説明

乳化増粘剤およびそれを含有する毛髪処理剤。

【課題】適度な粘度を有し、安定性に優れ、調製が容易で、かつ処理後の毛髪になめらかさを付与し、べたつきやごわつきを与えない毛髪処理剤を提供する。
【解決手段】(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸またはその塩を共重合して得られる共重合体35〜40質量%、(B)イソヘキサデカン23〜28質量%、(C)ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン3〜8質量%、および(D)水24〜39質量%、からなる組成物〔成分(A)〜(D)の合計量は100質量%〕を乳化増粘剤として含有させて毛髪処理剤を構成する。乳化増粘剤の含有量としては、毛髪処理剤全量中0.1〜10質量%であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアトリートメント剤、ヘアクリーム、染毛剤、染毛料、パーマネントウェーブ用剤などの毛髪処理剤に関し、さらに詳しくは、粘性が必要な毛髪処理剤において、ローションや乳液を調製の際に、また、毛髪処理剤を毛髪に適用の際に液垂れを起こさず、塗布時のべたつきがなく、伸びがよく、毛髪に塗布しやすく、かつ塗布後の毛髪になめらかさを付与することができる毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪処理剤、特に粘性を有する乳化系の、ヘアクリーム、ヘアローション、ヘアジェルなどには油性成分の配合のために乳化剤が、また、増粘のためには増粘剤が配合されている。一般的に増粘には、キサンタンガム、ペクチン、アラビアゴム、マルトデキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース誘導体などの天然または半合成の増粘剤(特許文献1、特許文献2)やカルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アクリル酸やアクリルアミドの重合物や共重合物などの合成高分子(特許文献3、特許文献4)などが用いられている。
【0003】
しかしながら、従来の増粘剤を用いて毛髪処理剤を調製する際には、増粘剤を水相などに分散させるのに時間を要したり、pHを調整する必要があり、操作性の面で不便に感じることがあった。
【0004】
また、染毛剤やパーマネントウェーブ用剤では、有効成分の効果を充分に発揮させるためにpH2〜9と幅広い領域においてそれぞれの製剤を安定に保つことが要求され、さらに、水との親和性、垂れ落ち防止性、染色やパーマネント力に与える影響、処理後の毛髪の感触などを考慮する必要があるが、従来の増粘剤は、これらの要件を必ずしも十分に満たすものではなかった。
【0005】
さらに、従来の増粘剤の多くは、単独では乳化力がないか十分な乳化力を有しないため、他の乳化剤を添加するなど組み合わせを工夫する必要があり、乳化力がある増粘剤が求められていた。
【特許文献1】特開2002−80330
【特許文献2】特開2003−95881
【特許文献3】特開2001−114641
【特許文献4】特開2004−67651
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記で述べたような問題点を解決するために、安定な増粘力を有すると共に乳化力を有し、調製が簡便で、毛髪に適用しやすく、しかも染毛料やパーマネント剤等の毛髪処理剤の本来の効果を損なうことなく、処理後の毛髪にごわつきやべたつきを与えることがない毛髪処理剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため研究を行った結果、(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸またはその塩を共重合して得られる共重合体、(B)イソヘキサデカン、(C)ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン、および(D)水、からなる組成物を乳化増粘剤として毛髪処理剤に含有させる時には、乳化力に優れ簡単に増粘し、しかも調製後の毛髪処理剤は安定性に優れ、適用後の毛髪にごわつきやべたつきを与えることがなく、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、下記の成分(A)〜(D):
(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸またはその塩を共重合して得られる共重合体35〜40質量%、
(B)イソヘキサデカン23〜28質量%、
(C)ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン3〜8質量%、
(D)水24〜39質量%
からなる組成物〔成分(A)〜(D)の合計量は100質量%〕を乳化増粘剤として含有することを特徴とする毛髪処理剤を提供するものである(請求項1)。
【0009】
成分(A)の共重合体は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸またはその塩を共重合して得られる共重合体である。3種のモノマーのうち、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびアクリル酸は、好ましくは、例えばナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属塩、アンモニウム塩、例えばモノエタノールアミン塩のようなアミノアルコール塩、または例えばリシン塩のようなアミノ酸塩の形態で部分的または全体的に塩とされ、中性モノマーであるN,N−ジエチルアクリルアミドと共に共重合される。
【0010】
成分(A)の共重合体は、90モル%〜40モル%の部分的または全体的に塩とされた2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸モノマーと、60モル%〜10モル%のN,N−ジメチルアクリルアミドモノマーと、1モル%〜30モル%の部分的または全体的に塩とされたアクリル酸モノマー(各モノマーの合計モル%は100になる量)の割合で共重合されたものが、増粘剤としての効果をより発揮するので好ましい。
【0011】
成分(B)のイソヘキサデカンは油相を形成し、成分(C)のポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンは乳化剤であって、成分(D)の水と共に、成分(A)〜(D)の混合物は、W/O型のエマルションを形成する。この組成物は、水の添加で容易に且つ迅速に転相乳化し、球状マイクロジェルを形成するのを特徴とするが、成分(A)〜(D)の組成物中での存在割合が、上記範囲以上でもまた上記範囲以下でもW/Oエマルションとならなかったり、水の添加で容易にマイクロジェルを形成しなくなるため、成分(A)〜(D)の組成物中での存在量は、上記記載の範囲にある必要がある。
【0012】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の塩、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸の部分中和塩からなる共重合体を35〜40質量%、イソヘキサデカンを23〜28質量%、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンを3〜8質量%、水を24〜39質量%含有する組成物〔各成分の合計量は100質量%〕としては、セピック社製のSIMULGEL SMS 88(商品名)が挙げられる。
【0013】
請求項2の発明は、上記成分(A)〜(D)からなる組成物の毛髪処理剤中での含有量が0.1質量%〜10質量%である毛髪処理剤である。
【0014】
上記成分(A)〜(D)からなる組成物の毛髪処理剤中での存在量が上記範囲以下になると、乳化力や増粘力が乏しくなり、調製後の毛髪処理剤の安定性が劣るようになる恐れがある。また、上記成分(A)〜(D)からなる組成物の毛髪処理剤中での存在量が上記範囲以上になると、調製されるマイクロジェルの粘度が高くなりすぎ毛髪になめらかに塗布できなくなったり、塗布後の毛髪がごわついたり、べたついたりする恐れがある。
【発明の効果】
【0015】
本発明の毛髪処理剤は、適度な粘度を有し、ローションや乳液を調製の際や毛髪への適用の際に液垂れを起こさない。また、塗布時のべたつきがなく、伸びがよく、毛髪に塗布しやすく、かつ塗布後の毛髪になめらかさを付与することができる。しかも、粘性が必要な毛髪処理剤の調製が簡便で、かつ調製した処理剤の安定性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の毛髪処理剤は、ヘアトリートメント剤、ヘアクリーム、ヘアリンス、染毛剤、染毛料、パーマネントウェーブ用剤などの粘性が必要な毛髪処理剤を対象とし、従来のこれら毛髪処理剤に、成分(A)〜(D)からなる組成物を、好ましくは0.1質量%〜10質量%含有させることによって調製できる。
【0017】
本発明の毛髪処理剤には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、適宜他の成分を配合することができ、そのような成分としては、例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素類、エステル油、シリコーン油等の油性原料、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アルコール類、界面活性剤類、タンパク質加水分解物およびその誘導体、アミノ酸、ポリペプチド類、糖類、高分子類、粉体、色剤類、紫外線防御剤類、ビタミン類、動植物抽出物、酸化防止剤、殺菌・防腐剤、酸、浸透促進剤、pH緩衝剤、抗炎症剤、金属封鎖剤、香料、育毛剤、肌荒れ防止剤、老化防止剤などが挙げられる。
【0018】
油性原料の具体例としては、例えば、オリーブ油、マカデミアナッツ油、椿油、メドフォーム油、ハイオレイックひまわり油、ハイオレイック紅花油、ひまし油、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、米糠ワックス、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセロール、トリイソステアリン酸グリセロール、トリイソパルミチン酸グリセロール、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、セラミド類、シリコーンオイル類などが挙げられる。
【0019】
脂肪酸類としては、例えば、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、樹脂酸、水素添加樹脂酸、アビエチン酸、ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、テトラヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
【0020】
低級及び高級アルコール類としては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、オクタノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどが挙げられ、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコ−ル、ソルビトール、エリスリトール、マルチトールなどが挙げられる。
【0021】
タンパク質加水分解物とその誘導体のタンパク質部分は、例えば、シルク、コラーゲン、ケラチン、カゼイン、コンキオリン、大豆タンパク、小麦タンパク、コメタンパク、ゴマタンパクなどが挙げられ、タンパク質加水分解物の誘導体としては、タンパク質加水分解物をそれぞれカチオン化、アシル化、エステル化、シリル化したものなどが挙げられる。
【0022】
界面活性剤の非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルアルキルポリグリコシド、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、アルカンスルフォン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルN−メチルタウリン塩などが挙げられる。また、カチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキルエーテルオンモニウム塩などが挙げられ、両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩、脂肪酸アミドプロピルベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルフォン酸塩、フォスファチジルコリン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルグリセロール、リゾレシチン、レシチンなどが挙げられる。その他、高分子タイプ、天然系などの界面活性剤も挙げられる。
【0023】
高分子類としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ビニルピロリドン系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アミノ変性シリコーン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、寒天、グアーガム、クインスシードガム、タマリンドガム、デンプン、デキストリン、ローカストビーンガム、キトサン、カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0024】
紫外線防御剤としては、例えば、パラメトキシケイヒ酸2−エチルヘキシル、4−t−ブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、パラジメチルアミノ安息香酸、サリチル酸ホモメンチル、ジパラメトキシケイヒ酸オクチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルフォン酸塩、2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2−エチルヘキシル−1−オキシ)−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0025】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE及びそれらの誘導体類が挙げられ、植物抽出物としては、例えば、シャクヤク抽出液、ボタン皮抽出液などが挙げられる。
【0026】
以下に実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例中における各成分の配合量はいずれも重量部によるものであり、配合量が固形分量でないものについては、成分名のあとに括弧書きで固形分濃度を示す。
【実施例】
【0027】
実施例1および比較例1
表1に示す組成の2種類の酸性染毛料を調製し、調製のしやすさ(簡便性)、増粘性、毛髪に塗布したときの操作性(なめらかな付着性と塗布のしやすさ)を比較評価した。なお、比較例1中の増粘剤量は、実施例で用いている乳化増粘剤(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物)中の共重合体の量にほぼ見合う量である。なお、これは比較例2以下でも同じである。
【0028】
【表1】

【0029】
実施例1および比較例1の酸性染毛料について、調製のしやすさ、増粘性、毛髪に塗布時の操作性を評価し、その評価の結果を表2に示すが、評価基準は下記に示す通りである。なお、増粘性の評価は、酸性染毛料を染毛用コームに取ったときの酸性染毛料の様相で判断した。
【0030】
〔評価基準〕
調製のしやすさ
○:短時間で調製できる
△:時間を要するが調製できる
×:調製できない
増粘性
○:粘度がありコームに取った時、垂れ落ちがない
△:粘度があるが、コームから垂れ落ちる
×:コームから垂れ落ちる
塗布時の操作性
○:毛髪になめらかに塗布でき、付着性が良い
△:毛髪に塗布できるが、付着性が悪い
×:毛髪に塗布する時に摩擦を感じる
【0031】
【表2】

【0032】
乳化増粘剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物を配合した実施例1の酸性染毛料は、比較例1の酸性染毛料に比べて容易に調製でき、適度な粘度を有し、毛髪へ塗布しやすく、染毛料の付着性が良好であった。
【0033】
実施例2および比較例2
表3に示す組成の2種類のヘアクリームを調製し、調製のしやすさ、増粘性、毛髪に塗布時の操作性および乾燥後の毛髪の感触(なめらかさ)を評価した。
【0034】
【表3】

【0035】
上記それぞれのヘアクリーム1gをブリーチ処理した長さ20cmで5gの毛束に塗布し、塗布時の操作性を評価した後、ヘアドライヤーで乾燥し、乾燥後の毛髪の感触を評価した。ヘアクリームの調製時の調製のしやすさおよび毛髪に塗布時の操作性は実施例1と同じ評価基準で評価し、乾燥後の毛髪の感触は下記の評価基準で評価した。それらの結果を表4に示す。
【0036】
塗布後の毛髪の感触
○:毛髪が非常になめらかである
△:毛髪がややなめらかである
×:毛髪がべたつきなめらかさがない
【0037】
【表4】

【0038】
乳化増粘剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物を配合した実施例2のヘアクリームは、室温でそれぞれの原料を混合するのみで簡単に調製でき、毛髪に塗布した際には伸びがよいため塗布しやすく、乾燥後の毛髪の感触はなめらかでまとまりが良かった。
【0039】
実施例3および比較例3
表5に示す組成の2種類のパーマネントウェーブ第1剤液を調製し、製剤の増粘性を評価し、パーマネントウェーブ処理した後のウェーブや毛髪の仕上がり状態を比較評価した。
【0040】
【表5】

【0041】
実施例3および比較例3のパーマネントウェーブ用第1剤と、第2剤として臭素酸ナトリウムの6%水溶液を使用してそれぞれ長さ20cmで2gの毛束にパーマネントウェーブ処理を施し、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の感触を評価した。パーマネントウェーブ用第1剤の調製のしやすさ、増粘性および毛髪に塗布時の操作性は、実施例1と同じ評価基準で評価し、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の感触は実施例2と同じ評価基準で評価した。それらの結果を表6に示す。
【0042】
【表6】

【0043】
乳化増粘剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物を配合した実施例3のパーマネントウェーブ用第1剤は、簡単に調製でき、毛髪に塗布しやすい粘度を安定に保ち、毛髪に塗布した際には伸びがよく、パーマネントウェーブ処理後の毛髪の感触はなめらかを有していた。
【0044】
実施例4および比較例4
表7に示す組成の2種の酸化型染毛剤第1剤を調製し、それぞれを表8に示す組成の酸化型染毛剤第2剤と質量比1:1で混合し、それぞれの粘度の安定性、第1剤と第2剤との混合のしやすさ、毛髪に塗布したときの操作性、染毛性を評価した。
【0045】
【表7】

【0046】
【表8】

【0047】
上記実施例4および比較例4の酸化型染毛剤第1剤について、第2剤との混合のしやすさ(混合の容易性)、混合物の均一性、混合物の粘性、混合物の毛髪への塗布時の操作性(なめらかな附着性と塗布のしやすさ)および染毛後の毛髪の感触(なめらかさ)を評価した。その評価結果を表9に示すが、評価基準は下記に示すとおりである。なお、粘性の評価は、混合物を染毛用コームに取ったときの染毛剤の様相で判断した。
【0048】
〔評価基準〕
混合のしやすさ
○:短時間で混合できる
△:時間を要するが混合できる
×:混合できない
混合物の均一性
○:均一である
△:混合時、塊が生じるがよく混ぜれば均一になる
×:塊が残る
粘性
○:粘度がありコームに取った時、垂れ落ちがない
△:粘度があるが、コームから垂れ落ちる
×:コームから垂れ落ちる
塗布時の操作性
○:毛髪になめらかに塗布でき、付着性が良い
△:毛髪に塗布できるが、付着性が悪い
×:毛髪に塗布する時に摩擦を感じる
染毛後の毛髪の感触
○:毛髪が非常になめらかである
△:毛髪がややなめらかである
×:毛髪がべたつきなめらかさがない
【0049】
【表9】

【0050】
第2剤との混合時、乳化増粘剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物を用いた実施例4の酸化型染毛剤第1剤の場合は容易に混合物を調製できたが、比較例4の酸化型染毛剤第1剤では混合に時間を要したのに加え、混合物に塊が残り均一にならなかった。また、毛髪に塗布したところ、実施例4の酸化型染毛剤第1剤を用いた場合はなめらかに塗布できたが、比較例4の酸化型染毛剤第1剤を用いた場合にはなめらかに塗布することができなかった。さらに、染毛処理後の毛髪は、実施例4の酸化型染毛剤第1剤を用いた場合は毛髪が非常になめらかであったが、比較例4の酸化型染毛剤第1剤を用いた場合にはなめらかさに劣っていた。
【0051】
実施例5
表10に示す組成の縮毛矯正剤第1液および表11に示す組成の縮毛矯正剤第2液を調製し、それぞれの粘度の安定性を評価し、毛髪に塗布したときの操作性および処理後の毛髪について官能評価を行った。
【0052】
【表10】

【0053】
【表11】

【0054】
乳化増粘剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物を配合した実施例5の縮毛矯正剤第1液と第2液をそれぞれ調製したところ、毛髪を処理するのに適度な粘度を有し、安定性に優れ、毛髪への付きが良く、縮毛矯正を施した後の毛髪はごわつきがなくなめらかさを有していた。
【0055】
実施例6
表12に示す組成のヘアコンディショナーを調製し、増粘性を評価し、毛髪に塗布して官能評価を行った。
【0056】
【表12】

【0057】
乳化増粘剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−アクリル酸部分中和塩の共重合体、イソヘキサデカン、ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタンおよび水からなる組成物を用いた実施例6のヘアコンディショナーは、調製が容易で、手取りが良く、毛髪になめらかさやまとまりやすさを付与した。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分:
(A)2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびアクリル酸またはその塩を共重合して得られる共重合体35〜40質量%、
(B)イソヘキサデカン23〜28質量%、
(C)ポリオキシエチレンモノステアリン酸ソルビタン3〜8質量%、および、
(D)水24〜39質量%、
からなる組成物〔成分(A)〜(D)の合計量は100質量%〕を乳化増粘剤として含有することを特徴とする毛髪処理剤。
【請求項2】
上記成分(A)〜(D)からなる組成物の毛髪処理剤中での含有量が、0.1〜10質量%である請求項1に記載の毛髪処理剤。


【公開番号】特開2011−37773(P2011−37773A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−187116(P2009−187116)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【出願人】(000147213)株式会社成和化成 (45)
【Fターム(参考)】