説明

乾燥装置のシート状物保持装置

【課題】シート状物保持枠の部品点数を削減して構造を簡単化し、製造コストを削減することができる乾燥装置のシート状物保持装置を提供する。
【解決手段】シート状物保持枠15は、横断フレーム14の両側に立設され、内側に弾性変形可能な1対の支柱17と、支柱の先端部に且つ支柱と平行にその略中央部を固定された1対の保持枠18と、保持枠上に挿入されたシート状物の縁部を挟持するように保持枠18に取り付けられた1対のクリップ40と、を備える。クリップ40は、保持枠18の側面との間でシート状物をばね力により挟持するように動く可動部43を有し、可動部43の先端部に保持枠の長手方向に沿って両側に延び且つばね弾性を有した延設片43aが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状プリント基板などの薄いシート状物を、乾燥炉内でコンベヤにより搬送しながら乾燥させる、乾燥装置のシート状物保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、印刷処理などを施した薄いフィルム状のプリント基板(シート状物)を乾燥させる場合、連続的に効率よく乾燥処理するために、コンベヤを設けたトンネル式の乾燥炉が使用され、シート状物を乾燥炉内でコンベヤにより搬送しながら連続的に乾燥処理を行っている。
【0003】
この種のシート状物は、合成樹脂、金属などによりフィルム状に形成されており、非常に薄く、こしがなく、自立保持性を有しないこともあって、乾燥炉内を移動して乾燥処理される間、加熱乾燥によってカールしたり、波うち変形を生じやすい。このため、下記特許文献1などにおいて、シート状物を保持枠内で伸張状態に保持しながら、コンベヤにより搬送して、乾燥処理する乾燥装置が提案されている。
【0004】
この乾燥装置は、シート状物を伸張状態で保持しながら、コンベヤにより乾燥炉内を移動させて加熱乾燥処理するために、コンベヤチェーンに多数の方形保持枠を、間隔をおいて取り付け、これらの方形保持枠の上辺部と左右の側辺部に各々1対のクリップを取り付け、シート状物の左右の辺部と上辺部をそれらのクリップで挟持する。さらに、方形枠の左右の側辺部の一方を、固定枠に対し移動可能な可動枠とし、可動枠をばねにより外側に付勢する構造とし、これにより、可動枠のクリップで挟持したシート状物の一側辺部を、外側に引っ張るようにして保持し、それらの方形保持枠をコンベヤにより乾燥炉内で搬送しながら、乾燥を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−342988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のこの種の乾燥装置におけるシート状物の保持装置は、上述の如く、方形保持枠の上辺枠と左右の側辺枠に合わせて6個のクリップを取り付け、さらに、一方の側辺枠は、可動枠として固定枠に対し移動可能に配設し、可動枠をコイルばねにより外側に付勢する構造とするため、各シート状物を保持枠に保持させる搬入部と乾燥した後のシート状物を外す搬出部において、6個のクリップを開くために使用される6本のエアーシリンダを設置する一方、可動枠を平行移動させるために2本のエアーシリンダを設置する必要があり、各方形保持枠を構成する部品及び乾燥装置の搬入部と搬出部の部品の部品点数が非常に多く、構造が複雑化するため、製造コストの増大が課題となっていた。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、シート状物保持枠の部品点数を削減して構造を簡単化し、製造コストを削減することができる乾燥装置のシート状物保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る乾燥装置のシート状物保持装置は、チェーンコンベヤが炉体ハウジング内に敷設され、該チェーンコンベヤの両側のコンベヤチェーン間に多数の横断フレームが一定間隔で連結され、該各横断フレーム上にシート状物をクリップで保持するシート状物保持枠が取り付けられた乾燥装置のシート状物保持装置において、
該シート状物保持枠は、該横断フレームの両側で該横断フレームの長手方向と直角に配設された1対の保持枠と、該保持枠上に挿入されたシート状物の縁部を挟持するように該保持枠に取り付けられた1対のクリップと、を備えて構成され、
該クリップは、該保持枠の上面との間で該シート状物をばね力により挟持するように動く可動部を有し、該可動部の先端部には該保持枠の長手方向に沿って両側に延設されると共にばね弾性を有した延設片が設けられ、該保持枠の上面との間で該シート状物を挟持する際、該延設片の両側先端を該保持枠側に当接させながら該保持枠の末端側及び先端側に向けて伸張させるように該クリップが構成されたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、クリップを開放した状態で、シート状物保持枠の内側にシート状物を挿入し、クリップを閉じてばね力によりシート状物の縁部を挟持させたとき、クリップの可動部の両側に延びる延設片が、保持枠の上面に押し付けられる際、シート状物の両側縁部に沿って位置する、両側延設片の両端部がシート状物の縁部を保持枠との間で幅広く挟持するため、従来のように両側の保持枠に合計4個のクリップを配置する代わりに、2個のクリップを使用してシート状物の両側縁部を挟持することができ、クリップの数を削減すると共に、クリップを開放させるクリップ開放装置の数も2個に削減することができる。
【0010】
また、クリップの可動部の延設片は、保持枠の側面との間でシート状物を挟持する際、延設片の両側先端を保持枠側に当接させながら保持枠の末端及び先端に向けて伸張させるように挟持するため、これによって、シート状物の上部の両側縁部が上方に伸張され且つその下部の両側縁部が下方に伸張され、2個のクリップであっても、シート状物の両側縁部を広く挟持すると共に、保持枠の長手方向にシート状物を伸張して挟持することができる。
【0011】
ここで、上記シート状物保持装置において、上記シート状物保持枠は、横断フレームの両側に、支柱を内側に弾性変形可能に立設し、該支柱の先端部に且つ該支柱と平行に前記保持枠の略中央部を固定し、該保持枠上に挿入されたシート状物の縁部を挟持するためのクリップを該両側の保持枠に取り付けて構成され、該クリップの可動部の延設片と該保持枠の上面との間でシート状物の両側縁部を挟持する際、少なくとも一方の保持枠の先端部と末端部を押圧機構により内側に押圧して、僅かに内側に前記支柱を弾性変形させ、該クリップを挟持動作させた後、該支柱の内側への押圧機構による押圧を解除させるように構成することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、クリップを開放した状態でシート状物をシート状物保持枠内に挿入し、押圧機構により保持枠の先端部と末端部を内側に押圧すると、保持枠を支持する支柱が内側に僅かに弾性変形し、これによって保持枠が僅かに内側に平行移動する。このとき、両側のクリップを閉じてシート状物を挟持させ、その後、押圧機構による保持枠の押圧を解除したとき、両側の支柱が外側に弾性復帰し、これにより、シート状物の両側縁部を幅広く挟持する両側の保持枠がシート状物を左右両側(保持枠の長手方向と直角の方向)に伸張させる。このため、保持枠に挟持されるシート状物は、クリップによる保持枠の長手方向への伸張と共に、シート状物を保持枠の長手方向と直角な方向に伸張させた状態、つまり二次元XY平面上のX軸、Y軸方向に伸張させた状態で、良好に保持することができる。しかも、このシート状物保持装置は、コイルばねなどのバネ部品を使用せず、支柱の弾性を使用してシート状物を左右両側に伸張させるため、構造が簡単で、部品点数も少なく、安価に装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の乾燥装置のシート状物保持装置によれば、左右両側に配置した保持枠と両側の保持枠に取り付けた2個のクリップによる簡単な構造のシート状物保持枠を用いて、シート状物を平面二次元方向に伸張させることができ、保持装置の部品点数を削減して構造を簡単化し、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を示す乾燥装置の全体概略正面図である。
【図2】図1のII-II拡大断面図である。
【図3】シート状物の投入部に位置するシート状物保持枠の平面図である。
【図4】投入部におけるシート状物保持枠の側面図である。
【図5】シート状物保持枠の拡大背面図である。
【図6】シート状物保持枠の平面図である。
【図7】(a)はクリップの正面図、(b)は同右側面図、(c)は同底面図である。
【図8】クリップを開放した状態のシート状物保持枠の拡大正面図である。
【図9】クリップを開放した状態のシート状物保持枠の側面図である。
【図10】シート状物保持枠の保持枠を押圧機構により押圧した状態の平面図である。
【図11】シート状物を挟持した状態のシート状物保持枠の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、印刷処理などを施した薄いフィルム状プリント基板などのシート状物Sを、コンベヤ炉4内で乾燥させる乾燥装置の概略構成図を示している。この乾燥装置の前段部には、プリント処理などを施したシート状物Sを乾燥工程部に搬入する搬入装置1、搬入装置1から送られたシート状物Sをチェーンコンベヤ10上の各シート状物保持枠15に投入する投入部2が配設される。
【0016】
さらに、乾燥装置の前段部に続く部分には、シート状物Sを風により乾燥させる風乾部3が設けられ、風乾部3の次段にはシート状物Sを熱風により乾燥させるコンベヤ炉4が設けられる。コンベヤ炉4に続いて、加熱乾燥したシート状物Sを冷やすための冷却部5が設けられ、冷却部5に続いて、乾燥したシート状物Sを搬出するための搬出部6が設けられる。
【0017】
チェーンコンベヤ10は、投入部2、風乾部3、コンベヤ炉4、冷却部5から搬出部6にかけて乾燥装置内を水平に貫通して敷設され、コンベヤの先端部と末端部に回転軸が配設され、回転軸の両側にチェーンスプロケットが軸支され、両側のチェーンスプロケット間に無端状のコンベヤチェーン12が掛け渡されて構成される。両側のコンベヤチェーン12間には、図3のように、横断フレーム14が取付金具13を介して一定間隔で連結され、各横断フレーム14上に、シート状物Sをクリップ40で保持するシート状物保持枠15が、取り付けられている。
【0018】
シート状物保持枠15は、図5、図6に示すように、横断フレーム14の両側に立設され、内側に弾性変形可能な1対の支柱17と、支柱17の先端部にその略中央部を固定され、支柱17と平行に配置された1対の保持枠18と、投入部2で保持枠18上に挿入されるシート状物Sの縁部を挟持するように、保持枠18の略中央部に取り付けられた1対のクリップ40と、を備えて構成される。
【0019】
横断フレーム14の両側に垂直に立設された支柱17は、その上部が弾性変形部17aとして薄く形成されており、押圧機構のエアーシリンダ52により保持枠18の上部と下部が内側に押圧されて平行移動したとき、支柱17の弾性変形部17aが内側に僅かに弾性変形し、且つエアーシリンダ52による押圧を解除したときには、支柱17は元の状態に弾性復帰するようになっている。このように支柱17が弾性復帰したとき、支柱17の先端部に支柱17と同じ方向に平行に固定された両側の保持枠18が、外側に僅かに復元移動し、これによって、クリップ40で挟持されたシート状物Sを、保持枠18の長手方向と直角な左右方向に伸張する構造となっている。
【0020】
つまり、両側に平行に配置された1対の保持枠18は、その略中央部が支柱17の先端部に固定され、押圧機構のエアーシリンダ52により両側の保持枠18の先端部と末端部が内側に押されたとき、支柱17の弾性変形部17aが僅かに内側に弾性変形し、両側の保持枠18間の間隔が僅かに縮小されるようになっている。
【0021】
なお、保持枠18はその横断面が略Z状のアングル材から形成され、支柱17の先端部が保持枠18の内側に入って固定されるため、エアーシリンダ52は支柱17に干渉せずに保持枠18の下部を内側に押圧することができる。また、エアーシリンダ52には、電磁ソレノイドなど別の押圧機構を使用することもできる。また、この実施形態では、両側の保持枠18を内側に押圧しているが、一方の支柱17の保持枠18のみを内側に押圧機構に押圧し、一方の支柱17のみを内側に弾性変形させ、シート状物を横断フレーム14に沿った左右方向に伸張させることもできる。
【0022】
図3などに示す如く、両側の保持枠18の上面には、可動部43に細長い延設片43aを可動部43の両側に突き出すように設けたクリップ40が、各々内側を向けて取り付けられている。2個のクリップ40はその可動部43の延設片43aを保持枠18に沿うように取り付けられ、可動部43と保持枠18との間でシート状物Sの縁部を挟持するようになっている。
【0023】
クリップ40は、図7に示すように、固定部41に対し回動軸42を介して可動部43を回動可能に取り付けており、回動軸42の回りにトーションばね44を装着し、トーションばね44のばね力により可動部43を保持枠18の上面に押し付けるように付勢している。クリップ40の固定部41は保持枠18上に固定される。クリップ40の可動部43の先端部には、保持枠18の長手方向に沿って両側に延び且つばね弾性を有した延設片43aが設けられる。この可動部43の延設片43aは、図7に示すように、非常に長く帯状に形成され、且つ延設片43aはその先端部を保持枠18側(クリップの内側)に僅かに曲げて設けられている。これにより、保持枠18上でクリップ開放装置により押し開かれたクリップ40は、図8に示すように、その可動部43の延設片43aの両側先端部が保持枠18側に僅かに曲がった状態となる。そして、クリップ40の押し開きを解除すると、クリップ40は、図5に示すように、トーションばね44の付勢力により可動部43が回動し、その延設片43aが保持枠18側に押し付けられ、保持枠18と延設片43aとの間で、シート状物Sを挟持する。このとき、延設片43aはその両側先端を保持枠18の上面に当接させてシート状物Sを挟持するが、このとき、延設片43aの両側先端部は、保持枠18の末端側及び先端側に向けて僅かに伸張させるように移動してシート状物Sを挟持する。これにより、シート状物Sを保持枠18の長手方向に沿って伸張させるようになっている。
【0024】
このように、シート状物Sは、投入部2において、その両側縁部が、シート状物保持枠15の保持枠18に、1対のクリップ40により保持されるが、投入部2の所定位置には、図4、9に示すように、クリップ40の可動部43を押圧してクリップを開放するクリップ開放装置として、1対のエアーシリンダ51が配設され、このエアーシリンダ51によりクリップ40の可動部43を押圧してクリップ40の可動部43及び延設片43aを開く構造となっている。
【0025】
したがって、このシート状物保持枠15は、従来のように両側の保持枠に合計4個のクリップを配置する代わりに、延設片43aを設けた2個のクリップ40を使用してシート状物Sの両側縁部を挟持するため、クリップの数を削減することができ、クリップを開放させるクリップ開放装置のエアーシリンダ51の数も2個に削減することができる。
【0026】
また、クリップ40の可動部43の延設片43aは、保持枠18の側面との間でシート状物Sを挟持する際、延設片43aの両側先端を保持枠側に当接させながら保持枠18の末端及び先端に向けて伸張させるように動くため、これによって、シート状物Sの上部の両側縁部が保持枠18の長手方向に伸張され且つその下部の両側縁部も保持枠18の長手方向に伸張され、2個のクリップ40であっても、シート状物を二次元XY平面のX軸及びY軸に沿って伸張した状態で挟持することができる。
【0027】
乾燥装置のコンベヤ炉4は、図2に示すように、断熱壁9aで両側面及び上下面を形成された炉体ハウジング9内に、チェーンコンベヤ10を敷設して形成される。炉体ハウジング9内におけるチェーンコンベヤ10の上搬送路10aの上方を囲うように、内側包囲壁21が縦方向に、且つコンベヤの長手方向に沿って連続して配設される。内側包囲壁21と炉体ハウジング9の断熱壁9a間の一側に通風路22が形成され、内側包囲壁21内に形成された炉室25内にチェーンコンベヤ10の上搬送路10aが配設される。
【0028】
コンベヤチェーン12の下側に通風路22と内側包囲壁21内を連通する連通口23が設けられる。炉体ハウジング9内の一側に形成された縦方向の通風路22内に、加熱用のヒータ24が設置され、その通風路22の上部には通風路内の空気を内側包囲壁21内の炉室25内に送風するための送風機26が設けられる。ヒータ24と送風機26はコンベヤ炉4内の長手方向に間隔をおいて複数台設置される。
【0029】
さらに、内側包囲壁21の上部の炉室25内にフィルタ保持部が形成され、そこにHEPAフィルタなどを用いて炉室フィルタ27が設けられる。一方、炉室25内の下部には、上搬送路10aの下側を覆うように分流板28が設けられる。また、チェーンコンベヤ10の下搬送路10bの両側がカバー体29により下側から覆われ、その中の空気を吸引して外部に排気するための排気ファン30がカバー体29に取り付けられ、排気ファン30からの排気は排気管路32を通して排気される。
【0030】
乾燥処理されるシート状物Sは、図1に示すように、搬入装置1により投入部2に送られ、投入部2で、チェーンコンベヤ10により移動するシート状物保持枠15に保持される。チェーンコンベヤ10は、投入部2でシート状物保持枠15が水平状態になったとき、所定時間停止するように、間欠運転される。
【0031】
投入部2では、シート状物保持枠15が所定水平位置で停止する間、クリップ開放装置のエアーシリンダ51がクリップ40の可動部43を押圧動作して、クリップ40を開放状態とする。また、このとき、押圧機構の2対のエアーシリンダ52が両側の保持枠18の上部と下部を各々内側に押圧し、支柱17を内側に弾性変形させて、両側の保持枠18を僅かに内側に平行に変位させる。このように変位した保持枠18の上面と開放されたクリップ40の内側間に、シート状物Sが搬入装置により挿入される。
【0032】
シート状物Sが保持枠18とクリップ40の可動部43の延設片43a間に挿入されると、クリップ開放装置のエアーシリンダ51が引き戻し動作してクリップ40の可動部43がトーションばね44により復帰回動し、クリップ40が閉じてシート状物Sを挟持する。
【0033】
このとき、1対のクリップ40の可動部43における両側の延設片43aは、その先端部が、保持枠18の側面との間でシート状物Sを、ばね弾性を持って挟みながら、保持枠18の末端及び先端側に向けて伸張させるように挟持する。このため、保持枠先端側のシート状物Sの両側縁部が先端側に伸張され、且つその末端側の両側縁部が末端側に伸張され、2個のクリップであっても、シート状物Sの保持枠18の長手方向に沿った両側縁部を幅広く挟持すると共に、その両側縁部を保持枠18の長手方向に僅かに伸張した状態で挟持する。
【0034】
続いて、両側の保持枠18の上部と下部を各々内側に押圧していた、押圧機構の2対のエアーシリンダ52が、引き戻し動作して支柱17への押圧動作を解除する。これにより、両側の支柱17がそのばね弾性により外側に僅かに復帰し、両側の保持枠18が僅かに外側に平行移動する。これによって、シート状物保持枠15の保持枠18に保持されたシート状物Sは、両側の保持枠18により保持された両側縁部を左右両側方向(保持枠18の長手方向と直角の方向)に伸張され、2個のクリップ40による保持枠18の長手方向に沿った伸張と共にその長手方向と直角の方向にも伸張され、シート状物の全体が二次元XY平面のX軸とY軸に沿って伸張された状態で保持される。
【0035】
このようにして、チェーンコンベヤ10の各シート状物保持枠15に伸張して保持されたシート状物Sは、風乾部3からコンベヤ炉4へと送られ、そこで熱風を受けて加熱乾燥される。その後、シート状物Sは、冷却部5を通り、温度が冷まされた状態で搬出部6に到達する。そして、搬出部6において、上述した投入部2と同様に、各シート状物保持枠15がチェーンコンベヤ10の末端部で水平状態となって間欠停止したとき、クリップ開放装置が動作して両側のクリップ40を開放し、挟持を解除したシート状物Sがシート状物保持枠15から取り出され、搬出装置によりシート状物Sは乾燥装置から搬出される。
【0036】
このように、被乾燥物のシート状物Sは、シート状物保持枠15によって、その保持枠18の長手方向とそれと直角方向の両方向に伸張された状態で保持されながら、乾燥処理されるので、フィルム状の薄いシート状物であっても、カールしたり、或いは皺がよったりせずに、良好な伸張状態で乾燥処理することができる。
【0037】
また、シート状物保持枠15は、両側に立設した支柱17の先端部に、保持枠18の略中央部を平行に固定し、両側の保持枠18にクリップ40を取り付けるだけの簡単な構造とし、また、クリップ40を開放するクリップ開放装置及び支柱17を内側に押圧してシート状物の左右方向を伸張させる押圧機構も、部品点数を少なくした簡単な構造とすることができ、これにより、低コストでシート状物保持装置を製造することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 搬入装置
2 投入部
3 風乾部
4 コンベヤ炉
5 冷却部
6 搬出部
10 チェーンコンベヤ
10a 上搬送路
10b 下搬送路
12 コンベヤチェーン
13 取付金具
14 横断フレーム
15 シート状物保持枠
17 支柱
17a 弾性変形部
18 保持枠
21 内側包囲壁
22 通風路
23 連通口
24 ヒータ
25 炉室
26 送風機
27 炉室フィルタ
28 分流板
29 カバー体
30 排気ファン
32 排気管路
40 クリップ
41 固定部
42 回動軸
43 可動部
43a 延設片
51 エアーシリンダ
52 エアーシリンダ
S シート状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンコンベヤが炉体ハウジング内に敷設され、該チェーンコンベヤの両側のコンベヤチェーン間に多数の横断フレームが一定間隔で連結され、該各横断フレーム上にシート状物をクリップで保持するシート状物保持枠が取り付けられた乾燥装置のシート状物保持装置において、
該シート状物保持枠は、該横断フレームの両側で該横断フレームの長手方向と直角に配設された1対の保持枠と、該保持枠上に挿入されたシート状物の縁部を挟持するように該保持枠に取り付けられた1対のクリップと、を備えて構成され、
該クリップは、該保持枠の上面との間で該シート状物をばね力により挟持するように動く可動部を有し、該可動部の先端部には該保持枠の長手方向に沿って両側に延設されると共にばね弾性を有した延設片が設けられ、該保持枠の上面との間で該シート状物を挟持する際、該延設片の両側先端を該保持枠側に当接させながら該保持枠の末端側及び先端側に向けて伸張させるように該クリップが構成されたことを特徴とする乾燥装置のシート状物保持装置。
【請求項2】
前記シート状物保持枠は、横断フレームの両側に、支柱を内側に弾性変形可能に立設し、該支柱の先端部に且つ該支柱と平行に前記保持枠の略中央部を固定し、該保持枠上に挿入されたシート状物の縁部を挟持するためのクリップを該両側の保持枠に取り付けて構成され、
該クリップの可動部の延設片と該保持枠の上面との間でシート状物の両側縁部を挟持する際、少なくとも一方の保持枠の先端部と末端部を押圧機構により内側に押圧して、僅かに内側に前記支柱を弾性変形させ、該クリップを挟持動作させた後、該支柱の内側への押圧機構による押圧を解除させるように構成したことを特徴とする請求項1記載の乾燥装置のシート状物保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−220618(P2011−220618A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90761(P2010−90761)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(510100494)株式会社伊東電機工作所 (1)
【Fターム(参考)】