説明

乾式クリーニング筐体、乾式クリーニング装置、洗浄媒体回収方法、洗浄媒体供給方法、洗浄媒体回収用カートリッジ及び洗浄媒体供給用カートリッジ

【課題】筐体内における使用済みの洗浄媒体を容易且つ速やかに回収でき、また、洗浄媒体を筐体内に容易且つ速やかに供給できて、洗浄作業の容易化及び効率化に寄与できるとともに洗浄媒体の管理の容易化にも寄与できる洗浄装置を提供する。
【解決手段】筐体4内周面における、負圧によって生じる旋回空気流30による遠心力が作用する部位に洗浄媒体回収口36が設けられ、洗浄媒体回収口36に洗浄媒体収容部38が接続されている。洗浄終了後に開口部18を洗浄対象物20から離さずに、インレット24からの気流により旋回空気流30が生じている状態でボール弁40を開くと、洗浄媒体5は旋回空気流30の遠心力で洗浄媒体回収口36に押し込まれ、回収される。回収が終了したらボール弁40を閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に接触させて洗浄する乾式クリーニング装置に関し、詳しくは、洗浄対象物の任意の部位に当てて洗浄することが可能で特にハンディタイプとして好適な乾式クリーニング装置及び該乾式クリーニング装置に用いられる乾式クリーニング筐体、該乾式クリーニング装置における洗浄媒体回収方法及び洗浄媒体供給方法、並びに洗浄媒体回収用カートリッジ及び洗浄媒体供給用カートリッジに関する。
本発明は、例えば、フローはんだ槽工程で用いられる、ディップパレットもしくはキャリアパレットと呼称されるマスク治具に付着したフラックスを除去するのに用いられ、特に洗浄対象物の側面や開口部の周辺など、狭い領域に固着したフラックスを除去することに適している。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板製造におけるフローはんだ槽によるはんだ付け工程において、はんだ付け処理する領域以外をマスクする治具が多く用いられている。このようなマスク治具(ディップパレット、キャリアパレットと呼ばれる)は、繰り返し使用されるうちに、表面にフラックスが堆積して固着しマスクの精度を下げるために、定期的に洗浄する必要があった。
一般的には、このような洗浄は溶剤に浸漬して行うため、大量の溶剤を消費しており、コストアップを避けられず、作業者への負荷も極めて大きい。
浸漬せずに装置内で溶剤を洗浄対象物に噴射する方式も知られているが、溶剤を大量に使用するという点に変わりはない。
【0003】
この問題を解消する技術として、飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に接触させて洗浄する乾式の洗浄装置が知られている。
特許文献1、2には、円筒形の容器の側面に開口部を設け、容器内で圧縮気流の旋回空気流により円周方向に洗浄媒体を飛翔させ、開口部に接した洗浄対象物に洗浄媒体を衝突させる洗浄方法が開示されている。
しかしながらこの方式では、圧縮気流で旋回空気流を形成しているため、開口部から洗浄対象物が離された際に、洗浄媒体が容器外部に漏出するという問題を避けられない。
この問題を解消すべく、特許文献1では開口部に網部材を設けて漏出を防いでいるが、洗浄媒体が洗浄対象物に衝突する際のエネルギーが低下したり、網部材に洗浄媒体が挟まって洗浄能力が低下するなどの新たな問題を抱えている。
特許文献2では、開口部を塞ぐ開閉蓋を設けて漏出を防ぐようにしているが、開口部から洗浄対象物が離された際に開閉蓋を素早く移動させて塞ぐ必要があり、作業者に余計な注意力や労力を強いるとともに、機構的に複雑で操作が難しく、故障しやすいという問題があった。
【0004】
このような状況に鑑み、本出願人は、筐体に吸気手段を接続し、開口部が洗浄対象物で塞がれた状態で通気路を介して筐体外部からから内部へ流入する気流により発生する旋回空気流によって薄片状の洗浄媒体を飛翔させるとともに、筐体内に気体や粉塵の通過を許容し且つ洗浄媒体の通過を不可とする、例えば網目状の多孔手段を設けて旋回空気流形成領域で洗浄媒体が留まるようにし、旋回空気流によって洗浄媒体の循環飛翔が継続する乾式クリーニング装置を提案した(特願2010−175687号)。
この乾式クリーニング装置によれば、開口部から洗浄対象物が離されても、通気路が大気圧と同レベルとなって旋回空気流が消失するとともに、吸気による負圧で開口部から外気が筐体内に多く流入するため、筐体内の洗浄媒体は多孔手段に吸着された状態となって筐体内に留まり、開口部からは漏れない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記本出願人による先願技術では、吸気手段による吸引を止めて開口部を下に向けると、多孔手段での吸着状態から開放された洗浄媒体が重力により漏れるため、不用意に吸引スイッチをオフにすることができなかった。
使用済みの洗浄媒体を回収もしくは廃棄する場合、吸引オフの状態で開口部から落下させる必要があるが、洗浄媒体が薄片状の場合、速やかに排出させることは容易ではない。
また、筐体内に未使用あるいは再使用可能な洗浄媒体を供給する場合、例えば机上に直にあるいは箱状ないしシャーレ状のものに入れられて置かれた洗浄媒体群を、吸引スイッチをオンした状態で開口部を近づけて吸い込むようにしているが、回収後や供給前の洗浄媒体の管理等も含めて面倒さや煩雑さを否めない。
【0006】
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたもので、筐体内における使用済みの洗浄媒体を容易且つ速やかに回収でき、また、洗浄媒体を筐体内に容易且つ速やかに供給できて、洗浄作業の容易化及び効率化に寄与できるとともに洗浄媒体の管理の容易化にも寄与できる乾式クリーニング筐体、該筐体を有する乾式クリーニング装置の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、洗浄媒体を飛翔させる高速気流としての旋回空気流を利用して洗浄媒体を特定の領域(洗浄媒体収容部)に滞留させて回収し、あるいは特定の領域に滞留している状態から旋回空気流による動圧又は負圧化手段による負圧を利用して筐体内に供給することとした。
すなわち、洗浄媒体を循環飛翔させるエネルギーをそのまま回収、供給エネルギーとしても利用するものである。
【0008】
具体的には、請求項1に記載の発明は、薄片状の洗浄片の集合による洗浄媒体を空気流により飛翔させ、クリーニング対象物に当ててクリーニング対象物のクリーニングを行う乾式クリーニング方式に用いられる乾式クリーニング筐体であって、内部に洗浄媒体を保持して飛翔させるための空間を有し、クリーニング対象物の表面に接して該表面により閉ざされる開口部と、上記内部を吸気するための吸気口と、外部からの空気を上記内部へ通す通気路と、上記吸気口を介した上記内部の吸気に際して、上記洗浄片の上記吸気口側への移動を阻止しつつ上記クリーニング対象物から除去された除去物を通過させる多孔手段とを有し、上記開口部を上記クリーニング対象物の表面で閉ざした状態で、上記吸気口を介した内部の空気の吸引により上記内部に生じる負圧により、外部の空気が上記通気路を介して内部空間に導気されて上記内部に洗浄媒体を飛翔させる旋回空気流が発生するように、上記開口部、吸気口、通気路、多孔手段が形成されていることを特徴とする乾式クリーニング筐体において、上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に設けられる洗浄媒体回収口と、上記洗浄媒体回収口に接続され、洗浄媒体を収容保持する洗浄媒体収容部とを備えた洗浄媒体保持手段を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体保持手段が上記乾式クリーニング筐体に一体に備えられ、上記洗浄媒体回収口が上記乾式クリーニング筐体の側面に固定されて上記内部に連通していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体回収口に該洗浄媒体回収口を開閉する開閉機構が設けられ、回収終了後に上記洗浄媒体回収口を閉じることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体回収口を開いて、上記洗浄媒体収容部に回収・収容されている洗浄媒体を上記旋回空気流により上記内部に供給することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部が交換可能に設けられ、上記洗浄媒体回収口を開いて、上記洗浄媒体収容部に収容されている未使用の洗浄媒体を上記旋回空気流により上記内部に供給することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部が洗浄媒体の回収方向下流側に外気取り込み口を有し、該外気取り込み口に該外気取り込み口を開閉する開閉機構が設けられていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部が、上記乾式クリーニング筐体の側面に、上記旋回空気流の旋回中心と直交する方向に進退可能に設けられ、上記洗浄媒体回収口は上記洗浄媒体収容部が上記内部に進入したときの上記旋回空気流の旋回方向上流側の側面に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部が上記乾式クリーニング筐体に対して上記進退方向を軸心として回転可能に設けられ、上記洗浄媒体回収口を上記旋回空気流の旋回方向の下流側に位置するようにして洗浄媒体供給口として用いることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部の回収方向下流側に外気取り込み口を有し、該外気取り込み口に該外気取り込み口を開閉する開閉機構が設けられていることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体保持手段が上記乾式クリーニング筐体とは分離して設けられ、上記洗浄媒体収容部は上記開口部を塞ぐ形状を有し、その内側には上記洗浄媒体回収口が一体に形成されているとともに、上記洗浄媒体回収口を除く部分は洗浄媒体を保持して気流を通過させるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体回収口が上記旋回空気流の旋回方向の下流側に位置するように上記洗浄媒体収容部を反転させて上記開口部に当て、上記洗浄媒体回収口を洗浄媒体供給口として用いることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に設けられ、上記乾式クリーニング筐体の側面に固定されて上記内部に連通する洗浄媒体供給口と、該洗浄媒体供給口に接続され、洗浄媒体を収容保持する洗浄媒体収容部とを備えた供給用洗浄媒体保持手段を有していることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体供給口に該洗浄媒体供給口を開閉する開閉機構が設けられ、供給終了後に上記洗浄媒体供給口を閉じることを特徴とする。
【0013】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部が交換可能に設けられていることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の乾式クリーニング筐体において、上記洗浄媒体収容部が洗浄媒体の供給方向上流側に外気取り込み口を有し、該外気取り込み口に該外気取り込み口を開閉する開閉機構が設けられていることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、乾式クリーニング装置において、請求項1〜15のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体と、上記乾式クリーニング筐体の上記内部に収容され、あるいは上記内部に供給される上記洗浄媒体と、上記乾式クリーニング筐体の上記吸気口に接続される吸気手段とからなることを特徴とする。
【0014】
請求項17に記載の発明は、薄片状の洗浄片の集合による洗浄媒体を空気流により飛翔させ、クリーニング対象物に当ててクリーニング対象物のクリーニングを行う乾式クリーニング方式に用いられる乾式クリーニング筐体であって、内部に洗浄媒体を保持して飛翔させるための空間を有し、クリーニング対象物の表面に接して該表面により閉ざされる開口部と、上記内部を吸気するための吸気口と、外部からの空気を上記内部へ通す通気路と、上記吸気口を介した上記内部の吸気に際して、上記洗浄片の上記吸気口側への移動を阻止しつつ上記クリーニング対象物から除去された除去物を通過させる多孔手段とを有し、上記開口部を上記クリーニング対象物の表面で閉ざした状態で、上記吸気口を介した内部の空気の吸引により上記内部に生じる負圧により、外部の空気が上記通気路を介して内部空間に導気されて上記内部に洗浄媒体を飛翔させる旋回空気流が発生するように、上記開口部、吸気口、通気路、多孔手段が形成されている乾式クリーニング筐体と、上記吸気口に接続される吸気手段とからなる乾式クリーニング装置の上記乾式クリーニング筐体の上記内部から洗浄媒体を回収する洗浄媒体回収方法において、上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に洗浄媒体回収口を設け、上記内部で飛翔する洗浄媒体を上記旋回空気流で上記洗浄媒体回収口に導き、上記遠心力で押し込んで、上記洗浄媒体回収口に接続され上記乾式クリーニング筐体の外方に設けられた洗浄媒体収容部に収容することを特徴とする。
【0015】
請求項18に記載の発明は、薄片状の洗浄片の集合による洗浄媒体を空気流により飛翔させ、クリーニング対象物に当ててクリーニング対象物のクリーニングを行う乾式クリーニング方式に用いられる乾式クリーニング筐体であって、内部に洗浄媒体を保持して飛翔させるための空間を有し、クリーニング対象物の表面に接して該表面により閉ざされる開口部と、上記内部を吸気するための吸気口と、外部からの空気を上記内部へ通す通気路と、上記吸気口を介した上記内部の吸気に際して、上記洗浄片の上記吸気口側への移動を阻止しつつ上記クリーニング対象物から除去された除去物を通過させる多孔手段とを有し、上記開口部を上記クリーニング対象物の表面で閉ざした状態で、上記吸気口を介した内部の空気の吸引により上記内部に生じる負圧により、外部の空気が上記通気路を介して内部空間に導気されて上記内部に洗浄媒体を飛翔させる旋回空気流が発生するように、上記開口部、吸気口、通気路、多孔手段が形成されている乾式クリーニング筐体と、上記吸気口に接続される吸気手段とからなる乾式クリーニング装置の上記乾式クリーニング筐体の上記内部に洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給方法において、上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に洗浄媒体供給口を設け、上記洗浄媒体回収口に接続され上記乾式クリーニング筐体の外方に設けられた洗浄媒体収容部に収容された洗浄媒体を上記吸気手段による負圧で引き出して供給することを特徴とする。
【0016】
請求項19に記載の発明は、請求項2に記載の乾式クリーニング筐体の上記洗浄媒体収容部として用いられ、洗浄媒体を収容する洗浄媒体回収用収容部と、該洗浄媒体回収用収容部に設けられ前記洗浄媒体回収口に接続する接続部とを有する洗浄媒体回収用カートリッジである。
請求項20に記載の発明は、請求項12に記載の乾式クリーニング筐体の上記洗浄媒体収容部として用いられ、洗浄媒体を収容した洗浄媒体供給用収容部と、該洗浄媒体供給用収容部に設けられ上記洗浄媒体供給口に接続する接続部とを有する洗浄媒体供給用カートリッジである。
【0017】
本明細書における用語の定義は以下の通りである。
本発明における筐体とは、内側に旋回空気流を発生させやすい形状の空間を備えた容器状の構造物を示す。旋回空気流を発生させやすい形状とは、気流が筐体の内壁を沿って流れて循環する、連続した内壁を持つ形状であり、より望ましくは回転体形状の内壁または内部空間を備える形状である。
通気路とは、気流を一定の方向に流れやすくする手段のことであり、滑らかな内面を備える管形状であることが一般的である。しかしながら、たとえば滑らかな面を持つ、板状の流路制御板などを用いても、気体を面に沿った方向に流れやすくする、整流効果が発現するため、このような形態も含めて通気路とする。
【0018】
また、気流が直線的に流れる形状が一般的であるが、流路抵抗をあまり生じない緩やかなカーブを備えていても整流効果を得ることができる。ただし、特に記載されない場合、通気路の方向とは空気流入口において噴出する気流の方向のことを意味する。
直線の管形状を備え、一方の端部が筐体内壁の空気流入口に接続し、もう一方の端部が筐体外の大気に開放されている空気取り入れ口である通気路を、本発明ではインレットと呼称する。インレットは一般的に流体抵抗が低く、滑らかな内面を持ち、管の断面は円形、長方形、スリット形状などが用いられる。
洗浄媒体保持手段とは洗浄媒体を回収、保持、供給する手段のことであり、洗浄媒体を取り込む洗浄媒体回収口と、洗浄媒体を保持する容器部と、洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給口と、洗浄媒体を回収、保持中に筐体内に飛散しない形状を備える。
洗浄媒体回収供給口とは、洗浄媒体回収口と洗浄媒体供給口の機能を備えた洗浄媒体の搬入、排出口のことである。
【0019】
本発明において、旋回空気流とは、空気流入口からの流入気流により加速された気流が、筐体の内壁に沿って方向を変えつつ流れ、空気流入口の位置に、循環して戻り、流入気流と合流する気流である。一般的には、内壁が連続している閉空間内で、内壁の接線方向に向けて気流を流入させることにより発生する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、洗浄媒体を飛翔させるためのエネルギーである旋回空気流を利用して速やかに回収又は供給ができ、吸引を停止しても筐体内部から洗浄媒体が漏れることはなく、小片で取扱いが煩わしい薄片状の洗浄媒体群を簡易な構成で且つ効率的に取り扱うことができ、保管・管理も容易であり、洗浄作業の容易化、効率化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る乾式クリーニング装置を示す概要断面図である。
【図2】洗浄動作を示す図である。
【図3】実際の使用状態を示す斜視図である。
【図4】洗浄媒体保持手段を示す側面図及び断面図である。
【図5】洗浄媒体保持手段による回収及び供給動作を示す図である。
【図6】第1の実施形態における洗浄動作を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態における洗浄媒体保持手段を示す側面図及び断面図である。
【図8】洗浄媒体保持手段による回収及び供給動作を示す図である。
【図9】第3の実施形態における洗浄媒体保持手段を示す側面図及び断面図である。
【図10】洗浄媒体保持手段による回収及び供給動作を示す図である。
【図11】第4の実施形態における洗浄媒体保持手段の装着状態を示す側面図及び断面図である。
【図12】洗浄媒体保持手段を示す側面図及び断面図である。
【図13】洗浄媒体の供給用として用いる場合の洗浄媒体保持手段の断面図である。
【図14】洗浄媒体保持手段による回収及び供給動作を示す図である。
【図15】洗浄媒体保持手段の変形例を示す側面図及び平面図である。
【図16】第4の実施形態における洗浄動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1乃至図6に基づいて第1の実施形態を説明する。まず、図1に基づいて本実施形態に係るハンディタイプの乾式クリーニング装置2の構成の概要を説明する。図1(a)はA−A線での横断面図、(b)はB−B線での縦断面図である。
乾式クリーニング装置2は、内部に洗浄媒体5の飛翔空間を有する乾式クリーニング筐体(以下、単に「筐体」という)4と、筐体4内を負圧化する吸気手段6とを備えている。
筐体4は、全体として円錐形状の中空体を互いに逆向きにして、その底面側で合わせた形態となっている。具体的に説明すると、筐体4は、円錐形状の上部筐体4Aと、逆円錐形状の下部筐体4Bとから一体として構成されている。ここでの上部、下部は図面上の便宜的呼称であって、実機上の上下とは必ずしも関係はない。
【0023】
下部筐体4Bは、その円錐頂部に吸気口8を一体に備えており、吸引ダクトとして機能する。
吸気手段6は、吸気口8に一端を接続されたフレキシブルな吸引ホース10と、該吸引ホース10の他端に接続された吸引装置12とを有している。吸引装置12としては、家庭用掃除機、真空モータや真空ポンプ、あるいは流体の圧送により間接的に低圧化ないし負圧化を生じさせる装置などを適宜用いることができる。なお、部材の上面、底面等の上下の位置関係は図面上の基準にすぎない。
【0024】
上部筐体4Aの底面に近い部分は円筒状に形成されており、この円筒状部分4A−1の底面、すなわち、下部筐体4Bとの境界部分には、多孔手段としての多孔性の分離板14が設けられている。分離板14は、パンチングメタルのような穴が空いた板状の部材である。分離板14は、吸引されたときの洗浄媒体5の下部筐体4B側への移動を阻止するものである。図1(a)では分離板14の表示を一部省略している。なお、洗浄媒体5は分かり易くするためにその大きさを誇張表示している。
多孔手段としては、洗浄媒体5を通さずに空気及び粉塵(クリーニング対象物から除去された除去物)を通過させる大きさの細孔を多く備える多孔形状であればよく、スリット板や網などを用いてもよく、材質も滑らかな面を備えていれば、樹脂や金属などを自由に選択して良い。
多孔手段を上部筐体4Aの底面に配置するのは、面積を広く取りやすく、かつ発生させる旋回空気流の中心軸と直交する面であるためである。旋回空気流の中心軸と直交することによって、多孔手段に沿う方向に気流が流れることにより、洗浄媒体5の滞留を防ぐ効果がある。
旋回空気流の減衰を抑えるために、筐体内面は段差、凹凸がなく平滑であることが望ましい。
【0025】
多孔手段は、旋回空気流に沿った面に配置されることにより、表面に吸着した洗浄媒体を再飛翔させることができる。円錐形の筐体であれば、底面、側面、中心軸のいずれに配置してもよいが、筐体側面に配置すると旋回空気流によって回転する洗浄媒体が遠心力によって多孔手段付近に集中して目詰まりしやすくなるため、旋回空気流の回転軸に直交する、底面に配置することが特に望ましい。
筐体4の材質は特に限定されないが、異物の付着や洗浄媒体との摩擦による消耗を防ぐために、例えばアルミ二ウムやステンレスなどの金属製が好適であるが、樹脂製のものを用いることもできる。
【0026】
上部筐体4Aの内部中心には、上部筐体4Aの円錐軸を共通の軸とするように、円筒状の流路制限部材16が筐体の一部として設けられ、流路制限部材16の下端は分離板14に固定されている。
流路制限部材16は旋回空気流の流路断面積を絞って流速を向上させる目的で設けられている。流路制限部材16により上部筐体4A内には滑らかな壁面を有するリング状の旋回空気流移動空間(洗浄媒体の飛翔空間)が形成されている。
【0027】
円筒状部分4A−1の一部には、旋回空気流で飛翔する洗浄媒体5を洗浄対象物に接触ないし衝突させるための開口部18が形成されている。
共に円錐形状をなす上部筐体4Aと下部筐体4Bとを逆向きに接合する形状とし、上部筐体4Aの底面側に円筒状部分4A−1を設け、この円筒状部分4A−1に開口部18を設けることにより、筐体4全体としては、図1(b)に示すように、開口部18以外の部分が洗浄対象物20から大きく逃げる(離れる)レイアウトとなり、洗浄対象物20に対する局所的当接、換言すればピンポイントクリーニングの自由度が高められている。
開口部18は、円筒状部分4A−1を円筒軸に平行平断面により切断した形状であり、円筒軸と直交する方向から見て矩形形状をなしている。開口部18の周囲には、洗浄対象物との密着性を高めるためにゴムのような柔軟な部材を配置することが望ましい。
【0028】
また、円筒状部分4A−1には空気流入口22が形成されており、空気流入口22には、旋回空気流発生手段で且つ通気路としての細径円筒状のインレット24が筐体4の外方から接続されて筐体4一体に固定されている。
インレット24は分離板14に略平行に設定されており、その長手方向は、円筒状部分4A−1の半径方向に対して傾き、その円筒軸心の延長線が開口部18に達するように位置している。
開口部18が洗浄対象物20に当接して塞がれると、筐体4内が閉空間としてなり、インレット24から外気が高速で流入し、この高速気流は洗浄媒体5を開口部18へ向けて加速させるとともに旋回空気流30を生成する。
開口部18が洗浄対象物に当接して閉空間が形成された時に生じる旋回空気流は、分離板14上に吸着した洗浄媒体を吹き払い、再飛翔させる効果を有する。
本実施形態ではインレット24は1個であるが、筐体の形状やサイズによっては2つ以上配置することもできる。
【0029】
開口部18は、開放されたときに、空気流入口22における内圧を、大気圧もしくはその近傍にするために十分な大きさの面積を備える。また、空気流入口22も、開口部18の開放時に大気圧もしくはその近傍になりやすい位置に配置される。
このような構成を備えることにより、乾式クリーニング装置2を洗浄対象物に当てていない間は、空気流入口22が大気圧に近づくことによって、外部との差圧が低下し、その結果流入する気流が劇的に低減する。一方、開口部18から流入する気流は多くなるため、洗浄媒体5が筐体4内から漏れ出ることを防ぐことができる。
また、開口部18が開放されている状態では、閉塞されている場合に比べて流入する気流の総量が2〜3倍になるため、とくに薄片状の洗浄媒体では多孔手段上に吸着されるため、再飛翔せず筐体の外に漏れることがない。
【0030】
図1(a)に示すように、筐体4の内面における旋回空気流30の遠心力が発生する部位(ここでは、円筒状部分4A−1の径方向におけるインレット24との略対向部位)には、洗浄媒体保持手段32Aが設けられている。
洗浄媒体保持手段32Aと筐体4との接続部位は、旋回空気流30の減衰を抑えるために段差、凹凸がなく平滑であることが望ましい。
図1(a)では洗浄媒体保持手段32Aの配置部位を概略的に示すだけとしており、具体的構成は後述する。
【0031】
洗浄媒体5は、薄片状の洗浄片の集合であるが、ここでは薄片状の洗浄片単体としての意味でも用いている。
薄片状の洗浄媒体とは面積が1〜100mmの薄片である。また、洗浄媒体の材質はポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタラート、アクリル、セルロース樹脂などの耐久性のある素材からなるフィルムであり、厚みは0.05〜0.2mmである。
但し、洗浄対象物によっては洗浄媒体の厚みやサイズや材質を変えることが効果的な場合もあり、これらの洗浄媒体を使用する場合も本発明の範囲に含まれるため、前記洗浄媒体条件にはとらわれないものとする。
洗浄媒体の材質に関しては、樹脂だけにとどまらず、紙、布などの薄片や、あるいは、雲母などの鉱物、セラミックやガラス、金属箔であっても、薄く軽量で飛翔しやすい形状にすることで使用することができる。
【0032】
上部筐体4Aの円筒状部分4A−1で区画される内部空間26は、旋回空気流によって洗浄媒体5を飛翔させて開口部18に接する洗浄対象物20に接触させる機能を実質的に担う空間である。この内部空間26に接する円錐形状の上部空間28は、淀み空間としてなり、これがクッションとなって旋回空気流30を分離板14の表面に近い部分に安定させる。
また、上部空間28は、洗浄対象物20の洗浄に寄与する必要量以上の洗浄媒体5を一時的に待機させて旋回空気流30に戻すバッフア的機能も有している。
上部筐体4A内の流路制限部材16と上部筐体4Aとで区画される内部空間34は、空気吸引によって影響を受けない静空間である。
【0033】
以上のように構成される乾式クリーニング装置2による洗浄動作(以下、クリーニング動作という)を、図2を参照して説明する。なお、図2では、部材の厚み等を省略し、分かり易くするために静空間としての内部空間34をハッチングで表示している。また洗浄媒体保持手段32Aは省略している。
図2(b)は、開口部18を解放して吸気を行っている状態を、図2(a)は、開口部18をクリーニング対象物(洗浄対象物)20表面に当接させた状態を示している。
クリーニング動作に先立って、洗浄媒体5を筐体4内に供給する。洗浄媒体5の供給は、洗浄媒体保持手段32Aによってなされる(後述)。
筐体4内に供給された洗浄媒体5は、図2(b)下図に示すように、分離板14に吸い付けられて筐体4内に保持される。
筐体4内は吸気により負圧状態となっているので、筐体外部の空気がインレット24を通して筐体4内に流入するが、このときのインレット24内の流れは流速・流量ともに小さいので、筐体4内に発生する旋回空気流30は洗浄媒体5を飛翔させる強さには至らない。
【0034】
筐体4内に洗浄媒体5が供給・保持されたら、図2(a)に示すように、開口部18をクリーニング対象物20の表面のクリーニングすべき部位に密着させる。
開口部18がクリーニング対象物20の表面で塞がれると、開口部18からの吸気が止まるので、筐体4内の負圧は一気に増大し、インレット24を通じて吸い込まれる空気量・流速ともに増大し、インレット24内で整流され、インレット出口(空気流入口22)から筐体4内に高速空気流となって吹き出す。
吹き出した空気流は、分離板14上に保持されている洗浄媒体5を開口部18を塞いでいるクリーニング対象物20の表面に向けて飛翔させる。
上記空気流は、旋回空気流30となって、筐体4の内壁に沿って円環状に流れつつ、一部は分離板14の穴を通って吸気手段6により吸気される。
このように筐体4内を円環状に流れた旋回空気流30がインレット24出口部に戻ると、インレット24から入り込む空気流が旋回空気流30に合流しつつ加速する。このようにして筐体4内に安定した旋回空気流30が形成される。
【0035】
洗浄媒体5は、この旋回空気流により筐体4内で旋回し、クリーニング対象物20の表面に繰り返し衝突する。この衝突による衝撃で、クリーニング対象物20の表面から汚れが微小粒状あるいは粉状となって分離する。
分離した汚れは、分離板14の穴を通って吸気手段6により筐体4の外部へ排出される。
筐体4内に形成される旋回空気流30は、その旋回軸が、分離板14の表面に直交しており、旋回空気流30は分離板14の表面に平行方向の気流となる。
このため、旋回空気流30は分離板表面に吸い着けられた洗浄媒体5に、横方向から吹き付けて洗浄媒体5と分離板14の間に入り込み、分離板14に吸い付けられている洗浄媒体5を分離板14から引き剥がして再度飛翔させる効果が生じる。
また、開口部18が塞がれて上部筐体4A内の負圧が増大して、下部筐体4B内の負圧に近くなるため、洗浄媒体5を分離板14の表面に吸い付ける力も低下して、洗浄媒体5の飛翔がより容易になる効果が生じる。
旋回空気流30は、一定の方向に気流が加速されるため高速の気流が生成しやすく、洗浄媒体5の高速飛翔運動も容易となる。高速で旋回移動する洗浄媒体5は、分離板14に吸い付けられにくく、洗浄媒体5に付着した汚れが、遠心力により洗浄媒体5から分離され易い。
【0036】
図3に上述した乾式クリーニング装置2によるクリーニングの実際的な例を示す。図3においても洗浄媒体保持手段32Aは省略している。
クリーニング対象物は前述したフローはんだ槽工程で用いられるディップパレットであり、符号100で示す。
ディップパレット100には、マスク開口部101、102、103が開口しており、これらマスク開口部の穴周辺にフラックスFLが堆積・固化している。この堆積・固化したフラックスFLが除去すべき汚れである。
図3に示すように、下部筐体4Bの根元部(吸気口8部位)を手HDで握り、吸気状態で、筐体4の開口部18を被クリーニング部位に押し当てる。
開口部18が被クリーニング部位に押し当てられる以前は、筐体4内は吸気され、洗浄媒体5は分離板14に吸い付けられているので、開口部18は下方を向いているものの、筐体4内から洗浄媒体5が外部へ漏れることは無い。
勿論、開口部18が被クリーニング部位に押し当てられた以後は、筐体内が気密状態となり、洗浄媒体の漏れ出しはない。
【0037】
開口部18を被クリーニング部位に押し当てると、インレット24による流入気流が急増し、筐体4内に強い旋回空気流30を発生させ、分離板14に吸い付けられた洗浄媒体5を飛翔させ、ディップパレット100の被クリーニング部位に付着固化したフラックスFLに衝突させてフラックスFLを除去する。
クリーニング作業者は、上述の如く下部筐体4Bの根元を手HDに持ち、ディップパレット100に対して移動させて、被クリーニング部位を順次移動させ、付着・固化したフラックスFLを全て除去することができる。
図3の状態では、ディップパレット100のマスク開口部101の周辺部がクリーニングされ、マスク開口部102、103の周辺部がクリーニング途上である。
被クリーニング部位に対して開口部を移動させる時に被クリーニング部位から開口部18が離されても、前述の洗浄媒体吸着効果により、洗浄媒体5が筐体内から漏れ出さないため、洗浄媒体数が維持され、洗浄媒体量の減少によるクリーニング性能の低下は生じない。
【0038】
洗浄媒体5は、繰り返し使用される間にクリーニング部位に対する衝突による衝撃により次第に破壊され、クリーニング部位のディップパレット100から除去したフラックス(汚れ)と共に、吸引装置12に吸引回収されるため、乾式クリーニング装置を長時間使用していると、筐体内に保持された洗浄媒体の量が減少する。
このような場合は、洗浄媒体保持手段32Aにより新しい洗浄媒体群を筐体4内に補給する。
【0039】
次に、図4及び図5に基づいて、洗浄媒体保持手段32Aによる洗浄媒体5の回収、供給機能について説明する。
図4に示すように、洗浄媒体保持手段32Aは、筐体4の内周面における旋回空気流による遠心力が作用する部位に設けられる洗浄媒体回収口36と、洗浄媒体回収口36に接続され、洗浄媒体を収容保持する洗浄媒体収容部38とを備えている。なお、図4では上部筐体4Aを簡略表示している。
洗浄媒体回収口36はブロック状に形成され、筐体4の円筒状部分4A−1の側面を開口して固定されている。洗浄媒体回収口36の内面は筐体4の内周面に沿った湾曲面を有している。洗浄媒体回収口36の内部には開閉機構としてのボール弁40が設けられている。ボール弁40はハンドル42の回転操作により開閉される。
洗浄媒体収容部38は、洗浄媒体回収口36に接続される接続部38aと、回収空間を有する収容本体部38bと、収容本体部38bの接続部38aと反対側(回収方向下流側)に設けられた外気取り込み口38cとを有している。外気取り込み口38cは洗浄媒体回収口36と同様のブロック状に形成されており、その内部には洗浄媒体回収口36と同様に開閉機構としてのボール弁40が設けられている。ボール弁40はハンドル42の回転操作により開閉される。
ボール弁40と筐体内壁の間にはできる限り隙間を作らない形状にする。隙間が大きいと洗浄媒体が挟まる可能性がある。また、旋回空気流が減衰する要因となりうるからである。
【0040】
図4(b)は、開口部18を開放して適量の洗浄媒体5を開口部18から筐体4内に吸い込んだ状態を示している。この状態では、洗浄媒体回収口36と外気取り込み口38cは共に閉じている。
図5に基づいて洗浄媒体5の回収動作を説明する。
図5(a)は洗浄中の状態を示している。洗浄媒体5を筐体4内に供給した状態で開口部18を洗浄対象物に当てることで旋回空気流が発生し、旋回空気流に乗った洗浄媒体5が洗浄対象物の被洗浄面に衝突し洗浄を始める。
洗浄が完了すると、図5(b)に示すように、洗浄対象物20から開口部18を離さずに、すなわち旋回空気流30が生じている状態で、ボール弁40を回転させて洗浄媒体回収口36を開く。
上記のように、洗浄媒体回収口36は旋回空気流30による遠心力が作用する部位に設けられているため、洗浄媒体5は遠心力で洗浄媒体回収口36に入り込む。
洗浄媒体回収口36及びこれに連なる収容本体部38bの空間は、外気取り込み口38cが閉じているため、いわゆる淀み空間となっているが、旋回空気流30の遠心力で洗浄媒体回収口36に達した洗浄媒体5は、遠心力による慣性で上記淀み空間内に押し込まれ、収容本体部38b内に滞留する。実験の結果、上記原理により短時間(数秒)で回収できることが確認されている。
【0041】
本実施形態における筐体4の少なくとも上部筐体4Aは透明な材料で形成されており(以下の実施形態において同じ)、洗浄媒体5が回収されたか否かを目視で確認できるようになっている。
回収完了と判断したときは、ボール弁40を回して洗浄媒体回収口36を閉じる。
この状態では、洗浄媒体5は洗浄媒体収容部38に略密閉状態で保持されているので、開口部18を洗浄対象物20から離し、吸引装置12の電源をオフしても、開口部18の向きに拘わらず洗浄媒体5が筐体4内から漏れることはない。
本実施形態における洗浄媒体収容部38は洗浄媒体回収用カートリッジであり、その接続部38aが洗浄媒体回収口36に対して着脱自在に設けられている。使用前には接続部38aは図示しないキャップ部材で塞がれている。
【0042】
洗浄媒体5を回収した後の洗浄媒体収容部38は、洗浄媒体5が再使用不可の場合には洗浄媒体回収口36から外されて洗浄媒体5の除去処理(再処理)がなされ、カートリッジの再使用可能となる。
回収された洗浄媒体5が再使用可能な場合には、図5(c)に示すように、洗浄媒体収容部38は洗浄媒体供給用カートリッジとして機能する。
この場合、洗浄媒体回収口36は洗浄媒体供給口としてなる。開口部18を洗浄対象物20に当てるなどして開口部18を塞いで吸引した状態でボール弁40を回し、洗浄媒体供給口36及び外気取り込み口38cを開くと、洗浄媒体収容部38内の洗浄媒体5は旋回空気流30の負圧により速やかに引き出され、筐体4内に供給される。外気取り込み口38cから筐体4内に入り込む気流が発生するので、洗浄媒体5の供給時には必ずしも開口部18を塞ぐ必要はない。
【0043】
回収した洗浄媒体5が再使用不可の場合には、新しい洗浄媒体5が洗浄媒体収容部38に収容された洗浄媒体供給用カートリッジを洗浄媒体回収口36に接続し、上記と同様の供給操作を行う。
カートリッジ交換による供給方式とすることにより、洗浄対象物の種類(汚れの種類)に応じて最適な洗浄媒体5を供給することができる。
ボール弁40の構成によるコスト高を考慮して、図5(c)に示すように、収容本体部38bのみをカートリッジ化してもよい。
また、本実施形態ではボール弁40を手動で開閉する構成としたが、洗浄媒体収容部38を大容量化し、開閉機構として電磁弁を設けて洗浄媒体5の消耗度合いに応じて制御により供給する構成としてもよい。このような構成は、洗浄対象物の洗浄範囲が広く、筐体4を含むユニットを機械的に移動させる自動化方式に適する。
本実施形態における洗浄手順を図6に示す。
【0044】
図7及び図8に基づいて第2の実施形態を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
図7に示すように、本実施形態における洗浄媒体保持手段32Bは、円筒状部分4A−1の側面に形成された洗浄媒体回収口44と、該洗浄媒体回収口44に接続された洗浄媒体収容部46と、洗浄媒体回収口44(図8(c)参照)を開閉する開閉機構48とを有している。
洗浄媒体収容部46は洗浄媒体回収口44を囲むように筐体4の側面に固定された筒状のホルダ46aと、このホルダ46aに出し入れ自在に挿入された収容本体部46bとを有している。収容本体部46bの洗浄媒体回収口44との接続側は筐体4の円周面に沿って斜めに形成されている。
【0045】
収容本体部46bの上端は開口されて外気取り込み口46cとなっており、外気取り込み口46cは手動の開閉機構としてのキャップ49で塞がれている。
開閉機構48は、洗浄媒体回収口44をその弾性力で塞ぐ筐体4の壁面自体である可動面50と、ホルダ46aに螺合されたネジ52とから構成されている。
【0046】
図7(b)は、開口部18を開放して適量の洗浄媒体5を開口部18から筐体4内に吸い込んだ状態を示している。この状態では、洗浄媒体回収口44と外気取り込み口46cは共に閉じている。
図8に基づいて洗浄媒体5の回収動作を説明する。図8(a)は洗浄中の状態を示している。洗浄が完了すると、図8(b)に示すように、洗浄対象物20から開口部18を離さずに、すなわち旋回空気流30が生じている状態で、ネジ52を回転させて可動面50を変位させ、洗浄媒体回収口44を開く。
洗浄媒体5は遠心力で洗浄媒体回収口44に押し込まれ、収容本体部46b内に滞留する。
【0047】
洗浄媒体5が再使用可能な場合には、図8(c)に示すように、キャップ48を外して外気取り込み口46cを開き、筐体4内に洗浄媒体5を供給する。この場合、インレット24をキャップ54で塞ぐようにすれば供給が速やかに行われる。
洗浄媒体5が再使用不可の場合には、収容本体部46bの洗浄媒体回収口44との接続側にキャップ56を付けて洗浄媒体供給用カートリッジとしての再処理に回す。
新しい洗浄媒体5が収容されている収容本体部46bは洗浄媒体供給用カートリッジとしてなり、洗浄媒体回収口44を洗浄媒体供給口として上記と同様の動作で供給することができる。
【0048】
図9及び図10に基づいて第3の実施形態を説明する。
図9に示すように、本実施形態における洗浄媒体保持手段32Cは、円筒状部分4aの側面に形成された穴56を囲むように外方に固定された円筒状のホルダ58と、該ホルダ58内に挿入され、旋回空気流の旋回軸心と直交する方向に進退可能に設けられた洗浄媒体収容部60とを有している。
洗浄媒体収容部60の挿入方向先端部の側面には洗浄媒体回収口60aが設けられ、洗浄媒体回収口60aは洗浄媒体収容部60の内部空間と連通している。洗浄媒体収容部60の先端面は筐体4の内周面に沿うように形成されている。
洗浄媒体収容部60の後端は開口されて外気取り込み口60bとなっており、外気取り込み口60bは手動の開閉機構としてのキャップ62で塞がれている。
【0049】
図9(b)は、開口部18を開放して適量の洗浄媒体5を開口部18から筐体4内に吸い込んだ状態を示している。この状態では、洗浄媒体回収口60aと外気取り込み口60bは共に閉じている。
図10に基づいて洗浄媒体5の回収動作を説明する。図10(a)は洗浄中の状態を示している。洗浄が完了すると、図10(b)に示すように、洗浄対象物20から開口部18を離さずに、すなわち旋回空気流30が生じている状態で、洗浄媒体収容部60を筐体4内へ押し込むと、洗浄媒体回収口60aが筐体4内の旋回空気流による遠心力が作用する部位で、且つ、洗浄媒体収容部60の旋回空気流の回転方向上流側の側面に開口する。換言すれば、洗浄媒体回収口60aは旋回空気流に対してカウンタ方向(対向方向)で開口する。
【0050】
洗浄媒体収容部60の押し込み量は、ホルダ58に形成された図示しないストッパで制限されている。
洗浄媒体5は遠心力で洗浄媒体回収口60aに押し込まれ、洗浄媒体収容部60内に滞留する。
上記実施形態と異なり、洗浄媒体回収口60aが旋回空気流と直交するように開口するので、回収効率が高い。
洗浄媒体回収口60aを閉じる場合には洗浄媒体収容部60を引き戻せばよい。この場合、洗浄媒体収容部60の先端面が筐体4の内周面と一致するようにする。
上記のように洗浄媒体収容部60を進退させることにより洗浄媒体回収口60aを開閉できるので、洗浄媒体収容部60は手動式のピストンバルブともいうべきものである。
【0051】
洗浄媒体収容部60はホルダ58内に密接状態に挿入されており、円筒軸方向に進退可能であるとともに、円筒軸回りに回転可能となっている。
洗浄媒体5が再使用可能な場合には、図10(c)に示すように、洗浄媒体回収口60aが旋回空気流の回転方向における反対側に位置するように洗浄媒体収容部60を回転させる。
洗浄媒体収容部60を上記と同様に押し込み、キャップ62を外して外気取り込み口60bを開き、筐体4内に洗浄媒体5を供給する。この場合、インレット24をキャップ54で塞ぐようにすれば供給が速やかに行われる。
すなわち、洗浄媒体収容部60を回転させることにより、洗浄媒体回収口60aを洗浄媒体供給口に変換することができる。
洗浄媒体5が再使用不可の場合には、洗浄媒体収容部60を引き抜いた後に洗浄媒体回収口60aをキャップ64で塞ぎ、洗浄媒体供給用カートリッジとしての再処理に回す。
新しい洗浄媒体5が収容されている洗浄媒体収容部60は洗浄媒体供給用カートリッジとしてなり、洗浄媒体回収口60aを洗浄媒体供給口として上記と同様の動作で供給することができる。
【0052】
図11乃至図15に基づいて第4の実施形態を説明する。
上記各実施形態では、洗浄媒体保持手段が筐体4に一体に設けられる例を示したが、本実施形態では洗浄媒体保持手段が筐体4とは別体として分離して存在することを特徴とする。
図11に示すように、筐体4の円筒状部分4A−1における固定部材はインレット24だけである。本実施形態における洗浄媒体保持手段32Dは、開口部18を塞ぐ形状を有し、作業者が手で持って開口部にあてがって使用する。
図12に示すように、洗浄媒体保持手段32Dは、開口部18を塞ぐ大きさの枠形状を有し、外壁70aが筐体4の外方へ凸となるように湾曲した容器状の洗浄媒体収容部70を有している。
洗浄媒体収容部70の内壁は多孔性の洗浄媒体滞留部材70bとして形成されている。洗浄媒体収容部70における内壁の一部は開口されており、この部分が洗浄媒体回収口70cとなっている。
換言すれば、洗浄媒体収容部70の内側の洗浄媒体滞留部材70bで塞がれていない部分が洗浄媒体回収口70cとなっている。洗浄媒体保持手段32Dを使用しない状態では、洗浄媒体回収口70cはキャップ72で塞がれている。
【0053】
洗浄媒体回収口70cは、開口部18を洗浄媒体保持手段32Dで塞いだときに、旋回空気流30によって移動する洗浄媒体5の通り道に位置するように設定されている。
これは洗浄媒体収容部70の洗浄媒体を捕らえる部分に旋回空気流に対する抵抗が大きく掛かる方が、より速やかに洗浄媒体を回収できるためである。
外壁70aの湾曲形状は旋回空気流30がなす曲率と等しいのが望ましいが、洗浄媒体の容量と形状によって変えても良い。また、旋回空気流の減衰を抑えるために、筐体内壁と洗浄媒体収容部70との接続部は滑らかにする。
洗浄媒体滞留部材70bの形状は気流を通すが洗浄媒体を通さない形状である。さらに洗浄媒体滞留部材70bの形状は旋回空気流の抵抗が低く洗浄媒体が通れない形状であるのが望ましい。具体的には、メッシュ、金網などである。
また、図13、14では洗浄媒体滞留部材70bは平坦な形状としたが、それにはとらわれないものとする。例えば、洗浄媒体の逆流を防ぐために、洗浄媒体収容部70内で袋小路を形成する形状でも良い。
【0054】
図14に基づいて洗浄媒体5の回収動作を説明する。図14(a)は洗浄中の状態を示している。洗浄が完了すると、図14(b)に示すように、開口部18を洗浄対象物から離す。上述のように開口部18が開放されるとインレット24からの流入が弱くなって洗浄媒体5は分離板14に吸着される。
この状態で、洗浄媒体保持手段32Dを開口部18に当てて開口部18を塞ぐ。開口部18が塞がれると再び旋回空気流30が生じ、洗浄媒体5は旋回空気流30の遠心力の作用で洗浄媒体回収口70cから洗浄媒体収容部70内に入り、滞留する。
洗浄媒体収容部70内に入った気流は洗浄媒体滞留部材70bを通過して再び旋回空気流となる。旋回空気流30によって一定方向に流れる洗浄媒体の通り道に、これに対向するように洗浄媒体回収口70cを設けることで、速やかに回収を行うことができる。
回収が完了したら、洗浄媒体保持手段32Dを開口部18から離し、吸引装置12をオフにするとともに、図12(b)に示すように、キャップ72で洗浄媒体回収口70cを塞ぐ。
【0055】
洗浄媒体5が再使用可能な場合には、回収された洗浄媒体5が収容された洗浄媒体保持手段32Dは洗浄媒体供給用カートリッジとしてなる。洗浄媒体5を供給する場合には、図13に示すように、洗浄媒体収容部70を洗浄媒体回収口70cが旋回空気流30の移動方向下流側に位置するように180°回転させ、キャップ72を外して用いる。
図14(c)に示すように、吸引装置12をオンした状態で開口部18に当てる。洗浄媒体収容部70内に収容された洗浄媒体5は旋回空気流30により洗浄媒体供給口としての洗浄媒体回収口70cから引き出されて筐体4内に供給される。
回収後の洗浄媒体5が再使用不可の場合には、洗浄媒体回収口70cをキャップ72で塞ぎ、洗浄媒体供給用カートリッジとしての再処理に回す。
新しい洗浄媒体5が収容されている洗浄媒体保持手段32Dは洗浄媒体供給用カートリッジとしてなり、洗浄媒体回収口70cを洗浄媒体供給口として上記と同様の動作で供給することができる。
本実施形態における洗浄手順を図16に示す。
【0056】
洗浄媒体滞留部材70bをスライド機構にして、洗浄媒体の量によって調節するようにし、さらに洗浄媒体回収口を塞げるようにしても良い。洗浄媒体回収口を塞げるようにした場合は、勿論回収口封止部材を使用する必要はない。
洗浄媒体滞留部材をスライド機構にした場合、洗浄媒体回収口とは反対の位置に洗浄媒体供給口を作ることができる。この場合は勿論供給のために洗浄媒体収容部70を反転する必要はない。
本実施形態では洗浄媒体保持手段32Dを筐体4と別途分離して使用できるので、自由度が高い。
【0057】
本実施形態では筐体4と洗浄媒体保持手段30Dは接続されていないが、蝶番などで筐体と接続しても良い。すなわち、洗浄媒体保持手段30Dを開口部18の近傍に回動可能に取り付け、使用しないときは図1(b)で示した逃げの空間部分に退避させて筐体4に係止するようにしてもよい。
また、開口部18に対して磁力で着脱するようにしてもよい。あるいは、筐体4側面両側にフックを設け、洗浄媒体保持手段32Dで開口部18を塞いだ後、輪ゴムのような弾性体で前記フックを利用して仮保持するようにしてもよい。
さらにまた、図15に示すように、洗浄媒体収容部70にガイド板74を設けるとともに、筐体4にガイドレール76を設け、両者を係合スライドさせて洗浄媒体収容部70で開口部18を塞ぐようにしてもよい。
このようにすれば、作業者が手で保持する労力を軽減できる。
【0058】
上記各実施形態では、1つの洗浄媒体保持手段が洗浄媒体回収機能と洗浄媒体供給機能とを兼ね備える例を示したが、洗浄媒体を回収する洗浄媒体保持手段と、洗浄媒体を供給する洗浄媒体保持手段とを個別に備える構成としてもよい。
【符号の説明】
【0059】
2 乾式クリーニング装置
4 乾式クリーニング筐体
5 洗浄媒体
14 多孔手段としての分離板
18 開口部
20 洗浄対象物
24 通気路
32A、32B、32C、32D 洗浄媒体保持手段
36 洗浄媒体回収口
38 洗浄媒体収容部
38c 外気取り込み口
40 開閉機構としてのボール弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開平4−83567号公報
【特許文献2】特開昭60−188123号公報
【特許文献3】特開2009−226394号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片状の洗浄片の集合による洗浄媒体を空気流により飛翔させ、クリーニング対象物に当ててクリーニング対象物のクリーニングを行う乾式クリーニング方式に用いられる乾式クリーニング筐体であって、
内部に洗浄媒体を保持して飛翔させるための空間を有し、クリーニング対象物の表面に接して該表面により閉ざされる開口部と、上記内部を吸気するための吸気口と、外部からの空気を上記内部へ通す通気路と、上記吸気口を介した上記内部の吸気に際して、上記洗浄片の上記吸気口側への移動を阻止しつつ上記クリーニング対象物から除去された除去物を通過させる多孔手段とを有し、
上記開口部を上記クリーニング対象物の表面で閉ざした状態で、上記吸気口を介した内部の空気の吸引により上記内部に生じる負圧により、外部の空気が上記通気路を介して内部空間に導気されて上記内部に洗浄媒体を飛翔させる旋回空気流が発生するように、上記開口部、吸気口、通気路、多孔手段が形成されていることを特徴とする乾式クリーニング筐体において、
上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に設けられる洗浄媒体回収口と、
上記洗浄媒体回収口に接続され、洗浄媒体を収容保持する洗浄媒体収容部とを備えた洗浄媒体保持手段を有していることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体保持手段が上記乾式クリーニング筐体に一体に備えられ、上記洗浄媒体回収口が上記乾式クリーニング筐体の側面に固定されて上記内部に連通していることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項3】
請求項2に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体回収口に該洗浄媒体回収口を開閉する開閉機構が設けられ、回収終了後に上記洗浄媒体回収口を閉じることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項4】
請求項3に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体回収口を開いて、上記洗浄媒体収容部に回収・収容されている洗浄媒体を上記旋回空気流により上記内部に供給することを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項5】
請求項3に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部が交換可能に設けられ、上記洗浄媒体回収口を開いて、上記洗浄媒体収容部に収容されている未使用の洗浄媒体を上記旋回空気流により上記内部に供給することを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部が洗浄媒体の回収方向下流側に外気取り込み口を有し、該外気取り込み口に該外気取り込み口を開閉する開閉機構が設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項7】
請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部が、上記乾式クリーニング筐体の側面に、上記旋回空気流の旋回中心と直交する方向に進退可能に設けられ、上記洗浄媒体回収口は上記洗浄媒体収容部が上記内部に進入したときの上記旋回空気流の旋回方向上流側の側面に設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項8】
請求項7に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部が上記乾式クリーニング筐体に対して上記進退方向を軸心として回転可能に設けられ、上記洗浄媒体回収口を上記旋回空気流の旋回方向の下流側に位置するようにして洗浄媒体供給口として用いることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項9】
請求項8に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部の回収方向下流側に外気取り込み口を有し、該外気取り込み口に該外気取り込み口を開閉する開閉機構が設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項10】
請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体保持手段が上記乾式クリーニング筐体とは分離して設けられ、上記洗浄媒体収容部は上記開口部を塞ぐ形状を有し、その内側には上記洗浄媒体回収口が一体に形成されているとともに、上記洗浄媒体回収口を除く部分は洗浄媒体を保持して気流を通過させるように形成されていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項11】
請求項10に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体回収口が上記旋回空気流の旋回方向の下流側に位置するように上記洗浄媒体収容部を反転させて上記開口部に当て、蒸気洗浄媒体回収口を洗浄媒体供給口として用いることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項12】
請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に設けられ、上記乾式クリーニング筐体の側面に固定されて上記内部に連通する洗浄媒体供給口と、該洗浄媒体供給口に接続され、洗浄媒体を収容保持する洗浄媒体収容部とを備えた供給用洗浄媒体保持手段を有していることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項13】
請求項12に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体供給口に該洗浄媒体供給口を開閉する開閉機構が設けられ、供給終了後に上記洗浄媒体供給口を閉じることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項14】
請求項13に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部が交換可能に設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項15】
請求項14に記載の乾式クリーニング筐体において、
上記洗浄媒体収容部が洗浄媒体の供給方向上流側に外気取り込み口を有し、該外気取り込み口に該外気取り込み口を開閉する開閉機構が設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体と、上記乾式クリーニング筐体の上記内部に収容され、あるいは上記内部に供給される上記洗浄媒体と、上記乾式クリーニング筐体の上記吸気口に接続される吸気手段とからなる乾式クリーニング装置。
【請求項17】
薄片状の洗浄片の集合による洗浄媒体を空気流により飛翔させ、クリーニング対象物に当ててクリーニング対象物のクリーニングを行う乾式クリーニング方式に用いられる乾式クリーニング筐体であって、内部に洗浄媒体を保持して飛翔させるための空間を有し、クリーニング対象物の表面に接して該表面により閉ざされる開口部と、上記内部を吸気するための吸気口と、外部からの空気を上記内部へ通す通気路と、上記吸気口を介した上記内部の吸気に際して、上記洗浄片の上記吸気口側への移動を阻止しつつ上記クリーニング対象物から除去された除去物を通過させる多孔手段とを有し、上記開口部を上記クリーニング対象物の表面で閉ざした状態で、上記吸気口を介した内部の空気の吸引により上記内部に生じる負圧により、外部の空気が上記通気路を介して内部空間に導気されて上記内部に洗浄媒体を飛翔させる旋回空気流が発生するように、上記開口部、吸気口、通気路、多孔手段が形成されている乾式クリーニング筐体と、上記吸気口に接続される吸気手段とからなる乾式クリーニング装置の上記乾式クリーニング筐体の上記内部から洗浄媒体を回収する洗浄媒体回収方法において、
上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に洗浄媒体回収口を設け、上記内部で飛翔する洗浄媒体を上記旋回空気流で上記洗浄媒体回収口に導き、上記遠心力で押し込んで、上記洗浄媒体回収口に接続され上記乾式クリーニング筐体の外方に設けられた洗浄媒体収容部に収容することを特徴とする洗浄媒体回収方法。
【請求項18】
薄片状の洗浄片の集合による洗浄媒体を空気流により飛翔させ、クリーニング対象物に当ててクリーニング対象物のクリーニングを行う乾式クリーニング方式に用いられる乾式クリーニング筐体であって、内部に洗浄媒体を保持して飛翔させるための空間を有し、クリーニング対象物の表面に接して該表面により閉ざされる開口部と、上記内部を吸気するための吸気口と、外部からの空気を上記内部へ通す通気路と、上記吸気口を介した上記内部の吸気に際して、上記洗浄片の上記吸気口側への移動を阻止しつつ上記クリーニング対象物から除去された除去物を通過させる多孔手段とを有し、上記開口部を上記クリーニング対象物の表面で閉ざした状態で、上記吸気口を介した内部の空気の吸引により上記内部に生じる負圧により、外部の空気が上記通気路を介して内部空間に導気されて上記内部に洗浄媒体を飛翔させる旋回空気流が発生するように、上記開口部、吸気口、通気路、多孔手段が形成されている乾式クリーニング筐体と、上記吸気口に接続される吸気手段とからなる乾式クリーニング装置の上記乾式クリーニング筐体の上記内部に洗浄媒体を供給する洗浄媒体供給方法において、
上記旋回空気流による遠心力が作用する上記乾式クリーニング筐体部位に洗浄媒体供給口を設け、上記洗浄媒体回収口に接続され上記乾式クリーニング筐体の外方に設けられた洗浄媒体収容部に収容された洗浄媒体を上記吸気手段による負圧で引き出して供給することを特徴とする洗浄媒体供給方法。
【請求項19】
請求項2に記載の乾式クリーニング筐体の上記洗浄媒体収容部として用いられ、洗浄媒体を収容する洗浄媒体回収用収容部と、該洗浄媒体回収用収容部に設けられ前記洗浄媒体回収口に接続する接続部とを有する洗浄媒体回収用カートリッジ。
【請求項20】
請求項12に記載の乾式クリーニング筐体の上記洗浄媒体収容部として用いられ、洗浄媒体を収容した洗浄媒体供給用収容部と、該洗浄媒体供給用収容部に設けられ上記洗浄媒体供給口に接続する接続部とを有する洗浄媒体供給用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−81422(P2012−81422A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229988(P2010−229988)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】