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乾燥用シート
説明

乾燥用シート

【課題】薄くて小さいものにすることができて衛生的であり、低コスト化を図ることができる乾燥用シートを提供すること。
【解決手段】複合紙10を、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とからなるように抄紙技術により形成して、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状にし、この複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化することにより、少なくとも端面13にて外気に触れるようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば漢方薬や医薬品、健康食品、さらには電子部品を包装する袋または容器中の乾燥を行うための乾燥用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
漢方薬や健康食品あるいは電子部品を包装する袋または容器中に、湿気や水分が存在すると、これらの湿気や水分によって漢方薬や健康食品等が変質し、場合によってはこれらの漢方薬や健康食品等に「カビ」が発生して利用価値がなくなることがある。勿論、電子部品を収納している容器内に湿気や水分が存在すると、これらの湿気や水分によって電子部品にショート発生等の不具合を招き易いことも知られている。
【0003】
そこで、このような漢方薬や医薬品、あるいは、健康食品、さらには電子部品の包装用の袋または容器中に、乾燥を行うための乾燥剤を入れておくことが考えられるのであるが、このような「乾燥」を行うものとしては、例えば特許文献1等で数多く提案されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−32385号公報、要約、代表図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された「電子部品包装用シート及びこれを用いた包装方法」は、「電子部品を良好な乾燥状態に保持し、かつ発生する静電気を良好に外部に逃がし、かつ外部からの電磁波を良好に遮断し得る包装用シートの提供」を目的としてなされたもので、図7にも示すように、「電子部品を包むことのできる包装用シート2は片面側が通気性シート6で構成され、他面側が導電層と絶縁層を有する非通気性シート7で構成され、両シート6,7間に多数の区画された分包部3が形成されており、各分包部3には、シリカゲル15と通電性の発泡ビーズ16が封入されて構成されている」である。
【0006】
しかしながら、この電子部品包装用シートは、「両シート6,7間に多数の区画された分包部3が形成されており、各分包部3には、シリカゲル15と通電性の発泡ビーズ16が封入されて構成」したものであるから、「両シート6,7間に多数の区画された分包部3」を積極的に形成しなければならないものであって、これらの「分包部3」の形成のために、全体のコストが高くなるものと考えられる。
【0007】
特に、形成した「分包部3」内に「シリカゲル15を封入して構成」された乾燥用シートは、図7にも示したように、各分包部3間に無駄な空間がたくさん形成されて扁平ではなく、非常に嵩張るものとなると考えられる。
【0008】
そして、非常に嵩張る特許文献1の「電子部品包装用シート」を、薬品や健康食品の容器中に封入されるべき「乾燥用シート」として見た場合、容器の容積を小さなものとしてしまうだけでなく、商品としての薬品や健康食品の見栄えを非常に悪くすると考えられる。
【0009】
勿論、出願人も、「乾燥剤」として、「シリカゲル」だけでなく「塩化カルシウム」等があることは十分承知しているが、このような「塩」を採用した場合、吸収した水分によって乾燥用シート自体がベトついて周囲を汚損し易くなり、薬品や健康食品は言うに及ばず、電子部品についても悪影響を及ぼすことになるので、採用できないことは既に実証済みなのである。
【0010】
いずれにしても、従来の乾燥剤あるいはシートは、漢方薬、医薬品や健康食品等を包装する袋または容器内に入れて、漢方薬等からの湿気または水分を乾燥するものとしては好ましくないものであった。換言すれば、漢方薬等を包装する袋または容器内に入れて、漢方薬等からの湿気または水分を乾燥するものとしては、次のような条件を満たすものとする必要がある。
(1)包装用袋または包装用容器内に入れて乾燥を行うのであるから、薄くて小さいものであること
(2)隣接することになる漢方薬等を乾燥剤によって汚損しない衛生的なものであること
(3)製造が簡単で低コストであること
【0011】
そこで、本発明者は、この種の乾燥用シートについて、上述した(1)〜(3)の条件を満たすにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0012】
本発明は、以上の実状に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、乾燥用シートを、より低コストでしかも効果的なものとすることである。
【0013】
すなわち、本発明の目的とするところは、薄くて小さいものにすることができて衛生的であり、低コスト化を図ることができる乾燥用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する実施の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「複合紙10の表裏両面にフィルム20・20を一体化した乾燥用シートであって、
複合紙10を、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とからなるように抄紙技術により形成して、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状にし、
この複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化することにより、少なくとも端面13にて外気に触れるようにしたことを特徴とする乾燥用シート」
である。
【0015】
すなわち、この請求項1に係る乾燥用シートは、図1の(a)及び図2に示すように、複合紙10の表裏両面にフィルム20・20を一体化したことを基本形態とするものであるが、複合紙10は抄紙技術により形成したものである。つまり、複合紙10は、紙繊維11、シリカゲル粒子12、及び必要な抄紙成分を分散させたスラリーを抄紙機で抄紙することにより形成したものであり、特に、シリカゲル粒子12については乾燥重量で10〜70重量%とし、残部を紙繊維11とするものである。このように、複合紙10を抄紙技術により形成すれば、複合紙10を連続的に短時間で形成することができることになり、ひいては乾燥用シート全体を非常に低コストで製造することができるのである。
【0016】
複合紙10を構成しているシリカゲル粒子12が、乾燥重量で10〜70重量%である必要があるのは、10重量%より少ないと、このシリカゲル粒子12による乾燥が十分行えないからであり、70重量%より多いと、紙繊維11による保持ができにくくなり、当該乾燥用シートからシリカゲル粒子12が脱落し易くなるからである。中でも、この複合紙10を構成しているシリカゲル粒子12は、乾燥重量で10〜40重量%であることが最もバランスが良くて好ましい。
【0017】
また、シリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とからなる生シートは、抄紙技術におけるように乾燥されて、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状とされる必要があるが、その理由は、厚さが0.3mmより薄いと、乾燥に必要なシリカゲル粒子12の量を十分確保できないからである。一方、このシートの厚さが4.0mmより厚いと、シート状にしにくいだけでなく、乾燥用シート全体が厚くなり過ぎて嵩張るものとなってシート状にした意味がなくなるからである。
【0018】
さらに、この乾燥用シートは、これを構成している複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化する必要がある。各フィルム20の複合紙10に対する一体化を行うにあたっては、接着剤を使用したり、フィルム20を複合紙10に熱圧着する際の、フィルム20自体の軟化あるいは溶融を利用したりする等、種々な手段が適用できる。換言すれば、複合紙10表裏両面に一体化されるべきフィルム20自体としては、上記の熱プレスによって軟化もしくは溶融するようなものである必要は必ずしもなく、例えば、ポリプロピレンフィルムやアルミ箔などであってもよいことになる。
【0019】
また、複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化しなければならない理由は、複合紙10内のシリカゲル粒子12が脱落しないようにするためである。なお、このフィルム20には、図2あるいは図3に示すように、当該乾燥用シートの商品名や注意書き等の印刷23を施すことができる。
【0020】
そして、この乾燥用シートは、図1及び図2にも示すように、少なくとも端面13にて外気に触れるものとなっている。この乾燥用シートの端面13には、紙繊維11によって網目状で非常に小さく形成された複合紙10内の複雑な穴の端部が多数開口しており、これらの多数の開口を通して、外気中の「湿気または水分」が複合紙10内のシリカゲル粒子12に吸着されることになるのである。つまり、この乾燥用シートは、その端面13から湿気や水分の吸収、つまり乾燥を行うことになるのである。
【0021】
この端面13は、大きな面積の複合紙10及びフィルム20からなる乾燥用シートを、所定寸法のものに裁断することにより、図1の(a)や(b)に示すように、自動的に現れるものであって、図5に示すような、フィルム20に切込24を形成した乾燥用シートや、図6に示すような、切込16を形成した乾燥用シートにしなくても、乾燥用シート内部のシリカゲル粒子12による乾燥機能を発揮させる箇所となるものである。換言すれば、図5に示す切込24や、図6に示す切込16を備えていなくても、この端面13を存在させるだけで乾燥機能を発揮させることができるのであり、このことが、「少なくとも」の意味である。
【0022】
従って、この請求項1の乾燥用シートは、薄くて小さいものにすることができて衛生的であり、低コスト化を図ることができるものとなっているのである。
【0023】
また、上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1のそれについて、
「複合紙10は、熱プレスによって軟化もしくは溶融する1〜20重量%の合成樹脂繊維14を含むこと」
としたことである。
【0024】
この請求項2に係る乾燥用シートは、図3の(b)及び図4に示すように、複合紙10の構成材料として、熱プレスによって軟化もしくは溶融する1〜20重量%の合成樹脂繊維14をも採用している点が、上記請求項1に係るそれと異なるものである。このため、以下では、この合成樹脂繊維14を中心とした説明のみを行い、複合紙10、紙繊維11、シリカゲル粒子12及び端面13については、これと同一の符号を図3の(b)及び図4中に示して、これらの詳細説明は省略する。
【0025】
すなわち、この請求項2に係る乾燥用シートは、前述した請求項1の乾燥用シートと同様に、複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化したものではあるが、両者の一体化と、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着を図る手段を次のように工夫したものである。
【0026】
つまり、この乾燥用シートでは、シリカゲル粒子12を保持すべき複合紙10中に、熱プレスによって軟化もしくは溶融する合成樹脂繊維14を混入しておき、この合成樹脂繊維14が熱プレスによって接着剤の役目を果せるようにしたものである。つまり、この合成樹脂繊維14は、熱プレス時の熱によって軟化若しくは溶融することによって、複合紙10と表裏両面のフィルム20との接着、及び紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着を確実にする接着剤の役目を果すものである。
【0027】
この合成樹脂繊維14の量は、1〜20重量%である必要がある。この合成樹脂繊維14の量が1重量%以下であると、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着が良好にならなくて、シリカゲル粒子12の複合紙10からの脱落を招き易くなるだけでなく、当該複合紙10に対するフィルム20の接着、つまり一体化が十分行えないからである。逆に、この合成樹脂繊維14の量が20重量%より多いと、熱プレス時の熱により軟化若しくは溶融した合成樹脂繊維14が複合紙10内の隙間を埋め易くなるだけでなく、シリカゲル粒子12の保持空間を相対的に少なくしてしまうし、複合紙10内の湿気または水分吸収空間もしくは湿気または水分通過空間を少なくしてしまい、乾燥材としての機能を十分果せなくなるからである。中でも、紙繊維11と合成樹脂繊維14とからなる原紙中における合成樹脂繊維14の量としては、10重量%前後が最も好ましいものである。
【0028】
抄紙技術で形成した複合紙10の表裏両面には、図4にも示すように、合成樹脂繊維14が部分的に現れており、この合成樹脂繊維14の他の部分は、紙繊維11やシリカゲル粒子12と絡み付いて複合紙10中にある。そこで、このような複合紙10の表裏両面に対してフィルム20を熱プレスによって圧着すれば、各合成樹脂繊維14が軟化若しくは溶融するから、特に複合紙10の表面側の各合成樹脂繊維14とフィルム20とが接着されて、複合紙10の表裏両面へのフィルム20の一体化がなされるのである。勿論、この際、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着もなされるから、シリカゲル粒子12の複合紙10からの脱落が防止されるのである。
【0029】
以上の結果、複合紙10表裏両面に一体化されるフィルム20自体としては、上記の熱プレスによって軟化もしくは溶融するようなものである必要はなく、例えば、ポリプロピレンフィルムやアルミ箔などであってもよいことになり、接着剤も不要である。何故なら、軟化もしくは溶融した各合成樹脂繊維14が、接着剤としての機能を十分発揮するからである。勿論、このフィルム20としては、合成樹脂繊維14と同様な材料(例えばポリエチレン)であってもよい。
【0030】
このフィルム20の内面には、図3の(b)及び図4に示すように、種々な表示を行うための印刷23を施すことが可能になる。つまり、完成された乾燥用シートにおいては、印刷23をフィルム20の内部または内側にすることができるのであり、この乾燥用シートに漢方薬やお菓子等が触れても、印刷23のインクが移ることを無くすことができるのである。なお、このような印刷23が内面になされる場合、この印刷23がフィルム20内面の全面になされる訳ではないから、接着剤の役目を果す軟化もしくは溶融した合成樹脂繊維14の接着部分は十分確保されている。
【0031】
また、このフィルム20は、合成樹脂繊維14によって複合紙10に接着できるため単層のものとすることができ、当該乾燥用シートの製造をより簡単にできるだけでなく、市販のものを十分利用でき、結果として、乾燥用シート全体のコストを大幅に削減できるものである。
【0032】
なお、このフィルム20は、湿気または水分を内側の複合紙10に通さなければならないから、例えば延伸度を高めてある程度の通気性を有したものであってもよく、また延伸度の低いものである場合には、多数の通気孔を有するものにしたり、図5に示すような切込24を形成したものであっても良い。
【0033】
従って、この請求項2の乾燥用シートは、請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、複合紙10の表裏両面へのフィルム20の一体化や、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着がなされて、シリカゲル粒子12の複合紙10からの脱落が防止され、しかも印刷23を内側に形成することができるものともなっているのである。
【0034】
上記課題を解決するために、請求項3に係る発明の採った手段は、請求項1または請求項2に記載の乾燥用シートについて、
「複合紙10は、1〜10重量%の合成樹脂からなる有機バインダーをさらに含むこと」
である。
【0035】
有機バインダーは、図2にも示すように、複合紙10内において、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着を積極的に行うものである。つまり、この有機バインダーは、複合紙10を抄紙技術で形成する際に、紙繊維11やシリカゲル粒子12とともにスラリー原料となるものであり、抄紙後において、紙繊維11とシリカゲル粒子12との接着、さらにこれらと合成樹脂繊維14との接着を行うものである。
【0036】
この有機バインダーは、請求項1の乾燥シートの場合も、請求項2の乾燥シートの場合も、複合紙10中に1〜10重量%含有されていることが必要であり、請求項1の乾燥シートの場合、この量の有機バインダーと、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とで複合紙10が構成され、請求項2の乾燥シートの場合、同有機バインダーと、1〜20重量%の合成樹脂粉末14と、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とで複合紙10が構成される。
【0037】
この合成樹脂からなる有機バインダーの、複合紙10中に含まれるべき量を、1〜10重量%とする必要があるが、その理由は、この有機バインダーの量が1重量%より少ないと、シリカゲル粒子12の複合紙10からの脱落を十分防止することができないからであり、一方、10重量%よりも多いと、この有機バインダーがシリカゲル粒子12の微細孔を塞いでしまって、シリカゲル粒子12による乾燥効果を阻害してしまう可能性を大きくするからである。
【0038】
上述したように、この有機バインダーは、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着を行うものであるから、シリカゲル粒子12は、複合紙10から容易に脱落しない。換言すれば、この乾燥シート製造時等において、シリカゲル粒子12が脱落して他に付着することはないから、このシリカゲル粒子12が周囲にあるものを汚損することはなく、衛生的でもあるのである。勿論、乾燥シートとして完成された場合でも、この有機バインダーは、端面13からのシリカゲル粒子12の脱落を防止するから、漢方薬や電子部品等、周囲にあるものを汚損させない機能も有している。
【0039】
従って、この請求項3の乾燥シートは、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、有機バインダーの存在によって、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着が積極的に行われているのである。
【0040】
上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、請求項1〜請求項3に記載の乾燥用シートについて、
「シリカゲル粒子12を、粒径が1μm〜100μmのものとしたこと」
である。
【0041】
各シリカゲル粒子12は、湿気または水分を吸着するための多数の微細孔を有しているものであるが、これらの微細孔は、その表面側に開口していなければ外気中の湿気または水分を吸着することはできない。そして、これらの微細孔は、各シリカゲル粒子12の内部まで連通しているが、各シリカゲル粒子12における微細孔の全容積はシリカゲル粒子12の表面積に対して小さい程湿気または水分の吸着が効果的になされる。換言すれば、各シリカゲル粒子12は、比表面積が大きければ大きい程、あるいはその平均粒径が小さければ小さい程、湿気または水分の吸着を効果的に行うものである。
【0042】
そこで、この請求項4の乾燥用シートでは、各シリカゲル粒子12の粒径が1μm〜100μmのものを採用することによって、乾燥機能を高めるようにしたものである。各シリカゲル粒子12の粒径が1μm〜100μmとする必要があるのは、まず、各シリカゲル粒子12の粒径が1μmより小さいと、比表面積は大きいが抄紙段階での歩留まりが悪く、値段が非常に高いシリカゲル粒子12を使用することになって、乾燥用シート自体のコストが上がってしまうからである。
【0043】
これに対して、各シリカゲル粒子12の粒径が100μmより大きいと、比表面積が小さくなり粒度が粗くなることから抄紙段階での歩留まりが悪くなるからである。それだけでなく、粒径が100μmより大きいシリカゲル粒子12は、内部の微細孔を乾燥に十分利用できないことになって、乾燥用シート全体として乾燥機能が劣ることになるからである。
【0044】
従って、この請求項4に係る乾燥用シートは、上記請求項1〜3のそれと同様な機能を発揮する他、乾燥機能をより高め得るものとなっているのである。
【0045】
以上の有機バインダーは、請求項5に記載の発明のように、
「前記有機バインダーを、アクリル樹脂またはラテックスとしたこと」
とすることができる。
【0046】
アクリル樹脂またはラテックスからなる有機バインダーは、安価に入手できることから、紙繊維11とシリカゲル粒子12との接着を安価に行うことができるのである。
【0047】
従って、このアクリル樹脂またはラテックスからなる有機バインダーを採用した請求項5に係る乾燥シートは、この有機バインダーによってより安価で、シリカゲル粒子12が脱落しにくい効果的なものとなっているのである。
【0048】
そして、上記課題を解決するために、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項5に記載の乾燥用シートについて、
「フィルム20を、熱圧着時に軟化もしくは溶融して複合紙10側に接着される内側フィルム21と、この内側フィルム21より融点が高くて、内側フィルム21の外側に一体化される外側フィルム22とにより構成したこと」
である。
【0049】
すなわち、この請求項6に係る乾燥用シートは、図3の(a)及び(b)に示すように、フィルム20が、熱圧着時に軟化もしくは溶融して複合紙10側に接着される内側フィルム21と、この内側フィルム21より融点が高くて、内側フィルム21の外側に一体化される外側フィルム22とにより構成されているものである。
【0050】
フィルム20を構成している内側フィルム21は、フィルム20を複合紙10の表裏両面に熱圧着すれば軟化もしくは溶融するものであり、この軟化もしくは溶融によって複合紙10側に接着されることになるものである。何故なら、軟化もしくは溶融した内側フィルム21は、複合紙10を構成している少なくとも紙繊維11に絡み付くとともに、その外側にある外側フィルム22を保持したままとなっているからである。
【0051】
勿論、この内側フィルム21の軟化もしくは溶融時には、外側フィルム22は軟化もしくは溶融しておらず、そのフィルムとしての形態を維持したままである。このため、この熱圧着時に、その熱板にフィルム20が接着することはなく、円滑に熱圧着作業が行える。
【0052】
以上の結果、複合紙10内に有機バインダーが混入されている場合は勿論、有機バインダーが混入されていない場合であっても、フィルム20は、これを複合紙10の表面に熱圧着という簡単な手段によって、複合紙10に対する一体化が果たされるのである。
【0053】
従って、この請求項6の乾燥用シートは、上記請求項1〜6のそれと同様な機能を発揮する他、フィルム20の複合紙10表面に対する一体化をより一層簡単に行えるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0054】
以上、詳述した通り、本発明においては、上記実施例にて例示した如く、
「複合紙10の表裏両面にフィルム20・20を一体化した乾燥用シートであって、複合紙10を、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とからなるように抄紙技術により形成して、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状にし、この複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化することにより、少なくとも端面13にて外気に触れるようにしたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、薄くて小さいものにすることができて衛生的であり、低コスト化を図ることができ、しかも漢方薬等の内容物との混同も招くこともない乾燥用シートを提供することができるのである。
【0055】
すなわち、本発明に係る乾燥用シートによれば、
(1)包装用袋または包装用容器内に入れて乾燥を行うのに適した、薄くて小さいものとすることができた
(2)隣接することになる漢方薬等を乾燥剤によって汚損しない衛生的なものとすることができた
(3)製造が簡単で低コストなものとすることができた
といったことの全てを満足することのできる、優れた効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る乾燥用シートを示すもので、(a)は外形を四角にした場合の斜視図、(b)は外形を円形にした斜視図である。
【図2】図1に示した乾燥用シートの拡大縦断面図である。
【図3】同乾燥用シートを部分的に拡大したもので、(a)は請求項1に係る乾燥用シートの部分拡大縦断面図、(b)は請求項2に係る乾燥用シートの部分拡大縦断面図である。
【図4】請求項2に係る乾燥用シートであって、複合紙10に両フィルム20を圧着しようとしている状態を示す部分拡大分解断面図である。
【図5】同乾燥用シートの他の実施例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)の1−1線部の部分拡大縦断面図である。
【図6】同乾燥用シートのさらに他の実施例を示すもので、(a)は斜視図、(b)は(a)の2−2線部の部分拡大縦断面図である。
【図7】特許文献3に示された乾燥用シートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を図面に示した実施の形態である乾燥用シートについて説明すると、図1及び図2には請求項1に係る乾燥用シートが、また図3の(a)及び(b)のぞれぞれには、請求項1及び請求項2に係る乾燥用シートの部分拡大断面図が示してある。
【0058】
図1に示した乾燥用シートは、図2と図3の(a)にも示したように、中央に位置した複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化したものであり、複合紙10は、紙繊維11とシリカゲル粒子12とをスラリー中に分散させておいて、これを抄紙技術によって抄紙することによって製造される。つまり、複合紙10は、紙繊維11とシリカゲル粒子12とを分散させたスラリーを抄紙機で抄紙することにより形成したことを基本とするものであり、特に、シリカゲル粒子12を乾燥重量で10〜70重量%となるようにし、残部が紙繊維11であるようにしたものである。
【0059】
紙繊維11の材料としては、所謂紙パルプを代表とするパルプが使用されるが、このパルプは、NBKP、LBKP、リンター(綿)パルプ等の天然セルロース繊維である。
【0060】
複合紙10を構成しているシリカゲル粒子12は、平均粒径が小さい方が好ましいが、本実施形態では、粒径が1μm〜100μmのものを採用している。特に、この実施形態では、比較的安価に入手できること、乾燥機能が効果的であること、及び乾燥用シート自体のシート化、つまり上記紙繊維11への十分な絡まりを一般的な抄紙技術でも容易に行える等の理由から、粒径が30μm〜90μmのものを採用した。
【0061】
複合紙10を構成するシリカゲル粒子12は、乾燥重量で10〜70重量%である必要があるが、その理由は、10重量%より少ないと、このシリカゲル粒子12による乾燥が十分行えないからであり、70重量%より多いと、紙繊維11による保持が完全になりにくく、当該乾燥用シートからシリカゲル粒子12が脱落し易くなるからである。中でも、この複合紙10を構成しているシリカゲル粒子12の含有量を、乾燥重量で10〜40重量%とすると、十分な乾燥機能を有して脱落も非常に少なく、最もバランスが良いものとなった。
【0062】
また、シリカゲル粒子12と、残部の紙繊維11とからなる生シートは、抄紙技術におけるように乾燥されるのであるが、その場合、乾燥に必要なシリカゲル粒子12の量を十分確保できて、シート状にし易く、かつ全体が厚くなり過ぎて嵩張ならないようにするために、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状になるようにした。特に、厚さを1.2mm〜3.5mmのシート状にした場合、乾燥用シートとして十分好ましい剛性のものとなった。
【0063】
さらに、この実施形態の乾燥用シートは、図1及び図2に示したように、上記複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化して形成した。各フィルム20の複合紙10に対する一体化を行うにあたっては、接着剤を使用したり、フィルム20を複合紙10に熱圧着する際のフィルム20自体の軟化あるいは溶融を利用したりする等、種々な手段が適用できる。また、複合紙10の表裏両面にフィルム20を一体化したのは、複合紙10内のシリカゲル粒子12が脱落しないようにするためである。
【0064】
このフィルム20としては、単純に、一枚のものであってもよく、本実施例ではポリプロピレンを使用したが、このフィルム20としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートやアルミ箔であってもよいものである。また、このフィルム20については、通気性を備えていると好都合であるが、そのためにフィルム20自体の延伸度を高めたり、パンチングや針を挿通する方法等によって、フィルム20に微細孔を形成したり、切込24や乾燥用シート全体への切込16を形成したりすることがなされる。
【0065】
フィルム20を複合紙10に熱圧着する際のフィルム20自体の軟化あるいは溶融を十分利用できるようにするためには、図3の(a)及び(b)に示したように、フィルム20を、熱圧着時に軟化もしくは溶融して複合紙10側に接着される内側フィルム21と、この内側フィルム21より融点が高くて、内側フィルム21の外側に一体化される外側フィルム22とにより構成するとよい。
【0066】
内側フィルム21は、フィルム20を複合紙10の表裏両面に熱圧着すれば軟化もしくは溶融して、複合紙10を構成している少なくとも紙繊維11に絡み付くとともに、その外側にある外側フィルム22を保持したままとなる。そして、この内側フィルム21の軟化もしくは溶融時には、外側フィルム22は軟化もしくは溶融せず、そのフィルムとしての形態を維持したままである。このため、このフィルム20の熱圧着時に、その熱板にフィルム20が接着することはなく、円滑に熱圧着作業が行える。
【0067】
さらに、このフィルム20には、図3にも示したように、当該乾燥用シートの商品名や注意書き等の印刷23が施されるのであるが、このフィルム20を複合紙10に一体化するにあたっては、この印刷23が内側となるようにする。内側に印刷23を施すときのフィルム20は、透明または半透明である必要があるから、その場合には、フィルム20の材料としてポリプロピレン(複合紙10中の合成樹脂繊維14や有機バインダーの軟化温度よりも高い軟化温度を有している合成樹脂材料)を採用するとよい。勿論、フィルム20が内側フィルム21と外側フィルム22とによって形成したものである場合には、図3の(a)及び(b)に示したように、これらの内側フィルム21または外側フィルム22の内側に印刷23を形成するとよい。
【0068】
このフィルム20を複合紙10表裏両面に一体化する熱プレスの温度としては、80度〜200度のものであるが、この温度は、内側フィルム21が軟化若しくは溶融される程度、例えば80度〜150度に、適宜調整される。
【0069】
そして、この乾燥用シートは、図1にも示したように、少なくとも端面13にて外気に触れるものとなっている。この乾燥用シートの端面13には、紙繊維11によって網目状で非常に小さく形成された複合紙10内の複雑な穴の端部が多数開口しており、これらの多数の開口を通して、外気中の「湿気または水分」が複合紙10内のシリカゲル粒子12に吸着されることになるのである。つまり、この乾燥用シートは、その端面13から乾燥を行うことになるのである。
【0070】
この端面13は、この端面13は、大きな面積の複合紙10及びフィルム20からなる乾燥用シートを、所定寸法のものに裁断することにより、図1の(a)や(b)に示したように、四角または円形のものとして自動的に現れるものである。この乾燥用シートに積極的に形成した端面13には、乾燥を行うシリカゲル粒子12が直接的に現れていることもあるが、それよりも、紙繊維11及びシリカゲル粒子12間に形成されている空間の開口が、この端面13から多数露出していることが重要である。何故なら、これらの端面13に開口している開口を通して、複合紙10の内部に多く存在している各シリカゲル粒子12に外気が接触することができるからであり、各シリカゲル粒子12による乾燥がこれらの開口を通して効果的になされるからである。
【0071】
なお、図5に示したように、フィルム20に切込24を形成しておいた乾燥用シートや、図6に示したように、切込16を形成した乾燥用シートとして実施してもよい。切込24は、乾燥用シートのフィルム20から、切り取り端面ではない複合紙10の端面13をさらに露出させようとするものであり、乾燥用シート内部のシリカゲル粒子12による乾燥機能をさらに発揮させるものである。また、図6に示した切込16は、複合紙10にフィルム20を一体化した後に、外形裁断と同時に打ち抜き等によって形成したもので、この切込16からは複合紙10の端面が外気に対して臨むことになる。
【0072】
さて、図3の(b)及び図4には、複合紙10を、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子12と、熱プレスによって軟化もしくは溶融する1〜20重量%の合成樹脂繊維14と、残部の紙繊維11とからなるように抄紙技術により形成して、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状にした乾燥用シートの実施形態が示してある。
【0073】
合成樹脂繊維14と、紙繊維11、及びシリカゲル粒子12とをスラリー中に分散させて、このスラリーから複合紙10を、通常の抄紙方法によって抄紙した。なお、合成樹脂繊維14を使用する場合には、スラリー中に高分子凝固剤を0.3重量%添加する。
【0074】
なお、複合紙10には、1〜10重量%の合成樹脂からなる有機バインダーをさらに含ませるとよい。有機バインダーは、図2にも示したように、複合紙10内において、紙繊維11に対するシリカゲル粒子12の接着をより積極的に行うことができるからである。つまり、この有機バインダーは、複合紙10を抄紙技術で形成する際に、紙繊維11やシリカゲル粒子12とともにスラリー原料とすれば、抄紙後において、紙繊維11とシリカゲル粒子12との接着、さらにこれらと合成樹脂繊維14との接着を行うことができる。
【0075】
抄紙された複合紙10を、加圧機にかけて水分を絞り出し、厚さ0.5〜5mmまでの生シートを得て、この生シートを乾燥機にかけて乾燥させた。
【符号の説明】
【0076】
10 複合紙
11 紙繊維
12 シリカゲル粒子
13 端面
14 合成樹脂繊維
15 露出面
16 切込
20 フィルム
21 内側フィルム
22 外側フィルム
23 印刷
24 切込

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合紙の表裏両面にフィルムを一体化した乾燥用シートであって、
前記複合紙を、乾燥重量で10〜70重量%のシリカゲル粒子と、残部の紙繊維とからなるように抄紙技術により形成して、厚さが0.3mm〜4.0mmのシート状にし、
この複合紙の表裏両面にフィルムを一体化することにより、少なくとも端面にて外気に触れるようにしたことを特徴とする乾燥用シート。
【請求項2】
前記複合紙は、熱プレスによって軟化もしくは溶融する1〜20重量%の合成樹脂繊維を含むことを特徴とする請求項1に記載の乾燥用シート。
【請求項3】
前記複合紙は、1〜10重量%の合成樹脂からなる有機バインダーをさらに含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乾燥用シート。
【請求項4】
前記シリカゲル粒子12を、粒径が1μm〜100μmのものとしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の乾燥用シート。
【請求項5】
前記有機バインダーを、アクリル樹脂またはラテックスとしたことを特徴とする請求項3〜請求項4のいずれかに記載の乾燥用シート。
【請求項6】
前記フィルム20を、熱圧着時に軟化もしくは溶融して前記複合紙10側に接着される内側フィルム21と、この内側フィルム21より融点が高くて、前記内側フィルム21の外側に一体化される外側フィルム22とにより構成したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の乾燥用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−167396(P2012−167396A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28523(P2011−28523)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000217295)田中製紙工業株式会社 (15)
【出願人】(597022403)山仁薬品株式会社 (2)
【出願人】(310022187)山仁産業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】