説明

乗物キャビン用空調システム及び該システムを含むモジュール

本発明は、乗物キャビン用の小型空調システム1に関する。空調システム1は、圧縮機14と、凝縮器15と、蒸発器16と、制御ユニット19と、単一のモータ24を有する換気アセンブリ18とを有し、簡単な取り付けを促進することが可能で、キャビン内の冷房及び暖房の両方を自立的に実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年10月30日出願のブラジル国特許出願第PI0705494−7号の優先権を主張するものであり、当該ブラジル国出願がここに引用することにより組み入れられる。
【0002】
本発明は、小型で、自立型で、低エネルギー消費で、最低限の調節で乗物に取り付け可能な乗物キャビン用空調システムに関する。
【背景技術】
【0003】
例えばトラックのような自動車車両に一般的に採用される空調システムは、車両カウリングに搭載される冷却モジュールを備え、当該空調システムの作動に必要な構成要素を備える。この種のシステムの取り付けには多くの調節が必要とされることから取り付けは面倒である。
【0004】
車両の空調の選択肢は、プーリーと電磁クラッチとを介して車両エンジンに接続される圧縮機を有する空調装置を利用することである。運転手が空調システムをオンにしたいときはいつでも、このクラッチが駆動されて、エンジンから圧縮機への運動の伝達が許容され、その結果、車両に取り付けられる冷却回路を通じて冷却流体の循環が引き起こされる。
【0005】
この種のシステムは、自動車車両に多く利用されているが、車両エンジンが稼働していることが一般に必要であるという欠点を有する。車両が静止している間の状況でも、キャビンが空調されるようにエンジンが作動し続けることが必要であり、こうした手順が引き起こす空気汚染に加えて多量の燃料を消費することは事実である。
【0006】
こうした問題を克服する目的で、エンジンが停止している時の空調の作動を可能にするために多くの解決策が展開されてきた。
【0007】
米国特許公開第2006/0102333号明細書は、道路車両用すなわちトラック車両用空調システムを開示する。この空調システムは、エンジンが作動している間、及び、車両エンジン停止時であっても運転する方法を提供し、この目的のために空調システムは特定のモータによって制御される。
【0008】
従来技術の解決策は、第1及び第2システムを備える車両用空調システムを開示する米国特許第7,171,822号明細書から同様に公知である。第1システムは、乗物キャビンの条件に適しており、車両エンジンが作動している時に車両エンジンから動力の供給を受けて作動する。第2システムは、車両の寝台室の条件に適しており、車両エンジンの停止時に作動し続けることができる。第1システムは第2システムから独立して作動する。第2システムが電力によって作動するとともに車両の外部に配置され得ること、管を通すためにキャビンに穿孔を形成することが必要な事情があることを結論づけることができる。
【0009】
米国特許公開第2006/0121164号明細書は、車両用、特に道路車両用及びトラック車両用の暖房及び空調システムに言及する。この空調システムは、エンジン停止時であっても車両バッテリから独立した蓄電池によって作動し続けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、車両キャビン用空調システムの体積を減少させるために現在までに見出された解決策は、動力の供給や構造に関して困難を伴う。同等の空調能力を維持するためには、回路部品の一部が空調モジュールの外側に配置されなければならない。
【0011】
従って、冷却システムの外部接続なしに簡単な取り付けを保証する空調システムを市場に提供する必要性が指摘される。この冷却システムでは、すべての部品が、車両エンジンの作動とは独立して当該冷却システムを作動させることができる小型モジュール内に配置される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従って、本発明の第1の目的は、完全に自立型の乗物キャビン用空調システムを提供することである。この空調システムは、効率的で小型であり、簡単な取り付けを可能にする。この空調システムのモジュールは、エネルギー消費を最小限に抑えるため、圧縮機と、ただ1つのモータを有する換気アセンブリとを備えることが可能な構造的な配置を有する。
【0013】
第1の目的に従って、第2の目的は、乗物エンジンの作動とは独立して作動することを保証する乗物キャビン用空調システムを構築することである。
【0014】
さらに、第3の目的は、乗物キャビンの暖房及び冷房の両方を提供することができる乗物キャビン用空調モジュールを提供することである。
【0015】
本特許出願は、圧縮機と、制御ユニットと、凝縮器と、圧縮機の吐出管と、蒸発器と、換気アセンブリとを備える乗物キャビン用空調システムの解決策に関する。このシステムでは、蒸発器と、凝縮器と、ただ1つのモータを備える換気アセンブリとの配置が、凝縮器内の熱を放出させることができると同時に蒸発器内に入熱させるようなものであり、蒸発器内で凝縮した水が圧縮機の吐出管との接触によって蒸発する。
【0016】
本願はまた、シャーシの周縁に配列される空気収集孔を備えるシャーシを備え、該シャーシは、キャビンの内部環境と空気を入れ換えるための少なくとも1つの吸気口及び少なくとも1つの排気口を備え、キャビンの外側の方に向いたシャーシ部分が、外側カバーと、圧縮機と、制御ユニットと、凝縮器と、圧縮機の吐出管と、キャピラリチューブで熱交換器を形成する吸い込み管と、蒸発器と、換気アセンブリとを備える。蒸発器と、凝縮器と、ただ1つのモータを有する換気アセンブリとの配置は、凝縮器内の熱を放出することができると同時に蒸発器内へ入熱させるようなものであり、蒸発器内で凝縮した水が貯水器内に排出され、換気アセンブリが空気管に部分的に流体接続される。
【0017】
本願はまた、キャビンに対して外側部分と内側部分とを備える乗物キャビン用空調に関する。外側部分及び内側部分はキャビンの屋根によって相互に隔離される。内側部分は、空気管と、内側カバーと、コンソールとを備え、外側部分は、シャーシと、封止材と、冷却システムと、外側カバーとを備える。コンソールは、少なくとも1つの風向き調整手段と、制御パネルと、内側空気フィルタと、少なくとも1つの内側吸気口とを備える。冷却システムはシャーシ上に搭載される。シャーシは、キャビンの内部環境との空気の入れ換えのため、少なくとも1つの吸気口と、少なくとも1つの排気口とを備える。冷却システムは、圧縮機と、制御ユニットと、凝縮器と、圧縮機吐出管と、蒸発器と、ただ1つのモータを有する換気アセンブリとを備える。蒸発器と、凝縮器と、ただ1つのモータを有する換気アセンブリとの配置は、凝縮器内の熱を放出することができると同時に蒸発器内に入熱させるようなものであり、蒸発器で冷却された空気が、シャーシの排気口を通って、換気装置を通り抜け、キャビンの空気を調節するために風向き調整手段を介して循環する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る空調モジュールの斜視図である。
【図2】本発明に係る空調モジュールの側面図である。
【図3】本発明に係る空調モジュールの背面図である。
【図4】本発明に係る空調モジュールの内側部分の斜視図である。
【図5】本発明に係る空調モジュールの空気管を取り付ける前のシャーシの斜視図である。
【図6】空気管を部分的に取り付けたシャーシの斜視図である。
【図7】本発明に係る冷却モジュールの冷却システムを取り付ける前のシャーシの斜視図である。
【図8】冷却システムを取り付けたシャーシの斜視図である。
【図9】冷却システム及び冷却ボックスを取り付けたシャーシの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、前記図面に表される実施形態を参照しつつここにさらに詳細に説明されるであろう。
【0020】
好適であるが必須ではない実施形態において、本発明に係る空調システム1がここで詳細に説明されるであろう。
【0021】
本発明は、トラック、バス、トレーラーハウス若しくはキャンピングカーなどの娯楽車両、装甲車若しくは農業機械、又は、その内部が空調され得る密閉キャビンを有するその他の乗物のキャビンといった乗物キャビンに取り付けられる小型の空調システム1に関する。
【0022】
この空調システム1の顕著な工夫は、構成部品、高圧及び低圧アセンブリが、管を通すための穿孔を必要とする複雑な取り付けを要せずに、モジュール内に取り付けられるという事実である。空調システム1にエネルギーを供給するため、電線によってバッテリにシステムを接続することが必要になるだけである。
【0023】
好適な構成において、図1は、外側カバー2を有する空調システム1の斜視図である。図2でさらに容易に見ることが可能なように、空調システム1は2つの部分を備える。空調システムの取り付け後、モジュールはキャビンに対して外側部分及び内側部分を示す。
【0024】
外側部分は、外側カバー2と、シャーシ3と、封止材26とを備え、前記外側カバー2は、低空気力学的トレーリングを有するくさび形状を有し、前記封止材26は、その表面で空調システム1を受け止めて空調システム1を支持する働きをし、その結果、振動の伝達を最小限に抑えるとともに、調節された空気がキャビンの外側に逃げることを防ぐ。シャーシ3には冷却システム21が収容され、冷却システム21は外側カバー2によって外部環境から保護される。
【0025】
内側部分は、モジュールに仕上げをもたらすことを目指す内側カバー4と、図3及び図4に示されるように、様々な構成要素を収容するコンソール5とを備える。
【0026】
従って、コンソール5は、当該空調システム1のユーザと空調システム1とのインターフェースであり、ユーザの嗜好に応じて空調の向きを調整する風向き調整手段8を備える。これらの風向き調整手段8は、調節された空気を任意の所望の方向に送ることができる。
【0027】
コンソール5上には、好適には電子回路であって、任意選択的に画面を備える制御パネル9も搭載される。この制御パネル9は、ユーザによる、空調システム1のオン/オフ、動作スピードの選択、同様にコンソール5上に配置される読書灯28のオン/オフ、規定の温度の決定又は予定した時間における空調システム1のオン/オフの設定を可能にする。さらに、制御パネル9は、とりわけ、ラジオ、モニタ付きGPSシステム、音声電話システム及びアマチュア無線などの他の付属品を制御することができる。モジュールのすべての機能は遠隔操作によっても制御可能である。最新のトラックのキャビンの高さと小型の制御パネル9とによれば、システムコンソール上にそれらすべての部品を同時に配置することはできなくなる。
【0028】
コンソール5の背面部、すなわち、制御パネル9にほぼ隣接する位置には、内側吸気口7と、キャビン環境内に存在する不純物を濾過するための内側空気フィルタ6とが設けられる。好適であるが必須ではない実施形態では、内側空気フィルタ6は、内側吸気口7の両側から突き出て剛性を提供する突出部を有するプラスチック製仕切りから構成される。
【0029】
図4は、空調システム1の取り付け後に、キャビンの外側面に配列されることになる空気収集孔10を有するシャーシ3を示す。
【0030】
図5は、前記吸気口10、排気口11及び吸気口12を有するシャーシ3を示す。冷却システム21を通り抜けて調節された空気は排気口11から流出する。吸気口12は、冷却システム21の内側吸気口7から入ってくる空気の受け入れを許容する。
【0031】
システムを完成させるすべての構成部品がシャーシ3上に搭載されることから、シャーシ3は空調システム1の基礎部品である。このシャーシ3は、製造工程時に形成されて構成部品の固定を可能にする窪み及び切り欠きを備えることが好ましいが必須ではない。シャーシ3の窪みの一部及び切り欠きの一部は、予め穿孔され、様々な範囲の乗物モデルに前記システムを取り付けることを可能にし、こうして前記システムはトラックの天井ハッチに簡単に取り付けられる。
【0032】
図6は、空気管要素13に加えて封止材26がすでに取り付けられた前記シャーシ3を示す。空気管要素13は、シャーシ3上にある排気口11を通り抜けて、コンソール5上にある風向き調整手段8まで、調節された空気の流通を可能にする。
【0033】
図7は、シャーシ3の好適ではあるが必須ではない構造を示す。この図では、シャーシ3の吸気口12及び排気口11の間に蒸発器16の設置トレイ29を確認することができる。このトレイ29は、傾斜を有し、蒸発器16での凝縮で生じた水を貯蔵するために前記水を排水路30を介して貯水器20に誘導するように形成され、その結果、空調されるべきキャビン内への水の流入を防ぐ。貯水器20の壁のサイズは、水の流入を防ぐ必要性に応じて変更されることが可能である。
【0034】
図8では、シャーシ3上に搭載された冷却システム21を確認することができる。この冷却システム21は、吐出管を介して直列に搭載されて冷却閉回路を形成する、圧縮機14、凝縮器15、膨張弁又はキャピラリチューブ(図示せず)及び蒸発器16を備える。換気アセンブリ18及び制御ユニット19が同様にシャーシ3上に搭載される。制御ユニット19は周波数変換器であることが好ましいが必須ではない。
【0035】
冷却システム21は機械的な蒸気圧縮によって作動する。冷却システム21は、密閉可変容量圧縮機14(VCC)を備えることが好適ではあるが必須ではない。冷却システム21は例えば527W(1800Btu/h)の容量を有してもよい。
【0036】
冷却流体は、圧縮機14から排出された後、圧縮吐出管17を通って凝縮器15に向かって流れる。圧縮機の吐出管17が、圧縮機14の排出口の直後の貯水器20内に収容されることに注目すべきである。
【0037】
圧縮機の吐出管17の配置に起因して、すでに説明された工程で生じたこの貯水器内の水の存在は、前置凝縮器の役割を果たし、冷却流体の冷却に寄与する。圧縮機の吐出管17は、水の温度よりも十分に高い温度、例えば摂氏約70度であることから、放出された熱は水の蒸発に寄与する。この解決策によれば、貯水器から水を排出するためにホースを使う必要もなく、また、貯水器から外側に水を排出するポンプすらも使う必要もない。大気の状態が水の量を過度に増大させる場合、シャーシ3には、すでに先を見越して、空気収集孔10を通ってモジュールの外側に水を溢れ出させないような構造が採用され、その結果、構成部品は濡れないで済む。
【0038】
工夫された換気アセンブリ18は、貫通軸27を有する小型モータ24と2つのシリンダ状の換気装置25、25’とを備える。好適ではあるが必須ではない構造において、換気装置25、25’は、貫通軸27上でモータ24の両側に配置されるか、また、空き空間を利用する必要性に応じてモータ24の片側のみに配置されてもよい。換気システム18のこの工夫された構造は、2つの換気装置25、25’を駆動可能なただ1つのモータ24を利用することによってエネルギーの消費量の抑制を可能にし、その結果、空調システム1の体積を減少させる。
【0039】
図8によれば、換気装置25は蒸発器16用に搭載され、もう一方の換気装置25’は蒸発器15用に搭載され、蒸発器16及び凝縮器15は相互に平行に配列されてモータ24の反対側に配置される。こうして、蒸発器16と、凝縮器15と、ただ1つのモータ24を有する換気アセンブリ18との配置は、凝縮器15での熱の放出と蒸発器16内への入熱とを同時に可能にするようなものである。
【0040】
これらの換気装置25、25’の技術は、換気装置25、25’が、換気装置25、25’の全周長を囲むように縮閉線によって包含されることを必要とする。これらの縮閉線は2つの半部分に分割され、一方の部分はシャーシ3によって規定され、他方の部分は図9に示される冷却ボックス23で規定される。この冷却ボックス23は、EPS、又は、適切と考えられる他の材料といった絶縁材料から形成され得る。代替の実施形態では、冷却ボックス23は外側カバー2内に一体的に形成され得る。
【0041】
冷却ボックス23は、シャーシ3上に搭載され、高温区域から低温区域を隔離する機能、すなわち、凝縮器15の換気装置25’から蒸発器16の換気装置25の隔離を促進する機能に加えて、蒸発器14及び凝縮器15の両方のための吸気口及び排気口を提供する機能を有する。図9に示されるように、冷却ボックス23は、第1部分、すなわち、蒸発器16及び換気装置25のアセンブリを覆うとともに、第2部分、すなわち、凝縮器の換気装置25を覆う。
【0042】
換気装置25、25’の縮閉線がその全周長にわたって形成されると、気流の働きは以下のように生じる。稼働時、シリンダの頂部を通って換気装置25、25’内に空気が導入され、空気はシリンダの接線方向に送られ、その結果、冷却ボックス23及びシャーシ3で作り出される容積内に低圧領域が形成される。
【0043】
要約すると、冷却システム21は以下のように機能する。冷却流体は、圧縮機14で圧縮され、その後、圧縮機の吐出管17を通じて凝縮器15まで行きつく。それは、圧縮機14から吐き出された後、貯水器20内にある水を蒸発させるためにその水に接触し、その結果、前置凝縮器になる。冷却流体が凝縮器15に到達した時点で、凝縮器15は、換気装置25’の動作に基づく気流に起因する冷却を受ける。この気流は以下のように生じる。空気は、凝縮器15を通過し、凝縮器15の換気装置25’に流入し、制御ユニット19の方向及び圧縮機14の方向に排出される。その結果、圧縮機14及び制御ユニット19の有益な冷却を促進する空気の流れを形成する。
【0044】
冷却流体は、凝縮器15から流出して膨張弁及びキャピラリチューブ(図示せず)を通過した後、蒸発器16に到達し、その結果、周囲から熱を取り去る。前述のように、蒸発器16及び冷却ボックス23は低温区域を形成する。蒸発器16の換気装置25は、キャビンから流入してくる空気を収集し、前記空気を、吸気口12を通過させた直後に蒸発器16を通過させ、排気口11から空調されるべきキャビンに向かって送出する。冷却流体は、蒸発器16を通過した後に、吸引管を通って圧縮機に戻る。
【0045】
空調システム1は、冷却ボックス23の側部に配置される孔の開閉を冷却ボックス23に可能にするように冷却ボックス23に接続されるアクチュエータ22をさらに備える。こうして、アクチュエータ22は、開き位置及び閉じ位置の間で選択的に冷却ボックス23の孔用カバーを移動させることができる。前記閉じ位置は、内側吸気口7を通ってキャビンの空気を再循環させることのみを許容し、前記開き位置は、空気収集孔10を通って外部環境で集められた空気と同時にキャビンの空気を循環させることを許容する。
【0046】
この孔は蒸発器16の吸気口側(隔離された内側の低圧側)に接続され、その結果、外部環境の空気は、キャビン内で再循環している空気に混合されることが可能である。
【0047】
ユーザは、コンソール5上にあるボタンによって、又は、遠隔操作によって、アクチュエータ22の位置を制御することができる。アクチュエータ22は直線移動し、その駆動は好適には電気的である。
【0048】
外部から流入する空気の濾過のため、アクチュエータ22の領域内の冷却ボックス3にある孔にはフィルタが設けられる。このフィルタはまた、塵、虫及び他のゴミのない内部領域を維持し続けるために、先を見越して吸気口10内に配置される。
【0049】
空調モジュール内へのゴミや水の進入を最小限に抑えることを目的として、シャーシ3は、取り付け後、乗物の屋根から約30mm〜約40mmに実質的に切り詰めた高さに配置され続ける。
【0050】
代替構造では、空調システム1は、キャビンに暖房を提供するために逆方向のサイクルの機能を可能にする。この代替構造では、凝縮器15の設置領域には、その領域に溜まった水を収集するためのトレイが設けられる。
【0051】
この空調システム1はこうして、単一の土台への取り付けを可能にし、車体に孔を形成する必要性なしに乗物キャビンへのモジュールの取り付けを可能にし、すなわち、これまである乗物のハッチを使用するだけでよく、取り付けを非常に簡単にし、かつ、乗物の原形の構造に有害な影響を与えない。
【0052】
代わりに、空調システム1は、水平姿勢で搭載される代わりに、垂直姿勢で搭載されてもよく、例えばトレーラの窓に簡単に装着されることが可能である。この種の取り付けは、正確に作動するために圧縮機14は垂直姿勢でなければならないことから、圧縮機14の位置の調節を伴う。
【0053】
こうして、本発明は、キャビンの内部環境を暖めたり冷やしたりすることができ、部品点数の削減、保守の削減及び軽量化によって、取り付けの簡単さ、製造の簡便さ、すなわち、この種の用途に対する基本的な要求を満たす空調システムを提供する。
【0054】
本発明の範囲は、ここに説明されて図示された実施形態に加えて、様々な他の変更を包含することを理解すべきである。従って、本発明は、可能性を有する均等物を含む添付の特許請求の範囲の内容によってのみ限定されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(14)と、制御ユニット(19)と、凝縮器(15)と、圧縮機吐出管(17)と、蒸発器(16)と、換気アセンブリ(18)と、を備える乗物キャビン用空調システム(1)であって、
前記蒸発器(16)と、前記凝縮器(15)と、ただ1つのモータ(24)を有する前記換気アセンブリ(18)との配置が、前記凝縮器(15)内の熱の放出を可能にすると同時に前記蒸発器(16)内への入熱を可能にするようなものであり、
前記蒸発器(16)で凝縮した水は、前記圧縮機の前記吐出管(17)に接触することによって蒸発することを特徴とする乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項2】
前記換気アセンブリ(18)は、換気装置(25、25’)を備える貫通軸(27)を有するただ1つの前記モータ(24)を有することを特徴とする請求項1に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項3】
前記換気装置(25、25’)は、前記貫通軸(27)の両端に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項4】
前記換気装置(25、25’)はシリンダ状に形成され、シリンダに対して接線方向に空気が排出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項5】
前記蒸発器(16)及び前記凝縮器(15)は相互に平行に配列されて前記貫通軸(27)の両端に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項6】
逆方向のサイクルでの作動を可能にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項7】
水平姿勢又は垂直姿勢での作動を可能にすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項8】
シャーシ(3)の周縁に配列される空気収集孔(10)を有するシャーシ(3)を備え、前記シャーシ(3)は、キャビンの内部と空気を入れ換えるための少なくとも1つの吸気口(12)及び少なくとも1つの排気口(11)を備え、前記キャビンの外側の方を向いた前記シャーシ(3)の部分は、外側カバー(2)と、圧縮機(14)と、制御ユニット(19)と、凝縮器(15)と、圧縮機吐出管(17)と、蒸発器(16)と、換気アセンブリ(18)と、を備え、
前記蒸発器(16)と、前記凝縮器(15)と、ただ1つのモータ(24)を有する前記換気アセンブリ(18)との配置が、前記凝縮器(15)の熱の放出を可能にすると同時に前記蒸発器(16)内への入熱を可能にするようなものであり、
前記蒸発器(16)で凝縮した水は貯水器(20)内に排出され、
前記換気アセンブリ(18)が空気管(13)に部分的に流体接続されることを特徴とする乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項9】
前記換気アセンブリ(18)は、換気装置(25、25’)を備える貫通軸(27)を有するただ1つの前記モータ(24)を有することを特徴とする請求項8に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項10】
前記換気装置(25、25’)はシリンダ状に形成され、シリンダに対して接線方向に空気が排出されることを特徴とする請求項8又は9に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項11】
前記蒸発器(16)及び前記圧縮機(15)は相互に平行に配置されて前記貫通軸(27)の両端に配置されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項12】
前記蒸発器(16)の前記換気装置(25)が、前記シャーシ(3)の前記排気口(11)を介して前記空気管(13)に流体接続されることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項13】
前記シャーシ(3)が、前記蒸発器(16)の空気と前記換気アセンブリ(18)の空気とを相互に隔離することが可能な冷却ボックス(23)を受け止め可能であることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項14】
アクチュエータ(22)を介して前記キャビンの外側から空気を収集することが可能で、前記外側の空気は、前記シャーシ(3)の周縁に配列される前記空気収集孔(10)を通じて収集されることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項15】
前記冷却ボックス(23)は、開き位置及び閉じ位置の間で選択的に移動するアクチュエータ(22)を備え、
前記閉じ位置は、内側吸気口(7)を通って前記キャビンの空気を再循環させることのみ可能にし、
前記開き位置は、前記キャビンの空気と、前記空気収集孔(10)を通じて前記キャビンの内側に収集された空気とを同時に循環させることを可能にすることを特徴とする請求項8〜14のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項16】
前記冷却ボックス(23)は、その内側部分に、前記換気装置(25、25’)の閉じた縮閉線部分を構成する好都合に形成された2つの定形曲面を組み込むことを特徴とする請求項8〜15のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項17】
前記シャーシ(3)は、貯水器(20)と、前記蒸発器(16)に固定されて前記貯水器(20)に流体接続されるトレイ(29)と、を備えることを特徴とする請求項8〜16のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項18】
前記貯水器(20)の水は、前記貯水器(20)内にある前記圧縮機吐出管(17)との接触によって蒸発することを特徴とする請求項8〜17のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項19】
内側カバー(4)と、空気管(13)と、風向き調整手段(8)を有するコンソール(5)と、を当該システムの内側部分に備え、前記シャーシ(3)の前記排気口(11)は、冷却された空気の排出のために前記空気管(13)を通じて前記風向き調整手段(8)に流体接続されることを特徴とする請求項8〜18のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項20】
前記外部カバー(2)は、空気力学的トレーリングを有するくさび形であることを特徴とする請求項8〜19のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項21】
逆方向のサイクルでの作動を可能にすることを特徴とする請求項8〜20のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項22】
水平姿勢又は垂直姿勢での作動を可能にすることを特徴とする請求項8〜21のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項23】
前記キャビンの屋根で相互に隔離されて前記キャビンに対して内側部分及び外側部分を備え、
前記内側部分は、空気管(13)と、内側カバー(4)と、コンソール(5)と、を備え、
前記外側部分は、シャーシ(3)と、封止材(26)と、冷却システム(21)と、外部カバー(2)と、を備え、
前記コンソール(5)は、少なくとも1つの風向き調整手段(8)と、コンソールパネル(9)と、内側空気フィルタ(6)と、少なくとも1つの内側吸気口(7)と、を備え、
前記冷却システム(21)は前記シャーシ(3)上に設置され、前記シャーシ(3)は、前記キャビンの内部環境と空気を入れ換えるための少なくとも1つの吸気口(12)及び少なくとも1つの排気口(11)を備え、
前記冷却システム(21)は、圧縮機(14)と、コンソールユニット(19)と、凝縮器(15)と、圧縮機吐出管(17)と、蒸発器(16)と、換気アセンブリ(18)と、を備え、前記蒸発器(16)と、前記凝縮器(15)と、ただ1つのモータ(24)を有する前記換気アセンブリ(18)との配置が、前記凝縮器(15)内の熱の放出を可能にすると同時に前記蒸発器(16)内への入熱を可能にするようなものであり、
前記蒸発器(16)で冷却された空気は、前記シャーシ(3)の前記排気口(11)を通って、前記空気換気管(13)を通り抜け、前記キャビンを空調するために前記風向き調整手段(8)を介して循環することを特徴とする請求項8〜22のいずれか1項に乗物キャビン用空調システム(1)。
【請求項24】
前記蒸発器(16)及び前記凝縮器(15)は相互に平行に配置されて前記モータ(24)の反対側に配置されることを特徴とする請求項23に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項25】
前記シャーシ(3)の周縁に配列される空気収集孔(10)を通じて外部の空気の供給を可能にするアクチュエータ(22)を介して前記キャビンの外側からの空気の収集を可能にすることを特徴とする請求項23又は24に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項26】
前記外側カバー(2)は、低空気力学的トレーリングを有するくさび形であることを特徴とする請求項23〜25のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項27】
前記制御パネル(9)は、当該モジュールの機能の制御を可能にすることを特徴とする請求項23〜26のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項28】
前記制御パネル(9)は、人による、前記冷却モジュールのオン/オフ、前記圧縮機(14)のスピードの制御、前記モータ(24)のスピードの制御、及び、他の付属品の駆動を可能にすることを特徴とする請求項23〜27のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項29】
逆方向のサイクルでの作動を可能にする請求項23〜28のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項30】
水平姿勢又は垂直姿勢での作動を可能にする請求項23〜29のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調モジュール。
【請求項31】
遠隔操作が、当該モジュールの機能の人による制御を可能にすることを特徴とする請求項1〜30のいずれか1項に記載の乗物キャビン用空調モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−500446(P2011−500446A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531381(P2010−531381)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/BR2008/000330
【国際公開番号】WO2009/055891
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(508020638)ワールプール,ソシエダッド アノニマ (24)
【Fターム(参考)】