説明

乾燥した流動性風味成分

【課題】大量の風味成分を含み、扱いやすい流動性のある粉末風味組成物の提供。
【解決手段】大豆コチルドン繊維物質に、液体の油性、または水性の風味成分を被覆し、これを噴霧乾燥して流動性風味成分組成物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥風味成分、特に大豆コチルドン(cotyledon)繊維物質から形成した乾燥流動性風味成分及び大豆コチルドン繊維物質上に被着した液体風味成分、並びにそのような風味成分、及び風味成分を含む食品材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥風味成分は、食品に使用され、改良された風味を有する食品を提供し、また食品の保管期限まで拡張する。食品中の乾燥風味成分の共通の用途は、そのような風味成分の焼物、特にパン、肉、軽食用カウンター、シーズニング、チューインガム、及びキャンディーにおける使用を含む。
乾燥粉末成分は、液体風味成分を担体又はキャリヤー、典型的には、食用粉末上に被着することにより形成され得る。結合した粉末風味及び液体風味剤を混合しながら、この液体風味成分は、粉末上に液体風味剤を噴霧し、担体上に“被着(plated)”される。液体風味成分は、粉末の露出した表面を被覆し、これらの露出した表面に付着する。この液体風味成分は、この粉末が飽和点に達するまで粉末の上に被着される。飽和点は、この粉末が自由に流れる能力を失い始めるとき、典型的には粉末が凝集させ始めるときに同定される。
担体として乾燥風味成分中に使用される一般的な粉末は、しょ糖、セルロース、ブドウ糖、マルトデキストリン、及びにんじん繊維を含む。これらの従来の粉末風味担体の一つの欠点は、この粉末により吸収されうる制限的な量の液体風味成分である。典型的に、これらの粉末は、粉末の初期質量に対して10%〜45%、追加の水性液体風味成分を吸収し得、典型的に、油ベース又はアルコールベースの液体風味成分を吸収する。従来の粉末風味担体が吸収しうる、制限的な量の液体風味成分のために、風味損失は、粉末担体の表面に被覆された風味が大気に露出され、また大気に蒸発するので、従来の粉末風味担体に関する問題である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の概要)
一つの態様において、本発明は流動性粉末組成物である。流動性粉末風味剤組成物は、大豆コチルドン繊維物質及び大豆コチルドン繊維物質上に被覆された風味成分を含む。好ましくは、大豆コチルドン繊維物質は、中空の大豆多糖繊維を含み、そこで中空大豆多糖繊維は、内面及び外面を有し、風味成分は大豆コチルドン物質の中空大豆多糖繊維の内面及び外面上に被覆されている。最も好ましくは、中空大豆多糖繊維の内面及び外面が不規則な形状である。
別の態様において、本発明は、大豆コチルドン繊維物質が液体風味成分で被覆されている流動性粉末風味剤組成物の製造方法である。好ましくは、大豆コチルドン繊維物質は、中空大豆多糖繊維を含み、そこで中空大豆多糖繊維は、内面及び外面を有し、かつ液体風味成分が大豆コチルドン繊維物質の中空の大豆多糖繊維の内面及び外面上に被覆されている。
さらなる態様において、本発明は、風味食品である。風味食品は、食品材料及び粉末風味剤組成物を含む。粉末風味剤組成物は、大豆コチルドン繊維物質及び大豆コチルドン繊維物質上に被覆された風味成分を含む。
【0004】
(好ましい態様の詳細)
本発明は、大豆コチルドン繊維物質の乾燥粉末風味担体としての使用に関する。大豆コチルドン繊維物質は、驚くべきことに、流動性を維持しながら大量の液体風味成分で被覆され得る。大豆コチルドン繊維物質上に被覆されうる液体風味成分の量は、従来の乾燥粉末風味担体上を被覆しうる液体風味成分の4倍量を超えうる。それゆえ、液体風味剤被覆された大豆コチルドン繊維物質は、従来の乾燥粉末風味成分より大量の風味を提供し得、大豆コチルドン繊維物質の中及び上に被覆された風味の量の結果、食品により長い風味保管期限を提供する。
出願人の譲受人が同時係属し、このように同時に出願した代理人受領番号CL2149の仮出願は本出願に関する主題を開示し、具体的にここに参考として取り込まれる。
ここで使用されるように“流動性”粉末物質は、2.5分間の震動で少なくとも95質量%の量#16シーブ(14米国メッシュ)を通過しうる微粒子物質として定義されている。物質の流動性は、100グラムの物質を#16シーブ(篩)に置くことによって測定してよく、2.5分間、シーブシェイカー上で振盪し、2.5分間の振盪後シーブ上に残った物質の質量を測定し、また次式に従い、シーブを通って流動した物質のパーセントを計算する。
100*[1-((シーブ上に残った物質の質量)/100)]
【0005】
ここで使用されているように、“大豆コチルドン繊維物質”は、外皮を取り、脱脂し、及び胚を取り除いた大豆の画分として定義され、これは、大豆タンパクの結合した7S及び11S画分(fraction)の等電点の実質的上又は下のpHを有する水溶液に不溶性である(典型的には6.0以上又は3.0以下のpHであって、大豆タンパクの7S画分の等電点が、4.5及び大豆タンパクの11S画分の等電点は5.3である。)。大豆コチルドン繊維物質は、ここで使用されているように、純粋な大豆多糖繊維、可溶性及び不溶性の繊維画分の両方を含むが、しかし灰と脂肪のように大豆タンパクと他の少量成分と組み合わせた大豆多糖繊維を含む組成物も含む。例えば、デュポンタンパクテクノロジー社から市場において入手可能な大豆コチルドン繊維物質であるFibrim 1450は、80.6質量%の食物繊維(現状のまま)、12.2質量%タンパク(Nx6.25質量%、現状のまま)、3.6質量%灰、0.9質量%脂肪(酸無水物)、及び他の少量成分を含む。ここで使用されているように“大豆コチルドン繊維物質”は、大豆外皮繊維を含まない。
本発明に有用な大豆コチルドン繊維物質は、市場において入手可能な大豆粉末、大豆粗粒、大豆ミール、又は大豆フレークから製造されうる。大豆粉末、大豆粗粒、大豆ミール、又は大豆フレークは、大豆タンパクの等電点より実質的に上又は下のpHを有する水溶液(pH4.5)で抽出され、コチルドン繊維からタンパク及び水溶性炭水化物を抽出する。好ましくは、水溶性抽出溶媒が、pH6.0より上又は3.0より下のpHを有する。最も好ましくは、水溶性抽出溶媒が、8.0〜10.0のpHを有する水溶性アルカリ溶液であって、好ましくは水溶性水酸化ナトリウム溶液である。上記とは別に、好ましい水溶性抽出溶媒は、1.0〜3.0のpHを有する酸性溶液であって、好ましくは、塩酸溶液である。
【0006】
コチルドン繊維物質からタンパク及び水溶性炭水化物を抽出した後、タンパク及び炭水化物を含む液体抽出物を繊維物質から分離する。この抽出物は遠心沈殿法及び濾過のような従来の分離技術に従って繊維物質から分離しうる。
分離した大豆コチルドン繊維物質をその後乾燥し、流動性粉末を調製する。この繊維を、従来の乾燥技術に従って乾燥してもよいが、乾燥方法の選択は大豆コチルドン繊維上に被覆されうる液体風味成分の程度に影響する。噴霧乾燥は、最も有効な方法であってまた大豆コチルドン繊維物質の最も好ましい乾燥方法である。流動床乾燥は、いくらか有効性が少なく、またトンネル乾燥は最も効果がなく、しかしすべての乾燥方法は、本発明の流動性粉末風味担体として有用な大豆コチルドン繊維物質を提供するのに有効である。大豆コチルドン繊維物質を乾燥した後、必要であれば、従来の粉砕方法に従って粉末にしてよい。
本発明で有用な大豆コチルドン繊維物質は、市場において入手可能である。例えば、ミズーリ州、セントルイス、デュポンタンパクテクノロジー社から入手可能なFIBRIM(登録商標)1260及びFIBRIM(登録商標)1450は、本発明で有用な大豆コチルドン繊維物質である。
【0007】
本発明の組成物及び方法で使用できる液体風味成分は、一般に市場において入手可能な液体風味成分を含む。特に好ましい液体風味成分は、水性、油、及びアルコールベースの液体風味剤である。これらの液体風味成分は、限定的でないがレモン油、ジャスミン、セージ油、桂皮油、ニンニクの芽(clove bud)、及びオレンジエッセンスオイルを含むエッセンシャルオイル、液体溶媒に混和されたオレオレジン、水又はアルコール抽出物及び植物の蒸留物、果汁濃縮物、及び果汁エッセンス、天然に調製されたエステル、エッセンシャルオイルアイソレイト及び組換えエッセンシャルオイル、また他の通常使用された風味成分を含む。本発明の好ましい態様において、大豆コチルドン繊維物質は、これらの液体風味成分の流動性粉末風味担体として特に有効であるので、液体風味成分は、水性又はアルコールベースとする。液体風味成分中に風味を運ぶための特に好ましいアルコールベースは、プロピレングリコールである。
本発明の組成物は、大豆コチルドン繊維物質上に被覆された風味成分とともに大豆コチルドン繊維物質から形成された流動性粉末風味剤である。この風味成分は、風味成分を大豆コチルドン繊維上に被着し、又は繊維物質とともに風味成分を共乾燥することによって大豆コチルドン繊維上に被覆してもよい。ここで使用される“被着”は、風味担体粉末上に液体風味剤を塗布することとして定義され、最も好ましくは、担体粉末及び塗布した液体風味剤を混合しながら、液体風味剤を噴霧又は微粒化することによる。風味担体粉末上に“被着”されている液体風味剤は、風味担体粉末の露出された表面上に吸収され、露出された表面を被覆する。従って、この風味成分で被着された大豆コチルドン繊維物質は、大豆コチルドン繊維物質の露出表面上がこの風味成分で被覆されている。
【0008】
好ましくは、大豆コチルドン繊維物質は、風味成分が被着されている中空の大豆多糖繊維を含む。この中空の大豆多糖繊維は、それぞれ内面と外面を有し、また風味成分が、中空繊維の内面及び外面両方の上に被着されている。本発明は、そのように企図されていないが、出願人は、大豆コチルドン繊維物質の流動性粉末風味担体としての有効性は、大豆多糖繊維の中空特性のためであると確信している。中空繊維の内部表面は、風味成分が被着されうる外面によって提供される表面領域に加え、表面領域を提供し、そして従来の粉末風味担体は、風味成分が被着されうる外面のみを提供する。従って、従来の粉末風味担体より、多くの風味成分が本大豆コチルドン繊維物質に被着され得、大豆コチルドン繊維物質/風味成分組成物が従来の乾燥粉末風味成分より多くの風味を提供し得、また、本発明の組成物を含む食品のより長い風味保管期限を提供しうる。
最も好ましくは、風味成分が被着されている大豆コチルドン物質の中空の大豆多糖繊維の内面及び外面は、不規則な形状である。中空大豆多糖繊維の不規則形状な内面及び外面は、規則的形状又は滑らかな表面に比較して内面及び外面の表面領域を増しているのは、規則的形状又は滑らか表面に被着されるより、より多くの風味成分が、不規則形状表面に被着されるためである。
【0009】
大豆コチルドン繊維物質/風味成分組成物は、1)大豆コチルドン繊維物質上に液体風味成分を被着し、又は2)液体風味成分を大豆コチルドン繊維物質とともに共噴霧し、好ましくは、この風味剤及び繊維物質の共噴霧乾燥によって調製される。この液体風味成分を粉末大豆コチルドン繊維物質に添加し、また一体とした成分を混合することによって液体風味成分を、大豆コチルドン繊維上に被着してもよい。固体と、大豆コチルドン繊維上に液体風味成分を被着するのに使用され得る液体とを混合する従来法は数多く有る。好ましくは、液体風味成分が、大豆コチルドン繊維物質上に液体風味成分を大豆コチルドン繊維物質上に噴霧することによって被着され、ここで最も好ましくは、噴霧が、微粒化噴霧である。
液体風味成分を大豆コチルドン繊維物質に噴霧する一つの方法は、タンブラーの中に大豆コチルドン繊維物質を置き、タンブラーが成分を混合しながら大豆コチルドン繊維物質を含むタンブラーに液体風味成分を微粒化する。大豆コチルドン繊維物質上に液体風味を噴霧する別の方法は、噴霧器を通して大豆コチルドン繊維又は、液体風味成分の微粒化ミストを、大豆コチルドン繊維が液体風味成分で飽和するまで十分な回数滴下する。
【0010】
上記とは別に、大豆コチルドン繊維物質は、繊維物質を液体風味成分に添加することによって液体風味成分で被覆されてよい。液体風味成分に、大豆コチルドン繊維物質を添加するために、液体風味成分を混合ボール又は液体風味成分を入れることが可能な他の容器中に置き、添加したコチルドン繊維物質を液体風味成分と混合する。大豆コチルドン繊維物質を、液体風味成分及び一体とした繊維物質に添加し、また風味成分を力強く混合する。十分な大豆コチルドン繊維物質を添加し流動性粉末が作り出されるまで、大豆コチルドン繊維物質を液体風味成分に添加する。
風味剤及び繊維物質を素早く混ぜ、同時にそれらを乾燥するいかなる乾燥方法で液体風味成分を、大豆コチルドン繊維物質とともに共乾燥してもよい。風味成分及び繊維物質を共乾燥する最も好ましい方法は、風味剤及び繊維物質を一緒に噴霧乾燥することである。本繊維物質を噴霧乾燥するために、5質量%〜13質量%の固体を有する大豆コチルドン繊維物質の水溶性懸濁液を形成する。その後、繊維物質懸濁液及び液体風味成分は、市場において入手可能な噴霧乾燥機を慣習的な方法で使用して共噴霧乾燥されてよい。噴霧乾燥は、好ましくは相対的に低温度で実施され、風味成分のボリタリゼーション(volitalization)及び温度に誘起された変性を防ぐ。
【0011】
一体とした風味成分及び大豆コチルドン繊維の流動性を維持しながら、風味成分を大豆コチルドン繊維物質上に被着し、又は大豆コチルドン繊維上に被覆した風味成分を最大にする有効量で大豆コチルドン繊維物質と共乾燥する。流動性を維持しながら、大豆コチルドン繊維が吸収できる液体風味成分の量はその液体の性質によって決まる。大豆コチルドン繊維物質は、最も有効な吸収水溶性ベースの液体風味成分であり、水性ベースの液体風味成分の質量の2.5倍まで吸収可能であり、液体風味成分を75質量%まで含有する大豆コチルドン繊維物質/液体風味成分組成物を形成する。大豆コチルドン繊維物質は、油ベース及びアルコールベースの液体風味成分をほとんど有効には吸収しないが、従来の粉末風味担体より、これらの型の液体風味成分を吸収する際、著しくより有効である。大豆コチルドン繊維物質は、油又はアルコールベース液体風味成分のその質量の0.5倍まで吸収でき、液体風味成分を33質量%まで含有する大豆コチルドン繊維成分/液体風味成分組成物を形成する。
大豆コチルドン繊維成分及び液体風味成分によって形成された流動性粉末風味剤組成物は、改良された風味及びより長い保管期限(従来の粉末風味成分によって形成された風味食品材料に比較して)を有する風味食品材料の形成に有用である。風味食品材料は、食品材料に粉末風味成分を分散させる従来の方法で大豆コチルドン繊維物質/液体風味成分の粉末風味剤組成物を食品材料中に分散させることによって形成してもよい。
【0012】
焼いたパンは、この粉末風味組成物が使用され得る特に好ましい風味食品材料である。本発明の粉末風味剤組成物は、そのようなパンの風味保管期限の延長に特に有用である。本発明の粉末食品風味剤組成物を含有する焼いたパンを作るために、上記の方法に従い、パンに風味を添える粉末の食品風味剤組成物を、大豆コチルドン繊維物質に糖蜜(molasses)を被着することで形成する。次いで、パンに風味を提供する効果的な量、典型的には0.1質量%〜5質量%の糖蜜風味の付いた粉末食品組成物をパン生地に添加し、このパン生地をこねて、糖蜜風味の付いた粉末食品組成物をパン生地全体に分散させる。次いでこのパン生地を焼いて、所望のパンを製造する。
乳化した肉は、この粉末食品風味剤組成物が使用されうる別の風味食品材料である。本発明の粉末食品風味剤組成物を含有する乳化した肉を形成するために、乳化した肉に風味付けする粉末食品風味剤組成物を上記記載の方法に従い大豆コチレドン繊維物質に香辛料風味及び肉の雰囲気を有する液体風味成分を被着することによって形成する。この粉末肉風味剤組成物を乳化した肉、例えば骨を抜いた鶏肉、豚肉、及び/又は牛肉と、肉ボールチョッパー又は類似のミキサー中で完全に混合する。混ぜた粉末肉風味剤組成物及び乳化した肉は、その後ケイシング(casing)に詰め込み加熱して肉製品を形成する。
本発明は、以下の実施例でより詳細に説明される。本例は例証を企図し、本発明の範囲を限定もなければ制限として決して解釈されるべきでない。
【実施例1】
【0013】
大豆コチルドン繊維物質の有効性を、水性ベースの風味成分に対する粉末風味担体として、従来の粉末風味担体セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、及びにんじん繊維と対比して、及び大豆外皮繊維セルロースにも対比して試験した。
200グラムの粉末大豆コチルドン繊維物質(デュポンタンパクテクノロジー社製のFIBRIM(登録商標)1260)を、17.7cm(7インチ)の丸い開口と、2.5cm(1インチ)の羽根を3つ有する26.7cm(10.5インチ)の深さのタンブラーに入れる。このタンブラーの前方をSARAN(登録商標)ラップで覆い、噴霧器ノズルを受け入れるための小さい穴をSARAN(登録商標)ラップの中央に形成した。水をデビルビス(De Vilbiss)アトマイザー152のエアゾールリザーバ中に入れ、水及びリザーバの質量を、メトラーPM460天秤で測定する。測定した質量を記録し、噴霧器のノズルをSARAN(登録商標)ラップの穴を通してタンブラー中へ入れた。タンブラーを52rpmの速度に調節し、大豆コチルドン繊維物質及び水の混合物が、自由流動特性を表さなくなるまで、水をタンブラー内で大豆コチルドン繊維物質に噴霧した。適用した水の総量を記録し、また100グラムの混合物質を検証し、上記“流動性”試験に基づきその流動性を決定した。同様の方法を繰り返し、セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、にんじん繊維、及び大豆外皮繊維セルロースに添加しうる水の量を決定し、一方で大豆コチルドン繊維物質をAVICEL(登録商標)セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、にんじん繊維、及び大豆外皮繊維セルロースにそれぞれ置き換えることによって流動性を維持した。添加した水の量、真空オーブン乾燥した物質の水の質量%、及びこれらの物質の流動性への添加した水の効果を示す結果を表1に示す。
【0014】
【表1】

この結果は、大豆コチルドン繊維物質が、他のいずれの物質よりも実質的に大量の水を吸収し、維持する一方で、その流動性を維持することを示す。従って大豆コチルドン繊維物質が、水性ベースの風味成分に対する流動性粉末風味担体として物質的にセルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、にんじん繊維、及び大豆外皮繊維セルロースより好ましい。
【実施例2】
【0015】
プロピレングリコールベースの風味成分に対する粉末風味担体としての大豆コチルドン繊維物質の有用性を従来の粉末風味担体セルロース、マルトデキストリンと対比して、またブドウ糖、及び大豆外皮繊維セルロースとも対比して試験した。
200グラムの粉末大豆コチルドン繊維物質(デュポンタンパクテクノロジー社製FIBRIM(登録商標)1260) を、17.7cm (7インチ)の丸い開口と、2.5cm (1インチ)の羽根を3つ有する26.7cm (10.5インチ)の深さのタンブラーに入れる。このタンブラーの前方をSARAN(登録商標)ラップで覆い、噴霧器ノズルを受け入れるための小さい穴をSARAN(登録商標)ラップの中央に形成した。プロピレングリコールをデビルビス(De Vilbiss)アトマイザー152のエアゾールリザーバ中に入れ、プロピレングリコール及びリザーバの質量を、メトラーPM460天秤で測定する。測定した質量を記録し、噴霧器のノズルをSARAN(登録商標)ラップの穴を通してタンブラー中へ入れた。タンブラーを52rpmの速度に調節し、大豆コチルドン繊維物質及びプロピレングリコールの混合物が、自由流動特性を表さなくなるまで、プロピレングリコールをタンブラー内で大豆コチルドン繊維物質に噴霧した。適用したプロピレングリコールの総量を記録し、また100グラムの混合物質を検証し、上記“流動性”試験に基づきその流動性を決定した。同様の方法を繰り返し、セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、及び大豆外皮繊維セルロースに添加しうるプロピレングリコールの量を決定し、一方で大豆コチルドン繊維物質をAVICEL(登録商標)セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、及び大豆外皮繊維セルロースにそれぞれ置き換えることによって流動性を維持した。添加したプロピレングリコールの量、真空オーブン乾燥した物質のプロピレングリコールの質量%、及びこれらの物質の流動性への添加したプロピレングリコールの効果を示す結果を表2に示す。
【0016】
【表2】

この結果は、大豆コチルドン繊維物質が、セルロースを除く他のいずれの物質よりも実質的に大量のプロピレングリコールを吸収し、一方で、その流動性を維持することを示す。従って大豆コチルドン繊維物質が、プロピレングリコールベースの風味成分に対する流動性粉末風味担体として物質的にマルトデキストリン、ブドウ糖、及び大豆外皮繊維セルロースより好ましい。大豆コチルドン繊維物質は、セルロースより実質的に大量のプロピレングリコールを吸収しながら、見合う流動性を維持する。従って、大豆コチルドン繊維は、プロピレングリコールベースの風味成分に対する流動性粉末風味担体としてセルロースと見合い、又はそれよりもよい。
【実施例3】
【0017】
大豆コチルドン繊維物質の有効性を、油ベースの風味成分に対する粉末風味担体として、従来の粉末風味担体セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖と対比して、また、大豆外皮繊維セルロースとも対比して試験した。
200グラムの粉末大豆コチルドン繊維物質(デュポンタンパクテクノロジー社製のFIBRIM(登録商標)1260)を、17.7cm (7インチ)の丸い開口と、2.5cm (1インチ)の羽根を3つ有する26.7cm (10.5インチ)の深さのタンブラーに入れる。このタンブラーの前方をSARAN(登録商標)ラップで覆い、噴霧器ノズルを受け入れるための小さい穴をSARAN(登録商標)ラップの中央に形成した。一般に使用される風味の油担体であるリポネート(liponate)をデビルビス(De Vilbiss)アトマイザー152のエアゾールリザーバ中に入れ、リポネート及びリザーバの質量を、メトラーPM460天秤で測定する。測定した質量を記録し、噴霧器のノズルをSARAN(登録商標)ラップの穴を通してタンブラー中へ入れた。タンブラーを52rpmの速度に調節し、大豆コチルドン繊維物質及びリポネートの混合物が、自由流動特性を表さなくなるまで、リポネートをタンブラー内で大豆コチルドン繊維物質に噴霧した。適用したリポネートの総量を記録し、また100グラムの混合物質を検証し、上記“流動性”試験に基づきその流動性を決定した。同様の方法を繰り返し、セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、及び大豆外皮繊維セルロースに添加しうるリポネートの量を決定し、一方で大豆コチルドン繊維物質をAVICEL(登録商標)セルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、及び大豆外皮繊維セルロースにそれぞれ置き換えることによって流動性を維持した。添加したリポネートの量、本原料のリポネート質量%、及びこれらの物質の流動性へのリポネートの効果を示す結果を表3に示す。
【0018】
【表3】

この結果は、大豆コチルドン繊維物質が、他のいずれの物質よりも実質的に大量の油を吸収し一方で、その流動性を維持する。従って大豆コチルドン繊維物質が、油ベースの風味成分に対する流動性粉末風味担体としてセルロース、マルトデキストリン、ブドウ糖、にんじん繊維、及び大豆外皮繊維セルロースより物質的に好ましい。
当業者であれば、本発明の意図から離れずに開示されたように本発明を種々の変更を加えてよい。本発明は、開示された実施態様に限定されず、これは実例の目的であり、添付したクレーム及びその等価物の範囲によって限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)大豆コチルドン繊維物質、及び
(2)前記大豆コチルドン繊維物質上に被覆された風味成分、
を含むことを特徴とする流動性粉末風味剤組成物。
【請求項2】
前記大豆コチルドン繊維物質が、中空の大豆多糖繊維を含み、中空の大豆多糖繊維が内面及び外面を有し、かつ前記大豆コチルドン繊維物質の前記中空の大豆多糖繊維の内面及び外面に、前記風味成分が、被覆されている請求項1に記載の風味剤組成物。
【請求項3】
前記中空の大豆多糖繊維の前記内面及び外面が、不規則な形をしている請求項3に記載の風味剤組成物。
【請求項4】
流動性粉末風味剤組成物の製造方法であって、大豆コチルドン繊維物質を液体風味成分で被覆する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記液体風味成分が、前記大豆コチルドン繊維物質上に被着されて、前記大豆コチルドン繊維物質上に前記液体風味成分を被覆する前記請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記大豆コチルドン繊維物質が、中空の大豆多糖繊維を含み、中空の大豆多糖繊維が、内面及び外面を有し、かつ前記液体風味成分が、前記大豆コチルドン繊維物質の前記中空の大豆多糖繊維の前記内面及び前記外面に被着された請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中空の大豆多糖繊維が、不規則な表面形状を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記液体風味成分及び前記大豆コチルドン繊維物質が、共噴霧乾燥されて、前記液体風味成分を前記大豆コチルドン繊維物質上に被覆する請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記大豆コチルドン繊維物質が、中空の大豆多糖繊維を含み、中空の大豆多糖繊維が、内面及び外面を有し、かつ前記液体風味成分を前記大豆コチルドン繊維物質とともに共噴霧乾燥して、前記大豆コチルドン繊維物質の前記中空の大豆多糖繊維の前記内面及び外面を前記液体風味成分で被覆する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中空の大豆多糖繊維が、不規則な表面形状を有する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記液体風味成分が、水性風味剤含有溶液又は懸濁液である請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記液体風味成分が、油である請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記液体風味成分が、アルコール香味料含有溶液又は懸濁液である請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記アルコールが、水性アルコールである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記アルコールが、プロピレングリコールである請求項13に記載の方法。
【請求項16】
(1)食品材料、及び(2)前記食品材料中に分散された粉末風味剤組成物を含む風味食品材料であって、前記粉末風味剤組成物が、大豆コチルドン繊維物質及び前記大豆コチルドン繊維物質上に被覆された風味成分を含むことを特徴とする食品材料。
【請求項17】
前記食品材料が、焼いたパンである請求項16に記載の風味食品材料。
【請求項18】
前記食品材料が、肉である請求項16に記載の風味食品材料。

【公開番号】特開2006−103(P2006−103A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2004−206588(P2004−206588)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504140299)ソレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (42)
【Fターム(参考)】