説明

乳製品を共充填する方法および共充填された複合乳製品

本発明は、粘性成分を共充填して螺旋または螺旋状の製品態様を得ることにより複合乳製品を製造するための方法に関する。前記方法は、製品態様を得るために充填ノズルの回転移動を必要とせず、したがって、充填装置の全体の複雑さを減らし、有益である。複合乳製品は、少なくとも1つの透明部を備える容器を備え、粘性成分は、容器の前記透明部でほぼ不連続な広がりとして見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳製品、乳製品を得るために容器を充填する方法、前記方法によって得られる乳製品、および、充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
栄養産業、特に、アイスクリームを含む粘性乳製品の分野において、消費者は、一般に、多成分の提供を好む。例えば、2つの異なる風味の物質を有する冷蔵デザート、例えば白色および黒色のチョコレートムースが好まれる。ヨーグルトでは、特別な風味を与える非乳成分、例えばフルーツコンポートまたはフレーバーソースとは別個に、乳製品、天然ヨーグルトを同じポットに加えることが一般的になってきた。その後、スプーンを用いて成分を完全に混合させ、あるいは、成分を部分的に個別に消費するのは消費者次第である。
【0003】
複合乳製品の製造は、共充填(co−filling)を可能にする特定の充填機器を必要とする。仏国特許第2708563号明細書は、異なる粘性成分を同じ容器内に共充填することができる充填ユニットであって、異なる成分が別個に保たれるが容器内へ同時に充填される充填ユニットを開示する。一般に、異なる成分は、別個の開口に通じる別個の充填チャンネルを備えるノズルを通じて充填され、前記開口を通じて異なる成分を容器内に共充填することができる。
【0004】
消費者が乳製品を購入する前に乳製品の内容物の視覚的印象を更に味わおうとすることが注目されてきた。特に、共充填される複合乳製品の分野では、これが、目視検査できるように容器の少なくとも一部が透明である製品の製造をもたらしてきた。これらのケースにおいて、共充填は、提供用容器の透明部を通じて消費者が複合乳製品の異なる成分を認識できる態様で達成される。したがって、両方の成分が視覚的に訴える態様で容器内に配置されることが重要である。このため、例えば欧州特許第1348340号明細書に示されるように、洗練された共充填プロセスが開発された。欧州特許第1348340号明細書には、透明ポット内の乳製品が開示されており、主成分、一般的には乳成分が製品の大部分を占め、果実のピューレであってもよい副成分が透明容器で見える横方向のストライプを形成する。このようにすると、副成分の色、例えば果実ピューレの場合には赤色が、乳製品の風味を消費者に知らせると同時に、食欲をそそる製品態様を与える。
【0005】
欧州特許第1348340号明細書は垂直共充填に関する。更なる魅力的な製品素性が、複合製品の2つの成分を螺旋状に配置することによって得られた。そのような製品は、例えば欧州特許第0615692号明細書に開示されており、回転式共充填ノズルによって得られる。したがって、充填中、ノズルは、容器の下端から上端へ向かう垂直上昇移動を行なうと同時に、その軸線周りに回転する。
【0006】
共充填ノズルの回転は、多くの技術的な不都合および/または問題を伴う。幾つかのモータ、カウンタシャフト、クラッチ、回転式シールジョイントを備える複雑な機械アセンブリが知られており、これらのアセンブリは、高い摩耗および頻繁な故障を被る。全体としてみれば、回転する共充填ノズルは、連続充填プロセスにおいて低い製造効率をもたらす。また、並んで配置される容器の列と容器からなるラインの数に対応する並んで配置されるノズルの列とを製造ラインが含む連続充填ラインでは、ノズルを回転させるために必要な機器が比較的僅かな利用可能空間内に収容される必要がある。特に、各ノズルの空間は、側方の隣接するノズルの存在によって制限される。また、充填されるべき容器の上側に多くの技術的要素を蓄積することは、高水準の衛生を確保するために更なる労力を必要とする。要素は、頻繁に清掃する必要がある。
【0007】
幾つかの共充填プロセスでは、例えば欧州特許第1602579号明細書に開示されるように、ノズルの下側に配置される容器がノズルの代わりに回転される。しかしながら、この解決策にも前記問題がかなりの程度まで当てはまる。特に、充填装置の各ノズルごとに、共充填中に容器を回転させるための回転機構を設ける必要がある。容器の列およびラインを並んで配置されるノズルへ向けて移送するのに適する典型的な連続充填装置では、各容器ごとに別個の回転機構が必要である。
【0008】
提供用容器の透明部を通じて異なる成分の螺旋状態様を与える製品は好まれたが、そのような製品の態様が非常に規則的に見え、それにより、工業製品の印象を与えてしまうのも分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した問題を扱う。特に、魅力的な複合乳製品を製造するための方法を提供することが目的である。
【0010】
回転ノズルまたはカップホルダの技術的な複雑さを回避して共充填するプロセスを提供することが目的である。
【0011】
本発明の更なる目的は、容器の透明部を横切る異なる粘性成分の目に見える製品態様を与える複合乳製品を提供することである。複合乳製品のための新たな態様が全体として得られることが好ましい。
【0012】
特に、容器の前記透明部を通じて螺旋、螺旋状または同様の視覚的印象を与える複合製品であって、粘性原料が見るからに層状だけでなく、好ましくは上昇する態様でかつ好ましくは複合製品の容器内で不連続な広がりの形態を成して与えられる複合製品を提供することが更なる目的である。
【0013】
また、異なる粘性原料を備える複合乳製品であって、1つの粘性原料を中断された広がりとして、好ましくは上方に曲がる広がりとして提供用容器の前記透明部を通じて見ることができる複合乳製品を提供することも目的である。
【0014】
一般に、回転ノズルまたはカップホルダの使用を回避しつつ異なる粘性原料の連続的な螺旋または螺旋状共充填を提供することが目的である。
【0015】
また、本発明の目的は、提供用容器の透明部を通じて少なくとも部分的に不規則なおよび/または不完全な製品態様を有する複合製品であって、例えば1つの成分が製品の下端から上端へと完全な螺旋を形成しない複合製品を提供することである。したがって、目的は、幾つかの製品がスーパーマーケットの棚に設けられ、前記製品が互いに僅かに異なって見える複合乳製品を提供することである。
【0016】
特に、あたかも人が粘性成分を伴うパイピングバッグを手で動かしたかのように、あたかも手作業で充填されたかのように見える複合製品の様々な原料の態様を提供することが目的である。
【0017】
前記目的は、複合乳製品を製造する方法を提供することによって、異なる粘性成分を容器に共充填するための装置によって、および、本明細書中に開示される乳製品によって扱われる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の発明者等は、アイスクリームを含む複合乳製品を与える方法であって、ノズルと容器との間で相対移動を行ないつつ、異なる粘性成分が容器に共充填され、前記相対移動が水平移動成分を備える方法を提供する。水平移動成分が円形および/または楕円形あるいは曲線を備える閉じられた移動である場合には、回転移動が存在しなくても螺旋型の充填が得られる。
【0019】
したがって、本発明は、第1の態様において、乳製品を製造するための方法、特に、容器に乳製品を連続的に充填するための方法において、
充填されるべき複数の容器からなる1つのラインを用意するステップと、
ノズルを用意するステップであって、前記ノズルが、少なくとも2つの異なる粘性成分を容器内に共充填できるようにするための少なくとも2つの開口を備える、ステップと、
ノズルの近傍に容器を案内するステップと、
少なくとも2つの異なる成分を前記ノズルの前記少なくとも2つの開口を通じて容器内へ共充填し、共充填中、容器とノズルと間で少なくとも1つの相対的な移動が行なわれるステップであって、前記少なくとも1つの相対移動が、
前記ノズルが前記容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、ノズルが容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる垂直移動成分と、
容器の軸線cに対するノズルの軸線zの相対位置が前記軸線のうちの少なくとも一方の変位によって変えられる動きによって得られる水平移動成分と、
を備えるステップと、
を備える方法を提供する。
【0020】
第2の態様において、本発明は、
充填されるべき複数の容器からなる複数列および複数のラインを用意するステップと、
並んで配置される複数のノズルからなる1つの列を用意するステップであって、各ノズルが、2つの異なる粘性成分を個々の容器内に共充填できるようにするための少なくとも2つの開口を備えるステップと、
前記並んで配置されるノズルの列の近傍に容器の列を案内するステップと、
少なくとも2つの異なる成分を各ノズルの前記少なくとも2つの開口を通じて列の対応の容器内へ共充填し、共充填中、各容器と対応のノズルと間で少なくとも1つの相対的な移動が行なわれるステップであって、前記少なくとも1つの相対移動が、
各ノズルが対応の容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、各ノズルがそれぞれの容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる垂直移動成分と、
対応の容器の軸線cに対する各ノズルの軸線zの相対位置が前記軸線のうちの少なくとも一方の変位によって変えられる動きによって得られる水平移動成分と、
を備えるステップと、
を備える方法を提供する。
【0021】
第3の態様において、本発明は、少なくとも第1および第2の粘性成分を備える複合乳製品であって、前記第1および第2の粘性成分が異なる色を有し、前記第1の粘性成分が粘性乳成分であり、前記第2の粘性成分が粘性乳成分および粘性非乳成分から選択され、前記複合乳製品が少なくとも1つの透明部を備える容器を備え、前記第2の粘性成分が容器の前記透明部でほぼ不連続な広がりとして見える複合乳製品を提供する。
【0022】
第4の態様において、本発明は、2つの食用粘性成分を容器に共充填して複合乳製品を形成するための装置であって、前記装置が少なくとも1つのノズルを備え、前記ノズルは、前記2つの粘性成分を前記ノズルを通じて前記容器内に同時に共充填するための少なくとも2つの開口を備え、前記装置は、充填されるべき複数の容器からなる1つのラインを前記ノズルの充填に関連付けて案内するための1つのラインを更に備え、前記装置は、前記2つの粘性成分の共充填中に容器とノズルとの間で少なくとも1つの相対移動を行なうようになっており、前記少なくとも1つの相対移動が、
前記ノズルが前記容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、ノズルが容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる垂直移動成分と、
容器の軸線に対するノズルの軸線zの相対位置が略平行な変位によって変えられる動きによって得られる水平移動成分と、
を備える、装置を提供する。
【0023】
更なる態様において、本発明は、本発明の方法のうちのいずれかによって得られる複合製品を提供する。
【0024】
本発明は前述した目的および問題を扱う。特に、複数の開口を有する共充填ノズルであって、固定態様で使用されるが垂直方向の移動に加えて2つの軸線x、yの平面内で移動するように構成される共充填ノズルを用いて、螺旋形態または螺旋状態様を伴う複合製品を得ることができることは驚くべきことである。本発明は、工業用充填機器および方法の実施並びにメンテナンスにおいて大きな簡略さを与える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る複合乳製品を示している。
【図2】上側からの本発明に係る工業用連続共充填装置を示す概略図である。
【図3】本発明に係る方法および装置における共充填に適するノズルを示している。
【図4】本発明にしたがった共充填中の提供用容器およびノズルの概略斜視図である。
【図5】本発明の方法および装置におけるノズルの水平移動成分を示すための概略平面図である。
【図6】本発明の方法および装置におけるノズルの水平移動成分を示すための概略平面図である。
【図7】同じ工業的方法によって製造される4つの複合乳製品のグループの写真である。同じ原料および同じ量を用いて生成される製品は全てが僅かに異なって見える。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は複合乳製品に関する。「複合乳製品」は、本発明の目的からして、少なくとも2つの異なる粘性成分を備える製品であり、前記粘性成分のうちの少なくとも1つが乳成分である。
【0027】
「粘性乳成分」は、本発明の目的からして、1つ以上のミルクおよび/または乳由来の原料および特に乳脂肪および/または乳タンパク質を実質的な原料として有する粘性の食用物質である。特に、「粘性乳成分」は、乳脂肪、カゼイン、および、乳漿タンパクから選択される1つ以上を備えることが好ましい。乳製品となるために、ミルクおよび/または乳由来の原料は、粘性乳成分の重量で少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%を与える。
【0028】
粘性乳成分は、発酵乳製品、例えばヨーグルトまたはフレッシュチーズであってもよい。粘性乳成分は、例えばフランベース、クリーム、ムースであってもよい。本発明の複合乳製品は、冷蔵乳製品、すなわち、例えば8℃以下、好ましくは6℃以下、例えば5℃または4℃以下の冷蔵温度で保存される製品であることが好ましい。無論、複合乳製品がアイスクリームである場合には、前記製品が0℃以下で保存される。これらの保存温度は、末端消費者によって商業的に得られる前の製品の保存に関連する。一般に、末端消費者は、製品を消費するまで同じ冷蔵状態下で、例えば冷蔵庫内で保存するように勧められる。
【0029】
粘性乳成分は、白色のあるいは白っぽい、ベージュ色のあるいは一般にきれいなおよび/または鮮やかな色を有してもよい。提供用容器の透明部を通じて気付くことができるのが好ましい白っぽい色は、ミルク、したがって乳製品を伴う複合製品のこの成分の連想を可能にする。また、白っぽい粘性成分の使用は、更なる粘性成分、例えば着色乳成分および/または着色非乳成分との明確なコントラストを可能にする。
【0030】
本発明との関連で使用される場合がある「粘性非乳成分」は、乳原料を何ら含んでいなくてもよく、あるいは、ミルクまたは乳由来の原料をほんの僅かな含有量まで含んでもよい。本発明の目的のため、非乳成分という用語は、例えばチョコレートまたはキャラメルソースのようなソース、および、果実含有原料、例えば果実のピューレ、フルーツコンポート、果肉、果実シロップ、フルーツ味の液体、半流動体、または、ゼリーを包含する。非乳成分は、存在する場合には、前述した原料のこれらの2つ以上の混合物を含むグループから選択されてもよい。一般に、非乳成分は着色され、その場合、色は、成分の性質との関連付けを可能にする。例えば、非乳成分は、茶色のチョコレートソース、赤色のイチゴまたはラズベリーのピューレ、黄色のアプリコットのピューレまたはシロップ煮などであってもよい。
【0031】
非乳成分、および、乳成分は、果実、チョコレート、ココナッツ、および/または、キャラメル片、ブロークンM&Mなどの個々の断片を備えてもよい。
【0032】
全ての成分の一般的な特徴は、それらが特定の粘度を有する必要があるという点であり、それが、これらの成分が本明細書中で「粘性成分」と称される理由である。粘性乳成分の場合、粘度は、8000〜100000cP、より好ましくは9000〜90000cP、更に好ましくは10000〜85000cP、最も好ましくは20000〜80000cPの範囲である。
【0033】
例えば、典型的な攪拌ヨーグルトは約40000の粘度を有し、濃厚バニラデザートクリームは約80000の粘度を有し、また、フレッシュチーズ生成品は約70000〜80000の粘度を有する。
【0034】
粘性非乳成分は、例えば、4000cP〜20000cP、好ましくは4500〜15000cP、より好ましくは4000〜10000cP、最も好ましくは4500〜8000cPの範囲の粘度を有してもよい。
【0035】
粘度は、8℃で、ブルックフィールド粘度計、スピンドル06(b)および5rpmを用いて決定される。サンプル成分の充填(粘度測定の目的のため、共充填ではない)後、成分は、粘度が決定される前に8℃で24時間にわたって保存される。
【0036】
1分間にわたってボストウィックにしたがって測定された20℃での乳ベースの粘稠度は、3〜9、好ましくは4〜7の範囲であってもよく、また、任意の非乳成分に関しては、5〜15、好ましくは9〜11である。
【0037】
したがって、複合製品は、2つ以上、例えば3つ、4つ、5つ、または、それ以上の粘性成分を備えるが、その場合、少なくとも2つは、場合により、それぞれが他とは異なる。一実施形態によれば、複合製品が2つの異なる粘性成分を備える。
【0038】
このように、本発明は、アイスクリームを含む多種多様な複合乳製品を包含する。例えば、複合乳製品は、2つの、例えば第1および第2の共充填された粘性成分を備えてもよく、これらの成分はいずれも乳成分であり、あるいは、一方が乳成分であり、他方が先に規定された非乳成分である。無論、複合乳製品は、3つ以上の共充填された成分、例えば、3つの乳成分、または、2つの乳成分と1つの非乳成分、または、1つの乳成分と2つの非乳成分とを備えてもよい。他の実施形態によれば、本発明の複合乳製品は、4つの共充填された成分、例えば、1つの乳成分と3つの非乳成分、2つの乳成分と3つの非乳成分、3つの乳成分と1つの非乳成分、または、4つの乳成分を有してもよい。無論、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上が共充填された複合乳製品が本発明にしたがって製造されてもよい。
【0039】
複合乳製品は、共充填ステップ前および/または後に共充填されずに例えば充填される、したがって本明細書中で具体的に詳述されない更なる成分を備えてもよい。そのような異なる成分は、乳成分または非乳性分であってもよい。そのような更なる成分は、粘性があることが求められないが、粘性があってもよい。更なる成分が例えば微粒子であってもよい。更なる成分の一例は、本発明の複合製品の上端に設けられる固形チョコレートの薄層である。
【0040】
本発明の複合乳製品は少なくとも2つの共充填される成分を備える。ここで、「共充填され」または「共充填する」は、共充填される成分の少なくとも一部、好ましくは少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%が一度に、すなわち、同時にポット内に充填されることを意味する。他の共充填されない成分は、本発明の複合製品の底部またはトッピング、例えば上端または下端のチョコレートソース層または例えばビスケット層を形成してもよい。以下で更に詳しく説明するような共充填を達成するために、共充填されるべき異なる成分のための別個のチャンネルおよび開口を有するノズルが使用されることが好ましい。
【0041】
複合製品はボトムアップ充填製品であることが好ましい。ボトムアップ充填の原理については以下で更に詳しく述べる。
【0042】
本発明の複合乳製品は、少なくとも1つの透明部を備える容器を備える。前記容器の透明部は、例えば、ガラスまたは透明プラスチックの部分を有する容器を使用することによって得られてもよい。透明部は、容器の側壁に配置されるのが好ましいが、無論、底壁部および/または蓋に設けられてもよい。透明部は、乳製品の目視検査、特に複合製品の異なる成分のうちの少なくとも2つ、しかし適用可能であれば3つ以上の目視検査を行なえるように十分大きいことが好ましい。
【0043】
本発明は、容器の形状に関して限定されない。容器は、例えば、切り石積み形状、立方体形状、円筒形状、または、僅かに円錐形の形状を有していてもよい。容器は、例えば、円錐台の形状を有していてもよい。容器は蓋を上端に備えることが好ましく、蓋は、透明であってもよいが、透明である必要はなく、一般的には透明でない。透明部は、容器の側面および/または側壁に配置されるのが好ましい。このようにすると、消費者は、棚に容器が上下に積み重ねられるときに製品成分を見ることができる。無論、幾つかの透明部、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、または、それ以上の透明部が設けられてもよい。一実施形態によれば、容器は、蓋を含む透明なガラスまたはプラスチック容器から形成されてもよく、容器の側面は、消費者に対する情報伝達、例えば写真、図、および/または、製品情報を含む製品ラベルによって部分的にのみ覆われる。
【0044】
図1には、本発明の複合乳製品の一例が例示目的で示されている。図1において、参照符号1および1’は2つの複合乳製品を示しており、それぞれは、透明プラスチックポット2、2’内に設けられてアルミニウム蓋3、3’で密封される。2つの複合乳製品は、同一の原料および成分を有するとともに、同一の容器内に設けられており、これが、本明細書中で両方の複合製品1、1’について言及するときにも単数形が使用される理由である。プラスチックポット2、2’は、透明であり、したがって乳製品の複合内容物を消費者に気付かせる。特に、第1の成分5、5’を各容器の側面で見ることができる。その白色に起因して、消費者は、成分5、5’を乳成分であると認めることができる。また、成分5、5’が全ての成分のうちで最も多い成分であることも分かる。大雑把な推定から、消費者は、乳成分が容器の充填体積の50%以上を占めていると言うであろう。
【0045】
第2の成分6、6’は、2つの複合乳製品1、1’の容器の透明壁を通して見ることができる。第2の成分6、6’は、第1の成分5、5’とは異なる色を有しており、したがって、第1の成分とは光学的に対照をなす実体を形成する。第2の成分は、着色されており、すなわち、黄色を有している。黄色から、消費者は、第2の成分が果実成分、例えばアプリコットのピューレまたはアプリコットのシロップ煮であると言うことができる。したがって、図1に示される例では、第2の成分6、6’が非乳成分である。
【0046】
第2の成分は、2つの製品1、1’のそれぞれに関して参照符号6.1、6.2、6.3および6.1’、6.2’、6.3’で示される複数の不連続な広がりとして容器の透明部の表面上に現れるおよび/または前記表面上で見られる。本発明は1つだけの不連続な広がりを備える複合乳製品も包含するが、図1に示される実施形態は複数のそのような不連続な広がりを示している。
【0047】
また、第2の成分の広がりが不規則であることも明らかである。特に、異なる広がり6.1〜6.3および6.1’〜6.3’は全てが容器の表面の透明部に異なる輪郭を有する。また、容器の透明な表面上の各広がりの輪郭は不規則でそれ自体断続的である。広がりは、標準的な幾何学的形状に容易に帰することができない。このため、製品は、全体として、工業的に製造されているという印象を与えず、あたかも菓子職人が粘性成分を伴うパイピングバッグを手で動かしたかのように、菓子職人が手作業で成分を充填したと人が思う可能性がある。一部の消費者は、多くの従来技術の複合乳製品を非常に工業的であると見なすため、透明壁部の外面上の成分の1つ以上の不規則なおよび/または断続的な外観は利点であると考えられる。
【0048】
表現「ほぼ不連続」は、個々の広がりが、透明容器の表面上で見るときに互いに接触している、例えば互いに僅かに接触する、すなわち、他の成分、例えば第1の成分によって完全に分離されない状況を排除しない。広がり同士の間の接触は、広がりが不規則であるという事実に起因する。例えば、図1では、製品1’の広がり6.1’および6.2’が互いに接触しあるいはほぼ接触しているのが分かる。同様に、図1の複合乳製品1の広がり6.1および6.2が、透明容器1の表面上のあるポイントでのみ、他の成分すなわち乳成分の非常に薄い距離間隔だけ分離される。他の別個の広がりの不規則な形状の接触によって形成される連続性も、用語「不連続な広がり」および「ほぼ不連続な広がり」の範囲内に包含される。したがって、不連続な広がりは、1つ以上の他の成分内、例えば任意の他の成分よりも多い量を与える主成分内のそれぞれの成分の個々のポケットとして消費者に見なされるときに考慮される広がりである。本発明の目的における「不連続な広がり」は、透明容器の表面上の不連続な広がりの外周の30%未満、20%未満、好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満で他の隣接する不連続な広がりと接触することが好ましい。
【0049】
広がり6.1〜6.3および6.1’〜6.3’は、透明容器2、2’の表面上に不規則な輪郭を有するが、傾いているように見える。各広がりを左から右へ向かって見ると、上向き方向を認識できる。言い換えると、広がりは水平に配置されていない。図1では、製品1の広がり6.2を完全に見ることができ、また、広がりの左端によって構成される開始点8および広がり6.2の右端によって構成される右端点9を確認することができる。開始点および端点8、9はそれぞれ、水平にオフセットされるだけでなく、端点9が容器の底から開始点8よりも高い位置にあるという点で垂直にも変位される。透明容器の表面で見える広がりの方向性は、螺旋状の充填方法の結果である。このため、図1に示される複合乳製品は、螺旋充填された複合製品、または、螺旋または螺旋状タイプに属する製品と見なされる。
【0050】
一実施形態によれば、少なくとも1つの、しかしながら好ましくは2つ以上の、例えば全ての共充填された粘性成分が、容器の下端から上端へとほぼ延びる。例えば、第1および第2の共充填成分は、好ましくは前述した螺旋状の態様で、容器の下端から上端まで一緒に延びる。
【0051】
本発明の複合乳製品は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の不連続な広がりを容器の表面上に含んでもよい。複合乳製品は、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの、更に好ましくは少なくとも4つの不連続な広がりを有することが好ましい。これらの広がりの一部または全てが透明容器の表面上で見えることが好ましい。例えば、不連続な広がりの一部、および、適用可能な場合には、連続な主成分が、容器の透明部で見える。
【0052】
また、本発明の一実施形態によれば、本発明の複合乳製品は、前記複数の不連続な広がりのうちの2つ、好ましくは少なくとも3つ、例えば、2、3、4、5、6つあるいはそれ以上が上下に配置される。図1では、広がり6.1〜6.3および6.1’〜6.3’が、略平行に垂直に変位される態様で、略垂直に上下にある。
【0053】
他の実施形態によれば、2つ以上のほぼ不連続な広がりから成る2つのグループが、壁の反対側で、容器の透明な表面上に配置される。図1では、透明容器の一方側で見える上下に垂直に配置される不連続な広がり6.1〜6.3および6.1’〜6.3’の各グループごとに容器の反対側に更なるグループが存在することを直接に認識できる。しかしながら、図1の複合乳製品1’は、製品1に対してある程度回転されており、その結果、透明容器2’の表面の左側へ向かって、広がり6.1’〜6.3’の側と反対の側の広がりの端点(例えば、端点9’)を見ることができる。
【0054】
他の実施形態によれば、1つ、2つあるいはそれ以上の不連続な広がりから成るグループは、容器の中心垂直軸線に対して120°の角度で配置され、それにより、容器の透明な表面上に、3つの対称軸線を有する成分の回転対称態様がもたらされる。4つ、5つあるいはそれ以上の対称軸線を有する回転対称も本発明によって包含される。無論、ここで言及される対称性は、容器の透明部の表面上の異なる成分の不規則で断続的な態様に起因して完全ではない。なお、それぞれの対称性は例えば当業者によって認識できる。
【0055】
本発明の複合製品の一実施形態によれば、前記少なくとも2つの粘性成分が異なる色を有し、前記容器が少なくとも1つの透明壁部を有し、共充填の前記ステップにおいて、前記少なくとも2つの粘性成分は、前記2つの粘性成分のうちの少なくとも一方が、前記透明壁部で、少なくとも1つの他の粘性成分によって少なくとも部分的に取り囲まれる前記粘性成分の中断された広がりとして見えるように共充填される。したがって、少なくとも1つの成分、例えば第2の成分および/または例えば非乳成分が不連続な中断された広がりとして見える場合があるが、実際には前記成分は連続的に充填され、その連続性が透明容器を通じて見えない。この効果は充填中のノズルの移動によって得られてもよく、前記移動は水平移動成分を有する。前述したような製品態様を得るために必要な動作の更なる詳細は、複合乳製品を生成しおよび/または共充填する方法に関連して以下で更に与えられる。
【0056】
本発明の複合乳製品は、本発明の複合乳製品を生成する方法によっておよび/または容器に乳製品を連続的に充填する方法によって得ることができる。容器を連続的に充填する方法は、充填ステーションまたは充填装置により自動プロセスで充填が達成される工業的方法であることが好ましい。充填ステーションは、所定の態様で充填を行なうようにプログラミングできるおよび/プログラミングされることが好ましい。
【0057】
本方法は、充填されるべき複数の容器からなる1つのラインを用意するステップを備える。図2は製造ラインを概略的に示しており、この場合、参照符号21−26は充填されるべき容器のラインに関連する。各ライン21〜26では、容器27が矢印40により示される方向で一方を他方の後(または前)にしてホルダ28により安定化されて移送される。
【0058】
一実施形態によれば、製造ラインは容器の複数のレーンを備える。図2では、例えば、6つのそのようレーン21〜26が設けられる。このようにして、列30が形成され、それぞれの列は、容器のレーンの並んで配置される容器を備える。1つの列の全ての容器は一般に一緒に移送される。したがって、それらの容器は一般に充填ステーション33に対して同じ相対位置にある。容器の列は、一般に列の方向に対して略垂直な方向(矢印40)で移送され、一方、移送方向は容器のレーンの方向と一致する。製造ラインは、1〜24のレーン、すなわち、例えば容器を保持して移送するための並列配置される1〜24のホルダを備えてもよく、このことは1〜24のカップホルダの列を意味する。例えば、製造ラインは、2〜20、4〜16、6〜12の移送レーンを備えてもよい。一般に、製造ラインは偶数のレーンを含む。
【0059】
レーンの数は、1つの列におけるホルダおよび/または容器の数に対応する。一般に、1〜5、好ましくは1〜4の容器、例えば2つの連続する列が全て同時に充填される。それらは一般に製造プロセスにおける同じポイントにある。したがって、製造ラインのレーンの数はノズルの数にも対応する。
【0060】
本発明の方法はノズルを設けるステップであって、前記ノズルが、少なくとも2つの異なる粘性成分を容器内に共充填できるようにするための少なくとも2つの開口を備えるステップを与える。共充填用の典型的なノズルが例示目的で図3に示されている。ノズルは少なくとも2つの入口開口および出口開口を有する。図3に示される実施形態において、ノズル50は長手方向断面図で示されており、それにより、3つの入口開口51、52、53を上端に示している。これらの入口開口のうちの1つは、中心位置を有する主入口開口51であり、また、2つの副入口開口52、53は、ノズル50の上端に横方向に配置される。入口51〜53は、ノズルの内側で略垂直なチャンネル55〜57として続いており、出口開口61〜63に通じている。図示のように、中心チャンネル55および開口61は、2つの側部チャンネルおよび側部開口のそれぞれのいずれかよりも大きく、一般に、同じ流速で移動しているときに粘性成分の多くを容器内に注入できる。図3のノズル50は、少なくとも2つ、しかしながら場合により3つの異なる粘性成分を3つの別個のチャンネルおよび開口を通じて容器内へ共充填するのに適するノズルの一例である。
【0061】
本発明は、ノズルの充填に関連付けて容器を案内するおよび/または容器を容器に近接させて案内するステップを更に備える。一般に、容器は、ノズルの下側で垂直に案内される。また、ノズル自体は一般に略垂直に方向付けられる。このようにして、強制的な製品流れにより、例えばピストンポンプシステムの助けにより、例えばサーボドライブ動作を用いて、ノズルの開口を通じて粘性成分が押圧されると、粘性成分が一般に重力によって容器内へ案内される。
【0062】
図4には、充填プロセス中のノズル70および容器2が一例として概略的に示されており、この場合、ノズルは容器の上側に垂直に配置されている。図4のノズル70は、前記ノズル70が2つの異なる粘性成分のための2つの入口71、72だけを有するが3つの出口開口81〜83も有するという点において図3のノズル50と異なっている。実際には、入口72が1つの分岐チャンネルに通じており、その場合、2つの分岐のそれぞれが開口82、82に至るまで垂直に案内する。図3のノズル50と同様に、ノズル70は、中心開口81に対して横方向に対向する位置に位置付けられる2つの側部開口82、83を有する。
【0063】
図4において、クリアな白っぽい色を有する成分は、ノズル70の中心開口81を通じて注入される粘性乳成分5であり、また、第2の成分6は、2つの側部開口82、83を通じて容器内に注入される着色乳成分または非乳成分、例えば果実ベースを示す暗い色を有する。
【0064】
本発明の方法は、少なくとも2つの異なる成分を前記ノズルの前記少なくとも2つの開口を通じて容器内へ共充填し、共充填中、容器とノズルと間で少なくとも1つの相対的な移動が行なわれるステップを備える。共充填のステップが図4に示されており、この場合、第1の成分5および第2の成分6が容器2内に共充填される。この典型的な実施形態では、第1の成分が中心開口81を通じて注入され、一方、第2の成分6が2つの側部開口82、83を通じて注入される。共充填中、すなわち、同時に充填する間、容器とノズルとの間で少なくとも1つの相対的な移動が行なわれる。
【0065】
これらの相対移動の性質については以下で更に説明する。しかしながら、その前に、容器を動かさないように保ちつつノズルを移動させることにより、あるいは、容器を移動させて容器を動かさないようにすることにより、あるいは、容器およびノズルの両方を移動させることにより相対移動が引き起こされてもよいことに留意する。相対移動は、3次元空間内で見たときに少なくとも2つの移動成分を有するため、特に、1つの移動を容器によって行なわせ、他の移動をノズルの移動によって行なわせることができる。
【0066】
したがって、相対移動が垂直移動成分を有し、前記垂直移動成分は、前記ノズルが前記容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、ノズルが容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる。この移動成分は、前述したように乳製品における粘性成分の典型的なボトムアップ充填に関連する。それは、ノズルを上昇させることにより、または、充填中に容器を下降させることにより、または、両方を行なうことにより達成できる。図4では、垂直移動成分を垂直軸線zに対する動きとして見ることができ、軸線zはノズル70の長手方向軸線である。この移動成分は直線移動であってもよく、そのため、移動は、垂直面へ投影される場合、垂直方向のみが考慮されるときに一定の速度を有する。無論、充填装置が非直線的な垂直速度を適用するようにプログラミングされてもよいことも想定し得る。
【0067】
本発明の方法にしたがったノズルと容器との間の少なくとも1つの相対移動は水平移動成分も有し、前記水平移動成分は、容器に対するノズルの相対位置がノズルおよび/または容器の変位によって変えられる動きによって得られる。
【0068】
容器の軸線cに対するノズルの軸線zの相対位置は、ノズルの変位によって変えられることが好ましい。
【0069】
容器に対するノズルの相対位置がノズルおよび/または、容器の略平行な変位によって変えられることが好ましい。
【0070】
更に好ましくは、容器の軸線cに対するノズルの軸線zの相対位置は、ノズルの軸線zおよび/または容器の軸線cの略平行な変位によって変えられる。好ましくは、ノズルの位置は、更に以下で規定される垂直な軸線x、yによって規定される水平面内で変えられる。
【0071】
すなわち、共充填中に容器に対するノズルの移動が存在し、ノズルの位置が全体として容器に対して全体として水平方向に移動する。
【0072】
この種の移動を、ノズルまたは容器がそれらの中心軸線周りに回転するノズルのあるいは容器の回転移動から区別することは重要である。本発明はそのような回転移動に関係しないことが好ましい。これは、従来技術から知られているそのような回転移動が本発明の範囲から排除されることを意味せず、本発明者等が特にここで説明する移動が回転移動でないことを意味するにすぎない。また、ここで言及される水平移動は、共充填ノズルにおいて達成するのが回転移動よりも技術的に容易な、すなわち、複雑でない相対的な単純な変位移動であることに留意することも重要である。本発明の好ましい実施形態によれば、ノズルは、それ自体の軸線を中心して回転移動を行なうことができない。
【0073】
本発明に係る水平移動成分は、充填されるべき容器に対するノズルの前方移動、後方移動、および、側方移動から選択される少なくとも1つの移動成分を有する移動である。前方は、本発明の目的のため、充填されるべき容器の製造ラインでの前進方向に関連し、図2に矢印40によって示される。後方は反対方向であり、側方は、前方に対して右または左への移動である。水平移動成分は、側方、前方、および、後方の相対移動の組み合わせであることが好ましい。
【0074】
水平移動成分は水平面上で成される移動である。図4には、垂直な軸線x、yを伴う水平面が示されている。水平移動成分は、移動物体、すなわち、ノズルまたは容器のx値および/またはy値を変化させる移動である。図4では、軸線zがx、y、z座標系の垂直軸線であり、zは、図4の実施形態に示されるように、ノズルの垂直軸線に一致する(同軸線である)。以下では、軸線zは、ノズルの軸線であると見なされ、したがって、軸線x、yが空間内で固定されたままであると仮定すると、x、y座標の値が変化するように移動できる(および/または、容器を移動させることができる)。
【0075】
水平移動成分に関しては、ノズルの軸線zまたは容器の軸線cを基準点として使用できる。x、y平面において、これらの軸線は点として現れる(以下の図5および図6参照)。したがって、共充填中、ノズルの軸線zの位置または容器の軸線cの位置のいずれかがx、y座標系において変化する。また、両方の位置が変化するが、ある意味、軸線zおよび軸線c(点z、c)の相対位置が不変のままでないことも想定し得る。相対位置は変化しなければならない。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、前記水平移動成分は、好ましくは前記軸線zに対して垂直な水平面x、yへ投影されるときに、少なくとも1つの曲線を描く。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、前記水平移動成分は、好ましくは前記軸線zに対して垂直な水平面x、yへ投影されるときに、閉じられた形状、例えば円形状および/または「8」の形状を描く。例えば、水平面へ投影されると、前記閉じられた形状が円形または楕円である。
【0078】
本発明の更なる実施形態によれば、前記軸線zの前記平行な変位による前記ノズルの前記移動は、前記軸線zに対して垂直な平面x、yへ投影されるときに、共充填のステップ中にノズルが前記容器の側壁の近傍で前記容器の前記側壁から離れるように繰り返し移動されるようになっている。
【0079】
容器とノズルとの間の水平移動成分は水平面内で最も良く示すことができる。この場合、yおよびxが前記水平面の2つの軸線である。図5および図6は、図4に示される座標系の位置z=0で作られる断面である。したがって、図5および図6はノズル70の断面を示している。この場合、出口開口81〜83および容器2が上から見える。これらの断面では、ノズルの中心長手方向軸線(軸線z)および容器の中心長手方向軸線(軸線c)が点z、cとしてそれぞれ現れる。充填中、これらの軸線間の相対位置が変化する。
【0080】
図5には、乳成分5および非乳成分6が示されており、非乳成分は、乳成分5内に湾曲した広がり6として現れている。図示のように、非乳成分は、容器側壁の近傍の部分(広がり)を有しており、それから内側に湾曲状に移動して、容器の中心へと向かい、ノズルの移動に従う。
【0081】
図6では、粘性成分が省かれるが、矢印は、容器に対するノズルの移動を示している。図示のように、ノズルは、楕円の平面x、yで見たときに閉じられた移動形態で移動する。
【0082】
ノズルと容器との間の相対移動の水平移動成分中、ノズルは、容器の第1の側の壁に近づいており、その後、前記壁から離れて容器の第2の側の壁へ向けて移動することが好ましい。無論、容器の2つ、3つ、4つあるいはそれ以上の側で移動を行なうことができ、その場合、ノズルは、壁に近づいて移動するとともに壁から離れて移動し、それにより、一方側と他方側との間で移動する。容器内での壁へ向かいかつ壁から離れる移動は、透明容器の外表面上で見たときに、成分のうちの1つ、例えば第2の成分の不連続な広がりをもたらす。ボトムアップ充填プロセスの垂直な相対移動と組み合わせて、これは、前述した螺旋または螺旋状の態様を与える。
【0083】
したがって、本発明の方法の一実施形態では、前記少なくとも2つの粘性成分が異なる色を有し、前記容器が少なくとも1つの透明壁部を有し、共充填の前記ステップにおいて、前記少なくとも2つの粘性成分は、前記2つの粘性成分のうちの少なくとも一方が、前記透明壁部で、少なくとも1つの他の粘性成分によって少なくとも部分的に取り囲まれる前記粘性成分の中断された広がりとして見えるように共充填される。
【0084】
本発明の方法を行なうための装置が図2に概略的に示されている。装置は、好ましくは、複数のn個の並んで配置されるノズルを備え、nが2または2よりも大きい整数であり、前記装置は、前記ノズルの充填に関連付けて容器の列を保持するための並んで配置されるホルダを更に備える。装置にとって有用なノズルが図2および図3に示されている。図2に示される装置では、6個の並んで配置されるノズルが設けられ、これらのノズルは、図2の上下の図では、前記ノズルが取り外し可能に固定される接続構造4によって隠されているため、更に詳しく見えない。実際には、接続構造4は12個のノズルを支持しており、それにより、6個のノズルから成る2つの列が接続構造4の下側に前後に設けられる。
【0085】
一実施形態によれば、本発明に係る装置は、1つの中心開口と少なくとも2つの側部開口とを備え、前記第1の成分が前記中心開口を通じて容器に充填され、前記第2の成分が前記側部開口のうちの前記少なくとも一方を通じて共充填される。
【0086】
一実施形態によれば、本発明の装置は、前記ノズルが取り付けられる接続構造を備え、前記接続構造は、各ノズルの前記軸線zを平行に変位させることにより前記水平移動成分を果たす。これも図2に示されており、この場合、軸線x、yは先と同じ意味を有し、また、接続構造が全体として平面x、y内で移動され、それにより、ノズルの垂直軸線zが変位される。無論、列31、32の容器を水平面x、y内で変位させて、同じ結果をもってノズルを固定したままにすることもできる。
【0087】
本装置の一実施形態によれば、共充填中にノズルにより充填されるそれぞれの容器に対するノズルの全ての移動が、前記接続構造の対応する移動によって仲介される。すなわち、容器の移動ではなくノズルの移動によって引き起こされる全ての移動が接続構造の移動によって与えられ、したがって、全てのノズルが同時に、好ましくは対応する相対移動に同期して移動される。
【0088】
本発明の装置の一実施形態によれば、前記ノズルは、前記装置の動作中に前記接続構造に強固に接続される。
【0089】
一実施形態によれば、本発明の装置は、モータ、例えば、水平移動成分である前記ノズルの全ての平行な変位動作を調整する単一のモータを備える。
【0090】
一実施形態によれば、前記水平移動成分は、偏心器に接続されるモータによって得られる。例えば、この場合、偏心器は、前述した図2の接続構造4としての接続構造に接続される。同じモータまたは他のモータを、前述した第1の偏心器の軸線に対して90°の角度で配置される軸線を有する更なる偏心器に対して接続できる。2つの偏心器を使用することにより、ノズルの円形移動、または、適用可能な場合には、接続構造の円形移動が得られ、それにより、複数のノズルを列を成して移動させてもよい。
【0091】
一実施形態によれば、ノズルが1つの中心開口と少なくとも2つの側部開口とを備え、第1の粘性成分を前記中心開口を通じて充填することができ、第2の粘性成分を前記ノズルの前記側部開口を通じて充填することができる。
【0092】
前述した充填装置は、技術が相対的に容易である一方で、複合乳製品において異なる粘性成分の螺旋または螺旋状配置が得られるという利点を有する。これは、製品衛生、メンテナンス労力の軽減、故障に起因する中断が少ないことによる良好な充填効率等と関連する更なる利点を伴う。また、驚くべきことに、4つの異なる製品が並列されてそれらの全てが不規則な異なる形状の不連続な広がりを伴って透明容器を異なって横切っている図7から分かるように、非工業的に見える製品態様が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に乳製品を連続的に充填するための方法であって、
充填されるべき複数の容器からなる1つのラインを用意するステップと、
ノズルを用意するステップであり、前記ノズルが、少なくとも2つの異なる粘性成分を前記容器内に共充填できるようにするための少なくとも2つの開口を備える、ステップと、
前記ノズルの近傍に前記容器を案内するステップと、
少なくとも2つの異なる成分を前記ノズルの前記少なくとも2つの開口を通じて前記容器内に共充填し、共充填中、前記容器と前記ノズルとの間で少なくとも1つの相対的な移動が行なわれるステップであり、前記少なくとも1つの相対移動が、
前記ノズルが前記容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、前記ノズルが前記容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる垂直移動成分と、
前記容器の軸線cに対する前記ノズルの軸線zの相対位置が前記軸線のうちの少なくとも一方の変位によって変えられる動きによって得られる水平移動成分と
を備えるステップと、
を備える方法。
【請求項2】
充填されるべき複数の容器からなる複数の列および複数のラインを用意するステップと、
並んで配置されるノズルからなる1つの列を用意するステップであり、前記ノズルの各々が、2つの異なる粘性成分を個々の容器内に共充填できるようにするための少なくとも2つの開口を備える、ステップと、
前記並んで配置されるノズルの列の近傍に1列の前記容器を案内するステップと、
少なくとも2つの異なる粘性成分を各ノズルの前記少なくとも2つの開口を通じて、1列の各容器内に共充填し、共充填中、各容器と対応のノズルと間で少なくとも1つの相対的な移動が行なわれるステップであり、前記少なくとも1つの相対移動が、
各ノズルが対応の容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、各ノズルが対応の容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる垂直移動成分と、
各ノズルの軸線zの相対位置が前記対応の容器それぞれの軸線cに対して、前記軸線のうちの少なくとも一方の変位によって変えられる動きによって得られる水平移動成分と
を備えるステップと、
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
共充填中の前記水平移動成分が、前方移動成分、後方移動成分、側方移動成分、および、前記2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記水平移動成分が、好ましくは前記軸線zに対して垂直な水平面x、yへ投影されるときに、前記平面x、zでの少なくとも1つの方向の移動である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水平移動成分が、好ましくは前記軸線zに対して垂直な水平面x、yへ投影されるときに、少なくとも1つの曲線を描く、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記水平移動成分が、好ましくは前記軸線zに対して垂直な水平面x、yへ投影されるときに、閉じられた形状、特に円または楕円を描く、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記軸線zの前記平行な変位による前記ノズルの前記移動が、前記軸線zに対して垂直な平面x、yへ投影されるときに、共充填のステップ中に前記ノズルが前記容器の側壁の近傍で前記容器の前記側壁から離れるように繰り返し移動されるようになっている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つの粘性成分が異なる色を有し、前記容器が少なくとも1つの透明壁部を有し、共充填の前記ステップにおいて、前記少なくとも2つの粘性成分が、前記2つの粘性成分のうちの少なくとも一方が、前記透明壁部で、少なくとも1つの他の粘性成分によって少なくとも部分的に取り囲まれる前記粘性成分の中断された広がりとして見えるように共充填される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つの粘性成分が、1つの粘性乳成分と、1つの粘性非乳成分とを備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ノズルが、3つの開口、すなわち、粘性乳成分を容器内に共充填するための中心開口と、粘性非乳成分を前記容器内に共充填するための2つの側部開口とを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも第1の粘性成分および第2の粘性成分を備える複合乳製品であって、前記第1の粘性成分および前記第2の粘性成分が異なる色を有し、前記第1の粘性成分が粘性乳成分であり、前記第2の粘性成分が粘性乳成分および粘性非乳成分から選択され、前記複合乳製品が少なくとも1つの透明部を備える容器を備え、前記第2の粘性成分が前記容器の前記透明部でほぼ不連続な広がりとして見える、複合乳製品。
【請求項12】
前記第2の粘性成分が前記容器の前記透明部で複数のほぼ不連続な広がりとして見え、前記複数の不連続な広がりのうちの少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つが上下に配置される、請求項11に記載の複合乳製品。
【請求項13】
前記第2の粘性成分の2つ以上のほぼ不連続な広がりから成る2つのグループが前記容器の壁の両側に配置される、請求項11または12に記載の複合乳製品。
【請求項14】
前記容器の透明部で見える前記不連続な広がりが前記透明部に不規則な形態を有する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の複合乳製品。
【請求項15】
前記第2の粘性成分が、容器の中心寄り位置から前記容器の側壁へ向けて延びるとともに再び前記中心寄り位置へ向けて延びる前記成分の少なくとも1つの連続する広がりとして前記容器に設けられ、それにより、前記容器の前記可視透明部に、前記ほぼ不連続な広がりが形成される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の複合乳製品。
【請求項16】
前記第2の粘性成分が、前記第1の粘性成分と共に、前記容器の下端から上端へと実質的に延びている、請求項15に記載の複合乳製品。
【請求項17】
2つの食用粘性成分を容器に共充填して複合乳製品を提供するための装置であって、
当該装置が少なくとも1つのノズルを備え、
前記ノズルが、前記2つの粘性成分を前記ノズルを通じて前記容器内に同時に共充填するための少なくとも2つの開口を備え、
当該装置が、充填されるべき複数の容器からなる1つのラインを前記ノズルの充填に関連付けて案内するための1つのラインを更に備え、
当該装置が、前記2つの粘性成分の共充填中に前記容器と前記ノズルとの間で少なくとも1つの相対移動を行なうよう配置されており、前記少なくとも1つの相対移動が、
前記ノズルが前記容器の底に対してより近い位置にある第1の位置から始まって、前記ノズルが前記容器の底よりも上側に更に離れた位置にある第2の位置で終わる動きによって得られる垂直移動成分と、
前記容器の軸線に対するノズルの軸線zの相対位置が略平行な変位によって変えられる動きによって得られる水平移動成分と、
を備える、装置。
【請求項18】
n個の並んで配置されるノズルを備え、nが2または2よりも大きい整数であり、当該装置が、前記ノズルの充填に関連付けて複数の容器からなる1つの列を保持するための並んで配置されるホルダを更に備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ノズルが取り付けられる接続構造を備え、前記接続構造が、各ノズルの前記軸線zを平行に変位させることにより前記水平移動成分をもたらす、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
共充填中に前記ノズルにより充填される対応の容器に対するノズルの全ての移動が、前記接続構造の対応する移動によって仲介される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ノズルが、当該装置の動作中に前記接続構造に強固に接続される、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
前記ノズルの全ての平行な変位動作を調整する単一のモータを備える、請求項17〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記ノズルが1つの中心開口と少なくとも2つの側部開口とを備え、第1の粘性成分を前記中心開口を通じて充填することができ、第2の粘性成分を前記ノズルの前記側部開口を通じて充填することができる、請求項17〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記軸線のうちの少なくとも1つの前記変位が前記軸線の平行変位である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−504945(P2012−504945A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530457(P2011−530457)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062645
【国際公開番号】WO2010/043497
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】