCの進行方向非印刷帯域Ibの一部(隣接する区画との境界領域)を構成している。また、色分けパターンの作成において、三原色に加えて白色及び黒色を加えることでより良好なコントラストを達成している。さらに、コントラストを付けたブロック22に対して文字、マーク、写真等のメッセージを印刷することで認識力をさらに向上させている。ここで、ブロック状に配置された第2の印刷帯域は、基本的に、先に定義し、説明したような進行方向非印刷帯域Ibから構成することができる。例えば、進行方向非印刷帯域Ibのブロック22には、図示していないが、任意のメッセージあるいはパターン、例えば広告、宣伝、キャンペーン等のコマーシャルを目的する情報やコマーシャルを目的としない情報を印刷することができる。進行方向非印刷帯域Ibの幅は、少なくとも約60mmであることが好ましく、通常、70mm程度である。また、進行方向非印刷帯域Ibは、進行方向を示す印刷などを有していてもよい。さらに、相隣り合った進行方向非印刷帯域Ib及び進行方向印刷帯域IIの間に黒色、白色等の太線やセパレーション領域などを設けてもよい。図示のような構成を採用することにより、進行方向印刷帯域IIの印刷区画12及び印刷ブロック13と進行方向非印刷帯域Ibのブロック22との間でさまざまな組み合わせが可能となり、表現力の向上を図ることができる。
【0050】
進行方向印刷帯域IIの印刷区画12及び印刷ブロック13ならびに進行方向非印刷帯域Ibのブロック22についてさらに説明すると、印刷ブロック13は、1000mmを1単位として繰り返されている。区画Aは、長さが100mmで、進行方向印刷帯域IIが赤色(7.5R、5/14)、進行方向非印刷帯域Ibが水色(2.5PB、9/2)である。区画Bは、長さが400mmで、進行方向印刷帯域IIが黄色(5Y、8/14)で、その黄色領域で進行方向非印刷帯域Ibの茶色(7.5R、3/8)のブロック22を包囲している。すなわち、区画Aの水色領域と区画Bの茶色領域の間には黄色領域が存在している。区画Cは、長さが400mmで、進行方向印刷帯域IIが青色(5PB、4/10)で、その青色領域で進行方向非印刷帯域Ibの白色(明度9)のブロック22を包囲している。すなわち、区画Bの茶色領域と区画Cの白色領域の間には黄色領域及び青色領域が存在している。区画Dは、長さが100mmで、進行方向印刷帯域IIが灰色(明度8)、進行方向非印刷帯域Ibが黒色(明度2)である。すなわち、区画Cの白色領域と区画Dの黒色領域の間には青色領域が存在している。このような印刷ブロック13において、区画A(赤色)と区画B(黄色)の明度差は3、区画B(黄色)と区画C(青色)の明度差は4、区画C(青色)と区画D(灰色)の明度差は4、そして区画D(灰色)と区画A(赤色)の明度差は3である。
【0051】
図10は、図9に示した印刷フィルムのさらに別の変形例を示したものであり、図9と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。図10の変形例によれば、印刷フィルム11は、その幅が約100〜140mmであり、印刷フィルム11の両側(フィルム11b)に施された進行方向印刷帯域IIからなる第1の印刷帯域と、フィルム中央部(フィルム11a)にあって、2つの第1の印刷帯域によって挟まれた進行方向非印刷帯域Ibからなる第2の印刷帯域とから構成されている。進行方向非印刷帯域Ibは、ブロック22の組み合わせからなり、相隣接するブロック22の周囲には白色領域23を配置している。
【0052】
このような印刷フィルム11において、第1の印刷帯域は、前述のような進行方向印刷帯域IIから構成することができる。第2の印刷帯域は、基本的に、先に定義し、説明したような進行方向非印刷帯域Ibから構成することができる。しかし、本例の場合、三原色に加えて黒色を加えることでより良好なコントラストを達成している。また、ブロック22の形状及びサイズを進行方向印刷帯域IIの印刷区画12とは独立して、任意のデザインで構成しているので、美観や表現機能の向上等を達成している。さらに、ブロック22の周囲に白色領域23を配置しているので、コントラストのより一層の向上を図っている。さらに加えて、コントラストを付けたブロック22に対して文字、マーク、写真等のメッセージを印刷しているので、認識力をさらに向上させている。ここで、ブロック状に配置された第2の印刷帯域は、基本的に、先に定義し、説明したような進行方向非印刷帯域Ibから構成することができる。例えば、進行方向非印刷帯域Ibのブロック22には、図示していないが、任意のメッセージあるいはパターン、例えば広告、宣伝、キャンペーン等のコマーシャルを目的する情報やコマーシャルを目的としない情報を印刷することができる。進行方向非印刷帯域Ibの幅は、少なくとも約60mmであることが好ましく、通常、70mm程度である。また、進行方向非印刷帯域Ibは、進行方向を示す印刷などを有していてもよい。さらに、本例の場合、それぞれのブロック22の周囲を白色領域23で包囲しているが、これに代えて黒色、白色等の太線や黒色等のセパレーション領域などを設けてもよい。図示のような構成を採用することにより、進行方向印刷帯域IIの印刷区画12及び印刷ブロック13ならびに進行方向非印刷帯域Ibのブロック22及び白色領域23においてさまざまな組み合わせが可能となり、表現力の向上を図ることができる。
【0053】
進行方向印刷帯域IIの印刷区画12及び印刷ブロック13ならびに進行方向非印刷帯域Ibのブロック22及び白色領域23についてさらに説明すると、印刷ブロック13は、1000mmを1単位として繰り返されている。区画Aは、長さが100mmで、進行方向印刷帯域IIが赤色(7.5R、5/14)、進行方向非印刷帯域Ibのブロック22(Eを参照)が水色(2.5PB、9/2)、そして水色のブロック22を白色領域(明度9)23が包囲している。区画Bは、長さが400mmで、進行方向印刷帯域IIが黄色(5Y、8/14)、進行方向非印刷帯域Ibのブロック22(Fを参照)が茶色(7.5R、3/8)、そして茶色のブロック22を白色領域(明度9)23が包囲している。区画Cは、長さが400mmで、進行方向印刷帯域IIが青色(5PB、4/10)、進行方向非印刷帯域Ibのブロック22(Fを参照)が茶色(7.5R、3/8)、そして茶色のブロック22を白色領域(明度9)23が包囲している。区画Dは、長さが100mmで、進行方向印刷帯域IIが灰色(明度8)、進行方向非印刷帯域Ibのブロック22(Gを参照)が黒色(明度2)、そして黒色のブロック22を白色領域(明度9)23が包囲している。
【0054】
図11は、図9に示した印刷フィルムのさらに別の変形例を示したものであり、図9と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。この印刷フィルムは、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示21が進行方向印刷帯域IIにさらに印刷されている点を除いて、基本的には図9の印刷フィルムに同じであり、よって進行方向非印刷帯域Ib及び進行方向印刷帯域IIについての詳細な説明を省略する。なお、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示21は、図示のような位置に配置したときにエスカレータを側面から見たときにも進行方向の識別が容易に可能であるが、進行方向の識別ができる限り、その他の位置に配置されていてもよい。また、表示21は、図示のような矢印マークであってもよく、その他の表示、例えば矢印以外のマークやその組み合わせなどであってもよい。デザインの統一性、美観などを考えると、印刷区画ごとに表示のマークを変えないで、同一のマークを使用することが推奨される。図13は、本発明の実施において表示21として使用することのできる矢印やその他のマークの一例を示したものである。このように表示のデザインを変更するだけでも、エスカレータを利用するとき、利用者の視覚に訴えるものも変わってくる。
【0055】
さらに、進行方向印刷帯域IIに印刷する表示21は、コントラストを高め、視認性を向上させるため、色分けして印刷することが好ましい。よって、図示の例ではそれぞれの表示(矢印)21の色を変更している。例えば、区画Aでは、図で見て上側の矢印21を白色(明度9)で印刷し、下側の矢印21を隣接する区画Bの黄色(5Y、8/14)で印刷し、赤色(7.5R、5/14)のベース上に白色及び黄色の矢印が浮かび上がるように工夫している。同様に、区画Bでは、図で見て上側の矢印21を隣接する区画Aの赤色(7.5R、5/14)で印刷し、下側の矢印21を区画Dの黒色(明度2)で印刷している。このようにすることによって、黄色(5Y、8/14)のベース上に赤色及び黒色の矢印が浮かび上がるように工夫している。区画Cでは、図で見て上側の矢印21をピンク色(10P、8/4)で印刷し、下側の矢印21を黄緑色(10Y、8/10)で印刷している。このようにすることによって、青色(5PB、4/10)のベース上にピンク色及び黄緑色の矢印が浮かび上がるように工夫している。また、区画Dでは、図で見て上側の矢印21を隣接する区画Aの赤色(7.5R、5/14)で印刷し、下側の矢印21を隣接する区画Cの青色(5PB、4/10)で印刷している。このようにすることによって、灰色(明度8)のベース上に赤色及び青色の矢印が浮かび上がるように工夫している。
【0056】
図12は、図10に示した印刷フィルムのさらに別の変形例を示したものであり、図10と同様に、斜視図(A)と平面図(B)が示されている。この印刷フィルムは、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示21が進行方向印刷帯域IIにさらに印刷されている点を除いて、基本的には図10の印刷フィルムに同じであり、よって進行方向非印刷帯域Ib及び進行方向印刷帯域IIについての詳細な説明を省略する。なお、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示21は、図示のような位置に配置したときにエスカレータを側面から見たときにも進行方向の識別が容易に可能であるが、進行方向の識別ができる限り、その他の位置に配置されていてもよい。また、表示21は、図示のような矢印マークであってもよく、その他の表示、例えば矢印以外のマークやその組み合わせなどであってもよい(例えば、図13を参照されたい)。さらに、デザインの統一性、美観などを考えると、印刷区画ごとに表示のマークを変えないで、同一のマークを使用することが推奨される。
【0057】
さらに、進行方向印刷帯域IIに印刷する表示21は、コントラストを高め、視認性を向上させるため、色分けして印刷することが好ましい。よって、図示の例ではそれぞれの表示(矢印)21の色を変更している。例えば、区画Aでは、図で見て上側の矢印21を白色(明度9)で印刷し、下側の矢印21を隣接する区画Bの黄色(5Y、8/14)で印刷し、赤色(7.5R、5/14)のベース上に白色及び黄色の矢印が浮かび上がるように工夫している。同様に、区画Bでは、図で見て上側の矢印21を隣接する区画Aの赤色(7.5R、5/14)で印刷し、下側の矢印21を区画Gの黒色(明度2)で印刷している。このようにすることによって、黄色(5Y、8/14)のベース上に赤色及び黒色の矢印が浮かび上がるように工夫している。区画Cでは、図で見て上側の矢印21をピンク色(10P、8/4)で印刷し、下側の矢印21を黄緑色(10Y、8/10)で印刷している。このようにすることによって、青色(5PB、4/10)のベース上にピンク色及び黄緑色の矢印が浮かび上がるように工夫している。また、区画Dでは、図で見て上側の矢印21を隣接する区画Aの赤色(7.5R、5/14)で印刷し、下側の矢印21を隣接する区画Cの青色(5PB、4/10)で印刷している。このようにすることによって、灰色(明度8)のベース上に赤色及び青色の矢印が浮かび上がるように工夫している。
【0058】
図14は、本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのさらにもう1つの好ましい形態を示した平面図である。印刷フィルム11は、印刷フィルム11の両側に施された進行方向印刷帯域IIからなる第1の印刷帯域と、フィルム中央部にあって、2つの第1の印刷帯域によって挟まれた進行方向非印刷帯域Ibからなる第2の印刷帯域とから構成されている。この印刷フィルム11の場合、進行方向印刷帯域IIを構成する印刷ブロック13は、前述の印刷フィルムのように色分け印刷区画(ブロック)の連続によって形成することに代えて、それぞれ色分けされている菱形マークA、楕円形マークB、円形マークC及び楕円形マークDの組み合わせによって形成されている。これらの異なるマークの組み合わせを繰り返すことで、進行方向印刷帯域IIができあがる。なお、図示しないが、進行方向印刷帯域IIには、進行方向を示す色分け表示、例えば矢印を適所に印刷してもよい。また、進行方向非印刷帯域Ibは、図では参考のため、「ステーショナリーフェアー開催中」なる簡単なロゴを付与することで説明している。もちろん、進行方向非印刷帯域Ibは、かかるロゴを付与することに限定されるものではなく、前述のように、任意のメッセージあるいはパターン、例えば広告、宣伝、キャンペーン等のコマーシャルを目的する情報やコマーシャルを目的としない情報を印刷することによって構成することができる。
【0059】
さらに詳しく述べると、印刷フィルム11は、その幅が約100〜140mmである。この印刷フィルムにおいて、進行方向印刷帯域IIを構成する印刷ブロック13は1000mmを1単位として繰り返されており、区画Aは、長さが100mmで、青色(2.5B、5/6)の菱形マークを有し、区画Bは、長さが400mmで緑色(5GY、7/6)の楕円形マークを有し、区画Cは、長さが100mmで、赤紫色(2.5RP、4/10)の丸形マークを有し、そして区画Dは、長さが400mmで、緑色(5GY、7/6)の楕円形マークを有している。下地には、コントラスト及び視認性を高めるため、橙色(10R、9/2)が配色されている。進行方向非印刷帯域Ibには、上述のように、いろいろな文字、マーク、写真等が印刷されている。進行方向非印刷帯域Ibの幅は、少なくとも約60mmであることが好ましい。本例のように、色分け印刷区画(ブロック)に代えて異なる形状を有する色分けマークを進行方向印刷帯域IIを使用した場合にも、比較可能な良好な視認性を保証することができ、あわせて、広告効果、転倒防止効果なども達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】従来のエスカレータの一例を示した斜視図である。
【図2】従来のエスカレータのもう1つの例を示した断面図である。
【図3】本発明による乗客搭乗用エスカレータの好ましい一形態を示した模式図である。
【図4】図3の線分VI-VIに沿った断面図である。
【図5】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムの好ましい一形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図6】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図7】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図8】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図9】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図10】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図11】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図12】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのもう1つの好ましい形態を示した斜視図(A)及び平面図(B)である。
【図13】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムに付与することのできる進行方向表示の好ましい例を示した模式図である。
【図14】本発明によるエスカレータ用印刷フィルムのさらにもう1つの好ましい形態を示した平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 手摺りベルト
6 欄干
7 ステップ
10 エスカレータ
11 印刷フィルム
12 印刷区画
13 印刷ブロック
20 メッセージ
21 進行方向表示
22 ブロック
23 白色領域
I 進行方向非印刷帯域
II 進行方向印刷帯域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客等の移動を補助するために用いられる乗客搭乗用エスカレータであって、複数個の移動可能なステップと、該ステップの両脇に立設された側壁と、該側壁によって支持され、前記ステップの移動と同期して同一の速度で同一の方向に移動可能なエンドレスの手摺りベルトとを含む乗客搭乗用エスカレータにおいて、
前記手摺りベルトの表面にさらに、そのベルトの少なくとも一部において、所定のパターンを有する進行方向印刷帯域をもった長尺の印刷フィルムが前記手摺りベルトに沿って貼付されており、
前記進行方向印刷帯域は、所定数の印刷区画が予め定められた順序で配列されておりかつ隣接する印刷区画どうしが明度を異にする複数個の印刷区画からなる印刷ブロックを一単位として保有していて、視覚障がい者が該エスカレータの進行方向を肉眼で視認可能であることを特徴とする乗客搭乗用エスカレータ。
【請求項2】
1単位の前記印刷ブロックが配置されているか、1単位の前記印刷ブロックが繰り返して配置されているか、さもなければ2単位もしくはそれ以上の異なる前記印刷ブロックが規則的にもしくはランダムに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の乗客搭乗用エスカレータ。
【請求項3】
前記印刷ブロックを構成する複数個の前記印刷区画は、隣接する印刷区画どうしが形状又はサイズを同一もしくは異にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗客搭乗用エスカレータ。
【請求項4】
前記進行方向印刷帯域には、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示がさらに印刷されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗客搭乗用エスカレータ。
【請求項5】
前記印刷ブロックの1単位は、10〜500cmの長さであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗客搭乗用エスカレータ。
【請求項6】
隣接する印刷区画どうしの明度差は、JIS Z8721において規定される方法に準じてマンセル表色系、標準光C、2度視野で測定したときに少なくとも1以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の乗客搭乗用エスカレータ。
【請求項7】
乗客搭乗用エスカレータの手摺りベルトに貼付される長尺のエスカレータ用印刷フィルムであって、
前記印刷フィルムは、そのフィルムの少なくとも一部において、所定のパターンをもった進行方向印刷帯域を有しており、
前記進行方向印刷帯域は、所定数の印刷区画が予め定められた順序で配列されておりかつ隣接する印刷区画どうしが明度を異にする複数個の印刷区画からなる印刷ブロックを一単位として保有していて、前記印刷フィルムをエスカレータの手摺りベルトに貼付して使用したとき、視覚障がい者が前記エスカレータの進行方向を肉眼で視認可能であることを特徴とするエスカレータ用印刷フィルム。
【請求項8】
1単位の前記印刷ブロックが配置されているか、1単位の前記印刷ブロックが繰り返して配置されているか、さもなければ2単位もしくはそれ以上の異なる前記印刷ブロックが規則的にもしくはランダムに配置されていることを特徴とする請求項7に記載のエスカレータ用印刷フィルム。
【請求項9】
前記印刷ブロックを構成する複数個の前記印刷区画は、隣接する印刷区画どうしが形状又はサイズを同一もしくは異にすることを特徴とする請求項7又は8に記載のエスカレータ用印刷フィルム。
【請求項10】
前記進行方向印刷帯域には、エスカレータの進行方向を具体的に示す表示がさらに印刷されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のエスカレータ用印刷フィルム。
【請求項11】
前記印刷ブロックの1単位は、10〜500cmの長さであることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のエスカレータ用印刷フィルム。
【請求項12】
隣接する印刷区画どうしの明度差は、JIS Z8721において規定される方法に準じてマンセル表色系、標準光C、2度視野で測定したときに少なくとも1以上であることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のエスカレータ用印刷フィルム。
【請求項13】
前記印刷フィルムは、該印刷フィルムの両側に施された前記進行方向印刷帯域からなる第1の印刷帯域と該第1の印刷帯域によって挟まれた進行方向非印刷帯域からなる第2の印刷帯域とを有しており、
前記第2の印刷帯域の幅は少なくとも60mmであることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載のエスカレータ用印刷フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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