乾燥装置、及び導電性ペーストの乾燥方法
【課題】複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上に配して被乾燥物を搬送しつつ、前記被乾燥物に熱風を吹きつけても、シートアタックが生じることもなく、被乾燥物のバタツキを抑制することができるようにする。
【解決手段】複数の搬送ローラ1を同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配し、搬送ローラ1と対向状に噴射ノズル2を設け、該噴射ノズル間に排気ダクトが設けられている。噴射ノズル2は、テーパ部9の先端が鈍角状に折曲されて折曲部10を形成している。搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した該搬送ローラの外周円弧部分12に長尺シート状の被乾燥物5が押し当てられるように、矢印B方向に噴射ノズル2からの熱風が被乾燥物5に吹き付けられる。
【解決手段】複数の搬送ローラ1を同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配し、搬送ローラ1と対向状に噴射ノズル2を設け、該噴射ノズル間に排気ダクトが設けられている。噴射ノズル2は、テーパ部9の先端が鈍角状に折曲されて折曲部10を形成している。搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した該搬送ローラの外周円弧部分12に長尺シート状の被乾燥物5が押し当てられるように、矢印B方向に噴射ノズル2からの熱風が被乾燥物5に吹き付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥装置、及び導電性ペーストの乾燥方法に関し、より詳しくはセラミックグリーンシートの表面に形成された導電層を乾燥させるのに適した乾燥装置、及びセラミックグリーンシートの表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させるための導電性ペーストの乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等の積層型セラミック電子部品は、内部電極となるべき導電パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層し、得られたセラミック積層体を焼成処理することによって内部電極が埋設されたセラミック素体を形成し、該セラミック素体の両端部に外部電極を形成することで構成されている。
【0003】
この種の積層型セラミック電子部品の生産方法は、従来より、良好な生産性を確保する観点から、いわゆる多数個取り方式により量産されている。すなわち、成形加工された長尺状のセラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗付して所定パターンの導電層を形成し、該導電層を乾燥させた後、該導電層の形成されたセラミックグリーンシートを複数毎積層し、圧着してセラミックブロックを形成し、該セラミックブロックを所定寸法に切断してセラミック積層体を得ている。
【0004】
上記した導電層形成後の乾燥処理には、熱風乾燥炉が広く使用されており、また、熱風乾燥炉としては、いわゆるロールサポート方式が多用されている。
【0005】
このロールサポート方式の熱風乾燥炉は、搬送ローラが所定間隔毎に設けられ、かつ、該搬送ローラと対向状に噴射ノズルが配されている。そして、表面に導電層が形成された被乾燥物を前記搬送ローラ上を介して熱風乾燥炉内に案内し、この搬送中に噴射ノズルからの熱風を被乾燥物に吹き付け、これにより導電層を乾燥させている。
【0006】
また、この種の熱風乾燥炉を使用してセラミックグリーンシート上の導電層を乾燥させる場合、薄層のセラミックグリーンシートが湾曲したり変形するのを回避するために、通常、離型剤が塗付された樹脂フィルム等の基材表面にセラミックグリーンシートを形成し、該セラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストをスクリーン印刷し、これにより被乾燥物を作製している。
【0007】
ところで、長尺シート状の被乾燥物は、噴射ノズルからの熱風によってバタツキが生じるおそれがあり、斯かるバタツキの発生を回避するためには、被乾燥物に対し、搬送中に十分な張力を付与する必要がある。そしてそのためには搬送ローラが十分な抱き角を有するように、該搬送ローラをアーチ状に配するのが好ましい。
【0008】
すなわち、図10に示すように、搬送ローラ101bが、前後の搬送ローラ101a、101cよりも高くなるようにアーチ状に配することにより、被乾燥物102には一定の張力が付与されることとなり、これにより被乾燥物に熱風が吹き付けられてもバタツキが生じるのを防止することが可能となる。
【0009】
しかしながら、搬送ローラをアーチ状に配した場合、熱風乾燥炉の大型化を招き、設置スペースが制限され、設備費も高価になる。
【0010】
このため、近年では、図11に示すように、搬送ローラ111a〜111cを同一面上にフラットに配して被乾燥物112を搬送するようにした熱風乾燥炉が使用されている。
【0011】
また、セラミックグリーンシートの表面に形成された導電層を乾燥させる場合、該導電層との雰囲気界面に境膜が形成され、該境膜が迅速な乾燥を妨げることから、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹き付けるのが効果的である。しかも、近年では、迅速で高効率に乾燥するのが求められていることから、大きな風速で大流量の熱風が必要になってきており、斯かる要件を満たす噴射ノズルを使用した乾燥装置が開発されている。
【0012】
例えば、特許文献1には、セラミックグリーンシート上に塗布されたペーストを乾燥する乾燥炉と、前記乾燥炉内において前記セラミックグリーンシートを支持しており、かつ端部が前記乾燥炉外に露出または冷却手段が設けられている支持部材と、前記ペーストのセラミックグリーンシートに接している第1のペースト面とは反対側の第2のペースト面に熱風を供給するノズルとを備えたペースト乾燥装置が提案されている。
【0013】
この特許文献1では、図12に示すように、噴射ノズル121a、121b…が搬送ローラ122a、122b…と対向状に配されると共に、噴射ノズル間、例えば、噴射ノズル121aと噴射ノズル121bとの間に排気ダクト123が設けられている。また、被乾燥物124は長尺の基材125上にセラミックグリーンシート126が形成され、該セラミックグリーンシート126の表面に導電性ペーストがスクリーン印刷されて導電層127を形成している。そして、噴射ノズル121a、121bからの熱風を導電層表面127aに吹き付けることにより、導電層表面127aは速やかに乾燥され、さらにセラミックグリーンシート126に接している導電層裏面127bに伝達される熱量は冷却手段を介して低減し、これによりペースト中の溶剤が拡散するのを抑制してセラミックグリーンシート中のバインダ樹脂の溶解を生じ難くし、シートアタックの発生を抑制している。
【0014】
すなわち、導電層127を形成する導電性ペーストには導電性粉末の他、バインダ樹脂や有機溶剤が含有されている。一方、セラミックグリーンシート126にはセラミック原料の他、バインダ樹脂その他の添加物が含有されている、そして、乾燥温度を高くすると、乾燥処理を促進させることができるものの、導電層127に含有される有機溶剤がセラミックグリーンシート126に含有されるバインダ樹脂を溶解させ、該バインダ樹脂が乾燥時に揮散し、いわゆるシートアタックが生じてセラミックグリーンシートを破損させるおそれがある。
【0015】
そこで、特許文献1では、導電層表面127aに熱風を吹き付けて乾燥処理をする一方、導電層裏面127bに伝達される熱量を低減し、シートアタックの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−150709号公報(請求項1、段落番号〔0051〕、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、この種の乾燥装置では、上述したシートアタックの発生を回避するためには、乾燥温度を低くし、大きな風速で大流量の熱風でもって乾燥させるのが好ましいと考えられる。
【0018】
一方、特許文献1では、搬送ローラ122a、122bが同一面上にフラットに配されているため、被乾燥物124には十分な張力を付与することが困難である。
【0019】
このため、図13に示すように、噴射ノズル121a、121bからの大きな風速を有する大流量の熱風を被乾燥物124に吹き付けると、該熱風は矢印aに示すように、被乾燥物124に沿って流れ、矢印bに示すように、排気ダクト123に吸気される。すなわち、図中、cに示す部分で負圧が発生し、このため被乾燥物124は搬送ローラ122a、122bから浮き上がり、バタツキが生じる。
【0020】
さらに、このように被乾燥物124にバタツキが生じると、図14に示すように、被乾燥物124が噴射ノズル121a(又は/及び噴射ノズル121b)の角部128(又は/及び角部129)に接触し、その結果、被乾燥物125が破損したり、表面の導電層が損傷し、いわゆるシート欠陥が生じるおそれがある。そして、このようなシート欠陥が生じると、特に積層セラミックコンデンサでは、焼成後に内部電極間同士で絶縁破壊が生じ、短絡不良を招くおそれがある。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上に配して被乾燥物を搬送しつつ、前記被乾燥物に熱風を吹きつけても、シートアタックが生じることもなく、被乾燥物のバタツキを抑制することができる乾燥装置、及び導電性ペーストの乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明に係る乾燥装置は、同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配された複数の搬送ローラと、該搬送ローラに搬送される長尺シート状の被乾燥物に熱風を吹き付ける噴射ノズルと、該噴射ノズル間に設けられた排気ダクトとを備えた乾燥装置において、前記乾燥物と搬送ローラとの接触面からずれた外周部分に前記被乾燥物が押し当てられるように、前記噴射ノズルからの熱風が前記被乾燥物に吹き付けられることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の乾燥装置は、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されているのが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の乾燥装置は、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端は、二股形状となるように二方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されているのが好ましい。
【0025】
この場合、本発明の乾燥装置は、前記被乾燥物に対する噴射角度θ、前記折曲部の基点と被乾燥物との距離x、及び搬送ローラの半径rとの間には、θ=arctan(x/r)の関係が成立するのが好ましい。
【0026】
ここで、被乾燥物に対する噴射角度θとは、前記被乾燥物に対して垂直方向とのなす角度をいう。
【0027】
また、本発明の乾燥装置は、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラの上部頂点からずれた所定位置の上方に配され、前記被乾燥物に対し垂直方向から熱風が吹きつけられるように形成されているのが好ましい。
【0028】
この場合、本発明の乾燥装置は、前記所定位置が、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であるのが好ましい。
【0029】
本発明の乾燥装置は、前記被乾燥物が、フィルム状基材の表面にセラミックグリーンシートが形成されると共に、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの溶剤を含有した導電層が形成されているのが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る導電性ペーストの乾燥方法は、長尺のセラミックグリーンシート表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させる導電性ペーストの乾燥方法であって、複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上となるように配し、前記導電性ペーストが塗布された前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラを介して搬送しながら、前記セラミックグリーンシートと前記搬送ローラとの接触面からずれた所定位置を照準に前記セラミックグリーンシートに熱風を吹き付け、前記前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラの外周部分に押し当てながら前記導電性ペーストを乾燥することを特徴としている。
【0031】
また、本発明の導電性ペーストの乾燥方法は、前記所定位置は、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の乾燥装置によれば、同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配された複数の搬送ローラと、該搬送ローラに搬送される長尺シート状の被乾燥物に熱風を吹き付ける噴射ノズルと、該噴射ノズル間に設けられた排気ダクトとを備えた乾燥装置において、前記被乾燥物と前記搬送ローラとの接触面からずれた外周部分に前記被乾燥物が押し当てられるように、前記噴射ノズルからの熱風が前記被乾燥物に吹き付けられるので、被乾燥物には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけても、被乾燥物のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、境膜をやぶることができ、これにより低温域での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0033】
また、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されることにより、噴射ノズルからの熱風により、被乾燥物と搬送ローラの接触面からずれた該搬送ローラの外周部分に前記被乾燥物を確実に押し当てることができ、その結果、被乾燥物には所望の擬似的な張力を付与することができる。
【0034】
また、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端は、二股形状となるように二方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されることにより、噴射ノズルに形成されるスリット幅を狭くすることが可能となり、より大きな風速で乾燥させることが可能となる。
【0035】
また、前記被乾燥物に対する噴射角度θ、前記折曲部の基点と被乾燥物との距離x、及び搬送ローラの半径rとの間には、θ=arctan(x/r)の関係が成立する場合は、被乾燥物は搬送ローラを抱きかかえるように張力を付与することができ、また被乾燥物と噴射ノズルとが接触することもなく、所望の乾燥処理を行うことができる。
【0036】
また、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラの上部頂点からずれた所定位置の上方に配され、前記被乾燥物に対し垂直方向から熱風が吹きつけられるように形成されることにより、熱風を被乾燥物に対して垂直方向に吹きつけることが可能となり、搬送ローラの上部頂点から偏移した該搬送ローラの外周部分に前記被乾燥物をより効果的に押し当てることが可能となる。
【0037】
また、前記所定位置が、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置とされる場合は、被乾燥物は搬送ローラを抱きかかえるように張力を付与することができ、所望の乾燥処理を行うことができる。
【0038】
また、前記被乾燥物は、フィルム状基材の表面にセラミックグリーンシートが形成されると共に、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの溶剤を含有した導電層が形成されているので、積層セラミックコンデンサ等の各種積層型セラミック電子部品の製造に好適な乾燥装置を実現することができる。
【0039】
また、導電性ペーストの乾燥方法によれば、長尺のセラミックグリーンシート表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させる導電性ペーストの乾燥方法であって、複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上となるように配し、前記導電性ペーストが塗布された前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラを介して搬送しながら、前記セラミックグリーンシートと前記搬送ローラとの接触面からずれた所定位置を照準に前記セラミックグリーンシートに熱風を吹き付け、前記前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラの外周部分に押し当てながら前記導電性ペーストを乾燥するので、擬似的な張力が付与された状態で被乾燥物を乾燥させることが可能となり、被乾燥物は熱風付与時にバタツキを生じるのを回避できる。しかも、熱風の温度を低温とすることが可能であることから、セラミックグリーンシートへの導電ペーストによるシートアタックの発生を抑制することができる。
【0040】
また、前記所定位置を、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点からずれた位置とすることにより、被乾燥物は搬送ローラを抱きかかえるように張力を付与することができ、所望の乾燥処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る乾燥装置の一実施の形態(第1の実施の形態)の内部構造を模式的に示した図である。
【図2】被乾燥物の要部拡大断面図である。
【図3】図1の乾燥装置の要部拡大断面図である。
【図4】図3の要部斜視図である。
【図5】第1の実施の形態において、噴射ノズルから熱風が吹き付けられた状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】熱風の吹きつけ位置が、搬送ローラの上部頂点から過度に偏移した状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明に係る乾燥装置の第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図8】第2の実施の形態において、噴射ノズルから熱風が吹く付けられた状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明に係る乾燥装置の第3の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図10】搬送ローラをアーチ状に配した従来例の要部斜視図である。
【図11】搬送ローラをフラット状に配した従来例の要部斜視図である。
【図12】特許文献1に記載された乾燥装置の要部拡大断面図である。
【図13】特許文献1の一課題を説明するための要部拡大断面図である。
【図14】特許文献1の他の課題を説明するための要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0043】
図1は本発明に係る乾燥装置の一実施の形態(第1の実施の形態)を内部構造を模式的に示した図である。
【0044】
この乾燥装置は、所定径(例えば、直径40〜120mm)を有する多数の搬送ローラ1(1a、1b、…1n)が同一面上に一定間隔(例えば、150〜300mm)を有して列設されると共に、多数の噴射ノズル2(2a、2b、…2n)が、前記各搬送ローラ1と対向状に配され、かつ、各噴射ノズル2間には排気ダクト3(3a、3b、…3n)が設けられている。すなわち、各噴射ノズル2及び各排気ダクト3は天井4から突設されており、各噴射ノズル2から供給される熱風と略同等の熱風が排気ダクト3から強制的に排気される。そして、各搬送ローラ1のうちの少なくとも1つの搬送ローラ、例えば、搬送ローラ1aが不図示の駆動手段により回転駆動可能に構成され、長尺シート状の被乾燥物5は搬送ローラ1で矢印A方向に搬送されると共に、この搬送中に噴射ノズル2からの熱風が吹き付けられ、被乾燥物5は乾燥する。
【0045】
尚、この乾燥装置は、装置の小型化の観点から、各搬送ローラ1と天井4との距離H(例えば、約100mm)が狭く形成されている。また、被乾燥物5の乾燥は、乾燥温度を高めるよりも、流量を大きくした方が効果的であることから、乾燥装置には大流量(例えば、50〜100m3/min)の熱風が供給される。
【0046】
被乾燥物5は、図2に示すように、例えば、厚さが20〜50μm、幅が200mm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等からなる長尺状の基材6の表面にセラミックグリーンシート7が形成され、該セラミックグリーンシート7の表面に所定パターンの導電層8が形成されている。
【0047】
セラミックグリーンシート7は、セラミックスラリーを基材6上でドクターブレード法等を使用して所定膜厚に成形加工されて形成されている。セラミックスラリーは、BaTiO3等のセラミック原料を主成分とし、セラミックスラリーの作製過程でバインダ樹脂等の添加物が含有されている。導電層8は、導電性ペーストを使用し、セラミックグリーンシート7の表面にスクリーン印刷等を行うことによって形成されている。ここで、導電性ペーストは、Ag等の導電性粉末を有機ビヒクル(バインダ+有機溶剤)に混練して作製されている。したがって導電層8中には溶剤が含有されることから、本乾燥装置では、セラミックグリーンシート7に噴射ノズル2からの熱風を吹きつけて乾燥処理を行い、セラミックグリーンシート7上の導電層8に含有される有機溶剤を揮散させる。
【0048】
図3は、上記乾燥装置の要部拡大断面図であり、図4は、図3の要部斜視図である。尚、図中、図1の符号のa、b、c等は省略している。
【0049】
噴射ノズル2は、テーパ部9の先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部10が形成され、該折曲部10の先端にはスリット状の開口部11が設けられ、該開口部11から熱風が噴射するように形成されている。
【0050】
尚、噴射ノズル2の開口部11と被乾燥物5との距離Lは、特に限定されるものでないが、被乾燥物5に流量の大きい熱風を付与するためには、可能な限り短いのが好ましく、距離Lは5〜50mm程度が好ましい。また、開口部11の幅寸法Wも、特に限定されるものではないが、十分に大きな風速と大風量を確保するためには、幅寸法Wは3〜5mm程度が好ましい。
【0051】
このように構成された乾燥装置では、図5に示すように、噴射ノズル2から噴射される熱風は、矢印Bに示すように、矢印C方向に回転する搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移し、ずれた位置を通過中の被乾燥物5に吹き付けられ、被乾燥物5は搬送ローラ1の外周円弧部分(外周部分)12に押し当てられた状態で乾燥される。そしてこれにより被乾燥物5には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物5に吹きつけても、被乾燥物5は張力を有することから、乾燥物5のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、境膜をやぶることができ、これにより低温域(例えば、乾燥温度40〜100℃)での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0052】
尚、被乾燥物5が搬送ローラ1の外周円弧部分12に押し当てられて被乾燥物5に擬似的な張力が付与されるのであれば、被乾燥物5に対する熱風の噴射角度θ、被乾燥物5と噴射ノズル2の折曲部10の基点Eとの距離x、及び搬送ローラ1の半径rの相互関係は特に限定されるものではない。しかし、搬送ローラ1を効果的に抱きかかえるようにし、被乾燥物5に所望の疑似的な張力を付与し、かつシート欠陥を招くことなく所望の乾燥効果を得るためには、搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した所定距離は搬送ローラ1の半径rと同一又は略同一が好ましい。そして、熱風の噴射角度θ、折曲部10の基点Eと被乾燥物5との距離x、及び搬送ローラ1の半径rは数式(1)を満たすのがより好ましい。
【0053】
θ=arctan(x/r)…(1)
例えば、半径が40mmの搬送ローラ1を使用し、噴射角度θが約60°となるように噴射ノズル2を加工した場合、距離xは約70mmとなるように噴射ノズル2の位置を調整するのが好ましい。
【0054】
尚、図6の矢印Fに示すように、搬送ローラ1の上部頂点Dから過度に離間した位置を走行中の被乾燥物5に熱風を吹き付けても、搬送ローラ1の外周円弧部分12に押し当てることができない。すなわち被乾燥物5は、凹状に湾曲するのみで張力を付与することができず、このため被乾燥物5のバタツキを抑制するのが困難である。
【0055】
図7は、本乾燥装置の第2の実施の形態を示す要部拡大断面図であって、該第2の実施の形態では、噴射ノズル12が二股形状に形成されている。
【0056】
すなわち、この第2の実施の形態でも、噴射ノズル13は、搬送ローラ1と対向状に配され、噴射ノズル13間に排気ダクト14が設けられている。そして、前記噴射ノズル13は、二股形状に形成されており、テーパ部15の先端が二方向に鈍角状に折曲された折曲部16a、16bを有している。
【0057】
本第2の実施の形態でも、図8に示すように、噴射ノズル13から噴射される熱風は、矢印G、Hに示すように、搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移した位置を通過中の被乾燥物5に吹き付けられ、被乾燥物5は搬送ローラ1の外周円弧部分12、12′に押し当てられた状態で乾燥される。そしてこれにより被乾燥物5には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物5に吹きつけても、被乾燥物5は張力を有することから、被乾燥物のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、低温域での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0058】
尚、本第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、被乾燥物5が搬送ローラ1の外周円弧部分12、12′に押し当てられて被乾燥物5に擬似的な張力が付与されるのであれば、被乾燥物5に対する熱風の噴射角度θ、被乾燥物5と噴射ノズル13の折曲部16a、16bの基点Iとの距離x、及び搬送ローラ1の半径rの相互関係は特に限定されるものではないが、搬送ローラ1を抱きかかえるようにし、被乾燥物5に所望の疑似的な張力を付与し、かつシート欠陥を招くことなく所望の乾燥効果を得るためには、搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した所定距離は搬送ローラ1の半径rと同一又は略同一が好ましい。そして、熱風の噴出角度θ、折曲部16a、16bの基点Iと被乾燥物5との距離x、及び搬送ローラ1の半径rは上述した数式(1)を満たすのが好ましい。
【0059】
また、本第2の実施の形態では、噴射ノズル13の先端を二股形状にしているので、シートのバタツキが抑えられやすく、したがって開口部20、21の幅寸法をより一層狭くすることが可能となり、風量を低下させることなく、より大きな風速でもって熱風を被乾燥物5に吹きつけることが可能となる。
【0060】
図9は、本乾燥装置の第3の実施の形態を示す要部拡大断面図であって、該第3の実施の形態では、噴射ノズル22は、搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移した位置の上方に配され、噴射ノズル22間には排気ダクト24が形成され、被乾燥物5に対し垂直方向から熱風が吹き付けられるように形成されている。
【0061】
本第3の実施の形態では、噴射ノズル22から噴射される熱風は、搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移した位置を通過中の被乾燥物5に垂直方向から吹き付けられと、第1及び第2の実施の形態と同様、被乾燥物5は搬送ローラ1の外周円弧部分12に押し当てられた状態で乾燥される。そしてこれにより被乾燥物5には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物5に吹きつけても、被乾燥物5は張力を有することから、被乾燥物のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、境膜をやぶることができ、これにより低温域での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0062】
しかも、被乾燥物5は、垂直方向から熱風が吹きつけられるので、大風量で大きな風速の熱風が直接吹きつけられることとなり、より効果的に乾燥させることが可能となる。
【0063】
また、搬送ローラ1を抱きかかえるように被乾燥物5に張力を付与し、かつシート欠陥を招くことなく所望の乾燥作用を得るためには、搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した所定距離は搬送ローラ1の半径rと同一又は略同一が好ましい。
【0064】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明は、特に積層セラミックコンデンサにおける導電層の乾燥に有効であるが、コイル部品やLC複合部品、その他、シート工法を使用して製造されるセラミック電子部品に広く適用することが可能である。
【0065】
また、上記各実施の形態では、複数の搬送ローラ1を同一面上に配したが、本発明は、これら搬送ローラ1が完全に同一面上に配されていなくても、略同一面上に配されていてもよく、斯かる場合も有効であるのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
搬送ローラを同一面上乃至略同一面上に配した熱風乾燥炉を使用して長尺シート状の被乾燥物を乾燥させる場合であっても、バタツキやシートアタックを生じることなく乾燥処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 搬送ローラ
5 被乾燥物
2、13、20 噴射ノズル
3、14、22 排気ダクト
12、12′ 外周円弧部分(外周部分)
9、16a、16b 折曲部
【技術分野】
【0001】
本発明は乾燥装置、及び導電性ペーストの乾燥方法に関し、より詳しくはセラミックグリーンシートの表面に形成された導電層を乾燥させるのに適した乾燥装置、及びセラミックグリーンシートの表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させるための導電性ペーストの乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等の積層型セラミック電子部品は、内部電極となるべき導電パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層し、得られたセラミック積層体を焼成処理することによって内部電極が埋設されたセラミック素体を形成し、該セラミック素体の両端部に外部電極を形成することで構成されている。
【0003】
この種の積層型セラミック電子部品の生産方法は、従来より、良好な生産性を確保する観点から、いわゆる多数個取り方式により量産されている。すなわち、成形加工された長尺状のセラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストを塗付して所定パターンの導電層を形成し、該導電層を乾燥させた後、該導電層の形成されたセラミックグリーンシートを複数毎積層し、圧着してセラミックブロックを形成し、該セラミックブロックを所定寸法に切断してセラミック積層体を得ている。
【0004】
上記した導電層形成後の乾燥処理には、熱風乾燥炉が広く使用されており、また、熱風乾燥炉としては、いわゆるロールサポート方式が多用されている。
【0005】
このロールサポート方式の熱風乾燥炉は、搬送ローラが所定間隔毎に設けられ、かつ、該搬送ローラと対向状に噴射ノズルが配されている。そして、表面に導電層が形成された被乾燥物を前記搬送ローラ上を介して熱風乾燥炉内に案内し、この搬送中に噴射ノズルからの熱風を被乾燥物に吹き付け、これにより導電層を乾燥させている。
【0006】
また、この種の熱風乾燥炉を使用してセラミックグリーンシート上の導電層を乾燥させる場合、薄層のセラミックグリーンシートが湾曲したり変形するのを回避するために、通常、離型剤が塗付された樹脂フィルム等の基材表面にセラミックグリーンシートを形成し、該セラミックグリーンシートの表面に導電性ペーストをスクリーン印刷し、これにより被乾燥物を作製している。
【0007】
ところで、長尺シート状の被乾燥物は、噴射ノズルからの熱風によってバタツキが生じるおそれがあり、斯かるバタツキの発生を回避するためには、被乾燥物に対し、搬送中に十分な張力を付与する必要がある。そしてそのためには搬送ローラが十分な抱き角を有するように、該搬送ローラをアーチ状に配するのが好ましい。
【0008】
すなわち、図10に示すように、搬送ローラ101bが、前後の搬送ローラ101a、101cよりも高くなるようにアーチ状に配することにより、被乾燥物102には一定の張力が付与されることとなり、これにより被乾燥物に熱風が吹き付けられてもバタツキが生じるのを防止することが可能となる。
【0009】
しかしながら、搬送ローラをアーチ状に配した場合、熱風乾燥炉の大型化を招き、設置スペースが制限され、設備費も高価になる。
【0010】
このため、近年では、図11に示すように、搬送ローラ111a〜111cを同一面上にフラットに配して被乾燥物112を搬送するようにした熱風乾燥炉が使用されている。
【0011】
また、セラミックグリーンシートの表面に形成された導電層を乾燥させる場合、該導電層との雰囲気界面に境膜が形成され、該境膜が迅速な乾燥を妨げることから、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹き付けるのが効果的である。しかも、近年では、迅速で高効率に乾燥するのが求められていることから、大きな風速で大流量の熱風が必要になってきており、斯かる要件を満たす噴射ノズルを使用した乾燥装置が開発されている。
【0012】
例えば、特許文献1には、セラミックグリーンシート上に塗布されたペーストを乾燥する乾燥炉と、前記乾燥炉内において前記セラミックグリーンシートを支持しており、かつ端部が前記乾燥炉外に露出または冷却手段が設けられている支持部材と、前記ペーストのセラミックグリーンシートに接している第1のペースト面とは反対側の第2のペースト面に熱風を供給するノズルとを備えたペースト乾燥装置が提案されている。
【0013】
この特許文献1では、図12に示すように、噴射ノズル121a、121b…が搬送ローラ122a、122b…と対向状に配されると共に、噴射ノズル間、例えば、噴射ノズル121aと噴射ノズル121bとの間に排気ダクト123が設けられている。また、被乾燥物124は長尺の基材125上にセラミックグリーンシート126が形成され、該セラミックグリーンシート126の表面に導電性ペーストがスクリーン印刷されて導電層127を形成している。そして、噴射ノズル121a、121bからの熱風を導電層表面127aに吹き付けることにより、導電層表面127aは速やかに乾燥され、さらにセラミックグリーンシート126に接している導電層裏面127bに伝達される熱量は冷却手段を介して低減し、これによりペースト中の溶剤が拡散するのを抑制してセラミックグリーンシート中のバインダ樹脂の溶解を生じ難くし、シートアタックの発生を抑制している。
【0014】
すなわち、導電層127を形成する導電性ペーストには導電性粉末の他、バインダ樹脂や有機溶剤が含有されている。一方、セラミックグリーンシート126にはセラミック原料の他、バインダ樹脂その他の添加物が含有されている、そして、乾燥温度を高くすると、乾燥処理を促進させることができるものの、導電層127に含有される有機溶剤がセラミックグリーンシート126に含有されるバインダ樹脂を溶解させ、該バインダ樹脂が乾燥時に揮散し、いわゆるシートアタックが生じてセラミックグリーンシートを破損させるおそれがある。
【0015】
そこで、特許文献1では、導電層表面127aに熱風を吹き付けて乾燥処理をする一方、導電層裏面127bに伝達される熱量を低減し、シートアタックの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−150709号公報(請求項1、段落番号〔0051〕、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、この種の乾燥装置では、上述したシートアタックの発生を回避するためには、乾燥温度を低くし、大きな風速で大流量の熱風でもって乾燥させるのが好ましいと考えられる。
【0018】
一方、特許文献1では、搬送ローラ122a、122bが同一面上にフラットに配されているため、被乾燥物124には十分な張力を付与することが困難である。
【0019】
このため、図13に示すように、噴射ノズル121a、121bからの大きな風速を有する大流量の熱風を被乾燥物124に吹き付けると、該熱風は矢印aに示すように、被乾燥物124に沿って流れ、矢印bに示すように、排気ダクト123に吸気される。すなわち、図中、cに示す部分で負圧が発生し、このため被乾燥物124は搬送ローラ122a、122bから浮き上がり、バタツキが生じる。
【0020】
さらに、このように被乾燥物124にバタツキが生じると、図14に示すように、被乾燥物124が噴射ノズル121a(又は/及び噴射ノズル121b)の角部128(又は/及び角部129)に接触し、その結果、被乾燥物125が破損したり、表面の導電層が損傷し、いわゆるシート欠陥が生じるおそれがある。そして、このようなシート欠陥が生じると、特に積層セラミックコンデンサでは、焼成後に内部電極間同士で絶縁破壊が生じ、短絡不良を招くおそれがある。
【0021】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上に配して被乾燥物を搬送しつつ、前記被乾燥物に熱風を吹きつけても、シートアタックが生じることもなく、被乾燥物のバタツキを抑制することができる乾燥装置、及び導電性ペーストの乾燥方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために本発明に係る乾燥装置は、同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配された複数の搬送ローラと、該搬送ローラに搬送される長尺シート状の被乾燥物に熱風を吹き付ける噴射ノズルと、該噴射ノズル間に設けられた排気ダクトとを備えた乾燥装置において、前記乾燥物と搬送ローラとの接触面からずれた外周部分に前記被乾燥物が押し当てられるように、前記噴射ノズルからの熱風が前記被乾燥物に吹き付けられることを特徴としている。
【0023】
また、本発明の乾燥装置は、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されているのが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の乾燥装置は、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端は、二股形状となるように二方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されているのが好ましい。
【0025】
この場合、本発明の乾燥装置は、前記被乾燥物に対する噴射角度θ、前記折曲部の基点と被乾燥物との距離x、及び搬送ローラの半径rとの間には、θ=arctan(x/r)の関係が成立するのが好ましい。
【0026】
ここで、被乾燥物に対する噴射角度θとは、前記被乾燥物に対して垂直方向とのなす角度をいう。
【0027】
また、本発明の乾燥装置は、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラの上部頂点からずれた所定位置の上方に配され、前記被乾燥物に対し垂直方向から熱風が吹きつけられるように形成されているのが好ましい。
【0028】
この場合、本発明の乾燥装置は、前記所定位置が、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であるのが好ましい。
【0029】
本発明の乾燥装置は、前記被乾燥物が、フィルム状基材の表面にセラミックグリーンシートが形成されると共に、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの溶剤を含有した導電層が形成されているのが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る導電性ペーストの乾燥方法は、長尺のセラミックグリーンシート表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させる導電性ペーストの乾燥方法であって、複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上となるように配し、前記導電性ペーストが塗布された前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラを介して搬送しながら、前記セラミックグリーンシートと前記搬送ローラとの接触面からずれた所定位置を照準に前記セラミックグリーンシートに熱風を吹き付け、前記前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラの外周部分に押し当てながら前記導電性ペーストを乾燥することを特徴としている。
【0031】
また、本発明の導電性ペーストの乾燥方法は、前記所定位置は、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の乾燥装置によれば、同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配された複数の搬送ローラと、該搬送ローラに搬送される長尺シート状の被乾燥物に熱風を吹き付ける噴射ノズルと、該噴射ノズル間に設けられた排気ダクトとを備えた乾燥装置において、前記被乾燥物と前記搬送ローラとの接触面からずれた外周部分に前記被乾燥物が押し当てられるように、前記噴射ノズルからの熱風が前記被乾燥物に吹き付けられるので、被乾燥物には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけても、被乾燥物のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、境膜をやぶることができ、これにより低温域での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0033】
また、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されることにより、噴射ノズルからの熱風により、被乾燥物と搬送ローラの接触面からずれた該搬送ローラの外周部分に前記被乾燥物を確実に押し当てることができ、その結果、被乾燥物には所望の擬似的な張力を付与することができる。
【0034】
また、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端は、二股形状となるように二方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されることにより、噴射ノズルに形成されるスリット幅を狭くすることが可能となり、より大きな風速で乾燥させることが可能となる。
【0035】
また、前記被乾燥物に対する噴射角度θ、前記折曲部の基点と被乾燥物との距離x、及び搬送ローラの半径rとの間には、θ=arctan(x/r)の関係が成立する場合は、被乾燥物は搬送ローラを抱きかかえるように張力を付与することができ、また被乾燥物と噴射ノズルとが接触することもなく、所望の乾燥処理を行うことができる。
【0036】
また、前記噴射ノズルが、前記搬送ローラの上部頂点からずれた所定位置の上方に配され、前記被乾燥物に対し垂直方向から熱風が吹きつけられるように形成されることにより、熱風を被乾燥物に対して垂直方向に吹きつけることが可能となり、搬送ローラの上部頂点から偏移した該搬送ローラの外周部分に前記被乾燥物をより効果的に押し当てることが可能となる。
【0037】
また、前記所定位置が、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置とされる場合は、被乾燥物は搬送ローラを抱きかかえるように張力を付与することができ、所望の乾燥処理を行うことができる。
【0038】
また、前記被乾燥物は、フィルム状基材の表面にセラミックグリーンシートが形成されると共に、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの溶剤を含有した導電層が形成されているので、積層セラミックコンデンサ等の各種積層型セラミック電子部品の製造に好適な乾燥装置を実現することができる。
【0039】
また、導電性ペーストの乾燥方法によれば、長尺のセラミックグリーンシート表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させる導電性ペーストの乾燥方法であって、複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上となるように配し、前記導電性ペーストが塗布された前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラを介して搬送しながら、前記セラミックグリーンシートと前記搬送ローラとの接触面からずれた所定位置を照準に前記セラミックグリーンシートに熱風を吹き付け、前記前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラの外周部分に押し当てながら前記導電性ペーストを乾燥するので、擬似的な張力が付与された状態で被乾燥物を乾燥させることが可能となり、被乾燥物は熱風付与時にバタツキを生じるのを回避できる。しかも、熱風の温度を低温とすることが可能であることから、セラミックグリーンシートへの導電ペーストによるシートアタックの発生を抑制することができる。
【0040】
また、前記所定位置を、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点からずれた位置とすることにより、被乾燥物は搬送ローラを抱きかかえるように張力を付与することができ、所望の乾燥処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る乾燥装置の一実施の形態(第1の実施の形態)の内部構造を模式的に示した図である。
【図2】被乾燥物の要部拡大断面図である。
【図3】図1の乾燥装置の要部拡大断面図である。
【図4】図3の要部斜視図である。
【図5】第1の実施の形態において、噴射ノズルから熱風が吹き付けられた状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】熱風の吹きつけ位置が、搬送ローラの上部頂点から過度に偏移した状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】本発明に係る乾燥装置の第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図8】第2の実施の形態において、噴射ノズルから熱風が吹く付けられた状態を示す要部拡大断面図である。
【図9】本発明に係る乾燥装置の第3の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図10】搬送ローラをアーチ状に配した従来例の要部斜視図である。
【図11】搬送ローラをフラット状に配した従来例の要部斜視図である。
【図12】特許文献1に記載された乾燥装置の要部拡大断面図である。
【図13】特許文献1の一課題を説明するための要部拡大断面図である。
【図14】特許文献1の他の課題を説明するための要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき詳説する。
【0043】
図1は本発明に係る乾燥装置の一実施の形態(第1の実施の形態)を内部構造を模式的に示した図である。
【0044】
この乾燥装置は、所定径(例えば、直径40〜120mm)を有する多数の搬送ローラ1(1a、1b、…1n)が同一面上に一定間隔(例えば、150〜300mm)を有して列設されると共に、多数の噴射ノズル2(2a、2b、…2n)が、前記各搬送ローラ1と対向状に配され、かつ、各噴射ノズル2間には排気ダクト3(3a、3b、…3n)が設けられている。すなわち、各噴射ノズル2及び各排気ダクト3は天井4から突設されており、各噴射ノズル2から供給される熱風と略同等の熱風が排気ダクト3から強制的に排気される。そして、各搬送ローラ1のうちの少なくとも1つの搬送ローラ、例えば、搬送ローラ1aが不図示の駆動手段により回転駆動可能に構成され、長尺シート状の被乾燥物5は搬送ローラ1で矢印A方向に搬送されると共に、この搬送中に噴射ノズル2からの熱風が吹き付けられ、被乾燥物5は乾燥する。
【0045】
尚、この乾燥装置は、装置の小型化の観点から、各搬送ローラ1と天井4との距離H(例えば、約100mm)が狭く形成されている。また、被乾燥物5の乾燥は、乾燥温度を高めるよりも、流量を大きくした方が効果的であることから、乾燥装置には大流量(例えば、50〜100m3/min)の熱風が供給される。
【0046】
被乾燥物5は、図2に示すように、例えば、厚さが20〜50μm、幅が200mm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等からなる長尺状の基材6の表面にセラミックグリーンシート7が形成され、該セラミックグリーンシート7の表面に所定パターンの導電層8が形成されている。
【0047】
セラミックグリーンシート7は、セラミックスラリーを基材6上でドクターブレード法等を使用して所定膜厚に成形加工されて形成されている。セラミックスラリーは、BaTiO3等のセラミック原料を主成分とし、セラミックスラリーの作製過程でバインダ樹脂等の添加物が含有されている。導電層8は、導電性ペーストを使用し、セラミックグリーンシート7の表面にスクリーン印刷等を行うことによって形成されている。ここで、導電性ペーストは、Ag等の導電性粉末を有機ビヒクル(バインダ+有機溶剤)に混練して作製されている。したがって導電層8中には溶剤が含有されることから、本乾燥装置では、セラミックグリーンシート7に噴射ノズル2からの熱風を吹きつけて乾燥処理を行い、セラミックグリーンシート7上の導電層8に含有される有機溶剤を揮散させる。
【0048】
図3は、上記乾燥装置の要部拡大断面図であり、図4は、図3の要部斜視図である。尚、図中、図1の符号のa、b、c等は省略している。
【0049】
噴射ノズル2は、テーパ部9の先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部10が形成され、該折曲部10の先端にはスリット状の開口部11が設けられ、該開口部11から熱風が噴射するように形成されている。
【0050】
尚、噴射ノズル2の開口部11と被乾燥物5との距離Lは、特に限定されるものでないが、被乾燥物5に流量の大きい熱風を付与するためには、可能な限り短いのが好ましく、距離Lは5〜50mm程度が好ましい。また、開口部11の幅寸法Wも、特に限定されるものではないが、十分に大きな風速と大風量を確保するためには、幅寸法Wは3〜5mm程度が好ましい。
【0051】
このように構成された乾燥装置では、図5に示すように、噴射ノズル2から噴射される熱風は、矢印Bに示すように、矢印C方向に回転する搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移し、ずれた位置を通過中の被乾燥物5に吹き付けられ、被乾燥物5は搬送ローラ1の外周円弧部分(外周部分)12に押し当てられた状態で乾燥される。そしてこれにより被乾燥物5には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物5に吹きつけても、被乾燥物5は張力を有することから、乾燥物5のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、境膜をやぶることができ、これにより低温域(例えば、乾燥温度40〜100℃)での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0052】
尚、被乾燥物5が搬送ローラ1の外周円弧部分12に押し当てられて被乾燥物5に擬似的な張力が付与されるのであれば、被乾燥物5に対する熱風の噴射角度θ、被乾燥物5と噴射ノズル2の折曲部10の基点Eとの距離x、及び搬送ローラ1の半径rの相互関係は特に限定されるものではない。しかし、搬送ローラ1を効果的に抱きかかえるようにし、被乾燥物5に所望の疑似的な張力を付与し、かつシート欠陥を招くことなく所望の乾燥効果を得るためには、搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した所定距離は搬送ローラ1の半径rと同一又は略同一が好ましい。そして、熱風の噴射角度θ、折曲部10の基点Eと被乾燥物5との距離x、及び搬送ローラ1の半径rは数式(1)を満たすのがより好ましい。
【0053】
θ=arctan(x/r)…(1)
例えば、半径が40mmの搬送ローラ1を使用し、噴射角度θが約60°となるように噴射ノズル2を加工した場合、距離xは約70mmとなるように噴射ノズル2の位置を調整するのが好ましい。
【0054】
尚、図6の矢印Fに示すように、搬送ローラ1の上部頂点Dから過度に離間した位置を走行中の被乾燥物5に熱風を吹き付けても、搬送ローラ1の外周円弧部分12に押し当てることができない。すなわち被乾燥物5は、凹状に湾曲するのみで張力を付与することができず、このため被乾燥物5のバタツキを抑制するのが困難である。
【0055】
図7は、本乾燥装置の第2の実施の形態を示す要部拡大断面図であって、該第2の実施の形態では、噴射ノズル12が二股形状に形成されている。
【0056】
すなわち、この第2の実施の形態でも、噴射ノズル13は、搬送ローラ1と対向状に配され、噴射ノズル13間に排気ダクト14が設けられている。そして、前記噴射ノズル13は、二股形状に形成されており、テーパ部15の先端が二方向に鈍角状に折曲された折曲部16a、16bを有している。
【0057】
本第2の実施の形態でも、図8に示すように、噴射ノズル13から噴射される熱風は、矢印G、Hに示すように、搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移した位置を通過中の被乾燥物5に吹き付けられ、被乾燥物5は搬送ローラ1の外周円弧部分12、12′に押し当てられた状態で乾燥される。そしてこれにより被乾燥物5には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物5に吹きつけても、被乾燥物5は張力を有することから、被乾燥物のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、低温域での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0058】
尚、本第2の実施の形態でも、第1の実施の形態と同様、被乾燥物5が搬送ローラ1の外周円弧部分12、12′に押し当てられて被乾燥物5に擬似的な張力が付与されるのであれば、被乾燥物5に対する熱風の噴射角度θ、被乾燥物5と噴射ノズル13の折曲部16a、16bの基点Iとの距離x、及び搬送ローラ1の半径rの相互関係は特に限定されるものではないが、搬送ローラ1を抱きかかえるようにし、被乾燥物5に所望の疑似的な張力を付与し、かつシート欠陥を招くことなく所望の乾燥効果を得るためには、搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した所定距離は搬送ローラ1の半径rと同一又は略同一が好ましい。そして、熱風の噴出角度θ、折曲部16a、16bの基点Iと被乾燥物5との距離x、及び搬送ローラ1の半径rは上述した数式(1)を満たすのが好ましい。
【0059】
また、本第2の実施の形態では、噴射ノズル13の先端を二股形状にしているので、シートのバタツキが抑えられやすく、したがって開口部20、21の幅寸法をより一層狭くすることが可能となり、風量を低下させることなく、より大きな風速でもって熱風を被乾燥物5に吹きつけることが可能となる。
【0060】
図9は、本乾燥装置の第3の実施の形態を示す要部拡大断面図であって、該第3の実施の形態では、噴射ノズル22は、搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移した位置の上方に配され、噴射ノズル22間には排気ダクト24が形成され、被乾燥物5に対し垂直方向から熱風が吹き付けられるように形成されている。
【0061】
本第3の実施の形態では、噴射ノズル22から噴射される熱風は、搬送ローラ1の上部頂点Dから所定距離だけ偏移した位置を通過中の被乾燥物5に垂直方向から吹き付けられと、第1及び第2の実施の形態と同様、被乾燥物5は搬送ローラ1の外周円弧部分12に押し当てられた状態で乾燥される。そしてこれにより被乾燥物5には擬似的な張力が付与される。したがって、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物5に吹きつけても、被乾燥物5は張力を有することから、被乾燥物のバタツキを抑制することができ、シート欠陥が生じるのを回避することが可能となる。しかも、大きな風速で大流量の熱風を被乾燥物に吹きつけることができることから、境膜をやぶることができ、これにより低温域での乾燥が可能となり、シートアタックの発生を抑制することができる。
【0062】
しかも、被乾燥物5は、垂直方向から熱風が吹きつけられるので、大風量で大きな風速の熱風が直接吹きつけられることとなり、より効果的に乾燥させることが可能となる。
【0063】
また、搬送ローラ1を抱きかかえるように被乾燥物5に張力を付与し、かつシート欠陥を招くことなく所望の乾燥作用を得るためには、搬送ローラ1の上部頂点Dから偏移した所定距離は搬送ローラ1の半径rと同一又は略同一が好ましい。
【0064】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明は、特に積層セラミックコンデンサにおける導電層の乾燥に有効であるが、コイル部品やLC複合部品、その他、シート工法を使用して製造されるセラミック電子部品に広く適用することが可能である。
【0065】
また、上記各実施の形態では、複数の搬送ローラ1を同一面上に配したが、本発明は、これら搬送ローラ1が完全に同一面上に配されていなくても、略同一面上に配されていてもよく、斯かる場合も有効であるのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
搬送ローラを同一面上乃至略同一面上に配した熱風乾燥炉を使用して長尺シート状の被乾燥物を乾燥させる場合であっても、バタツキやシートアタックを生じることなく乾燥処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 搬送ローラ
5 被乾燥物
2、13、20 噴射ノズル
3、14、22 排気ダクト
12、12′ 外周円弧部分(外周部分)
9、16a、16b 折曲部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配された複数の搬送ローラと、該搬送ローラに搬送される長尺シート状の被乾燥物に熱風を吹き付ける噴射ノズルと、該噴射ノズル間に設けられた排気ダクトとを備えた乾燥装置において、
前記被乾燥物と前記搬送ローラとの接触面からずれた外周部分に前記被乾燥物が押し当てられるように、前記噴射ノズルからの熱風が前記被乾燥物に吹き付けられることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルは、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、前記噴射ノズルの先端が、二股形状となるように二方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記被乾燥物に対する噴射角度θ、前記折曲部の基点と前記被乾燥物との距離x、及び前記搬送ローラの半径rとの間には、
θ=arctan(x/r)
の関係が成立することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記噴射ノズルは、前記搬送ローラの上部頂点からずれた所定位置の上方に配され、前記被乾燥物に対し垂直方向から熱風が吹きつけるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記所定位置は、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であることを特徴とする請求項5記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記被乾燥物は、フィルム状基材の表面にセラミックグリーンシートが形成されると共に、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの溶剤を含有した導電層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項8】
長尺のセラミックグリーンシート表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させる導電性ペーストの乾燥方法であって、
複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上となるように配し、前記導電性ペーストが塗布された前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラを介して搬送しながら、前記セラミックグリーンシートと前記搬送ローラとの接触面からずれた所定位置を照準に前記セラミックグリーンシートに熱風を吹き付け、前記前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラの外周部分に押し当てながら前記導電性ペーストを乾燥することを特徴とする導電性ペーストの乾燥方法。
【請求項9】
前記所定位置は、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であることを特徴とする請求項8記載の導電性ペーストの乾燥方法。
【請求項1】
同一面上乃至略同一面上に所定間隔を有して配された複数の搬送ローラと、該搬送ローラに搬送される長尺シート状の被乾燥物に熱風を吹き付ける噴射ノズルと、該噴射ノズル間に設けられた排気ダクトとを備えた乾燥装置において、
前記被乾燥物と前記搬送ローラとの接触面からずれた外周部分に前記被乾燥物が押し当てられるように、前記噴射ノズルからの熱風が前記被乾燥物に吹き付けられることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記噴射ノズルは、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、該噴射ノズルの先端が、一方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記噴射ノズルは、前記搬送ローラと対向状に設けられると共に、前記噴射ノズルの先端が、二股形状となるように二方向に鈍角状に折曲されて折曲部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記被乾燥物に対する噴射角度θ、前記折曲部の基点と前記被乾燥物との距離x、及び前記搬送ローラの半径rとの間には、
θ=arctan(x/r)
の関係が成立することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記噴射ノズルは、前記搬送ローラの上部頂点からずれた所定位置の上方に配され、前記被乾燥物に対し垂直方向から熱風が吹きつけるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記所定位置は、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であることを特徴とする請求項5記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記被乾燥物は、フィルム状基材の表面にセラミックグリーンシートが形成されると共に、前記セラミックグリーンシートの表面に所定パターンの溶剤を含有した導電層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の乾燥装置。
【請求項8】
長尺のセラミックグリーンシート表面に塗布された導電性ペーストを乾燥させる導電性ペーストの乾燥方法であって、
複数の搬送ローラを同一面上乃至略同一面上となるように配し、前記導電性ペーストが塗布された前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラを介して搬送しながら、前記セラミックグリーンシートと前記搬送ローラとの接触面からずれた所定位置を照準に前記セラミックグリーンシートに熱風を吹き付け、前記前記セラミックグリーンシートを前記搬送ローラの外周部分に押し当てながら前記導電性ペーストを乾燥することを特徴とする導電性ペーストの乾燥方法。
【請求項9】
前記所定位置は、前記搬送ローラの半径と同一距離乃至略同一距離だけ前記上部頂点から偏移した位置であることを特徴とする請求項8記載の導電性ペーストの乾燥方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−40748(P2013−40748A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179635(P2011−179635)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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