説明

乗降場構成体および乗降場設置方法

【課題】プラットホームを構成するプレキャストブロックの設置後のメンテナンスにおいては、ホームと列車の離れ距離の調整や高さ調整を行うことが可能で、プラットホームの改修におけるプレキャストブロックの設置においては、列車の運行やお客様のホーム使用に与える影響を極力抑えた工事を行う乗降場構成体および乗車場改修方法を実現する。
【解決手段】あらかじめ一定の形状に形成され、整地された設置面上に複数整列させることで列車等の乗降場を構成するコンクリート製の乗降場構成体100であって、略コ字状の断面形状を有する中空の本体10と、本体10の上面を覆う天板31と、本体10と天板31の間に設置される交換可能な高さ調整手段20と、天板31を本体10の上面に沿って位置調整し、本体10に対して天板31を固定することを可能とする離れ調整手段40とを備えることを特徴とする乗降場構成体100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数整列させることで駅のプラットホームを構成するコンクリート製のプレキャストブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
駅のプラットホームは、長年の使用にともない風雨による浸食や地盤の沈下などによって、ホーム面にうねりや段差が発生したり、柱が傾いたりして、そのまま放置すると列車の運行に支障を生じかねない。そのため継続して検査を行い、変状が見られた場合には、部材等の補修や交換によってうねりや段差の解消を行っている。
特に、プラットホームを鋼鉄等の柱や梁によって支える桁式や半桁式と呼ばれる構造の場合は、柱を支える単独基礎が比較的小さく地盤との接地面積が小さいため、単なる部材等の補修や交換にとどまらず、基礎構造の杭基礎への変更や基礎地盤の強化までを要する場合が多く、架線の通電を止めるき電停止、工事の支障となる設備を他の場所に一時的に移転する支障移転工事をともなう、大型重機械を用いた長期にわたる工事となり、多大な工期とコストを要することとなる。
【0003】
そこで近年、あらかじめプラットホームの形状に成型されたコンクリート製のプレキャストブロックを用いることで、現場における桁組みや乗降場自体を構成するためのコンクリート打設を行わずにプラットホームを構成する工法が提案され(例えば、非特許文献1参照)、支障移転工事や大型重機械を用いた工事を減らすことに効果を上げており、当該工法が多く適用され、一般化している。
【0004】
また、列車に最も近接するホームの先端部をコンクリートによりあらかじめ形成しておき、それをプラットホームの基礎となる基台部上でスライドさせた後に固定することで、施工時の一作業あたりの線路閉鎖の時間を最小限にする工法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【非特許文献1】ケイコン株式会社ホームページ、“TOPページ >> 製品・工法TOP >> 特殊工法 >> プレキャストプラットホーム >> プレキャストプラットホームC型”、[online]、ケイコン株式会社、[平成19年8月21日検索]、インターネット<URL:http://www.kcon.co.jp/items/2006/01/post_47.html#jump02><URL:http://www.kcon.co.jp/items/images/pdf/itemto_04.pdf>
【特許文献1】特開平8−68015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、プレキャストブロックを用いたプラットホームにおいて、設置後の軽微な補修(以下、メンテナンスという)が必要な場合には、ホームと列車の離れ距離の調整や高さ調整を行うことが容易ではないという問題があった。
【0006】
また、プレキャストブロックを用いたとしても、夜間などの旅客列車の非運行時のみに全ての工事を完了させるには充分ではなく、工事が翌日以降にも及ぶ場合がある。そのような場合には、プレキャストブロックを仮止めして昼間は仮設的に営業に使用し、再び夜間の非運行時に工事を再開することで運行への支障を低減する方法が考えられる。ところが、従来の工法ではプレキャストブロック設置後の最終的な段階でホーム面の舗装作業および視覚障害者誘導用ブロックの貼付を行う必要があり、視覚障害者誘導用ブロックの設置が完了していない段階ではプラットホームの営業使用は認められないことから、上記従来の工法では工事が翌日以降に及ぶ場合には昼間のプラットホームの仮設的な使用ができず、その間、プラットホームの一部が使用不可能となる好ましくない状況に陥るという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、プレキャストプラットホーム設置後の離れ距離や高さ調整を容易にすること、プレキャストプラットホーム設置時に列車の運行やお客様のホーム使用に与える影響を極力抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
あらかじめ一定の形状に形成され、整地された設置面上に複数整列させることで列車等の乗降場を構成するコンクリート製の乗降場構成体であって、
略コ字状の断面形状を有する中空の本体と、
前記本体の上面を覆う天板と、
前記本体と前記天板の間に設置される交換可能な高さ調整手段と、
前記天板を前記本体の上面に沿って位置調整し、前記本体に対して前記天板を固定することを可能とする離れ調整手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗降場構成体であって、
前記天板の上面に弾性体板および視覚障害者誘導用ブロックが貼付されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
前記天板を一つの本体につき複数備えると共に、複数の前記天板がそれぞれ隣接して配置されることにより前記本体の上面を覆うことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
前記本体の底面を設置面から浮かせることにより、設置面上に置かれた状態で高さ調整および水準調整を可能とする水準調整手段を備え、
前記本体の中空の内側の空間から底面と設置面との隙間に向けてグラウトを注入するグラウト注入孔部を前記本体の底部に有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
複数整列させる際に隣接する他の乗降場構成体との位置合わせを行うために、前記本体の一方の側面に凸部を有し、他方の側面に前記凸部と嵌合する形状の凹部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の乗降場構成体であって、
前記凸部は、前記凹部の凹み量に比べてより突出していることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の乗降場構成体であって、
隣接する他の乗降場構成体と接する前記本体の両側面それぞれに、当該他の乗降場構成体と連結するためのボルト連結手段を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
前記本体の背面に、背面の土壌補強対策のため埋設するジオテキスタイル支持用のフックを取り付けるフック取付孔部を複数備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の乗降場構成体を用いて乗降場を設置する乗降場設置方法であって、
複数の前記本体を並べて設置する本体設置工程と、
設置した各前記本体の高さ調整および水準調整を、前記水準調整手段によってそれぞれ行う水準調整工程と、
高さ調整および水準調整後の各前記本体を前記ボルト連結手段によってそれぞれ連結する本体連結工程と、
高さ調整および水準調整後の各前記本体に対して前記グラウト注入孔部よりグラウトをそれぞれ注入するグラウト注入工程と、
各前記本体上に前記高さ調整手段をそれぞれ配置する高さ調整手段配置工程と、
各前記高さ調整手段上に前記天板を配置する天板離れ配置工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、本体と天板の間に設置される高さ調整手段が交換可能であることから、乗降場構成体の固定後に地盤が浮沈した場合でも、容易に厚さの異なる高さ調整手段と交換することが可能となり、将来のメンテナンスを効率的に行うことができる。
なお、プラットホームの高さはレールの高さとの関係で相対的に決まるものであるから、乗降場構成体の地盤が浮沈した場合に限らず、例えば、日常的な列車の走行によってレールが沈下した場合や、マルチプルタイタンパーなどの線路保守作業車を用いた線路扛上と呼ばれる作業によってレールが持ち上げられた場合でも同様に、高さ調整手段を交換することにより対応することが可能であり、メンテナンスを効率的に行うことができる。
また、本体の断面形状を略コ字状で中空としたことから、乗降場構成体を設置する際の多くの作業を中空の内側の空間から建築限界を支障せず行うことができるよう構成することも可能である。さらには、中空の内側の空間と外側での作業を並行して進めることも可能で、より効率的に作業を行い工期を短縮し得る。それに加えて設置後は、中空の内側の空間を、万が一にも線路に落下してしまった乗客等の待避場所として使用でき、冬期間においては、線路やプラットホームに降った雪を一時的に堆積させる場所として使用できる。なお、「略コ字状」には、上記のような効果が得られる断面形状であるという意味で、「略ユ字状」も含む。
また、天板の位置調整と固定が容易な離れ調整手段を備えることから、ホームと列車の離れ距離の調整を容易に行うことが可能で、乗降場構成体の設置時においては効率的に作業を行い工期を短縮でき、設置後においては、マルチプルタイタンパーなどにより通り直し(レールの長さ方向に沿って生じるレール側面の凹凸を整正する作業)を行った場合に建築限界を支障しないために必要となるホームと列車の離れ距離のメンテナンスを効率的に行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、乗降場構成体は上面に弾性体板と視覚障害者誘導用ブロックをあらかじめ貼付された天板を備えていることから、夜間などの旅客列車の非運行時にプラットホームの改修工事が完了しない場合にも、従来の工法で必要なプレキャストブロック設置後の最終的な段階でのホーム面の舗装作業および視覚障害者誘導用ブロックの貼付を行う必要がなく、昼間は仮設的に営業に使用することが可能で、列車の運行に影響を与える事態、お客様の利用するプラットホームの一部が使用不可能となるような状況を避けることができる。
また、あらかじめ天板に弾性体板と視覚障害者誘導用ブロックが貼付されていることから、そのままの状態で本体に取り付ける作業を行うことが可能なため、ホーム面の舗装作業が必要な場合や視覚障害者誘導用ブロックの貼付を現場で行う場合と比較して工期を短縮できる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、本体の上面に配置する天板を複数に分割したことから、人間の力で持ち上げられる程度の扱い易い重量にまで天板を軽量化し得るため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
また、曲線半径の比較的大きな緩い曲線区間にプラットホームを設置する場合には、乗降場構成体の位置を曲線区間に合わせて配置しなくとも、複数の天板を曲線に合わせて配置するだけで曲線区間に対応することも可能なため、効率的に作業を行い工期を短縮し得る。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、乗降場構成体は水準調整手段とグラウト注入孔部を備えることから、乗降場構成体を設置する際に高さ調整および水準調整を行ってグラウトにより固定することが容易なため、高さ調整および水準調整のためにプレキャストブロックを動かして微調整するという難易度が高く時間のかかる作業が不要となり、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
また、本体の断面形状を略コ字状で中空としていることから、水準調整手段を中空の内側の空間から調整できるよう構成することにより、高さ調整および水準調整を中空の内側の空間から調整可能で、グラウト注入の作業も中空の内側の空間から建築限界を支障せず行うことが可能である。また、離れ距離の調整、高さ調整および水準調整、グラウト注入に係る作業を中空の内側の空間において作業できるよう構成することが可能で、中空の内側の空間において効率的に作業できる。
なお、グラウトとは、地盤の補強を目的に注入する材料を意味し、一般にセメントミルクやモルタル、合成樹脂が用いられる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、乗降場構成体は本体の一方の側面に凸部を有し、他方の側面に凸部と嵌合する形状の凹部を有することから、乗降場構成体を複数整列させる際に隣接する他の乗降場構成体との位置合わせが容易となり、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、乗降場構成体が有する凸部の突出量は、凹部の凹み量に比べて僅かに大きくなるよう形成されていることから、隣接する他の乗降場構成体との間に余裕ができ、プラットホームを曲線区間に設置する場合にも複数の乗降場構成体を曲線区間に合わせて整列させることが容易となるため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、乗降場構成体は隣接する他の乗降場構成体とボルト連結手段によって連結されることから、設置時に隣接する乗降場構成体との位置に多少のずれが生じている場合にも容易に連結することが可能なため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
また、本体の断面形状を略コ字状で中空としていることから、ボルト連結手段を中空の内側の空間から接続できるよう構成することにより、ボルト連結の作業を中空の内側の空間から建築限界を支障せず行うことが可能である。また、離れ距離の調整、高さ調整および水準調整、グラウト注入、ボルト連結に係る作業を中空の内側の空間において作業できるよう構成することが可能で、中空の内側の空間において効率的に作業できる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、乗降場構成体は背面の土壌補強対策のため埋設するジオテキスタイル支持用のフックを取付けるフック取付孔部を複数備えることから、ジオテキスタイルを係止して縒れやズレを防止することが可能なため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
なお、ジオテキスタイルとは、英語の「大地」または「土地」を意味するGeo-と「織物」のTextileを組み合わせて作られた造語で、「土木(用途の)安定繊維材」の総称である。ジオテキスタイルを所定の用法で土壌に埋設することにより土壌の引張力やせん断力に対する補強を行い、土構造物全体の安定性を高めることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、プラットホームの設置工事を、現地での乗降場自体を構成するためのコンクリート打設および基礎杭打設など大型の作業機械を用いた作業に要するき電停止や支障移転工事を削減し得るプレキャストの乗降場構成体を用いて、本体設置工程と、水準調整工程と、本体連結工程と、グラウト注入工程と、高さ調整手段配置工程と、天板離れ配置工程と、を備える乗降場設置方法に従って行うことにより、ホームの高さ調整および水準調整が容易、ホームと列車の離れ距離の調整も容易であることから、効率的に作業を行い工期を短縮でき、列車の運行やお客様のホーム使用に与える影響を極力抑えた工事を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明における実施の形態について、図1から図9を参照しながら説明する。
【0027】
(乗降場構成体の構成等)
乗降場構成体100は、図1および図2に示すように、“本体”としてのプレキャストブロック10と、プレキャストブロック10の上面10aに敷かれた“高さ調整手段”としてのラバーシート20と、その上にプレキャストブロック10の上面10a全体を覆うプレキャストコンクリート製の二枚の天板31,31と、天板31の位置調整を行いプレキャストブロック10に固定するための離れ調整手段40と、プレキャストブロック10が設置される設置面B上に置かれた状態で高さ調整および水準調整を可能とする水準調整手段50と、プレキャストブロック10の中空の内空間10fから底面10bと設置面Bとの隙間に向けてグラウトを注入するグラウト注入孔部15と、プレキャストブロック10の一方の側面10dに凸部11と、もう一方の側面10eに凸部11と嵌合する形状の凹部12と、隣接する他のプレキャストブロック10と連結するためのボルト連結手段60と、背面10cの土壌補強対策のため埋設するジオテキスタイルG支持用のフックFを取り付けるフック取付孔部14とを備えている。また、各天板31の上面には“弾性体板”としてのゴムチップ板32および視覚障害者誘導用ブロック33が貼付されている。
【0028】
プレキャストブロック10は、図2に示すように、略コ字状の断面形状を有するコンクリート製のブロックで、その上面10aには、離れ調整手段40の各部材が収まる位置調整固定孔部41が開けられている。位置調整固定孔部41は、上面10a側が小さく(例えば、50mm×50mm)、内空間10f側が大きく(例えば、120mm×120mm)なるよう開けられており、さらに、その中程には天板31を固定するためのプレート44(例えば、110mm×90mm)を支えるために段差41aを有している。
また、プレキャストブロック10は前面が大きく開口しているが、前面における底部近傍にはバラスト留めとして幾分立ち上げられた跳ね上げ部が形成されており、バラストや土砂が内空間10fに流入するのを防ぐ。
なお、プレキャストブロック10は、コンクリート工場等において一括して製造することができ、製造の際に温度や湿度などの諸条件をコンクリートの乾燥に最適な状態に保つことも可能である。そのため、現地で乗降場自体を構成するためのコンクリート打設を行う場合と比較して、型枠を設ける時間やコンクリートを乾燥させる時間を大幅に削減できるのみならず、安定した高い品質を保つことができる、などの利点がある。
なお、軟弱な地盤の上に設置する場合には、略コ字状の断面形状を有するプレキャストブロック10のかわりに、略ユ字状の断面形状を有するプレキャストブロックを用いると有効である。
【0029】
離れ調整手段40は、図3に示すように、位置調整固定孔部41と、位置調整固定孔部41を貫通させる為の両端までネジを切ったボルト43(例えば、直径16mm)と、天板31に取り付けられてボルト43が捻入されるインサート42と、位置調整固定孔部41の中程の段差41aよりも小さく段差41a内で滑動可能であり、ボルト43が余裕を持って前後に動くことが可能な長孔部44a(例えば、60mm×19mm)を有するプレート44(図4(a)参照)と、プレート44を支えるワッシャ45およびダブルナット46とから構成される。
プレキャストブロック10の上面10aにラバーシート20と天板31をある程度位置合わせして置いた状態で、ボルト43を位置調整固定孔部41に貫通させてその一端部をインサート42に捻入れ、プレート44をその長孔部44aにボルト43を通しつつ段差41aまで挿入し、ワッシャ45およびダブルナット46でボルト43を軽く締めることにより、天板31を長孔部44aに沿ってd1(例えば、34mm)だけスライドさせることができる(図4(b)参照)。そして、位置を調整した後にダブルナット46をさらに締めることにより、天板31を容易に固定することが可能である。なお、プレート44を小さく設定することにより、プレート44がd1と垂直の方向にスライド可能としてもよい。
【0030】
ラバーシート20は、プレキャストブロック10の上面10aと略同形状(例えば、1m×1m)の薄いシート(例えば、厚さ3mm)であって、上面10aの位置調整固定孔部41と同じ位置、同じ形状で切り取られており、上述の位置調整におけるボルト43の動きを妨げない形状となっている。
また、ラバーシート20は、接着剤等は使用しなくとも、離れ調整手段40によって天板31が固定される際に併せて固定されるため、離れ調整手段40を緩めることによって取り外すことも容易であり、乗降場構成体100の固定後に地盤が浮沈した場合には、容易に厚さの異なるラバーシートと交換することが可能である。
なお、ラバーシート20は、天板31の形状に合わせて複数に分割してもよい。複数に分割することで、天板31を一枚外す毎に一枚のラバーシートを交換することも可能となり、より柔軟にラバーシートの交換作業を行うことができる。
なお、ラバーシート20は、間隔を保つことができるものであれば、プレキャストブロック10の上面10aと略同形状のラバーシート20のかわりに、どのような形状のものであっても良いし、金属、木材、合成樹脂等、弾性体・非弾性体を含めどのような材質のシート・板を用いてもよい。
【0031】
プレキャストブロック10の上面10aは、二枚の天板31で全体を覆うことができる。そして、図9に示すように、天板31の上面には、あらかじめゴムチップ板32および視覚障害者誘導用ブロック33が貼付されているため、夜間などの旅客列車の非運行時にプラットホームの改修工事が完了しない場合にも、昼間は仮設的に営業に使用することが可能である。
また、二枚の天板31で一つのプレキャストブロック10の上面10aを覆う構造としたため、天板31の重量を軽くて扱い易く、人の力で持ち上げられる程度の重量にすることが可能で、作業の効率化を図ることができる。
なお、一枚の天板で一つのプレキャストブロック10の上面10aを覆う構造としてもよい。その場合、一つのプレキャストブロック10に対して、天板の離れ距離の調整を一回で行うことができる。加えて、さらに多数の天板によって一つのプレキャストブロック10の上面10aを覆う構造としてもよい。その場合、天板の枚数を調整して天板を隙間なく敷き詰めることも可能となる。
なお、天板31は、金属、木材、合成樹脂等どのような材質でもよい。
なお、ゴムチップ板32のかわりに、木材、金属、コンクリート、合成樹脂等の板を用いてもよい。
【0032】
また、プレキャストブロック10は、その底部の四隅に六角ボルト52と嵌合するナット状の金属が埋め込まれ六角ボルト52(例えば、直径20mm)を挿入することで高低調整を可能とする高低調整孔部51と、内空間10fから底面10bと設置面Bとの隙間に向けてグラウトを注入するグラウト注入孔部15(例えば、直径50mm)を有している。グラウト注入孔部15は、注入するグラウトが底面10b全体に均等に行き渡るよう底面10bのほぼ中央に設けられている。
なお、底面10bと設置面Bとの隙間に注入したグラウトが流れ出してしまうことを避けるために、底面10bと設置面Bの隙間の必要な領域を囲うパッキンなどをさらに用いてもよいし、仮に地盤補強のために均しコンクリートを打設する場合は、均しコンクリートを凹状に形成することでグラウトの流れ出しを防止してもよい。
ここで、均しコンクリートとは、本体構造物が精度よく構築できるよう構造物の構築に先立って敷き均すための、比較的強度の小さいコンクリートのことをいう。
【0033】
水準調整手段50は、図5に示すように、高低調整孔部51と、六角ボルト52と、設置面Bに配置されて六角ボルト52よりかかる荷重を受ける金属板53とから構成される。
金属板53は、プレキャストブロック10を設置面Bに設置した時に六角ボルト52が当接すると思われる位置四箇所に、プレキャストブロック10を設置面Bに設置する直前に配置すればよい。この時、金属板53は特に固定する必要はない。その後、プレキャストブロック10を設置面Bに設置し、必要に応じて六角ボルト52を回転させて底面10bより六角ボルト52の先端を突出させて、プレキャストブロック10の高さ調整や水準調整を行う。隣接する他のプレキャストブロック10についても同様に高さ調整や水準調整が終了した後、内空間10fからそれぞれのグラウト注入孔部15からグラウトを注入することで高さ調整および水準調整は完了する。
なお、内空間10f側に突出した六角ボルト52の頭部は、安全のため高低調整孔部51に収まるよう切断し、高低調整孔部51にも併せてグラウトを注いで埋めてもよい。
【0034】
また、プレキャストブロック10は、図2に示すように、側面10dには凸部11と、もう一方の側面10eには凸部11と嵌合する形状の凹部12とを有し、隣接する他のプレキャストブロック10と連結するためのボルト連結手段60を両側面ともに四箇所づつ備えている。
なお、全てのプレキャストブロック10において統一されていれば、上述とは逆に、側面10eに凸部11を、側面10dに凹部12を有していてもよい。
【0035】
凸部11および凹部12は、図6に示すように、プレキャストブロック10の上面10a側から見ると台形状の断面を有し嵌合する形状をしており、複数のプレキャストブロック10を設置面Bに順に配置する際に、例えば、既に配置し終わったプレキャストブロック10の凸部11に対して、次に配置するプレキャストブロック10の凹部12を合わせながら配置することにより、プレキャストブロック10の前後の変位が抑制されて位置合わせが容易になり、効率よく作業を行うことができる。
なお、凸部11の突出量(例えば、17mm)は凹部12の凹み量(例えば、15mm)に比べて僅かに(例えば、2mm)大きく形成し、プレキャストブロック10を密着させて整列させた時に自然に曲線をなすようにしてもよい。例えば、凸部11の突出量が凹部12の凹み量より2mm大きく上面10aが1m×1mなるプレキャストブロック10を密着させて整列させると、曲線半径が約500mの曲線区間の外側にプラットホームを設置する場合に丁度よい曲線をなす。当然、直線区間にプラットホームを設置する場合には各プレキャストブロック10間に隙間が生じるので、必要に応じてパッキン材70を詰めて隙間を埋めてもよい。
ただし、プレキャストブロック10を曲線状に配置しなくとも、離れ調整手段40によって天板31を調整することにより、ある程度の曲線区間に対応することが可能である。
【0036】
ボルト連結手段60は、図7に示すように、連結凹部61と、ボルト62と、ナット63、ワッシャ64、長孔部65とから構成されている。連結凹部61は、内空間10f側に向けては広く開口しており、ボルト62を挿入しナット63を締める作業が行い易い形状となり、側面10d(または側面10e)側に向けては、隣接する二つのプレキャストブロック10が多少ずれていてもボルト62が貫通できるよう余裕を持たせた長孔部65を有する形状となっている。ボルト62、ナット63およびワッシャ64は一般に用いられているものであり、内空間10f側からスパナやラチェット等で締結することができる。
なお、ボルト62が貫通する孔部は締結した時にコンクリートが破断する危険性が高いため、プレキャストブロック10を製造する際に当該孔部と同様の形状を有する金属板を埋め込むか、連結時に連結凹部61とワッシャ64の間に同様の金属板を挟む、もしくは貼り付けることが望ましい。
【0037】
さらに、プレキャストブロック10は背面10cに、背面の土壌補強対策のため埋設するジオテキスタイルG支持用のフックFを取り付けるフック取付孔部14を、横に500mm離して二つ、それを縦に300mmずつ離して四列、計八つ備えている。背面の土壌補強対策のためにジオグリッドなどのジオテキスタイルGを埋設する場合には、フック取付孔部14にフックFをねじ込み、フックFにジオテキスタイルGを引っ掛けて敷設し、その上に土砂をかけて締め固めるということを数回繰り返して図8のような構造とするため、その際、ジオテキスタイルGを係止して縒れやズレを防止する効果がある。
なお、フック取付孔部14はプレキャストブロック10の製造時にあらかじめ埋め込まれるもので、金属製、樹脂製など、フックFを取り付けることが可能であればどのような材質でもよい。
【0038】
(プラットホームの改修方法等)
桁式や半桁式のプラットホームの単独基礎の沈下などにより単なる部材等の補修や交換にとどまらない大がかりな改修が必要になった場合、また、新たな乗降場を設置する場合、以下に示す“乗降場設置方法”によって、プレキャストブロック10を設置する工事を行う。
【0039】
まず、それまで設置されていた桁式や半桁式のプラットホームを改修する場合には、当該改修が必要な部分を解体し撤去する。
その後、地盤が軟弱で補強が必要な場合には、必要な深さまで地盤を掘り返し、杭基礎や独楽基礎、RRR工法、その他一般的に知られている工法により地盤の補強を行う工程があっても良い。その際、線路の道床が崩れないように矢板による土留めを設けても良い。
なお、既設の乗降場の撤去後もしくは地盤の補強を行う工程の終了後、地盤の凹凸が大きい場合には、プレキャストブロック10を設置する設置面Bを整えるため、均しコンクリートの打設を行う工程もしくは砂により整地を行う工程があっても良い。
また、乗降場を新たに設置する場合には、必要に応じて、上述の既設の乗降場の撤去以外の作業を行う。
【0040】
次いで、“本体設置工程”として以下の手順を行う。
六角ボルト52が当接すると思われる四箇所に金属板53を配置し、その上にプレキャストブロック10を設置する。引き続き、必要な数のプレキャストブロック10を、先に設置したプレキャストブロック10の凸部11または凹部12と嵌合するように並べて設置する。
【0041】
次いで、“水準調整工程”として以下の手順を行う。
設置した各プレキャストブロック10について、高さ調整および水準調整を水準調整手段50により行う。その際、天板31、ラバーシート20、ゴムチップ板32および視覚障害者誘導用ブロック33などの厚さも考慮して調整を行う。また、調整後の水準調整手段50の六角ボルト52は、そのままでは線路に落下してしまった乗客等の待避場所として内空間10fが使われる場合等には危険であるため、高低調整孔部51から突出しない長さに切断して、グラウトなどを注いで埋めることが望ましい。
これらの作業はプレキャストブロック10の内空間10fから行う。
【0042】
次いで、“本体連結工程”として以下の手順を行う。
高さ調整および水準調整後には、図7に示すように、隣接するプレキャストブロック10,10の向い合うボルト連結手段60,60は、長孔部65,65がほぼ同じ位置に来ているので、その向い合う長孔部65,65に一方の連結凹部61からワッシャ64を通したボルト62を挿入し、他方の連結凹部61においてワッシャ64を通しナット63を締める。これを全ての向い合うボルト連結手段60,60に対して行う。
これらの作業はプレキャストブロック10の内空間10fから行う。
【0043】
次いで、“グラウト注入工程”として以下の手順を行う。
ボルト連結手段60によって連結された各プレキャストブロック10に、グラウト注入孔部15よりグラウトを注入する。この時、上述の高低調整孔部51に併せてグラウトを注いでもよい。
これらの作業はプレキャストブロック10の内空間10fから行う。
【0044】
ここで、既設のプラットホームの改修の場合は、プレキャストブロック10の背面10cと既設のプラットホームとの隙間を土砂で埋め戻す作業を行う。その際、土壌を補強するために、300mm程度土砂を埋めたところで土砂を締め固め、ジオグリッドなどのジオテキスタイルGを敷設し、プレキャストブロック10の背面10cのフック取付孔部14に取り付けたフックFにジオテキスタイルGを引っ掛け、さらに300mm毎に同様の手順をプレキャストブロック10と同じ高さまで繰り返す。ただし、プレキャストブロック10の背面10cに他のプレキャストブロック10の背面10cを密着させて背中合わせに設置する場合など、埋め戻す作業が不要な場合もある。
なお、乗降場を新たに設置する場合にも、プレキャストブロック10の背面10cを土砂で埋める必要があれば、上記の同様の作業を行う。
【0045】
次いで、“高さ調整手段配置工程”として以下の手順を行う。
各プレキャストブロック10に対してラバーシート20を配置し、上面10aの位置調整固定孔部41等と位置を合わせる。
【0046】
次いで、“天板離れ配置工程”として以下の手順を行う。
一つのプレキャストブロック10に対して二枚の天板31を準備し、それらをプレキャストブロック10上に敷いたラバーシート20上に離れ距離を測定しながら配置する。本発明における各天板は概ね500mm×1200mm×30mm程度の大きさの場合、重さが50kg程度となるので、作業機械を用いずに配置することも可能である。
各天板31について、離れ調整手段40をそれぞれ二つずつ取り付け、内空間10fからダブルナット46を締めて全ての天板31を固定する。
【0047】
その後、必要に応じてプレキャストブロック10の背面の土壌上のアスファルト舗装、線路側の道床の埋め戻し、矢板の撤去、周囲の桁式または半桁式プラットホームの復元等を行い、プレキャストブロック10を用いてプラットホームを設置する工事が完了する。
この方法では、本発明におけるプレキャストブロック10が概ね1m×1m×1.5m程度の大きさの場合に重さが1.3t程度となるので、放電の危険領域(例えば、架線から1m以内)に侵入する可能性のない小型のクレーンがあれば工事を行うことが可能で、大型の作業機械を使用する場合に比べて、リース料や燃料費などの経費を削減してコストを抑え、架線のき電停止を無くして工期を短縮することができる。
なお、本体連結工程とグラウト注入工程は必要に応じて順番を入換えて行ってもよいし、同時に行ってもよい。また、高さ調整手段配置工程は、本体設置工程の終了後かつ天板離れ配置工程の開始前であれば、いつ行ってもよいし他の工程と同時に行ってもよい。
【0048】
一方、プレキャストブロック10設置後のメンテナンスでは、以下の作業を行うことにより、ホームと列車の離れ距離の調整や高さ調整を容易に行うことができる。
離れ距離の調整を行うには、内空間10fからダブルナット46を緩めるだけでよい。ダブルナット46を緩めることにより、天板31をスライド可能とし、離れ距離の調整を容易に行うことができる。
高さ調整を行うには、まず、ダブルナット46を含めた離れ調整手段40を全て取り外す。その後、天板31をプレキャストブロック10上から一度取り外し、ラバーシート20を除去、追加あるいは交換することにより高さ調整を容易に行うことができる。
天板31を離れ調整手段40で再度固定することにより離れ距離の調整、高さ調整が完了する。
【0049】
(乗降場構成体の効果)
以上説明した本実施の形態における乗降場構成体100をプラットホームに用いることにより、プレキャストブロック10と天板31の間に設置されるラバーシート20が交換可能であることから、乗降場構成体100の固定後に圧密による沈下など地盤が浮沈した場合でも、容易に厚さの異なるラバーシートと交換することが可能となり、将来のメンテナンスを効率的に行うことができる。
なお、乗降場構成体100の地盤が浮沈した場合に限らず、日常的な列車の走行によってレールが沈下した場合や、マルチプルタイタンパーなどの線路扛上によってレールが持ち上げられた場合も同様に、ラバーシート20を交換することにより対応することが可能であり、メンテナンスを効率的に行うことができる。
また、プレキャストブロック10の断面形状を略コ字状で中空としたことから、乗降場構成体100を設置する際、ホームと列車の離れ距離の調整、高さ調整および水準調整、グラウト注入の作業、ボルト連結の作業などを内空間10fから建築限界を支障せず行うことが可能である。さらには、ホームと列車の離れ距離の調整とグラウト注入の作業など、内空間10fと外側での作業を並行して進めることも可能で、より効率的に作業を行い工期を短縮できる。それに加えて設置後は、内空間10fを、万が一にも線路に落下してしまった乗客等の待避場所として使用でき、冬期間においては、線路やプラットホームに降った雪を一時的に堆積させる場所として使用できる。
また、天板31の位置調整と固定が容易な離れ調整手段40を備えることから、ホームと列車の離れ距離の調整を容易に行うことが可能で、プレキャストブロック10の設置時においては効率的に作業を行い工期を短縮でき、設置後においては、マルチプルタイタンパーなどにより通り直し(レールの長さ方向に沿って生じるレール側面の凹凸を整正する作業)を行った場合に建築限界を支障しないために必要となるホームと列車の離れ距離のメンテナンスを効率的に行うことができる。
また、離れ距離の調整、高さ調整および水準調整、グラウト注入、ボルト連結に係る作業を中空の内側の空間において作業できるよう構成することが可能で、中空の内側の空間において効率的に作業できる。
【0050】
また、乗降場構成体100は上面10aにゴムチップ板32と視覚障害者誘導用ブロック33をあらかじめ貼付された天板31を備えていることから、夜間などの旅客列車の非運行時にプラットホームの改修工事が完了しない場合にも、従来の工法で必要なプレキャストブロック設置後の最終的な段階でのホーム面の舗装作業および視覚障害者誘導用ブロックの貼付を行う必要がなく、プレキャストブロック10を仮止めして昼間は仮設的に営業に使用し、再び夜間の非運行時に工事を再開することが可能であり、列車の運行に影響を与える事態、お客様の利用するプラットホームの一部が使用不可能となるような状況を避けることができる。
また、あらかじめ天板31にゴムチップ板32と視覚障害者誘導用ブロック33が貼付されていることから、そのままの状態でプレキャストブロック10に取り付ける作業を行うことが可能なため、ホーム面の舗装作業が必要な場合や視覚障害者誘導用ブロック33の貼付を現場で行う場合と比較して工期を短縮できる。
【0051】
また、プレキャストブロック10の上面10aに配置する天板31を二枚に分割したことから、人間の力で持ち上げられる程度の扱い易い重量(例えば、50kg)としたため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
また、曲線半径の比較的大きな緩い曲線区間にプラットホームを設置する場合には、プレキャストブロック10の位置を曲線区間に合わせて配置しなくとも、二枚の天板31を曲線に合わせて配置するだけで曲線区間に対応することも可能なため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0052】
また、プレキャストブロック10は水準調整手段50とグラウト注入孔部15を備えることから、乗降場構成体100を設置する際に高さ調整および水準調整を行ってグラウトにより固定することが容易なため、高さ調整および水準調整のためにプレキャストブロック10を動かして微調整するという難易度が高く時間のかかる作業が不要となり、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0053】
また、プレキャストブロック10は凸部11および凹部12を有することから、プレキャストブロック10を複数整列させる際に隣接する他のプレキャストブロック10との位置合わせが容易となり、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0054】
また、プレキャストブロック10が有する凸部11の突出量は、凹部12の凹み量に比べて僅かに(例えば、2mm)大きくなるよう形成されていることから、隣接する他のプレキャストブロック10との間に余裕ができ、プラットホームを曲線区間に設置する場合にも複数のプレキャストブロック10を曲線区間に合わせて整列させることが容易となるため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0055】
また、プレキャストブロック10は隣接する他のプレキャストブロック10とボルト連結手段60によって連結されることから、設置時に隣接する乗降場構成体との位置に多少のずれが生じている場合にも容易に連結することが可能なため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0056】
また、プレキャストブロック10は背面10cの土壌補強対策のため埋設するジオテキスタイル支持用のフックFを取付けるフック取付孔部14を備えることから、ジオテキスタイルを係止して縒れやズレを防止することが可能なため、効率的に作業を行い工期を短縮できる。
【0057】
また、プラットホームの設置工事を、現地での乗降場自体を構成するためのコンクリート打設および基礎杭打設など大型の作業機械を用いた作業に要するき電停止や支障移転工事を削減し得るプレキャストブロック10を用いて、本体設置工程と、水準調整工程と、本体連結工程と、グラウト注入工程と、高さ調整手段配置工程と、天板離れ配置工程と、を備える乗降場設置方法に従って行うことにより、ホームの高さ調整および水準調整が容易、ホームと列車の離れ距離の調整も容易であることから、効率的に作業を行い工期を短縮でき、列車の運行やお客様のホーム使用に与える影響を極力抑えた工事を行うことができる。
【0058】
(その他)
なお、以上説明した本実施の形態にける乗降場構成体100は、プラットホームの改修工事に限らず、駅・プラットホームの新設工事において使用することも可能であり、固定後に土の圧密による地盤の沈下や軌道の扛上の場合には、ラバーシート20をより厚いものと容易に交換可能であることから、将来のメンテナンスを効率的に行うことに効果が発揮される。
【0059】
なお、以上説明した本実施の形態において、位置調整固定孔部41は正方形状としたが、天板31の位置が調整可能であれば、プレート44とともに、円形やその他の形状に変更しても構わない。同様に、グラウト注入孔部15も円形に限らないし、側面10d(または側面10e)側に向いた連結凹部61は、ワッシャ64が抜けないような構造であれば、他の形状に変更してもよい。
【0060】
なお、上記の各工程のうち、水準調整工程、本体連結工程、グラウト注入工程は常時、内空間10fから作業を行うが、通常、上面10aから作業を行う天板31の離れ距離の調整や高さ調整も、状況に応じて内空間10fから作業を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明における乗降場構成体の主要な構成要素を示す概要図である。
【図2】本発明におけるプレキャストブロックの(a)上面図、(b)正面図、(c)右側面図、(d)底面図である。
【図3】本発明における乗降場構成体の離れ調整手段を示す概要図である。
【図4】本発明における離れ調整手段の位置調整固定孔部とプレートおよびボルトとの関係の(a)中央位置、(b)ボルトの可動範囲を表す説明図である。
【図5】本発明における乗降場構成体の水準調整手段を示す概要図である。
【図6】本発明における乗降場構成体の凸部および凹部が嵌合する状態を示す説明図である。
【図7】本発明における乗降場構成体がボルト連結手段によって連結される状態を示す説明図である。
【図8】本発明における乗降場構成体のフック取付孔部の使用法を示す説明図である。
【図9】本発明における乗降場構成体の天板の上面図である。
【符号の説明】
【0062】
10 プレキャストブロック(本体)
10a 上面
10b 底面
10c 背面
10d 側面
10e 側面
10f 内空間
11 凸部
12 凹部
14 フック取付孔部
15 グラウト注入孔部
20 ラバーシート(高さ調整手段)
31 天板
32 ゴムチップ板(弾性体板)
33 視覚障害者誘導用ブロック
40 離れ調整手段
41 位置調整固定孔部
41a 段差
42 インサート
43 ボルト
44 プレート
44a 長孔部
45 ワッシャ
46 ダブルナット
50 水準調整手段
60 ボルト連結手段
70 パッキン材
100 乗降場構成体
B 設置面
F フック
G ジオテキスタイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ一定の形状に形成され、整地された設置面上に複数整列させることで列車等の乗降場を構成するコンクリート製の乗降場構成体であって、
略コ字状の断面形状を有する中空の本体と、
前記本体の上面を覆う天板と、
前記本体と前記天板の間に設置される交換可能な高さ調整手段と、
前記天板を前記本体の上面に沿って位置調整し、前記本体に対して前記天板を固定することを可能とする離れ調整手段とを備えることを特徴とする乗降場構成体。
【請求項2】
請求項1に記載の乗降場構成体であって、
前記天板の上面に弾性体板および視覚障害者誘導用ブロックが貼付されてなることを特徴とする乗降場構成体。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
前記天板を一つの本体につき複数備えると共に、複数の前記天板がそれぞれ隣接して配置されることにより前記本体の上面を覆うことを特徴とする乗降場構成体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
前記本体の底面を設置面から浮かせることにより、設置面上に置かれた状態で高さ調整および水準調整を可能とする水準調整手段を備え、
前記本体の中空の内側の空間から底面と設置面との隙間に向けてグラウトを注入するグラウト注入孔部を前記本体の底部に有することを特徴とする乗降場構成体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
複数整列させる際に隣接する他の乗降場構成体との位置合わせを行うために、前記本体の一方の側面に凸部を有し、他方の側面に前記凸部と嵌合する形状の凹部を有することを特徴とする乗降場構成体。
【請求項6】
請求項5に記載の乗降場構成体であって、
前記凸部は、前記凹部の凹み量に比べてより突出していることを特徴とする乗降場構成体。
【請求項7】
請求項4に記載の乗降場構成体であって、
隣接する他の乗降場構成体と接する前記本体の両側面それぞれに、当該他の乗降場構成体と連結するためのボルト連結手段を備えることを特徴とする乗降場構成体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の乗降場構成体であって、
前記本体の背面に、背面の土壌補強対策のため埋設するジオテキスタイル支持用のフックを取り付けるフック取付孔部を複数備えることを特徴とする乗降場構成体。
【請求項9】
請求項7に記載の乗降場構成体を用いて乗降場を設置する乗降場設置方法であって、
複数の前記本体を並べて設置する本体設置工程と、
設置した各前記本体の高さ調整および水準調整を、前記水準調整手段によってそれぞれ行う水準調整工程と、
高さ調整および水準調整後の各前記本体を前記ボルト連結手段によってそれぞれ連結する本体連結工程と、
高さ調整および水準調整後の各前記本体に対して前記グラウト注入孔部よりグラウトをそれぞれ注入するグラウト注入工程と、
各前記本体上に前記高さ調整手段をそれぞれ配置する高さ調整手段配置工程と、
各前記高さ調整手段上に前記天板を配置する天板離れ配置工程と、を備えることを特徴とする乗降場設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−121143(P2009−121143A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−296798(P2007−296798)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(598037569)會澤高圧コンクリート株式会社 (10)
【出願人】(597168295)株式会社山一総業 (1)
【Fターム(参考)】